JP2641293B2 - 共縮合ポリエステル、その製法およびその用途 - Google Patents

共縮合ポリエステル、その製法およびその用途

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Description

【発明の詳細な説明】 発明の技術分野 本発明は、溶融成形性、延伸性、機械的強度、透明性
およびガスバリヤー性に優れ、容器用などの素材として
適した性能を有する共縮合ポリエステル、この共縮合ポ
リエステルを製造する方法およびこの共縮合ポリエステ
ルを用いたガスバリヤー性賦与剤に関する。
発明の技術的背景ならびにその問題点 従来、調味料、油、ビール、日本酒などの酒類、炭酸
飲料などの清涼飲料、化粧品、洗剤などの容器素材とし
てはガラスが広く使用されていた。しかし、ガラス容器
はガスバリヤー性には優れているが、製造コストが高い
ので、通常、使用後の空容器を回収し、循環再使用する
方法が採用されていた。しかも、ガラス容器は重いので
運送経費がかさむことの他に、破損し易く、取り扱に不
便であるなどの欠点があった。
上記のようなガラス容器の欠点に鑑み、ガラス容器に
代って、次第に種々のプラスチック容器が使用されるよ
うになってきている。そして、このようなプラスチック
容器は、容器に充填される物の種類および使用目的に応
じて種々のプラスチックを用いて製造されている。
このようなプラスチック容器を形成する素材のうち
で、ポリエチレンテレフタレートはガスバリヤー性およ
び透明性に優れており、調味料、清涼飲料、洗剤、化粧
品などの容器の素材として使用されている。
ところが、これらの容器のうちでビールおよび炭酸飲
料のような内部に炭酸ガスなどが充填されている飲料の
容器は、他の用途と比較して非常に高いガスバリヤー性
が必要になる。このため、このような容器を形成するた
めの素材としては、比較的高いバスバリヤー性を有する
ポリエチレンテレフタレートでもまだ充分であるとは言
い難い。このような実状から、これらの容器を製造する
際には、ポリエチレンテレフタレートの肉厚を厚くする
ことにより、必要なガスバリヤー性が確保されている。
また、上記のようなポリエチレンテレフタレートを製
造する際に第三成分を共縮重合させることにより、ポリ
エチレンテレフタレートの有しているガスバリヤー性を
改善するなどの提案もなされている。たとえば、このよ
うなポリエチレンテレフタレートを有しているガスバリ
ヤー性を改善する方法としては、ポリエチレンテレフタ
レートを製造する際に、芳香族系オキシカルボン酸成分
単位を共縮重合させる方法などが知られている。このよ
うに第三成分を共縮合させることにより、ポリエチレン
テレフタレートの有しているガスバリヤー性はある程度
向上し、さらに延伸性などの特性もある程度向上する。
しかしながら、ガスバリヤー性に関しては、ビールあ
るいは炭酸飲料などのようなスパークリング飲料を充填
するのに適する程には改善されていない。従って、スパ
ークリング飲料などの容器としてポリエチレンテレフタ
レート容器を使用する場合には、肉厚を厚くするなどの
方法を採用せざるを得ず、このような点で樹脂容器には
改善の余地があった。
発明の目的 本発明の第1の目的は、ガスバリヤー性、特に酸素お
よび炭酸ガスなどのガスに対するバリヤー性に優れてい
ると共に、機械的強度も一層優れた共縮合ポリエステル
を提供することにある。
本発明の第2の目的は、溶融成形性、延伸性に優れた
共縮合ポリエステルを提供することにある。
本発明の第3の目的は、ポリアルキレンテレフタレー
ト、特にポリエチレンテレフタレートに優れたガスバリ
ヤー性を賦与することができる共縮合ポリエステルを提
供することにある。
本発明の第4の目的は、ガスバリヤー性、特に酸素お
よび炭酸ガスに対するガスバリヤー性に優れた共縮合ポ
リエステルを製造する方法を提供することにある。
本発明の第5の目的は、溶融成形性、延伸性に優れた
共縮合ポリエステルを製造する方法を提供することにあ
る。
本発明の第6の目的は、成形性、ガスバリヤー性およ
び食品に対する安全性に優れ、かつ、ポリアルキレンテ
レフタレート、特にポリエチレンテレフタレートに配合
することにより、ガスバリヤー性に優れた成形体を製造
することができる組成物を形成することができる共縮合
ポリエステルを製造する方法を提供することにある。
さらに本発明の第7の目的は、たとえばポリアルキレ
ンテレフタレートなどに配合することにより、またはポ
リアルキレンテレフタレート等と積層体を形成すること
により、ポリアルキレンテレフタレートのガスバリヤー
性を向上させることができるガスバリヤー性賦与剤を提
供することにある。
発明の概要 本発明に係る共縮合ポリエステルは、 (a)イソフタル酸成分単位を主構成成分単位とする単
核芳香族系ジカルボン酸成分単位;2.5〜45モル%、 (b)2,6−ナフタリンジカルボン酸成分単位を主構成
成分単位とする複核芳香族系ジカルボン酸成分単位;2.5
〜25モル%、 (c)コハク酸成分単位を主構成成分単位とする脂肪族
系ジカルボン酸成分単位;2.0〜22.5モル%、 (d)エチレングリコール成分単位を主構成成分単位と
するジオール成分単位;48〜50モル%、 および、 (e)カルボキシル基および/またはヒドロキシル基を
合計で3個以上有し、かつ炭素原子数が3〜15の範囲に
ある多官能性化合物から誘導される多官能性成分単位;0
〜2モル%、 (ただし、a,b,c,dおよびe成分単位の合計は100モル%
である) から構成される実質的に線状の共縮合ポリエステルであ
り、該ポリエステルの極限粘度[η]が0.5〜1.5dl/gの
範囲内にあることを特徴としている。
また、本発明に係る共縮合ポリエステルの製法は、共
縮合ポリエステル中における単核芳香族系ジカルボン酸
成分単位(a)の含有率が2.5〜45モル%、複核芳香族
系ジカルボン酸成分単位(b)の含有率が2.5〜25モル
%、脂肪族系ジカルボン酸成分単位(c)の含有率が2.
0〜22.5モル%、ジオール成分単位(c)の含有率が48
〜50モル%および多官能性成分単位(d)の含有率が0
〜2モル%(ただし、a,b,c,dおよびe成分単位の合計
は100モル%である)になるように、 (a′)イソフタル酸またはそのエステルを主成分とす
る単核芳香族系ジカルボン酸成分、 (b′)2,6−ナフタリンジカルボン酸またはそのエス
テルを主成分とする複核芳香族系ジカルボン酸成分、 (c′)コハク酸またはそのエステルを主成分とする脂
肪族系ジカルボン酸成分、 (d′)エチレングリコールを主成分とするジオール成
分、 および、 (e′)カルボキシル基および/またはヒドロキシル基
を3個以上有し、炭素原子数が3〜15の範囲にある多官
能性化合物またはそのエステルからなる多官能性成分を
配合してなる混合物を加熱して、上記成分によるエステ
ル化反応またはエステル交換反応を行なった後、ゲルマ
ニウム化合物、アンチモン化合物およびチタニウル化合
物よりなる群から選ばれる化合物とリン化合物とからな
る触媒の存在下に、230〜300℃の範囲内の温度で共重縮
合反応を行なうことを特徴としている。
さらに、本発明に係るガスバリヤー性賦与剤は、 (a)イソフタル酸成分単位を主構成成分単位とする単
核芳香族系ジカルボン酸成分単位;2.5〜45モル%、 (b)2,6−ナフタリンジカルボン酸成分単位を主構成
成分単位とする複核芳香族系ジカルボン酸成分単位;2.5
〜25モル%、 (c)コハク酸成分単位を主構成成分単位とする脂肪族
系ジカルボン酸成分単位;2.0〜22.5モル%、 (d)エチレングリコール成分単位を主構成成分単位と
するジオール成分単位;48〜50モル%、 および、 (e)カルボキシル基および/またはヒドロキシル基を
合計で3個以上有し、かつ炭素原子数が3〜15の範囲に
ある多官能性化合物から誘導される多官能性成分単位;0
〜2モル%、 (ただし、a,b,c,dおよびe成分単位の合計は100モル%
である) から構成され、実質的に線状であり、極限粘度[η]が
0.5〜1.5dl/gの範囲内にある共縮合ポリエステルを含む
ことを特徴としている。
そして、本発明においては、共縮合ポリエステルのガ
ラス転移温度が55℃以上であることが好ましい。
本発明に係る共縮合ポリエステルは、従来から汎用さ
れているポリエチレンテレフタレートなどとは異なり、
ジカルボン成分単位としてイソフタル酸成分単位を主構
成成分単位とする単核芳香族系ジカルボン酸成分単位お
よび2,6−ナフタリンジカルボン酸成分単位を主構成成
分単位としているので、特に優れたガスバリヤー性を有
していると共に、溶融成形性、機械的強度および延伸性
などの特性にも優れている。
そして、このような共縮合ポリエステルは、特にポリ
アルキレンテレフタレートなどの熱可塑性物と共に使用
することにより、この樹脂に優れたガスバリヤー性を賦
与することができる。
発明の具体的説明 以下、本発明の共縮合ポリエステル、その製造法およ
びその用途について具体的に説明する。
本発明の共縮合ポリエステルは、基本的にはジカルボ
ン酸成分単位とジオール成分単位とから構成されてい
る。
そして、本発明の共縮合ポリエステルにおいて、ジカ
ルボン酸成分単位は、 イソフタル酸成分単位を主構成成分とする単核芳香族
系ジカルボン酸成分単位(a)、 2,6−ナフタリンジカルボン酸成分単位を主構成成分
とする複核芳香族系ジカルボン酸成分単位(b)、およ
び、 コハク酸成分単位を主構成成分単位とする脂肪族系ジ
カルボン酸成分単位(c)である。
また、ジオール成分単位は、エチレングリコール成分
単位を主構成成分とするジオール成分単位(d)であ
る。
そして、本発明の共縮合ポリエステルは、上記のよう
なジカルボン酸成分単位およびジオール成分単位の他
に、多官能性成分単位(e)を含んでいてもよい。
従って、本発明の共縮合ポリエステルには、 単核芳香族系ジカルボン酸成分単位(a)、 複核芳香族系ジカルボン酸成分単位(b)、 脂肪族系ジカルボン酸成分単位(c)、および、 ジオール成分単位(d)からなる四元若しくは、これ
以上の共縮合ポリエステルと、 単核芳香族系ジカルボン酸成分単位(a)、 複核芳香族系ジカルボン酸成分単位(b)、 脂肪族系ジカルボン酸成分単位(c)、 ジオール成分単位(d)および 多官能性成分単位(e)からなる五元若しくは、これ
以上の共縮合ポリエステルとが包含される。
本発明の共縮合ポリエステルを構成する単核芳香族系
ジカルボン酸成分単位(a)は、イソフタル酸成分単位
を主構成成分単位としている。単核芳香族系ジカルボン
酸成分単位中におけるイソフタル酸成分単位の含有率
は、通常50〜100モル%、好ましくは70〜100モル%の範
囲内にある。
本発明において、単核芳香族系ジカルボン酸成分単位
(a)を構成するイソフタル酸成分単位以外の単核芳香
族系ジカルボン酸成分単位としては、例えばテレフタル
酸から誘導される成分単位およびフタル酸から誘導され
る成分単位を挙げることができる。単核芳香族系ジカル
ボン酸成分単位中における上記のようなイソフタル酸以
外の成分単位の含有率は、通常、0〜50モル%、好まし
くは0〜30モル%の範囲内の範囲内にある。
本発明の共縮合ポリエステルを構成する複核芳香族系
ジカルボン酸成分単位(b)は、2,6−ナフタリンジカ
ルボン酸成分単位を主構成成分単位としている。複核芳
香族ジカルボン酸成分単位中における2,6−ナフタリン
ジカルボン酸成分単位の含有率は、通常50〜100モル
%、好ましくは70〜100モル%の範囲内にある。
本発明においては、単核芳香族系ジカルボン酸成分単
位(a)を構成する2,6−ナフタリンジカルボン酸以外
の複核芳香族系ジカルボン酸成分単位としては、例え
ば、2,7−ナフタリンジカルボン酸から誘導される成分
単位、1,4−ナフタリンジカルボン酸から誘導される成
分単位、1,5−ナフタリンジカルボン酸から誘導される
成分単位、4,4′−ビフェニルジカルボン酸から誘導さ
れる成分単位などのように炭素原子数が12〜18の複核芳
香族系ジカルボン酸から誘導される成分単位を挙げるこ
とができる。
複核芳香族系ジカルボン酸成分単位中における上記の
ような2,6−ナフタリンジカルボン酸以外の複核芳香族
系ジカルボン酸成分単位の含有率は、通常、0〜50モル
%、好ましくは0〜30モル%の範囲内にある。
本発明は共縮合ポリエステルを構成する脂肪族系ジカ
ルボン酸成分単位(c)は、コハク酸成分単位を主構成
単位としている。脂肪族系ジカルボン酸成分単位中にお
ける上記コハク酸成分単位の含有率は、通常、50〜70モ
ル%、好ましくは70〜100モル%の範囲内にある。
本発明において、脂肪族系ジカルボン酸成分単位を構
成するコハク酸成分単位以外の脂肪族系ジカルボン酸成
分単位としては、炭素原子数3〜14、好ましくは4〜10
の脂肪族系ジカルボン酸から誘導される成分単位を挙げ
ることができる。このような、脂肪族系ジカルボン酸成
分単位の具体的な例としては、アジピン酸から誘導され
る成分単位およびセバシン酸から誘導される成分単位を
挙げることができる。
脂肪族系ジカルボン酸成分単位中におけるコハク酸成
分単位以外の脂肪族系ジカルボン酸成分単位の含有率
は、通常、0〜50モル%、好ましくは0〜30モル%の範
囲内にある。
本発明の共縮合ポリエステルを構成するジオール成分
単位(d)は、エチレングリコール成分単位を主構成成
分単位としている。全ジオール成分単位中におけるエチ
レングリコール成分単位の含有率は、通常50〜100モル
%、好ましくは70〜100モル%の範囲内にある。
本発明においてジオール成分単位を構成するエチレン
グリコール以外のジオール成分単位としては、たとえ
ば、1,3−プロパンジオールから誘導される成分単位、
1,4−ブタンジオールから誘導される成分単位、ネオペ
ンチルグリコールから誘導される成分単位、シクロヘキ
サンジオールから誘導される成分単位、シクロヘキサン
ジメタノールから誘導される成分単位、1,4−ビス(β
−ヒドロキシエトキシ)ベンゼンから誘導される成分単
位、1,3−ビス(β−ヒドロキシエトキシ)ベンゼンか
ら誘導される成分単位、2,2−ビス(4−β−ヒドロキ
シエトキシフェニル)プロパンから誘導される成分単
位、ビス(4−β−ヒドロキシエトキシフェニル)スル
ホンから誘導される成分単位などのような炭素原子数が
3〜15のジオールから誘導される成分単位を挙げること
ができる。全ジオール成分単位中におけるエチレングリ
コールのジオール成分単位の含有率は、通常、0〜50モ
ル%、好ましくは0〜30モル%の範囲内にある。
上記のように本発明の共縮合ポリエステルを構成する
ジオール成分単位(d)は、基本的にはエチレングリコ
ールを主構成成分単位とする成分単位であるが、このよ
うなエチレングリコール成分単位は、ジオール成分どう
しが結合することにより形成されるエーテル結合を有す
る化合物から誘導される成分単位をも包含するものとす
る。ただし、共縮合ポリエステル中におけるこのような
成分単位の量は、ジオール成分単位(d)に対して10モ
ル%以下であることが好ましい。
本発明の共縮合ポリエステルを構成する多官能性成分
単位(e)は、3個以上、好ましくは3〜4のカルボキ
シル基および/またはヒドロキシル基を有し、かつ炭素
原子数が3〜15、好ましくは3〜9の範囲にある多官能
性化合物から誘導される成分単位である。
すなわち、多官能性成分単位(e)には、3個以上の
カルボキシル基を有する多官能性化合物から誘導される
成分単位、3個以上のヒドロキシル基を有する多官能性
化合物から誘導される成分単位、および合計で3個以上
のカルボキシル基とヒドロキシル基とを有する多官能性
化合物から誘導される成分単位とがある。
このような多官能性成分単位としては、具体的には、
ポリカルボン酸から誘導される成分単位、ポリオールか
ら誘導される成分単位およびオキシカルボン酸から誘導
される成分単位を挙げることができる。このようなポリ
カルボン酸から誘導される成分単位の例としては、 トリメット酸、トリメシン酸、3,3′,5,5′−テトラ
カルボキシジフェニルのような芳香族系多塩基酸から誘
導される成分単位; ブタンテトラカルボン酸のような脂肪族系多塩基酸か
ら誘導される成分単位を挙げることができ、 ポリオールから誘導される成分単位の例としては、 フロログルシン、1,2,4,5−テトラヒドロキシベンゼ
ンのような芳香族系ポリオールから誘導される成分単
位; グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロール
プロパン、ペンタエリスリトールのような脂肪族系ポリ
オールから誘導される成分単位を挙げることができ、 オキシカルボン酸から誘導される成分単位の例として
は、 酒石酸、リンゴ酸のようなオキシポリカルボン酸から
誘導される成分単位を挙げることができる。
これらの多官能性成分単位は、単独で、あるいは組み
合わされて共縮合ポリエステルが形成される。
本発明の共縮合ポリエステルにおいて、上記のような
単核芳香族系ジカルボン酸成分単位(a)は、2.5〜45
モル%、好ましくは3〜45モル%、さらに好ましくは5
〜45モル%の範囲内の量で含まれており、 複核芳香族系ジカルボン酸成分単位(b)は、2.5〜2
5モル%、好ましくは、3〜25モル%、さらに好ましく
は、5〜25モル%の範囲内の量で含まれており、 脂肪族系ジカルボン酸成分単位(c)は、2.0〜22.5
モル%、好ましくは3〜20モル%、さらに好ましくは4
〜20モル%の範囲内の量で含まれており、 ジオール成分単位(d)は、48〜50モル%、好ましく
は49〜50モル%の範囲内の量で含まれている。
そして、本発明の共縮合ポリエステルにおいて、上記
多官能性成分単位(e)は、0〜2モル%、好ましくは
0〜1モル%の範囲内の量で含まれている。多官能性成
分単位(d)の量を0〜2モル%にすることにより、本
発明の共縮合ポリエステルが実質的な線上構造を維持す
るとができる。
なお、本発明の共縮合ポリエステル中における上記の
単核芳香族系ジカルボン酸成分単位(a)、複核芳香族
系ジカルボン酸成分単位(b)、脂肪族系ジカルボン酸
成分単位(c)、ジオール成分単位(d)および多官能
性成分単位(e)の総和は、100モル%になる。
なお二個以上のジオール成分がエーテル結合したジオ
ール成分単位は、エチレングリコール成分単位ではない
が、エチレングリコールを主構成成分単位とするジオー
ル成分単位に包含される。
このような組成を有する本発明の共縮合ポリエステル
は、実質的に線状のポリエステルである。ここで、実質
的に線状であるとは、ポリエステルが直鎖状の鎖状構造
あるいは分岐鎖を有する鎖状構造を有することを意味
し、ゲル状架橋構造(網状構造)を実質的に有しないこ
とを意味する。このことは、本発明の共縮合ポリエステ
ル1gを、120℃において、20mlの0−クロロフェノール
に溶解させた場合に、ゲル分が残留することなく、共縮
合ポリエステルが0−クロロフェノールに完全に溶解す
ることを意味する。
本発明の共縮合ポリエステルが、前記単核芳香族系ジ
カルボン酸成分単位(a)、複核芳香族系ジカルボン酸
成分単位(b)、脂肪族系ジカルボン酸成分単位(c)
およびジオール成分単位(d)からなる場合にはこの共
縮合ポリエステルは直鎖状の構造を有する。そして本発
明の共縮合ポリエステルが、前記単核芳香族系ジカルボ
ン酸成分単位(a)、複核芳香族系ジカルボン酸成分単
位(b)、脂肪族系ジカルボン酸成分単位(c)、ジオ
ール成分単位(d)および多官能性成分単位(e)から
なる場合には、この共縮合ポリエステルは、分岐鎖状の
構造を有する。
本発明の共縮合ポリエステルは、極限粘度(0−クロ
ロフェノール溶媒中で25℃で測定した値)が0.5〜1.5dl
/gの範囲にあることが必要であり、さらには0.6〜1.2dl
/gの範囲にあることが好ましい。この共縮合ポリエステ
ルの極限粘度が1.5dl/gより大きくなると共縮合ポリエ
ステルの溶融成形性が低下するようになり、さらに延伸
性も低下するようになる。また、この値が0.5dl/gより
小さくなるに従って共縮合ポリエステルおよびその延伸
物の機械強度が低下するようになる。そして、この極限
粘度が0.6〜1.2dl/gの範囲にある共縮合ポリエステル
は、溶融成形性が特に優れていると共に、得られた共縮
合ポリエステルを用いて製造された成形体の機械的強度
も良好になる。
さらに、本発明の共縮合ポリエステルは、55℃以上の
ガラス転移温度を有していることが好ましく、この共縮
合ポリエステルが55℃〜80℃の範囲内のガラス転移温度
を有していることが特に好ましい。さらに60℃〜75℃の
範囲のガラス転移温度を有している共縮合ポリエステル
が特に好ましい。共縮合ポリエステルが上記のように、
好ましくは55℃以上のガラス転移温度を有することによ
り、この共縮合ポリエステルを充分に乾燥させることが
できる。そして充分な乾燥を行なうことにより、溶融成
形時に、水分の混入によってポリエステルが分解するこ
とを有効に防止することができ、従って例えば成形操作
によって成形体に低分子量のポリエステル混入すること
が少なくなる。したがって、このような共縮合ポリエス
テルから形成された容器は、充填物中に低分子量のポリ
エステルが溶出することが少なく、安全性に優れてい
る。
なお、本発明の共縮合ポリエステルが、イソフタル酸
以外の単核芳香族系ジカルボン酸成分単位、2,6−ナフ
タリンジカルボン酸以外の複核芳香族系ジカルボン酸成
分単位、コハク酸以外の脂肪族系ジカルボン酸成分単
位、エチレングリコール以外のジオール成分単位を含む
場合、これらの成分単位は、単独で含まれていてもよい
し、また二種類以上が組み合わされて含まれていてもよ
い。
本発明の共縮合ポリエステルは従来から公知の方法を
利用して製造することができる。
本発明において共縮合ポリエステルを製造する際の溶
融重縮合法を採用する場合、いわゆる直接重縮合法を採
用することもできるし、またいわゆるエステル交換重縮
合法を採用することもできる。
ここで溶融重縮合法について具体的に説明すると、原
料成分を同時にあるいは遂次的に反応系に投入して加熱
して、これらの原料物質のようるエステル化反応もしく
はエステル交換反応(さらに場合によってはエーテル交
換反応)を行なって初期重縮合体を形成し、次いでこの
初期重縮合物を、この物質の融点以上の温度に加熱して
溶融状態にして重縮合を行なう方法である。
すなわち、上記の方法において本発明の共縮合ポリエ
ステルは、前記単核芳香族系ジカルボン酸成分単位
(a)を形成しうる単核芳香族系ジカルボン酸成分
(a′)、 複核芳香族系ジカルボン酸成分単位(b)を形成しう
る複核芳香族系ジカルボン酸成分(b′)、 脂肪族系ジカルボン酸成分単位(c)を形成しうる脂
肪族系ジカルボン酸成分(c′)、 ジオール成分単位(d)を形成しうるジオール成形
(d′)、 および、 多官能性成分単位(e)を形成しうる多官能性成分
(e′)を所定の割合で含む混合物を、特定の温度に加
熱して上記成分によるエステル化反応またはエステル交
換反応を行なった後、所定の触媒の存在下に、共重縮合
反応を行なうにより製造することができる。
上述の本発明の共縮合ポリエステルの製法において、
単核芳香族系ジカルボン酸成分単位(a)を形成しうる
単核芳香族系ジカルボン酸成分(a′)は、イソフタル
酸ならびにこれらの酸成分のモノあるいはジエステルお
よびビスβ−ヒドロキシエチルエステルのようなジオー
ルのエステルであり、さらにこのイソフタル酸およびそ
の誘導体と共に用いられる単核芳香族系ジカルボン酸成
分単位としては、テレフタル酸およびフタル酸などの酸
成分ならびにこれらの酸成分のモノあるいはジエステル
およびビスβ−ヒドロキシエチルエステルのようなジオ
ールのエステルを挙げることができる。ただし、イソフ
タル酸あるいはその誘導体は、他の単核芳香族系ジカル
ボン酸あるいはその誘導体に対して、共縮合ポリエステ
ル中におけるイソフタル酸成分単位が主構成成分単位と
なりうる量で用いられる。
複核芳香族系ジカルボン酸成分単位(b)を形成しう
る複核芳香族系ジカルボン酸成分(b′)は、2,6−ナ
フタリンジカルボン酸またはこの酸成分のモノあるいは
ジエステルおよびビスβ−ヒドロキシエチルエステルの
ようなジオールのエステルであり、さらにこの2,6−ナ
フタリンジカルボン酸および誘導体と共に用いられる複
核芳香族系ジカルボン酸成分としては、例えば、2,7−
ナフタリンジカルボン酸、1,4−ナフタリンジカルボン
酸、1,5−ナフタリンジカルボン酸、4,4′−ビフェニル
ジカルボン酸などの炭素原子数が12〜18の複核芳香族系
ジカルボン酸ならびにこれらの酸成分のモノあるいはジ
エステルおよびビスβ−ヒドロキシエチルエステルのよ
うなジオールのエステルを挙げることができる。ただ
し、2,6−ナフタリンジカルボン酸および誘導体は、他
の複核芳香族系ジカルボン酸あるいはその誘導体に対し
て、2,6−ナフタリンジカルボン酸成分単位が主構成成
分単位となりうる量で用いられる。
脂肪族系ジカルボン酸成分単位を構成(c)しうる脂
肪族系ジカルボン酸成分(c′)は、コハク酸または、
この酸のモノエステルあるいはジエステル、およびビス
β−ヒドロキシエステルのようなジオールのエステルで
あり、さらにこのコハク酸および誘導体と共に用いられ
る脂肪族系成分としては、例えばアジピン酸およびゼバ
シン酸、並びにこれらのジカルボン酸成分のモノあるい
はジエステルおよびビスβ−ヒドロキシエチルエステル
のようなジオールのエステルを挙げることができる。
ただし、コハク酸および誘導体は、他の脂肪族ジカル
ボン酸あるいは、その誘導体に対して、コハク酸成分単
位が主構成成分単位となりうる量で用いられる。
ジオール成分単位(d)を構成しうるジオール成分
(d′)は、エチレングリコールあるいはこのエチレン
グリコールのモノあるいはジエステルである。そして、
このエチレングリコールあるいはその誘導体と共に用い
られるジオール成分としては、例えば、1,3−プロパン
ジオール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコ
ール、シクロヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタ
ノール、1,4−ビス(β−ヒドロキシエトキシ)ベンゼ
ン、1,3−ビス(β−ヒドロキシエトキシ)ベンゼン、
2,2−ビス(4−β−ヒドロキシエトキシフェニル)プ
ロパン、ビス(4−β−ヒドロキシエトキシフェニル)
スルホンなどの炭素原子数が3〜15のジオールを挙げる
ことができる。ただし、エチレングリコールおよび誘導
体は、他のジオール成分あるいはその誘導体に対して、
エチレングリコール成分単位が主構成成分単位となりう
る量で用いられる。
多官能性成分単位(e)を形成しうる多官能性成分
は、カルボキシル基および/またはヒドロキシ基を3個
以上有し、炭素原子数が3〜15の範囲にある多官能性化
合物またはそのエステルである。このような多官能性化
合物の例としては、 トリメリット酸、トリメシン酸、3,3′,5,5′−テト
ラカルボキシジフェニルのような芳香族系多塩基酸およ
びこれらの化合物のエステル、 ブタンテトラカルボン酸のような脂肪族系多塩基酸お
よびこれらの化合物のエステル、 フロログルシン、1,2,4,5−テトラヒドロキシベンゼ
ンのような芳香族系ポリオールおよびこれらの化合物の
エステル、 グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロール
プロパン、ペンタエリスリトールのような脂肪族系ポリ
オールおよびこれらの化合物のエステル、 酒石酸、リンゴ酸のようなオキシポリカルボン酸およ
びこれらの化合物のエステルを挙げることができる。
上記のような各成分は、反応系中におけるこれらの各
成分から誘導される成分単位が、得ようとする共縮合ポ
リエステル中における各成分単位の含有率とほぼ等しく
なるように配合される。
そして、好適には単核芳香族系ジカルボン酸成分
(a′)、複核芳香族系ジカルボン酸成分(b′)、脂
肪族系ジカルボン酸成分(c′)、ジオール成分
(d′)および多官能性成分(e′)は、反応系中にお
ける単核芳香族系ジカルボン酸成分単位(a)の含有率
が2.5〜45モル%、複核芳香族系ジカルボン酸成分単位
(b)の含有率が2.5〜25モル%、脂肪族系ジカルボン
酸成分単位(c)の含有率が2.0〜22.5モル%、ジオー
ル成分単位(d)の含有率が48〜50モル%および多官能
性成分単位(e)の含有率が0〜2モル%になるように
配合される。なお、エチレングリコールは、例えば触媒
の溶媒などとしても使用することができ、系内に投入さ
れるジカルボン酸の総モル量よりも過剰に用いるのが一
般的である。したがって、エチレングリコールが上記範
囲を超えて反応系内に投入されていてもよい。
次いで、上記のような原料成分がジオールおよびジカ
ルボン酸などの形態で反応系に供給された場合にはエス
テル化反応を行ない、原料成分がエステルの形態で反応
系に供給された場合には、エステル交換反応を行なう。
さらに、原料成分が両者を含む場合には、エステル交換
反応およびエステル化反応を行なう。このようなエステ
ル化反応およびエステル交換反応は、通常180〜260℃、
好ましくは200〜260の範囲内の温度で行なわれる。ま
た、このエステル化反応およびエステル交換反応は、上
記温度範囲などで加熱温度を、比較的低温(例えば180
〜205℃)に設定し、次いで比較的高温(例えば205〜26
0℃)に設定して行なうこともできる。上記のような反
応は減圧、常圧および加圧のいずれの圧力条件で行なう
こともできるが、通常はこの反応は加圧下に行なわれ
る。この場合の圧力は通常0.5〜2.5kg/m2、好ましくは
1〜2kg/m2であり、このような条件下で、上記のような
条件においてこの反応は、通常3〜12時間、好ましくは
4〜8時間で終了する。なお、上記の反応により副生す
る水などの成分は、反応系から逐次除去される。
上記のエステル反応あるいはエステル交換反応は、触
媒を使用しないで行なうこともできるし、また触媒を使
用して行なうこともできる。
触媒を使用してエステル反応あるいはエステル交換反
応を行なう場合、使用することができる触媒の例として
は、カルシウム、マグネシウム、リチウム、亜鉛、コバ
ルト、マンガンなどの金属化合物を用いることができ
る。これらの化合物の形態としては酸化物、水酸化物、
ハロゲン化物、無機酸塩、有機酸塩などを挙げることが
できる。
さらにこのエステル反応あるいはエステル交換反応を
行なう際には、ジエチレングリコールの生成抑制剤、熱
安定剤、光安定剤、滑剤、顔料、染料などの各種添加剤
を用いることができる。
ここで使用されるジエチレングリコールの生成抑制剤
の例としては、トリエチルアミン、トリn−ブチルアミ
ンなどのアミン類、テトラエチルアンモニウムヒドロオ
キシド、テトラブチルアンモニウムヒドロオキシドなど
の第四級アンモニウム化合物などを挙げることができ
る。また熱安定剤などの安定剤の例としては、リン酸、
亜リン酸、次亜リン酸、またはこれらのエステルのよう
なリン化合物を挙げることができる。
なお、上記のエステル化反応あるいはエステル交換反
応の際に熱安定剤として使用されるリン化合物の一部
は、次の段階において使用されるリン化合物系の触媒と
しても作用することもあるし、ジエチレングリコールの
生成抑制剤の一部は、特定の金属と塩、錯体、複塩など
を形成して次に工程で触媒として作用することもある。
このようにしてエステル化反応あるいはエステル交換
反応を行った後、この反応物による共縮合反応を行な
う。
この共縮合反応は、ゲルマニウム化合物、アンチモン
化合物およびチタニウム化合物よりなる群から選ばれる
化合物とリン化合物とからなる触媒の存在下に行なわれ
る。
本発明で用いられるゲルマニウム化合物、アンチモン
化合物およびチタニウム化合物よりなる群から選ばれる
化合物は、ゲルマニウム、アンチモンあるいはチタニウ
ム単体でも使用することができ、また酸化物、水酸化
物、ハロゲン化物、有機酸塩、錯体、複塩、アルコラー
ト、フェノラートなどの形態で使用することができる。
このような化合物の例としては、 ゲルマニウム、アンチモンあるいはチタニウムと、ト
リn−ブチルアミンあるいはトリエチルアミンのような
第三級アミンとの反応生成物; 三酸化アンチモン、酸化チタン(I)、酸化チタン
(II)、ゲルマニウムなどの酸化物; チタニウムテトラブトキシド、チタニウムテトラメト
キシド、チタニウムテトライソプロポキシド、ゲルマニ
ウムブトキシド、ゲルマニウムエトキシドのようなアル
コキシド; 酸化チタン(I)とアセチルアセトネートとの反応生
成物、イソプロピルトリス(p−ドデシルベンゼンスル
ホニル)チタネート、イソプロピルトリス(m−ヒドロ
キシベンゼンスルホニル)チタネートを挙げることがで
きる。
これらの触媒は、単独で使用することもできるし、ま
た二種以上の混合物として用いることもできる。これら
の触媒を構成する金属またはその化合物の使用割合は、
単核芳香族系ジカルボン酸および複核芳香族系ジカルボ
ン酸1モルに対してアンチモン、ゲルマニウムまたはチ
タニウムの原子比換算で、通常10-5〜10-2グラム原子、
好ましくは5×10-5〜5×10-3グラム原子の範囲内にあ
る。
上記化合物と共に触媒として用いられるリン化合物と
して、例えば、リン酸、亜リン酸、次亜リン酸、ポリリ
ン酸およびモノメチルリン酸あるいはジメチルリン酸の
ような上記のリン酸類のエステルならびにホスフィンお
よびホスファイトなどのリン化合物を挙げることができ
る。リン化合物の使用割合は、単核芳香族系ジカルボン
酸と複核芳香族系オキシカルボン酸との合計1モルに対
するリンの原子比換算で、通常10-5〜10-2グラム原子、
好ましくは2×10-5〜5×10-3グラム原子の範囲内にあ
る。
また上記のゲルマニウム化合物、アンチモン化合物お
よびチタニウム化合物よりなる群から選ばれる化合物
と、リン化合物とは、金属およびリン換算原子比で、通
常は10:1〜1:10、好ましくは5:1〜1:5の範囲内の比率で
用いられる。
このような触媒は、反応系にそのまま添加することも
できるし、これらの触媒を溶融若しくは分散可能な溶媒
に溶解若しくは分散させて添加することもできる。この
ような溶媒としてエチレングリコールのようなジオール
類を使用することもでき、このような触媒として反応系
に添加されたジオール類などは触媒の溶媒として作用す
ると共に、反応原料としても作用する。
これらの触媒を重縮合系に供給する方法としては、エ
ステル化反応あるいはエステル交換反応の初期の段階か
ら反応系に供給することもできるし、また、共縮合反応
段階に移行する前に反応系に供給することもできる。
このような触媒の存在下における反応の反応温度は、
230〜300℃、好ましくは250〜280℃、さらに好ましくは
260〜275℃である。すなわち、上述のエステル化反応あ
るいはエステル交換反応(さらに場合によってはエーテ
ル交換反応)の反応生成物を溶融状態にして共縮合反応
を行なう。
この共縮合反応は、加圧下、常圧下および減圧下に行
なうことができるが、減圧下に行なうことが好ましい。
このように減圧下に行なうことにより過剰のエチレング
リコールは反応系から除去される。
また、上記の共縮合反応は、不活性雰囲気で行なうこ
とが好ましい。
このようにして共縮合反応を行なうことにより反応性
生物の粘度は時間の経過と共に増加する。そして、反応
温度などの他の条件によっても異なるが、通常1〜15時
間、好ましくは2〜10時間で、共縮合ポリエステルの極
限粘度[η]は0.5〜1.5dl/g、好ましくは0.6〜1.2dl/g
の範囲内になる。
例えば、上記のようにして得られた本発明の共縮合ポ
リエステルは、成形体および延伸成形体などの素材とし
て使用することができる。すなわち、本発明の共縮合ポ
リエステルを使用して、フィルム状、シート状、繊維
状、容器状、その他、種々の形状の成形体を得ることが
でき、さらにこのような成形体は延伸されていてもよ
い。
このように本発明の共縮合ポリエステルを用いた成形
体のうち、まず延伸成形体について説明する。
本発明の共縮合ポリエステルを用いて一軸延伸成形あ
るいは二軸延伸成形することにより、フィルム、シー
ト、繊維等の種々の形態の延伸成形体を得ることができ
る。ここで使用される共縮合ポリエステルとしては、本
発明の共縮合ポリエステルを単独で用いることもできる
し、さらにこれに無機充填剤、滑剤、スリップ剤、アン
チブロッキング剤、安定剤、帯電防止剤および顔料など
の通常使用されている添加剤を配合した組成物であって
もよい。
本発明の共縮合ポリエステルを用いた延伸成形体を製
造する方法としては、従来から公知のいずれの方法も採
用することができる。
一般には、前記共縮合ポリエステルを単独で若しくは
これに必要に応じて前記添加剤を配合した組成物を用い
て成形したフィルムまたはシートなどの原成形体を、そ
のまま、あるいはガラス転移点以下の温度に冷却して固
化させた後に、ガラス転移温度以上、好ましくはガラス
転移温度からガラス転移温度よりも80℃高い範囲内の温
度で延伸される。
本発明の共縮合ポリエステルを用いた延伸成形体を製
造する方法としては、たとえば原成形体がフィルムまた
はシートである場合には、未延伸のフィルムまたはシー
トを一軸方向に延伸する方法(一軸延伸法)、縦軸方向
に延伸した後、さらに横軸方向に延伸する方法(二軸延
伸法)、縦軸方向および横軸方向に同時に延伸する方法
(同時二軸延伸)、二軸延伸した後、さらにいずれかの
一方向に遂次延伸を繰返す方法、二軸延伸した後に、さ
らに両方向に延伸する方法、フィルムまたはシートと金
型とにより形成される空間を減圧することによって延伸
成形するいわゆる真空成形法などを挙げることができ
る。ここで、共縮合ポリエステルを用いて一軸延伸する
場合の延伸倍率は、通常は1.1〜10倍、好ましくは1.2〜
8倍、特に好ましくは1.5〜7倍の範囲である。また二
軸延伸して成形体を製造する場合の延伸倍率は、横軸方
向に、通常、1.1〜8倍、好ましくは1.2〜7倍、特に好
ましくは1.5〜6倍の範囲であり、縦軸方向に通常1.1〜
8倍、好ましくは1.2〜7倍、特に好ましくは1.5〜6倍
の範囲である。またこれらの共縮合体の延伸成形体は、
共縮合ポリエステルを含むシート若しくはフィルム等と
他の樹脂からなるシート若しくはフィルムとの積層体で
あってもよい。このような積層体の製造方法としては、
共縮合ポリエステルのフィルムまたはシートなどの原成
形体を他の樹脂のフィルムまたはシートなどの原成形体
とを積層した後、延伸する方法、および共縮合体の延伸
成形体の他の樹脂フィルムまたはシート(これらは延伸
されていてもよい)を接着する方法などを挙げることが
できる。
本発明の共縮合ポリエステルを用いた延伸成形体は、
機械的強度およびガスバリヤー性が優れている。特に、
電気部材、電子部材および金属部材などの被覆に用いる
ことにより、電気電子回路の保護あるいは金属の腐食の
防止に対して有効である。また、共縮合ポリエステルの
延伸フィルムは、電気的特性を利用して、コンデンサ
ー、モーター用、トランス用、あるいは電線被覆用など
の用途にも有効に使用することができる。さらに優れた
ガスバリヤー性を利用して食品包装用などのフィルムと
しても使用することができる。
上記のように本発明の共縮合ポリエステルは、単独で
用いても良好なガスバリヤー性を示すが、他の熱可塑性
樹脂と組合わせて使用することにより、得られる成形体
のガスバリヤー性を著しく向上させることができる。す
なわち、本発明の共縮合ポリエステルは、ガスバリヤー
性賦与剤として使用することができる。
本発明において、共縮合ポリエステルをガスバリヤー
性賦与剤として使用する場合に共縮合ポリエステルの使
用方法としては、共縮合ポリエステルを用いて調製され
た層と他の熱可塑性樹脂を用いて調製された層とを積層
して成形体とする方法、および、共縮合ポリエステルを
他の熱可塑性樹脂に配合した樹脂組成物を用いて成形体
を得る方法がある。
ここで使用することができる熱可塑性樹脂としては、
ポリエステル、ポリアミド、ポリカーボネートおよびポ
リオレフィンなどを挙げることができる。特に本発明に
おいて、熱可塑性樹脂としては、エチレンテレフタレー
トを主構成単位とするポリアルキレンテレフタレート等
のポリエステルを使用することが好ましい。
さらに、本発明の共縮合ポリエステルを用いた積層成
形体を構成するポリアルキレンテレフタレートとして
は、エチレンテレフタレート構成単位の含有率が、通常
は、50モル%以上、好ましくは70モル%以上の範囲にあ
るポリエチレンテレフタレートが好ましい。なおポリア
ルキレンテレフタレートを構成するジカルボン酸成分単
位としては、テレフタル酸成分単位以外に少量の他の芳
香族系ジカルボン酸成分単位を含有していてもよい。
ここで、テレフタル酸成分単位以外の他の芳香族系ジ
カルボン酸成分単位として、具体的には、イソフタル
酸、フタル酸およびナフタリンジカルボン酸などから誘
導される成分単位を挙げることができる。また、ボリア
ルキレンテレフタレートを構成するジオール成分単位と
しては、エチレングリコール成分単位であることが好ま
しいが、エチレングリコール成分単位の外に他のジオー
ル成分単位を少量含有していてもよい。エチレングリコ
ール成分単位以外の他のジオール成分単位としては、た
とえば、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオー
ル、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジオー
ル、シクロヘキサンジメタノール、1,4−ビス(β−ヒ
ドロキシエトキシ)ベンゼン、1,3−ビス(β−ヒドロ
キシエトキシ)ベンゼン、2,2−ビス(4−β−ヒドロ
キシエトキシフェニル)プロパンおよびビス(4−β−
ヒドロキシエトキシフェニル)スルホンなどの炭素原子
数が3〜15のジオールから誘導される成分単位を挙げる
ことができる。
また、ボリアルキレンテレフタレートは、前記芳香族
系ジカルボン酸成分単位および前記ジオール成分単位の
他の必要に応じて、他の多官能性化合物から誘導される
構成単位を含んでいてもよい。
ここで多官能性化合物から誘導される成分単位を形成
する多官能性化合物として、具体的には、トリメリット
酸、トリメシン酸および3,3′,5,5′−テトラカルボキ
シジフェニルなどの芳香族系多塩基酸;ブタンテトラカ
ルボン酸などの脂肪族系多塩基酸;フロログルシンおよ
び1,2,4,5−テトラヒドロキシベンゼンなどの芳香族系
ポリオール;グリセリン、トリメチロールエタン、トリ
メチロールプロパンおよびペンタエリスリトールなどの
脂肪族系ポリオール;酒石酸およびリンゴ酸などのオキ
シポリカルボン酸などを挙げることができる。
このようなポリアルキレンテレフタレートにおける構
成成分の存在率は、テレフタル酸成分単位の含有率が、
通常、50〜100モル%、好ましくは70〜100モル%の範囲
にあり、テレフタル酸成分単位以外の芳香族系ジカルボ
ン酸成分単位の含有率が、通常、0モル%以上50モル%
未満、好ましくは0〜30モル%の範囲にあり、エチレン
グリコール成分単位の含有率が、通常、50〜100モル
%;好ましくは70〜100モル%の範囲にあり、エチレン
グリコール成分単位以外のジオール成分単位の含有率
が、通常0〜50モル%、好ましくは0〜30モル%の範囲
にあり、そして多官能性化合物成分単位の含有率が、通
常0〜2モル%、好ましくは0〜1モル%の範囲にあ
る。また、このようなポリアルキレンテレフタレートの
極限粘度[η](0−クロロフェノール中で25℃で測定
した値)は、通常、0.5〜1.5dl/g、好ましくは0.6〜1.2
dl/gの範囲であり、融点は、通常、210〜265℃、好まし
くは220〜260℃の範囲であり、ガラス転移温度は、通
常、50〜120℃、このましくは、60〜100℃の範囲にあ
る。
次に、上記のようなポリアルキレンテレフタレートか
らなる層と、本発明の共縮合ポリエステルからなる層と
から構成された積層成形体について説明する。
この積層成形体として、具体的には、本発明の共縮合
ポリエステルからなる層およびポリエチレンテレフタレ
ートを主構成単位とするポリアルキレンテレフタレート
層の二層から構成される二層積層成形体、 共縮合ポリエステルからなる層を中間層とし、かつ両
外側層を上記ポリアルキレンテレフタレート層とする三
層積層成形体、 ポリアルキレンテレフタレートからなる層を中間層と
し、かつ両側層を上記共縮合ポリエステル層とする三層
積層成形体、 共縮合ポリエステルからなる層および上記ポリアルキ
レンテレフタレート層を交互に積層した四層構造以上の
積層成形体であって、両最外層がポリアルキレンテレフ
タレート層から構成される多層積層成形体、 共縮合ポリエステルからなる層および上記ポリアルキ
レンテレフタレート層を交互に積層した四層構造以上の
積層成形体であって、両最外層が共縮合ポリエステルか
らなる層から構成される多層積層成形体、 共縮合ポリエステルからなる層および上記ポリアルキ
レンテレフタレート層を交互に積層した四層構造以上の
積層成形体であって、最外層が共縮合ポリエステルから
なる層およびポリアルキレンテレフタレート層から構成
される多層積層成形体などを挙げることができる。
上記の積層成形体は、シート状物、板状物、管状物、
中空状、容器等の種々の形状で用いることができる。こ
の積層成形体は、従来から公知の方法によって製造する
ことができる。
このような積層成形体を構成する共縮合ポリエステル
からなる層およびポリアルキレンテレフタレート層の厚
さに特に制限はなく、積層体の用途に応じて、適宜決定
することができる。たとえば、この積層成形体が前記二
層積層成形体である場合には、共縮合ポリエステルから
なる層の厚さは、通常4〜350μm、好ましくは6〜200
μmの範囲にあり、ポリアルキレンテレフタレート層の
厚さは8〜600μm、好ましくは10〜500μmの範囲にあ
る。また、この積層成形体が前記三層積層成形体のうち
の前者である場合には、共縮合ポリエステルからなる中
間の厚さは、通常4〜350μm、好ましくは6〜200μm
の範囲であり、ポリアルキレンテレフタレート層からな
る両外側層のそれぞれの厚さは、通常4〜300μm、好
ましくは5〜250μmの範囲である。また、積層成形体
が前記三層積層成形体のうちの後者である場合には、ポ
リアルキレンテレフタレート層からなる中間層の厚さ
は、通常8〜600μm、好ましくは10〜500μmの範囲で
あり、共縮合ポリエステルからなる層からなる両外側層
の厚さは、通常4〜100μm、好ましくは6〜50μmの
範囲である。さらに、積層成形体が前記四層構造以上の
多層積層成形体である場合にも、共縮合ポリエステルか
らなる層によって構成される中間層および最外側層の厚
さならびにポリアルキレンテレフタレート層によって構
成される中間層および最外側層の厚さは、前記同様に選
択することができる。
このような積層成形体は、延伸性、電気的特性、特に
電気絶縁性、機械的強度、透明性およびガスバリヤー性
などの性質に優れている。
上記のような積層体は、さらに延伸成形体とすること
ができる。すなわち、延伸積層成形体は、前記積層成形
体を延伸することによって製造することができる。延伸
積層成形体には、一軸延伸積層成形体および二軸延伸積
層体があり、延伸積層成形体の形態は、フィルム、シー
ト、板などのいずれの形状であってもよい。このような
延伸積層成形体の延伸倍率は、前記共縮合ポリエステル
の延伸成形体において提案した倍率をそのまま適用する
ことができ、また延伸成形体にヒートセットを施すこと
も可能である。
本発明の共縮合ポリエステルを用いた、延伸積層成形
体は、機械的強度、透明性およびガスバリヤー性などの
性質に優れている。特に、延伸成形体がフィルムである
場合には、たとえば電気部材、電子部材あるいは金属部
材の被覆用として用いることにより、長期間電気電子回
路の保護し、あるいは金属部材の腐食を有効に防止する
ことができる。また延伸積層フィルムは、コンデンサー
用、モーター用、トランス用あるいは電線被覆用の素材
としての有用性も高い。
さらに延伸積層フィルムは、食品包装材として使用す
ることもできる。また、上記の延伸積層成形体は、優れ
ていがスバリヤー性を有しているので、食品および炭酸
飲料用の容器として使用することもできる。
次に、本発明の共縮合ポリエステルのガスバリヤー性
賦与剤として、他の熱可塑性樹脂に配合した樹脂組成物
について説明する。
このような樹脂組成物において、使用することができ
る他の熱可塑性樹脂としては、上記積層体の際に使用し
た他の熱可塑性樹脂を挙げることができ、特に、熱可塑
性樹脂の中でも上記と同様にアルキレンテレフタレート
を使用することが好ましく、さらに上記と同様のポリエ
チレンテレフタレートを使用したポリエステル樹脂組成
物が特に好ましい。
このような共縮合ポリエステルを用いたポリエステル
樹脂組成物において、本発明の共縮合ポリエステルの配
合割合は、ポリアルキレンテレフタレートの100重量部
に対して、通常、1〜500重量部、好ましくは2〜300重
量部、特に好ましくは3〜100重量部の範囲である。
本発明の共縮合ポリエステルを用いたポリエステル樹
脂組成物の製造法に特に制限はないが、共縮合ポリエス
テルおよびポリエチレンアルキレートを溶融下あるいは
溶液として、均一に混合する方向が一般的である。特
に、押出成形機あるいは射出成形機などの撹拌による混
合が可能な成形機を用いて、溶解下に両者を混練する方
法を採用することが好ましい。
なお、このポリエステル樹脂組成物には、前記ポリア
ルキレンテレフタレートおよび前記共縮合ポリエステル
の他に核剤、無機充填剤、滑剤、スリップ剤、アンチブ
ロッキング剤、安定剤、帯電防止剤、防曇剤、顔料など
の各種の添加剤を配合することもできる。
このポリエステル樹脂組成物は、通常の成形方法によ
りフィルム、シート、繊維、容器、その他種々の形状の
成形体の素材として未延伸の状態で使用することができ
る。
このようなポリエステル樹脂組成物は、上記のように
そのまま使用して成形体とすることができるが、延伸成
形体とすることもできる。
このポリエステル樹脂組成物の延伸成形体には、一軸
延伸成形体および二軸延伸成形体があり、その形態は、
フィルム、シート、繊維のいずれであってもよい。
このポリエステル樹脂組成物の延伸成形体の製造する
方法としては、従来から公知のいずれの方法も採用する
ことができる。一般には、前記ポリエステル樹脂組成物
より成形したフィルムまたはシートなどの原成形体をそ
のまま、あるいは組成物のガラス転移温度以下の温度に
冷却して固化させたのちにガラス転移温度〜融点、好ま
しくはガラス転移温度〜ガラス転移温度よりも80℃高い
範囲内の温度で延伸処理が施される。また延伸成形体の
ヒートセット処理は、前記延伸温度ないしそれより高い
温度で短時間加熱することにより行なわれる。
このポリエステル樹脂組成物の延伸成形体を製造する
方法として。原成形体がフィルムまたはシートである場
合、利用することができる延伸法の例としては、前述し
た一軸延伸法、二軸延伸法、同時二軸延伸法、二軸延伸
した後にさらにいずれかの一方向に遂次延伸を繰返す方
法、および真空成形法などを挙げることができる。
ここでポリエステル組成物の延伸成形体が一軸延伸成
形体ある場合には、その延伸倍率は、通常、1.1〜10
倍、好ましくは1.2〜8倍、特に好ましくは1.5〜7倍の
範囲である。また該延伸成形体が二軸延伸体である場合
には、その延伸倍率は、縦軸方向に、通常、1.1〜8
倍、好ましくは1.2〜7倍、特に好ましくは1.5〜6倍の
範囲であり、縦軸方向には、通常、1.1〜8倍、好まし
くは1.2〜7倍、特に好ましくは1.5〜6倍の範囲であ
る。また、これらのポリエステル樹脂組成物の延伸成形
体は他の樹脂と積層した形態で製造することも可能であ
る。
ポリエステル樹脂組成物からなる層を含む延伸積層体
の製造方法としては、ポリエステル樹脂組成物のフィル
ムまたはシートなどの原成形体を他の樹脂のフィルムま
たはシートなどの原成形体と積層した後、延伸する方法
およびポリエステル樹脂組成物の延伸成形体に他の樹脂
のフィルムまたはシートを接着する方法などを挙げるこ
とができる。
このようにして得られたポリエステル樹脂組成物の延
伸成形体は、機械的強度、透明性およびガスバリヤー性
などの性質に優れているので、フィルム、シート、管状
体、容器、瓶などの形状で使用することができる。
発明の効果 本発明により新規な共縮合ポリエステルが提供され
る。この共縮合ポリエステル自体優れたガスバリヤー性
を有しているだけでなく、他の熱可塑性樹脂と組み合わ
せて使用することにより、他の熱可塑性樹脂の優れた特
性を損なうことなく、その熱可塑性樹脂に優れたガスバ
リヤー性を賦与することができる。
そして、この共縮合ポリエステルは、ガスバリヤー性
に優れているだけでなく、溶融成形性、機械的強度など
の特性においても優れている。
さらに、この共縮合ポリエステルは、各成分単位を構
成しうる成分の共縮合反応を利用することにより容易に
製造することができる。
[実施例] 次に、本発明を実施例によって具体的に説明する。他
だし、本発明は、以下に記載される実施例などによって
限定的に解釈されるべきではない。
なお、実施例および比較例において、特に限定しない
かぎり「部」との表現は「重量部」を意味する。性能評
価は以下に記載する方法に従って行った。
評価方法 共縮合ポリエステルの組成は、得られた共縮合ポリエ
ステルの磁気共鳴スペクトルを測定することによって定
めた。
極限粘度[η]は、0−クロロフェノール中25℃で測
定した。
ガラス転移温度は、示差走査型熱量計を用いて昇温速
度10℃/分で測定して求めた。
ガスバリヤー性は、酸素ガス透過係数をモコン(MOCO
N)社製オキシトラン(OXTRAN)装置を用い、また炭酸
ガス透過係数をモコン(MOKON)社製パーマトラン(PER
MATRAN)C−IV装置を用いて、それぞれ25℃で測定し、
この値で評価した。
色相は、日本電色工業(株)製ND−1001DP型色差計を
用いて測定した。曇り度は、日本電色工業(株)製NDH
−20D型ヘイズメーターを用いて測定した。
共縮合ポリエステルが実質上線状であるとの確認は、
前記のように得られた共縮合ポリエステル1gを120℃に
おいて、20mlのo−クロロフェノールに投入して共縮合
ポリエステルが完全に溶解し、ゲル分が存在しないこと
を確認することにより行なった。
実施例 1 イソフタル酸748g、2,6−ナフタリンジカルボン酸162
1g、コハク酸354g、エチレングリコール1117gおよびテ
トラエチルアンモニウムヒドロキシドの20%水溶液1.33
gをオートクレーブ中にに仕込み、2kg/cm2の圧力下、20
0℃で約2時間加熱し、撹拌下に反応を行なった。次い
で250℃で約4時間、撹拌下に反応を行い、生成する水
を系外に留去した。
次いで、反応圧力を常圧に戻し、この反応系に二酸化
ゲルマニウムとテトラエチルアンモニウムヒドロキシド
20%水溶液とを2:8の重量比で含む混合物溶液を2.5g添
加し、10分間撹拌したのち、リン酸モノメチルとリン酸
ジメチルとを5:5の重量比で混合した混合物の10%エチ
レングリコール溶液13gを加えた。
次に、この混合物を250℃に加熱し、撹拌下に約1時
間反応を行ない、さらにこの系を約1時間で270℃まで
昇温するとともに系を約0.8mmHgまで減圧にし、さらに2
70℃、約0.8〜0.5mmHgの条件で約6時間反応を行なっ
た。上記のように反応を行ないながら、未反応のエチレ
ングリコールを系外に留去した。
この重縮合反応の間に、反応物の粘度は、時間の経過
とともに増大した。
この重縮合反応によって得られたイソフタル酸、2,6
−ナフタリンジカルボン酸、コハク酸およびエチレング
リコールを成分単位として含むポリエステルの極限粘度
は、0.85dl/gであった。またこの重縮合物中のイソフタ
ル酸、2,6−ナフタリンジカルボン酸、コハク酸、エチ
レングリコールおよびジエチレングリコールの各成分単
位の組成は、それぞれ14.5モル%、26.0モル%、9.5モ
ル%、48.2モル%、1.8モル%であった。この共縮合ポ
リエステルのガラス転移温度は75℃であった。
この共縮合ポリエステルを約55℃で20時間減圧下に乾
燥後、約100μmの厚みをもつプレスシートを作成し
他。
次いでこのプレスシートのガスバリヤー性を測定し
た。その結果、炭酸ガス透過係数は、2.6ml・mm/m2・da
y・atmまた酸素ガス透過係数は、0.5ml・mm/m2・day・a
tmであった。
実施例 2〜6 実施例1において、イソフタル酸、2,6−ナフタリン
ジカルボン酸、コハク酸およびエチレングリコールをそ
れぞれ表1に記載した量で用いた以外は同様にして、共
縮合ポリエステルを製造した。
これらの共縮合ポリエステルの極限粘度、各成分単位
の組成、ガラス転移温度およびプレスシートの炭酸ガス
透過係数を表1に記載する。
比較例 1 テレフタル酸とエチレングリコールを用いて、、常法
にしたがって、極限粘度0.79dl/gのポリエチレンテレフ
タレートを合成した。
さらにこのポリエチレンテレフタレートを用いて実施
例1と同様にしてプレスシートを作製した。
このプレスシートの炭酸ガス透過係数は25ml・mm/m2
・day・atm、また、酸素ガス透過係数は4.5ml・mm/m2
day・atmであった。
比較例 2 実施例1において、イソフタル酸を2569g、2,6−ナフ
タリンジカルボン酸32gおよびコハク酸を9gを用いる以
外は同様にしてエステル化および重縮合反応を行った。
その結果、重縮合反応の後期にイソフタル酸とエチレ
ングリコールとの環状オリゴマーを主成分とする昇華物
がオートクレーブ内および留出管に大量に付着し、その
量はエステル化物の約15%にも達した。
また、この昇華物が留出管を閉さすこともあり操作上
非常に注意を要する。
このようにして得られた共縮合ポリエステルの極限粘
度は0.80dl/gであり、また、この共縮合ポリエステルの
イソフタル酸、2,6−ナフタリンジカルボン酸、コハク
酸およびエチレングリコール、ジエチレングリコールの
各成分単位の組成はそれぞれ48.4モル%、1.2モル%、
0.4モル%、47.7モル%、2.3モル%であり、さらにこの
共縮合ポリエステルのガラス転移温度は63℃であった。
実施例7および8ならびに比較例3 実施例1において、イソフタル酸の代りに、イソフタ
ル酸とテレフタル酸とを表2に記載した量で混合した混
合物を用いる以外は同様にして共縮合ポリエステルを製
造した。
得られた共縮合ポリエステルの極限粘度、各成分単位
の組成、ガラス転移温度およびプレスシートの炭酸ガス
透過係数を表2に記載する。
表2から明からなように、イソフタル酸成分単位の組
成がテレフタル酸成分単位の組成よりも小さい比較例3
の共縮合ポリエステルの炭酸ガス透過係数は実施例の共
縮合ポリエステルに比べ大きな値を示した。
実施例 9〜11 実施例4において、1,1,1−トリス(ヒドロキシメチ
ル)エタンを表3に記載した量で使用した以外は同様に
して、共縮合ポリエステルを製造した。
得られた共縮合ポリエステルの極限粘度、各成分単位
の組成、ガラス転移温度およびプレスシートの炭酸ガス
透過係数を表3に記載する。
実施例 12 イソフタル酸ジメチルエステル583g、2,6−ナフタリ
ンジカルボン酸ジメチルエステル1221g、コハク酸ジメ
チルエステル292g、エチレングリコール1366gおよび酢
酸マグネシウム、4水塩2.14gをオートクレーブ中に仕
込み、常圧で180℃で約1時間、200℃で約3時間、220
℃で約5時間撹拌下に反応を行い、生成するメタノール
を系外に留去した。
上記のようにしてエステル交換を行なったい倍は実施
例1と同様に操作して共縮合ポリエステルを製造した。
上記のようにして得られた共縮合ポリエステルの極限
粘度は、0.87dl/gであった。
また、この重縮合物中のイソフタル酸、2,6−ナフタ
リンジカルボン酸、コハク酸、エチレングリコールおよ
びジエチレングリコールの各成分単位の組成は、それぞ
れ、14.8モル%、25.3モル%、9.9モル%、48.8モル
%、1.2モル%であった。この共縮合ポリエステルのガ
ラス転移温度は75℃であった。
この共縮合ポリエステルを用いて製造された厚さ約10
0μmのプレスシートの炭酸ガス透過係数は2.5ml・mm/m
2・day・atm、また酸素ガス透過係数は0.5ml・mm/m2・d
ay・atmであった。
比較例 4 実施例4において、1,1,1−トリス(ヒドロキシメチ
ル)エタンの使用量を54gとした以外は同様にして共縮
合ポリエステルの製造を試みた。
その結果、重縮合反応の後期において系の粘度が大巾
に上昇する現象が起こりこのような現象を起こした後の
共縮合ポリエステルはもはや流動性を示さなかった。
実施例 13〜15 実施例4において、1,1,1−トリス(ヒドロキシメチ
ル)エタンの代りに、表4記載の多官能性化合物を表4
記載の量で使用した以外は同様にして共縮合ポリエステ
ルを製造した。
得られた共縮合ポリエステルの極限粘度、各成分単位
の組成、ガラス転移温度およびプレスシートの炭酸ガス
透過係数を表4に記載する。
実施例16および17 実施例4において、単量体の仕込み時に、表5記載の
ジオール成分を表5記載の量追加して仕込んで、共縮合
ポリエステルを製造した。
得られた共縮合ポリエステルの極限粘度、各成分単位
の組成、ガラス転移温度およびプレスシートの炭酸ガス
透過係数を表5に記載する。
実施例18および19 実施例4において、テトラエチルアンモニウムヒドロ
キシドの20%水溶液の代りに、表6記載の第3級アミン
の10%エチレングリコール溶液を表6記載の量で使用
し、およびリン酸ジメチルとリン酸モノメチルとの50/5
0混合物の10%エチレングリコールの代りに、表6記載
のリン化合物を表6記載の量で使用した以外は同様にし
て共縮合ポリエステルを製造した。
得られた共縮合ポリエステルの極限粘度、各成分単位
の組成、ガラス転移温度、およびプレスシートの炭酸ガ
ス透過係数を表6に記載した。
実施例 20〜22 実施例4において、二酸化ゲルマニウムとテトラエチ
ルアンモニウムヒドロキシド20%水溶液とを2:8の重量
比で含む混合液の代りに、表7記載の重縮合触媒を表7
記載の量で使用した以外は同様にして共縮合ポリエステ
ルを製造した。
得られた共縮合ポリエステルの極限粘度、各成分単位
の組成、ガラス転移温度およびプレスシートの炭酸ガス
透過係数を表7記載に記載する。
実施例23〜25および比較例 5 実施例1,2,4および比較例1で製造した共縮合ポリエ
ステルをそれぞれ用いて、厚さ200μmのプレスシート
を作製した。
さらにこれらのプレスシートを二軸延伸装置を用い
て、約75〜110℃の温度範囲でそれぞれ縦軸方向、横軸
方向にそれぞれ3倍に同時延伸して、それぞれの共縮合
ポリエステルの平均厚みが20μmの二軸延伸フィルムを
作製した。
得られた二軸延伸フィルムの炭酸ガス透過係数を表8
に記載する。
実施例 26 実施例4で製造したイソフタル酸、2,6−ナフタリン
ジカルボン酸、コハク酸、エチレングコールを原料とし
て得られる共縮合ポリエステルをT−ダイを備えた押出
機を用いて約240℃で押出し成形を行ない厚さ200μmの
押出しシートを作製した。
さらにこの押出しシートを二軸延伸装置を用いて約75
℃〜110℃の温度でまず縦軸(押出し流れに平行)方向
に3倍、ついで横軸方向(押出し流れに垂直)方向に3
倍に延伸して、厚みが約22μmの二軸延伸フィルムを作
製した。
この二軸延伸フィルムの炭酸ガス透過係数は1.5ml・m
m/m2・day・atmであった。
実施例 27 実施例4で製造したイソフタル酸、2,6−ナフタリン
ジカルボン酸、コハク酸、エチレングリコールを原料と
する共縮合ポリエステルからなる約150μmのプレスシ
ートと、比較例1で製造したポリエチレンテレフタレー
トからなる厚さ約150μmのプレスシートとを重ね合わ
せて、さらにプレス成形して厚さ150μmの複層のプレ
スシートを作製した。
この複層のプレスシートの共縮合ポリエステル層との
密着性は良好であった。さらにこの複層のプレスシート
を実施例23と同様の条件で二軸延伸して平均厚み18μm
の二軸延伸フィルムを作製した。
この二軸延伸フィルムの共縮合ポリエステル層および
ポリエチレンテレフタレート層の厚みはいずれも約9μ
mであったことから、共縮合ポリエステル層およびポリ
エチレンテレフタレート層はいずれも均一に延伸されて
いることが確認された。
また、この二軸延伸フィルムの共縮合ポリエステル層
と、ポリエチレンテレフタレート層との密着性も良好で
あった。さらにこの二軸延伸フィルムの炭酸ガス透過係
数は1.6ml・mm/m2・day・atmであった。
実施例28〜31 イソフタル酸、2,6−ナフタリンジカルボン酸、コハ
ク酸の使用量はそれぞれ表9に記載したとおりにした以
外は、参考例1と同様にして、共縮合ポリエステルを製
造した。これらの共縮合ポリエステルの極限粘度[η]
各成分単位の組成比、ガラス転移温度およびプレスシー
トの炭酸ガス透過係数をそれぞれ表9に示す。

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(a)イソフタル酸成分単位を主構成成分
    単位とする単核芳香族系ジカルボン酸成分単位;2.5〜45
    モル%、 (b)2,6−ナフタリンジカルボン酸成分単位を主構成
    成分単位とする複核芳香族系ジカルボン酸成分単位;2.5
    〜25モル%、 (c)コハク酸成分単位を主構成成分単位とする脂肪族
    系ジカルボン酸成分単位;2.0〜22.5モル%、 (d)エチレングリコール成分単位を主構成成分単位と
    するジオール成分単位;48〜50モル%、 および、 (e)カルボキシル基および/またはヒドロキシル基を
    合計で3個以上有し、かつ炭素原子数が3〜15の範囲に
    ある多官能性化合物から誘導される多官能性成分単位;0
    〜2モル%、 (ただし、a,b,c,dおよびe成分単位の合計は100モル%
    である) から構成される実質的に線状の共縮合ポリエステルであ
    り、該ポリエステルの極限粘度[η]が0.5〜1.5dl/gの
    範囲内にあることを特徴とする共縮合ポリエステル。
  2. 【請求項2】共縮合ポリエステル中における単核芳香族
    系ジカルボン酸成分単位(a)の含有率が2.5〜45モル
    %、複核芳香族系ジカルボン酸成分単位(b)の含有率
    が2.5〜25モル%、脂肪族系ジカルボン酸成分単位
    (c)の含有率が2.0〜22.5モル%、ジオール成分単位
    (d)の含有率が48〜50モル%および多官能性成分単位
    (e)の含有率が0〜2モル%(ただし、a,b,c,dおよ
    びe成分単位の合計は100モル%である)になるよう
    に、 (a′)イソフタル酸またはそのエステルを主成分とす
    る単核芳香族系ジカルボン酸成分、 (b′)2,6−ナフタリンジカルボン酸またはそのエス
    テルを主成分とする複核芳香族系ジカルボン酸成分、 (c′)コハク酸またはそのエステルを主成分とする脂
    肪族系ジカルボン酸成分、 (d′)エチレングリコールを主成分とするジオール成
    分、 および、 (e′)カルボキシル基および/またはヒドロキシル基
    を3個以上有し、炭素原子数が3〜15の範囲にある多官
    能性化合物またはそのエステルからなる多官能性成分を
    配合してなる混合物を加熱して、上記成分によるエステ
    ル化反応またはエステル交換反応を行なった後、ゲルマ
    ニウム化合物、アンチモン化合物およびチタニウル化合
    物よりなる群から選ばれる化合物とリン化合物とからな
    る触媒の存在下に、230〜300℃の範囲内の温度で共重縮
    合反応を行なうことを特徴とする共縮合ポリエステルの
    製法。
  3. 【請求項3】(a)イソフタル酸成分単位を主構成成分
    単位とする単核芳香族系ジカルボン酸成分単位;2.5〜45
    モル%、 (b)2,6−ナフタリンジカルボン酸成分単位を主構成
    成分単位とする複核芳香族系ジカルボン酸成分単位;2.5
    〜25モル%、 (c)コハク酸成分単位を主構成成分単位とする脂肪族
    系ジカルボン酸成分単位;2.0〜22.5モル%、 (d)エチレングリコール成分単位を主構成成分単位と
    するジオール成分単位;48〜50モル%、 および、 (e)カルボキシル基および/またはヒドロキシル基を
    合計で3個以上有し、かつ炭素原子数が3〜15の範囲に
    ある多官能性化合物から誘導される多官能性成分単位;0
    〜2モル%、 (ただし、a,b,c,dおよびe成分単位の合計は100モル%
    である) から構成され、実質的に線状であり、極限粘度[η]が
    0.5〜1.5dl/gの範囲内にある共縮合ポリエステルを含む
    ことを特徴とするガスバリヤー性賦与剤。
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