JP2014144438A - 非対称半透膜、その製造方法およびそれを用いる造水方法 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明は、液体および気体を選択透過することができる半透膜に関し、例えば海水またはかん水などの液状混合物から塩分などの溶質を除去するにあたって好適に用いることができる高い透水性を有する非対称半透膜に関する。
近年、半透膜を用いた海水等の淡水化やガスの精製が試みられ、世界中の水処理やガス精製のプラントで実用化されてきている。半透膜としては、一般に微多孔性支持膜上に芳香族ポリアミドを界面重縮合によって被覆してなる複合半透膜と、ポリアミド、ポリイミド、酢酸セルロースなどを溶解させた後、相分離を伴いながら凝固させ、次いで溶媒を除去することによって得られる非対称半透膜が知られている。
このうち、非対称半透膜としては芳香族ポリアミドを20重量%程度の濃度で溶媒に溶解させた溶液を準備し、170℃程度の窒素雰囲気中で上記溶液から溶媒を乾燥除去する乾式製膜法で製造された膜 (特許文献1)や、ナイロン6やナイロン66を40質量%以上の高濃度で溶媒に溶解させた溶液を準備し、大気中での乾燥を経て水溶液中で凝固させたのちに溶媒を除去する乾湿式製膜法で製造された膜(特許文献2)が開示されている。
特許文献1では種々の芳香族ポリアミドで形成された膜が提案されているが、透水性が低い膜しか得られていない。
また、特許文献2に挙げられた膜は、微量の水分しか透過しないため、溶媒と溶質との分離に使用するには、低い選択性しか得られない。よって、これらの膜は、除湿など一部の用途にしか利用できない。
本発明の課題は、かかる従来技術の問題点を解決し、高い透水性と除去率と透水性を有する非対称半透膜を提供することにある。
上記課題を達成するため本発明者らが鋭意検討した結果、下記化学式[I]で表されるポリアミドを含有する非対称半透膜により、高い透水性と除去率とを実現することができることを見いだした。
(Ar1のうち15モル%以上は化学式[II]で表される構造であり、Ar2のうち15モル%以上は化学式[III]で表される構造および[IV]で表される構造からなる群から選択される少なくとも1種の構造である。)
(Xは、−CmH2m+1,−OCH3,−SO3A,−OH,−COOH,−NO2からなる群より選ばれる少なくとも1種の置換基であり、Aは水素、アルカリ金属元素およびアルカリ土類金属元素からなる群から選択される少なくとも1種の元素である。)
(Yは、−O−,−CH2−,−CO−,−CO2−,−S−,−SO2−,−C(CH3)2−からなる群から選択される少なくとも1つの基である。)
また、非対称半透膜は、例えば、溶媒と、下記化学式[I]で表され、前記溶媒に溶解したポリアミドとを含有する製膜原液を準備すること、前記製膜原液を中空糸紡糸用の口金から吐出すること、および吐出された前記溶液を凝固浴に浸漬すること、を備える方法によって製造可能である。
また、非対称半透膜は、水溶液中の溶質を除去することで透過水を得る造水方法に適用可能である。
本発明の非対称半透膜を例えば水処理膜として用いれば、高い除去率と透水量とを得ることができる。
1.非対称半透膜を構成する化合物
本発明の非対称半透膜は、化学式[I]で表される繰り返し単位を有するポリアミドを含有する。
本発明の非対称半透膜は、化学式[I]で表される繰り返し単位を有するポリアミドを含有する。
非対称半透膜の構造については後述する。
非対称半透膜は、上記ポリアミドを主成分として含有することが好ましく、実質的に上記ポリアミドのみで形成されることがより好ましい。具体的には、非対称半透膜における上記ポリアミドの含有率は、80重量%以上、90重量%以上、95重量%以上、または98重量%以上であることが好ましい。なお、非対称半透膜は、上記ポリアミド以外に、添加物、製膜後に残留する溶媒、未重合のモノマー等を含有してもよい。さらに、化学式[I]中のAr1のうち15モル%以上が化学式[II]で表される構造が含まれている必要があり、高い強度を有しながらも、側鎖の置換基による立体障害によって高い透水性と除去率を有する非対称半透膜を達成することができる。
また、Ar1のうち、化学式[II]で表される構造が占める割合は、30モル%以上であることが好ましく、40モル%以上であることがさらに好ましい。上記割合が30モル%以上であることで、上記した立体障害の効果がより高まるとともに、非プロトン性極性溶媒中で安定化するため生産性が高まる効果がある。
また、Ar1のうち80モル%以下であることが好ましく、60モル%未満であることがより好ましい。ポリアミドがAr1として互いに異なる複数種類の構造単位を含み、その割合がこれらの範囲にあることで、ポリアミド内の水素結合によるチェーンパッキングが抑制される。その結果、ポリアミド分子の運動性が高まる。つまり、ポリアミドの分子運動が活発になるので、水の透過に好適な空隙が半透膜に生じやすい。こうして、高い透水性と除去率とを備える半透膜を得ることができる。
また、化学式[II]で表される構造中のXは、アルキル基(−CmH2m+1)、メトキシ基(−OCH3)、ヒドロキシル基(−OH)、カルボキシル基(−COOH)、ニトロ基(−NO2)およびスルホ基(−SO3H)等の官能基、並びにその誘導体からなる群から選択される少なくとも1種の基であることが好ましい。また、mは1以上6以下の整数であることが好ましい。
一般的に、芳香族ポリアミドの側鎖に置換基を導入すると、水素結合によるチェーンパッキングが抑制されるので、透水率の増大に効果があると考えられる。しかし、実際に置換基を導入すると、物性不良(つまり、生産時または加圧使用時における膜破れ等)が生じるため膜としては使用することは難しい。
しかしながら、化学式[II]に示すような特定の置換基を有する構造を、一定割合でポリアミドに導入することで、物性不良の発生を低減しながら、高い透水性および除去率を示す分離膜を得られる。
Xメトキシ基(−OCH3)であれば高い物性の膜が得られるので好ましい。また、Xがヒドロキシル基(−OH)、カルボキシル基(−COOH)またはスルホ基(−SO3H)であれば高い透水性の膜が得られるので好ましい。これらの官能基はその誘導体であってもよい。
特に、Xが−SO3Aで表される場合、Aは、水素、アルカリ金属元素およびアルカリ土類金属元素なる群から選択される少なくとも1種の元素であることが好ましい。アルカリ金属元素としては、例えばリチウム、ナトリウム、カリウム等であり、ナトリウムが特に好適に用いられる。アルカリ土類金属元素は、マグネシウム、カルシウム等であり、カルシウムが特に好適に用いられる。
一方、Ar2において、化学式[III]で表される構造および[IV]で表される構造が占める割合は、15モル%以上であることが好ましく、80モル%以上であることがより好ましい。また、Ar2のうち、化学式[III]で表される構造が占める割合が80モル%以上であることがさらに好ましい。
Ar2において、化学式[III]または[IV]で表される構造が占める割合が上述の範囲であることで、高い強度を有することができる。また、乾湿式の製膜方法で生産する場合、スキン層ができやすくなるので、ピンホールによる欠陥も少なくすることができる。
ここで、化学式[III]中のYは、−O−,−CH2−,−CO−,−CO2−,−S−,−SO2−,−C(CH3)2−からなる群から選択される少なくとも1つの基である。
さらに、式[III]で表される芳香環にはパラ系配位とメタ系配位、オルト系配位があるが、重合の簡易性からパラ系配位もしくはメタ系配位が好ましい。パラ系配位の場合、ポリマー鎖間のパッキングが高まるため塩の除去率が高くなり、メタ系配位の場合、透水性が高くなる。
特に、上記化学式[I]で表されるポリアミドに含まれる全芳香環のうち、パラ系配位を有する芳香環の割合が5モル%以上であることが好ましく、40モル%以上であることがより好ましく、80モル%以上であることがさらに好ましい。パラ系配位の割合が高くなることで、ポリアミドで構成された膜のヤング率が上昇するため、高圧の条件下でも破損することなく使用することができる。
式[IV]において、nは2以上8以下の整数である。
また、上記式[I]で表される芳香族ポリアミドは、Ar1として、化学式[II]以外に、化学式[V]で表される構造および[VI]で表される構造からなる群から選択される少なくとも1種の構造を含むことが好ましい。芳香族ポリアミドがビフェニル以外の構造を有した共重合体であることで、ポリアミド内の水素結合によるチェーンパッキングが抑制される。その結果、ポリアミド分子の運動性が高まる。つまり、ポリアミドの分子運動が活発になるので、水の透過に好適な空隙が半透膜に生じやすい。こうして、高い透水性と除去率とを備える半透膜を得ることができる。
特に、Ar1のうち化学式[V]で表される構造および[VI]で表される構造からなる群から選択される少なくとも1種の構造が占める割合は、15モル%以上であることが好ましく、30モル%以上であることがより好ましく、40モル%以上であることがさらに好ましい。この割合が15モル%以上であることで、ポリアミド分子内で、化学式[II]の構造と、この構造とは異なる鎖長を有する分子鎖とが組み合わされるので、ポリアミドが分子運動しやすくなることで透水量が上がるという効果が得られる。
また、Ar1のうち化学式[V]で表される構造および[VI]で表される構造からなる群から選択される少なくとも1種の構造が占める割合は、80モル%以下であることが好ましく、60モル%未満であることがより好ましい。この割合が80モル%以下であることで、透水性を向上させるという効果が得られる
以上に説明したAr1の構造の組み合わせとしては、化学式[II]で表される構造が30モル%以上45モル%以下であり、化学式[V]で表される構造および化学式[VI]で表される構造の合計が25以上45モル%以下、その他の構造が10モル%以上30モル%以下の範囲である形態が、特に好ましい。この組み合わせにより、より高い透水性と除去率とを有する非対称半透膜を得ることができる。
以上に説明したAr1の構造の組み合わせとしては、化学式[II]で表される構造が30モル%以上45モル%以下であり、化学式[V]で表される構造および化学式[VI]で表される構造の合計が25以上45モル%以下、その他の構造が10モル%以上30モル%以下の範囲である形態が、特に好ましい。この組み合わせにより、より高い透水性と除去率とを有する非対称半透膜を得ることができる。
また、式[IV]、[V]、[VI]で表される芳香環上の水素原子の一部は、メチル基,エチル基,プロピル基等のアルキル基;メトキシ基,エトキシ基,プロポキシ基等のアルコキシ基;ヒドロキシル基;カルボキシル基;スルホ酸基;ニトロ基;アミノ基等の置換基やその誘導体で置換されていてもよい。置換基の種類および数は、物性不良が生じない範囲で変更可能である。
2.非対称半透膜の形状
本発明の非対称半透膜の形状は、半透性を有する層(つまり分離機能層)とそれを支える多孔質の層(つまり支持層)からなる非対称半透膜である。ここで分離機能層とは、ポリマー溶液が非溶媒と接触した場合にその界面において生じる緻密なスキン層のことであり、支持層とは、ポリマー溶液が相分離することによって生じる疎な網目状の層のことである。
本発明の非対称半透膜の形状は、半透性を有する層(つまり分離機能層)とそれを支える多孔質の層(つまり支持層)からなる非対称半透膜である。ここで分離機能層とは、ポリマー溶液が非溶媒と接触した場合にその界面において生じる緻密なスキン層のことであり、支持層とは、ポリマー溶液が相分離することによって生じる疎な網目状の層のことである。
また、非対称膜とは、一方の面から他方の面に向かって、孔径が徐々に増大もしくは減少する多孔質構造を有する膜である。
具体的に、本発明の非対称半透膜においては、一方の面にスキン層が存在し、他方の面に支持層が存在する。さらに、支持層、スキン層側の面から他方の面に向かって、孔径が徐々に増大する構造を有する。
なお、非対称半透膜は、どちらの面を供給側に向けて使用されてもよいが、目詰まり抑制のためには、スキン層側の面を供給側に向けて使用されることが好ましい。
非対称半透膜の形状は、具体的なものに限定されない。例えば、非対称半透膜は、中空糸膜であってもよいし、平膜であってもよい。ただし、一般的には中空糸膜の方が、膜面積を大きくできるため好ましい。
中空糸膜の外径は、80μm以上であることが好ましく、85μm以上であることがより好ましく、100μm以上あることがさらに好ましい。外径が80μm以上であることで、適切な膜強度を実現することができる。
また、外径が細い方がモジュール中に膜を最大量充填したときの膜面積が大きくなる。外径は、例えば800μm以下、400μm未満、または200μm未満であることが好ましい。
中空糸膜の内径は、50μm以上であることが好ましく、55μm以上であることがより好ましく、60μm以上であることがさらに好ましい。内径が大きければ大きいほど透過水の圧力損失が小さくなるため透水量が多くなる。
一方で、内径が小さい方が、膜の外径が小さくても膜の厚みを維持することができる。また、内径が小さい方が、潰れにくいという効果が得られる。そのため、基本的には、供給水の圧力等の膜の使用条件に応じて外径および膜厚みを設定することで、内径が決定される。内径は、例えば、600μm以下、300μm未満、または160μm未満の範囲で設定されてもよい。
なお、本発明の非対称半透膜は高強度の芳香族ポリアミドから構成されているため強度が高く、膜厚みを比較的薄く設定できる利点がある。例えば、膜の厚みは、300μm以下、120μm未満、または80μm未満に設定可能である。ただし、良好な強度を実現するためには、膜の厚みは、20μm以上、40μm以上、または60μm以上であることが好ましい。
3.非対称半透膜の製造方法
以下に、製膜方法として、中空糸膜状に製膜する場合を説明するが、平膜状など他の形状に製膜することもでき、以下に限定されるものではない。
以下に、製膜方法として、中空糸膜状に製膜する場合を説明するが、平膜状など他の形状に製膜することもでき、以下に限定されるものではない。
(製膜原液調製工程)
膜の製造方法は、製膜原液を調製する工程を含む。
膜の製造方法は、製膜原液を調製する工程を含む。
まず、芳香族ポリアミドを得る方法としては、N−メチルピロリドン(NMP)、ジメチルアセトアミド(DMAc)、ジメチルホルムアミド(DMF)などの非プロトン性極性溶媒中で、酸クロリドとジアミンとを溶液重合する方法が好適である。
単量体として酸クロリドとジアミンを使用すると、重合により、溶液中に塩化水素が副生する。そこで、これを中和する場合には水酸化カルシウム、炭酸カルシウム、炭酸リチウムなどの無機の中和剤、またエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、アンモニア、トリエチルアミン、トリエタノールアミン、ジエタノールアミンなどの有機の中和剤を使用することができる。
こうして得られた芳香族ポリアミド溶液は、そのまま製膜原液として使用してもよく、あるいは芳香族ポリアミドを一度単離してから上記の非プロトン性極性溶媒、または硫酸等の無機溶剤に再溶解して製膜原液を調製してもよい。この場合、特に、コスト面から非プロトン性極性溶媒が好ましい。
製膜原液中の上記芳香族ポリアミド濃度は、スキン層の形成に影響を与えるので、ポリマー組成(ポリアミドの構造)によって好適に調整すれば良い。具体的には、上記芳香族ポリアミドの濃度は、14重量%以上であることが好ましく、25重量%以上であることがより好ましく、30重量%以上であることがさらに好ましい。膜が緻密化するかどうかは、ポリマーの分子構造および製膜原液におけるポリマーの濃度に依存する。上述のポリマー構造であれば、ポリマーの濃度が比較的低くても、膜を緻密化しやすい。よって、製膜原液におけるポリマー濃度が14重量%以上であれば、適切な緻密さを持った膜を形成することができる。
また、製膜原液における上記芳香族ポリアミドの濃度は、50重量%以下であることが好ましく、45重量%未満であることがより好ましく、38重量%未満であることがさらに好ましい。濃度が50重量%以下であることで、製膜原液の粘度を低く抑えられるので、安定して製膜することが可能となる。濃度が38重量%未満である場合、非対称性が高く低圧でも透水量を高くすることができる。芳香族ポリアミドの濃度が上記範囲にあることで、好適に非対称半透膜を製造することができる。
(紡糸工程)
膜の製造方法は、上述のように調製された製膜原液を、乾湿式製膜法により製膜する工程を備えることが好ましい。乾湿式製膜法とは口金等から製膜原液を空中に吐出し、表面の溶媒のみを蒸発させることでポリマー濃度差を生じさせ、続いて、その状態のままポリマーを凝固させる方法である。乾湿式製膜法によると、スキン層と多孔質層とを備える非対称膜が得られる。
膜の製造方法は、上述のように調製された製膜原液を、乾湿式製膜法により製膜する工程を備えることが好ましい。乾湿式製膜法とは口金等から製膜原液を空中に吐出し、表面の溶媒のみを蒸発させることでポリマー濃度差を生じさせ、続いて、その状態のままポリマーを凝固させる方法である。乾湿式製膜法によると、スキン層と多孔質層とを備える非対称膜が得られる。
乾湿式製膜法によると、薄いスキン層を形成することができるので、高い透水性を得ることができる。特に、上述の芳香族ポリアミドを使用することで、薄く、かつ使用に耐えうる強度を有する膜を得ることができる。
口金は、多スリット型、C型、二重管口金など中空糸状に紡糸できるものであればよく、非対称半透膜の外径や吐出するときのポリマー温度などによって選択される。
口金等から吐出するときのポリマーの温度は50℃以上180℃以下であることが好ましく、110℃以上170℃未満であることがより好ましく、130℃以上160℃未満であることがさらに好ましい。この範囲の温度で吐出することでスキン層が形成されやすくなる。
このとき、製膜原液が、上述の芳香族ポリアミドの良溶媒と非溶媒との混合溶媒を含有していることが好ましい。良溶媒に非溶媒を混合することにより、口金から吐出されると同時に非溶媒が相分離して蒸発し、スキン層の形成を誘発することができる。
良溶媒としては、NMP、DMAc、DMF等やその混合溶媒が挙げられる。
非溶媒とは、融点まで、上記芳香族ポリアミドポリマーを溶解も膨潤もさせない溶媒のことである。非溶媒としては、例えば水、ヘキサン、ペンタン、ベンゼン、トルエン、メタノール、エタノール、四塩化炭素、o−ジクロルベンゼン、トリクロルエチレン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、低分子量のポリエチレングリコール等の脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素、脂肪族多価アルコール、芳香族多価アルコール、塩素化炭化水素、またはその他の塩素化有機液体およびその混合溶媒などが挙げられる。非溶媒としては、良溶媒より沸点の低いものが好ましい。
口金から凝固するまでの時間が長すぎると、スキン層が必要以上に厚くなって透水量が低下する可能性がある。スキン層を薄くするために、上記したように製膜原液に非溶媒を加えてスキン層の形成を誘発し、その上で、口金から凝固浴界面までの距離を短くするか、口金から凝固浴界面までの間の空間を冷却するなどの方法を適用することができる。
具体的な例としては、製膜原液にエチレングリコールなどの非溶媒を加え、口金から吐出されるときの温度を110℃以上170℃以下とすることで表面からの溶媒蒸発を促進しつつ、さらに、空中を走行して乾燥される時間を1秒以内とすることで、薄いスキン層を形成することができる。
(凝固工程)
芳香族ポリアミドを凝固させて中空糸膜を形成するには、製膜原液を凝固浴に浸漬させる方法が好ましい。凝固浴は、上述のポリアミドに対する非溶媒を含む。非溶媒の種類は、特に限定されるものではないが、コスト面を考えると水であることが好ましい。
芳香族ポリアミドを凝固させて中空糸膜を形成するには、製膜原液を凝固浴に浸漬させる方法が好ましい。凝固浴は、上述のポリアミドに対する非溶媒を含む。非溶媒の種類は、特に限定されるものではないが、コスト面を考えると水であることが好ましい。
凝固浴は、非溶媒と、貧溶媒および良溶媒の少なくとも一方とを含有する混合溶媒であることが好ましい。凝固浴における非溶媒の含有率は70重量%以上におけるであることが好ましく、凝固浴における貧溶媒および良溶媒の含有率は、30重量%以下であることが好ましい。さらには、凝固浴における非溶媒の含有率は80重量%以上であることがより好ましく、90重量%以上であることがさらに好ましい。非溶媒が70重量%以上であると凝固する速度が速くなるため大きなボイドが発生しにくくなる。
ただし、非溶媒を高く保つには凝固浴を交換する必要があるため、コスト面を考えると、凝固浴における非溶媒の含有率は98重量%以下であることが好ましく、96重量%未満であることがさらに好ましい。
また、この凝固浴中には無機塩が含まれていても良い。
この凝固浴への浸漬中に膜を延伸してもよく、または凝固浴への浸漬後に延伸浴に浸漬しながら延伸を行う工程を設けても良い。延伸は、2本以上のネルソンロールを用い、ネルソンロール間に速度差をつけることによって行うことができる。
(洗浄工程)
洗浄工程は、凝固工程により形成された中空糸膜を洗浄浴に浸漬し、脱塩および脱溶媒を行う工程である。洗浄浴は、ポリマー樹脂に非溶媒である液体が好ましく、水がより好ましい。浸漬する方法は、脱塩および脱溶媒が実現でき、半透膜として使用可能な膜が得られるのであれば、特定の方法には限定されない。
洗浄工程は、凝固工程により形成された中空糸膜を洗浄浴に浸漬し、脱塩および脱溶媒を行う工程である。洗浄浴は、ポリマー樹脂に非溶媒である液体が好ましく、水がより好ましい。浸漬する方法は、脱塩および脱溶媒が実現でき、半透膜として使用可能な膜が得られるのであれば、特定の方法には限定されない。
(熱処理工程)
洗浄工程を経た膜に、さらに熱処理を行ってもよい。熱処理は、温浴中に膜を浸漬することで行うことができる。熱処理の好ましい温度範囲は50℃以上150℃以下であり、より好ましい温度範囲は80℃以上130℃未満であり、さらに好ましい温度範囲は90℃以上120℃未満である。温浴としては、例えば水が用いられる。また、温度範囲や可塑化の制御ためにNMPなどの有機溶媒を添加しても良い。
洗浄工程を経た膜に、さらに熱処理を行ってもよい。熱処理は、温浴中に膜を浸漬することで行うことができる。熱処理の好ましい温度範囲は50℃以上150℃以下であり、より好ましい温度範囲は80℃以上130℃未満であり、さらに好ましい温度範囲は90℃以上120℃未満である。温浴としては、例えば水が用いられる。また、温度範囲や可塑化の制御ためにNMPなどの有機溶媒を添加しても良い。
可塑化の状態にもよるが、熱処理温度が50℃以上であることで芳香族ポリアミドの非晶部分の分子鎖が緩和されてスキン層が緻密になる。また、熱処理温度が150℃以下であることで、膜の形状を保つことができる。
また、熱処理と同時に、またはその前後に、延伸を行っても良い。
4.非対称半透膜の利用
非対称半透膜は、中空糸膜であってもよいし、平膜であってもよい。中空糸膜も平膜も、モジュールまたはエレメントに組み込まれて使用される。
非対称半透膜は、中空糸膜であってもよいし、平膜であってもよい。中空糸膜も平膜も、モジュールまたはエレメントに組み込まれて使用される。
例えば、中空糸膜モジュールは、複数の中空糸膜と、側面に孔が設けられ、かつ上記中空糸膜を収容する設けられた筒状のケースと、を備える。複数の中空糸膜は、束ねられ、その両端または片端がポリウレタンやエポキシ樹脂等で上記ケースに固定される
また、スパイラル型エレメントは、集液管と、封筒状に折りたたまれ、かつ集液管の周りにスパイラル状に巻き付けられた平膜と、集液管および平膜を収容する円筒状の容器と、を備える。
また、スパイラル型エレメントは、集液管と、封筒状に折りたたまれ、かつ集液管の周りにスパイラル状に巻き付けられた平膜と、集液管および平膜を収容する円筒状の容器と、を備える。
本発明の非対称半透膜は、例えば、混合された気体または液体を加圧してろ過することに使用できる。具体的には、その操作圧力は4MPa以下であることが好ましく、3MPa未満であることがより好ましく、2.5MPa未満であることがさらに好ましい。
操作圧力が4MPa以下であることで、操作に使用するポンプの容量が小さくて済み、電力費を低減することができる。
また、操作圧力は、0.5MPa以上、0.75MPa以上、または1MPa以上であることが好ましい。操作圧力が0.5MPa以上であることで、膜面のファウリングによって目詰まりを起こす可能性を低減することができる。
また、供給水の温度は、高い塩除去率を実現するために、45℃以下であることが好ましい。その一方で、高い膜透過流束を得るために、供給水の温度は5℃以上であることが好ましい。
また、供給水pHは、高くなると海水などの高塩濃度の供給水の場合、マグネシウムなどのスケールが発生する恐れがあり、また、高pH運転による膜の劣化が懸念されるため、中性領域での運転が好ましい。
本発明の非対称半透膜を液体から溶質を除去することに用いる場合には、温度25℃、pH6.5に調整した500ppmのNaCl水溶液を操作圧力0.75MPaで緻密面から支持膜面にろ過させたときの透水量が0.1L/m2/hrであり、塩除去率が80%以上であると好適な膜と言える。
本発明の非対称半透膜は気体や液体の分離除去などに用いることができるが、特に水溶液中の溶質を除去することによって、飲料や工業用の水を製造することに用いることが好ましい。
次に、実施例に基づいて本発明を説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。実施例および比較例における測定は次のとおり行った。
(脱塩率、膜透過流速)
非対称半透膜の形状が中空糸膜の場合には、中空糸膜10本を長さ300mmのミニチュアモジュールを作製し、また、平膜の場合には、直径720mmの円形に切り出し、円筒型のろ過ホルダーにセットして評価した。
非対称半透膜の形状が中空糸膜の場合には、中空糸膜10本を長さ300mmのミニチュアモジュールを作製し、また、平膜の場合には、直径720mmの円形に切り出し、円筒型のろ過ホルダーにセットして評価した。
脱塩率(%)は、25℃、pH6.5、塩濃度500mg/Lの食塩水を0.75MPaの操作圧力で非対称半透膜に供給し、透過水の塩濃度を測定した。得られた塩濃度を次の式に当てはめることで求めた。
脱塩率=100×{1−(透過水中の塩濃度/供給水中の塩濃度)}
膜透過流束(m3/m2/日)は、上記脱塩率の測定と同条件で、膜面積1平方メートル当たり、1日の透水量(立方メートル)を求めた。
脱塩率=100×{1−(透過水中の塩濃度/供給水中の塩濃度)}
膜透過流束(m3/m2/日)は、上記脱塩率の測定と同条件で、膜面積1平方メートル当たり、1日の透水量(立方メートル)を求めた。
(外径、内径)
中空糸膜とした場合の外径(μm)、内径(μm)はそれぞれ以下の方法で得た。
(1)非対称半透膜を長さ方向から垂直にカットしてサンプルとした。
(2)走査型電子顕微鏡を用いてカットした断面を100〜500倍程度で膜の断面全体が表示できるように撮影した。
(3)非対称半等膜の外表面間について、断面の中心を通るように膜を横断する直線を任意に10本引いた。
(4)10本の直線について膜の外表面間の距離、内表面間の距離を測定してそれぞれ合計し、10で割ることで外径および内径を求めた。
中空糸膜とした場合の外径(μm)、内径(μm)はそれぞれ以下の方法で得た。
(1)非対称半透膜を長さ方向から垂直にカットしてサンプルとした。
(2)走査型電子顕微鏡を用いてカットした断面を100〜500倍程度で膜の断面全体が表示できるように撮影した。
(3)非対称半等膜の外表面間について、断面の中心を通るように膜を横断する直線を任意に10本引いた。
(4)10本の直線について膜の外表面間の距離、内表面間の距離を測定してそれぞれ合計し、10で割ることで外径および内径を求めた。
(実施例1)
脱水したNMP(シグマアルドリッチ製)に、ジアミンとして、70モル%に相当する3,3’-ジヒドロベンジジン(東京化成工業株式会社製)と30モル%に相当する4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(東京化成工業株式会社製)とを溶解させた。その後、酸クロライドとして、90モル%に相当するテレフタル酸クロライド(東京化成工業株式会社製)と、10モル%に相当するイソフタル酸クロライド(東京化成工業株式会社製)とを添加して、氷冷しながら2時間攪拌することにより、ジアミンと酸クロライドとを重合した。
脱水したNMP(シグマアルドリッチ製)に、ジアミンとして、70モル%に相当する3,3’-ジヒドロベンジジン(東京化成工業株式会社製)と30モル%に相当する4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(東京化成工業株式会社製)とを溶解させた。その後、酸クロライドとして、90モル%に相当するテレフタル酸クロライド(東京化成工業株式会社製)と、10モル%に相当するイソフタル酸クロライド(東京化成工業株式会社製)とを添加して、氷冷しながら2時間攪拌することにより、ジアミンと酸クロライドとを重合した。
この後、炭酸リチウム(東京化成工業株式会社製)、トリエタノールアミン(東京化成工業株式会社製)で溶液の中和を行った。こうして、香族ポリアミドが含まれる溶液を得た。
この芳香族ポリアミドの混合溶液に多量の水を投入し、再沈・乾燥して粉体状のポリアミドを得た。ついで、この芳香族ポリアミドをNMPに濃度26重量%となるように溶解させ、芳香族ポリアミドの溶液を得た。
得られた芳香族ポリアミド溶液に、エチレングリコール(東京化成工業株式会社製)を、濃度が5重量%になるように添加した。
この溶液を二重管式口金の外側の管から吐出して、それと同時にNMP70重量%の水溶液を二重管式口金の内側の管から吐出した。NMP15重量%の水溶液からなる温度10℃の浴中で固化させた後、20℃の水浴、80℃の温浴の順に浸漬することによって、外径190μm、内径110μm中空糸膜状の非対称半透膜を得た。得られた非対称半透膜を評価した結果を表1に示す。
(実施例2)
ジアミンとして20モル%に相当するオルトトリジン(東京化成工業株式会社製)と80モル%に相当するメタフェニレンジアミン(東京化成工業株式会社製)、酸クロライドとして、40モル%に相当するテレフタル酸クロライド、60モル%に相当するイソフタル酸クロライドを用いた以外は実施例1と同様にして重合を行った。
ジアミンとして20モル%に相当するオルトトリジン(東京化成工業株式会社製)と80モル%に相当するメタフェニレンジアミン(東京化成工業株式会社製)、酸クロライドとして、40モル%に相当するテレフタル酸クロライド、60モル%に相当するイソフタル酸クロライドを用いた以外は実施例1と同様にして重合を行った。
その後、ポリマー濃度を18重量%に調整し、浸漬する温浴の温度を90℃とする以外は実施例1と同様にして外径360μm、内径210μm中空糸膜状の非対称半透膜を得た。得られた非対称半透膜を評価した結果を表1に示す。
(実施例3)
ジアミンとして40モル%に相当するオルトジアニシジン(東京化成工業株式会社製)、40モル%に相当するジアミノビフェニルスルフォン(和光純薬工業製)、20モル%に相当するパラフェニレンジアミン(東京化成工業株式会社製)を用い、酸クロライドとして90モル%に相当するテレフタル酸クロライド、10モル%に相当するイソフタル酸クロライドを用いた以外は実施例1と同様にして重合を行った。
ジアミンとして40モル%に相当するオルトジアニシジン(東京化成工業株式会社製)、40モル%に相当するジアミノビフェニルスルフォン(和光純薬工業製)、20モル%に相当するパラフェニレンジアミン(東京化成工業株式会社製)を用い、酸クロライドとして90モル%に相当するテレフタル酸クロライド、10モル%に相当するイソフタル酸クロライドを用いた以外は実施例1と同様にして重合を行った。
その後、ポリマー濃度を重量21%に調整し、温浴の温度を60℃に浸漬する以外は実施例1と同様にして外径430μm、内径320μm中空糸膜状の非対称半透膜を得た。得られた非対称半透膜を評価した結果を表1に示す。
(実施例4)
実施例3で得られた芳香族ポリアミドの溶液を130℃・減圧下で芳香族ポリアミドの溶液が36重量%になるまで攪拌した。得られた高濃度の芳香族ポリアミド溶液を浸漬する温浴の温度を125℃とする以外は実施例1と同様にして外径330μm、内径220μm中空糸膜状の非対称半透膜を得た。得られた非対称半透膜を評価した結果を表1に示す。
実施例3で得られた芳香族ポリアミドの溶液を130℃・減圧下で芳香族ポリアミドの溶液が36重量%になるまで攪拌した。得られた高濃度の芳香族ポリアミド溶液を浸漬する温浴の温度を125℃とする以外は実施例1と同様にして外径330μm、内径220μm中空糸膜状の非対称半透膜を得た。得られた非対称半透膜を評価した結果を表1に示す。
(実施例5)
NMPにジアミンとして30モル%に相当するo−ジアニシジンと30モル%に相当する4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、40モル%に相当するメタフェニレンジアミンを用い、酸クロライドとして80モル%に相当するテレフタル酸クロライド、20モル%に相当するイソフタル酸クロライドを添加した以外は実施例1と同様にして重合を行った。
NMPにジアミンとして30モル%に相当するo−ジアニシジンと30モル%に相当する4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、40モル%に相当するメタフェニレンジアミンを用い、酸クロライドとして80モル%に相当するテレフタル酸クロライド、20モル%に相当するイソフタル酸クロライドを添加した以外は実施例1と同様にして重合を行った。
その後、ポリマー濃度を重量21%に調整し、温浴の温度を115℃に浸漬する以外は実施例1と同様にして外径430μm、内径300μm中空糸膜状の非対称半透膜を得た。得られた非対称半透膜を評価した結果を表1に示す。
(実施例6)
実施例5で得られた芳香族ポリアミドの溶液を130℃・減圧下で芳香族ポリアミドの溶液が41重量%になるまで攪拌した。得られた高濃度の芳香族ポリアミド溶液を温浴の温度を110℃に浸漬する以外は実施例1と同様にして外径190μm、内径90μm中空糸膜状の非対称半透膜を得た。得られた非対称半透膜を評価した結果を表1に示す。
実施例5で得られた芳香族ポリアミドの溶液を130℃・減圧下で芳香族ポリアミドの溶液が41重量%になるまで攪拌した。得られた高濃度の芳香族ポリアミド溶液を温浴の温度を110℃に浸漬する以外は実施例1と同様にして外径190μm、内径90μm中空糸膜状の非対称半透膜を得た。得られた非対称半透膜を評価した結果を表1に示す。
(実施例7)
アプリケーターの塗布厚みを3mil(約76μm)に設定した。このアプリケーターを用いて、実施例5で得られた溶液をガラス板上にキャストして、熱風温度120℃で膜が自己支持性を持つまで乾燥させた後、水とNMPを90:10で混合した凝固浴に浸漬することでゲル化させた。次に、20℃の水浴で残存溶媒などの抽出を行い、80℃の温浴で熱処理をすることで平膜状の非対称半透膜を得た。得られた非対称半透膜を評価した結果を表1に示す。
アプリケーターの塗布厚みを3mil(約76μm)に設定した。このアプリケーターを用いて、実施例5で得られた溶液をガラス板上にキャストして、熱風温度120℃で膜が自己支持性を持つまで乾燥させた後、水とNMPを90:10で混合した凝固浴に浸漬することでゲル化させた。次に、20℃の水浴で残存溶媒などの抽出を行い、80℃の温浴で熱処理をすることで平膜状の非対称半透膜を得た。得られた非対称半透膜を評価した結果を表1に示す。
(比較例1)
ジアミンとして100モル%に相当するメタフェニレンジアミンを用い、酸クロライドとして80モル%に相当するテレフタル酸クロライド、20モル%に相当するイソフタル酸クロライドを添加した以外は実施例1と同様にして重合を行った。その後、ポリマー濃度を27重量%に調整し、実施例1と同様の方法で外径360μm、内径210μm中空糸膜状の非対称半透膜を得た。得られた非対称半透膜を評価した結果を表1に示すが緻密化が不十分であり、除去率の低いものであった。
ジアミンとして100モル%に相当するメタフェニレンジアミンを用い、酸クロライドとして80モル%に相当するテレフタル酸クロライド、20モル%に相当するイソフタル酸クロライドを添加した以外は実施例1と同様にして重合を行った。その後、ポリマー濃度を27重量%に調整し、実施例1と同様の方法で外径360μm、内径210μm中空糸膜状の非対称半透膜を得た。得られた非対称半透膜を評価した結果を表1に示すが緻密化が不十分であり、除去率の低いものであった。
(比較例2)
ジアミンとして67モル%に相当する1,3-フェニレンジアミン-4-スルホン酸(東京化成工業株式会社製)のナトリウム塩と33モル%に相当するメタフェニレンジアミン、酸クロライドとして70モル%に相当するテレフタル酸クロライド、30モル%に相当するイソフタル酸ジクロリドを添加した以外は実施例1と同様に重合を行った。その後、ポリマー濃度20重量%に調整し、実施例1と同様にして中空糸膜状に製膜しようとしたが、凝固浴中で膜破れが多発して安定して製膜できなかった。
ジアミンとして67モル%に相当する1,3-フェニレンジアミン-4-スルホン酸(東京化成工業株式会社製)のナトリウム塩と33モル%に相当するメタフェニレンジアミン、酸クロライドとして70モル%に相当するテレフタル酸クロライド、30モル%に相当するイソフタル酸ジクロリドを添加した以外は実施例1と同様に重合を行った。その後、ポリマー濃度20重量%に調整し、実施例1と同様にして中空糸膜状に製膜しようとしたが、凝固浴中で膜破れが多発して安定して製膜できなかった。
oDA:オルトジアニシジン
DHB:ジヒドロベンジジン
oTL:オルトトリジン
DPE:ジアミノビフェニルエーテル
DDS:ジアミノビフェニルスルフォン
DABA:ジアミノ安息香酸
TPDC:テレフタル酸ジクロリド
IPDC:イソフタル酸ジクロリド
DHB:ジヒドロベンジジン
oTL:オルトトリジン
DPE:ジアミノビフェニルエーテル
DDS:ジアミノビフェニルスルフォン
DABA:ジアミノ安息香酸
TPDC:テレフタル酸ジクロリド
IPDC:イソフタル酸ジクロリド
本発明は、液体および気体を選択透過することができる半透膜に関し、例えば海水またはかん水などの液状混合物から塩分などの溶質を除去するための非対称半透膜として好適に用いることができる。
Claims (7)
- 下記化学式[I]で表されるポリアミドを含有する非対称半透膜。
- 前記非対称半透膜は中空糸膜であり、
前記中空糸膜の外径が80μm以上800μm以下であり、
前記中空糸膜の内径が50以上600μm以下である
請求項1または2いずれかに記載の非対称半透膜。 - 温度25℃、pH6.5の500ppm NaCl水溶液を操作圧力0.75MPaで緻密面から支持膜面にろ過させたときの透水量が0.1L/m2/hr以上であり、塩除去率が80%以上である
請求項1から3いずれかに記載の非対称半透膜。 - 溶媒と、下記化学式[I]で表され、前記溶媒に溶解したポリアミドとを含有する製膜原液を準備すること、
前記製膜原液を中空糸紡糸用の口金から吐出すること、および
吐出された前記溶液を凝固浴に浸漬すること
を備える非対称半透膜の製造方法。
- 前記製膜原液中の前記ポリアミドの濃度が25重量%以上45重量%以下である
請求項5に記載の非対称半透膜の製造方法。 - 請求項1から4いずれかに記載の非対称半透膜に水溶液を供給することで、水溶液中の溶質を除去する工程を備える
造水方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2013015124A JP2014144438A (ja) | 2013-01-30 | 2013-01-30 | 非対称半透膜、その製造方法およびそれを用いる造水方法 |
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Family
ID=51425152
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JP2013015124A Pending JP2014144438A (ja) | 2013-01-30 | 2013-01-30 | 非対称半透膜、その製造方法およびそれを用いる造水方法 |
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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CN114616046A (zh) * | 2019-10-31 | 2022-06-10 | 东丽株式会社 | 复合半透膜 |
CN115463551A (zh) * | 2022-10-20 | 2022-12-13 | 盐城海普润科技股份有限公司 | 一种芳香聚酰胺水处理分离膜及其制备方法 |
-
2013
- 2013-01-30 JP JP2013015124A patent/JP2014144438A/ja active Pending
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CN114616046A (zh) * | 2019-10-31 | 2022-06-10 | 东丽株式会社 | 复合半透膜 |
CN115463551A (zh) * | 2022-10-20 | 2022-12-13 | 盐城海普润科技股份有限公司 | 一种芳香聚酰胺水处理分离膜及其制备方法 |
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