JP2013195814A - 光拡散素子 - Google Patents

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恒三 中村
Takehito Fuchita
岳仁 淵田
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博之 武本
Seiji Umemoto
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Abstract

【課題】ヘイズ値が高く、強い拡散性を有し、かつ、後方散乱が抑制された光拡散素子を提供すること。
【解決手段】 本発明の光拡散素子は、樹脂成分および超微粒子成分を含むマトリクスと、該マトリクス中に分散された光拡散性微粒子とを有し、該超微粒子成分の平均1次粒径が100nm以下であり、凝集した超微粒子成分を実質的に含まない。好ましい実施形態においては、前記光拡散性微粒子の平均1次粒径が1μm〜5μmであり、該光拡散性微粒子の重量平均粒径分布の変動係数が20%以下であり、かつ、該光拡散性微粒子が実質的に凝集していない。
【選択図】図1

Description

本発明は、光拡散素子に関する。
光拡散素子は、照明カバー、プロジェクションテレビのスクリーン、面発光装置(例えば、液晶表示装置)などに広く利用されている。近年では、光拡散素子は、液晶表示装置などの表示品位の向上、視野角特性の改善等への利用が進んでいる。光拡散素子としては、微粒子を樹脂シートなどのマトリクス中に分散させたものなどが提案されている(例えば、特許文献1参照)。しかし、このような従来の光拡散素子は、光拡散素子中の微粒子の多くが凝集しており、また、微粒子の粒径が均一ではないため、光拡散性が不十分であり、後方散乱も大きいという問題がある。
特許第3071538号
本発明は上記従来の課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、ヘイズ値が高く、強い拡散性を有し、かつ、後方散乱が抑制された光拡散素子を提供することにある。
本発明の光拡散素子は、樹脂成分および超微粒子成分を含むマトリクスと、該マトリクス中に分散された光拡散性微粒子とを有し、該超微粒子成分の平均1次粒径が100nm以下であり、
凝集した超微粒子成分を実質的に含まない。
好ましい実施形態においては、上記光拡散性微粒子の平均1次粒径が1μm〜5μmであり、該光拡散性微粒子の重量平均粒径分布の変動係数が20%以下であり、かつ、該光拡散性微粒子が実質的に凝集していない。
好ましい実施形態においては、上記超微粒子成分の平均1次粒径が30nm以下である。
好ましい実施形態においては、上記樹脂成分、前記超微粒子成分および前記光拡散性微粒子の屈折率が下記式(i)を満たし、該光拡散性微粒子の表面近傍に屈折率変調領域を有する:
|n−n|<|n−n|・・・(i)
式(i)中、nはマトリクスの樹脂成分の屈折率を表し、nはマトリクスの超微粒子成分の屈折率を表し、nは光拡散性微粒子の屈折率を表す。
本発明によれば、超微粒子成分をマトリクスに含有させることにより、マトリクスと光拡散性微粒子との屈折率差を大きくすることができ、ヘイズ値が高く、強い拡散性を有する光拡散素子を実現することができる。また、光拡散性微粒子の表面近傍に、屈折率が実質的に連続的に変化する屈折率変調領域が形成され得、その結果、マトリクスと光拡散性微粒子との界面の反射を抑えることができ、後方散乱を抑制することができる。このような効果は、超微粒子成分が小粒径であり、かつ、凝集した超微粒子成分を実質的に含まないことにより、顕著になる。具体的には、本発明の光拡散素子は、凝集した超微粒子成分の周辺に生じる極端な濃度勾配を要因とした、後方散乱の増大および光拡散に寄与する光の利用効率の低下を防止することができる。
さらに、均一な光拡散性微粒子を用い、該光拡散性微粒子が実質的に凝集していない状態で存在することにより、上記の効果がさらに顕著になるとともに、拡散せずに直進する光の透過を抑制することができる。
本発明の好ましい実施形態による製造方法により得られる光拡散素子におけるマトリクスの樹脂成分および光拡散性微粒子の分散状態を説明するための模式図である。 本発明の光拡散素子における光拡散性微粒子近傍を拡大して説明する模式図である。 本発明の光拡散素子における光拡散性微粒子中心部からマトリクスまでの屈折率変化を説明するための概念図である。 マトリクス中の超微粒子成分の面積比率を説明するための透過型電子顕微鏡画像である。 実施例1で得られた光拡散素子の断面を示す透過型顕微鏡写真である。
以下、本発明の好ましい実施形態について図面を参照しながら説明するが、本発明はこれらの具体的な実施形態には限定されない。
A.光拡散素子
A−1.全体構成
本発明の光拡散素子は、樹脂成分および超微粒子成分を含むマトリクスと、該マトリクス中に分散された光拡散性微粒子とを有する。本発明の光拡散素子は、マトリクスと光拡散性微粒子の屈折率差により、光拡散機能を発現する。図1は、本発明の好ましい実施形態による光拡散素子におけるマトリクスの樹脂成分および超微粒子成分、ならびに光拡散性微粒子の分散状態を説明するための模式図である。本発明の光拡散素子100は、樹脂成分11および平均1次粒径が100nm以下である超微粒子成分12を含むマトリクス10と、マトリクス10中に分散された光拡散性微粒子20とを有する。本発明の光拡散素子は、凝集した超微粒子成分を実質的に含まない。
好ましくは、図1および図2に示すように、光拡散性微粒子の表面近傍に屈折率変調領域30が形成されている。したがって、マトリクスは、好ましくは、光拡散性微粒子の表面近傍の屈折率変調領域30と、当該屈折率変調領域の外側(光拡散性微粒子から離れた側)の屈折率一定領域とを有する。屈折率変調領域30においては、屈折率が実質的に連続的に変化する。好ましくは、マトリクスにおける屈折率変調領域30以外の部分は、実質的には屈折率一定領域である。本明細書において「光拡散性微粒子の表面近傍」とは、光拡散性微粒子表面、表面付近の外部および表面付近の内部を包含する。すなわち、屈折率変調領域最内部は光拡散性微粒子の内部にあってもよい。
屈折率変調領域30においては、上記のように、屈折率が実質的に連続的に変化する。好ましくは、これに加えて、上記屈折率変調領域の最外部の屈折率と上記屈折率一定領域の屈折率とが実質的に同一である。言い換えれば、上記光拡散素子においては、屈折率変調領域から屈折率一定領域にかけて屈折率が連続的に変化し、好ましくは光拡散性微粒子から屈折率一定領域にかけて屈折率が連続的に変化する(図3)。好ましくは、当該屈折率変化は、図3に示すように滑らかである。すなわち、屈折率変調領域と屈折率一定領域との境界において、屈折率変化曲線に接線が引けるような形状で変化する。好ましくは、屈折率変調領域において、屈折率変化の勾配は、上記光拡散性微粒子から遠ざかるにつれて大きくなる。本発明の光拡散素子によれば、光拡散性微粒子とマトリクスの樹脂成分と超微粒子成分とを適切に選択することにより、実質的に連続的な屈折率変化を実現することができる。その結果、マトリクス10(実質的には、屈折率一定領域)と光拡散性微粒子20との屈折率差を大きくしても、マトリクス10と光拡散性微粒子20との界面の反射を抑えることができ、後方散乱を抑制することができる。さらに、屈折率一定領域では、光拡散性微粒子20とは屈折率が大きく異なる超微粒子成分12の重量濃度が相対的に高くなるので、マトリクス10(実質的には、屈折率一定領域)と光拡散性微粒子20との屈折率差を大きくすることができる。その結果、薄膜であっても高いヘイズ(強い拡散性)を実現することができる。本明細書において「屈折率が実質的に連続的に変化する」とは、屈折率変調領域において少なくとも光拡散性微粒子から屈折率一定領域まで屈折率が実質的に連続的に変化すればよいことを意味する。したがって、例えば、光拡散性微粒子と屈折率変調領域との界面、および/または、屈折率変調領域と屈折率一定領域との界面において所定の範囲内(例えば、屈折率差が0.05以下)の屈折率ギャップが存在しても、当該ギャップは許容され得る。
上記屈折率変調領域30の厚み(屈折率変調領域最内部から屈折率変調領域最外部までの距離)は、一定であってもよく(すなわち、屈折率変調領域が光拡散性微粒子の周囲に同心球状に拡がってもよく)、光拡散性微粒子表面の位置によって厚みが異なっていてもよい(例えば、金平糖の外郭形状のようになっていてもよい)。
上記屈折率変調領域30の平均厚みは、好ましくは0.01μm〜0.6μmであり、より好ましくは0.03μm〜0.5μmであり、さらに好ましくは0.04μm〜0.4μmであり、特に好ましくは0.05μm〜0.4μmである。上記平均厚みは、屈折率変調領域30の厚みが光拡散性微粒子表面の位置によって異なる場合の平均厚みであり、厚みが一定である場合にはその厚みである。
上記のように、マトリクス10は、樹脂成分11および超微粒子成分12を含む。好ましくは、上記屈折率変調領域30は、マトリクス10中の超微粒子成分12の分散濃度の実質的な勾配により形成されている。具体的には、屈折率変調領域30においては、光拡散性微粒子20から遠ざかるにつれて、超微粒子成分12の分散濃度(代表的には、重量濃度で規定される)が高くなる(必然的に、樹脂成分11の重量濃度が低くなる)。言い換えれば、屈折率変調領域30における光拡散性微粒子20の最近接領域には、超微粒子成分12が相対的に低濃度で分散しており、光拡散性微粒子20から遠ざかるにつれて超微粒子成分12の濃度が増大する。例えば、透過型電子顕微鏡(TEM)画像によるマトリクス10中の超微粒子成分12の面積比率は、光拡散性微粒子20に近接する側では小さく、マトリクス10に近接する側では大きく、当該面積比率は光拡散性微粒子側からマトリクス側(屈折率一定領域側)に実質的な勾配を形成しながら変化する。その代表的な分散状態を表すTEM画像を図4に示す。本明細書において、「透過型電子顕微鏡画像によるマトリクス中の超微粒子成分の面積比率」とは、光拡散性微粒子の直径を含む断面の透過型電子顕微鏡画像において、所定範囲(所定面積)のマトリクスに占める超微粒子成分の面積の比率をいう。当該面積比率は、超微粒子成分の3次元的な分散濃度(実際の分散濃度)に対応する。当該超微粒子成分の面積比率は、任意の適切な画像解析ソフトにより求めることができる。なお、上記面積比率は、代表的には、超微粒子成分の各粒子間の平均最短距離に対応する。具体的には、超微粒子成分の各粒子間の平均最短距離は、屈折率変調領域においては光拡散性微粒子から遠ざかるにつれて短くなり、屈折率一定領域において一定となる(例えば、平均最短距離は、光拡散性微粒子の最近接領域では3nm〜100nm程度であり、屈折率一定領域においては1nm〜20nmである)。平均最短距離は、図4のような分散状態のTEM画像を二値化し、例えば画像解析ソフト「A像くん」(旭化成エンジニアリング社製)の重心間距離法を用いて算出することができる。以上のように、本発明の製造方法によれば、超微粒子成分12の分散濃度の実質的な勾配を利用して光拡散性微粒子の表面近傍に屈折率変調領域30を形成することができるので、煩雑な製造方法でGRIN微粒子を製造して当該GRIN微粒子を分散させる場合に比べて、格段に簡便な手順で、かつ、格段に低コストで光拡散素子を製造することができる。さらに、超微粒子成分の分散濃度の実質的な勾配を利用して屈折率変調領域を形成することにより、屈折率変調領域30と屈折率一定領域との境界において屈折率を滑らかに変化させることができる。さらに、樹脂成分および光拡散性微粒子と屈折率が大きく異なる超微粒子成分を用いることにより、光拡散性微粒子とマトリクス(実質的には、屈折率一定領域)との屈折率差を大きく、かつ、屈折率変調領域の屈折率勾配を急峻にすることができる。
上記屈折率変調領域(実質的には、上記のような超微粒子成分の分散濃度の実質的な勾配)は、マトリクスの樹脂成分および超微粒子成分ならびに光拡散性微粒子の構成材料、ならびに化学的および熱力学的特性を適切に選択することにより形成することができる。例えば、樹脂成分および光拡散性微粒子を同系の材料(例えば有機化合物同士)で構成し、超微粒子成分を樹脂成分および光拡散性微粒子とは異なる系の材料(例えば無機化合物)で構成することにより、屈折率変調領域を良好に形成することができる。さらに、例えば、樹脂成分および光拡散性微粒子を同系材料の中でも相溶性の高い材料同士で構成することが好ましい。屈折率変調領域の厚みおよび屈折率勾配は、マトリクスの樹脂成分および超微粒子成分ならびに光拡散性微粒子の化学的および熱力学的特性を調整することにより制御することができる。なお、本明細書において「同系」とは、化学構造や特性が同等または類似であることをいい、「異なる系」とは、同系以外のものをいう。同系か否かは、基準の選択の仕方によって異なり得る。例えば、有機か無機かを基準にした場合、有機化合物同士は同系の化合物であり、有機化合物と無機化合物とは異なる系の化合物である。ポリマーの繰り返し単位を基準にした場合、例えばアクリル系ポリマーとエポキシ系ポリマーとは有機化合物同士であるにもかかわらず異なる系の化合物であり、周期律表を基準にした場合、アルカリ金属と遷移金属とは無機元素同士であるにもかかわらず異なる系の元素である。
上記光拡散素子は、ヘイズ値が高ければ高いほど好ましく、具体的には、好ましくは70%以上であり、より好ましくは90%〜99%であり、さらに好ましくは92%〜99.5%であり、さらに好ましくは95%〜99.5%であり、特に好ましくは97%〜99.5%であり、最も好ましくは98.6%〜99.5%である。ヘイズ値が70%以上であることにより、コリメートバックライトフロント拡散システムにおけるフロント光拡散素子として好適に用いることができる。なお、コリメートバックライトフロント拡散システムとは、液晶表示装置において、コリメートバックライト光(一定方向に集光された、輝度半値幅の狭いバックライト光)を用い、上側偏光板の視認側にフロント光拡散素子を設けたシステムをいう。
上記光拡散素子の拡散特性は、光拡散半値角で示すならば、好ましくは10°〜150°(片側5°〜75°)であり、より好ましくは10°〜100°(片側5°〜50°)であり、さらに好ましくは30°〜80°(片側15°〜40°)である。
上記光拡散素子に平行光線を垂直に入射させた際、入射光に平行な光の透過率は、好ましくは2%以下であり、より好ましくは1%以下である。本発明においては凝集した超微粒子成分を実質的に含まないため、光拡散性微粒子および屈折率変調領域の影響を受けずに透過する光を少なくすることができ、入射光が拡散されずに直進することを防止することができる。さらに、光拡散性微粒子を実質的に凝集していない状態で存在させることにより、上記効果はより顕著になる。
上記光拡散素子の厚みは、目的や所望の拡散特性に応じて適切に設定され得る。具体的には、上記光拡散素子の厚みは、好ましくは4μm〜50μm、より好ましくは4μm〜20μmである。本発明によれば、このように非常に薄い厚みにもかかわらず、上記のような非常に高いヘイズ値を有し、かつ、平滑性に優れる光拡散素子が得られ得る。
上記光拡散素子は、液晶表示装置に好適に用いられ、コリメートバックライトフロント拡散システムに特に好適に用いられる。上記光拡散素子は、単独でフィルム状または板状部材として提供してもよく、任意の適切な基材や偏光板に貼り付けて複合部材として提供してもよい。また、光拡散素子の上に反射防止層が積層されてもよい。
A−2.マトリクス
上記のとおり、マトリクス10は、好ましくは樹脂成分11および超微粒子成分12を含む。上記のように、ならびに、図1および図2に示すように、超微粒子成分12は、好ましくは、光拡散性微粒子20の表面近傍に屈折率変調領域30を形成するようにして、樹脂成分11に分散している。
A−2−1.樹脂成分
樹脂成分11は、本発明の効果が得られる限りにおいて、任意の適切な材料で構成される。好ましくは、上記のように、樹脂成分11は、光拡散性微粒子と同系の化合物であってかつ超微粒子成分とは異なる系の化合物で構成される。これにより、光拡散性微粒子の表面近傍に屈折率変調領域を良好に形成することができる。さらに好ましくは、樹脂成分11は、光拡散性微粒子と同系の中でも相溶性の高い化合物で構成される。これにより、所望の屈折率勾配を有する屈折率変調領域を形成することができる。より詳細には、樹脂成分は、光拡散性微粒子の近傍においては、局所的には、超微粒子成分と均一溶解もしくは分散している状態よりも、むしろ、樹脂成分のみで光拡散性微粒子を取り囲む方が、系全体のエネルギーが安定する場合が多い。その結果、樹脂成分の重量濃度は、光拡散性微粒子の最近接領域において、マトリクス全体における樹脂成分の平均重量濃度よりも高く、光拡散性微粒子から遠ざかるにつれて低くなる。したがって、光拡散性微粒子の表面近傍に屈折率変調領域を良好に形成することができる。
上記樹脂成分は、好ましくは有機化合物で構成され、より好ましくは電離線硬化型樹脂で構成される。電離線硬化型樹脂は、塗膜の硬度に優れている。電離線としては、例えば、紫外線、可視光、赤外線、電子線が挙げられる。好ましくは紫外線であり、したがって、樹脂成分は、特に好ましくは紫外線硬化型樹脂で構成される。紫外線硬化型樹脂としては、例えば、アクリレート樹脂(エポキシアクリレート、ポリエステルアクリレート、アクリルアクリレート、エーテルアクリレート)などのラジカル重合型モノマーおよび/またはオリゴマーから形成される樹脂が挙げられる。アクリレート樹脂を構成するモノマー成分(前駆体)の分子量は、好ましくは200〜700である。アクリレート樹脂を構成するモノマー成分(前駆体)の具体例としては、ペンタエリスリトールトリアクリレート(PETA:分子量298)、ネオペンチルグリコールジアクリレート(NPGDA:分子量212)、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA:分子量632)、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート(DPPA:分子量578)、トリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA:分子量296)が挙げられる。前駆体には、必要に応じて、開始剤を添加してもよい。開始剤としては、例えば、UVラジカル発生剤(BASFジャパン社製イルガキュア907、同127、同192など)、過酸化ベンゾイルが挙げられる。上記樹脂成分は、上記電離線硬化型樹脂以外に別の樹脂成分を含んでいてもよい。別の樹脂成分は、電離線硬化型樹脂であってもよく、熱硬化性樹脂であってもよく、熱可塑性樹脂であってもよい。別の樹脂成分の代表例としては、脂肪族系(例えば、ポリオレフィン)樹脂、ウレタン系樹脂が挙げられる。別の樹脂成分を用いる場合、その種類や配合量は、上記屈折率変調領域が良好に形成されるよう調整される。
上記マトリクスの樹脂成分および光拡散性微粒子は、好ましくは、それらの屈折率が下記式(1)を満たす:
0<|n−n|・・・(1)
式(1)中、nはマトリクスの樹脂成分の屈折率を表し、nは光拡散性微粒子の屈折率を表す。|n−n|は、好ましくは0.01〜0.10であり、さらに好ましくは0.01〜0.06であり、特に好ましくは0.02〜0.06である。|n−n|が0.01未満であると、上記屈折率変調領域が形成されない場合がある。|n−n|が0.10を超えると、後方散乱が増大するおそれがある。
上記マトリクスの樹脂成分、超微粒子成分および光拡散性微粒子は、好ましくは、その屈折率が下記式(2)を満たす:
0<|n−n|<|n−n|・・・(2)
式(2)において、nおよびnは上記のとおりであり、nは超微粒子成分の屈折率を表す。|n−n|は、好ましくは0.10〜1.50であり、さらに好ましくは0.20〜0.80である。|n−n|が0.10未満であると、ヘイズ値が90%以下となる場合が多く、その結果、液晶表示装置に組み込んだ場合に光源からの光を十分に拡散できず、視野角が狭くなるおそれがある。|n−n|が1.50を超えると、後方散乱が増大するおそれがある。
各成分の屈折率が上記(1)および(2)の関係にあれば、高いヘイズ値を維持しつつ、後方散乱が抑制された光拡散素子を得ることができる。
樹脂成分の屈折率は、好ましくは1.40〜1.60である。
上記樹脂成分の配合量は、マトリクス100重量部に対して、好ましくは10重量部〜80重量部であり、より好ましくは20重量部〜80重量部であり、さらに好ましくは20重量部〜65重量部であり、特に好ましくは45重量部〜65重量部である。
上記樹脂成分は、上記電離線硬化型樹脂以外に別の樹脂成分を含んでいてもよい。別の樹脂成分は、電離線硬化型樹脂であってもよく、熱硬化性樹脂であってもよく、熱可塑性樹脂であってもよい。別の樹脂成分の代表例としては、脂肪族系(例えば、ポリオレフィン)樹脂、ウレタン系樹脂が挙げられる。別の樹脂成分を用いる場合、その種類や配合量は、上記屈折率変調領域が良好に形成されるよう調整される。
A−2−2.超微粒子成分
超微粒子成分12は、上記のように、好ましくは上記樹脂成分および後述の光拡散性微粒子とは異なる系の化合物で構成され、より好ましくは無機化合物で構成される。好ましい無機化合物としては、例えば、金属酸化物、金属フッ化物が挙げられる。金属酸化物の具体例としては、酸化ジルコニウム(ジルコニア)(屈折率:2.19)、酸化アルミニウム(屈折率:1.56〜2.62)、酸化チタン(屈折率:2.49〜2.74)、酸化ケイ素(屈折率:1.25〜1.46)が挙げられる。金属フッ化物の具体例としては、フッ化マグネシウム(屈折率:1.37)、フッ化カルシウム(屈折率:1.40〜1.43)が挙げられる。これらの金属酸化物および金属フッ化物は、光の吸収が少ない上に、電離線硬化型樹脂や熱可塑性樹脂などの有機化合物では発現が難しい屈折率を有しているので、光拡散性微粒子との界面から離れるにつれて超微粒子成分の重量濃度が相対的に高くなることにより、屈折率を大きく変調させることができる。光拡散性微粒子とマトリクスとの屈折率差を大きくすることにより、薄膜であっても高ヘイズ(高い光拡散性)を実現でき、かつ、屈折率変調領域が形成されるので後方散乱防止の効果も大きい。特に好ましい無機化合物は、酸化ジルコニウムである。
上記超微粒子成分もまた、上記式(1)および(2)を満足することが好ましい。また、好ましくは、上記樹脂成分、上記超微粒子成分および上記光拡散性微粒子の屈折率は、下記式(3)を満足する。上記樹脂成分、上記超微粒子成分および上記光拡散性微粒子の屈折率がこのような関係にあれば、高いヘイズ値を維持しつつ、後方散乱が抑制された光拡散素子を得ることができる。
|n−n|<|n−n|・・・(3)
上記超微粒子成分の屈折率は、好ましくは1.40以下または1.60以上であり、さらに好ましくは1.40以下または1.70〜2.80であり、特に好ましくは1.40以下または2.00〜2.80である。屈折率が1.40を超えまたは1.60未満であると、光拡散性微粒子とマトリクスとの屈折率差が不十分となり、十分な光拡散性が得られないおそれがあり、また、光拡散素子がコリメートバックライトフロント拡散システムを採用する液晶表示装置に用いられた場合に、コリメートバックライトからの光を十分に拡散できず視野角が狭くなるおそれがある。
上記超微粒子成分の平均1次粒径の上限は、100nmであり、好ましくは80nmであり、より好ましくは60nmであり、さらに好ましくは30nmである。上記超微粒子成分の平均1次粒径の下限は、好ましくは10nmであり、より好ましくは15nmである。このように、光の波長より小さい平均粒径の超微粒子成分を用いることにより、超微粒子成分と樹脂成分との間に幾何光学的な反射、屈折、散乱が生じず、光学的に均一なマトリクスを得ることができる。その結果、光学的に均一な光拡散素子を得ることができる。
上記光拡散素子は、凝集した超微粒子成分を実質的に含まない。凝集した超微粒子成分を実質的に含まないことにより、ヘイズ値が高く、強い拡散性を有する光拡散素子を得ることができる。本明細書において「凝集した超微粒子成分を実質的に含まない」とは、1次粒子として存在する超微粒子のみを含む場合のみならず、粒径が1次粒径に十分に近い超微粒子成分をさらに含む場合、および本発明の効果が得られる範囲内で微量の凝集した超微粒子成分をさらに含む場合を包含する。「粒径が1次粒径に十分に近い超微粒子成分」とは、粒径が平均1次粒径の10倍以下(好ましくは8倍以下、より好ましくは5倍以下、さらに好ましくは3倍以下)である2次粒子として存在する超微粒子成分をいう。なお、本明細書において、「粒径が1次粒径に十分に近い」ことを「実質的に凝集していない」ともいう。また、光拡散素子中の超微粒子成分の粒径および平均粒径は、透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて、光拡散素子の断面を観察することにより、測定することができる。
上記のように、上記光拡散素子は、本発明の効果が得られる範囲内で、微量の凝集した超微粒子成分を含み得る。微量の凝集した超微粒子成分を含む光拡散素子とは、具体的には、例えば、透過型電子顕微鏡(TEM)における所定の測定視野(直接倍率×1,200、MAGNIFICATION×10,000(13.9μm×15.5μm))において、マトリクス中で超微粒子成分が存在しないために観察される白点(すなわち、当該測定視野における、光拡散性微粒子由来の白い部分以外の白点)の数が10個未満の光拡散素子をいう。当該白点は、超微粒子成分の疎密(すなわち、凝集)を要因として生じるものであり、少なければ少ないほど好ましい。当該白点の数は、好ましくは8個未満であり、より好ましくは5個未満であり、さらに好ましくは3個未満である。最も好ましくは、当該白点の数は0個である。言い換えれば、上記超微粒子成分は、実質的に凝集していないことが好ましく、1次粒子として存在することがさらに好ましい。
好ましくは、上記超微粒子成分は、表面改質がなされている。表面改質を行うことにより、超微粒子成分を樹脂成分中に良好に分散させることができ、かつ、上記屈折率変調領域を良好に形成することができる。表面改質手段としては、本発明の効果が得られる限りにおいて任意の適切な手段が採用され得る。代表的には、表面改質は、超微粒子成分の表面に表面改質剤を塗布して表面改質剤層を形成することにより行われる。好ましい表面改質剤の具体例としては、シラン系カップリング剤、チタネート系カップリング剤等のカップリング剤、脂肪酸系界面活性剤等の界面活性剤が挙げられる。このような表面改質剤を用いることにより、樹脂成分と超微粒子成分との濡れ性を向上させ、樹脂成分と超微粒子成分との界面を安定化させ、超微粒子成分を樹脂成分中に良好に分散させ、かつ、屈折率変調領域を良好に形成することができる。
上記塗工液における上記超微粒子成分の配合量は、形成されるマトリクス100重量部に対して、好ましくは10重量部〜70重量部であり、より好ましくは35重量部〜55重量部である。
A−3.光拡散性微粒子
光拡散性微粒子20もまた、本発明の効果が得られる限りにおいて、任意の適切な材料で構成される。好ましくは、上記のように、光拡散性微粒子20は、上記マトリクスの樹脂成分と同系の化合物で構成される。例えば、マトリクスの樹脂成分を構成する電離線硬化型樹脂がアクリレート系樹脂である場合には、光拡散性微粒子もまたアクリレート系樹脂で構成されることが好ましい。より具体的には、マトリクスの樹脂成分を構成するアクリレート系樹脂のモノマー成分が例えば上記のようなPETA、NPGDA、DPHA、DPPAおよび/またはTMPTAである場合には、光拡散性微粒子を構成するアクリレート系樹脂は、好ましくは、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリメチルアクリレート(PMA)、およびこれらの共重合体、ならびにそれらの架橋物である。PMMAおよびPMAとの共重合成分としては、ポリウレタン、ポリスチレン(PS)、メラミン樹脂が挙げられる。特に好ましくは、光拡散性微粒子は、PMMAで構成される。マトリクスの樹脂成分および超微粒子成分との屈折率や熱力学的特性の関係が適切であるからである。さらに、好ましくは、光拡散性微粒子は、架橋構造(三次元網目構造)を有する。架橋構造の粗密(架橋度)を調整することにより、光拡散性微粒子表面において微粒子を構成するポリマー分子の自由度を制御することができるので、超微粒子成分の分散状態を制御することができ、結果として、所望の屈折率勾配を有する屈折率変調領域を形成することができる。
好ましくは、上記樹脂成分が光拡散性微粒子に浸透し、光拡散素子中において光拡散性微粒子中に樹脂成分が含まれている。光拡散性微粒子中に樹脂成分が浸透していれば、光拡散性微粒子の表面近傍内部に屈折率変調領域を形成させることができ、ヘイズ値が高く、強い拡散性を有し、かつ、後方散乱が抑制された光拡散素子を得ることができる。また、平均粒径の大きい光拡散性微粒子を得ることができる。光拡散性微粒子中の樹脂成分の浸透範囲は、光拡散素子中の光拡散性微粒子の平均粒径に対して、好ましくは80%以上であり、より好ましくは85%以上であり、さらに好ましくは85%〜100%である。このような範囲であれば、濃度変調領域が良好に形成されて、後方散乱を抑制することができる。浸透範囲は、樹脂成分および光拡散性微粒子の材料、光拡散性微粒子の架橋密度、製造時に使用する有機溶剤の種類、製造時における静置時間、静置温度等を調整することにより制御することができる。
上記光拡散素子中の光拡散性微粒子の平均1次粒径は、好ましくは1μm〜5μmであり、より好ましくは2μm〜5μmであり、さらに好ましくは2.5μm〜4μmである。このような範囲であれば、ヘイズ値が高く、強い拡散性を有し、かつ、直進光の透過を抑制し得る光拡散素子を得ることができる。本明細書において、「光拡散素子中の光拡散性微粒子」とは、光拡散性微粒子が製造工程において膨潤する場合は、膨潤後の光拡散性微粒子、すなわち、仕込み時よりも粒径が増大した光拡散性微粒子を意味する。なお、光拡散素子中の光拡散性微粒子の平均粒径は、透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて、光拡散素子の断面を観察することにより、測定することができる。
好ましくは、上記光拡散素子中の光拡散性微粒子は、実質的に凝集していない。実質的に凝集していない状態で光拡散性微粒子が存在することにより、ヘイズ値が高く、強い拡散性を有し、かつ、直進光の透過を抑制し得る光拡散素子を得ることができる。本明細書において「実質的に凝集していない」とは、粒径が1次粒径に十分に近い状態をいう。したがって、「実質的に凝集していない」粒子とは、個々に分離した粒子(単一粒子)のみならず、本発明の効果が得られる範囲内で複数個寄せ集まった状態の粒子も含む。具体的には、「実質的に凝集していない」光拡散性微粒子とは、1次粒子として存在する光拡散性微粒子、および粒径が平均1次粒径の2.5倍以下である2次粒子として存在する光拡散性微粒子を含む。光拡散素子中の光拡散性微粒子の粒径は、好ましくは平均1次粒径の2倍以下であり、より好ましくは1.5倍以下である。
上記光拡散素子中の光拡散性微粒子の平均粒径は、好ましくは、光拡散素子の厚みの1/2以下(例えば、1/2〜1/20)である。光拡散素子の厚みに対してこのような比率を有する平均粒径であれば、光拡散性微粒子を光拡散素子の厚み方向に複数配列することができるので、入射光が光拡散素子を通過する間に当該光を多重に拡散させることができ、その結果、十分な光拡散性が得られ得る。
上記光拡散素子中の光拡散性微粒子の重量平均粒径分布の標準偏差は、好ましくは1.0μm以下であり、より好ましくは0.5μm以下であり、特に好ましくは0.1μm以下である。光拡散性微粒子の重量平均粒径分布の標準偏差は、小さければ小さいほど好ましいが、実用的な下限値は、例えば0.01μmである。また、拡散性微粒子の重量平均粒径分布は単分散であることが好ましく、例えば、重量平均粒径分布の変動係数((粒径の標準偏差)×100/(平均粒径))が20%以下であることが好ましく、15%以下であることがより好ましい。拡散性微粒子の重量平均粒径分布の変動係数は、小さければ小さいほど好ましいが、実用的な下限値は、例えば5%である。重量平均粒径に対して粒径の小さい光拡散性微粒子が多数混在していると、拡散性が増大しすぎて後方散乱を良好に抑制できない場合がある。重量平均粒径に対して粒径の大きい光拡散性微粒子が多数混在していると、光拡散素子の厚み方向に複数配列することができず、多重拡散が得られない場合があり、その結果、光拡散性が不十分となる場合がある。
上記光拡散性微粒子の形状としては、目的に応じて任意の適切な形状が採用され得る。具体例としては、真球状、燐片状、板状、楕円球状、不定形が挙げられる。多くの場合、上記光拡散性微粒子として真球状微粒子が用いられ得る。
上記光拡散性微粒子もまた、上記式(1)および(2)を満足することが好ましい。上記光拡散性微粒子の屈折率は、好ましくは1.30〜1.70であり、より好ましくは1.40〜1.60である。
A−4.光拡散素子の製造方法
本発明の一つの実施形態による光拡散素子の製造方法は、マトリクスの樹脂成分の前駆体(モノマー)と超微粒子成分と光拡散性微粒子とを有機溶剤中に溶解または分散させた塗工液を基材に塗布する工程(工程Aとする)と、該基材に塗布された塗工液を乾燥させる工程(工程Bとする)と、上記前駆体を重合させる工程(工程Cとする)を含む。
(工程A)
樹脂成分の前駆体、超微粒子成分、および光拡散性微粒子については、それぞれ、上記A−2−1項、A−2−2項およびA−3項で説明したとおりである。代表的には、上記塗工液は前駆体および揮発性溶剤中に超微粒子成分および光拡散性微粒子が分散した分散体である。超微粒子成分および光拡散性微粒子を分散させる手段としては、攪拌機による分散処理が好ましく用いられる。超微粒子成分および光拡散性微粒子に十分なシェアがかかり、実質的に凝集していない超微粒子成分および光拡散性微粒子が得られ得るからである。攪拌機としては、ディスパー型攪拌機が好ましく用いられる。撹拌時間は、好ましくは15分以上、より好ましくは15分〜60分である。分散処理は、塗工液を基材に塗布する直前に行うことが好ましい。
一つの実施形態においては、塗工液は、あらかじめ有機溶剤中で光拡散性微粒子を混合して光拡散性微粒子を膨潤させた後、樹脂成分の前駆体および超微粒子成分を当該有機溶剤中に添加して、調整され得る。あらかじめ有機溶剤中で光拡散性微粒子を混合して光拡散性微粒子を膨潤させれば、塗工液調製後すぐに、すなわち静置することなく、後工程に供することができる。その結果、上記光拡散性微粒子および超微粒子成分が凝集することを防止することができる。
上記有機溶剤の具体例としては、酢酸ブチル、メチルイソブチルケトン、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、2−ブタノン(メチルエチルケトン)、シクロペンタノン、トルエン、イソプロピルアルコール、n−ブタノール、シクロペンタン、水が挙げられる。
好ましくは、上記有機溶剤の沸点は、好ましくは70℃以上であり、より好ましくは100℃以上であり、特に好ましくは110℃以上であり、最も好ましくは120℃以上である。比較的揮発性の低い有機溶剤を用いることにより、有機溶剤を乾燥させる際に、急な揮発を防止することができ、上記光拡散性微粒子および超微粒子成分が凝集することを防止することができる。
上記塗工液は、目的に応じて任意の適切な添加剤をさらに含有し得る。例えば、超微粒子成分を良好に分散させるために、分散剤が好適に用いられ得る。添加剤の他の具体例としては、紫外線吸収剤、レベリング剤、消泡剤が挙げられる。
上記塗工液における樹脂成分の前駆体、の配合量は、A−2−1項で説明したとおりであり、超微粒子成分の配合量は、A−2−2項で説明したとおりである。光拡散性微粒子の配合量の上限は、マトリクス100重量部に対して、好ましくは40重量部であり、さらに好ましくは30重量部であり、特に好ましくは20重量部である。光拡散性微粒子の配合量の下限は、マトリクス100重量部に対して、好ましくは5重量部であり、より好ましくは10重量部であり、さらに好ましくは15重量部である。
塗工液の固形分濃度は、好ましくは10重量%〜70重量%程度となるように調整され得る。このような固形分濃度であれば、塗工容易な粘度を有する塗工液が得られ得る。
上記基材としては、本発明の効果が得られる限りにおいて任意の適切なフィルムが採用され得る。具体例としては、トリアセチルセルロース(TAC)フィルム、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、ポリプロピレン(PP)フィルム、ナイロンフィルム、アクリルフィルム、ラクトン変性アクリルフィルムなどが挙げられる。上記基材は、必要に応じて、易接着処理などの表面改質がなされていてもよく、滑剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤などの添加剤が含まれていてもよい。
上記塗工液の基材への塗布方法としては、任意の適切なコーターを用いた方法が採用され得る。コーターの具体例としては、バーコーター、リバースコーター、キスコーター、グラビアコーター、ダイコーター、コンマコーターが挙げられる。
(工程B)
上記塗工液の乾燥方法としては、任意の適切な方法が採用され得る。具体例としては、自然乾燥、加熱乾燥、減圧乾燥が挙げられる。好ましくは、加熱乾燥である。加熱温度は、好ましくは60℃〜150℃であり、より好ましくは60℃〜100℃であり、さらに好ましくは60℃〜80℃である。加熱温度が150℃を越えると、塗工液面が急激に変化して、光拡散性微粒子が塗工液面の変化に追従できずに十分な平滑性が得られないおそれがある。加熱時間は、例えば30秒〜5分である。
(工程C)
重合方法は、樹脂成分(したがって、その前駆体)の種類に応じて任意の適切な方法が採用され得る。例えば、樹脂成分が電離線硬化型樹脂である場合には、電離線を照射することにより前駆体を重合する。電離線として紫外線を用いる場合には、その積算光量は、好ましくは50mJ/cm〜1000mJ/cmであり、より好ましくは200mJ/cm〜400mJ/cmである。電離線の光拡散性微粒子に対する透過率は、好ましくは70%以上であり、より好ましくは80%以上である。また例えば、樹脂成分が熱硬化型樹脂である場合には、加熱することにより前駆体を重合する。加熱温度および加熱時間は、樹脂成分の種類に応じて適切に設定され得る。好ましくは、重合は電離線を照射することにより行われる。電離線照射であれば、屈折率変調領域を良好に保持したまま塗膜を硬化させることができるので、良好な拡散特性の光拡散素子を作製することができる。前駆体を重合することにより、マトリクスが形成されると同時に、光拡散性微粒子の表面近傍に屈折率変調領域が形成される。すなわち、本発明の製造方法によれば、光拡散性微粒子内部に浸透した前駆体と光拡散性微粒子に浸透しなかった前駆体とを同時に重合することにより、光拡散性微粒子の表面近傍に屈折率変調領域を形成すると同時に、マトリクスを形成することができる。
上記重合工程(工程C)は、上記乾燥工程(工程B)の前に行ってもよく、工程Bの後で行ってもよい。好ましくは重合工程(工程C)の前に行われる。加熱により、樹脂成分の前駆体の光拡散性微粒子への浸透を促進させることができるからである。
本実施形態の光拡散素子の製造方法が、上記工程A〜工程Cに加えて、任意の適切な時点で任意の適切な工程、処理および/または操作を含み得ることは言うまでもない。そのような工程等の種類およびそのような工程等が行われる時点は、目的に応じて適切に設定され得る。例えば、工程Aにおいて、各成分を同時に混合した場合、塗工液は、塗布前に所定時間静置され得る。所定時間静置することにより、光拡散性微粒子中に樹脂成分の前駆体を十分に浸透させることができる。静置時間としては、好ましくは1時間〜48時間であり、より好ましくは2時間〜40時間であり、さらに好ましくは3時間〜35時間であり、特に好ましくは4時間〜30時間である。
以上のようにして、上記A−1項〜A−3項で説明したような光拡散素子が基材上に形成される。
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例によって限定されるものではない。実施例における評価方法は下記の通りである。また、特に明記しない限り、実施例における「部」および「%」は重量基準である。
(1)光拡散素子の厚み
マイクロゲージ式厚み計(ミツトヨ社製)にて基材と光拡散素子との合計厚みを測定し、当該合計厚みから基材の厚みを差し引き、光拡散素子の厚みを算出した。
(2)光拡散素子中の光拡散性微粒子および超微粒子成分の平均粒径および標準偏差
実施例および比較例で得られた光拡散素子と基材との積層体を液体窒素で冷却しながら、ミクロトームにて0.1μmの厚さにスライスし、測定試料とした。透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて、当該測定試料を観察し、TEM画像から画像解析ソフトを用いて、光拡散素子中の光拡散性微粒子および超微粒子成分の粒径を測定した。この測定を無作為で選択した20ヶ所で行い、光拡散素子中の光拡散性微粒子および超微粒子成分の平均粒径と標準偏差を算出した。
(3)超微粒子成分の凝集
実施例および比較例で得られた光拡散素子と基材との積層体を液体窒素で冷却しながら、ミクロトームにて0.1μmの厚さにスライスして測定試料とした。当該測定試料の断面を透過型電子顕微鏡(TEM)(日立製作所製、商品名「H−7650」、加速電圧100kV)を用いて2次元画像を観察し、当該測定試料の光拡散素子内の粗密の発生を確認した。直接倍率×1,200、MAGNIFICATION×10,000の測定視野(13.9μm×15.5μm)において、マトリクス中で超微粒子成分が存在せず白点として観察される部分(すなわち、測定視野内における、光拡散性微粒子由来の白い部分以外の白点)の数をカウントした。実施例および比較例で得られた光拡散素子と基材との積層体それぞれについて、20箇所、上記のように白点の数をカウントし、その平均値を算出した。表1には当該平均値を示す。白点の数が多いほど、超微粒子成分の凝集が多いと評される。
(4)光拡散性微粒子の凝集
上記(2)と同様にTEM観察を行い、平均1次粒径に対して、2.5倍以上の粒径を有する光拡散性微粒子(実質的な2次粒子)の有無を確認した。実質的な2次粒子が確認されなかった場合、各粒子は実質的に凝集していないと判断される。
(5)ヘイズ値
JIS 7136で定める方法により、ヘイズメーター(村上色彩科学研究所社製、商品名「HN−150」)を用いて測定した。
(6)後方散乱率
実施例および比較例で得られた光拡散素子と基材との積層体を、透明粘着剤を介して黒アクリル板(住友化学社製、商品名「SUMIPEX」(登録商標)、厚み2mm)の上に貼り合わせ、測定試料とした。この測定試料の積分反射率を分光光度計(日立計測器社製、商品名「U4100」)にて測定した。一方、上記光拡散素子用塗工液から微粒子を除去した塗工液を用いて、基材と透明塗工層との積層体を作製して対照試料とし、上記と同様にして積分反射率(すなわち、表面反射率)を測定した。上記測定試料の積分反射率から上記対照試料の積分反射率(表面反射率)を差し引くことにより、光拡散素子の後方散乱率を算出した。
(実施例1)
光拡散性微粒子としてのポリメタクリル酸メチル(PMMA)微粒子(積水化成品工業社製、商品名「XX131AA」、平均粒径2.5μm、屈折率1.49)15部と、有機溶剤としての酢酸ブチルおよびMEKの混合溶媒(重量比50/50)30部とを混合し、60分間撹拌して、混合液を調製した。
次いで、得られた混合液に、超微粒子成分としてのジルコニアナノ粒子(平均粒径60nm、屈折率2.19)を62%含有するハードコート用樹脂(JSR社製、商品名「オプスターKZ6661」(MEK/MIBK含有))100部、樹脂成分の前駆体としてのペンタエリスリトールトリアクリレート(大阪有機化学工業社製、商品名「ビスコート#300」、屈折率1.52、分子量298)22部、光重合開始剤(チバ・スペシャリティ・ケミカル社製、商品名「イルガキュア907」)0.5部およびレベリング剤(DIC社製、商品名「GRANDIC PC 4100」)0.5部を添加し、ディスパーを用いて15分間撹拌して、塗工液を調製した。
当該塗工液を調製後ただちに、バーコーターを用いてTACフィルム(富士フィルム社製、商品名「フジタック」)上に塗工し、60℃にて1分間加熱後、積算光量300mJの紫外線を照射し、厚み10μmの光拡散素子を得た。得られた光拡散素子を上記(2)〜(6)の評価に供した。さらに、光拡散素子断面のTEM写真を図5に示す。
(実施例2)
実施例1おいて、超微粒子成分としてのジルコニアナノ粒子(平均粒径60nm、屈折率2.19)を62%含有するハードコート用樹脂(JSR社製、商品名「オプスターKZ6661」(MEK/MIBK含有))100部に代えて、JSR社製、商品名「オプスターKZ6706」(PEGME(プロピレングリコールモノメチルエーテル)含有)(平均粒径30nm、屈折率2.19)を用いた以外は、実施例1と同様にして、光拡散素子を得た。得られた光拡散素子を上記(2)〜(6)の評価に供した。結果を、表1に示す。
(比較例1)
超微粒子成分としてのジルコニアナノ粒子(平均粒径60nm、屈折率2.19)を62%含有するハードコート用樹脂(JSR社製、商品名「オプスターKZ6661」(MEK/MIBK含有))100部に、樹脂成分の前駆体としてのペンタエリスリトールトリアクリレート(大阪有機化学工業社製、商品名「ビスコート#300」、屈折率1.52)の酢酸ブチルおよびMEKの混合溶媒50%溶液を11部、光重合開始剤(チバ・スペシャリティ・ケミカル社製、商品名「イルガキュア907」)を0.5部、レベリング剤(DIC社製、商品名「GRANDIC PC 4100」)を0.5部、および、光拡散性微粒子としてのポリメタクリル酸メチル(PMMA)微粒子(積水化成品工業社製、商品名「XX131AA」、平均粒径2.5μm、屈折率1.49)を15部添加した。この混合物を5分間超音波処理し、上記の各成分が均一に分散した塗工液を調製した。当該塗工液を24時間静置した後、バーコーターを用いてTACフィルム(富士フィルム社製、商品名「フジタック」)上に塗工し、60℃にて1分間加熱後、積算光量300mJの紫外線を照射し、厚み10μmの光拡散素子を得た。得られた光拡散素子を上記(2)〜(6)の評価に供した。結果を、表1に示す。
上記表1から明らかなように、本発明によれば、超微粒子成分が小粒径であり、かつ、凝集した超微粒子成分を実質的に含まないことにより、ヘイズ値が高く、強い拡散性を有し、かつ、後方散乱が抑制された光拡散素子を得ることができる。
本発明の製造方法により得られる光拡散素子は、液晶表示装置の視認側部材、液晶表示装置のバックライト用部材、照明器具(例えば、有機EL、LED)用拡散部材に好適に用いられ、コリメートバックライトフロント拡散システムのフロント拡散素子として特に好適に用いられ得る。
10 マトリクス
11 樹脂成分
12 超微粒子成分
20 光拡散性微粒子
30 濃度変調領域
100 光拡散素子

Claims (4)

  1. 樹脂成分および超微粒子成分を含むマトリクスと、該マトリクス中に分散された光拡散性微粒子とを有し、
    該超微粒子成分の平均1次粒径が100nm以下であり、
    凝集した超微粒子成分を実質的に含まない、
    光拡散素子。
  2. 前記光拡散性微粒子の平均1次粒径が1μm〜5μmであり、該光拡散性微粒子の重量平均粒径分布の変動係数が20%以下であり、かつ、該光拡散性微粒子が実質的に凝集していない、請求項1に記載の光拡散素子。
  3. 前記超微粒子成分の平均1次粒径が30nm以下である、請求項1または2に記載の光拡散素子。
  4. 前記樹脂成分、前記超微粒子成分および前記光拡散性微粒子の屈折率が下記式(i)を満たし、
    該光拡散性微粒子の表面近傍に屈折率変調領域を有する、請求項1から3のいずれかに記載の光拡散素子:
    |n−n|<|n−n|・・・(i)
    式(i)中、nはマトリクスの樹脂成分の屈折率を表し、nはマトリクスの超微粒子成分の屈折率を表し、nは光拡散性微粒子の屈折率を表す。
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