JP2003327464A - 断熱材組成物 - Google Patents

断熱材組成物

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JP2003327464A JP2002138188A JP2002138188A JP2003327464A JP 2003327464 A JP2003327464 A JP 2003327464A JP 2002138188 A JP2002138188 A JP 2002138188A JP 2002138188 A JP2002138188 A JP 2002138188A JP 2003327464 A JP2003327464 A JP 2003327464A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】ウレタンフォームに匹敵する断熱性を有すると
ともに、ウレタンフォームのもつ欠点の少なくとも1つ
が改善された新規な材料を提供する。 【解決手段】セメント、骨材、発泡有機樹脂粉粒体及び
有機バインダー(水溶性高分子を除く。)を含む組成物
であって、セメント100重量部に対して発泡有機樹脂
粉粒体4重量部以上40重量部未満、有機バインダー1
重量部以上50重量部以下を含有し、かつ、当該発泡有
機樹脂粉粒体の含有量が当該組成物中5重量%を超える
ことを特徴とする断熱材組成物に係る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、断熱性が要求され
る部位に適用可能な断熱材組成物に関する。
【0002】
【従来技術】建築構造物等の建設現場において、吹き付
け塗工によって断熱層を形成させるための材料として
は、ウレタンフォーム、フェノールフォーム。セルロー
スファイバー、ロックウール等が用いられている。この
中でも、以下の特徴を有する点でウレタンフォームが頻
繁に用いられている。
【0003】第一に、その熱伝導率が約0.02kca
l/m・hr・℃であり、断熱性に優れている。第二
に、形状が複雑な部位にも適用でき、シームレスな仕上
がりが得られる。第三に、比較的低コストで施工するこ
とができる。
【0004】しかしながら、ウレタンフォームでは、次
のような欠点があり、これらを改善する必要がある。
【0005】第一に、火炎に弱い。いったんウレタンフ
ォームに着火した場合は、瞬時に燃え広がる現象(いわ
ゆる爆燃)が生じるおそれがある。爆燃が発生すれば、
消火が困難な状態になり、深刻な事態を招く。
【0006】第二に、経時的に断熱性能が低下する。こ
れは、ウレタンフォームの気泡内のフロン化合物(発泡
剤として使用されるもの)が経時的に空気に置換された
り、気泡内で結露が発生することによる。
【0007】第三に、ウレタンフォームを構成する組成
物が有害性物質(溶剤、フロン化合物等)を含むため、
吹き付け施工時に周辺環境を汚染するおそれがある。
【0008】第四に、ウレタンフォームの形成には、二
液タイプの原料が使用されるため、専用の吹付機器(先
端混合型の吹付機器)が必要とされる。
【0009】第五に、ウレタンフォームの形成では、厚
み管理が困難である。ウレタンフォームは、吹き付け時
に混合された2種の液剤が被塗物に被着した後に両者が
反応して発泡することによって形成される。このため、
被着量、発泡度合等によって厚みにバラツキが生じやす
くなる。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】これに対し、ウレタン
フォームの代替品として、断熱材としてセメントに発泡
スチロール片を混合した組成物が提案されている(特開
昭59−30755号、特開昭63−11586号公
報、特開2000−16882号公報等)。
【0011】しかしながら、これらの断熱材では、その
熱伝導率が0.05kcal/m・hr・℃を超えるも
のであり、断熱性が不十分である。この点において、ウ
レタンフォームの代替品として用いるには、さらなる改
善が必要とされる。
【0012】従って、本発明の主な目的は、ウレタンフ
ォームに匹敵する断熱性を有するとともに、ウレタンフ
ォームのもつ欠点の少なくとも1つが改善された新規な
材料を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明者は、かかる従来
技術の問題点を解決するために鋭意研究を重ねた結果、
特定組成をもつ材料が上記目的を達成できることを見出
し、本発明を完成するに至った。
【0014】すなわち、本発明は、下記の断熱材組成物
に係るものである。
【0015】1.セメント、骨材、発泡有機樹脂粉粒体
及び有機バインダー(水溶性高分子を除く。)を含む組
成物であって、セメント100重量部に対して発泡有機
樹脂粉粒体4重量部以上40重量部未満、有機バインダ
ー1重量部以上50重量部以下を含有し、かつ、当該発
泡有機樹脂粉粒体の含有量が当該組成物中5重量%を超
えることを特徴とする断熱材組成物。
【0016】2.発泡有機樹脂粉粒体の含有量が、セメ
ント100重量部に対して4重量部以上40重量部未満
であり、かつ、当該組成物中6重量%以上である前記項
1記載の断熱材組成物。
【0017】3.発泡有機樹脂粉粒体のかさ密度が0.
015g/cm3以下である前記項1〜3のいずれかに
記載の断熱材組成物。
【0018】4.発泡有機樹脂粉粒体が発泡スチロール
粉粒体である前記項1〜3のいずれかに記載の断熱材組
成物。
【0019】5.発泡有機樹脂粉粒体が、難燃処理され
たものである前記項1〜4のいずれかに記載の断熱材組
成物。
【0020】6.さらに水溶性高分子を含む前記項1〜
5のいずれかに記載の断熱材組成物。
【0021】7.前記項1〜6のいずれかに記載の断熱
材組成物によって形成された断熱層。
【0022】8.熱伝導率が0.045kcal/m・
hr・℃以下である前記項7記載の断熱層。
【0023】9.ISO 5660に規定される発熱性
試験において、加熱強度50kW/m2及び加熱時間5
分の条件下での総発熱量が8MJ/m2以下である前記
項7又は8に記載の断熱層。
【0024】10.ISO 5660に規定される発熱
性試験において、加熱強度50kW/m2及び加熱時間
10分の条件下での総発熱量が8MJ/m2以下である
前記項7又は8に記載の断熱層。
【0025】11.骨材が、無機質軽量骨材である前記
項1記載の組成物。
【0026】12.骨材が、パーライト、膨張頁岩、膨
張バーミキュライト、軽石及びシラスバルーンの少なく
とも1種である前記項1記載の組成物。
【0027】
【発明の実施の形態】1.断熱材組成物 本発明の断熱材組成物は、セメント、骨材、発泡有機樹
脂粉粒体及び有機バインダー(水溶性高分子を除く。)
を含む組成物であって、セメント100重量部に対して
発泡有機樹脂粉粒体4重量部以上40重量部未満、有機
バインダー1重量部以上50重量部以下を含有し、か
つ、当該発泡有機樹脂粉粒体の含有量が当該組成物中5
重量%を超えることを特徴とする。
【0028】(1)セメント セメントは特に限定されず、公知のもの又は市販品を使
用できる。例えば、普通ポルトランドセメント、早強ポ
ルトランドセメント、超早強ポルトランドセメント、中
庸熱ポルトランドセメント、耐硫酸塩ポルトランドセメ
ント、白色ポルトランドセメント等のポルトランドセメ
ントのほか、アルミナセメント、超速硬セメント、膨張
セメント、酸性リン酸塩セメント、シリカセメント、高
炉セメント、フライアッシュセメント、キーンスセメン
ト等が挙げられる。これらは1種又は2種以上で使用す
ることができる。これらの中でも、ポルトランドセメン
トが好ましい。より具体的には、普通ポルトランドセメ
ント、早強ポルトランドセメント、超早強ポルトランド
セメント、中庸熱ポルトランドセメント、耐硫酸塩ポル
トランドセメント及び白色ポルトランドセメントの少な
くとも1種が好ましい。
【0029】(2)骨材 骨材は、公知の骨材の中から適宜選択することができ、
限定されない。特に、無機質骨材を好適に用いることが
できる。無機質骨材としては、例えば山砂、川砂、珪砂
等のほか、無機質軽量骨材を用いることができる。これ
らは1種又は2種以上で使用することができる。これら
骨材の中でも、無機質軽量骨材が好ましい。無機質軽量
骨材としては、例えばパーライト、膨張頁岩、膨張バー
ミキュライト、軽石、シラスバルーン等が好ましい。
【0030】骨材の粒度は、所望の断熱性、強度等に応
じて適宜決定することができるが、通常は平均粒径0.
1〜5mm程度の範囲内とすれば良い。
【0031】骨材の含有量は、用いる骨材の種類(密度
等)、所望の断熱性能等に応じて適宜設定することがで
きる。例えば、無機質軽量骨材を用いる場合は、一般的
にはセメント100重量部に対して5〜200重量部程
度、好ましくは10〜100重量部とすれば良い。かか
る範囲内において、特に優れた断熱性、強度等を得るこ
とができる。
【0032】(3)発泡有機樹脂粉粒体 発泡有機樹脂粉粒体は、個々の粉粒体中に気孔を有する
ものであれば良い。発泡有機樹脂粉粒体のかさ密度は、
通常0.08g/cm3以下、好ましくは0.03g/
cm3以下、より好ましくは0.015g/cm3以下、
最も好ましくは0.009g/cm3以下とする。
【0033】発泡有機樹脂粉粒体を構成する発泡有機樹
脂の種類は特に制限されない。例えば、発泡スチロー
ル、発泡フェノール、発泡ポリエチレン、発泡ポリプロ
ピレン、発泡ポリ塩化ビニル等の公知の発泡有機樹脂を
採用することができる。これらは1種又は2種以上で使
用することができる。これらの中でも、特に発泡スチロ
ールが好ましい。
【0034】上記粉粒体の粒子径は、所望の断熱性、発
泡有機樹脂の種類等に応じて適宜設定することができ
る。通常は平均粒径1〜5mm程度とすれば良い。上記
粉粒体としては、発泡有機樹脂を粉砕したものも好適に
用いることができる。例えば、発泡スチロールを破砕す
ることにより得られる粉粒体も使用することができる。
発泡スチロール等の廃棄物を破砕したものも使用するこ
とができ、この場合には廃棄物の有効利用にも貢献でき
る。
【0035】上記粉粒体としては、予め難燃処理を施し
たものも好適に使用することができる。難燃処理として
は、公知の方法を採用することができる。例えば、アル
コキシシラン化合物、珪酸塩化合物、難燃剤を上記粉粒
体にコーティングしたり、吸着させる方法等が挙げられ
る。
【0036】上記アルコキシシラン化合物としては限定
的でなく、例えばテトラメトキシシラン、テトラエトキ
シシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエト
キシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエ
トキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジ
エトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジエチル
ジエトキシシラン等が使用できる。
【0037】また、上記珪酸塩化合物としては、例え
ば、珪酸ナトリウム、珪酸カリウム、珪酸リチウム、珪
酸アンモニウム等のほか、市販の水ガラス等を使用する
こともできる。
【0038】上記難燃剤としては、例えばトリクレジル
ホスフェート、ジフェニルクレジルフォスフェート、ジ
フェニルオクチルフォスフェート、トリ(β−クロロエ
チル)フォスフェート、トリブチルフォスフェート、ト
リ(ジクロロプロピル)フォスフェート、トリフェニル
フォスフェート、トリ(ジブロモプロピル)フォスフェ
ート、クロロフォスフォネート、ブロモフォスフォネー
ト、ジエチル−N, N−ビス(2−ヒドロキシエチル)
アミノメチルフォスフェート、ジ(ポリオキシエチレ
ン)ヒドロキシメチルフォスフォネート等の有機リン系
化合物;塩素化ポリフェニル、塩素化ポリエチレン、塩
化ジフェニル、塩化トリフェニル、五塩化脂肪酸エステ
ル、パークロロペンタシクロデカン、塩素化ナフタレ
ン、テトラクロル無水フタル酸等の塩素化合物;テトラ
ブロモビスフェノールA、デカブロモジフェニルオキサ
イド、ヘキサブロモシクロドデカン、トリブロモフェノ
ール、エチレンビステトラブロモフタルイミド、エチレ
ンビスペンタブロモジフェニル等の臭素化合物:三酸化
アンチモン、五塩化アンチモン等のアンチモン化合物;
三塩化リン、五塩化リン、リン酸アンモニウム、ポリリ
ン酸アンモニウム等のリン化合物;ホウ酸亜鉛、ホウ酸
ナトリウム、水酸化アルミニウム等の無機質化合物等が
挙げられる。
【0039】上記のアルコキシシラン化合物、珪酸塩化
合物、難燃剤等(これらを「難燃処理剤」と総称する)
は、1種又は2種以上で使用することができる。
【0040】難燃処理剤は、必要に応じて水又はその他
の適当な溶媒に溶解又は分散させ、その溶液又は分散液
を上記粉粒体に付与しても良い。上記溶液又は分散液に
アクリル系樹脂等のバインダーを適宜配合することもで
きる。上記溶液又は分散液を付与した後は、乾燥又は必
要により熱処理すれば良い。難燃処理剤の付与量は、所
望の難燃性、上記粉粒体の種類等に応じて適宜決定する
ことができる。
【0041】発泡有機樹脂粉粒体の含有量は、セメント
100重量部に対して通常4重量部以上40重量部未満
(好ましくは5重量部以上35重量部以下)とし、か
つ、本発明組成物中における含有量が5重量%を超える
量(好ましくは6重量%以上)とする。かかる範囲内に
規定することにより、より優れた断熱性とともに所定の
強度を維持することが可能となる。
【0042】(4)有機バインダー 有機バインダー(水溶性高分子を除く。)は、公知の樹
脂類、ゴム類等を含むもの用いることができる。例え
ば、樹脂類としてはアクリル樹脂、酢酸ビニル樹脂、プ
ロピオン酸ビニル、ベオバ、アクリル酢酸ビニル樹脂、
エチレン酢酸ビニル樹脂、塩化ビニル樹脂、エポキシ樹
脂等が挙げられる。ゴム類としては、例えばクロロプレ
ンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、アクリロニトリル
−ブタジエンゴム、ブタジエンゴム等が挙げられる。こ
れらは1種又は2種以上で使用することができる。これ
らの中でも、アクリル樹脂、酢酸ビニル樹脂、アクリル
酢酸ビニル樹脂等が好ましい。
【0043】また、上記バインダーはいずれの形態でも
使用でき、例えば粉末状、エマルション等の状態で用い
ることができる。このような形態はバインダーは公知の
もの又は市販品を使用することができる。
【0044】有機バインダーの含有量は、セメント10
0重量部に対して通常1〜50重量部程度、好ましくは
2〜30重量部とする。上記含有量が1重量部未満の場
合には、十分な強度が得られなくなる。50重量部を超
える場合は、所望の断熱性等が得られなくなるおそれが
ある。
【0045】(5)その他の添加材 本発明組成物では、上記の必須成分のほか、必要に応じ
て界面活性剤、難燃剤、減水剤、消泡剤、造膜助剤等の
各種の添加材を配合することができる。特に、次に掲げ
るような添加材を本発明組成物中に適宜添加することが
できる。
【0046】 本発明組成物では、必要に応じて、さ
らに針状粒子からなる無機化合物粉末を含んでいても良
い。かかる粉末を含有させることにより、いっそう高い
強度等を付与することができる。上記粉末としては、例
えば針状炭酸カルシウムを好適に用いることができる。
上記粉末の含有量は限定的ではないが、セメント100
重量部に対して通常1〜20重量部程度とすれば良い。
【0047】 また、必要に応じて、水溶性高分子及
び粘土鉱物粉粒体の少なくとも1種を含有させても良
い。これらの成分の含有によって、特に本発明組成物の
均一化を促進することができる。例えば、本発明組成物
をポンプ圧送する場合には、ポンプ圧送の効率をより高
めることができる。また、施工後の乾燥性を改善するこ
とも可能である。従って、本発明組成物では、吹き付け
により施工する場合には、水溶性高分子を含むことが望
ましい。
【0048】水溶性高分子としては、例えばポリビニル
アルコール、ポリ(メタ)アクリル酸、ポリアルキレン
オキサイド、バイオガム、ガラクトマンナン誘導体、ア
ルギン酸及びその誘導体、ゼラチン、カゼイン及びアル
ブメンならびにこれらの誘導体、セルロース誘導体等が
挙げられる。水溶性高分子は、高粘度品がより好まし
く、具体的にはその水溶性高分子の1%水溶液の粘度
(B型粘度計を用いて20℃で測定した値を示す。以下
同じ。)が通常8000mPa・s以上、好ましくは1
0000mPa・s以上、より好ましくは12000m
Pa・s以上となるような水溶性高分子を使用すること
が好ましい。
【0049】粘土鉱物粉粒体としては、例えばアロフェ
ン、ヒシンゲル石、パイロフィライト、タルク、ウン
モ、モンモリロン石、バーミキュル石、リョクデイ石、
カオリン、パリゴルスカイト等が挙げられる。これらは
1種又は2種以上で使用することができる。これらの中
でも、セルロース誘導体、モンモリロン石等を好適に用
いることができる。
【0050】水溶性高分子及び粘土鉱物粉粒体の少なく
とも1種の含有量は、最終製品の用途等に応じて適宜設
定すれば良いが、セメント100重量部に対して通常1
〜30重量部程度、好ましくは2〜15重量部とすれば
良い。
【0051】 本発明組成物では、塗膜の硬化の促進
等のために硬化促進剤が含まれていても良い。硬化促進
剤としては、例えばアルミン酸リチウム、アルミン酸ナ
トリウム、アルミン酸カリウム等のアルカリ金属アルミ
ン酸塩、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウ
ム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等のアルカ
リ金属炭酸塩、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水
酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物、硫酸ナトリウ
ム、硫酸カリウム、硫酸マグネシウム、硫酸アルミニウ
ム等の硫酸塩のほか、消石灰、石膏、カルシウムアルミ
ネート等が挙げられる。
【0052】硬化促進剤の含有量は、最終製品の用途等
に応じて適宜設定すれば良いが、セメント100重量部
に対して通常1〜30重量部程度、好ましくは2〜20
重量部とすれば良い。
【0053】 また、本発明組成物中に減水剤が配合
されていても良い。減水剤としては公知のもの又は市販
品が適用できる。例えば、芳香族スルホン酸系減水剤、
ポリカルボン酸系減水剤、リグニンスルホン系減水剤、
メラミン系減水剤等が挙げられる。
【0054】減水剤の含有量は、最終製品の用途等に応
じて適宜設定すれば良いが、セメント100重量部に対
して通常0.05〜5重量部程度、好ましくは0.1〜
4重量部とすれば良い。
【0055】本発明組成物は、これらの成分を混合機、
ニーダー等によって均一に混合することによって製造す
ることができる。この場合、必要に応じて水を配合する
ことができる。水の配合量は、セメント100重量部に
対して通常100〜1500重量部程度となるようにす
れば良い。
【0056】本発明組成物は、断熱性の付与が必要とさ
れる部位に好適に用いることができる。上記のような部
位としては、例えば建築構造物の壁面、屋根(室内側)
等に適用することができる。これらの部位に、吹き付
け、塗付等の公知の施工方法によって本発明組成物を被
着させ、被着層を乾燥すれば良い。これによって断熱層
を形成することができる。特に、本発明組成物は、吹付
用として好適に用いることができる。吹き付けにより施
工する場合は、例えばスネーク式圧送ポンプ等で本発明
組成物をポンプ圧送し、吹き付けガンを通じて本発明組
成物を各部位に被着させれば良い。
【0057】2.断熱層 本発明は、本発明組成物によって形成された断熱層も包
含する。すなわち、上記のように本発明組成物のスラリ
ーを吹き付け等により形成した被着層を乾燥させること
により本発明断熱層を得ることができる。
【0058】本発明断熱層は、その熱伝導率が通常0.
05kcal/m・hr・℃未満、好ましくは0.00
45kcal/m・hr・℃以下、より好ましくは0.
0040kcal/m・hr・℃以下である。
【0059】また、本発明断熱層は、ISO5660に
規定される発熱性試験において、加熱強度50kW/m
2及び加熱時間5分の条件下での総発熱量が8MJ/m2
以下であることが望ましい。特に、本発明断熱層は、I
SO 5660に規定される発熱性試験において、加熱
強度50kW/m2及び加熱時間10分の条件下での総
発熱量が8MJ/m2以下であることがより望ましい。
すなわち、本発明断熱層は、平成12年建設省告示第1
402号の難燃材料としての性能、さらには平成12年
建設省告示第1401号の準不燃材料としての性能を満
足できることが望ましい。
【0060】また、本発明断熱層の厚みは、所望の断熱
性、適用箇所等によって適宜設定すれば良いが、通常は
10〜50mm程度とすれば良い。
【0061】本発明断熱層の比重は、所望の断熱性等に
よって適宜設定できるが、通常は0.3g/cm3
下、好ましくは0.2g/cm3以下、より好ましくは
0.1g/cm3以下することが望ましい。断熱層の比
重は、例えば発泡有機樹脂粉粒体の粒径、含有量等によ
って制御することができる。
【0062】
【発明の効果】本発明組成物によれば、ウレタンフォー
ムに匹敵する断熱性を有する断熱層が得られる。その一
方で、この断熱層は、ウレタンフォームのように爆燃を
起こしたり、有害な煙又はガスを発生しない。その結果
として、総合的にはウレタンフォームにまさる断熱層を
提供することができる。
【0063】また、本発明組成物によると、平成12年
建設省告示第1402号の難燃材料としての性能、さら
には平成12年建設省告示第1401号の準不燃材料と
しての性能を満足する断熱層を提供することも可能であ
る。
【0064】さらに、本発明では、上記のような効果に
加えて、ポリウレタンフォームとの比較において以下に
示すような効果のいずれかを得ることができる。 ・経時的な断熱性能の低下を回避することができる。 ・施工時における有害性物質の排出を防止ないしは低減
することができ、作業環境の改善に貢献できる。 ・ウレタンフォームの形成において必要とされた先端混
合型の吹付機器が不要であり、一般の吹付機器を用いる
ことができる。特に、水溶性高分子を配合する場合に
は、ポンプ圧送をより効率的に行うことができ、いっそ
う効果的に吹き付け施工を実施することができる。 ・厚み管理が比較的容易となる。
【0065】以上のような特長をもつ本発明組成物又は
本発明断熱層は、ポリウレタンフォームがこれまで使用
されてきた用途はもとより、各種の建材、防火被覆材、
吸音材、結露防止材等の用途に好適に用いられる。
【0066】
【実施例】以下に実施例及び比較例を示し、本発明の特
徴を一層明確にする。但し、本発明の範囲は、実施例の
範囲に限定されるものではない。
【0067】なお、本実施例における熱伝導率の測定、
発熱性試験及び溶接火玉試験は、次に示す方法によって
それぞれ実施した。 (1)熱伝導率 熱伝導率計「Kemthrm QTM−D3」(京都電
子工業製)を用いて測定した。 (2)発熱性試験 ISO 5660に規定されるコーンカロリーメーター
を用いて実施した。コーンカロリーメーターとしては
「CONE2A」(アトラス製)を用いた。なお、加熱
強度は50kW/m2とした。また、断熱層の厚みは3
0mmとした。この評価は、以下のとおりである。
【0068】◎:加熱時間10分での最高発熱温度が2
00kW/m2を超えず、総発熱量が8MJ/m2以下の
もの ○:加熱時間5分での最高発熱温度が200kW/m2
を超えず、総発熱量が8MJ/m2以下のもの △:加熱時間5分での最高発熱温度が200kW/m2
を超えず、総発熱量が8MJ/m2を超えるもの ×:加熱時間5分での最高発熱温度が200kW/m2
以上であり、総発熱量が8MJ/m2を超えるもの (3)溶接火玉試験 試験体を水平に置き、試験体表面から高さ250mmの
位置で、溶接機(BP交流アーク溶接機)を用いて1分
間連続して溶接を行った。この評価は、以下のとおりで
ある。
【0069】 ○:試験体が爆燃を起こさなかったもの ×:試験体が爆燃したもの 実施例1〜3及び比較例1〜3 表1に示す配合で原料を均一に混合し、各組成物(配合
例1〜5)をそれぞれ調製した。表1に示す各原料(水
を除く。)の配合量は、固形分量を示す。
【0070】
【表1】
【0071】なお、表1に示す各原料は、次に示すもの
をそれぞれ使用した。 (1)セメント:普通ポルトランドセメント (2)発泡有機樹脂粉粒体1:再生発泡スチロール破砕
品(平均粒径約3mm、かさ密度0.008g/c
3) (3)発泡有機樹脂粉粒体2:再生発泡スチロール破砕
品(平均粒径約3mm、かさ密度0.011g/c
3) (4)発泡有機樹脂粉粒体3:再生発泡スチロール破砕
品(平均粒径約3mm、かさ密度0.02g/cm3) (5)発泡有機樹脂粉粒体4:発泡有機樹脂粉粒体2の
100重量部に対して珪酸リチウム溶液とアクリルスチ
レンエマルションとの混合物(珪酸リチウム溶液(固形
分23重量%):アクリルスチレンエマルション(固形
分50重量%)=9:1(重量比))60重量部を添加
混合した後、50℃で24時間かけて乾燥したもの (6)有機バインダー:酢酸ビニル・アクリル酸エステ
ル共重合エマルション(固形分50重量%) (7)水溶性高分子:メチルセルロース(1%水溶液の
粘度が15000mPa・s) (8)骨材:シラスバルーン(平均粒径200μm) (9)硬化促進剤:石膏 次いで、各配合例の組成物を基材(石膏ボード(厚さ1
2.5mm))に吹き付け、乾燥することにより断熱層
(厚さ30mm)を得た。これを基材ごと切り出して9
9mm×99mm×42.5mmのサンプルを試験体と
した。得られた試験体について上記の方法で各試験を実
施した。その結果を表2に示す。表2には、断熱層の見
掛け密度を併せて示す。また、表2には、比較例3とし
てウレタンフォームの物性を示す。
【0072】
【表2】
【0073】表2の結果から明らかなように、本発明組
成物による断熱層は、熱伝導率が0.05kcal/m
・hr・℃よりも低く、しかも発熱性試験及び溶接火玉
試験に合格していることから、総合的にウレタンフォー
ムと同等以上の性能が得られることがわかる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 高橋 晃一郎 東京都清瀬市下清戸4丁目640番地 株式 会社大林組技術研究所内 (72)発明者 軽賀 英人 大阪府茨木市清水1丁目25番10号 エスケ ー化研株式会社研究所内 Fターム(参考) 4G012 PA04 PA06 PA07 PA08 PA23 PB29 PB31 PB36 PB39 PB40 PC01 PC08 PC11 PC15

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】セメント、骨材、発泡有機樹脂粉粒体及び
    有機バインダー(水溶性高分子を除く。)を含む組成物
    であって、セメント100重量部に対して発泡有機樹脂
    粉粒体4重量部以上40重量部未満、有機バインダー1
    重量部以上50重量部以下を含有し、かつ、当該発泡有
    機樹脂粉粒体の含有量が当該組成物中5重量%を超える
    ことを特徴とする断熱材組成物。
  2. 【請求項2】発泡有機樹脂粉粒体の含有量が、セメント
    100重量部に対して4重量部以上40重量部未満であ
    り、かつ、当該組成物中6重量%以上である請求項1記
    載の断熱材組成物。
  3. 【請求項3】発泡有機樹脂粉粒体のかさ密度が0.01
    5g/cm3以下である請求項1〜3のいずれかに記載
    の断熱材組成物。
  4. 【請求項4】発泡有機樹脂粉粒体が発泡スチロール粉粒
    体である請求項1〜3のいずれかに記載の断熱材組成
    物。
  5. 【請求項5】発泡有機樹脂粉粒体が、難燃処理されたも
    のである請求項1〜4のいずれかに記載の断熱材組成
    物。
  6. 【請求項6】さらに水溶性高分子を含む請求項1〜5の
    いずれかに記載の断熱材組成物。
  7. 【請求項7】請求項1〜6のいずれかに記載の断熱材組
    成物によって形成された断熱層。
  8. 【請求項8】熱伝導率が0.045kcal/m・hr
    ・℃以下である請求項7記載の断熱層。
  9. 【請求項9】ISO 5660に規定される発熱性試験
    において、加熱強度50kW/m2及び加熱時間5分の
    条件下での総発熱量が8MJ/m2以下である請求項7
    又は8に記載の断熱層。
  10. 【請求項10】ISO 5660に規定される発熱性試
    験において、加熱強度50kW/m2及び加熱時間10
    分の条件下での総発熱量が8MJ/m2以下である請求
    項7又は8に記載の断熱層。
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