JP7364672B2 - 水添ブロック共重合体、樹脂組成物、及び、それらの各種用途 - Google Patents
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Description
例えば、制振性能に優れ、耐衝撃性が改良された制振材料を得ることができる樹脂組成物に関する技術が開示されている(例えば、特許文献1及び2参照)。特許文献1では、極性基を有する熱可塑性樹脂と、該極性基と親和性あるいは反応性を有する官能基が特定の割合で付加した変性ブロック共重合体又はその水添物と、を含有する樹脂組成物が記載されている。また特許文献2では、極性基を有する熱可塑性樹脂と、ブロック共重合体又はその水添物と、該ブロック共重合体又はその水添物と親和性のある重合体に該極性基と親和性あるいは反応性を有する官能基が結合した変性重合体とを含有する樹脂組成物が記載されている。
上記特許文献1及び2はいずれも、極性基を有する熱可塑性樹脂とブロック共重合体又はその水素添加物との相容性を向上させる技術が開示されているが、反応性を有する官能基を導入する際に副反応を生じ、結果として意図した性能を確保できなくなるという問題がある。
そこで本発明は、副反応を抑制して変性することができ、それによって意図した物性が確保されやすく、良好な成形性を有する、水添ブロック共重合体及び樹脂組成物を提供することを課題とする。
すなわち、本発明は下記のとおりである。
重合体ブロック(A)の合計含有量が5~30質量%であり、重合体ブロック(B)の3,4-結合及び1,2-結合の含有量が51~90モル%であり、重合体ブロック(C)の3,4-結合及び1,2-結合の含有量が1~50モル%であり、
JIS K 7244-10(2005年)に準拠して、歪み量0.1%、周波数1Hz、測定温度-70~+200℃、昇温速度3℃/分、の条件で行う動的粘弾性測定により得られる100℃の貯蔵弾性率(G’)が、1.2MPa以下である、水添ブロック共重合体。
[2]上記水添ブロック共重合体を含有する樹脂組成物。
[3]上記水添ブロック共重合体を含む相容化剤。
[4]上記水添ブロック共重合体又は上記樹脂組成物を含有する、ペレット、ベール、成形体、制振材、遮音材、靴底材料、床材、接着剤又は粘着剤、積層体、及び、自動車部品。
本明細書において、「XX~YY」との記載は、「XX以上YY以下」を意味する。
本明細書において、好ましい数値範囲(例えば、含有量等の範囲)について、段階的に記載された下限値及び上限値は、それぞれ独立して組み合わせることができる。例えば、「好ましくは10~90、より好ましくは30~60」という記載から、「好ましい下限値(10)」と「より好ましい上限値(60)」とを組み合わせて、「10~60」とすることもできる。
本明細書において、「~単位」(ここで「~」は単量体を示す)とは「~に由来する構成単位」を意味し、例えば「プロピレン単位」とは「プロピレンに由来する構成単位」を意味する。
本明細書において、例えば、「(メタ)アクリル酸」とは、「アクリル酸」と「メタクリル酸」の双方を示し、他の類似用語も同様である。
本明細書において、重量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)測定によって求めた標準ポリスチレン換算の重量平均分子量である。
本発明の実施形態(以下、「本実施形態」と称すことがある。)に係る水添ブロック共重合体は、芳香族ビニル化合物由来の構造単位を主体とする重合体ブロック(A)と、共役ジエン化合物由来の構造単位を主体とする重合体ブロック(B)及び(C)とを含むブロック共重合体の水素添加物である。
そして、重合体ブロック(A)の合計含有量が5~30質量%であり、重合体ブロック(B)の3,4-結合及び1,2-結合の含有量が50~90モル%であり、重合体ブロック(C)の3,4-結合及び1,2-結合の含有量が1~15モル%である。
更に、JIS K 7244-10(2005年)に準拠して、歪み量0.1%、周波数1Hz、測定温度-70~+200℃、昇温速度3℃/分、の条件で行う動的粘弾性測定により得られる100℃の貯蔵弾性率(G’)が、1.2MPa以下である。
加えて、本実施形態の水添ブロック共重合体は、100℃の剪断貯蔵弾性率が1.2MPa以下であることにより、良好な成形性を有している。
以下、本実施形態の水添ブロック共重合体が有する各重合体ブロック、水添ブロック共重合体の構造、水添ブロック共重合体の特性、水添ブロック共重合体の製造方法、及び、その用途等について順に説明する。
(重合体ブロック(A)の構造)
ブロック共重合体を構成する重合体ブロック(A)は、芳香族ビニル化合物に由来の構造単位を主体とする。ここで言う「主体とする」とは、重合体ブロック(A)中に、芳香族ビニル化合物に由来の構造単位を50質量%超含むことをいう。
重合体ブロック(A)は、芳香族ビニル化合物に由来する構造単位(以下、「芳香族ビニル化合物単位」と略称することがある。)を、重合体ブロック(A)中70モル%超含有することが好ましく、機械的特性等の観点から、より好ましくは80モル%以上、更に好ましくは90モル%以上、より更に好ましくは95モル%以上であり、実質的に100モル%であることが特に好ましい。換言すれば、重合体ブロック(A)中の芳香族ビニル化合物単位は、好ましくは70~100モル%である。
該他の不飽和単量体としては、例えばブタジエン、イソプレン、2,3-ジメチルブタジエン、1,3-ペンタジエン、1,3-ヘキサジエン、イソブチレン、メタクリル酸メチル、メチルビニルエーテル、β-ピネン、8,9-p-メンテン、ジペンテン、メチレンノルボルネン、2-メチレンテトラヒドロフラン等からなる群から選択される少なくとも1種が挙げられる。重合体ブロック(A)が該他の不飽和単量体単位を含有する場合の結合形態は特に制限はなく、ランダム、テーパー状のいずれでもよい。
重合体ブロック(A)の重量平均分子量(Mw)は、特に制限はないが、ブロック共重合体が有する重合体ブロック(A)のうち、少なくとも1つの重合体ブロック(A)の重量平均分子量が、好ましくは3,000~60,000、より好ましくは4,000~50,000である。ブロック共重合体が、上記範囲内の重量平均分子量である重合体ブロック(A)を少なくとも1つ有することにより、各種用途に好適な機械的特性及び成形加工性向上に寄与できる。
(重合体ブロック(B)の構造)
重合体ブロック(B)は、共役ジエン化合物由来の構造単位を主体とし、3,4-結合及び1,2-結合の含有量が51~90モル%である重合体ブロックである。ここで言う「主体とする」とは、重合体ブロック(B)中に、共役ジエン化合物由来の構造単位を50質量%超含むことをいう。重合体ブロック(B)中の共役ジエン化合物由来の構造単位の含有量は、重合体ブロック(B)中に、70質量%以上であることがより好ましく、90質量%以上であることが更に好ましく、100質量%であることが特に好ましい。換言すれば、重合体ブロック(B)中の共役ジエン化合物由来の構造単位の含有量は、好ましくは70~100質量%である。
また、重合体ブロック(B)が2種以上の共役ジエン化合物(例えば、ブタジエンとイソプレン)由来の構造単位から構成されている場合は、それらの結合形態は特に制限はなく、ランダム、テーパー、完全交互、一部ブロック状、ブロック、又はそれらの2種以上の組合せ等の結合様式をとることができる。
ブロック共重合体が有する重合体ブロック(B)の合計の重量平均分子量は、制振性や樹脂組成物にしたときの取扱い性等の観点から、水素添加前の状態で、好ましくは15,000~800,000であり、より好ましくは50,000~700,000であり、更に好ましくは70,000~600,000、特に好ましくは90,000~500,000、最も好ましくは130,000~450,000である。
重合体ブロック(B)は、本発明の目的及び効果の妨げにならない限り、前記共役ジエン化合物以外の他の重合性の単量体に由来する構造単位を含有していてもよい。この場合、重合体ブロック(B)において、共役ジエン化合物以外の他の重合性の単量体に由来する構造単位の含有量は、好ましくは50モル%未満、より好ましくは30モル%未満、更に好ましくは20モル%未満、より更に好ましくは10モル%未満、特に好ましくは0モル%である。換言すれば、重合体ブロック(B)中の共役ジエン化合物以外の他の重合性の単量体に由来する構造単位は、好ましくは0モル%以上50モル%未満である。
該他の重合性の単量体としては、例えばスチレン、α-メチルスチレン、o-メチルスチレン、m-メチルスチレン、p-メチルスチレン、p-t-ブチルスチレン、2,4-ジメチルスチレン、N-ビニルカルバゾール、ビニルナフタレン及びビニルアントラセン等の芳香族ビニル化合物、並びにメタクリル酸メチル、メチルビニルエーテル、β-ピネン、8,9-p-メンテン、ジペンテン、メチレンノルボルネン、2-メチレンテトラヒドロフラン、1,3-シクロペンタジエン、1,3-シクロヘキサジエン、1,3-シクロヘプタジエン、1,3-シクロオクタジエン等からなる群から選択される少なくとも1種の化合物が好ましく挙げられる。
ブロック共重合体は、重合体ブロック(B)を少なくとも1つ有していればよい。ブロック共重合体が重合体ブロック(B)を2つ以上有する場合には、それら重合体ブロック(B)は、同一であっても異なっていてもよい。
重合体ブロック(B)を構成する構成単位が、イソプレン単位、ブタジエン単位、イソプレン及びブタジエンの混合物単位のいずれかである場合、後述する脂環式骨格(X)を形成する結合形態以外のイソプレン及びブタジエンそれぞれの結合形態としては、ブタジエンの場合には1,2-結合、1,4-結合を、イソプレンの場合には1,2-結合、3,4-結合、1,4-結合をとることができる。
ここで、ビニル結合量は、実施例に記載の方法に従って、1H-NMR測定によって算出した値である。
なお、重合体ブロック(B)がブタジエンのみからなる場合には、前記の「3,4-結合単位及び1,2-結合単位の含有量」とは「1,2-結合単位の含有量」と読み替えて適用する。
(重合体ブロック(C)の構造)
重合体ブロック(C)は、共役ジエン化合物由来の構造単位を主体とし、3,4-結合及び1,2-結合の含有量が1~50モル%である重合体ブロックである。ここで言う「主体とする」とは、重合体ブロック(C)中に、共役ジエン化合物由来の構造単位を50質量%超含むことをいう。重合体ブロック(C)中の共役ジエン化合物由来の構造単位の含有量は、重合体ブロック(C)中に、70質量%以上であることがより好ましく、90質量%以上であることが更に好ましく、100質量%であることが特に好ましい。換言すれば、重合体ブロック(C)中の共役ジエン化合物由来の構造単位の含有量は、好ましくは70~100質量%である。なお、以下の説明において、ビニル結合量の違いから、重合体ブロック(B)に対して「高ビニル化」、重合体ブロック(C)に対して「低ビニル化」の名称を付す場合がある。
また、重合体ブロック(C)が2種以上の共役ジエン化合物(例えば、ブタジエンとイソプレン)由来の構造単位から構成されている場合は、それらの結合形態は特に制限はなく、ランダム、テーパー、完全交互、一部ブロック状、ブロック、又はそれらの2種以上の組合せ等の結合様式をとることができる。
重合体ブロック(C)の重量平均分子量は、本実施形態の水添ブロック共重合体を含有する樹脂組成物の柔軟性を向上させる観点から、好ましくは5,000~240,000であり、より好ましくは10,000~220,000、更に好ましくは20,000~200,000、より更に好ましくは27,000~180,000、特に好ましくは28,000~140,000である。
重合体ブロック(C)は、本発明の目的及び効果の妨げにならない限り、前記共役ジエン化合物以外の他の重合性の単量体に由来する構造単位を含有していてもよい。この場合、重合体ブロック(C)において、共役ジエン化合物以外の他の重合性の単量体に由来する構造単位の含有量は、好ましくは50モル%未満、より好ましくは30モル%未満、更に好ましくは20モル%未満、より更に好ましくは10モル%未満、特に好ましくは0モル%である。換言すれば、重合体ブロック(C)中の共役ジエン化合物以外の他の重合性の単量体に由来する構造単位の含有量は、好ましくは0モル%以上50モル%未満である。
該他の重合性の単量体としては、上述した重合体ブロック(B)におけるその他の構造単位として挙げたのと同様の単量体が挙げられる。
ブロック共重合体は、重合体ブロック(C)を少なくとも1つ有していればよい。ブロック共重合体が重合体ブロック(C)を2つ以上有する場合には、それら重合体ブロック(C)は、同一であっても異なっていてもよい。
ここで、ビニル結合量は、実施例に記載の方法に従って、1H-NMR測定によって算出した値である。
なお、重合体ブロック(C)がブタジエンのみからなる場合には、前記の「3,4-結合単位及び1,2-結合単位の含有量」とは「1,2-結合単位の含有量」と読み替えて適用する。
本発明の水添ブロック共重合体は、重合体ブロック(B)及び重合体ブロック(C)の質量比[(B):(C)]が、好ましくは95:5~30:70、より好ましくは93:7~40:60、更に好ましくは90:10~50:50である。前記質量比が前記範囲内であると、水添ブロック共重合体を変性させる際に、重合体ブロック(C)を選択的に変性させやすくなり、また、優れた制振性を発現することができる。
水添ブロック共重合体における重合体ブロック(A)の含有量は、5~30質量%であり、好ましくは7~25質量%、より好ましくは8~20質量%であり、更に好ましくは10~18質量%である。30質量%を上回ると、適度な柔軟性が得られなくなる恐れがあり、また、tanδピークトップ強度が低下しやすくなり、制振性が低下する恐れがある。また、5質量%を下回ると、水添ブロック共重合体を含む樹脂組成物の各種用途において、機械的特性、成形加工性及び塗工性等の取扱い性を十分付与できなくなる恐れがある。
なお、水添ブロック共重合体における重合体ブロック(A)の含有量は、1H-NMR測定により求めた値であり、より詳細には実施例に記載の方法に従って測定した値である。
また、本実施形態の水添ブロック共重合体中の重合体ブロック(C)の含有量は、3~50質量%が好ましく、5~40質量%がより好ましく、7~30質量%が更に好ましい。重合体ブロック(C)の含有量が前記範囲内であると、水添ブロック共重合体を変性させる際に、重合体ブロック(C)を選択的に変性させやすくなり副反応を抑制することができる。
水添ブロック共重合体は、重合体ブロック(A)、重合体ブロック(B)及び重合体ブロック(C)が結合している限りは、その結合形式は限定されず、直鎖状、分岐状、放射状、又はこれらの2つ以上が組合わさった結合様式のいずれでもよい。中でも、重合体ブロック(A)、重合体ブロック(B)及び重合体ブロック(C)の結合形式は直鎖状であることが好ましい。
直鎖状の結合形式の例としては、重合体ブロック(A)をA、重合体ブロック(B)をB、重合体ブロック(C)をCで表したときに、A-B-C、A-C-B又はB-A-Cで示されるトリブロック共重合体、A-B-A-C、A-C-A-B又はA-B-C-Aで示されるテトラブロック共重合体、C-A-B-A-C、B-A-C-A-B、B-A-B-A-C又はB-A-C-A-Cで示されるペンタブロック共重合体等を挙げることができる。中でも、直鎖状のテトラブロック共重合体又はペンタブロック共重合体が好ましく、A-B-A-C型又はA-C-A-B型のテトラブロック共重合体が、溶融粘度を低くしやすいという観点から好ましく用いられる。A-B-A-C型のテトラブロック共重合体は、溶融粘度を低くしやすいことに加えて、末端に重合体ブロック(C)が存在することで副反応を抑制しやすくなるという観点から特に好ましい。
A-B-A-C型のテトラブロック共重合体として具体的には、スチレン-水添高ビニル化イソプレン-スチレン-水添低ビニル化イソプレン共重合体、スチレン-水添高ビニル化イソプレン-スチレン-水添低ビニル化イソプレン・水添低ビニル化ブタジエン共重合体が挙げられる。
なお、直鎖状の結合様式が左右非対称である場合、上記記号はどちらの端部を基準にしても構わない。つまり、A-B-A-CはC-A-B-Aと同意であり、A-C-A-BはB-A-C-Aと同意である。
水添ブロック共重合体における、重合体ブロック(B)及び重合体ブロック(C)の水素添加率は、(以下、水添率と略称することがある。)は、耐熱性及び耐候性を向上させる観点から、85~99モル%が好ましく、85~97モル%がより好ましく、85~95モル%が更に好まく、87~93モル%がより更に好ましい。
なお、上記の水素添加率は、重合体ブロック(B)及び(C)中の共役ジエン化合物由来の構造単位中の炭素-炭素二重結合の含有量を、水素添加の前後において、1H-NMRスペクトルを用いて算出した値であり、より詳細には実施例に記載の方法に従って測定した値である。本明細書において「重合体ブロック(B)及び(C)の水素添加率」は重合体ブロック(B)及び(C)のそれぞれの水素添加率の平均値を指す。重合体ブロック(B)が脂環式骨格(X)を含む場合は、脂環式骨格(X)由来の構造単位中の炭素-炭素二重結合も含めた値である。より詳細には実施例に記載の方法に従って測定した値である。
水添ブロック共重合体において、重合体ブロック(B)及び重合体ブロック(C)のビニル結合量は、合計で、好ましくは30~90モル%、より好ましくは40~85モル%、更に好ましくは45~80モル%である。上記範囲であれば優れた制振性を発現することができる。
水添ブロック共重合体における重合体ブロック(B)及び重合体ブロック(C)のビニル結合量は、実施例に記載の方法に従って、水素添加前のブロック共重合体の1H-NMR測定を測定し、1,2-結合及び3,4-結合のピーク面積と1,4-結合のピーク面積の合計に対する1,2-結合及び3,4-結合のピーク面積の割合を算出し、ビニル結合量(モル%)とすることで算出される。
水添ブロック共重合体は、好ましくは下記の式(X)で表される1種以上の脂環式骨格(X)を有する。
特に好ましくは、水添ブロック共重合体を構成する重合体ブロック(B)が、下記式(X)で表される1種以上の脂環式骨格(X)を主鎖に含む構造単位(以下、「脂環式骨格含有単位」と略称することがある。)を有する。なお、重合体ブロック(B)は、脂環式骨格(X)を含有しない共役ジエン化合物に由来する構造単位(以下、「共役ジエン単位」と略称することがある。)をも含有し得る。
重合体ブロック(B)中の脂環式骨格含有単位と共役ジエン単位の合計は、優れた制振性を発現する観点から、好ましくは50モル%以上、より好ましくは70モル%以上、更に好ましくは90モル%以上であり、実質的に100モル%であることが特に好ましい。換言すれば、重合体ブロック(B)中の脂環式骨格含有単位と共役ジエン単位の合計は、好ましくは50~100モル%である。
ブロック共重合体中に重合体ブロック(B)を2つ以上有する場合には、それら重合体ブロック(B)は、同一であっても異なっていてもよい。
なお、ブロック共重合体を水素添加した場合、上記式(X)におけるビニル基は水素添加され得る。そのため、水素添加物における脂環式骨格(X)の意味するところには、上記式(X)におけるビニル基が水素添加された骨格も含まれる。
共役ジエン化合物としてブタジエンを単独で使用した場合、下記(i)の置換基の組み合わせを有する脂環式骨格(X)が生成される。すなわちこの場合、脂環式骨格(X)はR1~R3が同時に水素原子である脂環式骨格のみとなる。したがって、水添ブロック共重合体の好ましい態様の一例として、重合体ブロック(B)が、R1~R3が同時に水素原子である1種の脂環式骨格(X)を主鎖に含む構造単位を有するものが挙げられる。
また、共役ジエン化合物としてブタジエンとイソプレンとを併用する場合、下記(i)~(vi)の置換基の組み合わせを有する6種の脂環式骨格(X)が主に生成される。
(i) :R1=水素原子、R2=水素原子、R3=水素原子
(ii :R1=水素原子、R2=メチル基、R3=水素原子
(iii):R1=水素原子、R2=水素原子、R3=メチル基
(iv) :R1=メチル基、R2=水素原子、R3=水素原子
(v) :R1=メチル基、R2=メチル基、R3=水素原子
(vi) :R1=メチル基、R2=水素原子、R3=メチル基
特にR1~R3が、それぞれ独立に水素原子又はメチル基を示し、かつR1~R3が同時に水素原子でない脂環式骨格であることがより好ましい。すなわち、重合体ブロック(B)は、上記(ii)~(vi)の置換基の組み合わせを有する脂環式骨格のうち、いずれか1種以上を主鎖に含む構成単位を有することがより好ましい。
重合体ブロック(B)中には脂環式骨格(X)を主鎖に含む構造単位が含まれていればよいが、より優れた制振性の効果を発現し、高温においても粘接着力の低下を抑制しやすくする観点から、重合体ブロック(B)中に脂環式骨格(X)を1モル%以上含有していることが好ましく、より好ましくは1.1モル%以上、更に好ましくは1.4モル%以上、より更に好ましくは1.8モル%以上であり、より更に好ましくは4モル%以上であり、より更に好ましくは10モル%以上であり、特に好ましくは13モル%以上である。また、重合体ブロック(B)中の脂環式骨格(X)の含有量の上限は、本発明の効果を損なわない範囲内であれば特に制限はないが、生産性の観点から、40モル%以下であることが好ましく、30モル%以下であってもよく、20モル%以下であってもよく、18モル%以下であってもよい。換言すれば、重合ブロック(B)中の脂環式骨格(X)の含有量は、好ましくは1~40モル%である。
更に制振性を向上させる観点から、重合体ブロック(B)中に上記脂環式骨格(X’)を1モル%以上含有していることがより好ましく、更に好ましくは1.3モル%以上、より更に好ましくは1.6モル%以上である。脂環式骨格(X’)の含有量の上限値は、上記脂環式骨格(X)の含有量の上限値と同様である。換言すれば、重合ブロック(B)中の脂環式骨格(X’)の含有量は、好ましくは1~40モル%である。
共役ジエン化合物としてイソプレンを使用する場合において、重合体ブロック(B)中に、前記(v),(vi)の置換基の組み合わせを有する脂環式骨格(X’)が1種以上存在するときのそれらの合計含有量は、1モル%以上であることがより優れた制振性の効果を発現し、高温においても粘接着力の低下を抑制しやすくする観点から好ましく、1.5モル%以上であることがより好ましく、幅広い温度範囲において優れた制振性の効果を得る観点から2モル%以上であることが更に好ましく、3モル%以上であることがより更に好ましく、4モル%以上であることが特に好ましい。また、イソプレンを使用する場合の上記合計含有量の上限値は、脂環式骨格(X)の含有量の上限値と同様である。換言すれば、イソプレンを使用する場合の、重合ブロック(B)中の(v),(vi)の置換基の組み合わせを有する脂環式骨格(X’)の合計含有量は、好ましくは1~40モル%である。
また、共役ジエン化合物としてブタジエンとイソプレンとを併用する場合において、重合体ブロック(B)中に、前記(i)~(vi)の置換基の組み合わせを有する脂環式骨格(X)が1種以上存在するときのそれらの合計含有量は、1モル%以上であることがより優れた制振性の効果を発現し、高温においても粘接着力の低下を抑制しやすくする観点から好ましく、5モル%以上であることがより好ましい。ブタジエンとイソプレンとを併用する場合の上記合計含有量の上限値は、脂環式骨格(X)の含有量の上限値と同様である。換言すれば、ブタジエンとイソプレンとを併用する場合の、重合ブロック(B)中の(i)~(vi)の置換基の組み合わせを有する脂環式骨格(X)の合計含有量は、好ましくは1~40モル%である。
例えば、前記(ii),(iii),(v),(vi)の置換基の組み合わせを有する脂環式骨格(X’)では、該脂環式骨格(X’)に結合したビニル基末端の炭素原子(下記化学式の(a))の13C-NMRでのケミカルシフトは107~110ppm付近に現れ、主鎖に結合したビニル基末端の炭素原子(下記化学式の(b))の13C-NMRでのケミカルシフトは110~116ppm付近に現れる。そして、水素添加率が0~40モル%の場合、13C-NMRで測定されるピーク面積比[ケミカルシフト値107~110ppmのピーク面積]/[ケミカルシフト値110~116ppmのピーク面積]が通常0.01~3.00の範囲となり、より優れた制振性を発現できる観点から、該面積比は好ましくは0.01~1.50、より好ましくは0.01~1.00、更に好ましくは0.01~0.50、より更に好ましくは0.01~0.20となる。
これにより、水素添加物について重合体ブロック(B)の水素添加率が50~99モル%の場合、上記R3を有するビニル基由来の分岐状アルキル基と結合する脂環式骨格(X)上の炭素原子とビニル基由来の分岐状アルキル基と結合する主鎖上の炭素原子との含有モル比を特定することも可能である。
なお、上記ピーク面積比は、より詳細には実施例に記載の方法に従って測定することができる。
水添ブロック共重合体は、好ましくはアルコキシシリル基、カルボキシ基、アミノ基、ヒドロキシ基、エポキシ基、及び、酸無水物由来の基からなる群から選ばれる1種又は2種以上の官能基を有する。
特に、押出し反応を容易にして工業化に適するようにする観点から、水添ブロック共重合体が、前記官能基として、無水マレイン酸及びアルコキシシリル基からなる群より選ばれる少なくとも1種に由来する基を有することが好ましい。
官能基は、例えば上記ブロック共重合体を水素添加した水添ブロック共重合体に、アルコキシシリル基、カルボキシ基、アミノ基、ヒドロキシ基、エポキシ基、及び酸無水物由来の基から選ばれる1種又は2種以上の官能基を有する化合物を反応させることにより(つまり、水添ブロック共重合体を変性して変性水素添加物とすることにより)導入することができる。なお、変性水素添加物の製造方法は、具体的には後述のとおりである。
水添ブロック共重合体に上記官能基を導入することにより、本実施形態の水添ブロック共重合体は、成形性及び力学物性に優れさせることができる。特に、本実施形態の水添ブロック共重合体と熱可塑性樹脂とを含有する樹脂組成物、とりわけ該熱可塑性樹脂が上記官能基と親和性又は反応性を有する極性基を有する極性樹脂である場合に、樹脂組成物を成形する際にデラミネーションが極めて生じにくくなる。また、本実施形態の水添ブロック共重合体は、側鎖に上記官能基を有することが好ましく、これにより主鎖と側鎖との分子運動性の差が大きくなり、ガラス転移温度が制御されて幅広い温度において優れた制振性を示し得ると考えられ、制振性を有しつつ、優れた成形性及び力学物性を発現することができる。
変性水素添加物における上記官能基の含有量が、上記範囲内であれば本発明の変性水素添加物を含む樹脂組成物の成形性を容易に優れさせることができ、また制振性及び力学物性がより優れたものとなる。なお、当該官能基の含有量(phr)は、本発明の変性水素添加物100質量部に対する官能基の質量部を意味し、例えば本発明の変性水素添加物100質量部に対する当該官能基の導入に使用された変性剤の質量部として求めることができる。
変性水素添加物における上記官能基の含有量は、滴定や1H-NMR測定により算出することができ、また変性水素添加物の仕込み量に対する後述の変性剤の仕込み量の割合からも算出することができる
(貯蔵弾性率)
本実施形態の水添ブロック共重合体は、JIS K 7244-10(2005年)に準拠して、歪み量0.1%、周波数1Hz、測定温度-70~+200℃、昇温速度3℃/分、の条件で行う動的粘弾性測定により得られる100℃の貯蔵弾性率(G’)が、1.2MPa以下である。水添ブロック共重合体の100℃の剪断貯蔵弾性率が上記範囲にあることで、水添ブロック共重合体が良好な成形性を示す。
上述したように、水添ブロック共重合体を、重合体ブロック(A)~(C)を含むものとし、100℃の剪断貯蔵弾性率を所定範囲のものとすることで、官能基を導入する場合に、変性時の副反応が抑制され、制振性と成形加工性を両立した変性水素添加物を得ることができる。
なお、本実施形態において、40℃における剪断貯蔵弾性率G’(G’(40℃))は好ましくは1.00MPa以上であり、120℃における剪断貯蔵弾性率G’(G’(120℃))は、好ましくは0.5MPa以下である。
なお、剪断貯蔵弾性率は、より詳細には実施例に記載の方法に従って測定した値である。
ここで、水添ブロック共重合体の上記溶融粘度は、詳しくは実施例に記載の方法に従って測定された値である。
水添ブロック共重合体の重量平均分子量は、好ましくは60,000~500,000であり、より好ましくは70,000~400,000、更に好ましくは80,000~300,000、より更に好ましくは90,000~200,000である。重量平均分子量が前記範囲内であると、機械強度が向上すると共に、成形加工性が向上する。
また、変性後の水添ブロック共重合体の分子量分布(Mw/Mn)に特に制限はないが、副反応が抑制された状態で変性され、変性後の水添ブロック共重合体を用いて得られる樹脂組成物に意図した制振性や機械強度を付与しやすくする観点から、1.01~3.5であることが好ましく、1.01~3.2であることがより好ましく、1.01~3.0であることが更に好ましく、1.00~2.8であることが最も好ましい。なお、該分子量分布(Mw/Mn)は実施例に記載の方法に従って測定した値である。
変性後の水添ブロック共重合体における、カップリング反応によって生成された成分の割合は、意図した性能を発揮させやすくする観点から、少ないことが望ましく、例えば、変性後の水添ブロック共重合体に対して、好ましくは20%以下、より好ましくは18%以下、更に好ましくは16%以下である。下限に特に制限はないが、例えば、好ましくは2%以上、より好ましくは4%以上、更に好ましくは5%以上である。換言すれば、変性後の水添ブロック共重合体における、カップリング反応によって生成された成分の割合は、好ましくは2~20%である。なお、本明細書において、変性後のカップリング反応の割合は、実施例に記載の方法に従って測定した値である。
tanδ(損失正接)は、動的粘弾測定における周波数1Hzにおける損失弾性率/貯蔵弾性率の比であり、tanδのピークトップ温度及び強度は、制振性、及びその他の物性に大きく寄与する。ここで、tanδのピークトップ強度とは、tanδのピークが最大となるときのtanδの値のことである。また、tanδのピークトップ温度とは、tanδのピークが最大となるときの温度のことである。
本明細書において水添ブロック共重合体のtanδのピークトップ温度及び強度は、水添ブロック共重合体を、温度230℃、圧力10MPaで3分間加圧することで、厚み1.0mmの単層シートを作製し、該単層シートを円板形状に切り出し、これを試験片として測定する。測定条件は、JIS K 7244-10(2005年)に準拠して、歪み量0.1%、周波数1Hz、測定温度-70~200℃、昇温速度3℃/分である。
なお、水添ブロック共重合体のピークトップ温度及びtanδ強度は、より詳細には実施例に記載の方法に従って測定した値である。
水添ブロック共重合体は、好ましくは、JIS K 7244-10(2005年)に準拠して、歪み量0.1%、周波数1Hz、測定温度-70~+200℃、昇温速度3℃/分の条件で測定した、損失正接tanδのピーク温度が-40~+40℃である。
水添ブロック共重合体は、好ましくは、JIS K 7244-10(2005年)に準拠して、歪み量0.1%、周波数1Hz、測定温度-70~+200℃、昇温速度3℃/分の条件で測定した、損失正接tanδのピーク強度が1.0~2.8である。
また、水添ブロック共重合体は、tanδのピークトップ温度が、好ましくは-50℃以上、より好ましくは-40℃以上、更に好ましくは-30℃以上、より更に好ましくは-25℃以上であり、0℃以上であってもよい。また、上記tanδのピークトップ温度の上限は、本発明の効果を損なわない範囲であればよく、50℃以下であってもよく、40℃以下であってもよく、35℃以下であってもよい。tanδのピークトップ温度の範囲として、例えば、好ましくは-50~50℃であり、より好ましくは-40~40℃、更に好ましくは-30~35℃、より更に好ましくは-25~30℃である。上記tanδのピークトップ温度が-50℃以上であれば、実使用環境下において充分な制振性を得ることができ、50℃以下であれば、樹脂組成物は望ましい接着性を発現することができる。
<ブロック共重合体>
ブロック共重合体の製造方法として、例えば、1種以上の共役ジエン化合物をモノマーとしてアニオン重合法により重合させることにより、重合体ブロック(B)を形成し、重合体ブロック(A)のモノマーを添加し、また必要に応じて更に重合体ブロック(A)のモノマー及び共役ジエン化合物を逐次添加することにより、ブロック共重合体を得ることができる。
上記アニオン重合法により脂環式骨格を生成させる方法は公知の技術を用いることができる(例えば、米国特許第3966691号明細書参照)。脂環式骨格はモノマーの枯渇によってポリマーの末端に形成され、これに更にモノマーを逐次添加することで該脂環式骨格から再び重合を開始させることができる。そのため、モノマーの逐次添加時間、重合温度、あるいは触媒の種類や添加量、モノマーと触媒との組合せ等により、該脂環式骨格の生成の有無やその含有量を調整することができる。また、アニオン重合法では、アニオン重合開始剤、溶媒、及び必要に応じてルイス塩基を用いることができる。
前記カップリング剤としては、例えばジクロロメタン、ジブロモメタン、ジクロロエタン、ジブロモエタン、ジブロモベンゼン、安息香酸フェニル等が挙げられる。
これらの重合開始剤及びカップリング剤の使用量は、ブロック共重合体及びその水素添加物の所望とする重量平均分子量により適宜決定される。通常は、アルキルリチウム化合物、ジリチウム化合物等の開始剤は、重合に用いる重合体ブロック(A)のモノマー及び共役ジエン化合物等の単量体の合計100質量部当たり0.01~0.2質量部の割合で用いられるのが好ましく、カップリング剤を使用する場合は、前記単量体の合計100質量部当たり0.001~0.8質量部の割合で用いられるのが好ましい。
ルイス塩基としては、例えば、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、2,2-ジ(2-テトラヒドロフリル)プロパン(DTHFP)等のエーテル類;エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル等のグリコールエーテル類;トリエチルアミン、N,N,N’,N’-テトラメチレンジアミン、N,N,N’,N’-テトラメチルエチレンジアミン(TMEDA)、N-メチルモルホリン等のアミン類;ナトリウムt-ブチレート、ナトリムt-アミレート又はナトリウムイソペンチレート等の脂肪族アルコールのナトリウム又はカリウム塩、あるいは、ジアルキルナトリウムシクロヘキサノレート、例えば、ナトリウムメントレートのような脂環式アルコールのナトリウム又はカリウム塩等の金属塩;等が挙げられる。これらのルイス塩基は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記の製造方法により得られたブロック共重合体を、不活性有機溶媒中で水添触媒の存在下に水素添加反応(水添反応)を行うことにより水素添加させる。水添反応により、ブロック共重合体における重合体ブロック(B)中の共役ジエン化合物由来の炭素-炭素二重結合が水素添加され、ブロック共重合体の水素添加物とすることができる。
水添反応は、水素圧力を0.1~20MPa程度、好ましくは0.5~15MPa、より好ましくは0.5~5MPa、反応温度を20~250℃程度、好ましくは50~180℃、より好ましくは70~180℃、反応時間を通常0.1~100時間程度、好ましくは1~50時間として実施することができる。
水添触媒としては、例えば、ラネーニッケル;Pt、Pd、Ru、Rh、Ni等の金属をカーボン、アルミナ、珪藻土等の単体に担持させた不均一系触媒;遷移金属化合物とアルキルアルミニウム化合物、アルキルリチウム化合物等との組み合わせからなるチーグラー系触媒;メタロセン系触媒等が挙げられる。
例えば、水素添加物の水素添加率が高い程、耐熱性や耐候性が向上した水素添加物とすることが可能である。
上記変性水素添加物は、前記ブロック共重合体を上記水素添加する前又は後に前述の官能基を導入して製造することができるが、ラジカル反応による変性の場合は、反応制御の観点から、ブロック共重合体を水素添加して水添ブロック共重合体とした後、特定の官能基を導入して製造することが好ましい。
上記変性反応は、例えば、水添ブロック共重合体を有機溶媒に溶解し、そこへ前述の官能基を付加することができる各種変性剤を添加し、50~300℃程度、0.5~10時間程度で反応させることにより行うことができる。
また上記変性反応は、例えば、水添ブロック共重合体を、溶媒を用いずに押出機等を使用して溶融状態にし、各種変性剤を添加することにより行うことができる。この場合、変性反応の温度は、通常水添ブロック共重合体の融点以上から400℃以下であり、好ましくは90~350℃、より好ましくは100~300℃であり、反応時間は通常0.5~10分程度である。
また、溶融状態で上記変性反応を行う際にラジカル開始剤を添加することが好ましく、副反応を抑制する観点等から老化防止剤を添加してもよい。
すなわち、変性水素添加物の製造方法の好ましい態様は、上記ブロック共重合体を水素添加して水添ブロック共重合体とした後、溶融状態の該水添ブロック共重合体に、ラジカル開始剤を用いて、アルコキシシリル基、カルボキシ基、アミノ基、ヒドロキシ基、エポキシ基、及び酸無水物由来の基から選ばれる1種又は2種以上の官能基を導入する工程をさらに有することである。
ラジカル開始剤の添加量は、水添ブロック共重合体と変性剤との組み合わせにより適宜決定すればよいが、水添ブロック共重合体100質量部に対しラジカル開始剤は、通常0.01~10質量部程度、好ましくは0.01~5質量部、より好ましくは0.01~3質量部であり、さらに好ましくは0.05~2質量部である。
本実施形態の水添ブロック共重合体は、好ましくは当該水添ブロック共重合体を含む樹脂組成物とすることができる。
上記樹脂組成物は、好ましくは、水添ブロック共重合体である(I)成分と、熱可塑性樹脂である(II)成分とを含有する。
上記熱可塑性樹脂は、好ましくは極性樹脂である。
上記熱可塑性樹脂は、好ましくは極性樹脂及び非極性樹脂を含む。
上記熱可塑性樹脂は、好ましくは、ポリフェニレンエーテル系樹脂、スチレン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリフェニレンサルファイド系樹脂、ポリアセタール系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、及びポリエステル系樹脂から選ばれる1種又は2種以上である。
ポリフェニレンエーテル系樹脂としては、ポリ(2,6-ジメチル-1,4-フェニレン)エーテル、ポリ(2,6-ジエチル-1,4-フェニレン)エーテル、ポリ(2-メチル-6-エチル-1,4-フェニレン)エーテル、ポリ(2-メチル-6-プロピル-1,4-フェニレン)エーテル、ポリ(2,6-ジプロピル-1,4-フェニレン)エーテル、ポリ(2-エチル-6-プロピル-1,4-フェニレン)エーテル、ポリ(2,6-ジメトキシ-1,4-フェニレン)エーテル、ポリ(2,6-ジクロロメチル-1,4-フェニレン)エーテル、ポリ(2,6-ジブロモメチル-1,4-フェニレン)エーテル、ポリ(2,6-ジフェニル-1,4-フェニレン)エーテル、ポリ(2,6-ジトリル-1,4-フェニレン)エーテル、ポリ(2,6-ジクロロ-1,4-フェニレン)エーテル、ポリ(2,6-ジベンジル-1,4-フェニレン)エーテル、ポリ(2,5-ジメチル-1,4-フェニレン)エーテル等が挙げられる。
上記ポリフェニレンエーテル系樹脂は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
スチレン系樹脂としては、ポリスチレン、ポリメチルスチレン、ポリジメチルスチレン、ポリt-ブチルスチレン等のポリアルキルスチレン;ポリクロロスチレン、ポリブロモスチレン、ポリフルオロスチレン等のポリハロゲン化スチレン;ポリクロロメチルスチレン等のポリハロゲン置換アルキルスチレン;ポリメトキシスチレン、ポリエトキシスチレン等のポリアルコキシスチレン;ポリカルボキシメチルスチレン等のポリカルボキシアルキルスチレン;ポリビニルベンジルプロピルエーテル等のポリアルキルエーテルスチレン;ポリトリメチルシリルスチレン等のポリアルキルシリルスチレン;ポリ(ビニルベンジルジメトキシホスファイド)、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン(ABS)共重合体等が挙げられる。
上記スチレン系樹脂は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
アクリル系樹脂としては、(メタ)アクリル酸エステルから誘導される構造単位から主としてなるものが挙げられる。
(メタ)アクリル酸エステルとしては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル等の(メタ)アクリル酸のアルキルエステルが挙げられる。アクリル系樹脂は、これらの(メタ)アクリル酸エステルの1種又は2種以上から誘導される構造単位を有していてもよい。
上記アクリル系樹脂は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
なお、本明細書において、「(メタ)アクリル」とは「アクリル」又は「メタクリル」を意味する。
ポリカーボネート(PC)系樹脂としては、脂肪族ポリカーボネート及び芳香族ポリカーボネートのいずれでもよい。例えば、ビスフェノールA、ヒドロキノン、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ペンタン、2,4-ジヒドロキシジフェニルメタン、ビス(2-ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(4-ヒドロキシフェニル)メタン等の2価のフェノール類と、ホスゲン、ハロゲンホルメート、カーボネートエステル等のカーボネート前駆体とから製造されるポリカーボネート系樹脂が挙げられる。
上記ポリカーボネート系樹脂は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
ポリアミド系樹脂としては、脂肪族ポリアミド、半芳香族ポリアミド、全芳香族ポリアミド及び透明ポリアミド(非晶性または微結晶性ポリアミド)等が挙げられる。これらポリアミド系樹脂は、各種用途によって求められる性能に応じ適宜選択することができるが、高耐熱性や低吸水性等の特性も付与でき、変性水素添加物との相容性、成形性等の観点から、好ましくは半芳香族ポリアミドである。
なかでも半芳香族ポリアミドは、テレフタル酸単位若しくはナフタレンジカルボン酸単位及び脂肪族ジアミン単位を有するものが好ましい。また、半芳香族ポリアミドは、上記テレフタル酸単位若しくはナフタレンジカルボン酸単位以外に、脂肪族ジカルボン酸、脂環式ジカルボン酸、及び芳香族ジカルボン酸等に由来するジカルボン酸単位をさらに有していてもよい。
脂環式ジアミンのなかでも、樹脂組成物の制振性、力学物性、及び成形性、さらに低吸水性及び耐熱性等をも期待できる観点から、1,4-ブタンジアミン、2-メチル-1,5-ペンタンジアミン、1,6-ヘキサンジアミン、1,8-オクタンジアミン、2-メチル-1,8-オクタンジアミン、4-メチル-1,8-オクタンジアミン、1,9-ノナンジアミン、1,10-デカンジアミン、1,11-ウンデカンジアミン、及び1,12-ドデカンジアミン等の炭素数4~18の脂肪族ジアミンであることがより好ましく、炭素数9の脂肪族ジアミンであることがさらに好ましく、2-メチル-1,8-オクタンジアミン、及び1,9-ノナンジアミンであることがよりさらに好ましい。これら脂環式ジアミンは、1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
全芳香族ポリアミドは、例えば、ポリパラフェニレンテレフタルアミド等の芳香族ジカルボン酸と芳香族ジアミンとから合成されるものが挙げられる。
上記ポリアミド系樹脂は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
ポリフェニレンサルファイド系樹脂としては、本発明の効果を損なわなければ特に制限されず、例えばフェニレン基と硫黄原子が交互に結合した単位を主とするポリマーが挙げられる。上記フェニレン基としては、p-フェニレン基、m-フェニレン基、置換基(アルキル基、アルコキシル基、及びカルボキシ基等)を有する置換フェニレン基、及びp,p’-ビフェニレン基等を挙げることができる。
また、ポリフェニレンサルファイド系樹脂としては、酸化架橋型及び直鎖型が挙げられる。
上記ポリフェニレンサルファイド系樹脂は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
ポリアセタール系樹脂としては、オキシメチレン基単位を主とするポリマーであれば特に制限はなく、例えばポリオキシメチレンホモポリマー及びポリオキシメチレンコポリマーのいずれであってもよい。
ポリアセタール系樹脂が、ポリオキシメチレンコポリマーである場合、オキシメチレン基単位以外の構成単位としては、オキシエチレン基、オキシプロピレン基、及びオキシテトラメチレン基等のオキシアルキレン基が挙げられる。また、ポリオキシメチレンコポリマーは、ランダム、ブロック、及びグラフト等の形態のいずれであってもよい。
上記ポリアセタール系樹脂は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
ポリビニルアルコール系樹脂としては、エチレン-ビニルアルコール共重合樹脂、ブテンジオール-ビニルアルコール共重合樹脂、ポリビニルブチラール樹脂などが挙げられる。
上記ポリビニルアルコール系樹脂は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
ポリエステル系樹脂は、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、及びポリカプロラクトン等の生分解性ポリマーや、脂肪族ジカルボン酸、及び芳香族ジカルボン酸等のカルボン酸成分と、脂肪族ジオール、脂環族ジオール、及び芳香族ジオール等のジオール成分とから形成される脂肪族ポリエステル及び芳香族ポリエステルのいずれでもよい。
上記脂肪族ポリエステルとしては、ポリエチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネートアジペート、ポリヒドロキシブチレート-ポリヒドロキシバリレート共重合体等が挙げられる。
上記芳香族ポリエステルとしては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、イソフタル酸変性ポリエチレンテレフタレート、ジメチルイソフタル酸変性ポリエチレンテレフタレート、スルホイソフタル酸変性ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリヘキサメチレンテレフタレート等が挙げられる。
上記ポリエステル系樹脂は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記樹脂組成物の(I)成分と(II)成分との含有割合[(I)/(II)]は、好ましくは質量比で1/99~99/1、より好ましくは5/95~90/10、更に好ましくは10/90~90/10である。
添加剤としては、タルク、クレー、マイカ、ケイ酸カルシウム、ガラス、ガラス中空球、ガラス繊維、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、塩基性炭酸マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、ホウ酸亜鉛、ドーソナイト、ポリリン酸アンモニウム、カルシウムアルミネート、ハイドロタルサイト、シリカ、珪藻土、アルミナ、酸化チタン、酸化鉄、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化スズ、酸化アンチモン、バリウムフェライト、ストロンチウムフェライト、カーボンブラック、グラファイト、炭素繊維、活性炭、炭素中空球、チタン酸カルシウム、チタン酸ジルコン酸鉛、炭化ケイ素、雲母等の無機フィラー;木粉、でんぷん等の有機フィラー等が挙げられる。
また、他の添加剤としては、粘着付与樹脂、可塑剤、充填剤、架橋剤(イソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤、金属キレート系架橋剤、アジリジン系架橋剤、アミン樹脂等)、熱安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤、赤外線吸収剤、酸化防止剤、滑剤、着色剤、帯電防止剤、難燃剤、撥水剤、防水剤、親水性付与剤、導電性付与剤、熱伝導性付与剤、電磁波シールド性付与剤、透光性調整剤、蛍光剤、摺動性付与剤、透明性付与剤、アンチブロッキング剤、金属不活性化剤、防菌剤、結晶核剤、亀裂防止剤、オゾン劣化防止剤、防鼠剤、分散剤、増粘剤、耐光剤、耐候剤、銅害防止剤、補強剤、防かび剤、大環状分子(シクロデキストリン、カリックスアレーン、ククルビツリル等)や、オレフィン樹脂やオレフィン樹脂以外の樹脂を挙げることができる。
オレフィン樹脂としては、例えば高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖低密度ポリエチレンなどのポリエチレン;ホモポリプロピレン、ブロックポリプロピレン、ランダムポリプロピレンなどのポリプロピレン;α-オレフィンの単独重合体又は共重合体;プロピレン及び/又はエチレンとα-オレフィンとの共重合体などが挙げられる。上記α-オレフィンとしては、例えば1-ブテン、1-ペンテン、3-メチル-1-ブテン、1-ヘキセン、3-メチル-1-ペンテン、4-メチル-1-ペンテン、1-ヘプテン、1-オクテン、1-ノネン、1-デセン、1-ドデセン、1-テトラデセン、1-ヘキサデセン、1-オクタデセン、1-エイコセンなどの炭素数20以下のα-オレフィンが挙げられ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。また、これらのオレフィン樹脂をマレイン酸などにより変性させた変性オレフィン樹脂を用いることもできる。
上記添加剤は、本発明の効果を損なわない範囲で含有させることができる。一方で、本発明の効果を最大限享受する観点から、樹脂組成物において、上記添加剤の含有量は50質量%以下が好ましく、40質量%以下がより好ましく、35質量%以下が更に好ましく、10質量%以下がより更に好ましく、5質量%以下が特に好ましく、2質量%以下が最も好ましい。換言すれば、樹脂組成物における添加剤の含有量は0~50質量%である。
樹脂組成物の調製方法は、特に制限されず、例えば混練装置を用いて調製することができる。混練装置としては、本分野において一般に用いられている方法を採用できる。各成分を、例えばヘンシェルミキサー、Vブレンダー、リボンブレンダー、タンブラーブレンダー、コニカルブレンダー等の混合機を用いて混合することにより、あるいはその混合後、一軸又は二軸押出機、ニーダー等により混練すればよい。溶融混練時の温度は適宜設定することができる。
得られた粘接着組成物は、用途や使用態様等に応じて適切な形態にすることができ、例えば粒状、フレーク状、ペレット状にしてもよい。
前述した本発明の水添ブロック共重合体は、各種用途に使用することができる。その際、水添ブロック共重合体は単独で使用してもよく、前述の樹脂組成物において例示した各種添加剤を混合した組成物としても使用することができる。また同様に、前述した本発明の樹脂組成物も、各種用途に使用することができる。
また、本発明の水添ブロック共重合体、又は樹脂組成物を含有してなるX層と、該X層の少なくとも一方の面に積層されたY層とを有する積層体も提供することができる。該積層体としては、例えば合わせガラスが好適であり、上記X層を合わせガラス用中間膜とし、上記Y層をガラスとする合わせガラスとすることで、優れた制振性のみならず、優れた遮音性も期待できる。
またY層としては、上記ガラス層以外に、各種用途に応じて適宜選択すればよいが、例えば、本発明の水添ブロック共重合体以外の熱可塑性樹脂を含有してなる層等が挙げられる。該熱可塑性樹脂としては、ポリビニルアセタール樹脂、アイオノマー、エチレン-酢酸ビニル共重合体、ウレタン樹脂、ポリアミド樹脂等が挙げられる。
また本発明の水添ブロック共重合体、又は樹脂組成物は、自動車分野における各種の自動車部品、例えばサーモスタットハウジング、ラジエータータンク、ラジエーターホース、ウォーターアウトレット、ウォーターポンプハウジング、リアジョイント等の冷却部品;インタークーラータンク、インタークーラーケース、ターボダクトパイプ、EGRクーラーケース、レゾネーター、スロットルボディ、インテークマニホールド、テールパイプ等の吸排気系部品;燃料デリバリーパイプ、ガソリンタンク、クイックコネクタ、キャニスター、ポンプモジュール、燃料配管、オイルストレーナー、ロックナット、シール材等の燃料系部品;マウントブラケット、トルクロッド、シリンダヘッドカバー等の構造部品;ベアリングリテイナー、ギアテンショナー、ヘッドランプアクチュエータギア、HVACギア、スライドドアローラー、クラッチ周辺部品等の駆動系部品;エアブレーキチューブ等のブレーキ系統部品;エンジンルーム内のワイヤーハーネスコネクタ、モーター部品、センサー、ABSボビン、コンビネーションスイッチ、車載スイッチ、電子制御ユニット(ECU)ボックス等の車載電装部品;スライドドアダンパー、ドラミラーステイ、ドアミラーブラケット、インナーミラーステイ、ルーフレール、エンジンマウントブラケット、エアクリーナーのインレートパイプ、ドアチェッカー、プラチェーン、エンブレム、クリップ、ブレーカーカバー、カップホルダー、エアバック、フェンダー、スポイラー、ラジエーターサポート、ラジエーターグリル、ルーバー、エアスクープ、フードバルジ、バックドア、フューエルセンダーモジュール、フロアマット、インストルメントパネル、ダッシュボード、ダッシュインシュレーター、ダムラバー、ウェザーストリップ、タイヤ等の内外装部品等に用いることもできる。
[各物性の測定方法]
後述の実施例及び比較例で得られた水添ブロック共重合体の物性評価方法を以下に示す。
(1)重合体ブロック(A)~(C)の含有量
重合体ブロック(A)~(C)の含有量は、各ブロックを構成するモノマーの仕込み量から算出した。
下記条件のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)測定により、水添ブロック共重合体のポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)と、変性後の水添ブロック共重合体の分子量分布(Mw/Mn)とを求めた。
(GPC測定装置及び測定条件)
・装置 :GPC装置「HLC-8020」(東ソー株式会社製)
・分離カラム :東ソ-株式会社製の分離カラム「TSKgel G4000HX」2本を直列に連結した。
・溶離液 :テトラヒドロフラン
・溶離液流量 :0.7mL/min
・サンプル濃度:5mg/10mL
・カラム温度 :40℃
・検出器:示差屈折率(RI)検出器
・検量線:標準ポリスチレンを用いて作成
1H-NMR測定により、イソプレン及び/又はブタジエンの残存オレフィン由来のピーク面積とエチレン、プロピレン及び/又はブチレン由来のピーク面積との比から算出した。
・装置:核磁気共鳴装置「ADVANCE 400 Nano bay」(Bruker社製)
・溶媒:CDCl3
水添前のブロック共重合体をCDCl3に溶解して1H-NMR測定[装置:「ADVANCE 400 Nano bay」(Bruker社製)、測定温度:30℃]を行った。イソプレン及び/又はブタジエン由来の構造単位の全ピーク面積と、イソプレン構造単位における3,4-結合単位及び1,2-結合単位、ブタジエン構造単位における1,2-結合単位、又は、イソプレンとブタジエンの混合物に由来する構造単位の場合はそれぞれの前記結合単位に対応するピーク面積の比とからビニル結合量(3,4-結合単位と1,2-結合単位の含有量の合計)を算出した。
水添前のブロック共重合体600mg及びCr(acac)3 40mgをCDCl3 4mLに溶解して10mmNMRチューブを用いて定量13C-NMR測定(パルスプログラム:zgig、Inverse gated 1H decoupling法) [装置:「ADVANCE 400 Nano bay」(Bruker社製)、測定温度:30℃]を行い、下記の方法にて重合体ブロック(B)中の脂環式骨格X、X1、及びX2それぞれの含有量を算出した。
なお、表1中、X、X1、及びX2は次の脂環式骨格を示す。
X:以下(i)~(vi)の置換基の組み合わせを有する脂環式骨格
X1:以下(i),(iv)の置換基の組み合わせを有する脂環式骨格
X2:以下(ii),(iii),(v),(iv)の置換基の組み合わせを有する脂環式骨格
(i) :R1=水素原子、R2=水素原子、R3=水素原子;(1,2Bd+Bd)
(ii) :R1=水素原子、R2=メチル基、R3=水素原子;(1,2Bd+1,2Ip)
(iii):R1=水素原子、R2=水素原子、R3=メチル基;(1,2Bd+3,4Ip)
(iv) :R1=メチル基、R2=水素原子、R3=水素原子;(1,2Ip+Bd)
(v) :R1=メチル基、R2=メチル基、R3=水素原子;(1,2Ip+1,2Ip)
(vi) :R1=メチル基、R2=水素原子、R3=メチル基;(1,2Ip+3,4Ip)
なお、Ipはイソプレンを、Bdはブタジエンを表す。
各ピークと由来する構造を表1-1に示す。それぞれのピークの積分値をa~gとすると、各構造の積分値は表1-2のようになり、X,X1,X2の含有量はそれぞれ、(a+g-c)/(a+b+c-d+e/2+2f), (g-c)/(a+b+c-d+e/2+2f), a/(a+b+c-d+e/2+2f)で算出できる。
ISO 11443:2005に準拠し、温度200℃、剪断速度150s-1の粘度を測定し、水添ブロック共重合体の溶融粘度とした。測定装置として、キャピログラフ1D(株式会社東洋精機製)を用いた。
以下の測定のため、水添ブロック共重合体を、温度230℃、圧力10MPaで3分間加圧することで、厚み1.0mmの単層シートを作製した。該単層シートを円板形状に切り出し、これを試験シートとした。
測定には、JIS K 7244-10(2005年)に基づいて、平行平板振動レオメータとして、円板の直径が8mmのゆがみ制御型動的粘弾性装置「ARES-G2」(ティー・エイ・インスツルメント・ジャパン社製)を用いた。
上記試験シートによって2枚の平板間の隙間を完全に充填し、歪み量0.1%で、上記試験シートに1Hzの周波数で振動を与え、-70℃から200℃まで3℃/分の定速で昇温した。剪断損失弾性率及び剪断貯蔵弾性率の測定値に変化がなくなるまで、上記試験シートと円板の温度を保持し、tanδのピーク強度の最大値(ピークトップ強度)及び該最大値が得られた温度(ピークトップ温度)を求めた。また、40℃、100℃及び120℃における剪断貯蔵弾性率を求めた。
変性水素添加物5gをトルエン180mlに溶解した後、エタノール20mlを加え、0.1モル/L水酸化カリウム溶液で滴定し、下記計算式を用い変性量を算出した。
無水マレイン酸変性量(phr)=滴定量×5.611/サンプル量×98×100/56.11×1,000
上記(2)に従って変性後の分子量分布(Mw/Mn)を測定したときに得られるGPC曲線において、高分子量側(溶出時間の早い時刻側)から辿って第1のショルダーを過ぎた後、曲線が急に立ち上がり始める時刻までの曲線内の面積と、曲線内の全面積とを算出する。そして、後者に対する前者の割合を算出し、変性後のカップリング反応の割合とした。
(1)変性前の水添ブロック共重合体の調製
窒素置換し、乾燥させた耐圧容器に、モレキュラーシーブスA4にて乾燥したシクロヘキサン(溶媒)50kg、アニオン重合開始剤として濃度10質量%のsec-ブチルリチウムのシクロヘキサン溶液0.09kg(sec-ブチルリチウムの実質的な添加量:90g)を仕込んだ。
耐圧容器内を40℃に昇温した後、重合体ブロック(C)のルイス塩基としてテトラヒドロフラン0.02kgを加えてから、イソプレン1.7kgを1時間かけて加え、1時間重合させた。次に50℃に昇温し、スチレン(1)1.0kgを加えて30分間重合させた後、40℃に降温し、ルイス塩基として2,2-ジ(2-テトラヒドロフリル)プロパン(DTHFP)0.033kgを加えてから、イソプレン13.0kgを5時間かけて加え、1時間重合させた。その後、50℃に昇温し、スチレン(2)1.0kgを加えて30分間重合させ、メタノールを投入して反応を停止し、低ビニル化ポリイソプレン-ポリスチレン-高ビニル化ポリイソプレン-ポリスチレンのテトラブロック共重合体を含む反応液を得た。
該反応液を50℃に昇温後、水素圧力1MPaまで加圧し、それからオクチル酸ニッケル及びトリメチルアルミニウムから形成されるチーグラー系触媒(水素添加触媒)を水素雰囲気下で添加し、反応熱によって80℃まで昇温して水素の吸収がなくなるまで反応させた。該反応液を放冷及び放圧させた後、水洗により上記チーグラー系触媒を除去し、真空乾燥させることにより、低ビニル化ポリイソプレン-ポリスチレン-高ビニル化ポリイソプレン-ポリスチレンのテトラブロック共重合体の水素添加物である、水添ブロック共重合体Y-1を得た。得られた水添ブロック共重合体Y-1についての前記物性評価の結果を表3に示す。
Coperion社製二軸押出機「ZSK26mc」(26mmφ、L/D=56)を下記押出条件にて使用し、上記で得られた水添ブロック共重合体Y-1を10kg配合して溶融状態とし、ラジカル開始剤として2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルパーオキシ)ヘキサン(パーヘキサ25B-40、日本油脂株式会社製)を0.01kg、変性剤として無水マレイン酸0.1kgを配合して、変性反応を行い、変性された水添ブロック共重合体(以下、「Y-1M」と称する)を得た。
得られた変性された水添ブロック共重合体Y-1Mについて、前記物性評価の結果を表4に示す。なお、変性された水添ブロック共重合体を「変性水素添加物」ということがある。
〈押出条件〉
・二軸押出機温度設定:樹脂フィード口40℃、シリンダー部入口150℃、アダプター210℃、ダイ210℃
・スクリュー回転数:300rpm
各成分及びそれらの使用量等を表2~表4に記載のとおりに変更したこと以外は実施例1と同様にして、水添ブロック共重合体(Y-2~Y-12)及び変性水素添加物(Y-2M~Y-12M)を得た。なお、実施例1に対応する成分を使用しない場合は、当該成分を添加する手順を省略する以外は、実施例1と同じ順序で各成分を添加し、複数種類の成分を添加する場合(例えば、実施例3のようにイソプレンとブタジエンを用いる場合)は、それらを同時に添加した。得られた水添ブロック共重合体について、前記物性評価の結果を表3に示し、得られた変性水素添加物について、前記物性評価の結果を表4に示す。なお、表3に記載するように、実施例1~9及び比較例3は直鎖状のテトラブロック共重合体であり、比較例1、2は、重合体ブロック(B)及び(C)のうち一方を用いていないため、直鎖状のトリブロック共重合体である。
図1は、実施例1の変性水素添加物Y-1MのGPC測定で得られたクロマトグラム(GPC曲線)である。図1に示されるように、高分子量側に小さなショルダーが現れた後に、変性水素添加物の主成分に基づく大きなピークが観察される。この小さなショルダー部分が副反応としてのカップリング反応によって生じた高分子部分に相当するものと考えられる。
なお、本明細書においては、GPC曲線において、高分子量側(溶出時間の早い時刻側)から辿って第1のショルダー部分を過ぎた後、曲線が急に立ち上がり始める時刻までの曲線内の面積が、変性後のカップリング反応によって生じた成分であるとみなして、上記(9)のように割合を求めている。
また、比較例2の水添ブロック共重合体Y-6は、表3に示すように、tanδのピーク温度が比較例1の水添ブロック共重合体Y-5より高い値を示すものの、重合体ブロック(C)を有していないため、表4から明らかなように、変性後の分子量分布が大きく、変性後のカップリング反応の割合が大きいことから、架橋や切断などの副反応が生じている。
さらに、比較例3の変性水素添加物Y-12は、表3に示すように、tanδのピーク温度が室温付近にあり、室温付近で良好な制振性を示すものの、重合体ブロック(C)の3,4-結合及び1,2-結合の含有量が1~50モル%の範囲を超えていることに起因して、表4から明らかなように、変性後の分子量分布及び変性後のカップリング反応の割合が各実施例よりもさらに大きく、副反応がさらに高い割合で生じている。
図2は、実施例1~9の変性水素添加物Y-1M~Y-4M、Y-7M~Y-11M及び比較例3の変性水素添加物Y-12Mにおける、カップリング反応の成分の割合を、重合体ブロック(C)のビニル結合量に対してプロットした図である。
図2に示されるように、重合体ブロック(C)のビニル結合量が20モル%を超えるまでは、カップリング反応の成分の割合はほぼ単調に減少する。一方、重合体ブロック(C)のビニル結合量が80モル%付近では、カップリング反応の成分の割合は大きい値を示す。したがって、重合体ブロック(C)のビニル結合量に対するカップリング反応の成分の割合は、図2に破線で示すように、重合体ブロック(C)のビニル結合量が30モル%付近にボトムを有する略舌状の曲線を示すものと推測される。したがって、重合体ブロック(C)のビニル結合量を適切な数値範囲に設定することで、副反応をより抑制しやすくなることが理解できる。
[各物性の測定方法]
後述の実施例及び比較例で得られた樹脂組成物について、次の測定方法にしたがって各物性を評価した。
(損失係数)
樹脂組成物を、射出成形機「EC75SX」(東芝機械株式会社製)により、表5~表8に示す射出成形条件で射出成形し、長さ200mm、幅10mm、厚み2mmの試験片を作製した。
次に、損失係数計測システム(ブリュエルケアー社製 複素弾性係数計測装置ME3930;電磁加振器MM0002;インピーダンスボックスMH9123-D)にサンプルをセットし、JIS K7391(2008年)に準拠して中央加振法によるダンピング試験を行い、半値幅法により損失係数を算出した。
具体的には、上記装置の加振器(poweramplifier/model371-A)のインピーダンスヘッドに内蔵された加振力検出器の先端部に、サンプルの中央部を固定した。そして、周波数0~8000Hzで、サンプルの中央部に振動を与えることにより、中央加振法による、測定用サンプルのダンピング試験を行い、上記中央部における加振力と加速度波形を表す加速度信号とを検出した。各サンプルについて、0~100℃の温度範囲で測定を行なった。
得られた加振力と、加速度信号を積分して得られた速度信号に基づいて、加振点(振動を加えた積層体の中央部)の機械インピーダンスを求めた。横軸を周波数、縦軸を上記機械インピーダンスとして得られるインピーダンス曲線を作成し、低周波数側から数えて二つ目のピーク(2nd mode)の半値全幅から、測定用サンプルである積層体の、それぞれの温度での損失係数を求めた。
樹脂組成物を、射出成形機「EC75SX」(東芝機械株式会社製)により、表5に示す射出成形条件で射出成形し、ISO多目的試験片(A形)を作製した。
上記試験片を用い、JIS K7161-1(2014年)(ISO 527-1:2012)に準じて、引張強さ(MPa)、引張破壊ひずみ(%)、引張弾性率(GPa)を測定した。
樹脂組成物を、射出成形機「EC75SX」(東芝機械株式会社製)により、表7に示す射出成形条件で射出成形し、ISO多目的試験片(A形)を作製し、長さ80mm、幅10mm、厚み4mmに切削した。
上記試験片を用い、JIS K7171(2016年)(ISO 178:2010)に準じて、曲げ強さ(MPa)、曲げ弾性率(GPa)を測定した。
二軸押出機(Coperion社製「ZSK26mc」)を用い、シリンダー温度250℃、スクリュー回転300rpmの条件下で、表5~表8に示す配合にしたがい、前記実施例及び比較例で得られた変性水素添加物(Y-11M及びY-5M)、下記の樹脂及び添加剤を供給して溶融混練し、樹脂組成物を製造した。
得られた樹脂組成物について、前記物性評価の結果を表5~8に示す。
樹脂組成物を構成する(II)成分としての熱可塑性樹脂、及び、添加剤としては以下のものを用いた。
・ナイロン6:宇部興産株式会社製「UBEナイロン 1013B」
・ポリブチレンテレフタレート:東レ株式会社製「トレコン 1401X31」
・ABS樹脂:日本エイアンドエル株式会社製「クララスチックKU630R-3」
・PC/ABS樹脂:三菱エンジニアリングプラスチックス株式会社製ポリマーアロイ「ユーピロン MB2212R」
・ガラス繊維:日本電気硝子株式会社製「T-251H」
また、表5に示されるように、実施例10、11は、引張強さ、引張破壊ひずみ、及び、引張弾性率の値が、それぞれ対応する比較例4、5におけるそれらの値以上であることが分かる。
さらに、表7に示されるように、実施例13は、曲げ弾性率及び曲げ強さが比較例7とほぼ同等であり、曲げ特性を維持しながら幅広い温度範囲で損失係数を向上させられることが理解できる。
Claims (28)
- 芳香族ビニル化合物由来の構造単位を主体とする重合体ブロック(A)と、共役ジエン化合物由来の構造単位を主体とする重合体ブロック(B)及び(C)とを含むブロック共重合体の水素添加物であり、
重合体ブロック(A)と、重合体ブロック(B)及び(C)とが、(C)を末端として、(B)-(A)-(C)の順に存在する構造を含み、
重合体ブロック(B)及び(C)の含有割合が、質量比で90:10~50:50の範囲であり、
重合体ブロック(A)の合計含有量が5~30質量%であり、重合体ブロック(B)の3,4-結合及び1,2-結合の含有量が51~90モル%であり、重合体ブロック(C)の3,4-結合及び1,2-結合の含有量が1~50モル%であり、
JIS K 7244-10(2005年)に準拠して、歪み量0.1%、周波数1Hz、測定温度-70~+200℃、昇温速度3℃/分、の条件で行う動的粘弾性測定により得られる100℃の貯蔵弾性率(G’)が、1.2MPa以下である、水添ブロック共重合体。 - 前記重合体ブロック(B)および(C)の水素添加率が85モル%~99モル%である、請求項1に記載の水添ブロック共重合体。
- 重合体ブロック(B)及び(C)の含有割合が、質量比で90:10~77:23の範囲である、請求項1又は2に記載の水添ブロック共重合体。
- 重合体ブロック(A)と、重合体ブロック(B)及び(C)とが、(A)-(B)-(A)-(C)の順に存在する構造を含む、請求項1~3のいずれか1項に記載の水添ブロック共重合体。
- アルコキシシリル基、カルボキシ基、アミノ基、ヒドロキシ基、エポキシ基、及び、酸無水物由来の基からなる群から選ばれる1種又は2種以上の官能基を有する、請求項1~4のいずれか1項に記載の水添ブロック共重合体。
- 前記官能基として、無水マレイン酸及びアルコキシシリル基に由来する基からなる群より選ばれる少なくとも1種を有する、請求項5に記載の水添ブロック共重合体。
- 溶融粘度が、300~2,000Pa・sの範囲にある、請求項1~6のいずれか1項に記載の水添ブロック共重合体。
- 下記の式(X)で示される1種以上の脂環式骨格を有する、請求項1~7のいずれか1項に記載の水添ブロック共重合体。
(上記式(X)中、R1~R3は、それぞれ独立に水素原子又は炭素数1~11の炭化水素基を示し、複数あるR1~R3はそれぞれ同一でも異なってもよい。) - 重合体ブロック(B)が、式(X)で示される構造を有する、請求項8に記載の水添ブロック共重合体。
- JIS K 7244-10(2005年)に準拠して、歪み量0.1%、周波数1Hz、測定温度-70~+200℃、昇温速度3℃/分の条件で測定した、損失正接tanδのピーク温度が-40~+40℃である、請求項1~9のいずれか1項に記載の水添ブロック共重合体。
- 重合体ブロック(C)の3,4-結合及び1,2-結合の含有量が3~40モル%である、請求項1~10のいずれか1項に記載の水添ブロック共重合体。
- 請求項1~11のいずれかに記載の水添ブロック共重合体を含有する樹脂組成物。
- 前記水添ブロック共重合体である(I)成分と、熱可塑性樹脂である(II)成分とを含有する、請求項12に記載の樹脂組成物。
- 前記熱可塑性樹脂が極性樹脂である、請求項13に記載の樹脂組成物。
- 前記熱可塑性樹脂が極性樹脂及び非極性樹脂を含む、請求項13に記載の樹脂組成物。
- 前記熱可塑性樹脂が、ポリフェニレンエーテル系樹脂、スチレン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリフェニレンサルファイド系樹脂、ポリアセタール系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、及びポリエステル系樹脂から選ばれる1種又は2種以上である、請求項13~15のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
- 前記(I)成分と前記(II)成分との含有割合[(I)/(II)]が質量比で1/99~99/1である、請求項13~16のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
- 請求項1~11のいずれか1項に記載の水添ブロック共重合体又は請求項12~17のいずれか1項に記載の樹脂組成物を含有する、ペレット。
- 請求項1~11のいずれか1項に記載の水添ブロック共重合体又は請求項12~17のいずれか1項に記載の樹脂組成物を含有する、ベール。
- 請求項1~11のいずれか1項に記載の水添ブロック共重合体又は請求項12~17のいずれか1項に記載の樹脂組成物の成形物である、成形体。
- 請求項1~11のいずれか1項に記載の水添ブロック共重合体又は請求項12~17のいずれか1項に記載の樹脂組成物を含有する、制振材。
- 請求項1~11のいずれか1項に記載の水添ブロック共重合体又は請求項12~17のいずれか1項に記載の樹脂組成物を含有する、遮音材。
- 極性樹脂と非極性樹脂との相容性を向上させる相容化剤であって、請求項1~11のいずれか1項に記載の水添ブロック共重合体を含む、相容化剤。
- 請求項1~11のいずれか1項に記載の水添ブロック共重合体又は請求項12~17のいずれか1項に記載の樹脂組成物を含有する、靴底材料。
- 請求項1~11のいずれか1項に記載の水添ブロック共重合体又は請求項12~17のいずれか1項に記載の樹脂組成物を含有する、床材。
- 請求項1~11のいずれか1項に記載の水添ブロック共重合体又は請求項12~17のいずれか1項に記載の樹脂組成物を含有する、接着剤又は粘着剤。
- 請求項1~11のいずれか1項に記載の水添ブロック共重合体又は請求項12~17のいずれか1項に記載の樹脂組成物を含有する、積層体。
- 請求項1~11のいずれか1項に記載の水添ブロック共重合体又は請求項12~17のいずれか1項に記載の樹脂組成物を含有する、自動車部品。
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