JP4947869B2 - 断熱材組成物 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、断熱性が要求される部位に適用可能な断熱材組成物に関する。
【0002】
【従来技術】
建築構造物等の建設現場において、吹き付け塗工によって断熱層を形成させるための材料としては、ウレタンフォーム、フェノールフォーム。セルロースファイバー、ロックウール等が用いられている。この中でも、以下の特徴を有する点でウレタンフォームが頻繁に用いられている。
【0003】
第一に、その熱伝導率が約0.02kcal/m・hr・℃であり、断熱性に優れている。第二に、形状が複雑な部位にも適用でき、シームレスな仕上がりが得られる。第三に、比較的低コストで施工することができる。
【0004】
しかしながら、ウレタンフォームでは、次のような欠点があり、これらを改善する必要がある。
【0005】
第一に、火炎に弱い。いったんウレタンフォームに着火した場合は、瞬時に燃え広がる現象(いわゆる爆燃)が生じるおそれがある。爆燃が発生すれば、消火が困難な状態になり、深刻な事態を招く。
【0006】
第二に、経時的に断熱性能が低下する。これは、ウレタンフォームの気泡内のフロン化合物(発泡剤として使用されるもの)が経時的に空気に置換されたり、気泡内で結露が発生することによる。
【0007】
第三に、ウレタンフォームを構成する組成物が有害性物質(溶剤、フロン化合物等)を含むため、吹き付け施工時に周辺環境を汚染するおそれがある。
【0008】
第四に、ウレタンフォームの形成には、二液タイプの原料が使用されるため、専用の吹付機器(先端混合型の吹付機器)が必要とされる。
【0009】
第五に、ウレタンフォームの形成では、厚み管理が困難である。ウレタンフォームは、吹き付け時に混合された2種の液剤が被塗物に被着した後に両者が反応して発泡することによって形成される。このため、被着量、発泡度合等によって厚みにバラツキが生じやすくなる。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
これに対し、ウレタンフォームの代替品として、断熱材としてセメントに発泡スチロール片を混合した組成物が提案されている(特開昭59−30755号、特開昭63−11586号公報、特開2000−16882号公報等)。
【0011】
しかしながら、これらの断熱材では、その熱伝導率が0.05kcal/m・hr・℃を超えるものであり、断熱性が不十分である。この点において、ウレタンフォームの代替品として用いるには、さらなる改善が必要とされる。
【0012】
従って、本発明の主な目的は、ウレタンフォームに匹敵する断熱性を有するとともに、ウレタンフォームのもつ欠点の少なくとも1つが改善された新規な材料を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、かかる従来技術の問題点を解決するために鋭意研究を重ねた結果、特定組成をもつ材料が上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0014】
すなわち、本発明は、下記の断熱材組成物に係るものである。
【0015】
1.セメント、骨材、発泡スチロール粉粒体及び有機バインダー(水溶性高分子を除く。)を含み、さらに水溶性高分子を含有する組成物であって、セメント100重量部に対して発泡スチロール粉粒体4重量部以上40重量部未満、有機バインダー1重量部以上50重量部以下を含有し、かつ、当該発泡スチロール粉粒体の含有量が当該組成物中6重量%以上であり、当該水溶性高分子が、その1%水溶液の20℃における粘度が8000mPa・s以上であることを特徴とする断熱材組成物。
【0016】
2.発泡スチロール粉粒体のかさ密度が0.015g/cm 3 以下である前記項1記載の断熱材組成物。
【0017】
3.発泡スチロール粉粒体のかさ密度が0.009g/cm3以下である前記項1又は2に記載の断熱材組成物。
【0018】
4.発泡スチロール粉粒体の平均粒径が1〜5mmである前記項1〜3のいずれかに記載の断熱材組成物。
【0019】
5.発泡スチロール粉粒体が、難燃処理されたものである前記項1〜4のいずれかに記載の断熱材組成物。
【0020】
6.前記項1〜5のいずれかに記載の断熱材組成物によって形成された断熱層
【0021】
7.熱伝導率が0.045kcal/m・hr・℃以下である前記項6に記載の断熱層。
【0022】
8.ISO 5660に規定される発熱性試験において、加熱強度50kW/m 2 及び加熱時間5分の条件下での総発熱量が8MJ/m 2 以下である前記項6又は7に記載の断熱層。
【0023】
9.ISO 5660に規定される発熱性試験において、加熱強度50kW/m2及び加熱時間10分の条件下での総発熱量が8MJ/m2以下である前記項6又は7に記載の断熱層。
【0025】
11.骨材が、無機質軽量骨材である前記項1記載の組成物。
【0026】
12.骨材が、パーライト、膨張頁岩、膨張バーミキュライト、軽石及びシラスバルーンの少なくとも1種である前記項1記載の組成物。
【0027】
【発明の実施の形態】
1.断熱材組成物
本発明の断熱材組成物は、セメント、骨材、発泡有機樹脂粉粒体及び有機バインダー(水溶性高分子を除く。)を含む組成物であって、セメント100重量部に対して発泡有機樹脂粉粒体4重量部以上40重量部未満、有機バインダー1重量部以上50重量部以下を含有し、かつ、当該発泡有機樹脂粉粒体の含有量が当該組成物中5重量%を超えることを特徴とする。
【0028】
(1)セメント
セメントは特に限定されず、公知のもの又は市販品を使用できる。例えば、普通ポルトランドセメント、早強ポルトランドセメント、超早強ポルトランドセメント、中庸熱ポルトランドセメント、耐硫酸塩ポルトランドセメント、白色ポルトランドセメント等のポルトランドセメントのほか、アルミナセメント、超速硬セメント、膨張セメント、酸性リン酸塩セメント、シリカセメント、高炉セメント、フライアッシュセメント、キーンスセメント等が挙げられる。これらは1種又は2種以上で使用することができる。これらの中でも、ポルトランドセメントが好ましい。より具体的には、普通ポルトランドセメント、早強ポルトランドセメント、超早強ポルトランドセメント、中庸熱ポルトランドセメント、耐硫酸塩ポルトランドセメント及び白色ポルトランドセメントの少なくとも1種が好ましい。
【0029】
(2)骨材
骨材は、公知の骨材の中から適宜選択することができ、限定されない。特に、無機質骨材を好適に用いることができる。無機質骨材としては、例えば山砂、川砂、珪砂等のほか、無機質軽量骨材を用いることができる。これらは1種又は2種以上で使用することができる。これら骨材の中でも、無機質軽量骨材が好ましい。無機質軽量骨材としては、例えばパーライト、膨張頁岩、膨張バーミキュライト、軽石、シラスバルーン等が好ましい。
【0030】
骨材の粒度は、所望の断熱性、強度等に応じて適宜決定することができるが、通常は平均粒径0.1〜5mm程度の範囲内とすれば良い。
【0031】
骨材の含有量は、用いる骨材の種類(密度等)、所望の断熱性能等に応じて適宜設定することができる。例えば、無機質軽量骨材を用いる場合は、一般的にはセメント100重量部に対して5〜200重量部程度、好ましくは10〜100重量部とすれば良い。かかる範囲内において、特に優れた断熱性、強度等を得ることができる。
【0032】
(3)発泡有機樹脂粉粒体
発泡有機樹脂粉粒体は、個々の粉粒体中に気孔を有するものであれば良い。発泡有機樹脂粉粒体のかさ密度は、通常0.08g/cm3以下、好ましくは0.03g/cm3以下、より好ましくは0.015g/cm3以下、最も好ましくは0.009g/cm3以下とする。
【0033】
発泡有機樹脂粉粒体を構成する発泡有機樹脂の種類は特に制限されない。例えば、発泡スチロール、発泡フェノール、発泡ポリエチレン、発泡ポリプロピレン、発泡ポリ塩化ビニル等の公知の発泡有機樹脂を採用することができる。これらは1種又は2種以上で使用することができる。これらの中でも、特に発泡スチロールが好ましい。
【0034】
上記粉粒体の粒子径は、所望の断熱性、発泡有機樹脂の種類等に応じて適宜設定することができる。通常は平均粒径1〜5mm程度とすれば良い。上記粉粒体としては、発泡有機樹脂を粉砕したものも好適に用いることができる。例えば、発泡スチロールを破砕することにより得られる粉粒体も使用することができる。発泡スチロール等の廃棄物を破砕したものも使用することができ、この場合には廃棄物の有効利用にも貢献できる。
【0035】
上記粉粒体としては、予め難燃処理を施したものも好適に使用することができる。難燃処理としては、公知の方法を採用することができる。例えば、アルコキシシラン化合物、珪酸塩化合物、難燃剤を上記粉粒体にコーティングしたり、吸着させる方法等が挙げられる。
【0036】
上記アルコキシシラン化合物としては限定的でなく、例えばテトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン等が使用できる。
【0037】
また、上記珪酸塩化合物としては、例えば、珪酸ナトリウム、珪酸カリウム、珪酸リチウム、珪酸アンモニウム等のほか、市販の水ガラス等を使用することもできる。
【0038】
上記難燃剤としては、例えばトリクレジルホスフェート、ジフェニルクレジルフォスフェート、ジフェニルオクチルフォスフェート、トリ(β−クロロエチル)フォスフェート、トリブチルフォスフェート、トリ(ジクロロプロピル)フォスフェート、トリフェニルフォスフェート、トリ(ジブロモプロピル)フォスフェート、クロロフォスフォネート、ブロモフォスフォネート、ジエチル−N, N−ビス(2−ヒドロキシエチル)アミノメチルフォスフェート、ジ(ポリオキシエチレン)ヒドロキシメチルフォスフォネート等の有機リン系化合物;塩素化ポリフェニル、塩素化ポリエチレン、塩化ジフェニル、塩化トリフェニル、五塩化脂肪酸エステル、パークロロペンタシクロデカン、塩素化ナフタレン、テトラクロル無水フタル酸等の塩素化合物;テトラブロモビスフェノールA、デカブロモジフェニルオキサイド、ヘキサブロモシクロドデカン、トリブロモフェノール、エチレンビステトラブロモフタルイミド、エチレンビスペンタブロモジフェニル等の臭素化合物:三酸化アンチモン、五塩化アンチモン等のアンチモン化合物;三塩化リン、五塩化リン、リン酸アンモニウム、ポリリン酸アンモニウム等のリン化合物;ホウ酸亜鉛、ホウ酸ナトリウム、水酸化アルミニウム等の無機質化合物等が挙げられる。
【0039】
上記のアルコキシシラン化合物、珪酸塩化合物、難燃剤等(これらを「難燃処理剤」と総称する)は、1種又は2種以上で使用することができる。
【0040】
難燃処理剤は、必要に応じて水又はその他の適当な溶媒に溶解又は分散させ、その溶液又は分散液を上記粉粒体に付与しても良い。上記溶液又は分散液にアクリル系樹脂等のバインダーを適宜配合することもできる。上記溶液又は分散液を付与した後は、乾燥又は必要により熱処理すれば良い。難燃処理剤の付与量は、所望の難燃性、上記粉粒体の種類等に応じて適宜決定することができる。
【0041】
発泡有機樹脂粉粒体の含有量は、セメント100重量部に対して通常4重量部以上40重量部未満(好ましくは5重量部以上35重量部以下)とし、かつ、本発明組成物中における含有量が5重量%を超える量(好ましくは6重量%以上)とする。かかる範囲内に規定することにより、より優れた断熱性とともに所定の強度を維持することが可能となる。
【0042】
(4)有機バインダー
有機バインダー(水溶性高分子を除く。)は、公知の樹脂類、ゴム類等を含むもの用いることができる。例えば、樹脂類としてはアクリル樹脂、酢酸ビニル樹脂、プロピオン酸ビニル、ベオバ、アクリル酢酸ビニル樹脂、エチレン酢酸ビニル樹脂、塩化ビニル樹脂、エポキシ樹脂等が挙げられる。ゴム類としては、例えばクロロプレンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、ブタジエンゴム等が挙げられる。これらは1種又は2種以上で使用することができる。これらの中でも、アクリル樹脂、酢酸ビニル樹脂、アクリル酢酸ビニル樹脂等が好ましい。
【0043】
また、上記バインダーはいずれの形態でも使用でき、例えば粉末状、エマルション等の状態で用いることができる。このような形態はバインダーは公知のもの又は市販品を使用することができる。
【0044】
有機バインダーの含有量は、セメント100重量部に対して通常1〜50重量部程度、好ましくは2〜30重量部とする。上記含有量が1重量部未満の場合には、十分な強度が得られなくなる。50重量部を超える場合は、所望の断熱性等が得られなくなるおそれがある。
【0045】
(5)その他の添加材
本発明組成物では、上記の必須成分のほか、必要に応じて界面活性剤、難燃剤、減水剤、消泡剤、造膜助剤等の各種の添加材を配合することができる。特に、次に掲げるような添加材を本発明組成物中に適宜添加することができる。
【0046】
▲1▼ 本発明組成物では、必要に応じて、さらに針状粒子からなる無機化合物粉末を含んでいても良い。かかる粉末を含有させることにより、いっそう高い強度等を付与することができる。上記粉末としては、例えば針状炭酸カルシウムを好適に用いることができる。上記粉末の含有量は限定的ではないが、セメント100重量部に対して通常1〜20重量部程度とすれば良い。
【0047】
▲2▼ また、必要に応じて、水溶性高分子及び粘土鉱物粉粒体の少なくとも1種を含有させても良い。これらの成分の含有によって、特に本発明組成物の均一化を促進することができる。例えば、本発明組成物をポンプ圧送する場合には、ポンプ圧送の効率をより高めることができる。また、施工後の乾燥性を改善することも可能である。従って、本発明組成物では、吹き付けにより施工する場合には、水溶性高分子を含むことが望ましい。
【0048】
水溶性高分子としては、例えばポリビニルアルコール、ポリ(メタ)アクリル酸、ポリアルキレンオキサイド、バイオガム、ガラクトマンナン誘導体、アルギン酸及びその誘導体、ゼラチン、カゼイン及びアルブメンならびにこれらの誘導体、セルロース誘導体等が挙げられる。水溶性高分子は、高粘度品がより好ましく、具体的にはその水溶性高分子の1%水溶液の粘度(B型粘度計を用いて20℃で測定した値を示す。以下同じ。)が通常8000mPa・s以上、好ましくは10000mPa・s以上、より好ましくは12000mPa・s以上となるような水溶性高分子を使用することが好ましい。
【0049】
粘土鉱物粉粒体としては、例えばアロフェン、ヒシンゲル石、パイロフィライト、タルク、ウンモ、モンモリロン石、バーミキュル石、リョクデイ石、カオリン、パリゴルスカイト等が挙げられる。これらは1種又は2種以上で使用することができる。これらの中でも、セルロース誘導体、モンモリロン石等を好適に用いることができる。
【0050】
水溶性高分子及び粘土鉱物粉粒体の少なくとも1種の含有量は、最終製品の用途等に応じて適宜設定すれば良いが、セメント100重量部に対して通常1〜30重量部程度、好ましくは2〜15重量部とすれば良い。
【0051】
▲3▼ 本発明組成物では、塗膜の硬化の促進等のために硬化促進剤が含まれていても良い。硬化促進剤としては、例えばアルミン酸リチウム、アルミン酸ナトリウム、アルミン酸カリウム等のアルカリ金属アルミン酸塩、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等のアルカリ金属炭酸塩、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、硫酸マグネシウム、硫酸アルミニウム等の硫酸塩のほか、消石灰、石膏、カルシウムアルミネート等が挙げられる。
【0052】
硬化促進剤の含有量は、最終製品の用途等に応じて適宜設定すれば良いが、セメント100重量部に対して通常1〜30重量部程度、好ましくは2〜20重量部とすれば良い。
【0053】
▲4▼ また、本発明組成物中に減水剤が配合されていても良い。減水剤としては公知のもの又は市販品が適用できる。例えば、芳香族スルホン酸系減水剤、ポリカルボン酸系減水剤、リグニンスルホン系減水剤、メラミン系減水剤等が挙げられる。
【0054】
減水剤の含有量は、最終製品の用途等に応じて適宜設定すれば良いが、セメント100重量部に対して通常0.05〜5重量部程度、好ましくは0.1〜4重量部とすれば良い。
【0055】
本発明組成物は、これらの成分を混合機、ニーダー等によって均一に混合することによって製造することができる。この場合、必要に応じて水を配合することができる。水の配合量は、セメント100重量部に対して通常100〜1500重量部程度となるようにすれば良い。
【0056】
本発明組成物は、断熱性の付与が必要とされる部位に好適に用いることができる。上記のような部位としては、例えば建築構造物の壁面、屋根(室内側)等に適用することができる。これらの部位に、吹き付け、塗付等の公知の施工方法によって本発明組成物を被着させ、被着層を乾燥すれば良い。これによって断熱層を形成することができる。特に、本発明組成物は、吹付用として好適に用いることができる。吹き付けにより施工する場合は、例えばスネーク式圧送ポンプ等で本発明組成物をポンプ圧送し、吹き付けガンを通じて本発明組成物を各部位に被着させれば良い。
【0057】
2.断熱層
本発明は、本発明組成物によって形成された断熱層も包含する。すなわち、上記のように本発明組成物のスラリーを吹き付け等により形成した被着層を乾燥させることにより本発明断熱層を得ることができる。
【0058】
本発明断熱層は、その熱伝導率が通常0.05kcal/m・hr・℃未満、好ましくは0.0045kcal/m・hr・℃以下、より好ましくは0.0040kcal/m・hr・℃以下である。
【0059】
また、本発明断熱層は、ISO5660に規定される発熱性試験において、加熱強度50kW/m2及び加熱時間5分の条件下での総発熱量が8MJ/m2以下であることが望ましい。特に、本発明断熱層は、ISO 5660に規定される発熱性試験において、加熱強度50kW/m2及び加熱時間10分の条件下での総発熱量が8MJ/m2以下であることがより望ましい。すなわち、本発明断熱層は、平成12年建設省告示第1402号の難燃材料としての性能、さらには平成12年建設省告示第1401号の準不燃材料としての性能を満足できることが望ましい。
【0060】
また、本発明断熱層の厚みは、所望の断熱性、適用箇所等によって適宜設定すれば良いが、通常は10〜50mm程度とすれば良い。
【0061】
本発明断熱層の比重は、所望の断熱性等によって適宜設定できるが、通常は0.3g/cm3以下、好ましくは0.2g/cm3以下、より好ましくは0.1g/cm3以下することが望ましい。断熱層の比重は、例えば発泡有機樹脂粉粒体の粒径、含有量等によって制御することができる。
【0062】
【発明の効果】
本発明組成物によれば、ウレタンフォームに匹敵する断熱性を有する断熱層が得られる。その一方で、この断熱層は、ウレタンフォームのように爆燃を起こしたり、有害な煙又はガスを発生しない。その結果として、総合的にはウレタンフォームにまさる断熱層を提供することができる。
【0063】
また、本発明組成物によると、平成12年建設省告示第1402号の難燃材料としての性能、さらには平成12年建設省告示第1401号の準不燃材料としての性能を満足する断熱層を提供することも可能である。
【0064】
さらに、本発明では、上記のような効果に加えて、ポリウレタンフォームとの比較において以下に示すような効果のいずれかを得ることができる。
・経時的な断熱性能の低下を回避することができる。
・施工時における有害性物質の排出を防止ないしは低減することができ、作業環境の改善に貢献できる。
・ウレタンフォームの形成において必要とされた先端混合型の吹付機器が不要であり、一般の吹付機器を用いることができる。特に、水溶性高分子を配合する場合には、ポンプ圧送をより効率的に行うことができ、いっそう効果的に吹き付け施工を実施することができる。
・厚み管理が比較的容易となる。
【0065】
以上のような特長をもつ本発明組成物又は本発明断熱層は、ポリウレタンフォームがこれまで使用されてきた用途はもとより、各種の建材、防火被覆材、吸音材、結露防止材等の用途に好適に用いられる。
【0066】
【実施例】
以下に実施例及び比較例を示し、本発明の特徴を一層明確にする。但し、本発明の範囲は、実施例の範囲に限定されるものではない。
【0067】
なお、本実施例における熱伝導率の測定、発熱性試験及び溶接火玉試験は、次に示す方法によってそれぞれ実施した。
(1)熱伝導率
熱伝導率計「Kemthrm QTM−D3」(京都電子工業製)を用いて測定した。
(2)発熱性試験
ISO 5660に規定されるコーンカロリーメーターを用いて実施した。コーンカロリーメーターとしては「CONE2A」(アトラス製)を用いた。なお、加熱強度は50kW/m2とした。また、断熱層の厚みは30mmとした。この評価は、以下のとおりである。
【0068】
◎:加熱時間10分での最高発熱温度が200kW/m2を超えず、総発熱量が8MJ/m2以下のもの
○:加熱時間5分での最高発熱温度が200kW/m2を超えず、総発熱量が8MJ/m2以下のもの
△:加熱時間5分での最高発熱温度が200kW/m2を超えず、総発熱量が8MJ/m2を超えるもの
×:加熱時間5分での最高発熱温度が200kW/m2以上であり、総発熱量が8MJ/m2を超えるもの
(3)溶接火玉試験
試験体を水平に置き、試験体表面から高さ250mmの位置で、溶接機(BP交流アーク溶接機)を用いて1分間連続して溶接を行った。この評価は、以下のとおりである。
【0069】
○:試験体が爆燃を起こさなかったもの
×:試験体が爆燃したもの
実施例1〜3及び比較例1〜3
表1に示す配合で原料を均一に混合し、各組成物(配合例1〜5)をそれぞれ調製した。表1に示す各原料(水を除く。)の配合量は、固形分量を示す。
【0070】
【表1】
Figure 0004947869
【0071】
なお、表1に示す各原料は、次に示すものをそれぞれ使用した。
(1)セメント:普通ポルトランドセメント
(2)発泡有機樹脂粉粒体1:再生発泡スチロール破砕品(平均粒径約3mm、かさ密度0.008g/cm3
(3)発泡有機樹脂粉粒体2:再生発泡スチロール破砕品(平均粒径約3mm、かさ密度0.011g/cm3
(4)発泡有機樹脂粉粒体3:再生発泡スチロール破砕品(平均粒径約3mm、かさ密度0.02g/cm3
(5)発泡有機樹脂粉粒体4:発泡有機樹脂粉粒体2の100重量部に対して珪酸リチウム溶液とアクリルスチレンエマルションとの混合物(珪酸リチウム溶液(固形分23重量%):アクリルスチレンエマルション(固形分50重量%)=9:1(重量比))60重量部を添加混合した後、50℃で24時間かけて乾燥したもの
(6)有機バインダー:酢酸ビニル・アクリル酸エステル共重合エマルション(固形分50重量%)
(7)水溶性高分子:メチルセルロース(1%水溶液の粘度が15000mPa・s)
(8)骨材:シラスバルーン(平均粒径200μm)
(9)硬化促進剤:石膏
次いで、各配合例の組成物を基材(石膏ボード(厚さ12.5mm))に吹き付け、乾燥することにより断熱層(厚さ30mm)を得た。これを基材ごと切り出して99mm×99mm×42.5mmのサンプルを試験体とした。得られた試験体について上記の方法で各試験を実施した。その結果を表2に示す。表2には、断熱層の見掛け密度を併せて示す。また、表2には、比較例3としてウレタンフォームの物性を示す。
【0072】
【表2】
Figure 0004947869
【0073】
表2の結果から明らかなように、本発明組成物による断熱層は、熱伝導率が0.05kcal/m・hr・℃よりも低く、しかも発熱性試験及び溶接火玉試験に合格していることから、総合的にウレタンフォームと同等以上の性能が得られることがわかる。

Claims (9)

  1. セメント、骨材、発泡スチロール粉粒体及び有機バインダー(水溶性高分子を除く。)を含み、さらに水溶性高分子を含有する組成物であって、セメント100重量部に対して発泡スチロール粉粒体4重量部以上40重量部未満、有機バインダー1重量部以上50重量部以下、水溶性高分子2重量部以上15重量部以下を含有し、かつ、当該発泡スチロール粉粒体の含有量が当該組成物中6重量%以上であり、当該水溶性高分子が、その1%水溶液の20℃における粘度が8000mPa・s以上であることを特徴とする断熱材組成物。
  2. 発泡スチロール粉粒体のかさ密度が0.015g/cm3以下である請求項1に記載の断熱材組成物。
  3. 発泡スチロール粉粒体のかさ密度が0.009g/cm3以下である請求項1に記載の断熱材組成物。
  4. 発泡スチロール粉粒体の平均粒径が1〜5mmである請求項1〜3のいずれかに記載の断熱材組成物。
  5. 発泡スチロール粉粒体が、難燃処理されたものである請求項1〜4のいずれかに記載の断熱材組成物。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載の断熱材組成物によって形成された断熱層。
  7. 熱伝導率が0.045kcal/m・hr・℃以下である請求項6に記載の断熱層。
  8. ISO 5660に規定される発熱性試験において、加熱強度50kW/m2及び加熱時間5分の条件下での総発熱量が8MJ/m2以下である請求項6又は7に記載の断熱層。
  9. ISO 5660に規定される発熱性試験において、加熱強度50kW/m2及び加熱時間10分の条件下での総発熱量が8MJ/m2以下である請求項6又は7に記載の断熱層。
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