JPWO2002034800A1 - 水添重合体 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明は、機械的強度、耐熱性、耐候性及び加工性に優れ、さらに他の熱可塑性樹脂やゴム状重合体とブレンドした場合に耐衝撃性や成形加工性に優れた組成物を提供する水添重合体に関する。さらに,本発明は,該重合体を含有した組成物と該重合体を含有するフィルム又はシートに関する。
背景技術
共役ジエン重合体は重合体中に不飽和二重結合を有するため、熱安定性、耐候性、耐オゾン性が劣る。そのため、その不飽和二重結合を水素添加してそれらを改善する方法が古くから知られている。例えば、特開昭56−30447号公報,特開平2−36244号公報などに開示されている。
一方、共役ジエンとビニル芳香族炭化水素からなるブロック共重合体の水素添加物は、加硫をしなくても加硫された天然ゴムや合成ゴムと同様の弾性を常温にて有し、しかも高温では熱可塑性樹脂と同様の加工性を有することから、プラスチック改質、粘接着剤、自動車部品や医療器具等の分野で広く利用されている。近年、かかる特性に似た特性を共役ジエン化合物のみからなる重合体で発現させるため、重合体鎖中にビニル結合含量の多いブロックとビニル結合含量の少ないブロックを有する共役ジエン重合体を水素添加する試みがなされている。
例えば、特開昭56−30455号公報には、1,2−ミクロ構造を15重量%以下含有する第一のブロック及び1,2−ミクロ構造を少なくとも30%重量含有する第二のブロックを有するジブロック共重合体の水素化物をαオレフィン重合体と組み合わせた組成物が開示されている。また、特開平3−128957号公報には、1,2−ビニル結合含量が20重量%以下であるポリブタジエンブロックセグメントとブタジエン部分の1,2−ビニル結合含量が25〜95重量%であるブロックセグメントからなるブロック共重合体を水素添加した水添ジエン系重合体を熱可塑性樹脂および/またはゴム状重合体と組み合わせた熱可塑性エラストマー組成物が開示されている。特開平10−25395号公報には、ビニル結合含量が90重量%未満の共役ジエン重合体ブロックであり、かつ共役ジエン重合体のビニル結合含量の最大値と最小値との差が10重量%以上である共役ジエン重合体ブロックを有するブロック共重合体を水添した水添ブロック共重合体組成物が開示されている。
しかしながら、かかるブロック共重合体は機械的強度に劣り、それ自身で使用する場合や各種熱可塑性樹脂あるいはゴム状物質と組み合わせて使用する場合、更に高度の機械的強度を有する共役ジエン重合体の水添重合体が要求されていた。
発明の開示
本発明の目的は、機械的強度、耐熱性、耐候性及び加工性に優れ、生産適性の良好な水添重合体を提供することにある。さらに本発明の目的は、該水添重合体を他の熱可塑性樹脂やゴム状重合体とブレンドした場合に耐衝撃性や成形加工性に優れた組成物を提供することにある。さらに本発明の目的は,該水添重合体を含有した耐衝撃性や透明性に優れたフィルム又はシートを提供することにある。
上記課題を解決するため鋭意検討を重ねた結果、本発明者らはある特定のビニル結合含量を有する共役ジエン重合体の水添物であって、結晶化ピーク温度と水添されたビニル結合含量が特定関係にあり,且つ分子量及び分子量分布が特定の範囲にある水添重合体が,上記課題を効果的に解決することを見いだし本発明を完成するに至った。
即ち本発明は、平均ビニル結合含量が20重量%以上40重量%未満の共役ジエン重合体の共役ジエン部分の二重結合残基の85%以上が水添された水添物であって,
(1)結晶化ピーク温度と水添されたビニル結合含量の関係が下記式を満たし
−2.8V+100<T<−2.8V+130
(ここで,T:DSC測定による結晶化ピーク温度(℃)
V:水添されたビニル結合含量(%) )
(2)分子量が6万〜60万
(3)分子量分布が1.55〜5.0
であることを特徴とする水添重合体を提供するものである。また、本発明は、該水添重合体と熱可塑性樹脂及び/又はゴム状重合体をブレンドした組成物を提供するものである。さらに,本発明は該水添重合体を含有したフィルム又はシートを提供するものである。
本発明を実施するための最良の形態
本発明の水添重合体は、水添前における重合体分子中のビニル結合含量が20重量%以上40重量%未満、好ましくは22〜38重量%、更に好ましくは25〜35重量%である。ここに,ビニル結合含量とは,重合体中に1,2−結合,3,4−結合及び1,4−結合の結合様式で組み込まれている共役ジエン化合物のうち,1,2−結合及び3,4−結合で組み込まれているものの割合である。平均ビニル結合含量が20重量%未満の場合、水添重合体の製造時に炭化水素溶媒に溶解しにくく生産適性に劣るばかりでなく、熱可塑性樹脂とブレンドして使用する場合に耐衝撃性改良効果が劣るため好ましくない。一方、平均ビニル結合含量が40重量%を超える場合、水添重合体の引張強度が低下する。
本発明の水添重合体は、上記の共役ジエン重合体中の共役ジエン部分の二重結合残基の85%以上、好ましくは90%以上、更に好ましくは92%以上、特に好ましくは95%以上が水添されたものである。水添率が85%未満の場合は、水添重合体の引張強度が劣る。
本願発明の大きな特徴は,結晶化ピーク温度と水添されたビニル結合含量の関係が,−2.8V+100<T<−2.8V+130,より好ましくは,−2.8V+105<T<−2.8V+125を満たすことである。ここで,Tは,DSC測定により得られた結晶化ピーク温度であり,Vは,水添されたビニル結合含量を表す。また,結晶化ピーク温度が複数存在する場合は,一番高いピークを指す。共役ジエン重合体の水添重合体の場合,結晶化ピーク温度は水添されたビニル結合含量と相関する。ところが,上記関係式を満たさない水添重合体は,引張強度が低下する。さらに,熱可塑性樹脂とブレンドして使用した場合,剛性の低い組成物となる。この関係式は,水添重合体中の水添前のビニル結合含量の分布に起因すると考えられる。すなわち,重合体鎖中におけるビニル結合含量の差異が大きいものほどTは高くなり,ビニル結合含量の最大値と最小値との差が10重量%でT=−2.8V+125に相当する。重合体鎖中のビニル結合は、ビニル結合含量の最大値と最小値との差が10重量未満%の範囲において、テーパー状に分布していても良い。ここで,ビニル結合含量の最大値と最小値との差とは,重合条件,すなわちビニル量調整剤の種類,量及び重合温度で決定されるビニル量の最大値と最小値である。共役ジエン重合体鎖中のビニル結合含量の最大値と最小値との差は、例えば共役ジエン重合体の製造時の重合温度によって制御することができる。第3級アミン化合物またはエーテル化合物のようなビニル量調整剤の種類と量が一定の場合,重合中のポリマー鎖に組み込まれるビニル結合含量は,重合温度によって決まる<後述の参考例を参照>。従って,等温で重合した重合体はビニル結合が均一に分布した重合体となる。これに対し,昇温で重合した重合体は,初期(低温で重合)が高ビニル結合含量,後半(高温で重合)が低ビニル結合含量といった具合にビニル結合含量に差のある重合体となる。
本発明の水添重合体は、重量平均分子量が6万〜60万、好ましくは7万〜50万、更に好ましくは8〜40万であり、分子量分布が1.55〜5.0、好ましくは1.6〜4.5、更に好ましくは1.85〜4である。分子量が6万未満の場合は、水添重合体の引張強度が劣り、60万を超えると加工性に劣る。また、分子量分布が1.55未満の場合は、水添重合体の加工性が劣り、さらに熱可塑性樹脂やゴム状重合体とブレンドした場合の成形加工性も劣るため好ましくない。分子量分布が5を超えると、水添重合体の引張強度が劣る。また,分子量のピークは,一山であっても,二山以上であってもかまわないが,高い引張強度の水添重合体を得るには,一山の方が好ましい。
本発明において、共役ジエン重合体を構成する共役ジエン化合物は1対の共役二重結合を有するジオレフィンであり、例えば1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン(イソプレン)、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、2−メチル−1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエンなどであるが、特に一般的なものとしては1,3−ブタジエン、イソプレンが挙げられる。これらは一種のみならず二種以上を使用してもよい。本発明の水添重合体は、実質的に共役ジエン化合物からなるが、必要によりビニル芳香族化合物が共重合されていても良い。ビニル芳香族化合物としては、例えばスチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、ジビニルベンゼン、1,1−ジフェニルエチレン、N,N−ジメチル−p−アミノエチルスチレン、N,N−ジエチル−p−アミノエチルスチレン等があげられる。これらの含有量は、5重量%未満、好ましくは4重量%以下、更に好ましくは3重量%以下であることが推奨される。
本発明において、水素添加前の共役ジエン重合体は、例えば、炭化水素溶媒中で有機アルカリ金属化合物等の開始剤を用いてアニオンリビング重合により得られる。炭化水素溶媒としては、例えばn−ブタン、イソブタン、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタンの如き脂肪族炭化水素類、シクロヘキサン、シクロヘプタン、メチルシクロヘプタンの如き脂環式炭化水素類、また、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼンの如き芳香族炭化水素である。
また、開始剤としては、一般的に共役ジエン化合物に対しアニオン重合活性があることが知られている脂肪族炭化水素アルカリ金属化合物、芳香族炭化水素アルカリ金属化合物、有機アミノアルカリ金属化合物等が含まれ、アルカリ金属としてはリチウム、ナトリウム、カリウム等である。好適な有機アルカリ金属化合物としては、炭素数1から20の脂肪族および芳香族炭化水素リチウム化合物であり、1分子中に1個のリチウムを含む化合物、1分子中に複数のリチウムを含むジリチウム化合物、トリリチウム化合物、テトラリチウム化合物が含まれる。具体的にはn−プロピルリチウム、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、tert−ブチルリチウム、n−ペンチルリチウム、n−ヘキシルリチウム、ベンジルリチウム、フェニルリチウム、トリルリチウム、ジイソプロペニルベンゼンとsec−ブチルリチウムの反応生成物、さらにジビニルベンゼンとsec−ブチルリチウムと少量の1,3−ブタジエンの反応生成物等があげられる。さらに、米国特許5,708,092号公報に開示されている1−(t−ブトキシ)プロピルリチウムおよびその溶解性改善のために1〜数分子のイソプレンモノマーを挿入したリチウム化合物、英国特許2,241,239号公報に開示されている1−(t−ブチルジメチルシロキシ)ヘキシルリチウム等のシロキシ基含有アルキルリチウム、米国特許5,527,753号公報に開示されているアミノ基含有アルキルリチウム、ジイソプロピルアミドリチウムおよびヘキサメチルジシラジドリチウム等のアミノリチウム類も使用することができる。
本発明において有機アルカリ金属化合物を重合開始剤として共役ジエン化合物を重合する際に、重合体に組み込まれる共役ジエン化合物に起因するビニル結合(1,2または3,4結合)の含量を増やすために、ビニル量調整剤として第3級アミン化合物またはエーテル化合物を添加することができる。第3級アミン化合物としては一般式R1R2R3N(ただしR1、R2、R3は炭素数1から20の炭化水素基または第3級アミノ基を有する炭化水素基である)の化合物である。たとえば、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、N,N−ジメチルアニリン、N−エチルピペリジン、N−メチルピロリジン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラエチルエチレンジアミン、1,2−ジピペリジノエタン、トリメチルアミノエチルピペラジン、N,N,N’,N”,N”−ペンタメチルエチレントリアミン、N,N’−ジオクチル−p−フェニレンジアミン等である。
またエーテル化合物としては、直鎖上エーテル化合物および環状エーテル化合物から選ばれ、直鎖上エーテル化合物としてはジメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジフェニルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル等のエチレングリコールのジアルキルエーテル化合物類、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル等のジエチレングリコールのジアルキルエーテル化合物類が挙げられる。また、環状エーテル化合物としてはテトラヒドロフラン、ジオキサン、2,5−ジメチルオキソラン、2,2,5,5−テトラメチルオキソラン、2,2−ビス(2−オキソラニル)プロパン、フルフリルアルコールのアルキルエーテル等が挙げられる。
本発明において有機アルカリ金属化合物を重合開始剤として共役ジエン化合物を重合する方法は、バッチ重合であっても連続重合であっても、或いはそれらの組み合わせであってもよい。但し,重合体の分子量分布を本発明の範囲に調整する点では,連続重合が好ましい。重合温度は、一般に0℃乃至180℃、好ましくは30℃乃至150℃である。但し,重合体のビニル結合含量の最大値と最小値との差を小さくする点では,等温重合が好ましい。重合に要する時間は条件によって異なるが、通常は48時間以内であり、特に好適には0.1乃至10時間である。又、重合系の雰囲気は窒素ガスなどの不活性ガス雰囲気にすることが好ましい。重合圧力は、上記重合温度範囲でモノマー及び溶媒を液相に維持するに充分な圧力の範囲で行えばよく、特に限定されるものではない。更に、重合系内は触媒及びリビングポリマーを不活性化させるような不純物、例えば水、酸素、炭酸ガスなどが混入しないように留意する必要がある。
本発明において、分子量分布を本発明の範囲に調整するため、前記重合終了時に2官能以上のカップリング剤を必要量添加してカップリング反応を行うことができる。2官能カップリング剤としては公知のもののいずれでも良く、特に限定されない。例えば、ジメチルジクロロシラン、ジメチルジブロモシラン等のジハロゲン化合物、安息香酸メチル、安息香酸エチル、安息香酸フェニル、フタル酸エステル類等の酸エステル類等が挙げられる。また、3官能以上の多官能カップリング剤としては公知のもののいずれでも良く、特に限定されない。例えば、3価以上のポリアルコール類、エポキシ化大豆油、ジグリシジルビスフェノールA、1,3−ビス(N,N’−ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン等の多価エポキシ化合物、一般式R4−nSiXn(ただし、Rは炭素数1から20の炭化水素基、Xはハロゲン、nは3から4の整数を示す)で示されるハロゲン化珪素化合物、例えばメチルシリルトリクロリド、t−ブチルシリルトリクロリド、四塩化珪素およびこれらの臭素化物等、一般式R4−nSnXn(ただし、Rは炭素数1から20の炭化水素基、Xはハロゲン、nは3から4の整数を示す)で示されるハロゲン化錫化合物、例えばメチル錫トリクロリド、t−ブチル錫トリクロリド、四塩化錫等の多価ハロゲン化合物が挙げられる。炭酸ジメチルや炭酸ジエチル等も使用できる。
本発明において、共役ジエン重合体として重合体の少なくとも1つの重合体鎖末端に極性基含有原子団が結合した末端変性共役ジエン重合体を使用することができる。極性基含有原子団としては、例えば水酸基、カルボキシル基、カルボニル基、チオカルボニル基、酸ハロゲン化物基、酸無水物基、カルボン酸基、チオカルボン酸基、アルデヒド基、チオアルデヒド基、カルボン酸エステル基、アミド基、スルホン酸基、スルホン酸エステル基、リン酸基、リン酸エステル基、アミノ基、イミノ基、ニトリル基、ピリジル基、キノリン基、エポキシ基、チオエポキシ基、スルフィド基、イソシアネート基、イソチオシアネート基、ハロゲン化ケイ素基、アルコキシケイ素基、ハロゲン化スズ基、アルコキシスズ基、フェニルスズ基等から選ばれる極性基を少なくとも1種含有する原子団が挙げられる。末端変性共役ジエン重合体は、共役ジエン重合体の重合終了時にこれらの極性基含有原子団を有する化合物を反応させることにより得られる。極性基含有原子団を有する化合物としては、具体的には、特公平4−39495号公報に記載された末端変性処理剤を使用できる。
上記で得られた共役ジエン重合体を水素添加することにより、本発明の水添重合体が得られる。水添触媒としては、特に制限されず、従来から公知である(1)Ni、Pt、Pd、Ru等の金属をカーボン、シリカ、アルミナ、ケイソウ土等に担持させた担持型不均一系水添触媒、(2)Ni、Co、Fe、Cr等の有機酸塩又はアセチルアセトン塩などの遷移金属塩と有機アルミニュウム等の還元剤とを用いる、いわゆるチーグラー型水添触媒、(3)Ti、Ru、Rh、Zr等の有機金属化合物等のいわゆる有機金属錯体等の均一系水添触媒が用いられる。具体的な水添触媒としては、特公昭42−8704号公報、特公昭43−6636号公報、特公昭63−4841号公報、特公平1−37970号公報、特公平1−53851号公報、特公平2−9041号公報に記載された水添触媒を使用することができる。好ましい水添触媒としてはチタノセン化合物および/または還元性有機金属化合物との混合物が挙げられる。
チタノセン化合物としては、特開平8−109219号公報に記載された化合物が使用できるが、具体例としては、ビスシクロペンタジエニルチタンジクロライド、モノペンタメチルシクロペンタジエニルチタントリクロライド等の(置換)シクロペンタジエニル骨格、インデニル骨格あるいはフルオレニル骨格を有する配位子を少なくとも1つ以上もつ化合物があげられる。また、還元性有機金属化合物としては、有機リチウム等の有機アルカリ金属化合物、有機マグネシウム化合物、有機アルミニウム化合物、有機ホウ素化合物あるいは有機亜鉛化合物等があげられる。
本発明において、水添反応は一般的に0〜200℃、より好ましくは30〜150℃の温度範囲で実施される。水添反応に使用される水素の圧力は0.1から15MPa、好ましくは0.2から10MPa、更に好ましくは0.3から5MPaが推奨される。また、水添反応時間は通常3分〜10時間、好ましくは10分〜5時間である。水添反応は、バッチプロセス、連続プロセス、或いはそれらの組み合わせのいずれでも用いることができる。
上記のようにして得られた水添重合体の溶液は、必要に応じて触媒残査を除去し、水添重合体を溶液から分離することができる。溶媒の分離の方法としては、例えば水添後の反応液にアセトンまたはアルコール等の水添重合体に対する貧溶媒となる極性溶媒を加えて重合体を沈澱させて回収する方法、反応液を撹拌下熱湯中に投入し、スチームストリッピングにより溶媒を除去して回収する方法、または直接重合体溶液を加熱して溶媒を留去する方法等を挙げることができる。尚、本発明の水添重合体には、各種フェノール系安定剤、リン系安定剤、イオウ系安定剤、アミン系安定剤等の安定剤を添加することができる。
本発明の水添重合体は、α、β−不飽和カルボン酸又はその誘導体、例えばその無水物、エステル化物、アミド化物、イミド化物で変性することができる。α、β−不飽和カルボン酸又はその誘導体の具体例としては、無水マレイン酸、無水マレイン酸イミド、アクリル酸又はそのエステル、メタアクリル酸又はそのエステル、エンド−シス−ビシクロ〔2,2,1〕−5−ヘプテン−2,3−ジカルボン酸又はその無水物などが挙げられる。α、β−不飽和カルボン酸又はその誘導体の付加量は、水添重合体100重量部当たり、一般に0.01〜20重量部、好ましくは0.1〜10重量部である。
本発明において、加工性の点で特に好ましい水添重合体は、メルトフロー比が4〜30,好ましくは5〜25,更に好ましくは6〜20である。ここでメルトフロー比とは、190℃、荷重10Kgで測定したメルトフロー(F1)と190℃、荷重2.16Kgで測定したメルトフロー(F2)との比(F1/F2)である。
本発明において、水素添加前の共役ジエン重合体中の共役ジエン化合物に基づくビニル結合含量は、赤外分光光度計(例えば、モレロ法)や核磁気共鳴装置(NMR)等を用いて知ることができる。水添重合体の水添率は、赤外分光光度計や核磁気共鳴装置(NMR)等を用いて知ることができる。また、本発明において、水添重合体の分子量は、ゲルパーミュエーションクロマトグラフィー(GPC)による測定を行い、クロマトグラムのピークの分子量を、市販の標準ポリスチレンの測定から求めた検量線(標準ポリスチレンのピーク分子量を使用して作成)を使用して求めた重量平均分子量である。尚、クロマトグラム中にピークが複数有る場合の分子量は、各ピークの分子量と各ピークの組成比(クロマトグラムのそれぞれのピークの面積比より求める)から求めた平均分子量をいう。水添重合体の分子量分布は、同様にGPCによる測定から求めることができる。
本発明の水添重合体は、(a)水添重合体 1〜99重量部、好ましくは2〜90重量部、更に好ましくは5〜70重量部と(b)(b−1)熱可塑性樹脂及び/又は(b−2)ゴム状重合体 99〜1重量部、好ましくは98〜10重量部、更に好ましくは95〜30重量部を組み合わせて各種成形材料に適した組成物を得ることができる。特に,衝撃性と剛性等に優れた樹脂組成物とする場合,(b−1)を少なくとも3重量部以上含有させることが好ましい。また,熱可塑性樹脂を使用しないで,(a)と(b−2)からなるゴム状の組成物を得ることもでき、その場合(b−2)は少なくとも3重量部以上含有させることが好ましい。
熱可塑性樹脂としては、共役ジエン化合物とビニル芳香族化合物とのブロック共重合樹脂、前記のビニル芳香族化合物の重合体、前記のビニル芳香族化合物と他のビニルモノマー、例えばエチレン、プロピレン、ブチレン、塩化ビニル、塩化ビニリデン、酢酸ビニル、アクリル酸及びアクリルメチル等のアクリル酸エステル、メタクリル酸及びメタクリル酸メチル等のメタクリル酸エステル、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等との共重合樹脂、ゴム変性スチレン系樹脂(HIPS)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合樹脂(ABS)、メタクリル酸エステル−ブタジエン−スチレン共重合樹脂(MBS)、ポリエチレン、エチレンを50重量%以上含有するエチレンとこれと共重合可能な他のモノマーとの共重合体、例えば、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−ブチレン共重合体、エチレン−ヘキセン共重合体、エチレン−オクテン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体及びその加水分解物、エチレン−アクリル酸アイオノマーや塩素化ポリエチレンなどのポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン、プロピレンを50重量%以上含有するプロピレンとこれと共重合可能な他のモノマーとの共重合体、例えば、プロピレン−エチレン共重合体、プロピレン−アクリル酸エチル共重合体や塩素化ポリプロピレンなどのポリプロピレン系樹脂、エチレン−ノルボルネン樹脂等の環状オレフィン系樹脂,ポリブテン系樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂及びその加水分解物、アクリル酸及びそのエステルやアミドの重合体、メタクリル酸及びそのエステルやアミドの重合体、ポリアクリレート系樹脂、アクリロニトリル及び/又はメタクリロニトリルの重合体、これらのアクリロニトリル系モノマーを50重量%以上含有する他の共重合可能なモノマーとの共重合体であるニトリル樹脂、ナイロン−46、ナイロン−6、ナイロン−66、ナイロン−610、ナイロン−11、ナイロン−12、ナイロン−6ナイロン−12共重合体などのポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、熱可塑性ポリウレタン系樹脂、ポリ−4,4’−ジオキシジフェニル−2,2’−プロパンカーボネートなどのポリカーボネート系重合体、ポリエーテルスルホンやポリアリルスルホンなどの熱可塑性ポリスルホン、ポリオキシメチレン系樹脂、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレン)エーテルなどのポリフェニレンエーテル系樹脂、ポリフェニレンスルフィド、ポリ4,4’−ジフェニレンスルフィドなどのポリフェニレンスルフィド系樹脂、ポリアリレート系樹脂、ポリエーテルケトン重合体又は共重合体、ポリケトン系樹脂、フッ素系樹脂、ポリオキシベンゾイル系重合体、ポリイミド系樹脂、1,2−ポリブタジエン、トランスポリブタジエンなどのポリブタジエン系樹脂などである。これらの熱可塑性樹脂の数平均分子量は一般に1000以上、好ましくは5000〜500万、更に好ましくは1万〜100万である。またこれらの熱可塑性樹脂は2種以上を併用しても良い。
ゴム状重合体としては、ブタジエンゴム及びその水素添加物(但し本発明の水添重合体とは異なる)、スチレン−ブタジエンゴム及びその水素添加物、イソプレンゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム及びその水素添加物、クロロプレンゴム、エチレン−プロピレンゴム、エチレン−プロピレン−ジエンゴム、エチレン−ブテン−ジエンゴム、エチレン−ブテンゴム、エチレン−ヘキセンゴム、エチレン−オクテンゴム等のオレフィン系エラストマー、ブチルゴム、アクリルゴム、フッ素ゴム、シリコーンゴム、塩素化ポリエチレンゴム、エピクロルヒドリンゴム、α、β−不飽和ニトリル−アクリル酸エステル−共役ジエン共重合ゴム、ウレタンゴム、多硫化ゴム、スチレン−ブタジエンブロック共重合体及びその水素添加物、スチレン−イソプレンブロック共重合体及びその水素添加物等のスチレン系エラストマー、天然ゴムなどが挙げられる。これらのゴム状重合体は、官能基を付与した変性ゴムであっても良い。
本発明の水添重合体及び該水添重合体と熱可塑性樹脂及び/又はゴム状重合体との組成物には,必要に応じて任意の添加剤を配合することができる。添加剤の種類は,熱可塑性樹脂やゴム状重合体の配合に一般的に用いられるものであれば特に制限はない。例えば,シリカ,炭酸カルシウム,炭酸マグネシウム,水酸化マグネシウム、硫酸カルシウム,硫酸バリウム、タルク、マイカ、けい酸(ホワイトカーボン)、酸化チタン等の無機充填剤,カーボンブラック,酸化鉄等の顔料,ステアリン酸,ベヘニン酸,ステアリン酸亜鉛,ステアリン酸カルシウム,ステアリン酸マグネシウム,エチレンビスステアロアミド等の滑剤,離型剤,有機ポリシロキサン,ミネラルオイル等の可塑剤,ヒンダードフェノール系酸化防止剤、りん系熱安定剤等の酸化防止剤,ヒンダードアミン系光安定剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤,難燃剤,帯電防止剤,有機繊維,ガラス繊維,炭素繊維,金属ウィスカ等の補強剤,着色剤、その他添加剤或いはこれらの混合物等が挙げられる。
本発明の重合体組成物の製造方法は,特に制限されるものではなく,公知の方法が利用できる。例えば,バンバリーミキサー,単軸スクリュー押出機,2軸スクリュー押出機,コニーダ,多軸スクリュー押出機等の一般的な混和機を用いた溶融混練方法,各成分を溶解又は分散混合後,溶剤を加熱除去する方法等が用いられる。本発明においては押出機による溶融混合法が生産性、良混練性の点から好ましい。
本発明の水添重合体、水添重合体と熱可塑性樹脂及び/又はゴム状重合体から成る重合体組成物は、そのままで或いは各種添加剤を配合した組成物として、シート、フィルム、各種形状の射出成形品、中空成形品、圧空成型品、真空成形品、押出成形品、不織布や繊維状の成形品等多種多様の成形品として活用できる。これらの成形品は、食品包装材料、医療用器具材料、家電製品及びその部品、自動車部品・工業部品・家庭用品・玩具等の素材、履物用素材、粘・接着剤用素材、アスファルト改質剤などに利用できる。
特に,本発明の特定の水添重合体を含有したシート又はフィルムは,低温における衝撃性と透明性等のフィルム特性が特に優れている。ポリプロピレンに水添重合体を添加したフィルムの場合,本願発明のように添加使用する水添重合体の水添前のビニル結合含量が40重量%未満であると,フィルムの衝撃性と透明性に優れる。また,水添重合体の結晶化ピーク温度と水添されたビニル結合含量の関係が,本願の関係内にあると,同様にフィルムの衝撃性と透明性が良好である。
従って,本発明のフィルム又はシートは,これら優れた特性により,各種食品の包装,日用雑貨包装,シャツなどの衣料包装用のフィルム,プロテクトフィルム,粘着フィルム基材,冷菓食品容器等のシート用途などの幅広い用途に用いることができる。
以下実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの例によって何ら限定されるものではない。尚、以下の実施例において、重合体の特性や物性の測定は、次のようにして行った。
▲1▼重合体の特性及び物性
1)ビニル結合量及び水添率
核磁気共鳴装置〔BRUKER社製、DPX−400〕を用いて測定した。
2)分子量及び分子量分布
水素添加前の重合体を用い,GPC〔装置は、ウォーターズ社製〕で測定した。溶媒にはテトラヒドロフランを用い、測定条件は、温度35℃で行った。分子量は、クロマトグラムのピークの分子量を、市販の標準ポリスチレンの測定から求めた検量線(標準ポリスチレンのピーク分子量を使用して作成)を使用して求めた重量平均分子量である。尚、クロマトグラム中にピークが複数有る場合の分子量は、各ピークの分子量と各ピークの組成比(クロマトグラムのそれぞれのピークの面積比より求める)から求めた平均分子量をいう。また,分子量分布は,得られた重量平均分子量と数平均分子量の比である。
3)結晶化ピーク温度
DSC〔マックサイエンス社製、DSC3200S〕で測定した。
室温から30℃/分の昇温速度で100℃まで昇温し,10℃/分の降温速度で結晶化カーブを測定し,結晶化ピーク温度(T)を求めた。
4)水添重合体の引張強度
JIS K6251に準拠して測定した。
5)水添重合体の加工性
・メルトフローレート(MFR)
JIS K6758に準拠して測定した230℃、荷重2.16kgのメルトフローレートである。
・メルトフロー比
JIS K6758に準拠して測定した190℃、荷重10Kgのメルトフローと、190℃、荷重2.16Kgのメルトフローの比である。
メルトフローレートとメルトフロー比の両者が大きいものを加工性が良いと判断した。
▲2▼水添重合体樹脂状組成物の物性
水添重合体と熱可塑性樹脂,ゴム状重合体等を二軸押出機(PCM30)で混練し、ペレット化することにより組成物を得た。押出し条件は,210℃で200rpmで行った。
使用した各成分を下記に示す。
*熱可塑性樹脂
・市販ポリプロピレン樹脂▲1▼
ブロックPP(MK711:モンテルエスディーケイサンライズ(株)製)
・市販ポリアミド樹脂<ナイロン6>(アミランCM1017:東レ(株)製)
*ゴム状重合体▲1▼
・市販水素添加ブロック共重合体(タフテックH1062:旭化成(株)製)
・市販エチレン−プロピレンゴム(EP02P:JSR(株)製)
*添加剤
・タルク(マイクロエースP−4:日本タルク(株)製)
6)剛性
ASTM D790に準拠して,射出成形試験片の曲げ試験を行い,曲げ弾性率を測定した。
7)耐衝撃性
JIS K7110に準拠して、射出成形試験片のアイゾット衝撃強度(ノッチ付き)を測定した。測定温度は,ポリプロピレン樹脂組成物は−30℃,ポリアミド樹脂組成物は23℃で行った。
8)耐熱老化性
重合体組成物の射出成形試験片を135℃の温度下で200時間状態調節した。その後,ASTM D638に準拠して,射出成形試験片の引張破断点伸度を測定した。引張速度は,20mm/分であった。135℃の温度下で200時間状態調節していないサンプルの伸度に対する保持率を求め、保持率が高い程,耐熱老化性が優れると判断した。
9)加工特性
射出成形した成形品の外観を下記の評価基準に従って目視評価した。
○:射出成形品の外観良好
△:射出成形品の表面にフローマークを有する
×:射出成形品の表面にフローマークを有し、表面荒れが見られるなどの外観不良現象が見られる。
▲3▼フィルムの物性
熱可塑性樹脂,あるいは熱可塑性樹脂と水添重合体をTダイに供給してフィルムを作成した。Tダイ押出し機は,30mmスクリュー(L/D=28),ダイス=300×0.5mmのものを用い,押出し温度:230℃,ロール温度:30℃の条件でフィルム厚みは50μmとした。
使用した成分を下記に示す。
*熱可塑性樹脂
・市販ポリプロピレン樹脂▲2▼
ホモPP(PC600S:サンアロマー(株)製)
10)フィルムインパクト
フィルムインパクトテスター(東洋精機製)を使用し,棒径1/2インチで行った。尚,測定温度は,0℃とした。
11)ヘイズ
ヘイズメーター(日本電色工業製:NDH−1001DP)を使用し,JIS K6782に準拠して測定した。透明性の指標とし,数値が低いほど透明性が優れるとした。
▲4▼水添重合体ゴム状組成物の物性
水添重合体とゴム状重合体をカレンダーロールに供給してシートを作成した。ロール温度は200℃で,シート厚みは0.5mmであった。
使用した成分を下記に示す。
*ゴム状重合体▲2▼
・市販水素添加ブロック共重合体(タフテックH1052:旭化成(株)製)
・市販エチレン−オクテンゴム(KC8850:ダウ社製)
12)硬度
JIS K6253に準拠し,タイプAデュロメータで測定した。
13)シートの引張強度と伸び
JIS K6251に準拠して測定した。
また,水添反応に用いた水添触媒は、下記の方法で調製した。
I)水添触媒I
窒素置換した反応容器に乾燥、精製したシクロヘキサン1リットルを仕込み、ビス(η5−シクロペンタジエニル)チタニウムジクロリド100ミリモルを添加し、十分に攪拌しながらトリメチルアルミニウム200ミリモルを含むn−ヘキサン溶液を添加して、室温にて約3日間反応させた。
II)水添触媒II
窒素置換した反応容器に乾燥、精製したシクロヘキサン2リットルを仕込み、ビス(η5−シクロペンタジエニル)チタニウムジ−(p−トリル)40ミリモルと分子量が約1000の1,2−ポリブタジエン(1,2−ビニル結合量約85%)150グラムを溶解した後、n−ブチルリチウム60ミリモルを含むシクロヘキサン溶液を添加して室温で5分反応させ、直ちにn−ブタノール40ミリモルを添加攪拌して室温で保存した。
(参考例)
重合温度と平均ビニル結合含量,あるいはビニル結合含量の分布を明確にするために,バッチ重合で基礎データを採取した。
(参考例1)
内容積が10L、L/D4の攪拌装置及びジャケット付き槽型反応器に、シクロヘキサン3.3L、n−ブチルリチウム濃度が15重量%のシクロヘキサン溶液を5.0ml、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミンをn−ブチルリチウム1モルに対して0.25モルの比率になるように添加した。その後、反応器の内部温度を85℃に設定し、ブタジエン濃度が10重量%のシクロヘキサン溶液を120ml/分の速度で反応器に供給して重合した。反応器の内部温度はジャケット温度で調整し、内部温度が85±1℃になるようにした。反応器へのブタジエンの供給量が250gになった時点でブタジエンのシクロヘキサン溶液の供給を中止した。約15分後のブタジエンの転化率はほぼ100%であった。
得られたポリマーのビニル結合含量は、28重量%であった。また、重合反応時、反応の途中でサンプリング(ブタジエンの供給中止直後と中止5分後)したポリマーのビニル結合含量を測定したところ,それぞれ28重量%,29重量%であった。
(参考例2)
内部温度を90±1℃になるように調整すること以外は,参考例1と同様にして重合,サンプリングとビニル結合含量の測定を行った。結果を参考表1に,また重合温度とビニル結合含量の関係を図1に示した。
(参考例3)
内部温度を95±1℃になるように調整すること以外は,参考例1と同様にして重合,サンプリングとビニル結合含量の測定を行った。結果を参考表1に,また重合温度とビニル結合含量の関係を図1に示した。
(参考例4)
参考例1でN,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミンの添加量をn−ブチルリチウム1モルに対して0.35モルの比率になるように添加すること以外は,同様にして重合,サンプリングとビニル結合含量の測定を行った。結果を参考表1に,また重合温度とビニル結合含量の関係を図1に示した。
(参考例5)
内部温度を90±1℃になるように調整すること以外は,参考例4と同様にして重合,サンプリングとビニル結合含量の測定を行った。結果を参考表1に,また重合温度とビニル結合含量の関係を図1に示した。
(参考例6)
内部温度を95±1℃になるように調整すること以外は,参考例4と同様にして重合,サンプリングとビニル結合含量の測定を行った。結果を参考表1に,また重合温度とビニル結合含量の関係を図1に示した。
以上の結果から,重合温度とビニル結合含量はほぼ直線関係にあり,また重合中温度を変化させなければ,重合体鎖中に組み込まれるビニル結合量の分布が一定であることが分かる。
[実施例1]
内容積が10L、L/D4の攪拌装置及びジャケット付き槽型反応器に、ブタジエン濃度が20重量%のシクロヘキサン溶液を6.19L/hrの供給速度で、n−ブチルリチウムをブタジエン100gに対して0.145gになるような濃度に調整したシクロヘキサン溶液を2L/hrの供給速度で、更にN,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミンのシクロヘキサン溶液をn−ブチルリチウム1モルに対して0.25モルになるような供給速度でそれぞれ供給し、90℃で連続重合した。反応温度はジャケット温度で調整し、反応器の底部付近の温度は約88℃、反応器の中部付近の温度は約90℃,反応器の上部付近の温度は約90℃であった。重合反応器における平均滞留時間は、約45分であり、ブタジエンの転化率はほぼ100%であった。
連続重合で得られたポリマーの平均ビニル結合含量は、25重量%であった。また、連続重合反応時、反応器の底部付近からサンプリンしたポリマーのビニル結合含量は、26重量%であった。参考例の結果より,連続重合で得られたポリマーのビニル結合含量の最大値と最小値との差は2重量%以下である。また,GPCによる平均分子量は,20.1万,ピークは一山で,分布は1.9であった。
次に、連続重合で得られたポリマーに、水添触媒Iをポリマー100重量部当たりTiとして100ppm添加し、水素圧0.7MPa、温度65℃で水添反応を行った。得られた水添重合体のDSCチャートを図2に示した。
得られた水添重合体(ポリマー1)の特性を表−1(なお,平均ビニル結合含量を「ビニル含量」,ビニル結合含量の最大値と最小値との差を「最大ビニルと最小ビニルとの差」と各々略記した。)に示した。また,水添されたビニル結合量と結晶化ピーク温度の関係を図3に示した。
[実施例2]
n−ブチルリチウムの供給量をブタジエン100gに対して0.10gになるように、またN,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミンの供給量を0.35モル/Liになるように変更した以外は、実施例1と同様の方法で連続重合を行った。得られたポリマーは、水添触媒IIを使用する以外は実施例1と同様の方法で水添反応を行い、水添重合体(ポリマー2)を得た。その水添重合体の特性を表−1に示した。また,水添されたビニル結合量と結晶化ピーク温度の関係を図3に示した。
[比較例1]
N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミンを使用しないで実施例1と同様の方法で連続重合を行い、その後水添反応を実施して水添重合体(ポリマー3)を得ることを試みた。しかしながら、水添反応時、粘度が異常に上昇して攪拌が不能になり、正常な水添反応を行うことができなかった。
[比較例2]
N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミンの供給量を変える以外は、実施例1と同様の方法で連続重合を行い、その後実施例1と同様に水添反応を行った。得られた水添重合体(ポリマー4)の特性を表−1に示した。
[比較例3]
水素添加率を70%に調整する以外実施例1と同様の方法で水添重合体(ポリマ−5)を得て、その特性を表−1に示した。また,水添されたビニル結合量と結晶化ピーク温度の関係を図3に示した。
[比較例4及び5]
n−ブチルリチウムの供給量及びN,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミンの供給量を変える以外は、実施例2と同様の方法で連続重合を行い、その後実施例2と同様に水添反応を行った。得られた水添重合体(ポリマー6及び7)の特性を表−1に示した。
[実施例3]
内容積が5L、L/D4の攪拌装置及びジャケット付き槽型反応器を2基使用して連続重合を行った。1基目の底部から,ブタジエン濃度が20重量%のシクロヘキサン溶液を3.1L/hrの供給速度で、n−ブチルリチウムをブタジエン100gに対して0.145gになるような濃度に調整したシクロヘキサン溶液を2L/hrの供給速度で、更にN,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミンのシクロヘキサン溶液をn−ブチルリチウム1モルに対して0.25モルになるような供給速度でそれぞれ供給し、90℃で連続重合した。反応温度はジャケット温度で調整し、反応器の底部付近の温度は約88℃、反応器の上部付近の温度は約90℃であった。1基目出口でのブタジエンの転化率はほぼ100%であり、反応器の出口からサンプリングしたポリマーのビニル結合含量は、25重量%であった。1基目から出たポリマー溶液を2基目の底部から供給,また同時に,ブタジエン濃度が20重量%のシクロヘキサン溶液を3.1L/hrの供給速度で2基目の底部に供給し,90℃で連続重合した。2基目の反応器の底部付近の温度は約89℃、反応器の上部付近の温度は約90℃であった。2基目出口でのブタジエンの転化率はほぼ100%であった。得られたポリマーのビニル結合含量は、24重量%であり、2基目で形成されたポリマーのビニル結合含量は、23重量%であった。
その後実施例1と同様に水添反応を行った。得られた水添重合体(ポリマー8)の特性を表−1に示した。また,水添されたビニル結合量と結晶化ピーク温度の関係を図3に示した。
[実施例4]
内容積が10L、L/D4の攪拌装置及びジャケット付き槽型反応器に、シクロヘキサン3.3L、n−ブチルリチウム濃度が15重量%のシクロヘキサン溶液を14.1ml、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミンをn−ブチルリチウム1モルに対して0.27モルの比率になるように添加した。その後、反応器の内部温度を90℃に設定し、ブタジエン濃度が30重量%のシクロヘキサン溶液を120ml/分の速度で反応器に供給して重合した。反応器の内部温度はジャケット温度で調整し、内部温度が90±3℃になるようにした。反応器へのブタジエンの供給量が395gになった時点でブタジエンのシクロヘキサン溶液の供給を中止した。約15分後のブタジエンの転化率はほぼ100%であった。また、この時点で反応器に四塩化ケイ素をn−ブチルリチウム1モルに対して1/8モルの比率になるような量を添加してカップリング反応させた。10分後,再び反応器の内部温度を90℃に設定し、ブタジエン濃度が30重量%のシクロヘキサン溶液を120ml/分の速度で反応器に供給して重合した。反応器の内部温度はジャケット温度で調整し、内部温度が90±3℃になるようにした。反応器へ追添したブタジエンの供給量が395gになった時点でブタジエンのシクロヘキサン溶液の供給を中止した。約15分後のブタジエンの転化率はほぼ100%であった。重合反応終了後、反応器に四塩化ケイ素をn−ブチルリチウム1モルに対して1/8モルの比率になるような量を添加してカップリング反応を行った。
得られたポリマーの平均ビニル結合含量は、27重量%であった。また、重合反応時、反応の途中でサンプリングしたポリマーのビニル結合含量とその時のブタジエン供給量と反応率から算出したポリマー転換率(最終的に供給した全ブタジエンに対するポリマーへの転換率)より求めたビニル結合含量の差は5重量%以下であった。
次に水添触媒Iを使用して実施例1と同様に水添反応を行った。
得られた水添重合体(ポリマー9)の特性を表−1に示した。また,水添されたビニル結合量と結晶化ピーク温度の関係を図3に示した。
[比較例6]
n−ブチルリチウムの添加量を変更し,且つカップリング反応を行わない以外は実施例4と同様の方法で水添重合体(ポリマー10)を得た。その水添重合体の特性を表−1に示した。
[比較例7]
n−ブチルリチウム、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミンの添加量をそれぞれ変え,且つ四塩化ケイ素とブタジエンの分割回数を増やして添加する以外は実施例4と同様の方法で重合反応及び水添反応を行い、水添重合体(ポリマー11)を得た。その水添重合体の特性を表−1に示した。
[比較例8]
内容積が10L、L/D4の攪拌装置及びジャケット付き槽型反応器に、シクロヘキサン3.3L、n−ブチルリチウム濃度が15重量%のシクロヘキサン溶液を14.1ml、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミンをn−ブチルリチウム1モルに対して0.22モルの比率になるように添加した。その後、反応器の内部温度を40℃に設定し、ブタジエン濃度が30重量%のシクロヘキサン溶液を反応器に供給してバッチ重合した。供給開始1分後にポリマー溶液の一部をサンプリングし,得られたポリマーのビニル結合含量を測定した。その時点でのビニル結合含量は44重量%,重合温度は50℃であった。反応器へのブタジエンの供給量が790gになった時点でブタジエンのシクロヘキサン溶液の供給を中止したが,供給時間は,約5分間,重合時の最高温度は,90℃に達した。約15分後のブタジエンの転化率はほぼ100%であった。
得られたポリマーの平均ビニル結合含量は、29重量%であった。
その後,実施例1と同様に水添反応を行った。得られた水添重合体(ポリマー12)の特性を表−1に示した。また,水添されたビニル結合量と結晶化ピーク温度の関係を図3に示した。
[実施例5]
n−ブチルリチウムの添加量を7.9mlに変更し,且つカップリング反応を行わない以外は、実施例4と同様の方法で重合反応を行い、重合体を得た。得られたポリマーの平均ビニル結合含量は、28重量%であり、ポリマー中のビニル結合含量の差は5重量%以下であった。その後,実施例4と同様の方法で水添反応を行い、水添重合体(ポリマー13)を得た。その水添重合体は,重量平均分子量が7.2万,分子量分布が1.1であり、水添率は99%であった。
n−ブチルリチウムの添加量を2.8mlに変更する以外は同様にして,高分子量の水添重合体(ポリマー14)を得た。その水添重合体は,重量平均分子量が31.0万,分子量分布が1.1であり、水添率は99%であった。
ポリマー13のシクロヘキサン溶液とポリマー14のシクロヘキサン溶液を50%/50%で溶液ブレンドした後,脱溶剤を行い,重合体の物性測定を行った。その結果を表−1に示した。また,水添されたビニル結合量と結晶化ピーク温度の関係を図3に示した。
[比較例9]
下記の方法により、ビニル結合含量の異なるセグメントからなり、ビニル結合含量の差が本発明の範囲を超える水添重合体を得た。
まず、第一番目の反応として、内容積が10L、L/D4の攪拌装置及びジャケット付き槽型反応器に、シクロヘキサン3.3L、n−ブチルリチウム濃度が15重量%のシクロヘキサン溶液を13.4ml、N,N,N’,N’−テトラエチレンジアミンをn−ブチルリチウム1モルに対して0.02モルの比率になるように添加した。その後、反応器の内部温度を90℃に設定し、ブタジエン濃度が30重量%のシクロヘキサン溶液を120ml/分の速度で反応器に供給して重合した。反応器の内部温度はジャケット温度で調整し、内部温度が90±3℃になるようにした。反応器へのブタジエンの供給量が395gになった時点でブタジエンのシクロヘキサン溶液の供給を中止した。約15分後のブタジエンの転化率はほぼ100%であった。得られたポリマーのビニル結合含量は、15重量%であった。
次に、第二段目の反応として、上記のポリマー溶液にN,N,N’,N’−テトラエチレンジアミンをn−ブチルリチウム1モルに対して0.5モルの比率になるように添加した後、反応器の内部温度を90±3℃に保ちながら、ブタジエン濃度が30重量%のシクロヘキサン溶液を120ml/分の速度で反応器に供給して重合した。反応器へ追添したブタジエンの供給量が395gになった時点でブタジエンのシクロヘキサン溶液の供給を中止した。約15分後のブタジエンの転化率はほぼ100%であった。得られたポリマーの平均ビニル結合含量は、28重量%であり、第二段目で形成されたブタジエン部分のビニル含量は41重量%であった。
その後、実施例4と同様の方法で水添反応を行い、水添重合体(ポリマー15)を得た。その水添重合体は,重量平均分子量が7.6万,分子量分布が1.1であり、水添率は99%であった。
n−ブチルリチウムの添加量を変更すること以外は同様にして,高分子量の水添重合体(ポリマー16)を得た。その水添重合体は,重量平均分子量が31.6万,分子量分布が1.1であり、水添率は99%であった。
ポリマー15のシクロヘキサン溶液とポリマー16のシクロヘキサン溶液を50%/50%で溶液ブレンドした後,脱溶剤を行い,重合体の物性測定を行った。その結果を表−1に示した。また,水添されたビニル結合量と結晶化ピーク温度の関係を図3に示した。
[比較例10]
まず、第一番目の反応として、内容積が10L、L/D4の攪拌装置及びジャケット付き槽型反応器に、シクロヘキサン3.7L、n−ブチルリチウム濃度が15重量%のシクロヘキサン溶液を13.4ml、N,N,N’,N’−テトラエチレンジアミンをn−ブチルリチウム1モルに対して0.02モルの比率になるように添加した。その後、反応器の内部温度を90℃に設定し、ブタジエン濃度が30重量%のシクロヘキサン溶液を120ml/分の速度で反応器に供給して重合した。反応器の内部温度はジャケット温度で調整し、内部温度が90±3℃になるようにした。反応器へのブタジエンの供給量が395gになった時点でブタジエンのシクロヘキサン溶液の供給を中止した。約15分後のブタジエンの転化率はほぼ100%であった。得られたポリマーのビニル結合含量は、15重量%であった。
次に、第二段目の反応として、上記のポリマー溶液にN,N,N’,N’−テトラエチレンジアミンをn−ブチルリチウム1モルに対して0.5モルの比率になるように添加した後、反応器の内部温度を90±3℃に保ちながら、ブタジエン濃度が30重量%のシクロヘキサン溶液を120ml/分の速度で反応器に供給して重合した。反応器へ追添したブタジエンの供給量が395gになった時点でブタジエンのシクロヘキサン溶液の供給を中止した。約15分後のブタジエンの転化率はほぼ100%であった。重合反応終了後、反応器に四塩化ケイ素をn−ブチルリチウム1モルに対して1/4モルの比率になるような量で添加してカプリング反応させた。
得られたポリマーの平均ビニル結合含量は、29重量%であり、第二段目で形成されたブタジエン部分のビニル含量は43重量%であった。
その後、実施例4と同様の方法で水添反応を行い、水添重合体(ポリマー17)を得た。その水添重合体の特性を表−1に示した。また,水添されたビニル結合量と結晶化ピーク温度の関係を図3に示した。
[実施例6]
実施例1においてn−ブチルリチウムの供給量をブタジエン100gに対して0.42gになるように変更した以外は実施例1と同様の方法で連続重合を行った。重合反応終了後のポリマー溶液に四塩化ケイ素をn−ブチルリチウム1モルに対して1/4モルの比率になるような量で連続的に添加してカップリング反応させた。次に水添触媒Iを使用して実施例1と同様に水添反応を行った。得られた水添重合体(ポリマー18)の特性を表−1に示した。また,水添されたビニル結合量と結晶化ピーク温度の関係を図3に示した。
[実施例7]
実施例1においてブタジエン濃度が20重量%のシクロヘキサン溶液の代わりにブタジエンとスチレンを97.5/2.5の重量比率で含有するシクロヘキサン溶液(モノマー濃度は20重量%)を使用し、n−ブチルリチウム量の供給量をブタジエン100gに対して0.09gになるように、またN,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミンの供給量を0.20モル/Liになるように変更した以外は、実施例1と同様の方法で連続重合及び水添反応を行った。得られた水添重合体(ポリマー19)の特性を表−1に示した。また,水添されたビニル結合量と結晶化ピーク温度の関係を図3に示した。
[実施例8]
カップリング剤として1,3−ビス(N,N’−ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサンを用いる以外は実施例4と同様な方法で水添重合体(ポリマー20)を得た。実施例4と同様に優れた性能のポリマーが得られた。
[実施例9〜13及び比較例11〜13]
表−2に示した水添重合体15重量%,上記市販ポリプロピレン樹脂▲1▼75重量%,上記タルク10重量%の重合体組成物を作製し、射出成形品の物性を測定し、その結果を表−2に示した。
[実施例14及び15]
表−3に示した水添重合体10重量%,上記市販ポリプロピレン樹脂▲1▼70重量%,上記ゴム状重合体10重量%,上記タルク10重量%の重合体組成物を作製し、射出成形品の物性を測定し、その結果を表−3に示した。
[比較例14]
表−3に示した上記市販ポリプロピレン樹脂▲1▼70重量%,上記ゴム状重合体20重量%,上記タルク10重量%の重合体組成物を作製し、射出成形品の物性を測定し、その結果を表−3に示した。
[実施例16]
ポリマー1を無水マレイン酸で変性した変性ポリマーを次のように作製した。
100重量部のポリマー1に対して、2.5重量部の無水マレイン酸と0.2重量部の2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン(パーヘキサ25B:日本油脂製)とを混合した後、30mmφの二軸ベント押出機に供給し、温度230℃で変性反応した。得られた変性ポリマー中の無水マレイン酸の付加量はポリマー100重量部当たり1.5重量部であった。(ポリマー21とする)
得られた変性重合体(ポリマー21)90重量部と上記市販ポリアミド樹脂10重量部を二軸押出機で混練し重合体組成物を作製した。その組成物のアイゾット衝撃強度は、225J/mであった。
[実施例17〜19]
実施例1と同様の方法で得られたリビングポリマーに末端変性剤として、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、無水マレイン酸、エチレンオキシドをそれぞれ使用したn−ブチルリチウム1モルに対して1モルの比率になるような量で添加してリビングポリマー末端を変性した後、実施例1と同様の方法で水添反応して末端変性水添重合体(ポリマー22,23,24)を得た。
[実施例20,21及び比較例15〜18]
表−4に示した水添重合体,上記市販ポリプロピレン樹脂▲2▼の組成物からなるフィルムを作製し、フィルム物性を測定した。その結果を表−4に示した。
[実施例22]
ポリマー2(水添重合体)30重量部と上記市販ゴム状重合体▲2▼の水素添加ブロック共重合体40重量部,エチレン−オクテンゴム30重量部からなるシートを作製し,物性を測定した。シートの硬度が73,引張強度が260kg/cm2,伸びが800%,ヘイズが2.0%,であった。
産業上の利用可能性
本発明の水添重合体は、生産適性が良好で、機械的強度、耐熱性、耐候性及び加工性に優れる。さらに本発明の水添重合体を他の熱可塑性樹脂やゴム状重合体とブレンドした組成物は、耐衝撃性や成形加工性に優れる。これらの特徴を生かして、射出成形、押出成形などによって各種形状の成型品に加工でき、自動車部品(自動車内装材料、自動車外装材料),各種容器、家電用品、医療機器部品、工業部品、玩具等に用いることができる。
また,本発明の水添重合体を含有するフィルム又はシートは,耐衝撃性と透明性に優れる。これらの特徴を生かして、食品包装,日用雑貨包装,衣料包装用等のフィルムをはじめ,冷菓食品容器等のシート用途などの幅広い用途に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
図1は、重合温度とビニル結合含量の関係を示す説明図である。
図2は、実施例1の水添重合体のDSCチャートとその結晶化ピーク温度を示す。
図3は、各実施例,比較例の水添重合体の水添されたビニル結合量と結晶化ピーク温度の関係を示す。
Claims (8)
- 平均ビニル結合含量が20重量%以上40重量%未満の共役ジエン重合体の共役ジエン部分の二重結合残基の85%以上が水添された水添物であって,
(1)結晶化ピーク温度と水添されたビニル結合含量の関係が下記式を満たし
−2.8V+100<T<−2.8V+130
(ここで,T:DSC測定による結晶化ピーク温度(℃)
V:水添されたビニル結合含量(%) )
(2)重量平均分子量が6万〜60万、
(3)分子量分布が1.55〜5.0、
であることを特徴とする水添重合体。 - 結晶化ピーク温度と水添されたビニル結合含量の関係が
−2.8V+105<T<−2.8V+125
を満たすことを特徴とする請求項1項に記載の水添重合体。 - 平均ビニル結合含量が20重量%以上40重量%未満の共役ジエン重合体であり、該重合体鎖中におけるビニル結合含量の最大値と最小値との差が10重量%未満である共役ジエン重合体の水添物であることを特徴とする請求項2項に記載の水添重合体。
- (a)平均ビニル結合含量が20重量%以上40重量%未満の共役ジエン重合体の共役ジエン部分の二重結合残基の85%以上が水添された水添物であって,
(1)結晶化ピーク温度と水添されたビニル結合含量の関係が下記式を満たし
−2.8V+100<T<−2.8V+130
(ここで,T:DSC測定による結晶化ピーク温度(℃)
V:水添されたビニル結合含量(%) )
(2)重量平均分子量が6万〜60万、
(3)分子量分布が1.55〜5.0、
である水添重合体 1〜99重量部
(b)(b−1)熱可塑性樹脂及び/又は(b−2)ゴム状重合体 99〜1重量部
からなる重合体組成物。 - (b−1)熱可塑性樹脂を少なくとも3重量部含むことを特徴とする請求項4項に記載の重合体組成物。
- (b)が(b−2)ゴム状重合体であり,且つ組成物中に少なくとも3重量部含むことを特徴とする請求項4項に記載の重合体組成物。
- メルトフロー比が4〜30である請求項1に記載の水添重合体。
- 請求項1に記載の水添重合体を含有するフィルム又はシート。
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