JP2005160348A - 緑茶抽出物の製造法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 (A)緑茶葉1重量部に対してエタノール:水=75:25〜99.5:0.5の混合溶液を0.2〜0.4重量部添加して湿潤させ、
(B)エタノール:水=75:25〜99.5:0.5の混合溶液を0.02〜0.04重量部添加した超臨界状態の二酸化炭素を、湿潤した緑茶葉に対して接触させ、
(C)次いで、当該二酸化炭素接触後の緑茶葉から緑茶葉1重量部に対して10〜150重量部の水を用いて抽出することによる緑茶抽出物の製造法。
【選択図】 なし
Description
超臨界抽出についての緑茶への適用については、植物材料の脱カフェイン化及びエタノール抽出によるタンニン含有の消臭剤(例えば、特許文献3,4)や嗜好性飲料材料からその香味成分の抽出(特許文献5)などの香気成分の抽出に重きをおいた技術は開示されているが、緑茶成分から、緑茶の香味成分、雑味成分を併せて除去し、カテキン類のみを選択的に取り出す方法については、検討されていなかった。
従って、本発明の目的は、生理作用を有するカテキン類を高濃度含有し、緑茶フレーバーが除去された緑茶抽出物の製造法を提供することにある。
(A)緑茶葉1重量部に対してエタノール:水=75:25〜99.5:0.5の混合溶液を0.2〜0.4重量部添加して湿潤させ、
(B)エタノール:水=75:25〜99.5:0.5の混合溶液を0.02〜0.04重量部添加した超臨界状態の二酸化炭素を、湿潤した緑茶葉に対して接触させ、
(C)次いで、当該二酸化炭素接触後の緑茶葉から緑茶葉1重量部に対して10〜150重量部の水を用いて抽出する緑茶抽出物の製造法を提供するものである。
本発明2は、
(A1)緑茶葉1重量部に対してエタノール:水=0:100〜75:25の混合溶液を0.2〜0.4重量部添加して湿潤させ、
(B)エタノール:水=75:25〜99.5:0.5の混合溶液を0.02〜0.04重量部添加した超臨界状態の二酸化炭素を、湿潤した緑茶葉に対して接触させ、
(C)次いで、当該二酸化炭素接触後の緑茶葉から緑茶葉1重量部に対して10〜150重量部の水を用いて抽出し、
(D)吸着剤により処理する、又は/及びエタノール:水=9:1〜1:9の混合溶液を用いて再沈殿する緑茶抽出物の製造法を提供するものである。
(A)緑茶葉1重量部に対してエタノール:水=0:100〜99.5:0.5の混合溶液を0.2〜0.4重量部添加して湿潤させ、
(B)エタノール:水=75:25〜99.5:0.5の混合溶液を0.02〜0.04重量部添加した超臨界状態の二酸化炭素を、湿潤した緑茶葉に対して接触させ、
(C)次いで、当該二酸化炭素接触後の緑茶葉から緑茶葉1重量部に対して10〜150重量部の水を用いて抽出する、緑茶葉抽出物から緑茶フレーバーの除去方法を提供するものである。
発明1では、エタノール濃度75重量%以上のエタノール溶液で湿潤後に超臨界抽出のみを行う方法で、発明2では、エタノール濃度が75重量%以下のエタノール溶液で湿潤後に超臨界抽出と簡易な後処理の組み合せた方法で、目的の茶抽出物の製造を達成することができる。
得られた緑茶抽出物は苦味も低減化しており、カテキン類を高濃度に含有する種々の飲料、例えばアイソトニック飲料、野菜汁入り飲料、果汁入り飲料、スポーツ飲料等の製造に有用である。
また、エタノールと水の混合溶液の比率は、エタノール:水=75:25〜99.5:0.5、好ましくは77:23〜99.5:0.5、より好ましくは、77:23〜90:10である。また、エタノールと水の混合溶液の添加量は、0.2〜0.4重量部であり、さらに好ましくは0.3〜0.4重量部である。
次に、ステップ(A1)では、前記緑茶葉1重量部に対してエタノール:水=0:100〜75:25の混合溶液を0.2〜0.4重量部添加して緑茶葉を湿潤させる。この緑茶葉のエタノール:水=0:100〜75:25の混合溶液による湿潤工程がないと、ステップ(B)及び(C)による緑茶フレーバーの除去や苦味成分の除去が十分に行われていない。また、添加するエタノール:水=0:100〜75:25の混合溶液の量が0.2重量部未満では、緑茶フレーバーや苦味成分の除去効果が十分でなく、0.4重量部を超えると、抽出効率が低下して好ましくない。
また、エタノールと水の混合溶液の比率は、エタノール:水=0:100〜75:25、好ましくは0:100〜74:26、より好ましくは50:50〜74:26である。また、エタノールと水の混合溶液の添加量は、0.2〜0.4重量部であり、さらに好ましくは0.3〜0.4重量部である。
(A1)においては、エタノールと水の混合溶液におけるエタノール濃度が低くてもよいことから、回収エタノールや低精製エタノールなどの使用が可能となる。
前記所定量のエタノールと水の混合溶液を添加した緑茶葉は、十分に湿潤させるため、0〜100℃に0.5時間以上静置するのが好ましい。
本発明で用いる活性炭としては、一般に工業レベルで使用できる。例えば、ZN−50(北越炭素社製)、クラレコールGLC、クラレコールPK−D、クラレコールPW−D(クラレケミカル社製)、白鷲AW50、白鷲A、白鷲M、白鷲C(武田薬品工業社製)などの市販品を用いることができる。
活性炭の細孔容積は0.01〜0.8mL/gが好ましく、特に0.1〜0.7mL/gが好ましい。また、比表面積は800〜1300m2/g、特に900〜1200m2/gの範囲のものが好ましい。なお、これらの物性値は窒素吸着法に基づく値である。
本発明で用いる酸性白土又は活性白土は、ともに一般的な化学成分として、SiO2、Al2O3、Fe2O3、CaO、MgO等を含有するものであるが、SiO2/Al2O3比が3〜12、特に4〜9であるのが好ましい。またFe2O3を2〜5重量%、CaOを0〜1.5重量%、MgOを1〜7重量%含有する組成のものが好ましい。
活性白土は天然に産出する酸性白土(モンモリロナイト系粘土)を硫酸などの鉱酸で処理したものであり、大きい比表面積と吸着能を有する多孔質構造をもった化合物である。酸性白土を更に、酸処理することにより比表面積が変化し、脱色能の改良及び物性が変化することが知られている。
更に、緑茶抽出物と接触させる際、活性炭と酸性白土又は活性白土は2種同時に接触させても、いずれか1種ずつ(順序は制限されず)接触させてもよい。
発明1については、後処理工程(D)等により、さらに精製して用いることもできる。
緑茶抽出物を含有する溶液は、系中から有機溶媒を取り除くべく減圧蒸留などの方法を用いて留去される。また処理後のカテキン類組成物は液状でも固体状でもいずれでも良いが、固体状態を調製する場合には凍結乾燥やスプレードライなどの方法によって粉末化しても良い。
得られる緑茶抽出物中のテルペンアルコール、脂肪族オキサイドおよび芳香族アルコールの総量は、緑茶水抽出物の場合の30重量%未満、すなわちこれらの成分の除去率70重量%以上であるのが、緑茶フレーバー低減化効果の点で重要である。
例えば、得られる緑茶抽出物中のリナロールオキシド、フェネチルアルコール、リナロール及びゲラニオールの総量は、緑茶水抽出物の場合の30重量%未満、好ましくは25重量%以下、更に好ましくは20重量%以下が飲料の風味上好ましい。さらには、リナロールオキシド(cis, furanoid)換算では、緑茶水抽出物の場合の含量を100としたときの緑茶抽出物中の総量は、30重量%未満、好ましくは、25重量%以下、更に好ましくは、20重量%以下であることが、飲料の風味上好ましい。
カテキン類組成物を蒸留水で希釈し、フィルター(0.8μm)でろ過後、島津製作所社製、高速液体クロマトグラフ(型式SCL−10AVP)を用い、オクタデシル基導入液体クロマトグラフ用パックドカラム L−カラムTM ODS(4.6mmφ×250mm:財団法人 化学物質評価研究機構製)を装着し、カラム温度35℃で、A液及びB液を用いたグラジエント法により行った。移動相A液は酢酸を0.1mol/L含有の蒸留水溶液、B液は酢酸を0.1mol/L含有のアセトニトリル溶液とし、試料注入量は20μL、UV検出器波長は280nmの条件で行った。
(分析機器)
HPLC(日立製作所社製)装置を使用。
プロッター:D−2500,ディティクター:L−4200
ポンプ:L−7100,オートサンプラー:L−7200
カラム:lnertsil ODS-2、内径2.1mm×長さ250mm
(分析条件)
サンプル注入量:10μL,流量:1.0mL/min
紫外線吸光光度計検出波長:280nm
溶離液A:0.1M酢酸水溶液,溶離液B:0.1M酢酸アセトニトリル溶液
濃度勾配条件(体積%)
時間 溶離液A 溶離液B
0分 97% 3%
5分 97% 3%
37分 80% 20%
43分 80% 20%
43.5分 0% 100%
48.5分 0% 100%
49分 97% 3%
62分 97% 3%
(カフェインのリテンションタイム)
カフェイン:27.2分
ここで求めたエリア%から標準物質により重量%を求めた。
緑茶抽出物から、文献記載の方法に従い(参考文献:Biosci. Biotech. Biochem., 58(11), 2050-2053, 1994)フレーバー成分濃縮物を得、キャピラリーガスクロマトグラフィーにより分析した。
(分析機器)
Agilent Technologies社製、6890シリーズガスクロマトグラフシステム
カラム:キャピラリーGCカラム DB−1(Agilent Technologies社製)
10m × 0.10mm, df = 0.10μm
(分析条件)
キャリアーガス:ヘリウム、42.32psi
インジェクター:T=250℃
スプリット比:10:1
ディテクター:FID、T=230℃
昇温条件:
時間 温度
0分 40℃
34分 210℃
38.5分 300℃
43.5分 300℃
(各フレーバー成分のリテンションタイム)
リナロールオキシド(cis, furanoid) 5.8分
リナロールオキシド(trans, furanoid) 6.4分
フェネチルアルコール、リナロール 6.7分
ゲラニオール 10.9分
緑茶葉(スリランカ産蒸茶葉)100gを、80%エタノール水36.5gと均一に混合し、5℃で15時間湿潤させた。湿潤した緑茶葉を、半回分式超臨界二酸化炭素抽出装置(三菱化工機(株)社製)に仕込み、30MPa、70℃の条件下80%エタノール水を2%含む二酸化炭素で6時間処理した。このとき処理に用いた二酸化炭素量は14kgであった。処理後、抽出残渣を減圧下40℃で乾燥し、超臨界二酸化炭素処理緑茶葉92gを得た。本緑茶葉をイオン交換水10Lで、92℃、1時間の抽出を行い、濾過にて抽出液を得た。本抽出液を凍結乾燥し、緑茶抽出物40gを得た。
超臨界二酸化炭素による処理工程において、湿潤した緑茶葉を、90%エタノール水を4%含む二酸化炭素で処理した他は、実施例1と同様の操作で緑茶抽出物を得た。
超臨界二酸化炭素による処理を行っていない緑茶葉(スリランカ産蒸茶葉)100gをイオン交換水10Lで、92℃、1時間の抽出を行い、濾過にて抽出液を得た。本抽出液を凍結乾燥し、抽出物44gを得た。
緑茶葉の湿潤工程において、緑茶葉を、イオン交換水で湿潤させた他は、実施例1と同様の操作で緑茶抽出物を得た。
緑茶葉の湿潤工程において、緑茶葉を、イオン交換水で湿潤させた他は、実施例1と同様の操作で緑茶抽出物を得た(比較例2相当品)。
次にここで得た緑茶抽出物20gを常温、250rpm攪拌条件下の95%エタノール水溶液98.18g中に懸濁させ、活性炭(クラレコールGLC、クラレケミカル社製)4gと酸性白土(ミズカエース#600、水澤化学社製)20gを投入後、約10分間攪拌を続けた。そして40%エタノール水溶液82gを10分間かけて滴下したのち、室温のまま約40分間攪拌した。その後、2号濾紙で活性炭及び沈殿物を濾過したのち、0.2μmメンブランフィルターによって再濾過を行った。最後にイオン交換水40gを濾過液に添加し、40℃、34×10-3kgf/cm2でエタノールを留去し、製品を得た。ここでステップ(D)におけるエタノール/水重量比率は7/3であった。
比較例2相当品を吸着剤とエタノール水溶液で再沈殿処理を行った結果、エタノール濃度が74重量%以下のエタノール溶液で湿潤後に超臨界抽出処理をした緑茶葉であるにも関わらず、実施例1と同等の緑茶風味の非常に少ない緑茶抽出物を得ることができた。
Claims (6)
- (A)緑茶葉1重量部に対してエタノール:水=75:25〜99.5:0.5の混合溶液を0.2〜0.4重量部添加して湿潤させ、
(B)エタノール:水=75:25〜99.5:0.5の混合溶液を0.02〜0.04重量部添加した超臨界状態の二酸化炭素を、湿潤した緑茶葉に対して接触させ、
(C)次いで、当該二酸化炭素接触後の緑茶葉から緑茶葉1重量部に対して10〜150重量部の水を用いて抽出することによる緑茶抽出物の製造法。 - (A1)緑茶葉1重量部に対してエタノール:水=0:100〜75:25の混合溶液を0.2〜0.4重量部添加して湿潤させ、
(B)エタノール:水=75:25〜99.5:0.5の混合溶液を0.02〜0.04重量部添加した超臨界状態の二酸化炭素を、湿潤した緑茶葉に対して接触させ、
(C)次いで、当該二酸化炭素接触後の緑茶葉から緑茶葉1重量部に対して10〜150重量部の水を用いて抽出し、
(D)吸着剤により処理する、又は/及びエタノール:水=9:1〜1:9の混合溶液を用いて再沈殿する緑茶抽出物の製造法。 - 緑茶葉が、Camellia属の葉である請求項1又は2記載の緑茶抽出物の製造法。
- 緑茶葉が、不発酵茶葉である請求項1〜3のいずれか1項記載の緑茶抽出物の製造法。
- テルペンアルコール、脂肪族オキサイドおよび芳香族アルコールの除去率が、70重量%以上である請求項1〜4のいずれか1項記載の緑茶抽出物の製造法。
- (A1)緑茶葉1重量部に対してエタノール:水=0:100〜99.5:0.5の混合溶液を0.2〜0.4重量部添加して湿潤させ、
(B)エタノール:水=75:25〜99.5:0.5の混合溶液を0.02〜0.04重量部添加した超臨界状態の二酸化炭素を、湿潤した緑茶葉に対して接触させ、
(C)次いで、当該二酸化炭素接触後の緑茶葉から緑茶葉1重量部に対して10〜150重量部の水を用いて抽出する、緑茶葉抽出物から緑茶フレーバーの除去方法。
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