JP2005098677A - 蓄熱体 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、優れた蓄熱性を有し、かつ、蓄熱材の漏れも無く、加工性、施工性に優れる蓄熱体を提供する。
【解決手段】本発明の蓄熱体は、ポリオールと該ポリオールの水酸基と反応可能な官能基を有する化合物が反応して得られる3次元架橋構造に、蓄熱材が担持されてなることを特徴する。蓄熱体は、主としてシート状に加工、成形したものを、住宅等の建築物の内壁材、外壁材、天井材、床材の裏面に貼り合わせた内・外装材,車輌の内装材として好適に用いることができる。
【選択図】なし

Description

本発明は、高い蓄熱性を有する蓄熱体に関する。
近年、熱エネルギーを蓄える技術、即ち蓄熱技術が、昨今のエネルギー問題を解決する技術の一つとして着目されている。
蓄熱技術は、太陽熱、地熱等の自然エネルギーや、冷暖房器具からの余熱を有効利用する技術で、例えば、住宅においては、安価な夜間電力を使用して、熱を蓄え、多目的な熱源として利用し、日中の電力消費を抑える技術として利用されている。
このような蓄熱技術に用いられる蓄熱材としては、顕熱蓄熱材、潜熱蓄熱材が挙げられ、特に、物質の相変化による潜熱を利用した潜熱蓄熱材が多く採用されている。
この潜熱蓄熱材は、物質が固体から液体に相変化する時に熱を蓄え(蓄熱)、液体から固体に相変化する時に熱を放出(放熱)するという性質を利用し、蓄熱・放熱させるもので、一般に、15℃〜50℃の温度範囲で相変化(固液変化)するものが多い。そのため、液体として取り扱う必要があり、その利用方法としては、液体の状態で密閉型のラミネートシートやプラスチックケースに封入することが一般的である。
しかし、ラミネートシートやプラスチックケースでは、定形サイズに限定され、切断等の加工は、潜熱蓄熱材が漏れ出すため不可能である。また、釘打ち等による施工も、潜熱蓄熱材が漏れ出すため不可能である。さらに、ラミネートシートやプラスチックケースを縦に固定した場合、蓄熱材が底部に偏り、有効に蓄熱材が利用できないという問題もある。
したがって、蓄熱材を利用する場合、蓄熱式床暖房用の蓄熱材に代表される平置きの用途にのみ使用されているのが実状である。
このような問題に対し、特許文献1では、塗膜またはシート等に潜熱蓄熱カプセルを担持させることにより、切断等の加工や釘打ち等の施工を可能にし、さらに蓄熱材の底部への偏りも抑えた蓄熱体が提案されている。
また非特許文献1では、石膏ボードのような材料に、潜熱蓄熱材をカプセル化したものを混ぜ合わせ無機バインダーや樹脂等により固定することにより、同問題を解決している。
特開平10−311693号公報(請求の範囲) 日本建築学会計画系論文集 第540号、23−29、2001年2月
しかしながら、特許文献1や非特許文献1では、蓄熱材自体への効果的な熱伝導が阻害されやすくなり、また、蓄熱材の含有率も少なくなることから、十分な蓄熱性能が得られ難いという問題があった。
本発明は上記課題を解決するために、鋭意検討をした結果、ポリオール(a)と該ポリオールの水酸基と反応可能な官能基を有する化合物(b)が反応して得られる3次元架橋構造(i)に、蓄熱材(ii)が担持されてなる蓄熱体が、優れた蓄熱性を有し、かつ、蓄熱材の漏れも無く、加工性、施工性に優れることを見出し、本発明の完成に至った。
即ち、本発明は、以下の特徴を含むものである。
1.ポリオール(a)と該ポリオールの水酸基と反応可能な官能基を有する化合物(b)が反応して得られる3次元架橋構造(i)に、蓄熱材(ii)が担持されてなる蓄熱体。
2.ポリオール(a)、該ポリオールの水酸基と反応可能な官能基を有する化合物(b)及び蓄熱材(ii)を均一になるように混合し、(a)成分と(b)成分を反応させることにより得られる蓄熱体。
3.ポリオール(a)と該ポリオールの水酸基と反応可能な官能基を有する化合物(b)が反応して得られる3次元架橋構造(i)に、蓄熱材(ii)と、粘性調整剤(iii)及び/または熱伝導性物質(iv)の混合物が担持されてなる蓄熱体。
4.ポリオール(a)、該ポリオールの水酸基と反応可能な官能基を有する化合物(b)、蓄熱材(ii)、粘性調整剤(iii)及び/または熱伝導性物質(iv)を均一になるように混合し、(a)成分と(b)成分を反応させることにより得られる蓄熱体。
5.(a)成分がポリエステルポリオールであることを特徴とする1.から4.のいずれかに記載の蓄熱体。
6.蓄熱材(ii)が、有機潜熱蓄熱材であることを特徴とする1.から5.のいずれかに記載の蓄熱体。
7.蓄熱材(ii)の含有率が、40重量%以上であることを特徴とする1.から6.のいずれかに記載の蓄熱体。
本発明の蓄熱体は、高い蓄熱材含有率を有し蓄熱性に優れ、かつ、高い蓄熱材含有率を有しているにもかかわらず経時的に蓄熱材が漏れることがない。さらに蓄熱体を切断したとしても、切断面から蓄熱材が漏れ出すこともなく加工性に優れ、また、釘打ち等による蓄熱材の漏れがないため、取付け施工性に優れている。
以下、本発明を、その実施するための最良の形態とともに詳細に説明する。
本発明は、ポリオール(以下、「(a)成分」ともいう。)と該ポリオールの水酸基と反応可能な官能基を有する化合物(以下、「(b)成分」ともいう。)が反応して得られる3次元架橋構造(以下、「(i)成分」ともいう。)に、蓄熱材(以下、「(ii)成分」ともいう。)が担持されてなる蓄熱体である。
(a)成分は、水酸基を含有するポリオールであり、後述する(b)成分と反応し3次元架橋構造を形成する成分である。
(a)成分としては、例えば、ポリエステルポリオール、アクリルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリオレフィンポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリカプロラクトンポリオール、ポリテトラメチレングリコールポリオール、ポリブタジエンポリオール、ポリオキシプロピレンポリオール、ポリオキシプロピレンエチレンポリオール、エポキシポリオール、アルキドポリオール、フッ素含有ポリオール、ケイ素含有系ポリオール等が挙げられ、これらのうち1種または2種以上を用いることができる。
本発明では、特に、ポリエステルポリオール、アクリルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリオレフィンポリオールを用いることが好ましく、さらにはポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオールを用いることが好ましい。
ポリエステルポリオールは、緻密な架橋構造を形成するとともに、後述する(ii)成分との相溶性が良好で、蓄熱体からの(ii)成分の漏れを抑制しやすい点で、好適に使用することができる。
ポリエステルポリオールとしては、例えば、多価アルコールと多価カルボン酸との縮合重合物;環状エステル(ラクトン)の開環重合物;多価アルコール、多価カルボン酸及び環状エステルの3種類の成分による反応物等が挙げられる。
多価アルコールとしては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリメチレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,3−テトラメチレンジオール、1,4−テトラメチレンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,3−テトラメチレンジオール、2−メチル−1,3−トリメチレンジオール、1,5−ペンタメチレンジオール、トリメチルペンタンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジオール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、1,6−ヘキサメチレンジオール、3−メチル−1,5−ペンタメチレンジオール、2,4−ジエチル−1,5−ペンタメチレンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、メタキシレングリコール、パラキシレングリコール、ビスヒドロキシエトキシベンゼン、ビスヒドロキシエチルテレフタレート、グリセリン、ジグリセリン、トリメチロールプロパン、ジトリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、シクロヘキサンジオール類(1,4−シクロヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール等)、ビスフェノール類(ビスフェノールAなど)、糖アルコール類(キシリトールやソルビトールなど)、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、2−メチロールプロパンジオール、エトキシ化トリメチロールプロパン等が挙げられる。
多価カルボン酸としては、例えば、マロン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジオン酸等の脂肪族ジカルボン酸;
1,4−シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環式ジカルボン酸;
テレフタル酸、イソフタル酸、オルトフタル酸、無水フタル酸、テレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、パラフェニレンジカルボン酸、トリメリット酸等の芳香族ジカルボン酸等が挙げられる。
環状エステルの開環重合物において、環状エステルとしては、例えば、プロピオラクトン、β−メチル−δ−バレロラクトン、ε−カプロラクトン等が挙げられる。
3種類の成分による反応物において、多価アルコール、多価カルボン酸、環状エステルとしては、前記例示のものなどを用いることができる。
本発明では、ポリエステルポリオールとして、特に、多価アルコールと多価カルボン酸との縮合重合物が好ましく、例えば、多価アルコールとして、2,4−ジエチル−1,5−ペンタメチレンジオール、3−メチル−1,5−ペンタメチレンジオール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール等、多価カルボン酸として、アジピン酸等を用いることが好ましい。
ポリエステルポリオールの製造方法は、常法により行うことができ、必要に応じ、公知の硬化剤、硬化触媒等を用いてもよい。
アクリルポリオールとしては、例えば、一分子中に1個以上の水酸基を有するアクリルモノマーを単独重合または共重合させる、または共重合可能な他のモノマーを共重合させることによって得ることができる。
一分子中に1個以上の水酸基を有するアクリルモノマーとしては、例えば、
(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸−3−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸−4−ヒドロキシブチル等の(メタ)アクリル酸エステル類;
グリセリンやトリメチロールプロパン等のトリオールの(メタ)アクリル酸モノエステル類;
上記(メタ)アクリル酸エステル類とポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコール等のポリエーテルポリオール類とのモノエーテル類;
(メタ)アクリル酸グリシジルと酢酸、プロピオン酸、p−tert−ブチル安息香酸等の一塩基酸との付加物;
上記(メタ)アクリル酸エステル類と、ε−カプロラクタム、γ−バレロラクトン等のラクトン類の開環重合により得られる付加物;
等が挙げられ、これらを単独重合または共重合することにより得ることができる。
また、共重合可能な他のモノマーとしては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸−n−プロピル、(メタ)アクリル酸−n−ブチル、(メタ)アクリル酸−t−ブチル、(メタ)アクリル酸−sec−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸−2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸−n−ヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸トリフルオロエチル、(メタ)アクリル酸n一アミル、(メタ)アクリル酸イソアミル、(メタ)アクリル酸オキチル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸ドデセニル、(メタ)アクリル酸オタタデシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸−4−tert−ブチルシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸−2−フェニルエチル、(メタ)アクリル酸−2−メトキシエチル、(メタ)アクリル酸−4−メトキシブチル等の(メタ)アクリル酸エステル類;
(メタ)アクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、イタコン酸、フマル酸、イソクロトン酸、サリチル酸、けい皮酸等の不飽和カルボン酸類;
(メタ)アクリル酸アミノメチル、(メタ)アクリル酸アミノエチル、(メタ)アクリル酸アミノプロピル、(メタ)アクリル酸アミノブチル、ブチルビニルベンジルアミン、ビニルフェニルアミン、p−アミノスチレン、(メタ)アクリル酸−N−メチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸−N−t−ブチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸−N,N−ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸−N,N−ジメチルアミノプロピル、(メタ)アクリル酸−N,N−ジエチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸−N,N−ジメチルアミノプロピル、(メタ)アクリル酸−N,N−ジエチルアミノプロピル、N−〔2−(メタ)アクリロイルオキシエチル〕ピペリジン、N−〔2−(メタ)アクリロイルオキシエチル〕ピロリジン、N−〔2−(メタ)アクリロイルオキシエチル〕モルホリン、4−〔N,N−ジメチルアミノ〕スチレン、4−〔N,N−ジエチルアミノ〕スチレン、2−ビニルピリジン、4−ビニルピリジン等の付飽和アミノ類;
(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、ジアセトン(メタ)アクリルアミド、N−モノアルキル(メタ)アクリルアミド、N−イソブトキシメチルアクリルアミド、N、N−ジアルキル(メタ)アクリルアミド、2−(ジメチルアミノ)エチル(メタクリレート)、N−[3−(ジメチルアミノ)プロピル](メタ)アクリルアミド、ビニルアミド等の不飽和アミド類;
(メタ)アクリル酸トリメトキシシリルプロピル、(メタ)アクリル酸トリエトキシシリルプロピル等のアルコキシシリル基含有モノマー類;
ビニルトリメトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロプロピルトリメトキシシラン等の加水分解性シリル基含有モノマー類;
アクリロニトリル、メタアクリロニトリル等のニトリル基含有モノマー類;
フッ化ビニリデン等のハロゲン化ビニリデン類;
スチレン、2−メチルスチレン、ビニルトルエン、t−ブチルスチレン、酢酸ビニル、ビニルアニソール、ビニルナフタレン、ジビニルベンゼン、エチレン、プロピレン、イソプレン、ブタジエン、ビニルエーテル、ビニルケトン、シリコーンマクロマー等が挙げられ、これらのうち1種または2種以上を、上述した一分子中に1個以上の水酸基を有するモノマーと共重合させることにより得ることができる。
重合方法としては、特に限定されず、公知の塊状重合、溶液重合、分散重合、酸化還元重合等を用いればよく、必要に応じ、開始剤、連鎖移動剤等またはその他の添加剤等を加えてもよい。例えば、上記のモノマー成分を、公知の過酸化物やアゾ化合物などのラジカル重合開始剤の存在下で溶液重合することによって得ることができる。
ポリカーボネートポリオールとしては、例えば、多価アルコールとホスゲンとの反応物;環状炭酸エステル(アルキレンカーボネート等)の開環重合物等が挙げられる。
環状炭酸エステルの開環重合物において、アルキレンカーボネートとしては、例えば、エチレンカーボネート、トリメチレンカーボネート、テトラメチレンカーボネート、ヘキサメチレンカーボネート等が挙げられる。
なお、ポリカーボネートポリオールは、分子内にカーボネート結合を有し、末端がヒドロキシル基である化合物であればよく、カーボネート結合とともにエステル結合を有していてもよい。
ポリオレフィンポリオールとしては、オレフィンを重合体又は共重合体の骨格(又は主鎖)の成分とし且つ分子内に(特に末端に)ヒドロキシル基を少なくとも2つ有するポリオールであって、数平均分子量が500以上のものを用いることができる。前記オレフィンとしては、末端に炭素−炭素二重結合を有するオレフィン(例えば、エチレン、プロピレン等のα−オレフィンなど)であってもよく、また末端以外の部位に炭素−炭素二重結合を有するオレフィン(例えば、イソブテンなど)であってもよく、さらにはジエン(例えば、ブタジエン、イソプレンなど)であってもよい
ポリエーテルポリオールとしては、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリエチレングリコールモノアルキルエーテル、ポリプロピレングリコールモノアルキルエーテル等のポリアルキレングリコールの他、エチレンオキシド−プロピレンオキシド共重合体などのモノマー成分として複数のアルキレンオキシドを含む(アルキレンオキサイド−他のアルキレンオキサイド)共重合体等が挙げられる。
ポリオールの水酸基価は、特に限定されないが、20〜150KOHmg/g(好ましくは25〜120KOHmg/g、さらに好ましくは30〜80KOHmg/g)程度とすればよい。
ポリオールの分子量は、特に限定されないが、500〜10000であることが望ましく、さらには1000〜3000であることが望ましい。このような分子量であれば、蓄熱材の漏れを最も抑制できる架橋構造を得ることができる。分子量が小さすぎる場合は、蓄熱材が漏れ易くなる恐れがある。分子量が大きすぎる場合は、蓄熱材を十分に保持できなくなる恐れがある。
(b)成分は、該ポリオールの水酸基と反応可能な官能基を含有する化合物であれば、特に限定されないが、例えば、反応可能な官能基として、イソシアネート基、カルボキシル基、イミド基、アルデヒド基等が挙げられる。
本発明では、特に、イソシアネート基を含有する化合物を用いることが好ましい。イソシアネート基は、水酸基との反応性に優れ、反応が迅速に進行し、かつ緻密な架橋構造を形成することができる。
イソシアネート基含有化合物としては、例えば、1,3−トリメチレンジイソシアネート、1,4−テトラメチレンジイソシアネ−ト、1,3−ペンタメチレンジイソシアネート、1,5−ペンタメチレンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネ−ト(HMDI)、1,2−プロピレンジイソシアネート、1,2−ブチレンジイソシアネート、2,3−ブチレンジイソシアネート、1,3−ブチレンジイソシアネート、2−メチル−1,5−ペンタメチレンジイソシアネート、3−メチル−1,5−ペンタメチレンジイソシアネート、2,4,4−トリメチル−1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチル−1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、2,6−ジイソシアネートメチルカプロエート、リジンジイソシアネ−ト、ダイマー酸ジイソシアネート、ノルボルネンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート;
1,3−シクロペンタンジイソシアネート、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、1,3−シクロヘキサンジイソシアネート、3−イソシアネートメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルイソシアネート、4,4´−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、メチル−2,4−シクロヘキサンジイソシアネート、メチル−2,6−シクロヘキサンジイソシアネート、1,3−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ノルボルナンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、水添ジフェニルメタンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート等の脂環式ジイソシアネート;
m−フェニレンジイソシアネ−ト、p−フェニレンジイソシアネ−ト、2,4−トリレンジイソシアネ−ト(TDI)、2,6−トリレンジイソシアネ−ト(TDI)、ナフチレン−1,4−ジイソシアネ−ト、ナフチレン−1,5−ジイソシアネ−ト、4,4´−ジフェニルジイソシアネ−ト、4,4´−ジフェニルメタンジイソシアネ−ト(MDI)、2,4´−ジフェニルメタンジイソシアネ−ト、4,4´−ジフェニルエ−テルジイソシアネ−ト、2−ニトロジフェニル−4,4´−ジイソシアネ−ト、2,2´−ジフェニルプロパン−4,4´−ジイソシアネ−ト、3,3´−ジメチルジフェニルメタン−4,4´−ジイソシネ−ト、4,4´−ジフェニルプロパンジイソシアネ−ト、3,3´−ジメトキシジフェニル−4,4´−ジイソシアネ−ト、ジアニシジンジイソシアネ−ト、テトラメチレンキシリレンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート;
1,3−キシリレンジイソシアネ−ト(XDI)、1,4−キシリレンジイソシアネ−ト(XDI)、ω,ω´−ジイソシアネート−1,4−ジエチルベンゼン、1,3−ビス(1−イソシアネート−1−メチルエチル)ベンゼン、1,4−ビス(1−イソシアネート−1−メチルエチル)ベンゼン、1,3−ビス(α,α−ジメチルイソシアネートメチル)ベンゼン等の芳香脂肪族ジイソシアネート;
等のイソシアネート基含有化合物、及びこれらのイソシアネート基含有化合物をアロハネート化、ビウレット化、2量化(ウレチジオン)、3量化(イソシアヌレート)、アダクト化、カルボジイミド反応等によって誘導体化したもの、及びそれらの混合物等が挙げられる。
本発明では、特に、脂肪族ジイソシアネートを用いることが好ましく、特にHMDI及びその誘導体化したもの等が好ましい。
(a)成分と(b)成分の混合比率は、特に限定されず、用途に合わせて適宜設定すればよい。
(b)成分として、イソシアネート基を含有する化合物を用いる場合は、NCO/OH比率で通常0.1〜1.8、好ましくは0.2〜1.5、さらに好ましくは0.3〜1.3となる範囲内で設定すればよい。
このようなNCO/OH比率の範囲内であることにより、蓄熱体の強度を強靭なものとすることができ、蓄熱材の漏れのない均一な緻密な架橋構造を得ることができる。
NCO/OH比率が0.1より小さい場合は、架橋率が低くなり、硬化性、耐久性、強度等において十分な物性を確保することができない場合があり、また蓄熱材が漏れ易くなる。NCO/OH比率が1.8よりも大きい場合は、未反応のイソシアネートが残存し、蓄熱体の各種物性に悪影響を与え、蓄熱体が変形しやすくなり、蓄熱材が漏れやすくなる。
(ii)成分としては、蓄熱材であれば特に限定されないが、好ましくは無機潜熱蓄熱材、有機潜熱蓄熱材等が挙げられる。
無機潜熱蓄熱材としては、例えば、硫酸ナトリウム10水和物、炭酸ナトリウム10水和物、リン酸水素ナトリウム12水和物、チオ硫酸ナトリウム5水和物、塩化カルシウム6水和物等の水和塩等が挙げられる。
有機潜熱蓄熱材としては、例えば、脂肪族炭化水素、長鎖アルコール、長鎖脂肪酸、長鎖脂肪酸エステル、ポリエーテル化合物、脂肪酸トリグリセリド等が挙げられ、これらの蓄熱材のうち1種または2種以上を用いることができる。
本発明では、特に有機潜熱蓄熱材を好適に用いることができる。有機潜熱蓄熱材は、沸点が高く揮発しにくいため、蓄熱体形成時における肉痩せがほとんど無く、また長期に亘り蓄熱性能が持続するため、好ましい。さらに、有機潜熱蓄熱材を用いた場合、用途に応じた相変化温度の設定が容易であり、例えば相変化温度の異なる2種以上の有機潜熱蓄熱材を混合することで、容易に相変化温度の設定が可能となる。
脂肪族炭化水素としては、例えば、炭素数8〜30の脂肪族炭化水素を用いることができ、具体的には、テトラデカン、ペンタデカン(融点6℃)、ヘキサデカン(融点18℃)、ヘプタデカン(融点22℃)、オクタデカン(融点28℃)、ノナデカン(融点32℃)、イコサン(融点36℃)、ドコサン(融点44℃)、パラフィンワックス等が挙げられる。
長鎖アルコールとしては、例えば、炭素数8〜30の長鎖アルコールを用いることができ、具体的には、ラウリルアルコール、ステアリルアルコール、ミリスチルアルコール等が挙げられる。
長鎖脂肪酸としては、例えば、炭素数8〜30の長鎖脂肪酸を用いることができ、具体的には、オクタン酸、デカン酸、ラウリン酸、ステアリン酸等の脂肪酸等が挙げられる。
長鎖脂肪酸エステルとしては、例えば、炭素数8〜30の長鎖脂肪酸エステルを用いることができ、具体的には、ミリスチン酸メチル、パルミチン酸メチル、ステアリン酸ステアリル、フタル酸ジステアリル等が挙げられる。
ポリエーテル化合物としては、例えば、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールジアクリレート、エチルエチレングリコール等が挙げられる。
脂肪酸トリグリセリドとしては、例えば、ヤシ油、パーム核油等の植物油や、その精製加工品である中鎖脂肪酸トリグリセリド、長鎖脂肪酸トリグリセリド等が挙げられる。
本発明では蓄熱材として、特に、脂肪族炭化水素、長鎖脂肪酸エステルを使用することが好ましく、さらには、長鎖脂肪酸エステルを使用することが好ましい。長鎖脂肪酸エステルの中でも、特に、炭素数15〜22の長鎖脂肪酸エステルを使用することが好ましく、このような長鎖脂肪酸エステルは、潜熱量が高く、実用温度領域に相変化温度(融点)を有するため、様々な用途に使用しやすい。
また、2種以上の有機潜熱蓄熱材を混合して使用する場合は、相溶化剤を用いることが好ましい。相溶化剤を用いることにより、有機潜熱蓄熱材どうしの相溶性をより向上させることができる。
相溶化剤としては、例えば、脂肪酸トリグリセリド、親水親油バランス(HLB)が1〜10の非イオン性界面活性剤等が挙げられ、これらの1種または2種以上を混合し用いることができる。
脂肪酸トリグリセリドは、上述したように、有機潜熱蓄熱材としても用いられる物質である。このような脂肪酸トリグリセリドは、特に有機潜熱蓄熱材同士の相溶性を、より向上させることができるとともに、優れた蓄熱性を有するため好ましい。脂肪酸トリグリセリドとしては、例えば、ヤシ油、パーム核油等の植物油や、その精製加工品である中鎖脂肪酸トリグリセリド、長鎖脂肪酸トリグリセリド等が挙げられる。
親水親油バランス(HLB)が1〜10の非イオン性界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ソルビタンセスキオレエート、ソルビタントリオレート、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタントリステアレート、グリセロールモノステアレート、グリセロールモノステアレート、グリセロールモノオレエート、ステアリン酸グリセリル、カプリル酸グリセリル、ステアリン酸ソルビタン、オレイン酸ソルビタン、セスキオレイン酸ソルビタン、ヤシ脂肪酸ソルビタン等が挙げられる。
相溶化剤と(a)成分の混合比は、通常(a)成分100重量部に対し、相溶化剤0.1重量部から30重量部(好ましくは0.5重量部から20重量部)程度とすればよい。
本発明では、粘性調整剤(以下、「(iii)成分」ともいう。)及び/または熱伝導性物質(以下、「(iv)成分」ともいう。)を(ii)成分とともに混合することが好ましい。特に本発明では、粘性調整剤(以下、「(iii)成分」ともいう。)及び熱伝導性物質(以下、「(iv)成分」ともいう。)を(ii)成分とともに混合することが好ましい。
(iii)成分は、主に、(ii)成分の粘性を調整するもので、主に(ii)成分の粘度を上昇させ、(i)成分内に(ii)成分を担持し、より保持し続ける効果がある。
そのため、高い蓄熱材含有率を有しているにもかかわらず経時的に蓄熱材が漏れることがない。さらに蓄熱体を切断したとしても、切断面から蓄熱材が漏れ出すこともなく加工性に優れ、また、釘打ち等による蓄熱材の漏れもなく施工性に優れている。
(iii)成分としては、例えば、有機ベントナイト、アマイドワックス、エチルセルロースや硝酸セルロース等の疎水性セルロース、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィンが挙げられ、これらのうち1種または2種以上を用いることができる。本発明では、特に、有機ベントナイトが好ましい。
(ii)成分と(iii)成分の混合比は、通常(ii)成分100重量部に対し、(iii)成分を0.5重量部から50重量部(好ましくは1重量部から30重量部、より好ましくは3重量部から15重量部)程度とすればよい。0.5重量部より少ない場合は、(ii)成分が(i)成分内から漏れやすくなる可能性がある。50重量部より多い場合は、(ii)成分の粘度が高くなり過ぎ、(i)成分への担持・保持工程が困難となる場合がある。
(iv)成分は、蓄熱材の熱効率性を向上させ、より優れた蓄熱性能を得ることができる。
(iv)成分としては、例えば、銅、鉄、亜鉛、ベリリウム、マグネシウム、コバルト、ニッケル、チタン、ジルコニウム、モブリデン、タングステン、ホウ素、アルミニウム、ガリウム、ケイ素、ゲルマニウム、スズ等の金属およびそれらの合金、あるいはこれらの金属を含む金属酸化物、金属窒化物、金属炭化物、金属リン化物等の金属化合物、また、鱗状黒鉛、塊状黒鉛、土状黒鉛、繊維状黒鉛等の黒鉛等が挙げられ、これらを1種または2種以上を混合して用いることができる。
熱伝導性物質の熱伝導率としては、1W/(m・K)以上、さらには3W/(m・K)以上、さらには5W/(m・K)以上であることが好ましい。このような熱伝導率を有する熱伝導性物質を混合することにより、蓄熱体内の熱の移動をスムーズにし、より効率よく蓄熱材の熱効率性を向上させることができる。
また、熱伝導性物質は、微粒子として用いることが好ましく、平均粒子径は、1〜100μm、さらには5〜50μmであることが好ましい。
(ii)成分と(iv)成分の混合比は、通常(ii)成分100重量部に対し、(iv)成分を5重量部から200重量部(好ましくは10重量部から80重量部、より好ましくは20重量部から60重量部)程度とすればよい。5重量部より少ない場合は、蓄熱性能の向上がみられにくい。200重量部より多い場合は、粘度が高くなり、(i)成分に効率よく担持することが困難となる場合がある。
本発明蓄熱体の製造は、特に限定されず公知の方法により製造することができる。本発明では、特に、予め(a)成分、(b)成分、(ii)成分、必要に応じ(iii)成分及び/または(iv)成分を混合し、(a)成分と(b)成分を反応させ、蓄熱体を得る方法が好ましい。
具体的には、まず、(a)成分、(b)成分、(ii)成分、必要に応じ(iii)成分及び/または(iv)成分を均一に混合、即ち、(a)成分、(b)成分、(ii)成分(及び(iii)成分、(iv)成分)を相溶状態にする。次いで、(a)成分と(b)成分を反応させることにより、(a)成分と(b)成分からなる緻密に入り組んだ3次元架橋構造が形成される。この過程では、相溶状態から非相溶状態の変化に伴うミクロ相分離が起こるものと思われる。
この3次元架橋構造に(ii)成分(及び(iii)成分、(iv)成分)が担持された状態となり、蓄熱体が形成される。
このような3次元編目構造型多孔体の製造では、さらに、上述した相溶化剤を混合し製造することが好ましい。相溶化剤は、(ii)成分同士の相溶性のみならず、(ii)成分と(a)成分及び(b)成分との相溶性も向上させることができるため、より緻密な3次元編目構造型多孔体が形成され、多孔体から(ii)成分(及び(iii)成分、(iv)成分)が洩れることを、よりいっそう防ぐことができる。
相溶化剤としては、上述した脂肪酸トリグリセリドや、親水親油バランス(HLB)が1〜10の非イオン性界面活性剤等が挙げられるが、(ii)成分と(a)成分及び(b)成分との相溶性には、特に親水親油バランス(HLB)が1〜10の非イオン性界面活性剤が好ましい。
このとき、反応温度は、(ii)成分の融点以上であることが好ましい。具体的な反応温度は(ii)成分の種類によって異なるが、通常20℃〜100℃程度である。(ii)成分の融点以上で反応させることにより、相溶状態になりやすく、優れた蓄熱体が形成される。また、反応時間は通常0.5〜10時間程度とすればよい。
このような製造において、(a)成分の分子量は、特に限定されないが、500〜10000であることが望ましく、さらには1000〜3000であることが望ましい。このような分子量であれば、(ii)成分と容易に溶融混合することができ、容易に相溶状態をつくり出すことができる。よって、より優れた3次元架橋構造を得ることができ、優れた蓄熱体を得ることができる。
さらに、(a)成分と(b)成分の混合比率は、特に限定されず、適宜設定すればよいが、(b)成分として、イソシアネート基を含有する化合物を用いる場合は、NCO/OH比率が、0.1〜1.8、好ましくは0.2〜1.5、さらに好ましくは0.3〜1.3であることによって、より優れた3次元架橋構造を得ることができ、優れた蓄熱体を得ることができる。
また、(a)成分と(b)成分の反応では、反応促進剤を用いて硬化反応を迅速に進めることもできる。
反応促進剤としては、例えば、トリエチルアミン、トリエチレンジアミン、トリエチルアミン、テトラメチルブタンジアミン、ジメチルアミノエタノール、ダイマージアミン、ダイマー酸ポリアミドアミン等のアミン類;
ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジアセテート、錫オクテート等の錫カルボン酸塩類;
ナフテン酸鉄、ナフテン酸コバルト、ナフテン酸マンガン、ナフテン酸亜鉛、オクチル酸鉄、オクチル酸コバルト、オクチル酸マンガン、オクチル酸亜鉛等の金属カルボン酸塩類;
ジブチルチンチオカルボキシレート、ジオクチルチンチオカルボキシレート、トリブチルメチルアンモニウムアセテート、トリオクチルメチルアンモニウムアセテート等のカルボキシレート類;
アルミニウムトリスアセチルアセテート等のアルミニウム化合物;
等が挙げられ、1種または2種以上を用いることができる。
反応促進剤は、(a)成分の固形分100重量部に対して、通常0.01〜10重量部、好ましくは0.05〜5重量部の比率で混合する。反応促進剤が0.01重量部より少ない場合は、硬化性や強度が不十分となる場合がある。10重量部より多い場合は、耐久性、耐変色性等が低下する傾向となる。
また、上述の成分以外に、本発明の効果を阻害しない範囲内で各種添加剤を配合することも可能である。このような添加剤としては、例えば、可塑剤、防腐剤、防黴剤、防藻剤、消泡剤、レベリング剤、顔料分散剤、沈降防止剤、たれ防止剤、硬化促進剤、脱水剤、艶消し剤、難燃剤、紫外線吸収剤、光安定剤等が挙げられる。
本発明蓄熱体は、上記製造方法により製造することができ、その形状は、シート状、棒状、針状、球状、角状、粉末状等、特に限定されない。
本発明ではシート状が好ましく、例えば、シート状の蓄熱体は、蓄熱体の片面または両面に各種基材を、使用用途に合わせて積層することもできるし、また、シート形成時に各種基材を予め積層し、蓄熱体を形成することもできる。この際、蓄熱体の形成方法としては、特に限定されず、押出し形成、型枠形成等、または各種基材にスプレー塗装、ローラー塗装、刷毛塗り、コテ塗り、流し込み等の公知の方法で塗付することにより形成することができる。
基材としては、不織布、織布、紙、合成紙、木材、パーティクルボード、セラミックペーパー、金属板、金属箔、合成樹脂板、プラスチックフィルム(PETフィルム等)、石膏ボード、珪酸カルシウム板、セメント系板、硬質フォーム板、ガラスクロス、メッシュ等が挙げられる。
また、シート状の蓄熱体の厚さは、特に限定されないが、通常1〜30mm(好ましくは、2〜20mm)程度とすればよい。
本発明蓄熱体は、(a)成分と(b)成分からなる3次元架橋構造が、緻密に入り組んだ構造をとるため、多量の(ii)成分を担持することができる。具体的には、蓄熱材含有率が、好ましくは40重量%以上、さらに好ましくは50重量%以上、より好ましくは60重量%以上、最も好ましくは65重量%以上とすることができる。このような高い蓄熱材含有率は、(a)成分と(b)成分の緻密な3次元架橋構造に加えて、(a)成分、(b)成分、(ii)成分(及び(iii)成分、(iv)成分)の相互作用により達成されるものである。
よって、高い蓄熱材含有率を有するため、蓄熱性に優れ、かつ、高い蓄熱材含有率を有しているにも関わらず経時的に蓄熱材が漏れることが無い。さらに蓄熱体を切断したとしても、切断面から蓄熱材が漏れ出すこともなく加工性に優れ、また、釘打ち等による蓄熱材の漏れもないことから施工性に優れている。
さらに、(a)成分と(b)成分の種類、混合比等を制御することによって、形成体の強度、柔軟性等を制御することができ、(ii)成分の含有率を制御することができるため、様々な用途に適用することができる。
以下に実施例及び比較例を示し、本発明の特徴をより明確にするが、本発明はこの実施例に限定されない。
(実施例1)
表1に示す原料を用い、表2に示す配合量にて、ポリオールA、ポリイソシアネートA、蓄熱材Aを50℃で均一に混合し、反応促進剤を加え、十分攪拌した。攪拌後、250mm×170mm×5mmの型枠中に流し込み、80℃で30分硬化させ、試験体を得た。なおNCO/OH比率は1.0であった。得られた試験体について、次の試験を行った。結果は表3に示す。
Figure 2005098677
Figure 2005098677
Figure 2005098677
(蓄熱材漏れ評価試験)
得られた試験体を、10℃または50℃の雰囲気下でそれぞれ72時間放置した後、温度23℃、湿度50%(以下、「標準状態」ともいう。)環境下に移し、試験体からの蓄熱材の漏れを観察した。評価は次の通りである。結果は表3に示す。
◎:漏れがみられなかった
○:漏れがほとんどみられなかった
×:漏れがみられた
(蓄熱物性試験)
DSC220CU(セイコーインスツルメンツ株式会社製)を用いて、示差走査熱量測定(DSC測定)により、得られた試験体の相変化温度(℃)および潜熱量(kJ/kg)を測定した。測定条件としては、アルミニウムをリファレンスとし、昇温温度10℃/min、−20〜60℃の温度領域で測定した。結果は表3に示す。
(加工性試験)
標準状態において、得られた試験体をカッターナイフで切断し、切断面からの蓄熱材の漏れを観察した。評価は次の通りである。結果は表3に示す。
◎:漏れがみられなかった
○:漏れがほとんどみられなかった
×:漏れがみられた
(施工性試験)
標準状態において、得られた試験体に釘打ちし、釘打ちによる蓄熱材の漏れを観察した。評価は次の通りである。結果は表3に示す。
◎:漏れがみられなかった
○:漏れがほとんどみられなかった
×:漏れがみられた
(実施例2)
表1に示す原料を用い、表2に示す配合量にて、ポリオールB、ポリイソシアネートB、蓄熱材Bを50℃で均一に混合し、反応促進剤を加え、十分攪拌した。攪拌後、250mm×170mm×5mmの型枠中に流し込み、80℃で30分硬化させ、試験体を得た。なおNCO/OH比率は1.0であった。得られた試験体について、実施例1と同様の試験を行った。結果は表3に示す。
(実施例3)
表1に示す原料を用い、表2に示す配合量にて、ポリオールA、ポリイソシアネートA、蓄熱材A、粘性調整剤を50℃で均一に混合し、反応促進剤を加え、十分攪拌した。攪拌後、250mm×170mm×5mmの型枠中に流し込み、80℃で30分硬化させ、試験体を得た。なおNCO/OH比率は1.0であった。得られた試験体について、実施例1と同様の試験を行った。結果は表3に示す。
(実施例4)
表1に示す原料を用い、表2に示す配合量にて、ポリオールC、ポリイソシアネートB、蓄熱材A、粘性調整剤を50℃で均一に混合し、反応促進剤を加え、十分攪拌した。攪拌後、250mm×170mm×5mmの型枠中に流し込み、80℃で30分硬化させ、試験体を得た。なおNCO/OH比率は1.0であった。得られた試験体について、実施例1と同様の試験を行った。結果は表3に示す。
(実施例5)
表1に示す原料を用い、表2に示す配合量にて、ポリオールC、ポリイソシアネートB、蓄熱材A、粘性調整剤、熱伝導物質を50℃で均一に混合し、反応促進剤を加え、十分攪拌した。攪拌後、250mm×170mm×5mmの型枠中に流し込み、80℃で30分硬化させ、試験体を得た。なおNCO/OH比率は1.0であった。得られた試験体について、実施例1と同様の試験を行った。結果は表3に示す。
(実施例6)
表1に示す原料を用い、表2に示す配合量にて、ポリオールC、ポリイソシアネートB、蓄熱材A、熱伝導物質を50℃で均一に混合し、反応促進剤を加え、十分攪拌した。攪拌後、250mm×170mm×5mmの型枠中に流し込み、80℃で30分硬化させ、試験体を得た。なおNCO/OH比率は1.0であった。得られた試験体について、実施例1と同様の試験を行った。結果は表3に示す。
(実施例7)
表1に示す原料を用い、表2に示す配合量にて、ポリオールC、ポリイソシアネートB、蓄熱材A、蓄熱材B、粘性調整剤を50℃で均一に混合し、反応促進剤を加え、十分攪拌した。攪拌後、250mm×170mm×5mmの型枠中に流し込み、80℃で30分硬化させ、試験体を得た。なおNCO/OH比率は1.0であった。得られた試験体について、実施例1と同様の試験を行った。結果は表3に示す。
(実施例8)
表1に示す原料を用い、表2に示す配合量にて、ポリオールC、ポリイソシアネートB、蓄熱材A、蓄熱材B、相溶化剤A、粘性調整剤を50℃で均一に混合し、反応促進剤を加え、十分攪拌した。攪拌後、250mm×170mm×5mmの型枠中に流し込み、80℃で30分硬化させ、試験体を得た。なおNCO/OH比率は1.0であった。得られた試験体について、実施例1と同様の試験を行った。結果は表3に示す。
(実施例9)
表1に示す原料を用い、表2に示す配合量にて、ポリオールC、ポリイソシアネートB、蓄熱材A、蓄熱材B、相溶化剤B、粘性調整剤、熱伝導物質を50℃で均一に混合し、反応促進剤を加え、十分攪拌した。攪拌後、250mm×170mm×5mmの型枠中に流し込み、80℃で30分硬化させ、試験体を得た。なおNCO/OH比率は1.0であった。得られた試験体について、実施例1と同様の試験を行った。結果は表3に示す。
(比較例1)
表1に示すシリカパウダー7重量部に蓄熱材A20重量部を含浸させて、ペーストを作製した。その後、作製したペースト27重量部、水35重量部、焼石膏40重量部を混合したスラリーを250mm×170mm×5mmの型枠中に流し込み、50℃で一晩乾燥し、試験体を得た。得られた試験体について、実施例1と同様の試験を行った。結果は表3に示す。
(比較例2)
表1に示す蓄熱材Aを内包した蓄熱材マイクロカプセル水分散液(固形分50%、蓄熱材含有率40重量%、カプセル成分:メラミン樹脂)35重量部と、水25重量部、焼石膏40重量部を混合したスラリーを250mm×170mm×5mmの型枠中に流し込み、50℃で一晩乾燥し、試験体を得た。得られた試験体について、実施例1と同様の試験を行った。結果は表3に示す。
(比較例3)
表1に示す蓄熱材Aをアルミ蒸着ポリエチレンテレフタレートのシートでラミネートし(250mm×170mm×5mm)、試験体を得た。得られた試験体について、実施例1と同様の試験を行った。結果は表3に示す。ただし、蓄熱物性試験については、直接測定することが不可能であるため、蓄熱材の物性値から、シートの熱伝導率や重量に基づき換算した。
(比較例4)
表1に示す蓄熱材Aをゼラチンでカプセル化したもの(粒径3mm、蓄熱材含有率70%)を250mm×170mm×5mmのポリエチレンテレフタレートのケースに詰め込み、試験体を得た。得られた試験体について、実施例1と同様の試験を行った。結果は表3に示す。ただし、蓄熱物性試験については、直接測定することが不可能であるため、蓄熱材の物性値から、ゼラチン被膜およびポリエチレンテレフタレートのケースの熱伝導率や重量に基づき換算した。
本発明の蓄熱体は、主として、シート状に成形・加工したものを、住宅等の建築物の内壁材、外壁材、天井材、床材の裏面に貼り合わせた内・外装材、車輌等の内装材として好適に用いることができる。さらに、本発明の蓄熱体は、熱電変換システム、冷蔵・冷凍庫、クーラーボックス、保温シート等にも適用できる。

Claims (7)

  1. ポリオール(a)と該ポリオールの水酸基と反応可能な官能基を有する化合物(b)が反応して得られる3次元架橋構造(i)に、
    蓄熱材(ii)が担持されてなる蓄熱体。
  2. ポリオール(a)、該ポリオールの水酸基と反応可能な官能基を有する化合物(b)及び蓄熱材(ii)を均一になるように混合し、(a)成分と(b)成分を反応させることにより得られる蓄熱体。
  3. ポリオール(a)と該ポリオールの水酸基と反応可能な官能基を有する化合物(b)が反応して得られる3次元架橋構造(i)に、
    蓄熱材(ii)と、粘性調整剤(iii)及び/または熱伝導性物質(iv)の混合物が担持されてなる蓄熱体。
  4. ポリオール(a)、該ポリオールの水酸基と反応可能な官能基を有する化合物(b)、蓄熱材(ii)、粘性調整剤(iii)及び/または熱伝導性物質(iv)を均一になるように混合し、(a)成分と(b)成分を反応させることにより得られる蓄熱体。
  5. (a)成分がポリエステルポリオールであることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の蓄熱体。
  6. 蓄熱材(ii)が、有機潜熱蓄熱材であることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれかに記載の蓄熱体。
  7. 蓄熱材(ii)の含有率が、40重量%以上であることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれかに記載の蓄熱体。
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