JP7282544B2 - タンニン由来の苦味が低減された飲料 - Google Patents
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(1)(a)タンニンを1~650ppm含有し、(b)フェネチルアルコールを0.4ppb以上含有し、(c)pHが5.0~8.0である、飲料。
(2)Brixが1以下である、(1)の飲料。
(3)茶抽出物を含有する、(1)又は(2)の飲料。
本発明の飲料は、タンニンを含有する。「タンニン」とは、カテキン類、没食子酸、そのエステル及びそれらの縮合物を包含する名称である。飲料中のタンニンの濃度は公知の方法により測定することができる。例えば、「五訂日本食品標準成分表 分析マニュアルの解説」(財団法人日本食品分析センター編、中央法規出版、2001年7月、252頁)に記載の公定法(酒石酸鉄試薬法)を用いて測定することができる。当該方法では、発色剤として酒石酸鉄試薬が用いられ、当該試薬により発色させた成分について波長540nmで吸光度を測定することによりタンニンの量を調べることができる。例えば、標準物質として没食子酸エチルを用いて検量線を作成し、その検量線から試料の吸光度に相当する没食子酸エチル量を求め、得られた数値を換算してタンニンの量とすることができる。
本発明の飲料は、2-Phenylethanol(以下、本明細書では「フェネチルアルコール」という)を特定量で含有する。これにより、タンニン由来の苦味を軽減することができる。本発明の飲料中のフェネチルアルコールの含有量は、0.4ppb以上であり、好ましくは0.4~5ppb、好ましくは0.5~4ppb、より好ましくは0.6~3ppb、さらに好ましくは0.7~2ppbである。飲料中のフェネチルアルコールの含有量が0.4ppbより小さいとタンニン由来の苦味の軽減効果が不十分になることがある。一方、飲料中のフェネチルアルコールの含有量が5ppbを超えるとフェネチルアルコールの風味が強くなりすぎて飲料自体の味が損なわれるおそれがある。
本発明の飲料のpHは5.0~8.0であり、好ましくは5.5~7.5である。飲料のpHが5.0未満である場合は、飲料中の酸味成分により、苦味がマスキングされることがある。しかし、飲料のpHが5.0以上である場合は、マスキング成分として作用する酸味成分が少ないために苦味が顕著に知覚され得るため、本発明による苦味の軽減効果を得る上で好ましい。飲料のpH調整は、クエン酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、重曹等のpH調整剤を用いて適宜行うことができる。飲料のpHは市販のpHメーターを使用して容易に測定することができる。
本発明の飲料のBrix(ブリックス)は、特に限定されないが、1以下であることが好ましい。理論に拘束されないが、Brixが1以下である場合、苦味のマスキング成分として作用する可溶性固形分が少ないために、タンニンの苦味が顕著に感じられることが考えられるため、本発明による苦味の軽減効果を得る上で好ましい。Brixは、糖度計や屈折計などを用いて得られるBrix値によって評価することができる。ブリックス値は、20℃で測定された屈折率を、ICUMSA(国際砂糖分析統一委員会)の換算表に基づいてショ糖溶液の質量/質量パーセントに換算した値である。単位は「°Bx」、「%」または「度」で表示される。
本発明の飲料には、上記に示した各種成分に加えて、飲料に一般的に用いられる成分を配合することができる。例えば、限定されないが、香料、糖類、酸味料、栄養強化剤、酸化防止剤、乳化剤、保存料、エキス類、食物繊維、品質安定剤などを、本発明の効果を損なわない範囲で添加することができる。
本発明の飲料は、清涼飲料であれば特に限定されない。例えば、栄養飲料、機能性飲料、フレーバードウォーター(ニアウォーター)系飲料、茶系飲料(紅茶、ウーロン茶、緑茶等)、コーヒー飲料、炭酸飲料などいずれであってもよい。本発明の飲料は、一実施形態において、茶飲料であることが好ましい。ここで「茶飲料」とは、茶葉の抽出物や穀類の抽出物を主成分として含有する飲料であり、具体的には、緑茶、ほうじ茶、ブレンド茶、麦茶、マテ茶、ジャスミン茶、紅茶、ウーロン茶、杜仲茶などが挙げられる。本発明において特に好ましい茶飲料は、紅茶飲料である。
タンニンとして、紅茶エキスパウダーBCL(三井農林株式会社;タンニン26%、カフェイン0.1%以下)を用いた。飲料中のタンニン濃度が5ppmとなるように水に紅茶エキスパウダーを添加し飲料を調製した。クエン酸又は水酸化ナトリウムを用いて飲料のpHを表1に示すように調整した(サンプル1~5)。また、このように調製した飲料に、さらにフェネチルアルコールを1ppbとなるように添加した飲料も調製した。Brixは全ての飲料で1以下であった。
○:苦味をほとんど感じない
△:苦味を少し感じる
×:苦味を強く感じる
結果を表1に示す。フェネチルアルコールを添加していない飲料の評価結果より、タンニン由来の不快な苦味は、飲料のpHが5.0以上のときに知覚されることがわかった。これらの飲料にフェネチルアルコールを添加すると、不快な苦味が軽減されることが示された。
[実施例2]タンニンとフェネチルアルコールの含有量の苦味に対する影響
水に紅茶エキスパウダーBCLとフェネチルアルコールを添加し、タンニンとフェネチルアルコールの濃度を表2の濃度となるように調整し、各飲料を調製した。調製した飲料を500ml容量のPET容器に充填した。調製した飲料のpHは5.9であった。Brixは全ての飲料で1以下であった。
5点:コントロールと比較して苦味が強い。
4点:コントロールと同等の苦味がある。
3点:コントロールと比較して、苦味が少ない。
2点:コントロールと比較して、苦味がかなり少ない。
1点:苦味を感じない。
Claims (6)
- タンニンを1~200ppm、フェネチルアルコールを0.4ppb以上含有し、pHが5.0~8.0である飲料。
- Brixが1以下である、請求項1に記載の飲料。
- 茶抽出物を含有する、請求項1または2に記載の飲料。
- 紅茶抽出物を含有する容器詰飲料である、請求項1~3のいずれかに記載の飲料。
- タンニンを1~200ppm含有し、pHが5.0~8.0である飲料を製造する方法であって、フェネチルアルコールの含有量を0.4ppb以上に調整することを含む、上記方法。
- タンニンを1~200ppm含有し、pHが5.0~8.0である飲料において、タンニン由来の苦味を軽減する方法であって、フェネチルアルコールの含有量を0.4ppb以上に調整することを含む、上記方法。
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