JP5373557B2 - 光学用二軸延伸ポリエステルフィルム - Google Patents
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Description
本発明は、光学用途に適した高度な透明性を有する、光学用二軸延伸ポリエステルフィルムを提供することを課題とする。
[共重合ポリエチレンテレフタレート]
本発明における共重合ポリエチレンテレフタレートは、エチレンテレフタレート単位が82〜92モル%を占める共重合ポリエチレンテレフタレートである。
本発明の光学用二軸延伸ポリエステルフィルムは、滑剤を実質的に含まない共重合ポリエチレンテレフタレートからなることが好ましい。「滑剤を実質的に含まない」とは、滑剤として添加された不活性粒子を実質的に含有しないことを意味する。これは、換言すれば、滑剤としての不活性粒子を、製造工程のいかなる段階においても共重合ポリエチレンテレフタレートに添加しないことを意味し、また、触媒の残渣を積極的に共重合ポリエチレンテレフタレート中に析出させないことを意味する。
本発明の光学用二軸延伸ポリエステルフィルムは、示差走査熱量計で測定したフィルムのガラス転移温度が80℃〜85℃である。80℃未満であると透明性を向上する効果が十分に得られず、85℃を超えると結晶性が低下し、耐熱性が劣る。
本発明の光学用二軸延伸ポリエステルフィルムのポリエステルの固有粘度は、好ましくは0.55〜0.86dl/gである。この範囲の固有粘度であることによって製膜時に装置にかかる押出負荷が小さく、厚み斑の小さいフィルムを得ることができる。
本発明の光学用二軸延伸ポリエステルフィルムの透過カラーb*値は、好ましくは0.10〜1.50である。この範囲の透過カラーb*値であることによって、良好な色相を得ることができ、着色がなく光学用途に好適である。
本発明の光学用二軸延伸ポリエステルフィルムの厚みは20〜400μm、好ましくは50〜350μm、さらに好ましくは125〜300μmである。20μm未満であると機械的強度が不足し、400μmを超えるとフィルムの生産性が劣る。
本発明の光学用二軸延伸ポリエステルフィルムは、その少なくとも片面に、高分子樹脂および微粒子からなる塗布層を有することが好ましい。塗布層を設け、塗布層に微細な滑剤を含有させることで、フィルムに適度な滑り性を付与することができる。
高分子樹脂としては、例えばポリエステル樹脂、アクリル樹脂を用いることができ、好ましくはポリエステル樹脂を用いる。微粒子としては、好ましくは平均粒子径20〜150nmの無機もしくは有機微粒子を用いる。
本発明の光学用二軸延伸ポリエステルフィルムに用いる共重合ポリエチレンテレフタレートは、公知の方法を用いて製造することができる。
本発明の光学用二軸延伸ポリエステルフィルムは、例えば次のようにして製造することができる。共重合ポリエチレンテレフタレートを140〜180℃で2〜5時間乾燥後、押出機ホッパーに投入し、溶融温度250〜300℃で溶融混練して押出し、キャスティングドラム上で急冷して未延伸フィルムを得る。この未延伸フィルムを、77〜85℃で予熱し、さらにIRヒーターにて加熱して縦方向に3.0〜3.6倍に延伸する。続いてテンターに供給し、130〜140℃にて横方向に3.0〜3.7倍に延伸する。得られた二軸延伸フィルムを200〜250℃の温度で5秒間から10分間熱固定することで得ることができる。
サンプルフィルムのヘーズを、JIS K7361に準じ、ヘーズ測定器(日本電色工業社製の商品名 NDH―2000)を用いて測定した。二軸延伸ポリエステルフィルムの任意の3点について全光線透過率(%)と散乱光透過率(%)を求めた。これら3点の平均値をそれぞれ全光線透過率Tt(%)と散乱光透過率Td(%)とした。これらの数値から、へーズ(Td/Tt×100(%))を算出した。
示差走査熱量計(以下「DSC」ということがある)の測定用のパンに20mgのフィルム試料を入れ、290℃の加熱ステージ上で5分間加熱溶融後、すばやく試料パンを氷の上に敷いたアルミ箔上で急冷固化し、TA Instrument DSC Q100型示差走査熱量計を用い、昇温速度20℃/分でガラス転移温度を測定し、これを、フィルムのポリエステルのガラス転移温度とした。
サンプルフィルムを幅10mm、長さ150mmの長方形に切り出し、チャック間100mmにサンプルフィルムを装着し、JIS−C2151に従って引張速度100mm/minの条件で引張試験を行い、5%伸張時の荷伸曲線の荷重を読み取った。測定は3回行い、平均値を結果とした。F−5値(N/mm2)は、荷重を引張前のサンプル断面積で割って算出した。測定は温度23±2℃、湿度50±5%に調節された室内において行った。
共重合成分として2,6−ジナフタレンカルボン酸成分を12モル%含む共重合ポリエチレンテレフタレートを、160℃で4時間乾燥後、押出機ホッパーに投入し、溶融温度270℃で溶融し、溶融押出し、キャスティングドラム上で急冷して未延伸フィルムを得た。得られた未延伸フィルムを、82〜84℃にて予熱し、さらに低速、高速のロール間で15mm上方より850℃のIRヒーターにて加熱して縦方向に3.2倍に延伸した。続いて、テンターに供給し、138℃にて横方向に3.5倍に延伸して二軸延伸フィルムを得て、これを242℃の温度で5秒間熱固定し、厚み188μmの二軸延伸ポリエステルフィルムを得た。このフィルムの評価結果を表1にまとめる。
実施例1において共重合成分を2,6−ナフタレンジカルボン酸成分12モル%からイソフタル酸成分11モル%に変えた以外は実施例1と同様にして、厚み188μmの二軸延伸ポリエステルフィルムを得た。このフィルムの評価結果を表1にまとめる。
実施例1において共重合成分の2,6−ナフタレンジカルボン酸成分の量を12モル%から1モル%に変えた以外は実施例1と同様にして、溶融押出、二軸延伸および熱固定して、厚み188μmの二軸延伸ポリエステルフィルムを得た。このフィルムの評価結果を表1にまとめる。
Claims (4)
- エチレンテレフタレート単位が82〜92モル%を占め、ガラス転移温度が80〜85℃である共重合ポリエチレンテレフタレートからなり、該共重合ポリエチレンテレフタレート中に粒径50nm以上の粒子を含有しないか、または含有するにしても該共重合ポリエチレンテレフタレートの重量を基準として300ppm以下で含有し、フィルムの厚みが20〜400μmである光学用二軸延伸ポリエステルフィルム。
- 共重合ポリエチレンテレフタレートの共重合成分が、2、6−ナフタレンジカルボン酸、ターシャリーブチルイソフタル酸またはシクロヘキサンジメタノールである、請求項1記載の光学用二軸延伸ポリエステルフィルム。
- フィルムの固有粘度が0.55〜0.86dl/gである、請求項1記載の光学用二軸延伸ポリエステルフィルム。
- フィルムの少なくとも片面に、高分子樹脂および微粒子からなる塗布層が設けられた、請求項1記載の光学用二軸延伸ポリエステルフィルム。
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