JP2005107553A - 光拡散シート及びこれを用いたバックライトユニット - Google Patents
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【課題】 良好な方向性光拡散機能、光線透過性、経済性及び薄膜性を有する光拡散シート並びに輝度等の性能及び薄型化が促進されるバックライトユニットの提供を目的とする。
【解決手段】 本発明の光拡散シートは、透明な基材層とこの基材層の表面側に積層される光拡散層とを備え、この光拡散層が樹脂製のビーズと樹脂製のバインダーとを有する光拡散シートであって、上記ビーズとして平均粒子径が1.5μm以上5μm以下の単分散ビーズが用いられ、バインダーに対するビーズの質量比が2.5以上3以下で、光拡散層の積層量が3g/m2以上10g/m2以下であることを特徴とする。上記ビーズ及びバインダーの基材ポリマーとしてアクリル系樹脂を用いるとよい。上記単分散ビーズの粒子径分布の変動係数としては0.2以下が好ましい。上記光拡散層の形成手段としてはグラビアコート法が好ましい。
【選択図】 図1
【解決手段】 本発明の光拡散シートは、透明な基材層とこの基材層の表面側に積層される光拡散層とを備え、この光拡散層が樹脂製のビーズと樹脂製のバインダーとを有する光拡散シートであって、上記ビーズとして平均粒子径が1.5μm以上5μm以下の単分散ビーズが用いられ、バインダーに対するビーズの質量比が2.5以上3以下で、光拡散層の積層量が3g/m2以上10g/m2以下であることを特徴とする。上記ビーズ及びバインダーの基材ポリマーとしてアクリル系樹脂を用いるとよい。上記単分散ビーズの粒子径分布の変動係数としては0.2以下が好ましい。上記光拡散層の形成手段としてはグラビアコート法が好ましい。
【選択図】 図1
Description
本発明は、透過光線を法線方向側へ集光させつつ拡散させる方向性光拡散機能を有し、特に液晶表示装置のバックライトユニットに好適な光拡散シート、及びこれを用いたバックライトユニットに関するものである。
液晶表示装置は、液晶層を背面から照らして発光させるバックライト方式が普及し、液晶層の下面側にエッジライト型、直下型などのバックライトユニットが装備されている。かかるエッジライト型のバックライトユニット50は、基本的には図3(a)に示すように、光源としての線状のランプ51と、ランプ51に端部が沿うように配置される方形板状の導光板52と、導光板52の表面側に配設される光拡散シート53と、光拡散シート53の表面側に配設されるプリズムシート54とを備えている。
このバックライトユニット50の機能を説明すると、まずランプ51より導光板52に入射した光線は、導光板52裏面の反射ドット又は反射シート(図示していない)で反射され、導光板52の表面から出射される。導光板52から出射した光線は光拡散シート53に入射し、光拡散シート53で拡散され、光拡散シート53表面より出射される。その後、光拡散シート53から出射された光線は、プリズムシート54に入射し、プリズムシート54表面に形成されたプリズム部54aによって略法線方向にピークを示す分布の光線として出射される。
このように、ランプ51から出射された光線が、光拡散シート53によって拡散され、またプリズムシート54によって略法線方向にピークを示すように屈折され、さらに表面側の液晶層(図示していない)全面を照明するものである。なお、図示していないが、上述のプリズムシート54の集光特性の緩和やプリズム部54aの保護又は偏光板等の液晶パネルとプリズムシート54とのスティッキングの防止を目的として、プリズムシート54の表面側にさらに光拡散シートが配設されている。
上記バックライトユニット50に備える光拡散シート53は、一般的には図3(b)に示すように、合成樹脂製の透明な基材層56と、この基材層56の表面に積層された光拡散層57とを備えている(例えば特開平7−5305号公報、特開2000−89007公報等参照)。この光拡散層57は、一般的には、透明な樹脂製のバインダー58中に樹脂製のビーズ59を含有し、ビーズ59により光拡散機能が奏される。
特開平7−5305号公報
特開2000−89007公報
上記従来の光拡散シート53において、光拡散性を向上させる手段としては通常ビーズ59の配合量及び光拡散層57の積層量を高めることが考えられるが、ビーズ59の配合量及び光拡散層57の積層量の増大はコーティングの困難性及び光線透過率の低下を招来する。つまり、光拡散シート53に関する技術者の従来の考え方にによれば、光拡散性とコーティング容易性及び光線透過性とは相反する性質と認定されている。
上記考え方に立脚した従来の一般的な光拡散シート53は、光拡散性、光線透過性及びコーティング容易性のバランスを考慮して、ビーズ59として20μm前後の比較的大きな平均粒子径を有しかつ比較的広い粒子径分布を有する多分散ビーズが用いられ、バインダーに対するビーズ59の質量比が1前後とされ、光拡散層57の積層量が15〜20g/m2とされている。
本発明はこれらの不都合に鑑みてなされたものであり、良好な方向性光拡散機能、光線透過性、経済性及び薄膜性を有する光拡散シート、並びに輝度等の性能及び薄型化が促進されるバックライトユニットの提供を目的とするものである。
本発明者は、光拡散シートにおけるビーズの種類や平均粒子径、バインダーに対するビーズの質量比、光拡散層の積層量等を変更した膨大な実験を行い、鋭意検討した結果、比較的小径の単分散ビーズを用い、バインダーに対するビーズの質量比を大きくし、かつ光拡散層の積層量を比較的小さくすることで、良好な方向性光拡散機能、光線透過性等を発現することを見出した。
その結果、上記課題を解決するためになされた発明は、透明な基材層とこの基材層の表面側に積層される光拡散層とを備え、この光拡散層が樹脂製のビーズと樹脂製のバインダーとを有する光拡散シートであって、(a)上記ビーズとして平均粒子径が1.5μm以上5μm以下の単分散ビーズが用いられ、(b)バインダーに対するビーズの質量比(バインダーの基材ポリマーに対するビーズの固形分換算での質量比を意味する)が2.5以上3以下であり、(c)光拡散層の積層量が3g/m2以上10g/m2以下であることを特徴とする。
当該光拡散シートは、平均粒子径が比較的小さい単分散ビーズを用い、バインダーに対するビーズの質量比を比較的大きくし、光拡散層の積層量を比較的小さくすることで、粒子径の揃った小径ビーズを基材層表面に比較的緻密かつ均一に敷設することができ、その結果、表面に微細な凸部が比較的緻密かつ均一に形成される。そのため、当該光拡散シートは、良好な方向性光拡散機能、光線透過性等を有し、経済性及び薄膜性が促進される。また当該光拡散シートは、ビーズを小径の単分散ビーズとしているため、上述のようにビーズの質量比が大きくかつ積層量が小さい光拡散層の形成が塗工等の手段で可能となる。
当該光拡散シートにおいては、上記単分散ビーズの平均粒子径が3μm、バインダーに対するビーズの質量比が2.7、光拡散層の積層量が6g/m2の場合が特に好ましい。このように単分散ビーズの平均粒子径、ビーズの質量比及び光拡散層の積層量を上記範囲とすることで、上述の方向性光拡散機能、光線透過性、経済性及び薄膜性をさらに高めることができる。
上記ビーズ及びバインダーの基材ポリマーとしてはアクリル系樹脂を用いるとよい。このようにビーズ及びバインダーの主材料をアクリル系樹脂とすることで、上述の方向性光拡散機能及び光線透過性をさらに促進することができる。
上記バインダーとしては、アクリルポリオールと硬化剤とを含むポリマー組成物から形成するとよい。このようにバインダーの形成材料としてアクリルポリオールを基材ポリマーとするポリマー組成物を用いることで、上述のようにビーズの質量比が大きくかつ積層量が小さい光拡散層の形成容易性が促進され、光拡散層のコーティング欠陥等の発生を低減することができる。
上記単分散ビーズの粒子径分布の変動係数としては0.2以下が好ましい。このように粒子径分布の変動係数が0.2以下の単分散ビーズを用いることで、上述の方向性光拡散機能及び光線透過性を効果的に促進し、上述のようにビーズの質量比が大きくかつ積層量が小さい光拡散層の形成容易性を効果的に促進することができる。
上記光拡散層の形成手段としてはグラビアコート法が好ましい。かかるグラビアコート法によれば、上述のようにビーズの質量比が大きくかつ積層量が小さい光拡散層を容易かつ確実に形成することができる。
上記光拡散層のバインダー中に微小無機充填剤を分散含有するとよい。このように光拡散層のバインダー中に微小無機充填剤を分散含有することで、光拡散層の耐熱性を高めることができ、当該光拡散シートの熱等による撓みや黄変を格段に抑制することができる。
上記光拡散層のバインダー中に耐電防止剤を含有するとよい。このように光拡散層のバインダー中に帯電防止剤を含有することで、当該光拡散シートは優れた帯電防止作用を奏し、ゴミを吸い寄せたり、プリズムシート等の他のシートとの重ね合わせが困難になる等の帯電による不都合の発生を低減することができる。
上記基材層の裏面側に積層されるスティッキング防止層をさらに備え、このスティッキング防止層がバインダー中に分散するビーズを有するとよい。このように裏面にスティッキング防止層を備えることで、当該光拡散シートとその裏面側に配設される導光板、プリズムシート等とのスティッキングによる干渉縞の発生を防止することができる。
従って、ランプから発せられる光線を分散させて表面側に導く液晶表示装置用のバックライトユニットにおいて、当該光拡散シートを備えると、上述のように当該光拡散シートが優れた方向性拡散機能及び光線透過性を有するため、輝度ムラを低減し、正面輝度を高くすることができる。また当該バックライトユニットは、上述のように当該光拡散シートが優れた経済性及び薄膜性を有するため、今日社会的に要請されている低コスト化及び薄型化を促進することができる。
以上説明したように、本発明の光拡散シートは、ビーズの種類、バインダーに対するビーズの質量比、光拡散層の積層量等に関する当業者の従来の考え方とは異なる設計思想に基づいて、良好な方向性光拡散機能、光線透過性、経済性及び薄膜性が発現されている。また本発明のバックライトユニットは、輝度、輝度の均一性等の性能が向上し、かつ低コスト化及び薄型化を促進することができる。
以下、適宜図面を参照しつつ本発明の実施の形態を詳説する。図1は本発明の一実施形態に係る光拡散シートを示す模式的断面図、図2は図1の光拡散シートとは異なる形態に係る光拡散シートを示す模式的断面図である。
図1の光拡散シート1は、基材層2と、この基材層2の表面に積層された光拡散層3とを備えている。
基材層2は、光線を透過させる必要があるので透明、特に無色透明の合成樹脂から形成されている。かかる基材層2に用いられる合成樹脂としては、特に限定されるものではなく、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、アクリル樹脂、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリオレフィン、セルロースアセテート、耐候性塩化ビニル等が挙げられる。中でも、透明性に優れ、強度が高いポリエチレンテレフタレートが好ましく、撓み性能が改善されたポリエチレンテレフタレートが特に好ましい。
基材層2の厚み(平均厚み)は、特には限定されないが、好ましくは10μm以上250μm以下、特に好ましくは20μm以上188μm以下とされる。基材層2の厚みが上記範囲未満であると、光拡散層3を形成するためのポリマー組成物を塗工した際にカールが発生しやすくなってしまう、取扱いが困難になる等の不都合が発生する。逆に、基材層2の厚みが上記範囲を超えると、液晶表示装置の輝度が低下してしまうことがあり、またバックライトユニットの厚みが大きくなって液晶表示装置の薄型化の要求に反することにもなる。
光拡散層3は、基材層2表面に略均一かつ緻密に敷設されるビーズ4と、そのビーズ4を固定するバインダー5とを備えている。かかるビーズ4はバインダー5で被覆されている。このように光拡散層3中に含有するビーズ4によって、光拡散層3を裏側から表側に透過する光線を均一に拡散させることができる。また、ビーズ4によって光拡散層3の表面に微細な凸部が略均一かつ略緻密に形成されている。このように光拡散シート1表面に形成される微細な凹凸のレンズ的屈折作用により、光線をより良く拡散させることができる。
ビーズ4は、光線を拡散させる性質を有する略球状の透明樹脂製粒子である。このビーズ4の形成材料としては、例えばアクリル系樹脂、アクリロニトリル樹脂、ウレタン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、スチレン系樹脂、ポリアミド等を用いることができる。中でも、透明性が高いアクリル系樹脂が好ましく、ポリメチルメタクリレート(PMMA)が特に好ましい。
ビーズ4としては、比較的粒子径の小さい単分散ビーズが用いられている。この単分散ビーズとは、粒子径の均斉度が高いビーズを意味する。このように粒子径の小さい単分散ビーズを用いることで、後述するようにビーズ4の質量比が大きくかつ積層量が小さい光拡散層3の形成が塗工等の手段で可能となり、また当該光拡散シート1の薄型化が促進される。
ビーズ4の平均粒子径の下限としては、1.5μmが好ましく、1.8μmが特に好ましい。一方、ビーズ4の平均粒子径の上限としては、5μmが好ましく、4μmが特に好ましい。ビーズ4の平均粒子径が上記下限未満であると、ビーズ4によって形成される光拡散層3表面の凹凸が小さくなり、光拡散シートとして必要な光拡散性を満たさないおそれがある。逆に、ビーズ4の平均粒子径が上記上限を越えると、ビーズ4の質量比が大きくかつ積層量が小さい光拡散層3の形成が困難になり、コーティング欠陥等の発生のおそれがある。
ビーズ4(単分散ビーズ)の粒子径分布の変動係数としては、0.2以下が好ましく、0.1以下が特に好ましい。このようにビーズ4の粒子径分布の変動係数を上記範囲とすることで、ビーズ4の質量比が大きくかつ積層量が小さい光拡散層3の形成容易性が促進され、当該光拡散シート1の方向性光拡散機能が促進される。
ビーズ4の質量比(バインダー5の基材ポリマーに対するビーズ4の固形分換算での質量比)としては、2.5以上3以下が好ましい。ビーズ4の質量比が上記範囲未満であると、後述のように光拡散層3の積層量が小さいため、光拡散性が不十分となるおそれがある。一方、ビーズ4の質量比が上記範囲を越えると、ビーズ4を固定する効果が低下し、コーティング欠陥等が発生するおそれがある。
バインダー5は、基材ポリマーを含むポリマー組成物を架橋硬化させることで形成される。このバインダー5によって基材層2表面にビーズ4が略等密度に配置固定される。なお、このバインダー5を形成するためのポリマー組成物は、基材ポリマーの他に例えば微小無機充填剤、硬化剤、可塑剤、分散剤、各種レベリング剤、紫外線吸収剤、抗酸化剤、粘性改質剤、潤滑剤、光安定化剤等が適宜配合されてもよい。
上記基材ポリマーとしては、特に限定されるものではなく、例えばアクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、フッ素系樹脂、シリコーン系樹脂、ポリアミドイミド、エポキシ系樹脂、紫外線硬化型樹脂等が挙げられ、これらのポリマーを1種又は2種以上混合して使用することができる。特に、上記基材ポリマーとしては、加工性が高く、塗工等の手段で容易に光拡散層3を形成することができるポリオールが好ましい。また、バインダー5に用いられる基材ポリマー自体は、光線の透過性を高める観点から透明が好ましく、無色透明が特に好ましい。
上記ポリオールとしては、例えば水酸基含有不飽和単量体を含む単量体成分を重合して得られるポリオールや、水酸基過剰の条件で得られるポリエステルポリオールなどが挙げられ、これらを単体で又は2種以上混合して使用することができる。
水酸基含有不飽和単量体としては、(a)例えばアクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸2−ヒドロキシプロピル、アリルアルコール、ホモアリルアルコール、ケイヒアルコール、クロトニルアルコール等の水酸基含有不飽和単量体、(b)例えばエチレングリコール、エチレンオキサイド、プロピレングリコール、プロピレンオキサイド、ブチレングリコール、ブチレンオキサイド、1,4−ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン、フェニルグリシジルエーテル、グリシジルデカノエート、プラクセルFM−1(ダイセル化学工業株式会社製)等の2価アルコール又はエポキシ化合物と、例えばアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、イタコン酸等の不飽和カルボン酸との反応で得られる水酸基含有不飽和単量体などが挙げられる。これらの水酸基含有不飽和単量体から選択される1種又は2種以上を重合してポリオールを製造することができる。
また上記ポリオールは、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸tert−ブチル、アクリル酸エチルヘキシル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸tert−ブチル、メタクリル酸エチルヘキシル、メタクリル酸グリシジル、メタクリル酸シクロヘキシル、スチレン、ビニルトルエン、1−メチルスチレン、アクリル酸、メタクリル酸、アクリロニトリル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、酢酸アリル、アジピン酸ジアリル、イタコン酸ジアリル、マレイン酸ジエチル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、アクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−ブトキシメチルアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、エチレン、プロピレン、イソプレン等から選択される1種又は2種以上のエチレン性不飽和単量体と、上記(a)及び(b)から選択される水酸基含有不飽和単量体とを重合することで製造することもできる。
水酸基含有不飽和単量体を含む単量体成分を重合して得られるポリオールの数平均分子量は1000以上500000以下であり、好ましくは5000以上100000以下である。また、その水酸基価は5以上300以下、好ましくは10以上200以下、さらに好ましくは20以上150以下である。
水酸基過剰の条件で得られるポリエステルポリオールは、(c)例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、ヘキサメチレングリコール、デカメチレングリコール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、トリメチロールプロパン、ヘキサントリオール、グリセリン、ペンタエリスリトール、シクロヘキサンジオール、水添ビスフェノールA、ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン、ハイドロキノンビス(ヒドロキシエチルエーテル)、トリス(ヒドロキシエチル)イソシヌレート、キシリレングリコール等の多価アルコールと、(d)例えばマレイン酸、フマル酸、コハク酸、アジピン酸、セバチン酸、アゼライン酸、トリメット酸、テレフタル酸、フタル酸、イソフタル酸等の多塩基酸とを、プロパンジオール、ヘキサンジオール、ポリエチレングリコール、トリメチロールプロパン等の多価アルコール中の水酸基数が前記多塩基酸のカルボキシル基数よりも多い条件で反応させて製造することができる。
かかる水酸基過剰の条件で得られるポリエステルポリオールの数平均分子量は500以上300000以下であり、好ましくは2000以上100000以下である。また、その水酸基価は5以上300以下、好ましくは10以上200以下、さらに好ましくは20以上150以下である。
当該ポリマー組成物の基材ポリマーとして用いられるポリオールとしては、上記ポリエステルポリオール、及び、上記水酸基含有不飽和単量体を含む単量体成分を重合して得られ、かつ、(メタ)アクリル単位等を有するアクリルポリオールが好ましい。かかるポリエステルポリオール又はアクリルポリオールを基材ポリマーとするバインダー5は透明性及び耐候性が高く、光拡散層3の黄変等を抑制することができる。特に、基材ポリマーとしてアクリルポリオールを用い、アクリル系樹脂製のビーズ4を用いることで、ビーズ4の界面での無用の屈折、反射等が低減され、当該光拡散シート1の方向性光拡散機能、光線透過性等の光学的機能を向上することができる。なお、このポリエステルポリオールとアクリルポリオールのいずれか一方を使用してもよく、両方を使用してもよい。
なお、上記ポリエステルポリオール及びアクリルポリオール中の水酸基の個数は、1分子当たり2個以上であれば特に限定されないが、固形分中の水酸基価が10以下であると架橋点数が減少し、耐溶剤性、耐水性、耐熱性、表面硬度等の被膜物性が低下する傾向がある。
光拡散層3の積層量の下限としては、3g/m2が好ましく、5g/m2が特に好ましい。一方、光拡散層3の積層量の上限としては、10g/m2が好ましく、8g/m2が特に好ましい。このように光拡散層3の積層量を上記範囲とすることで、上述のようにビーズ4として比較的粒子径の小さい単分散ビーズを用い、ビーズ4の質量比を比較的大きくしていることと相俟って、ビーズ4を基材層2の表面に比較的緻密かつ均一に敷設し、光拡散層3の表面に微細な凸部を比較的緻密かつ均一に形成することができる。その結果、当該光拡散シート1の方向性光拡散機能、光線透過性等の光学的機能を向上することができる。
当該光拡散シート1は、上述のようにビーズ4として平均粒子径が小さい単分散ビーズを用い、ビーズ4の質量比を比較的大きくし、光拡散層3の積層量を比較的小さくすることで、粒子径の揃った小径ビーズ4を基材層2表面に比較的緻密かつ均一に敷設し、表面に微細かつ高さの揃った凸部を比較的緻密かつ均一に形成することができる。かかる光拡散層3表面の微細凹凸での屈折作用等により、当該光拡散シート1は、良好な方向性光拡散機能、光線透過性等を有し、経済性及び薄膜性を促進することができる。
当該光拡散シート1において、上記ビーズ4及びバインダー5の基材ポリマーとしてアクリル系樹脂を用い、(単分散)ビーズ4の平均粒子径が3μm、ビーズ4の質量比が2.7、光拡散層3の積層量が6g/m2の場合が最も好適であり、当該光拡散シート1の方向性光拡散機能、光線透過性、経済性、薄膜性等を効果的に向上することができる。
バインダー5を形成するポリマー組成物中に微小無機充填剤を含有するとよい。このようにバインダー5中に微小無機充填剤を含有することで、光拡散層3ひいては光拡散シート1の耐熱性が向上する。この微小無機充填剤を構成する無機物としては、特に限定されるものではなく、無機酸化物が好ましい。この無機酸化物は、金属元素が主に酸素原子との結合を介して3次元のネットワークを構成した種々の含酸素金属化合物と定義される。無機酸化物を構成する金属元素としては、例えば元素周期律表第2族〜第6族から選ばれる元素が好ましく、元素周期律表第3族〜第5族から選ばれる元素がさらに好ましい。特に、Si、Al、Ti及びZrから選択される元素が好ましく、金属元素がSiであるコロイダルシリカが、耐熱性向上効果及び均一分散性の面で微小無機充填剤として最も好ましい。また、微小無機充填剤の形状は、球状、針状、板状、鱗片状、破砕状等の任意の粒子形状でよく、特に限定されない。
微小無機充填剤の平均粒子径の下限としては、5nmが好ましく、10nmが特に好ましい。一方、微小無機充填剤の平均粒子径の上限としては50nmが好ましく、25nmが特に好ましい。これは、微小無機充填剤の平均粒子径が上記範囲未満では、微小無機充填剤の表面エネルギーが高くなり、凝集等が起こりやすくなるためであり、逆に、平均粒子径が上記範囲を超えると、短波長の影響で白濁し、光拡散シート1の透明性を完全に維持することができなくなることからである。
微小無機充填剤の質量比(バインダー5の基材ポリマー100部に対する無機物成分のみの質量比)の下限としては、固形分換算で5部が好ましく、50部が特に好ましい。一方、微小無機充填剤の上記質量比の上限としては、500部が好ましく、200部がより好ましく、100部が特に好ましい。これは、微小無機充填剤の質量比が上記範囲未満であると、光拡散シート1の耐熱性を十分に発現することができなくなってしまうおそれがあり、逆に、質量比が上記範囲を越えると、ポリマー組成物中への配合が困難になり、光拡散層3の光線透過率が低下するおそれがあることからである。
上記微小無機充填剤としては、その表面に有機ポリマーが固定されたものを用いるとよい。このように有機ポリマー固定微小無機充填剤を用いることで、バインダー5中での分散性やバインダー5との親和性の向上が図られる。この有機ポリマーについては、その分子量、形状、組成、官能基の有無等に関して特に限定はなく、任意の有機ポリマーを使用することができる。また有機ポリマーの形状については、直鎖状、分枝状、架橋構造等の任意の形状のものを使用することができる。
上記有機ポリマーを構成する具体的な樹脂としては、例えば、(メタ)アクリル樹脂、ポリスチレン、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステルおよびこれらの共重合体やアミノ基、エポキシ基、ヒドロキシル基、カルボキシル基等の官能基で一部変性した樹脂等が挙げられる。中でも、(メタ)アクリル系樹脂、(メタ)アクリル−スチレン系樹脂、(メタ)アクリル−ポリエステル系樹脂等の(メタ)アクリル単位を含む有機ポリマーを必須成分とするものが被膜形成能を有し好適である。他方、上記ポリマー組成物の基材ポリマーと相溶性を有する樹脂が好ましく、従ってポリマー組成物に含まれる基材ポリマーと同じ組成であるものが最も好ましい。
なお、微小無機充填剤は、微粒子内に有機ポリマーを包含していてもよい。このことにより、微小無機充填剤のコアである無機物に適度な軟度および靱性を付与することができる。
上記有機ポリマーにはアルコキシ基を含有するものを用いるとよく、その含有量としては有機ポリマーを固定した微小無機充填剤1g当たり0.01mmol以上50mmol以下が好ましい。かかるアルコキシ基により、バインダー5を構成するマトリックス樹脂との親和性や、バインダー5中での分散性を向上させることができる。
上記アルコキシ基は、微粒子骨格を形成する金属元素に結合したRO基を示す。このRは置換されていてもよいアルキル基であり、微粒子中のRO基は同一であっても異なっていてもよい。Rの具体例としては、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル等が挙げられる。微小無機充填剤を構成する金属と同一の金属アルコキシ基を用いるのが好ましく、微小無機充填剤がコロイダルシリカである場合には、シリコンを金属とするアルコキシ基を用いるのが好ましい。
有機ポリマーを固定した微小無機充填剤中の有機ポリマーの含有率については、特に制限されるものではないが、微小無機充填剤を基準にして0.5質量%以上50質量%以下が好ましい。
微小無機充填剤に固定する上記有機ポリマーとして水酸基を有するものを用い、バインダー5を構成するポリマー組成物中に水酸基と反応するような官能基を2個以上有する多官能イソシアネート化合物、メラミン化合物およびアミノプラスト樹脂から選ばれる少なくとも1種のものを含有するとよい。これにより、微小無機充填剤とバインダー5のマトリックス樹脂とが架橋構造で結合され、保存安定性、耐汚染性、可撓性、耐候性、保存安定性等が良好になり、さらに得られる被膜が光沢を有するものとなる。
上記多官能イソシアネート化合物としては、脂肪族、脂環族、芳香族及びその他の多官能イソシアネート化合物やこれらの変性化合物を挙げることができる。この多官能イソシアネート化合物の具体例としては、例えばトリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキシルメタンジイソシアネート、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネートのビウレット体、イソシアヌレート体等の3量体等;これらの多官能イソシアネート類とプロパンジオール、ヘキサンジオール、ポリエチレングリコール、トリメチロールプロパン等の多価アルコールとの反応により生成される2個以上のイソシアネート基が残存する化合物;これらの多官能イソシアネート化合物をエタノール、ヘキサノール等のアルコール類、フェノール、クレゾール等のフェノール性水酸基を有する化合物、アセトオキシム、メチルエチルケトキシム等のオキシム類、ε−カプロラクタム、γ−カプロラクタム等のラクタム類等のブロック剤で封鎖したブロックド多官能イソシアネート化合物などを挙げることができる。なお、上記多官能イソシアネート化合物は1種又は2種以上混合して使用することができる。中でも、被膜の黄変色を防止するために、芳香環に直接結合したイソシアネート基を有しない無黄変性多官能イソシアネート化合物が好ましい。
上記メラミン化合物としては、例えばジメチロールメラミン、トリメチロールメラミン、テトラメチロールメラミン、ペンタメチロールメラミン、ヘキサメチロールメラミン、イソブチルエーテル型メラミン、n−ブチルエーテル型メラミン、ブチル化ベンゾグアナミン等を挙げることができる。
上記アミノプラスト樹脂としては、例えばアルキルエーテル化メラミン樹脂、尿素樹脂、ベンゾグアナミン樹脂等が挙げられ、これらのアミノプラスト樹脂の単体又は2種以上の混合物もしくは共縮合物を使用できる。このアルキルエーテル化メラミン樹脂とは、アミノトリアジンをメチロール化し、シクロヘキサノールまたは炭素数1〜6のアルカノールでアルキルエーテル化して得られるものであり、ブチルエーテル化メラミン樹脂、メチルエーテル化メラミン樹脂、メチルブチル混合メラミン樹脂が代表的なものである。また硬化を促進させるためのスルホン酸系触媒、例えばパラトルエンスルホン酸及びそのアミン塩等を使用することができる。
上記バインダー5の基材ポリマーとしてはシクロアルキル基を有するポリオールが好ましい。このように、バインダー5を構成する基材ポリマーとしてのポリオール中にシクロアルキル基を導入することで、バインダー5の撥水性、耐水性等の疎水性が高くなり、高温高湿条件下での当該光拡散シート1の耐撓み性、寸法安定性等が改善される。また、光拡散層3の耐候性、硬度、肉持感、耐溶剤性等の塗膜基本性能が向上する。さらに、表面に有機ポリマーが固定された微小無機充填剤との親和性及び微小無機充填剤の均一分散性がさらに良好になる。
上記シクロアルキル基としては特に限定されず、例えば、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロノニル基、シクロデシル基、シクロウンデシル基、シクロドデシル基、シクロトリデシル基、シクロテトラデシル基、シクロペンタデシル基、シクロヘキサデシル基、シクロヘプタデシル基、シクロオクタデシル基等が挙げられる。
上記シクロアルキル基を有するポリオールは、シクロアルキル基を有する重合性不飽和単量体を共重合することで得られる。このシクロアルキル基を有する重合性不飽和単量体とは、シクロアルキル基を分子内に少なくとも1つ有する重合性不飽和単量体である。この重合性不飽和単量体としては特に限定されず、例えば、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、メチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、tert−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、シクロドデシル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
また、ポリマー組成物中には硬化剤としてイソシアネートを含有するとよい。このようにポリマー組成物中にイソシアネート硬化剤を含有することで、より一層強固な架橋構造となり、光拡散層3の被膜物性がさらに向上する。このイソシアネートとしては上記多官能イソシアネート化合物と同様の物質が用いられる。中でも、被膜の黄変色を防止する脂肪族系イソシアネートが好ましい。
特に、基材ポリマーとしてポリオールを用いる場合、ポリマー組成物中に配合する硬化剤としてヘキサメチレンジイソシアネート、イソフロンジイソシアネート及びキシレンジイソシアネートのいずれか1種もしくは2種以上混合して用いるとよい。これらの硬化剤を用いると、ポリマー組成物の硬化反応速度が大きくなるため、帯電防止剤として微小無機充填剤の分散安定性に寄与するカチオン系のものを使用しても、カチオン系帯電防止剤による硬化反応速度の低下を十分補うことができる。また、かかるポリマー組成物の硬化反応速度の向上はバインダー中への微小無機充填剤の均一分散性に寄与する。その結果、当該光拡散シート1は熱、紫外線等による撓みや黄変を格段に抑制することができる。
さらに、上記ポリマー組成物中に帯電防止剤を含有するとよい。このように帯電防止剤が混練されたポリマー組成物からバインダー5を形成することで、当該光拡散シート1に帯電防止効果が発現され、ゴミを吸い寄せたり、プリズムシート等との重ね合わせが困難になる等の静電気の帯電により発生する不都合を防止することができる。また、帯電防止剤を表面にコーティングすると表面のベタツキや汚濁が生じてしまうが、このようにポリマー組成物中に混練することでかかる弊害は低減される。この帯電防止剤としては、特に限定されるものではなく、例えばアルキル硫酸塩、アルキルリン酸塩等のアニオン系帯電防止剤、第四アンモニウム塩、イミダゾリン化合物等のカチオン系帯電防止剤、ポリエチレングリコール系、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアリン酸エステル、エタノールアミド類等のノニオン系帯電防止剤、ポリアクリル酸等の高分子系帯電防止剤などが用いられる。中でも、帯電防止効果が比較的大きいカチオン系帯電防止剤が好ましく、少量の添加で帯電防止効果が奏される。
また、上記ポリマー組成物中に紫外線吸収剤を含有するとよい。このように紫外線吸収剤を含有するポリマー組成物からバインダー5を形成することで、当該光拡散シート1に紫外線カット機能が付与され、バックライトユニットのランプから発せられる微量の紫外線をカットし、紫外線による液晶層の破壊を防止することができる。
かかる紫外線吸収剤としては、紫外線を吸収し、効率よく熱エネルギーに変換できるもので、かつ、光に対して安定な化合物であれば特に限定されるものではなく公知のものを使用することができる。中でも、紫外線吸収機能が高く、上記基材ポリマーとの相溶性が良好で、基材ポリマー中に安定して存在するサリチル酸系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤及びシアノアクリレート系紫外線吸収剤が好ましく、これらの群より選択される1種又は2種以上のものを用いるとよい。また、紫外線吸収剤としては、分子鎖に紫外線吸収基を有するポリマー(例えば、(株)日本触媒の「ユーダブルUV」シリーズなど)も好適に使用される。かかる分子鎖に紫外線吸収基を有するポリマーを用いることで、バインダー5の主ポリマーとの相溶性が高く、紫外線吸収剤のブリードアウト等による紫外線吸収機能の劣化を防止することができる。なお、分子鎖に紫外線吸収基を有するポリマーをバインダー5の基材ポリマーとすることも可能である。また、この紫外線吸収基が結合されたポリマーをバインダー5の基材ポリマーとし、さらにこの基材ポリマー中に紫外線吸収剤を含有することも可能であり、紫外線吸収機能をより向上させることができる。
バインダー5の基材ポリマーに対する上記紫外線吸収剤の含有量の下限としては0.1質量%、特に1質量%、さらに3質量%が好ましく、紫外線吸収剤の上記含有量の上限としては10質量%、特に8質量%、さらに5質量%が好ましい。これは、基材ポリマーに対して紫外線吸収剤の質量比が上記下限より小さいと、光拡散シート1の紫外線吸収機能を効果的に奏することができないためであり、逆に、紫外線吸収剤の質量比が上記上限を超えると、基材ポリマーに悪影響を及ぼし、バインダー5の強度、耐久性等の低下をもたらすことからである。
上記紫外線吸収剤に代え又は紫外線吸収剤と共に、紫外線安定剤(分子鎖に紫外線安定基が結合した基材ポリマーを含む)を使用することも可能である。この紫外線安定剤により、紫外線で発生するラジカル、活性酸素等が不活性化され、紫外線安定性、耐候性等を向上させることができる。この紫外線安定剤としては、紫外線に対する安定性が高いヒンダードアミン系紫外線安定剤が好適に用いられる。なお、紫外線吸収剤と紫外線安定剤を併用することで、紫外線による劣化防止及び耐候性が格段に向上する。
次に、当該光拡散シート1の製造方法について説明する。当該光拡散シート1の製造方法としては、(a)バインダー5を構成するポリマー組成物にビーズ4を混合することで光拡散層用ポリマー組成物を製造する工程と、(b)この光拡散層用ポリマー組成物を基材層2の表面に積層し、硬化させることで光拡散層3を形成する工程とを有する。
この光拡散層用ポリマー組成物の積層手段としては、特に限定されるものではなく種々の公知の方法が採用される。具体的な積層手段としては、例えばグラビアコート法、ロールコート法、バーコート法、ブレードコート法、スプレーコート法等を用いたコーティング等が採用される。中でも、ビーズ4の質量比が大きいポリマー組成物を薄くかつムラなくコーティングできるグラビアコート法が最も好ましい。かかるグラビアコート法において、光拡散層3の形成性等を考慮すると、グラビア線数としては70以上100以下、回転数としては80以上120以下が好ましい。
図2の光拡散シート11は、基材層2と、この基材層2の表面に積層された光拡散層3と、基材層2の裏面に積層されるスティッキング防止層12とを備えている。この基材層2及び光拡散層3は、上記図1の光拡散シート1と同様であるため、同一番号を付して説明を省略する。
スティッキング防止層12は、基材層2の裏面に配設されるビーズ13と、このビーズ13を固定するバインダー14とを備えている。このバインダー14も、上記光拡散層3のバインダー5と同様のポリマー組成物を架橋硬化させることで形成される。また、ビーズ13の材料としては光拡散層3のビーズ4と同様のものが用いられる。なお、このスティッキング防止層12の厚み(ビーズ13が存在しない部分でのバインダー14部分の厚み)は特には限定されないが、例えば1μm以上10μm以下程度とされている。
このビーズ13の質量比は比較的少量とされ、ビーズ13は互いに離間してバインダー14中に分散している。また、ビーズ13の多くは、その下端がバインダー14の平均界面からごく少量突出し、スティッキング防止層12の裏面に凸部を形成している。そのため、この光拡散シート11を導光板と積層すると、ビーズ13による凸部が導光板等の表面に散点的に当接し、光拡散シート11の裏面全面が導光板等と当接することがない。これにより、光拡散シート11と導光板等とのスティッキングが防止され、液晶表示装置の画面の輝度ムラが抑えられる。
次に、光拡散シート11の製造方法を説明する。当該光拡散シート11の製造方法は、(a)バインダー5を構成するポリマー組成物にビーズ4を混合することで光拡散層用ポリマー組成物を製造する工程と、(b)この光拡散層用ポリマー組成物を基材層2の表面に積層し、硬化させることで光拡散層3を形成する工程と、(c)バインダー14を構成するポリマー組成物にビーズ13を混合することでスティッキング防止層用ポリマー組成物を製造する工程と、(d)このスティッキング防止層用ポリマー組成物を基材層2の裏面に積層し、硬化させることでスティッキング防止層12を積層する工程とを有する。上記光拡散層用ポリマー組成物及びスティッキング防止層用ポリマー組成物を基材層2に積層する手段としては、特に限定されるものではなく、例えばバーコーター、ブレードコーター、スピンコーター、ロールコーター、グラビアコーター、フローコーター、スプレー等を用いたコーティング等が採用される。
当該光拡散シート11は、上記光拡散シート1と同様に、表面に微細かつ高さの揃った凸部を比較的緻密かつ均一に形成することができ、その結果良好な方向性光拡散機能、光線透過性等を有し、経済性及び薄膜性を促進することができる。
従って、ランプ、導光板、光拡散シート、プリズムシート等を備え、ランプから発せられる光線を分散させて表面側に導く液晶表示装置用のバックライトユニットにおいて、この光拡散シートとして当該光拡散シート1、11を用いると、上述のように高い方向性光拡散機能、光線透過性、薄膜性、経済性等を有する当該光拡散シート1、11により、正面輝度、輝度の均一性等の品質を向上し、さらに今日社会的に要請されている低コスト化及び薄型化を促進することができる。
なお、本発明の光拡散シートは上記実施形態に限定されるものではなく、例えば紫外線吸収剤層、トップコート層等の他の層が積層されてもよい。紫外線吸収剤に関しては、上述の光拡散層3のバインダー5中に含有する手段に替え又は当該手段と共に、紫外線吸収剤を含有する紫外線吸収層を積層することも可能であり、スティッキング防止層12のバインダー14又は基材層2中に紫外線吸収剤を含有することも可能である。これらの手段によっても、同様にバックライトユニットのランプから発せられる紫外線をカットし、紫外線による液晶層の破壊を防止することができる。
帯電防止剤に関しては、上述の光拡散層3のバインダー5中に含有する手段に替え又は当該手段と共に、帯電防止剤を含有する帯電防止層を積層することも可能であり、スティッキング防止層12のバインダー14又は基材層2中に帯電防止剤を含有することも可能である。これらの手段によっても、当該光拡散シートに帯電防止効果が発現され、ゴミを吸い寄せたり、プリズムシート等との重ね合わせが困難になる等の静電気の帯電により発生する不都合を防止することができる。
以下、実施例に基づき本発明を詳述するが、この実施例の記載に基づいて本発明が限定的に解釈されるものではない。
[実施例1]
基材層としては、厚さ100μmの透明ポリエチレンテレフタレート製フィルムを用いた。光拡散層用ポリマー組成物としては、アクリルポリオール(基材ポリマー)32部、平均粒子径3μm;変動係数0.1のアクリル系樹脂製単分散ビーズ86部、イソシアネート系硬化剤6部、帯電防止剤3部及び溶剤からなるポリマー組成物を用いた。各組成の配合量を示す部数は固形分換算の質量比である。この基材層表面に光拡散層用ポリマー組成物をグラビアコート法により3.6g/m2(固形分換算)積層することで実施例1の光拡散シートを得た。
基材層としては、厚さ100μmの透明ポリエチレンテレフタレート製フィルムを用いた。光拡散層用ポリマー組成物としては、アクリルポリオール(基材ポリマー)32部、平均粒子径3μm;変動係数0.1のアクリル系樹脂製単分散ビーズ86部、イソシアネート系硬化剤6部、帯電防止剤3部及び溶剤からなるポリマー組成物を用いた。各組成の配合量を示す部数は固形分換算の質量比である。この基材層表面に光拡散層用ポリマー組成物をグラビアコート法により3.6g/m2(固形分換算)積層することで実施例1の光拡散シートを得た。
[実施例2]
光拡散層の積層量を4g/m2とした以外は上記実施例1と同様にして実施例2の光拡散シートを得た。
光拡散層の積層量を4g/m2とした以外は上記実施例1と同様にして実施例2の光拡散シートを得た。
[実施例3]
光拡散層の積層量を8.7g/m2とした以外は上記実施例1と同様にして実施例3の光拡散シートを得た。
光拡散層の積層量を8.7g/m2とした以外は上記実施例1と同様にして実施例3の光拡散シートを得た。
[実施例4]
ビーズの配合量を80部とし、光拡散層の積層量を4.8g/m2とした以外は上記実施例1と同様にして実施例4の光拡散シートを得た。
ビーズの配合量を80部とし、光拡散層の積層量を4.8g/m2とした以外は上記実施例1と同様にして実施例4の光拡散シートを得た。
[実施例5]
光拡散層の積層量を8.5g/m2とした以外は上記実施例4と同様にして実施例5の光拡散シートを得た。
光拡散層の積層量を8.5g/m2とした以外は上記実施例4と同様にして実施例5の光拡散シートを得た。
[実施例6]
光拡散層の積層量を9.2g/m2とした以外は上記実施例4と同様にして実施例6の光拡散シートを得た。
光拡散層の積層量を9.2g/m2とした以外は上記実施例4と同様にして実施例6の光拡散シートを得た。
[実施例7]
平均粒子径1.8μm;変動係数0.1のアクリル系樹脂製の単分散ビーズを用い、光拡散層の積層量を4.5g/m2とした以外は上記実施例1と同様にして実施例7の光拡散シートを得た。
平均粒子径1.8μm;変動係数0.1のアクリル系樹脂製の単分散ビーズを用い、光拡散層の積層量を4.5g/m2とした以外は上記実施例1と同様にして実施例7の光拡散シートを得た。
[実施例8]
光拡散層の積層量を5.6g/m2とした以外は上記実施例7と同様にして実施例8の光拡散シートを得た。
光拡散層の積層量を5.6g/m2とした以外は上記実施例7と同様にして実施例8の光拡散シートを得た。
[実施例9]
光拡散層の積層量を7.6g/m2とした以外は上記実施例7と同様にして実施例9の光拡散シートを得た。
光拡散層の積層量を7.6g/m2とした以外は上記実施例7と同様にして実施例9の光拡散シートを得た。
[実施例10]
基材ポリマーとしてポリエステルポリオールを用い、光拡散層の積層量を4.5g/m2とした以外は上記実施例1と同様にして実施例10の光拡散シートを得た。
基材ポリマーとしてポリエステルポリオールを用い、光拡散層の積層量を4.5g/m2とした以外は上記実施例1と同様にして実施例10の光拡散シートを得た。
[比較例1]
ビーズとして平均粒子径2.7μmのアクリル樹脂製の多分散ビーズを用い、光拡散層の積層量を6.4g/m2とした以外は上記実施例1と同様にして比較例1の光拡散シートを得た。
ビーズとして平均粒子径2.7μmのアクリル樹脂製の多分散ビーズを用い、光拡散層の積層量を6.4g/m2とした以外は上記実施例1と同様にして比較例1の光拡散シートを得た。
[比較例2]
ビーズの配合量を80部とし、光拡散層の積層量を6g/m2とした以外は上記比較例1と同様にして比較例2の光拡散シートを得た。
ビーズの配合量を80部とし、光拡散層の積層量を6g/m2とした以外は上記比較例1と同様にして比較例2の光拡散シートを得た。
[特性の評価]
上記実施例1〜10の光拡散シート及び比較例1〜2の光拡散シートを用い、これらの光拡散シートのヘイズ値を測定した。また、これらの光拡散シートを実際にエッジライト型バックライトユニットに組み込み、導光板表面に2枚の光拡散シートを積層した場合と導光板表面に光拡散シート及びプリズムシートを積層した場合の正面輝度相対値を測定した。その結果を下記表1に示す。
上記実施例1〜10の光拡散シート及び比較例1〜2の光拡散シートを用い、これらの光拡散シートのヘイズ値を測定した。また、これらの光拡散シートを実際にエッジライト型バックライトユニットに組み込み、導光板表面に2枚の光拡散シートを積層した場合と導光板表面に光拡散シート及びプリズムシートを積層した場合の正面輝度相対値を測定した。その結果を下記表1に示す。
上記表1に示すように、実施例1〜10の光拡散シートは、多分散ビーズを用いた比較例1及び2の光拡散シートと比較して、高いヘイズ値及び正面輝度相対値を示しており、優れた方向性光拡散機能、光線透過性等を有している。
以上のように、本発明の光拡散シートは、液晶表示装置のバックライトユニットの構成要素として有用であり、特に透過型液晶表示装置に用いるのに適している。
1 光拡散シート
2 基材層
3 光拡散層
4 ビーズ
5 バインダー
11 光拡散シート
12 スティッキング防止層
13 ビーズ
14 バインダー
2 基材層
3 光拡散層
4 ビーズ
5 バインダー
11 光拡散シート
12 スティッキング防止層
13 ビーズ
14 バインダー
Claims (10)
- 透明な基材層とこの基材層の表面側に積層される光拡散層とを備え、この光拡散層が樹脂製のビーズと樹脂製のバインダーとを有する光拡散シートであって、
上記ビーズとして平均粒子径が1.5μm以上5μm以下の単分散ビーズが用いられ、
バインダーに対するビーズの質量比が2.5以上3以下であり、
光拡散層の積層量が3g/m2以上10g/m2以下であることを特徴とする光拡散シート。 - 上記単分散ビーズの平均粒子径が3μmで、バインダーに対するビーズの質量比が2.7で、光拡散層の積層量が6g/m2である請求項1に記載の光拡散シート。
- 上記ビーズ及びバインダーの基材ポリマーとしてアクリル系樹脂が用いられている請求項1又は請求項2に記載の光拡散シート。
- 上記バインダーが、アクリルポリオールと硬化剤とを含むポリマー組成物から形成されている請求項3に記載の光拡散シート。
- 上記単分散ビーズの粒子径分布の変動係数が0.2以下である請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の光拡散シート。
- 上記光拡散層がグラビアコート法により形成されている請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の光拡散シート。
- 上記光拡散層のバインダー中に微小無機充填剤を分散含有する請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の光拡散シート。
- 上記光拡散層のバインダー中に耐電防止剤を含有する請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の光拡散シート。
- 上記基材層の裏面側に積層されるスティッキング防止層をさらに備え、このスティッキング防止層がバインダー中に分散するビーズを有している請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の光拡散シート。
- ランプから発せられる光線を分散させて表面側に導く液晶表示装置用のバックライトユニットにおいて、
請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の光拡散シートを備えていることを特徴とする液晶表示装置用のバックライトユニット。
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