JP2004085626A - 光学シート及びこれを用いたバックライトユニット - Google Patents
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Abstract
【解決手段】透明な基材層2と、この基材層2の表面側に積層される光学層3とを備える光学シート1であって、上記基材層2の裏面側に積層される傷付き防止層4をさらに備え、この傷付き防止層4がバインダーと7このバインダー7中に分散するビーズ8とを有しており、このビーズ8の材料としてシリコーンゴムが用いられていることを特徴とするものである。バインダー7としては、ポリエステルポリオールを含有するポリマー組成物から形成するとよい。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、透過光線に対する所定の光学的機能(拡散機能、集光機能、屈折機能、反射機能等)を有し、特に液晶表示装置のバックライトユニットに好適な光学シート、及びこの光学シートを用いたバックライトユニットに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
液晶表示装置は、液晶層を背面から照らして発光させるバックライト方式が普及し、液晶層の下面側にエッジライト型、直下型等のバックライトユニットが装備されている。かかるエッジライト型のバックライトユニット50は、一般的には図3(a)に示すように、光源としての棒状のランプ51と、このランプ51に端部が沿うように配置される方形板状の導光板52と、この導光板52の表面側に積層される複数枚の光学シート53とを装備している。この光学シート53は、屈折、拡散等の特定の光学的機能を有するものであり、具体的には(1)導光板52の表面側に配設され、主に光拡散機能を有する拡散性光学シート(いわゆる光拡散シート)54、(2)拡散性光学シート54の表面側に配設され、法線方向側への屈折機能を有する屈折性光学シート(いわゆるプリズムシート)55などが該当する。
【0003】
このバックライトユニット50の機能を説明すると、まず、ランプ51より導光板52に入射した光線は、導光板52裏面の反射ドット又は反射シート(図示されず)及び各側面で反射され、導光板52表面から出射される。導光板52から出射した光線は拡散性光学シート54に入射し、拡散され、表面より出射される。その後、光学シート54から出射された光線は、屈折性光学シート55に入射し、表面に形成されたプリズム部55aによって、略真上方向にピークを示す分布の光線として出射される。このように、ランプ51から出射された光線が、光学シート54、55によって拡散され、略真上方向にピークを示すように屈折され、さらに上方の図示していない液晶層全面を照明するものである。
【0004】
また図示していないが、上述の導光板52の導光特性や光学シート53の光学的機能などを考慮し、拡散性光学シートや屈折性光学シートなどの光学シート53をさらに多く配設したバックライトユニットもある。
【0005】
導光板52表面に重ねて配設される拡散性光学シート54は、一般的には図3(b)に示すように、透明な合成樹脂製の基材層56と、この基材層56の表面に積層される光学層57と、基材層56の裏面に積層されるスティッキング防止層58とを備えている。この光学層57は、一般的にはバインダー59中に樹脂ビーズ60が分散した構造を有し、透過光線に対して光拡散機能等を奏するよう構成されている。また、スティッキング防止層58は、バインダー61中に少量のビーズ62が離間して分散し、このビーズ62の下部がバインダー61の裏面から突出した構造を有しており、拡散性光学シート54裏面が導光板52表面と密着して干渉縞が生じてしまう不都合を防止している。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上記拡散性光学シート54のスティッキング防止層58に分散するビーズ62としてはアクリルビーズ等が一般的に用いられており、比較的硬質であることから、裏面に突出したビーズ62によって当該拡散性光学シート54の裏面側に積層される導光板52等の表面に傷を付けてしまうことがある。特に、アクリルより軟質の材料である非晶性オレフィン系樹脂を材料とする導光板(例;日本ゼオン(株)社製「ゼオノア導光板」)の表面側に当該拡散性光学シート54を積層した場合に上記不都合が発生しやすい。
【0007】
本発明はこれらの不都合に鑑みてなされたものであり、裏面側に積層される導光板等とのスティッキングを防止しつつ、この導光板等の表面への傷付きを防止できる光学シート、及び、この光学シートを用いて傷付きによる輝度ムラの発生を防止できるバックライトユニットの提供を目的とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するためになされた発明は、透明な基材層と、この基材層の表面側に積層される光学層とを備える光学シートであって、上記基材層の裏面側に積層される傷付き防止層をさらに備え、この傷付き防止層がバインダーとこのバインダー中に分散するビーズとを有しており、このビーズの材料としてシリコーンゴムが用いられていることを特徴とするものである。
【0009】
当該光学シートは、基材層の裏面側にバインダー中にビーズが分散する傷付き防止層を備え、このビーズの材料として軟質のシリコーンゴムが用いられていることから、傷付き防止層のバインダー中に内在するビーズによって当該光学シート裏面に凸部が形成され、この凸部が軟質となる。そのため、当該光学シートによれば、バックライトユニットにおいて、当該光学シートの裏面側に重ねて配設される導光板等に対して軟質の凸部で当接するため、導光板等表面への傷付きを格段に低減することができる。また、当該光学シートの保存、運搬等の際に、巻いたり、重ねたりして、当該光学シート同士が擦れ合っても、互いに傷つけ合うことが防止される。さらに、バックライトユニットにおいて、当該光学シートと裏面側の導光板とは当該光学シート裏面の凸部で点接するため、当該光学シートと導光板とのスティッキングが防止される。
【0010】
上記バインダーの鉛筆硬度としては6B以上B以下が好ましい。このようにバインダーの鉛筆硬度を上記範囲とし、傷付き防止層のバインダーを軟質にすることで、軟質のビーズを軟質のバインダーで包むこととなり、当該光学シート裏面に内在ビーズによって形成される凸部がさらに軟質化する。その結果、上述の傷付き防止性をさらに促進することができる。
【0011】
上記バインダーとしては、ポリエステルポリオールを含有するポリマー組成物から形成するとよい。この手段のように、バインダーを構成するポリマー組成物の基材ポリマーとしてポリエステルポリオールを用いることで、バインダーを軟質化し、鉛筆硬度を上記範囲に制御することができる。その結果、上記傷付き防止性を効果的に促進することができる。
【0012】
上記ポリマー組成物中に硬化剤としてポリイソシアネートを含有するとよい。このように、バインダーを形成するポリマー組成物中に硬化剤としてポリイソシアネートを配合することで、ポリマー組成物の硬化反応速度を促進することができ、生産性を高めることができる。そのため、ポリマー組成物中にカチオン系帯電防止剤等を配合しても、かかるカチオン系帯電防止剤等の配合による硬化反応速度の低下を十分補うことができる。
【0013】
上記ビーズは、シリコーンゴムからなる球状芯部と、この球状芯部の表面を被覆するシリコーン樹脂層とを有するとよい。このように、シリコーンゴム製の球状芯部の外面にシリコーン樹脂層を被覆する2層構造のビーズを用いることで、上述のように軟質ビーズによる傷付き防止作用を奏しつつ、さらにバインダーを構成するポリマー組成物中での安定性が向上し、例えばビーズからシリコーンオイル等が溶出することを低減することができる。
【0014】
上記ビーズの平均粒子径としては1μm以上10μm以下が好ましい。このように、ビーズの平均粒子径を上記範囲とすることで、傷付き防止層による上記傷付き防止性を効果的に奏しつつ、当該光学シートの裏面に重ねて配設される導光板等とのスティッキングを防止することができる。
【0015】
上記バインダーのポリマー分100部に対するビーズの配合量としては0.1部以上20部以下が好ましい。このように、ビーズの配合量を上記範囲とすることで、上述の傷付き防止性及びスティッキング防止性を促進することができる。
【0016】
従って、ランプと、このランプの側方に配設される導光板とを備え、ランプから発せられる光線を分散させて表面側に導く液晶表示装置用のバックライトユニットにおいて、導光板の表面側に当該光学シートを備えると、当該光学シートの高い傷付き防止性により、導光板等の傷付きによる輝度ムラの発生を防止することができ、また、製造、運搬、保存等の際の取扱いが容易になる。
【0017】
ここで、「光学層」とは、透過光線に対して所定の光学的機能を奏する層を意味し、具体的には(a)バインダー中に光拡散剤を有する光拡散層、(b)エンボス加工により表面に略均一に形成された微細凹凸を有する光拡散層、(c)三角柱状のプリズム部をストライプ状に有するプリズム層などが該当し、基材層と一定成形される場合も含む概念である。「ガラス転移温度」とは、JISに規定する示査走査熱量分析(DSC)により測定した値を採用する。「鉛筆硬度」とは、JIS−K−5400に規定する試験方法の8.4に記載の鉛筆引っかき値に基づく。「部」で示す数値は、質量を基準とする比を意味する。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、適宜図面を参照しつつ本発明の実施の形態を詳説する。図1は本発明の一実施形態に係る光学シートを示す模式的断面図で、図2は図1の光学シートとは異なる形態の光学シートを示す模式的断面図である。
【0019】
図1の光学シート1は、上記ビーズ塗工タイプの拡散性光学シートと同様の構成であり、具体的には、基材層2と、この基材層2の表面に積層される光学層3と、基材層2の裏面に積層される傷付き防止層4とから構成されている。
【0020】
基材層2は、光線を透過させる必要があるので透明、特に無色透明の合成樹脂から形成されている。かかる基材層2に用いられる合成樹脂としては、特に限定されるものではなく、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、アクリル樹脂、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリオレフィン、セルロースアセテート、耐候性塩化ビニル等が挙げられる。中でも、透明性に優れ、強度が高いポリエチレンテレフタレートが好ましく、撓み性能が改善されたポリエチレンテレフタレートが特に好ましい。
【0021】
基材層2の厚み(平均厚み)は、特には限定されないが、例えば10μm以上500μm以下、好ましくは35μm以上250μm以下、特に好ましくは50μm以上188μm以下とされる。基材層2の厚みが上記範囲未満であると、光学層3を形成するための樹脂組成物を塗工した際にカールが発生しやすくなってしまう、取扱いが困難になる等の不都合が発生する。逆に、基材層2の厚みが上記範囲を超えると、液晶表示装置の輝度が低下してしまうことがあり、またバックライトユニットの厚みが大きくなって液晶表示装置の薄型化の要求に反することにもなる。
【0022】
光学層3は、バインダー5と、このバインダー5中に分散する光拡散剤6とを有している。このように光学層3に光拡散剤6を分散させることにより、この光学層3を裏側から表側に透過する光線を均一に拡散させることができる。また、光拡散剤6によって光学層3の表面に微細凹凸が略均一に形成され、この微細凹凸の各凹部及び凸部がレンズ状に形成されている。かかる微細凹凸のレンズ的作用によって、当該光学シート1は、優れた光拡散機能を発揮し、この光拡散機能に起因して透過光線を法線方向側へ屈折させる屈折機能及び透過光線を法線方向に巨視的に集光させる集光機能をも有している。なお、光学層3の厚み(光拡散剤6を除いたバインダー5部分の厚みを意味する)は特には限定されないが、例えば10μm以上30μm以下程度とされている。また、バインダー5は光線を透過させる必要があるので透明とされており、特に無色透明が好ましい。
【0023】
光拡散剤6は、光線を拡散させる性質を有する粒子であり、無機フィラーと有機フィラーに大別される。無機フィラーとしては、具体的には、シリカ、水酸化アルミニウム、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、硫化バリウム、マグネシウムシリケート、又はこれらの混合物を用いることができる。有機フィラーの具体的な材料としては、アクリル樹脂、アクリロニトリル樹脂、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリアクリロニトリル、ポリアミド等を用いることができる。中でも、透明性が高いアクリル樹脂が好ましく、ポリメチルメタクリレート(PMMA)が特に好ましい。
【0024】
光拡散剤6の形状は、特に限定されるものではなく、例えば球状、立方状、針状、棒状、紡錘形状、板状、鱗片状、繊維状などが挙げられ、中でも光拡散性に優れる球状のビーズが好ましい。
【0025】
光拡散剤6の平均粒子径の下限としては1μm、特に2μm、さらに5μmが好ましく、光拡散剤6の平均粒子径の上限としては50μm、特に20μm、さらに15μmが好ましい。これは、光拡散剤6の平均粒子径が上記範囲未満であると、光拡散剤6によって形成される光学層3表面の凹凸が小さくなり、光学シートとして必要な光拡散性を満たさないおそれがあり、逆に、光拡散剤6の平均粒子径が上記範囲を越えると、光学シート1の厚さが増大し、かつ、均一な拡散が困難になることからである。
【0026】
光拡散剤6の配合量(バインダー5の形成材料であるポリマー組成物中の基材ポリマー100部に対する固形分換算の配合量)の下限としては10部、特に20部、さらに50部が好ましく、この配合量の上限としては500部、特に300部、さらに200部が好ましい。これは、光拡散剤6の配合量が上記範囲未満であると、光拡散性が不十分となってしまい、一方、光拡散剤6の配合量が上記範囲を越えると光拡散剤6を固定する効果が低下することからである。なお、プリズムシートの表面側に配設される所謂上用光学シートの場合、高い光拡散性を必要とされないため、光拡散剤6の配合量としては10部以上40部以下、特に10部以上30部以下が好ましい。
【0027】
バインダー5は、基材ポリマーを含むポリマー組成物を硬化(架橋等)させることで形成される。このバインダー5によって、基材層2の表面全面に光拡散剤6が略等密度に配置固定される。なお、このバインダー5を形成するためのポリマー組成物は、その他に例えば微小無機充填剤、硬化剤、可塑剤、分散剤、各種レベリング剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤、抗酸化剤、粘性改質剤、潤滑剤、光安定化剤等が適宜配合されてもよい。
【0028】
上記基材ポリマーとしては、特に限定されるものではなく、例えばアクリル系樹脂、ポリウレタン、ポリエステル、フッ素系樹脂、シリコーン系樹脂、ポリアミドイミド、エポキシ樹脂、紫外線硬化型樹脂等が挙げられ、これらのポリマーを1種又は2種以上混合して使用することができる。特に、上記基材ポリマーとしては、加工性が高く、塗工等の手段で容易に光学層3を形成することができるポリオールが好ましい。また、バインダー5に用いられる基材ポリマーは光線を透過させる必要があるので透明とされており、特に無色透明が好ましい。
【0029】
上記ポリオールとしては、例えば水酸基含有不飽和単量体を含む単量体成分を重合して得られるポリオール、水酸基過剰の条件で得られるポリエステルポリオールなどが挙げられ、これらを単体で又は2種以上混合して使用することができる。
【0030】
この水酸基含有不飽和単量体としては、(a)例えばアクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸2−ヒドロキシプロピル、アリルアルコール、ホモアリルアルコール、ケイヒアルコール、クロトニルアルコール等の水酸基含有不飽和単量体、(b)例えばエチレングリコール、エチレンオキサイド、プロピレングリコール、プロピレンオキサイド、ブチレングリコール、ブチレンオキサイド、1,4−ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン、フェニルグリシジルエーテル、グリシジルデカノエート、プラクセルFM−1(ダイセル化学工業株式会社製)等の2価アルコール又はエポキシ化合物と、例えばアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、イタコン酸等の不飽和カルボン酸との反応で得られる水酸基含有不飽和単量体などが挙げられる。これらの水酸基含有不飽和単量体から選択される1種又は2種以上を重合してポリオールを製造することができる。
【0031】
また、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸tert−ブチル、アクリル酸エチルヘキシル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸tert−ブチル、メタクリル酸エチルヘキシル、メタクリル酸グリシジル、メタクリル酸シクロヘキシル、スチレン、ビニルトルエン、1−メチルスチレン、アクリル酸、メタクリル酸、アクリロニトリル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、酢酸アリル、アジピン酸ジアリル、イタコン酸ジアリル、マレイン酸ジエチル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、アクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−ブトキシメチルアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、エチレン、プロピレン、イソプレン等から選択される1種又は2種以上のエチレン性不飽和単量体と、上記(a)及び(b)から選択される水酸基含有不飽和単量体とを重合してポリオールを製造することもできる。
【0032】
かかる水酸基含有不飽和単量体を含む単量体成分を重合して得られるポリオールの数平均分子量は1000以上500000以下であり、好ましくは5000以上100000以下である。また、その水酸基価は5以上300以下、好ましくは10以上200以下、さらに好ましくは20以上150以下である。
【0033】
水酸基過剰の条件で得られるポリエステルポリオールは、(c)例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、ヘキサメチレングリコール、デカメチレングリコール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、トリメチロールプロパン、ヘキサントリオール、グリセリン、ペンタエリスリトール、シクロヘキサンジオール、水添ビスフェノールA、ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン、ハイドロキノンビス(ヒドロキシエチルエーテル)、トリス(ヒドロキシエチル)イソシヌレート、キシリレングリコール等の多価アルコールと、(d)例えばマレイン酸、フマル酸、コハク酸、アジピン酸、セバチン酸、アゼライン酸、トリメット酸、テレフタル酸、フタル酸、イソフタル酸等の多塩基酸とを、プロパンジオール、ヘキサンジオール、ポリエチレングリコール、トリメチロールプロパン等の多価アルコール中の水酸基数が前記多塩基酸のカルボキシル基数よりも多い条件で反応させて製造することができる。
【0034】
かかる水酸基過剰の条件で得られるポリエステルポリオールの数平均分子量は500以上300000以下であり、好ましくは2000以上100000以下である。また、その水酸基価は5以上300以下、好ましくは10以上200以下、さらに好ましくは20以上150以下である。
【0035】
当該ポリマー組成物の基材ポリマーとして用いられるポリオールとしては、上記ポリエステルポリオール、及び、上記水酸基含有不飽和単量体を含む単量体成分を重合して得られ、かつ、(メタ)アクリル単位等を有するアクリルポリオールが好ましい。かかるポリエステルポリオール又はアクリルポリオールを基材ポリマーとするバインダー5は耐候性が高く、光学層3の黄変等を抑制することができる。なお、このポリエステルポリオールとアクリルポリオールのいずれか一方を使用してもよく、両方を使用してもよい。
【0036】
なお、上記ポリエステルポリオール及びアクリルポリオール中の水酸基の個数は、1分子当たり2個以上であれば特に限定されないが、固形分中の水酸基価が10以下であると架橋点数が減少し、耐溶剤性、耐水性、耐熱性、表面硬度等の被膜物性が低下する傾向がある。
【0037】
上記基材ポリマーとしてはシクロアルキル基を有するポリオールが好ましい。このように、バインダー5を構成する基材ポリマー(ポリオール)中にシクロアルキル基を導入することで、バインダー5の撥水性、耐水性等の疎水性が高くなり、高温高湿条件下での当該光学シート1の耐撓み性、寸法安定性等が改善される。また、光学層3の硬度、耐候性、肉持感、耐溶剤性等の塗膜基本性能が向上する。さらに、後述する表面に有機ポリマーが固定された微小無機充填剤との親和性及び微小無機充填剤の均一分散性がさらに良好になる。
【0038】
上記シクロアルキル基としては特に限定されず、例えば、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロノニル基、シクロデシル基、シクロウンデシル基、シクロドデシル基、シクロトリデシル基、シクロテトラデシル基、シクロペンタデシル基、シクロヘキサデシル基、シクロヘプタデシル基、シクロオクタデシル基等が挙げられる。
【0039】
上記シクロアルキル基を有するポリオールは、シクロアルキル基を有する重合性不飽和単量体を共重合することで得られる。このシクロアルキル基を有する重合性不飽和単量体とは、シクロアルキル基を分子内に少なくとも1つ有する重合性不飽和単量体である。この重合性不飽和単量体としては特に限定されず、例えば、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、メチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、tert−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、シクロドデシル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0040】
上述のように基材ポリマーとしてポリオールを用いる場合、上記ポリマー組成物中に硬化剤としてポリイソシアネート化合物を含有するとよい。このポリイソシアネート化合物は、ジイソシアネートを重合してなる2量体、3量体、4量体等の誘導体である。このポリイソシアネート化合物の配合によってポリマー組成物の硬化反応速度が大きくなるため、微小無機充填剤の分散安定性に寄与するカチオン系帯電防止剤をポリマー組成物中に含有しても、カチオン系帯電防止剤による硬化反応速度の低下を十分補うことができ、さらに生産性を高めることができる。
【0041】
上記ポリイソシアネート化合物としては、キシレンジイソシアネート誘導体又はこのキシレンジイソシアネート誘導体と脂肪族ジイソシアネート誘導体との混合物が好ましい。このキシレンジイソシアネート誘導体は、ポリマー組成物の反応速度向上効果が大きく、また芳香族ジイソシアネート誘導体の中では熱や紫外線による黄変及び劣化が比較的小さいため、当該光学シート1の光線透過率の経時的低下を低減することができる。一方、脂肪族ジイソシアネート誘導体は、芳香族ジイソシアネート誘導体に比べて反応速度向上効果が小さいが、紫外線等による黄変、劣化等が格段に小さいため、キシレンジイソシアネート誘導体と混合することで、反応速度向上効果と黄変等の防止効果とをバランスよく達成することができる。
【0042】
この脂肪族ジイソシアネート誘導体としてはイソホロンジイソシアネート誘導体及びヘキサメチレンジイソシアネート誘導体が好ましい。かかるイソホロンジイソシアネート誘導体及びヘキサメチレンジイソシアネート誘導体は、脂肪族ジイソシアネート誘導体の中では硬化反応速度の向上作用が比較的大きく、上述の生産性及び耐熱性を促進することができる。
【0043】
上記ジイソシアネートの誘導体の型式としては、TMPアダクト型、イソシアヌレート型又はビュレット型が好ましい。これらの型式の誘導体によれば、上述の硬化反応速度を効果的に増大することができる。
【0044】
上記ポリイソシアネート化合物の配合量(ポリマー組成物中のポリマー分100部に対する固形分換算の配合量)の下限としては2部が好ましく、5部が特に好ましい。一方、硬化剤の上記配合量の上限としては20部が好ましく、15部が特に好ましい。このようにポリイソシアネート化合物の配合量を上記範囲とすることで、上述のポリマー組成物の硬化反応速度向上作用を効果的に奏することができる。
【0045】
また、上記ポリマー組成物中に微小無機充填剤を含有するとよい。バインダー5中への微小無機充填剤の分散含有により、光学層3ひいては当該光学シート1全体の耐熱性を高めることができ、その結果、バックライトユニットにおいてランプの熱や空気中の湿気に曝されても当該光学シート1の変形を格段に抑制することができる。
【0046】
この微小無機充填剤を構成する無機物としては、特に限定されるものではないが、無機酸化物が特に好ましい。この無機酸化物は、金属元素が主に酸素原子との結合を介して3次元のネットワークを構成した種々の含酸素金属化合物と定義される。また無機酸化物を構成する金属元素としては、たとえば、元素周期律表II〜VI族から選ばれる元素が好ましく、元素周期律表III〜V族から選ばれる元素がさらに好ましい。その中でも、Si、Al、Ti及びZrから選択される元素が特に好ましく、金属元素がSiであるコロイダルシリカが、微小無機充填剤として最も好ましい。また微小無機充填剤の形状は、球状、針状、板状、鱗片状、破砕状等の任意の粒子形状でよく、特に限定されない。
【0047】
微小無機充填剤の平均粒子径の下限としては、5nmが好ましく、10nmが特に好ましい。一方、微小無機充填剤の平均粒子径の上限としては50nmが好ましく、25nmが特に好ましい。これは、微小無機充填剤の平均粒子径が上記範囲未満では、微小無機充填剤の表面エネルギーが高くなり、凝集等が起こりやすくなるためであり、逆に、平均粒子径が上記範囲を超えると、短波長の影響で白濁し、光学シート1の透明性が低下するおそれがあることからである。
【0048】
微小無機充填剤(無機物成分のみ)の配合量(ポリマー組成物中のポリマー分100部に対する固形分換算の配合量)の下限としては10部が好ましく、50部が特に好ましい。一方、微小無機充填剤の上記配合量の上限としては500部が好ましく、200部が特に好ましい。これは、微小無機充填剤の配合量が上記範囲未満であると、光学シート1の耐熱性を十分に発現することができなくなってしまうおそれがあり、逆に、配合量が上記範囲を越えると、ポリマー組成物中への配合が困難になり、光学層3の光線透過率が低下するおそれがあることからである。
【0049】
微小無機充填剤としては、その表面に有機ポリマーが固定されたものを用いるとよい。このように有機ポリマー固定微小無機充填剤を用いることで、バインダー5中での分散性やバインダー5との親和性の向上が図られる。この有機ポリマーについては、その分子量、形状、組成、官能基の有無等に関して特に限定はなく、任意の有機ポリマーを使用することができる。また有機ポリマーの形状については、直鎖状、分枝状、架橋構造等の任意の形状のものを使用することができる。
【0050】
かかる有機ポリマーを構成する具体的な樹脂としては、例えば、(メタ)アクリル樹脂、ポリスチレン、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステルおよびこれらの共重合体やアミノ基、エポキシ基、ヒドロキシル基、カルボキシル基等の官能基で一部変性した樹脂等が挙げられる。中でも、(メタ)アクリル系樹脂、(メタ)アクリル−スチレン系樹脂、(メタ)アクリル−ポリエステル系樹脂等の(メタ)アクリル単位を含む有機ポリマーを必須成分とするものが被膜形成能を有し好適である。他方、上記ポリマー組成物の基材ポリマーと相溶性を有する樹脂が好ましく、従ってポリマー組成物に含まれる基材ポリマーと同じ組成であるものが最も好ましい。
【0051】
なお、微小無機充填剤は、微粒子内に有機ポリマーを包含していてもよい。このことにより、微小無機充填剤のコアである無機物に適度な軟度および靱性を付与することができる。
【0052】
上記有機ポリマーにはアルコキシ基を含有するものを用いるとよく、その含有量としては有機ポリマーを固定した微小無機充填剤1g当たり0.01mmol以上50mmol以下が好ましい。かかるアルコキシ基により、バインダー5を構成するマトリックス樹脂との親和性や、バインダー5中での分散性を向上させることができる。
【0053】
ここでいうアルコキシ基は、微粒子骨格を形成する金属元素に結合したRO基を示す。このRは置換されていてもよいアルキル基であり、微粒子中のRO基は同一であっても異なっていてもよい。Rの具体例としては、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル等が挙げられる。微小無機充填剤を構成する金属と同一の金属アルコキシ基を用いるのが好ましく、微小無機充填剤がコロイダルシリカである場合には、シリコンを金属とするアルコキシ基を用いるのが好ましい。
【0054】
上記有機ポリマー固定微小無機充填剤中の有機ポリマーの含有率については、特に制限されるものではないが、微小無機充填剤を基準にして0.5質量%以上50質量%以下が好ましい。
【0055】
上述のように微小無機充填剤に固定する有機ポリマーとして水酸基を有するものを用い、バインダー5を構成するポリマー組成物中に水酸基と反応するような官能基を2個以上有する多官能イソシアネート化合物、メラミン化合物およびアミノプラスト樹脂から選ばれる少なくとも1種のものを含有するとよい。これにより、微小無機充填剤とバインダー5のマトリックス樹脂とが架橋構造で結合され、保存安定性、耐汚染性、可撓性、耐候性、保存安定性等が良好になり、さらに得られる被膜が光沢を有するものとなる。
【0056】
上記多官能イソシアネート化合物としては、脂肪族、脂環族、芳香族及びその他の多官能イソシアネート化合物やこれらの変性化合物を挙げることができる。多官能イソシアネート化合物の具体例としては、例えばトリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキシルメタンジイソシアネート、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネートのビウレット体、イソシアヌレート体等の3量体等;これらの多官能イソシアネート類とプロパンジオール、ヘキサンジオール、ポリエチレングリコール、トリメチロールプロパン等の多価アルコールとの反応により生成される2個以上のイソシアネート基が残存する化合物;これらの多官能イソシアネート化合物をエタノール、ヘキサノール等のアルコール類、フェノール、クレゾール等のフェノール性水酸基を有する化合物、アセトオキシム、メチルエチルケトキシム等のオキシム類、ε−カプロラクタム、γ−カプロラクタム等のラクタム類等のブロック剤で封鎖したブロックド多官能イソシアネート化合物などを挙げることができる。なお、上記多官能イソシアネート化合物は1種又は2種以上混合して使用できる。中でも、被膜の黄変色を防止するために、芳香環に直接結合したイソシアネート基を有しない無黄変性多官能イソシアネート化合物が好ましい。
【0057】
上記メラミン化合物としては、例えばジメチロールメラミン、トリメチロールメラミン、テトラメチロールメラミン、ペンタメチロールメラミン、ヘキサメチロールメラミン、イソブチルエーテル型メラミン、n−ブチルエーテル型メラミン、ブチル化ベンゾグアナミン等を挙げることができる。
【0058】
上記アミノプラスト樹脂としては、例えばアルキルエーテル化メラミン樹脂、尿素樹脂、ベンゾグアナミン樹脂等が挙げられ、これらのアミノプラスト樹脂の単体又は2種以上の混合物もしくは共縮合物を使用できる。このアルキルエーテル化メラミン樹脂とは、アミノトリアジンをメチロール化し、シクロヘキサノールまたは炭素数1〜6のアルカノールでアルキルエーテル化して得られるものであり、ブチルエーテル化メラミン樹脂、メチルエーテル化メラミン樹脂、メチルブチル混合メラミン樹脂が代表的なものである。また、硬化を促進させるためのスルホン酸系触媒、たとえば、パラトルエンスルホン酸およびそのアミン塩等を使用することができる。
【0059】
また、ポリマー組成物中に帯電防止剤を含有するとよい。この帯電防止剤としては、特に限定されるものではなく、例えばアルキル硫酸塩、アルキルリン酸塩等のアニオン系帯電防止剤、第四アンモニウム塩、イミダゾリン化合物等のカチオン系帯電防止剤、ポリエチレングリコール系、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアリン酸エステル、エタノールアミド類等のノニオン系帯電防止剤、ポリアクリル酸等の高分子系帯電防止剤などが用いられる。中でも、帯電防止効果が比較的大きく、微小無機充填剤の分散状態の安定性を阻害しないカチオン系帯電防止剤が好ましい。また、このカチオン系帯電防止剤の中でも、上述の高疎水性のバインダー5に対する帯電防止性をより促進することができるアンモニウム塩及びベタインが特に好ましい。
【0060】
上記帯電防止剤の配合量(ポリマー組成物中のポリマー分100部に対する固形分換算の配合量)の下限としては0.1部が好ましく、0.5部が特に好ましい。一方、帯電防止剤の上記配合量の上限としては10部が好ましく、5部が特に好ましい。これは、帯電防止剤の配合量が上記下限より小さいと、上述の帯電防止効果を十分発揮することができないおそれがあり、逆に、帯電防止剤の上記配合量が上記上限を超えると、帯電防止剤の配合による全光線透過率の低下や強度の低下等の不都合が生じるおそれがあることからである。
【0061】
傷付き防止層4は、薄く積層されるバインダー7と、このバインダー7中に分散するビーズ8とを有している。このビーズ8は互いに離間してバインダー7中に分散し、ビーズ8により当該光学シート1裏面に凸部が形成されている。そのため、この光学シート1を導光板等の表面に重ねて配設すると、ビーズ8による凸部が導光板等の表面に当接し、光学シート1の裏面の全面が導光板等と当接することがない。これにより、光学シート1と導光板等とのスティッキングが防止され、液晶表示装置の画面の輝度ムラが抑えられる。なお、この傷付き防止層4の厚み(ビーズ8を除いたバインダー7部分の厚み)は特には限定されないが、例えば1μm以上10μm以下程度とされている。
【0062】
ビーズ8はシリコーンゴムからなる。このシリコーンゴムは、一般的にケイ素ゴムともいい、その主鎖がオルガノシロキサン結合−(SiR2O)n−からなる合成ゴムである。R基として、メチル基が一般的であるが、これに架橋を容易にさせる為に一部をビニル基に置き換えたもの、さらにフェニル基、フッ素アルキル基などの各種置換基を導入したものでもよく、常温でシリコーンゴムが弾性体として働くものを使用することができる。かかるシリコーンゴムからなるビーズ8は軟質であるため、ビーズ8の内在により形成される当該光学シート1裏面の凸部も軟質になる。そのため、バックライトユニットにおいて、当該光学シート1は、重ねて配設される導光板に対して軟質の凸部で当接し、導光板表面の傷付きを格段に低減することができる。なお、ビーズ8は、カップリング剤で表面処理したものも使用できる。
【0063】
ビーズ8の形状は、傷付き防止層4の裏面に比較的滑らかな軟質凸部が形成され、傷付き防止性を奏することができれば特に限定されるものではなく、例えば球状、回転楕円体状、紡錘形状、繊維状などが挙げられ、中でも傷付き防止性に優れる球状が特に好ましい。
【0064】
ビーズ8の平均粒子径の下限としては、1μm、特に3μm、さらに5μmが好ましく、その上限としては10μm、特に8μm、さらに5μmが好ましい。これは、ビーズ8の平均粒子径が上記下限未満であると、ビーズ8により傷付き防止層4裏面に凸部を形成することが困難になるためであり、逆に、ビーズ8の平均粒子径が上記上限を超えると、当該光学シート1の裏面に形成される凸部の突出高さが増大し、導光板表面に傷を付けるおそれがあることからである。
【0065】
ビーズ8としては、透明、特に無色透明が好ましい。このように透明なビーズ8を用いることで、当該光学シート1の全光線透過率が低下することを抑制し、さらに傷付き防止層4に光拡散性を付与することも可能である。
【0066】
バインダー7のポリマー分(後述するポリマー組成物中のポリマー分)100部に対するビーズ8の配合量の下限としては0.1部、特に1部、さらに5部が好ましく、その配合量の上限としては20部、特に15部、さらに10部が好ましい。ビーズ8の配合量を上記範囲とし、比較的少量とすることで、上述の傷付き防止性及びスティッキング防止性を効果的に奏することができる。
【0067】
バインダー7は、ポリマー組成物を硬化することで形成され、基材層2の裏面全面にビーズ8を略等密度に配置固定する。このバインダー7を形成するポリマー組成物としては、光学層3のバインダー5を形成する上記ポリマー組成物と同様のが用いられる。特に、当該ポリマー組成物の基材ポリマーとしては、上述のポリエステルポリオールが好ましい。このようにバインダー7の基材ポリマーとしてポリエステルポリオールを用いると、バインダー7が軟質化し、上記導光板表面への傷付き防止性を高めることができる。
【0068】
バインダー7の鉛筆硬度としては6B以上B以下、特に6B以上4B以下、さらに特に5Bが好ましい。このようにバインダー7の鉛筆硬度を上記範囲とし、傷付き防止層4のバインダー7を軟質化することで、シリコーンゴム製の軟質ビーズ8と相まって、当該光学シート1の裏面(特に凸部)に作用する外圧を柔軟に吸収し、バックライトユニットにおいて当該光学シート1の裏面に重ねて配設される導光板に傷を付けてしまうことをさらに低減することができる。なお、バインダー7のガラス転移温度の下限としては30℃が好ましく、40℃が特に好ましい。一方、バインダー7のガラス転移温度の上限としては75℃が好ましく、70℃が特に好ましい。
【0069】
次に、当該光学シート1の製造方法について説明する。当該光学シート1の製造方法は、一般的には(a)バインダー5を構成するポリマー組成物に光拡散剤6を混合することで光学層用塗工液を製造する工程と、(b)この光学層用塗工液を基材層2の表面に塗工することで光学層3を積層する工程と、(c)バインダー7を構成するポリマー組成物にビーズ8を混合することで傷付き防止層用塗工液を製造する工程と、(d)この傷付き防止層用塗工液を基材層2の裏面に塗工することで傷付き防止層4を積層する工程とを有する。
【0070】
当該光学シート1は、傷付き防止層4の裏面に軟質の凸部を有するため、この軟質凸部で裏面側の導光板等と当接し、この導光板等の傷付きを格段に低減することができ、かつ、裏面側に重ねて配設される導光板等とのスティッキングを防止することができる。さらに、当該光学シート1自体を巻いたり、重ねたりすることで、当該光学シート1同士が擦れ合っても、互いに傷つけ合うことが防止される。
【0071】
図2の光学シート11は、基材層2と、この基材層2の表面に積層された光学層3と、この光学層3の裏面に積層された傷付き防止層12とから構成されている。この基材層2、光学層3及び傷付き防止層12のバインダー7は、図1の光学シート1と同様であるため、同一の数番号を付して説明を省略する。従って、当該光学シート11も、上記光学シート1と同様に、バインダー5中に光拡散剤6を有する光学層3によって光拡散機能等の光学的機能を有している。
【0072】
傷付き防止層12は、薄く積層されるバインダー7と、このバインダー7中に離間して分散する軟質のビーズ13とを有し、このビーズ13により裏面に軟質の凸部が形成されている。そのため、当該光学シート11も、上記光学シート1と同様に、裏面側に重ねて配設される導光板等に対する高い傷付き防止性及びスティッキング防止性を有している。
【0073】
このビーズ13は、シリコーンゴムからなる球状芯部14と、この球状芯部14の表面を被覆するシリコーン樹脂層15とを有している。このシリコーン樹脂層15の形成材料であるシリコーン樹脂は、上記シリコーンゴムと同様の分子構造を有するが、主鎖のオルガノシロキサン結合の重合度がシリコーンゴムよりも大きく、不飽和結合が導入されている。
【0074】
当該光学シート11は、上述のようにビーズ13の外側がシリコーン樹脂層で被覆されているため、ビーズ13の軟質性を維持しつつ、ビーズ13の安定性を促進することができる。その結果、シリコーンゴム製の球状芯部14からシリコーンオイル等が溶出し、傷付き防止層12が変質してしまう不都合を低減することができる。
【0075】
従って、図3(a)に示すようなランプ51、導光板52、拡散性光学シート54及び屈折性光学シート55を備え、ランプ51から発せられる光線を分散させて表面側に導く液晶表示装置用のバックライトユニット50において、拡散性光学シート54として上記光学シート1、11を用いると、光学シート1、11の良好な傷付き防止性により導光板52表面の傷付きが低減され、その結果、傷付きによる輝度ムラの発生が低減され、品質が高められる。
【0076】
なお、本発明の光学シートは上記実施形態に限定されるものではなく、例えば上記屈折性光学シート(プリズムシート)等の他の形態の光学シートの裏面に上記傷付き防止層を備えることも可能である。裏面側に積層される傷付き防止層によって、種々の形態の光学シートに傷付き防止性及びスティッキング防止性を付与することができる。
【0077】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の光学シートによれば、収納、搬送時に重ね合わせても、当該光学シートが互いに傷つけ合うことを防止できる。また、バックライトユニットにおいて、当該光学シートを導光板等に重ねて配設した場合でも、導光板等に傷を付けてしまうことを防止できる。従って、かかる光学シートを用いたバックライトユニットは、導光板等の傷付きによる輝度ムラがなく、高品質なものとなり、さらに組立作業が容易になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る光拡散シートを示す模式的断面図である。
【図2】図1とは異なる形態の光拡散シートを示す模式的断面図である。
【図3】(a)は一般的なエッジライト型バックライトユニットを示す模式的斜視図、(b)は一般的な光拡散シートを示す模式的断面図である。
【符号の説明】
1 光学シート
2 基材層
3 光学層
4 傷付き防止層
5 バインダー
6 光拡散剤
7 バインダー
8 ビーズ
11 光学シート
12 傷付き防止層
13 ビーズ
14 球状芯部
15 シリコーン樹脂層
Claims (8)
- 透明な基材層と、この基材層の表面側に積層される光学層とを備える光学シートであって、
上記基材層の裏面側に積層される傷付き防止層をさらに備え、
この傷付き防止層が、バインダーと、このバインダー中に分散するビーズとを有しており、
このビーズの材料としてシリコーンゴムが用いられていることを特徴とする光学シート。 - 上記バインダーの鉛筆硬度が6B以上B以下である請求項1に記載の光学シート。
- 上記バインダーが、ポリエステルポリオールを含有するポリマー組成物から形成されている請求項1又は請求項2に記載の光学シート。
- 上記ポリマー組成物中に、硬化剤としてポリイソシアネートを含有する請求項3に記載の光学シート。
- 上記ビーズが、シリコーンゴムからなる球状芯部と、この球状芯部の表面を被覆するシリコーン樹脂層とを有している請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の光学シート。
- 上記ビーズの平均粒子径が1μm以上10μm以下である請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の光学シート。
- 上記バインダーのポリマー分100部に対するビーズの配合量が0.1部以上20部以下である請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の光学シート。
- ランプと、このランプの側方に配設される導光板とを備え、ランプから発せられる光線を分散させて表面側に導く液晶表示装置用のバックライトユニットにおいて、上記導光板の表面側に請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の光学シートを備えていることを特徴とする液晶表示装置用のバックライトユニット。
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