JP2621363B2 - 共重合ポリエステル - Google Patents

共重合ポリエステル

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JP2621363B2 JP14665588A JP14665588A JP2621363B2 JP 2621363 B2 JP2621363 B2 JP 2621363B2 JP 14665588 A JP14665588 A JP 14665588A JP 14665588 A JP14665588 A JP 14665588A JP 2621363 B2 JP2621363 B2 JP 2621363B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は共重合ポリエステル及びその組成物と、それ
を成形してなる包装材に関する。本発明の共重合ポリエ
ステルは透明性及び耐ガス透過性に優れ、容器、フィル
ム等の包装材料として有用である。
〔従来の技術〕
ポリエチレンテレフタレートは機械的強度、化学的安
定性、透明性、衛生性などに優れており、また軽量、安
価であるために、各種のシート、容器として幅広く包装
材料に用いられ、特に、最近では、炭酸飲料、果汁飲
料、液体調味料、食用油、酒、ワイン用の容器として需
要が急速に伸びている。
しかしながら、ポリエチレンテレフタレートの耐ガス
透過性は、ポリオレフィンなど他の樹脂に比べれば優れ
ているものの、更に高いレベルが要求されている分野も
有り、まだ十分なレベルとは言えなかった。例えば、炭
酸飲料、ビール、ワイン等の用途においては、内容物保
存の点から特に厳しい酸素ガスバリヤー性、炭酸ガスバ
リヤー性が要求されており、通常に使用される二軸配向
したポリエチレンテレフタレートからなる中空容器では
必ずしも十分な耐ガス透過性を有しているとは言えな
い。
このためポリエチレンテレフタレートの耐ガス透過性
を更に向上させる方法が各種提案されている。例えば、
ポリ塩化ビニリデン、エチレン−酢ビ共重合体ケン化
物、ポリエチレンイソフタレート等の耐ガス透過性材料
をコーティングあるいは積層する方法(特開昭54−1175
65、同56−64839等)、耐ガス透過性材料をブレンドす
る方法(特開昭57−10640)、ポリエステルの配向度を
上げて耐ガス透過性を向上させる方法(特開昭56−1516
48)等が提案されている。
しかし、ポリ塩化ビニリデンやエチレン−酢ビ共重合
体ケン化物をコーティング又は積層する方法にあって
は、ポリエステルとは異なった樹脂を共に用いるため、
ポリエステルとの接着性が悪く層間剥離を起したり、そ
の結果容器の透明性が失われるばかりでなく回収の点か
らも不利である。
又、ポリエチレンイソフタレートをコーティング又は
積層する方法も提案されており、両層が同じポリエステ
ル類であるためこのような欠点はないが、積層してもも
ろく、容器としての強度を持たせるためにはポリエチレ
ンテレフタレートをそれ単独の場合と同じ位の肉厚にす
る必要があり、容器全体として重くなり合成樹脂容器の
長所が失われてしまうし又、耐ガス透過性改良効果も充
分とは言えない。また、ポリエステル成形品の配向度を
上げる方法では耐ガス透過性の向上に限界がある。
更に、ポリエチレンテレフタレートにかわる包装材料
用ポリエステルとして炭素数4から12の脂肪族ジカルボ
ン酸を共重合させたポリアルキレンイソフタレートが提
案されている(アメリカ特許第4,403,090号明細書)
が、このポリエステルはポリエチレンテレフタレート包
装材料のガスバリヤー性を改良するには満足するもので
はない。
また、テレフタル酸またはナフタレンジカルボン酸を
主とし、2,2′−オキシジ酢酸、2,2′−イミノジ酢酸等
を併用したジカルボン酸と、炭素数約8以下のジオール
から成るコポリエステルおよびそれから成る容器も知ら
れているが、この場合も、ガスバリヤー性改良は十分と
は言えない(アメリカ特許第4,436,895号、4,546,170
号、及び4,560,741号明細書)。
本発明者らは、以上の様な従来技術の問題点を打開す
るために検討した結果、イソフタル酸と2,2′−オキシ
ジ酢酸または2,2′−イミノジ酢酸を主たる酸成分とし
て用いるオコリエステルが極めて低いガスバリヤー性を
示すことを見出した(特願昭62−245059)。しかしなが
ら、該コポリエステルはガラス転移点が40℃以下と低
く、非晶質であるために、樹脂の乾燥などの取扱いが困
難であるという問題が残されていた。
〔発明の目的〕
本発明は、機械的強度、透明性等の物性にすぐれ、か
つ取扱い性、耐ガス透過性のすぐれた共重合ポリエステ
ルを提供することを目的とする。
〔発明の構成〕
本発明はジカルボン酸成分としてイソフタル酸を主成
分にした共重合ポリエステルである。
即ち下記構造単位(A)〜(D) (式中R1、R2は同一でも異なっていても良い二価の脂肪
族基、XはO又はNH、Rは二価の脂肪族基、脂環式化合
物残基、又は芳香族基を表わす。) から成り、ジカルボン酸成分全量に対する(A)、
(B)、(C)のモル%が (A) 50〜90モル%、(B) 5〜45モル%、 (C) 5〜45モル% であり、極限粘度〔フェノール/テトラクロロエタン
(重量比1/1)の混合溶媒を用いて30℃で測定した値〕
が、0.4〜2.0であることを特徴とする共重合ポリエステ
ルに関する。
ここで構造単位(A)はイソフタル酸またはそのエス
テル形成性誘導体から、構造単位(C)はナフタレンジ
カルボン酸またはそのエステル形成性誘導体から誘導さ
れる。
また構造単位(B)は下記一般式(I)で示される化
合物から誘導される。
HOOC−R1−X−R2−COOH (1) (式中、R1、R2は同一でも異なっていても良い二価の脂
肪族基を表わす。XはO、又はNHを表わす。) ここで、R1、R2として好ましいのは、炭素数1〜6の
二価の脂肪族基であり、さらに好ましいのはメチレン、
エチレン単位である。
一般式(I)で示されるジカルボン酸としては、具体
的には、2,2′−オキシジ酢酸(ジグリコール酸)、3,
3′−オキシジプロピオン酸(ジエチルエーテル−β,
β′−ジカルボン酸)、2,2′−オキシジプロピオン酸
(4,4′−オキシジ酪酸、3,3′−オキシジ酪酸、2,2′
−オキシジ酪酸、2,2′−イミノジ酢酸、3,3′−イミノ
ジプロピオン酸、2,2′−イミノジプロピオン酸、4,4′
−イミノジ酪酸、3,3′−イミノジ酪酸、2,2′−イミノ
ジ酪酸等が挙げられ、特に2,2′−オキシジ酢酸、2,2′
−イミノジ酢酸が好ましく用いられる。
一般式(I)で示されるジカルボン酸はそのままで使
用してもよいし、酸無水物、酸ハライド、モノエステ
ル、ジエステル等のエステル形成性誘導体として使って
もよい。また、グリコール類と反応させて数量体化した
後で添加してもよい。
イソフタル酸もイソフタル酸ジメチル、イソフタル酸
ジエチル等のエステル誘導体、イソフタル酸クロライド
等のイソフタル酸ハロゲン化物等のようにジオール成分
と反応するエステル形成性誘導体の形で使用してもよ
い。
本発明の共重合ポリエステルにおいては、イソフタル
酸単位(A)はジカルボン酸成分の全量に対して50〜90
モル%、好ましくは50〜70モル%の範囲で用いる。イソ
フタル酸単位(A)を用いる量が50モル%に満たない場
合、または90モル%を越える場合は、得られる共重合ポ
リエステルのガス透過性のレベルが十分で無くなり、本
発明の耐ガス透過性の優れたポリエステル包装材料とし
て用いることが出来ない。
本発明の包装材料用共重合ポリエステルにおいては、
構造単位(B)はジカルボン酸成分の全繰り返し単位の
5〜45モル%、好ましくは10〜20モル%を占める。ジカ
ルボン酸単位(B)が5モル%未満では、ガスバリヤー
性の改良効果が十分でないため本発明の包装材料用共重
合ポリエステルとしては用いることが出来ない。一方、
45モル%を越えると、得られる共重合ポリエステルのガ
ラス転移点(Tg)が低下し過ぎると同時に、共重合ポリ
エステルのガス透過性のレベルも十分で無くなり、包装
用材料として使用し難い。
また、本発明の共重合ポリエステルにおいては、ナフ
タレンジカルボン酸単位(C)はジカルボン酸成分の全
繰り返し単位の〜45モル%、好ましくは10〜30モル%を
占める。ナフタレンジカルボン酸単位(C)が5モル%
未満では、得られたコポリエステルのTgが低すぎて包装
用材料として用いることが難しい。また、45モル%を越
えるとバリヤー性の程度が悪くなり、本発明のガスバリ
ヤー材料として用いることが出来ない。ナフタレンジカ
ルボン酸単位(C)としては、その各構造異性体を用い
ることができるが、最も好ましいのは2,6−ナフタレン
ジカルボン酸から誘導されるものである。
本発明の共重合ポリエステルにおいては、イソフタル
酸単位(A)、ジカルボン酸単位(B)、ナフタレンジ
カルボン酸単位(C)が前述の範囲を満たしている限
り、その他の少量のジカルボン酸やオキシ酸またはその
誘導体を使うこともできる。この場合、イソフタル酸成
分単位(A)とジカルボン酸単位(B)とナフタレンジ
カルボン酸単位(C)との和が、全酸成分単位の少なく
とも60モル%以上、好ましくは70モル%以上、更に好ま
しくは80モル%以上を占めるのが好ましい。
これらの他のジカルボン酸としては、テレフタル酸、
フタル酸、4,4′−ジフェノキシエタンジカルボン酸、
4,4′−ジフェニルスルホンジカルボン酸、4,4′ビフェ
ニルジカルボン酸及びこれらの構造異性体、マロン酸、
コハク酸、アジピン酸等の脂肪族カルボン酸、オキシ
酸、またはその誘導体としては、p−ヒドロキシ安息香
酸、p−ヒドロキシ安息香酸エステル、グリコール酸等
が挙げられる。
本発明の共重合ポリエステルにおいて、構造単位
(D)を形成するジオール成分としては、エチレングリ
コール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオー
ル、1,4−ブタンジオール、ペンタメチレングリコー
ル、ヘキサメチレングリコール、ネオペンチルグリコー
ル、ジエチレングリコール、及びシクロヘキサンジメタ
ノールのような脂環式ジヒドロキシ化合物や、さらには
ビスフェノールA、ビスフェノールS等の芳香族ジヒド
ロキシ化合物誘導体などを挙げることができる。これら
のうちで一般的にはエチレングリコールが最も好まし
い。ジオール成分は前述のジカルボン酸成分と実質的に
当量となる量用いられる。
また、本発明に用いられる共重合ポリエステルは、本
発明の要件を損なわない範囲でトリメチロールプロパ
ン、ペンタエリスリトール、グリセリン、トリメリット
酸、トリメシン酸、ピロメリット酸、芳香族ジオールの
グリシジルエーテル、例えばビスフェノールAジグリシ
ジルエーテル等の多官能化合物や、O−ベンゾイル安息
香酸等の単官能化合物を共存させてもよい。かかる多官
能化合物や単官能化合物はジオール成分の20モル%以
下、好ましくは10モル%以下、更に好ましくは5モル%
以下の範囲で使用される。
本発明に用いられる共重合ポリエステルは、その極限
粘度〔フェノール/テトラクロロエタン(重量比1/1)
の混合溶媒を用いて30℃で測定した値〕が、0.4〜2.0、
好ましくは、0.50〜1.5の範囲であることが望ましい。
極限粘度が0.4未満では、得られたポリエステルの強度
が低く、重合反応終了後、反応缶から抜き出しチップに
切断する際や、ポリエチレンテレフタレートとブレンド
してフィルムやシート、また瓶、たる、缶などの容器と
して成形する際に実用上必要な物性が得られない。極限
粘度が2.0を越える場合には溶融粘度が高くなり過ぎて
射出、押出、ブロー等の成形が困難となるなどの問題が
ある。
かかる共重合ポリエステルは、ポリエチレンテレフタ
レートについて従来から公知の重合方法で製造すること
ができる。例えば、イソフタル酸、2,2′−オキシジ酢
酸、ナフタレンジカルボン酸およびエチレングリコール
を用いて加圧下で直接エステル化反応を行った後、更に
昇温すると共に次第に減圧とし重縮合反応させる方法が
ある。あるいは、イソフタル酸のエステル誘導体、例え
ばイソフタル酸ジメチルエステルと、ナフタレンジカル
ボン酸のエステル誘導体、例えばナフタレンジカルボン
酸ジメチルエステル、構造単位(B)を誘導するジカル
ボン酸のエステル誘導体、例えば2,2′−オキシジ酢酸
ジメチルエステル、及びエチレングリコールを用いてエ
ステル交換反応を行い、その後得られた反応物を更に重
縮合することで製造できる。その際、エステル化触媒、
エステル交換触媒、重縮合触媒、安定剤などを使用する
ことが好ましい。
エステル交換触媒としては、公知の化合物、例えば、
カルシウム、マンガン、亜鉛、ナトリウム、及びリチウ
ム化合物などの1種以上を用いることができるが透明性
の観点からマンガン化合物が特に好ましい。重合触媒と
しては公知のアンチモン、ゲルマニウム、チタン及びコ
バルト化合物などの1種以上を用いることができるが、
好ましくはアンチモン、ゲルマニウム及びチタン化合物
が用いられる。
また本発明では、必要に応じて、従来から公知の添加
剤、例えば酸化防止剤、紫外線吸収剤、螢光増白剤、離
型剤、帯電防止剤、分散剤及び染顔料等の着色剤をポリ
エステル製造時のいずれかの段階で添加しても良く、成
形加工前にいわゆるマスターバッチ処方で添加しても良
い。
本発明の共重合ポリエステルは、必要に応じて更に、
加熱処理を実施して、高重合度化、低アセトアルデヒド
化あるいは、低オリゴマー化してから使用してもよい。
加熱処理は、通常、樹脂の粘着温度直下ないし80℃低い
温度で数十時間以下の範囲内に於て実施するのが好まし
い。
このようにして得られた本発明の共重合ポリエステル
は、溶融成形して成形品とされる。この際、該共重合ポ
リエステルだけで成形品としてもよいし、他の熱可塑性
樹脂と組合わせて成形品としてもよい。具体的には、ポ
リエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレー
ト、ポリエチレンナフタレート、ポリエステルエラスト
マー、ポリカーボネートやポリアミド等の他の熱可塑性
樹脂成分と、本発明の共重合ポリエステルをブレンドし
て一体構造に形成することが可能であるし、更にはポリ
エチレンテレフタレート成分や上記のような熱可塑性樹
脂成分と本発明の共重合ポリエステル成分とを多層構造
に形成することもできる。
ブレンドする際の熱可塑性樹脂としてはポリエチレン
テレフタレートが好ましく、ポリエチレンテレフタレー
トと本発明の共重合ポリエステルのブレンドの割合は、
該共重合体が組成物中の5〜80重量%を占めることが好
ましい。共重合体の割合が5重量%未満ではポリエチレ
ンテレフタレートのバリヤー性改良効果が不十分である
し、80重量%を越えると成形体の機械的強度や耐熱性の
点で性能の低下がみられる。ここで用いられるポリエチ
レンテレフタレートの極限粘度は共重合ポリエステルと
同様に0.4〜2.0程度が好ましい。
本発明のポリエステル組成物は、ポリエチレンテレフ
タレートなどの成形において一般的に使用される溶融成
形法を用いてフィルム、シート、トレイ、中空容器、そ
の他の包装材料として成形し、未延伸の状態でもガスバ
リヤー性の高い材料として使用可能である。また、該ポ
リエステル組成物を少なくとも1軸方向に延伸すること
によりさらにガスバリヤー性や機械的強度を改善するこ
とが可能である。
本発明のポリエステル組成物の延伸シートは、射出成
形や、押出成形でシート状に成形された本発明のポリエ
ステル組成物を、通常ポリエチレンテレフタレートの延
伸に用いられる1軸延伸、逐次2軸延伸、同時2軸延伸
のうちの任意の延伸方法を用いて成形される。また、圧
空成形によりカップ状やトレイ状に成形することもでき
る。
本発明のポリエステル組成物の延伸シートを製造する
に当たっては、延伸温度は本発明のポリエステルのガラ
ス転移点温度ないしガラス転移点より70℃高い温度の間
に設定すればよい。延伸倍率は、1軸延伸の場合であれ
ば通常1.1倍から10倍、好ましくは1.1倍から8倍の範囲
で行い、2軸延伸の場合であれば、縦方向及び横方向と
もそれぞれ1.1倍から8倍、好ましくは1.1倍から5倍の
範囲で行えばよい。このようにして得られた、本発明の
ポリエステル組成物の延伸シートは、透明性、ガスバリ
ヤー性、機械的強度に優れフィルム状、カップ状、トレ
イ状などの包装材料として有用である。
本発明のポリエステル中空成形体は、本発明のポリエ
ステル組成物から形成したプリフォームを延伸ブロー成
形してなるもので、従来よりポリエチレンテレフタレー
トのブロー成形で用いられている装置を用いることが出
来る。具体的には、例えば、押出吹込み法、射出吹込み
法、射出成形または押出成形で一旦プリフォームを成形
し、そのままで、あるいは口栓部、底部を加工後それを
再加熱し、二軸延伸するホットパリソン法あるいはコー
ルドパリソン法等の吹込み成形法が適用される。延伸温
度は、70ないし120℃、好ましくは80ないし110℃で、延
伸倍率は縦方向に1.5倍から3.5倍、円周方向に2倍から
5倍の範囲で行えばよい。
また、本発明のポリエステル中空成形体を製造するに
当たって、本発明のポリエステル組成物よりなる層と、
ポリエチレンテレフタレートを主体とするポリアルキレ
ンテレフタレートよりなる層を積層したプリフォームを
形成し、これを2軸延伸ブロー成形して多層中空成形容
器としてもよい。この際、その層構成に特に限定はな
く、3〜5層程度の構成が好ましい。
また多層容器の場合も、従来のポリエチレンテレフタ
レート等の成形方法に順じて製造することができる。す
なわち、通常の射出成形機または、複数個の射出装置を
有する射出成形機により成形された多層パリソンまた
は、多層押出成形機により成形された多層チューブの一
端を有底化して得られた多層パリソンを、例えば、85〜
130℃のポリエチレンテレフタレートの延伸温度で延伸
する方法で製造可能である。本発明の共重合ポリエステ
ルを多層容器に形成する場合、その層構成は特に限定は
なく、また層の数も何ら限定はないが、3〜5層程度の
構成が望ましい。
また射出成形によりシート化した後、一軸または二軸
延伸フィルムとしたり、真空成形あるいは、圧空成形に
より缶状の容器やトレイ等に成形することもできるし、
多層押出成形機により、例えば、ポリエチレンテレフタ
レートとの多層シートとし、同様に、一軸、二軸延伸フ
ィルムや缶状容器、トレイに成形することも可能であ
る。
本発明の共重合ポリエステルと、上記の各種ポリマー
をブレンドして包装材料を形成する場合には、両成分を
押出機で溶融混練して混合チップを得、ついでこれを成
形に供することもできるし、また、それぞれの成分をド
ライブレンドし、直接成形に供することも可能である。
本発明の対象とするかかる成形品としては、具体的に
は、瓶、たる、缶などの容器や未延伸シートを深絞り成
形して得られる容器、更にはシートを真空または圧空成
形して得られるトレイ等の容器が挙げられる。
〔発明の効果〕
本発明の共重合ポリエステルはそれ自体透明性が高
く、優れた耐ガス透過性を有する。本発明の共重合ポリ
エステルは包装材料として有用であり、他の熱可塑性樹
脂とのブレンドあるいは積層体として容器、シート、フ
ィルムなどに幅広く利用することができる。特に、ポリ
エチレンテレフタレート成分とのブレンドあるいは積層
体は、ガス透過性が低いうえ、高透明性を保持する為、
極めて有利に利用することができる。
また、塩化ビニリデンやエチレン−酢酸ビニル共重合
ケン化物のような耐ガス透過性素材との併用も可能であ
る。
〔実施例〕
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、
本発明はその要旨を越えない限り以下の実施例に限定さ
れるものではない。
なお、実施例中「部」は「重量部」を意味するものと
し、本実施例で使用した種々の測定法を以下に示す。
極限年度 フェノール/テトラクロロエタン(重量比1/1)中、3
0℃で測定した。
酸素透過率 約200μ肉厚の押出シートサンプルまたは内容積1.5
、肉厚約330μ、有効表面積約700cm2のボトルサンプ
ルを作成し、23℃、100%RHの条件下、「OX−TRAN 10/5
0A」酸素透過率測定装置(米国Modern Controls社製)
で測定し、cc・mm/m2・day・atmまたはcc/ボトル・dey
・atmで示した。
実施例1 ジメチルイソフタレート120部、2,6−ナフタレンジカ
ルボン酸ジメチルエステル19部、エチレングリコール86
部、および酢酸マンガン4水塩0.023部を反応缶に加
え、160℃から230℃まで漸次昇温して、流出液が出なく
なるまでエステル交換反応を行った。
この系に2,2′−オキシジ酢酸10部、正リン酸0.023
部、二酸化ゲルマニウム0.03部を加え、230℃から徐々
に昇温するとともに重合槽内は常圧から漸次減圧にし、
280℃、0.5torrの真空下、全重合時間4.5時間で極限粘
度0.67の高透明ポリエステルを得た。
実施例2 ジメチルイソフタレート103部、2,6−ナフタレンジカ
ルボン酸ジメチルエステル37部、エチレングリコール84
部を用いてエステル交換反応を行い、2,2′−オキシジ
酢酸を10部添加する以外は実施例1と同様にして重合を
行った。得られたポリマーの極限粘度は0.69であった。
実施例3 ジメチルイソフタレート107部、2,6−ナフタレンジカ
ルボン酸ジメチルエステル19部、エチレングリコール78
部を用いてエステル交換反応を行い、2,2′−オキシジ
酢酸を21部添加する以外は実施例1と同様にして重合を
行った。得られたポリマーの極限粘度は0.66であった。
実施例4 ジメチルイソフタレート89部、2,6−ナフタレンジカ
ルボン酸ジメチルエステル37部、エチレングリコール76
部を用いてエステル交換反応を行い、2,2′−オキシジ
酢酸を21部添加する以外は実施例1と同様にして重合を
行った。得られたポリマーの極限粘度は0.67であった。
実施例5 ジメチルイソフタレート71部、2,6−ナフタレンジカ
ルボン酸ジメチルエステル30部、4,4′−ビフェニルジ
カルボン酸ジメチルエステル29部、エチレングリコール
61部を用いてエステル交換反応を行い、2,2′−オキシ
ジ酢酸を16部添加する以外は実施例1と同様にして重合
を行った。得られたポリマーの極限粘度は0.65であっ
た。
実施例6 ジメチルイソフタレート73部、2,6−ナフタレンジカ
ルボン酸ジメチルエステル55部、エチレングリコール74
部を用いてエステル交換反応を行い、2,2′−オキシジ
酢酸を20部添加する以外は製造例1と同様にして重合を
行った。得られたポリマーの極限粘度は0.63であった。
比較例1 ジメチルイソフタレート152部、エチレングリコール9
7部を用いてエステル交換反応を行い、2,2′−オキシジ
酢酸と2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチルエステル
を使用しなかった以外は実施例1と同様にして重合を行
った。得られたポリマーの極限粘度は0.71であった。
比較例2 ジメチルイソフタレート125部、エチレングリコール8
0部を用いてエステル交換反応を行い、2,2′−オキシジ
酢酸を22部添加し、2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメ
チルエステルを使用しない以外は実施例1と同様にして
重合を行った。得られたポリマーの極限粘度は0.67であ
った。
比較例3 ジメチルイソフタレートを用いず、2,6−ナフタレン
ジカルボン酸130部、エチレングリコール66部を用いて
エステル交換反応を行い、2,2′−オキシジ酢酸を18部
添加する以外は実施例1と同様にして重合を行った。得
られたポリマーの極限粘度は0.63であった。
実施例1〜6及び比較例1〜3で得られた共重合ポリ
エステルを約200μのシートにプレスし、酸素透過率を
測定した。またDSCによりガラス転移点(Tg)を測定し
た。結果を表1にまとめて示す。ここではほぼ100%反
応しているため原料の仕込み比は共重合比と等しいと考
えられる。
表1からわかるように、本発明による共重合ポリエス
テルは、ナフタレンジカルボン酸単位を含まない系と比
較してTgを10〜20℃向上させることができ(Tg≧50
℃)、かつポリエチレンイソフタレートよりも低い酸素
透過性を示しており、ガスバリヤー性材料として好適で
あることがわかった。
実施例7 実施例4で得られた共重合ポリエステルをポリエチレ
ンテレフタレート(日本ユニペット製RT543C)と後記表
2に示す割合で溶融混練し、ブレンド物を約200μのシ
ートにプレスした。得られたプレスシートについて酸素
透過率を測定した結果を表2に示す。
実施例8〜10 実施例4で得られた共重合ポリエステルをポリエチレ
ンテレフタレート(日本ユニペット製RT543C)と後記表
2に示す割合でペレットブレンドして射出成形(日鋼0.
8oz射出成形機)によって、6cm×6cmの平板を成形し
た。これをロング延伸機によって98℃で縦方向、横方向
ともに3倍に二軸同時延伸し厚さ約100μの延伸シート
とし、酸素透過率を測定した。結果を表2に示す。
比較例4〜5 ポリエチレンテレフタレート(日本ユニペット製RT54
3C)について、実施例1〜2と同様にして、未延伸フィ
ルムの酸素透過率を測定した(比較例4)。また実施例
8〜10と同様にして延伸フィルムとし、この酸素透過率
を測定した(比較例5)。結果を表2に示す。
比較例6〜7 比較例1で得られたポリエチレンイソフタレートにつ
いて、実施例1〜2と同様にしてポリエチレンテレフタ
レートとブレンドし、未延伸フィルムの酸素透過率を測
定した。また実施例8〜10と同様にしてポリエチレンテ
レフタレートとのブレンド物の延伸フィルムとし、この
酸素透過率を測定した。結果を表2に示す。
実施例11 実施例4で得られたポリエステル共重合体30部をポリ
エチレンテレフタレート(日本ユニペット製RT543C)70
部とドライブレンドしてボトル用プリフォームを射出成
形し、これを二軸延伸ブロー機によって内容積が1.5
の延伸ボトルに成形した。得られたボトルの酸素ガス透
過性を測定したところ、0.24cc/ボトル・day・atmであ
った。
比較例8 ポリエチレンテレフタレート(日本ユニペット製RT54
3C)を用いて実施例6と同様にして内容積1.5の延伸
ボトルを成形した。得られたボトルの酸素ガス透過性を
測定したところ、0.43cc/ボトル・day・atmであった。
比較例9 比較例1で得られたポリエチレンイソフタレート30部
とポリエチレンテレフタレート(日本ユニッペット製RT
543C)70部を用いて実施例10と同様にして内容積1.5
の延伸ボトルを成形した。得られたボトルの酸素ガス透
過性を測定したところ、0.29cc/ボトル・day・atmであ
った。

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】下記構造単位(A)〜(D) (式中R1、R2は同一でも異なっていても良い二価の脂肪
    族基、XはO又はNH、Rは二価の脂肪族基、脂環式化合
    物残基、又は芳香族基を表わす。) から成り、ジカルボン酸成分全量に対する(A)、
    (B)、(C)のモル%が (A) 50〜90モル% (B) 5〜45モル% (C) 5〜45モル% であり、極限粘度[フェノール/テトラクロロエタン
    (重量比1/1)の混合溶媒を用いて30℃で測定した値]
    が、0.4〜2.0であることを特徴とする共重合ポリエステ
    ル。
  2. 【請求項2】特許請求の範囲第1項記載の共重合ポリエ
    ステル、及びポリエチレンテレフタレートから成るポリ
    エステル組成物。
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