JP3245994B2 - 金属板貼合わせ用共重合ポリエステル及びフィルム - Google Patents

金属板貼合わせ用共重合ポリエステル及びフィルム

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JP3245994B2 JP27009292A JP27009292A JP3245994B2 JP 3245994 B2 JP3245994 B2 JP 3245994B2 JP 27009292 A JP27009292 A JP 27009292A JP 27009292 A JP27009292 A JP 27009292A JP 3245994 B2 JP3245994 B2 JP 3245994B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は金属板貼合わせ用伸共重
合ポリエステル及びフィルムに関するものである。更に
詳しくはフレーバ性、耐熱性、耐衝撃性に優れ、成形加
工によって製造される金属缶に好適な金属板貼合わせ用
共重合ポリエステル及びフィルムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来金属缶の内面及び外面には腐食防止
を目的として、熱硬化性樹脂の塗装が行われてきた。し
かしながら、このような熱硬化性樹脂の塗装は塗料の乾
燥に長時間を要し生産性が悪化したり、多量の有機溶媒
が飛散するために環境衛生上好ましくない等の問題があ
る。
【0003】これらの問題を解決する方法として、金属
板にポリエステルフィルムをラミネートする方法が行わ
れている。ポリエステルフィルムをラミネートした金属
板を金属缶に成形加工する場合、ポリエステルフィルム
には以下のような特性が要求される。製缶後の乾燥、
印刷焼付け、レトルト殺菌処理等の加熱によって、ラミ
ネートされたポリエステルフィルムが結晶化または劣化
し、フィルムの剥離、収縮、クラック、ピンホール等を
生じないこと(耐熱性)。金属缶に対する衝撃によっ
て、ポリエステルフィルムが剥離したり、クラックが発
生したりしないこと(耐衝撃性)。金属缶の内容物の
香り成分がポリエステルフィルムに吸着したり、ポリエ
ステルフィルムの臭いによって内容物の風味がそこなわ
れないこと(フレーバ性)。以上のような多岐にわたる
要求特性の全てを満足するポリエステルフィルムの開発
が熱望されていた。これらの要求を解決するために多く
の提案がなされており、例えば特開昭64−22530
号公報には特定の密度、面配向係数を有するポリエステ
ルフィルムが、特開平2−57339号公報には特定の
結晶性を有する共重合ポリエステルフィルム等が開示さ
れている。しかしながら、これらの提案は上記金属缶用
フィルムの要求特性の全てを満足できるものではなく、
特にフレーバ性に対しては十分に満足できるレベルにあ
るとはいえなかった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は上記し
た従来技術の問題点を解消することにあり、フレーバ
性、耐熱性、耐衝撃性、特にフレーバ性に優れた、金属
板貼合わせ用共重合ポリエステル及びフィルムを提供す
ることにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】前記した本発明の目的
は、芳香族ジカルボン酸とグリコールとを主たる構成成
分とする共重合ポリエステルが、ポリオキシアルキレン
グリコール成分を0.05〜20重量%、ゲルマニウム
元素を1.0〜500ppm、アルカリ金属元素を0.
1〜50ppm含有することを特徴とする金属板貼合わ
せ用共重合ポリエステル及びフィルムによって達成する
ことができる。
【0006】本発明における共重合ポリエステルとは、
芳香族ジカルボン酸成分とグリコール成分からなるポリ
エステルに、該ポリエステルを構成する芳香族ジカルボ
ン酸成分、グリコール成分以外のジカルボン酸成分及び
/またはグリコール成分を共重合したポリエステルをい
う。ジカルボン酸成分及び/またはグリコール成分を共
重合するポリエステルとしては従来公知の、例えばポリ
エチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレー
ト、ポリヘキサメチレンテレフタレート、ポリシクロヘ
キシレンジメチレンテレフタレート、ポリエチレンナフ
タレート等を挙げることができ、これらのうちポリエチ
レンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートが特に
好ましい。
【0007】前記したポリエステルに共重合するジカル
ボン酸成分及び/またはグリコール成分はジカルボン酸
成分としては、例えばテレフタル酸、イソフタル酸、ナ
フタレンジカルボン酸、ジフェニルジカルボン酸、ジフ
ェニルスルホンジカルボン酸、ジフェノキシエタンジカ
ルボン酸、ジフェニルエーテルジカルボン酸、5−スル
ホイソフタル酸、フタル酸等の芳香族ジカルボン酸、シ
ュウ酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、ダイマー
酸、マレイン酸、フマル酸等の脂肪族ジカルボン酸、シ
クロヘキサンジカルボン酸等の脂環族ジカルボン酸等を
挙げることができる。これらのジカルボン酸成分のうち
イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸が特に好まし
い。これらのジカルボン酸成分はアルキルエステル等で
あっても構わない。グリコール成分としては例えばエチ
レングリコール、プロパンジオール、ブタンジオール、
ペンタンジオール、ヘキサンジオール、ネオペンチルグ
リコール等の脂肪族グリコール、ビスフェノールA、ビ
スフェノールS等の芳香族グリコール、シクロヘキサン
ジメタノール等の脂環族グリコール等が挙げられる。こ
れらのグリコール成分のうちネオペンチルグリコール、
シクロヘキサンジメタノールが好ましい。以上のジカル
ボン酸成分、グリコール成分は1種のみを用いても、2
種以上を併用してもよい。共重合量はポリエステルの全
酸成分及び/または全グリコール成分に対して1.0〜
30mol%が好ましく、更に好ましくは5.0〜20
mol%、特に好ましくは7.0〜15mol%であ
る。共重合量が1mol%未満であると結晶化しやすく
なるため耐衝撃性に劣り、30mol%を越えると融点
が低くなるために耐熱性に劣る。
【0008】また、本発明の効果を阻害しない限りにお
いて、共重合ポリエステルにトリメリット酸、トリメシ
ン酸、トリメチロールプロパン等の多官能化合物やp−
オキシ安息香酸等のオキシカルボン酸等を共重合しても
よい。
【0009】本発明における共重合ポリエステルはポリ
オキシアルキレングリコール成分を0.05〜20重量
%含有することが必要であり、好ましくは0.1〜10
重量%、更に好ましくは0.3〜5重量%である。ポリ
オキシアルキレングリコール成分が0.05重量%未満
であるとフレーバ性向上の効果が十分でなく、20重量
%を越えると融点が低くなり耐熱性に劣る。ポリオキシ
アルキレングリコール成分をポリエステルに含有させる
方法は特に限定されるものではなく、従来公知の任意の
方法を採用することができる。このような方法として
は、例えばポリオキシアルキレングリコール化合物を重
縮合反応が完結する以前の任意の段階で添加する方法
や、あるいはポリエステルの出発原料である酸成分及び
/またはグリコール成分と混合する方法等が挙げられ
る。ポリオキシアルキレングリコール化合物は特に限定
されることはないが、フレーバ性向上の点から数平均分
子量が4000以下の化合物が好ましく、更には数平均
分子量が1000以下の化合物が好ましい。このような
化合物としては、例えばジエチレングリコール、トリエ
チレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエ
チレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等を
挙げることができる。これらのうちジエチレングリコー
ルが特に好ましい。なお、本発明におけるポリオキシア
ルキレングリコール成分は、通常エチレングリコールを
グリコール成分とするポリエステルの製造の際に副生す
るジエチレングリコール成分を含むものである。
【0010】本発明の共重合ポリエステルは、ゲルマニ
ウム元素を1.0〜500ppm含有することが必要で
あり、好ましくは5.0〜300ppm、更に好ましく
は10〜100ppmである。ゲルマニウム元素量が
1.0ppm未満であるとフレーバ性向上の効果が十分
でなく、また500ppmを越えると、共重合ポリエス
テルに異物が発生し結晶核剤となり結晶化しやすくなる
ため耐衝撃性が悪化したり、耐熱性を低下させたり、ポ
リエステルの着色が大きくなる。本発明の共重合ポリエ
ステルは、ポリエステル中にゲルマニウム元素の前記特
定量を含有させることによりフレーバ性を向上させるこ
とができる。ゲルマニウム元素をポリエステルに含有さ
せる方法は従来公知の任意の方法を採用することができ
特に限定されないが、通常ポリエステルの製造が完結す
る以前の任意の段階において、重合触媒としてゲルマニ
ウム化合物を添加することが好ましい。このような方法
としては例えば、ゲルマニウム化合物の粉体をそのまま
添加する方法や、あるいは特公昭54−22234号公
報に記載されているように、共重合ポリエステルの出発
原料であるグリコール成分中にゲルマニウム化合物を溶
解させて添加する方法等を挙げることができる。ゲルマ
ニウム化合物としては、例えば二酸化ゲルマニウム、結
晶水含有水酸化ゲルマニウム、あるいはゲルマニウムテ
トラメトキシド、ゲルマニウムテトラエトキシド、ゲル
マニウムテトラブトキシド、ゲルマニウムエチレングリ
コキシド等のゲルマニウムアルコキシド化合物、ゲルマ
ニウムフェノレート、ゲルマニウムβ−ナフトレート等
のゲルマニウムフェノキシド化合物、リン酸ゲルマニウ
ム、亜リン酸ゲルマニウム等のリン含有ゲルマニウム化
合物、酢酸ゲルマニウム等を挙げることができる。
【0011】本発明における共重合ポリエステルはアル
カリ金属元素を0.1〜50ppm含有することが必要
であり、好ましくは0.5〜30ppm、更に好ましく
は1.0〜20ppmである。アルカリ金属元素の含有
量が0.1ppm未満であるとフレーバ性向上の効果が
十分でなく、また50ppmを越えるとポリエステルの
耐熱性が低下したり、着色が大きくなる。本発明の共重
合ポリエステルはアルカリ金属元素と前述のゲルマニウ
ム元素を含有させるることによって、フィルムのフレー
バ性を著しく向上させることができる。アルカリ金属元
素をポリエステルに含有させる方法は特に限定されるも
のではなく従来公知の任意の方法を採用できる。例え
ば、ポリエステルの製造工程においてエステル交換触媒
としてアルカリ金属化合物を添加する方法が挙げられ
る。この際、アルカリ金属化合物は粉体で添加してもよ
く、またポリエステルのグリコール成分に溶解して添加
してもよい。このようなアルカリ金属化合物としては、
例えば酢酸リチウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、
安息香酸リチウム、安息香酸ナトリウム、安息香酸カリ
ウム、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、
水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等
が挙げられる。
【0012】本発明の共重合ポリエステルの融点は製缶
工程での乾燥、印刷焼付け等の加熱処理に耐えうる耐熱
性を示す点で150℃以上が好ましく、また共重合ポリ
エステルの結晶性を適度に保ち耐衝撃性に優れたフィル
ムを得るためには250℃以下が好ましい。更に好まし
い融点の範囲は170℃〜240℃、特に好ましい範囲
は180〜230℃である。
【0013】本発明における共重合ポリエステルの固有
粘度はポリエステルフィルムの強度の低下や結晶化が起
こりにくく、金属缶の成形加工時に破断やクラックが発
生しない点で0.50dl/g以上が好ましく、またフ
ィルムの製膜工程での延伸を容易にする点で2.0dl
/g以下が好ましい。固有粘度の更に好ましい範囲は
0.55〜1.5dl/g、特に好ましい範囲は0.6
0〜1.0dl/gである。
【0014】本発明の共重合ポリエステルを製造するに
あたっては従来公知の任意の方法を採用することがで
き、特に限定されるものではない。一例としてポリエチ
レンテレフタレートにイソフタル酸成分を共重合し、ジ
エチレングリコール、酸化ゲルマニウム、酢酸リチウム
を添加する場合で説明する。テレフタル酸ジメチル、イ
ソフタル酸ジメチル、エチレングリコール、ジエチレン
グリコール、酢酸リチウムを好ましくは触媒の存在下で
メタノールを反応系外に留出させながらエステル交換反
応を行う。続いて二酸化ゲルマニウムを添加し、高温、
減圧下でエチレングリコールを反応系外に留出させ重縮
合反応をおこない共重合ポリエステルを得ることができ
る。また、テレフタル酸、イソフタル酸、エチレングリ
コール、ジエチレングリコールをポリエステルの製造原
料として、酢酸リチウムを添加してエステル化反応さ
せ、続いて二酸化ゲルマニウムを添加して重縮合反応さ
せる方法を採用することもできる。また、エステル交換
またはエステル化反応後に一定の重合度になるまで重縮
合反応を行い、次いで得られた低重合体をその融点より
低い温度において減圧下または不活性ガス気流下で更に
重縮合反応させる固相重合法を用いてもよい。
【0015】本発明の共重合ポリエステルを製造する際
には、従来公知の反応触媒、着色防止剤を使用すること
ができ、反応触媒としては例えば、アルカリ土類金属化
合物、亜鉛化合物、鉛化合物、マンガン化合物、コバル
ト化合物、アルミニウム化合物、アンチモン化合物、チ
タン化合物等、着色防止剤としてはリン化合物を挙げる
ことができる。更に、本発明の共重合ポリエステルを製
造するにあたり、必要により酸化防止剤、可塑剤、帯電
防止剤、耐候剤、末端封鎖剤等の添加剤も適宜使用する
ことができる。
【0016】本発明における共重合ポリエステルからな
るフィルムは、未延伸のシート状のものでもよいし、一
軸または二軸に延伸された延伸フィルムであってもよ
い。本発明の共重合ポリエステルフィルムは、従来公知
の任意の方法を用いて製膜することができる。例えば二
軸延伸フィルムの場合、前記した共重合ポリエステルを
十分に乾燥させた後押出し機に供給し、キャスティング
ドラム上に溶融押出して未延伸フィルムとし、次いでこ
の未延伸フィルムを同時あるいは逐次に二軸延伸する方
法が挙げられる。また逐次二軸延伸の場合、その延伸順
序はフィルムを長手方向、幅方向の順、あるいはこの逆
としてもよい。更に同時二軸延伸においては、長手方向
あるいは幅方向の延伸を2回以上行うことも可能であ
る。フィルムの長手方向及び幅方向の延伸倍率は目的と
するフィルムの配向度、強度、弾性率等に応じて任意に
設定することができるが、好ましくは2.5〜5.0倍
である。長手方向、幅方向の延伸倍率はどちらを大きく
してもよく、同一としてもよい。また、延伸温度はポリ
エステルのガラス転移温度以上、結晶化温度以下の範囲
であれば任意の温度とすることができるが、通常は80
〜150℃が好ましい。更に二軸延伸の後にフィルムの
熱処理を行うことができる。この熱処理はオーブン中、
加熱されたロール上等、従来公知の任意の方法で行うこ
とができる。熱処理温度はポリエステルの結晶化温度以
上、軟化点以下の任意の温度とすることができるが、好
ましくは120〜240℃である。また熱処理時間は任
意とすることができるが、通常1〜60秒間行うのが好
ましい。熱処理はフィルムをその長手方向及び/または
幅方向に弛緩させつつ行ってもよい。
【0017】本発明の共重合ポリエステルフィルムの厚
さは特に限定されないが、金属板への貼合わせ性、金属
缶の成形加工性を考慮すると、5〜100μmが好まし
く、更に好ましくは10〜80μm、特に好ましくは1
5〜50μmである。
【0018】また、本発明における共重合ポリエステル
フィルムは、同一種類あるいは2種以上のポリエステル
からなる積層フィルムであってもよい。
【0019】
【実施例】以下実施例によって本発明を詳説する。なお
ポリエステル及びフィルムの特性は以下の方法により測
定、評価した。
【0020】(1)ポリエステル中のポリオキシアルキ
レングリコール成分の含有量 13C−NMR測定により定量した。
【0021】(2)ポリエステル中のゲルマニウム元
素、アルカリ金属元素の含有量 蛍光X線測定により、ゲルマニウム元素量と蛍光X線強
度の検量線から定量した。
【0022】(3)ポリエステルの固有粘度 ポリエステルをオルソクロロフェノールに溶解し、25
℃において測定した。
【0023】(4)ポリエステルの融点 ポリエステルチップを結晶化させ、示差走査熱量計(パ
ーキン・エルマー社製DSC−2型)により、16℃/
minの昇温速度で測定した。
【0024】(5)ポリエステルフィルムのフレーバ性 15cm×15cmに切り出したポリエステルフィルム
を、香料水溶液(d−リモネン20ppm水溶液)に5
日間浸漬し、ついでフィルムを80℃で30分間熱処理
し、ガスクロマトグラフィーを用いてフィルム1gあた
りのd−リモネンの吸着量を定量しフィルムのフレーバ
性を評価した。
【0025】(6)ポリエステルフィルムの耐熱性 成形した金属缶を210℃で5分間加熱し、金属缶に貼
合わせたフィルムの状態を観察し、以下の基準で耐熱性
を評価を行い2級以上を合格とした。 1級 …… フィルムに剥離、収縮が全く発生しない。 2級 …… フィルムに剥離、収縮がわずかに発生す
る。 3級 …… フィルムに剥離、収縮がかなり発生する。 4級 …… フィルムの剥離、収縮の発生が著しい。
【0026】(7)ポリエステルフィルムの耐衝撃性 成形した金属缶に水を充填し、1mの高さから金属缶を
大理石上に落下させた。10個の金属缶を落下させ、そ
れぞれの金属缶について通電テスト(ERVテスト)を
行い、以下の基準で耐衝撃性を評価し2級以上を合格と
した。なお通電テストとは落下させた金属缶に1%塩化
ナトリウム水溶液を充填し、水溶液中に設けた電極と金
属缶に6Vの電圧を印可したときに流れる電流値を測定
するテストである。 1級 …… 電流値0.2mA以下が9個以上のもの。 2級 …… 電流値0.2mA以下が7〜8個のもの。 3級 …… 電流値0.2mA以下が7個未満のもの。
【0027】実施例1 テレフタル酸ジメチル132重量部、イソフタル酸ジメ
チル18重量部(ポリエステルの酸成分に対して12m
ol%)、エチレングリコール96重量部、ジエチレン
グリコール3.0重量部、酢酸マンガン0.05重量
部、酢酸リチウム0.012重量部を精留塔、留出コン
デンサを備えたフラスコに仕込み、撹拌しながら150
〜235℃に加熱しメタノールを留出させエステル交換
反応を行った。ほぼ理論量のメタノールが留出した後、
リン酸トリメチル0.03重量部、二酸化ゲルマニウム
0.04重量部を添加し、反応物を留出コンデンサを備
えた反応器に移した。ついで撹拌しながら反応器内を徐
々に0.5mmHgまで減圧するとともに290℃まで
昇温し重縮合反応を行った。表1に示すように得られた
共重合ポリエステルの固有粘度は0.70dl/g、融
点は224℃、ジエチレングリコール成分量は2.5w
t%、ゲルマニウム元素量は50ppm、リチウム元素
量は5ppmであった。
【0028】このポリエステルチップを乾燥した後、押
出し機を用いてキャスティングドラム上に溶融押出しし
て未延伸フィルムを得た。この未延伸フィルムを90℃
で長手方向に3.5倍、次いで105℃で幅方向に3.
5倍に延伸した。更にこの二軸延伸フィルムを定長下1
90℃で熱処理し、厚さ25μmのポリエステルフィル
ムを得た。このポリエステルフィルムのフレーバ性、金
属缶に成形加工した際のフィルムの耐熱性、耐衝撃性の
評価結果を表1に示す。この結果から明らかなように優
れたフレーバ性、耐熱性、耐衝撃性を有していることが
わかる。
【0029】実施例2 ジエチレングリコールを添加しない以外は実施例1と同
様にして共重合ポリエステルを重合し、二軸延伸フィル
ムを製膜した。この共重合ポリエステルを分析したとこ
ろ、ジエチレングリコール成分を1.5wt%含有して
いた。このフィルムの特性評価結果を表1に示す。この
結果から明らかなように優れたフレーバ性、耐熱性、耐
衝撃性を有していることがわかる。
【0030】実施例3〜5 ジエチレングリコール、二酸化ゲルマニウム添加量、固
有粘度を変更し実施例1と同様にして共重合ポリエステ
ルを重合し、二軸延伸フィルムを製膜した。この共重合
ポリエステルの特性を表1に示す。この共重合ポリエス
テルフィルムの特性評価を行ったところ、優れたフレー
バ性、耐熱性、耐衝撃性を有していた。
【0031】実施例6 ジエチレングリコールの代わりに数平均分子量が100
0のポリエチレングリコールを3.7重量部用い、アル
カリ金属含有化合物として酢酸ナトリウム0.004重
量部を添加する以外は実施例1と同様にして共重合ポリ
エステルを重合し、二軸延伸フィルムを製膜した。この
共重合ポリエステルを分析したところ、ポリエチレング
リコール成分を2.5wt%、ジエチレングリコール成
分を1.5wt%含有していた。この共重合ポリエステ
ルフィルムの特性評価を行ったところ、優れたフレーバ
性、耐熱性、耐衝撃性を有していた。
【0032】実施例7 共重合成分としてイソフタル酸ジメチルの代わりに1,
4−シクロヘキサンジメタノール(ポリエステルの全グ
リコール成分に対して10mol%)、アルカリ金属化
合物として酢酸ナトリウムを0.004重量部用いる以
外は実施例1と同様にして共重合ポリエステルを重合
し、二軸延伸フィルムを製造した。この共重合ポリエス
テルの特性及びフィルムの特性評価結果を表1に示す。
この結果から明らかなように優れたフレーバ性、耐熱
性、耐衝撃性を有していた。
【0033】比較例1 アルカリ金属化合物を添加しない以外は実施例1と同様
にして共重合ポリエステルを重合し、二軸延伸フィルム
を製造した。この共重合ポリエステルの特性及びフィル
ムの特性評価結果を表1に示す。この結果から明らかな
ように、アルカリ金属元素が含有していないためにフレ
ーバ性に劣るものであった。
【0034】比較例2 酢酸リチウムを0.12重量部添加する以外は実施例1
と同様にして共重合ポリエステルを重合し、二軸延伸フ
ィルムを製造した。この共重合ポリエステルの特性及び
フィルムの特性評価結果を表1に示す。この結果から明
らかなように、アルカリ金属元素の含有量が本発明の範
囲外であるためにためにフレーバ性に劣るものであっ
た。
【0035】比較例3 二酸化ゲルマニウムの代わりに三酸化アンチモン0.0
63重量部を添加する以外は実施例1と同様にして共重
合ポリエステルを重合し、二軸延伸フィルムを製造し
た。この共重合ポリエステルの特性を表1に示す。この
ポリエステルフィルムの特性評価を行ったところ、フレ
ーバ性に劣るものであった。
【0036】比較例4 ジエチレングリコールを61重量部、エチレングリコー
ルを60重量部を添加する以外は実施例1と同様にして
共重合ポリエステルを重合し、二軸延伸フィルムを製造
した。この共重合ポリエステルの特性及びフィルムの特
性評価結果を表1に示す。この結果、ポリオキシアルキ
レングリコール成分の含有量が本発明の範囲外であるた
めフレーバ性、耐熱性、耐衝撃性に劣るものであった。
【0037】比較例5 二酸化ゲルマニウムを0.0007重量部、三酸化アン
チモンを0.063重量部を添加する以外は実施例1と
同様にして共重合ポリエステルを重合し、二軸延伸フィ
ルムを製造した。この共重合ポリエステルの特性を表1
に示す。このポリエステルフィルムの特性評価を行った
ところ、ゲルマニウム元素含有量が本発明の範囲外であ
るためにフレーバ性、耐衝撃性に劣るものであった。
【0038】比較例6 二酸化ゲルマニウムを0.39重量部添加する以外は実
施例1と同様にして共重合ポリエステルを重合し、二軸
延伸フィルムを製造した。この共重合ポリエステルの特
性を表1に示す。このポリエステルフィルムの特性評価
を行ったところ、ゲルマニウム元素含有量が本発明の範
囲外であるためにフレーバ性、耐熱性、耐衝撃性に劣る
ものであった。
【0039】比較例7 イソフタル酸ジメチルを共重合しない以外は実施例1と
同様にして共重合ポリエステルを重合し、二軸延伸フィ
ルムを製造した。このフィルムの特性評価を行ったとこ
ろ、表1に示すようにフレーバ性、耐熱性、耐衝撃性に
劣るものであった。
【0040】
【表1】 表中の略号は以下のとおりである。 PAG :ポリオキシアルキレングリコール Ge :ゲルマニウム IPA :イソフタル酸 DEG :ジエチレングリコール PEG :ポリエチレングリコール CHDM:1,4−シクロヘキサンジメタノール
【0041】
【発明の効果】本発明の金属板貼合わせ用共重合ポリエ
ステル及びフィルムはフレーバ性、耐熱性、耐衝撃性、
特にフレーバ性に優れており、成形加工によって製造さ
れる金属缶に好適に使用することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08G 63/00 - 63/91

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】芳香族ジカルボン酸とグリコールとを主た
    る構成成分とする共重合ポリエステルが、ポリオキシア
    ルキレングリコール成分を0.05〜20重量%、ゲル
    マニウム元素を1.0〜500ppm、アルカリ金属元
    素を0.1〜50ppm含有することを特徴とする金属
    板貼合わせ用共重合ポリエステル。
  2. 【請求項2】ポリオキシアルキレングリコール成分がジ
    エチレングリコールである請求項1に記載の金属板貼合
    わせ用共重合ポリエステル。
  3. 【請求項3】共重合ポリエステルの融点が150〜25
    0℃である請求項1に記載の金属板貼合わせ用共重合ポ
    リエステル。
  4. 【請求項4】請求項1、2または3に記載の金属板貼合
    わせ用共重合ポリエステルからなるフィルム。
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