JP2005169332A - 複合半透膜、液体分離装置及び水の製造方法 - Google Patents

複合半透膜、液体分離装置及び水の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】高塩除去率であり、中性領域で非解離であるホウ素を高い除去率で分離できる複合半透膜およびその製造方法を提供すること。
【解決手段】
多官能アミンと多官能酸ハロゲン化物とを重縮合反応させてなる架橋ポリアミドの分離機能層と、これを支持する支持体からなる複合半透膜であって、ある断面において、前記分離機能層の表面凹凸の隣接頂点間水平距離の平均値Xと互いに隣接する頂点と底点の凹凸差の平均値Zとが次の関係を満足する複合半透膜とする。
X≦230nm,Z/X<0.3
【選択図】図2

Description

本発明は、塩水から淡水を製造するにあたり好適に用いることができる複合半透膜に関し、詳しくは、海水中に含まれる溶質を高度に分離除去し、飲料水を得ることが可能な複合半透膜に関するものである。
近年、複合半透膜を用いた海水の淡水化が試みられ、世界中の水処理プラントで実用化されてきている。複合半透膜は、一般に微多孔性支持膜上に分離機能層を被覆してなり、その分離機能層を架橋芳香族ポリアミドから形成した場合には、ベンゼン環を含むことによって剛直性に富み、芳香族多官能アミンと芳香族多官能酸ハロゲン化物との界面重縮合により容易に製膜できるという利点があり、さらに高塩除去率、高透過流束を達成することが可能である(特許文献1、2)。そのため、海水から飲料水を製造する海水淡水化技術の中核として世界中で展開されつつある。
しかしながら、複合半透膜による海水淡水化は高度に塩分を除去できるものの、海水中に微量に含まれるホウ素については、ホウ素が中性領域で実質的に非解離であるため、WHOが指針値として示している0.5mg/l以下を複合半透膜の一段処理によって満足することは難しい。さらに、被処理水が高温海水の場合には、日本国内基準である1.0mg/lでさえもクリアすることが困難な場合がある。
そこで、この問題を解決するためいくつかの複合半透膜が提案されている。しかしながら、たとえば特許文献3、特許文献4に記載の膜は、膜を熱収縮させたり表面の官能基を後処理によって変化させるものであり、本質的な膜のポテンシャルをあげるものではなく、実施例の記載から、温度25℃、pH7、ホウ素濃度5mg/l、TDS濃度3.5wt%の海水を透過させた場合のホウ素除去率も90%を下回ると推定される。そのため、実際のプラントで想定される最高32℃、pH7、ホウ素濃度5mg/l、TDS濃度3.5wt%の水を回収率40%で処理したときには、ホウ素濃度を継続的に1.0mg/l以下とすることが困難であると考えられ、さらに高いホウ素阻止性能を有する複合半透膜の開発が望まれていた。
ところで、複合半透膜の溶質阻止性能向上の手段の一つとしては、反応薬液中に新規な反応剤を添加することが挙げられる。この方法では、従来の製造方法に対して大きな変更点がないため、簡便な改善方法として有用である。例えば、複合半透膜において、分子中に2以上のアミノ基を有するポリアミン成分と、新規な反応剤として分子中に2以上のハロゲン化カルボニル基を有する線状脂肪族ポリ酸ハライドを含有する酸成分とから架橋ポリアミドを構成する旨が開示されている(特許文献5)。この方法によれば、高い塩阻止率と高い透過流速を有する複合半透膜およびその製造方法を提供できると記されている。しかしながら、この方法によってもホウ素の阻止性能を向上させるには至っていない。
また、複合半透膜の性能に影響を及ぼす因子として、ひだ構造があげられる。膜性能とひだ構造の関係については、ひだを大きくすることによって、実質的な膜面積を大きくし、透水性をあげられることが提示されている(特許文献6、7、8)。一方、分離性能を高める方法として、ひだの上面から見た水平等価円の径を小さくすることも示されているが(特許文献9)、ひだの高さによっては高圧で使用された場合にひだがつぶれ、結局透水性、さらには分離性能を低くすることになりかねない。
特開平1−180208号公報 特開平2−115027号公報 特開平11−19493号公報 特開2001−259388号公報 特許第3031763号公報 特開2001−179061号公報 特開平9−19630号公報 特開平9−85068号公報 特開平9−141071号公報
本発明は、高い塩除去率とともに、ホウ素のような中性領域では非解離の物質にも高い阻止性能を示す複合半透膜およびその製造方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するための本発明は、次の(1)〜(7)の構成を特徴とするものである。
(1)多官能アミンと多官能酸ハロゲン化物とを重縮合反応させてなる架橋ポリアミドの分離機能層と、これを支持する支持体からなる複合半透膜であって、ある断面において、前記分離機能層の表面凹凸の隣接頂点間水平距離の平均値Xと互いに隣接する頂点と底点の凹凸差の平均値Zとが次の関係を満足することを特徴とする複合半透膜。
X≦230nm,Z/X<0.3
(2)Z<60nmである、上記(1)に記載の複合半透膜。
(3)前記分離機能層の表面の自乗平均粗さが100nm以上である、上記(1)または(2)に記載の複合半透膜。
(4)前記分離機能層の表面の比表面積が1.5〜2.5の範囲内である、上記(1)〜(3)のいずれかに記載の複合半透膜。
(5)pH6.5、温度25℃、全塩濃度3.5wt%の模擬海水を操作圧力5.5MPaで供給したときに得られる純水透過係数が3×10-123/m2・Pa・s以上かつホウ素の透過係数が400×10-9m/s以下であることを特徴とする複合半透膜。
(6)上記(1)〜(5)のいずれかの複合半透膜を備えたことを特徴とする液体分離装置。
(7)上記(1)〜(5)のいずれかの複合半透膜を用いて塩水から淡水を得るすることを特徴とする水の製造方法。
本発明によれば、脱塩性能が高く、かつ、これまでの逆浸透膜では高度に阻止することが難しかった中性領域で非解離の物質も高い除去率で阻止することができる複合半透膜となる。したがって、この複合半透膜によれば、特に、海水の脱塩において、これまで高度に阻止することが難しかったホウ素を高い除去率で阻止することができ、逆浸透処理による飲料水製造において好適に用いることができる。
本発明にかかる複合半透膜は、多官能アミンと多官能酸ハロゲン化物とを重縮合反応させてなる架橋ポリアミドの分離機能層と、これを支持する支持体からなるものであって、ある断面において、分離機能層の表面凹凸の隣接頂点間水平距離の平均値Xと互いに隣接する頂点と底点の凹凸差の平均値Zとが次の関係を満足する。
X≦230nm,Z/X<0.3
このように、ひだのピッチとひだのアスペクト比を適切に制御することで、本発明の目的を達成することができる。
ひだを大きくする、すなわち、隣接する頂点の間の距離の平均値Xを大きくしたり、凹凸高さZを大きくすると、透水性は向上するものの溶質透過性も大きくなる。一般的に、ひだを大きくすることによって高い溶質阻止性能と透水性を両立することができると考えられるのは、あくまで、透水性が上がることによって、溶質透過量に対して水透過量が相対的に増加した結果として、阻止率が高い状態に維持されるのであって、溶質の透過性を抑制しているわけではない。むしろ、ひだの存在は、加圧時の変形、ひいては、膜構造破壊につながり、阻止性能を低下させることになる。とくに、高圧で運転される海水淡水化用の膜の場合は、この傾向が性能に現れ、とくに荷電がなく溶質径が小さなホウ素に関しては除去性能が低下しやすい。
そこで、本発明者らは、表面のひだ構造に着目し、鋭意検討を行った結果、X≦230nm、ひだのアスペクト比としてZ/X<0.3とすることによって、本発明の課題を克服することを可能とすることを見出したのである。なお、ひだのアスペクト比Z/Xの下限は、実用的な透水性能を有する範囲であればよいが、具体的には0.1が好ましい。
さらに、Zの好ましい範囲としては、60nm以下であるが、透水性をなるべく高く維持したいという観点からは、20nm以上であることがより好ましい。
透水性という観点からは、ひだの大きさの他、実質的な膜面積としてとらえた方が直接的であるが、これは比表面積という値で示すことができ、比表面積が1.5〜2.5の範囲内にある複合半透膜とすることが好ましい。比表面積が1.5を下回ると、実効膜面積が小さくなり透水量が低下するので好ましくない。逆に比表面積が2.5を越えるとひだの強度が低下し、特に海水淡水化のように膜に対して高圧をかける場合に膜の機械的損傷を招きやすく好ましくない。
さらに、ひだに関する上記の条件を満たすためには、架橋ポリアミドの分離機能層表面の自乗平均粗さを100nm以上とすることが好ましく、上限としては200nm以下が好ましい。これによって、ひだの強度を維持しつつ大きな透水量を得るための大きな比表面積を得ることが可能となる。
なお、これらX、Z、比表面積、自乗平均粗さの測定は、具体的には、原子間力顕微鏡を用いて、表面のひだ構造をとして、表面の三次元プロファイルを測定し、その三次元座標値(x、y、z)から計算によって求めることができる。
分離機能層表面の凹凸の隣接頂点間水平距離の平均値Xは、原子間力顕微鏡の探針によって膜の原液側表面の凹凸を走査・実測することによって求める。すなわち、原子間力顕微鏡は視野範囲の膜表面の凹凸を三次元的にデジタル座標化することが出来、この座標データから、本発明で述べるところのXとZを算出することが出来るので、複合半透膜の表面側から原子間力顕微鏡の探針をある一方向(x軸方向)へスキャンさせてある一断面における膜表面の凹凸をデジタル座標で得る。つづいて、y軸方向へずらしながら、スキャンすることによって多数のXとZを算出することができる。さらに、膜の製膜方向などによって生じる異方性を考慮し、スキャンする角度を45度ずつずらして計4回測定し、平均値を得ることによって、異方をも考慮した正確なXとZを算出することができる。ここで、原子間力顕微鏡の探針の走査は、分離機能層の形状をできるだけ正確に測定するために、タッピングモードとする
なお、参考までに、5μm四方の領域について、この操作を原子間力顕微鏡の探針をy軸方向(前記x方向に交差する方向)に所定間隔ずらしながら繰り返し行い得た結果を、512×512ピクセルの三次元画像として図1に示し、図1のy=0(図中手前)における断面について、x座標と凹凸の座標(紙面鉛直方向の座標)との関係を図2に示す。この図2から、隣接する頂点の距離(x座標の差)をすべて算出して平均値をとったものをXi、同様にある頂点とそれに隣接する底点との差をすべて算出して平均値をとったものをZiとする。なお、頂点とは、図2に示されるグラフの傾きが正から負に変わるところをいい、底点とは図2に示されるグラフの傾きが負から正に変わるところをいう。この場合においては、y軸方向に512ピクセルデータが取られるので、512セットのXi、Ziを得ることができる。さらに、前述のように角度を変えながら測定して平均値を算出することで、正確なX,Zを得ることができる。
比表面積は、まず、原子間力顕微鏡による三次元的デジタル座標のデータから、4つの隣接する水平座標(xm,yn),(xm+1,yn),(xm,yn+1),(xm+1,yn+1)で囲まれる領域の膜表面の面積Sm,nを算出し、これをx軸方向およびy軸方向にスキャンしながら繰り返し行い、表面積Sm,nの総和を求める。続いて、表面積Sm,nのz軸方向への投影面積、すなわち、x軸方向,y軸方向のスキャン範囲の面積を算出し、この値で表面積Sm,nの総和を除す。こうして比表面積を算出することができる。
自乗平均粗さRrmsは、三次元的デジタル座標の全データから次の式によって計算できる。
Rrms=[Σ{(zp,q−zave2}]0.5
(zp,qは各データのz座標、p,q=1〜512、zaveはz座標の平均値)
そして、上述した本発明の複合半透膜は、優れた透水性能と溶質除去率を達成することができる。すなわち、pH6.5、温度25℃、全塩濃度3.5wt%の模擬海水を操作圧力5.5MPaで供給したとき、純水透過係数が3×10-123/m2・Pa・s以上かつホウ素の透過係数が400×10-9m/s以下という性能を発現することができるものとなる。
なお、全塩濃度3.5wt%の模擬海水とは、NaCl=23.926g/l, Na2SO4=4.006g/l, KCl=0.738g/l, NaHCO3=0.196g/l, MgCl2=5.072g/l, CaCl2=1.147g/l,H3BO3=0.0222g/lの組成で調合したものをいう。
また、純水透過係数Lpとホウ素透過係数Pbは、膜面で生じる濃度分極現象を考慮した以下の方法で得ることができる。たとえば、平膜で測定する場合は、参考文献1(M Taniguchiら、「Journal of Membrane Science」、2000、183、p259-267)などに示される平膜セルによって模擬海水の透過流束と阻止性能を測定し、以下の式によってLp,Pbを算出する。
Jv=Lp(ΔP−Δπ)
Js=P(Cm−Cp)
Jsb=Pb(Cmb−Cpb)
Δπ=π(Cm)−π(Cp)
(Cm−Cp)/(Cf−Cp)=exp(Jv/k)
(Cmb−Cp)/(Cfb−Cpb)=exp(Jv/kb)
Jv :純水透過流束[m3/m2・s]
Js :TDS透過流束[kg/m2・s]
Jsb:ホウ素透過流束[kg/m2・s]
Lp :純水透過係数[m3/m2・Pa・s]
P :TDS透過係数[m/s]
Pb :ホウ素透過係数[m/s]
π():TDS浸透圧[Pa]
Δπ :浸透圧差[Pa]
ΔP :操作圧力差[Pa]
Cm :TDS原水膜面濃度[kg/m3
Cf :TDS原水バルク濃度[kg/m3
Cp :TDS透過水濃度「kg/m3
Cmb:ホウ素原水膜面濃度[kg/m3
Cfb:ホウ素原水バルク濃度[kg/m3
Cpb:ホウ素透過水濃度「kg/m3
k :TDS物質移動係数[m/s]
kb :ホウ素物質移動係数[m/s]
ここで、浸透圧πは、参考文献1や参考文献2(M Taniguchiら、「AIChE Journal」、2000、46、p1967-1973)に示されるいわゆる「三宅の式」によって知ることができる。TDS物質移動係数kは、評価セルによって決められる値であるが、参考文献2に示されている浸透圧法もしくは流速変化法によって膜面流量Q[m3/s]もしくは膜面流速u[m/s]の関数として得ることができる。
参考文献1に示されている平膜セルの場合、
k=1.63×10-3・Q0.4053
である。つづいて、ホウ素の物質移動係数kbであるが、これも同文献に示されるように、
k/kb=(D/Db)0.75
D :TDS拡散係数[m2/s]
Db:ホウ素拡散係数[m2/s]
から算出することができる。したがって、上記の式から未知数Lp,P,Pb,Cm,Cmbを算出することができる。膜エレメントの場合は、参考文献2に示されているように、膜エレメントの長さ方向に積分しながらLp,Pをフィッティングによって算出することができる。
かかる複合半透膜を得るためには、たとえば、内部や表面に脂肪族アシル基を存在させる方法を挙げることができ、たとえば実質的に分離性能を有さない微多孔性支持膜上に実質的にイオン等の分離性能を有する分離機能層を設け、その分離機能層の内部および/または表面に脂肪族アシル基を存在せしめる。脂肪族アシル基は結合によって分離機能層中もしくは分離機能層表面に存在していればよい。
分離機能層は、酸やアルカリに対して化学的安定性が高い架橋ポリアミドからなるもの、もしくは架橋ポリアミドを主成分とするものからなることが好ましい。架橋ポリアミドは、多官能アミンと多官能酸ハロゲン化物との界面重縮合により形成され、多官能アミンまたは多官能酸ハロゲン化物成分の少なくとも一方が3官能以上の化合物を含んでいることが好ましい。
ここで、多官能アミンとは、一分子中に少なくとも2個の一級および/または二級アミノ基を有するアミンをいい、たとえば、2個のアミノ基がオルト位やメタ位、パラ位のいずれかの位置関係でベンゼンに結合したフェニレンジアミン、キシリレンジアミン、1,3,5ートリアミノベンゼン、1,2,4−トリアミノベンゼン、3,5−ジアミノ安息香酸などの芳香族多官能アミン、エチレンジアミン、プロピレンジアミンなどの脂肪族アミン、1,2−ジアミノシクロヘキサン、1,4−ジアミノシクロヘキサン、ピペラジン、1,3−ビスピペリジルプロパン、4−アミノメチルピペラジンなどの脂環式多官能アミン等を挙げることができる。中でも、膜の選択分離性や透過性、耐熱性を考慮すると芳香族多官能アミンであることが好ましく、このような多官能芳香族アミンとしては、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、1,3,5−トリアミノベンゼンが好適に用いられる。さらには、入手の容易性や取り扱いのしやすさから、m−フェニレンジアミン(以下、m−PDAと記す)を用いることがより好ましい。これらの多官能アミンは、単独で用いたり、混合して用いてもよい。
多官能酸ハロゲン化物とは、一分子中に少なくとも2個のハロゲン化カルボニル基を有する酸ハロゲン化物をいう。たとえば、3官能酸ハロゲン化物では、トリメシン酸クロリド、1,3,5−シクロヘキサントリカルボン酸トリクロリド、1,2,4−シクロブタントリカルボン酸トリクロリドなどを挙げることができ、2官能酸ハロゲン化物では、ビフェニルジカルボン酸ジクロリド、ビフェニレンカルボン酸ジクロリド、アゾベンゼンジカルボン酸ジクロリド、テレフタル酸クロリド、イソフタル酸クロリド、ナフタレンジカルボン酸クロリドなどの芳香族2官能酸ハロゲン化物、アジポイルクロリド、セバコイルクロリドなどの脂肪族2官能酸ハロゲン化物、シクロペンタンジカルボン酸ジクロリド、シクロヘキサンジカルボン酸ジクロリド、テトラヒドロフランジカルボン酸ジクロリドなどの脂環式2官能酸ハロゲン化物を挙げることができる。多官能アミンとの反応性を考慮すると、多官能酸ハロゲン化物は多官能酸塩化物であることが好ましく、また、膜の選択分離性、耐熱性を考慮すると、多官能芳香族酸塩化物であることが好ましい。中でも、入手の容易性や取り扱いのしやすさの観点から、トリメシン酸クロリドを用いるとより好ましい。これらの多官能酸ハロゲン化物は、単独で用いたり、混合して用いてもよい。
脂肪族アシル基を分離機能層に存在させる方法は特に限定されるものではなく、たとえば、多官能アミンと多官能酸ハロゲン化物との界面重縮合により形成された分離機能層の表面に脂肪族酸ハロゲン化物溶液を接触させたり、多官能アミンと多官能芳香族酸ハロゲン化物との界面重縮合の際に脂肪族酸ハロゲン化物を共存させることで、分離機能層中に共有結合によって存在せしめればよい。
すなわち、微多孔性支持膜上にポリアミド分離機能層を形成するにあたり、そのポリアミド分離機能層を、多官能アミン水溶液と、多官能酸ハロゲン化物の有機溶媒溶液と、これとは異なる炭素数が1〜4の範囲内の脂肪族酸ハロゲン化物の有機溶媒溶液とを微多孔性支持膜上で接触させ界面重縮合させることでなるものとしたり、ポリアミド分離機能層を、多官能アミン水溶液と、多官能酸ハロゲン化物およびこれとは異なる炭素数が1〜4の範囲内の脂肪族酸ハロゲン化物を含有する有機溶媒溶液とを微多孔性支持膜上で接触させ界面重縮合させてなるものとすればよい。
その場合、本発明において用いられる脂肪族酸ハロゲン化物は、通常炭素数1〜4を有するが、好ましくは炭素数2〜4である。炭素数が多くなるに従って、立体障害によって脂肪族酸ハロゲン化物の反応性が低下したり、多官能酸ハロゲン化物の反応点への接近が困難になり円滑な膜形成が妨げられたりするため、膜の性能が低下する。
かかる脂肪族酸ハロゲン化物としては、メタンスルホニルクロリド、アセチルクロリド、プロピオニルクロリド、ブチリルクロリド、オキサリルクロリド、マロン酸ジクロリド、こはく酸ジクロリド、マレイン酸ジクロリド、フマル酸ジクロリド、クロロスルホニルアセチルクロリド、N,N−ジメチルアミノカルボニルクロリドなどが挙げられる。これらは単独でも2種以上を同時に使用しても良いが、膜を緻密構造にでき、かつ、透水性をあまり低下させないバランスのとれたものとしてオキサリルクロリドを主成分とすることが好ましい。
そして、微多孔性支持膜を含む支持体は、実質的には分離性能を有さない層であり、実質的に分離性能を有する架橋ポリアミドの分離機能層に機械的強度を与えるために設けられるもので、布帛や不織布などの基材上に微多孔性支持膜を形成したものなどが用いられる。
支持体としては、ミリポア社製”ミリポアフィルターVSWP”(商品名)や、東洋濾紙社製”ウルトラフィルターUK10”(商品名)のような各種市販材料から選択することもできるが、通常は、”オフィス・オブ・セイリーン・ウォーター・リサーチ・アンド・ディベロップメント・プログレス・レポート”No.359(1968)に記載された方法に従って製造できる。
支持体の素材としては、ポリスルホン、ポリアミド、ポリエステル、酢酸セルロース、硝酸セルロースやポリ塩化ビニル等のホモポリマーあるいはブレンドしたものが通常使用されるが、化学的、機械的、熱的に安定性の高い、ポリスルホンを使用するのが好ましい。
また、支持体の厚みは、複合半透膜の強度や透水性能、扱いやすさ、モジュール加工のしやすさという観点から、1μm〜数mmの範囲内であるのが好ましく、10〜数100μmの範囲内であるのがより好ましい。
微多孔性支持膜の素材としては、特に限定されず、例えば、ポリスルホン、酢酸セルロース、硝酸セルロース、ポリ塩化ビニル、ポリアクリロニトリル、ポリフェニレンスルフィド、ポリフェニレンスルフィドスルホン等のホモポリマーまたはコポリマーを単独あるいはブレンドして使用することができる。これらの素材の中では化学的、機械的、熱的に安定性が高く、成型が容易であることから、ポリスルホンが好ましく使用される。
また、微多孔性支持膜の構造としては特に限定されず、膜の表面から裏面にわたって孔径が均一な微細な孔を有する構造であっても、片面に緻密で微細な孔を有し、その面からもう一方の面まで徐々に孔径が大きくなるような孔を有する非対称構造であってもよい。緻密な微細孔の大きさは100nm以下であることが好ましい。例えば、ポリスルホン素材の微多孔性支持膜を形成する場合、ポリスルホンのジメチルホルムアミド(DMF)溶液を、密に織ったポリエステル布あるいは不織布の上に一定の厚さに注型し、それをドデシル硫酸ソーダ0.5重量%およびDMF2重量%を含む水溶液中で湿式凝固させることによって、表面の大部分が直径数10nm以下の微細な孔を有した微多孔性支持膜が得られる。
ここで、複合半透膜の性能を十分に発揮させるためには、基材の通気度は、0.1cm3/cm2・s、好ましくは、0.4〜1.5cm3/cm2・sであることが好ましい。なお、通気度は、JIS L1096のフラジール法に基づいて測定される。また、使用する不織布としても特に限定されるものではないが、単糸繊維度が0.1〜0.6デシテックス、特に0.3〜2.0デシテックスの範囲にある少なくとも2種類のポリエステル繊維を混繊して形成された不織布を用いると基材を構成している繊維間に直径10μm以下の孔を形成することができ、微多孔性支持膜と不織布の接合強度を高くすることができる。さらに、10μm以下の孔が90%以上の割合で存在することが好ましい。ここでいう孔径は、JIS K3832のバブルポイント法に基づいて測定される。
次に、本発明の複合半透膜の製造方法について説明する。
複合半透膜を構成する分離機能層は、例えば、前述の多官能アミンを含有する水溶液と、多官能酸ハロゲン化物を含有する、水と非混和性の有機溶媒溶液とを用い、微多孔性支持膜の表面で界面重縮合を行うことによりその骨格を形成できる。
ここで、多官能アミン水溶液における多官能アミンの濃度は多官能アミンの種類にもよるが、0.1〜10重量%の範囲内であることが好ましく、さらに好ましくは0.5〜5.0重量%の範囲内である。濃度が0.1重量%を下回ると反応の進行が遅くなる傾向があり、10重量%を越えると分離機能層が厚くなり透水性が不十分となりやすい。本発明への適用に好ましいm−フェニレンジアミンの場合、2.0〜5.0重量%、さらに2.5〜3.5%にすると、より溶質阻止性能、透水性に優れた均質な半透膜を得易いので好ましい。多官能アミン水溶液には、多官能アミンと多官能酸ハロゲン化物との反応を妨害しないものであれば、界面活性剤や有機溶媒、アルカリ性化合物、酸化防止剤などが含まれていてもよい。界面活性剤は、多孔性支持膜表面の濡れ性を向上させ、アミン水溶液と非極性溶媒との間の界面張力を減少させる効果があり、有機溶媒は界面重縮合反応の触媒として働くことがあり、添加することにより界面重宿合反応を効率よく行える場合がある。
界面重縮合を多孔性支持膜上で行うために、まず、上述の多官能アミン水溶液を多孔性支持膜に接触させる。接触は、多孔性支持膜面上に均一にかつ連続的に行うことが好ましい。具体的には、たとえば、多官能アミン水溶液を多孔性支持膜にコーティングする方法や多孔性支持膜を多官能アミン水溶液に浸漬する方法を挙げることができる。多孔性支持膜と多官能アミン水溶液との接触時間は、多孔質支持膜にアミン液が十分に浸透するために1以上であることが好ましいが、必要以上に浸漬する必要はなく、具体的には、1〜3分間の範囲内が好ましい。
多官能アミン水溶液を多孔性支持膜に接触させたあとは、膜上に液滴が過剰に残らないように十分に液切りする。過剰に液滴が残ると、膜形成後に過剰液滴残存部分が膜欠点となって膜性能の低下を招きやすい。液切りの方法としては、たとえば、特開平2−78428号公報に記載されているように、多官能アミン水溶液接触後の多孔性支持膜を垂直方向に把持して過剰の水溶液を自然流下させる方法や、エアーノズルから窒素などの風を吹き付け、強制的に液切りする方法などを用いることができる。また、液切り後、膜面を乾燥させ、水溶液の水の一部を除去することもできる。
次いで、多官能アミン水溶液接触後の支持膜に、多官能酸ハロゲン化物を含む有機溶媒溶液を接触させ、界面重縮合により架橋ポリアミド分離機能層の骨格を形成させる。
有機溶媒溶液中の多官能酸ハロゲン化物の濃度も多官能酸ハロゲン化物の種類によるが、0.01〜10重量%の範囲内であると好ましく、0.02〜2.0重量%の範囲内であるとさらに好ましい。0.01重量%を下回ると反応の進行が遅くなる傾向があり、10重量%を越えると副反応が起こりやすい。また、本発明に好ましいトリメシン酸クロリドの場合、0.02〜0.50重量%の範囲内であると好ましく、さらに、0.05〜0.20重量%の範囲内であるとさらに好ましい。ただし、多官能アミンの濃度に対して酸クロリドの濃度が低いと、膜表面のひだが高くなる傾向にあるため、酸クロリドの濃度をアミンの濃度に対して適切な濃度に設定することが重要である。たとえば、アミンとしてm−フェニレンジアミン、酸クロリドとしてトリメシン酸クロリドを主成分とする場合、アミン濃度(重量%)に対する酸クロリド濃度(重量%)の比の値を0.03〜0.04にすることで本発明に好ましいひだ構造を得ることができる。さらに、この有機溶媒溶液にN,N−ジメチルホルムアミドのようなアシル化触媒を含有させると、界面重縮合が促進され、さらに好ましい。
有機溶媒は、水と非混和性であり、かつ酸ハロゲン化物を溶解し微多孔性支持膜を破壊しないことが望ましく、アミノ化合物および酸ハロゲン化物に対して不活性であるものであればよい。好ましい例としては、たとえば、n−ヘキサン、n−オクタン、n−デカンなどの炭化水素化合物が挙げられる。
多官能酸ハロゲン化物の有機溶媒溶液のアミノ化合物水溶液相への接触は、多官能アミン水溶液の微多孔性支持膜への被覆方法と同様に行えばよい。
上述したように、酸ハロゲン化物の有機溶媒溶液を接触させて界面重縮合を行い、多孔性支持膜上に架橋ポリアミドを含む分離機能層を形成したあとは、余剰の溶媒を液切りするとよい。液切りの方法は、たとえば、膜を垂直方向に把持して過剰の有機溶媒を自然流下して除去する方法を用いることができる。この場合、垂直方向に把持する時間としては、1〜5分間の間にあることが好ましく、1〜3分間であるとより好ましい。短すぎると分離機能層が完全に形成せず、長すぎると有機溶媒が過乾燥となり欠点が発生しやすく、性能低下を起こしやすい。
そして、本発明の複合半透膜の製造方法においては、分離機能層に脂肪族アシル基を結合させるが、これは、たとえば上述の多官能アミン水溶液接触後の支持膜に、上述の多官能酸ハロゲン化物およびこれとは異なる脂肪族酸ハロゲン化物を含有する有機溶媒溶液を接触させたり、上述の多官能アミン水溶液接触後の支持膜に上述の多官能酸ハロゲン化物を接触せしめて界面重縮合によって多孔性支持膜上に架橋ポリアミドを含む分離機能層を形成した後、さらに上述の前記多官能酸ハロゲン化物とは異なる脂肪族酸ハロゲン化物を含有する有機溶媒溶液を接触せしめることで達成できる。
脂肪族酸ハロゲン化物を、多官能アミンと多官能酸ハロゲン化物との界面重縮合により実質的な分離機能層を形成した後に接触させる場合、製膜原液における脂肪族酸ハロゲン化物の濃度は、多官能酸ハロゲン化物に対して5mol%以上であることが好ましい。5mol%を下回るとホウ素阻止の効果が小さくなる。そして、100mol%を越えて用いてもホウ素阻止の効果に変化が見られず、多量の未反応試薬による環境悪化や処理のための経済的負担が増大するので、100mol%以下であることが好ましく、20mol%〜100mol%の範囲内であるとより好ましい。
一方、多官能酸ハロゲン化物と脂肪族酸ハロゲン化物とを単一の有機溶媒溶液に混合して分離機能層を形成する場合は、脂肪族酸ハロゲン化物の濃度が多官能酸ハロゲン化物に対して10mol%〜50mol%の範囲内であることが好ましく、20mol%〜40mol%の範囲内であることがさらに好ましい。10mol%を下回るとホウ素阻止の効果が小さく、50mol%を越えると透過流束が大きく低下する。
本発明の複合半透膜は、たとえばプラスチックネットなどの原液流路材やトリコットなどの透過液流路材、さらに必要に応じて耐圧性を高めるためのフィルムと共に集水管の周囲に巻囲され、スパイラル状のエレメントとして使用され、浸透圧以上の圧力を負荷することで、原液を透過液と濃縮液とに分離する。複合半透膜に供給される原液は、特に制限されるものではないが、海水の脱塩に使用すると本発明の複合半透膜の効果をより発揮できるので好ましい。
エレメントとしては、スパイラル状エレメントに限られるものではなく、複合半透膜の膜形態に合わして適切な形態のエレメントとすればよい。本発明の複合半透膜としては、中空糸膜,管状膜,平膜のいずれでもよく、エレメントとしては、複合半透膜の両側に実質的な液室を有し、複合半透膜の一方の表面から他方の表面に液体を加圧透過させることができるものであれば、とくに制限されるものではない。平膜の場合は、枠体で支持した複合半透膜を複数枚積層する構造のプレート&フレーム型や、上述のスパイラル型と呼ばれるタイプが一般的であり、これらのエレメントを矩形や円筒状の筐体に納めて用いる。また、中空糸膜、管状膜の場合は、複数本の複合半透膜を筐体内に配置するとともにその端部をポッティングして液室を形成し、エレメントを構成する。そして、液体分離装置としてこのようなエレメントを単体でも複数個を直列あるいは並列に接続して使用する。
また、原水には、本発明の複合半透膜に供給する前に、濁質成分の除去や殺菌などの前処理を施しておくことが好ましい。これらの処理により複合半透膜のファウリングなどによる性能低下を防ぐことができ、液体分離装置の長期に渡る安定運転を可能にする。具体的な前処理は、原水の性状により適宜選択すればよいが、たとえば、濁質成分が多く含まれる原水を処理する場合は、ポリ塩化アルミニウムなどの凝集剤を加えた後に砂ろ過を行い、さらに例えば複数本の中空糸膜を束ねた精密ろ過膜や限外ろ過膜によるろ過を行うことが好ましい。
<参考例>
実施例および比較例において使用した繊維補強ポリスルホン支持体(限外濾過膜)は、以下の手法により製造した。
タテ30cmヨコ20cmの大きさのポリエステル繊維からなる湿式不織布(単繊維度0.5および1.5デシテックスの混繊、通気度0.7cm3/cm2・s、平均孔径7μm以下)をガラス板上に固定し、その上にポリスルホン(ユニオン・カーバイト社製のUdel(登録商標)−P3500)の15重量%ジメチルホルムアミド(DMF)溶液を200μmの厚みで室温(20℃)でキャストし、ただちに純水中に室温で浸漬して5分間放置することによって繊維補強ポリスルホン支持体(以下FR−PS支持体と略す)を作製する。このようにして得られたFR−PS支持体(厚さ210〜215μm)の透過流束は、圧力0.1MPa、温度25℃で測定して1.7m3/m2・日であった。
<実施例1>
参考例のようにして得られたFR−PS支持体を、m−フェニレンジアミン3.4重量%水溶液中に2分間浸漬し、該支持体を垂直方向にゆっくりと引き上げ、エアーノズルから窒素を吹き付け支持膜表面から余分な水溶液を取り除いた。その後、トリメシン酸クロリド0.15wt%とオキサリルクロリド0.030wt%の組成で調製した多官能芳香族酸ハロゲン化物および脂肪族酸ハロゲン化物のn−デカン混合溶液を、表面が完全に濡れるように塗布して1分間静置してから、膜を垂直に1分間保持して液切りした。続いて風乾にてデカン溶媒を蒸発させ、水道水で膜中の残存薬液を流水洗浄した。その後、90℃の熱水で2分間洗浄し、pH7に調整した200mg/l次亜塩素酸ナトリウム水溶液中に2分間浸漬してから、1,000mg/l亜硫酸水素ナトリウム水溶液中に浸漬した。さらに、この膜を95℃の熱水で2分間再洗浄した。
この複合半透膜を参考文献1に示される平膜セルを用いて、供給圧力5.5MPa、25℃、pH6.5、TDS濃度3.5wt%の模擬海水(ホウ素濃度5.0mg/l)を用いて流量3.5l/分で評価したところ、膜透過流束は0.67m3/m2・日、透過水TDS濃度は63ppm、透過水ホウ素濃度は0.28mg/lであった。この複合半透膜の純水透過係数Lp=3.69×10-123/m2・Pa・s、ホウ素透過係数Pb=368×10-9m/sであり、純水透過係数が大きく、ホウ素透過係数が小さい海水淡水化に適した複合半透膜となった。
このようにして得られた複合半透膜を、乾燥空気中で24時間乾燥させ、真空乾燥器でさらに24時間真空乾燥させた後、原子間力顕微鏡Dimension3000(日本Beeco社製)で測定し、5μm×5μmの範囲の3次元プロファイルを得た。なお、SiNカンチレバーPoint Probes NCHh-Wを用い、タッピングモード、スキャン速度0.2Hz、解像度512×512ピクセルでスキャンした。得られた3次元プロファイルからX、Z、Z/X、自乗平均粗さ、比表面積を算出したところ、X=185nm,Z=45nm,Z/X=0.24,自乗平均粗さ=121nm比表面積1.92となった。
<実施例2>
m−フェニレンジアミン、トリメシン酸クロリド、オキサリルクロリドの組成を表1に示すように変更した他は、実施例1と同様にして複合半透膜を作製した。この膜を、実施例1と同様にして膜性能を測定し、原子間力顕微鏡で解析した結果を表1に示す。
この膜は、実用的な純水透過係数を有するとともに、ホウ素透過係数が小さい海水淡水化に適した複合半透膜となった。
<実施例3>
m−フェニレンジアミン、トリメシン酸クロリド、オキサリルクロリドの組成を表1に示すように変更した他は、実施例1と同様にして複合半透膜を作製した。この膜を、実施例1と同様にして膜性能を測定し、原子間力顕微鏡で解析した結果を表1に示す。
この膜は、純水透過係数はやや低かったが、ホウ素透過係数が非常に小さく高度にホウ素除去が可能で高濃度海水淡水化に適した複合半透膜となった。
<比較例1>
アミン成分としてm−フェニレンジアミン、酸成分としてトリメシン酸クロリドのみを用い、組成を表1に示すようにして、実施例1と同様の方法で複合半透膜を作製した。この膜を、実施例1と同様にして膜性能を測定し、原子間力顕微鏡で解析した結果を表1に示す。
この膜は、純水透過係数は高かったが、ホウ素透過係数が非常大きく、ホウ素除去性能に劣る複合半透膜となった。
<比較例2>
m−フェニレンジアミン、トリメシン酸クロリドの組成を表1に示すように変更した他は、比較例1と同様にして複合半透膜を作製した。この膜を、実施例1と同様にして膜性能を測定し、原子間力顕微鏡で解析した結果を表1に示す。
この膜は、純水透過係数は低く、ホウ素透過係数も高く、トータル性能に劣る複合半透膜となった。
<比較例3>
m−フェニレンジアミン、トリメシン酸クロリド、オキサリルクロリドの組成を表1に示すように変更した他は、実施例1と同様にして複合半透膜を作製した。この膜を、実施例1と同様にして膜性能を測定し、原子間力顕微鏡で解析した結果を表1に示す。
この膜は、純水透過係数は高かったが、ホウ素透過係数が高く、透水性能とホウ素除去性能のバランスが良くない複合半透膜となった。
Figure 2005169332
本発明の複合半透膜は、高塩除去率、高透過流束を達成でき、また、ホウ素のような中性領域では非解離の物質にも高い阻止性能を示すので、原子力発電所の冷却水やメッキ廃水の処理、高濃度かん水や海水の淡水化による飲料水製造等に好適に用いることができる。
複合半透膜を原子間力顕微鏡で解析して得た三次元プロファイルの一例である。 図1の三次元プロファイルのy=0におけるx軸方向の断面図の一例である。

Claims (7)

  1. 多官能アミンと多官能酸ハロゲン化物とを重縮合反応させてなる架橋ポリアミドの分離機能層と、これを支持する支持体からなる複合半透膜であって、ある断面において、前記分離機能層の表面凹凸の隣接頂点間水平距離の平均値Xと互いに隣接する頂点と底点の凹凸差の平均値Zとが次の関係を満足することを特徴とする複合半透膜。
    X≦230nm,Z/X<0.3
  2. Z<60nmである、請求項1に記載の複合半透膜。
  3. 前記分離機能層の表面の自乗平均粗さが100nm以上である、請求項1または2に記載の複合半透膜。
  4. 前記分離機能層の表面の比表面積が1.5〜2.5の範囲内である、請求項1〜3のいずれかに記載の複合半透膜。
  5. pH6.5、温度25℃、全塩濃度3.5wt%の模擬海水を操作圧力5.5MPaで供給したときに得られる純水透過係数が3×10-123/m2・Pa・s以上かつホウ素の透過係数が400×10-9m/s以下であることを特徴とする複合半透膜。
  6. 請求項1〜5のいずれかの複合半透膜を備えたことを特徴とする液体分離装置。
  7. 請求項1〜5のいずれかの複合半透膜を用いて塩水から淡水を得るすることを特徴とする水の製造方法。
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