JP2003127278A - 金属板貼合せ成形加工用積層ポリエステルフィルム - Google Patents

金属板貼合せ成形加工用積層ポリエステルフィルム

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JP2003127278A
JP2003127278A JP2001326067A JP2001326067A JP2003127278A JP 2003127278 A JP2003127278 A JP 2003127278A JP 2001326067 A JP2001326067 A JP 2001326067A JP 2001326067 A JP2001326067 A JP 2001326067A JP 2003127278 A JP2003127278 A JP 2003127278A
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Nobuo Minobe
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 金属板貼合せ成形加工用積層フィルムにおい
て、耐ピンホール性・耐衝撃性・保味保香性を同時に改
善する。 【解決手段】 共重合ポリエステルの(A)層と(B)
層を備える。(A)層は融点=210〜245℃でガラ
ス転移温度≧75℃。(A)層はチタン化合物を触媒と
して用いて製造されたポリエステルからなる。(A)層
中でのアンチモン元素とゲルマニウム元素の合計量≦2
ミリモル%。(A)層中での含有量(ミリモル%)はチ
タンをTi、リンをP、アセトアルデヒドをAAで表し
た場合に、次式を満足する。0.1≦Ti/P≦3.
0。5≦Ti+P≦60。0.3≦(AA+P)/Ti
≦40。(B)層はエチレンテレフタレートを主たる繰
り返し単位とし、(B)層の融点=210〜245℃で
ガラス転移温度≦75℃。さらに(A)層は、多孔質粒
子および/または不活性球状粒子を0.05〜1重量%
含有する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は金属板貼合せ成形加
工用積層ポリエステルフィルムに関し、さらに詳しくは
金属板に貼合せて絞り加工等の製缶加工をする際、優れ
た成形加工性を示し、耐熱性、耐レトルト性、保味保香
性、耐衝撃性、防錆性等に優れた金属缶、例えば飲料
缶、食品缶などを製造し得る金属板貼合せ成形加工用積
層ポリエステルフィルムに関する。
【0002】
【従来の技術】金属缶には内外面の腐蝕防止として一般
に塗装が施されているが、最近、工程簡素化、衛生性向
上、公害防止などの目的で、有機溶剤を使用せずに防錆
性を得る方法の開発が進めらており、その一つとして熱
可塑性樹脂フィルムによる被覆が試みられている。即
ち、ブリキ、ティンフリースチール、アルミニウム等の
金属板に熱可塑性樹脂フィルムをラミネートした後、絞
り加工等により製缶する方法の検討が進められている。
この熱可塑性樹脂フィルムとして積層共重合ポリエステ
ルフィルムが試みられ、成形加工性,耐熱性,保味保香
性,耐衝撃性について実用化基準を満たすものが開発さ
れている(特開平6−039979号公報)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このフ
ィルムを用いた場合、コールドパックシステムの如き内
容物を詰めた段階で熱のかからない工程では優れた保味
保香性を示すが、レトルト処理の如き内容物を詰めた段
階で熱処理が行われる工程においては、必ずしも十分な
耐衝撃性・保味保香性が得られない場合がある。
【0004】また耐ピンホール性を持つ素材として特開
平7−70340号公報では、平均粒径1.0μm以下
の滑剤粒子のフィルム中での凝集粒子密度を規定した共
重合ポリエステルフィルムが提案されている。また特開
平8−269215号公報では、フィルム中での粒子の
変形度を規定したポリエステルフィルムも提案されてい
る。しかしながらこれらのフィルムでは金属板に通常よ
り大きな変形を与えた場合、粒子がフィルムより欠落し
てしまい保味保香性が低下したり、粒子の耐熱性が低下
したりするため十分な製缶特性が得られないという課題
がある。
【0005】本発明の目的は、共重合ポリエステルフィ
ルムが持つ優れた成形加工性・耐熱性・防錆性を保持し
ながら、耐衝撃性・保味保香性・耐ピンホール性・深絞
り加工性を改善し、安価で衛生上も望ましい金属板貼合
せ成形加工用積層フィルムを提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明の金属板貼合せ成
形加工用積層フィルムは、成形加工される金属板に貼り
合せて利用される金属板貼合せ成形加工用積層フィルム
において、フィルムは共重合ポリエステル(A)層と共
重合ポリエステル(B)層とを備え、(A)層は(B)
層の片面側または両面側に積層され、さらに(A)層は
融点が210〜245℃でガラス転移温度が75℃以上
であり、かつ(A)層はチタン化合物を触媒として用い
て製造されたポリエステルからなるものであって、
(A)層中でのアンチモン元素とゲルマニウム元素の合
計量は2ミリモル%以下であり、かつ(A)層中でのチ
タン元素の割合をTi(ミリモル%)、(A)層中での
リン元素の割合をP(ミリモル%)、(A)層中でのア
セトアルデヒドの割合をAA(ミリモル%)で表した場
合に、下記式(1)〜(3)を満足し、 0.1≦Ti/P≦3.0 ・・・(1) 5≦Ti+P≦60 ・・・(2) 0.3≦(AA+P)/Ti≦40 ・・・(3) その上(A)層は多孔質粒子および/または凝集してい
ない不活性球状粒子を0.05〜1重量%含有するもの
であり、多孔質粒子は平均粒径が0.1〜2.5μm、
粒度分布d=D70(積算粒子数70%の粒子径)/D
30(積算粒子数30%の粒子径)が1.2〜2.0、
細孔容積が0.05〜2.5ml/g、比表面積が50
〜600m2/gおよび耐圧縮力が1〜100MPaで
あって、不活性球状粒子は粒径比(長径/短径)が1.
0〜1.2、平均粒径0.05〜2.0μmであり、さ
らに(B)層はエチレンテレフタレートを主たる繰り返
し単位とし、(B)層の融点は210〜245℃でガラ
ス転移温度は75℃以下であることを特徴とする。これ
により、耐ピンホール性・耐衝撃性・保味保香性を同時
に改善することが可能となった。
【0007】本発明におけるポリエステルは、ジカルボ
ン酸成分とグリコール成分とを重縮合させて得られるポ
リエステルであり、ポリエチレンテレフタレート,ポリ
ブチレンテレフタレート,ポリエチレンナフタレート,
ポリヘキサメチレンテレフタレート,ポリシクロヘキサ
ンジメチレンテレフタレート等に第三成分を共重合して
なり、中でも共重合ポリエチレンテレフタレート,共重
合ポリエチレンナフタレートが耐熱性、成形加工性の点
で好ましい。
【0008】こうした共重合ポリエステルを構成しうる
ジカルボン酸成分としては、テレフタル酸、2,6−ナ
フタレンジカルボン酸、イソフタル酸、フタル酸等の如
き芳香族ジカルボン酸、アジピン酸、アゼライン酸、セ
バシン酸、デカンジカルボン酸等の如き脂肪族ジカルボ
ン酸、シクロヘキサンジカルボン酸等の如き脂環族ジカ
ルボン酸等が例示できる。これらは単独または二種以上
を使用することができる。この中でもイソフタル酸と
2,6−ナフタレンジカルボン酸が、成形加工性・耐衝
撃性・保味保香性の点で特に好ましい。
【0009】そして共重合ポリエステルを構成しうるグ
リコール成分としてはエチレングリコール、ジエチレン
グリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリ
コール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサン
ジオール等の如き脂肪族ジオール、シクロヘキサンジメ
タノール等の如き脂環族ジオール、ビスフェノールA等
の如き芳香族ジオール、ポリエチレングリコール、ポリ
プロピレングリコール等の如きポリアルキレングリコー
ルが例示できる。これらは単独または二種以上を使用す
ることができる。中でも全ジオール成分が主としてエチ
レングリコールからなり、そしてエチレングリコールが
82〜100モル%と他のジオールが0〜18モル%か
らなるのがフレーバー性と耐熱性の点で好ましい。他の
ジオールとしてはトリエチレングリコール、シクロヘキ
サンジメタノール、ネオペンチルグリコール、ジエチレ
ングリコールがフレーバー性と成形加工性の点で好まし
い。
【0010】これらのエチレングリコールを主たるグリ
コール成分とする場合は特にジエチレングリコールを共
重合することが好ましく、全グリコール成分に対してジ
エチレングリコール成分の共重合量が5モル%以下であ
ることがさらに好ましく、4モル%以下であることが特
に好ましい。ジエチレングリコールの共重合量が5モル
%を越えると、耐熱性が低下することがある。なお、こ
のジエチレングリコール成分はエチレングリコールをグ
リコール成分とする共重合芳香族ポリエステルを製造す
る際に副生するジエチレングリコール成分も含む。
【0011】共重合成分は、結果としてポリマー融点が
210〜245℃、好ましくは215〜235℃の範囲
になる割合で存在することが好ましい。融点が210℃
未満では耐熱性が劣ることになり、融点が245℃を超
えると、ポリマーの結晶性が大きすぎて成形加工性が損
なわれる。
【0012】本発明のポリエステルは、従来公知の方法
によって合成できる。例えばイソフタル酸の如き第三成
分を共重合する共重合ポリエチレンテレフタレートにつ
いて説明すれば、テレフタル酸およびイソフタル酸の低
級アルキルエステルとエチレングリコールとをエステル
交換反応させるか、またはテレフタル酸およびイソフタ
ル酸とエチレングリコールとを直接エステル化反応させ
るか、またさらにはテレフタル酸グリコールエステルお
よび/またはその低重合体とイソフタル酸をエステル化
反応させて、テレフタル酸−イソフタル酸のグリコール
エステルおよび/またはその低重合体が生成される第一
段階の反応が行われる。この反応生成物を高真空化加熱
して脱グリコール反応を進行させることで所望の重合度
になるまで重縮合反応させて目的のポリエステルを得る
ことができる。上記の方法(溶融重合)により得られた
ポリエステルは、必要に応じて固相状態での重合方法
(固相重合)により、さらに重合度の高いポリマーとす
ることができる。
【0013】本発明において、エステル交換反応によっ
て溶融重合時の第一段階の反応を行う場合には、該反応
時にエステル交換反応触媒の添加が必要である。一般に
エステル交換反応触媒としてはカルシウム化合物、マン
ガン化合物、チタン化合物などが挙げられ、いずれも用
いることができるが、触媒量を最小化でき、得られるポ
リエステルが優れた保味保香性を有する点でポリマー中
に可溶なチタン化合物を用いることが好ましい。また、
重縮合反応に使用する触媒にも、優れた耐加水分解性お
よび保味保香性の点で、ポリマー中に可溶なチタン化合
物を使用することが好ましい。
【0014】チタン化合物としては、ポリエステルの重
縮合触媒として一般的なチタン化合物、例えば、酢酸チ
タンやチタンテトラブトキシドなどを用いることができ
る。保味保香性と耐熱性のバランスを得る上で特に望ま
しいのは、アルキル基またはフェニル基をRとして表
し、2〜4の整数をnで表わした場合に、下記一般式
(I)で表わされる化合物、もしくは下記一般式(I)
で表わされる化合物と下記一般式(II)で表わされる
芳香族多価カルボン酸またはその無水物との反応生成物
である。 Ti(OR)4 ・・・(I) C66-n(COOH)n ・・・(II) 一般式(I)で表わされるチタンテトラアルコキサイド
としては、Rがアルキル基および/またはフェニル基で
あれば特に限定されないが、チタンテトライソプロポキ
シド、チタンテトラプロポキシド、チタンテトラブトキ
シド、チタンテトラエトキシド、チタンテトラフェノキ
シドなどが好ましく用いられる。また、かかるチタン化
合物として反応させる一般式(II)で表される芳香族
多価カルボン酸またはその無水物としては、フタル酸、
トリメリット酸、ヘミメリット酸、ピロメリット酸およ
びこれらの無水物が好ましく用いられる。上記チタン化
合物と芳香族多価カルボン酸またはその無水物とを反応
させる場合には、溶媒に芳香族多価カルボン酸またはそ
の無水物の一部とを溶解し、これにチタン化合物を滴下
し、20〜200℃の温度で30分以上反応させれば良
い。
【0015】本発明のポリエステルには、ポリマー中に
可溶なチタン化合物をチタン元素として2〜20ミリモ
ル%含有することが好ましい。さらに好ましくは4〜2
0ミリモル%の範囲である。チタン元素が2ミリモル%
未満では、ポリエステルの生産性が低下する場合がある
ことから、目標の分子量のポリエステルが得ることが困
難になるので好ましくない。また、チタン元素が20ミ
リモル%を超える場合は、熱安定性が逆に低下し、フィ
ルム製造時の分子量低下が大きくなる場合があることか
ら、目的のポリエステルを得ることが困難になるので好
ましくない。なおここで言うチタン元素の含有量とは、
エステル交換反応による第一段階反応をする場合は、エ
ステル交換反応触媒として使用されたチタン化合物と重
縮合反応触媒として使用されたチタン化合物の合計を示
す。
【0016】また本発明のポリエステルにはポリエステ
ルの一般的な触媒として用いられるアンチモン化合物お
よびゲルマニウム化合物をいずれか片方あるいは両方を
併用して重縮合触媒として用いた場合、本発明で得られ
る保味保香性と耐加水分解性を具備するポリエステルフ
ィルムが得られないので、アンチモン元素、ゲルマニウ
ム元素を実質的に含有しないことが必要である。すなわ
ち、本発明のポリエステルには、アンチモン元素および
ゲルマニウム元素の合計量が2ミリモル%以下であるこ
とが必要である。
【0017】前述のように本発明におけるポリエステル
は、チタン化合物を触媒として製造され、下記式(1)
〜(3)の全てを満足する必要がある。 0.1≦Ti/P≦3.0 ・・・(1) 2≦Ti+P≦60 ・・・(2) 0.3≦(AA+P)/Ti≦40 ・・・(3) 上記式中、Tiはポリエステル中に含有されるチタン化
合物のチタン元素としての割合(ミリモル%)、Pはポ
リエステル中に含有されるリン化合物のリン元素の割合
(ミリモル%)、AAはポリエステル中に含有されるア
セトアルデヒドの割合(ミリモル%)である。
【0018】この条件についてさらに好ましくは、
(1)式中の(Ti/P)は0.3〜2.5の範囲、
(2)式中の(Ti+P)は4〜40の範囲、(3)式
中の(AA+P)/Tiは0.3〜30の範囲である。
【0019】(Ti/P)が0.1未満の場合、ポリエ
ステルの重合反応性が大幅に低下し、目的のポリエステ
ルを得ることができない。また、(Ti/P)が3.0
を超えると、熱安定性が急激に低下し、目的のポリエス
テルを得ることができない。本発明で用いるポリエステ
ルにおいて、(Ti/P)の適正範囲は通常の金属触媒
よりも狭いことが特徴的であるが、適正範囲にある場
合、本発明のごとく従来にない効果を得ることができ
る。
【0020】そして、(Ti+P)が2に満たない場合
は、静電印加法によるフィルム製膜プロセスにおける生
産性が大きく低下し、またフィルム厚みの均一性も低下
することに起因する成形加工性の低下や耐衝撃性の低下
が生じ、満足な性能が得られなくなる。また、(Ti+
P)が60を超える場合は、ポリエステルとの相互作用
により生じるポリエステルの低分子成分によりフレーバ
ー性が低下してしまい、満足な性能が得られなくなる。
【0021】なおここでのリン元素とは、触媒を失活す
るため、あるいはポリマーの安定剤として用いられたリ
ン化合物に由来するものである。従来、ポリエステル中
の触媒活性を抑制し、良好な熱安定性を得る為にはリン
酸系の安定剤を添加する技術が広く知られているが、チ
タン触媒を使用する場合、良好な熱安定性を得る為に必
要な量のリン酸系安定剤を添加すると、重合反応活性を
抑制してしまい、目的の重合度を有するポリマーを得る
ことは困難であった。更に従来の技術で重合したチタン
触媒によるポリエステルでは、本発明の目的である耐加
水分解性が低下してしまい課題が生じる場合がある。
【0022】そこで、チタン触媒の重合活性を低下させ
ずに高い熱安定性を得る為には、ポリエステル重合時の
副生成物であるアセトアルデヒドと触媒として添加せし
めるチタン化合物の高い相互作用を利用する。さらに、
従来知られているリン酸系安定剤とチタン触媒との相互
作用を考慮した夫々の存在比をコントロールすることに
よって、ポリエステルの生産性、耐加水分解性、保味保
香性性を大きく改善する。
【0023】また、本発明のポリエステルは、アルカリ
金属化合物のアルカリ金属元素の総量が2ミリモル%以
下であることが保味保香性保持のため好ましい。特に好
ましくは1ミリモル%以下である。このアルカリ金属元
素の総量は、原子吸光分析により定量されるLi、N
a、K元素の濃度の和である。
【0024】本発明におけるフィルムの固有粘度(ο−
クロロフェノール、35℃)は、0.50〜0.80の
範囲にあることが好ましく、さらに0.55〜0.7
5、特に0.60〜0.70の範囲が好ましい。固有粘
度が0.50未満であるとフィルムの耐衝撃性が低下す
るため好ましくない。他方、固有粘度が0.80を超え
ると、原料ポリマーの固有粘度を過剰に引き上げる必要
があり生産性に劣る。
【0025】本発明のポリエステルのガラス転移温度
(以下Tgと略することがある)は、(B)層において
は成形性の観点から75℃以下である必要があるが、同
時に耐熱性の観点から70℃以上であることが好まし
い。Tgが70℃未満であると、耐熱性が劣りフィルム
のレトルト処理後の保味保香性が悪化することがある。
(A)層においては製缶後の耐衝撃性の観点から75℃
以上である必要がある。
【0026】ここでポリエステルのTgは、DSC測定
用パンに20mgのサンプルを入れ、290℃加熱ステ
ージ上で5分間加熱溶融後、すばやく試料パンを氷の上
に敷いたアルミ箔上で急冷固化し、Du Pont I
nstruments 910 DSCを用い、昇温速
度20℃/分でガラス転移点を求める方法による。
【0027】本発明のポリエステルの融点は、210〜
245℃の範囲、特に215〜235℃の範囲にあるこ
とが好ましい。融点が210℃未満ではフィルムの耐熱
性が劣り好ましくなく、一方融点が245℃を超える
と、フィルムの結晶性が高くなりフィルムの成形加工性
が損なわれるようになるので好ましくない。ここでフィ
ルムの融点測定は、Du Pont Instrume
nts 910 DSCを用い、昇温速度20℃/分で
融解ピークを求める方法による。なおサンプル量は20
mgとする。
【0028】さらに、本発明におけるポリエステルフィ
ルムは末端カルボキシル基濃度が40eq/106g以
下、特に好ましくは35以下であることが好ましい。な
お、末端カルボキシル基は、A.Conixの方法(M
akromol. Chem. 26, 226(19
58))に従って求めることができる。
【0029】ポリエステルフィルムには、フィルムの巻
取り性を向上させる目的で平均粒径2.5μm以下の粒
子を滑剤として添加することができる。本発明では耐ピ
ンホールの観点より、少なくともポリエステルフィルム
(A)層には、多孔質粒子および/または凝集していな
い不活性球状粒子を含有する必要がある。ここで多孔質
粒子は、平均粒径0.1〜2.5μm、粒度分布d=D
70(積算粒子数70%の粒子径)/D30(積算粒子
数30%の粒子径)が1.2〜2.0、細孔容積0.0
5〜2.5ml/g、比表面積50〜600m2/gお
よび耐圧縮力1〜100Mpaであるものを使用する。
また、不活性球状粒子は、粒径比(長径比/短径比)が
1.0〜1.2、そして平均粒径が0.05〜2.0μ
mである凝集していないものを使用する。
【0030】なおここで、凝集していない不活性球状粒
子とは、公称粒径の10倍を越える凝集粒子数が100
0個/粉体1mg以下である物を指す。例えば粒径0.
3μmの粒子であれば、滑剤スラリーを3μm径のポア
フィルターでろ過し、ろ紙上を乾燥後にSEMで観察し
て、3μmを越えるの凝集粒子数をカウントして、観察
領域と滑剤スラリー濃度から、カウント数を粉体1mg
に換算して判断する。
【0031】多孔質粒子の平均粒径は、好ましくは0.
1〜1.5μmであり、特に好ましくは0.3〜1.0
μmである。平均粒径が2.5μmを超えると成形加工
時にピンホールを生じ易くなり好ましくない。ここで、
粒子の平均粒径は、遠心沈降式粒度分布測定器によって
得た等価球径分布における積算50%点の値を用いる。
【0032】また多孔質粒子滑剤の粒度分布dは、好ま
しくは1.3〜1.9、特に好ましくは1.4〜1.8
である。粒度分布が1.2より小さい場合は粒子径が相
対的に小さくなるため、フィルムの生産性が低下し、ま
た深絞り加工性が劣るようになり好ましくない。粒度分
布が2.0を超える場合はフィルム中で粗大粒子となる
ような大きな粒子が相対的に増えてしまうため、成形加
工時のピンホールや耐衝撃性が劣るようになり好ましく
ない。なお、粒度分布dは、レーザー散乱式粒度分布測
定器によって得られる粒度分布から、積算粒子数(体積
換算)70%の粒子径(D70)と同30%の粒子径
(D30)を読み取り、それらの比(D70/D30)
から求められる。
【0033】また、多孔質粒子の細孔容積の範囲は0.
05〜2.5ml/gである必要がある。好ましくは
0.1〜2.0ml/gであり、さらに好ましくは0.
5〜1.8ml/gである。細孔容積が0.05ml/
gに満たないとフィルムとの親和性が低下し成形加工時
のフィルムの破断を引き起こし、2.5ml/gを超え
る場合には成形加工時に粉砕されてしまい、粒子の一部
が飲料中に混入しやすくなり保味保香性を低下させるた
め好ましくない。ここで、滑剤の細孔容積は、水銀−ヘ
リウム法によって測定する。
【0034】また、多孔質粒子の比表面積は、上記の如
く50〜600m2/gであり、好ましくは150〜4
50m2/gである。粒子の比表面積が50m2/gに満
たないと高変形時の耐ピンホール性が低下することがあ
り、600m2/gを超える場合には粒子の表面活性が
高くなりポリエステルの耐熱性が低下することがあるた
め好ましくない。
【0035】さらに、多孔質粒子の耐圧縮率は1〜10
0MPa以下である必要がある。好ましくは5〜50M
Paである。耐圧縮率が100MPaを超える場合は成
形加工時に粒子自体がフィルムを削ってしまい耐衝撃性
や防錆性を低下させてしまう。ここで、粒子の耐圧縮率
は以下のとおり定義する。微小圧縮試験機を用い、顕微
鏡で対象粒子を観察しながら粒子に荷重をかけていき、
破壊した際の荷重を求め、この操作を少なくとも100
個の粒子について行った結果の平均値を耐圧縮力とす
る。
【0036】また、本発明に使用される多孔質粒子を構
成する1次粒子としては、無機粒子としてはコロイダル
シリカ、酸化チタン、炭酸カルシウム、燐酸カルシウ
ム、硫酸バリウム、アルミナ、ジルコニア、カオリン、
複合酸化物粒子等が挙げられ、有機粒子としては架橋ポ
リスチレン、アクリル系架橋粒子、メタクリル系架橋粒
子、シリコーン粒子等が挙げられる。
【0037】かかる多孔質粒子は、好ましくは水酸基価
300mgKOH/g以下、より好ましくは200mg
KOH/g以下の濃度で水酸基を有する。水酸基価が3
00mgKOH/gを超える場合、粒子の表面活性が高
くなり、粒子同士の相互作用による凝集粗大粒子を発生
やポリエステルとの相互作用による熱安定性の低下を起
こすことがあり好ましくない。
【0038】不活性球状粒子は、平均粒径が0.05〜
2.0μmである必要があり、好ましくは0.07〜
1.7μm、さらに好ましくは0.08〜1.5μmで
ある。かかる粒子の平均粒径が0.05μmに満たない
場合は、フィルム生産性が低下し、またフィルム表面性
が平坦になるものの、成形加工性が反って劣るようにな
るため好ましくない。また2.0μmを超える場合は、
成形加工時のピンホールが多発し、満足な製品が得られ
なくなり好ましくない。また、(A)層中には不活性微
粒子と多孔質粒子の両方を含有し、さらに不活性球状粒
子の平均粒径が多孔質粒子の平均粒径よりも小さく、か
つ0.08〜1.5μmの範囲にあることが、高度な深
絞り成形加工性とフィルム生産性および保味保香性との
バランス上、非常に好ましい。
【0039】不活性球状粒子としては、無機系滑剤とし
てはシリカ、アルミナ、酸化チタン、炭酸カルシウム、
硫酸バリウムなどが例示でき、有機系滑剤としてはシリ
コーン樹脂微粒子、架橋ポリスチレンなどが例示でき
る。これらのうち、真球状シリカ、真球状シリコーン樹
脂微粒子、球状架橋ポリスチレンが好ましく、真球状シ
リカが特に好ましい。また不活性球状粒子としては、上
記の如き外部添加粒子に限るものではなく、例えばポリ
エステル製造時に用いた触媒などの一部または全部を反
応工程で析出させた内部析出粒子を用いることもでき
る。また、外部添加粒子と内部析出粒子を併用すること
も可能である。
【0040】(A)層には、多孔質粒子および/または
不活性球状粒子を合計量で0.05〜1重量%含有する
ことが必要である。好ましくは0.08〜0.8重量%
であり、さらに好ましくは0.1〜0.7重量%であ
る。合計の含有量が0.05重量%に満たない場合はフ
ィルム生産性が低下し、また深絞り成形加工性が劣るよ
うになるため好ましくない。また、1重量%を超える場
合は深絞り成形加工性が劣るようになり好ましくない。
また、多孔質粒子の含有量は0.01〜0.7重量%の
範囲にあり、不活性球状粒子の含有量は0.01〜0.
5重量%の範囲にあることが好ましい。
【0041】本発明において粒子をポリエステルに含有
させる方法は特に限定されるものではなく、例えば、ポ
リエステル製造工程の任意の段階で添加する方法が挙げ
られる。また、共重合ポリエステルには必要に応じて、
酸化防止剤、熱安定剤、粘度調整剤、可塑剤、色相改良
剤、核剤、紫外線吸収剤などの添加剤を加えることがで
きる。
【0042】本発明のポリエステルフィルムは、共重合
ポリエステル(B)層の片面あるいは両面に、共重合ポ
リエステル(A)層を積層した積層フィルムである。積
層の方法としては、例えばポリエステル(A)及び
(B)をそれぞれ独立に溶融し、隣接したダイより共押
出しする方法、共重合ポリエステルフィルム(A)に共
重合ポリエステルフィルム(B)をラミネートする方法
等が挙げられる。
【0043】また本発明のフィルムは、二軸延伸し、必
要により熱固定された二軸延伸フィルムの形態で使用さ
れる。具体的に逐次二軸延伸による方法を以下に説明す
る。本発明のフィルムは、ポリエステルを溶融してダイ
スより押出し、固化前に積層融着した後、直ちに急冷し
て実質的に非晶質のポリエステルシートを得る。次いで
このシートをロール加熱、赤外線加熱等で加熱して縦方
向に延伸する。このとき延伸温度をポリエステルのガラ
ス転移点(Tg)より20〜40℃高い温度とし、延伸
倍率を2.7〜3.6倍とすることが好ましい。横方向
の延伸はTgより20℃以上高い温度から始め、ポリエ
ステルの融点(Tm)より100〜130℃低い温度ま
で昇温しながら行うのが好ましい。横延伸の倍率は2.
8〜3.7倍とすることが好ましい。また、熱固定の温
度は150℃〜205℃の範囲でポリエステルポリマー
の融点に応じフィルム品質を調整すべく選択する。
【0044】本発明のフィルムが貼合せられる金属板、
特に製缶用金属板としては、ブリキ、ティンフリースチ
ール、アルミニウム等の板が適切である。金属板へのフ
ィルムの貼合せは、例えば下記イやロの方法で行うこと
ができるが、2層フィルムにおいて本発明の性能を発現
するには、ポリエステル(B)層を金属板と貼り合わせ
る必要がある。
【0045】イ. 金属板をフィルムの融点以上に加熱
しておいてフィルムを貼合せた後冷却し、金属板に接す
るフィルムの表層部(薄層部)を非晶化して密着させ
る。
【0046】ロ. フィルムに予め接着剤層をプライマ
ーコートしておき、この面と金属板を貼合せる。接着剤
層としては公知の樹脂接着剤、例えばエポキシ系接着
剤、エポキシ−エステル系接着剤、アルキッド系接着剤
等を用いることができる。
【0047】
【実施例】実施例と比較例において、フィルムの特性は
下記の方法で測定・評価した。
【0048】(1)ポリエステルの固有粘度(IV) オルトクロロフェノール中、35℃で測定する。
【0049】(2)ポリエステルの融点(Tm) Du Pont Instruments 910 D
SCを用い、昇温速度20℃/分で融解ピークを求める
方法による。なおサンプル量は20mgとする。
【0050】(3)ガラス転移温度(Tg) DSC測定用パンに20mgのサンプルを入れ、290
℃加熱ステージ上で5分間加熱溶融後、すばやく試料パ
ンを氷の上に敷いたアルミ箔上で急冷固化した後、Du
Pont Instruments 910 DSC
を用い、昇温速度20℃/分でガラス転移点を求める方
法による。
【0051】(4)末端カルボキシル基濃度(eq(当
量)/106g) A.Conixの方法(Makromal.Chem.
26,226(1958))に準じて測定した。
【0052】(5)滑剤平均粒径 遠心沈降式粒度分布測定器で測定した等価球径分布にお
ける積算体積分率50%の直径を平均粒径とする。
【0053】(6)粒度分布 レーザー散乱式粒度分布測定器(島津製作所(株)製S
ALD2000)を用いて測定した積算粒度分布から、
積算粒子数(体積換算)70%の粒子径(D70)と同
30%の粒子径(D30)の比をとって、多孔質粒子滑
剤の粒度分布dとする。すなわち、d=D70/D30
である。
【0054】(7)細孔容積 カンタクローム社製オートソーブ−1を使用し、定容法
を用いた窒素吸着測定により、粉体の空隙が窒素により
充填されていると仮定して相対圧力=0.998におけ
る窒素吸着量から粉体の細孔容積を求める。
【0055】(8)比表面積 細孔容積と同様にカンタクローム社製オートソーブ−1
を使用し、定容法を用いた窒素吸着測定により、相対圧
力0.3における窒素吸着量を求め、これを用いてB.
E.T 1点法での粉体の比表面積を求める。なお、こ
こで言う比表面積とは粉体の単位重量当りの全表面積を
表わす。
【0056】(9)耐圧縮力 島津製作所製 微小圧縮試験機MCTM−201を用い
て、顕微鏡で対象粒子を観察しながら荷重範囲に応じて
一定の速度で荷重をかけていき(荷重0.01〜0.2
g間:荷重速度3mg/秒,0.2〜2g間:29mg
/秒,2〜20g間:270mg/秒,20〜200g
間:1440mg/秒)、破壊した際の荷重を耐圧縮力
とし、この操作を少なくとも100個の粒子について行
った結果の平均値を平均耐圧縮力とする。
【0057】(10)水酸基価 滑剤粉体中の水酸基を無水酢酸によりアセチル化し、こ
れに一定量のジ−n−ブチルアミンを加え、過剰の無水
酢酸をアセチル化し、残ったジ−n−ブチルアミンをH
Clにて滴定することにより、水酸基により消費された
無水酢酸量を求め、水酸基価を下記式にて求める。なお
参考文献として「J.Pharm.Sci.,66,2
73(1977)」を挙げることができる。 水酸基価(mgKOH/g)=((A−B)×F)/S A:本試験のN/2 HCl溶液の使用量(ml) B:空試験のN/2 HCl溶液の使用量(ml) F:N/2 HCl溶液の力価(KOHmg/ml) S:サンプル採取量(g)。
【0058】(11)アルカリ金属量 フィルムサンプルをο−クロロフェノールに溶解した
後、0.5規定塩酸で抽出操作を行った。この抽出液に
ついて日立製作所製Z−6100形偏光ゼーマン原子吸
光光度計を用いてNa、K、Liの定量を元素毎に行
い、その和をアルカリ金属量とした。
【0059】(12)チタン元素、ゲルマニウム元素、
アンチモン元素およびリン元素量 フィルムサンプルを240℃に加熱溶融して、円形ディ
スクを作成し、リガク製蛍光X線装置3270型を用い
て触媒金属元素およびリン元素濃度を定量した。
【0060】(13)ジエチレングリコール量 フィルムをCDCl3/CF3COOD混合溶媒にて溶解
し、1H−NMRにて測定した。
【0061】(14)耐加水分解性 フィルムを、イオン交換水を満注した容器に浸漬し、7
0℃で30日間保持した。この際の分子量低下を(1)
記載の固有粘度測定によって評価した。 ○:IV低下が0.04以下 △:IV低下が0.04を超え0.10未満 ×:IV低下が0.10以上。
【0062】(15)ラミネート性 フィルムを、共重合ポリエステルの融点以上に加熱した
板厚0.25mmのティンフリースチール板と貼合せた
後、冷却して被覆鋼鈑を得た。この被覆鋼鈑を観察し、
ラミネート性を下記の判定基準で評価した。 <気泡、しわの判定基準(ラミネート性A)> 〇:気泡、しわが見られない。 △:気泡、しわが長さ10cm当り2〜3箇所見られ
る。 ×:気泡、しわが多数見られる。 <熱収縮率の判定基準(ラミネート性B)> 〇:収縮率が2%未満。 △:収縮率が2%以上5%未満。 ×:収縮率が5%以上。
【0063】(16)深絞り加工性−1 前項(15)と同じ方法でフィルムをラミネートしたテ
ィンフリースチール板を150mm径の円板状に切り取
り、絞りダイスとポンチを用いて4段階で深絞り加工
し、55mm径の側面無継目容器(以下、缶と略するこ
とがある)を作成した。この缶について以下の観察を行
い、下記の基準で評価した。 ○:フィルムに異常なく加工されたフィルムに白化や破
断が認められない。 △:フィルムの缶上部に白化が認められる。 ×:フィルムの一部にフィルム破断が認められる。
【0064】(17)深絞り加工性−2 前項(16)で得られた缶について以下の観察および試
験を行い、下記の基準で評価した。 ○:異常なく加工され、缶内フィルム面の防錆性試験
(1%NaCl水溶液を缶内に入れ、電極を挿入し、缶
体を陽極にして6Vの電圧をかけた時の電流値を測定す
る。以下、ERV試験と略することがある)において
0.2mA以下を示す。 ×:フィルムに異常はないが、ERV試験では電流値が
0.2mAを超えており、通電箇所を拡大観察するとフ
ィルムの粗大滑剤を起点としたピンホール状の割れが認
められる。
【0065】(18)耐衝撃性 深絞り加工性が良好な缶について、水を満注し、0℃に
冷却した後、10個ずつを高さ30cmから塩ビタイル
床面に落とした後、ERV試験を行い、下記の基準で評
価した。 ○:全10個について0.2mA以下であった。 △:1〜5個について0.2mAを超えていた。 ×:6個以上について0.2mAを超えていたか、ある
いは落下後既にフィルムのひび割れが認められた。
【0066】(19)耐熱脆化性 深絞り加工性が良好であった缶を200℃、5分間加熱
保持した後、前述の耐衝撃性評価を行い、下記の基準で
評価した。 ○:全10個について0.2mA以下であった。 △:1〜5個について0.2mAを超えていた。 ×:6個以上について0.2mAを超えていたか、ある
いは200℃×5分間加熱後既にフィルムのひび割れが
認められた。
【0067】(20)耐レトルト性 深絞り加工性が良好な缶について、水を満注し、蒸気滅
菌器で120℃、1時間レトルト処理を行った後、55
℃で60日間保存した。処理後の缶を10個ずつ高さ5
0cmから塩ビタイル床面に落とした後、缶内のERV
試験を行い、下記の基準で評価した。 ○:全10個について0.2mA以下であった。 △:1〜5個について0.2mAを超えていた。 ×:6個以上について0.2mAを超えていたか、ある
いは落下後既にフィルムのひび割れが認められた。
【0068】(21)保味保香性−1 深絞り加工性が良好な缶について、イオン交換水を充填
し、常温(20℃)で60日間保管した。その充填液を
用いて30人のパネラーにて試飲テストを行い、比較用
のイオン交換水と比較し、下記の基準で評価した。 ◎:30人中3人以下が比較液と比べて味、香りの変化
を感じた。 〇:30人中4人〜6人が比較液と比べて味、香りの変
化を感じた。 △:30人中7人〜9人が比較液と比べて味、香りの変
化を感じた。 ×:30人中10人以上が比較液と比べて味、香りの変
化を感じた。
【0069】(22)保味保香性−2 深絞り加工性が良好な缶について、イオン交換水を充填
し、蒸気滅菌器で125℃、1時間レトルト処理を行っ
た後、常温(20℃)で60日間保管した。その充填液
を用いて30人のパネラーにて試飲テストを行い、比較
用のイオン交換水と比較し、下記の基準で評価した。 ◎:30人中3人以下が比較液と比べて味、香りの変化
を感じた。 〇:30人中4人〜6人が比較液と比べて味、香りの変
化を感じた。 △:30人中7人〜9人が比較液と比べて味、香りの変
化を感じた。 ×:30人中10人以上が比較液と比べて味、香りの変
化を感じた。
【0070】[実施例1〜5および比較例1〜6,8]
表1に示す酸成分、ジエチレングリコール、重合触媒
と、エチレングリコールを用い、表1および表2に記載
された金属含有量および滑剤粒子を使用して得られた共
重合ポリエチレンテレフタレートを用意した。
【0071】そしてそれぞれ別々に常法により乾燥、2
80℃で溶融したあと、互いに隣接した二層ダイから重
なるように共押出して、積層、融着させて急冷固化し、
未延伸積層フィルムを作成した。次いでこの未延伸フィ
ルムを縦方向に110℃で3.0倍延伸した後、横方向
に120℃で3.0倍延伸し、180℃で熱固定して二
軸配向フィルムを得た。得られた各フィルムの厚みは2
5μmであった。
【0072】フィルムの特性を表3に、評価結果を表4
に示す。なお表3中で、COOHはフィルム中に含有す
るカルボキシル基濃度(eq/106g)、AAはフィ
ルム中に含有するアセトアルデヒド濃度(ミリモル%)
を示す。
【0073】なお表中で、TAはテレフタル酸、NDC
は2,6−ナフタレンジカルボン酸、IAはイソフタル
酸、DEGはジエチレングリコールを示す。そして例え
ば「TA(90)」とは、テレフタル酸成分が90モル
%であることを示す。また表中で、TBTはテトラブト
キシチタン、TMAはトリメリット酸、GeO2は二酸
化ゲルマニウム、Sb23は三酸化アンチモンを示す。
さらに表中で、Tiはフィルム中に残存するポリマー可
溶性チタン触媒金属元素の濃度(ミリモル%)、Pはフ
ィルム中に残存するリン元素濃度(ミリモル%)、Ak
はフィルム中に残存するアルカリ金属元素(Na,K,
Li)の濃度(ミリモル%)、Geはフィルム中に残存
するゲルマニウム触媒金属元素の濃度、Sbはフィルム
中に残存するアンチモン触媒金属元素の濃度を示す。
【0074】また、表1中に示されたTBT(テトラブ
トキシチタン)とTMA(トリメリット酸)の混合触媒
(て実施例2と5)は、次の要領で調製した。無水トリ
メリット酸のエチレングリコール溶液(0.2%)にテ
トラブトキシチタンを無水トリメリット酸に対して1/
2モル添加し、空気中常圧下で80℃に保持して60分
間反応せしめた。その後、常温に冷却し、10倍量のア
セトンによって生成触媒を再結晶化させ、析出物をろ紙
によって濾過し、100℃で2時間乾燥せしめ、目的の
触媒を得た。
【0075】[実施例6]表1に示す酸成分、ジエチレ
ングリコール、重合触媒と、エチレングリコールを用
い、表1および表2に記載された金属含有量および滑剤
粒子を使用して得られた共重合ポリエチレンテレフタレ
ートをそれぞれ別々に常法により乾燥、280℃で溶融
したあと、互いに隣接した三層ダイから(A)(B)
(C)(ただしC=A)の順序に重なるように共押出し
て、積層、融着させて急冷固化し、未延伸積層フィルム
を作成した。次いでこの未延伸フィルムを縦方向に11
0℃で3.0倍延伸した後、横方向に120℃で3.0
倍延伸し、180℃で熱固定して二軸配向フィルムを得
た。得られた各フィルムの厚みは25μmであった。フ
ィルムの特性を表3に、評価結果を表4に示す。
【0076】[比較例7]粒度分布dが4.0である球
状シリカ粒子を0.1重量%含有することのみ異なる
が、それ以外は実施例1〜4と同法で得られた二軸配向
フィルム。フィルムの特性を表3に、評価結果を表4に
示す。
【0077】[比較例9と10]表1に示す酸成分、ジ
エチレングリコール、重合触媒と、エチレングリコール
を用い、表1および表2に記載された金属含有量および
滑剤粒子を使用して得られた共重合ポリエチレンテレフ
タレートを常法により乾燥、280℃で溶融したあと、
急冷固化し、未延伸単層フィルムを作成した。次いでこ
の未延伸フィルムを縦方向に110℃で3.0倍延伸し
た後、横方向に120℃で3.0倍延伸し、180℃で
熱固定して二軸配向フィルムを得た。得られた各フィル
ムの厚みは25μmであった。フィルムの特性を表3
に、評価結果を表4に示す。
【0078】表4からも明らかなように、各層を構成す
るフィルムの融点,ガラス転移温度が適正範囲にあり、
Ti化合物を本発明の規定する範囲量を使用したフィル
ムでは良好な性能が得られたが、滑剤粒子の細孔容積・
比表面積が本発明の範囲を外れる場合(比較例1〜3)
や、チタン金属以外にゲルマニウム金属およびアンチモ
ン金属の合計量が2ミリモル%を超える場合(比較例4
〜6)、また(Ti/P)の存在比が3.0を超える場
合(比較例7)、あるいは単層フィルムの場合(比較例
9〜10)は、成形加工性・耐衝撃性・保味保香性を全
て満足するには至らなかった。
【0079】
【表1】
【0080】
【表2】
【0081】
【表3】
【0082】
【表4】
【0083】
【発明の効果】本発明によれば、フィルムに特定の特性
を有する滑剤を添加し、かつ特定範囲のガラス転移温度
・融点を持ち、特定量のチタン化合物を用いて製造され
た共重合ポリエステルフィルムを積層させることで耐ピ
ンホール性・耐衝撃性・保味保香性を同時に改善し、安
価で衛生上も望ましい金属板貼合せ成形加工用積層ポリ
エステルフィルムを提供することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4F071 AA43 AA45 AB26 AH19 BB06 BC01 BC10 4F100 AB01A AK41B AK41C AK41K AK42B AK42C AK42J AL01B AL01C BA03 BA07 BA10A BA10B CA19B DE01B DE01H DJ00B DJ00H GB16 JA04B JA04C JA05B JA05C JA06B JA06C JB11B JB11H JC00 JK10 JK14 JL01 JL09B YY00B YY00C 4J029 AA03 AB02 AB05 AB07 AC02 AE03 AE13 BA02 BA03 BA04 BA05 CA02 CA06 CB05A CB06A CD03 HA01 HB01 JB131 JB161 JF321

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 成形加工される金属板に貼り合せて利用
    される金属板貼合せ成形加工用積層フィルムにおいて、
    フィルムは共重合ポリエステル(A)層と共重合ポリエ
    ステル(B)層とを備え、(A)層は(B)層の片面側
    または両面側に積層され、さらに(A)層は融点が21
    0〜245℃でガラス転移温度が75℃以上であり、か
    つ(A)層はチタン化合物を触媒として用いて製造され
    たポリエステルからなるものであって、(A)層中での
    アンチモン元素とゲルマニウム元素の合計量は2ミリモ
    ル%以下であり、かつ(A)層中でのチタン元素の割合
    をTi(ミリモル%)、(A)層中でのリン元素の割合
    をP(ミリモル%)、(A)層中でのアセトアルデヒド
    の割合をAA(ミリモル%)で表した場合に、下記式
    (1)〜(3)を満足し、 0.1≦Ti/P≦3.0 ・・・(1) 5≦Ti+P≦60 ・・・(2) 0.3≦(AA+P)/Ti≦40 ・・・(3) その上(A)層は多孔質粒子および/または凝集してい
    ない不活性球状粒子を0.05〜1重量%含有するもの
    であり、多孔質粒子は平均粒径が0.1〜2.5μm、
    粒度分布d=D70(積算粒子数70%の粒子径)/D
    30(積算粒子数30%の粒子径)が1.2〜2.0、
    細孔容積が0.05〜2.5ml/g、比表面積が50
    〜600m2/gおよび耐圧縮力が1〜100MPaで
    あって、不活性球状粒子は粒径比(長径/短径)が1.
    0〜1.2、平均粒径0.05〜2.0μmであり、さ
    らに(B)層はエチレンテレフタレートを主たる繰り返
    し単位とし、(B)層の融点は210〜245℃でガラ
    ス転移温度は75℃以下であることを特徴とする金属板
    貼合せ成形加工用積層フィルム。
  2. 【請求項2】 (A)層は、2,6−ナフタレンジカル
    ボン酸を5〜30モル%共重合した共重合ポリエステル
    からなることを特徴とする請求項1記載の金属板貼合せ
    成形加工用積層フィルム。
  3. 【請求項3】 (B)層は、イソフタル酸および/また
    は2,6−ナフタレンジカルボン酸を、合計量で5〜3
    0モル%共重合した共重合ポリエステルからなることを
    特徴とする請求項1〜2のいずれかに記載の金属板貼合
    せ成形加工用積層フィルム。
  4. 【請求項4】 チタン化合物は、アルキル基またはフェ
    ニル基をRとして表し、2〜4の整数をnで表わした場
    合に、下記一般式(I)で表わされる化合物、もしくは
    下記一般式(I)で表わされる化合物と下記一般式(I
    I)で表わされる芳香族多価カルボン酸またはその無水
    物との反応生成物であることを特徴とする請求項1〜3
    のいずれかに記載の金属板貼合せ成形加工用ポリエステ
    ルフィルム。 Ti(OR)4 ・・・(I) C66-n(COOH)n ・・・(II)
  5. 【請求項5】 (A)層と(B)層を構成する共重合ポ
    リエステルはいずれも、固有粘度が0.5〜0.8であ
    ることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の金
    属板貼合せ成形加工用積層フィルム。
  6. 【請求項6】 (A)層と(B)層を構成する共重合ポ
    リエステルはいずれも、ジオール成分とジカルボン酸成
    分とを重縮合して得られるポリエステルであり、さらに
    重縮合させるジオール成分中ではエチレングリコールを
    95モル%以上とジエチレングリコールを5モル%以下
    の割合で含有するものであることを特徴とする請求項1
    〜5のいずれかに記載の金属板貼合せ成形加工用積層フ
    ィルム。
  7. 【請求項7】 (A)層と(B)層を構成する共重合ポ
    リエステルはいずれも、末端カルボキシル基濃度が40
    eq/106g以下であることを特徴とする請求項1〜
    6のいずれかに記載の金属板貼合せ成形加工用積層フィ
    ルム。
  8. 【請求項8】 多孔質粒子の粒度分布dが、1.3〜
    1.9であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか
    に記載の金属板貼合せ成形加工用ポリエステルフィル
    ム。
  9. 【請求項9】 多孔質粒子の含有量が、(A)層中では
    0.01〜0.7重量%であることを特徴とする請求項
    1〜8のいずれかに記載の金属板貼合せ成形加工用ポリ
    エステルフィルム。
  10. 【請求項10】 多孔質粒子の水酸基価が、300mg
    KOH/g以下であることを特徴とする請求項1〜9の
    いずれかに記載の金属板貼合せ成形加工用ポリエステル
    フィルム。
  11. 【請求項11】 不活性球状粒子が、シリカであること
    を特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載の金属板
    貼合せ成形加工用ポリエステルフィルム。
  12. 【請求項12】 不活性微粒子の含有量が、(A)層中
    では0.01〜0.5重量%であることを特徴とする請
    求項1〜11のいずれかに記載の金属板貼合せ成形加工
    用ポリエステルフィルム。
  13. 【請求項13】 (A)層中には不活性微粒子と多孔質
    粒子の両方を含有し、不活性微粒子の平均粒径は0.0
    8〜1.5μmであって、かつ多孔質粒子の平均粒径よ
    りも小さいことを特徴とする請求項1〜12のいずれか
    に記載の金属板貼合せ成形加工用ポリエステルフィル
    ム。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2007204538A (ja) * 2006-01-31 2007-08-16 Mitsubishi Polyester Film Copp 太陽電池裏面封止用ポリエステルフィルム
JP2011099005A (ja) * 2009-11-04 2011-05-19 Teijin Dupont Films Japan Ltd 光学用二軸延伸ポリエステルフィルム
WO2015102305A1 (ko) * 2013-12-30 2015-07-09 삼성정밀화학(주) 생분해성 폴리에스테르 수지 제조용 조성물 및 생분해성 폴리에스테르 수지의 제조 방법

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