JP5269573B2 - 断熱材製造用のプレミックス組成物及び断熱材 - Google Patents

断熱材製造用のプレミックス組成物及び断熱材 Download PDF

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本発明は、断熱材製造用のプレミックス組成物及び断熱材に関する。
近年、地球環境への配慮から、省エネルギーを図るために断熱材(断熱モルタル)の重要性が増している。建築物の中で使用される断熱材は、有機系発泡断熱材がほとんどである。発泡ウレタン(特許文献1参照)のような有機系断熱材は無機系断熱材に比べて格段に断熱性能が優れているからである。また有機系発泡断熱材は、現場発泡断熱材とボード状断熱材との2種類に分類されるが、とくに前者はどのような部屋の形状にも対応できるために多用されている。
これに対して、出願人は、内部に気体を包含するマイクロバルーンの断熱性能に着目した断熱材を提案している(特許文献2、特許文献3)。その配合割合は、セメント100重量部に対して、有機マイクロバルーン1〜20重量部と、合成樹脂エマルションの固形分換算3〜50重量部、炭素繊維0.3〜5重量部である。
この種のマイクロバルーンは、非常に比重が軽く、乾燥状態では飛散しやすいために、上述の合成樹脂エマルション・炭素繊維・有機マイクロバルーン・水などから構成される半液体状混合物として製造され、現場で早強ポルトランドセメントを混合混練して断熱材とすることが行われている(特許文献2)。
また、有機マイクロバルーンの表面に、親水性基と疎水性基とを備えたバインダーを介して無機物粒子を固着させてなり、飛散しにくいようにした複合マイクロバルーンが知られている(特許文献4)。
特開平8−285175号 特開平4−6182号 特開平4−6183号 特開平6−240040号
特許文献1のように発泡ウレタンなどを用いた断熱材は断熱性能に優れているが、発泡ガスの種類として代替フロンを使用しているものが主流である。地球温暖化を防止するためにフロンからの脱却が求められており、二酸化炭素ガスを使用した断熱材をしようした断熱材への切り替えが今後進んでいくと推測される。その際には代替フロンを使用した断熱材(熱伝導率0.026W/m・K)よりも二酸化炭素(熱伝導率0.035W/m・K)の方が断熱性能で劣り、断熱材の厚みが厚くなるという課題が残っている。また有機系発泡材料は燃え易い性質があり、不燃性が要求される場合は断熱施工の後に表面に防火処理を施す必要がある。また表面の凹凸が大きく直接仕上げができないために、断熱材の前に下地をくみ石膏ボードなどを張るなどする必要がある。従って躯体から仕上げまでの厚さが厚くなり、施工手間が多くなるという欠点がある。
引用文献2、3の断熱材は、結合材料としてセメントを含むので燃えにくく、かつ湿式施工をするので滑らかでシームレスな断熱層を構成することができるが、熱伝導率が0.05〜0.06W/m・Kと発泡ウレタンに比べて2〜3倍程度であり、発泡ウレタン等と同じ断熱性能を得るには、断熱材自体の塗り厚が2倍から3倍となる。しかしながら、一度に塗れる厚さには限りがあり、工程・養生期間・手間が多くかかり、結果としてコスト高であった。または発泡ウレタン等と同じ断熱性能を確保するための施工は非常に困難である。断熱性能を高めるためには、断熱性能を有する骨材(有機マイクロバルーン)の割合を多くすることを考えるのが自然であるが、単純に従来の成分のままで割合を変更すると、骨材同士の間の結合力が弱まる。
特許文献4の有機マイクロバルーンと無機粒子との複合マイクロバルーンは、飛散防止という点では有利であるが、耐火性という点では未だ問題が残る。
本発明の目的は、有機マイクロバルーンの割合を多くするとともに難燃性材料を添加し、さらに両者を結合した複合マイクロバルーンとすることで、飛散防止効果も発揮するようにした断熱材製造用のプレミックス組成物、及び断熱材を提供することである。
第1の手段は、
断熱性を有する有機マイクロバルーンと、
有機マイクロバルーンよりも比重が大きい、金属水酸化物系の難燃性無機粒子と、
有機マイクロバルーンに対する親和力がセメントに比べて大きく、かつ加水によりエマルションとなる性質を有する合成樹脂結合材料と、
を少なくとも主成分とし、
かつ全成分に対する有機マイクロバルーンの容積比を70%以上とした、断熱材製造用のプレミックス組成物であって、
有機マイクロバルーンの平均粒径を、難燃性無機粒子の平均粒径以上とし、
この有機マイクロバルーンの表面に、有機マイクロバルーンよりも比重の大きい難燃性無機粒子を担持させて、複合マイクロバルーンとし、
かつ複合マイクロバルーンの有機部分である有機マイクロバルーンが、水を加えたときに合成樹脂結合材料と作用して結合するように設計している。
本手段の第1の特徴として、断熱材の組成における、有機マイクロバルーンの量を容量比で70%以上として断熱性能を高めるとともに、結合材料として、有機マイクロバルーンとの親和力の強い合成樹脂を用いている。結合材料の粒子同士の間の結合力の他に結合材料と有機マイクロバルーンの間の結合力を高めることで、有機マイクロバルーンの容積比が高くても強度を確保できるようにしている。第2の特徴として、有機マイクロバルーンの耐火性能の低さを補うために難燃材料を添加している。第3の特徴としてその難燃材料の無機粒子を有機マイクロバルーンに担持させた複合マイクロバルーンとしたから、飛散防止に寄与する。飛散防止だけを考えると別の無機物(例えば無機マイクロバルーン)を担持させてもよいのであるが、本手段では、難燃材料を有機マイクロバルーンの飛散防止のための錘として兼用している。
本発明において、「断熱材」とは、主に断熱モルタルの代用品として使用するに適した断熱材料であり、モルタルの成分のうち結合材としてのセメントを合成樹脂結合材料に置き換えたものである。セメントを結合材とすると、セメント粒子間の結合力に比べて、有機マイクロバルーンとの結合力が小さく、従って有機マイクロバルーンの容積比率を大きくすると、断熱材全体としての強度が不足するからである。また、「断熱材製造用の組成物」とは、断熱材としての成分のうち水以外の全ての成分(或いは主要な全ての成分)を所定の割合で混合し、水を加えると断熱材となるものである。
「マイクロバルーン」とは、平均粒径が数μm〜数百μmの中空の粒子である。マイクロバルーンのうち有機マイクロバルーンは、図3に示すように無機マイクロバルーン(ガラス・シラスバルーンなど)と比べて熱伝導率が低く、断熱性能が高い。また、有機マイクロバルーンの容積比を70%以上とした理由は、図4に示すように60〜70%の範囲で熱伝導率が急速に減少するからである。これについては後述する。
「難燃材料」は、150℃〜500℃の範囲で水を放出する金属水酸化物とすることができる。火災時において、水を放出して吸熱反応を促し、発熱量を抑制することができるからである。好適な例は水酸化アルミニウムである。火災時の温度は500℃〜700℃程度であり、その前に温度を下げるように難燃材料の成分を設計することが望ましい。
さらに主成分として、強度向上のために無機マイクロバルーンを混合してもよい。なお、本明細書において、「主成分」とは、完成品たる断熱材の性状を左右する重要な成分という程度の意味であり、必ずしも容量比・重量比の多寡を指すものではない。
第2の手段は、第1の手段を有し、かつ
上記有機マイクロバルーンと難燃性無機粒子とは、水エマルション中でも連結力を失わないように結合されており、
有機マイクロバルーンの外殻を構成する熱可塑性樹脂は、熱分解温度が250℃以下であり、
難燃性無機粒子は、上記熱分解温度より低い温度で分解して水を放出する金属水酸化物で形成されている。
本手段では、有機マイクロバルーンの表面に担持させた難燃性無機粒子を、金属水酸化物とすることを提案している。そうすることで火災時に有機マイクロバルーンの周囲に水を放出し、耐火性能を向上させている。温度が熱分解温度を超える前に吸熱反応を起こさせることで、有機マイクロバルーン内のガスが抜け難いようにすることができ、燃焼に至り難い。
第3の手段は、第2の手段を有し、かつ
有機マイクロバルーンの外殻は、ニトリル系単量体を含む単量体混合物を重合して得られる熱可塑性樹脂で形成されており、
上記合成樹脂結合材料は、エチレン、酢酸ビニル、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、高級脂肪酸ビニルエステル、スチレン、1,3−ブタジエンのいずれかの重合体あるいは2つ以上の共重合体又はそれらの混合物としており、
難燃性無機粒子の粒径rを0.8μm以上120μm以下とするとともに、
有機マイクロバルーンの平均粒径Rを80μm以上120μm以下としている
本手段では、有機マイクロバルーン及び合成樹脂結合材料としてそれぞれ好適な素材を提案するとともに、この合成樹脂に対して、難燃性無機粒子及び有機マイクロバルーンの好適なサイズを提案している
また「合成樹脂結合材料」は、(メタ)アクリル酸エステル・酢酸ビニル・高級脂肪酸ビニルエステルからなる3元共重合樹脂とするとよい。この3元共重合樹脂は、高級脂肪酸ビニルエステルの作用で耐アルカリ・耐水性に富み、膨潤が少ないことから造膜特性がよく、結合材としてとくに優れている。高級脂肪酸ビニルエステルの作用は、他の樹脂よりも分散性に優れていることと、それによってマイクロバルーンの周囲に存在し易くなることである。この3元共重合樹脂を用いることで、壁に塗ったあとに下方へ垂れることがなくなるとともに、断熱性能も向上する。さらに鏝塗りのときの伸びがよくなるなど施工性も良好となる。
第4の手段は、第3の手段を有し、かつ
上記有機マイクロバルーンを、熱可塑性樹脂からなる外殻と、この外殻に内包されかつ上記熱可塑性樹脂の軟化点以下の沸点を有する炭化水素とから構成し、
有機マイクロバルーンの平均粒径を80〜120μmとするとともに、25℃における真比重を0.018〜0.025とし、
上記炭化水素は、ブタン、ペンタン、シクロペンタン、ヘキサン、シクロヘキサンのうちのいずれかであり、上記炭化水素の重量割合が上記有機マイクロバルーンの5〜15重量%であり、
上記熱可塑製樹脂がニトリル系単量体を含む単量体混合物を重合して得られ、上記ニトリル系単量体の重量割合が前記単量体混合物に対して90〜97重量%としている。
本手段では、有機マイクロバルーンの代表例の構成を明らかにしている。
第5の手段は、第2の手段から第4の手段のいずれかを有し、かつ
主成分として、合成樹脂結合材料よりも少ない容量のセメントを含有し、
このセメントの、主成分全体に対する容積比を1〜3%程度としている。
少量のセメントを添加することで、合成樹脂結合材料の収縮量を少なくして、乾燥亀裂を防止することができる。出願人が行った試験では、次の表1の配合で少量のセメントと添加した場合と少量の石膏を加えた場合とを比較したところ、セメントを添加したときの乾燥収縮が0.27%、石膏を加えたときの乾燥収縮が0.51%であった。
Figure 0005269573

第6の手段は、断熱材であり、
第2の手段から第5の手段のいずれかに記載の断熱材製造用のプレミックス組成物に水を加え、次に混練することで形成される。
第1の手段に係る発明によれば、次の効果を奏する。
○有機マイクロバルーンの容量比を70%以上とするとともに、金属水酸化物系の難燃性無機粒子を包含させたから、断熱性能及び耐火性能が高く、かつ合成樹脂結合材料を用いたから、全ての成分を容易になじませることができる。
○有機マイクロバルーンの表面に錘として固着した粒子を難燃性粒子としたから、一つの粒子が飛散防止機能と耐火機能とを兼ねることとなり、このように断熱成分(有機マイクロバルーン)以外の成分を多機能化することで、有機マイクロバルーンの容積比を大きくすることができる。
○有機マイクロバルーンと難燃性無機粒子とは予め結合しているので、別々の有機マイクロバルーン及び無機性無機粒子とを混合する場合のように、攪拌不足により均一に混合せず、難燃性に空間的なムラが生ずることを防止できる。
第2の手段に係る発明によれば、予め金属水酸化物の無機粒子を有機マイクロバルーンに固着させたから、混練の程度が不十分であっても、十分な耐火性能を発揮することができる。
第3の手段に係る発明によれば、合成樹脂結合材料は、エチレン、酢酸ビニル、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、高級脂肪酸ビニルエステル、スチレン、1,3−ブタジエンのいずれかで形成したから、有機マイクロバルーンに対する親和性が強く、十分な結合力が得られる。
第4の手段に係る発明によれば、十分な断熱性能が得られる。
第5の手段に係る発明によれば、主成分として、合成樹脂結合材料よりも少ない容量のセメントを含有し、このセメントの、主成分全体に対する容積比を1〜3%程度としたから、合成樹脂結合材料の乾燥収縮を少なくすることができる。
第6の手段は、第2の手段から第5の手段のいずれかに記載の断熱材製造用のプレミックス組成物に水を加え、次に混練して形成したから、容易に製造することができる。
本発明の断熱材製造用の組成物について説明する。この断熱材は配合用の組成物は、複合マイクロバルーン、合成樹脂結合材料、水硬性材料、無機マイクロバルーンを主成分とし、さらに補強用繊維、整泡剤、保水剤などを添加して製造される。
複合マイクロバルーン2は、断熱材の骨材となるものであり、図1に示す如く有機マイクロバルーン4の表面に難燃性無機粒子6を担持させてなる。図示例では、有機マイクロバルーン4は、難燃性無機粒子6よりも大きく、有機マイクロバルーンの表面を、或る程度の隙間sを残して、複数の難燃性無機粒子6がコーティングしている。難燃性無機粒子間の隙間を介して有機マイクロバルーンの表面は、合成樹脂結合材料6と結合している。
上記有機マイクロバルーンは、断熱材製造用組成物のうちで、最も大きな容積を占めている。図4に示すように、有機マイクロバルーンを含む断熱材の熱伝導率は、75%以上の範囲に比べて、全成分に対する容積比60〜70%で大きく減少し、さらに70〜75%の範囲で顕著に減少する。従って有機マイクロバルーンの容積比は、少なくとも65%以上とし、好適には70%以上(さらに好ましい目標値として75%以上)となるようにする。粒径は90〜110μmであり、真比重が0.025±0.005である。有機マイクロバルーンの外殻は、塩化ビニリデン、(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリル酸エステルおよび架橋剤を重合して得られる共重合体で形成され、熱分解温度が80〜120℃の範囲にある。また、内包ガスとして、ブタン、ペンタン、シクロペンタン、ヘキサン、シクロヘキサンなどの炭化水素系ガスを含んでいる。
上記難燃性無機粒子は、アルミニウム、マグネシウム、カルシウム、バリウムおよび銅(I)からなる群から選ばれた少なくとも1種の金属の水酸化物で形成するとよい。とくに好適な素材は、水酸化アルミニウムである。水酸化アルミニウムの配合量は、全成分に対する容積比で2〜8%とすることが可能であり、最適な範囲は容積比3〜4%である。上記容積比の上限値を8%とした理由は、これ以上とすると形態を保持することが困難だからである。なお、図5は、水酸化アルミニウムの添加量と総発熱量との関係を表すグラフである。また難燃性無機粒子の平均粒径は少なくとも0.02μm以上の粒体(例えば球体)とするとよい。そうすると上述の素材からなる合成樹脂が粒体間の隙間を通って有機マイクロバルーンの表面に到達することができる。このとき、有機マイクロバルーンの表面の一部は、難燃性無機粒子に結合し、残りの部分は合成樹脂結合材料に結合することになる。さらに好適な難燃性無機粒子の粒径rの範囲は0.8μm以上120μm以下である。
複合マイクロバルーンは次のように製造する。マイクロバルーンの製造工程では、バルーンを製造する前の段階がマイクロカプセルと呼ばれており、未膨張の状態では非常に小さい中空の粒子の中に液状の炭化水素が入っている。その炭化水素が気化することによって膨張して、バルーンとしている。そのバルーンとなるとき(膨張するとき)に難燃性無機粒子と混合して、バルーンの外殻部分の隙間を埋める役割のような形で、コーティングされる。温度が下がった時点でバルーンが固定される。
合成樹脂結合材料は、エチレン、酢酸ビニル、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、高級脂肪酸ビニルエステル、スチレン、1,3−ブタジエンのいずれかの重合体、あるいは2つ以上の共重合体、又はそれらの混合物からなる粉体樹脂である。有機マイクロバルーンと同系統の有機材料を主体とすることで、有機マイクロバルーンとの親和性が高まり、少量の結合材で大容量の有機マイクロバルーンを結合することができる。(メタ)アクリル酸エステル・酢酸ビニル・高級脂肪酸ビニルエステル3元重合樹脂を用いることでセメント配合時の凝集力を高め、強度が比較的を高まる。この3元重合樹脂の全成分に対する容積比は4〜7%程度とすることができる。これに対してセメント系の断熱モルタでのセメントの容量比に比べて十分に小さい数値である。
水硬性材料は、セメントとすることが望ましく、全成分に対する容積比は1〜2%程度である。一般にセメントは水和反応を利用して材料強度を高めるために利用するが、合成樹脂を結合材とする本発明において、セメントを添加したものと添加していないものとを比較すると、むしろセメントを添加していないものの方が強度で優る。セメントを添加する目的は、合成樹脂の乾燥収縮を少なくするためである。水硬性材料の中でもセメントは収縮抑制作用が特に良好である。この現象は、粉末樹脂の粒子の間にセメント成分が介在し、何らかの理由で粒子相互の収縮を抑制するためと考えられるが、詳しい機構は不明である。セメントは早強セメントとすることができる。なお、セメントと比べて合成樹脂の収縮抑制作用で劣るが、石膏をセメントの代わりとしてもよい。
無機マイクロバルーンは必須の要素ではないが、耐火性能を挙げるために添加されている。もっとも加えすぎると断熱性能が低下する。配合量の好適な一例は、全成分に対する容積比で6〜7%である。無機マイクロバルーンは、ガラスバルーン、シラスバルーン、パーライト、セラミックバルーンのいずれかあるいは組合せである。
補強用樹脂は、強度の向上やひび割れ防止のために用いる。エステル、炭素、ビニロンのいずれかとすることができる。
整泡剤は、泡がつぶれないようにして可使時間を長くするために用いられる。
保水剤は、メチルセルロース、ポリビニルアルコールのいずれかとすることができる。
図6には、本発明に係る断熱材製造用の組成物の設計概念が判り易く示されている。まず有機マイクロバルーンの容積比を高めると、図5中のA→Bのように熱伝導率が著しく低下するが、それと同時に総発熱量も増大する。水酸化アルミニウムのように一般に難燃材料として使用される成分を添加すると、図5中B→Cのように総発熱量は減少した(不燃性が向上した)が、断熱性は多少低下した。これは、難燃材料を加えると相対的に包含することができる有機マイクロバルーンの量が少なくなるからである。さらに整泡剤などの調整により好適な耐火性能及び断熱性能を併せ持つ断熱材の組成物が設計できる。
次の表2に好適な配合例における質量比率及び容積比率を示す。
Figure 0005269573

上記の構成において、本発明に係る組成物を用いて断熱材を配合するときには、この組成物と水とともに攪拌容器にいれ、ミキサーなどで攪拌・混成すればよい。このとき有機マイクロバルーンには難燃性無機粒子が担持されているので、容器内に入れるときに空中に飛散することがない。
この断熱材を用いて断熱工事を施工するときには、次の手順で行う。まず、目的面に合成樹脂エマルション系吸水防止材を塗布する。これにより、接着性を確保することができる。次に断熱材を吹付け、鏝押え又は鏝塗りを行う。最大厚みは30mm程度とする。
断熱材の施工が終了し、建物が完成した後、火災が生じたときには、図2に示すように有機マイクロバルーンの表面に担持された難燃性無機粒子から水が放出され、有機マイクロバルーンを保護する。
本発明の実施形態に係る断熱材組成物のうち複合マイクロバルーンの説明図である。 図1の複合マイクロバルーンの作用説明図である。 有機マイクロバルーンと他の材料との熱伝導率を比較する図である。 有機マイクロバルーンの容積比と熱伝導率との関係を示す図である。 水酸化アルミニウムの添加量と総発熱量との関係を示す図である。 本発明における不燃性と断熱性との関係を表す概念図である。
符号の説明
2…複合マイクロバルーン 4…有機マイクロバルーン 6…難燃性無機粒子
8…合成樹脂結合材料

Claims (6)

  1. 断熱性を有する有機マイクロバルーンと、
    有機マイクロバルーンよりも比重が大きい、結晶水を持つ金属酸化物系の難燃性無機粒子と、
    有機マイクロバルーンに対する親和力がセメントに比べて大きく、かつ加水によりエマルションとなる性質を有する合成樹脂結合材料と、
    を少なくとも主成分とし、
    かつ全成分に対する有機マイクロバルーンの容積比を70%以上とした、断熱材製造用のプレミックス組成物であって、
    有機マイクロバルーンの平均粒径を、難燃性無機粒子の平均粒径以上とし、
    この有機マイクロバルーンの表面に、有機マイクロバルーンよりも比重の大きい難燃性無機粒子を担持させて、複合マイクロバルーンとし、
    かつ複合マイクロバルーンの有機部分である有機マイクロバルーンが、水を加えたときに合成樹脂結合材料と作用して結合するように設計したことを特徴とする、断熱材製造用のプレミックス組成物。
  2. 上記有機マイクロバルーンと難燃性無機粒子とは、水エマルション中でも連結力を失わないように結合されており、
    有機マイクロバルーンの外殻を構成する熱可塑性樹脂は、熱分解温度が250℃以下であり、
    難燃性無機粒子は、上記熱分解温度より低い温度で分解して水を放出する結晶水を持つ金属酸化物で形成されていることを特徴とする、請求項1記載の断熱材製造用のプレミックス組成物。
  3. 有機マイクロバルーンの外殻は、ニトリル系単量体を含む単量体混合物を重合して得られる熱可塑性樹脂で形成されており、
    上記合成樹脂結合材料は、エチレン、酢酸ビニル、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、高級脂肪酸ビニルエステル、スチレン、1,3−ブタジエンのいずれかの重合体あるいは2つ以上の共重合体又はそれらの混合物としており、
    難燃性無機粒子の粒径rを0.8μm以上120μm以下とするとともに、
    有機マイクロバルーンの平均粒径Rを80μm以上120μm以下とした
    ことを特徴とする、請求項2記載の断熱材製造用のプレミックス組成物。
  4. 上記有機マイクロバルーンを、熱可塑性樹脂からなる外殻と、この外殻に内包されかつ上記熱可塑性樹脂の軟化点以下の沸点を有する炭化水素とから構成し、
    有機マイクロバルーンの平均粒径を80〜120μmとするとともに、25℃における真比重を0.018〜0.025とし、
    上記炭化水素は、ブタン、ペンタン、シクロペンタン、ヘキサン、シクロヘキサンのうちのいずれかであり、上記炭化水素の重量割合が上記有機マイクロバルーンの5〜15重量%であり、
    上記熱可塑製樹脂がニトリル系単量体を含む単量体混合物を重合して得られ、上記ニトリル系単量体の重量割合が前記単量体混合物に対して90〜97重量%としたことを特徴とする、請求項3に記載の断熱材製造用のプレミックス組成物
  5. 主成分として、合成樹脂結合材料よりも少ない容量のセメントを含有し、
    このセメントの、主成分全体に対する容積比を1〜3%程度としたことを特徴とする、請求項2から請求項4のいずれかに記載の断熱材製造用のプレミックス組成物。
  6. 請求項2から請求項5のいずれかに記載の断熱材製造用のプレミックス組成物に水を加え、次に混練することで形成される断熱材。
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