JP5329831B2 - 反射板用白色フィルム - Google Patents

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Description

本発明は、反射板用白色フィルムに関し、詳しくは、液晶表示装置のバックライトユニットに反射板として好ましく用いられる反射板用白色フィルムに関する。
反射板用フィルムとして、ポリエステルに無機粒子を含有させて延伸しボイドを形成したフィルムを用いることが知られている(特開2000−37835号公報)。
特開2000−37835号公報
高い反射率を得る観点から、無機粒子として硫酸バリウム粒子を用いることが好ましいのであるが、白色顔料を含有させボイドを形成させて白色化したフィルムは、通常のポリエステルフィルムに比べ、スクラッチ傷が付き易く、製膜工程や加工工程でフィルム表面にスクラッチ傷が入ってしまい、反射板に用いたときに輝度が低下したり、スクラッチ傷を起点として紫外線による劣化が進行しやすい。
本発明は、スクラッチ傷耐性に優れる反射板用白色フィルムを提供することを課題とする。なお、スクラッチ傷耐性は、製造過程や加工工程でスクラッチ傷が付きづらい性質をいう。
すなわち本発明は、微細なボイドを含有する白色ポリエステルフィルムおよびそのうえに設けられシリコーン化合物を5〜50重量%含有する塗布層からなり、塗布層の表面に長さ1mm以上、幅0.5mm以上かつ深さ0.5μm以上のスクラッチ傷が存在しない反射板用白色フィルムの製造方法であって、塗布層を形成するための水性塗液を、白色ポリエステルフィルムの製造過程において、配向結晶化が完了する前のポリエステルフィルムに塗布し、塗布層を形成することを特徴とする、反射板用白色フィルムである。
また本発明は、塗布層におけるシリコーン化合物の含有量が20〜50重量%である態様を好ましい態様として含むものである。
本発明によれば、スクラッチ傷耐性に優れる反射板用白色フィルムを提供することができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
[白色ポリエステルフィルム]
本発明における微細なボイドを含有する白色ポリエステルフィルムは、ポリエステルに無機粒子もしくは有機粒子または非相溶樹脂を含有させて延伸することで、ボイドを形成し、白色を呈するようにしたポリエステルフィルムである。ボイドは、ポリエステルと、粒子または非相溶樹脂との界面が剥離することで形成される。
白色ポリエステルフィルムのポリエステルは、ジカルボン酸成分とジオール成分とから縮重合によって得られるポリマーである。ジカルボン酸としては、例えばテレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタリンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸を用いることができる。ジオールとしては、例えばエチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,6−ヘキサンジオールを用いることができる。
ポリエステルとして、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートが好ましく、高濃度に無機粒子および/または有機粒子を添加しても安定して製膜できるため、共重合ポリエチレンテレフタレートまたは共重合ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートが好ましい。
共重合成分としては、例えばジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ポリアルキレングリコールなどのジオール成分、アジピン酸、セバシン酸、フタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸といったジカルボン酸成分を例示することができる。
ポリエステルの融点は、好ましくは210〜250℃、さらに好ましくは220〜245℃、特に好ましくは225〜240℃以下であり、このポリエステルとして、例えば、2,6−ナフタレンジカルボン酸共重合ポリエチレンテレフタレート、イソフタル酸共重合ポリエチレンテレフタレート、シクロヘキサンジメタノール共重合ポリエチレンテレフタレートを挙げることができる。高い耐熱性と製膜性を得るために、2,6−ナフタレンジカルボン酸共重合ポリエチレンテレフタレートが好ましい。
白色ポリエスエルフィルムを得るために、ポリエスエルに配合する粒子としては、無機粒子、有機粒子のいずれも用いることができる。良好な反射性能を得るために、粒子の平均粒径は、0.3〜3.0μmであることが好ましい。
無機粒子としては、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、二酸化珪素、酸化チタンの粒子を例示することができる。有機粒子としては、シリコーン、アクリルの粒子を例示することができる。粒子は単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。高い反射性や耐熱性を得ることができることから、無機粒子を用いることが好ましく、なかでもポリエステルポリマー中に安定して分散させることができ、製膜性がよく、かつ良好な反射率を得ることができることから、硫酸バリウムの粒子が特に好ましい。
白色ポリエステルフィルムは、少なくとも2層からなる積層白色ポリエステルフィルムであることが好ましい。この場合、必ずしも全ての層が白色である必要はなく、積層フィルム全体として白色であればよい。
白色ポリエステルフィルムとして好ましいものは、平均粒径0.3〜3.0μmの無機粒子3〜50重量%ならびにイソフタル酸3〜20モル%およびテレフタル酸80〜97モル%をジカルボン酸成分としエチレングリコールをジオール成分としてなるポリエステル50〜97重量%からなる組成物かなる支持層と、この支持層に接し平均粒径0.3〜3.0μmの無機粒子31〜60重量%ならびにナフタレンジカルボン酸3〜100モル%およびテレフタル酸0〜97モル%をジカルボン酸成分としエチレングリコールをジオール成分としてなるポリエステル40〜69重量%からなる組成物からなる反射層から構成される積層白色ポリエステルフィルムである。
積層白色フィルムを用いる場合、積層白色ポリエステルフィルムを構成する支持層は、無機粒子を、好ましくは3〜50重量%、さらに好ましくは3〜30重量%、さらに好ましくは3〜15重量%含有する。3重量%未満であると滑性が低下して巻取りが難しくなり好ましくなく、50重量%を超えると破れやすいフィルムとなり、製膜性が低下して好ましくない。
積層白色ポリエステルフィルムを構成する反射層は、不活性粒子を、好ましくは31〜60重量%、さらに好ましくは31〜55重量%含有する。31重量%未満であると反射率が低下したり、紫外線に因る劣化が激しくなり好ましくなく、60重量%を超えるとフィルムとして製膜性が非常に低下し、生産性が極端に低下して好ましくない。
無機粒子の平均粒径は、好ましくは0.3〜3.0μm、さらに好ましくは0.4〜2.5μm、特に好ましくは0.5〜2.0μmである。平均粒径が0.3μm未満であると分散性が極端に悪くなり、粒子の凝集が起こるため生産工程上のトラブルが発生し易く、フィルムに粗大突起を形成し、光沢の劣ったフィルムになったり、溶融押出し時に用いられるフィルターが粗大粒子により目詰まりを生じさせる可能性があり好ましくない。他方、平均粒径が3.0μmを超えるとフィルムの表面が粗くなり光沢が低下するばかりか、適切な範囲に光沢度をコントロールすることが困難となり好ましくない。
本発明において、白色ポリエステルフィルムには、蛍光増白剤を配合してもよい。蛍光増白剤を配合する場合には、ポリエステル組成物100重量%あたり、例えば0.005〜0.2重量%、好ましくは0.01〜0.1重量%配合する。蛍光増白剤が0.005重量%未満であると350nm付近の波長域の反射率が十分でないので添加する意味が乏しく好ましくなく、0.2重量%を越えると蛍光増白剤の持つ特有の色が現れてしまうため好ましくない。蛍光増白剤としては、例えばOB−1(イーストマン社製)、Uvitex−MD(チバガイギー社製)、JP−Conc(日本化学工業所製)を用いることができる。
白色ポリエステルフィルムの厚みは、好ましくは25〜250μm、さらに好ましくは40〜250μm、特に好ましくは50〜250μmである。この範囲の厚みであることによって、高い反射率と良好な取り扱い性を得ることができる。
本発明における白色ポリエステルフィルムは、85℃の熱収縮率が、直交する2方向ともに、好ましくは0.5%以下、さらに好ましくは0.4%以下、特に好ましくは0.3%以下である。
優れた光線反射率を得るために、白色ポリエステルフィルムの中心線平均粗さRaは好ましくは50〜200nm、十点平均粗さRzは好ましくは700〜2000nmである。微細なボイドをフィルム中に形成した白色フィルムでは、微細なボイドとポリエステルとの界面で光線が乱反射されて白色に見えるのであるが、反射フィルムとして優れた反射率を得ることができるようにボイドを形成すると、白色ポリエステルフィルムの表面の粗さは、中心線平均粗さRaが50〜200nm、十点平均粗さRzが700〜2000nmとなる。
[塗布層]
本発明において、白色ポリエステルフィルムは、微細なボイドを含有し、このボイドは小さな力でも崩れるため、そのままでは表面に傷が付き易い。そこで、本発明の反射板用白色フィルムでは、シリコーン化合物を5〜50重量%含む塗布層を、白色ポリエステルフィルムの少なくとも一方の面に備えることで、塗布層を設けた面にスクラッチ傷耐性を付与している。
本発明におけるシリコーン化合物は、オルガノシロキサンを骨格とする化合物であり、例えば、ジメチルシリコーン、メチルフェニルシリコーン、メチルハイドロジェンシリコーン、フロロシリコーン、シリコーンポリエーテル共重合体、アルキル変性シリコーン、高級脂肪酸変性シリコーンを用いることができる。
シリコーン化合物として、反応性基を有するシリコーン化合物を用いることが好ましい。反応性基を含有しないシリコーン化合物を用いた場合には、塗布層の欠落による滑性の低下、帯電防止性の低下、欠落成分による生産工程への汚染が起きる場合があり好ましくない。
シリコーン化合物は、塗布層の組成物の5〜50重量%、好ましくは10〜30重量%を占める。5重量%未満であるとフィルムに十分な易滑性を付与することができず、スクラッチ傷耐性が得られない。他方、50重量%を超えると塗布が均一に行えず、反射板として用いたときに画面の輝度が不均一となる。
塗布層は、製造時の環境への負荷を低減し、また製造工程での安全性を確保するために、水系の塗液によって形成された水系塗布層であることが好ましい。すなわち、塗布層を形成するための塗液は水系の塗液であることが好ましい。水系の塗液として、例えば、水溶液、水分散液、乳化液を挙げることができる。
塗布層の組成物は、例えば紫外線吸収剤、帯電防止剤を含有していてもよい。紫外線吸収剤は高分子タイプのものが好ましくは、例えば、ベンゾトリアゾール基を有する(メタ)アクリル樹脂を用いることができる。帯電防止剤も高分子タイプのもの好ましく、例えば、アルキルアミノスルホネート基のようなイオン性基を側鎖に有するアクリルアミド樹脂を用いることができる。
この水系塗液には、塗液に含まれる成分と化学的に不活性な界面活性剤を配合することが好ましい。この場合、塗液は、シリコーン化合物5〜50重量%および界面活性剤5〜50重量%を含有することが好ましい。この範囲で配合することによって、ポリエステルフィルムへの水性塗液の濡れを促進し、塗液の安定性を向上することができる。
界面活性剤として、例えば、ポリオキシエチレン−脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、脂肪酸金属石鹸、アルキル硫酸塩、アルキルスルホン酸塩、アルキルスルホコハク酸塩等のアニオン型、ノニオン型界面活性剤を挙げることができる。
塗布層の厚みは、乾燥後の厚みとして、好ましくは0.02〜0.2μm、さらに好ましくは0.03〜0.1μmである。厚みが0.02μm未満であると十分な紫外線吸収性能を得ることができず、0.2μmを超えると塗布層が目立つようになり塗工外観が悪くなる。
本発明の反射板用白色フィルムの塗布層は、その表面の摩擦係数が0.25〜0.42(μs)であることが好ましい。この範囲の摩擦係数であることで、良好な巻き取り性とハンドリング性を得ることができる。
[スクラッチ傷]
本発明の反射板用白色フィルムは、その塗布層の表面に長さ1mm以上、幅0.5mm以上かつ深さ0.5μm以上のスクラッチ傷が存在せず、好ましくは、塗布層の表面に長さ1mm以上、幅0.5mm以上かつ深さ0.2μm以上のスクラッチ傷が存在しない。
なお、スクラッチ傷が存在しないとは、フィルムの4mを観測対象としたときに、当該4mの範囲に上記のスクラッチ傷が存在しないことをいう。これらのスクラッチ傷が存在すると、反射板に用いたときに輝度が低下したり、スクラッチ傷の箇所から紫外線による劣化が進行しやすい。
通常、微細なボイドを含有することで白色を呈するポリエステルフィルムは、表面に傷が付き易いが、本発明では、シリコーン化合物を5〜50重量%含有する塗布層を白色ポリエステルフィルムのうえに設けることで、スクラッチ傷が付きづらい反射板用白色フィルムを得ることができる。
[製造方法]
以下、本発明の反射板用白色フィルムを製造する方法を、白色ポリエステルフィルムとして積層白色ポリエステルフィルムを用いる場合を例に説明する。なお、ポリエステルのガラス転移温度をTgといい、融点をTmという。
無機粒子をポリエステルに含有させる方法としては、ポリエステル合成時のエステル交換反応もしくはエステル化反応終了前に添加もしくは重縮合反応開始前に添加する方法を用いてもよく、ポリエステルに添加して溶融混練する方法を用いてもよい。これらの方法において、粒子を多量添加したマスターペレットを製造し、これらと添加剤を含有しないポリエステルとを混練して所定量を含有させる方法が好ましい。マスターペレットをそのまま使用する方法も用いることができる。
製膜時のフィルターとして線径15μm以下のステンレス鋼細線よりなる平均目開き10〜100μm、好ましくは平均目開き20〜50μmの不織布型フィルターを用い、溶融ポリマーを濾過することが好ましい。この濾過を行なうことにより、一般的には凝集して粗大凝集粒子となりやすい粒子の凝集を抑えて、粗大異物の少ないフィルムを得ることができる。
フィルムを製造するためには、まず、反射層を形成するポリエステル組成物の溶融物と、支持層を形成するポリエステル組成物の溶融物とを、フィードブロックを用いて反射層/支持層となるように積層し、ダイに展開して押出し、未延伸積層シートとする。この時、フィードブロックで積層されたポリマーは積層された形態を維持している。
ダイより押出された未延伸積層シートは、キャスティングドラムで冷却固化され、未延伸積層フィルムとなる。この未延伸積層フィルムをロール加熱、赤外線加熱等で加熱し、縦方向に延伸して縦延伸フィルムを得る。この延伸は2個以上のロールの周速差を利用して行うのが好ましい。延伸温度はTg〜(Tg+70℃)の温度とするのが好ましい。
延伸倍率は、用途の要求特性にもよるが、縦方向、縦方向と直交する方向(以降、横方向と呼ぶ)ともに、好ましくは2.2〜4.5倍、さらに好ましくは2.3〜3.9倍である。2.2倍未満とするとフィルムの厚み斑が悪くなり良好なフィルムが得られず好ましくなく、4.5倍を超えると製膜中に破断が発生し易くなり好ましくない。
縦延伸後のフィルムは、続いて、横延伸、熱固定、熱弛緩の処理を順次施して二軸配向フィルムとするが、これら処理はフィルムを走行させながら行う。横延伸の処理はTgより高い温度から始め、そして(Tg+5℃)〜(Tg+70℃)の温度まで昇温しながら行う。横延伸過程での昇温は連続的でも段階的(逐次的)でもよいが通常逐次的に昇温する。例えばテンターの横延伸ゾーンをフィルム走行方向に沿って複数に分け、ゾーン毎に所定温度の加熱媒体を流すことで昇温する。横延伸の倍率は、要求特性にもよるが、好ましくは2.2〜4.5倍、さらに好ましくは2.8〜3.9倍である。2.2倍未満であるとフィルムの厚み斑が悪くなり良好なフィルムが得られず好ましくなく、4.5倍を超えると製膜中に破断が発生し易くなり好ましくない。
横延伸後のフィルムは両端を把持したまま(Tm−20℃)〜(Tm−100℃)で定幅または10%以下の幅減少下で熱処理して熱収縮率を低下させるのがよい。この温度が(Tm−20℃)より高い温度であるとフィルムの平面性が悪くなり、厚み斑が大きくなり好ましくない。他方、(Tm−100℃)より低い温度であると熱収縮率が大きくなることがあり好ましくない。
フィルムの熱収縮量を低く抑えるために、把持しているフィルムの両端を切り落し、フィルム縦方向の引き取り速度を調整し、縦方向に弛緩させることができる。弛緩させる手段としてはテンター出側のロール群の速度を調整する。弛緩させる割合として、テンターのフィルムライン速度に対してロール群の速度ダウンを行い、好ましくは0.1〜1.5%、さらに好ましくは0.2〜1.2%、特に好ましくは0.3〜1.0%の速度ダウンを実施してフィルムを弛緩(この値を「弛緩率」という)して、弛緩率をコントロールすることによって縦方向の熱収縮率を調整する。また、フィルム横方向は両端を切り落すまでの過程で幅減少させて、所望の熱収縮率を得ることもできる。ボイド形成剤を含有する反射層は、延伸の過程で白色を呈するようになる。
なお、縦方向と横方向に同時に延伸する同時二軸延伸方法で製造することもできる。
本発明において、塗膜を形成する塗液は、水性塗液、例えば水溶液、水分散液、乳化液の形態で使用することが好ましい。塗布層を形成するために、必要に応じて、前記組成物以外の他の樹脂、例えば着色剤、界面活性剤、紫外線吸収剤を添加してもよい。
本発明に用いる水性塗液の固形分濃度は、通常20重量%以下、好ましくは1〜10重量%である。1重量%未満であるとポリエステルフィルムへの塗れ性が不足することがあり好ましくなく、20重量%を超えると塗液の安定性や塗布層の外観が悪化することがあり好ましくない。
水性塗液のポリエステルフィルムへの塗布は、任意の段階で実施することができるが、ポリエステルフィルムの製造過程で実施するのが好ましく、さらには配向結晶化が完了する前のポリエステルフィルムに塗布するのが好ましい。
ここで、結晶配向化が完了する前のポリエステルフィルムとは、未延伸フィルム、未延伸フィルムを縦方向または横方向の何れか一方に配向せしめた一軸配向フィルム、さらには縦方向および横方向の二方向に低倍率延伸配向せしめたもの(最終的に縦方向また横方向に再延伸せしめて配向結晶化を完了せしめる前の二軸延伸フィルム)等を含むものである。なかでも、未延伸フィルムまたは一方向に配向せしめた一軸延伸フィルムに、上記組成物の水性塗液を塗布し、そのまま縦延伸および/または横延伸と熱固定とを施すのが好ましい。
水性塗液をフィルムに塗布する際には、塗布性を向上させるための予備処理として、フィルム表面に、例えばコロナ表面処理、火炎処理、プラズマ処理といった物理処理を施すか、予備処理をしない場合には、塗液に、塗布層の組成物とは化学的に不活性な界面活性剤を配合することが好ましい。
塗布方法として、公知の任意の塗工方法を適用することができる。例えばロールコート法、グラビアコート法、ロールブラッシュ法、スプレーコート法、エアーナイフコート法、含浸法、カーテンコート法を適用することができる。これらは単独または組合せて用いることができる。
以下、実施例により本発明を詳述する。なお、各特性値は以下の方法で測定した。
(1)フィルム厚み
フィルムをエレクトリックマイクロメーター(アンリツ製 K−402B)にて、10箇所の厚みを測定し、その平均値をフィルムの厚みとした。
(2)塗布厚み
フィルムを三角形に切り出し、包埋カプセルに固定後、エポキシ樹脂にて包埋した。そして、包埋されたサンプルをミクロトーム(ULTRACUT−S)で縦方向に平行な断面を50nm厚の薄膜切片にした後、透過型電子顕微鏡を用いて、加速電圧100kvにて観察撮影し、写真から塗布層の厚みを10箇所測定し、平均厚みを求めた。
(3)スクラッチ傷
2m×2m(面積4m)のフィルムサンプルについて、塗布層のスクラッチ傷の有無を蛍光灯およびハロゲン光の反射光を用いて目視で観察し、あった場合はその場所をマジックでマーキングし、そのスクラッチ傷をキーエンス社製のレーザー光学顕微鏡(VF−750)で長さ、幅および深さを測定した。
◎:長さ1mm以上幅0.5mm以上深さ0.2μm以上のスクラッチ傷が皆無
○:長さ1mm以上幅0.5mm以上深さ0.5μm以上のスクラッチ傷が皆無
×:長さ1mm以上幅0.5mm以上深さ0.5μm以上のスクラッチ傷が1個以上
(4)摩擦係数(μs)
ASTM D1894―63に準じ、東洋テスター社製のスリッパリー測定器を使用し、塗布層形成面とポリエチレンテレフタレートフィルム(塗布層非形成面)との静摩擦係数(μs)を測定した。但し、スレッド板はガラス板とし、荷重は1kgとした。
(5)RaおよびRz
株式会社小坂研究所製の触針式表面粗さ計(SURFCORDER SE−3FT)を用い、以下の条件で測定、算出される中心線平均粗さをRa、十点平均粗さをRzとした。
<測定条件>
測定長:1.25mm
カットオフ:0.08mm
測定環境:室温、大気中
数値は4回測定した平均値で表示する。
[実施例1〜9、比較例1〜2]
テレフタル酸ジメチル55重量部、2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチル8重量部、エチレングリコール37重量部、ジエチレングリコール0.4重量部、酢酸マンガン0.05重量部、酢酸リチウム0.012重量部を精留塔、留出コンデンサを備えたフラスコに仕込み、撹拌しながら150〜235℃に加熱しメタノールを留出させエステル交換反応を行った。メタノールが留出した後、リン酸トリメチル0.03重量部、二酸化ゲルマニウム0.04重量部を添加し、反応物を反応器に移した。ついで撹拌しながら反応器内を徐々に0.5mmHgまで減圧するとともに290℃まで昇温し重縮合反応を行った。得られた共重合ポリエステルの2,6−ナフタレンジカルボン酸成分量は10モル%、ジエチレングリコール成分量は3モル%、ガラス転移点80℃、融点230℃であった。この共重合ポリエステルを支持層および反射層のポリエステルとして用い、平均粒径1.4μmの硫酸バリウム粒子を支持層に5重量%、反射層に40重量%添加して、支持層用の組成物および反射層用の組成物とした。
それぞれを285℃に加熱された2台の押出機に供給し、支持層用の組成物、反射層用の組成物を、支持層/反射層の厚み比率が30/70となるように2層フィードブロック装置を使用して合流させ、その積層状態を保持したままダイよりシート状に成形した。さらにこのシートを表面温度20℃の冷却ドラムで冷却固化した未延伸フィルムを95℃にて加熱し長手方向(縦方向)に延伸し、20℃のロール群で冷却した。ロールコーターにより反射層の表面側に表1に示す塗液(2重量%)、条件で均一に塗設した。続いて、縦延伸したフィルムの両端をクリップで把持しながらテンターに導き120℃に加熱された雰囲気中で長手に垂直な方向(横方向)に延伸した。その後テンター内で215℃の温度で熱固定を行い、その後、縦方向に0.5%、横方向に2.0%弛緩を行い、室温まで冷やして厚み175μmの二軸延伸フィルムを得た。
得られたフィルムは85℃、30分の熱収縮率が長手方向0.1%、幅方向0.1%であった。なお、塗布層の組成は表1の通りであり、得られた白色ポリエステルフィルムの塗布層の評価結果は表1のとおりであった。
[比較例3]
塗布層を塗設しない以外は実施例1と同様にして実施した。評価結果は表1のとおりであった。
Figure 0005329831
化合物1:
下記式に示すベンゾトリアゾール基を有する化合物が50モル%、メチルメタクリレートが45モル%、および2−ヒドロキシエチルメタクリレート5モル%からなる共重合体(一方社油脂工業製 水系ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤ULS−1635MH)
Figure 0005329831
化合物2:
下記式に示す構造が80モル%、メチルアクリレートが10モル%、およびN−メチロールアクリルアミドが10モル%からなる共重合体
Figure 0005329831
化合物3:
ジメチルアミノエチルスルホネートメタクリレート80モル%/メチルアクリレート10モル%/N−メチロールアクリルアミド10モル%からなる共重合体
シリコーン化合物1:
カルボキシ変性シリコーン(信越化学工業株式会社製 商品名X22−3701E)
シリコーン化合物2:
エポキシ変性シリコーン(信越化学工業株式会社製 商品名KF−101)
シリコーン化合物3:
アミノ変性シリコーン(信越化学工業株式会社製 商品名KF−8012)
シリコーン化合物4:
親水性特殊変性シリコーン(信越化学工業株式会社製 商品名X22−904)
なお、シリコーン化合物1〜4については、予め界面活性剤と先に混合してから、塗液に添加した。
界面活性剤:
ポリオキシエチレン(n=8.5)ラウリルエーテル(三洋化成株式会社製 商品名ナロアクティーN−85)
架橋剤:
オキサゾリン(株式会社日本触媒製 商品名エポクロスWS−700)
本発明の反射板用白色フィルムは、液晶表示装置のバックライトユニットの反射板として好適に用いることができる。

Claims (2)

  1. 微細なボイドを含有する白色ポリエステルフィルムおよびそのうえに設けられシリコーン化合物を5〜50重量%含有する塗布層からなり、塗布層の表面に長さ1mm以上、幅0.5mm以上かつ深さ0.5μm以上のスクラッチ傷が存在しない反射板用白色フィルムの製造方法であって、
    塗布層を形成するための水性塗液を、白色ポリエステルフィルムの製造過程において、配向結晶化が完了する前のポリエステルフィルムに塗布し、塗布層を形成することを特徴とする、
    反射板用白色フィルムの製造方法
  2. 塗布層におけるシリコーン化合物の含有量が20〜50重量%である、請求項1に記載の反射板用白色フィルムの製造方法。
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