JP2010138296A - ポリフェニレンエーテル系架橋組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】良好な耐熱性、高機械強度、耐永久伸びに優れた熱可塑性ポリフェニレンエーテル系架橋組成物およびその成型体を提供する。
【解決手段】(A)ポリフェニレンエーテル、(B)アルキレン単位とビニル芳香族単量体単位を主体とする共重合体ブロック又は共役ジエン単位とビニル芳香族単量体単位を主体とする水添共重合体ブロックを少なくとも有するブロック共重合体、及び(C)架橋用重合体を少なくとも含む組成物であって、溶融混合下で架橋されたポリフェニレンエーテル系架橋組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は、自動車部品、土木・建築用途、家電部品、スポーツ用品、雑貨品、文房具をはじめとする種々の成形品やその他の広範な用途に極めて有効に使用することができ、耐熱性、高機械強度、耐永久伸びに優れた熱可塑性のポリフェニレンエーテル系架橋組成物に関する。
近年、ゴム弾性を有する軟質材料であって、加硫工程を必要とせず、熱可塑性樹脂と同様に成形加工およびリサイクルが可能な熱可塑性エラストマーが、自動車部品、家電部品、電線被覆、医療用部品、雑貨、履物などの分野で多用されている。
しかしながら、一般的な熱可塑性エラストマーは、常温でゴム弾性を有し且つ加熱により可塑化・溶融して成型加工を容易に行うことができるものの、耐熱性、機械物性、耐永久伸びが十分ではない。
そこで、特許文献1や2などには、ポリフェニレンエーテルと水添スチレン系エラストマーの混合物が提案されているが、必ずしも十分な性能を有するものでは無かった。
これらを改良するため、非特許文献1のような、ポリフェニレンエーテル、水添ポリスチレンポリブタジエンブロック共重合体及び架橋されたエチレン酢酸ビニル共重合体からなる組成物が提案されている。しかしながら、分散状態が粗く、機械物性や耐永久伸びが必ずしも十分では無かった。
特開2000−7908号公報 特開2003−82224号公報 Samik Gupta et al.,J.Nanosci.Nanotechnol. 2008,Vol8,No.4,p.2114−2126
本発明は、良好な耐熱性、高機械強度、耐永久伸びに優れた熱可塑性ポリフェニレンエーテル系架橋組成物およびその成型体を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意検討を重ねた結果、ポリフェニレンエーテル、特定のビニル芳香族単量体単位を含んだブロック共重合体および架橋用重合体を、溶融混合下で動的に架橋することで、上記課題を効果的に解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、下記の通りである。
(1)ポリフェニレンエーテル(A)、アルキレン単位とビニル芳香族単量体単位を主体とする共重合体ブロック又は共役ジエン単量体単位とビニル芳香族単量体単位を主体とする水添共重合体ブロックを少なくとも有するブロック共重合体(B)、及び架橋用重合体(C)とを含む組成物であって、溶融混合下で架橋されていることを特徴とするポリフェニレンエーテル系架橋組成物。
(2)前記ブロック共重合体(B)中のビニル芳香族単量体単位の含有量が、30質量%以上であることを特徴とする(1)に記載のポリフェニレンエーテル系架橋組成物。
(3)前記ブロック共重合体(B)が、ビニル芳香族単量体単位を主体とするブロックを5質量%以上含有することを特徴とする(2)に記載のポリフェニレンエーテル系架橋組成物。
(4)前記ブロック共重合体(B)が、共役ジエン単量体単位とビニル芳香族単量体単位を主体とする水添共重合体ブロックを有するブロック共重合体であることを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載のポリフェニレンエーテル系架橋組成物。
(5)前記ブロック共重合体(B)は、水添前の共役ジエン単量体単位中に含まれる不飽和結合のうち、95mol%を越えた量を水添されていることを特徴とする(4)に記載のポリフェニレンエーテル系架橋組成物。
(6)ポリアミド樹脂を更に含有することを特徴とする(1)〜(5)のいずれかに記載のポリフェニレンエーテル系架橋組成物。
(7)少なくとも、ポリフェニレンエーテル(A)、アルキレン単位とビニル芳香族単量体単位を主体とする共重合体ブロック又は共役ジエン単量体単位とビニル芳香族単量体単位を主体とする水添共重合体ブロックを少なくとも有するブロック共重合体(B)及び架橋用重合体(C)の溶融混合下に、架橋剤(D)を添加して、架橋用重合体(C)を架橋することを特徴とするポリフェニレンエーテル系架橋組成物の製造方法。
本発明の熱可塑性のポリフェニレンエーテル系架橋組成物は、良好な耐熱性、高機械強度、耐永久伸びの特性を有する。
以下本発明について具体的に説明する。
本発明のポリフェニレンエーテル系架橋組成物は、ポリフェニレンエーテル(A)、アルキレン単位とビニル芳香族単量体単位を主体とする共重合体ブロック又は共役ジエン単量体単位とビニル芳香族単量体単位を主体とする水添共重合体ブロックを少なくとも有するブロック共重合体(B)、及び架橋用重合体(C)を少なくとも含む組成物を、溶融混合下で動的に架橋して得られる。
ポリフェニレンエーテル(A)としては、次に示す一般式〔a〕、〔b〕を繰り返し単位とする単独重合体、あるいは共重合体が使用できる(式中、R1,R2,R3,R4,R5,R6は炭素数1〜4のアルキル基、アリール基、ハロゲン原子、水素原子等の一価の残基であり、R5,R6は同時に水素原子ではない)。
Figure 2010138296
ポリフェニレンエーテルの単独重合体の代表例としては、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−メチル−6−エチル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2,6−ジエチル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−エチル−6−n−プロピル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2,6−ジ−n−プロピル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−メチル−6−n−ブチル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−エチル−6−イソプロピル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−メチル−6−クロロエチル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−メチル−6−ヒドロキシエチル−1,4−フェニレン)エーテル等のホモポリマーが挙げられる。
ポリフェニレンエーテルの共重合体の例としては、2,6−ジメチルフェノールと2,3,6−トリメチルフェノールとの共重合体あるいはo−クレゾールとの共重合体あるいは2,3,6−トリメチルフェノールとo−クレゾールとの共重合体等、フェニレンエーテル構造を主体としてなるポリフェニレンエーテル共重合体が挙げられる。
また、ポリフェニレンエーテル中には、本発明の主旨に反しない限り、従来ポリフェニレンエーテル中に存在させてもよいことが提案されている他の種々のフェニレンエーテル構造を部分的に含んでいても構わない。少量共存させることが提案されているものの例としては、特開昭63−301222号公報等に記載されている、2−(ジアルキルアミノメチル)−6−メチルフェニレンエーテルユニットや、2−(N−アルキル−N−フェニルアミノメチル)−6−メチルフェニレンエーテルユニット等が挙げられる。
また、ポリフェニレンエーテルの主鎖中にジフェノキノン等が少量結合したものも含まれる。さらに、例えば特開平2−276823号公報、特開昭63−108059号公報、特開昭59−59724号公報等に記載されている、炭素−炭素二重結合を持つ化合物により変性されたポリフェニレンエーテルも含む。
更に、これらのポリフェニレンエーテルに、スチレン化合物がグラフトした共重合体であってもよい。例えば、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、クロロスチレンなどをポリフェニレンエーテルにグラフト重合させて得られる共重合体が挙げられる。
また、ポリフェニレンエーテルは、極性基を有する変性剤により変性されていてもかまわない。ここでいう変性されたポリフェニレンエーテルとは、分子構造内に少なくとも1個の炭素−炭素二重結合又は三重結合、あるいは少なくとも1個のカルボン酸基、酸無水物基、アミノ基、水酸基あるいはグリシジル基等を有する、少なくとも1種の変性化合物で変性されたポリフェニレンエーテルを指す。
ポリフェニレンエーテルの数平均分子量は、耐熱性や機械強度の点で、2000以上が好ましく、生産性の点で、40000以下が好ましい。10000〜40000の範囲がより好ましく、20000〜30000の範囲がさらに好ましい。混合物の数平均分子量が上記の範囲であれば、加工性等を改良するために、数平均分子量の異なる2種類以上を混合しても良い。
ポリフェニレンエーテル系架橋組成物中のポリフェニレンエーテル(A)の含有量は、耐熱性や機械強度の点で、5質量%以上、柔軟性や加工性の点で、60質量%以下が好ましい。10質量%以上、45質量%以下の範囲がより好ましく、13質量%以上、30質量%以下の範囲がさらに好ましい。
ポリフェニレンエーテルの加工性等の改良を目的に、スチレン樹脂及び/又はオレフィン樹脂を添加することができる。
これらは、ポリフェニレンエーテル系架橋組成物の各成分を混練する前に、ポリフェニレンエーテルと予め混合することが好ましい。
スチレン樹脂とは、スチレン化合物あるいはスチレン化合物と共重合可能な化合物をゴム質重合体の存在下または非存在下に重合して得られる重合体である。
スチレン化合物の具体例は、スチレン、α−メチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、モノクロロスチレン、p−メチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、エチルスチレン等が挙げられる。また、スチレン化合物と共重合可能な化合物としては、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート等のメタクリル酸エステル類;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等の不飽和ニトリル化合物類;無水マレイン酸等の酸無水物等が挙げられる。
また、ゴム質重合体としては共役ジエン系ゴム、共役ジエンと芳香族ビニル化合物のコポリマーまたはこれらの水添物あるいはエチレン−プロピレン共重合体系ゴム等が挙げられる。好適なスチレン樹脂はポリスチレンおよびゴム強化ポリスチレンである。
オレフィン樹脂とは、公知のものであり、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレン、ポリイソブチレン等のオレフィン系モノマーの単独重合体やエチレン−プロピレン系共重合体、エチレン−エチルアクリレート共重合体等のオレフィン系モノマーを含む共重合体等が挙げられる。好適なオレフィン樹脂は低結晶性ポリプロピレンおよびエチレン−プロピレン系共重合体である。
ポリフェニレンエーテル系架橋組成物中のスチレン樹脂及び/又はオレフィン樹脂の含有量は、加工性の改良や経済性の点で、5質量%以上が好ましく、機械物性の点で、30質量%以下が好ましい。
ブロック共重合体(B)は、少なくとも、アルキレン単位とビニル芳香族単量体単位を主体とする共重合体ブロック又は共役ジエン単量体単位とビニル芳香族単量体単位を主体とする水添共重合体ブロックを有するブロック共重合体である。このようなブロック共重合体を用いることにより、得られるポリフェニレンエーテル系架橋組成物は、例えば、アルキレン単位からなる重合体ブロックとビニル芳香族単量体単位からなる重合体ブロックからなるブロック共重合体を用いた場合よりも、良好な機械強度、耐永久伸びを示す。
本実施の形態において、共重合体を構成する各単量体単位の命名は、該単量体単位が由来する単量体の命名に従っている。例えば、「ビニル芳香族単量体単位」とは、単量体であるビニル芳香族化合物を重合した結果生ずる、重合体の構成単位を意味し、その構造は、置換ビニル基に由来する置換エチレン基の二つの炭素が結合部位となっている分子構造である。また、「共役ジエン単量体単位」とは、単量体である共役ジエンを重合した結果生ずる、重合体の構成単位を意味し、その構造は、共役ジエン単量体に由来するオレフィンの二つの炭素が結合部位となっている分子構造である。
本実施の形態において、「主体とする」とは、共重合体中、単量体単位を60質量%以上含有することを意味する。単量体単位を80質量%以上含有することが好ましく、90質量%以上含有することがより好ましく、95質量%以上含有することがさらに好ましい。
ビニル芳香族単量体とは、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、ジビニルベンゼン、1,1−ジフェニルエチレン、N,N−ジメチル−p−アミノエチルスチレン、N,N−ジエチル−p−アミノエチルスチレン等のビニル芳香族化合物が挙げられ、これらは一種または二種以上を使用してもよい。この中でも、経済性の点で、スチレンが好ましい。
共役ジエン単量体は、1対の共役二重結合を有するジオレフィンであり、例えば、1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン(イソプレン)、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、2−メチル−1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエン等が挙げられる。好ましくは、1,3−ブタジエン、イソプレンが挙げられる。これらは一種または二種以上を使用してもよい。1,3−ブタジエンとイソプレンの中では、機械強度の観点から、1,3−ブタジエンを主体とするのがより好ましい。
アルキレン単位とは、エチレン単位、プロピレン単位、ブチレン単位、ヘキシレン単位およびオクチレン単位等のモノオレフィン単位を示し、このなかでも、エチレン単位、プロピレン単位およびブチレン単位が経済性の点で好ましい。これらは一種または二種以上を使用してもよい。
ブロック共重合体(B)の重合方法としては、特に限定はされないが、配位重合、アニオン重合またはカチオン重合などの重合方法が挙げられる。
アニオン重合のブロック共重合体の製造方法としては、公知の方法でよく、例えば特公昭36−19286号公報、特公昭43−17979号公報、特公昭46−32415号公報、特公昭49−36957号公報、特公昭48−2423号公報、特公昭48−4106号公報、特公昭56−28925号公報、特開昭59−166518号公報、特開昭60−186577号公報等に記載された方法が挙げられる。
アルキレン単位とビニル芳香族単量体単位を主体とする共重合体ブロック又は共役ジエン単量体単位とビニル芳香族単量体単位を主体とする水添共重合体ブロックにおいて、共重合体ブロック中のビニル芳香族単量体単位の含有量は、30質量%〜80質量%であることが好ましい。生産性、加工性の点で30質量%以上であることが好ましく、柔軟性、ゴム的特性の点で80質量%以下であることが好ましい。
ブロック共重合体(B)中の前記共重合体ブロックの含有量は、5質量%〜95質量%であることが好ましい。ポリフェニレンエーテル(A)との相溶性の点で5質量%以上が好ましく、ベタツキ、ポリマーの融着(ブロッキング)の点で95質量%以下が好ましい。
ブロック共重合体(B)中のビニル芳香族単量体単位の含有量は、耐熱性や分散性の点で、30質量%以上であることが好ましい。40質量%以上がより好ましく、50質量%以上がさらに好ましく、60質量%以上が最も好ましい。機械物性の点で、98質量%以下が好ましく、95質量%以下がより好ましく90質量%以下が更に好ましい。
ブロック共重合体(B)は、機械強度の点で、ビニル芳香族単量体単位を主体とするブロックを5質量%以上、柔軟性の点で、40質量%以下含有することが好ましい。10質量%以上、35質量%以下がより好ましく、13質量%以上、30質量%以下がさらに好ましい。
ここで、ブロック共重合体中のビニル芳香族単量体単位を主体とするブロックの含有量は、四酸化オスミウムを触媒として水素添加前の共重合体をターシャリーブチルハイドロパーオキサイドにより酸化分解する方法(I.M.KOLTHOFF,etal.,J.Polym.Sci.1,429(1946)に記載の方法、以下、「四酸化オスミウム酸法」ともいう。)により得たビニル芳香族化合物重合体ブロックの重量(但し平均重合度が約30以下のビニル芳香族化合物重合体は除かれている)を用いて、次の式で定義される。
ビニル芳香族単量体単位を主体とするブロックの含有量(質量%)
=(水素添加前の共重合体中のビニル芳香族化合物重合体ブロックの質量/水素添加前の共重合体の質量)×100
ブロック共重合体(B)は、構造制御の容易さの点で、アニオン重合が好ましく、少なくとも、共役ジエン単量体単位とビニル芳香族単量体単位を主体とする水添共重合体ブロックを有するブロック共重合体が好ましい。
共重合体中に重合体ブロックが複数存在している場合には、各々の分子量や組成等の構造は同一であってもよく異なっていてもよい。
各ブロックの境界や最端部は必ずしも明瞭に区別される必要はない。
各重合体ブロック中のビニル芳香族単量体単位の分布は、前記ビニル芳香族化合物含有量の範囲ならば限定されず、均一に分布していても、テーパー状、階段状、凸状、あるいは凹状に分布していてもよい。また、重合体ブロック中に、結晶部が存在していてもよい。
各共重合体ブロック中には、ビニル芳香族単量体単位含有量の異なるセグメントが複数個共存していてもよい。
各ブロック中の共役ジエン単量体単位のビニル単位の分布は特に限定されないが、分布があってもよい。ビニル単位の分布を調整する方法としては、重合中にビニル化剤を添加する、重合中の温度を変化させる等が挙げられる。また、共役ジエン単量体単位の水素添加率には分布があってもよい。水素添加率の分布は、ビニル単位の分布を変更する、あるいは、イソプレンとブタジエンを共重合した後に、以下に記載する触媒を用いて水素添加し、イソプレン単位とブタジエン単位の水素添加速度の差を利用する方法等により制御することができる。
ブロック共重合体(B)は、耐熱性、耐老化性、耐候性の点で、水添前の共役ジエン単量体単位中に含まれる不飽和結合のうち、95mol%を越えた量を水添することが好ましい。97mol%以上水添されていることがさらに好ましい。水添率の上限は100mol%未満が好ましい。共役ジエン単量体単位とビニル芳香族単量体単位を主体とする水添共重合体ブロックの不飽和結合部分を100mol%水添するとアルキレン単位とビニル芳香族単量体単位を主体とする共重合ブロックと同等の構造となる。
水添触媒としては、特に制限されず、従来から公知である(1)Ni、Pt、Pd、Ru等の金属をカーボン、シリカ、アルミナ、ケイソウ土等に担持させた担持型不均一系水添触媒、(2)Ni、Co、Fe、Cr等の有機酸塩又はアセチルアセトン塩などの遷移金属塩と有機アルミニュウム等の還元剤とを用いる、いわゆるチーグラー型水添触媒、(3)Ti、Ru、Rh、Zr等の有機金属化合物等のいわゆる有機金属錯体等の均一系水添触媒が用いられる。具体的な水添触媒としては、特公昭42-8704号公報、特公昭43-6636号公報、特公昭63-4841号公報、特公平1-37970号公報、特公平1-53851号公報、特公平2-9041号公報に記載された水添触媒を使用することができる。好ましい水添触媒としてはチタノセン化合物及び/又は還元性有機金属化合物との混合物が挙げられる。チタノセン化合物としては、特開平8−109219号公報に記載された化合物が使用できるが、具体例としては、ビスシクロペンタジエニルチタンジクロライド、モノペンタメチルシクロペンタジエニルチタントリクロライド等の(置換)シクロペンタジエニル骨格、インデニル骨格あるいはフルオレニル骨格を有する配位子を少なくとも1つ以上もつ化合物があげられる。また、還元性有機金属化合物としては、有機リチウム等の有機アルカリ金属化合物、有機マグネシウム化合物、有機アルミニウム化合物、有機ホウ素化合物あるいは有機亜鉛化合物等があげられる。
ブロック共重合体(B)中の水素添加前に含まれる共役ジエン単量体単位中のビニル単位含有量は、柔軟性、耐傷付性の点で、5mol%以上が好ましく、製造性、高い破断伸び性、耐傷付性の点で、70mol%以下が好ましい。10mol%以上、50mol%以下の範囲がより好ましく、10mol%以上、30mol%以下の範囲がさらに好ましく、10mol%以上、25mol%以下の範囲が最も好ましい。
ビニル単位含有量とは、水素添加前の共役ジエンの1,2−結合、3,4−結合及び1,4−結合の結合様式で組み込まれているうちの、1,2−結合及び3,4−結合で組み込まれているものの割合を意味する。
必要に応じて、ブロック共重合体(B)中に、極性基含有原子団を有してもよい。極性基としては、例えば、水酸基、カルボキシル基、カルボニル基、チオカルボニル基、酸ハロゲン化物基、酸無水物基、チオカルボン酸基、アルデヒド基、チオアルデヒド基、カルボン酸エステル基、アミド基、スルホン酸基、スルホン酸エステル基、リン酸基、リン酸エステル基、アミノ基、イミノ基、ニトリル基、ピリジル基、キノリン基、エポキシ基、チオエポキシ基、スルフィド基、イソシアネート基、イソチオシアネート基、ハロゲン化ケイ素基、アルコキシケイ素基、ハロゲン化スズ基、ボロン酸基、ホウ素含有基、ボロン酸塩基、アルコキシスズ基、フェニルスズ基等が挙げられる。
ポリフェニレンエーテル系架橋組成物中のブロック共重合体(B)の含有量は、耐熱性や柔軟性の点で、10質量%以上であることが好ましく、流動性や機械強度の点で、70質量%以下であることが好ましい。20〜60質量%の範囲であることがより好ましい。
ブロック共重合体(B)の重量平均分子量は、高い接着性および耐久性を実現する観点から、好ましくは5万以上であり、成型性の観点から、好ましくは40万以下である。5万〜30万の範囲であることがより好ましく、10万〜25万の範囲であることがさらに好ましい。分子量分布(=重量平均分子量/数平均分子量)は小さい方が好ましい。
重量平均分子量は、実施例に記載した条件でゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC)により求めた値である。
架橋用重合体(C)は、溶融条件下で動的に架橋できるものなら、限定されない。具体的には、1)不飽和カルボン酸又はその誘導体を付加した重合体、2)不飽和基を有する重合体、3)エチレン酢酸ビニル共重合体等が挙げられる。
不飽和基を有する重合体としては、例えば、共役ジエン単量体単位を含む重合体が挙げられる。不飽和基の一部は水添されていても良いが、架橋性を発現するために、水添率は、水添前の共役ジエン中に含まれる不飽和基の95mol%以下であることが好ましい。
この中でも、機械強度の点で架橋用重合体(C)は、重合体分子の両末端部に不飽和基を有するものが好ましい。末端部とは、分子末端から、分子量の20%分の長さまでの範囲を指す。
不飽和基を有する重合体の具体例としては、スチレン−ブタジエン−スチレン共重合体(SBS)や、SBSの一部を水素添加したスチレン−ブタジエン・ブチレン−スチレン共重合体(SBBS)、さらには第3成分としてジエンを含有しているエチレン・プロピレン・ジエン三元共重合体(EPDM)などが挙げられる。
ポリフェニレンエーテル系架橋組成物中の架橋用重合体(C)の含有量は、耐永久伸びの点で、10質量%以上、機械強度の点で、75質量%以下が好ましい。25質量%以上70質量%以下がより好ましい。35質量%以上、60質量%以下がさらに好ましい。
本発明のポリフェニレンエーテル系架橋組成物は、ポリフェニレンエーテル(A)、ブロック共重合体(B)および架橋用重合体(C)の溶融混合下に、架橋剤(D)を添加して、少なくとも架橋用重合体(C)を架橋して製造することが好ましい。
ポリフェニレンエーテル(A)やブロック共重合体(B)も架橋しても良いが、耐熱性、耐永久伸び、機械強度の点で、架橋用重合体(C)は、ポリフェニレンエーテル(A)やブロック共重合体(B)より、架橋速度が早く、連続相を形成しない(島状に分散する)ことが好ましい。
架橋用重合体(C)と架橋剤(D)の好ましい組合せとしては、1)不飽和カルボン酸又はその誘導体を付加した重合体と、水酸基、アミノ基、イソシアネート基、エポキシ基から選ばれた官能基を二個以上有する化合物との組合わせや、2)不飽和基を有する重合体と、有機過酸化物、硫黄系化合物、フェノール樹脂系化合物、キノイド系化合物、ビスマレイミド系化合物、イソシアネート系化合物、チウラム系化合物、モルフォリンジスルフィド、及びヒドロシリコーン系化合物等からなる群から選ばれる架橋剤(D)との組合わせを挙げることができ、これらはステアリン酸、オレイン酸、ステアリン酸亜鉛、酸化亜鉛等の架橋助剤、共架橋剤、加硫促進剤等を併用することができる。架橋剤(D)の中でも、不飽和基に選択的に作用し、破断伸びの良好な点でフェノール樹脂系化合物、キノイド系化合物、ビスマレイミド系化合物が好ましい。また、電子線、放射線等による物理的架橋法も使用可能である。あるいは、3)エチレン酢酸ビニル共重合体と、ジブチル錫オキシドやテトラプロポキシシランなどの組合わせが挙げられるが、これらの中でも、不飽和基を有する重合体とフェノール樹脂系化合物による架橋系が好ましい。
ポリフェニレンエーテル系架橋組成物中の架橋剤(D)の含有量は、機械強度の点で、0.1質量%以上、同様に機械強度の点で、15質量%以下が好ましい。
機械強度や耐永久伸びの点で、組成物中の各成分の分散は細かい方がよく、このために、相溶化剤として、酸性基等の官能基を有する重合体を用いても良い。
相溶化剤の具体例として、タフテック−M(商品名、旭化成ケミカルズ(株)製)、アドマー(商品名、三井化学(株)製)、エポフレンド(商品名、ダイセル化学工業(株)製)等が上げられる。
耐溶剤性、加工性、摺動性、耐油性等の物性を改良するために、ポリアミド、ポリアセタール、ポリカーボネート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、超高分子量ポリエチレン、シンジオタクチックポリスチレン等を併用しても良い。
引張強度や伸びの点で、ポリフェニレンエーテルとポリアミド樹脂を併用するのが最も好ましい。
ポリアミド樹脂としては、アミンとジカルボン酸からなり、従来公知のものが好適に用いられ、特に限定されない。
アミンとしては、例えば、ヘキサメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、2-メチルペンタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、2-メチルオクタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、ウンデカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、メタキシリレンジアミン、2,2,4-トリメチル-1,6-ヘキサンジアミン、2,4,4-トリメチル-1,6-ヘキサンジアミン、2,4-ジエチル-1,6-ヘキサンジアミン、2,2-ジメチル-1,7-ヘプタンジアミン、2,3-ジメチル-1,7-ヘプタンジアミン、2,4-ジメチル-1,7-ヘプタンジアミン、2,5-ジメチル-1,7-ヘプタンジアミン、2-メチル-1,8-オクタンジアミン、3-メチル-1,8-オクタンジアミン、4-メチル-1,8-オクタンジアミン、1,3-ジメチル-1,8-オクタンジアミン、1,4-ジメチル-1,8-オクタンジアミン、2,4-ジメチル-1,8-オクタンジアミン、3,4-ジメチル-1,8-オクタンジアミン、4,5-ジメチル-1,8-オクタンジアミン、2,2-ジメチル-1,8-オクタンジアミン、3,3-ジメチル-1,8-オクタンジアミン、4,4-ジメチル-1,8-オクタンジアミン、5-メチル-1,9-ノナンジアミン、イソホロンジアミン、ノルボルナンジメチルアミン、トリシクロデカンジメチルアミン等を挙げることができ、これらのうち一種または二種以上を用いることができる。
ジカルボン酸としては、アジピン酸、オクタメチレンジカルボン酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸、ジメチルマロン酸、3,3-ジエチルコハク酸、2,2-ジメチルグルタル酸、2-メチルアジピン酸、トリメチルアジピン酸、1,3-シクロペンタンジカルボン酸、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸、2,7-ナフタレンジカルボン酸、1,4-ナフタレンジカルボン酸、1,4-フェニレンジオキシジ酢酸、1,3-フェニレンジオキシジ酢酸、ジフェン酸、4,4’-ビフェニルジカルボン酸、4,4’-オキシジ安息香酸、ジフェニルメタン-4,4’-ジカルボン酸、ジフェニルスルホン-4,4’-ジカルボン酸、デカメチレンジカルボン酸、ウンデカメチレンジカルボン酸、ドデカメチレンジカルボン酸等、アミノ酸として、ペンタメチレンアミノカルボン酸、デカメチレンアミノカルボン酸、ウンデカメチレンアミノカルボン酸等を挙げることができ、これらは一種又は二種以上を用いることができる。
また、ポリアミド樹脂を合成するラクタム類としては、カプロラクタム、ラウロラクタム等を好適に用いることができ、これらは一種又は二種以上を用いることができる。
得られるポリアミド樹脂の一例としては、ポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミド66/6、ポリアミド46、ポリアミド610、ポリアミド612、ポリアミド11、ポリアミド12、ポリアミド6I、ポリアミド6T、ポリアミド9T、ポリアミドMXD6、ポリアミド66/6I、ポリアミド66/6T、ポリアミド6T/6I、ポリアミド66/6I/6、ポリアミド66/6I/11、ポリアミド66/6I/12、ポリアミド 66/6I/610、ポリアミド 66/6I/612、ポリアミドM5T、ポリアミド9T、ポリアミド10T、ポリアミド12T等が挙げられ、これらは一種単独又は二種以上の混合物として用いることができる。
ポリアミド樹脂の重合反応方法は、一般的なポリアミドの重合方法であれば特に限定しない。通常、ジアミンとジカルボン酸とから重合する場合、アミンと酸の当量塩を作り、もしくは、別々に当量添加して縮重合反応する。ラクタムから重合する場合、開環触媒として、少量の水、アミノ酸、鉱酸等を添加し、縮重合反応する。モノマーもしくはモノマー水溶液を加熱し、水分を除去しながら重合を進める溶融重合は工業的に汎用されている。ここで、重合度コントロール剤として、アミンや酸を添加することは周知のことである。また、モノマーを密閉容器中、水の存在下加熱してオリゴマーをプレ重合し、これをニーダーもしくは押出機で後重合する方法もある。モノマーの種類によっては、モノマー段階から、ニーダーもしくは押出機で重合する方法もある。
ポリフェニレンエーテル系架橋組成物中のポリアミド樹脂の含有量は、機械強度の点で、5質量%以上、組成物の分散性や耐吸水性の点で、40質量%以下が好ましい。8質量%以上、30質量%以下がより好ましく、10質量%以上、25質量%以下がさらに好ましい。
ポリアミド樹脂は、ポリフェニレンエーテル系架橋組成物の各成分を混練する前に、ポリフェニレンエーテルと予め混合することが好ましい。
加工性や柔軟性のため、ゴム用軟化剤を用いても良い。ゴム用軟化剤としては、鉱物油系及び/又は合成樹脂系のいずれもが使用できる。鉱物油系軟化剤は、一般に芳香族系炭化水素、ナフテン系炭化水素およびパラフィン系炭化水素の混合物であって、パラフィン系炭化水素の炭素原子数が全炭素原子中の50%以上を占めるものがパラフィン系オイルと呼ばれ、一方ナフテン系炭化水素の炭素原子が30〜45%のものがナフテン系オイルと呼ばれ、また芳香族系炭化水素の炭素原子が35%以上のものが芳香族系オイルと呼ばれている。これらの中で、本発明において好適に用いられるゴム用軟化剤はパラフィン系オイルである。パラフィン系オイルとしては、40℃における動粘度が20〜800cst(センチストークス)、特に50〜600cstで、流動度が0〜−40℃、特に0〜−30℃、および引火点(COC法)が200〜400℃、特に250〜350℃のものが好ましく用いられ、また合成樹脂系軟化剤としては、ポリブテン、低分子量ポリブタジエン(水添有無)などを挙げることができる。
ポリフェニレンエーテル系架橋組成物中のゴム用軟化剤は、架橋用重合体(C)100質量部に対して上記ゴム用軟化剤を1〜300質量部の割合で任意に添加することができる。1〜200質量部がより好ましく、1〜100質量部がさらに好ましい。
ポリフェニレンエーテル系架橋組成物を製造する際の架橋の方法は特に制限なく、従来公知の方法が利用できるが、架橋方法として、溶融混合下で動的に架橋処理を行うことが好ましい。
動的な架橋例として、ポリフェニレンエーテル(A)、ブロック共重合体(B)および架橋用重合体(C)の溶融混合(共存)下に、架橋剤(D)を添加して、架橋用重合体(C)を架橋して製造する方法が好ましい。
動的な架橋により、架橋用重合体(C)の架橋体が分散相を形成し、ポリフェニレンエーテル(A)やブロック共重合体(B)からなる熱可塑性のマトリックスを形成することが好ましい。
装置としては、各成分を均一に混合し得る溶融混練装置のいずれもが使用でき、例えば単軸押出機、二軸押出機、ニーダー、バンバリーミキサーなどを挙げることができる。なかでも、混練中の剪断力が大きく連続運転が可能な二軸押出機を使用するのが好ましい。「溶融混練」とは組成物の融点以上の温度下で、組成物が溶融した状態での混合を意味し、好ましい温度としては100〜300℃であり、より好ましくは150〜270℃である。
ポリフェニレンエーテル系架橋組成物には、必要に応じて任意の充填材及び難燃剤を配合することができる。充填材及び難燃剤は極性樹脂やゴム状重合体の配合に一般的に用いられる物であれば特に制限はない。
充填剤としては例えば、シリカ、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、カーボンブラック、ガラス繊維、ガラスビーズ、ガラスバルーン、ガラスフレーク、グラファイト、酸化チタン、チタン酸カリウムウイスカー、カーボンファイバー、アルミナ、カオリンクレー、ケイ酸、ケイ酸カルシウム、石英、マイカ、タルク、クレー、ジルコニア、チタン酸カリウム、アルミナ、金属粒子等の無機充填剤、木製チップ、木製パウダー、パルプ等の有機充填剤を例示することができる。形状としては、鱗片状、球状、粒状、粉体、不定形状等特に制限は無い。これらは単独または複数を組み合わせて使用することが可能である。
充填剤、難燃剤は、シランカップリング剤等の表面処理剤であらかじめ表面処理を行ったタイプを使用することもできる。
ポリフェニレンエーテル系架橋組成物には、必要に応じてその他「ゴム・プラスチック配合薬品」(ラバーダイジェスト社編)などに記載された添加剤或いはこれらの混合物等を添加してもよい。
ポリフェニレンエーテル系架橋組成物は、成形品の表面に必要に応じて外観性向上、耐候性、耐傷つき性等向上等を目的として、印刷、塗装、シボ等の加飾等を行うことができる。印刷性、塗装性等を向上させる目的で表面処理を行う場合、表面処理の方法としては、特に制限は無く、物理的方法、化学的方法等を使用可能であり、例えば、コロナ放電処理、オゾン処理、プラズマ処理、火炎処理、酸・アルカリ処理等を挙げることができる。これらのうち、コロナ放電処理が実施の容易さ、コスト、連続処理が可能等の点から好ましい。
ポリフェニレンエーテル系架橋組成物は、良好な加工性、風合い、手触りなどを有しており、押出成形、射出成形、インサート成形、中空成形、プレス成形、真空成形などの各種成形方法によって、フイルム、シート、棒状物、管状物などの単純な形状の成形品から複雑な形状の成形品まで種々の形状の成形品を製造することができる。さらに、所望により各種添加剤を配合して様々な用途に用いることができ、その具体的例としては、自動車用途(例えば、フェンダー、フェーシア、ボンネット、タンクフラップ、その他の外装部品、および内装パネル等)、家電、スポーツ用品、工業部品、繊維、クッション材、緩衝材、グリップ、スイッチカバー、滑り止め、ロール、ガスケット、パッキン等の用途に好適に使用できる。
以下、実施例及び比較例によって本発明についてより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
以下の実施例において,重合体の特性や物性の測定は次のようにして行った。
I.水添ブロック共重合体の組成および構造評価
I−1)水添ブロック共重合体のスチレン含有量
水添前のブロック共重合体を用い、紫外分光光度計(島津製作所製、UV−2450)を用いて測定した。
I−2)水添ブロック共重合体のポリスチレンブロック含有量
水添前のブロック共重合体を用い、I.M.Kolthoff,etal.,J.Polym.Sci.1,429(1946)に記載の四酸化オスミウム酸分解法で測定した。共重合体の分解にはオスミウム酸0.1g/125ml第3級ブタノ−ル溶液を用いた。
I−3)水添ブロック共重合体のビニル結合量
水添前のブロック共重合体を用い、赤外分光光度計(日本分光社製、FT/IR−230)を用いて測定した。ブロック共重合体のビニル結合量はハンプトン法により算出した。
I−4)水添ブロック共重合体の分子量及び分子量分布
GPC〔装置:東ソー HLC−8220、カラム:TSKgel SuperH−RC×2本〕で測定した。溶媒にはテトラヒドロフランを用い、測定条件は、温度35℃で行った。重量平均分子量と数平均分子量が既知の市販の標準ポリスチレンを用いて作成した検量線を使用し、ポリスチレン換算した重量平均分子量を求めた。また、分子量分布は、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比である。
I−5)水添ブロック共重合体における共役ジエン単量体単位の二重結合の水添率、およびイソプレン含有量
水添後の水添ブロック共重合体を用い、核磁気共鳴装置(装置名:DPX−400;ド
イツ国、BRUKER社製)で測定した。
II.ポリフェニレンエーテル系架橋組成物の特性
II−1)引張強度
JIS K6251に準拠して、3号ダンベル、クロスヘッドスピード500mm/分で測定した。
II−2)破断伸び
JIS K6251に準拠して、3号ダンベル、クロスヘッドスピード500mm/分で測定した。
II−3)耐永久伸び
ASTM D 412―98に準拠して、100%伸長した状態で10分間保持した後、48時間後の試験片の寸法変化を測定した。
III.原料
III−1)ポリフェニレンエーテル(A)
(A−1)ポリフェニレンエーテル(PPE)
ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレン)エーテルパウダー (旭化成ケミカルズ(株)製)
(A−2)ポリフェニレンエーテル/ポリアミドアロイ(PPE/PA)
ポリフェニレンエーテル/ポリアミドアロイA0100(旭化成ケミカルズ(株)製)
III−2)ブロック共重合体(B)
(B−1)水添スチレンブロック共重合体:スチレン含有量62質量%、ブロックスチレン含有量20質量%、Mw19.5万)
(比較共重合体)水添スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(SEBS) タフテックH1041(商品名、旭化成ケミカルズ(株)製、スチレン含有量32%、Mw6万、共役ジエンの不飽和基に対する水添率は96mol%より大きい値)
III−3)架橋用重合体(C)
(C−1)エチレン・酢酸ビニルゴム LEVAPREN500(商品名、ランクセス(株)製)
(C−2)水添スチレンブロック共重合体(スチレン含有量30質量%、ブロックスチレン含有量30質量%、ブタジエン含有量67質量%、イソプレン含有量3質量%、Mw10.5万)
III−4)架橋剤(D)
(D−1)ジブチル錫オキシド+テトラプロポキシシラン(重量比=3/2)
(D−2)ポリメチロールフェノール樹脂+酸化亜鉛(重量比=7/1)
ポリメチロールフェノール樹脂:タッキロール250−1(商品名、田岡化学(株)製)
III−5)ポリスチレン
グレード名:HF77(PSジャパン(株)製)
<水添触媒の調製>
ブロック共重合体の水添反応に用いた水添触媒は下記の方法で調製した。
窒素置換した反応容器に乾燥、精製したシクロヘキサン1リットルを仕込み、ビスシクロペンタジエニルチタニウムジクロリド100ミリモルを添加し、十分に攪拌しながらトリメチルアルミニウム200ミリモルを含むn−ヘキサン溶液を添加して、室温にて約3日間反応させた。
<B−1:水添スチレン−ブタジエン/スチレン−スチレンの調製方法>
内容積が10Lの攪拌装置及びジャケット付き槽型反応器を洗浄、乾燥、窒素置換してバッチ重合を行った。はじめに、スチレン10質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)を投入した。次いでn−ブチルリチウムを全モノマ−100質量部に対して0.06質量部とN,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン(以下TMEDAとする)をn−ブチルリチウム1モルに対して0.40モル添加し、70℃で30分間重合した。その後スチレン42質量部およびブタジエン38質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)を加えて70℃で30分間重合した。最後にスチレン10質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)を投入して、70℃で30分間重合した。得られたポリマーは、スチレン含有量62質量%、ポリスチレンブロック含有量20.2質量%、ブタジエン含有量38質量%、ポリブタジエンブロック部のビニル結合量25質量%、ポリマー全体の分子量19.5万、ポリスチレンブロックの分子量1.9万、分子量分布1.03であった。
次に、得られたポリマーに、上記水添触媒をポリマー100質量部当たりチタンとして100ppm添加し、水素圧0.7MPa、温度65℃で水添反応を行った。その後メタノールを添加し、次に安定剤としてオクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネートを重合体100質量部に対して0.3質量部添加した。得られた水添ブロック共重合体(B−1)の水添率は、ブタジエンの水添率99%であった。
<C−2:水添イソプレン−スチレン−ブタジエン−スチレン−イソプレンの調整方法>
内容積が10Lの攪拌装置及びジャケット付き槽型反応器を洗浄、乾燥、窒素置換してバッチ重合を行った。はじめに、イソプレン1.5質量部を含むシクロヘキサン溶液を投入後、n−ブチルリチウムを全モノマ−100質量部に対して0.05質量部とテトラメチルエチレンジアミン(TMEDA)をn−ブチルリチウム1モルに対して0.55モル添加し、70℃で30分間重合した。その後、スチレン15質量部を含むシクロヘキサン溶液を加えて70℃で30分間重合した。次にブタジエン67質量部を含むシクロヘキサン溶液を加えて70℃で1時間重合した。次にスチレン15質量部を含むシクロヘキサン溶液を加えて70℃で30分間重合した。最後にイソプレン1.5質量部を含むシクロヘキサン溶液を投入して、70℃で30分間重合した。得られたポリマーは、スチレン含有量30質量%、ポリスチレンブロック含有量29.7質量%、イソプレン含有量3質量%、ブタジエン含有量67質量%、ポリブタジエンブロック部のビニル結合量30%、ポリマー全体の分子量10.5万、ポリスチレンブロックの分子量1.5万、分子量分布1.04であった。
次に、得られたポリマーに、上記水添触媒をポリマー100質量部当たりチタンとして100ppm添加し、水素圧0.7MPa、温度65℃で水添反応を行った。その後メタノールを添加し、次に安定剤としてオクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネートを重合体100質量部に対して0.3質量部添加した。得られた水添ブロック共重合体の水添率は、ブタジエンの水添率98%、イソプレンの水添率4%であった。
[実施例1〜3、比較例1]
ポリフェニレンエーテル(A)、スチレンブロック共重合体(B)、架橋用組成物(C)および架橋剤(D)を、表1に示す割合で予備混合した後、ラボプラストミル(東洋精機(株)製)に供給してシリンダー温度200℃、スクリュウ回転数100rpmで溶融混練して、ポリフェニレンエーテル系架橋組成物をそれぞれ製造した。得られた組成物を200℃で圧縮成形して2mm厚のシートを作成し、物性測定片を得た。各試験片の物性を測定し、その結果を表1に示した。
Figure 2010138296
ポリフェニレンエーテル(A)、アルキレン単位とビニル芳香族単量体単位を主体とする共重合体ブロック又は共役ジエン単位とビニル芳香族単量体単位を主体とする水添共重合体ブロックを少なくとも有するブロック共重合体(B)、および架橋用重合体(C)を含む組成物を架橋して初めて、良好な耐熱性、高機械強度、耐永久伸びに優れた熱可塑性ポリフェニレンエーテル系架橋組成物が得られることが分かる。
本発明のポリフェニレンエーテル系架橋組成物は、耐熱性、高機械強度、耐永久伸びに優れ、自動車部品、土木・建築用途、家電部品、スポーツ用品、雑貨品、文房具をはじめとする種々の成形品やその他の広範な用途に極めて有効に使用することができる。

Claims (7)

  1. ポリフェニレンエーテル(A)、アルキレン単位とビニル芳香族単量体単位を主体とする共重合体ブロック又は共役ジエン単量体単位とビニル芳香族単量体単位を主体とする水添共重合体ブロックを少なくとも有するブロック共重合体(B)、及び架橋用重合体(C)とを含む組成物であって、溶融混合下で架橋されていることを特徴とするポリフェニレンエーテル系架橋組成物。
  2. 前記ブロック共重合体(B)中のビニル芳香族単量体単位の含有量が、30質量%以上であることを特徴とする請求項1に記載のポリフェニレンエーテル系架橋組成物。
  3. 前記ブロック共重合体(B)が、ビニル芳香族単量体単位を主体とするブロックを5質量%以上含有することを特徴とする請求項2に記載のポリフェニレンエーテル系架橋組成物。
  4. 前記ブロック共重合体(B)が、共役ジエン単量体単位とビニル芳香族単量体単位を主体とする水添共重合体ブロックを有するブロック共重合体であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のポリフェニレンエーテル系架橋組成物。
  5. 前記ブロック共重合体(B)は、水添前の共役ジエン単量体単位中に含まれる不飽和結合のうち、95mol%を越えた量を水添されていることを特徴とする請求項4に記載のポリフェニレンエーテル系架橋組成物。
  6. ポリアミド樹脂を更に含有することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のポリフェニレンエーテル系架橋組成物。
  7. 少なくとも、ポリフェニレンエーテル(A)、アルキレン単位とビニル芳香族単量体単位を主体とする共重合体ブロック又は共役ジエン単量体単位とビニル芳香族単量体単位を主体とする水添共重合体ブロックを少なくとも有するブロック共重合体(B)及び架橋用重合体(C)の溶融混合下に、架橋剤(D)を添加して、架橋用重合体(C)を架橋することを特徴とするポリフェニレンエーテル系架橋組成物の製造方法。
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