JP4681791B2 - 反射シート及びこれを用いたバックライトユニット - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、光線の放散を低減するバックライトユニット用の反射シート、及びこの反射シートを用いたバックライトユニットに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
液晶表示装置は、液晶層を背面から照らして発光させるバックライト方式が普及し、液晶層の下面側にエッジライト型、直下型等のバックライトユニットが装備されている。かかるエッジライト型のバックライトユニット30は、一般的には図4に示すように、光源としての棒状のランプ31と、このランプ31に端部が沿うように配置される方形板状の導光板33と、この導光板33の表面側に積層された複数枚の光学シート32と、導光板33の裏面側に積層された反射シート36とを装備している。この光学シート32は、それぞれ、屈折、拡散等の特定の光学的性質を有するものであり、具体的には、導光板33の表面側に配設される光拡散シート34、光拡散シート34の表面側に配設されるプリズムシート35などが該当する。
【0003】
このバックライトユニット30の機能を説明すると、まず、ランプ31より導光板33に入射した光線は、導光板33裏面の反射ドット(図示していない)及び各側面で反射され、導光板33表面から出射される。導光板33から出射した光線は光拡散シート34に入射し、拡散され、光拡散シート34表面より出射される。その後、光拡散シート34から出射された光線は、プリズムシート35に入射し、プリズムシート35の表面に形成されたプリズム部35aによって、略法線方向にピークを示す分布の光線として出射される。このように、ランプ31から出射された光線が、光拡散シート34によって拡散され、またプリズムシート35によって略法線方向にピークを示すように屈折され、さらに上方の図示していない液晶層全面を照明するものである。
【0004】
一方、液晶画面がぎらつかない程度に導光板33裏面から放散される光線を表面側に反射させて輝度の向上を図ること(反射性)、バックライトユニット30の裏面側に配設される装置、フレーム等が視認されることを防止すること(隠蔽性)を目的として、導光板33の裏面側には反射シート36が配設されている。
【0005】
かかる反射シート36としては、従来、(a)合成樹脂製のシート中に酸化チタンなどの白色顔料が分散したもの、(b)合成樹脂製のシート中に光を散乱させるためのボイド(気泡)が分散したもの、(c)シート表面がマット状に形成されたものなどが用いられている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来の反射シート36は、比較的硬質であるため、バックライトユニット30において表面側に積層される導光板33の裏面に傷を付けてしまうおそれがある。特に、裏面に浅い傾斜のプリズム部を有し、出光光線に法線方向への指向性を付与する導光板33や、非晶性オレフィン系樹脂製の比較的軟質の導光板33(例えば日本ゼオン(株)社製「ゼオノア導光板」)の場合、反射シート36によって裏面への傷付き発生のおそれが比較的大きい。このように、導光板33の裏面に傷が付くと、表面側への出光量の低下や輝度ムラを招来する。
【0007】
本発明はこれらの不都合に鑑みてなされたものであり、導光板裏面などの重ね合わせた面への傷付きが防止できる反射シート、及び、かかる反射シートを用いて輝度の向上及び輝度の均一化を図ることができるバックライトユニットの提供を目的とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するためになされた発明は、導光板の裏面側に配設され、光線の放散を低減するバックライトユニット用の反射シートであって、白色合成樹脂性の基材シート層と、この基材シート層の表面側に積層され、導光板の裏面への傷付きを防止する傷付き防止層とを備え、この傷付き防止層が、バインダーと、このバインダー中に分散するビーズとを有しており、このビーズの材料としてシリコーンゴムが用いられ、上記バインダーの鉛筆硬度が6B以上B以下であり、かつ上記バインダーのガラス転移温度が40℃以上70℃以下であることを特徴とするものである。ここで、「白色合成樹脂」とは、白色顔料の配合や微小気泡の分散などによって白色を呈する合成樹脂を意味する。
【0009】
当該反射シートの表面には、傷付き防止層中に内在するシリコーンゴム製の軟質ビーズにより軟質の凸部が形成される。そのため、当該反射シートによれば、バックライトユニットにおいて、当該反射シートの表面側に重ねて配設される導光板に対して軟質の凸部で当接し、導光板の裏面への傷付きを格段に低減することができる。また、当該反射シートの保存、運搬等の際に、巻いたり、重ねたりして当該反射シート同士が擦れ合っても、互いに傷つけ合うことが防止される。さらに、バックライトユニットにおいて、当該反射シートと表面側の導光板とは当該反射シート表面の凸部で散点的に当接するため、当該反射シートと導光板とのスティッキングが防止される。なお、当該反射シートによれば、白色合成樹脂製の基材シート層によって従来の反射シートと同様の反射性及び隠蔽性を有している。
【0010】
当該反射シートにおいて、上記バインダーの鉛筆硬度は6B以上B以下とされている。このようにバインダーの鉛筆硬度を上記範囲とし、傷付き防止層のバインダーを軟質にすることで、軟質のビーズを軟質のバインダーで包むこととなり、当該反射シート表面に形成される凸部がさらに軟質化し、その結果、当該反射シート表面に作用する外力を柔軟に吸収することができ、上述の傷付き防止性をさらに促進することができる。
【0011】
上記バインダーとしては、ポリエステルポリオールを含有するポリマー組成物から形成するとよい。この手段のように、バインダーを構成するポリマー組成物の基材ポリマーとしてポリエステルポリオールを用いることで、バインダーを軟質化し、鉛筆硬度を上記範囲に制御することができる。その結果、上記傷付き防止性を効果的に促進することができる。
【0012】
上記ポリマー組成物中に硬化剤としてポリイソシアネートを含有するとよい。このように、バインダーを形成するポリマー組成物中に硬化剤としてポリイソシアネートを配合することで、ポリマー組成物の硬化反応速度を促進することができ、生産性を高めることができる。そのため、ポリマー組成物中にカチオン系帯電防止剤等を配合しても、かかるカチオン系帯電防止剤等の配合による硬化反応速度の低下を十分補うことができる。
【0013】
上記ビーズとしては、シリコーンゴムからなる球状芯部と、この球状芯部の表面を被覆するシリコーン樹脂層とを有する2層構造のものを用いるとよい。このように、シリコーンゴム製の軟質の球状芯部の外面にシリコーン樹脂層を被覆する2層構造のビーズを用いることで、上述のように軟質ビーズによる傷付き防止作用を奏しつつ、さらにバインダーを構成するポリマー組成物中での安定性が向上し、例えばビーズからシリコーンオイル等が溶出することを低減することができる。
【0014】
上記ビーズの平均粒子径としては1μm以上10μm以下が好ましい。このように、ビーズの平均粒子径を上記範囲とすることで、傷付き防止層による上記傷付き防止作用を効果的に奏しつつ、当該反射シートの裏面に重ねて配設される導光板等とのスティッキングを防止することができる。
【0015】
上記バインダーのポリマー分100部に対するビーズの配合量としては0.1部以上20部以下が好ましい。このように、ビーズの配合量を上記範囲とすることで、当該反射シートに上記傷付き防止性及びスティッキング防止性を効果的に付与することができる。
【0016】
当該反射シートにおいて、上記基材シート層の裏面側に積層される高隠蔽層をさらに備え、この高隠蔽層としては白色顔料を含有する塗料を塗工することで形成するとよい。この手段によれば、基材シート層の裏面側に積層される高隠蔽層によって当該反射シートの反射性及び隠蔽性を格段に向上させることができる。
【0017】
従って、ランプと、このランプの側方に配設される導光板と、この導光板の表面側に配設される光学シートとを備え、ランプから発せられる光線を分散させて表面側に導く液晶表示装置用のバックライトユニットにおいて、上記導光板の裏面側に当該反射シートを備えると、前述のように当該反射シートが高い傷付き防止性を奏することから、導光板裏面の傷付きが防止でき、導光板裏面の傷付きによる輝度の低下及び輝度ムラの発生を防止することができる。また、組み付け等の作業性も良好である。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、適宜図面を参照しつつ本発明の実施の形態を詳説する。図1は本発明の一実施形態に係る反射シートを示す模式的断面図、図2は図1の反射シートとは異なる形態の反射シートを示す模式的断面図、図3は図1及び図2の反射シートとは異なる形態の反射シートを示す模式的断面図である。
【0019】
図1の反射シート1は、基材シート層2と、この基材シート層2の表面に積層される傷付き防止層3とを備えている。
【0020】
この基材シート層2は、白色合成樹脂から形成されている。この白色合成樹脂は、上述のように白色顔料や微小気泡を分散含有する合成樹脂である。この基材シート層2に使用可能な合成樹脂としては、特に限定されるものではなく、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、アクリル樹脂、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリオレフィン、セルロースアセテート、耐候性塩化ビニル等が挙げられる。中でも、耐熱性に優れるポリエチレンテレフタレートが好ましい。
【0021】
この基材シート層2の厚みは、特には限定されないが、例えば50μm以上250μm以下とされる。基材シート層2の厚みが上記範囲未満であると、傷付き防止層3を形成する樹脂組成物を塗工した際にカールが発生しやすくなってしまうことがある。逆に、基材シート層2の厚みが上記範囲を超えると、液晶表示装置の輝度が低下してしまうことがあり、またバックライトユニットの厚みが大きくなって液晶表示装置の薄型化の要請に反することにもなる。
【0022】
この白色顔料としては、特に限定されるものではなく、例えば、酸化チタン(チタン白)、酸化亜鉛(亜鉛華)、炭酸鉛(鉛白)、硫酸バリウム、炭酸カルシウム(白亜)などが挙げられる。中でも、隠蔽性向上効果が大きい酸化チタンが好ましい。
【0023】
白色顔料の平均粒子径は、100nm以上30μm以下が好ましく、200nm以上20μm以下が特に好ましい。これは、白色顔料の平均粒子径が上記範囲より小さいと、当該反射シート1に十分な反射性及び隠蔽性を付与できなくなるおそれがあり、逆に、白色顔料の平均粒子径が上記範囲を超えると、当該反射シート1の反射性及び隠蔽性が不均一になるおそれがあることからである。
【0024】
なお、分散含有する気泡に関しても、従来の反射シートと同様に、反射性及び隠蔽性を備えるよう含有量、平均径等を適宜調整するとよい。
【0025】
傷付き防止層3は、薄く積層されるバインダー4と、このバインダー4中に分散するビーズ5とを有している。このビーズ5は互いに離間してバインダー4中に分散し、ビーズ5により当該反射シート1表面に凸部が形成されている。そのため、この反射シート1を導光板の裏面に重ねて配設すると、ビーズ5による凸部が導光板の裏面に散点的に当接し、反射シート1の表面全面が導光板と接触することがない。これにより、反射シート1と導光板とのスティッキングが防止され、液晶表示装置の画面の輝度ムラが抑えられる。なお、この傷付き防止層3の厚み(ビーズ5を除いたバインダー4部分の厚み)は特には限定されないが、例えば1μm以上10μm以下程度とされている。
【0026】
ビーズ5はシリコーンゴムからなる。このシリコーンゴムは、一般的にケイ素ゴムともいい、その主鎖がオルガノシロキサン結合−(SiR2O)n−からなる合成ゴムである。R基として、メチル基が一般的であるが、これに架橋を容易にさせる為に一部をビニル基に置き換えたもの、さらにフェニル基、フッ素アルキル基などの各種置換基を導入したものでもよく、常温でシリコーンゴムが弾性体として働くものを使用することができる。かかるシリコーンゴムからなるビーズ5は軟質であるため、ビーズ5の内在により形成される当該反射シート1表面の凸部も軟質になる。そのため、バックライトユニットにおいて、当該反射シート1は、重ねて配設される導光板に対して軟質の凸部で当接し、導光板表面の傷付きを格段に低減することができる。なお、ビーズ5は、カップリング剤で表面処理したものも使用できる。
【0027】
ビーズ5の形状は、傷付き防止層3の表面に比較的滑らかな軟質凸部が形成され、上記傷付き防止性を有することができれば特に限定されるものではなく、例えば球状、回転楕円体状、紡錘形状、繊維状などが挙げられ、中でも傷付き防止性に優れる球状が特に好ましい。
【0028】
ビーズ5の平均粒子径の下限としては、1μm、特に3μm、さらに5μmが好ましく、その上限としては10μm、特に8μm、さらに5μmが好ましい。これは、ビーズ5の平均粒子径が上記下限未満であると、ビーズ5により傷付き防止層3表面に凸部を形成することが困難になるためであり、逆に、ビーズ5の平均粒子径が上記上限を超えると、当該反射シート1表面に形成される凸部の突出高さが増大し、導光板裏面に傷を付けるおそれがあることからである。
【0029】
ビーズ5としては、透明、特に無色透明が好ましい。このように透明なビーズ5を用いることで、ビーズ5により当該反射シート1の反射性及び隠蔽性の均一化が低下することを抑制することができる。
【0030】
バインダー4のポリマー分(後述するポリマー組成物中のポリマー分)100部に対するビーズ5の配合量の下限としては0.1部、特に1部、さらに5部が好ましく、その配合量の上限としては20部、特に15部、さらに10部が好ましい。ビーズ5の配合量を上記範囲とし、比較的少量とすることで、上述の傷付き防止性及びスティッキング防止作用を効果的に奏することができる。
【0031】
バインダー4は、基材ポリマーを含むポリマー組成物を硬化(架橋等)させることで形成され、基材シート層2の表面全面にビーズ5を略等密度に配置固定する。なお、このバインダー4を形成するためのポリマー組成物は、その他に例えば微小無機充填剤、硬化剤、可塑剤、分散剤、各種レベリング剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤、抗酸化剤、粘性改質剤、潤滑剤、光安定化剤等が適宜配合されてもよい。
【0032】
バインダー4の鉛筆硬度としては、6B以上B以下、特に6B以上4B以下、さらに特に5Bが好ましい。また、バインダー4のガラス転移温度の下限としては30℃、特に40℃が好ましく、その上限としては75℃、特に70℃が好ましい。このようにバインダー4の鉛筆硬度及びガラス転移温度を上記範囲に調整すると、シリコーンゴム製の軟質ビーズ5を軟質のバインダー4で包むこととなるため、当該反射シート1表面(特に凸部)に作用する外圧を柔軟に吸収し、バックライトユニットにおいて当該反射シート1の表面に重ねて配設される導光板に傷を付けてしまうことをさらに低減することができる。
【0033】
上記基材ポリマーとしては、特に限定されるものではなく、例えばアクリル系樹脂、ポリウレタン、ポリエステル、フッ素系樹脂、シリコーン系樹脂、ポリアミドイミド、エポキシ樹脂、紫外線硬化型樹脂等が挙げられ、これらのポリマーを1種又は2種以上混合して使用することができる。特に、上記基材ポリマーとしては、加工性が高く、塗工等の手段で容易に傷付き防止層3を形成することができるポリオールが好ましい。なお、バインダー4に用いられる基材ポリマーは基材シート層2による反射性及び隠蔽性に影響を及ぼさない透明が好ましく、無色透明が特に好ましい。
【0034】
上記ポリオールとしては、例えば水酸基含有不飽和単量体を含む単量体成分を重合して得られるポリオール、水酸基過剰の条件で得られるポリエステルポリオールなどが挙げられ、これらを単体で又は2種以上混合して使用することができる。
【0035】
この水酸基含有不飽和単量体としては、(a)例えばアクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸2−ヒドロキシプロピル、アリルアルコール、ホモアリルアルコール、ケイヒアルコール、クロトニルアルコール等の水酸基含有不飽和単量体、(b)例えばエチレングリコール、エチレンオキサイド、プロピレングリコール、プロピレンオキサイド、ブチレングリコール、ブチレンオキサイド、1,4−ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン、フェニルグリシジルエーテル、グリシジルデカノエート、プラクセルFM−1(ダイセル化学工業株式会社製)等の2価アルコール又はエポキシ化合物と、例えばアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、イタコン酸等の不飽和カルボン酸との反応で得られる水酸基含有不飽和単量体などが挙げられる。これらの水酸基含有不飽和単量体から選択される1種又は2種以上を重合してポリオールを製造することができる。
【0036】
また、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸tert−ブチル、アクリル酸エチルヘキシル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸tert−ブチル、メタクリル酸エチルヘキシル、メタクリル酸グリシジル、メタクリル酸シクロヘキシル、スチレン、ビニルトルエン、1−メチルスチレン、アクリル酸、メタクリル酸、アクリロニトリル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、酢酸アリル、アジピン酸ジアリル、イタコン酸ジアリル、マレイン酸ジエチル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、アクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−ブトキシメチルアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、エチレン、プロピレン、イソプレン等から選択される1種又は2種以上のエチレン性不飽和単量体と、上記(a)及び(b)から選択される水酸基含有不飽和単量体とを重合してポリオールを製造することもできる。
【0037】
かかる水酸基含有不飽和単量体を含む単量体成分を重合して得られるポリオールの数平均分子量は1000以上500000以下であり、好ましくは5000以上100000以下である。また、その水酸基価は5以上300以下、好ましくは10以上200以下、さらに好ましくは20以上150以下である。
【0038】
水酸基過剰の条件で得られるポリエステルポリオールは、(c)例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、ヘキサメチレングリコール、デカメチレングリコール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、トリメチロールプロパン、ヘキサントリオール、グリセリン、ペンタエリスリトール、シクロヘキサンジオール、水添ビスフェノールA、ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン、ハイドロキノンビス(ヒドロキシエチルエーテル)、トリス(ヒドロキシエチル)イソシヌレート、キシリレングリコール等の多価アルコールと、(d)例えばマレイン酸、フマル酸、コハク酸、アジピン酸、セバチン酸、アゼライン酸、トリメット酸、テレフタル酸、フタル酸、イソフタル酸等の多塩基酸とを、プロパンジオール、ヘキサンジオール、ポリエチレングリコール、トリメチロールプロパン等の多価アルコール中の水酸基数が前記多塩基酸のカルボキシル基数よりも多い条件で反応させて製造することができる。
【0039】
かかる水酸基過剰の条件で得られるポリエステルポリオールの数平均分子量は500以上300000以下であり、好ましくは2000以上100000以下である。また、その水酸基価は5以上300以下、好ましくは10以上200以下、さらに好ましくは20以上150以下である。
【0040】
当該ポリマー組成物の基材ポリマーとして用いられるポリオールとしては、上記ポリエステルポリオールが好ましい。このようにバインダー4の基材ポリマーとしてポリエステルポリオールを用いると、バインダー4が軟質化し、鉛筆硬度及びガラス転移温度を上記範囲に確実に制御でき、その結果、上記導光板裏面に対する優れた傷付き防止性を発揮することができる。また、かかるポリエステルポリオールを基材ポリマーとするバインダー4は耐候性が高く、傷付き防止層3の黄変等を抑制することができる。
【0041】
なお、上記ポリエステルポリオール中の水酸基の個数は、1分子当たり2個以上であれば特に限定されないが、固形分中の水酸基価が10以下であると架橋点数が減少し、耐溶剤性、耐水性、耐熱性、表面硬度等の被膜物性が低下する傾向がある。
【0042】
また、上記基材ポリマーとしてはシクロアルキル基を有するポリオールが好ましい。このように、バインダー4を構成する基材ポリマー(ポリオール)中にシクロアルキル基を導入することで、バインダー4の撥水性、耐水性等の疎水性が高くなり、高温高湿条件下での当該反射シート1の耐撓み性、寸法安定性等が改善される。また、傷付き防止層3の耐候性、肉持感、耐溶剤性等の塗膜基本性能が向上する。さらに、後述する表面に有機ポリマーが固定された微小無機充填剤との親和性及び微小無機充填剤の均一分散性がさらに良好になる。
【0043】
上記シクロアルキル基としては特に限定されず、例えば、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロノニル基、シクロデシル基、シクロウンデシル基、シクロドデシル基、シクロトリデシル基、シクロテトラデシル基、シクロペンタデシル基、シクロヘキサデシル基、シクロヘプタデシル基、シクロオクタデシル基等が挙げられる。
【0044】
上記シクロアルキル基を有するポリオールは、シクロアルキル基を有する重合性不飽和単量体を共重合することで得られる。このシクロアルキル基を有する重合性不飽和単量体とは、シクロアルキル基を分子内に少なくとも1つ有する重合性不飽和単量体である。この重合性不飽和単量体としては特に限定されず、例えば、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、メチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、tert−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、シクロドデシル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0045】
上述のように基材ポリマーとしてポリオールを用いる場合、上記ポリマー組成物中に硬化剤としてポリイソシアネート化合物を含有するとよい。このポリイソシアネート化合物は、ジイソシアネートを重合してなる2量体、3量体、4量体等の誘導体である。このポリイソシアネート化合物の配合によってポリマー組成物の硬化反応速度が大きくなるため、微小無機充填剤の分散安定性に寄与するカチオン系帯電防止剤をポリマー組成物中に含有しても、カチオン系帯電防止剤による硬化反応速度の低下を十分補うことができ、さらに生産性を高めることができる。
【0046】
上記ポリイソシアネート化合物としては、キシレンジイソシアネート誘導体及び脂肪族ジイソシアネート誘導体が好ましく、特にキシレンジイソシアネート誘導体単体又はこのキシレンジイソシアネート誘導体と脂肪族ジイソシアネート誘導体との混合物が好ましい。このキシレンジイソシアネート誘導体は、ポリマー組成物の反応速度向上効果が大きく、また芳香族ジイソシアネート誘導体の中では熱や紫外線による黄変及び劣化が比較的小さいため、当該反射シート1の光線透過率の経時的低下を低減することができる。一方、脂肪族ジイソシアネート誘導体は、芳香族ジイソシアネート誘導体に比べて反応速度向上効果が小さいが、紫外線等による黄変、劣化等が格段に小さいため、キシレンジイソシアネート誘導体と混合することで、反応速度向上効果と黄変等の防止効果とをバランスよく達成することができる。
【0047】
この脂肪族ジイソシアネート誘導体としてはイソホロンジイソシアネート誘導体及びヘキサメチレンジイソシアネート誘導体が好ましい。かかるイソホロンジイソシアネート誘導体及びヘキサメチレンジイソシアネート誘導体は、脂肪族ジイソシアネート誘導体の中では硬化反応速度の向上作用が比較的大きく、上述の生産性及び耐熱性を促進することができる。
【0048】
上記ジイソシアネートの誘導体の型式としては、TMPアダクト型、イソシアヌレート型又はビュレット型が好ましい。これらの型式の誘導体によれば、上述の硬化反応速度を効果的に増大することができる。
【0049】
上記ポリイソシアネート化合物の配合量(ポリマー組成物中のポリマー分100部に対する固形分換算の配合量)の下限としては2部が好ましく、5部が特に好ましい。一方、硬化剤の上記配合量の上限としては20部が好ましく、15部が特に好ましい。このようにポリイソシアネート化合物の配合量を上記範囲とすることで、上述のポリマー組成物の硬化反応速度向上作用を効果的に奏することができる。
【0050】
また、上記ポリマー組成物中に微小無機充填剤を含有するとよい。バインダー4中への微小無機充填剤の分散含有により、傷付き防止層3ひいては当該反射シート1全体の耐熱性を高めることができ、その結果、バックライトユニットにおいてランプの熱や空気中の湿気に曝されても当該反射シート1の変形を格段に抑制することができる。
【0051】
この微小無機充填剤を構成する無機物としては、特に限定されるものではないが、無機酸化物が特に好ましい。この無機酸化物は、金属元素が主に酸素原子との結合を介して3次元のネットワークを構成した種々の含酸素金属化合物と定義される。また無機酸化物を構成する金属元素としては、たとえば、元素周期律表II〜VI族から選ばれる元素が好ましく、元素周期律表III〜V族から選ばれる元素がさらに好ましい。その中でも、Si、Al、Ti及びZrから選択される元素が特に好ましく、金属元素がSiであるコロイダルシリカが、微小無機充填剤として最も好ましい。また微小無機充填剤の形状は、球状、針状、板状、鱗片状、破砕状等の任意の粒子形状でよく、特に限定されない。
【0052】
微小無機充填剤の平均粒子径の下限としては、5nmが好ましく、10nmが特に好ましい。一方、微小無機充填剤の平均粒子径の上限としては50nmが好ましく、25nmが特に好ましい。これは、微小無機充填剤の平均粒子径が上記範囲未満では、微小無機充填剤の表面エネルギーが高くなり、凝集等が起こりやすくなるためであり、逆に、平均粒子径が上記範囲を超えると、短波長の影響で傷付き防止層3が白濁し、反射シート1の反射性及び隠蔽性に影響を及ぼすおそれがあることからである。
【0053】
微小無機充填剤(無機物成分のみ)の配合量(ポリマー組成物中のポリマー分100部に対する固形分換算の配合量)の下限としては10部が好ましく、50部が特に好ましい。一方、微小無機充填剤の上記配合量の上限としては500部が好ましく、200部が特に好ましい。これは、微小無機充填剤の配合量が上記範囲未満であると、反射シート1の耐熱性を十分に発現することができなくなってしまうおそれがあり、逆に、配合量が上記範囲を越えると、ポリマー組成物中への配合が困難になり、また傷付き防止層3の傷付き防止性が低下するおそれがあることからである。
【0054】
微小無機充填剤としては、その表面に有機ポリマーが固定されたものを用いるとよい。このように有機ポリマー固定微小無機充填剤を用いることで、バインダー4中での分散性やバインダー4との親和性の向上が図られる。この有機ポリマーについては、その分子量、形状、組成、官能基の有無等に関して特に限定はなく、任意の有機ポリマーを使用することができる。また有機ポリマーの形状については、直鎖状、分枝状、架橋構造等の任意の形状のものを使用することができる。
【0055】
かかる有機ポリマーを構成する具体的な樹脂としては、例えば、(メタ)アクリル樹脂、ポリスチレン、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステルおよびこれらの共重合体やアミノ基、エポキシ基、ヒドロキシル基、カルボキシル基等の官能基で一部変性した樹脂等が挙げられる。中でも、(メタ)アクリル系樹脂、(メタ)アクリル−スチレン系樹脂、(メタ)アクリル−ポリエステル系樹脂等の(メタ)アクリル単位を含む有機ポリマーを必須成分とするものが被膜形成能を有し好適である。他方、上記ポリマー組成物の基材ポリマーと相溶性を有する樹脂が好ましく、従ってポリマー組成物に含まれる基材ポリマーと同じ組成であるものが最も好ましい。
【0056】
なお、微小無機充填剤は、微粒子内に有機ポリマーを包含していてもよい。このことにより、微小無機充填剤のコアである無機物に適度な軟度および靱性を付与することができる。
【0057】
上記有機ポリマーにはアルコキシ基を含有するものを用いるとよく、その含有量としては有機ポリマーを固定した微小無機充填剤1g当たり0.01mmol以上50mmol以下が好ましい。かかるアルコキシ基により、バインダー4を構成するマトリックス樹脂との親和性や、バインダー4中での分散性を向上させることができる。
【0058】
ここでいうアルコキシ基は、微粒子骨格を形成する金属元素に結合したRO基を示す。このRは置換されていてもよいアルキル基であり、微粒子中のRO基は同一であっても異なっていてもよい。Rの具体例としては、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル等が挙げられる。微小無機充填剤を構成する金属と同一の金属アルコキシ基を用いるのが好ましく、微小無機充填剤がコロイダルシリカである場合には、シリコンを金属とするアルコキシ基を用いるのが好ましい。
【0059】
上記有機ポリマー固定微小無機充填剤中の有機ポリマーの含有率については、特に制限されるものではないが、微小無機充填剤を基準にして0.5質量%以上50質量%以下が好ましい。
【0060】
上述のように微小無機充填剤に固定する有機ポリマーとして水酸基を有するものを用い、バインダー4を構成するポリマー組成物中に水酸基と反応するような官能基を2個以上有する多官能イソシアネート化合物、メラミン化合物およびアミノプラスト樹脂から選ばれる少なくとも1種のものを含有するとよい。これにより、微小無機充填剤とバインダー4のマトリックス樹脂とが架橋構造で結合され、保存安定性、耐汚染性、可撓性、耐候性、保存安定性等が良好になり、さらに得られる被膜が光沢を有するものとなる。
【0061】
上記多官能イソシアネート化合物としては、脂肪族、脂環族、芳香族及びその他の多官能イソシアネート化合物やこれらの変性化合物を挙げることができる。多官能イソシアネート化合物の具体例としては、例えばトリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキシルメタンジイソシアネート、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネートのビウレット体、イソシアヌレート体等の3量体等;これらの多官能イソシアネート類とプロパンジオール、ヘキサンジオール、ポリエチレングリコール、トリメチロールプロパン等の多価アルコールとの反応により生成される2個以上のイソシアネート基が残存する化合物;これらの多官能イソシアネート化合物をエタノール、ヘキサノール等のアルコール類、フェノール、クレゾール等のフェノール性水酸基を有する化合物、アセトオキシム、メチルエチルケトキシム等のオキシム類、ε−カプロラクタム、γ−カプロラクタム等のラクタム類等のブロック剤で封鎖したブロックド多官能イソシアネート化合物などを挙げることができる。なお、上記多官能イソシアネート化合物は1種又は2種以上混合して使用できる。中でも、被膜の黄変色を防止するために、芳香環に直接結合したイソシアネート基を有しない無黄変性多官能イソシアネート化合物が好ましい。
【0062】
上記メラミン化合物としては、例えばジメチロールメラミン、トリメチロールメラミン、テトラメチロールメラミン、ペンタメチロールメラミン、ヘキサメチロールメラミン、イソブチルエーテル型メラミン、n−ブチルエーテル型メラミン、ブチル化ベンゾグアナミン等を挙げることができる。
【0063】
上記アミノプラスト樹脂としては、例えばアルキルエーテル化メラミン樹脂、尿素樹脂、ベンゾグアナミン樹脂等が挙げられ、これらのアミノプラスト樹脂の単体又は2種以上の混合物もしくは共縮合物を使用できる。このアルキルエーテル化メラミン樹脂とは、アミノトリアジンをメチロール化し、シクロヘキサノールまたは炭素数1〜6のアルカノールでアルキルエーテル化して得られるものであり、ブチルエーテル化メラミン樹脂、メチルエーテル化メラミン樹脂、メチルブチル混合メラミン樹脂が代表的なものである。また、硬化を促進させるためのスルホン酸系触媒、たとえば、パラトルエンスルホン酸およびそのアミン塩等を使用することができる。
【0064】
また、ポリマー組成物中に帯電防止剤を含有するとよい。この帯電防止剤としては、特に限定されるものではなく、例えばアルキル硫酸塩、アルキルリン酸塩等のアニオン系帯電防止剤、第四アンモニウム塩、イミダゾリン化合物等のカチオン系帯電防止剤、ポリエチレングリコール系、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアリン酸エステル、エタノールアミド類等のノニオン系帯電防止剤、ポリアクリル酸等の高分子系帯電防止剤などが用いられる。中でも、帯電防止効果が比較的大きく、微小無機充填剤の分散状態の安定性を阻害しないカチオン系帯電防止剤が好ましい。また、このカチオン系帯電防止剤の中でも、上述の高疎水性のバインダー4に対する帯電防止性をより促進することができるアンモニウム塩及びベタインが特に好ましい。
【0065】
上記帯電防止剤の配合量(ポリマー組成物中のポリマー分100部に対する固形分換算の配合量)の下限としては0.1部が好ましく、0.5部が特に好ましい。一方、帯電防止剤の上記配合量の上限としては10部が好ましく、5部が特に好ましい。これは、帯電防止剤の配合量が上記下限より小さいと、上述の帯電防止効果を十分発揮することができないおそれがあり、逆に、帯電防止剤の上記配合量が上記上限を超えると、帯電防止剤の配合による傷付き防止層3の強度の低下等が生じるおそれがあることからである。
【0066】
次に、当該反射シート1の製造方法について説明する。当該反射シート1の製造方法は、一般的には(a)バインダー4を構成するポリマー組成物にビーズ5を混合することで傷付き防止層用塗工液を製造する工程と、(b)この傷付き防止層用塗工液を基材シート層2の表面に塗工することで傷付き防止層3を積層する工程とを有する。
【0067】
当該反射シート1は、傷付き防止層3の裏面に軟質の凸部を有するため、この軟質凸部で表面側の導光板と当接し、この導光板の傷付きを格段に低減することができ、かつ、表面側に重ねて配設される導光板とのスティッキングを防止することができる。また、巻いたり、重ねたりすることで当該反射シート1同士が擦れ合っても、互いに傷つけ合うことが防止される。
【0068】
図2の反射シート11は、基材シート層2と、この基材シート層2の表面に積層された傷付き防止層12とから構成されている。この基材シート層2及び傷付き防止層12のバインダー4は、図1の反射シート1と同様であるため、同一の数番号を付して説明を省略する。従って、当該反射シート11も、上記反射シート1と同様に、基材シート層2によって反射性及び隠蔽性を有している。
【0069】
傷付き防止層12は、薄く積層されるバインダー4と、このバインダー4中に離間して分散する軟質のビーズ13とを有し、このビーズ13により表面に軟質の凸部が形成されている。そのため、当該反射シート11も、上記反射シート1と同様に、表面側に重ねて配設される導光板に対する高い傷付き防止性及びスティッキング防止性を有している。
【0070】
このビーズ13は、シリコーンゴムからなる球状芯部14と、この球状芯部14の表面を被覆するシリコーン樹脂層15とを有している。このシリコーン樹脂層15の形成材料であるシリコーン樹脂は、上記シリコーンゴムと同様の分子構造を有するが、主鎖のオルガノシロキサン結合の重合度がシリコーンゴムよりも大きく、不飽和結合が導入されている。
【0071】
当該反射シート11は、上述のようにビーズ13の外側がシリコーン樹脂層で被覆されているため、ビーズ13の軟質性を維持しつつ、ビーズ13の安定性を促進することができる。その結果、球状芯部14からのシリコーンオイルの溶出等による傷付き防止層12の変質、劣化等を低減することができる。
【0072】
図3の反射シート21は、基材シート層2と、この基材シート層2の表面に積層された傷付き防止層3と、基材シート層2の裏面に積層された高隠蔽層22とから構成されている。この基材シート層2及び傷付き防止層3は、図1の反射シート1と同様であるため、同一の数番号を付して説明を省略する。
【0073】
高隠蔽層22は、高い隠蔽性及び反射性を有するものであり、具体的には基材シート層2の裏面に白色顔料を含有する塗料23を塗工することで形成される。なお、この高隠蔽層22に用いられる塗料23の塗膜成形主要素、副要素及び助要素(顔料を除く部分)としては、特に限定されるものではなく、一般的なものが用いられる。なお、この白色顔料としては、上記基材シート層2に含有する白色顔料と同様のものが用いられる。
【0074】
塗料23における白色顔料の含有量(固形分換算)の下限としては、70質量%が好ましく、80質量%が特に好ましい。一方、上記含有量の上限としては、95質量%が好ましく、90質量%が特に好ましい。これは、白色顔料の含有量が上記下限より小さいと、高隠蔽層22による反射性及び隠蔽性の向上効果が小さくなり、逆に、白色顔料の含有量が上記上限を超えると、塗料23の塗工が困難になることからである。
【0075】
塗料23の塗工量(固形分換算)の下限としては、1g/m2、特に5g/m2、さらに10g/m2が好ましい。一方、上記塗工量の上限としては、50g/m2、特に45g/m2、さらに40g/m2が好ましい。これは、塗料23の塗工量が上記下限より小さいと、高隠蔽層22による反射性及び隠蔽性の向上効果が小さくなり、逆に、塗料23の塗工量が上記上限を超えると、高隠蔽層22の厚さが増大し、バックライトユニットの薄型化の要請に反すること、及び、高隠蔽層22の強度の低下を招来することからである。
【0076】
当該反射シート21の製造方法としては、基本的には、(a)バインダー4を構成するポリマー組成物にビーズ5を混合することで傷付き防止層用塗工液を作製する工程と、(b)この塗工液を基材シート層2の表面に塗工し、乾燥させることで傷付き防止層3を積層する工程と、(c)白色顔料を含有する塗料23を調整する工程と、(d)この塗料23を基材シート層2の裏面に塗工することで高隠蔽層22を積層する工程とからなる。
【0077】
当該反射シート21によれば、上記反射シート1と同様に、基材シート層2によって反射性及び隠蔽性を有し、傷付き防止層3によって高い傷付き防止性及びスティッキング防止性を有している。また、基材シート層2の裏面の高隠蔽層22によって反射性及び隠蔽性を格段に向上させることができる。
【0078】
従って、図4に示すようなエッジライト型のバックライトユニット30において、反射シート36として上記反射シート1、11、21を使用すると、当該反射シート1、11、21が前述のように傷付き防止性を有するため、導光板33の裏面への傷付きによる輝度ムラの発生を防止することができ、また、バックライトユニット30の組付け作業が容易になる。特に、裏面側に高隠蔽層22を備える反射シート21を用いると、高隠蔽層22の高い隠蔽性及び反射性によって裏面側から放散する光線ロスが低減でき、輝度を向上させることができ、また、裏面側に配設されるフレーム等が画面から視認されることを防止でき、輝度ムラの発生防止を促進することができる。
【0079】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の反射シートによれば、導光板裏面などの重ね合わせ面への傷付きを防止することができる。また本発明の反射シートを用いるバックライトユニットによれば、導光板裏面への傷付きによる輝度ムラの発生を防止することができ、輝度の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る反射シートを示す模式的断面図である。
【図2】図1の反射シートとは異なる形態の反射シートを示す模式的断面図である。
【図3】図1及び図2の反射シートとは異なる形態の反射シートを示す模式的断面図である。
【図4】一般的なエッジライト型のバックライトユニットを示す模式的斜視図である。
【符号の説明】
1 反射シート
2 基材シート層
3 傷付き防止層
4 バインダー
5 ビーズ
11 反射シート
12 傷付き防止層
13 ビーズ
14 球状芯部
15 シリコーン樹脂層
21 反射シート
22 高隠蔽層
23 塗料
Claims (8)
- 導光板の裏面側に配設され、光線の放散を低減するバックライトユニット用の反射シートであって、
白色合成樹脂性の基材シート層と、この基材シート層の表面側に積層され、導光板の裏面への傷付きを防止する傷付き防止層とを備え、
この傷付き防止層が、バインダーと、このバインダー中に分散するビーズとを有しており、
このビーズの材料としてシリコーンゴムが用いられ、
上記バインダーの鉛筆硬度が6B以上B以下であり、かつ上記バインダーのガラス転移温度が40℃以上70℃以下であることを特徴とする反射シート。 - 上記バインダーが、ポリエステルポリオールを含有するポリマー組成物から形成されている請求項1に記載の反射シート。
- 上記ポリマー組成物中に、硬化剤としてポリイソシアネートを含有する請求項2に記載の反射シート。
- 上記ビーズが、シリコーンゴムからなる球状芯部と、この球状芯部の表面を被覆するシリコーン樹脂層とを有している請求項1、請求項2又は請求項3に記載の反射シート。
- 上記ビーズの平均粒子径が1μm以上10μm以下である請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の反射シート。
- 上記バインダーのポリマー分100部に対するビーズの配合量が0.1部以上20部以下である請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の反射シート。
- 上記基材シート層の裏面側に積層される高隠蔽層をさらに備えており、
この高隠蔽層が、白色顔料を含有する塗料を塗工することで形成されている請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の反射シート。 - ランプと、このランプの側方に配設される導光板と、この導光板の表面側に配設される光学シートとを備え、ランプから発せられる光線を分散させて表面側に導く液晶表示装置用のバックライトユニットにおいて、上記導光板の裏面側に請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の反射シートを備えていることを特徴とする液晶表示装置用のバックライトユニット。
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