JP2020130117A - フラネオール由来のオフフレーバーが軽減された飲料 - Google Patents
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Abstract
【課題】飲用時のフラネオールのオフフレーバーが軽減された、pHが5.0以上である飲料の提供。【解決手段】(a)ガレート型カテキンを1〜250ppm含有し、(b)フラネオールを4ppm以上含有し、(c)pHが5.0〜8.0である、飲料。【選択図】なし
Description
本発明は、飲料に存在するフラネオールに由来するオフフレーバーを軽減することに関する。
フラネオール(4−ヒドロキシ−2,5−ジメチル−3(2H)−フラノン)は、良質な果実様風味を有する香気成分として知られている。フラネオールは、ジャスミン茶特有の花香の香りの補強剤として、茶飲料に添加することが知られている(特許文献1)。また、フラネオールは、甘味を強化する作用を有することが知られている(特許文献2)。フラネオールを茶飲料に添加すると高級茶葉類が本来有している自然な甘さを付与できることが開示されている(特許文献3)。このように、フラネオールは多様な飲料で用いられているが、フラネオールを高濃度で添加するとオフフレーバーが生じる。しかし、このオフフレーバーを軽減させる方法は知られていない。
フラネオールを含有する飲料において、フラネオール濃度が4ppm以上になると、オフフレーバー、すなわち刺激の強い香りが生じる。特に、pH5.0以上の飲料においては、オフフレーバーが一層強く感じられることが本発明者により見いだされた。本発明は、フラネオールを含有するpH5.0以上の飲料において、飲用時に感じられるフラネオールに由来するオフフレーバーを軽減することを目的とする。
以上の事情に鑑み、本発明者は、飲料に関し、フラネオール由来のオフフレーバーの軽減に有効な成分を探索した。鋭意検討の結果、ガレート型カテキンが当該オフフレーバーの軽減に寄与し得ることを見出した。このような知見に基づいて、本発明を完成させた。
本発明により、以下が提供される。但し、本発明の範囲はこれに限定されない。
(1)(a)ガレート型カテキンを1〜250ppm含有し、(b)フラネオールを4ppm以上含有し、(c)pHが5.0〜8.0である、飲料。
(2)Brixが1以下である、(1)の飲料。
(3)茶抽出物を含有する、(1)又は(2)の飲料。
(1)(a)ガレート型カテキンを1〜250ppm含有し、(b)フラネオールを4ppm以上含有し、(c)pHが5.0〜8.0である、飲料。
(2)Brixが1以下である、(1)の飲料。
(3)茶抽出物を含有する、(1)又は(2)の飲料。
本発明の飲料及び関連する方法について、以下に説明する。
特に断りがない限り、本明細書において用いられる「ppb」及び「ppm」は、重量/容量(w/v)のppb及びppmをそれぞれ意味する。また、本明細書において下限値と上限値によって表されている数値範囲、即ち「下限値〜上限値」は、それら下限値及び上限値を包含するものとする。例えば、「1〜2」により表される範囲は、1及び2を含む。
特に断りがない限り、本明細書において用いられる「ppb」及び「ppm」は、重量/容量(w/v)のppb及びppmをそれぞれ意味する。また、本明細書において下限値と上限値によって表されている数値範囲、即ち「下限値〜上限値」は、それら下限値及び上限値を包含するものとする。例えば、「1〜2」により表される範囲は、1及び2を含む。
(フラネオール)
本発明の飲料は、フラネオールを特定量で含有する。本発明の飲料は、フラネオールを4ppm以上、好ましくは4〜60ppm、より好ましくは5〜50ppm、さらに好ましくは6〜40ppm、よりさらに好ましくは7〜30ppm含有する。pHが5.0以上の飲料において、フラネオールを4ppm以上含有する場合に、オフフレーバーが強く感じられるため、本発明によるオフフレーバーの軽減効果を得る上で好ましい。飲料中のフラネオールの濃度が60ppmを超える場合、本発明によるオフフレーバーの軽減効果は得られるが、オフフレーバーが十分に軽減しないことがある。
本発明の飲料は、フラネオールを特定量で含有する。本発明の飲料は、フラネオールを4ppm以上、好ましくは4〜60ppm、より好ましくは5〜50ppm、さらに好ましくは6〜40ppm、よりさらに好ましくは7〜30ppm含有する。pHが5.0以上の飲料において、フラネオールを4ppm以上含有する場合に、オフフレーバーが強く感じられるため、本発明によるオフフレーバーの軽減効果を得る上で好ましい。飲料中のフラネオールの濃度が60ppmを超える場合、本発明によるオフフレーバーの軽減効果は得られるが、オフフレーバーが十分に軽減しないことがある。
本発明で用いるフラネオールは、特に限定されないが、精製品の他、粗製品であってもよい。例えば、フラネオールを含有する天然物又はその加工品(植物抽出物、精油、植物の発酵物、これらの濃縮物等)であってもよい。より具体的な例として、フラネオールを含有する香料の他、果汁やエキス等を挙げることができる。飲料への添加が少量で済むことから、香料が好ましい一例である。
本発明の飲料中のフラネオールの含有量は、公知のLC−MS法にて測定できる。ただし、本発明においては、検出器に高分解能質量分析装置(サーモフィッシャーサイエンティフィック社製、Q Exactive Focus)を用いるのがよい。
(ガレート型カテキン)
本発明の飲料は、ガレート型カテキンを含有する。これにより、フラネオールのオフフレーバーが軽減される。本明細書において、「ガレート型カテキン」とは、エピガロカテキンガレート、ガロカテキンガレート、エピカテキンガレート及びカテキンガレートの総称を表す。従って、本発明の実施の形態では、ガレート型カテキンは、エピカテキンガレート、ガロカテキンガレート、エピガロカテキンガレート及びカテキンガレートからなる群から選択される1以上を含んでいればよい。なお、確認のために記載するが、ガレート型カテキンの含有量とは、前記4種の化合物の含有量の合計を意味するものとする。
本発明の飲料は、ガレート型カテキンを含有する。これにより、フラネオールのオフフレーバーが軽減される。本明細書において、「ガレート型カテキン」とは、エピガロカテキンガレート、ガロカテキンガレート、エピカテキンガレート及びカテキンガレートの総称を表す。従って、本発明の実施の形態では、ガレート型カテキンは、エピカテキンガレート、ガロカテキンガレート、エピガロカテキンガレート及びカテキンガレートからなる群から選択される1以上を含んでいればよい。なお、確認のために記載するが、ガレート型カテキンの含有量とは、前記4種の化合物の含有量の合計を意味するものとする。
本発明で用いるガレート型カテキンは、特に限定されないが、精製品の他、粗製品であっても良く、ガレート型カテキンを含有する天然物もしくはその加工品、例えば植物の抽出物やその濃縮物であってもよい。ガレート型カテキンを含有する植物の抽出物又はその濃縮物は、紅茶、緑茶、烏龍茶、プーアル茶などのカメリア・シネンシスに属する茶葉類等を原料として用い、調製することができる。中でも、本発明の効果の側面から、紅茶葉より得られる抽出物を好適に用いることができる。
本発明の飲料中のガレート型カテキンの濃度は、1〜250ppmであり、好ましくは1〜150ppm、より好ましくは3〜65ppm、さらに好ましくは5〜30ppmである。飲料中のガレート型カテキンの含有量が1ppmより小さいとオフフレーバーの軽減効果が不十分になることがある。一方、飲料中のガレート型カテキンの含有量が250ppmを超えるとガレート型カテキンの風味が強くなりすぎて飲料自体の味が損なわれるおそれがある。
飲料中のガレート型カテキンの濃度は、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を用いて測定することができる。測定条件は、例えば以下のように設定することができる。
・HPLC装置:TOSOH HPLCシステム LC8020 model I
・カラム:TSKgel ODS80T sQA(4.6mm×150mm)
・カラム温度:40℃
・移動相A:水−アセトニトリル−トリフルオロ酢酸(90:10:0.05)
・移動相B:水−アセトニトリル−トリフルオロ酢酸(20:80:0.05)
・検出:UV275nm
・注入量:20μL
・流速:1.0mL/min.
・グラジエントプログラム(体積%):
時間(分) %A %B
0 100 0
5 92 8
11 90 10
21 90 10
22 0 100
29 0 100
30 100 0
・標準物質:カテキンガレート、エピカテキンガレート、ガロカテキンガレートおよびエピガロカテキンガレート(栗田工業株式会社、高純度試薬)。
・HPLC装置:TOSOH HPLCシステム LC8020 model I
・カラム:TSKgel ODS80T sQA(4.6mm×150mm)
・カラム温度:40℃
・移動相A:水−アセトニトリル−トリフルオロ酢酸(90:10:0.05)
・移動相B:水−アセトニトリル−トリフルオロ酢酸(20:80:0.05)
・検出:UV275nm
・注入量:20μL
・流速:1.0mL/min.
・グラジエントプログラム(体積%):
時間(分) %A %B
0 100 0
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22 0 100
29 0 100
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・標準物質:カテキンガレート、エピカテキンガレート、ガロカテキンガレートおよびエピガロカテキンガレート(栗田工業株式会社、高純度試薬)。
(pH)
本発明の飲料のpHは5.0〜8.0であり、好ましくは5.5〜7.5である。飲料のpHが5.0未満である場合は、飲料中の酸味成分により、オフフレーバーがマスキングされることがある。しかし、飲料のpHが5.0以上である場合は、マスキング成分として作用する酸味成分が少ないためにオフフレーバーが顕著に知覚され得るため、本発明によるオフフレーバーの軽減効果を得る上で好ましい。飲料のpH調整は、クエン酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、重曹等のpH調整剤を用いて適宜行うことができる。飲料のpHは市販のpHメーターを使用して容易に測定することができる。
本発明の飲料のpHは5.0〜8.0であり、好ましくは5.5〜7.5である。飲料のpHが5.0未満である場合は、飲料中の酸味成分により、オフフレーバーがマスキングされることがある。しかし、飲料のpHが5.0以上である場合は、マスキング成分として作用する酸味成分が少ないためにオフフレーバーが顕著に知覚され得るため、本発明によるオフフレーバーの軽減効果を得る上で好ましい。飲料のpH調整は、クエン酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、重曹等のpH調整剤を用いて適宜行うことができる。飲料のpHは市販のpHメーターを使用して容易に測定することができる。
(Brix)
本発明の飲料のBrix(ブリックス)は、特に限定されないが、1以下であることが好ましい。理論に拘束されないが、Brixが1以下である場合、オフフレーバーのマスキング成分として作用する可溶性固形分が少ないために、フラネオールに由来するオフフレーバーが顕著に感じられることが考えられるため、本発明によるオフフレーバーの軽減効果を得る上で好ましい。Brixは、糖度計や屈折計などを用いて得られるBrix値によって評価することができる。ブリックス値は、20℃で測定された屈折率を、ICUMSA(国際砂糖分析統一委員会)の換算表に基づいてショ糖溶液の質量/質量パーセントに換算した値である。単位は「°Bx」、「%」または「度」で表示される。
本発明の飲料のBrix(ブリックス)は、特に限定されないが、1以下であることが好ましい。理論に拘束されないが、Brixが1以下である場合、オフフレーバーのマスキング成分として作用する可溶性固形分が少ないために、フラネオールに由来するオフフレーバーが顕著に感じられることが考えられるため、本発明によるオフフレーバーの軽減効果を得る上で好ましい。Brixは、糖度計や屈折計などを用いて得られるBrix値によって評価することができる。ブリックス値は、20℃で測定された屈折率を、ICUMSA(国際砂糖分析統一委員会)の換算表に基づいてショ糖溶液の質量/質量パーセントに換算した値である。単位は「°Bx」、「%」または「度」で表示される。
(その他原料)
本発明の飲料には、上記に示した各種成分に加えて、飲料に一般的に用いられる成分を配合することができる。例えば、限定されないが、香料、糖類、酸味料、栄養強化剤、酸化防止剤、乳化剤、保存料、エキス類、食物繊維、品質安定剤などを、本発明の効果を損なわない範囲で添加することができる。
本発明の飲料には、上記に示した各種成分に加えて、飲料に一般的に用いられる成分を配合することができる。例えば、限定されないが、香料、糖類、酸味料、栄養強化剤、酸化防止剤、乳化剤、保存料、エキス類、食物繊維、品質安定剤などを、本発明の効果を損なわない範囲で添加することができる。
(飲料)
本発明の飲料は、清涼飲料であれば特に限定されない。例えば、栄養飲料、機能性飲料、フレーバードウォーター(ニアウォーター)系飲料、茶系飲料(紅茶、ウーロン茶、緑茶等)、コーヒー飲料、炭酸飲料などいずれであってもよい。本発明の飲料は、一実施形態において、茶飲料であることが好ましい。ここで「茶飲料」とは、茶葉の抽出物や穀類の抽出物を主成分として含有する飲料であり、具体的には、緑茶、ほうじ茶、ブレンド茶、麦茶、マテ茶、ジャスミン茶、紅茶、ウーロン茶、杜仲茶などが挙げられる。本発明において特に好ましい茶飲料は、紅茶飲料である。
本発明の飲料は、清涼飲料であれば特に限定されない。例えば、栄養飲料、機能性飲料、フレーバードウォーター(ニアウォーター)系飲料、茶系飲料(紅茶、ウーロン茶、緑茶等)、コーヒー飲料、炭酸飲料などいずれであってもよい。本発明の飲料は、一実施形態において、茶飲料であることが好ましい。ここで「茶飲料」とは、茶葉の抽出物や穀類の抽出物を主成分として含有する飲料であり、具体的には、緑茶、ほうじ茶、ブレンド茶、麦茶、マテ茶、ジャスミン茶、紅茶、ウーロン茶、杜仲茶などが挙げられる。本発明において特に好ましい茶飲料は、紅茶飲料である。
本発明の飲料は、加熱殺菌され、容器に詰められた状態の容器詰飲料であることが好ましい。飲料が加熱されることにより、フラネオールのオフフレーバーがより強くなる可能性があるからである。加熱殺菌の手段は特に限定されないが、例えばUHT殺菌及びレトルト殺菌等、公知のいずれの手段を用いることができる。飲料を充填する容器は、特に限定されないが、例えば、PETボトル、アルミ缶、スチール缶、紙パック、チルドカップ、瓶などを用いることができる。手軽ないし利便性の側面からみれば、軽量で持ち運びが容易であり、かつ再栓が可能である容器、例えば、PETボトルのような容器が好ましい。
(発明の効果)
本発明によれば、飲用時のフラネオールのオフフレーバーが軽減されたpHが5.0以上の飲料を提供することができる。本明細書において「オフフレーバー」というときは、飲用時に感じる刺激的な香りを意味する。
本発明によれば、飲用時のフラネオールのオフフレーバーが軽減されたpHが5.0以上の飲料を提供することができる。本明細書において「オフフレーバー」というときは、飲用時に感じる刺激的な香りを意味する。
以下、実験例を示して本発明の詳細を具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。また、本明細書においては、特に記載しない限り、数値範囲はその端点を含むものとして記載される。
[実施例1]pHのオフフレーバーに対する影響
ガレート型カテキンとして、紅茶抽出物(サンフェノン90LB−OP(太陽化学株式会社;カテキン類70%)を用いた。飲料中のフラネオール濃度及びガレート型カテキンの濃度が表1のようになるように、水にフラネオール及びチャ抽出物を添加し、飲料を調製した。クエン酸又は水酸化ナトリウムを用いて飲料のpHを表1に示すように変化させた。全ての飲料のBrixは1以下であった。
ガレート型カテキンとして、紅茶抽出物(サンフェノン90LB−OP(太陽化学株式会社;カテキン類70%)を用いた。飲料中のフラネオール濃度及びガレート型カテキンの濃度が表1のようになるように、水にフラネオール及びチャ抽出物を添加し、飲料を調製した。クエン酸又は水酸化ナトリウムを用いて飲料のpHを表1に示すように変化させた。全ての飲料のBrixは1以下であった。
それぞれの飲料について、フラネオールのオフフレーバーの強さを官能で評価した。以下の基準に沿って、専門パネル3名が、以下のとおり5点、3点、1点のサンプルを作成し、それらと照合しながら、オフフレーバーの強さを評価した。3名の専門パネルの点数の平均を算出し、3点以下を合格とした。
5点:フラネオールを60ppm添加した水
3点:フラネオール3ppm添加した水
1点:水
結果を表1に示す。サンプル11はフラネオールのオフフレーバーはほとんど感じなかったが、ガレート型カテキン由来の苦味が感じられ、飲みやすい飲料ではなかった。
5点:フラネオールを60ppm添加した水
3点:フラネオール3ppm添加した水
1点:水
結果を表1に示す。サンプル11はフラネオールのオフフレーバーはほとんど感じなかったが、ガレート型カテキン由来の苦味が感じられ、飲みやすい飲料ではなかった。
これらより、フラネオールのオフフレーバーは、飲料のpHが5.0以上のときに知覚されることがわかった。これらの飲料にガレート型カテキンを添加すると、オフフレーバーが軽減されることが示された。
一方、pH3.5の飲料では、フラネオールのオフフレーバーはあまり問題にならないことがわかった。また、この飲料にガレート型カテキンを添加してもオフフレーバーの強さは変わらないこともわかった。
また、フラネオールを4〜60ppmを含有する飲料に、ガレート型カテキンを1〜250ppm添加した飲料は全て、オフフレーバーが軽減され、飲みやすい飲料であった。
Claims (3)
- (a)ガレート型カテキンを1〜250ppm含有し、
(b)フラネオールを4ppm以上含有し、
(c)pHが5.0〜8.0である、
飲料。 - Brixが1以下である、請求項1に記載の飲料。
- 茶抽出物を含有する、請求項1又は2に記載の飲料。
Priority Applications (2)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2019031308A JP2020130117A (ja) | 2019-02-25 | 2019-02-25 | フラネオール由来のオフフレーバーが軽減された飲料 |
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