JP4656964B2 - 制振性樹脂組成物 - Google Patents

制振性樹脂組成物 Download PDF

Info

Publication number
JP4656964B2
JP4656964B2 JP2005047977A JP2005047977A JP4656964B2 JP 4656964 B2 JP4656964 B2 JP 4656964B2 JP 2005047977 A JP2005047977 A JP 2005047977A JP 2005047977 A JP2005047977 A JP 2005047977A JP 4656964 B2 JP4656964 B2 JP 4656964B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
component
damping
vibration
heat storage
molecular weight
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2005047977A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2005272830A (ja
Inventor
良太郎 天野
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
SK Kaken Co Ltd
Original Assignee
SK Kaken Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by SK Kaken Co Ltd filed Critical SK Kaken Co Ltd
Priority to JP2005047977A priority Critical patent/JP4656964B2/ja
Publication of JP2005272830A publication Critical patent/JP2005272830A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4656964B2 publication Critical patent/JP4656964B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Vibration Prevention Devices (AREA)
  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)

Description

本発明は、空気伝播音や固体伝播音等の振動エネルギーを減少させることのできる優れた制振性能を有し、かつ、優れた制振性能を維持できる制振性樹脂組成物に関するものである。
近年、快適な居住空間に対する関心が高まっており、低振動性、低騒音性が求められている。そのような状況下、ゴムやエラストマー等の樹脂系制振材は、振動エネルギーを熱エネルギーに変換して振動を減衰させるものであり、屋上や床面、間仕切壁等の建築物、家電製品、車輌、OA機器、精密機器等の振動・騒音抑制に利用されている。
一般に、樹脂系制振材の制振性能を示す一つの手段として損失係数(tanδ)が挙げられ、tanδが最大値を示す温度付近で優れた制振性能を有することが知られている。このtanδは樹脂のガラス転移温度(Tg)と相関関係があり、特定の温度領域で制振性能を発揮させるためには、特定の温度領域でtanδが最大値となるように、樹脂のTgを設定することが重要となる。
このような樹脂系制振材は、粘弾性体であり、空気伝播音や固体伝播音等の振動エネルギーを受けて、樹脂の分子運動により熱エネルギーに変換し、振動を減衰させることができるものであり、例えば、ブチルゴム、ポリノルボルネンゴム、ウレタンゴム、塩化ビニルゴム等が広範に使用されている。
例えば、特許文献1では、Tgの異なる樹脂組成物をブレンドしたり、可塑剤を添加することによって、Tgを調節し、特定温度領域での制振性能の向上を図っている。
特開平7−138439号公報
しかしながら、特許文献1等の樹脂系制振材は、その制振性能は樹脂のTgに依存することが大きく、設定Tg以外の温度領域では、tanδの値が小さくなりやすく、制振性能に劣るという問題があった。
本発明は、このような点に鑑みなされたものであり、目的とする温度領域で優れた制振性能を有し、かつ、温度が変化したとしても優れた制振性能を維持することができる制振性樹脂組成物を提供するものである。
上記課題を解決するために、鋭意検討をした結果、制振性樹脂、蓄熱材を含有し、下記の(1)、(2)の特徴を有する制振性樹脂組成物が、優れた制振性能を有し、かつ、優れた制振性能を維持できることを見出し、本発明を完成した。
(1)制振性樹脂組成物から形成される制振材の動的粘弾性測定により求められる損失係数(tanδ)の最大値が0.5以上
(2)蓄熱材の相変化温度が、制振材の動的粘弾性測定により求められる損失係数(tanδ)の最大値を示す温度のプラスマイナス10℃の温度領域に存在
即ち、本発明は、以下の特徴を有するものである。
1.(A)制振性樹脂、(X)蓄熱材を含有し、
(A)制振性樹脂が、(a)水酸基価が50〜150mgKOH/g、多分散度(重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn))が2.0以下、数平均分子量(Mn)が1000〜15000である水酸基含有アクリル樹脂と、(b)ポリイソシアネート化合物を含有し、(X)蓄熱材が長鎖脂肪酸エステルであり、下記の(1)、(2)の特徴を有する制振性樹脂組成物。
(1)制振性樹脂から形成される制振材の動的粘弾性測定により求められる損失係数(tanδ)の最大値が1.5以上
(2)(X)蓄熱材の相変化温度が、制振材の動的粘弾性測定により求められる損失係数(tanδ)の最大値を示す温度のプラスマイナス5℃の温度領域に存在
2.(X)蓄熱材が、パルミチン酸メチル又はミリスチン酸メチルであることを特徴とする1.に記載の制振性樹脂組成物。
3.(A)制振性樹脂が、(a−1)水酸基を含有する(メタ)アクリル単量体と、(a−2)前記(a−1)以外の重合性不飽和単量体の混合物を重合して得られる共重合体であって、水酸基価が50〜150mgKOH/g、多分散度(重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn))が2.0以下、数平均分子量(Mn)が1000〜15000である共重合体と、(b)ポリイソシアネート化合物を含有することを特徴とする1.または2.に記載の制振性樹脂組成物。
4.(b)が脂肪族ポリイソシアネート化合物であることを特徴とする1.から3.のいずれかに記載の制振性樹脂組成物。
本発明の制振性樹脂組成物は、目的とする温度領域で優れた制振性能を有し、かつ、雰囲気温度が変化したとしても優れた制振性能を維持することができる。
以下、本発明を、実施するための最良の形態とともに詳細に説明する。
本発明の制振性樹脂組成物は、(A)制振性樹脂(以下、「(A)成分」ともいう。)、(X)蓄熱材(以下、「(X)成分」ともいう。)を含有することを特徴とする。
本発明では、(1)制振性樹脂から形成される制振材の動的粘弾性測定により求められる損失係数(tanδ)の最大値が0.5以上(好ましくは、0.8以上、好ましくは、1.0以上)であることを特徴とする。損失係数(tanδ)の最大値が0.5以上であることにより、優れた制振性能を示すことができる。
さらに(2)蓄熱材の相変化温度(融点)が、制振材の動的粘弾性測定により求められる損失係数(tanδ)の最大値を示す温度のプラスマイナス10℃(好ましくはプラスマイナス5℃、さらに好ましくはプラスマイナス3℃)の温度領域に存在することを特徴とする。このような温度領域に蓄熱材の相変化温度(融点)が存在することによって、雰囲気温度が変化したとしても、本発明の制振材が優れた制振性能を示す温度領域を長時間保つことができ、優れた制振性能を長期に亘って維持することができる。
なお、tanδの測定は、強制振動型粘弾性装置(Rheogel E−4000 株式会社ユービーエム製)を用いた引張りモードで行い、昇温温度2.0℃/min、周波数10Hzで振幅歪0.1mmの条件で測定するものである。
本発明の(A)成分は、上記性能を満たしていれば、特に限定されないが、例えば、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、塩素化ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン/酢酸ビニル共重合体、ポリメタクリル酸メチル、ポリフッ化ビニリデン、ポリイソプレン、ポリスチレン、スチレン/ブタジエン/アクリロニトリル共重合体、スチレン/アクリロニトリル共重合体、ポリウレタン、ポリエステル、ポリオレフィン等が挙げられ、これらのうち、1種または2種以上を複合して用いることができる。また、アクリロニトリル/ブタジエン共重合ゴム(NBR)、スチレン/ブタジエン共重合ゴム(SBR)、ブタジエンゴム(BR)、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)等のゴム類を含有してもよい。
本発明では、機械的物性を考慮し、制振性樹脂として、ポリウレタン系の制振性樹脂を使用することが好ましい。
ポリウレタン系の制振性樹脂としては、例えば、水酸基を含有する化合物(以下、「(a)成分」ともいう。)と、ポリイソシアネート化合物(以下、「(b)成分」ともいう。)を反応させることにより得られる。このような(a)成分と(b)成分の反応硬化型のポリウレタン系の制振性樹脂は、tanδの設定が容易であり、かつ、優れた機械的物性が得られる点で有利である。
制振性樹脂((A)成分)として、(a)成分、(b)成分を使用する場合、(a)成分は、水酸基価が50〜150mgKOH/g、多分散度(重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn))が2.0以下、数平均分子量(Mn)が1000〜15000である水酸基含有化合物を用いることが好ましい。
(a)成分が特定の水酸基価、多分散度、数平均分子量であることにより、優れた制振性能を発揮することができる。
(a)成分の水酸基価は、好ましくは50〜150mgKOH/g、さらに好ましくは60〜130mgKOH/gである。水酸基価が50〜150mgKOH/gであることにより、優れた制振性能及び機械的物性を示す制振材を得ることができる。50mgKOH/gより小さい場合は、硬化性が不十分となり、機械的物性に劣る場合がある。150mgKOH/gより大きい場合は、硬化物の架橋密度が高くなりすぎ制振性能が低下する場合がある。
(a)成分の多分散度(重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn))は、好ましくは2.0以下、さらに好ましくは、1.8以下である。多分散度が2.0以下であることにより、硬化体の分子量分布が狭くなり、優れた制振性能を発揮する。多分散度が2.0より大きい場合は、制振性の低下がみられる傾向がある。
(a)成分の数平均分子量(Mn)は、好ましくは1000〜15000、さらに好ましくは2000〜10000である。数平均分子量(Mn)が1000〜15000であれば、比較的低粘度であり、(b)成分との硬化反応が均一に進行するため、硬化物の制振性能が向上する。数平均分子量(Mn)が1000より小さい場合は、せん断強度等の機械的物性に劣る場合がある。15000より大きい場合は、粘度が高くなり、架橋反応が不均一に進行しやすく、硬化物の制振性能が低下する場合がある。
なお、多分散度および数平均分子量は、ゲルパーミションクロマトグラフィー(GPC)(LC−6A、株式会社島津製作所製)を用いて、溶媒にテトラヒドロフランを使用し、ポリスチレン換算で算出したものである。
このような(a)成分は、例えば、水酸基を含有する(メタ)アクリル単量体(以下、「(a−1)成分」ともいう。)を1種または2種以上を重合し、得ることができる。また、(a−1)成分と(a−1)成分以外の重合性不飽和単量体(以下、「(a−2)成分」ともいう。)を共重合し、得ることもできる。
(a−1)成分としては、例えば、2−ヒドロキシ(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、グリセリンモノ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート等の多価アルコールのモノまたはポリ(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
(a−2)成分としては、例えば、(メタ)アクリル酸、イタコン酸等の不飽和カルボン酸類;
(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸2−エトキシエチル、(メタ)アクリル酸2−イソボロニル、(メタ)アクリル酸ベンジル等の不飽和モノカルボン酸エステル類;
無水マレイン酸等の不飽和ポリカルボン酸類;
グリシジル(メタ)アクリレート等のエポキシ基含有不飽和化合物類;
(メタ)アクリロニトリル等のニトリル基含有不飽和化合物類;
ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、アミノエチルビニルエーテル等のアミノ基含有不飽和化合物類;
(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド等のアミド基含有不飽和化合物;
エチレン、プロピレン、イソブチレン等の脂肪族ビニル系単量体;
スチレン、α−メチルスチレン等の芳香族炭化水素系ビニル単量体;
ブタジエン、イソプレン等のジエン類;
酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル類;
等が挙げられる。
本発明の(a)成分は、(a−1)成分と(a−2)成分を共重合することにより得られるものであることが好ましい。(a−1)成分と(a−2)成分を共重合することにより1分子あたりの水酸基量を制御することができ、(b)成分との架橋反応を制御することができる。
(a−1)成分と(a−2)成分の比率は、重量比で(a−1)成分100重量部に対し、(a−2)成分100〜500重量部であることが好ましい。このような範囲であることにより、より優れた制振制能を発揮する。(a−2)成分が100重量部より少ない場合は、1分子あたりの水酸基が多くなるため、(b)成分との架橋密度が大きくなり、制振制能に劣る場合がある。(a−2)成分が500重量部より多い場合は、1分子あたりの水酸基が少なくなるため、(b)成分との架橋密度が小さくなり、機械的物性に劣る場合がある。
(a)成分の製造方法は、特に限定されず公知の方法で製造できる。例えば、溶液重合、塊状重合、懸濁重合、酸化還元重合、光重合等で製造することができ、必要に応じ、多段階重合で製造することもできる。特に、150〜300℃の高温下において、連続的に塊状重合することが好ましく、このような製造方法では、溶液重合に比べて、低分子量で、分子量分布の狭い共重合体を得ることができ、溶媒含有量を低減することができ、好ましい。
開始剤としては、特に限定されず、公知のものを使用することができ、例えば、アゾビスイソブチロニトリルおよびその塩酸塩;クメンハイドロパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド等の有機過酸化物:これらの過硫酸塩または過酸化物と鉄イオン等の金属イオンおよびナトリウムスルボキシレート、ホルムアルデヒド、ピロ亜硫酸ソーダ、L−アスコルビン酸等の還元剤との組合せによるレドックス開始剤などがあげられる。これらの使用量は、特に限定されないが、単量体混合物100重量部に対して、0.01から10重量部程度とすればよい。
溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、t−ブチルアルコール等のアルコール類、エチレングリコール、プロピレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル等のエチレングリコール類、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル等のプロピレングリコール類、n−メチルピロリドン、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素、シクロヘキサン、イソパラフィン、シクロヘキサノン、ミネラルスピリット等の脂肪族炭化水素、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸イソプロピル等のエステル類等またはそれらの混合物等が挙げられる。溶媒の使用量は、単量体混合物100重量部に対して、0重量部から1000重量部程度とすればよい。
(b)成分は、ポリイソシアネート化合物である。ポリイソシアネート化合物は、上記(a)成分と反応して硬化可能なものであればよい。
このような(b)成分としては、例えば、4,4−ジフェニルメタンジイソシアネート(pure−MDI)、ポリメリックMDI、キシリレンジイソシアネート(XDI)、トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HMDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、水添XDI、水添MDI等のイソシアネートモノマーを、アロファネート化、ビウレット化、2量化(ウレチジオン化)、3量化(イソシアヌレート化)、アダクト化、カルボジイミド化反応等により誘導体化したもの、及びそれらの混合物が使用できる。これらの(b)成分のうち、HMDI、IPDI、水添XDI、水添MDI等の誘導体である脂肪族系のポリイソシアネート化合物が好適である。
また、本発明では、溶剤含有量の少ない(b)成分を用いることが望ましく、無溶剤型ポリイソシアネートが好適である。
(b)成分と(a)成分との混合比率は、特に限定されないが、NCO/OH当量比で通常0.2〜2.0、さらには0.7〜1.3であることが好ましい。
このような範囲であることにより、より優れた制振性能と機械的物性を示すことができる。このような範囲以外であれば、架橋密度が不十分となり、機械的物性に劣る傾向がある。
(X)成分は、蓄熱材であり、温度変化を緩和し、目的とする温度領域での優れた制振性能を維持する効果がある。(X)成分としては、無機潜熱蓄熱材、有機潜熱蓄熱材等の潜熱蓄熱材が挙げられる。
無機潜熱蓄熱材としては、例えば、硫酸ナトリウム10水和物、炭酸ナトリウム10水和物、リン酸水素ナトリウム12水和物、チオ硫酸ナトリウム5水和物、塩化カルシウム6水和物等の水和塩等が挙げられる。
有機潜熱蓄熱材としては、例えば、脂肪族炭化水素、長鎖アルコール、長鎖脂肪酸、長鎖脂肪酸エステル、ポリエーテル化合物、芳香族炭化水素、脂肪酸トリグリセリド等が挙げられ、これらの蓄熱材のうち1種または2種以上を用いることができる。
本発明では、特に有機潜熱蓄熱材を好適に用いることができる。有機潜熱蓄熱材は、沸点が高く揮発しにくいため、制振材成形時における体積変化(肉痩せ)がほとんど無く、また長期に亘り蓄熱性能が持続するため、好ましい。さらに、有機潜熱蓄熱材を用いた場合、用途に応じた相変化温度の設定が容易であり、例えば相変化温度の異なる2種以上の有機潜熱蓄熱材を混合することで、容易に相変化温度の設定が可能となる。
脂肪族炭化水素としては、例えば、炭素数8〜36の脂肪族炭化水素を用いることができ、具体的には、n−テトラデカン(融点8℃)、ペンタデカン(融点10℃)、n−ヘキサデカン(融点17℃)、n−ヘプタデカン(融点22℃)、n−オクタデカン(融点28℃)、n−ノナデカン(融点32℃)、イコサン(融点36℃)、ドコサン(融点44℃)、およびこれらの混合物で構成されるn−パラフィンやパラフィンワックス等が挙げられる。
長鎖アルコールとしては、例えば、炭素数8〜36の長鎖アルコールを用いることができ、具体的には、カプリルアルコール(融点7℃)、ラウリルアルコール(融点24℃)、ミリスチルアルコール(融点38℃)、ステアリルアルコール(融点58℃)等が挙げられる。
長鎖脂肪酸としては、例えば、炭素数8〜36の長鎖脂肪酸を用いることができ、具体的には、オクタン酸(融点17℃)、デカン酸(融点32℃)、ドデカン酸(融点44℃)、テトラデカン酸(融点50℃)、オクタデカン酸(融点70℃)、ヘキサデカン酸(融点63℃)等の脂肪酸等が挙げられる。
長鎖脂肪酸エステルとしては、例えば、炭素数8〜36の長鎖脂肪酸エステルを用いることができ、具体的には、ラウリン酸メチル(融点5℃)、ミリスチン酸メチル(融点19℃)、パルミチン酸メチル(融点30℃)、ステアリン酸メチル(融点38℃)、ステアリン酸ブチル(融点25℃)、アラキジン酸メチル(融点45℃)等が挙げられる。
ポリエーテル化合物としては、例えば、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールジアクリレート、エチルエチレングリコール等が挙げられる。
脂肪酸トリグリセリドとしては、例えば、ヤシ油、パーム核油等の植物油や、その精製加工品である中鎖脂肪酸トリグリセリド、長鎖脂肪酸トリグリセリド等が挙げられる。
本発明では(X)成分として、特に、炭素数8〜36の脂肪族炭化水素、炭素数8〜36の長鎖アルコール、炭素数8〜36の長鎖脂肪酸、炭素数8〜36の長鎖脂肪酸エステルを使用することが好ましく、さらには、炭素数8〜36の脂肪族炭化水素、炭素数8〜36の長鎖脂肪酸エステルを使用することが好ましい。中でも、炭素数15〜22の長鎖脂肪酸エステル、炭素数15〜22の脂肪族炭化水素を使用することが好ましく、このような蓄熱材は、潜熱量が高く、実用温度領域に相変化温度(融点)を有するため、様々な用途に使用しやすい。
このような蓄熱材は、単独でも良いし、2種以上を混合して使用することもできる。2種以上を混合する場合は、融点を自由に設計することができる点で、有機系潜熱蓄熱材を用いることが好ましい。特に、0℃以上80℃(好ましくは0℃〜50℃)の融点をもつ蓄熱材を使用することが好ましい。
2種以上の(X)成分を混合して使用する場合は、相溶化剤を用いることが好ましい。相溶化剤を用いることにより、(X)成分(特に、有機潜熱蓄熱材)どうしの相溶性を向上させることができる。
相溶化剤としては、例えば、脂肪酸トリグリセリド、親水親油バランス(HLB)が1以上10未満(好ましくは1以上5以下)の非イオン性界面活性剤等が挙げられ、これらの1種または2種以上を混合し用いることができる。
脂肪酸トリグリセリドは、上述したように、有機潜熱蓄熱材としても用いられる物質である。このような脂肪酸トリグリセリドは、特に有機潜熱蓄熱材同士の相溶性を、より向上させることができるとともに、優れた蓄熱性を有するため好ましい。脂肪酸トリグリセリドとしては、例えば、ヤシ油、パーム核油等の植物油や、その精製加工品であるカプリル酸トリグリセリド、パルミチン酸トリグリセリド、ステアリン酸トリグリセリド等の脂肪酸トリグリセリドが挙げられ、これらのうち1種または2種以上を用いることができる。
親水親油バランス(HLB)が1以上10未満(好ましくは1以上5以下)の非イオン性界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ソルビタンセスキオレエート、ソルビタントリオレート、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノオレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタントリステアレート、グリセロールモノステアレート、グリセロールモノステアレート、グリセロールモノオレエート、ステアリン酸グリセリル、カプリル酸グリセリル、ステアリン酸ソルビタン、オレイン酸ソルビタン、セスキオレイン酸ソルビタン、ヤシ脂肪酸ソルビタン等が挙げられる。
相溶化剤と(X)成分の混合比は、通常(X)成分100重量部に対し、相溶化剤0.1重量部から20重量部(好ましくは0.5重量部から10重量部)程度とすればよい。
(X)成分は、(A)成分の固形分100重量部に対して、好ましくは5〜100重量部、さらに好ましくは15〜65重量部含有することができる。
(X)成分の含有量が5重量部より少ない場合、十分な蓄熱材の性能が得られず、制振性能の持続は見られない。含有量が100重量部より多い場合、樹脂成分による制振性能を阻害する恐れがある。
本発明では、上記(A)成分、(X)成分を含む制振性樹脂組成物により制振材を形成することができる。形成方法としては、特に限定されないが、(A)成分、(X)成分を混合し、公知の方法で、(A)成分を固化することにより形成する方法等が挙げられる。
本発明の制振性樹脂組成物の好ましい様態として、(a)成分、(b)成分、(X)成分を混合し、(a)成分と(b)成分を反応させることにより、制振材を形成する方法等が挙げられる。
例えば、
(i)(a)成分、(b)成分、(X)成分を均一に混合し、(a)成分と(b)成分を反応させて、制振材を得る方法、
(ii)(a)成分、(b)成分、(X)成分と、親水親油バランス(HLB値)が10以上の非イオン性界面活性剤を混合し、(X)成分をコロイド状に分散させ、(a)成分と(b)成分を反応させて、制振材を得る方法、等が挙げられる。
(i)の方法では、特に、(a)成分、(b)成分、(X)成分を均一に混合し、相溶状態にする。次いで(a)成分と(b)成分を反応させ、制振材を得ることが好ましい。このような過程では、相溶状態から非相溶状態の変化に伴うミクロ相分離が起こり、(a)成分と(b)成分からなる緻密に入り組んだ3次元編目構造型多孔体が形成されるものと思われる。この3次元編目構造型多孔体に(X)成分が担持された状態となり、制振材が形成される。このような形成方法では、(a)成分と(b)成分からなる3次元編目構造の隙間に、(X)成分が緻密に入り込んでおり、(X)成分による蓄熱した熱を、制振材に効率よく伝えることができ、優れた制振性能を維持することができる。
このような3次元編目構造型多孔体の製造では、さらに、上述した相溶化剤を混合し製造することが好ましい。相溶化剤は、(X)成分同士の相溶性のみならず、(X)成分と樹脂成分((a)成分、(b)成分等)との相溶性も向上させることができるため、より緻密な3次元編目構造型多孔体が形成され、多孔体から(X)成分が洩れることを、よりいっそう防ぐことができる。
相溶化剤としては、上述した脂肪酸トリグリセリドや、親水親油バランス(HLB)が1以上10未満の非イオン性界面活性剤等が挙げられるが、(X)成分と樹脂成分との相溶性には、特に親水親油バランス(HLB)が1以上10未満の非イオン性界面活性剤が好ましい。
(i)の方法において、反応温度は、(X)成分の融点以上であることが好ましい。具体的な反応温度は(X)成分の種類によって異なるが、通常20℃〜100℃程度である。(X)成分の融点以上で反応させることにより、相溶状態になりやすい。また、反応時間は通常0.2〜10時間程度とすればよい。
また、(ii)の方法では、(X)成分と、親水親油バランス(HLB値)が10以上の非イオン性界面活性剤、(a)成分と(b)成分を混合し、(a)成分と(b)成分中に(X)成分をコロイド状に分散させる。次いで、(a)成分と(b)成分を反応させることにより、(X)成分が充填された制振材を得ることができる。
このような方法では、親水親油バランス(HLB値)が10以上の非イオン性界面活性剤により、(a)成分及び/または(b)成分中に(X)成分が、微細なコロイド状に分散した状態をつくりだすことができる。このような状態で(a)成分と(b)成分を反応させることにより、(X)成分が充填された制振材を得ることができる。
本発明製造方法の具体的な方法としては、例えば(X)成分、親水親油バランス(HLB値)が10以上の非イオン性界面活性剤、(a)成分及び(b)成分を混合し、(a)成分と(b)成分を反応させる方法、または、(X)成分、親水親油バランス(HLB値)が10以上の非イオン性界面活性剤、(a)成分(または(b)成分)を混合し、(b)成分(または(a)成分)を添加することにより反応させる方法等が挙げられる。
このような製造方法では、(X)成分の含有率を大きくすることができ、かつ、高い(X)成分含有率を有しているにもかかわらず経時的に(X)成分が漏れることがない。さらに(X)成分が充填された制振材を切断したとしても、切断面から(X)成分が漏れ出すこともなく加工性に優れ、また、釘打ち等による(X)成分の漏れないため、取り付け施工性に優れている。
さらに、(X)成分が、微細に均一に分散した状態であるため、(X)成分の固液変化に伴う体積変化による制振材自体の形状変化を軽減することもできる。
親水親油バランス(HLB値)が10以上の非イオン性界面活性剤としては、(X)成分、(a)成分、(b)成分により、適宜選定すればよい。また、親水親油バランス(HLB値)が、10以上(好ましくは10超20以下、さらに好ましくは11以上19以下、より好ましくは12以上18以下、最も好ましくは13以上17以下)であることによりり、特に(X)成分(特に、有機潜熱蓄熱材)を、コロイド状に分散し易いため好ましい。
親水親油バランス(HLB値)が10以上の非イオン性界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミテート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート等のポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、
ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルドデシルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルエーテル、
テトラオレイン酸ポリオキシエチレンソルビット等のポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、
ポリエチレングリコールモノラウレート、ポリエチレングリコールモノステアレート、ポリエチレングリコールジステアレート、ポリエチレングリコールモノオレエート等のポリオキシエチレン脂肪酸エステル、
ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンヤシ油脂肪酸ソルビタン等が挙げられる。
特に(X)成分として、炭素数8〜36の脂肪族炭化水素、炭素数8〜36の長鎖アルコール、炭素数8〜36の長鎖脂肪酸、炭素数8〜36の長鎖脂肪酸エステルを用いた場合、該界面活性剤の構造中に、炭素数8〜36の長鎖アルキル基を有することが好ましい。特に、(X)成分と該界面活性剤の長鎖アルキル基の炭素数が近似するもの、あるいは同様のものを選定することにより、本発明の効果をよりいっそう高めることができる。
親水親油バランス(HLB値)が10以上の非イオン性界面活性剤と(X)成分の混合比は、(X)成分、(a)成分、(b)成分により適宜設定すればよいが、通常(X)成分100重量部に対し、該界面活性剤0.01重量部から30重量部(好ましくは0.1重量部から20重量部)程度とすればよい。
該界面活性剤が0.01重量部より少ない場合は、(X)成分と(a)成分及び/または(b)成分が分離してしまうかまたはクリーミング現象を起こしやすく、効率よくコロイド分散せず、本発明の効果が得られない場合がある。30重量部より多い場合は、得られる制振材の耐水性等の物性に悪影響を及ぼす場合がある。
上記製造方法では、反応前の状態において、(X)成分が、粒子径10μm〜1000μm(好ましくは50μm〜900μm、さらに好ましくは100μm〜800μm、より好ましくは200μm〜700μm)程度の大きさのコロイド状に分散した状態であることを特徴とするものである。このような状態から(a)成分と(b)成分を反応させることにより、制振材中に(X)成分が微細に分散(充填)させることができる。
なお、反応前の状態においては、系内の温度が(X)成分の融点以上であることが好ましい。具体的には、通常20℃〜80℃程度であるり、このような温度では、(X)成分がコロイド状に分散しやすいためこのましい。
また、粒子径は、光学顕微鏡(BHT−364M、オリンパス光学工業株式会社製)を用いて測定した値である。
このような製造方法において、具体的な反応温度は(X)成分の種類によって異なるが、通常20℃〜80℃程度である。(X)成分の融点以上では、(X)成分がコロイド状態になりやすいため、好ましい。また、反応時間は通常0.2〜5時間程度とすればよい。
上述のような方法により得られた制振材は、切断したとしても、切断面から蓄熱材が漏れ出すこともなく加工性に優れ、また、釘打ち等による施工でも蓄熱材の漏れがないため、取り付け施工性に優れている。
(A)成分として、(a)成分、(b)成分を用いる場合には、硬化助剤を含有することが好ましい。硬化助剤は、(a)成分と(b)成分の硬化反応を促進する効果がある。
硬化助剤としては、例えば、トリエチルアミン、トリエチレンジアミン、テトラメチルブタンジアミン、ジメチルアミノエタノール、ダイマージアミン、ダイマー酸ポリアミドアミン等のアミン類;
ブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジアセテート、錫オクテート、錫オクチレート等の錫カルボン酸塩類;
オクチル酸鉄、オクチル酸コバルト、オクチル酸マンガン、オクチル酸亜鉛、オクチル酸鉄、オクチル酸コバルト、オクチル酸マンガン、オクチル酸亜鉛等の金属カルボン酸塩類;
ジブチルチンチオカルボキシレート、ジオクチルチンチオカルボキシレート、トリブチルメチルアンモニウムアセテート、トリオクチルメチルアンモニウムアセテート等のカルボキシレート類;
アルミニウムトリスアセチルアセテート等のアルミニウム化合物類等が使用可能である。その中でも、特に錫カルボン酸塩類を使用することが好適である。硬化助剤の混合比率は、(A)成分の固形分100重量部に対して0.001〜1重量部であることが好ましい。
但し、(A)成分として、(a)成分、(b)成分を用いて制振材を形成する場合においては、(X)成分として、長鎖脂肪酸、長鎖アルコール、ポリエーテル化合物の使用は除くものとする。
本発明ではさらに、(P)一次粒子径が100nm以下(好ましくは5〜30nm)である微粒子(以下「(P)成分」という)を含有することが好ましい。(P)成分を含有することにより、(A)成分と(P)成分との接触界面が著しく大きく両者の摩擦による熱エネルギー発散が大きくなるため、樹脂のガラス転移温度より高い温度域で、高い損失係数(tanδ)を維持することができ優れた制振性を維持することができる。
(P)成分としては、例えば、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化鉄等の金属酸化物、シリカゲル、ゼオライト等の多孔質粉体、マイカ、カオリン、パーライト、モンモリロナイト等の粘土鉱物、炭酸カルシウム、黒鉛、タルク、硫酸バリウム等の無機質粉体、その他、有機質粉体等が使用可能である。このうち、本発明では、金属酸化物が好ましく用いられる。(P)成分の形状は、特に限定されず、フレーク状、球状、燐片状、針状等のものを用いることができる。
本発明に用いる(P)成分は、例えば、各種の粉砕方法や分散方法により得ることもできる。このような微粒化処理においては、例えば、ボールミル、ビーズミル、サンドミル、アトライター、三本ロール、バスケットミル、ディスパーサー、コボールミル、パールミル、ナノマイザー、等を用いることができる。
なお、本発明における一次粒子径は、透過型電子顕微鏡観察により測定されるものである。
(P)成分の混合比率は、(A)成分の固形分100重量部に対して、20重量部〜300重量部、さらには30重量部〜100重量部であることが好ましい。混合量がこのような範囲である場合には、樹脂のガラス転移温度より高い温度域で、より高い損失係数が維持できる。
本発明の制振性樹脂組成物では、上記分以外に、以下の添加剤を本発明の効果を阻害しない範囲内で添加することもできる。このような添加剤としては、例えば、溶剤、顔料、染料、骨材、艶消し剤、繊維、増粘剤、レベリング剤、可塑剤、防黴剤、分散剤、消泡剤、pH調整剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤等が挙げられる。
本発明の制振性樹脂組成物は、公知の方法によりシート状に成形し、制振材として用いることができる。シート状の成形する方法としては、特に限定されず、例えば、(A)成分、(X)成分等の上述のような成分を混合し、型枠に流し込み、固化後に脱型する方法等が挙げられる。
また、基材に積層して用いることもできる。積層する方法としては、例えば、公知の塗装器具を用いて基材に塗付する方法、基材の間に注入・充填する方法、予めシート状等に成形した制振材を接着剤等で基材に貼着する方法等で積層すればよく、制振性樹脂組成物を基材に積層した非拘束型、また、制振性樹脂組成物を基材で挟み込んだ拘束型等の制振・遮音材として用いることもできる。本発明制振性樹脂組成物を基材に積層した材料は、制振性能及び遮音性能に優れた材料として、屋上や床面、間仕切壁等の建築物、家電製品、車輌、OA機器、精密機器等に広く用いることができる。
このような基材としては、例えば、コンクリート、モルタル、軽量モルタル、軽量コンクリート、押出成形板、スレート板、ALC板、サイディングボード、石膏ボード、繊維混入セメント板、セメント珪酸カルシウム板、スラグセメントパーライト板、石綿セメント板、金属板、合板、鋼板、磁器タイル、ガラス板、プラスチック成形板、樹脂フィルム、織布・不織布等が挙げられ、このような基材は、予め何らかの表面処理が施されたものであってもよい。
本発明では特に、建築物用として利用することを考慮し、石膏ボード、珪酸カルシウムボード、スレート板等を用いることが好ましい。
基材に塗付する場合には、塗装器具として、例えば、スプレー、ガン、ローラー、刷毛、コテ等を使用することができる。プレコートを行う場合は、ロールコーター、フローコーター等を用いることもできる。基材の間に注入・充填する場合には、コーキングガン、ヘラ、コテ等を使用することができる。
本発明の制振性樹脂組成物は、(A)成分((a)成分、(b)成分)の各種組成、NCO/OH当量比、水酸基価等を適宜設定することにより、形成される制振材の動的粘弾性測定により求められる損失係数(tanδ)の特定温度領域における最大値を設定することができる。
本発明では、特に限定されないが、常温領域で使用する場合には、tanδの最大値が0〜50℃の温度領域にあればよい。
本発明の制振性樹脂組成物から形成される制振材の厚さとしては、使用用途により適宜設定すればよいが、通常0.1〜100mm、好ましくは0.5〜5mm程度とすればよい。制振材の厚さが厚い程、優れた制振性能、遮音性能を得ることができる。本発明では、厚さを簡単に、かつ、自由に調整できる点から、シート状に形成することが好ましい。
以下に実施例を示し、本発明の特徴をより明確にする。
(実施例1)
各原料を表1に示す比率にて、樹脂1、蓄熱材1、添加剤、ポリイソシアネート化合物を温度35℃で均一に混合し、ジブチル錫ジラウレートを加え、十分攪拌した。
攪拌後、30mm×5mm×2mmの型枠中に流し込み、50℃で180分硬化させ、脱型して厚さ2mmの制振材を得た。
なお原料の詳細は、以下に示す。
・樹脂1:水酸基含有アクリル樹脂((a−1)成分:2−ヒドロキシエチルメタクリレート)、(a−2)成分:スチレン、2−エチルヘキシルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート)、固形分70重量%(酢酸ブチル溶液)、水酸基価67mgKOH/g、数平均分子量3500、多分散度1.5、Tg3℃、粘度0.6Pa・s
・ポリイソシアネート化合物:ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート誘導体、NCO含有率12.1重量%、固形分100%、粘度1.2Pa・s
・蓄熱材1:パルミチン酸メチル、相変化温度(融点):30℃
・ジブチル錫ジラウレート(10重量%ミネラルスピリット溶液)
・添加剤:シリコーン系消泡剤
(制振性試験)
得られた制振材を作製し、強制振動型粘弾性装置(Rheogel E−4000 株式会社ユービーエム社製)を用いた引張りモードで行い、昇温温度2.0℃/min、周波数10Hzで振幅歪0.1mmの条件でtanδの測定を行った。
制振性試験では、0℃から60℃の温度領域で、2.0℃/minで昇温させた時の各温度(雰囲気温度)におけるtanδの値を測定した。その結果を図1に示す。
図1に示すように、30℃付近でtanδの最大値(1.80)を示し、優れた制振性能を有していた。また30℃より高い温度域でも優れた制振性能を維持していた。
(実施例2)
表1に示す原料比率、樹脂1を樹脂2に、蓄熱材1を蓄熱材2に替えた以外は実施例1と同様の方法で、制振材を作製した。なお樹脂2、蓄熱材2の詳細は、以下に示す。
樹脂2:水酸基含有アクリル樹脂((a−1)成分:2−ヒドロキシアクリレート)、(a−2)成分:スチレン、2−エチルヘキシルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート)、固形分100重量%、水酸基価120mgKOH/g、数平均分子量2500、多分散度1.6、Tg−60℃、粘度3.0Pa・s
・蓄熱材2:ミリスチン酸メチル、相変化温度(融点):19℃
作製した制振材について、実施例1と同様制振性試験を行なった。結果を図2に示す。図2に示すように、15℃付近でtanδの最大値(1.50)を示し、優れた制振性能を有していた。また15℃より高い温度域でも優れた制振性能を維持していた。
(実施例3)
各原料を表1に示す比率にて、樹脂1、界面活性剤、蓄熱材1、添加剤、ポリイソシアネート化合物を温度35℃で混合し、蓄熱材1をコロイド状(平均粒子径190μm)に分散させ、次いで、ジブチル錫ジラウレートを加え、十分攪拌した。
攪拌後、30mm×5mm×2mmの型枠中に流し込み、50℃で180分硬化させ、脱型して厚さ2mmの制振材を得た。
なお界面活性剤の詳細は、以下に示す。
・界面活性剤:ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミテート(HLB=15.6)
作製した制振材について、実施例1と同様制振性試験を行なった。結果を図1に示す。図1に示すように、30℃付近でtanδの最大値(1.80)を示し、優れた制振性能を有していた。また30℃より高い温度域でも優れた制振性能を維持していた。
(比較例1)
実施例1において、蓄熱材1を除いた以外は、実施例1と同様の方法で、制振性樹脂組成物を作製した。作製した制振性樹脂組成物について、実施例1と同様制振性試験を行なった。結果を図1に示す。図1に示すように、32℃付近でtanδの最大値(1.9)を示した。
(比較例2)
実施例2において、蓄熱材2を除いた以外は、実施例2と同様の方法で、制振性樹脂組成物を作製した。作製した制振性樹脂組成物について、実施例1と同様制振性試験を行なった。結果を図2に示す。図2に示すように、15℃付近でtanδの最大値(1.5)を示した。
(比較例3)
実施例1において、蓄熱材1を蓄熱材2に替えた以外は、実施例1と同様の方法で、制振性樹脂組成物を作製した。作製した制振性樹脂組成物について、実施例1と同様制振性試験を行なった。結果を図1に示す。図1に示すように、26℃付近でtanδの最大値(1.6)を示した。
Figure 0004656964
実施例1、実施例3、比較例1、比較例3の制振性樹脂組成物における、0℃〜60℃でのtanδを測定したグラフである。 実施例2、比較例2の制振性樹脂組成物における、0℃〜60℃でのtanδを測定したグラフである。

Claims (4)

  1. (A)制振性樹脂、(X)蓄熱材を含有し、
    (A)制振性樹脂が、(a)水酸基価が50〜150mgKOH/g、多分散度(重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn))が2.0以下、数平均分子量(Mn)が1000〜15000である水酸基含有アクリル樹脂と、(b)ポリイソシアネート化合物を含有し、(X)蓄熱材が長鎖脂肪酸エステルであり、下記の(1)、(2)の特徴を有する制振性樹脂組成物。
    (1)制振性樹脂から形成される制振材の動的粘弾性測定により求められる損失係数(tanδ)の最大値が1.5以上
    (2)(X)蓄熱材の相変化温度が、制振材の動的粘弾性測定により求められる損失係数(tanδ)の最大値を示す温度のプラスマイナス5℃の温度領域に存在
  2. (X)蓄熱材が、パルミチン酸メチル又はミリスチン酸メチルであることを特徴とする請求項1に記載の制振性樹脂組成物。
  3. (A)制振性樹脂が、(a−1)水酸基を含有する(メタ)アクリル単量体と、(a−2)前記(a−1)以外の重合性不飽和単量体の混合物を重合して得られる共重合体であって、水酸基価が50〜150mgKOH/g、多分散度(重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn))が2.0以下、数平均分子量(Mn)が1000〜15000である共重合体と、(b)ポリイソシアネート化合物を含有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の制振性樹脂組成物。
  4. (b)が脂肪族ポリイソシアネート化合物であることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の制振性樹脂組成物。
JP2005047977A 2004-02-27 2005-02-23 制振性樹脂組成物 Expired - Fee Related JP4656964B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2005047977A JP4656964B2 (ja) 2004-02-27 2005-02-23 制振性樹脂組成物

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004052735 2004-02-27
JP2005047977A JP4656964B2 (ja) 2004-02-27 2005-02-23 制振性樹脂組成物

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2005272830A JP2005272830A (ja) 2005-10-06
JP4656964B2 true JP4656964B2 (ja) 2011-03-23

Family

ID=35172823

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2005047977A Expired - Fee Related JP4656964B2 (ja) 2004-02-27 2005-02-23 制振性樹脂組成物

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4656964B2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2006080346A1 (ja) 2005-01-27 2006-08-03 Sk Kaken Co., Ltd. 蓄熱体形成用組成物、蓄熱体及び蓄熱体の製造方法

Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH04117463A (ja) * 1990-09-07 1992-04-17 Kawasaki Steel Corp 複合型制振金属板用芯材樹脂およびこれを用いた複合型制振金属板ならびにその製造方法
JP2001288240A (ja) * 2000-04-07 2001-10-16 Bridgestone Corp 蓄熱性軟質低反発性ポリウレタンフォーム及びその製造方法
JP2001294640A (ja) * 2000-04-11 2001-10-23 Bridgestone Corp 蓄熱性メカニカルフロスタイプポリウレタンフォーム及びその製造方法
JP2004250461A (ja) * 2002-12-27 2004-09-09 Sk Kaken Co Ltd 制振性樹脂組成物及びそれを用いた制振・遮音材

Patent Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH04117463A (ja) * 1990-09-07 1992-04-17 Kawasaki Steel Corp 複合型制振金属板用芯材樹脂およびこれを用いた複合型制振金属板ならびにその製造方法
JP2001288240A (ja) * 2000-04-07 2001-10-16 Bridgestone Corp 蓄熱性軟質低反発性ポリウレタンフォーム及びその製造方法
JP2001294640A (ja) * 2000-04-11 2001-10-23 Bridgestone Corp 蓄熱性メカニカルフロスタイプポリウレタンフォーム及びその製造方法
JP2004250461A (ja) * 2002-12-27 2004-09-09 Sk Kaken Co Ltd 制振性樹脂組成物及びそれを用いた制振・遮音材

Also Published As

Publication number Publication date
JP2005272830A (ja) 2005-10-06

Similar Documents

Publication Publication Date Title
CN101481443A (zh) 聚氨酯-聚丙烯酸酯互穿网络聚合物及其制备方法和应用
JP4075924B2 (ja) 蓄熱体の製造方法及び蓄熱体
SE416056B (sv) Sett att framstella ett oorganiskt-organiskt polymer-polykiselsyragel-kombinationsmaterial genom blandning av en vattenhaltig silikatlosning och/eller en vattenhaltig kiselsol med ett organiskt polyisocyanat ...
JP2004131730A (ja) 建築用発泡体を形成するための2成分発泡システムとその使用
JP2012511605A (ja) 架橋されていない線状イソブテンポリマーの一の相を有する、透明な半相互侵入網目構造体
TW200904869A (en) Polymer foam and foam articles for fire protection
PL209990B1 (pl) Klej wieloskładnikowy i jego zastosowanie
JP2019019307A (ja) アクリル系樹脂組成物及び積層体
JP4711699B2 (ja) 制振性積層体
JP4656964B2 (ja) 制振性樹脂組成物
JP2006290640A (ja) 湿潤体用樹脂組成物およびその構造体
JP2019065259A (ja) 被覆材
EP3187520B1 (en) Vibration-damping urethane resin composition, vibration-damping molded urethane resin object, and method for forming said molded object
CN110114378A (zh) 自由基聚合性树脂组合物及结构物修复用注入剂
KR102053023B1 (ko) 반응형 바닥코팅제 조성물 및 이의 제조방법
JP4331948B2 (ja) 制振性樹脂組成物及びそれを用いた制振・遮音材
JP6084477B2 (ja) 樹脂組成物およびそれを用いた成形体
JP5048916B2 (ja) 蓄熱体
JP2011046546A (ja) エマルジョン組成物およびそれを用いた塗膜防水材
EP4177230A1 (en) Composition for thermal insulation
KR100597418B1 (ko) 고분자 중합체 제조용 용매 및 이를 이용한 고분자 중합방법
US20110293837A1 (en) Composition and procedure for applying phase change materials (pcms) to natural stone
JP5269573B2 (ja) 断熱材製造用のプレミックス組成物及び断熱材
CN113302254B (zh) 湿气固化型粘合剂组合物
CN113045714B (zh) 低臭气树脂组合物

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20080117

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20100827

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20100831

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20101014

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20101206

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20101221

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140107

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Ref document number: 4656964

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees