JP2001192476A - 金属板貼合せ成形加工用ポリエステルフィルム - Google Patents

金属板貼合せ成形加工用ポリエステルフィルム

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JP2001192476A
JP2001192476A JP2000003412A JP2000003412A JP2001192476A JP 2001192476 A JP2001192476 A JP 2001192476A JP 2000003412 A JP2000003412 A JP 2000003412A JP 2000003412 A JP2000003412 A JP 2000003412A JP 2001192476 A JP2001192476 A JP 2001192476A
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俊介 窪田
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 耐熱性、耐衝撃性、防錆性を保持しながら、
耐ピンホール性、深絞り成形加工性、保味保香性および
耐加水分解性を特に改良した金属板貼合せ成形加工用ポ
リエステルフィルム。 【解決手段】 多孔質粒子および実質的に凝集していな
い不活性球状粒子の両方を合計量で0.05〜1重量%
含有するポリエステルからなる二軸配向フィルムであっ
て、該多孔質粒子は平均粒径が0.1〜2.5μm、粒
度分布d=D70(積算粒子数70%の粒子径)/D30
(積算粒子数30%の粒子径)が1.2〜2.0、細孔
容積が0.05〜2.5ml/g、比表面積が50〜6
00m2/gであり、ポリマー中に可溶なチタン化合物
をチタン金属元素として4〜20ミリモル%含有し、さ
らに該ポリエステルに含有されるアンチモン金属元素お
よびゲルマニウム金属元素が高々5ミリモル%であるこ
とを特徴とする金属板貼合せ成形加工用ポリエステルフ
ィルム。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は金属板貼合せ成形加
工用ポリエステルフィルムに関し、さらに詳しくは金属
板と貼合せて絞り加工などの製缶加工をする際優れた成
形加工性を示し、かつ耐熱性、耐レトルト性、保味保香
性、耐衝撃性、防錆性などに優れた金属缶、例えば飲料
缶、食品缶などを製造し得る金属板貼合せ成形加工用ポ
リエステルに関する。
【0002】
【従来の技術】金属缶には内外面の腐蝕防止として一般
に塗装が施されているが、最近、工程簡素化、衛生性向
上、公害防止などの目的で、有機溶剤を使用せずに防錆
性を得る方法の開発が進められ、その一つとして熱可塑
性樹脂フィルムによる被覆が試みられている。即ち、ブ
リキ、ティンフリースチール、アルミニウム等の金属板
に熱可塑性樹脂フィルムをラミネートした後、絞り加工
等により製缶する方法の検討が進められている。この熱
可塑性樹脂フィルムとしてポリオレフィンフィルムやポ
リアミドフィルムが試みられたが、成形加工性、耐熱
性、耐衝撃性、保味保香性の全てを満足するものではな
い。
【0003】そこで、ポリエステルフィルム、特にポリ
エチレンテレフタレートフィルムがバランスのとれた特
性を有することから注目され、これをベースとしたいく
つかの提案がなされている(特開昭56−10451号
公報、特開昭64−22530号公報、特開平1−19
2545号公報、特開平1−192546号公報、特開
平2−57339号公報等が挙げられる)。しかし、成
形加工性、耐レトルト性、保味保香性等を全て満足する
ことは特に大きな変形を伴う成形加工の場合、不十分と
なることが本発明者らの研究で明らかになった。
【0004】また、成形加工性、耐熱性、耐衝撃性、保
味保香性を満足するものとして共重合ポリエステルフィ
ルムが検討されているが、例えば特開平5−33934
8号公報には、特定の融点、ガラス転移温度及び末端カ
ルボキシル基濃度を有する共重合ポリエステルからなる
金属板貼合せ成形加工用ポリエステルフィルムが、また
特開平6−39979号公報には特定の融点、ガラス転
移温度を有する共重合ポリエステルを積層した金属板貼
合せ成形加工用ポリエステルフィルムが提案されている
が、本発明者らの研究によれば、これらのフィルムを用
いた缶を例えば飲料容器に使用した場合、飲料の種類に
よっては、例えば特開昭55−23136号公報に記載
されているような臭気や味に対する変化が感知されるこ
とが明らかになった。
【0005】また、特開平6−116376号公報で
は、特定量のアルカリ金属元素とゲルマニウム元素を含
有する共重合ポリエステルからなる金属板成形加工用ポ
リエステルフィルムが提案されているが、このフィルム
を用いた場合、コールドパックシステムの如き内容物を
詰めた段階で熱のかからない工程では優れた保味保香性
を示すが、レトルト処理の如き内容物を詰めた段階で熱
処理が行われる工程においては、必ずしも十分な保味保
香性が得られない問題がある。
【0006】また、特開平8−40437号公報では、
特定量のオリゴマー類およびアルカリ金属元素を含有す
るポリエステルフィルムが、さらに特開平9−2413
61号公報および特開平10−231413号公報では
アルカリ金属および触媒金属化合物の含有量とリン化合
物の配合比が特定範囲にある共重合ポリエステルが提案
されているが、これらフィルムを用いてもポリエステル
の生産性や二軸配向フィルム生産時の熱劣化性の面で必
ずしも十分ではなく更なる性能の改良が望まれていた。
【0007】また、さらに特開平9−70934号公報
では、特定の金属を特定量含有する積層ポリエステルフ
ィルムが提案されているが、レトルト処理の如き内容物
を詰めた段階で熱処理が行われる工程においては、耐加
水分解性が十分ではなく、必ずしも十分な保味保香性が
得られない問題がある。
【0008】また耐ピンホール性を持つ素材としては、
特開平7−70340号公報では平均粒径1.0μm以
下の滑剤粒子のフィルム中での凝集粒子密度を規定した
共重合ポリエステルフィルムが、特開平8−26921
5号公報ではフィルム中での粒子の変形度を規定したポ
リエステルフィルムが提案されている。しかしながらこ
れらのフィルムでは金属板に通常より大きな変形を与え
た場合、粒子がフィルムより欠落してしまい保味保香性
が低下したり、粒子の耐熱性が低下するため十分な製缶
特性が得られないという問題がある。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、従来
技術の欠点を解消し、共重合ポリエステルフィルムが持
つ優れた耐熱性、耐衝撃性、防錆性を保持しながら、耐
ピンホール性、深絞り成形加工性、保味保香性および耐
加水分解性を特に改良し、さらに高生産性を有し安価で
衛生上も望ましい金属板貼合せ成形加工用ポリエステル
フィルムを提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記目的を
達成するべく鋭意検討を行った結果、フィルムに特定の
特性を有する滑剤を添加し、かつ特定金属元素の含有量
およびリン元素との存在比を特定範囲にすることで、耐
ピンポール性、深絞り成形加工性、耐加水分解性、保味
保香性および耐加水分解性を同時に改善が可能なことを
見出し、本発明の完成に到った。
【0011】すなわち、本発明は、多孔質粒子および実
質的に凝集していない不活性球状粒子の両方を合計量で
0.05〜1重量%含有するポリエステルからなる二軸
配向フィルムであって、該多孔質粒子は平均粒径が0.
1〜2.5μm、粒度分布d=D70(積算粒子数70%
の粒子径)/D30(積算粒子数30%の粒子径)が1.
2〜2.0、細孔容積が0.05〜2.5ml/g、比
表面積が50〜600m2/gおよび耐圧縮力が1〜1
00MPaであり、該不活性球状粒子は粒径比(長径/
短径)が1.0〜1.2、平均粒径0.05〜2.0μ
mであり、そして該ポリエステルはポリマー中に可溶な
チタン化合物をチタン金属元素として4〜20ミリモル
%含有し、下記式(1)、(2)のいずれか一方あるい
は両方を満足し、さらに該ポリエステルに含有されるア
ンチモン金属元素およびゲルマニウム金属元素が高々5
ミリモル%であることを特徴とする金属板貼合せ成形加
工用ポリエステルフィルムである。 0.1≦Ti/P≦3.0 ・・・(1) 5≦Ti+P≦60 ・・・(2) (上記式中、Tiはポリエステル中に含有されるポリエ
ステル可溶チタン化合物のチタン金属元素の濃度(ミリ
モル%)、Pはポリエステル中に含有されるリン化合物
のリン元素の濃度(ミリモル%)を示す。)
【0012】以下本発明を詳しく説明する。本発明にお
けるポリエステルは、エチレンテレフタレートを主たる
繰返し単位とするポリエステルである。このポリエステ
ルは、エチレンテレフタレート単位を構成する成分以外
の第3成分を共重合した、共重合ポリエチレンテレフタ
レートが耐熱性、成形加工性の点で好ましい。上記第3
成分(共重合成分)は、ジカルボン酸成分またはグリコ
ール成分のいずれでもよい。第3成分として好ましく用
いられるジカルボン酸成分としては、2,6−ナフタレ
ンジカルボン酸、イソフタル酸、フタル酸等の如き芳香
族ジカルボン酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン
酸、デカンジカルボン酸等の如き脂肪族ジカルボン酸、
シクロヘキサンジカルボン酸等の如き脂環族ジカルボン
酸等が例示でき、これらは単独または二種以上を使用す
ることができる。これらの中、2,6−ナフタレンジカ
ルボン酸およびイソフタル酸が好ましい。第3成分とし
て好ましく用いられるグリコール成分としてはジエチレ
ングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグ
リコール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサ
ンジオール等の如き脂肪族ジオール、シクロヘキサンジ
メタノール等の如き脂環族ジオール、ビスフェノールA
等の如き芳香族ジオール、ポリエチレングリコール、ポ
リプロピレングリコール等の如きポリアルキレングリコ
ールが例示できる。これらは単独または二種以上を使用
することができる。これらの中、ジエチレングリコール
が好ましい。本発明におけるポリエステルとしては、以
下の3種の共重合ポリエステルが好ましい。 (a) 全ジカルボン酸成分がテレフタル酸およびイソフタ
ル酸を含有してなりそしてテレフタル酸が82モル%以
上であり、イソフタル酸が18モル%以下であり、全ジ
オール成分の82〜100モル%がエチレングリコール
でありそして0〜18モル%がエチレングリコール以外
のジオールからなる共重合ポリエステル。 (b) 全ジカルボン酸成分がテレフタル酸および2,6−
ナフタレンジカルボン酸を含有してなりそしてテレフタ
ル酸が82モル%以上であり、2,6−ナフタレンジカ
ルボン酸が18モル%以下であり、全ジオール成分の8
2〜100モル%がエチレングリコールでありそして0
〜18モル%がエチレングリコール以外のジオールから
なる共重合ポリエステル。 (c) ジカルボン成分がテレフタル酸であり、グリコール
成分は、エチレングリコールおよびジエチレングリコー
ルを含有してなりそしてエチレングリコールが95モル
%以上かつジエチレングリコールが5モル%以下の共重
合ポリエステル。
【0013】上記(b)の共重合ポリエステルは、フレー
バー性、成形加工性の点で好ましい。さらに、上記(a)
の共重合ポリエステルに、ジカルボン酸成分としてさら
に2,6−ナフタレンジカルボン酸を含むことが好まし
く、フレーバー性、耐衝撃性がさらに改善される。ま
た、共重合ポリエステル(a)、(b)のエチレングリコール
以外のグリコール成分としては、トリエチレングリコー
ル、シクロヘキサンジメタノール、ネオペンチルグリコ
ール、ジエチレングリコールが挙げられ、これらの中1
種以上を含むことはフレーバー性、成形加工性の点で好
ましい。共重合ポリエステル(c)は、全グリコール成分
に対するジエチレングリコール成分の共重合量が4モル
%以下であることが特に好ましい。ジエチレングリコー
ルの共重合量が5モル%を超えると、耐熱性が低下する
ことがある。なお、このジエチレングリコール成分はエ
チレングリコールをグリコール成分とする共重合芳香族
ポリエステルを製造する際に副生するジエチレングリコ
ール成分も含む。
【0014】本発明のポリエステルは任意の方法によっ
て合成される。例えばイソフタル酸の如き第三成分を共
重合する共重合ポリエチレンテレフタレートについて説
明すれば、テレフタル酸およびイソフタル酸の低級アル
キルエステルとエチレングリコールとをエステル交換反
応させるか、またはテレフタル酸およびイソフタル酸と
エチレングリコールとを直接エステル化反応させるか、
またさらにはテレフタル酸グリコールエステルおよび/
またはその低重合体とイソフタル酸をエステル化反応さ
せて、テレフタル酸−イソフタル酸のグリコールエステ
ルおよび/またはその低重合体が生成される第一段階の
反応が行われる。この反応生成物を高真空化加熱して脱
グリコール反応を進行させることで所望の重合度になる
まで重縮合反応させて目的のポリエステルを得ることが
できる。上記の方法(溶融重合)により得られたポリエ
ステルは、必要に応じて固相状態での重合方法(固相重
合)により、さらに重合度の高いポリマーとすることが
できる。
【0015】本発明において、エステル交換反応によっ
て溶融重合時の第一段階の反応を行う場合には、該反応
時にエステル交換反応触媒の添加が必要である。一般に
エステル交換反応触媒としてはカルシウム化合物、マン
ガン化合物、チタン化合物などが挙げられ、いずれも用
いることができるが、触媒量を最小化でき、得られるポ
リエステルが優れた保味保香性を有する点でポリマー中
に可溶なチタン化合物が好ましい。また、重縮合反応に
使用する触媒にも、優れた耐加水分解性および保味保香
性の点で、ポリマー中に可溶なチタン化合物を使用する
ことが必要である。チタン化合物としては、特に限定さ
れず、ポリエステルの重縮合触媒として一般的なチタン
化合物、例えば、酢酸チタンやチタンテトラブトキシド
などが挙げられる。
【0016】本発明のポリエステルにはポリマー中に可
溶なチタン金属元素として4〜20ミリモル%含有する
必要がある。さらに好ましくは7〜14ミリモル%の範
囲である。該チタン金属元素が4ミリモル%未満ではポ
リエステルの生産性が低下し、目標の分子量のポリエス
テルが得られない事もある。また、該チタン金属元素が
20ミリモル%を超える場合は、熱安定性が逆に低下
し、フィルム製造時の分子量低下が大きくなり目的のポ
リエステルが得られない。尚、ここで言うポリマー中に
可溶なチタン金属元素とは、エステル交換反応による第
一段階反応をする場合は、エステル交換反応触媒として
使用されたチタン化合物と重縮合反応触媒として使用さ
れたチタン化合物の合計量を示す。
【0017】また本発明のポリエステルにはポリエステ
ルの一般的な触媒として用いられるアンチモン化合物お
よびゲルマニウム化合物をいずれか片方あるいは両方を
併用して重縮合触媒として用いた場合、本発明で得られ
る保味保香性と耐加水分解性を具備するポリエステルフ
ィルムが得られないので、アンチモン金属元素、ゲルマ
ニウム金属元素を実質的に含有しないことが必要であ
る。すなわち、本発明のポリエステルには、アンチモン
金属元素およびゲルマニウム金属元素の合計量が高々5
ミリモル%しか含まれないことが必要である。
【0018】本発明におけるポリエステルは上述した通
り、その製造方法により特に制限はないが、チタン化合
物を触媒としかつリン化合物を安定剤として製造され、
そして下記式(1)、(2)のいずれか一方あるいは両
方を満足する必要がある。 0.1≦Ti/P≦3.0 ・・・(1) 5≦Ti+P≦60 ・・・(2) (上記式中、Tiはポリエステル中に含有されるポリエ
ステル可溶チタン化合物のチタン金属元素の濃度(ミリ
モル%)、Pはポリエステル中に含有されるリン化合物
のリン元素の濃度(ミリモル%)を示す。) さらに好ましくは、(1)式中の(Ti/P)は0.3
〜2.5の範囲、(2)式中の(Ti+P)は10〜4
0の範囲である。
【0019】(Ti/P)が0.1未満の場合、ポリエ
ステルの重合反応性が大幅に低下し、目的のポリエステ
ルを得ることができない。また、(Ti/P)が3.0
を超えると、熱安定性が急激に低下し、目的のポリエス
テルを得ることができない。本発明で用いるポリエステ
ルにおいて、(Ti/P)の適正範囲は通常の金属触媒
よりも狭いことが特徴的であるが、適正範囲にある場
合、本発明のごとく従来にない効果を得ることができ
る。一方、(Ti+P)が5に満たない場合は、静電印
可法によるフィルム製膜プロセスにおける生産性が大き
く低下し、またフィルム厚みの均一性も低下することに
起因する成形加工性の低下や耐衝撃性の低下が生じ、満
足な性能が得られなくなる。また、(Ti+P)が60
を超える場合は、ポリエステルとの相互作用により生じ
るポリエステルの低分子成分によりフレーバー性が低下
してしまい、満足な性能が得られなくなる。尚、“リン
元素”とは、触媒を失活するため、あるいはポリマーの
安定剤として用いられたリン化合物に由来するものであ
る。
【0020】また、本発明のポリエステルは、アルカリ
金属化合物のアルカリ金属元素の総量が5ppm以下で
あることが保味保香性保持のため好ましい。特に好まし
くは3ppm以下である。このアルカリ金属元素の総量
は、原子吸光分析により定量されるLi、Na、K元素
のppm濃度の和である。
【0021】本発明におけるフィルムの固有粘度(ο−
クロロフェノール、35℃)は、0.50〜0.80の
範囲にあることが好ましく、さらに0.55〜0.7
5、特に0.60〜0.70の範囲が好ましい。固有粘
度が0.50未満であるとフィルムの耐衝撃性が不足す
るため好ましくない。他方、固有粘度が0.80を超え
ると、原料ポリマーの固有粘度を過剰に引き上げる必要
があり不経済である。
【0022】本発明のフィルムのガラス転移温度(以下
Tgと略することがある)は、70℃以上、特に73℃
以上であることが好ましい。Tgが70℃未満である
と、耐熱性が劣るようになりフィルムのレトルト処理後
の保味保香性が悪化する。ここでフィルムのTgは、D
SC測定用パンに20mgのサンプルを入れ、290℃
加熱ステージ上で5分間加熱溶融後、すばやく試料パン
を氷の上に敷いたアルミ箔上で急冷固化し、Du Po
nt Instruments 910 DSCを用
い、昇温速度20℃/分でガラス転移点を求める方法に
よる。
【0023】本発明のフィルムの融点は、210〜25
0℃の範囲、特に215〜245℃の範囲にあることが
好ましい。融点が210℃未満ではフィルムの耐熱性が
劣り好ましくなく、一方融点が250℃を超えると、フ
ィルムの結晶性が高くなりフィルムの成形加工性が損な
われるようになるので好ましくない。ここでフィルムの
融点測定は、Du Pont Instruments
910 DSCを用い、昇温速度20℃/分で融解ピ
ークを求める方法による。なおサンプル量は20mgと
する。
【0024】さらに、本発明におけるポリエステルフィ
ルムは末端カルボキシル基濃度が40eq/106g以
下、さらに35eq/106g以下であることが好まし
い。なお、末端カルボキシル基は、A.Conixの方
法(Makromol. Chem. 26, 226(1958))に従って求めるこ
とができる。
【0025】本発明におけるポリエステルは、多孔質粒
子および実質的に凝集していない不活性球状粒子の両方
を含有する。
【0026】多孔質粒子は、平均粒径0.1〜2.5μ
m、粒度分布d=D70(積算粒子数70%の粒子径)/
D30(積算粒子数30%の粒子径)が1.2〜2.0、
細孔容積0.05〜2.5ml/g、比表面積50〜6
00m2/gおよび耐圧縮力1〜100Mpaであるも
のを使用する。また、不活性球状粒子は、粒径比(長径
比/短径比)が1.0〜1.2、そして平均粒径が0.
05〜2.0μmである実質的に凝集していないものを
使用する。
【0027】多孔質粒子の平均粒径は、好ましくは0.
1〜1.5μmであり、特に好ましくは0.3〜1.0
μmである。平均粒径が2.5μmを超えると成形加工
時にピンホールを生じ易くなり好ましくない。ここで、
粒子の平均粒径は、遠心沈降式粒度分布測定器によって
得た等価球径分布における積算50%点の値を用いる。
また多孔質粒子滑剤の粒度分布(d)は、好ましくは
1.3〜1.9、特に好ましくは1.4〜1.8であ
る。粒度分布が1.2より小さい場合は粒子径が相対的
に小さくなるため、フィルムの生産性が低下し、また深
絞り加工性が劣るようになり好ましくない。粒度分布が
2.0を超える場合はフィルム中で粗大粒子となるよう
な大きな粒子が相対的に増えてしまうため、成形加工時
のピンホールや耐衝撃性が劣るようになり好ましくな
い。なお、粒度分布(d)はレーザー散乱式粒度分布測
定器によって得られる粒度分布から、積算粒子数(体積
換算)70%の粒子径(D70)と同30%の粒子径(D
30)を読み取り、それらの比(D70/D30)から求めら
れる。また、多孔質粒子の細孔容積の範囲は0.05〜
2.5ml/gである必要がある。好ましくは0.1〜
2.0ml/gであり、さらに好ましくは0.5〜1.
8ml/gである。細孔容積が0.05ml/gに満た
ないとフィルムとの親和性が低下し成形加工時のフィル
ムの破断を引き起こし、2.5ml/gを超える場合に
は成形加工時に粉砕されてしまい、粒子の一部が飲料中
に混入しやすくなり保味保香性を低下させるため好まし
くない。ここで、滑剤の細孔容積は、水銀−ヘリウム法
によって測定する。また、多孔質粒子の比表面積は、上
記の如く50〜600m2/gであり、好ましくは15
0〜450m2/gである。粒子の比表面積が50m2
gに満たないと高変形時の耐ピンホール性が低下する事
があり、600m2/gを超える場合には粒子の表面活
性が高くなりポリエステルの耐熱性が低下することがあ
るため好ましくない。さらに、多孔質粒子の耐圧縮率は
1〜100MPa以下である必要がある。好ましくは5
〜50MPaである。耐圧縮率が100MPaを超える
場合は成形加工時に粒子自体がフィルムを削ってしまい
耐衝撃性や防錆性を低下させてしまう。ここで、粒子の
耐圧縮率は以下のとおり定義する。微小圧縮試験機を用
い、顕微鏡で対象粒子を観察しながら粒子に荷重をかけ
ていき、破壊した際の荷重を求め、この操作を少なくと
も100個の粒子について行った結果の平均値を耐圧縮
力とする。また、本発明に使用される多孔質粒子を構成
する1次粒子は特に限定されないが、例えば無機粒子と
してはコロイダルシリカ、酸化チタン、炭酸カルシウ
ム、燐酸カルシウム、硫酸バリウム、アルミナ、ジルコ
ニア、カオリン、複合酸化物粒子等が挙げられ、有機粒
子としては架橋ポリスチレン、アクリル系架橋粒子、メ
タクリル系架橋粒子、シリコーン粒子等が挙げられる。
かかる多孔質粒子は、好ましくは水酸基価300mgK
OH/g以下、より好ましくは200mgKOH/g以
下の濃度で水酸基を有する。水酸基価が300mgKO
H/gを超える場合、粒子の表面活性が高くなり、粒子
同士の相互作用による凝集粗大粒子を発生やポリエステ
ルとの相互作用による熱安定性の低下を起こすことがあ
り好ましくない。
【0028】不活性球状粒子は、平均粒径が0.05〜
2.0μmである必要があり、好ましくは0.07〜
1.7μm、さらに好ましくは0.08〜1.5μmで
ある。かかる粒子の平均粒径が0.05μmに満たない
場合は、フィルム生産性が低下し、またフィルム表面性
が平坦になるものの、成形加工性が反って劣るようにな
るため好ましくない。また2.0μmを超える場合は、
成形加工時のピンホールが多発し、満足な製品が得られ
なくなり好ましくない。また、さらに不活性球状粒子の
平均粒径が多孔質粒子の平均粒径よりも小さく、かつ
0.08〜1.5μmの範囲にあることが、高度な深絞
り成形加工性とフィルム生産性および保味保香性とのバ
ランス上、非常に好ましい。不活性球状粒子としては、
無機系滑剤としてはシリカ、アルミナ、酸化チタン、炭
酸カルシウム、硫酸バリウムなどが例示でき、有機系滑
剤としてはシリコーン樹脂微粒子、架橋ポリスチレンな
どが例示できる。これらのうち、真球状シリカ、真球状
シリコーン樹脂微粒子、球状架橋ポリスチレンが好まし
く、真球状シリカが特に好ましい。また不活性球状粒子
としては、上記の如き外部添加粒子に限るものではな
く、例えばポリエステル製造時に用いた触媒などの一部
または全部を反応工程で析出させた内部析出粒子を用い
ることもできる。また、外部添加粒子と内部析出粒子を
併用することも可能である。
【0029】本発明におけるポリエステルには多孔質粒
子および不活性球状粒子の両方を合計量で0.05〜1
重量%含有することが必要である。好ましくは0.08
〜0.8重量%であり、さらに好ましくは0.1〜0.
7重量%である。合計の含有量が0.05重量%に満た
ない場合はフィルム生産性が低下し、また深絞り成形加
工性が劣るようになるため好ましくない。また、1重量
%を超える場合は深絞り成形加工性が劣るようになり好
ましくない。また、多孔質粒子の含有量は0.01〜
0.7重量%の範囲にあり、不活性球状粒子の含有量は
0.01〜0.5重量%の範囲にあることが好ましい。
本発明において粒子をポリエステルに含有させる方法は
特に限定されるものではなく、例えば、ポリエステル製
造工程の任意の段階で添加する方法が挙げられる。
【0030】また、ポリエステルには必要に応じて、酸
化防止剤、熱安定剤、粘度調整剤、可塑剤、色相改良
剤、核剤、紫外線吸収剤などの添加剤を加えることがで
きる。
【0031】本発明のフィルムは、二軸延伸し、必要に
より熱固定された二軸延伸フィルムの形態で使用され
る。具体的に逐次二軸延伸による方法を以下に説明す
る。本発明のフィルムは、ポリエステルを溶融してダイ
スより押出し、固化前に積層融着した後、直ちに急冷し
て実質的に非晶質のポリエステルシートを得る。次いで
このシートをロール加熱、赤外線加熱等で加熱して縦方
向に延伸する。このとき延伸温度をポリエステルのガラ
ス転移点(Tg)より20〜40℃高い温度とし、延伸
倍率を2.7〜3.6倍とすることが好ましい。横方向
の延伸はTgより20℃以上高い温度から始め、ポリエ
ステルの融点(Tm)より100〜130℃低い温度ま
で昇温しながら行うのが好ましい。横延伸の倍率は2.
8〜3.7倍とすることが好ましい。また、熱固定の温
度は150℃〜205℃の範囲でポリエステルポリマー
の融点に応じフィルム品質を調整すべく選択する。
【0032】また本発明の二軸配向フィルムは、粒径2
0μm以上の粗大粒子を高々10個/mm2しか含有し
ないことが好ましい。この粗大粒子は上記多孔質粒子の
凝集粒子に起因するものである。粒径20μm以上の粗
大粒子が10個/mm2を超えると成形加工時にピンホ
ールが発生し好ましくない。これを達成するためには平
均粒径0.1〜2.5μm、細孔容積0.05〜2.5
ml/g、比表面積50〜600m2/g、耐圧縮力が
1〜100MPaである多孔質粒子を0.01〜0.7
重量%含有すれば良い。
【0033】また、本発明のフィルムの厚さ方向の屈折
率は、1.500〜1.540であることが好ましく、
1.505〜1.530であることがさらに好ましい。
この屈折率が低すぎると成形加工性が不十分となり、一
方高すぎると、フィルムが非晶に近い構造となるため、
耐熱性が低下することがある。
【0034】本発明のポリエステルフィルムのフィルム
面の中心線平均粗さ(Ra)は好ましくは30nm以
下、より好ましくは25nm以下、特に好ましくは20
nm以下である。
【0035】本発明のフィルムは、厚みが6〜75μm
が好ましい。さらに8〜75μm、特に10〜50μm
であることが好ましい。厚みが6μm未満では成形加工
時に破れなどが生じやすくなり、一方75μmを超える
ものは過剰品質であって不経済である。
【0036】本発明のフィルムが貼合せられる金属板、
特に製缶用金属板としては、ブリキ、ティンフリースチ
ール、アルミニウム等の板が適切である。金属板へのフ
ィルムの貼合せは、例えば下記、の方法で行うこと
ができる。 金属板をフィルムの融点以上に加熱しておいてフィ
ルムを貼合せた後冷却し、金属板に接するフィルムの表
層部(薄層部)を非晶化して密着させる。 フィルムに予め接着剤層をプライマーコートしてお
き、この面と金属板を貼合せる。接着剤層としては公知
の樹脂接着剤、例えばエポキシ系接着剤、エポキシ−エ
ステル系接着剤、アルキッド系接着剤等を用いることが
できる。
【0037】
【実施例】以下、実施例により本発明をさらに説明す
る。なお、フィルムの特性は下記の方法で測定、評価し
た。 (1)ポリエステルの固有粘度([η]) オルトクロロフェノール中、35℃で測定する。
【0038】(2)ポリエステルの融点(Tm) Du Pont Instruments 910 D
SCを用い、昇温速度20℃/分で融解ピークを求める
方法による。なおサンプル量は20mgとする。
【0039】(3)ガラス転移温度(Tg) DSC測定用パンに20mgのサンプルを入れ、290
℃加熱ステージ上で5分間加熱溶融後、すばやく試料パ
ンを氷の上に敷いたアルミ箔上で急冷固化した後、Du
Pont Instruments 910 DSC
を用い、昇温速度20℃/分でガラス転移点を求める方
法による。
【0040】(4)末端カルボキシル基濃度(当量/1
6g) A.Conixの方法に準じて測定した。(Makro
mal.Chem.26,226(1958))
【0041】(5)滑剤平均粒径 遠心沈降式粒度分布測定器で測定した等価球径分布にお
ける積算体積分率50%の直径を平均粒径とする。
【0042】(6)粒度分布 レーザー散乱式粒度分布測定器(島津製作所(株)製S
ALD2000)を用いて測定した積算粒度分布から、
積算粒子数(体積換算)70%の粒子径(D70)と同3
0%の粒子径(D30)の比をとって、多孔質粒子滑剤の
粒度分布dとする。 d=D70/D30
【0043】(7)細孔容積 カンタクローム社製オートソーブ−1を使用し、定容法
を用いた窒素吸着測定により、粉体の空隙が窒素により
充填されていると仮定して相対圧力=0.998におけ
る窒素吸着量から粉体の細孔容積を求める。
【0044】(8)比表面積 細孔容積と同様にカンタクローム社製オートソーブ−1
を使用し、定容法を用いた窒素吸着測定により、相対圧
力0.3における窒素吸着量を求め、これを用いてB.
E.T 1点法での粉体の比表面積を求める。尚、ここで
言う比表面積とは粉体の単位重量当りの全表面積を表わ
す。
【0045】(9)耐圧縮力 島津製作所製 微小圧縮試験機MCTM−201を用い
て、顕微鏡で対象粒子を観察しながら荷重範囲に応じて
一定の速度で荷重をかけていき(荷重0.01〜0.2
g間:荷重速度3mg/sec,0.2〜2g間:29
mg/sec,2〜20g間:270mg/sec,2
0〜200g間:1440mg/sec)、破壊した際
の荷重を耐圧縮力とし、この操作を少なくとも100個
の粒子について行った結果の平均値を平均耐圧縮力とす
る。
【0046】(10)水酸基価 滑剤粉体中の水酸基を無水酢酸によりアセチル化し、こ
れに一定量のジ−n−ブチルアミンを加え、過剰の無水
酢酸をアセチル化し、残ったジ−n−ブチルアミンをH
Clにて滴定することにより、水酸基により消費された
無水酢酸量を求め、水酸基価を下記式にて求める。(参
考文献 J.Pharm.Sci.,66,273(1977)) 水酸基価(mgKOH/g)=((A−B)×F)/S A:本試験のN/2 HCl溶液の使用量(ml) B:空試験のN/2 HCl溶液の使用量(ml) F:N/2 HCl溶液の力価(KOHmg/ml) S:サンプル採取量(g)
【0047】(11)アルカリ金属量 フィルムサンプルをο−クロロフェノールに溶解した
後、0.5規定塩酸で抽出操作を行った。この抽出液に
ついて日立製作所製Z−6100形偏光ゼーマン原子吸
光光度計を用いてNa、K、Liの定量を各元素毎に行
った。
【0048】(12)チタン金属元素、ゲルマニウム金
属元素、アンチモン金属元素およびリン元素量 フィルムサンプルを240℃に加熱溶融して、円形ディ
スクを作成し、リガク製蛍光X線装置3270型を用い
てチタン金属元素およびリン元素濃度を定量する。
【0049】(13)粗大粒子測定 フィルムを表面をエッチングし、日立製作所製透過型電
子顕微鏡S−2150を用いて1mm2の面積範囲で観
察し、個々の粒子について粒子像の最大長が20μm以
上の粒子数をカウントする。(個/mm2
【0050】(14)ジエチレングリコール量 フィルムをCDCl3/CF3COOD混合溶媒にて溶解
し、1H−NMRにて測定する。
【0051】(15)フィルム表面粗さ(Ra) (株)小坂研究所製、触針表面粗さ計(SURFCOR
DER SE−30C)を用いて、触針半径2μm、測
定圧0.03g、カットオフ値0.25mmの条件下で
測定する。
【0052】(16)耐加水分解性 フィルムをイオン交換水を満注した容器に浸漬し、70
℃で30日間保持した。この際の分子量低下を(1)記
載の固有粘度測定によって評価した。 ○:IV低下が0.04以下 △:IV低下が0.04を超え0.10未満 ×:IV低下が0.10以上
【0053】(17)ラミネート性 フィルムを、共重合ポリエステルの融点以上に加熱した
板厚0.25mmのティンフリースチール板と貼合せた
後、冷却して被覆鋼鈑を得た。この被覆鋼鈑を観察し、
ラミネート性を下記の判定基準で評価した。 [気泡、しわの判定基準(ラミネート性A)] 〇:気泡、しわが見られない。 △:気泡、しわが長さ10cm当り2〜3箇所見られ
る。 ×:気泡、しわが多数見られる。 [熱収縮率の判定基準(ラミネート性B)] 〇:収縮率が2%未満 △:収縮率が2%以上5%未満 ×:収縮率が5%以上
【0054】(18)深絞り加工性−1 前項(17)と同じ方法でフィルムをラミネートしたテ
ィンフリースチール板を120mm径の円板状に切り取
り、絞りダイスとポンチを用いて4段階で深絞り加工
し、55mm径の側面無継目容器(以下、缶と略するこ
とがある)を作成した。この缶について以下の観察を行
い、下記の基準で評価した。 ○:フィルムに異常なく加工されたフィルムに白化や破
断が認められない。 △:フィルムの缶上部に白化が認められる。 ×:フィルムの一部にフィルム破断が認められる。
【0055】(19)深絞り加工性−2 前項(18)で得られた缶について以下の観察及び試験
を行い、下記の基準で評価した。 ○:異常なく加工され、缶内フィルム面の防錆性試験
(1%NaCl水溶液を缶内に入れ、電極を挿入し、缶
体を陽極にして6Vの電圧をかけた時の電流値を測定す
る。以下、ERV試験と略することがある)において
0.15mA以下を示す。 ×:フィルムに異常はないが、ERV試験では電流値が
0.15mAを超えており、通電箇所を拡大観察すると
フィルムの粗大滑剤を起点としたピンホール状の割れが
認められる。
【0056】(20)耐衝撃性 深絞り加工性が良好な缶について、水を満注し、0℃に
冷却した後、10個ずつを高さ30cmから塩ビタイル
床面に落とした後、ERV試験を行い、下記の基準で評
価した。 ○:全10個について0.2mA以下であった。 △:1〜5個について0.2mAを超えていた。 ×:6個以上について0.2mAを超えていたか、ある
いは落下後既にフィルムのひび割れが認められた。
【0057】(21)耐熱脆化性 深絞り加工性が良好であった缶を200℃、5分間加熱
保持した後、前述の耐衝撃性評価を行い、下記の基準で
評価した。 ○:全10個について0.2mA以下であった。 △:1〜5個について0.2mAを超えていた。 ×:6個以上について0.2mAを超えていたか、ある
いは200℃×5分間加熱後既にフィルムのひび割れが
認められた。
【0058】(22)耐レトルト性 深絞り加工性が良好な缶について、水を満注し、蒸気滅
菌器で120℃、1時間レトルト処理を行った後、55
℃で60日間保存した。処理後の缶を10個ずつ高さ5
0cmから塩ビタイル床面に落とした後、缶内のERV
試験を行い、下記の基準で評価した。 ○:全10個について0.2mA以下であった。 △:1〜5個について0.2mAを超えていた。 ×:6個以上について0.2mAを超えていたか、ある
いは落下後既にフィルのひび割れが認められた。
【0059】(23)保味保香性−1 深絞り加工性が良好な缶について、イオン交換水を充填
し、常温(20℃)で60日間保管した。その充填液を
用いて30人のパネラーにて試飲テストを行い、比較用
のイオン交換水と比較し、下記の基準で評価した。 ◎:30人中3人以下が比較液と比べて味、香りの変化
を感じた。 〇:30人中4人〜6人が比較液と比べて味、香りの変
化を感じた。 △:30人中7人〜9人が比較液と比べて味、香りの変
化を感じた。 ×:30人中10人以上が比較液と比べて味、香りの変
化を感じた。
【0060】(24)保味保香性−2 深絞り加工性が良好な缶について、イオン交換水を充填
し、蒸気滅菌器で125℃、1時間レトルト処理を行っ
た後、常温(20℃)で60日間保管した。その充填液
を用いて30人のパネラーにて試飲テストを行い、比較
用のイオン交換水と比較し、下記の基準で評価した。 ◎:30人中3人以下が比較液と比べて味、香りの変化
を感じた。 〇:30人中4人〜6人が比較液と比べて味、香りの変
化を感じた。 △:30人中7人〜9人が比較液と比べて味、香りの変
化を感じた。 ×:30人中10人以上が比較液と比べて味、香りの変
化を感じた。
【0061】[実施例1〜3および比較例1〜2]表1
に示す、酸成分、ジエチレングリコールおよび重縮合触
媒と、エチレングリコールを用い、フィルム中の金属含
有量が表1記載の値になるようにして得られた共重合ポ
リエチレンテレフタレート(平均粒径0.7μm、粒度
分布1.4、細孔容積1.5ml/g、比表面積200
2/gおよび耐圧縮力が20Mpaである多孔質シリ
カ粒子を0.1重量%、ならびに平均粒径0.3μmで
ある球状シリカ0.1重量%含有する。)を乾燥した
後、280℃で溶融押出し、急冷固化して未延伸フィル
ムを得た。次いでこの未延伸フィルムを縦方向に110
℃で3.0倍延伸した後、横方向に120℃で3.0倍
延伸し、180℃で熱固定して二軸配向フィルムを得
た。
【0062】得られた各フィルムの厚みは25μm、表
面粗さは12nm、フィルム中の20μm以上の多孔質
シリカの凝集粒子は3個/mm2であった。その他の特
性は表1に、評価結果は表2に示す通りであった。
【0063】表2からも明らかなように、共重合ポリエ
ステルの重合触媒としてチタン化合物を用い、かつフィ
ルム中の金属含有量が特定範囲にある本発明の場合(実
施例1〜3)は良好な結果が得られたが、フィルム中の
金属含有量が本発明の範囲を外れる場合(比較例1)は
耐加水分解性、耐レトルト性および保味保香性が劣っ
た。また、重合触媒としてアンチモン化合物を用いた場
合(比較例2)は保味保香性が不良であった。
【0064】
【表1】
【0065】
【表2】
【0066】[実施例4〜8および比較例3〜7]実施
例3において多孔質粒子の平均粒径、粒度分布、含有
量、細孔容積、比表面積、耐圧縮力および不活性球状粒
子の平均粒径、含有量を表3に示すように変更する他は
実施例3と同じ方法で二軸延伸ポリエステルフィルムを
得た。結果は表4に示す通りであり、多孔質粒子滑剤の
平均粒径、粒度分布、細孔容積、比表面積、耐圧縮力お
よび不活性粒子滑剤の平均粒径、含有量が本発明の範囲
内にある場合(実施例4〜8)には良好な結果が得られ
たが、何れかのパラメータが本発明の範囲外になる場合
(比較例3〜7)は主に高成形加工時に深絞り成形加工
性、耐衝撃性および保香性が不十分であった。
【0067】
【表3】
【0068】
【表4】
【0069】
【発明の効果】本発明によれば、優れた耐熱性、耐衝撃
性、防錆性を保持しながら、耐ピンホール性、深絞り成
形加工性、保味保香性および耐加水分解性を特に改良
し、さらに高生産性を有し安価で衛生上も望ましい金属
板貼合せ成形加工用ポリエステルフィルムを提供するこ
とができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C08L 67:02 C08L 67:02 (72)発明者 佐藤 公彦 愛媛県松山市北吉田町77番地 帝人株式会 社松山事業所内 Fターム(参考) 4F071 AA43 AA44 AA46 AA81 AA84 AA88 AB06 AB11 AB26 AH05 AH19 BB06 BB08 BC01 BC10 BC16 BC17 4F100 AA00A AB01B AB09A AB12A AK41A AK41J AL01A BA01 BA02 DE01A DE04A DJ00A EJ38A GB16 JA04A JA05A JA06A JA20A JB02 JC00 JJ03 JJ10 JK10 JN18A YY00A 4F210 AA24 AB16 AG01 AG03 AH55 AH56 AR06 QC06 QD34 QD36 QG01

Claims (18)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 多孔質粒子および実質的に凝集していな
    い不活性球状粒子の両方を合計量で0.05〜1重量%
    含有するポリエステルからなる二軸配向フィルムであっ
    て、該多孔質粒子は平均粒径が0.1〜2.5μm、粒
    度分布d=D70(積算粒子数70%の粒子径)/D30
    (積算粒子数30%の粒子径)が1.2〜2.0、細孔
    容積が0.05〜2.5ml/g、比表面積が50〜6
    00m2/gおよび耐圧縮力が1〜100MPaであ
    り、該不活性球状粒子は粒径比(長径/短径)が1.0
    〜1.2、平均粒径0.05〜2.0μmであり、そし
    て該ポリエステルはポリマー中に可溶なチタン化合物を
    チタン金属元素として4〜20ミリモル%含有し、下記
    式(1)、(2)のいずれか一方あるいは両方を満足
    し、さらに該ポリエステルに含有されるアンチモン金属
    元素およびゲルマニウム金属元素が高々5ミリモル%で
    あることを特徴とする金属板貼合せ成形加工用ポリエス
    テルフィルム。 0.1≦Ti/P≦3.0 ・・・(1) 5≦Ti+P≦60 ・・・(2) (上記式中、Tiはポリエステル中に含有されるポリエ
    ステル可溶チタン化合物のチタン金属元素の濃度(ミリ
    モル%)、Pはポリエステル中に含有されるリン化合物
    のリン元素の濃度(ミリモル%)を示す。)
  2. 【請求項2】 ポリエステルは、全ジカルボン酸成分が
    テレフタル酸およびイソフタル酸を含有してなりそして
    テレフタル酸が82モル%以上であり、イソフタル酸が
    18モル%以下であり、全ジオール成分の82〜100
    モル%がエチレングリコールであり、そして0〜18モ
    ル%がエチレングリコール以外のジオールからなる共重
    合ポリエステルである請求項1記載の金属板貼合せ成形
    加工用ポリエステルフィルム。
  3. 【請求項3】 全ジカルボン酸成分がテレフタル酸およ
    び2,6−ナフタレンジカルボン酸を含有してなりそし
    てテレフタル酸が82モル%以上であり、2,6−ナフ
    タレンジカルボン酸が18モル%以下であり、全ジオー
    ル成分の82〜100モル%がエチレングリコールであ
    り、そして0〜18モル%がエチレングリコール以外の
    ジオールからなる共重合ポリエステルである請求項1の
    金属板貼合せ成形加工用ポリエステルフィルム。
  4. 【請求項4】 多孔質粒子が無機粒子である請求項1記
    載の金属板貼合せ成形加工用ポリエステルフィルム。
  5. 【請求項5】 ポリエステルを構成するグリコール成分
    は、エチレングリコールおよびジエチレングリコールを
    含有してなりそしてエチレングリコールが95モル%以
    上かつジエチレングリコールが5モル%以下である請求
    項1記載の金属板貼合せ成形加工用ポリエステルフィル
    ム。
  6. 【請求項6】 ポリエステルがNa、K、Liより選ば
    れるアルカリ金属化合物をアルカリ金属元素として高々
    5ppmしか含有しない請求項1記載の金属板貼合せ成
    形加工用ポリエステルフィルム。
  7. 【請求項7】 二軸配向フィルムの固有粘度が0.5〜
    0.8の範囲である請求項1記載の金属板貼合せ成形加
    工用ポリエステルフィルム。
  8. 【請求項8】 二軸配向フィルムの融点が210〜25
    0℃の範囲であり、かつガラス転移点が70℃以上であ
    る請求項1記載の金属板貼合せ成形加工用ポリエステル
    フィルム。
  9. 【請求項9】 ポリエステルの末端カルボキシル基濃度
    が40eq/106g以下である請求項1記載の金属板
    貼合せ成形加工用ポリエステルフィルム。
  10. 【請求項10】 多孔質粒子の粒度分布d=D70(積算
    粒子数70%の粒子径)/D30(積算粒度30%の粒子
    数)が1.3〜1.9である請求項1記載の金属板貼合
    せ成形加工用ポリエステルフィルム。
  11. 【請求項11】 多孔質粒子の含有量が0.01〜0.
    7重量%である請求項1記載の金属板貼合せ成形加工用
    ポリエステルフィルム。
  12. 【請求項12】 多孔質粒子の水酸基価が300mgK
    OH/g以下である請求項1記載の金属板貼合せ成形加
    工用ポリエステルフィルム。
  13. 【請求項13】 不活性球状粒子がシリカである請求項
    1記載の金属板貼合せ成形加工用ポリエステルフィル
    ム。
  14. 【請求項14】 不活性微粒子の含有量が0.01〜
    0.5重量%である請求項1記載の金属板貼合せ成形加
    工用ポリエステルフィルム。
  15. 【請求項15】 不活性微粒子の平均粒径が多孔質粒子
    の平均粒径よりも小さく、かつ0.08〜1.5μmの
    範囲にある請求項1記載の金属板貼合せ成形加工用ポリ
    エステルフィルム。
  16. 【請求項16】 二軸配向フィルム中の粒径20μm以
    上の粗大粒子が高々10個/mm2しか含有しない請求
    項1記載の金属板貼合せ成形加工用ポリエステルフィル
    ム。
  17. 【請求項17】 フィルムの厚さ方向の屈折率が1.5
    00〜1.540の範囲にある請求項1記載の金属板貼
    合せ成形加工用ポリエステルフィルム。
  18. 【請求項18】 フィルムの中心線平均粗さ(Ra)が
    30nm以下である請求項1記載の金属板貼合せ成形加
    工用ポリエステルフィルム。
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