JP2005194515A - 芳香族基含有熱可塑性樹脂組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】耐熱性・剛性・低温耐衝撃性・耐ガソリン透過性・耐油性等の物性がバランス良く改善された含芳香族基含有ナイロン及びポリフェニレンスルフィド樹脂組成物を提供すること。
【解決手段】(a)下記(a−1)〜(a−6)から選ばれる少なくとも1種からなる熱可塑性樹脂60〜95重量部と、
(a−1)MXD6ナイロン
(a−2)MXDTナイロン
(a−3)6T/66ナイロン
(a−4)6T/6Iナイロン
(a−5)ポリフェニレンスルフィド
(a−6)6Tナイロン
(b)結晶融解エンタルピー(ΔHm)が7.5J/g以上、結晶融点(Mp)が80℃以上、−50℃における捻り貯蔵弾性率(G’)が100MPa未満であって数平均分子量が2万〜100万の変性熱可塑性エラストマー5〜40重量部とを、含有することを特徴とする熱可塑性樹脂組成物。
【選択図】 図1

Description

本発明は芳香族基含有エンジニアリングプラスチックと特定構造・物理的性質を有する変性熱可塑性エラストマーからなる熱可塑性組成物で、耐熱性・剛性・低温耐衝撃性・耐ガス透過性・耐油性等に優れた熱可塑性樹脂組成物である。
ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンの耐衝撃性改良剤として熱可塑性エラストマーが用いられている。この用途に適した熱可塑性エラストマーとして従来よりポリスチレン(A)とポリブタジエン(B)からなる一般式A−B−A、B−A−Bまたは(A−B)nX(但し、Xはカップリング剤残基)で表されるブロック共重合体が知られている。そしてこれらの熱可塑性エラストマーの耐熱老化性、耐候性を改良するためにポリブタジエン部分の1,2−結合量30〜50%に調製したポリブタジエンとポリスチレンからなるブロック共重合体を水素化したブロック共重合体が知られているが、熱可塑性エラストマーのガラス転移点温度が高くなるため、ポリプロピレン樹脂、ポリスチレン樹脂などの改質剤に用いると低温耐衝撃性が低下する。また、1,4−結合量の多いブロック共重合体も熱可塑性エラストマーとしての力学特性を示すことが知られている。しかしこれはα−オレフィン系樹脂の改質剤に用いた場合、塗装性の点で劣る。また結晶ブロックを有するため特に低温耐衝撃性に劣る。
また、特許文献1にはポリスチレン(A)と1,2−結合量30〜70%のポリブタジエン(B)と1,2−結合量の30%未満のポリブタジエンブロック(C)からなる一般式A−B−C、(A−B−C)nX(但し、Xはカップリング剤残基)で表されるブロック共重合体を水素添加してなる水素化ブロック共重合体が開示されている。しかしながら、これらの水素化ブロック共重合体は低温耐衝撃性と耐油性・流動性のバランスに劣り、またハードセグメントの耐熱性に劣る場合もある。
また、1,2−結合量の30〜70%のポリブタジエン(B)と1,2−結合量30%未満のポリブタジエンブロック(C)を水素化してなるC−B−Cもしくは(C−B)nX(但し、Xはカップリング剤残基)も開示されているが、必ずしも低温耐衝撃性と流動性のバランス、生産性が良好ではない。
エンジニアリングプラスチックの耐衝撃改質剤としてマレイン酸変性のEPM,EPDM等の変性オレフィンエラストマーや、α,β−不飽和カルボン酸の無水物で変性したSEBS(水素化スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体)、或いは変性水素化C−B−C(特許文献2),変性水素化C−B−S(特許文献1)が既に知られている。これらはエンジニアリングプラスチック、特にナイロンやポリエステルの改質剤として開示されている。
そして、特許文献2には変性水素化C−B−Cをナイロン6、66、46、12の改質に使える例示があるが、芳香族基を含むナイロンについては開示も示唆も見られなかった。
近年、剛性と低温耐衝撃性のバランスのみならず、耐熱性や耐ガス透過性、耐油性等の要求特性が厳しくなり、母材のエンジニアリングプラスチックに芳香環を含む樹脂、例えばMXD6ナイロンやMXDTナイロン、ポリフェニレンスルフィドが利用されるようになってきた。
しかしながら、これらの熱可塑性エンジニアリングプラスチックの耐熱性・剛性・低温耐衝撃性・耐ガス透過性・耐油性等の物性をバランスして改善する改質剤は存在しなかったのが現状である。
さらに、特許文献3には芳香族ジアミンおよび脂肪族ジアミンと芳香族ジカルボン酸お
よび脂肪族ジカルボン酸からなる芳香族ポリアミドと変性ポリオレフィンからなる樹脂組成物が開示されている。変性ポリオレフィンとして変性したポリエチレン、エチレン・プロピレン共重合体、エチレン・1−ブテン共重合体、エチレン・1−オクテン共重合体等が開示されているが、本発明の具体的な変性ポリオレフィンの物理的性質についての記載は見られない。
特許文献4にはメタキシリレンジアミンを含むジアミンと脂肪族ジカルボン酸からなるポリアミド樹脂及び酸変性されたエラストマー組成物からなる燃料タンクが開示されている。変性エラストマー成分として変性のポリオレフィン、ポリオレフィン系エラストマー、SEBSが開示されているが、本発明の水素添加ブロック共重合体を含むこれら変性熱可塑性エラストマーの具体的構造・物理的性質についての記載は見られない。
したがってこれらの芳香族基含有ポリアミド及びポリフェニレンスルフィドの耐熱性・剛性・低温耐衝撃性・耐ガス透過性・耐油性等の物性をバランス良く改質する改質剤は存在しなかった。
特開平02−133406号公報 特開平03−74409号公報 特開平2001−2918号公報 特開平06−47848号公報
MXD6ナイロンやMXDTナイロン、ポリフェニレンスルフィド等の熱可塑性エンジニアリングプラスチックの耐熱性・剛性・低温耐衝撃性・耐ガス(耐ガソリン)透過性・耐油性等の物性をバランス良く改善することである。
本発明者らは、上述の課題を解決するため、鋭意研究した結果、芳香族基を含むナイロンやポリフェニレンスルフィド等の熱可塑性エンジニアリングプラスチックと特定構造・物理的性質を有する変性熱可塑性エラストマーからなる熱可塑性樹脂組成物が、耐熱性・剛性・低温衝撃性・耐ガソリン透過性・耐油性等の物性バランスに優れ、しかも加工性にも優れることを見出し、本発明の目的に達することを見出した。
すなわち本発明は、
(1)(a)下記(a−1)〜(a−6)から選ばれる少なくとも1種からなる熱可塑性樹脂60〜95重量部と、
(a−1)MXD6ナイロン
(a−2)MXDTナイロン
(a−3)6T/66ナイロン
(a−4)6T/6Iナイロン
(a−5)ポリフェニレンスルフィド
(a−6)6Tナイロン
(b)結晶融解エンタルピーが7.5J/g以上、結晶融点が80℃以上、−50℃における捻り貯蔵弾性率(G’)が100MPa未満であってポリスチレン換算数平均分子量が2万〜100万の変性熱可塑性エラストマー5〜40重量部とを、含有することを特徴とする熱可塑性樹脂組成物を提供するものである。
また、本発明の好ましい実施態様として
(2)上記変性熱可塑性エラストマー(b)の捻り貯蔵弾性率(G’)が80MPa未満であることを特徴とする第(1)項記載の熱可塑性樹脂組成物。
(3)上記変性熱可塑性エラストマー(b)が変性オレフィン系熱可塑性エラストマーであることを特徴とする第(1)又は(2)項記載の熱可塑性樹脂組成物。
(4)上記変性熱可塑性エラストマー(b)が変性水素化ブロック共重合体であることを特徴とする第(1)又は(2)項記載の熱可塑性樹脂組成物。
(5)上記変性熱可塑性エラストマー(b)が少なくとも1つの重合体Bブロックと少なくとも1つの重合体Cブロック(但し、Bは1 ,2−ビニル結合量が40〜60%の共役ジエン重合体ブロック又はビニル芳香族化合物と共役ジエンとの共重合体ブロック、Cは1,2−ビニル結合量が30%未満のポリブタジエン重合体ブロックである)の共重合体ブロックからなり、該共重合体ブロック中のオレフィン性不飽和二重結合の70%以上が水素添加されていることを特徴とする第(1)、(2)、(4)のいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂組成物。
(6)上記変性熱可塑性エラストマー(b)が少なくとも1つの重合体Aブロックと少なくとも1つの重合体Bブロックと少なくとも1つの重合体Cブロック(但し、Aブロックはビニル芳香族炭化水素及び/または1,3−シクロヘキサジエンを主体とする重合体ブロック、Bは1 ,2−ビニル結合量が40〜60%の共役ジエン重合体ブロック又はビニル芳香族化合物と共役ジエンとの共重合体ブロック、Cは1,2−ビニル結合量が30%未満のポリブタジエン重合体ブロックである)の共重合体ブロックからなり、該共重合体ブロック中のオレフィン性不飽和二重結合の70%以上が水素添加されていることを特徴とする第(1)、(2)、(4)のいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂組成物。
(7)上記変性熱可塑性エラストマー(b)がアクリル酸、メタアクリル酸、アクリル酸誘導体、メタアクリル酸誘導体、オキサゾリン、α、β−不飽和カルボン酸の無水物から選ばれる少なくとも一種の化合物で変性されてなる変性熱可塑性エラストマーであることを特徴とする第(1)〜(6)のいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂組成物。
(8)第(1)〜(7)のいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂組成物からなるガソリンタンク用熱可塑性樹脂組成物。
本発明は、耐熱性・剛性・低温耐衝撃性・耐ガソリン透過性・耐油性等の物性バランスに優れ、しかも加工性にも優れるMXD6ナイロンやMXDTナイロン、ポリフェニレンスルフィド等の熱可塑性エンジニアリングプラスチック樹脂組成物を提供することができる。
本発明の(a)成分の熱可塑性樹脂はMXD6ナイロン、MXDTナイロン、6T/66ナイロン、6T/6Iナイロン、ポリフェニレンスルフィドの芳香基含有熱可塑性エンジニアリングプラスチックである。
MXD6ナイロンはメタキシリレンジアミンとアジピン酸を主体とするモノマーを縮合重合することで得られる結晶性ナイロンである。MXDTナイロンはメタキシリレンジアミンとテレフタル酸を主体とするモノマーを縮合重合することで得られる結晶性ナイロンである。特にガスバリア性を持たせるためにはアミン成分としてメタキシリレンジアミンを50〜100モル%含むのが好ましい。他のジアミンとしては、パラキシリレンジアミン、オルトキシリレンジアミン、エチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、ウンデカメチレンレンジアミン、ドデカメチレンジアミン等が例示されるが、これらに限定されるものではない。また、酸成分としてはアジピン酸、セバシン酸等の脂肪族ジカルボン酸が使用される。
また、6T/66ナイロンはヘキサメチレンジアミンとテレフタル酸、アジピン酸からなる半芳香族ナイロンである。また、6T/6Iナイロンはヘキサメチレンジアミンとテレフタル酸、イソフタル酸からなる半芳香族ナイロンである。これらは前記のジアミンやジカルボン酸を共重合させていても構わない。
また、これらの芳香族ナイロン樹脂にカプロラクタム、6−アミノカプロン酸、エナントラクタム、ピロリドン等を共重合したり、これらの樹脂をブレンドすることが出来る。これら芳香族ナイロン樹脂の分子量は2万以上が好ましく、3万以上が特に好ましい。固
相重合や鎖延長剤により分子量を増大したものも利用できる。さらに必要に応じて末端封止剤を加えても良い。これら末端封止剤としては酢酸、カプロン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、ペラルゴン酸、ステアリン酸、ラウリン酸、安息香酸、無水マレイン酸、無水コハク酸、無水フタル酸、ヘキサヒドロキシ無水フタル酸などを上げることが出来る。さらにこれら芳香族ナイロン樹脂に熱安定剤、着色剤、耐候剤、帯電防止剤、鎖延長剤などを配合しても良い。
ポリフェニレンスルフィド(PPS)はフェニル基と硫黄がパラ位置で結合された化学構造を有する結晶性熱可塑性樹脂である。その化学構造から優れた耐熱性、耐薬品性、機械特性をもち、樹脂自体が難燃性を有し、耐熱性、耐薬品性においては、熱可塑性樹脂の中では最高レベルにある。PPSの原料ポリマーは架橋型、半架橋型、直鎖型いずれでも構わないが、流動性の面で直鎖型が好ましい。
本発明の(b)成分を構成する変性熱可塑性エラストマーの結晶融解エンタルピー(ΔHm)は、熱可塑性樹脂の耐油性・耐ガス透過性・耐有機溶剤性を考慮すると7.5J/g以上必要である。そして、その上限は35J/gである。より好ましくは8J/g以上、さらに好ましくは10J/g以上である。
また、本発明の(b)成分を構成する変性熱可塑性エラストマーの結晶融点(Mp)は60℃前後での耐油性・耐ガス透過性を考慮すると80℃以上必要である。より好ましい結晶融点は90℃以上である。そして、その上限は135℃である。
上記結晶融点及び結晶融解エンタルピーはDSC法で測定される(変性熱可塑性エラストマーのペレットもしくはクラム、もしくはベールの小片をそのまま熱処理をしないでDSCで10℃/分の昇温速度にて−50℃〜150℃まで測定)。結晶融点はDSC融点の吸熱ピーク温度で求めた。また、結晶融解エンタルピーは吸熱ピークの面積から求めた。
本発明の(b)成分を構成する変性熱可塑性エラストマーの−50℃における捻り貯蔵弾性率(G’)は自動車材料に要求される−40℃での低温耐衝撃性を発現させる意味で100MPa未満であることが必要である。より好ましい捻り貯蔵弾性率(G’)は80MPa未満であり、60MPa未満が特に好ましい。そして、その下限は5MPaである。G’は固体粘弾性測定測定装置を用いて6.28rad/secの歪速度で−100℃〜室温まで測定する(詳細は実施例参照)ことで求めることが出来る。
本発明の(b)成分を構成する変性熱可塑性エラストマーの数平均分子量は2万〜100万である。生産性も考えると3万〜50万が好ましく、5万〜25万が特に好ましい。これらの数平均分子量はゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により、ポリスチレン換算分子量にて表される。
本発明の(b)成分に利用される変性熱可塑性エラストマーとして変性オレフィン系熱可塑性エラストマーが挙げられる。この変性前のオレフィン系熱可塑性エラストマーとして、エチレンプロピレン共重合体、エチレン・ブテン−1共重合体、エチレン・4−メチル−1−ペンテン共重合体、エチレン・ヘキセン−1共重合体、エチレン・オクテン−1共重合体、エチレン・デセン−1共重合体、エチレン・ドデセン−1共重合体、プロピレン・ブテン−1、プロピレン・4−メチル−1−ペンテン共重合体、プロピレン・ヘキセン−1共重合体、プロピレン・オクテン−1共重合体、プロピレン・デセン−1共重合体、プロピレン・ドデセン−1共重合体、エチレン・プロピレン・1,4−ヘキサジエン共重合体、エチレン・プロピレン・ジシクロペンタジエン共重合体、エチレン・ブテン−1・1,4−ヘキサジエン共重合体、エチレン・ブテン−1・5−エチリデン−2−ノルボルネン共重合体を挙げることが出来る。これらのオレフィン系熱可塑性エラストマーも結晶融解エンタルピー(ΔHm)が7.5J/g以上、結晶融点(Mp)が80℃以上、−50℃における捻り貯蔵弾性率(G’)が100MPa未満であって数平均分子量が2万〜100万、好ましくは3万〜50万、更に好ましくは5万〜25万である。これらを達
成するためには結晶成分とガラス転移温度を下げるためのコモノマー導入比率をバランスさせることが必要である。具体的にはブロックコポリマーが挙げられる。ブロックコポリマーの製法は特に限定されないが、通常のオレフィンブロックコポリマー製法で好適に行われる、二機重合が挙げられる。すなわち、一機目でホモ重合を行い、二機目で共重合を連続的に行う。オレフィン系熱可塑性エラストマーでいうブロックコポリマーとはリビングアニオン重合でいうブロックポリマーとは異なり、ホモポリマーも生成するので、正確にはホモポリマーとブロックポリマーの組成物である。例えば一機目でエチレンのホモ重合を行い、二機目でエチレンとプロピレンのランダム共重合を行う場合、ポリエチレン−ポリ(エチレン・プロピレン)とポリエチレンとポリ(エチレン・プロピレン)との組成物となるが、これをブロックコポリマー、オレフィン系熱可塑性エラストマーと呼ぶ。
また、本発明の(b)成分を構成する変性熱可塑性エラストマーとして、少なくとも1つの重合体B、Cブロック(但し、Bは1,2−ビニル結合量が40〜60%の共役ジエン重合体ブロック又はビニル芳香族化合物と共役ジエンとの共重合体ブロック、Cは1,2−ビニル結合量が30%未満のポリブタジエン重合体ブロックである)からなり、該重合体ブロック中のオレフィン性不飽和二重結合の70%以上が水素添加されていることを特徴とする水素化ブロック共重合体が挙げられる。B、Cブロックが必須であるが、ポリスチレン、ポリフェニレンエーテル等とのブレンドや積層体を考えた場合は、Aブロック成分としてビニル芳香族化合物を主体とするブロックの導入を行っても良い。成形性の改良やペレットとして生産できることを考慮すればAブロック成分の導入が好ましい。
変性水素化ブロック共重合体の変性、水素化する前の共役ジエン重合体ブロックB及びCの1,2−結合量は、1,4−結合量(シス及びトランス)と1,2−結合量の合計量に対する1,2−結合量をいう。水素化する前のブロック共重合体は少なくとも1つの上記B、Cの重合体ブロックを必須成分として含むものであり、最も簡単なブロック共重合体はC−B、C−B−Cである。また重合体ブロックAも有する場合は、最も簡単なブロック共重合体はA−B−Cの構造を有するものであるが、この基本骨格に加えて上記3種の重合体ブロックの全部または一部が1個規則的または不規則に配列したブロック共重合体でも良い。
また水素化前のブロック共重合体は上記のブロック共重合体がカップリング剤残基を介して他の1〜9個の重合体ブロックと結合し、重合体分子鎖が延長または分岐されたものであっても良い。結合する相手の重合体ブロックは前記A、BまたはCのうち少なくとも1つの重合体ブロックからなるものであり、中でもA,B,Cからなるブロック共重合体同士がカップリング剤残基を介して結合したもの、例えば(C−B−A)nX(但し、nは2〜10の整数、Xはカップリング剤残基である)の構造を有するものは後述するように、ブロック共重合を行なった後に、アジピン酸ジエチル、ジビニルベンゼン、四塩化ケイ素、四塩化錫,ジメチルジクロロケイ素、1,2−ジブロモエタン、1,4−クロルメチルベンゼン、安息香酸エステルなどのカップリング剤を添加することによって容易に得られる。しかし、1つのブロック共重合体中にA,B,Cが含有されていれば他の重合体ブロックには3成分すべてを含む必要はなく、例えば(A−B−C)X(A−B)の如き構造のものでも良い。
本発明の(b)成分を構成する変性水素化ブロック共重合体の重合体ブロックAはスチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、p−メチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン等の芳香族ビニル化合物から選ばれた1種または2種以上の芳香族ビニル化合物の重合体及びまたは1,3−シクロヘキサジエンの重合体ブロックに10重量%以下の1,3−ブタジエンが共重合され、そのブロック中のオレフィン性不飽和二重結合のうち70%以上が水素化された重合体ブロックである。
重合体ブロックA中に占める芳香族ビニル化合物およびまたは1,3−シクロヘキサジエンの量はα−オレフィン系樹脂とのブレンドで、塗装性・耐熱性の発現もしくはエラス
トマー自身の生産時におけるペレット互着防止のために90重量%以上が望ましい。そして、その上限は100%である。
変性水素化ブロック共重合体中の重合体ブロックAの含量は0〜30重量%である。重合体ブロックAの含量は常温および低温の耐衝撃性、耐油性・耐ガソリン透過性の観点から30重量%以下が好ましい。また、重合体ブロックAの量が0の場合、全体の分子量と重合体ブロックCの含量にもよるがペレットの互着が生じ、取り扱いにくくなる場合があったり、エラストマー自身の機械物性が低下するため、接着剤やバインダーとして使うには不適である場合もあるが、耐衝撃性改良剤としては好適に使える。したがって重合体Aブロックの含量は3〜20重量%であることが好ましく、3〜15重量%以下がさらに好ましく、3〜9重量%以下が特に好ましい。
ブロックAを構成する1,3−シクロヘキサジエン単位は水素化されていてもされていなくてもブロック共重合体のミクロ相分離には影響を与えないので構わないが、ビニル芳香族化合物の芳香環の二重結合は水素化されているとミクロ相分離性に影響を与えるため、ビニル芳香族化合物における芳香環の二重結合の水素化率は50%以下、好ましくは25%以下であることが推奨される。ブロックAに1,3−シクロヘキサジエンを導入する場合には1,3−シクロヘキサジエンモノマーの添加前もしくは同時に極性化合物の添加が好ましい。このましい極性化合物としてテトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ビスオキソラニルプロパン、テトラメチルエチレンジアミン、トリエチルアミン等のアミン,エーテル化合物の添加が重合度を上げる意味で有用である。特に1,3−シクロヘキサジエンの導入は耐熱性、塗装性の改良に有効である。
本発明の(b)成分を構成する変性水素化ブロック共重合体の重合体ブロックBの含量は40〜95重量%、好ましくは70〜90重量%であり、水素化する前の重合体ブロックBの1,2−結合量は40〜60%である。
該1,2−結合量は、ガラス転移温度の上昇により−50℃での捻り貯蔵弾性率(G’)(以下、単にG’と表記することがある。)が100MPa 未満を達成できないので60%以下が、またポリエチレンの微結晶が生成による硬質化により−50℃でのG’が100MPa 未満を達成できなくなるのでポリエチレン結晶が生成し難い40%以上が必要である。重合体ブロックBがビニル芳香族化合物と共役ジエンとの共重合体ブロックである場合、該共重合体ブロックにおけるビニル芳香族化合物の含有量は20重量%以下、好ましくは10重量%以下、更に好ましくは5重量%以下である。そして、その下限は0重量%である。本発明において、特に好ましい重合体ブロックBは、上記の要件を満たすポリブタジエン重合体ブロックである。
共役ジエン中の不飽和二重結合のうち少なくとも70%以上、好ましくは80%以上、更に好ましくは90%以上が水素化された重合体ブロックである。重合体ブロックBがポリブタジエン重合体ブロックの場合、該重合体ブロックBは100%水素化されることでエチレン、1−ブテンがランダムに共重合された重合体になる。
本発明に利用される水添ブロック共重合体の重合体ブロックC中の水素化前のポリブタジエンの1,2−結合量が30%を越えると水素化されても結晶が生成しにくく、ブロックポリマーのハードセグメントとしての性質が失われる。また該水添ブロック共重合体の結晶融解エンタルピーの値が小さくなること、結晶融点が低下して80℃未満になることから、結晶化度及び融点が下がるので耐油性・耐ガス透過性に劣る。重合体ブロックCの好ましい1,2−ビニル結合量は25%以下、より好ましくは20%以下、特に好ましくは17%以下である。そして、その下限は8%である。
水素化前のブロック共重合体中の重合体ブロックCの含量は樹脂ブレンドの場合、界面接着強度・耐油性発現、エラストマー自身の機械強度、ペレットの互着・ブロッキング防止の理由で5重量%以上が必要である。また、特に低温耐衝撃強度発現のため、30重量%以下が好ましい。水素化前のブロック共重合体中の重合体ブロックCの好ましいい含量は7〜25重量%、更に好ましくは9〜23重量%である。
本発明の水素化ブロック共重合体の数平均分子量は2万〜100万である。生産性も考えると好ましい分子量は3万〜50万、特に好ましくは5万〜25万である。通常、分子量はゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により、ポリスチレン換算分子量で表される。
本発明に利用される水素化ブロック共重合体はオレフィン性不飽和二重結合が少なくとも70%以上、好ましくは80%以上、更に好ましくは90%以上水素化されていることが重要であり、70%未満では耐候性、耐熱老化性の点で不十分である。そして、その上限は100%である。本発明の水素化ブロック共重合体は共重合体ブロックA、共重合体ブロックCが樹脂拘束相となり、共重合体ブロックBがゴム相となるが、異種三型構造となるため、いわゆるループが存在せず、ブリッジのみとなるので従来のA−B−A等の同種三型構造とは異なる特性が期待できる。特に他の熱可塑性樹脂とのブレンドにより、耐油性・低温耐衝撃性・耐ガス透過性・接着性・流動性・低光沢性・塗装性等の優れた性質を発揮する。
本発明に使用される(b)変性水素化ブロック共重合体はBブロックとCブロックが必須であり、C−B−Cおよび/またはC−Bの構造が挙げられる。また、Aブロックがある場合はA−B−Cが挙げられる。これらA,B,Cブロック間にはそれぞれのブロックを構成するモノマーのテーパー部分やランダム部を有していても良いが、ミクロ相分離を発現させ、低温耐衝撃特性を発現させるには完全ブロックに近い構造ほど好ましい。
本発明で使用する(b)変性水素化ブロック共重合体を構成するブロックがA,B,Cの三種類からなる場合、重合体ブロックAと重合体ブロックCの合計の含量が10〜30重量%であることが特に低温耐衝撃性発現において好ましい。特に好ましくは10〜20重量%である。
また、本発明で使用する変性水素化ブロック共重合体を構成するブロックがB,Cの二種類からなる場合、重合体ブロックCの合計の含量は5〜30重量%であるが、特に低温耐衝撃性を発現させるには7〜20重量%が好ましい。
本発明の(b)成分を構成する変性熱可塑性エラストマーは二種類以上混ぜて用いても構わない。また、変性熱可塑性エラストマー製造時に変性されていない熱可塑性エラストマー成分も存在しえるが、これらの未変性部分が入っていても構わない。また、未変性熱可塑性エラストマーを変性熱可塑性エラストマーにブレンドして用いても構わない。好ましいブレンド比率は変性熱可塑性エラストマー100重量部に対して未変性熱可塑性エラストマー0〜50重量部である。変性・未変性に拘わらず、ブレンドして得られた熱可塑性エラストマーブレンドが、結晶融解エンタルピーが7.5J/g以上、結晶融点が80℃以上、−50℃における捻り貯蔵弾性率(G’)が100MPa未満であって数平均分子量が2万〜100万の変性熱可塑性エラストマーブレンドに相当すれば、これは本発明の範囲に含まれる。
本発明の組成物は通常の押出機によるブレンド条件では(b)変性熱可塑性エラストマーが分散相になる。本発明の(a)熱可塑性樹脂と(b)変性熱可塑性エラストマーは溶融ブレンドの過程で界面においてグラフトポリマーを形成し、これが相容化剤となって界面更新が進み、微細分散化する。また、界面でのグラフトポリマーが熱凝集を防ぐ働きを持つと考えられる。
該グラフトポリマー及び/または非グラフト(a)熱可塑性樹脂の一部は分散相である(b)変性熱可塑性エラストマー粒子中へ取り込まれる(オクルード)場合がある。このオクルードの様子は組成物の資料をSPM(走査型プローブ電子顕微鏡)で観測することにより、(b)変性熱可塑性エラストマー粒子中へオクルードした該グラフトポリマー及び/または非グラフト(a)熱可塑性樹脂を観測することが可能である。この(b)変性熱可塑性エラストマー粒子中へオクルードした(a)熱可塑性樹脂の熱可塑性エラストマーに対する面積比率(%)をSPM写真画像および画像解析から以下のように定義した。
面積比率(%)=〔オクルード樹脂粒子面積(黒)/(分散エラストマー粒子面積(白
)+オクルード樹脂粒子面積(黒))〕×100 ・・・(式1)
(b)変性熱可塑性エラストマーの分散粒子への(a)熱可塑性樹脂のオクルードの原因、またオクルード量が増えると低温耐衝撃強度が低下する原因は不明であるが、(b)変性熱可塑性エラストマーのスチレン含量が増えると芳香族基含有ナイロンやポリフェニレンスルフィドの分散エラストマー粒子中へのオクルードが増える傾向にあり、この面積比率が10%を超えると−40℃での耐衝撃強度が低下する場合がある。
本発明に利用される水素化ブロック共重合体は電線・アスファルト改質・ルーフィング・履物などに、単独または他のゴム成分とブレンドして用いることができる。特にSBS(スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体)とのブレンドでは低光沢・スナッピー性・耐磨耗性のバランスに優れ、靴底用途として好都合である。またアスファルト改質においても添加量が5%以下という少ない添加量でも優れた効果を示す。
また本発明に利用される変性水素化ブロック共重合体は水素化ブロック共重合体を無水マレイン酸、無水フマル酸、無水イタコン酸などのα、β−不飽和カルボン酸の酸無水物、アクリル酸、メタクリル酸、グルシジルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート等のアクリル酸もしくはメタクリル酸誘導体、アリルグリシジルエーテル、ビニルグリシジルエーテル等のエポキシ基を有する化合物、オキサゾリン等(以下、変性化合物という。)によってラジカル開始剤の存在下、主鎖および/または側鎖に付加させて得ることができる。また残存不飽和二重結合を利用しての過酸やガンマ線照射による二重結合のエポキシ化等の化学変性によって変性水素化ブロック共重合体を得ることもできる。さらに残存不飽和二重結合を利用しての無水マレイン酸等のエン付加も好適に利用できる。これら変性化合物の結合量は0.01〜10重量%、好ましくは0.05〜5重量%、さらに好ましくは0.1〜3重量%であることが推奨される。変性化合物の結合量は他の極性化合物との反応性や、極性基含有樹脂、金属等との接着性発現の理由で0.01重量%以上必要である。また、溶融粘度、変性時のゲル化等を考慮すると10重量%以下が好ましい。
このような変性もしくは未変性水素化ブロック共重合体は、ポリアミド、ポリエステル、ポリウレタン、ポリフェニレンエーテル、ポリアセタール、ポリカーボネート、ポリメタクリレート、ポリフェニレンスルフィドまたはアクリロニトリルスチレン共重合体などの熱可塑性樹脂との親和性に優れる。
これらの熱可塑性樹脂とは熱可塑性樹脂1〜99重量%と変性もしくは未変性水素化ブロック共重合体より選ばれる少なくとも1つの水素化ブロック共重合体1〜99重量%の熱可塑性樹脂組成物にすることができるが、特にこれら樹脂の耐低温衝撃性能を持たせるには熱可塑性樹脂60〜97重量%と変性もしくは未変性水素化ブロック共重合体3〜40重量%からなる熱可塑性樹脂組成物が好ましい。
使用されるポリアミドとしてはナイロン6、ナイロン66、ナイロン12、メタキシレンジアミンテレフタル酸共重合ナイロン(MXDT)、メタキシレンジアミンアジピン酸ナイロン(MXD6)、6T/66ナイロン、6T/6Iナイロン等の芳香族・半芳香族ナイロンが例示されるが、これら例示のみに限定されるものではない。またポリエステルとしてはポリエステル、リサイクルポリエステル、ポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート等の芳香族含有ポリエステルのほかに、ポリエーテルエステル(TPEE)やポリエステルエステル等の熱可塑性ポリエステルエラストマー、ポリ乳酸やアジピン酸及びまたはテレフタル酸と炭素数2〜20のジオールの共重合により作られる生分解性ポリエステルとして知られる脂肪族ポリエステル等が含まれる。
これらポリアミドやポリエステル/変性もしくは未変性水素化ブロック共重合体からなる組成物は自動車の内装・外装部品、積層フィルム、生分解性フィルム、家庭用電気機器、車両部品フィルム、車両部品等に用いることができる。
特にポリ乳酸に変性もしくは未変性水添ブロック共重合体を少量添加すると結晶化速度が速くなり、射出成形用途等にも好適に使うことができる。好ましい添加量は1〜20重
量%、特に好ましくは2〜10重量%である。
本発明の熱可塑性樹脂組成物の耐油性が良い理由はこれらエンジニアリングプラスチックの耐油性・耐ガス透過性・耐熱性が優れるのに加えて、変性剤である変性水素化ブロック共重合体自身の耐油性が良いためと考えられる。これは水素化ブロック共重合体のCブロックが結晶性を示すからであると考えられる。また、Cブロックの鎖長も重要である。好ましいCブロックの長さは数平均分子量(PS換算分子量)で5,000以上、より好ましくは7,500以上である。そして、その上限は20万である。好ましいCブロックの結晶融点は80℃以上、より好ましくは90℃以上である。そして、その上限は135℃である。この場合の融点はDSCによる融点のピーク温度で表される。
低温耐衝撃性で特定比率のAブロックの存在が特に効果的である理由は良く解っていないが、CブロックとBブロックのみでは溶融状態ではある程度の相容性があるためミクロ相分離が起こり難く、Aブロックの存在によってゴム成分のミクロ相分離が促進されるため、ゴム成分の比率が増加するためではないかと考えられる。このことはAブロックの存在によって粘弾性スペクトルでゴム相(Bブロック)のtanδのピークが高くなることから支持される。本発明の水素化ブロック共重合体のtanδのピークは好ましくは0.8以上、さらに好ましくは1.0以上である。そして、その上限は3.0である。tanδのピーク温度は好ましくは−40℃以下、さらに好ましくは−45℃以下、特に好ましくは−50℃以下である。そして、その下限は−70℃である。この場合のtanδの測定は、捻りモードの粘弾性スペクトル(周波数6.28rad/sec)で求める。
本発明に利用される水素化ブロック共重合体は炭化水素溶媒中で有機リチウムを開始剤として1,3−ブタジエンを重合し、次に極性化合物を1,2−結合量が所望の40〜60%になるように添加して1,2−結合量の異なる共役ジエン重合体ブロック又はビニル芳香族化合物と共役ジエンとの共重合体ブロックを重合してから,最後にビニル芳香族化合物及び/または1,3−シクロヘキサジエン、または場合によって1,3−ブタジエン,イソプレンを共重合することによって水素化前のブロック共重合体を得ることができる。さらにこれらの活性共重合体の末端にエチレンオキシド、ベンゾフェノン、炭酸ガス、ジアルキルアミノベンズアルデヒド、4,4’−ジアルキルアミノベンゾフェノン、N−メチルオキサゾリジノン、ジメチルイミダゾリジノン、トリレンジイソシアナート、ジフェニルメタンジイソシアナート、二硫化炭素、テトラアルコキシシラン、アルキルトリフェノキシシラン等の化合物で停止することにより、水酸基、カルボキシル基、−NR2基、−NHR基、−NCO基、−CSSH基、−Si(OR)n基、(R:アルキル基またはアリール基、n=1〜3の整数)などの官能基を導入することができる。これら末端官能基を含むブロック共重合体も本発明の変性ブロック共重合体に含む。
また、アジピン酸ジエチル、ジビニルベンゼン、四塩化ケイ素、四塩化錫、ジメチルジクロロケイ素、1,2−ジブロモエタン、1,4−クロロメチルベンゼン、安息香酸エステル等のカップリング剤を添加することで重合体の分子鎖延長または分岐されたブロック共重合体が得られる。このブロック共重合体を水素化することによって本発明に利用される水素化ブロック共重合体が得られる。重合に用いられる炭化水素溶剤はペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサン、メチルシクロペンタン、シクロペンタン、2−メチル・ブテン−1,2−メチル・ブテン−2等から1種または2種以上選んで用いられる。また、重合開始剤の有機アルカリもしくはアルカリ土類金属開始剤としてはn−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、tert−ブチルリチウム、プロピルリチウム、アミルリチウム、アミノリチウム、アルキルリチウム/アルキルマグネシウム、ブチルリチウム/バリウムノニルフェノキシド/トリアルキルアルミニウム/ジアルキルアミノエーテルのアルカリ金属塩またはモノアルキレングリコールのアルカリ金属塩等が使用される。更に、米国特許第5,708,092号明細書、英国特許第2,241,239号明細書、米国特許第5,527,753号明細書等に開示されている有機アルカリ金属
化合物も使用することができる。
ブロック共重合体の水素化は、ニッケル、パラジウム、白金、ロジウム、ルテニウム、レニウム等の金属をシリカアルミナ、カーボン等で担持した触媒や燐化合物を配位子とする0〜2価の錯体化合物、チタノセンジクロリド、チタノセンジフェニル、チタノセンジトリル、チタノセンジベンジル等のチタノセン化合物、ジルコノセンジクロリド、トリスアセチルアセトナート鉄、トリスアセチルアセトナートコバルト、トリスアセチルアセトナートニッケル、オクタン酸コバルト、ナフテン酸コバルト、ビスアセチルアセトナートニッケル、オクタン酸ニッケル、ナフテン酸ニッケル、等の遷移金属化合物と周期律表第1〜3族の有機リチウム、ポリマーリチウム、ジアルキルマグネシウム、グリニャール試薬、ジアルキル亜鉛、トリアルキルアルミニウム、ジアルキルアルミニウムクロリド、ジアルキルアルミニウムハイドライド等の有機金属化合物と組み合わせてなる触媒を用いて水素圧0.1〜10MPa、反応温度0〜150℃の範囲で行なわれる。
水素化されたブロック共重合体溶液からは触媒の残査等を除去し、フェノール系またはアミン系、燐系の安定剤を添加して重合体溶液から容易に単離することができる。重合体の単離は例えば重合体溶液にアセトン、アルコール等の貧溶媒を加えて沈殿させる方法、または熱水中に攪拌下投入して水蒸気蒸留にて溶媒を留去する方法などで行なうことができる。
本発明の(a)MXD6ナイロン、MXDTナイロン、6T/66ナイロン、6T/6Iナイロン、ポリフェニレンスルフィドから選ばれる少なくとも一種の熱可塑性樹脂60〜95重量部と(b)変性水素化ブロック共重合体5〜40重量部含んでなる熱可塑性樹脂組成物は、必要に応じてガラス繊維や炭酸カルシウム、タルク等の各種フィラー、熱安定剤、紫外線吸収剤等の添加剤を加えたり、他のエラストマーや他の熱可塑性樹脂と任意の割合でブレンドして使用され、特に低温耐衝撃性・耐ガソリン透過性・耐油性・耐熱性・流動性のバランスが取れて工業上極めて重要である。
以下実施例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明はその主旨を超えない限り、以下の実施例に制約されるものではない。
尚、以下の実施例において、ブロック共重合体の特性の測定は、次のようにして行った。
1.ブロック共重合体の構造解析
(1)スチレン含有量、紫外線分光光度計(UV計:日立UV200)を用いて、262nmの吸収強度より算出した。
(2)ビニル結合量、核磁気共鳴装置(NMR装置:BRUKER社製、DPX−400)を用いて測定した。
(3)分子量、ゲルパーミュエーションクロマトグラフィー(GPC装置:島津製作所社製LC10、カラム:島津製作所社製Shimpac GPC805+GPC804+GPC804+GPC803)で測定した。
溶媒にはテトラヒドロフランを用い、測定条件は、温度35℃で行った。分子量は、クロマトグラムのピークの分子量を、市販の標準ポリスチレンの測定から求めた検量線(標準ポリスチレンのピーク分子量を使用して作成)を使用して求めた数平均分子量である。
2.ブロック共重合体及びブロック共重合体組成物の物性
(1)MFR、JIS K7210に準拠し、温度230℃、荷重2.16Kgで測定した。
(2)ノッチ付きIzod衝撃強度、ASTM D−256に準拠し、−30℃、−40℃で測定した。
(3)融点及び結晶エンタルピー、DSC装置(DSC3200S:日本国マックサイエンス社製)を用いて室温から10℃/分の昇温で150まで測定した。
(4)捻り貯蔵弾性率(G’)、レオメトリックス社製、アレス粘弾性試験装置にて、捻り方式により、3%の歪、6.28rad/secの歪速度で−100℃〜室温まで測定
した。
(水素化ブロック共重合体Aの製造例1:A−B−C)
100リットルのオートクレーブにシクロヘキサン溶剤を23リットル投入し、温度を70℃に設定したのち、sec−BuLiをモノマーに対して0.07部添加した後、10重量部相当のブタジエン(シクロヘキサン混液)モノマーを投入し、同温で20分重合した。次いでTHFをLiに対して0.7倍モル添加し、85重量部相当のブタジエン(シクロヘキサン混液)モノマーを加えて70℃で一時間重合した後、5重量部相当のスチレン(シクロヘキサン混液)モノマーを加えて70℃で20分重合した。最後にメタノールを添加して重合を停止した。
重合時の途中サンプリングによる1H−NMR測定による1,2−結合量の測定から重合体ブロックC部分の1,2−結合量は11%、重合体ブロックB部分の1,2−結合量は48%であった。
上記で得られたブロック共重合体にシクロペンタジエニルチタニウムジクロリドをポリマー100重量部あたり、チタン量として50ppm添加し、トリエチルアルミニウムをTiに対して3倍モル添加した。水素圧1MPa、温度75℃で水添反応を一時間行い、異種三型の水素化ブロック共重合体を得た。
この水素化ブロック共重合体のブロックCの含量は10重量%、ブロックBの含量は85重量%、ブロックA(ポリスチレン)の含量は5重量%であった。
また、この水素化ブロック共重合体のポリスチレン換算の数平均分子量は180,000、MFR(230℃、2.16kg荷重)は1.8g/10分であり、また、DSC(10℃/分)による融点(ピーク温度)(Mp)は100℃、結晶融解エンタルピー(ΔHm)は11.0J/g、−50℃におけるG’は50MPaであった。
(水素化ブロック共重合体Bの製造例2:B−C)
製造例1において、85重量部相当のブタジエンを90重量部相当に変えて、さらに5重量部相当のスチレンモノマーを入れない以外は、製造例1と同様に行って水素化ブロック共重合体を得た。
重合時の途中サンプリングによる1H−NMR測定による1,2−結合量の測定から重合体ブロックC部分の1,2−結合量は12%、重合体ブロックB部分の1,2−結合量は49%であった。
また、この水素化ブロック共重合体のブロックCの含量は10重量%、ブロックBの含量は90重量%、ポリスチレン換算の数平均分子量は210,000、MFR(230℃、2.16kg荷重)は2.8g/10分であり、また、DSC(10℃/分)による融点(ピーク温度)(Mp)は95℃、結晶融解エンタルピー(ΔHm)は11.4J/g、−50℃におけるG’は40MPaであった。
(水素化ブロック共重合体Cの製造例3:C−B−C/C−B)
100リットルのオートクレーブにシクロヘキサン溶剤を23リットル投入し、温度を70℃に設定したのち、sec−BuLiをモノマーに対して0.14部添加した後、15重量部相当のブタジエン(シクロヘキサン混液)モノマーを投入し、同温で20分重合した。次いでTHFをLiに対して0.5倍モル添加し、85重量部相当のブタジエン(シクロヘキサン混液)モノマーを加えて70℃で一時間重合した後、安息香酸エチルをLiに対して1倍モル当量添加してカップリング反応を行った。また、製造例1同様に水素化反応を行った。
重合時の途中サンプリングによる1H−NMR測定による1,2−結合量の測定から重合体ブロックC部分の1,2−結合量は12%、重合体ブロックB部分の1,2−結合量は49%であり、また、重合体ブロックCの含量は15重量%、ブロックBの含量は90重量%、ポリスチレン換算の数平均分子量は186,000、MFR(230℃、2.16kg荷重)は3.5g/10分であり、また、DSC(10℃/分)による融点(ピーク温度)(Mp)は99℃、結晶融解エンタルピー(ΔHm)は12.1J/g、−50
℃でのG’は50MPaであった。
(水素化ブロック共重合体Dの比較製造例1:A−B−A)
製造例1で10重量部相当のスチレン(シクロヘキサン混液)モノマーを投入し、同温で20分重合した。次いでTHFをLiに対して0.7倍モル添加し、80重量部相当のブタジエン(シクロヘキサン混液)モノマーを加えて70℃で一時間重合した後、10重量部相当のスチレン(シクロヘキサン混液)モノマーを加えて70℃で20分重合した。最後にメタノールを添加して重合を停止した。
重合後のサンプリングによる1H−NMR測定による1,2−結合量の測定から重合体ブロックB部分の1,2−結合量は48%であった。また、製造例1同様に水素化反応を行った。この水素化ブロック共重合体のブロックAの含量は20重量%、ブロックBの含量は80重量%であった。ポリスチレン換算の数平均分子量は170,000、MFR(230℃、2.16kg荷重)は1.3g/10分であり、また、DSC(10℃/分)による融点(ピーク温度)及び結晶融解エンタルピーは観察されなかった。−50℃におけるG’は96MPaであった。
(水素化ブロック共重合体Eの比較製造例2:A−B−C)
100リットルのオートクレーブにシクロヘキサン溶剤を23リットル投入し、温度を70℃に設定したのち、sec−BuLiをモノマーに対して0.07部とTHFをLiに対して0.3倍モル添加した後、10重量部相当のブタジエン(シクロヘキサン混液)モノマーを投入し、同温で20分重合した。次いでTHFをLiに対して0.4倍モルを再添加し、85重量部相当のブタジエン(シクロヘキサン混液)モノマーを加えて70℃で一時間重合した後、5重量部相当のスチレン(シクロヘキサン混液)モノマーを加えて70℃で20分重合した。最後にメタノールを添加して重合を停止した。
重合時の途中サンプリングによる1H−NMR測定による1,2−結合量の測定から重合体ブロックC部分の1,2−結合量は32%、重合体ブロックB部分の1,2−結合量は51%であった。
また、製造例1同様に水素化反応を行った。この水素化ブロック共重合体のブロックCの含量は10重量%、ブロックBの含量は85重量%、ブロックA(ポリスチレン)の含量は5重量%であった。
また、この水素化ブロック共重合体のポリスチレン換算の数平均分子量は183,000、MFR(230℃、2.16kg荷重)は3.7g/10分であり、また、DSC(10℃/分)による融点(ピーク温度)(Mp)は38℃で結晶融解エンタルピー(ΔHm)は3.0J/g、−50℃におけるG’は35MPaであった。
(変性水素化ブロック共重合体A’の製造例4)
製造例1で得られた水素化ブロック共重合体Aを無水マレイン酸0.9重量部、パーヘキサ25Bを0.1重量部、イルガノックスP168を0.1重量部ドライブレンドさせて、30mmΦの二軸押出機にて235℃でグラフト化させた。得られた変性水素化ブロック共重合体のナトリウムメチラートから得られた滴定値は無水マレイン酸換算で0.80wt%がグラフトしていた。
(変性水素化ブロック共重合体B’の製造例5)
製造例4において、水素化ブロック共重合体A(製造例1)の代わりに製造例2で得られた水素化ブロック共重合体Bを用いた以外は製造例4と同様に行なった。得られた変性水素化ブロック共重合体には0.83wt%の無水マレイン酸がグラフトしていた。
(変性水素化ブロック共重合体C’の製造例6)
製造例4において、水素化ブロック共重合体A(製造例1)の代わりに製造例3で得られた水素化ブロック共重合体Cを用いた以外は製造例4と同様に行なった。得られた変性水素化ブロック共重合体には0.91wt%の無水マレイン酸がグラフトしていた。
(変性水素化ブロック共重合体D’の比較製造例3)
製造例4において、水素化ブロック共重合体A(製造例1)の代わりに比較製造例1で得られた水素化ブロック共重合体Dを用いた以外は製造例4と同様に行なった。得られた変性水素化ブロック共重合体には0.78wt%の無水マレイン酸がグラフトしていた。(変性水素化ブロック共重合体E’の比較製造例4)
製造例4において、水素化ブロック共重合体A(製造例1)の代わりに比較製造例2で得られた水素化ブロック共重合体Eを用いた以外は製造例4と同様に行なった。得られた変性水素化ブロック共重合体には0.88wt%の無水マレイン酸がグラフトしていた。(三井化学製タフマーMH5010:エチレン/ブテン−1共重合体)
結晶融解エンタルピーは3.7J/g、結晶融点35.6℃、−50℃でのG’は95MPaであった。ナトリウムメチラートから得られた滴定値は無水マレイン酸換算で0.86wt%であった。
(実施例1)MXD6ナイロンの改質
三菱エンジニアリングプラスチック製MXD6ナイロン(レニー6002)70重量部に変性水素化ブロック共重合体A’(製造例4)30部をドライブレンドして30mmΦ二軸押出機( L/D=38) で280℃にて250rpmのスクリュー回転数で溶融混練した。得られた組成物を射出成形し、−30℃、−40℃にてノッチ付きアイゾット衝撃試験および、試験片をイソオクテン50体積%、トルエン50体積%の混液90重量%にエタノール10重量%の加えた混合溶媒(CE−10)に60℃で10時間浸漬時の膨潤度(重量変化)(以下、CE−10膨潤度という。)を測定した。得られた結果を表1に示す。低温耐衝撃性と膨潤度のバランスに良好な性能が得られた。
(実施例2)MXD6ナイロンの改質
実施例1で変性水素化ブロック共重合体A’(製造例4)の代わりに変性水素化ブロック共重合体B’(製造例5)を用いた以外は実施例1と同様に行なった。得られた結果を表1に示す。同様に良好な性能が得られた。組成物の走査型プローブ電子顕微鏡写真を図1に示す。図1の白い部分がエラストマー分散相、黒い部分が樹脂相である。式1から求まるオクルード面積比率は5%であった。
(実施例3)MXD6ナイロンの改質
実施例1で変性水素化ブロック共重合体A’(製造例4)の代わりに変性水素化ブロック共重合体C’(製造例6)を用いた以外は実施例1と同様に行なった。得られた結果を表1に示す。同様に良好な性能が得られた。
(比較例1)MXD6ナイロンの改質
実施例1で変性水素化ブロック共重合体A’(製造例4)の代わりに変性水素化ブロック共重合体D’(比較製造例3)を用いた以外は実施例1と同様に行なった。得られた結果を表1に示す。−40℃での耐衝撃強度は低い値となった。およびCE−10膨潤度が劣る結果となった。組成物の走査型プローブ電子顕微鏡写真を図2に示す。実施例2の組成物に比べてエラストマー粒子にオクルードした樹脂成分が多いことが観測された。なお、エラストマー粒子のグレーの細かい粒子は水素添加ブロック共重合体(A−B−A)のポリスチレンドメインであるため、この部分はオクルードと見なさなかった。式1から求まるオクルード面積比率は17%であった。
(比較例2)MXD6ナイロンの改質
実施例1で変性水素化ブロック共重合体A’(製造例4)の代わりに変性水素化ブロック共重合体E’(比較製造例4)を用いた以外は実施例1と同様に行なった。得られた結果を表1に示す。CE−10膨潤度が劣る結果となった。
(比較例3)MXD6ナイロンの改質
実施例1で変性水素化ブロック共重合体A’(製造例4)の代わりに変性エチレン/ブテン−1共重合体(三井化学製タフマーMH5010)を用いた以外は同様に行なった。得られた結果を表1に表す。−40℃の耐衝撃強度は比較的良好であったが、CE−10
膨潤度が劣る結果となった。
Figure 2005194515
本発明の樹脂組成物は通常の熱可塑性樹脂に比し、低温での耐衝撃性、耐油性、成形性のバランスに優れ、LEDランプ、リレーケース、スイッチ、コネクター、コイルボビン、抵抗器、コンピュータ部品、電話交換機部品、コンデンサーケース、チューナー、端子台、タイマーケースなどの電器通信部品、ヘアドライヤー、アイロン、シェーバー、卵ゆで器、コーヒーメーカー、VTR部品、電子レンジ部品、TV部品、音響部品、コンパクトディスク、冷蔵庫部品、エアコン部品、照明カバーなどの家庭電気機器部品用、自動販売機部品、ハンドラベラー、エレベーター部品、エスカレーター部品、モーターケース、オイルフィルターケース、ポンプ部品、ボルト、ナットギヤ、カム、繊維ボビン、カウンターフレーム、オフィスコンピュータ用品、レジスター部品、電卓部品、タイプライター部品、製図器部品、ファクシミリ部品、複写機部品などの機械関係部品用、カーヒーター、バンパー、自動車用積層フィルム、インスツルメンタルパネル、計器盤、オートバイ風防、ヘッドランプ、テールランプ、整風板、レール絶縁部品、車両用肘掛け、電気自動車のバッテリーケース、カーテンカバー、ワイパーカバー、モールドグリップ、メーター針、ホイールカバー、ガソリンタンク、燃料タンク、スペアタイヤ用カバー等の自動車、車両関係部品、そのほかサーフライダー、ゴルフ用品などのレジャー関係部品、ハウジング、各種カバー、表面処理剤、塗装用等の用途に特に有用である。
また、本発明に利用される変性水素化ブロック共重合体は特定の結晶成分を持つことによってペレット化が可能な熱可塑性エラストマーとなる。そして本発明に利用される水素化ブロック共重合体をポリプロピレン等の耐衝撃性改良剤として用いた場合、SEBS(A−B−A)やオレフィン系エラストマーに対して低温衝撃性と耐油性と流動性のバランスに優れたポリプロピレン系組成物を与えることが可能となる。本発明の水素化ブロック共重合体またはそれを含有する軟質組成物は架橋/非架橋、発泡/非発泡の選択が任意に出来、かつ押出成形、フィルム成形、ブロー成形、真空成形、プレス成形がいずれも可能で、その用途としては防振ゴム、ルーフィングスポンジ等のゴム製品、日用部品、音響部品、ベルト、パッキング、クッション材、シーラント等の工業部品、輸送部品、ブーツ、モール、ホース、シール材料、バンパー、ウェザーストリッピング、自動車内外装品等の自動車部品、電線、履物材、緩衝材、フィルム、シート等の包装材等、広範囲な用途に利用できるものであり、産業上の利用価値は極めて大きい。
実施例2の樹脂組成物の粒子構造を表している走査型プローブ電子顕微鏡写真(SPM)である。 比較例1の樹脂組成物の粒子構造を表している走査型プローブ電子顕微鏡写真(SPM)である。

Claims (8)

  1. (a)下記(a−1)〜(a−6)から選ばれる少なくとも1種からなる熱可塑性樹脂60〜95重量部と、
    (a−1)MXD6ナイロン
    (a−2)MXDTナイロン
    (a−3)6T/66ナイロン
    (a−4)6T/6Iナイロン
    (a−5)ポリフェニレンスルフィド
    (a−6)6Tナイロン
    (b)結晶融解エンタルピー(ΔHm)が7.5J/g以上、結晶融点(Mp)が80℃以上、−50℃における捻り貯蔵弾性率(G’)が100MPa未満であってポリスチレン換算の数平均分子量が2万〜100万の変性熱可塑性エラストマー5〜40重量部とを、含有することを特徴とする熱可塑性樹脂組成物。
  2. 上記変性熱可塑性エラストマー(b)の捻り貯蔵弾性率(G’)が80MPa未満であることを特徴とする請求項1記載の熱可塑性樹脂組成物。
  3. 上記変性熱可塑性エラストマー(b)が変性オレフィン系熱可塑性エラストマーであることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  4. 上記変性熱可塑性エラストマー(b)が変性水素化ブロック共重合体であることを特徴とする請求項1又は2に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  5. 上記変性熱可塑性エラストマー(b)が少なくとも1つの重合体Bブロックと少なくとも1つの重合体Cブロック(但し、Bは1 ,2−ビニル結合量が40〜60%の共役ジエン重合体ブロック又はビニル芳香族化合物と共役ジエンとの共重合体ブロック、Cは1,2−ビニル結合量が30%未満のポリブタジエン重合体ブロックである)の共重合体ブロックからなり、該共重合体ブロック中のオレフィン性不飽和二重結合の70%以上が水素添加されていることを特徴とする請求項1、2、4のいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  6. 上記変性熱可塑性エラストマー(b)が少なくとも1つの重合体Aブロックと少なくとも1つの重合体Bブロックと少なくとも1つの重合体Cブロック(但し、Aブロックはビニル芳香族炭化水素及び/または1,3−シクロヘキサジエンを主体とする重合体ブロック、Bは1 ,2−ビニル結合量が40〜60%の共役ジエン重合体ブロック又はビニル芳香族化合物と共役ジエンとの共重合体ブロック、Cは1,2−ビニル結合量が30%未満のポリブタジエン重合体ブロックである)の共重合体ブロックからなり、該共重合体ブロック中のオレフィン性不飽和二重結合の70%以上が水素添加されていることを特徴とする請求項1、2、4のいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  7. 上記変性熱可塑性エラストマー(b)がアクリル酸、メタアクリル酸、アクリル酸誘導体、メタアクリル酸誘導体、オキサゾリン、α、β−不飽和カルボン酸の無水物から選ばれる少なくとも一種の化合物で変性されてなる変性熱可塑性エラストマーであることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  8. 請求項1〜7いずれか1項に記載の熱可塑性樹脂組成物からなるガソリンタンク用熱可塑性樹脂組成物。
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