JP7267768B2 - カフェイン由来の苦味が軽減された飲料 - Google Patents
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一方、香り成分によっても飲料の風味を改善し得る。フェネチルアルコールは、天然に広く存在し、バラ、カーネーション、ヒヤシンス、アレッポマツ、イランイラン、ゼラニウム、ネロリ、キンコウボクなどの精油に含まれる成分である。また、フェネチルアルコールは、清酒やワインなどの酒類にも含まれることが知られている。しかし、フェネチルアルコールによる苦味軽減効果は知られていない。
(1)(a)カフェインを1~150ppm含有し、(b)フェネチルアルコールを0.4ppb以上含有し、(c)pHが5.0~8.0である、飲料。
(2)Brixが1以下である、(1)記載の飲料。
(3)茶抽出物を含有する、(1)又は(2)に記載の飲料。
特に断りがない限り、本明細書において用いられる「ppb」及び「ppm」は、重量/容量(w/v)のppb及びppmをそれぞれ意味する。また、本明細書において下限値と上限値によって表されている数値範囲、即ち「下限値~上限値」は、それら下限値及び上限値を含む。例えば、「1~2」により表される範囲は、1及び2を含む。
本発明の飲料は、カフェインを含有する。本発明に用いられるカフェインは、特に制限されないが、市販の試薬、純品(カフェイン含量98%以上の精製品)、粗精製品(カフェイン含量50~98%未満)であってよく、さらにカフェインを含有する植物(コーヒー豆、茶葉、コーラの実等)の抽出物又はその濃縮物の形態であってもよい。カフェインを植物の抽出物又はその濃縮物の形態で用いる場合、抽出する原料としては、緑茶、紅茶、烏龍茶、プーアル茶などのカメリア・シネンシス(Camellia sinensis)に属する茶葉類;アカネ科コフィア属に属するコーヒー豆類を用いることができる。
本発明の飲料は、2-Phenylethanol(以下、本明細書では「フェネチルアルコール」という)を特定量で含有する。これにより、カフェイン由来の苦味を軽減することができる。本発明の飲料中のフェネチルアルコールの含有量は、0.4ppb以上であり、好ましくは0.4~5ppb、好ましくは0.5~4ppb、より好ましくは0.6~3ppb、さらに好ましくは0.7~2ppbである。飲料中のフェネチルアルコールの含有量が0.4ppbより小さいとカフェイン由来の苦味の軽減効果が不十分になることがある。一方、飲料中のフェネチルアルコールの含有量が5ppbを超えるとフェネチルアルコールの風味が強くなりすぎて飲料自体の味が損なわれるおそれがある。
本発明の飲料のpHは5.0~8.0であり、好ましくは5.5~7.5である。飲料のpHが5.0未満である場合は、飲料中の酸味成分により、苦味がマスキングされることがある。しかし、飲料のpHが5.0以上である場合は、マスキング成分として作用する酸味成分が少ないために苦味が顕著に知覚され得るため、本発明による苦味の軽減効果を得る上で好ましい。飲料のpH調整は、クエン酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、重曹等のpH調整剤を用いて適宜行うことができる。飲料のpHは市販のpHメーターを使用して容易に測定することができる。
本発明の飲料のBrix(ブリックス)は、特に限定されないが、1以下であることが好ましい。理論に拘束されないが、Brixが1以下である場合、苦味のマスキング成分として作用する可溶性固形分が少ないために、カフェインの苦味が顕著に感じられることが考えられるため、本発明による苦味の軽減効果を得る上で好ましい。Brixは、糖度計や屈折計などを用いて得られるBrix値によって評価することができる。ブリックス値は、20℃で測定された屈折率を、ICUMSA(国際砂糖分析統一委員会)の換算表に基づいてショ糖溶液の質量/質量パーセントに換算した値である。単位は「°Bx」、「%」または「度」で表示される。
本発明の飲料には、上記に示した各種成分に加えて、飲料に一般的に用いられる成分を配合することができる。例えば、限定されないが、香料、糖類、酸味料、栄養強化剤、酸化防止剤、乳化剤、保存料、エキス類、食物繊維、品質安定剤などを、本発明の効果を損なわない範囲で添加することができる。
本発明の飲料は、清涼飲料であれば特に限定されない。例えば、栄養飲料、機能性飲料、フレーバードウォーター(ニアウォーター)系飲料、茶系飲料(紅茶、ウーロン茶、緑茶等)、コーヒー飲料、炭酸飲料などいずれであってもよい。本発明の飲料は、一実施形態において、茶飲料であることが好ましい。ここで「茶飲料」とは、茶葉の抽出物や穀類の抽出物を主成分として含有する飲料であり、具体的には、緑茶、ほうじ茶、ブレンド茶、麦茶、マテ茶、ジャスミン茶、紅茶、ウーロン茶、杜仲茶などが挙げられる。本発明において特に好ましい茶飲料は、紅茶飲料である。
本発明によれば、カフェイン由来の苦味が軽減されたpHが5.0以上の飲料を提供することができる。本明細書において「苦味」というときは、飲用時に瞬間的に感じる、舌を刺すような刺激的な苦味を意味する。
飲料中のカフェイン濃度が5ppmとなるように水にカフェイン製剤(丸善薬品産業株式会社製)(純度:>99%)を添加し飲料を調製した。クエン酸又は水酸化ナトリウムを用いて飲料のpHを表1に示すように調整した(サンプル1~5)。また、このように調製した飲料に、さらにフェネチルアルコールを1ppbとなるように添加した飲料も調製した。Brixは全ての飲料で1以下であった。
○:苦味をほとんど感じない
△:苦味を少し感じる
×:苦味を強く感じる
結果を表1に示す。フェネチルアルコールを添加していない飲料の評価結果より、カフェイン由来の不快な苦味は、飲料のpHが5.0以上のときに知覚されることがわかった。これらの飲料にフェネチルアルコールを添加すると、不快な苦味が軽減されることが示された。
水にチャ抽出物とフェネチルアルコールを添加し、カフェインとフェネチルアルコールの濃度を表2の濃度となるように調整し、各飲料を調製した。調製した飲料を500ml容量のPET容器に充填した。調製した飲料のpHは5.9であった。Brixは全ての飲料で1以下であった。
5点:コントロールと比較して苦味が強い。
4点:コントロールと同等の苦味がある。
3点:コントロールと比較して、苦味が少ない。
2点:コントロールと比較して、苦味がかなり少ない。
1点:苦味を感じない。
紅茶抽出液に、フェネチルアルコールを飲料中の濃度が0.1ppb及び1.0ppbとなるように添加し、紅茶飲料を調製した。これを加熱殺菌した後、500ml容量のPET容器に充填した。得られた紅茶飲料は、カフェインの濃度が5ppm、フェネチルアルコールの濃度が0.1ppb又は1.0ppb、pHが6.0、Brixが0.3であった。
Claims (6)
- カフェインを1~80ppm、フェネチルアルコールを0.4ppb以上含有し、pHが5.0~8.0である、紅茶抽出物を含有する飲料。
- Brixが1以下である、請求項1に記載の飲料。
- カフェインの含有量が50ppm以下である、請求項1または2に記載の飲料。
- 前記飲料が容器詰飲料である、請求項1~3のいずれかに記載の飲料。
- カフェインを1~80ppm含有し、pHが5.0~8.0である、紅茶抽出物を含有する飲料を製造する方法であって、フェネチルアルコールの含有量を0.4ppb以上に調整することを含む、上記方法。
- カフェインを1~80ppm含有し、pHが5.0~8.0である、紅茶抽出物を含有する飲料において、飲用時に感じられるカフェイン由来の苦味を軽減する方法であって、フェネチルアルコールの含有量を0.4ppb以上に調整することを含む、上記方法。
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