JP4711699B2 - 制振性積層体 - Google Patents

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本発明は、空気伝播音や固体伝播音等の振動エネルギーを減少させることのできる優れた制振性能を有し、かつ、優れた制振性能を維持できる制振性積層体に関するものである。
近年、快適な居住空間に対する関心が高まっており、低振動性、低騒音性が求められている。そのような状況下、ゴムやエラストマー等の樹脂系制振材は、振動エネルギーを熱エネルギーに変換して振動を減衰させるものであり、屋上や床面、間仕切壁等の建築物、家電製品、車輌、OA機器、精密機器等の振動・騒音抑制に利用されている。
一般に、樹脂系制振材の制振性能を示す一つの手段として損失係数(tanδ)が挙げられ、tanδが最大値を示す温度付近で優れた制振性能を有することが知られている。このtanδは樹脂のガラス転移温度(Tg)と相関関係があり、特定の温度領域で制振性能を発揮させるためには、特定の温度領域でtanδが最大値となるように、樹脂のTgを設定することが重要となる。
このような樹脂系制振材は、粘弾性体であり、空気伝播音や固体伝播音等の振動エネルギーを受けて、樹脂の分子運動により熱エネルギーに変換し、振動を減衰させることができるものであり、例えば、ブチルゴム、ポリノルボルネンゴム、ウレタンゴム、塩化ビニルゴム等が広範に使用されている。
例えば、特許文献1では、Tgの異なる樹脂組成物をブレンドしたり、可塑剤を添加することによって、Tgを調節し、特定温度領域での制振性能の向上を図っている。
特開平7−138439号公報
しかしながら、特許文献1等の樹脂系制振材は、その制振性能は樹脂のTgに依存することが大きく、設定Tg以外の温度領域では、tanδの値が小さくなりやすく、制振性能に劣るという問題があった。
本発明は、このような点に鑑みなされたものであり、目的とする温度領域で優れた制振性能を有し、かつ、雰囲気温度が変化したとしても優れた制振性能を維持することができる制振性積層体を提供するものである。
上記課題を解決するために、鋭意検討をした結果、動的粘弾性測定により求められる損失係数(tanδ)の最大値が0.5以上である制振性樹脂からなる制振層(A)と、制振層(A)における損失係数(tanδ)の最大値を示す温度のプラスマイナス10℃の温度領域に相変化温度を有する蓄熱材(x−1)を含有する蓄熱層(X)を積層することによって、優れた制振性能を有し、かつ、優れた制振性能を維持することができることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は以下の特徴を有するものである。
1.制振層(A)と蓄熱層(X)が積層され、
制振層(A)が、制振性樹脂を含有し、動的粘弾性測定により求められる損失係数(tanδ)の最大値が0.5以上であり、
該制振性樹脂が、(a)水酸基価が50〜150mgKOH/g、多分散度(重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn))が2.0以下、数平均分子量(Mn)が1000〜15000である水酸基含有化合物、(b)ポリイソシアネート化合物を含有し、
蓄熱層(X)が、蓄熱材(x−1)を含有し、蓄熱材(x−1)の相変化温度が、制振層(A)における損失係数(tanδ)の最大値を示す温度のプラスマイナス10℃の温度領域に存在することを特徴とする制振性積層体。
2.制振性樹脂が、
(a)(a−1)水酸基を含有する(メタ)アクリル単量体と(a−2)前記(a−1)以外の重合性不飽和単量体の混合物を重合して得られる共重合体であって、水酸基価が50〜150mgKOH/g、多分散度(重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn))が2.0以下、数平均分子量(Mn)が1000〜15000である共重合体、
(b)ポリイソシアネート化合物、
を含有することを特徴とする1.に記載の制振性積層体。
3.蓄熱層(X)が、蓄熱材(x−1)をカプセル化した蓄熱性カプセルを含有するものであることを特徴とする1.または2.に記載の制振性積層体。
4.蓄熱材(x−1)をカプセル化した蓄熱性カプセルにおいて、該カプセルのカプセル壁が、下記の化学式1で示される結晶性ビニルモノマーを主成分とするモノマーを重合して得られる重合体から形成されたものであることを特徴とする3.に記載の制振性積層体。
(化学式1)
(R1は水素(−H)またはメチル基(−CH3)、Xはエステル結合(−COO−)、エーテル結合(−O−)またはアミド結合(−CONH−)、R2は炭素数12から36の直鎖アルキル基)
5.蓄熱層(X)が、蓄熱材(x−1)を多孔体に充填したものであることを特徴とする1.または2.に記載の制振性積層体。
6.蓄熱層(X)が、蓄熱材(x−1)と、粘性調整剤及び/または熱伝導性物質を多孔体に充填したものであることを特徴とする5.に記載の制振性積層体。
7.多孔体が、反応性官能基を含有する化合物(x−2)と該反応性官能基と反応可能な反応性官能基を含有する化合物(x−3)との反応により形成されたものであることを特徴とする5.または6.に記載の制振性積層体。
8.蓄熱層(X)が、蓄熱材(x−1)、反応性官能基を含有する化合物(x−2)と該反応性官能基と反応可能な反応性官能基を含有する化合物(x−3)を均一に混合し、(x−2)成分と(x−3)成分を反応させて得られるものであることを特徴とする1.または2.に記載の制振性積層体。
9.蓄熱層(X)が、蓄熱材(x−1)と、粘性調整剤及び/または熱伝導性物質、反応性官能基を含有する化合物(x−2)と該反応性官能基と反応可能な反応性官能基を含有する化合物(x−3)を均一に混合し、(x−2)成分と(x−3)成分を反応させて得られるものであることを特徴とする1.または2.に記載の制振性積層体。
10.蓄熱層が、蓄熱材(x−1)、親水親油バランス(HLB値)が10以上の非イオン性界面活性剤、反応性官能基を含有する化合物(x−2)と該反応性官能基と反応可能な反応性官能基を含有する化合物(x−3)を混合し、蓄熱材をコロイド状に分散させ、(x−2)成分と(x−3)成分を反応させて得られるものであることを特徴とする1.または2.に記載の制振性積層体。
11.蓄熱層が、蓄熱材(x−1)と、粘性調整剤及び/または熱伝導性物質、親水親油バランス(HLB値)が10以上の非イオン性界面活性剤、反応性官能基を含有する化合物(x−2)と該反応性官能基と反応可能な反応性官能基を含有する化合物(x−3)を混合し、蓄熱材をコロイド状に分散させ、(x−2)成分と(x−3)成分を反応させて得られるものであることを特徴とする1.または2.に記載の制振性積層体。
12.蓄熱材(x−1)が有機潜熱蓄熱材であることを特徴とする1.から11.のいずれかに記載の制振性積層体。
本発明の制振性積層体は、目的とする温度領域で優れた制振性能を有し、かつ、雰囲気温度が変化したとしても優れた制振性能を維持することができる。
以下、本発明を実施するための最良の形態とともに詳細に説明する。
本発明の制振性積層体は、制振層(以下「(A)層」ともいう。)と蓄熱層(以下「(X)層」ともいう。)を積層したものである。
(A)層は、制振性樹脂を含有し、動的粘弾性測定により求められる損失係数(tanδ)の最大値が0.5以上(好ましくは、0.8以上、好ましくは、1.0以上)であることを特徴とする。損失係数(tanδ)の最大値が0.5以上であることにより、優れた制振性能を示すことができる。
さらに(X)層は、蓄熱材を含有し、蓄熱材の相変化温度(融点)が、(A)層における損失係数(tanδ)の最大値を示す温度のプラスマイナス10℃(好ましくはプラスマイナス5℃、さらに好ましくはプラスマイナス3℃)の温度領域に存在することを特徴とする。このような温度領域に蓄熱材の相変化温度(融点)が存在することによって、雰囲気温度が変化したとしても、本発明の制振性積層体が優れた制振性能を示す温度領域を長時間保つことができ、優れた制振性能を長期に亘って維持することができる。
なお、損失係数(tanδ)の測定は、強制振動型粘弾性装置(Rheogel E−4000 株式会社ユービーエム製)を用いた圧縮モードで行い、昇温温度2.0℃/min、周波数10Hzで振幅歪0.1mmの条件で測定するものである。
−制振層((A)層)−
本発明における(A)層は、動的粘弾性測定により求められる損失係数(tanδ)の最大値が0.5以上(好ましくは0.8以上、さらに好ましくは1.0以上)である制振性樹脂から形成されるものであれば特に限定されない。
本発明の制振性樹脂は、特に限定されないが、例えば、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、塩素化ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン/酢酸ビニル共重合体、ポリメタクリル酸メチル、ポリフッ化ビニリデン、ポリイソプレン、ポリスチレン、スチレン/ブタジエン/アクリロニトリル共重合体、スチレン/アクリロニトリル共重合体、ポリウレタン、ポリエステル、ポリオレフィン等が挙げられ、これらのうち、1種または2種以上を複合して用いることができる。また、アクリロニトリル/ブタジエン共重合ゴム(NBR)、スチレン/ブタジエン共重合ゴム(SBR)、ブタジエンゴム(BR)、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)等のゴム類を含有してもよい。
本発明では、機械的物性を考慮し、制振性樹脂として、ポリウレタン系の制振性樹脂を使用することが好ましい。
ポリウレタン系の制振性樹脂としては、例えば、水酸基を含有する化合物(以下、「(a)成分」ともいう。)と、ポリイソシアネート化合物(以下、「(b)成分」ともいう。)を反応させることにより得られる。このような(a)成分と(b)成分の反応硬化型のポリウレタン系の制振性樹脂は、tanδの設定が容易であり、かつ、優れた機械的物性が得られる点で有利である。
制振性樹脂として、(a)成分、(b)成分を使用する場合、(a)成分は、水酸基価が50〜150mgKOH/g、多分散度(重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn))が2.0以下、数平均分子量(Mn)が1000〜15000である水酸基含有化合物を用いることが好ましい。
(a)成分が特定の水酸基価、多分散度、数平均分子量であることにより、優れた制振性能を発揮することができる。
(a)成分の水酸基価は、好ましくは50〜150mgKOH/g、さらに好ましくは60〜130mgKOH/gである。水酸基価が50〜150mgKOH/gであることにより、優れた制振性能及び機械的物性を示す制振材を得ることができる。50mgKOH/gより小さい場合は、硬化性が不十分となり、機械的物性に劣る場合がある。150mgKOH/gより大きい場合は、硬化物の架橋密度が高くなりすぎ制振性能が低下する場合がある。
(a)成分の多分散度(重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn))は、好ましくは2.0以下、さらに好ましくは、1.8以下である。多分散度が2.0以下であることにより、硬化体の分子量分布が狭くなり、優れた制振性能を発揮する。多分散度が2.0より大きい場合は、制振性の低下がみられる傾向がある。
(a)成分の数平均分子量(Mn)は、好ましくは1000〜15000、さらに好ましくは2000〜10000である。数平均分子量(Mn)が1000〜15000であれば、比較的低粘度であり、(b)成分との硬化反応が均一に進行するため、硬化物の制振性能が向上する。数平均分子量(Mn)が1000より小さい場合は、せん断強度等の機械的物性に劣る場合がある。15000より大きい場合は、粘度が高くなり、架橋反応が不均一に進行しやすく、硬化物の制振性能が低下する場合がある。
なお、多分散度および数平均分子量は、ゲルパーミションクロマトグラフィー(GPC)(LC−6A、株式会社島津製作所製)を用いて、溶媒にテトラヒドロフランを使用し、ポリスチレン換算で算出したものである。
このような(a)成分は、例えば、水酸基を含有する(メタ)アクリル単量体(以下、「(a−1)成分」ともいう。)を1種または2種以上を重合し、得ることができる。また、(a−1)成分と(a−1)成分以外の重合性不飽和単量体(以下、「(a−2)成分」ともいう。)を共重合し、得ることもできる。
(a−1)成分としては、例えば、2−ヒドロキシ(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、グリセリンモノ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート等の多価アルコールのモノまたはポリ(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
(a−2)成分としては、例えば、(メタ)アクリル酸、イタコン酸等の不飽和カルボン酸類;
(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸2−エトキシエチル、(メタ)アクリル酸2−イソボロニル、(メタ)アクリル酸ベンジル等の不飽和モノカルボン酸エステル類;
無水マレイン酸等の不飽和ポリカルボン酸類;
グリシジル(メタ)アクリレート等のエポキシ基含有不飽和化合物類;
(メタ)アクリロニトリル等のニトリル基含有不飽和化合物類;
ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、アミノエチルビニルエーテル等のアミノ基含有不飽和化合物類;
(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド等のアミド基含有不飽和化合物;
エチレン、プロピレン、イソブチレン等の脂肪族ビニル系単量体;
スチレン、α−メチルスチレン等の芳香族炭化水素系ビニル単量体;
ブタジエン、イソプレン等のジエン類;
酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル類;
等が挙げられる。
本発明の(a)成分は、(a−1)成分と(a−2)成分を共重合することにより得られるものであることが好ましい。(a−1)成分と(a−2)成分を共重合することにより1分子あたりの水酸基量を制御することができ、(b)成分との架橋反応を制御することができる。
(a−1)成分と(a−2)成分の比率は、重量比で(a−1)成分100重量部に対し、(a−2)成分100〜500重量部であることが好ましい。このような範囲であることにより、より優れた制振制能を発揮する。(a−2)成分が100重量部より少ない場合は、1分子あたりの水酸基が多くなるため、(b)成分との架橋密度が大きくなり、制振制能に劣る場合がある。(a−2)成分が500重量部より多い場合は、1分子あたりの水酸基が少なくなるため、(b)成分との架橋密度が小さくなり、機械的物性に劣る場合がある。
(a)成分の製造方法は、特に限定されず公知の方法で製造できる。例えば、溶液重合、塊状重合、懸濁重合、酸化還元重合、光重合等で製造することができ、必要に応じ、多段階重合で製造することもできる。特に、150〜300℃の高温下において、連続的に塊状重合することが好ましく、このような製造方法では、溶液重合に比べて、低分子量で、分子量分布の狭い共重合体を得ることができ、溶媒含有量を低減することができ、好ましい。
開始剤としては、特に限定されず、公知のものを使用することができ、例えば、アゾビスイソブチロニトリルおよびその塩酸塩;クメンハイドロパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド等の有機過酸化物:これらの過硫酸塩または過酸化物と鉄イオン等の金属イオンおよびナトリウムスルボキシレート、ホルムアルデヒド、ピロ亜硫酸ソーダ、L−アスコルビン酸等の還元剤との組合せによるレドックス開始剤などがあげられる。これらの使用量は、特に限定されないが、単量体混合物100重量部に対して、0.01から10重量部程度とすればよい。
溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、t−ブチルアルコール等のアルコール類、エチレングリコール、プロピレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル等のエチレングリコール類、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル等のプロピレングリコール類、n−メチルピロリドン、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素、シクロヘキサン、イソパラフィン、シクロヘキサノン、ミネラルスピリット等の脂肪族炭化水素、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸イソプロピル等のエステル類等またはそれらの混合物等が挙げられる。溶媒の使用量は、単量体混合物100重量部に対して、0重量部から1000重量部程度とすればよい。
(b)成分は、ポリイソシアネート化合物である。ポリイソシアネート化合物は、上記(a)成分と反応して硬化可能なものであればよい。
このような(b)成分としては、例えば、4,4−ジフェニルメタンジイソシアネート(pure−MDI)、ポリメリックMDI、キシリレンジイソシアネート(XDI)、トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HMDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、水添XDI、水添MDI等のイソシアネートモノマーを、アロファネート化、ビウレット化、2量化(ウレチジオン化)、3量化(イソシアヌレート化)、アダクト化、カルボジイミド化反応等により誘導体化したもの、及びそれらの混合物が使用できる。これらの(b)成分のうち、HMDI、IPDI、水添XDI、水添MDI等の誘導体である脂肪族系のポリイソシアネート化合物が好適である。
また、本発明では、溶剤含有量の少ない(b)成分を用いることが望ましく、無溶剤型ポリイソシアネートが好適である。
(b)成分と(a)成分との混合比率は、特に限定されないが、NCO/OH当量比で通常0.2〜2.0、さらには0.7〜1.3であることが好ましい。
このような範囲であることにより、より優れた制振性能と機械的物性を示すことができる。このような範囲以外であれば、架橋密度が不十分となり、機械的物性に劣る傾向がある。
さらに、本発明の制振性樹脂組成物は、(A)成分((a−1)成分、(a−2)成分)、(b)成分の各種組成、NCO/OH当量比、水酸基価等を適宜設定することにより、動的粘弾性測定により求められる損失係数(tanδ)の特定温度領域における最大値を設定することができる。
本発明では、常温領域で使用する場合には、tanδの最大値が0〜50℃の温度領域にあればよい。
制振性樹脂として、上述した(a)成分、(b)成分を用いる場合には、硬化助剤を用いて(A)層を形成することが好ましい。硬化助剤は、(a)成分と(b)成分の硬化反応を促進する効果がある。
硬化助剤としては、例えば、トリエチルアミン、トリエチレンジアミン、テトラメチルブタンジアミン、ジメチルアミノエタノール、ダイマージアミン、ダイマー酸ポリアミドアミン等のアミン類;
ブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジアセテート、錫オクテート、錫オクチレート等の錫カルボン酸塩類;
オクチル酸鉄、オクチル酸コバルト、オクチル酸マンガン、オクチル酸亜鉛、オクチル酸鉄、オクチル酸コバルト、オクチル酸マンガン、オクチル酸亜鉛等の金属カルボン酸塩類;
ジブチルチンチオカルボキシレート、ジオクチルチンチオカルボキシレート、トリブチルメチルアンモニウムアセテート、トリオクチルメチルアンモニウムアセテート等のカルボキシレート類;
アルミニウムトリスアセチルアセテート等のアルミニウム化合物類等が使用可能である。その中でも、特に錫カルボン酸塩類を使用することが好適である。硬化助剤の混合比率は、(A)成分の固形分100重量部に対して0.001〜1重量部であることが好ましい。
本発明(A)層では、上記成分以外にさらに、(c)一次粒子径が100nm以下(好ましくは5〜30nm)である微粒子(以下「(c)成分」という)を含有することが好ましい。(c)成分を含有することにより、制振性樹脂と(c)成分との接触界面が著しく大きく両者の摩擦による熱エネルギー発散が大きくなるため、樹脂のガラス転移温度より高い温度域で、高い損失係数(tanδ)を維持することができ優れた制振性を維持することができる。
(c)成分としては、例えば、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化鉄等の金属酸化物、シリカゲル、ゼオライト等の多孔質粉体、マイカ、カオリン、パーライト、モンモリロナイト等の粘土鉱物、炭酸カルシウム、黒鉛、タルク、硫酸バリウム等の無機質粉体、その他、有機質粉体等が使用可能である。このうち、本発明では、金属酸化物が好ましく用いられる。(c)成分の形状は、特に限定されず、フレーク状、球状、燐片状、針状等のものを用いることができる。
本発明に用いる(c)成分は、例えば、各種の粉砕方法や分散方法により得ることもできる。このような微粒化処理においては、例えば、ボールミル、ビーズミル、サンドミル、アトライター、三本ロール、バスケットミル、ディスパーサー、コボールミル、パールミル、ナノマイザー、等を用いることができる。
なお、本発明における一次粒子径は、透過型電子顕微鏡観察により測定されるものである。
(c)成分の混合比率は、(a)成分の固形分100重量部に対して、20重量部〜300重量部、さらには30重量部〜100重量部であることが好ましい。混合量がこのような範囲である場合には、樹脂のガラス転移温度より高い温度域で、より高い損失係数が維持できる。
本発明の(A)層では、上記分以外に、以下の添加剤を本発明の効果を阻害しない範囲内で添加することもできる。このような添加剤としては、例えば、溶剤、顔料、染料、骨材、艶消し剤、繊維、増粘剤、レベリング剤、可塑剤、防黴剤、分散剤、消泡剤、pH調整剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤等が挙げられる。
−蓄熱層((X)層)−
本発明の(X)層は、蓄熱材(以下、「(x−1)成分」ともいう。)を含有し、蓄熱材の相変化温度(融点)が、制振性樹脂における損失係数(tanδ)の最大値を示す温度のプラスマイナス10℃(好ましくはプラスマイナス5℃、さらに好ましくはプラスマイナス3℃)の温度領域に存在していれば、特に限定されない。
このような(X)層は、(A)層の温度変化を緩和し、目的とする温度領域での優れた制振性能を維持する効果がある。
本発明では、蓄熱材として、無機潜熱蓄熱材、有機潜熱蓄熱材等の潜熱蓄熱材を用いることが好ましい。
無機潜熱蓄熱材としては、例えば、硫酸ナトリウム10水和物、炭酸ナトリウム10水和物、リン酸水素ナトリウム12水和物、チオ硫酸ナトリウム5水和物、塩化カルシウム6水和物等の水和塩等が挙げられる。
有機潜熱蓄熱材としては、例えば、脂肪族炭化水素、長鎖アルコール、長鎖脂肪酸、長鎖脂肪酸エステル、ポリエーテル化合物、芳香族炭化水素、脂肪酸トリグリセリド等が挙げられ、これらの蓄熱材のうち1種または2種以上を用いることができる。
本発明では、特に有機潜熱蓄熱材を好適に用いることができる。有機潜熱蓄熱材は、沸点が高く揮発しにくいため、蓄熱層成形時における体積変化(肉痩せ)がほとんど無く、また長期に亘り蓄熱性能が持続するため、好ましい。さらに、有機潜熱蓄熱材を用いた場合、用途に応じた相変化温度の設定が容易であり、例えば相変化温度の異なる2種以上の有機潜熱蓄熱材を混合することで、容易に相変化温度の設定が可能となる。
脂肪族炭化水素としては、例えば、炭素数8〜36の脂肪族炭化水素を用いることができ、具体的には、n−デカン(融点−30℃)、n−ウンデカン(融点−25℃)、n−ドデカン(融点−8℃)、n−トリデカン(融点−5℃)、n−テトラデカン(融点8℃)、ペンタデカン(融点10℃)、n−ヘキサデカン(融点17℃)、n−ヘプタデカン(融点22℃)、n−オクタデカン(融点28℃)、n−ノナデカン(融点32℃)、イコサン(融点36℃)、ドコサン(融点44℃)、およびこれらの混合物で構成されるn−パラフィンやパラフィンワックス等が挙げられる。
長鎖アルコールとしては、例えば、炭素数8〜36の長鎖アルコールを用いることができ、具体的には、カプリルアルコール(融点7℃)、ラウリルアルコール(融点24℃)、ミリスチルアルコール(融点38℃)、ステアリルアルコール(融点58℃)等が挙げられる。
長鎖脂肪酸としては、例えば、炭素数8〜36の長鎖脂肪酸を用いることができ、具体的には、オクタン酸(融点17℃)、デカン酸(融点32℃)、ドデカン酸(融点44℃)、テトラデカン酸(融点50℃)、オクタデカン酸(融点70℃)、ヘキサデカン酸(融点63℃)等の脂肪酸等が挙げられる。
長鎖脂肪酸エステルとしては、例えば、炭素数8〜36の長鎖脂肪酸エステルを用いることができ、具体的には、ラウリン酸メチル(融点5℃)、ミリスチン酸メチル(融点19℃)、パルミチン酸メチル(融点32℃)、ステアリン酸メチル(融点38℃)、ステアリン酸ブチル(融点25℃)、アラキジン酸メチル(融点45℃)等が挙げられる。
ポリエーテル化合物としては、例えば、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールジアクリレート、エチルエチレングリコール等が挙げられる。
脂肪酸トリグリセリドとしては、例えば、ヤシ油、パーム核油等の植物油や、その精製加工品である中鎖脂肪酸トリグリセリド、長鎖脂肪酸トリグリセリド等が挙げられる。
本発明では(x−1)成分として、特に、炭素数8〜36の脂肪族炭化水素、炭素数8〜36の長鎖アルコール、炭素数8〜36の長鎖脂肪酸、炭素数8〜36の長鎖脂肪酸エステルを使用することが好ましく、さらには、炭素数8〜36の脂肪族炭化水素、炭素数8〜36の長鎖脂肪酸エステルを使用することが好ましい。中でも、炭素数15〜22の長鎖脂肪酸エステル、炭素数15〜22の脂肪族炭化水素を使用することが好ましく、このような蓄熱材は、潜熱量が高く、実用温度領域に相変化温度(融点)を有するため、様々な用途に使用しやすい。
このような蓄熱材は、単独でも良いし、2種以上を混合して使用することもできる。2種以上を混合する場合は、融点を自由に設計することができる点で、有機系潜熱蓄熱材を用いることが好ましい。特に、0℃以上50℃未満の融点をもつ蓄熱材を使用することが好ましい。
2種以上の(x−1)成分を混合して使用する場合は、相溶化剤を用いることが好ましい。相溶化剤を用いることにより、(x−1)成分(特に、有機潜熱蓄熱材)どうしの相溶性を向上させることができる。
相溶化剤としては、例えば、脂肪酸トリグリセリド、親水親油バランス(HLB)が1以上10未満(好ましくは1以上5以下)の非イオン性界面活性剤等が挙げられ、これらの1種または2種以上を混合し用いることができる。
脂肪酸トリグリセリドは、上述したように、有機潜熱蓄熱材としても用いられる物質である。このような脂肪酸トリグリセリドは、特に有機潜熱蓄熱材同士の相溶性を、より向上させることができるとともに、優れた蓄熱性を有するため好ましい。脂肪酸トリグリセリドとしては、例えば、ヤシ油、パーム核油等の植物油や、その精製加工品であるカプリル酸トリグリセリド、パルミチン酸トリグリセリド、ステアリン酸トリグリセリド等の脂肪酸トリグリセリドが挙げられ、これらのうち1種または2種以上を用いることができる。
親水親油バランス(HLB)が1以上10未満(好ましくは1以上5以下)の非イオン性界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ソルビタンセスキオレエート、ソルビタントリオレート、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノオレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタントリステアレート、グリセロールモノステアレート、グリセロールモノステアレート、グリセロールモノオレエート、ステアリン酸グリセリル、カプリル酸グリセリル、ステアリン酸ソルビタン、オレイン酸ソルビタン、セスキオレイン酸ソルビタン、ヤシ脂肪酸ソルビタン等が挙げられる。
相溶化剤と(x−1)成分の混合比は、通常(x−1)成分100重量部に対し、相溶化剤0.1重量部から20重量部(好ましくは0.5重量部から10重量部)程度とすればよい。
さらに(x−1)成分には、粘性調整剤、熱伝導性物質等を混合して用いることができる。
粘性調整剤としては、例えば、粘土鉱物等が挙げられ、特に、有機処理された層状の粘土鉱物(以下、「有機処理粘土鉱物」ともいう。)を用いることが好ましい。
(x−1)成分と有機処理粘土鉱物を混合することにより、有機処理粘土鉱物の層間に(x−1)成分が入り込み、蓄熱材が有機処理粘土鉱物の層間に保持されやすい構造となる。
さらに、有機処理粘土鉱物は、有機処理されたものであるため、(x−1)成分が有機処理粘土鉱物の層間に入り込みやすく、また(x−1)成分が有機処理粘土鉱物の層間に保持されやすい構造となっている。
このような有機処理粘土鉱物と(x−1)成分を混合することにより、結果として、(x−1)成分の粘度を上昇させ、蓄熱層内に(x−1)成分を担持し、より安定して担持され、保持し続けることができる。また後述するが、(x−1)成分をカプセル化または多孔体に充填して用いる場合においても、カプセル内または多孔体内に(x−1)成分をより安定して担持・保持させることができる。
さらに有機処理粘土鉱物は、(x−1)成分として有機潜熱蓄熱材を用いた場合、有機潜熱蓄熱材とほとんど反応することがなく、有機潜熱蓄熱材の融点やその他の各種物性に影響を与えないため、蓄熱材としての性能を効率よく発揮することができ、相変化温度(融点)の設定が容易であるため、好ましい。
有機処理粘土鉱物の底面間隔は、13.0〜30.0Å(好ましくは15.0〜26.0Å)程度であることが好ましい。このような範囲であることにより、(x−1)成分が、有機処理粘土鉱物の層間により入り込みやい。なお、底面間隔はX線回折パターンにおける(001)反射から算出される値である。
(x−1)成分と有機処理粘土鉱物混合時の粘度は、0.5〜20.0Pa・s程度とすればよい。なお、粘度は、B型回転粘度計を用い、温度23℃、相対湿度50%RHで測定した値である。
また、(x−1)成分と有機処理粘土鉱物混合時のTI値は、4.0〜9.0程度とすればよい。なお、TI値は、B型回転粘度計を用い、下記式1により求められる値である。
TI値=η1/η2 (式1)
(但し、η1:2rpmにおける粘度(Pa・s:2回転目の指針値)、η2:20rpmにおける粘度(Pa・s:4回転目の指針値))
このような粘度、TI値とすることによって、蓄熱層内に(x−1)成分が担持されやすく、かつ、蓄熱層内に担持された(x−1)成分が保持されやすい。また(x−1)成分をカプセル化または多孔体に充填して用いる場合においても、カプセル内または多孔体内に(x−1)成分を安定して担持・保持させることができる。そのため、蓄熱材が蓄熱層外部へ漏れ出すのを防ぎ、より蓄熱性に優れ、より加工性、施工性に優れた蓄熱層を得ることができる。
有機処理粘土鉱物としては、例えば、スメクタイト、バーミキュライト、カオリナイト、アロフェン、雲母、タルク、ハロイサイト、セピオライト等が挙げられる。また、膨潤性フッ素雲母、膨潤性合成マイカ等も利用できる。
有機処理としては、例えば、層状粘土鉱物の層間に存在する陽イオンを長鎖アルキルアンモニウムイオン等でイオン交換(インターカレート)すること等が挙げられる。
本発明では、特に、スメクタイト、バーミキュライトが有機処理されやすい点から、好適に用いられる。さらに、スメクタイトの中でも、特に、モンモリロナイトが好適に用いられ、本発明では、特に、有機処理されたモンモリロナイトを好適に用いることができる。
具体的に、有機処理されたモンモリロナイトとしては、
ホージュン社製のエスベン、エスベン C、エスベン E、エスベン W、エスベン P、エスベン WX、エスベン NX、エスベン NZ、エスベン N-400、オルガナイト、オルガナイトーD、オルガナイトーT(商品名)
ズードケミー触媒社製のTIXOGEL MP、TIXOGEL VP、TIXOGEL VP、TIXOGEL MP、TIXOGEL EZ 100、MP 100、TIXOGEL UN、TIXOGEL DS、TIXOGEL VP−A、TIXOGEL VZ、TIXOGEL PE、TIXOGEL MP 250、TIXOGEL MPZ(商品名)
エレメンティスジャパン社製のBENTONE 34、38、52、500、1000、128、27、SD−1、SD−3(商品名)
等が挙げられる。
有機処理層状粘土鉱物と(x−1)成分の混合比は、通常(x−1)成分100重量部に対し、0.5重量部から50重量部(好ましくは1重量部から30重量部、より好ましくは3重量部から15重量部)程度とすればよい。
さらに、(x−1)成分には、熱伝導性物質を混合することもできる。熱伝導性物質を混合することにより、熱の移動をスムーズにし、蓄熱材の熱効率性を向上させ、より優れた蓄熱性能を得ることができる。
熱伝導性物質としては、例えば、銅、鉄、亜鉛、ベリリウム、マグネシウム、コバルト、ニッケル、チタン、ジルコニウム、モブリデン、タングステン、ホウ素、アルミニウム、ガリウム、ケイ素、ゲルマニウム、スズ等の金属およびそれらの合金、あるいはこれらの金属を含む金属酸化物、金属窒化物、金属炭化物、金属リン化物等の金属化合物、また、鱗状黒鉛、塊状黒鉛、土状黒鉛、繊維状黒鉛等の黒鉛等が挙げられ、これらを1種または2種以上を混合して用いることができる。
熱伝導性物質の熱伝導率としては、1W/(m・K)以上、さらには3W/(m・K)以上、さらには5W/(m・K)以上であることが好ましい。このような熱伝導率を有する熱伝導性物質を混合することにより、より効率よく蓄熱材の熱効率性を向上させることができる。
また、熱伝導性物質は、微粒子として用いることが好ましく、平均粒子径は、1〜100μm、さらには5〜50μmであることが好ましい。
熱伝導性物質と(x−1)成分の混合比は、通常(x−1)成分100重量部に対し、5重量部から200重量部(好ましくは10重量部から80重量部、より好ましくは20重量部から60重量部)程度とすればよい。
本発明では、このような(x−1)成分をそのままフィルムに封入し蓄熱層を形成することもできるし、(x−1)成分をカプセル化したもの、あるいは、(x−1)成分を多孔体に充填したものを蓄熱層に使用することもできる。
本発明では、特に(x−1)成分をカプセル化したもの、または、(x−1)成分を多孔体に充填したものを蓄熱層に好適に使用することができ、このような蓄熱層では、(x−1)成分の漏れやしみ出しを防ぐことができる。
(x−1)成分をそのままフィルムに封入する方法(ラミネート法)としては、ラミネートフィルムに(x−1)成分を直接封入しても、(x−1)成分をゲル化剤によりゲル化させたものを封入してもよい。本発明では、形状安定性の面から、ゲル化処理したものが好適に使用できる。
本発明では、このようなラミネート法によってラミネートされた(x−1)成分(好ましくは潜熱蓄熱材)を蓄熱層として用いることができる。また、融点の異なる蓄熱材をラミネート処理した2種以上のものを用いてもよい。
ラミネートフィルムの材質、形状は、特に限定されないが、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロン、ポリエステル、ポリエチレンテレフタレート、塩化ビニリデン、エチレン・酢酸ビニル共重合体等の有機材料、アルミニウム、金、銀、銅、クロム、亜鉛、チタン、ニッケル、コバルト等またはそれらの合金等の金属、酸化ケイ素、酸化チタン、酸化インジウム、酸化アルムニウム等の金属酸化物等の金属材料等から選ばれる1種または2種以上で構成されたものを使用できる。
本発明では、特に、熱効率、耐熱性、フィルム強度の面から、10.0W/(m・K)以上(好ましくは20.0W/(m・K)以上、さらに好ましくは100W/(m・K)以上)の熱伝導率を有する金属または金属酸化物を含むフィルムを用いることが好ましい。本発明では、10.0W/(m・K)以上の熱伝導率を有する材料として、特に、アルミニウムを用いることが好ましい。
(x−1)成分をカプセル化する方法としては、界面重合法、in−situ重合法、二重オリフィス法等の化学的製法、コアセルベーション法、液中乾燥法等の物理化学的製法等が利用できる。このようにして得られる蓄熱性カプセルのカプセルの大きさ、形状は特に限定されない。取り扱いの点や充填率を考慮した場合には、乾式球状カプセルが望ましい。
本発明では、このようなカプセル化法によってカプセル化された(x−1)成分(好ましくは潜熱蓄熱材)を蓄熱層に使用することができる。
例えば、界面重合法により、(x−1)成分をカプセル化する方法としては、公知の方法でカプセル化すればよいが、(x−1)成分と下記に示すモノマーを混合し、エマルション重合法、懸濁重合法等の公知の重合法等によりモノマーを重合することにより、モノマーの重合体をカプセル壁とするカプセルに、蓄熱材を封入することができる。
このようなモノマーとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、i−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、sec−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート等の低級アルキル基含有(メタ)アクリルモノマー;
ラウリル(メタ)アクリレート、ミリスチル(メタ)アクリレート、パルミチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ベヘニル(メタ)アクリレート等の高級アルキル基含有(メタ)アクリルモノマー;
(メタ)アクリル酸等のカルボキシル基含有(メタ)アクリルモノマー;
(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシメチル、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸−3−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸−4−ヒドロキシブチル、エチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、グリセロールモノ(メタ)アクリレート等のヒドロキシル基含有モノマー;
アミノメチル(メタ)アクリレート、アミノエチル(メタ)アクリレート、アミノプロピル(メタ)アクリレート、アミノ−n−ブチル(メタ)アクリレート、ブチルビニルベンジルアミン、ビニルフェニルアミン、p−アミノスチレン、N−tブチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N−メチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリレート等のアミン含有(メタ)アクリルモノマー;
(メタ)アクリルアミド、エチル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N−n−プロピル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N−シクロプロピル(メタ)アクリルアミド、N−(メタ)アクロイルピロリジン、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N−メチル−N−エチル(メタ)アクリルアミド、N−メチル−N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N−メチル−N−n−プロピル(メタ)アクリルアミド等のアミド含有(メタ)アクリルモノマー;
グリシジル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸−3,4−エポキシシクロヘキシル、3,4−エポキシビニルシクロヘキサン、アリルグリシジルエーテル、(メタ)アクリル酸−ε−カプロラクトン変性グリシジル、(メタ)アクリル酸−β−メチルグリシジル等のエポキシ基含有(メタ)アクリルモノマー;
アクリロニトリル、メタアクリロニトリル等のニトリル基含有(メタ)アクリルモノマー;
ジアセトン(メタ)アクリレート、ジアセトンアクリルアミド、アクロレイン、ビニルメチルケトン、アセトニルアクリレート、ジアセトンメタクリルアミド、ビニルエチルケトン、ビニルイソブチルケトン、アクリルオキシアルキルプロパナール類、メタクリルオキシアルキルプロパナール類、2ーヒドロキシプロピルアクリレートアセチルアセテート、及びブタンジオールアクリレートアセチルアセテート等のカルボニル基含有モノマー;
メタクリロイルイソシアネート等のイソシアネート基含有モノマー;
プロピレン−1,3−ジヒドラジン及びブチレン−1,4−ジヒドラジン等のヒドラジノ基含有モノマー;
2−ビニル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−2−オキサゾリン等のオキサゾリン基含有モノマー;
ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリテトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールA型ジ(メタ)アクリレート、ジビニルベンゼン、N,N’−メチレンビスアクリルアミド等のジ(メタ)アクリルモノマー;
(メタ)アクリル酸トリメトキシシリルプロピル、(メタ)アクリル酸トリエトキシシリルプロピル等のアルコキシシリル基含有モノマー;
ビニルトリメトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロプロピルトリメトキシシラン等の加水分解性シリル基含有モノマー;
N−メチロ−ル(メタ)アクリルアミド等のメチロール基含有モノマー;
スチレン、メチルスチレン、クロロスチレン、ビニルトルエン等の芳香族炭化水素系モノマー;
スチレンスルホン酸、ビニルスルホン酸等などのスルホン酸含有モノマー;
酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、ピバリン酸ビニル、ビニルラウリレート、ビニルミリステート、ビニルパルミテート、ビニルステアレート等のビニルエステル系ビニルモノマー;
フッ化ビニリデン等のハロゲン化ビニリデン系モノマー;
ラウリルビニルエーテル、ミリスチルビニルエーテル、パルミチルビニルエーテル、ステアリルビニルエーテル等のビニルエーテル系ビニルモノマー;
メラミン等の非ビニル系モノマー
等が挙げられる。
蓄熱材として有機潜熱蓄熱材を用いた場合、モノマーとして特に、下記の化学式1で示される結晶性ビニルモノマーを主成分とするモノマーを使用することが好ましい。
(化学式1)
Figure 0004711699
(Rは水素(−H)またはメチル基(−CH)、Xはエステル結合(−COO−)、エーテル結合(−O−)またはアミド結合(−CONH−)、Rは炭素数12から36(好ましくは炭素数が12から30、さらに好ましくは炭素数が14から22)の直鎖アルキル基)
このような結晶性ビニルモノマーとしては、例えば、ラウリル(メタ)アクリレート、ミリスチル(メタ)アクリレート、パルミチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ベヘニル(メタ)アクリレート等の高級アルキル基含有(メタ)アクリルモノマー;
ビニルラウリレート、ビニルミリステート、ビニルパルミテート、ビニルステアレート等のビニルエステル系ビニルモノマー;
ラウリルビニルエーテル、ミリスチルビニルエーテル、パルミチルビニルエーテル、ステアリルビニルエーテル等のビニルエーテル系ビニルモノマー;
等が挙げられる。
このようなモノマーを用いてカプセル化した蓄熱性カプセルは、蓄熱材の相変化(特に、液体から固体への変化)による体積収縮に起因する蓄熱層の割れや形状変化も防ぐことができる。
このような結晶性ビニルモノマーを用いてカプセル化した場合、有機潜熱蓄熱材によって、蓄熱性カプセルのカプセル壁が可塑化され難く、カプセル同士が融着・凝集されにくい。かつ、ビニル系のモノマーを用いているため、力に対し柔軟性があり、カプセルを混練、攪拌する場合、カプセル壁が破砕することなく、有機潜熱蓄熱材が漏洩しにくいため、好ましい。
また、結晶性ビニルモノマーとして、炭素数12〜36(好ましくは炭素数が12から30、さらに好ましくは炭素数が15から22)の直鎖アルキル基を有する結晶性ビニルモノマーを使用しているため、有機潜熱蓄熱材との相溶性に優れている。よって、カプセルに高含有量の有機潜熱蓄熱材を内包することができ、優れた蓄熱性を示すことができる。
結晶性ビニルモノマーの含有量としては、本発明の効果を損なわない程度であれば特に限定されず、カプセル壁を構成するモノマー全量に対し、50重量%以上、さらには70重量%以上であることが好ましい。
さらに、結晶性ビニルモノマーを含む上記モノマーを重合して得られるカプセル壁の結晶化温度は、使用用途に合わせて適宜設定すればよいが、通常、25〜90℃、さらには30〜70℃であることが好ましい。このような結晶化温度であれば、実用レベルで本発明の効果が得られるため好ましい。結晶化温度が低すぎると、常温で軟化し、カプセル同士が融着・凝集する場合がある。
なお、結晶化温度は、示差走査熱量計(DSC220CU:セイコーインスツルメンツ株式会社製)にて、昇温速度10℃/分で測定した値である。
本発明において、潜熱蓄熱材をカプセル化する方法としては、例えば、潜熱蓄熱材と上記モノマーを混合し、エマルション重合、ミニエマルション重合、マイクロエマルション重合、ソープフリーエマルション重合、分散重合、シード重合、シード分散重合、フィード重合、懸濁重合等の方法により、モノマーを重合させることにより、潜熱蓄熱材をモノマーの重合体をカプセル壁とする蓄熱性カプセルを製造することができる。このようなカプセル化法では、潜熱蓄熱材とモノマーの他に、公知の開始剤、乳化剤、分散剤、溶媒、重合禁止剤、重合抑制剤、緩衝剤、架橋剤、pH調整剤、連鎖移動剤等を混合することもできる。
乳化剤としては、アニオン性乳化剤、カチオン性乳化剤、非イオン性乳化剤、両イオン性乳化剤、ノニオン性乳化剤等特に限定されず、用いることができる。
例えば、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ドデシル硫酸ナトリウムなどのアルキルベンゼンスルホン酸塩、脂肪酸塩、ロジン酸塩、アルキル硫酸エステル、アルキルスルホコハク酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキル(アリール)硫酸エステル塩等のアニオン性乳化剤、
ラウリルトリアルキルアンモニウム塩、ステアリルトリアルキルアンモニウム塩、トリアルキルベンジルアンモニウム塩などの第4級アンモニウム塩、第1級〜第3級アミン塩、ラウリルピリジニウム塩、ベンザルコニウム塩、ベンゼトニウム塩、或は、ラウリルアミンアセテート等のカチオン性界面活性剤、
炭素数1〜20のアルカノール、フェノール、ナフトール、ビスフェノール類、炭素数1〜20のアルキルフェノール、炭素数1〜20のアルキルナフトール、ポリオキシエチレン(プロピレン)グリコール、脂肪族アミンなどのエチレンオキシド及び/又はプロピレンオキシド付加物等のノニオン性界面活性剤、
カルボキシベタイン型、スルホベタイン型、アミノカルボン酸型、イミダゾリン誘導体型等の両性界面活性剤等が挙げられる。
本発明では、特に、ノニオン性界面活性剤及び/またはアニオン性乳化剤を用いることが好ましい。
開始剤としては、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム等の過硫酸塩開始剤、2,2−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩、2,2−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]二塩酸塩、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ系開始剤、過酸化ベンゾイル、ラウロイルパーオキサイド、デカノイルパーオキサイド等のジアルキルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシベンゾエート等のパーオキシエステル、クメンハイドロパーオキサイド、パラメンタンハイドロパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド等のハイドロパーオキサイド等の有機過酸化系開始剤、過酸化水素、レドックス開始剤、光重合開始剤、反応性開始剤等を用いることができる。
例えば、蓄熱材として有機潜熱蓄熱材を用いた場合、有機潜熱蓄熱材をカプセル化する方法としては、特に、
(1)化学式1で示される結晶性ビニルモノマーを主成分とするモノマーと、有機潜熱蓄熱材等とを混合し、該モノマーの重合体の結晶化温度よりも高い温度で、乳化重合を行う工程、
(2)重合後、該重合体の結晶化温度よりも低い温度まで冷却する工程、によりカプセル化することが好ましい。
このような製造方法では、モノマーを重合して得られる重合体がカプセルの最外壁を形成し、そのカプセル内に有機潜熱蓄熱材が内包された蓄熱性カプセルを、一般的な乳化重合法で簡便に製造できることが特徴である。特に、結晶性ビニルモノマーが、有機潜熱蓄熱材との相溶性に優れ、乳化重合前は結晶性ビニルモノマーと有機潜熱蓄熱材とを均一に混合でき、乳化重合後に得られるカプセルには高含有量の有機潜熱蓄熱材を内包することができ、優れた蓄熱性を有するカプセルを製造することができる。
また、乳化重合の際、該モノマーを重合して得られる重合体の結晶化温度よりも高い温度で、乳化重合することが必須である。このような温度で乳化重合することにより、重合時には非晶性の重合体(カプセル壁)を形成し、有機潜熱蓄熱材がカプセルに内包されやすい。さらに、重合後は、該重合体の結晶化温度よりも低い温度まで冷却することにより、重合体が相変化して結晶化し、カプセルの最外壁であるカプセル壁を形成し、内包された有機潜熱蓄熱材がカプセルから漏れ出すことのない、蓄熱性カプセルを得ることができる。
このような相変化機構により、高含有量の有機潜熱蓄熱材がカプセルに内包されているにもかかわらず、有機潜熱蓄熱材がカプセルから漏れ出すことのない、蓄熱性カプセルを得ることができる。また、このような蓄熱性カプセルは、最外壁がモノマーを重合して得られる重合体であれば特に限定されず、カプセル内は、有機潜熱蓄熱材をコア、重合体をシェルとするコアシェル状でもよいし、有機潜熱蓄熱材が多数分散したポーラス状でもよいし、あるいはゲル状でもよい。
具体的に、第(1)の工程では、結晶性ビニルモノマーを用いることにより、有機潜熱蓄熱材によって、カプセル壁が可塑化され難く、カプセル同士が融着・凝集しにくい。かつ、ビニル系のモノマーを用いているため、メラミン等よりも柔軟性があり、カプセルを混練、攪拌する場合、カプセル壁が破砕することなく、有機潜熱蓄熱材が漏洩することもない。そのため、蓄熱性カプセルは、水等の溶媒に分散させて用いる場合は取扱いが容易であり、固形微粉末として使用する場合も回収が容易であり取扱い易い。
また、炭素数12〜36の直鎖アルキル基を有する結晶性ビニルモノマーを使用しているため、有機潜熱蓄熱材との相溶性に優れている。よって、カプセルに高含有量の有機潜熱蓄熱材を内包することができ、優れた蓄熱性を示すことができる。
また、第(2)の工程では、該重合体の結晶化温度よりも低い温度まで冷却することを特徴とする。このような温度まで冷却することにより、最外壁であるカプセル壁を形成する重合体が相変化して結晶化し、内包された有機潜熱蓄熱材がカプセルから漏れ出すことのない、蓄熱性カプセルを得ることができる。
冷却する方法としては、特に限定されないが、公知の冷却装置や、冷却物質を用いてもよいし、また結晶化温度にもよるが、結晶化温度が室温より高ければ、室温で自然冷却することもできる。
このようにして得られた蓄熱性カプセルは、蓄熱性カプセル分散液として使用することもできるし、エマルション液から蓄熱性カプセルを取り出し、固形微粉末として用いることもできる。
蓄熱性カプセルを固形微粉末として用いる場合は、第(3)の工程として、重合体の結晶化温度よりも低い温度で、回収することが好ましい。本発明における回収工程とは、分離工程、乾燥工程、分級工程等を含むもので、このような回収工程により固形微粉末のカプセルが得られるものである。本発明では、重合体の結晶化温度よりも低い温度で回収することにより、重合体が結晶性を維持したまま回収でき、有機潜熱蓄熱材がカプセルから漏れ出すことがない上に、カプセル壁が破粋することなく、また、カプセル同士の融着・凝集を防止することもできる。そのため、カプセルを固形微粉末として回収することが容易であり、高収率で固形微粉末を得ることができる。回収工程としては、重合体の結晶化温度よりも低い温度であれば、公知の方法を採用すればよい。
また、得られたカプセル固形微粉末は、再度、水等の溶媒に分散させて用いることもできる。
カプセル化した蓄熱性カプセルは、高含有率で潜熱蓄熱材を内包することが可能である。具体的には、蓄熱性カプセル全体量に対し、通常30重量%以上、さらには50重量%以上内包することができる。このような含有量であることにより、優れた蓄熱性を示すこともできる。かつ、蓄熱性カプセルは、カプセル壁が結晶性であるため、カプセル内に内包された有機潜熱蓄熱材によってカプセル壁が可塑化され難く、カプセル同士の融着・凝集を防止することができる。
さらに本発明で用いる結晶性ビニルモノマーから形成されるカプセル壁は、カプセル壁自体が蓄熱性を有している。そのため、有機潜熱蓄熱材の蓄熱性とカプセル壁の蓄熱性により、より優れた蓄熱性を示すことができる。
カプセル化した蓄熱性カプセルを、蓄熱層として用いる場合、例えば、蓄熱性カプセルをそのまま前述したフィルムに封入することもできるし、蓄熱性カプセルと結合剤を混練したスラリーの成形物をフィルムに封入することもできるし、各種材料に浸漬法、減圧・加圧注入法等により含浸させる方法、あるいはこれらを組み合わせた方法等で製造することができる。
例えば、蓄熱性カプセルをそのまままフィルムに封入する方法としては、蓄熱性カプセルを水等の溶媒に分散させたものや蓄熱性カプセルの固体微粉末をフィルムに封入すればよい。
また、蓄熱性カプセルと結合剤を混練したスラリーを形成する方法としては、公知のものを使用して形成すればよい。
このような結合剤としては、例えば、アクリル樹脂、シリコン樹脂、ポリエステル樹脂、アルキッド樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、アミノ樹脂、ポリカーボネート樹脂、フッ素樹脂、酢酸ビニル樹脂、アクリル・酢酸ビニル樹脂、アクリル・ウレタン樹脂、アクリル・シリコン樹脂、シリコン変性アクリル樹脂、エチレン・酢酸ビニル・バーサチック酸ビニルエステル樹脂、エチレン・酢酸ビニル樹脂、塩化ビニル樹脂、ABS樹脂、AS樹脂等の溶剤可溶型樹脂、NAD型樹脂、水可溶型樹脂、水分散型樹脂、無溶剤型樹脂等、クロロプレンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、アクリルニトリル−ブタジエンゴム、メタクリル酸メチル−ブタジエンゴム、ブタジエンゴム等の合成ゴム等の有機結合剤、
ポルトランドセメント、高炉セメント、シリカセメント、フライアッシュセメント、白色セメント、焼石膏、コロイダルシリカ、水溶性珪酸アルカリ金属塩等の無機結合剤等が挙げられ、これらの1種または2種以上を使用することができる。
本発明では、特に有機結合剤を用いることが好ましく、有機結合剤のうち1液タイプ、2液タイプのいずれも使用することができるが、2液タイプがより好ましい。2液タイプを使用することにより、速やかに反応が進行し、高強度の成形物が形成され、かつ、蓄熱性カプセルが均一に分散した成形物が得られやすいため好ましい。
2液タイプとしては、例えば、ヒドロキシル基とイソシアネート基、ヒドロキシル基とカルボキシル基、ヒドロキシル基とイミド基、ヒドロキシル基とアルデヒド基、エポキシ基とアミノ基、エポキシ基とカルボキシル基、カルボキシル基とカルボジイミド基、カルボキシル基とオキサゾリン基、カルボニル基とヒドラジド基、カルボキシル基とアジリジン基等の架橋反応を利用したもの等が挙げられる。特に、ヒドロキシル基とイソシアネート基の架橋反応を利用したものが、速やかに反応が進行し、かつ、蓄熱性カプセルがより均一に分散した成形物が得られやすいため好ましい。
また、スラリーには、結合剤の他に、溶剤、顔料、骨材、粘性調整剤、緩衝剤、分散剤、消泡剤、可塑剤、防腐剤、防黴剤、防藻剤、難燃剤、レベリング剤、沈降防止剤、たれ防止剤、脱水剤等の各種添加剤を混練することもできる。
このような成形物の形成においては、このようなスラリーを、公知の方法でシート化し形成してもよいし、あるいは、前述したフィルムにスラリー封入し形成してもよい。本発明では、特定のカプセル壁を有する蓄熱性カプセルを用いているため、形成時に、カプセル壁が破砕することなく、また、カプセル同士の融着・凝集することなく、スラリーに効率よく分散するため、優れた蓄熱性を有する成形物、さらには蓄熱層を、簡便に製造することができる。
また、浸漬法、減圧・加圧注入法等により含浸させる方法においては、下記に示す材料に蓄熱性カプセルを含浸させればよい。
材料としては、例えば、コンクリート、石膏ボード、モルタル、スレート板等の無機材料、
ガラス繊維、パルプ繊維、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維、ビニロン繊維、テトロン繊維、ポリエステル繊維、セルロース繊維、ナイロン繊維等の合成繊維、綿、木綿、石綿、麻、ヤシ、コルク、ケナフ等の天然繊維等の繊維材料、
アクリル樹脂、シリコン樹脂、ポリエステル樹脂、アルキッド樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、アミノ樹脂、ポリカーボネート樹脂、フッ素樹脂、酢酸ビニル樹脂、アクリル・酢酸ビニル樹脂、アクリル・ウレタン樹脂、アクリル・シリコン樹脂、シリコン変性アクリル樹脂、エチレン・酢酸ビニル・バーサチック酸ビニルエステル樹脂、エチレン・酢酸ビニル樹脂、塩化ビニル樹脂、ABS樹脂、AS樹脂、クロロプレンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、アクリルニトリル−ブタジエンゴム、メタクリル酸メチル−ブタジエンゴム、ブタジエンゴム等の合成ゴム等の有機材料、
松、ラワン、ブナ、ヒノキ、合板等の木質材料、その他、紙、合成紙、セラミックペーパー等が挙げられ、これらの1種または2種以上を使用することができる。
本発明では、特に、結晶性ビニルモノマーを用いてカプセル化した場合、カプセル壁が破砕することなく、また、カプセル同士が融着・凝集することがないため、水等の溶媒に分散させて用いる場合でも、固体微粉末として用いる場合も、スラリーとして用いる場合も、優れた蓄熱性を有する蓄熱層を、簡便に製造することができる。
蓄熱層における蓄熱性カプセルの含有量としては、蓄熱層の全体量に対し、10重量%以上、さらには20重量%以上70重量%以下であることが好ましい。このような範囲であることにより、優れた蓄熱性を有することができる。
蓄熱材を多孔体に充填したものとしては、多孔体に蓄熱材が担持・保持されているものであれば、特に限定されない。このような蓄熱材を多孔体に充填したものでは、多孔体の孔内に蓄熱材が細分離化されているため、蓄熱材と蓄熱材との熱伝導が遅延され、蓄熱材の固−液変化が抑えられ、蓄熱効果が持続するため好ましい。
多孔体の形状も、蓄熱材が担持・保持できれば、特に限定されず、例えば、粒子凝集型多孔体、スポンジ型多孔体、3次元編目構造型多孔体等の形状を有するもの等が挙げられる。本発明では、特に、蓄熱材がより担持・保持されやすい点から、3次元編目構造型多孔体が好ましい。
また、多孔体成分の熱伝導率が低い場合(具体的には、0.15W/(m・K)以下)、熱伝導がより遅延され、蓄熱効果がより持続するため好ましい。
多孔体としては、無機多孔体、有機多孔体等特に限定されず用いることができるが、蓄熱材をより担持・保持しやすい点から有機多孔体が好適に用いられる。さらに、有機多孔体は蓄熱材の相変化(特に、液体から固体への変化)による体積収縮に起因する蓄熱層の割れや形状変化も防ぐことができる。
このような有機多孔体を形成する樹脂成分としては、例えば、アクリル樹脂、シリコン樹脂、ポリエステル樹脂、アルキッド樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、アミノ樹脂、ポリカーボネート樹脂、フッ素樹脂、酢酸ビニル樹脂、アクリル・酢酸ビニル樹脂、アクリル・ウレタン樹脂、アクリル・シリコン樹脂、シリコン変性アクリル樹脂、エチレン・酢酸ビニル・ベオバ樹脂、エチレン・酢酸ビニル樹脂、塩化ビニル樹脂、ABS樹脂、AS樹脂等の溶剤可溶型、NAD型、水可溶型、水分散型、無溶剤型等、または、クロロプレンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、アクリルニトリル−ブタジエンゴム、メタクリル酸メチル−ブタジエンゴム、ブタジエンゴム等の合成ゴム等が挙げられ、これらのうち1種または2種以上を用いることができる。
さらに本発明では、上記樹脂成分のうち、1液タイプ、2液タイプのいずれも使用することができるが、2液タイプのほうが好ましい。例えば、反応性官能基を含有する化合物(以下、「(x−2)成分」という。)と該反応性官能基と反応可能な反応性官能基を含有する化合物(以下、「(x−3)成分」という。)からなる2液タイプが好適に用いられる。
このような、反応性官能基の組み合わせとしては、ヒドロキシル基とイソシアネート基、ヒドロキシル基とカルボキシル基、ヒドロキシル基とイミド基、ヒドロキシル基とアルデヒド基、エポキシ基とアミノ基、エポキシ基とカルボキシル基、カルボキシル基とカルボジイミド基、カルボキシル基とオキサゾリン基、カルボニル基とヒドラジド基、カルボキシル基とアジリジン基等が挙げられる。
ヒドロキシル基を含有する化合物としては、例えば、
ヒドロキシル基含有単量体;
多価アルコール;
ポリエステルポリオール、アクリルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリオレフィンポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリカプロラクトンポリオール、ポリテトラメチレングリコールポリオール、ポリブタジエンポリオール、ポリオキシプロピレンポリオール、ポリオキシプロピレンエチレンポリオール、エポキシポリオール、アルキドポリオール、フッ素含有ポリオール、ケイ素含有系ポリオール等のポリオール;
セルロース及び/またはその誘導体、アミロース等の多糖類;
等が挙げられる。
本発明では、特に、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、アクリルポリオール、ポリオレフィンポリオール、セルロース及びその誘導体から選ばれる1種以上を用いることが好ましく、このようなヒドロキシル基を含有する化合物を用いることにより、緻密な架橋構造を形成するとともに、蓄熱材との相溶性が良好で、多孔体からの蓄熱材の漏れを抑制しやすい点で、好適に使用することができる。
具体的に、ヒドロキシル基含有単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシメチル、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸−3−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸−4−ヒドロキシブチル、エチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、グリセロールモノ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
多価アルコールとしては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリメチレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,3−テトラメチレンジオール、1,4−テトラメチレンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,3−テトラメチレンジオール、2−メチル−1,3−トリメチレンジオール、1,5−ペンタメチレンジオール、トリメチルペンタンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジオール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、1,6−ヘキサメチレンジオール、3−メチル−1,5−ペンタメチレンジオール、2,4−ジエチル−1,5−ペンタメチレンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、メタキシレングリコール、パラキシレングリコール、ビスヒドロキシエトキシベンゼン、ビスヒドロキシエチルテレフタレート、グリセリン、ジグリセリン、トリメチロールプロパン、ジトリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、シクロヘキサンジオール類(1,4−シクロヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール等)、ビスフェノール類(ビスフェノールAなど)、糖アルコール類(キシリトールやソルビトールなど)、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、2−メチロールプロパンジオール、エトキシ化トリメチロールプロパン等が挙げられる。
ポリエステルポリオールとしては、例えば、多価アルコールと多価カルボン酸との縮合重合物;環状エステル(ラクトン)の開環重合物;多価アルコール、多価カルボン酸及び環状エステルの3種類の成分による反応物等が挙げられる。
多価カルボン酸としては、例えば、マロン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジオン酸等の脂肪族ジカルボン酸;
1,4−シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環式ジカルボン酸;
テレフタル酸、イソフタル酸、オルトフタル酸、無水フタル酸、テレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、パラフェニレンジカルボン酸、トリメリット酸等の芳香族ジカルボン酸等が挙げられる。
環状エステルの開環重合物において、環状エステルとしては、例えば、プロピオラクトン、β−メチル−δ−バレロラクトン、ε−カプロラクトン等が挙げられる。
3種類の成分による反応物において、多価アルコール、多価カルボン酸、環状エステルとしては、前記例示のものなどを用いることができる。
本発明では、ポリエステルポリオールとして、特に、多価アルコールと多価カルボン酸との縮合重合物が好ましく、例えば、多価アルコールとして、2,4−ジエチル−1,5−ペンタメチレンジオール、3−メチル−1,5−ペンタメチレンジオール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール等、多価カルボン酸として、アジピン酸等を用いることが好ましい。
ポリエステルポリオールの製造方法は、常法により行うことができ、必要に応じ、公知の硬化剤、硬化触媒等を用いてもよい。
アクリルポリオールとしては、例えば、一分子中に1個以上のヒドロキシル基を有するアクリル単量体を単独重合または共重合させる、または共重合可能な他の単量体を共重合させることによって得ることができる。
一分子中に1個以上のヒドロキシル基を有するアクリル単量体としては、例えば、
(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシメチル、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸−3−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸−4−ヒドロキシブチル等の(メタ)アクリル酸エステル類
グリセリンやトリメチロールプロパン等のトリオールの(メタ)アクリル酸モノエステル類;
上記(メタ)アクリル酸エステル類とポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコール等のポリエーテルポリオール類とのモノエーテル類;
(メタ)アクリル酸グリシジルと酢酸、プロピオン酸、p−tert−ブチル安息香酸等の一塩基酸との付加物;
上記(メタ)アクリル酸エステル類と、ε−カプロラクタム、γ−バレロラクトン等のラクトン類の開環重合により得られる付加物;
等が挙げられ、これらを単独重合または共重合することにより得ることができる。
また、共重合可能な他の単量体としては、
(メタ)アクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、イタコン酸、フマル酸、イソクロトン酸、サリチル酸、けい皮酸等のカルボキシル基含有単量体;
(メタ)アクリル酸アミノメチル、(メタ)アクリル酸アミノエチル、(メタ)アクリル酸アミノプロピル、(メタ)アクリル酸アミノブチル、ブチルビニルベンジルアミン、ビニルフェニルアミン、p−アミノスチレン、(メタ)アクリル酸−N−メチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸−N−t−ブチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸−N,N−ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸−N,N−ジメチルアミノプロピル、(メタ)アクリル酸−N,N−ジエチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸−N,N−ジメチルアミノプロピル、(メタ)アクリル酸−N,N−ジエチルアミノプロピル、N−〔2−(メタ)アクリロイルオキシエチル〕ピペリジン、N−〔2−(メタ)アクリロイルオキシエチル〕ピロリジン、N−〔2−(メタ)アクリロイルオキシエチル〕モルホリン、4−〔N,N−ジメチルアミノ〕スチレン、4−〔N,N−ジエチルアミノ〕スチレン、2−ビニルピリジン、4−ビニルピリジン等のアミノ基含有単量体;
(メタ)アクリル酸グリシジル、ジグリシジルフマレート、(メタ)アクリル酸−3,4−エポキシシクロヘキシル、3,4−エポキシビニルシクロヘキサン、アリルグリシジルエーテル、(メタ)アクリル酸−ε−カプロラクトン変性グリシジル、(メタ)アクリル酸−β−メチルグリシジル等のエポキシ基含有単量体;
(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、ジアセトン(メタ)アクリルアミド、N−モノアルキル(メタ)アクリルアミド、N−イソブトキシメチルアクリルアミド、N、N−ジアルキル(メタ)アクリルアミド、2−(ジメチルアミノ)エチル(メタクリレート)、N−[3−(ジメチルアミノ)プロピル](メタ)アクリルアミド、ビニルアミド等のアミド基含有単量体;
(メタ)アクリル酸トリメトキシシリルプロピル、(メタ)アクリル酸トリエトキシシリルプロピル等のアルコキシシリル基含有単量体;
ビニルトリメトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロプロピルトリメトキシシラン等の加水分解性シリル基含有単量体;
アクリロニトリル、メタアクリロニトリル等のニトリル基含有単量体;
N−メチロ−ル(メタ)アクリルアミド等のメチロール基含有単量体;
ビニルオキサゾリン、2−プロペニル2−オキサゾリン等のオキサゾリン基含有単量体;
(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸−n−プロピル、(メタ)アクリル酸−n−ブチル、(メタ)アクリル酸−t−ブチル、(メタ)アクリル酸−sec−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸−2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸−n−ヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸トリフルオロエチル、(メタ)アクリル酸n一アミル、(メタ)アクリル酸イソアミル、(メタ)アクリル酸オキチル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸ドデセニル、(メタ)アクリル酸オタタデシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸−4−tert−ブチルシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸−2−フェニルエチル、(メタ)アクリル酸−2−メトキシエチル、(メタ)アクリル酸−4−メトキシブチル等の(メタ)アクリル酸エステル系単量体;
フッ化ビニリデン等のハロゲン化ビニリデン系単量体;
スチレン、2−メチルスチレン、ビニルトルエン、t−ブチルスチレン、ビニルアニソール、ビニルナフタレン、ジビニルベンゼン等の芳香族ビニル系単量体;
エチレン、プロピレン、イソプレン、ブタジエン、酢酸ビニル、ビニルエーテル、ビニルケトン、シリコーンマクロマー等のその他の単量体;
等が挙げられ、これらのうち1種または2種以上を用いることができる。
重合方法としては、特に限定されず、公知の塊状重合、懸濁重合、溶液重合、分散重合、乳化重合、酸化還元重合等を用いればよく、必要に応じ、開始剤、連鎖移動剤等またはその他の添加剤等を加えてもよい。例えば、上記のモノマー成分を、公知の過酸化物やアゾ化合物などのラジカル重合開始剤の存在下で溶液重合することによって得ることができる。
ポリカーボネートポリオールとしては、例えば、多価アルコールとホスゲンとの反応物;環状炭酸エステル(アルキレンカーボネート等)の開環重合物等が挙げられる。
環状炭酸エステルの開環重合物において、アルキレンカーボネートとしては、例えば、エチレンカーボネート、トリメチレンカーボネート、テトラメチレンカーボネート、ヘキサメチレンカーボネート等が挙げられる。
なお、ポリカーボネートポリオールは、分子内にカーボネート結合を有し、末端がヒドロキシル基である化合物であればよく、カーボネート結合とともにエステル結合を有していてもよい。
ポリオレフィンポリオールとしては、オレフィンを重合体又は共重合体の骨格(又は主鎖)の成分とし且つ分子内に(特に末端に)ヒドロキシル基を少なくとも2つ有するポリオールであって、数平均分子量が500以上のものを用いることができる。前記オレフィンとしては、末端に炭素−炭素二重結合を有するオレフィン(例えば、エチレン、プロピレン等のα−オレフィンなど)であってもよく、また末端以外の部位に炭素−炭素二重結合を有するオレフィン(例えば、イソブテンなど)であってもよく、さらにはジエン(例えば、ブタジエン、イソプレンなど)であってもよい
ポリエーテルポリオールとしては、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリエチレングリコールモノアルキルエーテル、ポリプロピレングリコールモノアルキルエーテル等のポリアルキレングリコールの他、エチレンオキシド−プロピレンオキシド共重合体などの単量体成分として複数のアルキレンオキシドを含む(アルキレンオキサイド−他のアルキレンオキサイド)共重合体等が挙げられる。
このようなポリオールの水酸基価は、特に限定されないが、20〜150KOHmg/g(好ましくは25〜120KOHmg/g、さらに好ましくは30〜80KOHmg/g)程度とすればよい。
また、ポリオールの分子量は、特に限定されないが、500〜10000であることが望ましく、さらには1000〜4000であることが望ましい。このような分子量であれば、イソシアネート基を含有する化合物やカルボキシル基を含有する化合物等との組み合わせにより、蓄熱材の漏れを抑制できる架橋構造を得ることができる。分子量が小さすぎる場合は、蓄熱材が漏れ易くなる恐れがある。分子量が大きすぎる場合は、蓄熱材を十分に保持できなくなる恐れがある。
セルロース及び/またはその誘導体としては、セルロース、酢酸セルロース、二酢酸セルロース、三酢酸セルロース等のセルロースアセテート、メチルセルロース、エチルセルロース、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートフタレート、硝酸セルロース等のセルロースエステル類、エチルセルロース、ベンジルセルロース、シアノエチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等のセルロースエーテル類等が挙げられる。
セルロース及び/またはその誘導体は、ヒドロキシル基を有するものであるが、ヒドロキシル基の一部をアルコキシル基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等)等により、置換されたものが好ましい。
具体的には、置換度が、1.8〜2.8、さらには2.2〜2.6であることが好ましい。なお、置換度とは、セルロースを構成するグリコースユニット中に存在する3つのヒドロキシル基が、アルコキシル基等で置換された割合を意味し、100%置換された場合で置換度は3となる。
置換度をこのような範囲で制御することにより、蓄熱材との相互作用を向上させることができ、多孔体内に、蓄熱材を長期に亘り保持することができる。
置換度が、1.8より小さい場合は、蓄熱材との相互作用が低下する場合があり、蓄熱材を多孔体内に、十分保持できない場合がある。また、2.8より大きい場合は、セルロース中のヒドロキシル基が減少し、十分な強度を有する3次元架橋構造が得られない場合がある。
セルロース及び/またはその誘導体の分子量は、特に限定されないが、1000〜30000であることが望ましく、さらには5000〜20000であることが望ましい。このような分子量であれば、蓄熱材の漏れを最も抑制できる架橋構造を得ることができる。分子量が小さすぎる場合は、蓄熱材が漏れ易くなる恐れがある。分子量が大きすぎる場合は、蓄熱材を十分に保持できなくなる恐れがある。
イソシアネート基を含有する化合物としては、例えば、1,3−トリメチレンジイソシアネート、1,4−テトラメチレンジイソシアネート、1,3−ペンタメチレンジイソシアネート、1,5−ペンタメチレンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート(HMDI)、1,2−プロピレンジイソシアネート、1,2−ブチレンジイソシアネート、2,3−ブチレンジイソシアネート、1,3−ブチレンジイソシアネート、2−メチル−1,5−ペンタメチレンジイソシアネート、3−メチル−1,5−ペンタメチレンジイソシアネート、2,4,4−トリメチル−1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチル−1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、2,6−ジイソシアネートメチルカプロエート、リジンジイソシアネ−ト、ダイマー酸ジイソシアネート、ノルボルネンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート;
1,3−シクロペンタンジイソシアネート、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、1,3−シクロヘキサンジイソシアネート、3−イソシアネートメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルイソシアネート、4,4´−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、メチル−2,4−シクロヘキサンジイソシアネート、メチル−2,6−シクロヘキサンジイソシアネート、1,3−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ノルボルナンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、水添ジフェニルメタンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート等の脂環式ジイソシアネート;
m−フェニレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート(TDI)、2,6−トリレンジイソシアネート(TDI)、ナフチレン−1,4−ジイソシアネート、ナフチレン−1,5−ジイソシアネート、4,4´−ジフェニルジイソシアネート、4,4´−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、2,4´−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4´−ジフェニルエ−テルジイソシアネート、2−ニトロジフェニル−4,4´−ジイソシアネート、2,2´−ジフェニルプロパン−4,4´−ジイソシアネート、3,3´−ジメチルジフェニルメタン−4,4´−ジイソシネート、4,4´−ジフェニルプロパンジイソシアネート、3,3´−ジメトキシジフェニル−4,4´−ジイソシアネート、ジアニシジンジイソシアネート、テトラメチレンキシリレンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート;
1,3−キシリレンジイソシアネート(XDI)、1,4−キシリレンジイソシアネ−ト(XDI)、ω,ω´−ジイソシアネート−1,4−ジエチルベンゼン、1,3−ビス(1−イソシアネート−1−メチルエチル)ベンゼン、1,4−ビス(1−イソシアネート−1−メチルエチル)ベンゼン、1,3−ビス(α,α−ジメチルイソシアネートメチル)ベンゼン等の芳香脂肪族ジイソシアネート;
等、及びこれらのイソシアネート基含有化合物をアロハネート化、ビウレット化、2量化(ウレチジオン)、3量化(イソシアヌレート)、アダクト化、カルボジイミド反応等によって誘導体化したもの、及びそれらの混合物、及びこれらのイソシアネート基を含有する化合物と上述した共重合可能な単量体との共重合体等が挙げられる。
本発明では、特に、脂肪族ジイソシアネートを用いることが好ましく、特にHMDI及びその誘導体化したもの等が好ましい。
カルボキシル基を含有する化合物としては、例えば、上述した多価カルボン酸やカルボキシル基含有単量体等、またはカルボキシル基含有単量体を単独重合または共重合させた重合体、あるいは共重合可能な他の単量体を共重合させた共重合体等が挙げられる。
共重合可能な他の単量体としては、上述したヒドロキシル基含有単量体、アミノ基含有単量体、エポキシ基含有単量体、アミド基含有単量体、アルコキシシリル基含有単量体、加水分解性シリル基含有単量体、ニトリル基含有単量体、メチロール基含有単量体、オキサゾリン基含有単量体、アクリル酸エステル系単量体、ハロゲン化ビニリデン系単量体、芳香族ビニル系単量体、その他の単量体等が挙げられる。
エポキシ基を含有する化合物としては、例えば、ビスフェノールAとエピクロルヒドリン等の縮合反応により得られるエピ−ビス型のビスフェノールA型エポキシ化合物、ビスフェノールF型エポキシ化合物、ビスフェノールAD型エポキシ化合物、ビスフェノールS型エポキシ化合物が一般的に用いられ、また、これらを水添したエポキシ化合物、3,4−エポキシビニルシクロヘキサン、ビニルシクロヘキセンモノエポキサイド脂環式エポキシ化合物、フェノールノボラック型エポキシ化合物、ビスフェノールAノボラック型エポキシ化合物、クレゾールノボラック型エポキシ化合物、ジアミノジフェニルメタン型エポキシ化合物、β−メチルエピクロ型エポキシ化合物、n−ブチルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、2−エチルヘキシルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、クレジルグリシジルエーテル等のグリシジルエーテル型エポキシ化合物、ジグリシジルエーテル等のジグリシジルエーテル型エポキシ化合物、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸−3,4−エポキシシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸−ε−カプロラクトン変性グリシジル、(メタ)アクリル酸−β−メチルグリシジル等のグリシジルエステル型エポキシ化合物、ポリグリコールエーテル型エポキシ化合物、グリコールエーテル型エポキシ化合物、ウレタン結合を有するウレタン変性エポキシ化合物、アミン変性エポキシ化合物、フッ素化エポキシ化合物、ポリブタジエンあるいはアクリロニトリル−ブタジエン共重合体ゴムを含有するゴム変性エポキシ化合物、テトラブロモビスフェノールAのグリシジルエーテル等の難燃型エポキシ化合物、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン等のエポキシ基含有シリコン化合物等が挙げられる。
エポキシ基を含有する化合物のエポキシ当量は、特に限定されないが、100g/eq以上400g/eq以下(好ましくは150g/eq以上350g/eq以下)のものが好ましく、これらのうち1種または2種以上用いることができる。
本発明では特に、100g/eq以上250g/eq未満(好ましくは120g/eq以上230g/eq以下、より好ましくは150g/eq以上200g/eq以下)のエポキシ基を含有する化合物と、エポキシ当量が250g/eq以上400g/eq以下(好ましくは280g/eq以上350g/eq以下)のエポキシ基を含有する化合物を併用することが好ましい。このような2種以上のエポキシ基を含有する化合物を含有することにより、優れた硬化性と可撓性の両立が可能となる。また蓄熱材との相溶性を調整することができる。
さらに、本発明エポキシ樹脂は、1分子中に2つ以上のエポキシ基を有することが好ましい。2つ以上有することにより、硬化性と反応速度を向上させることができ、また、架橋密度を高くすることができ、得られる多孔体の強度を高めることができる。
アミノ基を含有する化合物としては、
エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ジエチルアミノプロピルアミン、ヘキサメチレンジアミン、メチルペンタメチレンジアミン、トリメチルヘキサメチレンジアミン、グアニジン、オレイルアミン等の脂肪族アミノ基含有化合物;
メンセンジアミン、イソホロンジアミン、ノルボルナンジアミン、ピペリジン、N,N’−ジメチルピペラジン、N−アミノエチルピペラジン、1,2−ジアミノシクロヘキサン、ビス(4−アミノ−3−メチルシクロヘキシル)メタン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン、ポリシクロヘキシルポリアミン、DBU等の脂環族アミノ基含有化合物;
メタフェニレンジアミン、4、4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン等の芳香族アミノ基含有化合物;
m−キシリレンジアミン、ベンジルジメチルアミン、2−(ジメチルアミノメチル)フェノール、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール等の脂肪芳香族アミノ基含有化合物;
3,9−ビス(3−アミノプロピル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン(ATU)、モルホリン、N−メチルモルホリン、ポリオキシプロピレンジアミン、ポリオキシプロピレントリアミン、ポリオキシエチレンジアミン等のエーテル結合を有するアミノ基含有化合物;
ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等の水酸基及びアミノ基含有化合物;
テトラヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、無水メチルナジック酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、ドデシル無水コハク酸等の酸無水物類;
ダイマー酸にジエチレントリアミンやトリエチレンテトラミン等のポリアミンを反応させて得られるポリアミド、ダイマー酸以外のポリカルボン酸を使ったポリアミド等のポリアミドアミン類;
2−エチル−4−メチルイミダゾール等のイミダゾール類;
ポリオキシプロピレン系ジアミン、ポリオキシプロピレン系トリアミン等のポリオキシプロピレン系アミン類;
上記アミン類にエポキシ化合物を反応させて得られるエポキシ変性アミン、上記アミン類にホルマリン、フェノール類を反応させて得られるマンニッヒ変性アミン、マイケル付加変性アミン、ケチミン、アルジミンといった変性アミン類;2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノールの2−エチルヘキサン酸塩等のアミン塩等が挙げられる。
(x−2)成分と(x−3)成分の組み合わせとして、本発明では、ヒドロキシル基を含有する化合物とイソシアネート基を含有する化合物、エポキシ基を含有する化合物とアミノ基を含有する化合物等の組み合わせが好ましく、特にヒドロキシル基を含有する化合物とイソシアネート基を含有する化合物の組み合わせが好ましい。このような、組み合わせでは、温和な条件下で架橋反応が進行しやすく、また、架橋密度等の調節も容易であるため好ましい。
また、(x−2)成分と(x−3)成分の混合比率は、特に限定されず、用途に合わせて適宜設定すればよい。
例えば、ヒドロキシル基を含有する化合物とイソシアネート基を含有する化合物を用いる場合は、NCO/OH比率で通常0.1〜1.8、好ましくは0.2〜1.5、さらに好ましくは0.3〜1.3となる範囲内で設定すればよい。
このようなNCO/OH比率の範囲内であることにより、多孔体の強度を強靭なものとすることができ、蓄熱材の漏れのない均一な緻密な架橋構造を得ることができる。
また、(x−2)成分と(x−3)成分の反応では、反応促進剤を用いて硬化反応を迅速に進めることもできる。
例えば、ヒドロキシル基を含有する化合物とイソシアネート基を含有する化合物の反応では、反応促進剤として、例えば、トリエチルアミン、トリエチレンジアミン、トリエチルアミン、テトラメチルブタンジアミン、ジメチルアミノエタノール、ダイマージアミン、ダイマー酸ポリアミドアミン等のアミン類;
ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジアセテート、錫オクテート等の錫カルボン酸塩類;
ナフテン酸鉄、ナフテン酸コバルト、ナフテン酸マンガン、ナフテン酸亜鉛、オクチル酸鉄、オクチル酸コバルト、オクチル酸マンガン、オクチル酸亜鉛等の金属カルボン酸塩類;
ジブチルチンチオカルボキシレート、ジオクチルチンチオカルボキシレート、トリブチルメチルアンモニウムアセテート、トリオクチルメチルアンモニウムアセテート等のカルボキシレート類;
アルミニウムトリスアセチルアセテート等のアルミニウム化合物;
等が挙げられ、1種または2種以上を用いることができる。
反応促進剤は、ヒドロキシル基を含有する化合物の固形分100重量部に対して、通常0.01〜10重量部、好ましくは0.05〜5重量部の比率で混合する。反応促進剤が0.01重量部より少ない場合は、多孔体の硬化性や強度が不十分となり、膨れが発生しやすくなる傾向がある。10重量部より多い場合は、耐候性、耐変色性等が低下する傾向となる。
多孔体を形成する成分として、上記成分の他に、顔料、骨材、可塑剤、防腐剤、防黴剤、防藻剤、消泡剤、発泡剤、レベリング剤、顔料分散剤、沈降防止剤、たれ防止剤、脱水剤、艶消し剤、難燃剤、紫外線吸収剤、光安定剤等の添加剤を混合してもよい。
多孔体の製造は、上記成分を用いて、公知の方法で製造すればよい。
蓄熱材を多孔体に充填する方法としては、上記多孔体に、浸漬法、減圧・加圧注入法等により蓄熱材を充填する方法、また、多孔体製造時に予め蓄熱材を混合しておき充填する方法等が挙げられる。
本発明では、多孔体製造時に予め蓄熱材を混合しておき充填する方法が好ましく、このような方法では、多孔体から蓄熱材が漏れることを、より防ぐことができ好ましい。
具体的には、まず、蓄熱材及び多孔体形成成分を混合し、次いで多孔体形成成分を硬化させることにより、蓄熱材が多孔体に充填された蓄熱材を得るものである。
例えば、
(i)(x−1)成分(必要に応じ、粘性調整剤、熱伝導性物質等)、(x−2)成分、(x−3)成分を均一に混合し、(x−2)成分と(x−3)成分を反応させて、蓄熱材を多孔体に充填する方法、
(ii)(x−1)成分(必要に応じ、粘性調整剤、熱伝導性物質等)、と、親水親油バランス(HLB値)が10以上の非イオン性界面活性剤、(x−2)成分と(x−3)成分を混合し、(x−1)成分をコロイド状に分散させ、(x−2)成分と(x−3)成分を反応させて、蓄熱材を多孔体に充填する方法、等が挙げられる。
(i)の方法では、(x−1)成分、(x−2)成分、(x−3)成分を均一に混合し、相溶状態にする。次いで、(x−2)成分と(x−3)成分を反応させることにより、(x−1)成分が充填された多孔体を得るものである。
この過程では、相溶状態から非相溶状態の変化に伴うミクロ相分離が起こり、(x−2)成分と(x−3)成分からなる緻密に入り組んだ3次元編目構造型多孔体が形成されるものと思われる。
この3次元編目構造型多孔体に(x−1)成分が充填された状態となり、(x−1)成分が充填された多孔体が形成される。
特に、(x−1)成分に加えて粘性調整剤が混合されている場合は、(x−1)成分が粘度調整され、多孔体に充填された(x−1)成分が外部へ漏れ出すことを防ぐことができる。そのため、高い蓄熱材含有率を達成することができるため好ましい。
さらに多孔体の形成成分を適宜設定することにより、多孔体形成成分との相互作用が働き、(x−1)成分が外部へ漏れ出すのをより防ぐことができる。
また、多孔体として3次元編目構造型多孔体であれば、その緻密な構造の故、(x−1)成分が外部へ漏れ出すのをより防ぐことができる。
このような3次元編目構造型多孔体の製造では、さらに、上述した相溶化剤を混合し製造することが好ましい。相溶化剤は、(x−1)成分同士の相溶性のみならず、(x−1)成分と樹脂成分((x−2)成分、(x−3)成分等)との相溶性も向上させることができるため、より緻密な3次元編目構造型多孔体が形成され、多孔体から(x−1)成分が洩れることを、よりいっそう防ぐことができる。
相溶化剤としては、上述した脂肪酸トリグリセリドや、親水親油バランス(HLB)が1以上10未満の非イオン性界面活性剤等が挙げられるが、(x−1)成分と樹脂成分との相溶性には、特に親水親油バランス(HLB)が1以上10未満の非イオン性界面活性剤が好ましい。
(i)の方法において、反応温度は、(x−1)成分の融点以上であることが好ましい。具体的な反応温度は(x−1)成分の種類によって異なるが、通常20℃〜100℃程度である。(x−1)成分の融点以上で反応させることにより、相溶状態になりやすい。また、反応時間は通常0.2〜10時間程度とすればよい。
また、(i)の方法において、例えば、ヒドロキシル基を含有する化合物とイソシアネート基を含有する化合物を使用する場合は、ヒドロキシル基を含有する化合物の分子量は、特に限定されないが、500〜10000であることが望ましく、さらには1000〜3000であることが望ましい。このような分子量であれば、(x−1)成分と容易に溶融混合することができ、容易に相溶状態をつくり出すことができる。よって、より優れた3次元架橋構造を得ることができる。
さらに、ヒドロキシル基を含有する化合物とイソシアネート基を含有する化合物の混合比率は、特に限定されず、適宜設定すればよいが、NCO/OH比率が、0.1〜1.8、好ましくは0.2〜1.7、さらに好ましくは0.3〜1.6、より好ましくは0.5〜1.5であることによって、より優れた3次元架橋構造を得ることができる。
また、(ii)の方法では、(x−1)成分と、親水親油バランス(HLB値)が10以上の非イオン性界面活性剤、(x−2)成分と(x−3)成分を混合し、(x−2)成分と(x−3)成分中に(x−1)成分をコロイド状に分散させる。次いで、(x−2)成分と(x−3)成分を反応させることにより、(x−1)成分が充填された多孔体を得ることができる。
このような方法では、親水親油バランス(HLB値)が10以上の非イオン性界面活性剤により、(x−2)成分及び/または(x−3)成分中に(x−1)成分が、微細なコロイド状に分散した状態をつくりだすことができる。このような状態で(x−2)成分と(x−3)成分を反応させることにより、(x−1)成分が充填された多孔体を得ることができる。
本発明製造方法の具体的な方法としては、例えば(x−1)成分、親水親油バランス(HLB値)が10以上の非イオン性界面活性剤、(x−2)成分及び(x−3)成分を混合し、(x−2)成分と(x−3)成分を反応させる方法、または、(x−1)成分、親水親油バランス(HLB値)が10以上の非イオン性界面活性剤、(x−2)成分(または(x−3)成分)を混合し、(x−3)成分(または(x−2)成分)を添加することにより反応させる方法等が挙げられる。
このような製造方法では、(x−1)成分の含有率を大きくすることができ、かつ、高い(x−1)成分含有率を有しているにもかかわらず経時的に(x−1)成分が漏れることがない。さらに(x−1)成分が充填された多孔体を切断したとしても、切断面から(x−1)成分が漏れ出すこともなく加工性に優れ、また、釘打ち等による(x−1)成分の漏れないため、取り付け施工性に優れている。
さらに、(x−1)成分が、微細に均一に分散した状態であるため、(x−1)成分の固液変化に伴う体積変化による多孔体自体の形状変化を軽減することもできる。
親水親油バランス(HLB値)が10以上の非イオン性界面活性剤としては、(x−1)成分、(x−2)成分、(x−3)成分により、適宜選定すればよい。また、親水親油バランス(HLB値)が、10以上(好ましくは10超20以下、さらに好ましくは11以上19以下、より好ましくは12以上18以下、最も好ましくは13以上17以下)であることによりり、特に(x−1)成分(特に、有機潜熱蓄熱材)を、コロイド状に分散し易いため好ましい。
親水親油バランス(HLB値)が10以上の非イオン性界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミテート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート等のポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、
ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルドデシルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルエーテル、
テトラオレイン酸ポリオキシエチレンソルビット等のポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、
ポリエチレングリコールモノラウレート、ポリエチレングリコールモノステアレート、ポリエチレングリコールジステアレート、ポリエチレングリコールモノオレエート等のポリオキシエチレン脂肪酸エステル、
ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンヤシ油脂肪酸ソルビタン等が挙げられる。
特に(x−1)成分として、炭素数8〜36の脂肪族炭化水素、炭素数8〜36の長鎖アルコール、炭素数8〜36の長鎖脂肪酸、炭素数8〜36の長鎖脂肪酸エステルを用いた場合、該界面活性剤の構造中に、炭素数8〜36の長鎖アルキル基を有することが好ましい。特に、(x−1)成分と該界面活性剤の長鎖アルキル基の炭素数が近似するもの、あるいは同様のものを選定することにより、本発明の効果をよりいっそう高めることができる。
親水親油バランス(HLB値)が10以上の非イオン性界面活性剤と(x−1)成分の混合比は、(x−1)成分、(x−2)成分、(x−3)成分により適宜設定すればよいが、通常(x−1)成分100重量部に対し、該界面活性剤0.01重量部から30重量部(好ましくは0.1重量部から20重量部)程度とすればよい。
該界面活性剤が0.01重量部より少ない場合は、(x−1)成分と(x−2)成分及び/または(x−3)成分が分離してしまうかまたはクリーミング現象を起こしやすく、効率よくコロイド分散せず、本発明の効果が得られない場合がある。30重量部より多い場合は、得られる蓄熱層の耐水性等の物性に悪影響を及ぼす場合がある。
上記製造方法では、反応前の状態において、(x−1)成分が、粒子径10μm〜1000μm(好ましくは50μm〜900μm、さらに好ましくは100μm〜800μm、より好ましくは200μm〜700μm)程度の大きさのコロイド状に分散した状態であることを特徴とするものである。このような状態から(x−2)成分と(x−3)成分を反応させることにより、多孔体中に(x−1)成分が微細に分散(充填)させることができる。
なお、反応前の状態においては、系内の温度が(x−1)成分の融点以上であることが好ましい。具体的には、通常20℃〜80℃程度であるり、このような温度では、(x−1)成分がコロイド状に分散しやすいためこのましい。
また、粒子径は、光学顕微鏡(BHT−364M、オリンパス光学工業株式会社製)を用いて測定した値である。
このような製造方法において、具体的な反応温度は(x−1)成分の種類によって異なるが、通常20℃〜80℃程度である。(x−1)成分の融点以上では、(x−1)成分がコロイド状態になりやすいため、好ましい。また、反応時間は通常0.2〜5時間程度とすればよい。
また、このような製造において、例えば、ヒドロキシル基を含有する化合物とイソシアネート基を含有する化合物を使用する場合は、ヒドロキシル基を含有する化合物の分子量は、特に限定されず、幅広い範囲で選択することが可能であるが、通常、500〜10000であることが望ましく、さらには1000〜3000であることが望ましい。このような分子量であれば、(x−1)成分を、より微細なコロイド状に分散させることができるともに、より(x−1)成分含有率を高めることができる。よって、蓄熱性に優れ、(x−1)成分の固液変化に伴う体積変化による多孔体自体の形状変化をより軽減することが可能である。
さらに、ヒドロキシル基を含有する化合物とイソシアネート基を含有する化合物の混合比率は、特に限定されず、適宜設定すればよいが、NCO/OH比率が、0.1〜1.8、好ましくは0.2〜1.7、さらに好ましくは0.3〜1.6、より好ましくは0.5〜1.5であることによって、上記効果をよりいっそう高めることができる。
なお、多孔体製造時に予め(x−1)成分を混合しておき充填する方法では、反応性官能基として、イソシアネート基、カルボキシル基、イミド基、アルデヒド基を用いる場合は、蓄熱材として長鎖アルコール、ポリエーテル化合物の使用は除くものとする。また反応性官能基として、ヒドロキシル基、エポキシ基、カルボジイミド基、オキサゾリン基、アジリジン基を用いる場合は、蓄熱材として長鎖脂肪酸の使用は除くものとする。
本発明における蓄熱層の製造では、上記成分の他に、顔料、骨材、可塑剤、防腐剤、防黴剤、防藻剤、消泡剤、発泡剤、レベリング剤、顔料分散剤、沈降防止剤、たれ防止剤、滑剤、脱水剤、艶消し剤、難燃剤、紫外線吸収剤、光安定剤等の添加剤を含有することもできる。
−積層方法−
本発明の制振性積層体は、制振層(A)と蓄熱層(X)を積層することにより得られるものであり、その積層方法は、特に限定されない。例えば、制振層(A)と蓄熱層(X)を積層した2層構造でもよいし、3層以上の多層構造を持つものでもよい。
具体的に、積層方法は、予め、公知の方法により蓄熱層(X)を作製し、制振樹脂等の制振層(A)形成成分を塗付積層する方法、また予め制振樹脂等の制振層(A)形成成分から制振層(A)を形成し、公知の接着剤・粘着剤や接着・粘着テープで積層する方法、熱融着により積層する方法等により積層することができる。
また逆に、予め、公知の方法により制振層(A)を作製し、蓄熱層(X)形成成分を塗付積層する方法、また予め蓄熱層(X)形成成分から蓄熱層(X)を形成し、公知の接着剤・粘着剤や接着・粘着テープで積層する方法、熱融着により積層する方法等により積層することができる。
さらに、制振性積層体は、後述する基材の上に積層したものでもよい。この場合、基材の上に、蓄熱層(X)、制振層(A)を順に積層することもできるし、基材の上に、制振層(A)、蓄熱層(X)を順に積層することもできる。
基材の上に積層する場合も、上記と同様の方法で、基材に対し、制振層(A)または蓄熱層(X)を積層し、さらに蓄熱層(X)または制振層(A)を積層することができる。また、基材の間に注入・充填することもできる。
制振層(A)形成成分、蓄熱層(X)形成成分を塗付する方法では、刷毛、コテ、スプレー、ローラー、ロールコーター、フローコーター等の塗装機器を用いて塗付すればよく、1回塗り、複数回塗り等特に限定されない。
基材としては、例えば、コンクリート、モルタル、軽量モルタル、軽量コンクリート、押出成形板、スレート板、ALC板、サイディングボード、石膏ボード、繊維混入セメント板、セメント珪酸カルシウム板、スラグセメントパーライト板、石綿セメント板、金属板、合板、鋼板、磁器タイル、プラスチック形成板、ガラス板等が挙げられ、このような基材は、予め何らかの表面処理が施されたものであってもよい。
本発明では特に、建築物用として利用することを考慮し、石膏ボード、珪酸カルシウムボード、スレート板等を用いることが好ましい。
制振層(A)、蓄熱層(X)のそれぞれの厚みとしては、使用用途により適宜設定することができるが、通常0.1〜100mm、好ましくは0.5〜50mm程度とすればよい。厚みが厚い程、優れた制振性能、遮音性能を得ることができる。本発明では、厚みを簡単に、かつ、自由に調整できる点から、シート状に成形することが好ましい。
以下に実験例を示し、本発明の特徴をより明確にする。
(実験例1)
(制振性積層体の製造)
表1に示す原料を用い、表2に示す配合量にて、樹脂、ポリイソシアネート化合物、硬化助剤、添加剤を均一に混合し、型枠中に流し込み、50℃で3時間硬化させ、厚さ2mmの制振層を作製した。
表3に示す原料を用い、表4に示す配合量にて、蓄熱材C、有機処理された層状粘土鉱物A、ヒドロキシル基含有化合物A、イソシアネート基含有化合物Bを温度40℃で均一に混合し、反応促進剤を加え、十分攪拌し、蓄熱スラリーを得た。
得られた蓄熱スラリーを、上記制振層を底面とする型枠中に流し込み、50℃で3時間硬化させ、厚みが1mmの蓄熱層を得、型枠から脱型し、制振層と蓄熱層が積層された厚さ3mmの制振性積層体を得た。
(制振性試験)
作製した制振性積層体を、強制振動型粘弾性装置(Rheogel E−4000 株式会社ユービーエム社製)を用いて、圧縮モードで、昇温温度2.0℃/min、周波数10Hzで振幅歪0.1mmの条件でtanδの測定を行なった。
制振性試験では、0℃から60℃の温度領域で、2.0℃/minで昇温させた時の20℃、30℃、40℃におけるtanδの値を測定した。その結果を表5に示す。
なお、参考例として、制振層のみで制振性試験を行った結果も表5に示しておく。参考例では、30℃でtanδの最大値、1.95を示した。
(実験例2)
表3に示す原料を用い、表4に示す配合量にて、蓄熱材C、ヒドロキシル基含有化合物A、イソシアネート基含有化合物Bを温度40℃で均一に混合し、反応促進剤を加え、十分攪拌し、蓄熱スラリーを得た以外は、実験例1と同様の方法で制振性積層体を製造した。また得られた制振性積層体は、実験例1と同様の方法で制振性試験を行った。その結果を表5に示す。
(実験例3)
表3に示す原料を用い、表4に示す配合量にて、蓄熱材A、蓄熱材C、相溶化剤、有機処理された層状粘土鉱物B、ヒドロキシル基含有化合物B、イソシアネート基含有化合物Aを温度40℃で均一に混合し、反応促進剤を加え、十分攪拌し、蓄熱スラリーを得た以外は、実験例1と同様の方法で制振性積層体を製造した。また得られた制振性積層体は、実験例1と同様の方法で制振性試験を行った。その結果を表5に示す。
(実験例4)
表3に示す原料を用い、表4に示す配合量にて、蓄熱材C、有機処理された層状粘土鉱物B、ヒドロキシル基含有化合物B、イソシアネート基含有化合物A、熱伝導性物質を温度40℃で均一に混合し、反応促進剤を加え、十分攪拌し、蓄熱スラリーを得た以外は、実験例1と同様の方法で制振性積層体を製造した。また得られた制振性積層体は、実験例1と同様の方法で制振性試験を行った。その結果を表5に示す。
(実験例5)
表3に示す原料を用い、表4に示す配合量にて、蓄熱材C、ヒドロキシル基含有化合物B、イソシアネート基含有化合物A、熱伝導性物質を温度40℃で均一に混合し、反応促進剤を加え、十分攪拌し、蓄熱スラリーを得た以外は、実験例1と同様の方法で制振性積層体を製造した。また得られた制振性積層体は、実験例1と同様の方法で制振性試験を行った。その結果を表5に示す。
(実験例6)
表3に示す原料を用い、表4に示す配合量にて、蓄熱材C、界面活性剤、ヒドロキシル基含有化合物A、イソシアネート基含有化合物Bを温度40℃で混合し、蓄熱材Cをコロイド状(平均粒子径190nm)に分散させ、反応促進剤を加え、十分攪拌し、蓄熱スラリーを得た以外は、実験例1と同様の方法で制振性積層体を製造した。また得られた制振性積層体は、実験例1と同様の方法で制振性試験を行った。その結果を表5に示す。
(実験例7)
表3に示す原料を用い、表4に示す配合量にて、蓄熱材C、界面活性剤、有機処理された層状粘土鉱物B、ヒドロキシル基含有化合物A、イソシアネート基含有化合物Bを温度40℃で混合し、蓄熱材Cをコロイド状(平均粒子径430nm)に分散させ、反応促進剤を加え、十分攪拌し、蓄熱スラリーを得た以外は、実験例1と同様の方法で制振性積層体を製造した。また得られた制振性積層体は、実験例1と同様の方法で制振性試験を行った。その結果を表5に示す。
(実験例8)
表3に示す原料を用い、表4に示す配合量にて、蓄熱材A、蓄熱材C、相溶化剤、界面活性剤、有機処理された層状粘土鉱物B、ヒドロキシル基含有化合物A、イソシアネート基含有化合物Bを温度40℃で混合し、蓄熱材A、蓄熱材Cをコロイド状(平均粒子径600nm)に分散させ、反応促進剤を加え、十分攪拌し、蓄熱スラリーを得た以外は、実験例1と同様の方法で制振性積層体を製造した。また得られた制振性積層体は、実験例1と同様の方法で制振性試験を行った。その結果を表5に示す。
(実験例9)
次の蓄熱スラリーを用いた以外は、実験例1と同様の方法で制振性積層体を製造した。また得られた制振性積層体は、実験例1と同様の方法で制振性試験を行った。その結果を表5に示す。
蓄熱スラリー:n−ノナデカン(相変化温度32.0℃)60重量部と、ステアリルアクリレート40重量部、ポリエチレングリコールジメタクリレート3重量部を均一に混合し、さらに、ポリオキシエチレンオレイルエーテル硫酸アンモニウム2重量部、ポリオキシエチレンステアリルエーテル1重量部、過流酸アンモニウム1重量部、水100重量部を加え、重合槽で混合し、プレ乳化液を作製した。次に重合槽内を脱気し、窒素雰囲気下、80℃で、3時間乳化重合を行った。重合後、重合槽を室温(25℃)まで冷却し、蓄熱性カプセル(平均粒径1.7μm)を得た。このカプセルを水層から分離し、小型粉砕機で解砕洗浄し、25℃の乾燥器中で3時間乾燥し、分級(100メッシュ)を行い、固形粉末状の蓄熱性カプセルを得た。この時、水層からの分離が簡便であり、粉砕時にはカプセルから蓄熱材が漏れ出すことがなく、得られたカプセルは、ほぼ100メッシュ以下のサイズで回収できた。
次に、得られた蓄熱性カプセル60重量部、表1に示すヒドロキシル基含有化合物A33重量部、表1に示すイソシアネート基含有化合物B9重量部を温度40℃で混合し、表1に示す反応促進剤0.1重量部を加えて、十分攪拌し、蓄熱スラリーを得た。
この際、蓄熱性カプセルは、カプセル壁が粉砕することなく、簡便に蓄熱スラリーが製造できた。
(実験例10)
次の蓄熱スラリーを用いた以外は、実験例1と同様の方法で制振性積層体を製造した。また得られた制振性積層体は、実験例1と同様の方法で制振性試験を行った。その結果を表5に示す。
蓄熱スラリー:蓄熱材A60重量部と、ステアリルアクリレート40重量部、ポリエチレングリコールジメタクリレート3重量部を均一に混合し、さらに、ドデシル硫酸ナトリウム3重量部、過流酸アンモニウム1重量部、水100重量部を加え、重合槽で混合し、プレ乳化液を作製した。次に重合槽内を脱気し、窒素雰囲気下、80℃で、3時間乳化重合を行った。重合後、重合槽を室温(25℃)まで冷却し、蓄熱性カプセル(平均粒径1.8μm)を得た。
このカプセルを水層から分離し、小型粉砕機で解砕洗浄し、25℃の乾燥器中で3時間乾燥し、分級(100メッシュ)を行い、固形粉末状の蓄熱性カプセルを得た。この時、水層からの分離が簡便であり、粉砕時にはカプセルから蓄熱材が漏れ出すことがなく、得られたカプセルは、ほぼ100メッシュ以下のサイズで回収できた。
次に、得られた蓄熱性カプセル60重量部、表1に示すヒドロキシル基含有化合物A33重量部、表1に示すイソシアネート基含有化合物A9重量部を温度40℃で混合し、表1に示す反応促進剤0.1重量部を加えて、十分攪拌し、蓄熱スラリーを得た。
この際、蓄熱性カプセルは、カプセル壁が粉砕することなく、簡便に蓄熱スラリーが製造できた。
(実験例11)
表3、表4に示すように蓄熱材Cを蓄熱材Bに替えた以外は、実験例1と同様の方法で制振性積層体を得、制振性試験を行った。結果は表5に示す。
Figure 0004711699
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Claims (5)

  1. 制振層(A)と蓄熱層(X)が積層され、
    制振層(A)が、制振性樹脂を含有し、動的粘弾性測定により求められる損失係数(tanδ)の最大値が0.5以上であり、
    該制振性樹脂が、(a)水酸基価が50〜150mgKOH/g、多分散度(重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn))が2.0以下、数平均分子量(Mn)が1000〜15000である水酸基含有化合物、(b)ポリイソシアネート化合物を含有し、
    蓄熱層(X)が、蓄熱材(x−1)を含有し、蓄熱材(x−1)の相変化温度が、制振層(A)における損失係数(tanδ)の最大値を示す温度のプラスマイナス10℃の温度領域に存在することを特徴とする制振性積層体。
  2. 制振性樹脂が、
    (a)(a−1)水酸基を含有する(メタ)アクリル単量体と(a−2)前記(a−1)以外の重合性不飽和単量体の混合物を重合して得られる共重合体であって、水酸基価が50〜150mgKOH/g、多分散度(重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn))が2.0以下、数平均分子量(Mn)が1000〜15000である共重合体、
    (b)ポリイソシアネート化合物、
    を含有することを特徴とする請求項1に記載の制振性積層体。
  3. 蓄熱層(X)が、蓄熱材(x−1)をカプセル化した蓄熱性カプセルを含有するものであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の制振性積層体。
  4. 蓄熱層(X)が、蓄熱材(x−1)を多孔体に充填したものであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の制振性積層体。
  5. 蓄熱材(x−1)が有機潜熱蓄熱材であることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の制振性積層体。
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