JP2004359715A - 光硬化型インク並びにこれを用いる画像記録装置及び画像記録方法 - Google Patents

光硬化型インク並びにこれを用いる画像記録装置及び画像記録方法 Download PDF

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Abstract

【課題】高湿環境下でのインクの感度の低下を防止する。
【解決手段】インクジェットプリンタ1は、光硬化型インクを所定の吐出面から記録媒体2に吐出する記録ヘッド6と、記録媒体2に着弾した光硬化型インクに紫外線を照射する紫外線光源12,13とを備えており、各紫外線光源12,13が点灯した状態で記録ヘッド6からインクを吐出しながらキャリッジ5を移動させて、記録媒体2に画像を記録するようになっている。そしてインクジェットプリンタ1では、記録ヘッド6から吐出されるインクに、オキセタン環の2位に置換基が結合した2官能性又は単官能性オキセタン化合物が含有されている。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はカチオン重合系の光硬化型インクに係り、特に高湿環境下での感度の低下を防止することができる光硬化型インク並びにこれを用いる画像記録装置及び画像記録方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
グラビア印刷方式より簡便・安価に画像を作成することができるという理由から、近年ではインクジェット記録方式が写真・各種印刷・マーキング・カラーフィルターといった特殊印刷などの様々な印刷分野に応用されてきている。特にインクジェット記録方式では、微細なドットを吐出・制御するインクジェット記録方式のインクジェットプリンタと、色再現域・耐久性・吐出適性などを改善したインクと、インク吸収性・色材発色性・表面光沢などを飛躍的に向上させた専用紙と、を組み合わせることで銀塩写真にも匹敵する画質を得ることができるようになっている。
【0003】
上記インクジェット記録方式はインクの種類で分類することができる。すなわちインクジェット記録方式には、室温で固形のワックスインクを用いる相変化インクジェット方式、速乾性の有機溶剤を主体としたインクを用いるソルベント系インクジェット方式、紫外線の被照射により硬化する光硬化型インクを用いる光硬化型インクジェット方式などがある。中でも光硬化型インクジェット方式は他の記録方式に比べて比較的低臭気であり、専用紙以外にも速乾性・インク吸収性のない記録媒体にも記録できる点で注目されている。
【0004】
ところで、光硬化型インクジェット方式に適用されるインク、つまり光硬化型インクは組成物や重合反応の形態などの違いによりラジカル重合系のものとカチオン重合系のものとの2つのタイプに大別される。ラジカル重合系の光硬化型インクは重合反応のメカニズム上、酸素が介在した環境下では硬化阻害作用を強く受け、使用環境が大きく制限されるという問題を有している。一方、カチオン重合系の光硬化型インクは上記ラジカル重合系の光硬化型インクとは異なり、酸素による硬化阻害作用をまったく又はほとんど受けないため、酸素を考慮した使用環境には制限されないという利点を有している。そしてこのようなカチオン重合系の光硬化型インクの組成物や特性が特許文献1,2に詳細に記載されている。
【0005】
また光硬化型インクを扱うインクジェットプリンタには、インクを吐出する記録ヘッドと紫外線を記録媒体上のインクに照射する紫外線光源とが互いに隣り合った状態でキャリッジに搭載されており、画像の記録動作時において当該インクジェットプリンタは紫外線光源を点灯させた状態で記録ヘッドからインクを吐出させながらキャリッジを移動させて記録媒体に画像を記録している(例えば特許文献2参照)。
【0006】
【特許文献1】
特開2003−55462号公報
【特許文献2】
特開2002−137375号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特許文献1,2に開示されたものを含むカチオン重合系の光硬化型インクは上記の通り酸素による硬化阻害作用を受けないけれど、高湿環境下ではインクそのものの感度が低下してしまい、標準の照度の紫外線では硬化しにくくなる。したがって高湿環境下で画像を記録する場合には、標準より高い過剰な照度の紫外線でインクを硬化させればよいが、紫外線の照度が過剰であることから、紫外線が記録媒体で強く反射して記録ヘッドのインクの吐出面(多数のノズルの端面)に入射しやすくなり、結果的に記録ヘッドのインクの吐出面でインクの目詰まりが発生してしまう。そしてまたインクの目詰まりを防止するために紫外線の照度を低くすると、上記の通りインクの感度が低下するからインクが充分に硬化しなくなり、ブロッキング(記録物が重ねられた状態で互いに貼り合わされる現象。)が起こって記録物の保存性に支障をきたしたり、記録物の画質の劣化を招いたりしてしまう。
【0008】
本発明の課題は、高湿環境下での感度の低下を防止することができる光硬化型インク並びにこれを用いる画像記録装置及び画像記録方法を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため請求項1に記載の発明は、
カチオン重合系の光硬化型インクにおいて、
オキセタン環の2位に置換基が結合したオキセタン化合物が含有されていることを特徴とする。
【0010】
請求項2に記載の発明は、
請求項1に記載の光硬化型インクにおいて、
前記オキセタン化合物は2官能性オキセタン化合物であることを特徴とする。
【0011】
請求項1又は2に記載の発明によれば高湿環境下でのインクの感度の低下を防止することができる。つまり、請求項1又は2に記載の光硬化型インクは高湿環境下では感度が低下しないため、標準に近い照度の紫外線で充分に硬化する。したがってこの光硬化型インクが画像の記録用のインクとして使用された場合、過剰な照度の紫外線をインクに照射しなくてもよいから記録ヘッドでのインクの目詰まりを回避することができ、また逆に紫外線の照度が足りないという理由で記録物の保存性に支障をきたしたり、記録物の画像の劣化を招いたりすることも防止することができる。
【0012】
請求項3に記載の発明は、
請求項1又は2に記載の光硬化型インクを用いる画像記録装置において、
前記光硬化型インクを所定の吐出面から記録媒体に吐出する記録ヘッドと、
前記記録ヘッドの吐出面を加熱する記録ヘッド用ヒータと、
記録媒体を加熱する記録媒体用ヒータと、
記録媒体に着弾した前記光硬化型インクに紫外線を照射する紫外線光源と、
を備え、
前記記録ヘッドによる記録媒体への記録動作時には、前記記録用ヘッド用ヒータにより前記記録ヘッドの吐出面が40〜80℃に保持され、前記記録媒体用ヒータにより記録媒体が前記記録ヘッドの吐出面と同じか又はそれよりも低い温度に保持され、前記記録ヘッドの吐出面と記録媒体との温度差が40℃以下に保持されることを特徴とする。
【0013】
請求項3に記載の発明によれば湿度の上昇を抑えた状態で画像の記録動作をおこなうことができ、インクの感度が低下するのを確実に防止することができる。
【0014】
請求項4に記載の発明は、
請求項3に記載の画像記録装置において、
前記紫外線光源から前記光硬化型インクに照射される紫外線は、220〜280nmの放射スペクトルの強度が280〜400nmの放射スペクトルの強度の1/3以上であることを特徴とする。
【0015】
請求項4に記載の発明によれば、光エネルギーの大きい短波長領域の紫外線が多く含まれるため、紫外線の照射時間を短く抑えることができ、記録ヘッドでのインクの目詰まりを確実に防止することができる。
【0016】
請求項5に記載の発明は、
請求項3又は4に記載の画像記録装置において、
前記紫外線光源から前記光硬化型インクに照射される紫外線の照射時間は0.05〜10秒であることを特徴とする。
【0017】
請求項5に記載の発明によれば、記録媒体に着弾したインクを確実に硬化させることができ、記録物の保存性に支障をきたしたり、記録物の画像の劣化を招いたりすることを確実に防止することができる。
【0018】
請求項6に記載の発明は、
請求項3〜5のいずれか一項に記載の画像記録装置において、
前記記録ヘッドから記録媒体に吐出される前記光硬化型インクは1滴当たり1〜10plのインク滴であることを特徴とする。
【0019】
請求項6に記載の発明によれば超微細なドットによる画像を記録媒体に記録することができる。
【0020】
請求項7に記載の発明は、
請求項1又は2に記載の光硬化型インクを用いる画像記録方法において、
前記光硬化型インクを吐出可能な記録ヘッドの所定の吐出面から記録媒体に前記光硬化型インクを吐出するインク吐出工程と、
前記インク吐出工程の後に、記録媒体に着弾した前記光硬化型インクに紫外線を照射する紫外線照射工程と、
を備え、
前記インク吐出工程では、前記記録ヘッドの吐出面が40〜80℃に保持され、記録媒体が前記記録ヘッドの吐出面と同じか又はそれよりも低い温度に保持され、前記記録ヘッドの吐出面と記録媒体との温度差が40℃以下に保持されることを特徴とする。
【0021】
請求項7に記載の発明によれば湿度の上昇を抑えた状態で画像の記録動作をおこなうことができ、インクの感度が低下するのを確実に防止することができる。
【0022】
請求項8に記載の発明は、
請求項7に記載の画像記録方法において、
前記紫外線照射工程で前記光硬化型インクに照射される紫外線は、220〜280nmの放射スペクトルの強度が280〜400nmの放射スペクトルの強度の1/3以上であることを特徴とする。
【0023】
請求項8に記載の発明によれば、光エネルギーの大きい短波長領域の紫外線が多く含まれるため、紫外線の照射時間を短く抑えることができ、記録ヘッドでのインクの目詰まりを確実に防止することができる。
【0024】
請求項9に記載の発明は、
請求項7又は8に記載の画像記録方法において、
前記紫外線照射工程で前記光硬化型インクに照射される紫外線の照射時間は0.05〜10秒であることを特徴とする。
【0025】
請求項9に記載の発明によれば、記録媒体に着弾したインクを確実に硬化させることができ、記録物の保存性に支障をきたしたり、記録物の画像の劣化を招いたりすることを確実に防止することができる。
【0026】
請求項10に記載の発明は、
請求項7〜9のいずれか一項に記載の画像記録方法において、
前記インク吐出工程で前記記録ヘッドから吐出される前記光硬化型インクは、1滴当たり1〜10plのインク滴であることを特徴とする。
【0027】
請求項10に記載の発明によれば超微細なドットによる画像を記録媒体に記録することができる。
【0028】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。ただし、発明の範囲は図示例に限定されない。
図1はインクジェットプリンタ1を正面から見たインクジェットプリンタ1の断面図である。
【0029】
画像記録装置としてのインクジェットプリンタ1は図1に示す通り、記録媒体2を支持するプラテン3を有している。プラテン3の下部にはプラテン3を加熱するヒータ4が配設されており、ヒータ4によりプラテン3が加熱されてその熱が記録媒体2に伝導するような構成となっている。つまりヒータ4が、記録媒体を加熱する記録媒体用ヒータとなっている。またインクジェットプリンタ1では、記録媒体2を所定方向に搬送する搬送機構(図示略)が配設されており、記録媒体2がプラテン3に支持された状態で搬送機構により図1の紙面の裏側から表側に搬送されるようになっている。
【0030】
プラテン3の上方には左右方向に移動自在なキャリッジ5が配設されている。キャリッジ5は記録媒体2の搬送方向と直交する方向に移動自在であり、キャリッジ5の中央部にはインクを記録媒体2に吐出する記録ヘッド6が搭載されている。記録ヘッド6にはインクを微小な液滴として吐出する多数のノズル7が配設されており、記録ヘッド6は多数のノズル7が配列された吐出面8からインクを記録媒体2に向けて吐出するようになっており、詳しくはインクを1〜10plの微小なインク滴として記録媒体2に向けて吐出するようになっている。
【0031】
さらに記録ヘッド6には、各ノズル7を流動するインクを加熱するためのヒータ9が各ノズル7に沿うように配設されており、本実施形態では特にヒータ9によって記録ヘッド6の吐出面8が40〜80℃に加熱されるようになっている。つまりヒータ9が、記録ヘッド6の吐出面8を加熱する記録ヘッド用ヒータとなっている。また本実施形態では上記の通りプラテン3を介して記録媒体2がヒータ4により加熱されるが、記録媒体2の温度が記録ヘッド6の吐出面8の温度と同じか又はそれよりも低い温度になるように記録媒体2が加熱されるようになっている。そうして記録ヘッド6の吐出面8と記録媒体2との温度差が40℃以下になるように、記録ヘッド6の吐出面8と記録媒体2とが加熱されるようになっている。
【0032】
キャリッジ5の左右両端部には記録媒体2に向けて紫外線を照射する紫外線照射機構10,11がそれぞれ搭載されている。各紫外線照射機構10,11には紫外線を放射する紫外線光源12,13が1つずつ配設されている。紫外線光源12,13としては、低圧水銀ランプ,高圧水銀ランプ,超高圧水銀ランプ,メタルハライドランプ,ケミカルランプ,ブラックライトランプ,水銀−キセノンランプ,エキシマーランプ,ショートアーク灯,ヘリウム・カドミニウムレーザ,アルゴンレーザ,エキシマーレーザ,LED(Light Emitting Diode)などが適用可能である。本実施形態では特に各紫外線光源12,13は、220〜280nmの放射スペクトルの強度が280〜400nmの放射スペクトルの強度の1/3以上を有する紫外線を放射するようになっている。
【0033】
さらに各紫外線照射機構10,11には紫外線光源12,13の紫外線を反射する反射部材14,15が1つずつ配設されている。各反射部材14,15は下面が開放された箱状を呈しており、紫外線光源12,13を覆うように配置されている。各紫外線照射機構10,11では紫外線光源12,13が点灯すると、各紫外線光源12,13から紫外線が放射状に出射してその紫外線が反射部材14,15の内壁に反射して記録媒体2に入射するようになっている。このような構成により各紫外線照射機構10,11から記録媒体2に向けて紫外線を照射できるようになっている。
【0034】
次に、本実施形態に用いられる「インク」について説明する。
本実施形態に用いられるインクは、紫外線の被照射により硬化する性質を具備し、少なくとも(A)カチオン重合性化合物、(B)光開始剤及び(C)着色剤を含有したカチオン重合系の光硬化型インクである。
カチオン重合性化合物としては、オキセタン化合物、エポキシ化合物、ビニルエーテル化合物などが適用される。本実施形態に用いられるインクでは、オキセタン化合物、エポキシ化合物及びビニルエーテル化合物のうちいずれか一の化合物がカチオン重合性化合物として含有されればよいが、オキセタン化合物のなかから少なくとも1種の化合物と、エポキシ化合物及びビニルエーテル化合物のなかから少なくとも1種の化合物とがカチオン重合性化合物として含有されるのが好ましい。また本実施形態に用いられるインクでは、カチオン重合性化合物はモノマーであってもよいし、オリゴマーであってもよいし、モノマーとオリゴマーとを混合したものであってもよい。
【0035】
インクに含有される(A)カチオン重合性化合物、(B)光開始剤及び(C)着色剤の詳細は以下の通りである。
【0036】
[(A)カチオン重合性化合物−オキセタン化合物]
オキセタン化合物は、オキセタン環を有する化合物のことであり、特開2001−220526、同2001−310937に紹介されているような公知のあらゆるオキセタン化合物を使用できる。オキセタン化合物において、オキセタン環を5個以上有する化合物を使用すると、インク組成物の粘度が高くなるため、取扱いが困難になったり、またインク組成物のガラス転移温度が高くなるため、得られる硬化物の粘着性が十分でなくなってしまう。オキセタン化合物はオキセタン環を1〜4個有する化合物が好ましい。
【0037】
オキセタン化合物の具体例について説明するが、これらに限定されるものではない。1個のオキセタン環を有する化合物の一例としては、下記式(1)で示される化合物が挙げられる。
【0038】
【化1】
Figure 2004359715
【0039】
式(1)中、Rは水素原子やメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等の炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のフルオロアルキル基、アリル基、アリール基、フリル基またはチエニル基である。Rは、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等の炭素数1〜6個のアルキル基、1−プロペニル基、2−プロペニル基、2−メチル−1−プロペニル基、2−メチル−2−プロペニル基、1−ブテニル基、2−ブテニル基、3−ブテニル基等の炭素数2〜6個のアルケニル基、フェニル基、ベンジル基、フルオロベンジル基、メトキシベンジル基、フェノキシエチル基等の芳香環を有する基、エチルカルボニル基、プロピルカルボニル基、ブチルカルボニル基等の炭素数2〜6個のアルキルカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基等の炭素数2〜6個のアルコキシカルボニル基、またはエチルカルバモイル基、プロピルカルバモイル基、ブチルカルバモイル基、ペンチルカルバモイル基等の炭素数2〜6個のN−アルキルカルバモイル基等である。本実施形態で使用するオキセタン化合物としては、1個のオキセタン環を有する化合物を使用することが、得られる組成物が粘着性に優れ、低粘度で作業性に優れるため、特に好ましい。
【0040】
2個のオキセタン環を有する化合物の一例としては、下記式(2)で示される化合物等が挙げられる。
【0041】
【化2】
Figure 2004359715
【0042】
式(2)中、Rは、上記式(1)におけるそれと同様の基である。Rは、例えば、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基等の線状または分枝状アルキレン基、ポリ(エチレンオキシ)基、ポリ(プロピレンオキシ)基等の線状または分枝状ポリ(アルキレンオキシ)基、プロペニレン基、メチルプロペニレン基、ブテニレン基等の線状または分枝状不飽和炭化水素基、またはカルボニル基またはカルボニル基を含むアルキレン基、カルボキシル基を含むアルキレン基、カルバモイル基を含むアルキレン基等である。
【0043】
また、Rとしては、下記式(3)、(4)及び(5)で示される基から選択される多価基も挙げることができる。
【0044】
【化3】
Figure 2004359715
【0045】
式(3)中、Rは、水素原子やメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等の炭素数1〜4個のアルキル基、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等の炭素数1〜4個のアルコキシ基、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、メルカプト基、低級アルキルカルボキシル基、カルボキシル基、またはカルバモイル基である。
【0046】
【化4】
Figure 2004359715
【0047】
式(4)中、Rは、酸素原子、硫黄原子、メチレン基、NH、SO、SO、C(CF、又はC(CHを表す。
【0048】
【化5】
Figure 2004359715
【0049】
式(5)中、Rは、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等の炭素数1〜4個のアルキル基、またはアリール基である。nは0〜2000の整数である。Rはメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基の炭素数1〜4個のアルキル基、またはアリール基である。Rとしては、更に、下記式(6)で示される基から選択される基も挙げることができる。
【0050】
【化6】
Figure 2004359715
【0051】
式(6)中、Rは、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等の炭素数1〜4個のアルキル基、またはアリール基である。mは0〜100の整数である。
【0052】
2個のオキセタン環を有する化合物の具体例としては、下記式(7)及び(8)に示す化合物が挙げられる。
【0053】
【化7】
Figure 2004359715
【0054】
式(7)に示す化合物は、式(2)において、Rがエチル基、Rがカルボニル基である化合物である。また、式(8)に示す化合物は、式(2)において、Rがエチル基、Rが式(5)でR及びRがメチル基、nが1である化合物である。
【0055】
2個のオキセタン環を有する化合物において、上記の化合物以外の好ましい例としては、下記式(9)で示される化合物がある。
【0056】
【化8】
Figure 2004359715
【0057】
式(9)中、Rは、式(1)のRと同義である。
【0058】
また、3〜4個のオキセタン環を有する化合物の一例としては、下記式(10)で示される化合物が挙げられる。
【0059】
【化9】
Figure 2004359715
【0060】
式(10)中、Rは、式(1)におけるRと同義である。Rとしては、例えば、下記式(11)〜(13)で示される基等の炭素数1〜12の分枝状アルキレン基、下記式(14)で示される基等の分枝状ポリ(アルキレンオキシ)基又は下記式(15)で示される基等の分枝状ポリシロキシ基等が挙げられる。式(10)中、jは3又は4である。
【0061】
【化10】
Figure 2004359715
【0062】
式(11)中、R10はメチル基、エチル基又はプロピル基等の低級アルキル基である。式(14)中、pは1〜10の整数である。
【0063】
4個のオキセタン環を有する化合物の一例としては、下記式(16)に示す化合物が挙げられる。
【0064】
【化11】
Figure 2004359715
【0065】
さらに、上記で説明した以外の1〜4個のオキセタン環を有する化合物の例としては、下記式(17)で示される化合物が挙げられる。
【0066】
【化12】
Figure 2004359715
【0067】
式(17)中、Rは式(6)のRと同義である。R11はメチル基、エチル基、プロピル基又はブチル基等の炭素数1〜4のアルキル基又はトリアルキルシリル基であり、rは1〜4である。Rは式(6)のRと同義である。
【0068】
本実施形態で使用するオキセタン化合物の好ましい具体例としては、下記式(18)〜(20)に示す化合物がある。
【0069】
【化13】
Figure 2004359715
【0070】
上述したオキセタン環を有する各化合物の製造方法は、特に限定されず、従来から知られた方法に従えばよく、例えば、パティソン(D.B.Pattison, J.Am.Chem.Soc.,3455,79(1957))が開示している、ジオールからのオキセタン環合成法等がある。また、これら以外にも、分子量1000〜5000程度の高分子量を有する1〜4個のオキセタン環を有する化合物も挙げられる。これらの具体的化合物例としては、下記式(21)〜(23)に示す化合物が挙げられる。
【0071】
【化14】
Figure 2004359715
【0072】
式(21)中、pは20〜200である。式(22)中、qは15〜100である。式(23)中、sは20〜200である。
【0073】
[(A)カチオン重合性化合物−エポキシ化合物]
エポキシ化合物は、化合物中の基―O―が橋かけ構造を呈している化合物であり、カチオン重合性化合物のエポキシ化合物としては芳香族エポキシド、脂環式エポキシド、脂肪族エポキシドなどがある。
芳香族エポキシドとして好ましいものは、少なくとも1個の芳香族核を有する多価フェノールあるいはそのアルキレンオキサイド付加体とエピクロルヒドリンとの反応によって製造されるジまたはポリグリシジルエーテルであり、例えばビスフェノールAあるいはそのアルキレンオキサイド付加体のジまたはポリグリシジルエーテル、水素添加ビスフェノールAあるいはそのアルキレンオキサイド付加体のジまたはポリグリシジルエーテル、ならびにノボラック型エポキシ樹脂等が挙げられる。ここでアルキレンオキサイドとしては、エチレンオキサイドおよびプロピレンオキサイド等が挙げられる。
【0074】
脂環式エポキシドとしては、少なくとも1個のシクロへキセンまたはシクロペンテン環等のシクロアルカン環を有する化合物を、過酸化水素、過酸等の適当な酸化剤でエポキシ化することによって得られる、シクロヘキセンオキサイドまたはシクロペンテンオキサイド含有化合物が好ましい。
【0075】
脂肪族エポキシドの好ましいものとしては、脂肪族多価アルコールあるいはそのアルキレンオキサイド付加体のジまたはポリグリシジルエーテル等があり、その代表例としては、エチレングリコールのジグリシジルエーテル、プロピレングリコールのジグリシジルエーテルまたは1,6−ヘキサンジオールのジグリシジルエーテル等のアルキレングリコールのジグリシジルエーテル、グリセリンあるいはそのアルキレンオキサイド付加体のジまたはトリグリシジルエーテル等の多価アルコールのポリグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールあるいはそのアルキレンオキサイド付加体のジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールあるいはそのアルキレンオキサイド付加体のジグリシジルエーテル等のポリアルキレングリコールのジグリシジルエーテル等が挙げられる。ここでアルキレンオキサイドとしては、エチレンオキサイドおよびプロピレンオキサイド等が挙げられる。
【0076】
これら芳香族エポキシド、脂環式エポキシド及び脂肪族エポキシドの各エポキシドのうち、インクの速硬化性を考慮すると、芳香族エポキシド及び脂環式エポキシドを適用するのが好ましく、特に脂環式エポキシドを適用するのが好ましい。本実施形態では、上記エポキシドのうち1種のエポキシドを単独で使用してもよいし、2種以上のエポキシドを適宜組み合わせて使用してもよい。
【0077】
[(A)カチオン重合性化合物−ビニルエーテル化合物]
ビニルエーテル化合物としては、例えば、エチレングリコールジビニルエーテル、ジエチレングリコールジビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、プロピレングリコールジビニルエーテル、ジプロピレングリコールジビニルエーテル、ブタンジオールジビニルエーテル、ヘキサンジオールジビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル、トリメチロールプロパントリビニルエーテル等のジ又はトリビニルエーテル化合物、エチルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、オクタデシルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールモノビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、イソプロペニルエーテル−o−プロピレンカーボネート、ドデシルビニルエーテル、ジエチレングリコールモノビニルエーテル、オクタデシルビニルエーテル等のモノビニルエーテル化合物等が挙げられる。
【0078】
これらのビニルエーテル化合物のうち、インクの硬化性、インクの記録媒体との密着性、インクの表面硬度などを考慮すると、ジ又はトリビニルエーテル化合物を適用するのが好ましく、特にジビニルエーテル化合物を適用するのが好ましい。本実施形態では上記ビニルエーテル化合物のうち、1種の化合物を単独で使用してもよいし、2種以上の化合物を適宜組み合わせて使用してもよい。
【0079】
[(B)光開始剤]
光開始剤は、上記カチオン重合性化合物同士の重合反応を開始させる試薬・薬剤であって、分子内結合開裂型と分子内水素引き抜き型との2種に大別できる。本実施形態では分子内結合開裂型と分子内水素引き抜き型とのうち、一方の型の光開始剤を単独で使用してもよいし、両方の型の光開始剤を適宜組み合わせて使用してもよいし、同型又は異型の光開始剤のなかから2種以上の化合物を適宜組み合わせて使用してもよい。
【0080】
分子内結合開裂型の光開始剤としては、例えば、ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、ベンジルジメチルケタール、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル−(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、1−ヒドロキシシクロヘキシル−フェニルケトン、2−メチル−2−モルホリノ(4−チオメチルフェニル)プロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノンの如きアセトフェノン系;ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテルの如きベンゾイン類;2,4,6−トリメチルベンゾインジフェニルホスフィンオキシドの如きアシルホスフィンオキシド系;ベンジル、メチルフェニルグリオキシエステル、などが挙げられる。
【0081】
分子内水素引き抜き型の光開始剤としては、例えば、ベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル−4−フェニルベンゾフェノン、4,4′−ジクロロベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4′−メチル−ジフェニルサルファイド、アクリル化ベンゾフェノン、3,3′,4,4′−テトラ(t−ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3′−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノンの如きベンゾフェノン系;2−イソプロピルチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントンの如きチオキサントン系;ミヒラ−ケトン、4,4′−ジエチルアミノベンゾフェノンの如きアミノベンゾフェノン系;10−ブチル−2−クロロアクリドン、2−エチルアンスラキノン、9,10−フェナンスレンキノン、カンファーキノンなどが挙げられる。
【0082】
なお、光開始剤はインクの全組成物に対し0.01〜10.00質量%の範囲でインク中に含有されるのが好ましい。また本実施形態に用いられるインクには光酸発生剤が添加されてもよい。光酸発生剤としては、例えば、化学増幅型フォトレジストや光カチオン重合に利用される化合物が用いられる(有機エレクトロニクス材料研究会編、「イメージング用有機材料」、ぶんしん出版(1993年)、187〜192ページ参照)。本実施形態のインクに好適に用いられる(B−1)光酸発生剤の例を以下に挙げる。
【0083】
[(B−1)光酸発生剤]
第1に、ジアゾニウム、アンモニウム、ヨードニウム、スルホニウム、ホスホニウムなどの芳香族オニウム化合物のB(C 、PF 、AsF 、SbF 、CFSO 塩を挙げることができる。
【0084】
本実施形態で適用可能なオニウム化合物の具体的な例を下記式(24)〜(37)に示す。
【0085】
【化15】
Figure 2004359715
【0086】
第2に、スルホン酸を発生するスルホン化物を挙げることができ、その具体的な化合物を下記式(38)〜(48)に示す。
【0087】
【化16】
Figure 2004359715
【0088】
第3に、ハロゲン化水素を光発生するハロゲン化物も用いることができ、その具体的な化合物を下記式(49)〜(55)に示す。
【0089】
【化17】
Figure 2004359715
【0090】
第4に、鉄アレン錯体を挙げることができ、その具体的な例を下記式(56)及び(57)に示す。
【0091】
【化18】
Figure 2004359715
【0092】
[(C)着色剤]
着色剤としては、例えば、フタロシアニン系、アゾ系、キナクリドン系、ジオキサンジン系、ジケトピロロピロール系等の各種の有彩色有機顔料、カーボンブラック、チタンホワイト、シリカ、マイカ、酸化亜鉛等の無機顔料等が挙げられる。着色剤はインクの全組成物に対し0を超えて20質量%まで(〜20質量%)の範囲でインク中に含有されるのが好ましい。
【0093】
さらに本実施形態に用いられるインクは紫外線の被照射により硬化するが、インクそのものの硬化反応をより効率的に行なうために光増感剤を併用することもできる。インクに含有される(D)光増感剤の詳細は以下の通りである。
[(D)光増感剤]
光増感剤としては、例えば、トリエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、4−ジメチルアミノ安息香酸メチル、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、安息香酸(2−ジメチルアミノ)エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸(n−ブトキシ)エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸2−エチルヘキシルの如きアミン類、シアニン、フタロシアニン、メロシアニン、ポルフィリン、スピロ化合物、フェロセン、フルオレン、フルギド、イミダゾール、ペリレン、フェナジン、フェノチアジン、ポリエン、アゾ化合物、ジフェニルメタン、トリフェニルメタン、ポリメチンアクリジン、クマリン、ケトクマリン、キナクリドン、インジゴ、スチリル、ピリリウム化合物、ピロメテン化合物、ピラゾロトリアゾール化合物、ベンゾチアゾール化合物、バルビツール酸誘導体、チオバルビツール酸誘導体等が挙げられ、更に、欧州特許第568,993号、米国特許第4,508,811号、同第5,227,227号、特開2001−125255、特開平11−271969号等に記載の化合物も用いられる。光増感剤はインクの全組成物に対し0.01〜10.00質量%の範囲でインク中に含有されるのが好ましい。
【0094】
さらに本実施形態に用いられるインクには、様々な性能改良のためにインク本来の特性を変えない範囲で、例えば、シランカップリング剤、重合禁止剤、レベリング剤などの材料を添加することもできる。インクに含有される(E)シランカップリング剤、重合禁止剤及びレベリング剤の詳細は以下の通りである。
【0095】
[(E)シランカップリング剤、重合禁止剤及びレベリング剤]
シランカップリング剤としては、例えば、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。重合禁止剤としては、例えば、メトキノン、メチルハイドロキノン、ベンゾキノン等が挙げられる。レベリング剤としては、例えば、モダフロー(モンサント社製;登録商標)、FC−430(3M社製)等が挙げられる。これらシランカップリング剤、重合禁止剤、レベリング剤などの各種添加剤は、インクの全組成物に対し0を超えて20質量%まで(〜20質量%)の範囲でインク中に含有されるのが好ましい。
【0096】
なお、本実施形態に用いられるインクを得るには、上記した各成分を混合すればよく、混合の順序や方法は特に限定されない。そして本実施形態では、調製されたインク組成物の物理的特性として50℃における粘度が7〜20mPa・s、好ましくは7〜12mPa・sであるインクジェット用の光硬化型インクが用いられる。
【0097】
さらに本実施形態に用いられるインクには、必要に応じて溶剤(希釈剤)を含有させることができる。インクに含有される(F)溶剤の詳細は以下の通りである。
【0098】
[(F)溶剤(希釈剤)]
溶剤としては、例えば、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンの如きケトン類、酢酸エチル、酢酸ブチルの如き酢酸エステル類、ベンゼン、トルエン、キシレンの如き芳香族炭化水素、エチレングリコールモノアセテート、プロピレングリコールジメチルエーテルの如きアルコール類、水など、その他の一般によく用いられる有機溶剤が挙げられる。
【0099】
ここで、本実施形態に用いられるインクには、添加剤としてオキセタン環の2位に置換基が結合したオキセタン化合物が含有されている。このオキセタン化合物は(G−1)2官能性オキセタン化合物又は(G−2)単官能性オキセタン化合物のいずれであってもよい。インクに含有される(G−1),(G−2)添加剤は以下の通りである。
【0100】
[(G−1)添加剤−2官能性オキセタン化合物]
2官能性オキセタン化合物の一例としては、下記式(60)〜(64)で示される化合物が挙げられる。
【0101】
【化19】
Figure 2004359715
【0102】
式(60)中のR101〜R104、式(61)中のR201〜R204、式(62)中のR301〜R304、式(63)中のR401〜R405、式(64)中のR501〜R504で表される置換基の例としては、ハロゲン原子(例えば塩素原子、臭素原子、フッ素原子、等)、炭素数1〜6個のアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、等)、炭素数3〜6個のシクロアルキル基(例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、等)、炭素数1〜6個のアルケニル基(例えば、ビニル基、1−プロペニル基、2−プロペニル基、2−ブテニル基、等)、炭素数1〜6個のアルキ二ル基(例えば、アセチレニル基、1−プロピニル基、2−プロピニル基、2−ブチニル基、等)、炭素数1〜6個のアルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、iso−プロポキシ基、n−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、等)、アシル基(例えばアセチル基、プロピオニル基、トリフルオロアセチル基、等)、アシルオキシ基(例えばアセトキシ基、プロピオニルオキシ基、トリフルオロアセトキシ基、等)、アルコキシカルボニル基(メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、tert−ブトキシカルボニル基、等)、アリールオキシカルボニル基、等が挙げられる。
【0103】
式(60)〜(64)中、R101とR102、R103とR104、R201とR202、R203とR204、R301とR302、R303とR304、R401とR402、R403とR404、R501とR502、R503とR504のように同一炭素上の2つの置換基が互いに末端で結合して2価の基となり環を形成してもよい。
これらの基は更に置換基を有していてもよい。置換基としては、ハロゲン原子(例えば塩素原子、臭素原子、フッ素原子、等)、炭素数1〜6個のアルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、iso−プロポキシ基、n−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、等)、アシル基(例えばアセチル基、プロピオニル基、トリフルオロアセチル基、等)、アシルオキシ基(例えばアセトキシ基、プロピオニルオキシ基、トリフルオロアセトキシ基、等)、アルコキシカルボニル基(メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、tert−ブトキシカルボニル基、等)、アリールオキシカルボニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、シアノ基、ニトロ基、等が挙がられる。置換基として好ましいのは、ハロゲン原子、アルコキシ基、アシルオキシ基、アルコキシカルボニル基である。
【0104】
本実施形態で使用される2官能性オキセタン化合物として、オキセタン環の3位に1つ以上の置換基を有するのが好ましい。好ましい置換基としては、炭素数1〜6個のアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、等)、炭素数3〜6個のシクロアルキル基(例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、等)、炭素数1〜6個のアルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、iso−プロポキシ基、n−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、等)、アシル基(例えばアセチル基、プロピオニル基、トリフルオロアセチル基、等)、アシルオキシ基(例えばアセトキシ基、プロピオニルオキシ基、トリフルオロアセトキシ基、等)、アルコキシカルボニル基(メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、tert−ブトキシカルボニル基、等)、等が挙げられる。これらはさらに置換されていても良く、置換基として好ましいのは、ハロゲン原子、アルコキシ基、アシルオキシ基、アルコキシカルボニル基である。
【0105】
本実施形態で使用される2官能性オキセタン化合物としては、3位に置換、無置換のアルキル基が置換されているのが好ましく、2つのアルキル基で置換されることでオキセタンの3位が3級の炭素になることがより好ましい。アルキル基の置換基として好ましいものは、ハロゲン原子、アルコキシ基、アシルオキシ基、アルコキシカルボニル基である。
本実施形態で使用される2官能性オキセタン化合物は、4位に電子吸引性基を置換することで、より反応性を高くすることが可能である。電子吸引性基とはハメットの置換基定数σρが正の値を取る置換基のことであり、電子吸引性基の具体例としては、−NO、−CN、−SO−Alkyl、−SO−Aryl、−CO− Alkyl、−CO− Aryl、−CO−O− Alkyl、−CO−O− Aryl、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子)が挙げられる。本実施形態で使用される2官能性オキセタン化合物において4位の置換基として好ましい電子吸引性基はα〜γ位の炭素原子上に前記の電子吸引性基の置換したアルキル基であり、特にフッ素原子で置換されたアルキル基が好ましい。
【0106】
さらに上記式(60)〜(64)で示される化合物について説明する。
【0107】
式(60)において、R105は置換、無置換のアルコキシ基、または置換、無置換のアリールオキシ基を表し、m1は0、1または2を表す。アルコキシ基としては炭素数1〜6個のアルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、iso−プロポキシ基、n−ブトキシ基、等)が好ましい。
m1は1以上が好ましく2がより好ましい。m1が2以上の場合、複数のR105は同じであっても良いし異なっていても良い。
置換位置としてはオキセタン環のo−位が好ましく、m1が2の場合、2つアルコキシ基は互いがベンゼン環上でp−位になる位置か隣り合う位置に置換するのが好ましい。m1が2で2つのアルコキシ基が隣り合う位置に置換している場合、2つのアルコキシ基が末端で結合して環を形成しても良い。m1が2でR105がアリールオキシの場合、2価のアリールオキシ基であるo−フェニレンジオキシ基として置換して環を形成しても良い。
106は置換基を表し、n1は0〜3を表す。R106で表される置換基としては、ハロゲン原子(例えば塩素原子、臭素原子、フッ素原子、等)、置換、無置換の炭素数1〜6個のアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、等)等が挙げられる。アルキル基の置換基としては、ハロゲン原子(例えば塩素原子、臭素原子、フッ素原子、等)、炭素数1〜6個のアルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、iso−プロポキシ基、n−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、等)、アシル基(例えばアセチル基、プロピオニル基、トリフルオロアセチル基、等)、アシルオキシ基(例えばアセトキシ基、プロピオニルオキシ基、トリフルオロアセトキシ基、等)、アルコキシカルボニル基(メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、tert−ブトキシカルボニル基、等)。置換基として好ましいのは、ハロゲン原子、アルコキシ基、アシルオキシ基、アルコキシカルボニル基である。
n1が2以上の場合、複数のR106は同じであっても良いし異なっていても良い。
105とR106が隣り合った位置に置換した場合、互いに末端で結合して2価の基となり環を形成してもよい。
【0108】
式(61)において、R205は置換、無置換のアルコキシ基、または置換、無置換のアリールオキシ基を表し、m2は0〜3を表す。アルコキシ基としては炭素数1〜6個のアルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、iso−プロポキシ基、n−ブトキシ基、等)が好ましい。
m2は1以上が好ましく2がより好ましい。m2が2の場合、複数のR205は同じであっても良いし異なっていても良い。
置換位置としてはオキセタン環のo−位が好ましく、ベンゼン環上のオキセタン環の位置を1,3−位とした場合、m2が1の場合は4−位が好ましく、m2が2の場合は4,6−位が好ましい。m2が2で2つのアルコキシ基が隣り合う位置に置換している場合、2つのアルコキシ基が末端で結合して環を形成しても良い。m2が2でR205がアリールオキシの場合、2価のo−フェニレンジオキシ基として置換して環を形成しても良い。
206は置換基を表し、n2は0〜3を表す。R206で表される置換基としては、ハロゲン原子(例えば塩素原子、臭素原子、フッ素原子、等)、置換、無置換の炭素数1〜6個のアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、等)等が挙げられる。アルキル基の置換基としては、ハロゲン原子(例えば塩素原子、臭素原子、フッ素原子、等)、炭素数1〜6個のアルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、iso−プロポキシ基、n−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、等)、アシル基(例えばアセチル基、プロピオニル基、トリフルオロアセチル基、等)、アシルオキシ基(例えばアセトキシ基、プロピオニルオキシ基、トリフルオロアセトキシ基、等)、アルコキシカルボニル基(メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、tert−ブトキシカルボニル基、等)。置換基として好ましいのは、ハロゲン原子、アルコキシ基、アシルオキシ基、アルコキシカルボニル基である。
n2が2以上の場合、複数のR206は同じであっても良いし異なっていても良い。
205とR206が隣り合った位置に置換した場合、互いに末端で結合して2価の基となり環を形成してもよい。
【0109】
式(62)において、R305、R306は置換基を表し、m3、n3は0〜4を表す。
305、R306で表される置換基としては、ハロゲン原子(例えば塩素原子、臭素原子、フッ素原子、等)、炭素数1〜6個のアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、等)、炭素数1〜6個のアルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、iso−プロポキシ基、n−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、等)、アシル基(例えばアセチル基、プロピオニル基、トリフルオロアセチル基、ベンゾイル基等)、アシルオキシ基(例えばアセトキシ基、プロピオニルオキシ基、トリフルオロアセトキシ基、等)、アルコキシカルボニル基(メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、tert−ブトキシカルボニル基、等)、等が挙げられる。
m3、n3がそれぞれ2以上の場合、複数のR305、R306は各々同じであっても良いし異なっていても良い。
305とR306がともに2つのベンゼン環を繋ぐ中央のエーテル酸素に対してo−位に置換した場合、R305とR306が結合して2価の基となり環を形成してもよい。そのような2価の基としては、−O−基、−S−基、>(C=O)−基、>(C=S)基、−CH−基、−CHR−基、CR−基が挙げられる。ここで、Rは置換基を表す。置換基の例としてはR101〜R104の例として挙げたものと同じものが挙げられる。
【0110】
式(63)において、R405は置換基を表し、m4は0〜4を表す。
405で表される置換基としては、ハロゲン原子(例えば塩素原子、臭素原子、フッ素原子、等)、炭素数1〜6個のアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、等)、炭素数1〜6個のアルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、iso−プロポキシ基、n−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、等)、アシル基(例えばアセチル基、プロピオニル基、トリフルオロアセチル基、等)、アシルオキシ基(例えばアセトキシ基、プロピオニルオキシ基、トリフルオロアセトキシ基、等)、等が挙げられる。
m4が2以上の場合、複数のR405は同じであっても良いし異なっていても良い。
は主鎖に酸素原子または硫黄原子を含んでも良い炭素数1〜15の2価の連結基を表す。2価の連結基の例としては、以下の基が挙げられる。
メチレン基[−CH−]、
エチリデン基[>CHCH]、
イソプロピリデン[>C(CH]、
1,2−エチレン基[−CHCH−]、
1,2−プロピレン基[−CH(CH)CH−]、
1,3−プロパンジイル基[−CHCHCH−]、
2,2−ジメチル−1,3−プロパンジイル基[−CHC(CHCH−]、
2,2−ジメトキシ−1,3−プロパンジイル基[−CHC(OCHCH−]、
2,2−ジメトキシメチル−1,3−プロパンジイル基[−CHC(CHOCHCH−]、
1−メチル−1,3−プロパンジイル基[−CH(CH)CHCH−]、
1,4−ブタンジイル基[−CHCHCHCH−]、
1,5−ペンタンジイル基[−CHCHCHCHCH−]、
オキシジエチレン基[−CHCHOCHCH−]、
チオジエチレン基[−CHCHSCHCH−]、
3−オキソチオジエチレン基[−CHCHSOCHCH−]、
3,3−ジオキソチオジエチレン基[−CHCHSOCHCH−]、
1,4−ジメチル−3−オキサ−1,5−ペンタンジイル基[−CH(CH)CHO CH(CH)CH−]、
3−オキソペンタンジイル基[−CHCHCOCHCH−]、
1,5−ジオキソ−3−オキサペンタンジイル基[−COCHOCHCO−]、
4−オキサ−1,7−ヘプタンジイル基[−CHCHCHOCHCHCH−]、
3,6−ジオキサ−1,8−オクタンジイル基[−CHCHOCHCHOCHCH−]、
1,4,7−トリメチル−3,6−ジオキサ−1,8−オクタンジイル基
[−CH(CH)CHO CH(CH)CHOCH(CH)CH−]、
5,5−ジメチル−3,7−ジオキサ−1,9−ノナンジイル基
[−CHCHOCHC(CHCHOCHCH−]、
5,5−ジメトキシ−3,7−ジオキサ−1,9−ノナンジイル基
[−CHCHOCHC(OCHCHOCHCH−]、
5,5−ジメトキシメチル−3,7−ジオキサ−1,9−ノナンジイル基
[−CHCHOCHC(CHOCHCHOCHCH−]、
4,7−ジオキソ−3,8−ジオキサ−1,10−デカンジイル基
[−CHCHO−COCHCHCO−OCHCH−]、
3,8−ジオキソ−4,7−ジオキサ−1,10−デカンジイル基
[−CHCHCO−OCHCHO−COCHCH−]、
1,3−シクロペンタンジイル基[−1,3−C−]、
1,2−シクロヘキサンジイル基[−1,2−C10−]、
1,3−シクロヘキサンジイル基[−1,3−C10−]、
1,4−シクロヘキサンジイル基[−1,4−C10−]、
2,5−テトラヒドロフランジイル基[2,5−CO−]、
p−フェニレン基[−p−C−]、
m−フェニレン基[−m−C−]、
α,α’−o−キシリレン基[−o−CH−C−CH−]、
α,α’−m−キシリレン基[−m−CH−C−CH−]、
α,α’−p−キシリレン基[−p−CH−C−CH−]、
フラン−2,5−ジイル−ビスメチレン基[2,5−CH−CO−CH−]、
チオフェン−2,5−ジイル−ビスメチレン基[2,5−CH−CS−CH−]、
イソプロピリデンビス−p−フェニレン基[−p−C−C(CH−p−C−]
【0111】
は置換基を有していても良い。置換基の例としては、ハロゲン原子(例えば塩素原子、臭素原子、フッ素原子、等)、炭素数1〜6個のアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、等)、炭素数1〜6個のアルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、iso−プロポキシ基、n−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、等)、アシル基(例えばアセチル基、プロピオニル基、トリフルオロアセチル基、等)、アシルオキシ基(例えばアセトキシ基、プロピオニルオキシ基、トリフルオロアセトキシ基、等)、アルコキシカルボニル基(メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、tert−ブトキシカルボニル基、等)、等が挙げられる。置換基として好ましいのは、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基である。
の置換基とR405が結合して環を形成しても良い。
としては主鎖に酸素原子または硫黄原子を含んでも良い炭素数1〜8の2価の連結基が好ましく、主鎖が炭素のみからなる炭素数1〜5の2価の連結基がより好ましい。
【0112】
式(64)において、R505は置換、無置換のアルキル基を表す。好ましくは、炭素数1〜6個のアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、等)であり、置換基としては、ハロゲン原子(例えば塩素原子、臭素原子、フッ素原子、等)、炭素数1〜6個のアルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、iso−プロポキシ基、n−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、等)、アシル基(例えばアセチル基、プロピオニル基、トリフルオロアセチル基、等)、アシルオキシ基(例えばアセトキシ基、プロピオニルオキシ基、トリフルオロアセトキシ基、等)、アルコキシカルボニル基(メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、tert−ブトキシカルボニル基、等)、等が挙げられる。置換基として好ましいのは、ハロゲン原子、アルコキシ基である。
506は置換基を表し、m5は0〜3を表す。
506で表される置換基としては、ハロゲン原子(例えば塩素原子、臭素原子、フッ素原子、等)、炭素数1〜6個のアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、等)、炭素数1〜6個のアルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、iso−プロポキシ基、n−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、等)、等が挙げられる。
m5が2以上の場合、複数のR506は同じであっても良いし異なっていても良い。
【0113】
は主鎖に酸素原子または硫黄原子を含んでも良い炭素数1〜15の2価の連結基、または酸素原子を表す。2価の連結基の例としては、以下の基、およびこれらの基の両端にカルボニル基が結合した基が挙げられる。
メチレン基[−CH−]、
エチリデン基[>CHCH]、
イソプロピリデン[>C(CH]、
1,2−エチレン基[−CHCH−]、
1,2−エチレン−1,2−ジオキシ基[−O−CHCH−O−]、
1,2−プロピレン−1,2−ジオキシ基[−O−CH(CH)CH−O−]、
1,3−プロパンジイル−1,3−ジオキシ基[−O−CHCHCH−O−]、
2,2−ジメチル−1,3−プロパンジイル−1,3−ジオキシ基[−O−CHC(CHCH−O−]、
2,2−ジメトキシ−1,3−プロパンジイル−1,3−ジオキシ基[−O−CHC(OCHCH−O−]、
2,2−ジメトキシメチル−1,3−プロパンジイル−1,3−ジオキシ基
[−O−CHC(CHOCHCH−O−]、
1−メチル−1,3−プロパンジイル−1,3−ジオキシ基[−O−CH(CH)CHCH2−O−]、
1,4−ブタンジイル−1,4−ジオキシ基[−O−CHCHCHCH−O−]、
1,5−ペンタンジイル−1,5−ジオキシ基[−O−CHCHCHCHCH−O−]、
オキシジエチレン−1,5−ジオキシ基[−O−CHCHOCHCH−O−]、
チオジエチレン−1,5−ジオキシ基[−O−CHCHSCHCH−O−]、
3−オキソチオジエチレン−1,5−ジオキシ基[−O−CHCHSOCHCH−O−]、
3,3−ジオキソチオジエチレン−1,5−ジオキシ基[−O−CHCHSOCHCH−O−]、
1,4−ジメチル−3−オキサ−1,5−ペンタンジイル−1,5−ジオキシ基
[−O−CH(CH)CHOCH(CH)CH−O−]、
3−オキソペンタンジイル−1,5−ジオキシ基[−O−CHCHCOCHCH−O−]、
1,5−ジオキソ−3−オキサペンタンジイル−1,5−ジオキシ基[−O−COCHOCHCO−O−]、
4−オキサ−1,7−ヘプタンジイル−1,7−ジオキシ基
[−O−CHCHCHOCHCHCH−O−]、
3,6−ジオキサ−1,8−オクタンジイル−1,8−ジオキシ基
[−O−CHCHOCHCHOCHCH−O−]、
1,4,7−トリメチル−3,6−ジオキサ−1,8−オクタンジイル−1,8−ジオキシ基
[−O−CH(CH)CHO CH(CH)CHOCH(CH)CH−O−]、
5,5−ジメチル−3,7−ジオキサ−1,9−ノナンジイル−1,9−ジオキシ基
[−O−CHCHOCHC(CHCHOCHCH−O−]、
5,5−ジメトキシ−3,7−ジオキサ−1,9−ノナンジイル−1,9−ジオキシ基
[−O−CHCHOCHC(OCHCHOCHCH−O−]、
5,5−ジメトキシメチル−3,7−ジオキサ−1,9−ノナンジイル−1,9−ジオキシ基
[−O−CHCHOCHC(CHOCHCHOCHCH−O−]、
4,7−ジオキソ−3,8−ジオキサ−1,10−デカンジイル−1,10−ジオキシ基
[−O−CHCHO−COCHCHCO−OCHCH−O−]、
3,8−ジオキソ−4,7−ジオキサ−1,10−デカンジイル−1,10−ジオキシ基
[−O−CHCHCO−OCHCHO−COCHCH−O−]、
1,3−シクロペンタンジイル−1,3−ジオキシ基[−1,3−O−C−O−]、
1,2−シクロヘキサンジイル−1,2−ジオキシ基[−1,2−O−C10−O−]、
1,3−シクロヘキサンジイル−1,3−ジオキシ基[−1,3−O−C10−O−]、
1,4−シクロヘキサンジイル−1,4−ジオキシ基[−1,4−O−C10−O−]、
2,5−テトラヒドロフランジイル−2,5−ジオキシ基[2,5−O−CO−O−]、
p−フェニレン−1,4−ジオキシ基[−p−O−C−O−]、
m−フェニレン−1,3−ジオキシ基[−m−O−C−O−]、
o−キシリレン−α,α’−ジオキシ基[−o−O−CH−C−CH−O−]、
m−キシリレン−α,α’−ジオキシ基[−m−O−CH−C−CH−O−]、
p−キシリレン−α,α’−ジオキシ基[−p−O−CH−C−CH−O−]、
フラン−2,5−ジイル−ビスメチレン−α,α’−ジオキシ基
[2,5−O−CH−CO−CH−O−]、
チオフェン−2,5−ジイル−ビスメチレン−α,α’−ジオキシ基
[2,5−O−CH−CS−CH−O−]
【0114】
は置換基を有していても良い。置換基の例としては、ハロゲン原子(例えば塩素原子、臭素原子、フッ素原子、等)、炭素数1〜6個のアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、等)、炭素数1〜6個のアルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、iso−プロポキシ基、n−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、等)、アシル基(例えばアセチル基、プロピオニル基、トリフルオロアセチル基、等)、アシルオキシ基(例えばアセトキシ基、プロピオニルオキシ基、トリフルオロアセトキシ基、等)、アルコキシカルボニル基(メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、tert−ブトキシカルボニル基、等)、等が挙げられる。置換基として好ましいのは、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基である。
の置換基とR505が結合して環を形成しても良い。
としては主鎖に酸素原子または硫黄原子を含んでも良い炭素数1〜8の2価の連結基または酸素原子が好ましく、主鎖に酸素原子または硫黄原子を含んでも良い炭素数1〜5の2価の連結基または酸素原子がより好ましい。
【0115】
以下に本実施形態で使用される2官能性オキセタン化合物の具体例を示す。ただし、本実施形態で使用される2官能性オキセタン化合物は以下の化合物に限定されない。また、下記式(60−1)〜(60−12)の化合物は上記式(60)の化合物に属しており、下記式(61−1)〜(61−12)の化合物は上記式(61)の化合物に属しており、下記式(62−1)〜(62−23)の化合物は上記式(62)の化合物に属しており、下記式(63−1)〜(63−31)の化合物は上記式(63)の化合物に属しており、下記式(64−1)〜(64−20)の化合物は上記式(64)の化合物に属している。
【0116】
【化20】
Figure 2004359715
【0117】
【化21】
Figure 2004359715
【0118】
【化22】
Figure 2004359715
【0119】
【化23】
Figure 2004359715
【0120】
【化24】
Figure 2004359715
【0121】
【化25】
Figure 2004359715
【0122】
【化26】
Figure 2004359715
【0123】
【化27】
Figure 2004359715
【0124】
【化28】
Figure 2004359715
【0125】
【化29】
Figure 2004359715
【0126】
【化30】
Figure 2004359715
【0127】
【化31】
Figure 2004359715
【0128】
本実施形態に使用される上記の2官能性オキセタン化合物は、以下の文献A〜Lに記載の方法に準じて合成することができる。
A:Hu Xianming,Richard M.Kellogg,Synthesis,533〜538,May(1995)
B:A.O.Fitton,J.Hill,D.Ejane,R.Miller,Synth.,12,1140(1987)
C:Toshiro Imai and Shinya Nishida,Can.J.Chem.Vol.59,2503〜2509(1981)
D:Nobujiro Shimizu,Shintaro Yamaokaand Yuho Tsuno,Bull.Chem.Soc.Jpn.,56,3853〜3854(1983)
E:Walter Fisher and Cyril A.Grob,Helv.Chim.Acta.,61,2336(1978)
F:Chem.Ber.101,1850(1968)
G:”Heterocyclic Compounds with Three− and Four−membered Rings”,Part Two,Chapter IX,Interscience Publishers,John Wiley & Sons,New York(1964)
H:Bull.Chem.Soc.Jpn.,61,1653(1988)
I:Pure Appl.Chem.,A29(10),915(1992)
J:Pure Appl.Chem.,A30(2&3),189(1993)
K:特開平6−16804号公報
L:ドイツ特許第1,021,858号
【0129】
さらに2官能性オキセタン化合物の一例としては、下記式(65)〜(71)で示される化合物が挙げられる。
【0130】
【化32】
Figure 2004359715
【0131】
式(65)中、mは2、3又は4を表し、Zはそれぞれ独立で、酸素又は硫黄原子、あるいは酸素又は硫黄原子を含有してもよい2価の炭化水素基を表し、Rは水素原子、フッ素原子、メチル基、エチル基、プロピル基又はブチル基等の炭素数1〜6個のアルキル基、フェニル基、炭素数1〜6個のフルオロアルキル基、アリル基、アリール基又はフリル基を表し、Rは、例えば下記式(66)で示される炭素数1〜12の線形又は分枝アルキレン基、線形或いは分枝ポリ(アルキレンオキシ)基、又は、下記式(67)、(68)及び(69)からなる群から選択される多価基を表す。
【0132】
【化33】
Figure 2004359715
【0133】
式(66)中、R10はメチル基、エチル基又はプロピル基等の低級アルキル基を表す。
【0134】
【化34】
Figure 2004359715
【0135】
式(67)中、nは0又は1〜2000の整数を表し、R11,R12 はメチル基、エチル基、プロピル基又はブチル基等の炭素数1〜10個のアルキル基及び下記式(70)から成る群から選択される基を表す。
【0136】
【化35】
Figure 2004359715
【0137】
式(70)中、jは0又は1〜100の整数を表し、R13は1〜10個の炭素原子を有するアルキルを表す。
【0138】
【化36】
Figure 2004359715
【0139】
式(68)中、R14は、水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基又はブチル基等の炭素数1〜10個のアルキル基、炭素数1〜10個のアルコキシ基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、メルカプト基、低級アルキルカルボキシレート基又はカルボキシル基を表す。
【0140】
【化37】
Figure 2004359715
【0141】
式(69)中、R15は酸素原子、硫黄原子、NH、SO、SO、CH、C(CH又はC(CFを表す。
【0142】
本実施形態で使用される2官能性オキセタン化合物の一例としては、上記式(65)において、Rが低級アルキル基(特にエチル基)であり、Rが式(68)中でR14が水素原子である基、ヘキサメチレン基、式(66)中でR10がエチル基であり、Zが酸素又は硫黄原子を含まない炭化水素基であり、R〜Rが同時に水素原子を表わさないものが好ましい。
【0143】
【化38】
Figure 2004359715
【0144】
式(71)中、rは25〜200の整数であり、R16は炭素数1〜4のアルキル基又はトリアルキルシリル基であり、R〜Rが同時に水素原子を表すことがない。
【0145】
[(G−2)添加剤−単官能性オキセタン化合物]
単官能性オキセタン化合物の一例としては、下記式(80)〜(84)で示される化合物が挙げられる。
【0146】
【化39】
Figure 2004359715
【0147】
式(80)〜(83)中、Zはそれぞれ独立で、酸素又は硫黄原子、あるいは主鎖に酸素又は硫黄原子を含有してもよい2価の炭化水素基、R〜Rは水素原子、フッ素原子、メチル基、エチル基、プロピル基又はブチル基等の炭素数1〜6個のアルキル基、炭素数1〜6個のフルオロアルキル基、アリル基、アリール基、フリル基又はチエニル基、R及びRは、メチル基、エチル基、プロピル基又はブチル基等の炭素数1〜6個のアルキル基、1−プロペニル基、2−プロペニル基、2−メチル−1−プロペニル基、2−メチル−2−プロペニル基、1−ブテニル基、2−ブテニル基又は3−ブテニル基等の炭素数1〜6個のアルケニル基、フェニル基、ベンジル基、フルオロベンジル基、メトキシベンジル基又はフェノキシエチル基等のアリール基、プロピルカルボニル基、ブチルカルボニル基又はペンチルカルボニル基等の炭素数1〜6個のアルキルカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基又はブトキシカルボニル基等の炭素数1〜6個のアルコキシカルボニル基、エトキシカルバモイル基、プロピルカルバモイル基又はブチルペンチルカルバモイル基等の炭素数1〜6個のアルコキシカルバモイル基を表す。式(80)及び(82)においてはR〜Rの少なくとも一つは水素原子ではない。
【0148】
本実施形態で使用される単官能性オキセタン化合物としては、式(80)〜(83)において、R、Rが低級アルキル基、特にメチル基であり、式(80)、(82)において、R〜Rのいずれか1つがアルコキシ基を持つフェニル基であり、式(81)、(83)において、R及びRがプロピル基、ブチル基、フェニル基又はベンジル基であり、Zが酸素又は硫黄原子を含まない炭化水素基であるものが好ましい。
【0149】
以下に本実施形態で使用される単官能性オキセタン化合物の具体例を示す。ただし、本実施形態で使用される単官能性オキセタン化合物は下記式(84)に示される化合物に限定されない。
【0150】
【化40】
Figure 2004359715
【0151】
次に、本実施形態に用いられる「記録媒体2」について説明する。
本実施形態に用いられる記録媒体2としては、インクに対して非吸収性の記録媒体であってもよいし、インクに対して吸収性の記録媒体であってもよい。ここでいう「非吸収性」とは、インク組成物を吸収しないという意味であるけれども、本実施形態においては、ブリストウ法におけるインクの転移量が0.1ml/mm未満である場合に実質的に0ml/mmであるような記録媒体を非吸収性の記録媒体といい、それ以外の記録媒体を吸収性の記録媒体という。
【0152】
非吸収性の記録媒体としては、例えば、通常の非コート紙、コート紙等の他、軟包装に用いられる各種樹脂製フィルムを適用することができる。樹脂製フィルムの具体的な樹脂の種類として、ポリエチレンテレフタレート,ポリエステル,ポリオレフィン,ポリアミド,ポリエステルアミド,ポリエーテル,ポリイミド,ポリアミドイミド,ポリスチレン,ポリカーボネート,ポリ−ρ−フェニレンスルフィド,ポリエーテルエステル,ポリ塩化ビニル,ポリ(メタ)アクリル酸エステル,ポリエチレン,ポリプロピレン,ナイロン等が適用可能であり、さらにはこれら樹脂の共重合体、これら樹脂の混合物、これら樹脂を架橋したもの等も適用可能である。そしてこれら非吸収性の記録媒体としては、表面エネルギーが35〜60mN/mの範囲に収まるものが好ましく、表面エネルギーが40〜60mN/mの範囲に収まるものがさらに好ましい。また吸収性の記録媒体としては、例えば、普通紙(コピー用紙),上質紙等が挙げられる。
【0153】
続いて画像記録装置としてのインクジェットプリンタ1を用いた「画像記録方法」について説明する。
インクジェットプリンタ1の記録動作中において、搬送機構が作動して記録媒体2がプラテン3に支持されながら図1の紙面の裏側から表側に搬送される。これに伴いキャリッジ5が作動して記録媒体2の直上を左右方向に往復移動し、記録ヘッド6と2つの紫外線照射機構10,11とがキャリッジ5の往復移動に追従する。
【0154】
そうしてキャリッジ5の移動中において、記録ヘッド6がインクを1滴当たり1〜10plのインク滴として記録媒体2に向かって吐出し、記録ヘッド6から吐出されたインクが記録媒体2に着弾して記録媒体2上にドットを形成する。
【0155】
このとき記録ヘッド6のインクの吐出面8はヒータ9により加熱されて40〜80℃に保持されており、記録媒体2はプラテン3を介してヒータ4により加熱されて記録ヘッド6の吐出面8と同じ温度か又はそれよりも低い温度に保持されており、さらには記録ヘッド6の吐出面8と記録媒体2との温度差が40℃以下に保持されている。
【0156】
またキャリッジ5の移動中において、各紫外線照射機構10,11の紫外線光源12,13が点灯して各紫外線照射機構10,11から記録媒体2に紫外線を照射し、記録媒体2に着弾した直後のインクに紫外線が照射される。
【0157】
詳しくはキャリッジ5が左方から右方に移動しているとき記録媒体2に着弾したインクには紫外線照射機構10から紫外線が照射され、逆にキャリッジ5が右方から左方に移動しているとき記録媒体2に着弾したインクには紫外線照射機構11から紫外線が照射される。また記録媒体2に着弾したインクの各ドットに紫外線が照射される時間は0.05〜10秒となっている。このように記録媒体2に着弾したインクに紫外線が照射されることで、インクが記録媒体2上で即座に硬化して記録媒体2の記録面上に定着する。
【0158】
以降、インクジェットプリンタ1が上記の各動作を繰り返し、無数のドットからなる所望の画像が記録媒体2に順次記録される。
【0159】
以上の本実施形態では、オキセタン環の2位に置換基が結合した2官能性又は単官能性オキセタン化合物が添加剤としてインク中に含有されているため、高湿環境下でインクの感度が低下するのを防止することができる。つまり、本実施形態に用いられるインクは高湿環境下では感度が低下しないため、標準に近い照度の紫外線で充分に硬化するようになっている。したがってこの光硬化型インクが画像の記録用のインクとして使用されたインクジェットプリンタ1では、過剰な照度の紫外線を紫外線照射機構10,11からインクに照射しなくてもよいから記録ヘッド6でのインクの目詰まりを回避することができ、また逆に紫外線の照度が足りないという理由で記録物の保存性に支障をきたしたり、記録物の画像の劣化を招いたりすることも防止することができる。
【0160】
その上、本実施形態のインクジェットプリンタ1又は画像記録方法では、ヒータ9により記録ヘッド6の吐出面が40〜80℃に保持され、ヒータ4により記録媒体2が記録ヘッド6の吐出面と同じか又はそれよりも低い温度に保持され、記録ヘッド6の吐出面と記録媒体2との温度差が40℃以下に保持されるため、湿度の上昇を抑えた状態で画像の記録動作をおこなうことができ、インクの感度が低下するのを確実に防止することができる。また紫外線光源12,13からインクに照射される紫外線は、220〜280nmの放射スペクトルの強度が280〜400nmの放射スペクトルの強度の1/3以上であるため、インクに照射される紫外線のなかに光エネルギーの大きい短波長領域の紫外線が多く含まれ、紫外線の照射時間を短く抑えることができ、ひいては記録ヘッドでのインクの目詰まりを確実に防止することができる。さらに紫外線光源12,13からインクに照射される紫外線の照射時間が0.05〜10秒であるため、記録媒体2に着弾したインクを確実に硬化させることができ、記録物の保存性に支障をきたしたり、記録物の画像の劣化を招いたりすることを確実に防止することができる。
【0161】
【実施例】
本実施例では、上記実施形態で示したインクジェットプリンタ1と同様のインクジェットプリンタを用いて、上記実施形態で示した画像記録方法に従いながら文字、画像などを記録媒体に記録した。そして高湿環境下(温度30℃,湿度80%)での各種条件下において、互いに組成の異なる11種類のインクで記録媒体に文字、画像などを記録したときの(1)文字の品質、(2)記録ヘッドでのインクの目詰まり及び(3)記録物の保存性(ブロッキング)をそれぞれ評価した。各種インクの組成、実験条件及び実験結果を表1にそれぞれ示した。
【0162】
なお、実験1〜8の各実験ではインク中に添加剤(上記実施形態の(G−1)又は(G−2)に記載のオキセタン化合物)が含有されており、比較1〜3の各実験ではインク中にその添加剤が含有されていない。また実験1〜8及び比較1,2の各実験では、紫外線光源として低圧水銀ランプ(商品名GL−200(ニッポ電機株式会社名))を適用し、比較3の実験では、紫外線光源として高圧ランプ(商品名Vzero(インテグレーションテクノロジー社製))を適用した。さらに実験1〜8及び比較1〜3の各実験では、記録媒体としてA4サイズ,厚さ75μmのPET(ポリエチレンテレフタレート)フィルムを用いた。
【0163】
【表1】
Figure 2004359715
【0164】
[インクの組成]
表1中、「添加剤(a)〜(g)」は下記式(a)〜(g)に対応している。ただし、各添加剤(a)〜(g)はすべてモノマーであって、添加剤(a)は上記式(60)に属する2官能性オキセタン化合物であり、添加剤(b)は上記式(61)に属する2官能性オキセタン化合物であり、添加剤(c)は上記式(62)に属する2官能性オキセタン化合物であり、添加剤(d)及び(e)は上記式(63)に属する2官能性オキセタン化合物であり、添加剤(f)は上記式(64)に属する2官能性オキセタン化合物であり、添加剤(g)は2官能性オキセタン化合物であり、添加剤(h)は単官能性オキセタン化合物である。
【0165】
【化41】
Figure 2004359715
【0166】
表1中、「モノマー(v)〜(z)」はすべてカチオン重合性化合物であって、下記式(v)〜(z)に対応している。モノマー(v)はオキセタン化合物(商品名OXT−221(東亞合成株式会社製))であり、モノマー(w)はエポキシ化合物(商品名Cel2021P(ダイセル化学工業株式会社製))であり、モノマー(x)はエポキシ化合物(商品名Cel3000(ダイセル化学工業株式会社製))であり、モノマー(y)はエポキシ化合物(商品名E−4030(新日本理化株式会社製))であり、モノマー(z)はビニルエーテル化合物(商品名DVE−3(株式会社クラレ製))である。
【0167】
【化42】
Figure 2004359715
【0168】
表1中、「光開始剤」はトリアリルスルホニウム塩(UVI−6992(ダウケミカル株式会社製))であり、「着色剤」は顔料(イエロー,CI pigment Yellow−13;マゼンタ,CI pigment Red−57:1;シアン,CI pigment Blue−15:3;ブラック,CI pigment Black−7)である。
【0169】
[実験条件]
表1中、「記録ヘッドの温度(℃)」は記録ヘッドのインクの吐出面の温度を表し、「記録媒体の温度(℃)」は記録媒体の記録面の温度を表し、「温度差(℃)」は記録ヘッドのインクの吐出面と記録媒体の記録面との温度差を表し、「照射時間(秒)」は記録媒体に着弾したインクに紫外線を照射した時間を表し、「照射距離(mm)」は紫外線光源から記録媒体までの距離を表す。
【0170】
[実験結果]
表1中、(1)文字品質評価、(2)目詰まり評価及び(3)記録物の保存性評価は以下の方法によりおこない、その評価の判定基準は以下の通りである。
【0171】
[(1)文字品質評価]
イエロー,マゼンタ,シアン,ブラックの各顔料を添加したインク組成物で記録媒体に文字(6ポイントのMS明朝体文字)を記録し、その文字のガサツキをルーペで拡大しながら目視により観察した。表1中の◎,○,△,×の判定は下記の基準にしたがった。
◎:ガサツキはない
○:わずかなガサツキが認められる
△:ガサツキは認められるが文字として認識できる
×:ガサツキが激しくて文字がかすれている
【0172】
[(2)目詰まり評価]
記録ヘッドで1000m相当の画像を記録媒体に記録した後に、記録ヘッドに配設された512個のノズルについてインクの目詰まりの有無を目視により観察した。表1中の1〜5の判定は下記の基準にしたがった。
5:ほぼすべてのノズルに目詰まりがない
4:1%未満のノズルに目詰まりが認められる
3:1〜2%未満のノズルに目詰まりが認められる
2:2〜5%未満のノズルに目詰まりが認められる
1:5%以上のノズルに目詰まりが認められる
(3〜5の判定であれば実用性のあるレベルと判断し、1,2の判定であれば実用性のないレベルと判断した。)
【0173】
[(3)記録物の保存性評価]
高湿環境下(温度30℃,湿度80%)で100枚の記録媒体に画像をそれぞれ記録し、記録時と同じ環境(温度30℃,湿度80%)でそれら100枚の記録物を重ねて保存したときの各記録物の保存性(インクの保存状態)を評価した。表1中の1〜5の判定は下記の基準にしたがった。
5:各記録物にはベタツキはなく、他の記録物からの転写もない
4:各記録物にはわずかなベタツキはあるが、他の記録物からの転写はない
3:各記録物にはベタツキが少しあり、他の記録物からの転写もわずかにある
2:各記録物にはベタツキがあり、他の記録物からの転写もある
1:各記録物にはベタツキが非常にあり、他の記録物からの転写も非常にあり、各記録物を他の記録物から剥がすのが困難である
(3〜5の判定であれば実用性のあるレベルと判断し、1,2の判定であれば実用性のないレベルと判断した。)
【0174】
以上、実験1〜8と比較1〜3との各実験から、添加剤(a)〜(h)を含有したインクと添加剤(a)〜(h)を含有しないインクとでは、文字の品質、記録ヘッドでのインクの目詰まり及び記録物の保存性の各評価に顕著な差があらわれた。つまり添加剤(a)〜(h)を含有したインクでは、文字の品質、記録ヘッドでのインクの目詰まり及び記録物の保存性のすべてにおいて最良又は良好の結果を得られたけれども、添加剤(a)〜(h)を含有しないインクではそのような結果は得られなかった。これにより、オキセタン環の2位に置換基が結合した単官能性又は2官能性オキセタン化合物がインク中に含有されると、文字の品質及び記録物の保存性が著しく向上し、記録ヘッドでのインクの目詰まりもほとんど防止できることがわかった。
【0175】
また実験1〜8のなかでも実験4,5の各実験から、上記式(63)の添加剤に属する添加剤(d),(e)を含有したインクでは、文字の品質、記録ヘッドでのインクの目詰まり及び記録物の保存性のすべてにわたって最良の結果を得られた。これにより、オキセタン環の2位に置換基が結合した単官能性又は2官能性オキセタン化合物のなかでも上記式(63)に属する2官能性オキセタン化合物がインク中に含有されると、文字の品質及び記録物の保存性を最良の状態に向上させることができ、記録ヘッドでのインクの目詰まりもほとんど確実に防止できることがわかった。
【0176】
【発明の効果】
本発明によれば高湿環境下での感度の低下を防止することができる。つまり、本発明に係る光硬化型インクは高湿環境下では感度が低下しないため、標準に近い照度の紫外線で充分に硬化する。したがってこの光硬化型インクが画像の記録用のインクとして使用された場合、過剰な照度の紫外線をインクに照射しなくてもよいから記録ヘッドでのインクの目詰まりを回避することができ、また逆に紫外線の照度が足りないという理由で記録物の保存性に支障をきたしたり、記録物の画像の劣化を招いたりすることも防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】インクジェットプリンタを正面から見たインクジェットプリンタの断面図である。
【符号の説明】
1…インクジェットプリンタ(画像記録装置)
2…記録媒体
3…プラテン
4…ヒータ(記録媒体用ヒータ)
5…プラテン
6…記録ヘッド
7…ノズル
8…吐出面
9…ヒータ(記録ヘッド用ヒータ)
10,11…紫外線照射機構
12,13…紫外線光源
14,15…反射部材

Claims (10)

  1. カチオン重合系の光硬化型インクにおいて、
    オキセタン環の2位に置換基が結合したオキセタン化合物が含有されていることを特徴とする光硬化型インク。
  2. 請求項1に記載の光硬化型インクにおいて、
    前記オキセタン化合物は2官能性オキセタン化合物であることを特徴とする光硬化型インク。
  3. 請求項1又は2に記載の光硬化型インクを用いる画像記録装置において、
    前記光硬化型インクを所定の吐出面から記録媒体に吐出する記録ヘッドと、
    前記記録ヘッドの吐出面を加熱する記録ヘッド用ヒータと、
    記録媒体を加熱する記録媒体用ヒータと、
    記録媒体に着弾した前記光硬化型インクに紫外線を照射する紫外線光源と、
    を備え、
    前記記録ヘッドによる記録媒体への記録動作時には、前記記録用ヘッド用ヒータにより前記記録ヘッドの吐出面が40〜80℃に保持され、前記記録媒体用ヒータにより記録媒体が前記記録ヘッドの吐出面と同じか又はそれよりも低い温度に保持され、前記記録ヘッドの吐出面と記録媒体との温度差が40℃以下に保持されることを特徴とする画像記録装置。
  4. 請求項3に記載の画像記録装置において、
    前記紫外線光源から前記光硬化型インクに照射される紫外線は、220〜280nmの放射スペクトルの強度が280〜400nmの放射スペクトルの強度の1/3以上であることを特徴とする画像記録装置。
  5. 請求項3又は4に記載の画像記録装置において、
    前記紫外線光源から前記光硬化型インクに照射される紫外線の照射時間は0.05〜10秒であることを特徴とする画像記録装置。
  6. 請求項3〜5のいずれか一項に記載の画像記録装置において、
    前記記録ヘッドから記録媒体に吐出される前記光硬化型インクは1滴当たり1〜10plのインク滴であることを特徴とする画像記録装置。
  7. 請求項1又は2に記載の光硬化型インクを用いる画像記録方法において、
    前記光硬化型インクを吐出可能な記録ヘッドの所定の吐出面から記録媒体に前記光硬化型インクを吐出するインク吐出工程と、
    前記インク吐出工程の後に、記録媒体に着弾した前記光硬化型インクに紫外線を照射する紫外線照射工程と、
    を備え、
    前記インク吐出工程では、前記記録ヘッドの吐出面が40〜80℃に保持され、記録媒体が前記記録ヘッドの吐出面と同じか又はそれよりも低い温度に保持され、前記記録ヘッドの吐出面と記録媒体との温度差が40℃以下に保持されることを特徴とする画像記録方法。
  8. 請求項7に記載の画像記録方法において、
    前記紫外線照射工程で前記光硬化型インクに照射される紫外線は、220〜280nmの放射スペクトルの強度が280〜400nmの放射スペクトルの強度の1/3以上であることを特徴とする画像記録方法。
  9. 請求項7又は8に記載の画像記録方法において、
    前記紫外線照射工程で前記光硬化型インクに照射される紫外線の照射時間は0.05〜10秒であることを特徴とする画像記録方法。
  10. 請求項7〜9のいずれか一項に記載の画像記録方法において、
    前記インク吐出工程で前記記録ヘッドから吐出される前記光硬化型インクは、1滴当たり1〜10plのインク滴であることを特徴とする画像記録方法。
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