JP5140448B2 - 機能性組成物及びその成形体 - Google Patents
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Description
蓄冷熱技術は、太陽熱、地熱等の自然エネルギーや、冷暖房器具からの余熱を有効利用する技術で、例えば、住宅においては、安価な夜間電力を使用して、熱を蓄え、多目的な熱源として利用し、日中の電力消費を抑える技術として利用されている。
したがって、潜熱蓄冷熱材を利用する場合、床暖房用の蓄冷熱材に代表される平置きの用途にのみ使用されているのが実状である。
また、非特許文献1では、n−パラフィン(有機系潜熱蓄冷熱材)を高密度ポリエチレンに含浸させてペレットを作製し、それを石膏ボード内に混入させることで、有機系潜熱蓄冷熱材を固定化する方法が記載されており、同問題を解決している。
特定の有機潜熱蓄冷熱材(I)と、イソシアネート基を含有する化合物(II)、ヒドロキシル基を含有する化合物(III)を含有する組成物が、優れた蓄冷熱機能を有し、かつ、蓄冷熱材の漏れも無く、加工性、施工性、耐久性に優れることを見出し、本発明の完成に至った。
1.有機潜熱蓄冷熱材(I)、
1分子内に2以上のイソシアネート基を含有する化合物(II)、
1分子内に2以上のヒドロキシル基を含有する化合物(III)、
を含有し、
前記有機潜熱蓄冷熱材(I)として、パルミチルエポキシド、ステアリルエポキシドから選ばれる1種以上の化合物(I−1)を含む
ことを特徴とする組成物。
2.前記有機潜熱蓄冷熱材(I)の含有量が、組成物全量に対し40重量%以上であることを特徴とする1.に記載の組成物。
3.1.または2.に記載の組成物から製造された成形体。
また、アルキル基としては直鎖状のものが、蓄冷熱機能に優れる点で好ましい。
このような(I−1)成分は、(II)成分および/または(III)成分との相互作用や相溶性に特に優れているため、(I−1)成分を含むことにより、長期に亘り蓄冷熱機能を持続させることができるとともに、耐久性に優れた成形体を得ることができる。また、成形体の透明性、フレキシブル性等を高めることもできる。
特に本発明では、(I−1)成分として、ミリスチルエポキシド(融点4℃)、パルミチルエポキシド(融点14℃)、ステアリルエポキシド(融点25℃)等が好適に使用できる。
等、及びこれらのイソシアネート基含有化合物をアロハネート化、ビウレット化、2量化(ウレチジオン)、3量化(イソシアヌレート)、アダクト化、カルボジイミド反応等によって誘導体化したもの、及びそれらの混合物、及びこれらのイソシアネート基を含有する化合物と上述した共重合可能な単量体との共重合体等が挙げられる。
多価アルコール;
ポリエステルポリオール、アクリルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリオレフィンポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリカプロラクトンポリオール、ポリテトラメチレングリコールポリオール、ポリブタジエンポリオール、ポリオキシプロピレンポリオール、ポリオキシプロピレンエチレンポリオール、エポキシポリオール、アルキドポリオール、フッ素含有ポリオール、ケイ素含有系ポリオール等のポリオール;
セルロース及び/またはその誘導体、アミロース等の多糖類;
等が挙げられる。
1,4−シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環式ジカルボン酸;
テレフタル酸、イソフタル酸、オルトフタル酸、無水フタル酸、テレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、パラフェニレンジカルボン酸、トリメリット酸等の芳香族ジカルボン酸等が挙げられる。
3種類の成分による反応物において、多価アルコール、多価カルボン酸、環状エステルとしては、前記例示のものなどを用いることができる。
ポリエステルポリオールの製造方法は、常法により行うことができ、必要に応じ、公知の硬化剤、硬化触媒等を用いてもよい。
(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシメチル、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸−3−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸−4−ヒドロキシブチル等の(メタ)アクリル酸エステル類
グリセリンやトリメチロールプロパン等のトリオールの(メタ)アクリル酸モノエステル類;
上記(メタ)アクリル酸エステル類とポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコール等のポリエーテルポリオール類とのモノエーテル類;
(メタ)アクリル酸グリシジルと酢酸、プロピオン酸、p−tert−ブチル安息香酸等の一塩基酸との付加物;
上記(メタ)アクリル酸エステル類と、ε−カプロラクタム、γ−バレロラクトン等のラクトン類の開環重合により得られる付加物;
等が挙げられ、これらを単独重合または共重合することにより得ることができる。
(メタ)アクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、イタコン酸、フマル酸、イソクロトン酸、サリチル酸、けい皮酸等のカルボキシル基含有単量体;
ビニルトリメトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロプロピルトリメトキシシラン等の加水分解性シリル基含有単量体;
アクリロニトリル、メタアクリロニトリル等のニトリル基含有単量体;
N−メチロ−ル(メタ)アクリルアミド等のメチロール基含有単量体;
ビニルオキサゾリン、2−プロペニル2−オキサゾリン等のオキサゾリン基含有単量体
スチレン、2−メチルスチレン、ビニルトルエン、t−ブチルスチレン、ビニルアニソール、ビニルナフタレン、ジビニルベンゼン等の芳香族ビニル系単量体;
エチレン、プロピレン、イソプレン、ブタジエン、酢酸ビニル、ビニルエーテル、ビニルケトン、シリコーンマクロマー等のその他の単量体;
等が挙げられ、これらのうち1種または2種以上を用いることができる。
具体的には、置換度が、1.8〜2.8、さらには2.2〜2.6であることが好ましい。なお、置換度とは、セルロースを構成するグリコースユニット中に存在する3つのヒドロキシル基が、アルコキシル基等で置換された割合を意味し、100%置換された場合で置換度は3となる。
置換度をこのような範囲で制御することにより、後述する(I)成分との相互作用を向上させることができ、成形体内に、(I)成分を長期に亘り保持することができる。
置換度が、1.8より小さい場合は、(I)成分との相互作用が低下する場合があり、(I)成分を成形体内に、十分保持できない場合がある。また、2.8より大きい場合は、セルロース中のヒドロキシル基が減少し、十分な強度を有する3次元架橋構造が得られない場合がある。
添加剤としては、例えば、顔料、骨材、粘性調整剤、可塑剤、造膜助剤、緩衝剤、分散剤、架橋剤、pH調整剤、防腐剤、防黴剤、抗菌剤、防藻剤、湿潤剤、消泡剤、発泡剤、レベリング剤、顔料分散剤、沈降防止剤、たれ防止剤、凍結防止剤、滑剤、脱水剤、艶消し剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、光安定剤、繊維類、香料、化学物質吸着剤、熱伝導性物質、光触媒、吸放湿性粉粒体、難燃剤、相溶化剤、界面活性剤等の添加剤を含有することもできる。なお、本発明の効果を損なわない程度に水や溶剤を混合することもできるが、成形体製造前後の体積収縮を抑える目的等で、水や溶剤を混合しないことが好ましい。
(II)成分と(III)成分の反応は、温和な条件下で架橋反応が進行しやすく、また、架橋密度等の調節も容易であるため好ましい。
また、(II)成分と(III)成分の混合比率は、特に限定されず、用途に合わせて適宜設定すればよいが、通常NCO/OH比率で0.5〜1.8、好ましくは0.7〜1.5となる範囲内で設定すればよい。
このようなNCO/OH比率の範囲内であることにより、成形体の強度を強靭なものとすることができ、(I)成分の漏れのない均一な緻密な架橋構造を得ることができる。
NCO/OH比率が0.5より小さい場合は、架橋率が低くなり、硬化性、耐久性、強度等において十分な物性を確保することができない場合があり、また(I)成分が漏れ易くなる。NCO/OH比率が1.8よりも大きい場合は、未反応のイソシアネートが残存し、成形体の各種物性に悪影響を与え、成形体が変形しやすくなり、(I)成分が漏れやすくなる。
反応促進剤としては、例えば、トリエチルアミン、トリエチレンジアミン、トリエチルアミン、テトラメチルブタンジアミン、ジメチルアミノエタノール、ダイマージアミン、ダイマー酸ポリアミドアミン等のアミン類;
ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジアセテート、錫オクテート等の錫カルボン酸塩類;
ナフテン酸鉄、ナフテン酸コバルト、ナフテン酸マンガン、ナフテン酸亜鉛、オクチル酸鉄、オクチル酸コバルト、オクチル酸マンガン、オクチル酸亜鉛等の金属カルボン酸塩類;
ジブチルチンチオカルボキシレート、ジオクチルチンチオカルボキシレート、トリブチルメチルアンモニウムアセテート、トリオクチルメチルアンモニウムアセテート等のカルボキシレート類;
アルミニウムトリスアセチルアセテート等のアルミニウム化合物;
等が挙げられ、1種または2種以上を用いることができる。
また、(I)成分中に(I−1)成分を含むことによって、成形体中の(I)成分含有率を高くすることができるため優れた蓄冷熱機能を示し、かつ、高い(I)成分含有率を有しているにもかかわらず経時的に(I)成分が漏れない成形体を製造することができる。
また、得られた成形体は、切断したとしても、切断面から(I)成分が漏れ出すこともなく加工性に優れ、また、釘打ち等による(I)成分の漏れがないため、取り付け施工性に優れている。
このとき、反応を促進するため、上記反応促進剤や、熱、光等のエネルギーを与えることができる。
本発明ではシート状が好ましく、例えば、シート状の成形体は、成形体の片面または両面に各種基材を、使用用途に合わせて積層することもできるし、また、シート成形時に後述する各種基材を予め積層し、成形体を得ることもできる。この際、成形体の形成方法としては、特に限定されず、押出し成形、型枠成形等、または各種基材にスプレー塗装、ローラー塗装、刷毛塗り、コテ塗り、流し込み等の公知の方法で塗付することにより形成することができる。
このような断熱体としては、例えば、ポリスチレン発泡体、ポリウレタン発泡体、アクリル樹脂発泡体、フェノール樹脂発泡体、ポリエチレン樹脂発泡体、発泡ゴム、グラスウール、ロックウール、発泡セラミック等、あるいはこれらの複合体等が挙げられる。また、市販の断熱体を使用してもよい。
断熱体の熱伝導率は、0.1W/(m・K)未満(より好ましくは0.08W/(m・K)以下、さらに好ましくは0.05W/(m・K)以下)であることが好ましい。
このような熱伝導体は、夜間や冬季においては、結露等を起こすおそれがあるが、本発明の成形体を積層することにより、熱伝導体の温度変化を緩和し、結露を防止することができる。たとえば、ガラスや金属板に本発明の成形体積層することで、結露防止効果を得ることができる。
また、本発明の成形体は透明性にも優れるため、透明ガラスと積層することにより、結露防止性に優れた透明ガラス板等を得ることもできる。
このような防火材としては、例えば、コンクリート板、ガラス板、金属板、木毛セメント板、石膏ボード、ケイ酸カルシウム板等の平板、金属フィルム、グラスファイバー等のフィルム成形体、発泡性防火材料、難燃材含有材料等が挙げられる。
床暖房システムとして適用する場合、発熱体として、例えば、面状発熱体や、温水を利用した配管等を利用することができ、これらの発熱体と本発明の成形体、床材を組み合わせることができる。このような床暖房システムは、公知の方法で、積層・設置することができるが、例えば、発熱体、面状発熱体、床材を積層した床暖房システムは、厚みを抑えることができ、かつ、厚みを抑えたとしても、優れた床暖房効果と省エネ効果を発揮することができ、特にリフォーム等に好適に用いることができる。
このような素材としては、木綿、麻、羊毛、シルク等の天然繊維、ナイロン、テトロン、アクリル、ポリエステル、ポリウレタン、ビニロン、レーヨン、アラミド、アゾール等の有機繊維、ガラス、アスベスト等の無機繊維、またはこれらを難燃処理・撥水処理した繊維等が挙げられる。また、金属、樹脂シート・樹脂フィルムやゴム等でもよく、これらのうち、1種または2種以上を複合して用いることができる。
表1に示す原料を用い、表2に示す配合量にて、ポリイソシアネート以外の成分を混合した。次いで、ポリイソシアネートを加え攪拌した後、厚さ50μmの透明PETフィルムを敷いた250mm×170mm×0.5mmの型枠中に流し込み、標準状態(温度23度、相対湿度50%)で60分硬化させ、脱型して、250mm×170mm×0.5mmの試験体を得た。得られた試験体は、標準状態(温度23度、相対湿度50%)において、透明性を有していた。また、湾曲させても異常がみられず、フレキシブル性にも優れていた。
得られた試験体を、10℃または50℃の雰囲気下で72時間放置した後、温度30℃、相対湿度50%RH雰囲気下に移し、試験体からの蓄冷熱材の漏れを観察した。評価は次の通りである。結果は表3に示す。
◎:漏れが見られなかった
○:漏れがほとんどみられなかった
△:漏れが一部見られた
×:漏れが見られた
得られた試験体を、10℃の雰囲気下で72時間放置した後、50℃の雰囲気下で72時間放置し、これを1サイクルとして、50サイクル行った後の試験体の外観、および蓄冷熱材の漏れを観察した。評価は次の通りである。結果は表3に示す。
5:試験体から蓄冷熱材の漏れがみられず、外観の異常もなかった
4:試験体から蓄冷熱材の漏れがみられず、外観の異常もほとんどなかった
3:試験体から蓄冷熱材の漏れがほとんどみられず、外観の異常もほとんどなかった
2:試験体から蓄冷熱材の漏れがほとんどみられなかったが、外観の変形がみられた
1:試験体から蓄冷熱材の漏れがみられ、また、外観も変形していた
DSC220CU(セイコーインスツルメンツ株式会社製)を用いて、示差走査熱量測定(DSC測定)により、得られた試験体の相変化温度(℃)および潜熱量(kJ/kg)を測定した。測定条件としては、アルミニウムをリファレンスとし、昇温温度10℃/min、−20〜60℃の温度領域で測定した。結果は表3に示す。
温度30℃、相対湿度50%RH雰囲気下において、得られた試験体をカッターナイフで切断し、切断面からの蓄冷熱材の漏れを観察した。評価は次の通りである。結果は表3に示す。
◎:漏れがみられなかった
○:漏れがほとんどみられなかった
×:漏れがみられた
温度30℃、相対湿度50%RH雰囲気下において、得られた試験体に釘打ちし、釘打ちによる蓄冷熱材の漏れを観察した。評価は次の通りである。結果は表3に示す。
◎:漏れがみられなかった
○:漏れがほとんどみられなかった
×:漏れがみられた
表1に示す原料を用い、表2に示す配合量以外は、実施例1と同様の方法で試験体を得た。得られた試験体は、標準状態(温度23度、相対湿度50%)において、透明性を有していた。また、湾曲させても異常がみられず、フレキシブル性にも優れていた。
また、得られた試験体について、実施例1と同様の試験を行った。結果は表3に示す。
表1に示す原料を用い、表2に示す配合量以外は、実施例1と同様の方法で試験体を得た。得られた試験体は、標準状態(温度23度、相対湿度50%)において、透明性を有していた。また、湾曲させても異常がみられず、フレキシブル性にも優れていた。
また、得られた試験体について、実施例1と同様の試験を行った。結果は表3に示す。
表1に示す原料を用い、表2に示す配合量以外は、実施例1と同様の方法で試験体を得た。得られた試験体は、標準状態(温度23度、相対湿度50%)において、透明性を有していた。また、湾曲させても異常がみられず、フレキシブル性にも優れていた。
また、得られた試験体について、実施例1と同様の試験を行った。結果は表3に示す。
表1に示す原料を用い、表2に示す配合量以外は、実施例1と同様の方法で試験体を得た。得られた試験体は、湾曲させても異常がみられず、フレキシブル性にも優れていた。
また、得られた試験体について、実施例1と同様の試験を行った。結果は表3に示す。
表1に示す原料を用い、表2に示す配合量以外は、実施例1と同様の方法で試験体を得た。得られた試験体は、湾曲させても異常がみられず、フレキシブル性にも優れていた。
また、得られた試験体について、実施例1と同様の試験を行った。結果は表3に示す。
表1に示す原料を用い、表2に示す配合量以外は、実施例1と同様の方法で試験体を得た。得られた試験体は、湾曲させても異常がみられず、フレキシブル性にも優れていた。
また、得られた試験体について、実施例1と同様の試験を行った。結果は表3に示す。
表1に示す原料を用い、表2に示す配合量以外は、実施例1と同様の方法で試験体を得た。得られた試験体は、湾曲させても異常がみられず、フレキシブル性にも優れていた。
また、得られた試験体について、実施例1と同様の試験を行った。結果は表3に示す。
Claims (3)
- 有機潜熱蓄冷熱材(I)、
1分子内に2以上のイソシアネート基を含有する化合物(II)、
1分子内に2以上のヒドロキシル基を含有する化合物(III)、
を含有し、
前記有機潜熱蓄冷熱材(I)として、パルミチルエポキシド、ステアリルエポキシドから選ばれる1種以上の化合物(I−1)を含む
ことを特徴とする組成物。 - 前記有機潜熱蓄冷熱材(I)の含有量が、組成物全量に対し40重量%以上であることを特徴とする請求項1に記載の組成物。
- 請求項1または請求項2に記載の組成物から製造された成形体。
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