JP4271462B2 - 光拡散シート及びこれを用いたバックライトユニット - Google Patents

光拡散シート及びこれを用いたバックライトユニット Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、透過光線を拡散させる機能を有し、特に液晶表示装置のバックライトユニットに好適な光拡散シート及びこの光拡散シートを用いたバックライトユニットに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
液晶表示装置は、液晶層を背面から照らして発光させるバックライト方式が普及し、液晶層の下面側にエッジライト型、直下型等のバックライトユニットが装備されている。かかるエッジライト型のバックライトユニット20は、基本的には図3(a)に示すように、光源としての線状のランプ21と、ランプ21に端部が沿うように配置される方形板状の導光板22と、導光板22の表面側に配設される光拡散シート23と、光拡散シート23の表面側に配設されるプリズムシート24とを備えている。
【0003】
このバックライトユニット20の機能を説明すると、まずランプ21より導光板22に入射した光線は、導光板22裏面の反射ドット又は反射シート(図示していない)で反射され、導光板22表面から出射される。導光板22から出射した光線は光拡散シート23に入射し、光拡散シート23で拡散され、光拡散シート23表面より出射される。その後、光拡散シート23から出射された光線は、プリズムシート24に入射し、プリズムシート24表面に形成されたプリズム部24aによって略法線方向にピークを示す分布の光線として出射される。
【0004】
このように、ランプ21から出射された光線が、光拡散シート23によって拡散され、またプリズムシート24によって略法線方向にピークを示すように屈折され、さらに表面側の液晶層(図示していない)全面を照明するものである。なお、図示していないが、上述のプリズムシート24の集光特性の緩和やプリズム部24aの保護又は偏光板等の液晶パネルとプリズムシート24とのスティッキングの防止を目的として、プリズムシート24の表面側にさらに光拡散シートが配設されている。
【0005】
上記バックライトユニット20に備える光拡散シート23は、一般的には図3(b)に示すように、合成樹脂製の透明な基材層26と、この基材層26の表面に積層された光拡散層27と、基材層26の裏面に積層されたスティッキング防止層28とを備えている(例えば特開平7−5305号公報、特開2000−89007公報等参照)。この光拡散層27は、一般的には、バインダー29中に光拡散剤30を含有し、光拡散剤30により透過光線を拡散させる機能が奏される。また、スティッキング防止層28は、バインダー31中に少量のビーズ32を分散含有し、このビーズ32の下部がバインダー31の裏面から突出した構造を有しており、光拡散シート23裏面が導光板22表面と密着して干渉縞が生じてしまう不都合を防止している。
【0006】
【特許文献1】
特開平7−5305号公報
【特許文献2】
特開2000−89007公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、光拡散シート23は一般的に合成樹脂で形成されているため、熱や紫外線などによる変形や変色(黄変等)を受けやすいという欠点を有している。一方、光線発生源であるランプ21は発光と同時に発熱する。一般的には、光拡散シート23のうちランプ21近傍は、80℃から90℃程度の温度下に曝される。このため、光拡散シート23が熱変形を起こして部分的に撓んでしまい、その結果、画面の輝度ムラが発生してしまうという問題がある。
【0008】
そのため、光拡散シート23における光拡散層27のバインダー29中に微小無機充填剤を分散含有させることによって、耐熱性の向上を図る技術が開発されているが(特開2000−89007公報参照)、(a)微小無機充填剤の分散性が悪く、十分な耐熱性を得ることができない、(b)微小無機充填剤とバインダー29との密着性が十分でなく、両者の界面に微小な隙間が生じ、強度及び光線の透過性が低下するという問題がある。
【0009】
本発明はこれらの不都合に鑑みてなされたものであり、高い光線透過率を維持しつつ、耐熱性、熱的寸法安定性及び耐候性を向上させることができ、ランプの発熱や紫外線照射を受けても撓みや黄変等が発生しにくい光拡散シート、及び、かかる光拡散シートを用いて輝度ムラや輝度低下の発生を低減するバックライトユニットの提供を目的とするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するためになされた発明は、透明な基材層と、この基材層の表面側に積層される光拡散層と、基材層の裏面側に積層されるスティッキング防止層とを備え、光拡散層がバインダー中に光拡散剤を含有し、スティッキング防止層がバインダー中にビーズを分散含有する液晶表示装置バックライトユニット用の光拡散シートであって、上記光拡散層及びスティッキング防止層のバインダーがポリオールと微小無機充填剤とを含むポリマー組成物から形成され、かつ、50℃以上80℃以下のガラス転移温度を有しており、この微小無機充填剤の平均粒子径が5nm以上50nm以下であることを特徴とする光拡散シートである。ここで、「ガラス転移温度」としては、JISに規定する示査走査熱量分析(DSC)により測定した値を採用する。
【0011】
当該光拡散シートによれば、光拡散層及びスティッキング防止層のバインダーの基材ポリマーとしてポリオールを用いることから、透明性が高く、かつ、耐候性や加工性などが優れている。また、光拡散層及びスティッキング防止層のバインダーが50℃以上80℃以下のガラス転移温度を有することから、光拡散層及びスティッキング防止層の耐熱性を高めることができる。さらに、ポリマー組成物中に微小無機充填剤を含有することから、光拡散層及びスティッキング防止層の耐熱性をさらに高めることができる。かかる耐熱性向上のために分散含有させる微小無機充填剤の平均粒子径が5nm以上50nm以下であるため、可視光の波長より小さく、光拡散層及びスティッキング防止層の透明性を維持することができる。その結果当該光拡散シートは熱等による撓みや黄変を格段に抑制することができ、かつ、微小無機充填剤含有に起因する光線透過率の低下を防止することができる。
【0013】
上記微小無機充填剤として、その表面に有機ポリマーが固定された微小無機充填剤を用いるとよい。ここで、「固定」とは、単なる接着および付着を意味するものではなく、有機ポリマーと微小無機充填剤の間で化学結合が生成していることを意味し、従って微小無機充填剤を任意の溶剤で洗った洗液中に有機ポリマーが検出されない。このように、表面に有機ポリマーが固定された微小無機充填剤を用いると、バインダーを構成する基材ポリマーに対して良好な親和性を有し、表面硬度、耐熱性、耐摩耗性、耐候性、耐汚染性等の被膜物性の良い光拡散層を形成することができる。
【0014】
上記有機ポリマーが固定された微小無機充填剤中にアルコキシ基を0.01mmol/g以上50mmol/g以下含有するとよい。微小無機充填剤に固定する有機ポリマーにこの程度のアルコキシ基を有させることで、微小無機充填剤とマトリックスの基材ポリマーとの親和性や基材ポリマー中での微小無機充填剤の分散性を向上させることができる。
【0015】
上記ポリオールがシクロアルキル基を有するとよい。このように、シクロアルキル基を有するポリオールを基材ポリマーとして用いることで、バインダーの疎水性(撥水性、耐水性)が高くなり、高温高湿条件下での当該光拡散シートの耐撓み性、寸法安定性等が改善される。また、光拡散層の硬度、耐候性、耐溶剤性等の塗膜基本性能が向上する。さらに、表面に有機ポリマーが固定された微小無機充填剤との親和性及び微小無機充填剤の均一分散性がさらに良好になる。
【0016】
上記ポリマー組成物中に硬化剤として脂肪族系イソシアネートを含有するとよい。このように、ポリマー組成物中に含有する硬化剤として脂肪族系イソシアネートを用いることで、光拡散層又はスティッキング防止層の黄変を防止することができる。
【0017】
上記有機ポリマーが水酸基を有し、上記ポリマー組成物中に多官能イソシアネート化合物、メラミン化合物およびアミノプラスト樹脂から選択される1種又は2種以上のものを含有するとよい。この手段によれば、微小無機充填剤表面に固定された有機ポリマーとバインダーマトリックスとが架橋構造によって結合されることから、保存安定性、耐汚染性、可撓性、耐候性、保存安定性等の良好な被膜物性の塗膜を与えることができる。
【0018】
従って、ランプから発せられる光線を分散させて表面側に導く液晶表示装置用のバックライトユニットにおいて、当該光拡散シートを備えると、上述のように光拡散シートの熱や紫外線による撓みや黄変等が少ないため、液晶表示装置の輝度ムラ及び輝度の低下を抑えることができる。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、適宜図面を参照しつつ本発明の実施の形態を詳説する。図1は本発明の一実施形態に係る光拡散シートを示す模式的断面図で、図2は図1の光拡散シートとは異なる形態の光拡散シートを示す模式的断面図である。
【0020】
図1の光拡散シート1は、基材層2と、この基材層2の表面に積層された光拡散層3とを備えている。
【0021】
基材層2は、光線を透過させる必要があるので透明、特に無色透明の合成樹脂から形成されている。かかる基材層2に用いられる合成樹脂としては、特に限定されるものではなく、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、アクリル樹脂、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリオレフィン、セルロースアセテート、耐候性塩化ビニル等が挙げられる。中でも、透明性に優れ、強度が高いポリエチレンテレフタレートが好ましく、撓み性能が改善されたポリエチレンテレフタレートが特に好ましい。
【0022】
基材層2の厚み(平均厚み)は、特には限定されないが、例えば10μm以上500μm以下、好ましくは35μm以上250μm以下、特に好ましくは50μm以上188μm以下とされる。基材層2の厚みが上記範囲未満であると、光拡散層3を形成するための樹脂組成物を塗工した際にカールが発生しやすくなってしまう、取扱いが困難になる等の不都合が発生する。逆に、基材層2の厚みが上記範囲を超えると、液晶表示装置の輝度が低下してしまうことがあり、またバックライトユニットの厚みが大きくなって液晶表示装置の薄型化の要求に反することにもなる。
【0023】
光拡散層3は、バインダー4と、このバインダー4中に含有する光拡散剤5とを備えている。このように光拡散層3中に光拡散剤5を含有することにより、この光拡散層3を裏側から表側に透過する光線を均一に拡散させることができる。さらに、光拡散剤5の一部は、その上端がバインダー4から突出している。このようにバインダー4に埋設されている光拡散剤5と突出している光拡散剤5とを設けることにより、光線をより良く拡散させることができる。光拡散層3の厚み(光拡散剤5を除いたバインダー4部分の厚みを意味する)は特には限定されないが、例えば10μm以上30μm以下程度とされている。
【0024】
光拡散剤5は、光線を拡散させる性質を有する粒子であり、無機フィラーと有機フィラーに大別される。無機フィラーとしては、具体的には、シリカ、水酸化アルミニウム、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、硫化バリウム、マグネシウムシリケート、又はこれらの混合物を用いることができる。有機フィラーの具体的な材料としては、アクリル樹脂、アクリロニトリル樹脂、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリアクリロニトリル、ポリアミド等を用いることができる。中でも、透明性が高いアクリル樹脂が好ましく、ポリメチルメタクリレート(PMMA)が特に好ましい。
【0025】
光拡散剤5の形状は、特に限定されるものではなく、例えば球状、立方状、針状、棒状、紡錘形状、板状、鱗片状、繊維状などが挙げられ、中でも光拡散性に優れる球状のビーズが好ましい。
【0026】
光拡散剤5の平均粒子径の下限としては1μm、特に2μm、さらに5μmが好ましく、光拡散剤5の平均粒子径の上限としては50μm、特に20μm、さらに15μmが好ましい。これは、光拡散剤5の平均粒子径が上記範囲未満であると、光拡散剤5によって形成される光拡散層3表面の凹凸が小さくなり、光拡散シートとして必要な光拡散性を満たさないおそれがあり、逆に、光拡散剤5の平均粒子径が上記範囲を越えると、光拡散シート1の厚さが増大し、かつ、均一な拡散が困難になることからである。
【0027】
光拡散剤5の配合量(バインダー4の形成材料であるポリマー組成物中の基材ポリマー100部に対する固形分換算の配合量)の下限としては10部、特に20部、さらに50部が好ましく、この配合量の上限としては500部、特に300部、さらに200部が好ましい。これは、光拡散剤5の配合量が上記範囲未満であると、光拡散性が不十分となってしまい、一方、光拡散剤5の配合量が上記範囲を越えると光拡散剤5を固定する効果が低下することからである。なお、プリズムシートの表面側に配設される所謂上用光拡散シートの場合、高い光拡散性を必要とされないため、光拡散剤5の配合量としては10部以上40部以下、特に10部以上30部以下が好ましい。
【0028】
バインダー4は、ポリマー組成物を架橋硬化させることで形成される。このポリマー組成物は、ポリオールと微小無機充填剤とを含有しており、その他に例えば硬化剤、可塑剤、安定化剤、劣化防止剤、分散剤、帯電防止剤等が適宜配合される。このバインダー4のガラス転移温度は、50℃以上80℃以下とされ、好ましくは60℃以上70°以下とされている。そのため、バインダー4の優れた耐候性、耐熱性、強度等により、光拡散層3ひいては当該光拡散シート1の耐候性、耐熱性、強度、取扱性等が高められる。また、バインダー4は、光線を透過させる必要があるので透明とされており、特に無色透明が好ましい。
【0029】
このポリオールとしては、例えば水酸基含有不飽和単量体を含む単量体成分を重合して得られるポリオール、水酸基過剰の条件で得られるポリエステルポリオールなどが挙げられ、これらを単体で又は2種以上混合して使用することができる。
【0030】
この水酸基含有不飽和単量体としては、(a)例えばアクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸2−ヒドロキシプロピル、アリルアルコール、ホモアリルアルコール、ケイヒアルコール、クロトニルアルコール等の水酸基含有不飽和単量体、(b)例えばエチレングリコール、エチレンオキサイド、プロピレングリコール、プロピレンオキサイド、ブチレングリコール、ブチレンオキサイド、1,4−ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン、フェニルグリシジルエーテル、グリシジルデカノエート、プラクセルFM−1(ダイセル化学工業株式会社製)等の2価アルコール又はエポキシ化合物と、例えばアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、イタコン酸等の不飽和カルボン酸との反応で得られる水酸基含有不飽和単量体などが挙げられる。これらの水酸基含有不飽和単量体から選択される1種又は2種以上を重合してポリオールを製造することができる。
【0031】
また、例えばアクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸tert−ブチル、アクリル酸エチルヘキシル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸tert−ブチル、メタクリル酸エチルヘキシル、メタクリル酸グリシジル、メタクリル酸シクロヘキシル、スチレン、ビニルトルエン、1−メチルスチレン、アクリル酸、メタクリル酸、アクリロニトリル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、酢酸アリル、アジピン酸ジアリル、イタコン酸ジアリル、マレイン酸ジエチル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、アクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−ブトキシメチルアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、エチレン、プロピレン、イソプレン等から選択される1種又は2種以上のエチレン性不飽和単量体と、上記(a)及び(b)から選択される水酸基含有不飽和単量体とを重合してポリオールを製造することもできる。
【0032】
かかる水酸基含有不飽和単量体を含む単量体成分を重合して得られるポリオールの数平均分子量は1000以上500000以下であり、好ましくは5000以上100000以下である。また、その水酸基価は5以上300以下、好ましくは10以上200以下、さらに好ましくは20以上150以下である。
【0033】
水酸基過剰の条件で得られるポリエステルポリオールは、(c)例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、ヘキサメチレングリコール、デカメチレングリコール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、トリメチロールプロパン、ヘキサントリオール、グリセリン、ペンタエリスリトール、シクロヘキサンジオール、水添ビスフェノールA、ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン、ハイドロキノンビス(ヒドロキシエチルエーテル)、トリス(ヒドロキシエチル)イソシヌレート、キシリレングリコール等の多価アルコールと、(d)例えばマレイン酸、フマル酸、コハク酸、アジピン酸、セバチン酸、アゼライン酸、トリメット酸、テレフタル酸、フタル酸、イソフタル酸等の多塩基酸とを、プロパンジオール、ヘキサンジオール、ポリエチレングリコール、トリメチロールプロパン等の多価アルコール中の水酸基数が前記多塩基酸のカルボキシル基数よりも多い条件で反応させて製造することができる。
【0034】
かかる水酸基過剰の条件で得られるポリエステルポリオールの数平均分子量は500以上300000以下であり、好ましくは2000以上100000以下である。また、その水酸基価は5以上300以下、好ましくは10以上200以下、さらに好ましくは20以上150以下である。
【0035】
当該ポリマー組成物の基材ポリマーとして用いられるポリオールとしては、上記ポリエステルポリオール、及び、上記水酸基含有不飽和単量体を含む単量体成分を重合して得られ、かつ、(メタ)アクリル単位等を有するアクリルポリオールが好ましい。かかるポリエステルポリオールとアクリルポリオールのいずれか一方を使用してもよく、両方を使用してもよい。
【0036】
なお、上記ポリエステルポリオール及びアクリルポリオール中の水酸基の個数は、1分子当たり2個以上であれば特に限定されないが、固形分中の水酸基価が10以下であると架橋点数が減少し、耐溶剤性、耐水性、耐熱性、表面硬度等の被膜物性が低下する傾向がある。
【0037】
かかるポリオールは加工性が高く、塗工等の手段で容易に光拡散層3を形成することができる。また、ポリエステルポリオール又はアクリルポリオールを基材ポリマーとするバインダー4は耐候性が高く、光拡散層3の黄変等を抑制することができる。一方、バインダー4中への微小無機充填剤の分散により、光拡散層3ひいては光拡散シート1の耐熱性を高めることができ、その撓みを抑えることができる。
【0038】
また、上記ポリオールとしてはシクロアルキル基を有するポリオールを用いるとよい。このように、バインダー4を構成するポリオールにシクロアルキル基を導入することで、バインダー4の疎水性(撥水性、耐水性)が高くなり、高温高湿条件下での当該光拡散シートの耐撓み性、寸法安定性等が改善される。また、光拡散層3の硬度、耐溶剤性、耐候性等の塗膜基本性能が向上する。
【0039】
上記シクロアルキル基を有するポリオールは、シクロアルキル基を有する重合性不飽和単量体を共重合することで得られる。このシクロアルキル基を有する重合性不飽和単量体とは、シクロアルキル基を分子内に少なくとも1つ有する重合性不飽和単量体である。このシクロアルキル基を有する重合性不飽和単量体としては特に限定されるものではなく、例えば下記一般式(1)で表される重合性不飽和単量体であることが好ましい。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0040】
【化1】
Figure 0004271462
【0041】
上記一般式(1)において、Rは、水素原子又は炭素数1若しくは2の炭化水素基を表す。Zは、置換基を有してもよい炭素数1〜36のシクロアルキル基を表す。上記炭素数1又は2の炭化水素基としては特に限定されず、例えば、メチル基、エチル基等が挙げられる。
【0042】
上記置換基としては特に限定されず、例えば、炭素数1〜18の炭化水素基等が挙げられる。上記炭素数1〜18の炭化水素基としては特に限定されず、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基等が挙げられる。
【0043】
上記シクロアルキル基としては特に限定されず、例えば、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロノニル基、シクロデシル基、シクロウンデシル基、シクロドデシル基、シクロトリデシル基、シクロテトラデシル基、シクロペンタデシル基、シクロヘキサデシル基、シクロヘプタデシル基、シクロオクタデシル基等が挙げられる。
【0044】
上記一般式(1)で表される重合性不飽和単量体としては特に限定されず、例えば、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、メチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、tert−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、シクロドデシル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0045】
上記シクロアルキル基を有する重合性不飽和単量体の共重合割合としては5.0質量%以上97.9質量%以下、特に5.0質量%以上80.0質量%以下、さらに10.0質量%以上70.0質量%以下が好ましい。シクロアルキル基を有する重合性不飽和単量体の共重合割合が上記範囲より小さいと、塗膜の硬度、光沢等の基本性能が向上しないおそれがあり、また重合性不飽和単量体を共重合してなるポリオールが極めて高度な耐候性を有する塗膜を形成させる作用を有しなくなるおそれがある。一方、シクロアルキル基を有する重合性不飽和単量体の共重合割合が上記範囲を超えると、重合性不飽和単量体を共重合してなるポリオールにおいて、シクロアルキル基を有する重合性不飽和単量体が共重合されることにより有することとなる作用と、それ以外の重合性不飽和単量体が共重合されることにより有することとなる作用とのバランスが悪くなるおそれがある。
【0046】
微小無機充填剤を構成する無機物としては、特に限定されるものではなく、無機酸化物が好ましい。この無機酸化物は、金属元素が主に酸素原子との結合を介して3次元のネットワークを構成した種々の含酸素金属化合物と定義される。また無機酸化物を構成する金属元素としては、たとえば、元素周期律表II〜VI族から選ばれる元素が好ましく、元素周期律表III〜V族から選ばれる元素がさらに好ましい。その中でも、Si、Al、Ti及びZrから選択される元素が特に好ましく、金属元素がSiであるコロイダルシリカが、耐熱性向上効果及び光線の透過性の面で最も好ましい。また微小無機充填剤の形状は、球状、針状、板状、鱗片状、破砕状等の任意の粒子形状でよく、特に限定されない。
【0047】
微小無機充填剤の平均粒子径の下限としては、5nmとされており、10nmが特に好ましい。一方、微小無機充填剤の平均粒子径の上限としては、50nmとされており、25nmが特に好ましい。これは、微小無機充填剤の平均粒子径が上記範囲未満では、微小無機充填剤の表面エネルギーが高くなり、凝集等が起こりやすくなるためであり、逆に、平均粒子径が上記範囲を超えると、短波長の影響で白濁し、光拡散シート1の透明性を完全に維持することができなくなることからである。
【0048】
ポリマー組成物の基材ポリマー100部に対する微小無機充填剤の配合量(無機物成分のみの固形分換算配合量)の下限としては、5部が好ましく、50部が特に好ましい。一方、微小無機充填剤の上記配合量の上限としては、500部が好ましく、200部がより好ましく、100部が特に好ましい。これは、微小無機充填剤の配合量が上記範囲未満であると、光拡散シート1の熱変形を十分には防止できなくなってしまうことがあり、逆に、配合量が上記範囲を越えると、ポリマー組成物中への配合が困難になり、光拡散層3の光線透過率が低下するおそれがあることからである。
【0049】
微小無機充填剤としては、その表面に有機ポリマーが固定されたものを用いるとよい。このように有機ポリマー固定微小無機充填剤を用いることで、バインダー4中での分散性やバインダー4との親和性の向上が図られる。この有機ポリマーについては、その分子量、形状、組成、官能基の有無等に関して特に限定はなく、任意の有機ポリマーを使用することができる。また有機ポリマーの形状については、直鎖状、分枝状、架橋構造等の任意の形状のものを使用することができる。
【0050】
かかる有機ポリマーを構成する具体的な樹脂としては、例えば、(メタ)アクリル樹脂、ポリスチレン、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステルおよびこれらの共重合体やアミノ基、エポキシ基、ヒドロキシル基、カルボキシル基等の官能基で一部変性した樹脂等が挙げられる。中でも、(メタ)アクリル系樹脂、(メタ)アクリル−スチレン系樹脂、(メタ)アクリル−ポリエステル系樹脂等の(メタ)アクリル単位を含む有機ポリマーを必須成分とするものが被膜形成能を有し好適である。他方、上記ポリマー組成物の基材ポリマーであるポリオールと相溶性を有する樹脂が好ましく、従ってポリマー組成物に含まれるポリオールと同じ組成であるものが最も好ましい。
【0051】
なお、微小無機充填剤は、微粒子内に有機ポリマーを包含していてもよい。このことにより、微小無機充填剤のコアである無機物に適度な軟度および靱性を付与することができる。
【0052】
上記有機ポリマーにはアルコキシ基を有するものを用いるとよく、その含有量としては有機ポリマーを固定した微小無機充填剤1g当たり0.01mmol以上50mmol以下が好ましい。かかるアルコキシ基により、バインダー4を構成するマトリックス樹脂との親和性や、バインダー4中での分散性を向上させることができる。
【0053】
ここでいうアルコキシ基は、微粒子骨格を形成する金属元素に結合したRO基を示す。このRは置換されていてもよいアルキル基であり、微粒子中のRO基は同一であっても異なっていてもよい。Rの具体例としては、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル等が挙げられる。
【0054】
有機ポリマーを固定した微小無機充填剤中の有機ポリマーの含有率については、特に制限されるものではないが、微小無機充填剤を基準にして0.5質量%以上50質量%以下が好ましい。
【0055】
上述のように微小無機充填剤に固定する有機ポリマーとして水酸基を有するものを用い、バインダー4を構成するポリマー組成物中に水酸基と反応するような官能基を2個以上有する多官能イソシアネート化合物、メラミン化合物およびアミノプラスト樹脂から選ばれる少なくとも1種のものを含有するとよい。これにより、微小無機充填剤とバインダー4のマトリックス樹脂とが架橋構造で結合され、保存安定性、耐汚染性、可撓性、耐候性、保存安定性等が良好になり、さらに得られる被膜が光沢を有するものとなる。
【0056】
上記多官能イソシアネート化合物としては、脂肪族、脂環族、芳香族及びその他の多官能イソシアネート化合物やこれらの変性化合物を挙げることができる。多官能イソシアネート化合物の具体例としては、例えばトリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキシルメタンジイソシアネート、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネートのビウレット体、イソシアヌレート体等の3量体等;これらの多官能イソシアネート類とプロパンジオール、ヘキサンジオール、ポリエチレングリコール、トリメチロールプロパン等の多価アルコールとの反応により生成される2個以上のイソシアネート基が残存する化合物;これらの多官能イソシアネート化合物をエタノール、ヘキサノール等のアルコール類、フェノール、クレゾール等のフェノール性水酸基を有する化合物、アセトオキシム、メチルエチルケトキシム等のオキシム類、ε−カプロラクタム、γ−カプロラクタム等のラクタム類等のブロック剤で封鎖したブロックド多官能イソシアネート化合物などを挙げることができる。なお、上記多官能イソシアネート化合物は1種又は2種以上混合して使用できる。中でも、被膜の黄変色を防止するために、芳香環に直接結合したイソシアネート基を有しない無黄変性多官能イソシアネート化合物が好ましい。
【0057】
上記メラミン化合物としては、例えばジメチロールメラミン、トリメチロールメラミン、テトラメチロールメラミン、ペンタメチロールメラミン、ヘキサメチロールメラミン、イソブチルエーテル型メラミン、n−ブチルエーテル型メラミン、ブチル化ベンゾグアナミン等を挙げることができる。
【0058】
上記アミノプラスト樹脂としては、例えばアルキルエーテル化メラミン樹脂、尿素樹脂、ベンゾグアナミン樹脂等が挙げられ、これらのアミノプラスト樹脂の単体又は2種以上の混合物もしくは共縮合物を使用できる。このアルキルエーテル化メラミン樹脂とは、アミノトリアジンをメチロール化し、シクロヘキサノールまたは炭素数1〜6のアルカノールでアルキルエーテル化して得られるものであり、ブチルエーテル化メラミン樹脂、メチルエーテル化メラミン樹脂、メチルブチル混合メラミン樹脂が代表的なものである。また、硬化を促進させるためのスルホン酸系触媒、たとえば、パラトルエンスルホン酸およびそのアミン塩等を使用することができる。
【0059】
また、ポリマー組成物中には硬化剤としてイソシアネートを含有するとよい。このようにポリマー組成物中にイソシアネート硬化剤を含有することで、より一層強固な架橋構造となり、光拡散層3の被膜物性がさらに向上する。このイソシアネートとしては上記多官能イソシアネート化合物と同様の物質が用いられる。中でも、被膜の黄変色を防止する脂肪族系イソシアネートが好ましい。
【0060】
さらに、ポリマー組成物中に帯電防止剤を混練するとよい。このように帯電防止剤が混練されたポリマー組成物からバインダー4を形成することで、当該光拡散シート1に帯電防止効果が発現され、ゴミを吸い寄せたり、プリズムシート等との重ね合わせが困難になる等の静電気の帯電により発生する不都合を防止することができる。また、帯電防止剤を表面にコーティングすると表面のベタツキや汚濁が生じてしまうが、このようにポリマー組成物中に混練することでかかる弊害は低減される。この帯電防止剤としては、特に限定されるものではなく、例えばアルキル硫酸塩、アルキルリン酸塩等のアニオン系帯電防止剤、第四アンモニウム塩、イミダゾリン化合物等のカチオン系帯電防止剤、ポリエチレングリコール系、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアリン酸エステル、エタノールアミド類等のノニオン系帯電防止剤、ポリアクリル酸等の高分子系帯電防止剤などが用いられる。中でも、帯電防止効果が比較的大きいカチオン系帯電防止剤が好ましく、少量の添加で帯電防止効果が奏される。
【0061】
次に、当該光拡散シート1の製造方法について説明する。当該光拡散シート1の製造方法は、(a)バインダー4を構成するポリマー組成物に光拡散剤5を混合することで光拡散層用塗工液を製造する工程と、(b)この光拡散層用塗工液を基材層2の表面に塗工することで光拡散層3を積層する工程とを有する。
【0062】
図2の光拡散シート11は、基材層2と、この基材層2の表側に積層された光拡散層3と、基材層2の裏面に積層されたスティッキング防止層12とを備えている。この基材層2及び光拡散層3は、図1に示す光拡散シート1と同様であるため、同一番号を付して説明を省略する。従って、当該光拡散シート11も、透明性を維持しつつ耐候性、耐熱性及び取扱性を高めることができる。
【0063】
スティッキング防止層12は、バインダー13と、このバインダー13中に分散含有するビーズ14とを備えている。このバインダー13も、上記光拡散層3のバインダー4と同様のポリマー組成物(つまり、ポリオールと微小無機充填剤とを含み、かつ、硬化後のガラス転移温度が50℃以上80℃以下となるポリマー組成物)を架橋硬化させることで形成される。また、ビーズ14の材料としては光拡散層3の光拡散剤5と同様のものが用いられる。なお、このスティッキング防止層12の厚み(ビーズ14を除いたバインダー13部分の厚み)は特には限定されないが、例えば1μm以上10μm以下程度とされている。
【0064】
このビーズ14の配合量は比較的少量とされ、ビーズ14は互いに離間してバインダー13中に分散し、ビーズ14の多くはその下端がバインダー13からごく少量突出している。そのため、この光拡散シート11を導光板と積層すると、突出したビーズ14の下端が導光板等の表面に当接し、光拡散シート11の裏面の全面が導光板等と当接することがない。これにより、光拡散シート11と導光板等とのスティッキングが防止され、液晶表示装置の画面の輝度ムラが抑えられる。
【0065】
当該光拡散シート11は、スティッキング防止層12のバインダー13を構成するポリマー組成物にも微小無機充填剤を含有するため、光拡散シート11の耐熱性、耐摩耗性、耐候性、耐汚染性等の被膜物性をさらに高めることができ、撓みを格段に抑えることができる。また、上記バインダー13を構成するポリマー組成物も、基材ポリマーとしてポリオールを含み、硬化後のガラス転移温度が50℃以上80℃以下とされているため、耐熱性及び耐候性を格段に高めることができる。
【0066】
次に、光拡散シート11の製造方法を説明する。当該光拡散シート11の製造方法は、(a)バインダー4を構成するポリマー組成物に光拡散剤5を混合することで光拡散層用塗工液を製造する工程と、(b)この光拡散層用塗工液を基材層2の表面に塗工することで光拡散層3を積層する工程と、(c)バインダー13を構成するポリマー組成物にビーズ14を混合することでスティッキング防止層用塗工液を製造する工程と、(d)このスティッキング防止層用塗工液を基材層2の裏面に塗工することでスティッキング防止層12を積層する工程とを有する。
【0067】
従って、ランプ、導光板、光拡散シート、プリズムシート等を備え、ランプから発せられる光線を分散させて表面側に導く液晶表示装置用のバックライトユニットにおいて、この光拡散シートとして上記光拡散シート1、11を用いると、当該光拡散シート1、11が高い耐熱性、耐候性等の被膜物性を有するため、ランプによる加熱や外部からの紫外線照射に曝されても、撓みや黄変等を起こしにくく、その結果、液晶表示装置の画面の輝度ムラや輝度の低下が抑えられる。
【0068】
【実施例】
以下、実施例に基づき本発明を詳述するが、この実施例の記載に基づいて本発明が限定的に解釈されるものではない。
【0069】
[実施例1]
ポリエステルポリオールを基材ポリマーとする硬化後ガラス転移温度50℃のバインダー樹脂配合物(東洋紡績(株)の「バイロン」シリーズ)100部、平均粒子径が20nmのコロイダルシリカ(扶桑化学工業(株)の「PL−1」)50部及び硬化剤(日本ポリウレタン(株)の「コロネートHX」)5部を含むポリマー組成物中に、平均粒子径15μmのアクリル系樹脂ビーズ(積水化成品工業(株)の「MBX−15」)50部を混合して塗工液を作製し、この塗工液をロールコート法によって厚さ100μmの透明ポリエステル製の基材層(東洋紡績(株)の「A−4300」)の表面に15g/m(固形分換算)塗工し、硬化させることで光拡散層を形成した。また、上記ポリマー組成物中に、平均粒子径5μmのアクリル系樹脂ビーズ(積水化成品工業(株)の「MBX−5」)10部を混合して塗工液を作製し、この塗工液をロールコート法により上記基材層の裏面に3g/m(固形分換算)塗工し、硬化させることでスティッキング防止層を形成した。これにより実施例1の光拡散シートを得た。
【0070】
[実施例2]
ポリエステルポリオールを基材ポリマーとする硬化後ガラス転移温度60℃のバインダー樹脂配合物(東洋紡績(株)の「バイロン」シリーズ)を用いた以外は上記実施例1と同様にして実施例2の光拡散シートを得た。
【0071】
[実施例3]
ポリエステルポリオールを基材ポリマーとする硬化後ガラス転移温度70℃のバインダー樹脂配合物(東洋紡績(株)の「バイロン」シリーズ)を用いた以外は上記実施例1と同様にして実施例3の光拡散シートを得た。
【0072】
[実施例4]
ポリエステルポリオールを基材ポリマーとする硬化後ガラス転移温度80℃のバインダー樹脂配合物(東洋紡績(株)の「バイロン」シリーズ)を用いた以外は上記実施例1と同様にして実施例4の光拡散シートを得た。
【0073】
[実施例5]
アクリルポリオールを基材ポリマーとする硬化後ガラス転移温度50℃のバインダー樹脂配合物(大日精化工業(株)の「RUBメヂウム」シリーズ)100部、平均粒子径が20nmのコロイダルシリカ(扶桑化学工業(株)の「PL−1」)50部及び硬化剤(大日精化工業(株)の「PCTLN硬化剤」)5部を含むポリマー組成物中に、平均粒子径15μmのアクリル系樹脂ビーズ(積水化成品工業(株)の「MBX−15」)30部を混合して塗工液を作製し、この塗工液をロールコート法によって厚さ100μmの透明ポリエステル製の基材層(東洋紡績(株)の「A−4300」)の表面に15g/m(固形分換算)塗工し、硬化させることで光拡散層を形成した。また、上記ポリマー組成物中に、平均粒子径5μmのアクリル系樹脂ビーズ(積水化成品工業(株)の「MBX−5」)10部を混合して塗工液を作製し、この塗工液をロールコート法により上記基材層の裏面に3g/m(固形分換算)塗工し、硬化させることでスティッキング防止層を形成した。これにより実施例5の光拡散シートを得た。
【0074】
[実施例6]
アクリルポリオールを基材ポリマーとする硬化後ガラス転移温度60℃のバインダー樹脂配合物(大日精化工業(株)の「RUBメヂウム」シリーズ)を用いた以外は上記実施例5と同様にして実施例6の光拡散シートを得た。
【0075】
[実施例7]
アクリルポリオールを基材ポリマーとする硬化後ガラス転移温度70℃のバインダー樹脂配合物(大日精化工業(株)の「RUBメヂウム」シリーズ)を用いた以外は上記実施例5と同様にして実施例7の光拡散シートを得た。
【0076】
[実施例8]
アクリルポリオールを基材ポリマーとする硬化後ガラス転移温度80℃のバインダー樹脂配合物(大日精化工業(株)の「RUBメヂウム」シリーズ)を用いた以外は上記実施例5と同様にして実施例8の光拡散シートを得た。
【0077】
[比較例1]
ポリエステルポリオールを基材ポリマーとする硬化後ガラス転移温度40℃のバインダー樹脂配合物(東洋紡績(株)の「バイロン」シリーズ)を用いた以外は上記実施例1と同様にして比較例1の光拡散シートを得た。
【0078】
[比較例2]
ポリエステルポリオールを基材ポリマーとする硬化後ガラス転移温度85℃のバインダー樹脂配合物(東洋紡績(株)の「バイロン」シリーズ)を用いた以外は上記実施例1と同様にして比較例2の光拡散シートを得た。
【0079】
[比較例3]
アクリルポリオールを基材ポリマーとする硬化後ガラス転移温度45℃のバインダー樹脂配合物(大日精化工業(株)の「RUBメヂウム」シリーズ)を用いた以外は上記実施例5と同様にして比較例3の光拡散シートを得た。
【0080】
[比較例4]
アクリルポリオールを基材ポリマーとする硬化後ガラス転移温度85℃のバインダー樹脂配合物(大日精化工業(株)の「RUBメヂウム」シリーズ)を用いた以外は上記実施例5と同様にして比較例4の光拡散シートを得た。
【0081】
[特性の評価]
上記実施例1〜8及び比較例1〜4の光拡散シートを用い、これらの光拡散シートの取扱性及び耐熱性を評価した。その結果を下記表1に示す。
【0082】
取扱性は、検査、搬送、バックライトユニットへの組付け等の過程において、光拡散シートに、
(1)傷や膜割れ等が発生しない場合を◎、
(2)傷や膜割れ等が殆ど発生しない場合を○、
(3)表面に傷が発生しやすい場合を△、
(4)端面等から膜割れが発生する場合を×
として評価した。
【0083】
耐熱性は、光拡散シートを12.3インチのバックライトユニットに組込み、60℃90%RHの環境試験器に投入し、ランプを点灯させ、1時間、2時間、4時間、8時間、12時間及び24時間経過後における光拡散シートの撓みの有無及びその程度をバックライトユニットの輝度ムラの発生具合から判定し、
(1)輝度ムラが全くなく、撓みが全く発生していない場合を◎、
(2)輝度ムラが殆どなく、極微小な撓みしか発生していない場合を○、
として評価した。
【0084】
【表1】
Figure 0004271462
【0085】
上記表1に示すように、バインダーのガラス転移温度が高いほど良好な耐熱性を示している。一方、ガラス転移温度が50℃未満の比較例1及び3の光拡散シートは表面に傷が発生しやすく、ガラス転移温度が80℃を超える比較例2及び4の光拡散シートは膜割れが発生し、取扱性が低下している。従って、ガラス転移温度が50℃以上80℃以下の実施例1〜8の光拡散シート、特にガラス転移温度が60℃以上70℃以下の実施例2、3、6及び7の光拡散シートは高い耐熱性及び取扱性を示している。
【0086】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の光拡散シートによれば、透明性を維持しつつ、耐熱性、熱的寸法安定性及び耐候性を向上させることができ、ランプの発熱によっても撓みや黄変等の発生を抑制することができる。また、当該光拡散シートを備えたバックライトユニットによれば、輝度ムラや輝度低下の発生を格段に低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る光拡散シートを示す模式的断面図である。
【図2】図1とは異なる形態の光拡散シートを示す模式的断面図である。
【図3】(a)は一般的なエッジライト型バックライトユニットを示す模式的斜視図、(b)は一般的な光拡散シートを示す模式的断面図である。
【符号の説明】
1 光拡散シート
2 基材層
3 光拡散層
4 バインダー
5 光拡散剤
11 光拡散シート
12 スティッキング防止層
13 バインダー
14 ビーズ

Claims (7)

  1. 透明な基材層と、この基材層の表面側に積層される光拡散層と、基材層の裏面側に積層されるスティッキング防止層とを備え、光拡散層がバインダー中に光拡散剤を含有し、スティッキング防止層がバインダー中にビーズを分散含有する液晶表示装置のバックライトユニット用の光拡散シートであって、
    上記光拡散層及びスティッキング防止層のバインダーが、ポリオールと微小無機充填剤とを含むポリマー組成物から形成され、かつ、50℃以上80℃以下のガラス転移温度を有し、
    この微小無機充填剤の平均粒子径が5nm以上50nm以下であることを特徴とする光拡散シート。
  2. 上記微小無機充填剤の表面に有機ポリマーが固定されている請求項1に記載の光拡散シート。
  3. 上記有機ポリマーが固定された微小無機充填剤中にアルコキシ基を0.01mmol/g以上50mmol/g以下含有する請求項2に記載の光拡散シート。
  4. 上記ポリオールがシクロアルキル基を有する請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の光拡散シート。
  5. 上記ポリマー組成物中に硬化剤として脂肪族系イソシアネートを含有する請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の光拡散シート。
  6. 上記有機ポリマーが水酸基を有し、上記ポリマー組成物中に多官能イソシアネート化合物、メラミン化合物およびアミノプラスト樹脂から選択される1種又は2種以上のものを含有する請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の光拡散シート。
  7. ランプから発せられる光線を分散させて表面側に導く液晶表示装置用のバックライトユニットにおいて、
    請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の光拡散シートを備えていることを特徴とする液晶表示装置用のバックライトユニット。
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