JPH0739002U

JPH0739002U - カラーフィルター

Info

Publication number: JPH0739002U
Application number: JP069438U
Authority: JP
Inventors: 眞紀子山本; 季子上見
Original assignee: 恵和商工株式会社
Priority date: 1993-12-27
Filing date: 1993-12-27
Publication date: 1995-07-14

Abstract

(57)【要約】【目的】液晶表示ディスプレイにおけるライトイメー
ジを解消し、かつ光の好適な拡散・集光を実現する、薄
層のカラーフィルターを提供する。【構成】透明性を有する物質から構成された基材シー
ト３、基材シート３の一方の面に塗設されたバインダー
５とビーズ６の混合物からなる拡散層４、および基材シ
ート３の他方の面に塗工された半透過性の印刷層２から
なるカラーフィルター１。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、光を反射および透過させるためのシート材、特に、液晶表示ディスプレイ装置における、光の好適な拡散・集光を実現するカラーフィルターに関する。

【０００２】

【従来の技術および考案が解決しようとする課題】

一般に、例えば、直下型方式の液晶表示ディスプレイ装置21（図３参照）の表示部24は、日中あるいは照明下などの明るい条件下では表示部から反射した光によって、また夜間などの暗い条件下では液晶パネルの裏側に配設された蛍光管（バックライト）22から発生し、カラーフィルター23を透過した光によって、表示部24に示された情報を認識できるように構成されている。

【０００３】この装置21の表示部に適当な色彩を付与するためのカラーフィルターとして、従来、図２に示したような基材シート12とカラー印刷層13から構成されたシート材11、具体的には、透明基材シート（ポリエチレンテレフタレート）の裏面を着色印刷したもの、エンボス加工した基材シートの裏面を白色印刷したもの、あるいは基材シートに斜光フィラーを配合したものが使用されていた。

【０００４】しかしながら、上記した従来のカラーフィルターによると、バックライトの影（イメージ）が表示部に現れ、また単に光の透過の程度を加減できるに止まるため、光の拡散および集光という機能が欠如しており、この機能を補完するために、拡散板や拡散フィルム等を併用する必要があり、また、これら拡散板や拡散フィルム等を併用した場合、輝度低下が生じるという実用上の問題点が指摘されていた。

【０００５】さらに、拡散板や拡散フィルム等を併用することによって、表示部の厚みが大きくなることは、ディスプレイのコンパクト化を阻害する要因になっていた。

【０００６】

【課題を解決するための手段】

本考案は、上記した従来技術が抱えていた問題点を解消するために考案されたものであり、その要旨とするところは、基材シートに、光拡散層と半透過性のカラー印刷層をそれぞれ設けたことにあり、具体的には；透明性を有する物質から構成された基材シート、該基材シートの一方の面に塗設されたバインダーとビーズの混合物からなる光拡散層、および該基材シートの他方の面に塗工された半透過性のカラー印刷層を含むカラーフィルターである。すなわち、本考案の光拡散層の構成には、以下の四態様、すなわち、透明ビーズとバインダーからなる光拡散層（図１(a))；着色ビーズとバインダーからなる光拡散層（図１(c))；透明ビーズ、着色ビーズおよびバインダーからなる光拡散層（図１(d))；着色バインダーと透明ビーズからなる光拡散層（図１(e))；の態様が含まれる。

【０００７】そして、本考案に用いる基材シートとしては、プラスチック、ガラス、無機透明物質などの透明質のもの、あるいは前述した透明質シートの構成材料に、無機質、たとえば、二酸化チタン(TiO₂)を混合した半透明性のものが使用され、シート厚みは特に限定されるものではないが、加工の難易性およびハンドリング性を考慮して、10〜 1,000μm 程度が好ましい。

【０００８】また、ビーズとしては、プラスチック（例えば、アクリルコポリマー）やガラス等をその主成分とするものであれば良く、また、これらビーズを着色するための着色材としては、顔料、例えば、乳白色を付与する酸化チタン、青色を付与するフタロシアニンブルー、緑色を付与するシアニングリーン、茶色を付与する赤色酸化鉄などが使用できる。なお、ビーズの粒径は、特に限定されるものではないが、光透過性ならびに光拡散効果を考慮すれば、１〜 100μm 程度が好ましい。

【０００９】さらに、バインダーとしては、プラスチック樹脂（例えば、アクリル樹脂あるいはウレタン樹脂）が好ましく、また、バインダーを着色する場合（図１(e) の態様）に使用できる着色材としては、白色無機顔料、例えば、酸化チタン、タルク、酸化亜鉛などがある。

【００１０】さらに、光拡散層の厚みは特に限定されるものではないが、10〜 500μm 程度が、好適な基材シートへの塗設の難易性、強度、および光透過性ならびに光拡散効果などを得る観点からして望ましい。

【００１１】次に、透明ビーズと着色ビーズを混合して使用する場合（図１(d) の態様）、両者の混合比は、光透過性ならびに光拡散効果を考慮すれば、１：99〜99：１重量％が好ましく、また、ビーズの粒径は、特に限定されるものではないが、光透過性ならびに光拡散効果などを考慮すれば、１〜 100μm 程度のものを、好ましくは、粒度の異なるビーズを混在させて用いる。さらに、ビーズの配置態様としては、光透過性ならびに光拡散効果などを考慮すれば、（図１(b) に拡大図示したように）バインダーに埋設されたビーズとバインダーに部分的に埋設されたビーズを混在させて用いること、ならびに、ビーズを基材シート表面に分散あるいは基材シート表面をほぼ被うように分布させることが好ましい。

【００１２】本考案のカラー印刷層は、色料（顔料等）、ビヒクル（樹脂と溶剤）、および補助剤（分散剤、可塑剤、静電防止剤など）を含む印刷インキを用いて、グラビア印刷、オフセット印刷、フレキリ印刷、スクリーン印刷等の公知の印刷方式によって、基材シートの裏面側（前述の光拡散層の反対面）に設けられている。

【００１３】色料として用いる顔料には、無機顔料と有機顔料があり、該無機顔料としては二酸化チタン、酸化クロム、亜鉛華、べんがら等の酸化物；アルミナホワイト等の水酸化物；硫化亜鉛、カドミウムレッド等の硫化物；紺青等のフェロシアン化物、黄鉛、モリブデンレッド等のクロム酸塩；沈降性硫酸バリウム等の硫酸塩；群青等のケイ酸塩；アルミニウム粉、亜鉛末等の金属粉等がある。また、該有機顔料としては、ナフトールグリーンＢ等のニトロソ顔料；ナフトールエローＳ等のニトロ顔料；リソールレッド、レーキレッドＣ、ピラゾロンオレンジ、バラレッド等のアゾ顔料；ピーコックブルーレーキ、アルカリブルーレーキ等の酸性染料；ローダミンレーキ、メチルバイオレットレーキ等の塩基性染料レーキ；アントラピリミジンエロー、ペリノンオレンジ等の縮合多環顔料等がある。

【００１４】また、ビヒクル樹脂としては、ニトロセルロース、ポリアミド樹脂、塩化ビニール・酢酸ビニール共重合樹脂、環化ゴム、塩素化ポリプロピレン、アクリル樹脂、ポリウレタン等が使用可能である。そして、適用可能な溶剤としては、ｎ −ヘキサン、ｎ−ヘプタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、トルエン、キシレン等の炭化水素；酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸イソブチル等のエステル；アセトン、ＭＥＫ（メチルエチルケトン）、シクロヘキサノン等のケトン；メタノール、エタノール、ｎ−プロパノール等のアルコール；メチルセルソルブ、エチルセルソルブ、ブチルセルソルブ、酢酸セロソルブ等の多価アルコール誘導体等がある。

【００１５】なお、補助剤としての分散剤は、顔料の分散性を改善ならしめるものであれば適用可能であり、例えば、ピロリン酸ナトリウムなどが使用可能である。また、可塑剤としては、インク皮膜に可撓性を付与し、接着性を向上させるものが好ましく、例えば、各種脂肪酸エステル系、エポキシ系、あるいはポリエステル系などの可塑剤が適用可能である。そして、静電防止剤としては、印刷時の静電気による絵柄形成障害の防止を目的として採用されるものであり、各種界面活性剤、例えば、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウムなどが使用可能である。

【００１６】

【実施例】

以下、本考案の実施例を添付した図面を参照しつつ説明する。

【００１７】本考案の構成により、図１(a) にあるように、バックライト型の光源10から発生した光線（実線矢印）は、カラー印刷層２および基材シート３を透過して、光拡散層４内のバインダー５に全体的あるいは部分的に埋設されるように配置されたビーズ６との接触・屈折・反射を幾度となく繰り返した末に、光拡散層４を通過する。

【００１８】一方、日中など、光源10からの照射を行わない場合、外部から導入された光線（破線矢印）は、光拡散層４に入射し、その一部はビーズ６によって反射され、その他は、基材シート３を透過してカラー印刷層２面にて反射し、再度、光拡散層４内に配置された透明ビーズ６との接触・屈折・反射を幾度となく繰り返した末に、光拡散層４を通過する。

【００１９】これにより、光の反射率と光線の透過率が改善されるため、光拡散層を通過した光の拡散の程度は均質なものとなり、この均質な光が表示部に供給されるのである。

【００２０】また、図１(c) および図１(d) に示したように、着色ビーズ７をさらに光拡散層４内に配置することにより、あるいはバインダーを着色バインダー８とすることで、光の拡散の程度を加減することができるのみならず、着色ビーズ７と透明ビーズ６の混合比、あるいはバインダー８の着色の濃淡を調整することで輝度の加減も可能とし、用途に応じた対応を可能にするものである。

【００２１】なお、図１においては、バックライト型の液晶表示ディスプレイを例にして説明したが、本考案のカラーフィルターが、エッジライト型あるいはＬＥＤ型液晶表示ディスプレイにも適用でき、同様の効果が期待できるのは勿論である。

【００２２】実施例１厚さ 100μm のポリエチレンテレフタレート（「PET 100 」：ダイヤホイル株式会社製）を基材シートとして用い、その上面に周知のロールコート方式によって、下記表１に示す組成を有する塗工液を、厚さ50μm となるように塗設して、光拡散層を設けた。

【００２３】

【表１】

【００２４】次に、前記基材シートの下面（前記光拡散層の反対側面）に、下記表２に示す組成を有する印刷インクを、グラビア印刷方式によって、厚さ１〜２μm の白色印刷層を設けて、本考案のカラーフィルターを調製した。

【００２５】

【表２】

【００２６】実施例２実施例１と同じ厚さ 100μm のポリエチレンテレフタレートの上面に、下記表３に示す組成を有する塗工液を、厚さ40μm となるように塗設して、光拡散層を設けた。

【００２７】

【表３】

【００２８】そして、実施例１と同様の方法にて、前記基材シートの下面（前記光拡散層の反対側面）に、厚さ１〜２μm の白色印刷層を設けて、本考案のカラーフィルターを調製した。

【００２９】実施例３実施例１と同じ厚さ 100μm のポリエチレンテレフタレートの上面に、下記表４に示す組成を有する塗工液を、厚さ45μm となるように塗設して、光拡散層を設けた。

【００３０】

【表４】

【００３１】そして、実施例１と同様の方法にて、前記基材シートの下面（前記光拡散層の反対側面）に、厚さ１〜２μm の白色印刷層を設けて、本考案のカラーフィルターを調製した。

【００３２】実施例４実施例１と同じ厚さ 100μm のポリエチレンテレフタレートの上面に、下記表５に示す組成を有する塗工液を、厚さ30μm となるように塗設して、光拡散層を設けた。

【００３３】

【表５】

【００３４】そして、実施例１と同様の方法にて、前記基材シートの下面（前記光拡散層の反対側面）に、厚さ１〜２μm の白色印刷層を設けて、本考案のカラーフィルターを調製した。

【００３５】実施例５実施例１〜４で調製した本考案のカラーフィルターを、バックライト方式液晶表示ディスプレイ装置のカラーフィルターとして使用したところ、直下のランプのイメージは解消された。

【００３６】次に、実施例１〜４で調製した本考案のカラーフィルターについて、(i) JIS K7105-Aおよび JIS K7105の方法に従って、全光線透過率およびヘイズに関して、また(ii)実施例１〜４で調製した本考案のカラーフィルターをバックライト方式の液晶表示ディスプレイ装置にカラーフィルター部材として適用し、その際の液晶面の輝度を輝度計（色彩輝度計 BM-7 、株式会社TOPCON社製）を用いて、それぞれ測定し、その結果を下記表６に示した。

【００３７】

【表６】

【００３８】上記表６の結果から、本考案のカラーフィルターによると、全光線透過率およびヘイズに関して良好な数値が得られると共に、従来のシート材と比較して輝度が格段に改善されるなど、光の拡散および集光機能が効果的に発揮されていることが確認された。

【００３９】

【考案の効果】

本考案のカラーフィルターによると、液晶ディスプレイにおける光拡散板の用途において、バックライトのイメージを解消するのみならず、液晶表示面の輝度も改善でき、さらには均質な拡散光を表示部に供給でき、ディスプレイの表示美観を好ましいものにするなどの種々の効果を奏するのである。

【００４０】また、従来のカラーフィルターと相違して、拡散板や拡散フィルム等を併用せずして上記効果が得られるので、液晶ディスプレイ装置全体の薄層化を促進し、これにより、液晶ディスプレイのコンパクト化に少なからずの貢献を果たすものである。

【図面の簡単な説明】

【図１】(a) 、(b) 、 (c)、 (d)、および(e) は、本考
案の一実施例を示す一部断面図である。

【図２】従来のカラーフィルターの実施例を示す一部断
面図である。

【図３】従来の直下型方式液晶表示ディスプレイ装置の
構造を示す断面図である。

【符号の説明】

１…カラーフィルター２…印刷層３…基材シート４…光拡散層５…バインダー６…透明ビーズ７…着色ビーズ８…着色バインダー

Claims

【実用新案登録請求の範囲】

【請求項１】透明または半透明物質から構成された基
材シート、および前記基材シートの一方の面に塗設され
た光拡散層から構成されたカラーフィルターであって、前記光拡散層が、バインダーとビーズの混合物から構成
されており、さらに前記基材シートの他方の面に、半透
過性のカラー印刷層が塗工されていることを特徴とす
る。
【請求項２】前記ビーズが、透明ビーズ、着色ビー
ズ、もしくは透明ビーズと着色ビーズの混合物である請
求項１に記載のカラーフィルター。
【請求項３】前記ビーズが、様々な粒度のビーズから
構成されている請求項１もしくは２に記載のカラーフィ
ルター。
【請求項４】前記ビーズが、前記バインダーに埋設さ
れたビーズと、前記バインダーに部分的に埋設されたビ
ーズから構成されている請求項１ないし３のいずれかに
記載のカラーフィルター。
【請求項５】前記バインダーが、着色バインダーであ
る請求項１ないし４のいずれかに記載のカラーフィルタ
ー。
【請求項６】前記カラー印刷層が、白色あるいは乳白
色カラー印刷層である請求項１ないし５のいずれかに記
載のカラーフィルター。