JP2004198707A - 光学シート及びこれを用いたバックライトユニット - Google Patents
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Abstract
【解決手段】透明な基材層2とこの基材層2の表面側に積層される光学層3とを備え、この光学層3がバインダー4中に球状の樹脂ビーズ5を有する光学シート1であって、この樹脂ビーズ5の平均粒子径が18μm以上22μm以下であり、その粒子径分布の変動係数が30%以上40%以下であることを特徴とするものである。上記バインダー4のポリマー分100部に対する樹脂ビーズ5の配合量としては200部以上300部以下が好ましい。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、透過光線に対する所定の光学的機能(拡散機能、集光機能、屈折機能、反射機能等)を有し、特に液晶表示装置のバックライトユニットに好適な光学シート、及びこの光学シートを用いたバックライトユニットに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
液晶表示装置は、液晶層を背面から照らして発光させるバックライト方式が普及し、液晶層の下面側にエッジライト型、直下型等のバックライトユニットが装備されている。かかるエッジライト型のバックライトユニット20は、一般的には図3(a)に示すように、光源としての棒状のランプ21と、このランプ21に端部が沿うように配置される方形板状の導光板22と、この導光板22の表面側に積層される複数枚の光学シート23とを装備している。この光学シート23は、屈折、拡散等の特定の光学的機能を有するものであり、具体的には(1)導光板22の表面側に配設され、主に光拡散機能を有する拡散性光学シート24、(2)拡散性光学シート24の表面側に配設され、法線方向側への屈折機能を有する屈折性光学シート25などが該当する。
【0003】
このバックライトユニット20の機能を説明すると、まず、ランプ21より導光板22に入射した光線は、導光板22裏面の反射ドット又は反射シート(図示されず)及び各側面で反射され、導光板22表面から出射される。導光板22から出射した光線は拡散性光学シート24に入射し、拡散され、表面より出射される。その後、光学シート24から出射された光線は、屈折性光学シート25に入射し、表面に形成されたプリズム部25aによって、略真上方向にピークを示す分布の光線として出射される。このように、ランプ21から出射された光線が、光学シート24、25によって拡散され、略真上方向にピークを示すように屈折され、さらに上方の図示していない液晶層全面を照明するものである。
【0004】
また図示していないが、上述の導光板22の導光特性や光学シート23の光学的機能などを考慮し、拡散性光学シートや屈折性光学シートなどの光学シート23をさらに多く配設したバックライトユニットもある。
【0005】
拡散性光学シート24は、一般的には図3(b)に示すように、透明な合成樹脂製の基材層26と、この基材層26の表面に積層されかつ主に光拡散性を有する光学層27とを備えている。この光学層27は、一般的にはバインダー28中に樹脂ビーズ29が分散した構造を有している。このような拡散性光学シート24は、例えば特開2000−89007公報などに開示されている。
【0006】
【特許文献1】
特開2000−89007公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
上記拡散性光学シート24は、光学層27の樹脂ビーズ29によって透過光線を略均一に分散するものであるが、単に樹脂ビーズ29の配合量を増加させても光拡散機能の向上には限界があり、逆に光線の透過率が低下してしまう。そのため、上記従来の拡散性光学シート24だけでは出光光線の輝度分布のピーク方向を法線方向(正面方向)に向けることができず、光学シート24の表面側に配設される屈折性光学シート25によって光線を法線方向側に屈折させ、正面輝度の向上を図っている。
【0008】
本発明はこれらの不都合に鑑みてなされたものであり、優れた全光線透過率を有し、かつ、光拡散機能、法線方向側への屈折機能、集光機能等の光学的機能が格段に高い光学シート及びこれを用いて正面輝度等の品質の向上や薄型化が促進できるバックライトユニットの提供を目的とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記従来の拡散性光学シートにおける光学層のどの部分が光拡散性に寄与しているのかを鋭意検討した結果、バインダー中に埋没している樹脂ビーズ自体はあまり光拡散性等の光学的機能に寄与せず、樹脂ビーズによって光学層表面に形成された微細な凹凸がレンズ的に機能し、光拡散機能等の光学的機能を主に奏していることを見出した。
【0010】
その結果得られた上記課題を解決するためになされた発明は、透明な基材層とこの基材層の表面側に積層される光学層とを備え、この光学層がバインダー中に球状の樹脂ビーズを有する光学シートであって、この樹脂ビーズの平均粒子径が18μm以上22μm以下であり、その粒子径分布の変動係数が30%以上40%以下であることを特徴とするものである。
【0011】
当該光学シートによれば、光学層のバインダー中に含有する樹脂ビーズの平均粒子径を18μm以上22μm以下とし、その樹脂ビーズの粒子径分布の変動係数を30%以上40%以下とすることで、光学層表面に滑らかに連続した微細な凹凸が稠密かつ略等密度に形成される。かかる光学層表面の微細な凹凸の凸部及び凹部が透過光線に対して凸レンズ及び凹レンズ的に機能し、従来の光学シートと比較して光拡散機能、法線方向側への屈折機能、集光機能等の光学的機能が格段に向上する。
【0012】
上記バインダーのポリマー分100部に対する樹脂ビーズの配合量としては200部以上300部以下が好ましい。このように、樹脂ビーズの配合量を上記範囲とすることで、光学層表面に上記微細な凹凸が容易かつ確実に形成され、上記光学的機能の向上作用が促進される。
【0013】
上記バインダーとしては、ポリオールを含有するポリマー組成物から形成するとよい。このように、バインダーを形成するポリマー組成物の基材ポリマーとしてポリオールを用いると、ポリオールが加工性及び成形性に優れるため、塗工等の手段により表面に上記微細な凹凸を有する光学層を容易かつ確実に形成することができる。また、ポリオールを含有するポリマー組成物からバインダーを形成することで、光学層の表面硬度、耐摩耗性、耐候性、耐熱性、耐汚染性等の被膜物性が高められる。さらに、バインダー中への微小無機充填剤の分散含有が容易となるため、当該光学シートの耐熱性を容易に高めることができる。
【0014】
上記ポリオールとしては、アクリルポリオール又はポリエステルポリオールが好ましい。かかるアクリルポリオール又はポリエステルポリオールは、透明性に優れ、かつ上記表面硬度、疎水性、耐候性等の被膜物性が優れるため、当該光学シートの全光線透過率を高め、紫外線による黄変、劣化等を低減することができる。
【0015】
上記ポリオールとしては、シクロアルキル基を有するポリオールが好ましい。かかるシクロアルキル基を有するポリオールによれば、光学層のバインダーの疎水性が向上する。そのため、当該光学シート全体の疎水性が向上し、高温・高湿度下での変形を格段に抑制することができ、その結果、例えば液晶表示装置のバックライトユニットなどに装備される光学シートに好適となる。
【0016】
上記ポリマー組成物中に微小無機充填剤を分散含有するとよい。この手段によれば、バインダー中への微小無機充填剤の分散含有によって光学層ひいては当該光学シート全体の耐熱性を高めることができ、高温・高湿度下における当該光学シートの変形を格段に抑制することができる。
【0017】
上記微小無機充填剤として、その表面に有機ポリマーが固定された微小無機充填剤を用いるとよい。ここで、「固定」とは、単なる接着および付着を意味するものではなく、有機ポリマーと微小無機充填剤の間で化学結合が生成していることを意味し、従って微小無機充填剤を任意の溶剤で洗った洗液中に有機ポリマーが検出されない。このように、表面に有機ポリマーが固定された微小無機充填剤を用いると、バインダーを構成する基材ポリマーに対して良好な親和性を有し、表面硬度、耐熱性、耐摩耗性、耐候性、耐汚染性等の被膜物性の良い光学層を形成することができる。
【0018】
上記ポリマー組成物中に帯電防止剤を含有するとよい。このようにポリマー組成物中に帯電防止剤を含有し、光学層のバインダー中に帯電防止剤を分散含有することで、当該光学シートに優れた帯電防止作用を付与することができる。そのため、当該手段によれば、ゴミを吸い寄せたり、プリズムシート等の他のシートとの重ね合わせが困難になる等の帯電による不都合の発生を低減することができる。
【0019】
上記基材層の裏面側に積層され、かつ、バインダー中に樹脂ビーズを有するスティッキング防止層をさらに備えるとよい。この手段によれば、当該光学シートと重ねられる導光板、プリズムシート等とのスティッキングを防止することができる。
【0020】
従って、ランプから発せられる光線を分散させて表面側に導く液晶表示装置用のバックライトユニットにおいて、当該光学シートを備えると、上述のように光学シートが優れた光学的機能(光拡散機能、法線方向側への屈折機能等)を有するため、輝度ムラがなく、視野角を広げることができ、正面輝度を高くすることができる。そのため、当該バックライトユニットによれば、プリズムシート等の屈折性光学シートを省いたり、装備枚数を少なくすることができ、その結果、薄型化を促進することができる。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、適宜図面を参照しつつ本発明の実施の形態を詳説する。図1は本発明の一実施形態に係る光学シートを示す模式的断面図で、図2は図1の光学シートとは異なる形態の光学シートを示す模式的断面図である。
【0022】
図1の光学シート1は、上記ビーズ塗工タイプの拡散性光学シートと同様の構成であり、具体的には、基材層2と、この基材層2の表面に積層された光学層3とから構成されている。
【0023】
基材層2は、光線を透過させる必要があるので透明、特に無色透明の合成樹脂から形成されている。かかる基材層2に用いられる合成樹脂としては、特に限定されるものではなく、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、アクリル樹脂、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリオレフィン、セルロースアセテート、耐候性塩化ビニル等が挙げられる。中でも、透明性に優れ、強度が高いポリエチレンテレフタレートが好ましく、撓み性能が改善されたポリエチレンテレフタレートが特に好ましい。
【0024】
基材層2の厚み(平均厚み)は、特には限定されないが、例えば10μm以上500μm以下、好ましくは35μm以上250μm以下、特に好ましくは50μm以上188μm以下とされる。基材層2の厚みが上記範囲未満であると、光学層3を形成するための樹脂組成物を塗工した際にカールが発生しやすくなってしまう、取扱いが困難になる等の不都合が発生する。逆に、基材層2の厚みが上記範囲を超えると、液晶表示装置の輝度が低下してしまうことがあり、またバックライトユニットの厚みが大きくなって液晶表示装置の薄型化の要求に反することにもなる。
【0025】
光学層3は、基材層2表面に層状かつ略等密度に配設される樹脂ビーズ5と、この樹脂ビーズ5の周囲に充填されるバインダー4とを有している。この光学層3の表面には、樹脂ビーズ5の上面を被覆するバインダー4によって滑らかに連続する微細な球面状の凹凸(凸部6及び凹部7)が稠密かつ略均一に形成されている。この凸部6が透過光線に対して凸レンズ的に機能し、凹部7が凹レンズ的に機能する。そのため、当該光学シート1は、優れた光拡散機能を発揮することができる。また、当該光学シート1は、上記優れた光拡散機能に起因して、透過光線を法線方向側へ屈折させる屈折機能も格段に向上する。さらに、当該光学シート1は、巨視的には透過光線を法線方向に集光させる高い集光機能をも有している。
【0026】
この光学層3の厚みは、特には限定されないが、樹脂ビーズ5の平均粒子径の80%以上300%、特に85%以上290%以下、さらに特に90%以上280%以下が好ましい。光学層3の厚みをこの程度とすることで、光学層3表面にレンズ的な作用を奏する微細な凹凸が形成され、上記光拡散機能、屈折機能及び集光機能を顕著に奏することができる。なお、この光学層3の厚みは、JIS−K−7130に規定される5.1.2のA−2法により測定した平均値である。
【0027】
樹脂ビーズ5は、透明な樹脂製の真球状微粒子である。この樹脂ビーズ5に用いられる具体的な材料としては、特に限定されるものではなく、例えばアクリル樹脂、アクリロニトリル樹脂、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリアクリロニトリル、ポリアミド等が挙げられる。中でも、透明性が高いアクリル樹脂が好ましく、ポリメチルメタクリレート(PMMA)が特に好ましい。
【0028】
樹脂ビーズ5の平均粒子径の下限としては18μm、特に19μm、さらに特に20μmが好ましく、樹脂ビーズ5の平均粒子径の上限としては22μm、特に21μm、さらに特に20μmが好ましい。これは、樹脂ビーズ5の平均粒子径が上記範囲未満であると、樹脂ビーズ5によって形成される光学層3表面の凹凸が小さく、上述の優れた光学的機能を奏さなくなるおそれがあり、逆に、樹脂ビーズ5の平均粒子径が上記範囲を越えると、光学シート1の厚さが増大し、かつ、均一な拡散が困難になることからである。
【0029】
樹脂ビーズ5の粒子径分布の変動係数の下限としては30%、特に32%、さらに特に34%が好ましく、この変動係数の上限としては40%、特に38%、さらに特に36%が好ましい。これは、樹脂ビーズ5の変動係数が上記上限を超えると、光学層3表面の微細な凹凸の形成に寄与しない内部に埋没した樹脂ビーズ5や光学層3の平均表面から大きく突出した樹脂ビーズ5が増加し、全光線透過率や光拡散性の低下を招来するおそれがあることからであり、逆に、樹脂ビーズ5の変動係数が上記下限より小さくても、光拡散性が増加せず、ある程度粒子径にランダム性がある方が光拡散性に寄与し、品質が高くなることからである。
【0030】
なお、上記樹脂ビーズ5の平均粒子径及び粒子径分布の変動係数は、コールターカウンター法によって測定した値である。このコールターカウンター法とは、溶液中に分散している粒子の数及び大きさを、電気的に測定する方法であって、粒子を電解液中に分散させ、吸引力を使って電気が流れている細孔に粒子を通過させる際に、粒子の体積分だけ電解液が置換され、抵抗が増加し、粒子の体積に比例した電圧パルスを測定する方法である。従って、この電圧パルスの高さと数とを電気的に測定することによって粒子数と個々の粒子体積を測定し、その測定結果から粒子径及び粒子径分布を求め、樹脂ビーズ5の平均粒子径及び変動係数が求められる。
【0031】
樹脂ビーズ5の配合量(バインダー4の形成材料であるポリマー組成物中のポリマー分100部に対する固形分換算の配合量)の下限としては200部、特に220部、さらに240部が好ましく、この配合量の上限としては300部、特に280部、さらに260部が好ましい。これは、樹脂ビーズ5の配合量が上記範囲未満であると、上述の優れた光拡散機能を奏することができなくなるおそれがあり、一方、樹脂ビーズ5の配合量が上記範囲を越えると、光学層3表面の凹凸が激しくなるため、ヘイズが大きくなりすぎて正面輝度が低下するおそれがあることからである。
【0032】
バインダー4は、基材ポリマーを含むポリマー組成物からなり、このポリマー組成物を硬化させることで形成される。このポリマー組成物中には、その他に例えば硬化剤、可塑剤、分散剤、無機フィラー、帯電防止剤、各種レベリング剤、紫外線吸収剤、抗酸化剤、粘性改質剤、潤滑剤、光安定化剤等が適宜配合されてもよい。
【0033】
上記基材ポリマーとしては、特に限定されるものではなく、例えばアクリル系樹脂、ポリウレタン、ポリエステル、フッ素系樹脂、シリコーン系樹脂、ポリアミドイミド、エポキシ樹脂、紫外線硬化型樹脂等が挙げられ、これらのポリマーを1種又は2種以上混合して使用することができる。特に、上記基材ポリマーとしては、加工性が高く、塗工等の手段で容易かつ確実に微細な凹凸を有する光学層3を形成することができるポリオールが好ましい。なお、基材ポリマーは、光線を透過させる必要があるので透明とされており、特に無色透明が好ましい。
【0034】
上記ポリオールとしては、例えば水酸基含有不飽和単量体を含む単量体成分を重合して得られるポリオール、水酸基過剰の条件で得られるポリエステルポリオールなどが挙げられ、これらを単体で又は2種以上混合して使用することができる。
【0035】
この水酸基含有不飽和単量体としては、(a)例えばアクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸2−ヒドロキシプロピル、アリルアルコール、ホモアリルアルコール、ケイヒアルコール、クロトニルアルコール等の水酸基含有不飽和単量体、(b)例えばエチレングリコール、エチレンオキサイド、プロピレングリコール、プロピレンオキサイド、ブチレングリコール、ブチレンオキサイド、1,4−ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン、フェニルグリシジルエーテル、グリシジルデカノエート、プラクセルFM−1(ダイセル化学工業株式会社製)等の2価アルコール又はエポキシ化合物と、例えばアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、イタコン酸等の不飽和カルボン酸との反応で得られる水酸基含有不飽和単量体などが挙げられる。これらの水酸基含有不飽和単量体から選択される1種又は2種以上を重合してポリオールを製造することができる。
【0036】
また、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸tert−ブチル、アクリル酸エチルヘキシル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸tert−ブチル、メタクリル酸エチルヘキシル、メタクリル酸グリシジル、メタクリル酸シクロヘキシル、スチレン、ビニルトルエン、1−メチルスチレン、アクリル酸、メタクリル酸、アクリロニトリル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、酢酸アリル、アジピン酸ジアリル、イタコン酸ジアリル、マレイン酸ジエチル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、アクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−ブトキシメチルアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、エチレン、プロピレン、イソプレン等から選択される1種又は2種以上のエチレン性不飽和単量体と、上記(a)及び(b)から選択される水酸基含有不飽和単量体とを重合してポリオールを製造することもできる。
【0037】
かかる水酸基含有不飽和単量体を含む単量体成分を重合して得られるポリオールの数平均分子量は1000以上500000以下であり、好ましくは5000以上100000以下である。また、その水酸基価は5以上300以下、好ましくは10以上200以下、さらに好ましくは20以上150以下である。
【0038】
水酸基過剰の条件で得られるポリエステルポリオールは、(c)例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、ヘキサメチレングリコール、デカメチレングリコール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、トリメチロールプロパン、ヘキサントリオール、グリセリン、ペンタエリスリトール、シクロヘキサンジオール、水添ビスフェノールA、ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン、ハイドロキノンビス(ヒドロキシエチルエーテル)、トリス(ヒドロキシエチル)イソシヌレート、キシリレングリコール等の多価アルコールと、(d)例えばマレイン酸、フマル酸、コハク酸、アジピン酸、セバチン酸、アゼライン酸、トリメット酸、テレフタル酸、フタル酸、イソフタル酸等の多塩基酸とを、プロパンジオール、ヘキサンジオール、ポリエチレングリコール、トリメチロールプロパン等の多価アルコール中の水酸基数が前記多塩基酸のカルボキシル基数よりも多い条件で反応させて製造することができる。
【0039】
かかる水酸基過剰の条件で得られるポリエステルポリオールの数平均分子量は500以上300000以下であり、好ましくは2000以上100000以下である。また、その水酸基価は5以上300以下、好ましくは10以上200以下、さらに好ましくは20以上150以下である。
【0040】
当該ポリマー組成物の基材ポリマーとして用いられるポリオールとしては、上記ポリエステルポリオール、及び、上記水酸基含有不飽和単量体を含む単量体成分を重合して得られ、かつ、(メタ)アクリル単位等を有するアクリルポリオールが好ましい。かかるポリエステルポリオール又はアクリルポリオールを基材ポリマーとするバインダー4は耐候性が高く、光学層3の黄変等を抑制することができる。なお、このポリエステルポリオールとアクリルポリオールのいずれか一方を使用してもよく、両方を使用してもよい。
【0041】
なお、上記ポリエステルポリオール及びアクリルポリオール中の水酸基の個数は、1分子当たり2個以上であれば特に限定されないが、固形分中の水酸基価が10以下であると架橋点数が減少し、耐溶剤性、耐水性、耐熱性、表面硬度等の被膜物性が低下する傾向がある。
【0042】
上記ポリオールとしてはシクロアルキル基を有するものが好ましい。このように、バインダー4を構成する基材ポリマー(ポリオール)中にシクロアルキル基を導入することで、バインダー4の撥水性、耐水性等の疎水性が高くなり、高温高湿条件下での当該光学シート1の耐撓み性、寸法安定性等が改善される。また光学層3の硬度、耐候性、肉持感、耐溶剤性等の塗膜基本性能が向上する。さらに、表面に有機ポリマーが固定された微小無機充填剤との親和性及び微小無機充填剤の均一分散性がさらに良好になる。
【0043】
上記シクロアルキル基としては特に限定されず、例えば、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロノニル基、シクロデシル基、シクロウンデシル基、シクロドデシル基、シクロトリデシル基、シクロテトラデシル基、シクロペンタデシル基、シクロヘキサデシル基、シクロヘプタデシル基、シクロオクタデシル基等が挙げられる。
【0044】
上記シクロアルキル基を有するポリオールは、シクロアルキル基を有する重合性不飽和単量体を共重合することで得られる。このシクロアルキル基を有する重合性不飽和単量体とは、シクロアルキル基を分子内に少なくとも1つ有する重合性不飽和単量体である。この重合性不飽和単量体としては特に限定されず、例えば、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、メチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、tert−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、シクロドデシル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0045】
上述のように基材ポリマーとしてポリオールを用いる場合、上記ポリマー組成物中に硬化剤としてポリイソシアネート化合物を含有するとよい。このポリイソシアネート化合物は、ジイソシアネートを重合してなる2量体、3量体、4量体等の誘導体である。このポリイソシアネート化合物の配合によってポリマー組成物の硬化反応速度が大きくなるため、微小無機充填剤の分散安定性に寄与するカチオン系帯電防止剤をポリマー組成物中に含有しても、カチオン系帯電防止剤による硬化反応速度の低下を十分補うことができ、さらに生産性を高めることができる。
【0046】
上記ポリイソシアネート化合物としては、キシレンジイソシアネート誘導体又はこのキシレンジイソシアネート誘導体と脂肪族ジイソシアネート誘導体との混合物が好ましい。このキシレンジイソシアネート誘導体は、ポリマー組成物の反応速度向上効果が大きく、また芳香族ジイソシアネート誘導体の中では熱や紫外線による黄変及び劣化が比較的小さいため、当該光学シート1の光線透過率の経時的低下を低減することができる。一方、脂肪族ジイソシアネート誘導体は、芳香族ジイソシアネート誘導体に比べて反応速度向上効果が小さいが、紫外線等による黄変、劣化等が格段に小さいため、キシレンジイソシアネート誘導体と混合することで、反応速度向上効果と黄変等の防止効果とをバランスよく達成することができる。
【0047】
この脂肪族ジイソシアネート誘導体としてはイソホロンジイソシアネート誘導体及びヘキサメチレンジイソシアネート誘導体が好ましい。かかるイソホロンジイソシアネート誘導体及びヘキサメチレンジイソシアネート誘導体は、脂肪族ジイソシアネート誘導体の中では硬化反応速度の向上作用が比較的大きく、上述の生産性及び耐熱性を促進することができる。
【0048】
上記ジイソシアネートの誘導体の型式としては、TMPアダクト型、イソシアヌレート型又はビュレット型が好ましい。これらの型式の誘導体によれば、上述の硬化反応速度を効果的に増大することができる。
【0049】
上記ポリイソシアネート化合物の配合量(ポリマー組成物中のポリマー分100部に対する固形分換算の配合量)の下限としては20部が好ましく、25部が特に好ましい。一方、硬化剤の上記配合量の上限としては45部が好ましく、40部が特に好ましい。このようにポリイソシアネート化合物の配合量を上記範囲とすることで、上述のポリマー組成物の硬化反応速度向上作用を効果的に奏することができる。
【0050】
また、上記ポリマー組成物中に微小無機充填剤を含有するとよい。バインダー4中への微小無機充填剤の分散含有により、光学層3ひいては当該光学シート1全体の耐熱性を高めることができ、その結果、バックライトユニットにおいてランプの熱や空気中の湿気に曝されても当該光学シート1の変形を格段に抑制することができる。
【0051】
この微小無機充填剤を構成する無機物としては、特に限定されるものではないが、無機酸化物が特に好ましい。この無機酸化物は、金属元素が主に酸素原子との結合を介して3次元のネットワークを構成した種々の含酸素金属化合物と定義される。また無機酸化物を構成する金属元素としては、たとえば、元素周期律表II〜VI族から選ばれる元素が好ましく、元素周期律表III〜V族から選ばれる元素がさらに好ましい。その中でも、Si、Al、Ti及びZrから選択される元素が特に好ましく、金属元素がSiであるコロイダルシリカが、微小無機充填剤として最も好ましい。また微小無機充填剤の形状は、球状、針状、板状、鱗片状、破砕状等の任意の粒子形状でよく、特に限定されない。
【0052】
微小無機充填剤の平均粒子径の下限としては、5nmが好ましく、10nmが特に好ましい。一方、微小無機充填剤の平均粒子径の上限としては50nmが好ましく、25nmが特に好ましい。これは、微小無機充填剤の平均粒子径が上記範囲未満では、微小無機充填剤の表面エネルギーが高くなり、凝集等が起こりやすくなるためであり、逆に、平均粒子径が上記範囲を超えると、短波長の影響で白濁し、光学シート1の透明性を完全に維持することができなくなることからである。
【0053】
微小無機充填剤(無機物成分のみ)の配合量(ポリマー組成物中のポリマー分100部に対する固形分換算の配合量)の下限としては10部が好ましく、50部が特に好ましい。一方、微小無機充填剤の上記配合量の上限としては500部が好ましく、200部が特に好ましい。これは、微小無機充填剤の配合量が上記範囲未満であると、光学シート1の耐熱性を十分に発現することができなくなってしまうおそれがあり、逆に、配合量が上記範囲を越えると、ポリマー組成物中への配合が困難になり、光学層3の光線透過率が低下するおそれがあることからである。
【0054】
微小無機充填剤としては、その表面に有機ポリマーが固定されたものを用いるとよい。このように有機ポリマー固定微小無機充填剤を用いることで、バインダー4中での分散性やバインダー4との親和性の向上が図られる。この有機ポリマーについては、その分子量、形状、組成、官能基の有無等に関して特に限定はなく、任意の有機ポリマーを使用することができる。また有機ポリマーの形状については、直鎖状、分枝状、架橋構造等の任意の形状のものを使用することができる。
【0055】
かかる有機ポリマーを構成する具体的な樹脂としては、例えば、(メタ)アクリル樹脂、ポリスチレン、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステルおよびこれらの共重合体やアミノ基、エポキシ基、ヒドロキシル基、カルボキシル基等の官能基で一部変性した樹脂等が挙げられる。中でも、(メタ)アクリル系樹脂、(メタ)アクリル−スチレン系樹脂、(メタ)アクリル−ポリエステル系樹脂等の(メタ)アクリル単位を含む有機ポリマーを必須成分とするものが被膜形成能を有し好適である。他方、上記ポリマー組成物の基材ポリマーと相溶性を有する樹脂が好ましく、従ってポリマー組成物に含まれる基材ポリマーと同じ組成であるものが最も好ましい。
【0056】
なお、微小無機充填剤は、微粒子内に有機ポリマーを包含していてもよい。このことにより、微小無機充填剤のコアである無機物に適度な軟度および靱性を付与することができる。
【0057】
上記有機ポリマーにはアルコキシ基を含有するものを用いるとよく、その含有量としては有機ポリマーを固定した微小無機充填剤1g当たり0.01mmol以上50mmol以下が好ましい。かかるアルコキシ基により、バインダー4を構成するマトリックス樹脂との親和性や、バインダー4中での分散性を向上させることができる。
【0058】
ここでいうアルコキシ基は、微粒子骨格を形成する金属元素に結合したRO基を示す。このRは置換されていてもよいアルキル基であり、微粒子中のRO基は同一であっても異なっていてもよい。Rの具体例としては、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル等が挙げられる。微小無機充填剤を構成する金属と同一の金属アルコキシ基を用いるのが好ましく、微小無機充填剤がコロイダルシリカである場合には、シリコンを金属とするアルコキシ基を用いるのが好ましい。
【0059】
有機ポリマーを固定した微小無機充填剤中の有機ポリマーの含有率については、特に制限されるものではないが、微小無機充填剤を基準にして0.5質量%以上50質量%以下が好ましい。
【0060】
上述のように微小無機充填剤に固定する有機ポリマーとして水酸基を有するものを用い、バインダー4を構成するポリマー組成物中に水酸基と反応するような官能基を2個以上有する多官能イソシアネート化合物、メラミン化合物およびアミノプラスト樹脂から選ばれる少なくとも1種のものを含有するとよい。これにより、微小無機充填剤とバインダー4のマトリックス樹脂とが架橋構造で結合され、保存安定性、耐汚染性、可撓性、耐候性、保存安定性等が良好になり、さらに得られる被膜が光沢を有するものとなる。
【0061】
上記多官能イソシアネート化合物としては、脂肪族、脂環族、芳香族及びその他の多官能イソシアネート化合物やこれらの変性化合物を挙げることができる。多官能イソシアネート化合物の具体例としては、例えばトリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキシルメタンジイソシアネート、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネートのビウレット体、イソシアヌレート体等の3量体等;これらの多官能イソシアネート類とプロパンジオール、ヘキサンジオール、ポリエチレングリコール、トリメチロールプロパン等の多価アルコールとの反応により生成される2個以上のイソシアネート基が残存する化合物;これらの多官能イソシアネート化合物をエタノール、ヘキサノール等のアルコール類、フェノール、クレゾール等のフェノール性水酸基を有する化合物、アセトオキシム、メチルエチルケトキシム等のオキシム類、ε−カプロラクタム、γ−カプロラクタム等のラクタム類等のブロック剤で封鎖したブロックド多官能イソシアネート化合物などを挙げることができる。なお、上記多官能イソシアネート化合物は1種又は2種以上混合して使用できる。中でも、被膜の黄変色を防止するために、芳香環に直接結合したイソシアネート基を有しない無黄変性多官能イソシアネート化合物が好ましい。
【0062】
上記メラミン化合物としては、例えばジメチロールメラミン、トリメチロールメラミン、テトラメチロールメラミン、ペンタメチロールメラミン、ヘキサメチロールメラミン、イソブチルエーテル型メラミン、n−ブチルエーテル型メラミン、ブチル化ベンゾグアナミン等を挙げることができる。
【0063】
上記アミノプラスト樹脂としては、例えばアルキルエーテル化メラミン樹脂、尿素樹脂、ベンゾグアナミン樹脂等が挙げられ、これらのアミノプラスト樹脂の単体又は2種以上の混合物もしくは共縮合物を使用できる。このアルキルエーテル化メラミン樹脂とは、アミノトリアジンをメチロール化し、シクロヘキサノールまたは炭素数1〜6のアルカノールでアルキルエーテル化して得られるものであり、ブチルエーテル化メラミン樹脂、メチルエーテル化メラミン樹脂、メチルブチル混合メラミン樹脂が代表的なものである。また、硬化を促進させるためのスルホン酸系触媒、たとえば、パラトルエンスルホン酸およびそのアミン塩等を使用することができる。
【0064】
また、ポリマー組成物中に帯電防止剤を含有してもよい。この帯電防止剤としては、特に限定されるものではなく、例えばアルキル硫酸塩、アルキルリン酸塩等のアニオン系帯電防止剤、第四アンモニウム塩、イミダゾリン化合物等のカチオン系帯電防止剤、ポリエチレングリコール系、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアリン酸エステル、エタノールアミド類等のノニオン系帯電防止剤、ポリアクリル酸等の高分子系帯電防止剤などが用いられる。中でも、帯電防止効果が比較的大きく、微小無機充填剤の分散状態の安定性を阻害しないカチオン系帯電防止剤が好ましい。また、このカチオン系帯電防止剤の中でも、上述の高疎水性のバインダー4に対する帯電防止性をより促進することができるアンモニウム塩及びベタインが特に好ましい。
【0065】
上記帯電防止剤の配合量(ポリマー組成物中のポリマー分100部に対する固形分換算の配合量)の下限としては0.5部が好ましく、3部が特に好ましい。一方、帯電防止剤の上記配合量の上限としては15部が好ましく、10部が特に好ましい。これは、帯電防止剤の配合量が上記下限より小さいと、上述の帯電防止効果を十分発揮することができないおそれがあり、逆に、帯電防止剤の上記配合量が上記上限を超えると、帯電防止剤の配合による全光線透過率の低下や強度の低下等の不都合が生じるおそれがあることからである。
【0066】
次に、当該光学シート1の製造方法について説明する。当該光学シート1の製造方法は、(a)バインダー4を構成するポリマー組成物に樹脂ビーズ5を混合することで光学層用塗工液を製造する工程と、(b)この光学層用塗工液を基材層2の表面に塗工することで光学層3を積層する工程とを有する。
【0067】
図2の光学シート11は、基材層2と、この基材層2の表側に積層された光学層3と、基材層2の裏面に積層されたスティッキング防止層12とから構成されている。この基材層2及び光学層3は、図1に示された実施形態のものと同じであるため、同一番号を付して説明を省略する。従って、当該光学シート11も、上記光学シート1と同様に非常に優れた光拡散機能を有している。
【0068】
スティッキング防止層12は、バインダー13と、このバインダー13中に分散するビーズ14とから構成されている。このバインダー13も、上記光学層3のバインダー4と同様のポリマー組成物を架橋硬化させることで形成される。また、ビーズ14の材料としては光学層3の樹脂ビーズ5と同様のものが用いられる。なお、このスティッキング防止層12の厚み(ビーズ14を除いたバインダー13部分の厚み)は特には限定されないが、例えば1μm以上10μm以下程度とされている。
【0069】
このビーズ14の配合量は比較的少量とされ、ビーズ14は互いに離間してバインダー13中に分散し、ビーズ14の多くはその下端がバインダー13からごく少量突出している。そのため、この光学シート11を導光板と積層すると、突出したビーズ14の下端が導光板等の表面に当接し、光学シート11の裏面の全面が導光板等と当接することがない。これにより、光学シート11と導光板等とのスティッキングが防止され、液晶表示装置の画面の輝度ムラが抑えられる。
【0070】
次に、光学シート11の製造方法を説明する。当該光学シート11の製造方法は、(a)バインダー4を構成するポリマー組成物に樹脂ビーズ5を混合することで光学層用塗工液を製造する工程と、(b)この光学層用塗工液を基材層2の表面に塗工することで光学層3を積層する工程と、(c)バインダー13を構成するポリマー組成物にビーズ14を混合することでスティッキング防止層用塗工液を製造する工程と、(d)このスティッキング防止層用塗工液を基材層2の裏面に塗工することでスティッキング防止層12を積層する工程とを有する。
【0071】
従って、図3(a)に示すようなランプ21、導光板22、光学シート23(拡散性光学シート24、屈折性光学シート25)を備え、ランプ21から発せられる光線を分散させて表面側に導く液晶表示装置用のバックライトユニット20において、光学シート23として上記光学シート1、11を用いると、光学シート1、11が優れた光拡散機能を有するため、輝度ムラの発生を防止し、かつ、正面輝度を高めることができる。また、光学シート1、11の優れた光拡散機能によってプリズムタイプの屈折性光学シート25の省略が可能となり、薄型化を促進することができる。
【0072】
【実施例】
以下、実施例に基づき本発明を詳述するが、この実施例の記載に基づいて本発明が限定的に解釈されるものではない。
【0073】
[実施例1]
アクリルポリオール(日本触媒(株)社の「ユーダブルS−2840」;固形分50%)128部、イソシアネート(日本ポリウレタン工業(株)社の「コロネートHL」;固形分75%)18部、帯電防止剤(大日精化工業(株)社の「RUB静電防止剤」;固形分50%)42部、メチルエチルケトン105部及びトルエン105部からなるポリマー組成物(硬化後屈折率:1.53)中に、粒子径分布の変動係数を35%に調整した平均粒子径20μmのアクリルビーズ(積水化成品工業(株)社の「MBX−20」;屈折率:1.50)192部を混合して光学層用塗工液を作製し、この光学層用塗工液を厚さ100μmの透明ポリエステル製の基材層の表面に17g/m2(固形分換算)塗工することで実施例1の光学シートを得た。
【0074】
[実施例2]
変動係数を30%に調整した以外は上記実施例1と同様にして実施例2の光学シートを得た。
【0075】
[実施例3]
変動係数を33%に調整した以外は上記実施例1と同様にして実施例3の光学シートを得た。
【0076】
[実施例4]
変動係数を37%に調整した以外は上記実施例1と同様にして実施例4の光学シートを得た。
【0077】
[実施例5]
変動係数を40%に調整した以外は上記実施例1と同様にして実施例5の光学シートを得た。
【0078】
[比較例1]
変動係数を25%に調整した以外は上記実施例1と同様にして比較例1の光学シートを得た。
【0079】
[比較例2]
変動係数を45%に調整した以外は上記実施例1と同様にして比較例2の光学シートを得た。
【0080】
[特性の評価]
上記実施例1〜5の光学シート及び比較例1及び2の光学シートを用い、これらの光学シートをエッジライト型のバックライトユニットの導光板の表面側に装備して正面輝度を測定した。その結果を下記表1に示す。
【0081】
【表1】
【0082】
上記表1に示すように、比較例1及び2の光学シートと比較して、粒子径分布の変動係数を30%以上40%以下に調整した実施例1〜5の光学シートが高い正面輝度を示している。
【0083】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の光学シートによれば、優れた全光線透過率を有し、かつ、光拡散機能、法線方向側への屈折機能、集光機能等の光学的機能を格段に向上することができる。また、当該光学シートを用いたバックライトユニットによれば、正面輝度等の品質の向上や薄型化を促進することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る光学シートを示す模式的断面図である。
【図2】図1の光学シートとは異なる形態の光学シートを示す模式的断面図である。
【図3】(a)は一般的なエッジライト型バックライトユニットを示す模式的斜視図、(b)は一般的な拡散性光学シートを示す模式的断面図である。
【符号の説明】
1 光学シート
2 基材層
3 光学層
4 バインダー
5 樹脂ビーズ
6 凸部
7 凹部
11 光学シート
12 スティッキング防止層
13 バインダー
14 ビーズ
Claims (10)
- 透明な基材層と、この基材層の表面側に積層される光学層とを備え、この光学層がバインダー中に球状の樹脂ビーズを有する光学シートであって、
この樹脂ビーズの平均粒子径が18μm以上22μm以下であり、その粒子径分布の変動係数が30%以上40%以下であることを特徴とする光学シート。 - 上記バインダーのポリマー分100部に対する樹脂ビーズの配合量が200部以上300部以下である請求項1に記載の光学シート。
- 上記バインダーが、ポリオールを含有するポリマー組成物から形成されている請求項1又は請求項2に記載の光学シート。
- 上記ポリオールとしてアクリルポリオール又はポリエステルポリオールが用いられている請求項3に記載の光学シート。
- 上記ポリオールがシクロアルキル基を有する請求項3又は請求項4に記載の光学シート。
- 上記ポリマー組成物中に微小無機充填剤を分散含有する請求項3、請求項4又は請求項5に記載の光学シート。
- 上記微小無機充填剤の表面に有機ポリマーが固定されている請求項6に記載の光学シート。
- 上記ポリマー組成物中に帯電防止剤を含有する請求項3から請求項7のいずれか1項に記載の光学シート。
- 上記基材層の裏面側に積層されるスティッキング防止層をさらに備え、このスティッキング防止層がバインダー中に樹脂ビーズを有する請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の光学シート。
- ランプから発せられる光線を分散させて表面側に導く液晶表示装置用のバックライトユニットにおいて、請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の光学シートを備えていることを特徴とする液晶表示装置用のバックライトユニット。
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KR100961596B1 (ko) | 2007-06-08 | 2010-06-04 | 이터널 케미컬주식회사 | 좁은 입자 크기 분포를 가지는 유기 입자를 함유하는 광학필름 |
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-
2002
- 2002-12-18 JP JP2002366733A patent/JP2004198707A/ja active Pending
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