JP2004252353A - 光拡散シート及びこれを用いたバックライトユニット - Google Patents
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Abstract
【解決手段】透明な基材層2と、この基材層2の表面側に積層される光拡散層3とを備え、この光拡散層3がバインダー4中に光拡散剤5を有する光拡散シート1であって、上記バインダー4がシクロアルキル基を有するポリオールを含むポリマー組成物から形成されていることを特徴とするものである。上記ポリマー組成物中に微小無機充填剤(好ましくは、表面に有機ポリマーが固定された微小無機充填剤)を分散含有するとよい。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、透過光線を拡散させる機能を有し、特に液晶表示装置のバックライトユニットに好適な光拡散シート及びこの光拡散シートを用いたバックライトユニットに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
液晶表示装置は、液晶層を背面から照らして発光させるバックライト方式が普及し、液晶層の下面側にエッジライト型、直下型等のバックライトユニットが装備されている。かかるエッジライト型のバックライトユニット20は、基本的には図3(a)に示すように、光源としての線状のランプ21と、ランプ21に端部が沿うように配置される方形板状の導光板22と、導光板22の表面側に配設される光拡散シート23と、光拡散シート23の表面側に配設されるプリズムシート24とを備えている。
【0003】
このバックライトユニット20の機能を説明すると、まずランプ21より導光板22に入射した光線は、導光板22裏面の反射ドット又は反射シート(図示していない)で反射され、導光板22表面から出射される。導光板22から出射した光線は光拡散シート23に入射し、光拡散シート23で拡散され、光拡散シート23表面より出射される。その後、光拡散シート23から出射された光線は、プリズムシート24に入射し、プリズムシート24表面に形成されたプリズム部24aによって略法線方向にピークを示す分布の光線として出射される。
【0004】
このように、ランプ21から出射された光線が、光拡散シート23によって拡散され、またプリズムシート24によって略法線方向にピークを示すように屈折され、さらに表面側の液晶層(図示していない)全面を照明するものである。なお、図示していないが、上述のプリズムシート24の集光特性の緩和やプリズム部24aの保護又は偏光板等の液晶パネルとプリズムシート24とのスティッキングの防止を目的として、プリズムシート24の表面側にさらに光拡散シートが配設されている。
【0005】
上記バックライトユニット20に備える光拡散シート23は、一般的には図3(b)に示すように、合成樹脂製の透明な基材層26と、この基材層26の表面に積層された光拡散層27と、基材層26の裏面に積層されたスティッキング防止層28とを備えている。この光拡散層27は、一般的には、バインダー29中に光拡散剤30が分散した構造を有し、光拡散剤30により透過光線を拡散させる機能が奏される。また、スティッキング防止層28は、バインダー31中に少量のビーズ32が離間して分散し、このビーズ32の下部がバインダー31の裏面から突出した構造を有しており、光拡散シート23裏面が導光板22表面と密着して干渉縞が生じてしまう不都合を防止している。
【0006】
【特許文献1】
特開平7−5305号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、光拡散シート23は一般的にフィルム状の合成樹脂で形成されているため、熱、湿気や紫外線などによる変形や変色(黄変等)を受けやすいという欠点を有している。一方、光線発生源であるランプ21は発光と同時に発熱するため、光拡散シート23のうちランプ21近傍は80℃から90℃程度の温度下に曝され、また大気中の湿気にも曝される。かかる高温・高湿度下において、光拡散シート21が熱変形により部分的に撓んでしまい、その結果、画面の輝度ムラが発生してしまうという問題がある。
【0008】
そのため、光拡散シート21における光拡散層27のバインダー29中に微小無機充填剤を分散含有させることによって、耐熱性の向上を図る技術が開発されている(例えば、特開平7−5305号公報参照)。しかし、この微小無機充填剤の分散含有によっても、バインダー29の耐湿性を改善することはできないため、上述の高温・高湿度下での熱変形を防止するに足る十分な耐熱性を得ることができていない。また、耐熱性を高めるために微小無機充填剤の含有量を増大すると、全光線透過率の低下を招来するため、含有量の増加にも限界がある。
【0009】
本発明はこれらの不都合に鑑みてなされたものであり、優れた耐熱性、熱的寸法安定性及び耐候性を有し、ランプの発熱や紫外線照射を受けても撓みや黄変等が発生しにくい光拡散シート、及び、かかる光拡散シートを用いて輝度ムラや輝度低下の発生を低減するバックライトユニットの提供を目的とするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するためになされた発明は、透明な基材層と、この基材層の表面側に積層される光拡散層とを備え、この光拡散層がバインダー中に光拡散剤を有する光拡散シートであって、上記バインダーがシクロアルキル基を有するポリオールを含むポリマー組成物から形成されていることを特徴とするものである。
【0011】
当該光拡散シートによれば、光拡散層のバインダーを形成するポリマー組成物の基材ポリマーとしてポリオールを用いることから、透明性が高く、かつ、耐候性や加工性などが優れている。また、このポリオールがシクロアルキル基を有していることから、光拡散層のバインダーの疎水性が向上する。そのため、当該光拡散シートによれば、光拡散層ひいては光拡散シート全体の疎水性が向上し、上述の高温・高湿度下での変形を格段に抑制することができる。
【0012】
上記基材層の裏面側に積層されるスティッキング防止層をさらに備え、このスティッキング防止層がバインダー中にビーズを有し、このバインダーを上記光拡散層と同様のポリマー組成物(シクロアルキル基を有するポリオールを含むポリマー組成物)から形成するとよい。この手段によれば、上記光拡散層と同様に、スティッキング防止層の疎水性、耐候性、耐熱性及び熱的寸法安定性を高めることができ、その結果、高温・高湿度下における当該光拡散シートの撓みや黄変をさらに抑制することができる。
【0013】
上記ポリマー組成物中に微小無機充填剤を分散含有するとよい。この手段によれば、バインダー中への微小無機充填剤の分散含有によって光拡散層ひいては当該光拡散シート全体の耐熱性を高めることができ、上述の光拡散層の優れた疎水性と相まって高温・高湿度下における当該光拡散シートの変形を格段に抑制することができる。また、当該光拡散シートによれば、上述のようにバインダーの形成材料として加工性に優れるポリオールが用いられていることから、微小無機充填剤の均一分散性が向上し、この点からも耐熱性向上に寄与する。
【0014】
上記微小無機充填剤として、その表面に有機ポリマーが固定された微小無機充填剤を用いるとよい。ここで、「固定」とは、単なる接着および付着を意味するものではなく、有機ポリマーと微小無機充填剤の間で化学結合が生成していることを意味し、従って微小無機充填剤を任意の溶剤で洗った洗液中に有機ポリマーが検出されない。このように、表面に有機ポリマーが固定された微小無機充填剤を用いると、バインダーを構成する基材ポリマーに対して良好な親和性を有し、表面硬度、耐熱性、耐摩耗性、耐候性、耐汚染性等の被膜物性の良い光拡散層を形成することができる。
【0015】
上記ポリオールとしてはアクリルポリオール又はポリエステルポリオールが好ましい。かかるアクリルポリオール又はポリエステルポリオールは、疎水性、透明性、耐候性及び加工性などに優れ、バインダー中への微小無機充填剤の分散含有が容易となるため、当該光拡散シートの全光線透過率を高め、紫外線による黄変、劣化等を低減することができる。
【0016】
上記ポリマー組成物中に帯電防止剤を含有するとよい。このようにポリマー組成物中に帯電防止剤を含有し、光拡散層のバインダー中に帯電防止剤を分散含有することで、当該光拡散シートに優れた帯電防止作用を付与することができる。そのため、当該手段によれば、ゴミを吸い寄せたり、プリズムシート等の他のシートとの重ね合わせが困難になる等の帯電による不都合の発生を低減することができる。
【0017】
また、上記光拡散層の表面及び/又はスティッキング防止層の裏面に帯電防止剤を塗工してもよい。この手段のように帯電防止剤を当該光拡散シートの最外面に塗工することでも、当該光拡散シートに優れた帯電防止作用を付与することができる。また、当該手段によれば、帯電防止性能を発現するための帯電防止剤を最外面に備えていることから、光拡散層のバインダーのポリマー特性、組成物内容等に関わらず帯電防止作用を発揮することができ、帯電防止性のみを考慮して帯電防止剤を選択することができる。
【0018】
上記帯電防止剤としてカチオン系帯電防止剤を用いるとよい。かかるカチオン系帯電防止剤は、疎水性の高い上記ポリオールからなるバインダーに対して高い帯電防止作用を奏することができ、またポリマー組成物中に含有する場合でも微小無機充填剤の分散状態の安定性を向上又は維持することができる。そのため、当該手段のようにカチオン系帯電防止剤を用いると、微小無機充填剤の分散状態の安定性を高めることができ、その結果、当該光拡散シートの耐熱性をさらに向上し、上述の熱による撓みの抑制作用を促進することができる。
【0019】
上記カチオン系帯電防止剤としては、下記化学式(1)で示されるもの及び下記化学式(2)で示されるものが好ましい。かかる下記化学式(1)及び化学式(2)のカチオン系帯電防止剤によれば、上述の帯電防止作用が高く、また光拡散層、スティッキング防止層のバインダーに疎水性の高いアクリルポリオール等の基材ポリマーを用いた場合でも優れた帯電防止作用を発揮することができる。
【0020】
【化3】
上記化学式(1)において、R1は炭素数が14以上20以下のアルキル基、R2、R3、R4及びR5は炭素数が1以上5以下のアルキル基、Xは−COO−又は−CONH−の有機基、nは1以上6以下の整数を示す。
【0021】
【化4】
上記化学式(2)において、R1は炭素数が14以上20以下のアルキル基、nは1以上6以下の整数を示す。
【0022】
上記ポリマー組成物中にポリイソシアネートを含有するとよい。このようにバインダーを形成するポリマー組成物中に硬化剤としてポリイソシアネートを配合することで、ポリマー組成物の硬化反応速度を促進することができ、ポリマー組成物中に帯電防止剤として微小無機充填剤の分散安定性に寄与するカチオン系のものを配合しても、カチオン系帯電防止剤による硬化反応速度の低下を十分補うことができる。また、かかるポリマー組成物の硬化反応速度の向上は、バインダー中への微小無機充填剤の均一分散性に寄与する。その結果、当該光拡散シートは熱、紫外線等による撓みや黄変を格段に抑制することができる。
【0023】
従って、ランプから発せられる光線を分散させて表面側に導く液晶表示装置用のバックライトユニットにおいて、当該光拡散シートを備えると、上述のように光拡散シートの熱、湿気、紫外線等による撓みや黄変等が少ないため、液晶表示装置の輝度ムラ及び輝度の低下を抑えることができる。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、適宜図面を参照しつつ本発明の実施の形態を詳説する。図1は本発明の一実施形態に係る光拡散シートを示す模式的断面図で、図2は図1の光拡散シートとは異なる形態の光拡散シートを示す模式的断面図である。
【0025】
図1の光拡散シート1は、基材層2と、この基材層2の表面に積層された光拡散層3とから構成されている。
【0026】
基材層2は、光線を透過させる必要があるので透明、特に無色透明の合成樹脂から形成されている。かかる基材層2に用いられる合成樹脂としては、特に限定されるものではなく、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、アクリル樹脂、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリオレフィン、セルロースアセテート、耐候性塩化ビニル等が挙げられる。中でも、透明性に優れ、強度が高いポリエチレンテレフタレートが好ましく、撓み性能が改善されたポリエチレンテレフタレートが特に好ましい。
【0027】
基材層2の厚み(平均厚み)は、特には限定されないが、例えば10μm以上500μm以下、好ましくは35μm以上250μm以下、特に好ましくは50μm以上188μm以下とされる。基材層2の厚みが上記範囲未満であると、光拡散層3を形成するための樹脂組成物を塗工した際にカールが発生しやすくなってしまう、取扱いが困難になる等の不都合が発生する。逆に、基材層2の厚みが上記範囲を超えると、液晶表示装置の輝度が低下してしまうことがあり、またバックライトユニットの厚みが大きくなって液晶表示装置の薄型化の要求に反することにもなる。
【0028】
光拡散層3は、バインダー4と、このバインダー4中に分散する光拡散剤5とを有している。このように光拡散層3に光拡散剤5を分散させることにより、この光拡散層3を裏側から表側に透過する光線を均一に拡散させることができる。また、光拡散剤5によって光拡散層3の表面に微細な凹凸が略均一に形成されている。このように当該光拡散シート1の表面に形成される微細な凹凸により、光線をより良く拡散させることができる。なお、光拡散層3の厚み(光拡散剤5を除いたバインダー4部分の厚みを意味する)は特には限定されないが、例えば1μm以上30μm以下程度とされている。また、バインダー4は光線を透過させる必要があるので透明とされており、特に無色透明が好ましい。
【0029】
光拡散剤5は、光線を拡散させる性質を有する粒子であり、無機フィラーと有機フィラーに大別される。無機フィラーとしては、具体的には、シリカ、水酸化アルミニウム、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、硫化バリウム、マグネシウムシリケート、又はこれらの混合物を用いることができる。有機フィラーの具体的な材料としては、アクリル樹脂、アクリロニトリル樹脂、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリアクリロニトリル、ポリアミド等を用いることができる。中でも、透明性が高いアクリル樹脂が好ましく、ポリメチルメタクリレート(PMMA)が特に好ましい。
【0030】
光拡散剤5の形状は、特に限定されるものではなく、例えば球状、立方状、針状、棒状、紡錘形状、板状、鱗片状、繊維状などが挙げられ、中でも光拡散性に優れる球状のビーズが好ましい。
【0031】
光拡散剤5の平均粒子径の下限としては1μm、特に2μm、さらに5μmが好ましく、光拡散剤5の平均粒子径の上限としては50μm、特に20μm、さらに15μmが好ましい。これは、光拡散剤5の平均粒子径が上記範囲未満であると、光拡散剤5によって形成される光拡散層3表面の凹凸が小さくなり、光拡散シートとして必要な光拡散性を満たさないおそれがあり、逆に、光拡散剤5の平均粒子径が上記範囲を越えると、光拡散シート1の厚さが増大し、かつ、均一な拡散が困難になることからである。
【0032】
光拡散剤5の配合量(バインダー4の形成材料であるポリマー組成物中の基材ポリマー分100部に対する固形分換算の配合量)の下限としては10部、特に20部、さらに50部が好ましく、この配合量の上限としては500部、特に300部、さらに200部が好ましい。これは、光拡散剤5の配合量が上記範囲未満であると、光拡散性が不十分となってしまい、一方、光拡散剤5の配合量が上記範囲を越えると光拡散剤5を固定する効果が低下することからである。なお、プリズムシートの表面側に配設される所謂上用光拡散シートの場合、高い光拡散性を必要とされないため、光拡散剤5の配合量としては10部以上40部以下、特に10部以上30部以下が好ましい。
【0033】
バインダー4は、ポリマー組成物を架橋硬化させることで形成される。このポリマー組成物は、アルキル基を有するポリオールと微小無機充填剤とを含有しており、その他に例えば他のポリマー、可塑剤、硬化剤、分散剤、帯電防止剤、各種レベリング剤、紫外線吸収剤、抗酸化剤、粘性改質剤、潤滑剤、光安定化剤等が適宜配合されてもよい。
【0034】
上記シクロアルキル基を有するポリオールは、シクロアルキル基を有する重合性不飽和単量体を共重合することで得られる。このシクロアルキル基を有する重合性不飽和単量体とは、シクロアルキル基を分子内に少なくとも1つ有する重合性不飽和単量体である。このシクロアルキル基を有する重合性不飽和単量体としては特に限定されるものではなく、例えば下記化学式(3)で表される重合性不飽和単量体であることが好ましい。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0035】
【化5】
上記化学式(3)において、R1は、水素原子又は炭素数が1若しくは2の炭化水素基を表す。Zは、置換基を有してもよい炭素数が1以上36以下のシクロアルキル基を表す。上記炭素数1又は2の炭化水素基としては特に限定されず、例えば、メチル基、エチル基等が挙げられる。
【0036】
上記置換基としては特に限定されず、例えば、炭素数が1以上18以下の炭化水素基等が挙げられる。上記炭素数1〜18の炭化水素基としては特に限定されず、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基等が挙げられる。
【0037】
上記シクロアルキル基としては特に限定されず、例えば、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロノニル基、シクロデシル基、シクロウンデシル基、シクロドデシル基、シクロトリデシル基、シクロテトラデシル基、シクロペンタデシル基、シクロヘキサデシル基、シクロヘプタデシル基、シクロオクタデシル基等が挙げられる。
【0038】
上記化学式(3)で表される重合性不飽和単量体としては特に限定されず、例えば、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、メチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、tert−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、シクロドデシル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0039】
上記シクロアルキル基を有する重合性不飽和単量体の共重合割合としては5.0質量%以上97.9質量%以下、特に5.0質量%以上80.0質量%以下、さらに10.0質量%以上70.0質量%以下が好ましい。シクロアルキル基を有する重合性不飽和単量体の共重合割合が上記範囲より小さいと、塗膜の硬度、光沢、肉持感等の基本性能が向上しないおそれがあり、また重合性不飽和単量体を共重合してなるポリオールが極めて高度な耐候性を有する塗膜を形成させる作用を有しなくなるおそれがある。一方、シクロアルキル基を有する重合性不飽和単量体の共重合割合が上記範囲を超えると、重合性不飽和単量体を共重合してなるポリオールにおいて、シクロアルキル基を有する重合性不飽和単量体が共重合されることにより有することとなる作用と、それ以外の重合性不飽和単量体が共重合されることにより有することとなる作用とのバランスが悪くなるおそれがある。
【0040】
上記シクロアルキル基を有するポリオールの数平均分子量は1000以上500000以下であり、好ましくは5000以上100000以下である。また、その水酸基価は5以上300以下、好ましくは10以上200以下、さらに好ましくは20以上150以下である。
【0041】
また、ポリマー組成物の基材ポリマーとして用いられるポリオールとしては、ポリエステルポリオール、及び、水酸基含有不飽和単量体を含む単量体成分を重合して得られ、かつ、(メタ)アクリル単位等を有するアクリルポリオールが好ましい。かかるポリエステルポリオール又はアクリルポリオールを基材ポリマーとするバインダー4は耐候性が高く、光拡散層3の黄変等を抑制することができる。なお、このポリエステルポリオールとアクリルポリオールのいずれか一方を使用してもよく、両方を使用してもよい。
【0042】
なお、上記ポリエステルポリオール及びアクリルポリオール中の水酸基の個数は、1分子当たり2個以上であれば特に限定されないが、固形分中の水酸基価が10以下であると架橋点数が減少し、耐溶剤性、耐水性、耐熱性、表面硬度等の被膜物性が低下する傾向がある。
【0043】
微小無機充填剤を構成する無機物としては、特に限定されるものではなく、無機酸化物が好ましい。この無機酸化物は、金属元素が主に酸素原子との結合を介して3次元のネットワークを構成した種々の含酸素金属化合物と定義される。また無機酸化物を構成する金属元素としては、たとえば、元素周期律表II〜VI族から選ばれる元素が好ましく、元素周期律表III〜V族から選ばれる元素がさらに好ましい。その中でも、Si、Al、Ti及びZrから選択される元素が特に好ましく、金属元素がSiであるコロイダルシリカが、微小無機充填剤として最も好ましい。また微小無機充填剤の形状は、球状、針状、板状、鱗片状、破砕状等の任意の粒子形状でよく、特に限定されない。
【0044】
微小無機充填剤の平均粒子径の下限としては、5nmが好ましく、10nmが特に好ましい。一方、微小無機充填剤の平均粒子径の上限としては50nmが好ましく、25nmが特に好ましい。これは、微小無機充填剤の平均粒子径が上記範囲未満では、微小無機充填剤の表面エネルギーが高くなり、凝集等が起こりやすくなるためであり、逆に、平均粒子径が上記範囲を超えると、短波長の影響で白濁し、光拡散シート1の透明性を完全に維持することができなくなることからである。
【0045】
微小無機充填剤の基材ポリマー100部に対する配合量(無機物成分のみの配合量)の下限としては固形分換算で5部が好ましく、50部が特に好ましい。一方、微小無機充填剤の上記配合量の上限としては500部が好ましく、200部がより好ましく、100部が特に好ましい。これは、微小無機充填剤の配合量が上記範囲未満であると、光拡散シート1の耐熱性を十分に発現することができなくなってしまうおそれがあり、逆に、配合量が上記範囲を越えると、ポリマー組成物中への配合が困難になり、光拡散層3の光線透過率が低下するおそれがあることからである。
【0046】
微小無機充填剤としては、その表面に有機ポリマーが固定されたものを用いるとよい。このように有機ポリマー固定微小無機充填剤を用いることで、バインダー4中での分散性やバインダー4との親和性の向上が図られる。この有機ポリマーについては、その分子量、形状、組成、官能基の有無等に関して特に限定はなく、任意の有機ポリマーを使用することができる。また有機ポリマーの形状については、直鎖状、分枝状、架橋構造等の任意の形状のものを使用することができる。
【0047】
かかる有機ポリマーを構成する具体的な樹脂としては、例えば、(メタ)アクリル樹脂、ポリスチレン、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステルおよびこれらの共重合体やアミノ基、エポキシ基、ヒドロキシル基、カルボキシル基等の官能基で一部変性した樹脂等が挙げられる。中でも、(メタ)アクリル系樹脂、(メタ)アクリル−スチレン系樹脂、(メタ)アクリル−ポリエステル系樹脂等の(メタ)アクリル単位を含む有機ポリマーを必須成分とするものが被膜形成能を有し好適である。他方、上記ポリマー組成物の基材ポリマーであるポリオールと相溶性を有する樹脂が好ましく、従ってポリマー組成物に含まれるポリオールと同じ組成であるものが最も好ましい。
【0048】
なお、微小無機充填剤は、微粒子内に有機ポリマーを包含していてもよい。このことにより、微小無機充填剤のコアである無機物に適度な軟度および靱性を付与することができる。
【0049】
上記有機ポリマーにはアルコキシ基を含有するものを用いるとよく、その含有量としては有機ポリマーを固定した微小無機充填剤1g当たり0.01mmol以上50mmol以下が好ましい。かかるアルコキシ基により、バインダー4を構成するマトリックス樹脂との親和性や、バインダー4中での分散性を向上させることができる。
【0050】
ここでいうアルコキシ基は、微粒子骨格を形成する金属元素に結合したRO基を示す。このRは置換されていてもよいアルキル基であり、微粒子中のRO基は同一であっても異なっていてもよい。Rの具体例としては、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル等が挙げられる。微小無機充填剤を構成する金属と同一の金属アルコキシ基を用いるのが好ましく、微小無機充填剤がコロイダルシリカである場合には、シリコンを金属とするアルコキシ基を用いるのが好ましい。
【0051】
有機ポリマーを固定した微小無機充填剤中の有機ポリマーの含有率については、特に制限されるものではないが、微小無機充填剤を基準にして0.5質量%以上50質量%以下が好ましい。
【0052】
上述のように微小無機充填剤に固定する有機ポリマーとして水酸基を有するものを用い、バインダー4を構成するポリマー組成物中に水酸基と反応するような官能基を2個以上有する多官能イソシアネート化合物、メラミン化合物およびアミノプラスト樹脂から選ばれる少なくとも1種のものを含有するとよい。これにより、微小無機充填剤とバインダー4のマトリックス樹脂とが架橋構造で結合され、保存安定性、耐汚染性、可撓性、耐候性、保存安定性等が良好になり、さらに得られる被膜が光沢を有するものとなる。
【0053】
上記多官能イソシアネート化合物としては、脂肪族、脂環族、芳香族及びその他の多官能イソシアネート化合物やこれらの変性化合物を挙げることができる。多官能イソシアネート化合物の具体例としては、例えばトリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキシルメタンジイソシアネート、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネートのビウレット体、イソシアヌレート体等の3量体等;これらの多官能イソシアネート類とプロパンジオール、ヘキサンジオール、ポリエチレングリコール、トリメチロールプロパン等の多価アルコールとの反応により生成される2個以上のイソシアネート基が残存する化合物;これらの多官能イソシアネート化合物をエタノール、ヘキサノール等のアルコール類、フェノール、クレゾール等のフェノール性水酸基を有する化合物、アセトオキシム、メチルエチルケトキシム等のオキシム類、ε−カプロラクタム、γ−カプロラクタム等のラクタム類等のブロック剤で封鎖したブロックド多官能イソシアネート化合物などを挙げることができる。なお、上記多官能イソシアネート化合物は1種又は2種以上混合して使用できる。中でも、被膜の黄変色を防止するために、芳香環に直接結合したイソシアネート基を有しない無黄変性多官能イソシアネート化合物が好ましい。
【0054】
上記メラミン化合物としては、例えばジメチロールメラミン、トリメチロールメラミン、テトラメチロールメラミン、ペンタメチロールメラミン、ヘキサメチロールメラミン、イソブチルエーテル型メラミン、n−ブチルエーテル型メラミン、ブチル化ベンゾグアナミン等を挙げることができる。
【0055】
上記アミノプラスト樹脂としては、例えばアルキルエーテル化メラミン樹脂、尿素樹脂、ベンゾグアナミン樹脂等が挙げられ、これらのアミノプラスト樹脂の単体又は2種以上の混合物もしくは共縮合物を使用できる。このアルキルエーテル化メラミン樹脂とは、アミノトリアジンをメチロール化し、シクロヘキサノールまたは炭素数1〜6のアルカノールでアルキルエーテル化して得られるものであり、ブチルエーテル化メラミン樹脂、メチルエーテル化メラミン樹脂、メチルブチル混合メラミン樹脂が代表的なものである。また、硬化を促進させるためのスルホン酸系触媒、たとえば、パラトルエンスルホン酸およびそのアミン塩等を使用することができる。
【0056】
また、(a)上記ポリマー組成物中に帯電防止剤を含有する手段、又は(b)当該光拡散シート1の外面に帯電防止剤を塗工する手段により、当該光拡散シート1に帯電防止性を付与するとよい。このようにして帯電防止性を付与することで、ゴミ等の吸着やプリズムシート等との重合わせ作業の困難性を低減することができる。
【0057】
上記帯電防止剤としては、特に限定されるものではなく、例えばアルキル硫酸塩、アルキルリン酸塩等のアニオン系帯電防止剤、第四アンモニウム塩、イミダゾリン化合物等のカチオン系帯電防止剤、ポリエチレングリコール系、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアリン酸エステル、エタノールアミド類等のノニオン系帯電防止剤、ポリアクリル酸等の高分子系帯電防止剤などが用いられる。中でも、帯電防止効果が比較的大きく、疎水性が高い基材ポリマーを用いたバインダー4に対しても優れた帯電防止性を発現するカチオン系帯電防止剤が好ましい。また、このカチオン系帯電防止剤の中でも、上述の高疎水性のバインダー4に対する帯電防止性をより促進することができるアンモニウム塩、特に上記化学式(1)で示されるアンモニウム塩及び上記化学式(2)で示されるカチオン系帯電防止剤(ベタイン)が好ましい。
【0058】
上記化学式(1)のアンモニウム塩及び化学式(2)のカチオン系帯電防止剤において、R1で示すアルキル基の炭素数としては12以上18以下が好ましく、R2、R3、R4及びR5で示すアルキル基の炭素数としては1以上3以下が好ましく、nで示す繰返数としては2以上5以下が好ましい。かかる炭素数及び繰返数を上記数値範囲とすることで、特にバインダー4に高疎水性の基材ポリマーを用いた光拡散シート1に対し、高い帯電防止性を付与することができる。
【0059】
上記帯電防止剤をポリマー組成物中に配合する場合、帯電防止剤の基材ポリマー100部に対する配合量(固形分換算)の下限としては0.5部が好ましく、5部が特に好ましい。一方、帯電防止剤の上記配合量の上限としては50部、特に40部、さらに特に30部が好ましい。これは、帯電防止剤の配合量が上記下限より小さいと、上述の帯電防止効果を十分発揮することができないおそれがあり、逆に、帯電防止剤の上記配合量が上記上限を超えると、帯電防止剤の配合による全光線透過率の低下や強度の低下等の不都合が生じるおそれがあることからである。
【0060】
また、上記帯電防止剤を外面に塗工する場合、帯電防止剤の塗工量(固形分換算)の下限としては0.01g/m2が好ましく、0.05g/m2が特に好ましい。一方、上記塗工量の上限としては0.5g/m2が好ましく、0.1g/m2が特に好ましい。これは、帯電防止剤の塗工量が上記下限より小さいと、上述の帯電防止効果が小さくなるおそれがあり、逆に、帯電防止剤の塗工量が上記上限を超えると、帯電防止剤の塗工による全光線透過率の低下や厚みの増大等の不都合が生じるおそれがあることからである。
【0061】
上記ポリマー組成物中に硬化剤としてポリイソシアネートを含有するとよい。このポリイソシアネートは、ジイソシアネートを重合してなる2量体、3量体、4量体等の誘導体である。このポリイソシアネートの配合によってポリマー組成物の硬化反応速度が大きくなるため、微小無機充填剤の分散安定性に寄与するカチオン系帯電防止剤をポリマー組成物中に含有しても、カチオン系帯電防止剤による硬化反応速度の低下を十分補うことができ、さらに生産性を高めることができる。
【0062】
上記ポリイソシアネートとしては、キシレンジイソシアネート誘導体又はこのキシレンジイソシアネート誘導体と脂肪族ジイソシアネート誘導体との混合物が好ましい。このキシレンジイソシアネート誘導体は、ポリマー組成物の反応速度向上効果が大きく、また芳香族ジイソシアネート誘導体の中では熱や紫外線による黄変及び劣化が比較的小さいため、当該光拡散シート1の光線透過率の経時的低下を低減することができる。一方、脂肪族ジイソシアネート誘導体は、芳香族ジイソシアネート誘導体に比べて反応速度向上効果が小さいが、紫外線等による黄変、劣化等が格段に小さいため、キシレンジイソシアネート誘導体と混合することで、反応速度向上効果と黄変等の防止効果とをバランスよく達成することができる。
【0063】
この脂肪族ジイソシアネート誘導体としてはイソホロンジイソシアネート誘導体及びヘキサメチレンジイソシアネート誘導体が好ましい。かかるイソホロンジイソシアネート誘導体及びヘキサメチレンジイソシアネート誘導体は、脂肪族ジイソシアネート誘導体の中では硬化反応速度の向上作用が比較的大きく、上述の生産性及び耐熱性を促進することができる。
【0064】
上記ジイソシアネートの誘導体の型式としては、TMPアダクト型、イソシアヌレート型又はビュレット型が好ましい。これらの型式の誘導体によれば、上述の硬化反応速度を効果的に増大することができる。
【0065】
上記ポリマー組成物中の基材ポリマー100部に対する硬化剤(ポリイソシアネート)の配合量の下限としては10部が好ましく、15部が特に好ましい。一方、硬化剤の上記配合量の上限としては50部、特に40部、さらに特に35部が好ましい。このようにポリイソシアネートの配合量を上記範囲とすることで、上述のポリマー組成物の硬化反応速度向上作用を効果的に奏することができる。
【0066】
次に、当該光拡散シート1の製造方法について説明する。当該光拡散シート1の製造方法は、(a)バインダー4を構成するポリマー組成物に光拡散剤5を混合することで光拡散層用塗工液を製造する工程と、(b)この光拡散層用塗工液を基材層2の表面に塗工することで光拡散層3を積層する工程とを有する。
【0067】
当該光拡散シート1によれば、加工性が高いポリオールをバインダー4の基材ポリマーとして用いるため、塗工等の手段で容易に光拡散層3を形成することができる。また、このポリオールがシクロアルキル基を有していることから、バインダー4の疎水性(撥水性、耐水性)が高くなり、高温高湿条件下での当該光拡散シート1の耐撓み性、寸法安定性等が改善され、加えて光拡散層3の硬度、肉持感、耐溶剤性、耐候性等の塗膜基本性能が向上する。さらに、バインダー4中への微小無機充填剤の分散により、光拡散層3ひいては光拡散シート1の耐熱性を高めることができ、バインダー4の高い疎水性と相まって光拡散シート1の高温・高湿度下での撓みを格段に抑えることができる。
【0068】
図2の光拡散シート11は、基材層2と、この基材層2の表側に積層された光拡散層3と、基材層2の裏面に積層されたスティッキング防止層12とから構成されている。この基材層2及び光拡散層3は、図1に示された実施形態のものと同じであるため、同一番号を付して説明を省略する。従って、当該光拡散シート11も、上記光拡散シート1と同様の高い耐熱性を有している。
【0069】
スティッキング防止層12は、バインダー13と、このバインダー13中に分散するビーズ14とから構成されている。このバインダー13も、上記光拡散層3のバインダー4と同様のポリマー組成物(つまり、シクロアルキル基を有するポリオールと微小無機充填剤とを含有するポリマー組成物)を架橋硬化させることで形成される。また、ビーズ14の材料としては光拡散層3の光拡散剤5と同様のものが用いられる。なお、このスティッキング防止層12の厚み(ビーズ14を除いたバインダー13部分の厚み)は特には限定されないが、例えば1μm以上10μm以下程度とされている。
【0070】
このビーズ14の配合量は比較的少量とされ、ビーズ14は互いに離間してバインダー13中に分散し、ビーズ14の多くはその下端がバインダー13からごく少量突出している。そのため、この光拡散シート11を導光板と積層すると、突出したビーズ14の下端が導光板等の表面に当接し、光拡散シート11の裏面の全面が導光板等と当接することがない。これにより、光拡散シート11と導光板等とのスティッキングが防止され、液晶表示装置の画面の輝度ムラが抑えられる。
【0071】
当該光拡散シート11は、スティッキング防止層12のバインダー13を構成するポリマー組成物にもシクロアルキル基を有するポリオールと微小無機充填剤を含有するため、光拡散シート11の耐熱性、耐摩耗性、耐候性、耐汚染性等の被膜物性をさらに高めることができ、高温・高湿度下における撓みの発生を格段に抑えることができる。
【0072】
次に、光拡散シート11の製造方法を説明する。当該光拡散シート11の製造方法は、(a)バインダー4を構成するポリマー組成物に光拡散剤5を混合することで光拡散層用塗工液を製造する工程と、(b)この光拡散層用塗工液を基材層2の表面に塗工することで光拡散層3を積層する工程と、(c)バインダー13を構成するポリマー組成物にビーズ14を混合することでスティッキング防止層用塗工液を製造する工程と、(d)このスティッキング防止層用塗工液を基材層2の裏面に塗工することでスティッキング防止層12を積層する工程とを有する。
【0073】
従って、図3(a)に示すようなランプ21、導光板22、光拡散シート23及びプリズムシート24を備え、ランプ21から発せられる光線を分散させて表面側に導く液晶表示装置用のバックライトユニット20において、光拡散シート23として上記光拡散シート1、11を用いると、当該光拡散シート1、11が高い耐熱性、耐候性等の被膜物性を有するため、ランプ21による加熱や外部からの湿気及び紫外線照射に曝されても、撓みや黄変等を起こしにくく、その結果液晶表示装置の画面の輝度ムラや輝度の低下が抑えられる。
【0074】
なお、本発明の光拡散シートは上記実施形態に限定されるものではなく、例えば、バインダー4、13を形成するためのポリマー組成物中に微小無機充填剤が配合されていないものも可能であり、シクロアルキル基を有するポリオールによって高温・高湿度下での変形を低減することができる。
【0075】
【実施例】
以下、実施例に基づき本発明を詳述するが、この実施例の記載に基づいて本発明が限定的に解釈されるものではない。
【0076】
[実施例1〜4]
下記表1に示す共重合組成がS−1、S−2、S−3及びS−4のアクリルポリオール100部、イソシアネート(日本ポリウレタン工業(株)社の「コロネートHL」;固形分75%)14部、メチルエチルケトン82部及びトルエン82部からなるポリマー組成物中に、平均粒子径20μmのアクリルビーズ(積水化成品工業(株)社の「MBX−20」)150部を混合して塗工液を作製し、この塗工液を厚さ100μmの透明ポリエステル製の基材層の表面に17g/m2(固形分換算)塗工することで実施例1、実施例2、実施例3及び実施例4の光拡散シートを得た。
【0077】
[実施例5〜8]
上記ポリマー組成物中に平均粒子径が5nmのコロイダルシリカを500部配合した以外はそれぞれ上記実施例1〜4と同様にして実施例5〜8の光拡散シートを得た。
【0078】
[実施例9〜12]
上記ポリマー組成物中に平均粒子径が10nmのコロイダルシリカを200部配合した以外はそれぞれ上記実施例1〜4と同様にして実施例9〜12の光拡散シートを得た。
【0079】
[実施例13〜16]
上記ポリマー組成物中に平均粒子径が25nmのコロイダルシリカを50部配合した以外はそれぞれ上記実施例1〜4と同様にして実施例13〜16の光拡散シートを得た。
【0080】
[実施例17〜20]
上記ポリマー組成物中に平均粒子径が50nmのコロイダルシリカを10部配合した以外はそれぞれ上記実施例1〜4と同様にして実施例17〜20の光拡散シートを得た。
【0081】
[実施例21〜24]
上記ポリマー組成物中に平均粒子径が50nmのコロイダルシリカを200部配合した以外はそれぞれ上記実施例1〜4と同様にして実施例21〜24の光拡散シートを得た。
【0082】
[実施例25〜28]
上記ポリマー組成物中に平均粒子径が5nmのコロイダルシリカを100部配合した以外はそれぞれ上記実施例1〜4と同様にして実施例25〜28の光拡散シートを得た。
【0083】
[実施例29〜32]
上記ポリマー組成物中に平均粒子径が10nmのコロイダルシリカを100部配合した以外はそれぞれ上記実施例1〜4と同様にして実施例29〜32の光拡散シートを得た。
【0084】
[実施例33〜36]
上記ポリマー組成物中に平均粒子径が25nmのコロイダルシリカを100部配合した以外はそれぞれ上記実施例1〜4と同様にして実施例33〜36の光拡散シートを得た。
【0085】
[実施例37〜40]
上記ポリマー組成物中に平均粒子径が50nmのコロイダルシリカを100部配合した以外はそれぞれ上記実施例1〜4と同様にして実施例37〜40の光拡散シートを得た。
【0086】
[比較例]
下記表1に示す共重合組成がS−5のアクリルポリオールを用いた以外は上記実施例1と同様にして比較例の光拡散シートを得た。
【0087】
【表1】
【0088】
[特性の評価]
上記実施例1〜40の光拡散シート及び比較例の光拡散シートを用い、これらの光拡散シートの耐熱性を評価した。この耐熱性は、各光拡散シートをバックライトユニットに組込み、ランプを点灯させ、1時間、2時間、4時間、8時間、12時間及び24時間経過後における光拡散シートの撓みの有無及びその程度をバックライトユニットの輝度ムラの発生具合から判定し、
(1)輝度ムラが全くなく、撓みが全く発生していない場合を◎、
(2)輝度ムラが殆どなく、極微小な撓みしか発生していない場合を○、
(3)若干の輝度ムラがあり、微小撓みが発生している場合を△、
(4)輝度ムラがあり、小撓みが発生している場合を×、
(5)明確な輝度ムラがあり、中撓みが発生している場合を××、
(6)非常に明確な輝度ムラがあり、大きな撓みが発生している場合を×××
として評価した。その結果を下記表2に示す。
【0089】
【表2】
【0090】
上記表2に示すように、バインダーの基材ポリマーとしてシクロアルキル基を有しないアクリルポリオールを用いる比較例の光拡散シートと比較して、シクロアルキル基を有するアクリルポリオールを用いる実施例1〜40の光拡散シートは良好な耐熱性を示している。
【0091】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の光拡散シートによれば、耐熱性、熱的寸法安定性及び耐候性を格段に向上させることができ、その結果、ランプの発熱、湿気及び紫外線照射に起因する撓みや黄変等の発生を抑制することができる。また、当該光拡散シートを備えたバックライトユニットによれば、輝度ムラや輝度低下の発生を格段に低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る光拡散シートを示す模式的断面図である。
【図2】図1とは異なる形態の光拡散シートを示す模式的断面図である。
【図3】(a)は一般的なエッジライト型バックライトユニットを示す模式的斜視図、(b)は一般的な光拡散シートを示す模式的断面図である。
【符号の説明】
1 光拡散シート
2 基材層
3 光拡散層
4 バインダー
5 光拡散剤
11 光拡散シート
12 スティッキング防止層
13 バインダー
14 ビーズ
Claims (12)
- 透明な基材層と、この基材層の表面側に積層される光拡散層とを備え、この光拡散層がバインダー中に光拡散剤を有する光拡散シートであって、
上記バインダーが、シクロアルキル基を有するポリオールを含むポリマー組成物から形成されていることを特徴とする光拡散シート。 - 上記基材層の裏面側に積層されるスティッキング防止層をさらに備え、このスティッキング防止層がバインダー中にビーズを有しており、
このバインダーが、シクロアルキル基を有するポリオールを含むポリマー組成物から形成されている請求項1に記載の光拡散シート。 - 上記ポリマー組成物中に微小無機充填剤を分散含有する請求項1又は請求項2に記載の光拡散シート。
- 上記微小無機充填剤の表面に有機ポリマーが固定されている請求項3に記載の光拡散シート。
- 上記ポリオールとしてアクリルポリオール又はポリエステルポリオールが用いられている請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の光拡散シート。
- 上記ポリマー組成物中に帯電防止剤を含有する請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の光拡散シート。
- 上記光拡散層の表面及び/又はスティッキング防止層の裏面に帯電防止剤が塗工されている請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の光拡散シート。
- 上記帯電防止剤としてカチオン系帯電防止剤が用いられている請求項6又は請求項7に記載の光拡散シート。
- 上記ポリマー組成物中にポリイソシアネートを含有する請求項1から請求項10のいずれか1項に記載の光拡散シート。
- ランプから発せられる光線を分散させて表面側に導く液晶表示装置用のバックライトユニットにおいて、
請求項1から請求項11のいずれか1項に記載の光拡散シートを備えていることを特徴とする液晶表示装置用のバックライトユニット。
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