JP4789404B2 - 光拡散シート及びこれを用いたバックライトユニット - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、透過光線を拡散させる光拡散機能を主に有し、特に液晶表示装置のバックライトユニットに好適な光拡散シート及びこの光拡散シートを用いたバックライトユニットに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
液晶表示装置は、液晶層を背面から照らして発光させるバックライト方式が普及し、液晶層の下面側にエッジライト型、直下型等のバックライトユニットが装備されている。かかるエッジライト型のバックライトユニット30は、基本的には図4(a)に示すように、光源としての線状のランプ31と、ランプ31に端部が沿うように配置される方形板状の導光板32と、導光板32の表面側に配設される光拡散シート33と、光拡散シート33の表面側に配設されるプリズムシート34とを備えている。
【0003】
このバックライトユニット30の機能を説明すると、まずランプ31より導光板32に入射した光線は、導光板32裏面の反射ドット又は反射シート(図示していない)で反射され、導光板32表面から出射される。導光板32から出射した光線は光拡散シート33に入射し、光拡散シート33で拡散され、光拡散シート33表面より出射される。その後、光拡散シート33から出射された光線は、プリズムシート34に入射し、プリズムシート34表面に形成されたプリズム部34aによって略法線方向にピークを示す分布の光線として出射される。
【0004】
このように、ランプ31から出射された光線が、光拡散シート33によって拡散され、またプリズムシート34によって略法線方向にピークを示すように屈折され、さらに表面側の液晶層(図示していない)全面を照明するものである。なお、図示していないが、上述のプリズムシート34の集光特性の緩和やプリズム部34aの保護又は偏光板等の液晶パネルとプリズムシート34とのスティッキングの防止を目的として、プリズムシート34の表面側にさらに光拡散シートが配設されている。
【0005】
上記バックライトユニット30に備える光拡散シート33は、一般的には図4(b)に示すように、合成樹脂製の透明な基材層36と、この基材層36の表面に積層された光拡散層37とを備えている(例えば特開平7−5305号公報、特開2000−89007公報等参照)。この光拡散層37は、一般的には、透明なバインダー38中に光拡散剤39を含有し、光拡散剤39により光拡散機能が奏される。
【0006】
【特許文献1】
特開平7−5305号公報
【特許文献2】
特開2000−89007公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来のバックライトユニット30は、光源や他の様々な部材の影響、特にランプ31に用いられる蛍光ライト、LED等の個体差によって、出射光の色度にブレが存在する。一般的にはバックライトユニット30の出射光の色度にはx値及びy値共に±0.05程度のブレがあるといわれている。
【0008】
上記従来の光拡散シート33は、構成する基材層36、バインダー38等に透明な材料が使用されており、基本的には透過光の色度を調整する機能を有していない。上記従来のプリズムシート34も同様に透過光の色度を調整する機能を有していない。従って、従来は、出射光の色度に看過できない影響を及ぼすランプ31等は使用することができず、製品歩留まりの低下を招来する一要因となっている。なお、例えば特開平4−161449号公報、特開平7−261005号公報等には、光拡散層37のバインダー38中に顔料や染料を配合する技術が開示されているが、これらは単に光拡散性や透過性を意図したものであり、本願発明のような色度を制御するという概念は考慮されていない。
【0009】
本発明はこれらの不都合に鑑みてなされたものであり、透過光の色度を変換する色度補正機能を有する光拡散シート及び出射光の色度のブレが格段に低減されるバックライトユニットの提供を目的とするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するためになされた発明は、ランプ、導光板、この導光板の表面側に配設される光拡散シート及びこの光拡散シートの表面側に配設されるプリズムシートを備え、ランプから発せられる光線を分散させて表面側に導く液晶表示装置用のバックライトユニットにおいて、上記光拡散シートが、透明な基材層と、この基材層の表面側に積層される光拡散層とを備え、この光拡散層がバインダー中に光拡散剤を有し、透過光の色度を変換する色度補正機能を有しており、この色度補正機能が、色度補正添加剤の配合により発現されており、色度補正機能における色度の変換量がx値及びy値共に±0.008以内であることを特徴とする。
【0011】
従って、当該光拡散シートを備えるバックライトユニットは、当該光拡散シートが色度補正機能を有していることから、上記LED等のランプの個体差等に主に起因する出射光の色度のブレを低減することかでき、その結果製品歩留まりを向上し、製造コストの低減化を促進することができる。
【0012】
上記色度補正機能における色度の変換量としては、x値及びy値共に±0.008以内である。バックライトユニットには表面側に通常2枚のプリズムシートが重畳されているが、本発明者は、この2枚のプリズムシートによって出射光の色度のブレが、x値及びy値共に5倍程度拡大されていることを見出した。従って、この手段のように透過光のx値及びy値を±0.008以内の範囲で変化させることで、全光線透過率の低下を防止しつつ、バックライトユニットの出射光の色度のブレ(一般的に±0.05程度)を効果的に補正し、上記LED等の個体差等に主に起因する製品歩留まりの低下を改善することができる。なお、「x値及びy値」とは、CIE−XYZ表色系によるCIE色度図(CIEシステム又はxy色度図ともいう)におけるx値及びy値を意味する。
【0013】
上記基材層の裏面側に積層されるスティッキング防止層をさらに備え、このスティッキング防止層がバインダー中にビーズを有するとよい。このように裏面にスティッキング防止層を備えることで、当該光拡散シートとその裏面側に配設される導光板、プリズムシート等とのスティッキングによる干渉縞の発生を防止することができる。
【0014】
上記色度補正機能は、色度補正添加剤の配合により実現される。このように当該光拡散シートに色度補正添加剤を配合することで、容易に透過光の色度を変化させることができる。
【0015】
上記色度補正添加剤としては、可視光の一部を吸収する性質を有し、この性質によって透過光の色度を変換することができる顔料又は染料が好ましい。また、顔料は、耐熱性、耐候性、耐紫外線性等が高く、色度補正機能を長時間発揮することができる点で好ましい。一方、染料は、配合による全光線透過率の低下を抑制しつつ、配合量を比較的多くし、色度補正機能を高めることができる点で好ましい。
【0016】
上記色度補正添加剤は、光拡散層のバインダー及び/又はスティッキング防止層のバインダーに配合するとよい。このように光拡散層又はスティッキング防止層のバインダー中に色度補正添加剤を配合することで、当該光拡散シート全面に均一かつ容易に色度補正機能を付与することができ、当該光拡散シートの強度等に与える影響を低減することができる。
【0017】
また、上記光拡散剤として有機フィラーを用い、上記色度補正添加剤を光拡散剤中に配合してもよい。このように当該光拡散シート全面に均一に有する光拡散剤中に色度補正添加剤を配合することでも、当該光拡散シート全面に均一に色度補正機能を付与できる。また、透過光の拡散に寄与する光拡散剤に色度補正添加剤を配合することで、拡散され正面側に向けられる光線に対して効果的に色度補正作用を奏することができる。
【0018】
上記色度補正添加剤の配合量としては、固形分換算で0.001質量%以上0.1質量%以下が好ましい。このように色度補正添加剤の配合量を上記範囲とすることで、当該光拡散シートの全光線透過率の低下を抑制しつつ、当該光拡散シートに有効に色度補正機能を付与することができる。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、適宜図面を参照しつつ本発明の実施の形態を詳説する。図1は本発明の一実施形態に係る光拡散シートを示す模式的断面図、図2は図1の光拡散シートとは異なる形態に係る光拡散シートを示す模式的断面図、図3は図1及び図2の光拡散シートとは異なる形態に係る光拡散シートを示す模式的断面図である。
【0020】
図1の光拡散シート1は、基材層2と、この基材層2の表面に積層された光拡散層3とを備えている。当該光拡散シート1は、透過光の色度を変換する色度補正機能を有している。この色度補正機能は、当該光拡散シート1の入射光に対して出射光の色度を変化させる機能をいう。
【0021】
上記色度補正機能における色度の変換量としては、x値及びy値共に、±0.01以内、特に±0.008以内、さらに特に±0.005以内が好ましい。上述のようにバックライトユニットの表面側に装備される2枚のプリズムシートによって透過光の色度のブレが5倍程度拡大されるため、当該光拡散シート1の色度の変換量を上記範囲とすることで、LED等の個体差等に主に起因するバックライトユニットの出射光の色度のブレ(一般的に±0.05)を十分に補正することができ、その結果色度の均一化による品質の向上、及び製品歩留まりを向上することができる。一方、色度の変換量が上記範囲を超えると、当該光拡散シート1の全光線透過率の低下を招来するそれがある。なお、プリズムシートを装備しないバックライトユニットの場合、当該光拡散シート1の色度補正機能における色度の変換量としては、x値及びy値共に、±0.05以内、特に±0.03以内が好ましい。
【0022】
基材層2は、光線を透過させる必要があるので透明、特に無色透明の合成樹脂から形成されている。かかる基材層2に用いられる合成樹脂としては、特に限定されるものではなく、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、アクリル樹脂、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリオレフィン、セルロースアセテート、耐候性塩化ビニル等が挙げられる。中でも、透明性に優れ、強度が高いポリエチレンテレフタレートが好ましく、撓み性能が改善されたポリエチレンテレフタレートが特に好ましい。
【0023】
基材層2の厚み(平均厚み)は、特には限定されないが、好ましくは10μm以上250μm以下、特に好ましくは20μm以上188μm以下とされる。基材層2の厚みが上記範囲未満であると、光拡散層3を形成するための樹脂組成物を塗工した際にカールが発生しやすくなってしまう、取扱いが困難になる等の不都合が発生する。逆に、基材層2の厚みが上記範囲を超えると、液晶表示装置の輝度が低下してしまうことがあり、またバックライトユニットの厚みが大きくなって液晶表示装置の薄型化の要求に反することにもなる。
【0024】
光拡散層3は、バインダー4と、このバインダー4中に含有する光拡散剤5とを備えている。このように光拡散層3中に光拡散剤5を含有することによって、光拡散層3を裏側から表側に透過する光線を均一に拡散させることができる。また、光拡散剤5によって光拡散層3の表面に微細な凹凸が略均一に形成されている。このように光拡散シート1表面に形成される微細な凹凸のレンズ的屈折作用により、光線をより良く拡散させることができる。なお、光拡散層3の平均厚みは、特には限定されないが、例えば1μm以上30μm以下程度とされている。
【0025】
光拡散剤5は、光線を拡散させる性質を有する粒子であり、無機フィラーと有機フィラーに大別される。無機フィラーとしては、具体的には、シリカ、水酸化アルミニウム、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、硫化バリウム、マグネシウムシリケート、又はこれらの混合物を用いることができる。有機フィラーの具体的な材料としては、アクリル樹脂、アクリロニトリル樹脂、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリアクリロニトリル、ポリアミド等を用いることができる。中でも、透明性が高いアクリル樹脂が好ましく、ポリメチルメタクリレート(PMMA)が特に好ましい。
【0026】
光拡散剤5の形状は、特に限定されるものではなく、例えば球状、立方状、針状、棒状、紡錘形状、板状、鱗片状、繊維状などが挙げられ、中でも光拡散性に優れる球状のビーズが好ましい。
【0027】
光拡散剤5の平均粒子径の下限としては1μm、特に2μm、さらに5μmが好ましく、光拡散剤5の平均粒子径の上限としては50μm、特に20μm、さらに15μmが好ましい。これは、光拡散剤5の平均粒子径が上記範囲未満であると、光拡散剤5によって形成される光拡散層3表面の凹凸が小さくなり、光拡散シートとして必要な光拡散性を満たさないおそれがあり、逆に、光拡散剤5の平均粒子径が上記範囲を越えると、光拡散シート1の厚さが増大し、かつ、均一な拡散が困難になることからである。
【0028】
光拡散剤5の配合量(バインダー4の形成材料であるポリマー組成物中の基材ポリマー100部に対する固形分換算の配合量)の下限としては10部、特に20部、さらに50部が好ましく、この配合量の上限としては500部、特に300部、さらに200部が好ましい。これは、光拡散剤5の配合量が上記範囲未満であると、光拡散性が不十分となってしまい、一方、光拡散剤5の配合量が上記範囲を越えると光拡散剤5を固定する効果が低下することからである。なお、プリズムシートの表面側に配設される所謂上用光拡散シートの場合、高い光拡散性を必要とされないため、光拡散剤5の配合量としては10部以上40部以下、特に10部以上30部以下が好ましい。
【0029】
バインダー4は、基材ポリマー及び色度補正添加剤を含むポリマー組成物を架橋硬化させることで形成される。このバインダー4によって基材層2の表面全面に光拡散剤5が略等密度に配置固定される。なお、このバインダー4を形成するためのポリマー組成物は、その他に例えば、微小無機充填剤、硬化剤、可塑剤、分散剤、各種レベリング剤、紫外線吸収剤、抗酸化剤、粘性改質剤、潤滑剤、光安定化剤等が適宜配合されてもよい。
【0030】
上記基材ポリマーとしては、特に限定されるものではなく、例えばアクリル系樹脂、ポリウレタン、ポリエステル、フッ素系樹脂、シリコーン系樹脂、ポリアミドイミド、エポキシ樹脂、紫外線硬化型樹脂等が挙げられ、これらのポリマーを1種又は2種以上混合して使用することができる。特に、上記基材ポリマーとしては、加工性が高く、色度補正添加剤の配合が容易で、塗工等の手段で容易に光拡散層3を形成することができるポリオールが好ましい。また、バインダー4に用いられる基材ポリマー自体は、光線の透過性を高める観点から透明が好ましく、色度補正添加剤の配合による色度補正機能の制御性の観点から無色透明が特に好ましい。
【0031】
上記ポリオールとしては、例えば水酸基含有不飽和単量体を含む単量体成分を重合して得られるポリオール、水酸基過剰の条件で得られるポリエステルポリオールなどが挙げられ、これらを単体で又は2種以上混合して使用することができる。
【0032】
この水酸基含有不飽和単量体としては、(a)例えばアクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸2−ヒドロキシプロピル、アリルアルコール、ホモアリルアルコール、ケイヒアルコール、クロトニルアルコール等の水酸基含有不飽和単量体、(b)例えばエチレングリコール、エチレンオキサイド、プロピレングリコール、プロピレンオキサイド、ブチレングリコール、ブチレンオキサイド、1,4−ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン、フェニルグリシジルエーテル、グリシジルデカノエート、プラクセルFM−1(ダイセル化学工業株式会社製)等の2価アルコール又はエポキシ化合物と、例えばアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、イタコン酸等の不飽和カルボン酸との反応で得られる水酸基含有不飽和単量体などが挙げられる。これらの水酸基含有不飽和単量体から選択される1種又は2種以上を重合してポリオールを製造することができる。
【0033】
また、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸tert−ブチル、アクリル酸エチルヘキシル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸tert−ブチル、メタクリル酸エチルヘキシル、メタクリル酸グリシジル、メタクリル酸シクロヘキシル、スチレン、ビニルトルエン、1−メチルスチレン、アクリル酸、メタクリル酸、アクリロニトリル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、酢酸アリル、アジピン酸ジアリル、イタコン酸ジアリル、マレイン酸ジエチル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、アクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−ブトキシメチルアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、エチレン、プロピレン、イソプレン等から選択される1種又は2種以上のエチレン性不飽和単量体と、上記(a)及び(b)から選択される水酸基含有不飽和単量体とを重合してポリオールを製造することもできる。
【0034】
かかる水酸基含有不飽和単量体を含む単量体成分を重合して得られるポリオールの数平均分子量は1000以上500000以下であり、好ましくは5000以上100000以下である。また、その水酸基価は5以上300以下、好ましくは10以上200以下、さらに好ましくは20以上150以下である。
【0035】
水酸基過剰の条件で得られるポリエステルポリオールは、(c)例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、ヘキサメチレングリコール、デカメチレングリコール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、トリメチロールプロパン、ヘキサントリオール、グリセリン、ペンタエリスリトール、シクロヘキサンジオール、水添ビスフェノールA、ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン、ハイドロキノンビス(ヒドロキシエチルエーテル)、トリス(ヒドロキシエチル)イソシヌレート、キシリレングリコール等の多価アルコールと、(d)例えばマレイン酸、フマル酸、コハク酸、アジピン酸、セバチン酸、アゼライン酸、トリメット酸、テレフタル酸、フタル酸、イソフタル酸等の多塩基酸とを、プロパンジオール、ヘキサンジオール、ポリエチレングリコール、トリメチロールプロパン等の多価アルコール中の水酸基数が前記多塩基酸のカルボキシル基数よりも多い条件で反応させて製造することができる。
【0036】
かかる水酸基過剰の条件で得られるポリエステルポリオールの数平均分子量は500以上300000以下であり、好ましくは2000以上100000以下である。また、その水酸基価は5以上300以下、好ましくは10以上200以下、さらに好ましくは20以上150以下である。
【0037】
当該ポリマー組成物の基材ポリマーとして用いられるポリオールとしては、上記ポリエステルポリオール、及び、上記水酸基含有不飽和単量体を含む単量体成分を重合して得られ、かつ、(メタ)アクリル単位等を有するアクリルポリオールが好ましい。かかるポリエステルポリオール又はアクリルポリオールを基材ポリマーとするバインダー4は耐候性が高く、光拡散層3の黄変等を抑制することができる。なお、このポリエステルポリオールとアクリルポリオールのいずれか一方を使用してもよく、両方を使用してもよい。
【0038】
なお、上記ポリエステルポリオール及びアクリルポリオール中の水酸基の個数は、1分子当たり2個以上であれば特に限定されないが、固形分中の水酸基価が10以下であると架橋点数が減少し、耐溶剤性、耐水性、耐熱性、表面硬度等の被膜物性が低下する傾向がある。
【0039】
色度補正添加剤は、バインダー4に色度補正機能を付与できる添加剤であれば特に限定されるものではなく、具体的には顔料、染料、その他着色剤が挙げられる。この顔料は、耐熱性、耐候性、耐紫外線性等が高いため、当該光拡散シート1の色度補正機能の経時的劣化を低減することができる。染料は、光線の遮蔽性が小さいため、全光線透過率の低下を低減しつつ配合量を増加して当該光拡散シート1の色度補正機能を高めることができる。
【0040】
顔料は、無機顔料と有機顔料とに大別される。この無機顔料としては、例えばクロムイェロー,カドミウムイェロー,ニッケルチタンイェロー等の黄系無機顔料、べんがら(酸化鉄赤),カドミウムレッド,モリブデンオレンジ等の赤系無機顔料、ウルトラマリン(群青),紺青,コバルトブルー等の青系無機顔料などがある。有機顔料としては、黄色〜赤色系の主体をなすアゾ顔料、青色〜緑色系のフタロシアニン系顔料、金属錯塩型顔料、トリフェニルメタン系顔料、モダンピグメント等がある。このモダンピグメントは、アゾ顔料の性能を改善するために開発されたものであり、具体的には黄色系のイソインドリノン系顔料、赤〜紫色系のキナクリドン系顔料、紫色系のジオキサジン系顔料、縮合型アゾ顔料などがある。中でも、光線の遮蔽性が小さく、当該光拡散シート1の全光線透過率の低下を低減することができ、かつ紫外線等による劣化が少ない有機顔料が好ましい。特に、青色系ではフタロシアニン系顔料、黄色系ではイソインドリノン系顔料が好ましい。これらの有機顔料は、ポリマーへの良好な分散性により色度補正機能の均一性を高めることができ、さらに高い耐溶媒性、耐熱性、耐光性、耐水性、耐酸性、耐アルカリ堅牢度により色度補正機能の経時的劣化をより低減することができる。
【0041】
染料としては、例えばアゾ染料等の直接染料、酸性染料、カチオン染料等の塩基性染料、酸性媒染染料、金属錯塩染料、硫化染料、建染染料、硫化建染染料、アゾイック染料、分散染料、反応染料、酸化染料、油溶染料、蛍光増白剤などが挙げられる。
【0042】
色度補正添加剤の配合量は、特に限定されるものではなく、その種類に応じて適宜選択するとよい。色度補正添加剤の配合量(バインダー4に対する固形分換算の配合量)の下限としては0.001質量%が好ましく、0.01質量%が特に好ましい。一方、色度補正添加剤の配合量の上限としては、0.1質量%が好ましく、0.05質量%が特に好ましい。このように色度補正添加剤の配合量を上記下限以上とすることで、当該光拡散シート1の色度変換量を上記好適な範囲とすることができる。一方、色度補正添加剤の配合量を上記上限以下とすることで、色度補正添加剤の配合による当該光拡散シート1の全光線透過率の低下を抑制することができる。
【0043】
当該光拡散シート1の色度補正機能は、色度補正添加剤の種類、配合量及びバインダー4の塗工量によって制御することができる。但し、バインダー4の塗工量は光拡散性のために光拡散剤5の平均粒子経、配合量等に応じて規制されるため、色度補正添加剤の種類及び配合量によって当該光拡散シート1の色度補正機能を制御するとよい。色度補正添加剤の種類は、バックライトユニットの色度のブレに対する補色の発色が可能なものを選択するとよい。詳細には、バックライトユニットの出射光に色度のブレがあり、x値及びy値の誤差が存在する場合、この誤差と正負が逆の色度変換量(Δx、Δy)となるよう色度補正添加剤及びその配合量を選択するとよい。
【0044】
上記ポリマー組成物中には微小無機充填剤を含有するとよい。このバインダー4中に微小無機充填剤を含有することで、光拡散層3ひいては光拡散シート1の耐熱性が向上する。この微小無機充填剤を構成する無機物としては、特に限定されるものではなく、無機酸化物が好ましい。この無機酸化物は、金属元素が主に酸素原子との結合を介して3次元のネットワークを構成した種々の含酸素金属化合物と定義される。また無機酸化物を構成する金属元素としては、例えば元素周期律表第2族〜第6族から選ばれる元素が好ましく、元素周期律表第3族〜第5族から選ばれる元素がさらに好ましい。特に、Si、Al、Ti及びZrから選択される元素が好ましく、金属元素がSiであるコロイダルシリカが、耐熱性向上効果及び均一分散性の面で微小無機充填剤として最も好ましい。また、微小無機充填剤の形状は、球状、針状、板状、鱗片状、破砕状等の任意の粒子形状でよく、特に限定されない。
【0045】
微小無機充填剤の平均粒子径の下限としては、5nmが好ましく、10nmが特に好ましい。一方、微小無機充填剤の平均粒子径の上限としては50nmが好ましく、25nmが特に好ましい。これは、微小無機充填剤の平均粒子径が上記範囲未満では、微小無機充填剤の表面エネルギーが高くなり、凝集等が起こりやすくなるためであり、逆に、平均粒子径が上記範囲を超えると、短波長の影響で白濁し、光拡散シート1の透明性を完全に維持することができなくなることからである。
【0046】
微小無機充填剤の基材ポリマー100部に対する配合量(無機物成分のみの配合量)の下限としては固形分換算で5部が好ましく、50部が特に好ましい。一方、微小無機充填剤の上記配合量の上限としては500部が好ましく、200部がより好ましく、100部が特に好ましい。これは、微小無機充填剤の配合量が上記範囲未満であると、光拡散シート1の耐熱性を十分に発現することができなくなってしまうおそれがあり、逆に、配合量が上記範囲を越えると、ポリマー組成物中への配合が困難になり、光拡散層3の光線透過率が低下するおそれがあることからである。
【0047】
微小無機充填剤としては、その表面に有機ポリマーが固定されたものを用いるとよい。このように有機ポリマー固定微小無機充填剤を用いることで、バインダー4中での分散性やバインダー4との親和性の向上が図られる。この有機ポリマーについては、その分子量、形状、組成、官能基の有無等に関して特に限定はなく、任意の有機ポリマーを使用することができる。また有機ポリマーの形状については、直鎖状、分枝状、架橋構造等の任意の形状のものを使用することができる。
【0048】
かかる有機ポリマーを構成する具体的な樹脂としては、例えば、(メタ)アクリル樹脂、ポリスチレン、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステルおよびこれらの共重合体やアミノ基、エポキシ基、ヒドロキシル基、カルボキシル基等の官能基で一部変性した樹脂等が挙げられる。中でも、(メタ)アクリル系樹脂、(メタ)アクリル−スチレン系樹脂、(メタ)アクリル−ポリエステル系樹脂等の(メタ)アクリル単位を含む有機ポリマーを必須成分とするものが被膜形成能を有し好適である。他方、上記ポリマー組成物の基材ポリマーと相溶性を有する樹脂が好ましく、従ってポリマー組成物に含まれる基材ポリマーと同じ組成であるものが最も好ましい。
【0049】
なお、微小無機充填剤は、微粒子内に有機ポリマーを包含していてもよい。このことにより、微小無機充填剤のコアである無機物に適度な軟度および靱性を付与することができる。
【0050】
上記有機ポリマーにはアルコキシ基を含有するものを用いるとよく、その含有量としては有機ポリマーを固定した微小無機充填剤1g当たり0.01mmol以上50mmol以下が好ましい。かかるアルコキシ基により、バインダー4を構成するマトリックス樹脂との親和性や、バインダー4中での分散性を向上させることができる。
【0051】
ここでいうアルコキシ基は、微粒子骨格を形成する金属元素に結合したRO基を示す。このRは置換されていてもよいアルキル基であり、微粒子中のRO基は同一であっても異なっていてもよい。Rの具体例としては、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル等が挙げられる。微小無機充填剤を構成する金属と同一の金属アルコキシ基を用いるのが好ましく、微小無機充填剤がコロイダルシリカである場合には、シリコンを金属とするアルコキシ基を用いるのが好ましい。
【0052】
有機ポリマーを固定した微小無機充填剤中の有機ポリマーの含有率については、特に制限されるものではないが、微小無機充填剤を基準にして0.5質量%以上50質量%以下が好ましい。
【0053】
上述のように微小無機充填剤に固定する有機ポリマーとして水酸基を有するものを用い、バインダー4を構成するポリマー組成物中に水酸基と反応するような官能基を2個以上有する多官能イソシアネート化合物、メラミン化合物およびアミノプラスト樹脂から選ばれる少なくとも1種のものを含有するとよい。これにより、微小無機充填剤とバインダー4のマトリックス樹脂とが架橋構造で結合され、保存安定性、耐汚染性、可撓性、耐候性、保存安定性等が良好になり、さらに得られる被膜が光沢を有するものとなる。
【0054】
上記多官能イソシアネート化合物としては、脂肪族、脂環族、芳香族及びその他の多官能イソシアネート化合物やこれらの変性化合物を挙げることができる。多官能イソシアネート化合物の具体例としては、例えばトリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキシルメタンジイソシアネート、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネートのビウレット体、イソシアヌレート体等の3量体等;これらの多官能イソシアネート類とプロパンジオール、ヘキサンジオール、ポリエチレングリコール、トリメチロールプロパン等の多価アルコールとの反応により生成される2個以上のイソシアネート基が残存する化合物;これらの多官能イソシアネート化合物をエタノール、ヘキサノール等のアルコール類、フェノール、クレゾール等のフェノール性水酸基を有する化合物、アセトオキシム、メチルエチルケトキシム等のオキシム類、ε−カプロラクタム、γ−カプロラクタム等のラクタム類等のブロック剤で封鎖したブロックド多官能イソシアネート化合物などを挙げることができる。なお、上記多官能イソシアネート化合物は1種又は2種以上混合して使用できる。中でも、被膜の黄変色を防止するために、芳香環に直接結合したイソシアネート基を有しない無黄変性多官能イソシアネート化合物が好ましい。
【0055】
上記メラミン化合物としては、例えばジメチロールメラミン、トリメチロールメラミン、テトラメチロールメラミン、ペンタメチロールメラミン、ヘキサメチロールメラミン、イソブチルエーテル型メラミン、n−ブチルエーテル型メラミン、ブチル化ベンゾグアナミン等を挙げることができる。
【0056】
上記アミノプラスト樹脂としては、例えばアルキルエーテル化メラミン樹脂、尿素樹脂、ベンゾグアナミン樹脂等が挙げられ、これらのアミノプラスト樹脂の単体又は2種以上の混合物もしくは共縮合物を使用できる。このアルキルエーテル化メラミン樹脂とは、アミノトリアジンをメチロール化し、シクロヘキサノールまたは炭素数1〜6のアルカノールでアルキルエーテル化して得られるものであり、ブチルエーテル化メラミン樹脂、メチルエーテル化メラミン樹脂、メチルブチル混合メラミン樹脂が代表的なものである。また、硬化を促進させるためのスルホン酸系触媒、たとえば、パラトルエンスルホン酸およびそのアミン塩等を使用することができる。
【0057】
上記基材ポリマーとしてはシクロアルキル基を有するポリオールが好ましい。このように、バインダー4を構成する基材ポリマー(ポリオール)中にシクロアルキル基を導入することで、バインダー4の撥水性、耐水性等の疎水性が高くなり、高温高湿条件下での当該光拡散シート1の耐撓み性、寸法安定性等が改善される。また、光拡散層3の硬度、耐候性、肉持感、耐溶剤性等の塗膜基本性能が向上する。さらに、表面に有機ポリマーが固定された微小無機充填剤との親和性及び微小無機充填剤の均一分散性がさらに良好になる。
【0058】
上記シクロアルキル基としては特に限定されず、例えば、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロノニル基、シクロデシル基、シクロウンデシル基、シクロドデシル基、シクロトリデシル基、シクロテトラデシル基、シクロペンタデシル基、シクロヘキサデシル基、シクロヘプタデシル基、シクロオクタデシル基等が挙げられる。
【0059】
上記シクロアルキル基を有するポリオールは、シクロアルキル基を有する重合性不飽和単量体を共重合することで得られる。このシクロアルキル基を有する重合性不飽和単量体とは、シクロアルキル基を分子内に少なくとも1つ有する重合性不飽和単量体である。この重合性不飽和単量体としては特に限定されず、例えば、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、メチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、tert−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、シクロドデシル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0060】
また、ポリマー組成物中には硬化剤としてイソシアネートを含有するとよい。このようにポリマー組成物中にイソシアネート硬化剤を含有することで、より一層強固な架橋構造となり、光拡散層3の被膜物性がさらに向上する。このイソシアネートとしては上記多官能イソシアネート化合物と同様の物質が用いられる。中でも、被膜の黄変色を防止する脂肪族系イソシアネートが好ましい。
【0061】
特に、基材ポリマーとしてポリオールを用いる場合、ポリマー組成物中に配合する硬化剤としてヘキサメチレンジイソシアネート、イソフロンジイソシアネート及びキシレンジイソシアネートのいずれか1種もしくは2種以上混合して用いるとよい。これらの硬化剤を用いると、ポリマー組成物の硬化反応速度が大きくなるため、帯電防止剤として微小無機充填剤の分散安定性に寄与するカチオン系のものを使用しても、カチオン系帯電防止剤による硬化反応速度の低下を十分補うことができる。また、かかるポリマー組成物の硬化反応速度の向上は、バインダー中への微小無機充填剤の均一分散性に寄与する。その結果、当該光拡散シートは熱、紫外線等による撓みや黄変を格段に抑制することができる。
【0062】
さらに、ポリマー組成物中に帯電防止剤を混練するとよい。このように帯電防止剤が混練されたポリマー組成物からバインダー4を形成することで、当該光拡散シート1に帯電防止効果が発現され、ゴミを吸い寄せたり、プリズムシート等との重ね合わせが困難になる等の静電気の帯電により発生する不都合を防止することができる。また、帯電防止剤を表面にコーティングすると表面のベタツキや汚濁が生じてしまうが、このようにポリマー組成物中に混練することでかかる弊害は低減される。この帯電防止剤としては、特に限定されるものではなく、例えばアルキル硫酸塩、アルキルリン酸塩等のアニオン系帯電防止剤、第四アンモニウム塩、イミダゾリン化合物等のカチオン系帯電防止剤、ポリエチレングリコール系、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアリン酸エステル、エタノールアミド類等のノニオン系帯電防止剤、ポリアクリル酸等の高分子系帯電防止剤などが用いられる。中でも、帯電防止効果が比較的大きいカチオン系帯電防止剤が好ましく、少量の添加で帯電防止効果が奏される。
【0063】
次に、当該光拡散シート1の製造方法について説明する。当該光拡散シート1の製造方法は、(a)バインダー4を構成するポリマー組成物に光拡散剤5を混合することで光拡散層用塗工液を製造する工程と、(b)この光拡散層用塗工液を基材層2の表面に塗工することで光拡散層3を積層する工程とを有する。
【0064】
当該光拡散シート1は、光拡散層3中に含有する光拡散剤5の界面での反射や屈折及び光拡散層3表面に形成される微細凹凸での屈折により、高い光拡散機能を有し、この光拡散機能に起因して法線方向側への屈折機能を有している。また当該光拡散シート1は、全面に積層されるバインダー4中に色度補正添加剤を均一に含有することから、透過光の色度を変換する色度補正機能を有している。
【0065】
図2の光拡散シート11は、基材層2と、この基材層2の表側に積層された光拡散層3と、基材層2の裏面に積層されたスティッキング防止層12とを備えている。この基材層2及び光拡散層3は、上記光拡散シート1と同様であるため、同一番号を付して説明を省略する。従って、当該光拡散シート11は、光拡散層3のバインダー4中に色度補正添加剤を含有し、光拡散シート1と同様に色度補正機能を有している。
【0066】
スティッキング防止層12は、バインダー13と、このバインダー13中に分散するビーズ14とを備えている。このバインダー13も、上記光拡散層3のバインダー4と同様のポリマー組成物(つまり、基材ポリマーと色度補正添加剤とを含有するポリマー組成物)を架橋硬化させることで形成される。また、ビーズ14の材料としては光拡散層3の光拡散剤5と同様のものが用いられる。なお、このスティッキング防止層12の厚み(ビーズ14が存在しない部分でのバインダー13部分の厚み)は特には限定されないが、例えば1μm以上10μm以下程度とされている。
【0067】
このビーズ14の配合量は比較的少量とされ、ビーズ14は互いに離間してバインダー13中に分散し、ビーズ14の多くはその下端がバインダー13からごく少量突出している。そのため、この光拡散シート11を導光板と積層すると、突出したビーズ14の下端が導光板等の表面に当接し、光拡散シート11の裏面の全面が導光板等と当接することがない。これにより、光拡散シート11と導光板等とのスティッキングが防止され、液晶表示装置の画面の輝度ムラが抑えられる。
【0068】
当該光拡散シート11は、スティッキング防止層12のバインダー13にも色度補正添加剤を含有し、バインダー13にも色度補正機能を有している。そのため、光拡散シート11は、色度補正機能が向上し、かつ色度補正機能の均一性が促進される。また、当該光拡散シート11は、所定の色度補正機能の発現に必要な色度補正添加剤の配合量を低減することができる。
【0069】
次に、光拡散シート11の製造方法を説明する。当該光拡散シート11の製造方法は、(a)バインダー4を構成するポリマー組成物に光拡散剤5を混合することで光拡散層用塗工液を製造する工程と、(b)この光拡散層用塗工液を基材層2の表面に塗工することで光拡散層3を積層する工程と、(c)バインダー13を構成するポリマー組成物にビーズ14を混合することでスティッキング防止層用塗工液を製造する工程と、(d)このスティッキング防止層用塗工液を基材層2の裏面に塗工することでスティッキング防止層12を積層する工程とを有する。
【0070】
図3の光拡散シート21は、基材層2と、この基材層2の表面に積層される光拡散層22とを備えている。この基材層2は、上記光拡散シート1と同様であるため、同一番号を付して説明を省略する。
【0071】
光拡散層22は、バインダー23と、このバインダー23中に含有する光拡散剤24とを備えている。このバインダー23は、色度補正添加剤を含有しない以外は上記バインダー4と同様のポリマー組成物を架橋硬化させることで形成される。光拡散剤24としては、アクリル樹脂製等の有機フィラーが用いられ、色度補正添加剤を含有している。光拡散剤24の平均粒子経、バインダー中への配合量等は上記光拡散剤5と同様である。この色度補正添加剤の種類、配合量等は上記光拡散シート1と同様である。
【0072】
当該光拡散シート21は、光拡散剤24中に色度補正添加剤を含有し、この光拡散剤24が全面に略均一に配設されていることから、シート全面に略均一に色度補正機能を有している。また、当該光拡散シート21は、光拡散剤24によって拡散され、正面側に向けられる光線に対して効果的に色度を変換することができ、全光線透過率の低下を低減することができる。
【0073】
従って、ランプ、導光板、光拡散シート、プリズムシート等を備え、ランプから発せられる光線を分散させて表面側に導く液晶表示装置用のバックライトユニットにおいて、この光拡散シートとして上記光拡散シート1、11、21を用いると、当該光拡散シート1、11、21の色度補正機能によりランプ等に主に起因する出射光の色度のブレを低減することかでき、その結果、製品歩留まりを高め、製造コストの低減化を促進することができる。また光拡散シート1、11、21として、赤色系、青色系及び黄色系の色度補正機能のものを用意し、各色相に数段階の色度変換量のものを用意しておくとよい。これらの光拡散シートから適宜選択することで、十分にバックライトユニットの色度のブレを低減することができる。
【0074】
なお、本発明の光拡散シートは上記実施形態に限定されるものではなく、例えば色度補正添加剤の配合個所は基材層、光拡散層のバインダー、光拡散剤、スティッキング防止層のバインダー及びビーズのうち少なくとも1個所以上選択することができる。色度補正添加剤を光拡散シートのどの部分に配合しても、色度補正機能が奏される。
【0075】
【実施例】
以下、実施例に基づき本発明を詳述するが、この実施例の記載に基づいて本発明が限定的に解釈されるものではない。
【0076】
[実施例1]
基材ポリマーとしてのアクリル系樹脂と色度補正添加剤としてのイソインドリノン系顔料を含むポリマー組成物中に、光拡散剤として平均粒子径15μmのアクリル系樹脂ビーズ(積水化成品工業(株)の「MBX−15」)を混合して塗工液を作製し、この塗工液をロールコート法により厚さ38μmの透明ポリエチレンテレフタレート製の基材層の表面に15g/m2(固形分換算)塗工し、硬化させることで実施例1の光拡散シートを得た。この色度補正添加剤のポリマー組成物中への配合量を0.03質量%とし、光拡散剤の基材ポリマー100部に対する配合量を50部とした。
【0077】
[実施例2]
色度補正添加剤の配合量を0.04質量%とした以外は上記実施例1と同様にして実施例2の光拡散シートを得た。
【0078】
[実施例3]
色度補正添加剤の配合量を0.05質量%とした以外は上記実施例1と同様にして実施例3の光拡散シートを得た。
【0079】
[比較例]
色度補正添加剤を配合しない以外は上記実施例1と同様にして比較例の光拡散シートを得た。
【0080】
[特性の評価]
上記実施例1〜3の光拡散シート及び比較例の光拡散シートを用い、これらの光拡散シートの色度補正機能を評価した。この色度補正機能は、ランプと導光板とから構成されるエッジライト型バックライトの導光板表面に各光拡散シートを重畳し、正面側出射光線の色度x値、y値を色彩輝度計((株)トプコンの商品名「BM−7」)を用いて測定し、上記バックライトのみの場合の色度を基準として各光拡散シートの色度変換量Δx、Δyを求めた。その結果を下記表1に示す。
【0081】
【表1】
【0082】
上記表1に示すように、比較例の光拡散シートと比較して実施例1〜3の光拡散シートは高い色度補正機能を有している。また、実施例の光拡散シート1〜3は、色度補正添加剤の配合量が増えるほど色度補正機能が大きくなっている。
【0083】
次に、上記実施例1〜3の光拡散シート及び比較例の光拡散シートを用い、表面側に2枚のプリズムシートを重畳したバックライトユニットにおける各光拡散シートの色度変換量を評価した。この色度変換量は、ランプと導光板とから構成されるエッジライト型バックライトの導光板表面に各光拡散シートを重畳し、その光拡散シートの表面に2枚のプリズムシートを重畳し、正面側出射光線の色度x値、y値を色彩輝度計((株)トプコンの商品名「BM−7」)を用いて測定し、上記バックライトのみの場合の色度を基準として各光拡散シートによる色度変換量δx、δyを求めた。その結果を下記表2に示す。
【0084】
【表2】
【0085】
上記表2に示すように、2枚のプリズムシートを装備するバックライトユニットにおいても、比較例の光拡散シートと比較して実施例1〜3の光拡散シートは高い色度変換機能を有している。また、表1と表2とを比較すると、2枚のプリズムシートを装備するバックライトユニットの場合、x値、y値共に、光拡散シートに起因する色度変換量が約5倍程度拡大されていることが分かる。
【0086】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の光拡散シートは、色度補正機能を有し、透過光の色度を変換することができる。従って、当該光拡散シートを備えるバックライトユニットは、光拡散シートの色度補正機能によってLED等の個体差等に主に起因する出射光の色度のブレを低減することかでき、その結果製品歩留まりを向上し、製造コストの低減化を促進することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る光拡散シートを示す模式的断面図である。
【図2】図1の光拡散シートとは異なる形態に係る光拡散シートを示す模式的断面図である。
【図3】図1及び図2の光拡散シートとは異なる形態に係る光拡散シートを示す模式的断面図である。
【図4】(a)は一般的なエッジライト型バックライトユニットを示す模式的斜視図、(b)は一般的な光拡散シートを示す模式的断面図である。
【符号の説明】
1 光拡散シート
2 基材層
3 光拡散層
4 バインダー
5 光拡散剤
11 光拡散シート
12 スティッキング防止層
13 バインダー
14 ビーズ
21 光拡散シート
22 光拡散層
23 バインダー
24 光拡散剤
Claims (7)
- ランプ、導光板、この導光板の表面側に配設される光拡散シート及びこの光拡散シートの表面側に配設されるプリズムシートを備え、ランプから発せられる光線を分散させて表面側に導く液晶表示装置用のバックライトユニットにおいて、
上記光拡散シートが、
透明な基材層と、この基材層の表面側に積層される光拡散層とを備え、この光拡散層がバインダー中に光拡散剤を有し、
透過光の色度を変換する色度補正機能を有しており、
この色度補正機能が、色度補正添加剤の配合により発現されており、
色度補正機能における色度の変換量がx値及びy値共に±0.008以内であることを特徴とする液晶表示装置用のバックライトユニット。 - 上記光拡散シートが、上記基材層の裏面側に積層されるスティッキング防止層をさらに備え、このスティッキング防止層がバインダー中にビーズを有している請求項1に記載のバックライトユニット。
- 上記色度補正添加剤として顔料が用いられている請求項1又は請求項2に記載のバックライトユニット。
- 上記色度補正添加剤として染料が用いられている請求項1、請求項2又は請求項3に記載のバックライトユニット。
- 上記色度補正添加剤が、光拡散層のバインダー及び/又はスティッキング防止層のバインダーに配合されている請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のバックライトユニット。
- 上記光拡散剤として有機フィラーが用いられ、
上記色度補正添加剤が光拡散剤中に配合されている請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のバックライトユニット。 - 上記色度補正添加剤の配合量が、固形分換算で0.001質量%以上0.1質量%以下である請求項1から請求項6のいずれか1項に記載のバックライトユニット。
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