JPH0912379A - ポンプ圧送性に優れる軽量不燃断熱材組成物及びその施工方法並びに軽量不燃断熱材層 - Google Patents

ポンプ圧送性に優れる軽量不燃断熱材組成物及びその施工方法並びに軽量不燃断熱材層

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JPH0912379A
JPH0912379A JP18616195A JP18616195A JPH0912379A JP H0912379 A JPH0912379 A JP H0912379A JP 18616195 A JP18616195 A JP 18616195A JP 18616195 A JP18616195 A JP 18616195A JP H0912379 A JPH0912379 A JP H0912379A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】建築物及び土木構築物表面に軽量で不燃性の断
熱層を形成する組成物を得る。 【構成】水硬性セメント、かさ比重0.05〜0.1
5、平均粒径50〜1000μの無機軽量骨材、メチル
セルロースとエチルヒドロキシエチルセルロースが2
0:80〜80:20の比率の粘性調整剤、パルプ、合
成樹脂エマルションを含有する。 【効果】加水して混練しても、軽量骨材が破砕し難く、
ポンプ圧送してもその比重が製造時の混練物とほぼ同様
で変化なく、吹付けにより厚付けできる。さらに形成さ
れた断熱層は不燃性を有する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は土木、建築分野におい
て、断熱性を付与すべき部位に用いて断熱層を形成す
る、軽量不燃断熱材組成物およびその施工方法に係るも
のである。
【0002】
【従来技術】従来より一般の断熱材はその断熱効果を発
揮させるため、断熱材内部にできるだけ多くの気泡構造
を形成することが要求される。特に現場で吹付け施工を
行う断熱材料の場合、このような内部気泡構造の形成
は、ウレタンフォームや一部の発泡モルタルのように、
断熱材の形成時における発泡反応による方法、または、
パーライトやバーミキュライト等の無機軽量粉粒体を混
入した軽量モルタルのように、気泡構造を有する軽量粉
粒体をセメント等の水硬性母体形成物質に混合、施工す
る方法で形成されていた。しかしながら、発泡反応を利
用する場合は、その反応の安定性が施工環境の影響で大
きく左右されるという難点があり、一方、軽量粉粒体を
大量に母体形成物質と混合する方法の場合は、一般にこ
れら軽量粉粒体はそれ自身強度が小さいため、混合中の
力によって破砕してしまう場合があったり、或いはポン
プ圧送して吹付け施工する時にはその時かかるポンプ圧
力やホース移送中でのずり応力、吹付け圧力等によって
軽量粉粒体がつぶれて、結果として最終製品のかさ比重
が上昇し、断熱性の低下と比重の上昇を招いてしまう原
因になっていた。このような傾向は、断熱材の軽量化を
より高めようとして軽量粉粒体を増量するほどに顕著に
表れる。これに対して、比較的弾力性に富み破損しにく
い発泡ポリスチレン等の有機系発泡軽量粉粒体や、有機
系超微粒中空発泡体、或いは無機系では強度上から比較
的かさ比重の大きい中空体を使用したり、更には母体形
成物質に合成樹脂やその分散体を加え断熱材全体の強度
を高めたりする方法が行われてきた。一方、断熱材には
こうした軽量性の要求の他に、防火防災上から不燃性能
の付与も大きく望まれている。断熱材の施工を行う建
築、土木現場においては、断熱材の施工時に他の工事を
同時並行的に行うのが常であり、断熱材施工途中や施工
後に、金属の溶接等の原因により火花が生じる場合もあ
り得る。このような場合に断熱材が可燃性であると火災
事故につながることになる。また、自己消火性の断熱材
のように、火災の発生には至らなくとも、一次的に着火
したり、温度上昇により有害ガスを発生するものも使用
されているのが現状である。このような可燃性、もしく
は自己消火性の断熱材は、その組成中に有機可燃性成分
を比較的多量含有している場合が多く、このような有機
可燃性成分を削減することが火災や有害ガスの発生を防
止することにつながる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、軽量断
熱性の保持の目的として導入される前述のような発泡ポ
リスチレン破砕粒等の有機系発泡軽量粉粒体や、断熱材
全体の強度を向上させるために使用する合成樹脂やその
分散体は可燃材料であり、防火防災上からは極力削減す
べきものであるが、これらを削減することは施工時にお
ける軽量断熱性の確保の問題を解決できないことにな
る。したがって、本発明が解決しようとする課題の第一
は、このような有機可燃性成分を極力削減することで、
不燃性を保持する無機質系の軽量断熱材形成材料を得る
ことである。さらに、建築、土木現場においては、断熱
材形成材料を現場においてポンプ圧送することが常であ
るが、軽量粉粒体を多量に含有する断熱材形成材料の場
合には、圧送時の圧力によって前述同様に軽量粉粒体が
破砕する現象が生じると、圧送ホース先端のノズルから
被塗布面に吹付けられた材料は、非常に粘度の低い状態
となり垂れを生じてしまう為、一回で確保できる施工塗
布厚みが限定されてしまうという問題がある。したがっ
て、本発明が解決しようとする課題の第二は、水硬性母
体形成物質にかさ比重の小さい無機質軽量粉粒体を多量
に混合するタイプの断熱材形成材料でありながら、ポン
プ圧送、吹付けしても含有している軽量粉粒体が破砕し
難く、吹付け時の材料の粘度変化が少なく、垂れにくい
厚吹き可能な軽量断熱層を得ることである。
【0004】
【課題を解決するための手段】このような問題点を解決
するために、本発明者らは鋭意検討の結果、有機可燃性
成分を削減するために、軽量粉粒体に無機発泡軽量体を
使用し、さらに特定の成分を組み合わせることによっ
て、混合時もポンプ圧送時にも該無機軽量発泡体が破砕
されることなく、また水の分離による粘度低下の問題を
解決できることを見出した。すなわち本発明は、 1.水硬性セメントおよび/または石膏 100重量
部、かさ比重0.05〜0.15、平均粒径50〜10
00μmの無機軽量骨材 20〜200重量部、メチル
セルロースとエチルヒドロキシエチルセルロースが、2
0:80〜80:20の比率で配合された粘性調整剤
0.5〜7重量部、パルプ 2〜20重量部、合成樹脂
エマルションを固形分換算で 2〜20重量部を含有す
ることを特徴とするポンプ圧送性に優れる軽量不燃断熱
材組成物。 2.1.に記載の組成物に、さらに水を加えて混練、続
いてポンプ圧送し、断熱性を付与する部位に吹付け、乾
燥して、かさ比重0.15〜0.35の断熱層を形成す
ることを特徴とするポンプ圧送性に優れる軽量不燃断熱
材組成物の施工方法。 3.さらに水を加えて、先端角度30°、重量150g
の円錐形粘度計が、40〜70mm沈下する粘度の混練
物に調整したことを特徴とする1.に記載のポンプ圧送
性に優れる軽量不燃断熱材組成物。 4.3.に記載の組成物をポンプ圧送し、断熱性を付与
する部位に吹付け、乾燥して、かさ比重0.15〜0.
35の断熱層を形成することを特徴とするポンプ圧送性
に優れる軽量不燃断熱材組成物の施工方法。 5.2.または4.の方法により施工されたポンプ圧送
性に優れる軽量不燃断熱材層を含むものである。 6.無機軽量骨材が、シラスバルーンであることを特徴
とする1.から5.の何れかに記載のポンプ圧送性に優
れる軽量不燃断熱材組成物及びその施工方法並びに軽量
不燃断熱材層 本発明に用いられる水硬性セメントおよび/または石膏
とは、ポルトランドセメント、アルミナセメント、石灰
混合セメント、高炉セメント、シリカセメント、フライ
アッシュセメント、メーソンリーセメント、高硫酸塩ス
ラグセメント、石膏等水和反応によって硬化する材料が
挙げられる。無機軽量骨材としては、かさ比重は0.0
5〜0.15の発泡パーライト、シラスバルーン、アル
ミノシリケート発泡体等であり、高軽量化、高断熱化と
いう本発明の目的からは、0.05〜0.10がより好
ましい。これら軽量骨材の平均粒径は50〜1000μ
mである。かさ比重が0.05より小さいと吹付けた材
料が垂れやすく厚付けが困難である。また、形成された
断熱材層にクラックが生じやすくなる。0.15より大
きいと取り扱い時の潰れに対しては強いが、混練時点で
大幅な軽量化を図ることが困難となり、高断熱材料の形
成という本発明からは外れることになる。この無機軽量
骨材は、セメント100重量部に対して、20〜200
重量部、好ましくは軽量化、強度等の目的から50〜1
50重量部である。20重量部より少ないと断熱効果、
軽量効果ともに不充分なものになってしまう。また、2
00重量部より多いと形成される断熱材の強度が極端に
弱いものとなってしまう。次に粘性調整剤としてのメチ
ルセルロースとエチルヒドロキシエチルセルロースは、
一般に使用されているものであれば特に限定はされない
が、両者の重量比率は20:80〜80:20でなけれ
ばならない。この範囲を超えてメチルセルロースが多く
なると、前記無機軽量骨材が破砕し、この範囲を超えて
エチルヒドロキシエチルセルロースが多くなると、ポン
プ圧送時に粘度の低下を生じたり、形成された断熱材全
体の強度が低下することになる。これら両者からなる粘
性調整剤は、セメント100重量部に対して、0.5〜
7重量部、好ましくは1〜5重量部である。このとき
0.5重量部より少ないと、混練時に無機軽量粉粒体が
潰れやすくなり、また、ポンプ圧送時に水分離が生じ易
く、適切なポンプ圧送が不可能になるし、7重量部より
多いと、混練材料の粘稠性が強くなり、圧送性が阻害さ
れる傾向がでてくる。また、これらが有機可燃性成分ゆ
え、形成された断熱材の不燃性を損なうことになる。次
にパルプは、植物原料を機械的または化学的に処理して
そのセルロース繊維を取り出したものであり、通常その
原料として木材が最も多く使われているが、特に出発原
料の種類にこだわるものではない。また再生パルプや、
古紙を再生したものや混入したものでも採用できる。ま
た水に分散された状態のものや乾燥されたもの何れの使
い分けることができるが、例えば粉体状としてドライミ
ックスして使う場合には、予め乾燥されたもので且つそ
の繊維長は3mm程度以下が均一に他の粉粒体とドライ分
散させる意味で好ましく、特に目開き1mmのメッシュ
をパスしたものが好ましい。また水分散されたパルプや
湿ったパルプを使用する場合は、それを混練水と一緒に
分散することで使うことができる。その点では先程の繊
維長に限定されるものではない。パルプは、セメント1
00重量部に対して、2〜20重量部、好ましくは2〜
10重量部である。2重量部より少ないとポンプ圧送時
に材料が潰れてかさ比重が高くなり、また吹付けた場合
に粘度の低下が大きく垂れ易くなり、一定の厚みを吹付
けるのが困難となる。また20重量部より多いとそれら
の問題が解消される反面、形成された断熱材の不燃性を
確保することができない。次に合成樹脂エマルション
は、アクリル酸エステル系、バーサチック酸エステル
系、スチレン系、塩化ビニル系、酢酸ビニル系、SBR
系等の水分散タイプや粉末タイプが使用可能である。特
に粉体一材にして、現場で水と混合する形態の方が現場
での作業効率が良いことから、再乳化型粉末タイプが好
ましい。合成樹脂エマルションは、セメント100重量
部に対して、固形分換算で2〜20重量部、好ましくは
4〜15重量部である。2重量部より少ないと形成され
る断熱材の基材への密着性が不充分となり、20重量部
より多いと形成された断熱材の不燃性を阻害することに
なる。実際の断熱材の施工の際には、以上の各成分にさ
らに水を配合して一旦混練した後、その混練物をポンプ
で圧送して隙間に充填したり、先端に吹付けノズルをセ
ットして圧縮空気と共に塗布対象部位に吹付けるもので
ある。水の配合比率は、上記各成分の比率によって変動
するが、望ましくは混練された物が、先端角度30°、
重量150gの円錐形粘度計を用いて、水平に均した混
練物表面に先端を合わせそのまま自然落下させた時にそ
の沈降距離が40〜70mmになるような粘度になって
いれば良い。このような混練物をポンプ圧送し、断熱性
を付与する部位に吹付け乾燥養生させると、かさ比重で
0.15〜0.35、熱伝導率が0.10kcal/m hr ℃
以下の軽量で且つ優れた断熱材層を形成することができ
る。さらに、こうして形成された軽量断熱材層は、例え
ば吹付け材の防火性能を評価する基準として基材同等不
燃に規定された試験方法に準じて、表面加熱試験を行っ
た場合に、5mm厚みで試験体排気温度、及び発煙係数が
不燃性を満たしており、防火性能を損なうことのないこ
とが確認できた。
【0005】
【作用】本発明の組成物において、無機の軽量粉粒体を
多量に含みながら、混練、ポンプ圧送が可能で且つ粘性
及び潰れによるかさ比重の変化を最小限に抑えられると
いう効果は、メチルセルロースとエチルヒドロキシエチ
ルセルロースの組み合わせから生じる特定の粘性、およ
び、パルプの持つ保水性とパルプの繊維独特の形状によ
る絡みつき等の作用によるものと思われる。また、その
ような作用の結果、無機軽量粉粒体を従来になく大量に
配合することが可能となり、セメントとあいまって有機
可燃性成分を含みながらも、不燃性という防火性能を保
持しつつ尚かつ吹付け施工後でも軽量性を維持すること
で高断熱性能を付与することができたものと思われる。
【0006】
【実施例】
(実施例1)ポルトランドセメント10kgに対して、
かさ比重0.13、平均粒径850μmの発泡パーライ
トを15kg(容積115リットル)、2%溶解粘度1
5000mPa・sのメチルセルロース粉末を0.15
kg、2%溶解粘度13000mPa・sのエチルヒド
ロキシエチルセルロース粉末を0.08kg、繊維長3
mm以下にされた古紙再生パルプ繊維1.5kgをV型
ブレンダーに投入して5分間混合してほぼ均一の混合軽
量粉体を得た。この粉体をパン型モルタルミキサーに入
れ、これにスチレンブタジエン樹脂エマルション(固形
分濃度45%)0.6kg(固形分換算で0.27k
g)と水35.0kgを投入しながら3分間混練したと
ころ、円錐粘度60mmの軽量な混練物が得られた。こ
の材料について、その一部を取り、建築塗装用のカップ
式手吹きガン(チップ口径10mm、エア圧力490k
Pa)で垂直壁面に吹付け、さらに吹付けられた材料を
採取して、その比重を測定したところ0.69であっ
た。一方、上記のミキサー混練物をスネーク式圧送ポン
プのホッパーに投入、内径25mmφ、長さ30mのホ
ースで圧送して、先端でエアを混合して壁面に吹付けた
ところ35mmの厚みの吹付けが可能であった。また、
その圧送吹付けされた材料を採取して、その比重を測定
したところ、0.72の値を示し、ポンプ圧送しない材
料と比較しても殆ど同レベルの比重のものが施工されて
いることを確認した。また、こうして壁面に吹付けられ
た混練材を28日間乾燥養生した後、形成された断熱材
層を切り取り、50℃の乾燥機で48時間放置後の乾燥
比重を測定したところ0.34であった。また、25℃
におけるその熱伝導率を測定したところ、0.079kc
al/m hr ℃であった。また、同混練物から形成された断
熱層の防火性能を確認するために、220×220×1
0mmのパーライト板に、同混練物を乾燥膜厚で5mm
の厚みになるように吹付け、28日間乾燥養生して試験
板を作製した。この試験板を使用し、JIS A 1321「建築
物の内装材料及び工法の難燃性試験方法 3.表面試
験」に従って加熱試験を行った。その結果、10分間の
加熱の間に、排気温度曲線は標準温度曲線を超えること
がなく、単位面積あたりの発煙係数は30以下となり、
加熱終了後30秒以上残炎がなかった。すなわち基材同
等不燃の性能が確認された。 (試験方法) ・混練物の円錐粘度測定 配合例に基づき、合成樹脂エマルション及び水以外を、
V型ブレンダーに投入して5分間混合してほぼ均一の混
合軽量粉体を得、この粉体をパン型モルタルミキサーに
入れ、これに合成樹脂エマルションと水を投入しながら
3分間混練した混練物について、先端角度30°、重量
150gの円錐形粘度計を用いて、水平に均した混練物
表面に先端を合わせそのまま自然落下させた時にその沈
降距離をmm単位にて測定する。 ・吹付け混練物の比重(カップ式手吹きガン吹付け後) カップ式手吹きガンで、壁面に吹付けられた材料を採取
してその比重を測定する。 ・吹付け混練物の比重(ポンプ圧送吹付け後) 混練物をスネーク式圧送ポンプのホッパーに投入、内径
25mmφ、長さ30mのホースで圧送して、先端でエ
アを混合して壁面に吹付けた後、壁面に吹付けられた材
料を採取してその比重を測定する。 ・吹付け可能厚み 混練物を前述のスネーク式ポンプ(チップ口径10m
m、エア圧力490kPa)で圧送して垂直壁面に連続
的に吹付け、混練物にタレが生じない範囲での吹付け厚
みを測定する。 ・乾燥比重 ポンプ圧送吹付け後、壁面に吹付けられた混練材を28
日間乾燥養生した後、形成された断熱材層を切り取り、
50℃の乾燥機で48時間放置後の乾燥比重を測定し
た。 ・熱伝導率 25℃におけるその熱伝導率を測定した。(非定常熱線
法 京都電子工業株式会社製QTM−D3使用) ・防火性能試験 混練物から形成された断熱層の防火性能を確認するため
に、220×220×10mmのパーライト板に、同混
練物を乾燥膜厚で5mmの厚みになるように吹付け、2
8日間乾燥養生して試験板を作製した。この試験板を使
用し、JIS A 1321「建築物の内装材料及び工法の難燃性
試験方法 3.表面試験」に従って加熱試験を行った。
この際、10分間の加熱の間に、排気温度曲線が標準温
度曲線を超えることがなく、単位面積あたりの発煙係数
が30以下となり、加熱終了後30秒以上残炎がないと
いう基材同等不燃の性能を満たす場合に○、それ以外は
×とした。但し、壁面に形成された断熱材層の乾燥比重
が、0.35より大きい場合は防火性能試験は実施しな
かった。 (実施例2〜実施例6)実施例1と同様に、それぞれ表
2に示した配合に基づいて混練物を製造し、上記試験を
行った。結果を表4に示した。結果から明らかなよう
に、これらの実施例で製造された混練物は、吹付け厚み
が20mm以上と厚吹きが可能であり、ポンプ圧送吹付
け後も、ポンプ圧送しない材料と比較して、殆ど同レベ
ルの比重のものが施工されていることを確認した。ま
た、乾燥比重は何れも、0.35以下という無機系軽量
断熱材としては非常に小さい値、すなわち非常に軽量な
断熱層が形成された。またそれら混練物から形成される
断熱材層は何れも、基材同等不燃の性能を有するもので
あった。 (比較例1)実施例1と同様に、それぞれ表3に示した
配合に基づいて混練物を製造し、上記試験を行った。結
果を表5に示した。パルプの配合が無いため、ポンプ圧
送吹付け後の比重が、ポンプ圧送しない材料と比較して
極端に大きくなり、その結果として熱伝導率が大きくな
ってしまった。また、吹付け可能厚みも7mmにとどま
った。 (比較例2)実施例1と同様に、それぞれ表3に示した
配合に基づいて混練物を製造し、上記試験を行った。結
果を表5に示した。エチルヒドロキシエチルセルロース
の配合が無いため、混練物の製造時において、混練物の
比重が大きくなるため、ポンプ圧送しなかった材料およ
びポンプ圧送した材料共に比重が極端に大きくなり、そ
の結果として熱伝導率が大きくなってしまった。また、
吹付け可能厚みも10mmにとどまった。 (比較例3)実施例1と同様に、それぞれ表3に示した
配合に基づいて混練物を製造し、上記試験を行った。結
果を表5に示した。製造された混練物は非常に軽量であ
ったが、気泡を多量に含んだフォーム状を呈し、ポンプ
で圧送することは不可能であった。 (比較例4)実施例1と同様に、それぞれ表3に示した
配合に基づいて混練物を製造し、上記試験を行った。結
果を表5に示した。かさ比重の大きなパーライトを使用
したため、形成された断熱層の乾燥比重が大きくなって
しまい、熱伝導率が大きくなってしまった。また、吹付
け可能厚みも6mmにとどまった。 (比較例5)実施例1と同様に、それぞれ表3に示した
配合に基づいて混練物を製造し、上記試験を行った。結
果を表5に示した。合成樹脂エマルションを本発明の規
定する以上に配合したため、吹付け可能厚みは30mm
となったが、防火性能は基材同等不燃の基準を満たさな
かった。
【表1】
【表2】
【表3】
【表4】
【表5】
【0007】
【発明の効果】本発明の効果は、本発明組成物中の有機
可燃性成分を極力削減しているので、不燃性を満足する
性能の断熱層を形成することができる点である。さら
に、建築土木現場において、本発明組成物に加水してモ
ルタルミキサーで混練し、ポンプ圧送しても、圧送時の
圧力によって軽量粉粒体が破砕することがなく、圧送ホ
ース先端のノズルから被塗布面に吹付けられた材料は、
数十mmという厚吹きをしても垂れを生じることがな
い。その結果、かさ比重0.15〜0.35の非常に軽
量かつ、非常に断熱性の優れた軽量不燃断熱層を形成す
ることができる点である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C04B 24/38 C04B 24/38 D 28/00 28/00 E04B 1/76 E04B 1/76 E // C04B 103:44 111:40

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】1.水硬性セメントおよび/または石膏
    100重量部、 2.かさ比重0.05〜0.15、平均粒径50〜10
    00μmの無機軽量骨材20〜200重量部、 3.メチルセルロースとエチルヒドロキシエチルセルロ
    ースが、20:80〜80:20の比率で配合された粘
    性調整剤 0.5〜7重量部、 4.パルプ 2〜20重量部、 5.合成樹脂エマルションを固形分換算で 2〜20重
    量部、 を含有することを特徴とするポンプ圧送性に優れる軽量
    不燃断熱材組成物。
  2. 【請求項2】請求項1に記載の組成物に、さらに水を加
    えて混練、続いてポンプ圧送し、断熱性を付与する部位
    に吹付け、乾燥して、かさ比重0.15〜0.35の断
    熱層を形成することを特徴とするポンプ圧送性に優れる
    軽量不燃断熱材組成物の施工方法。
  3. 【請求項3】さらに水を加えて、先端角度30°、重量
    150gの円錐形粘度計が、40〜70mm沈下する粘
    度の混練物に調整したことを特徴とする請求項1に記載
    のポンプ圧送性に優れる軽量不燃断熱材組成物。
  4. 【請求項4】請求項3に記載の組成物をポンプ圧送し、
    断熱性を付与する部位に吹付け、乾燥して、かさ比重
    0.15〜0.35の断熱層を形成することを特徴とす
    るポンプ圧送性に優れる軽量不燃断熱材組成物の施工方
    法。
  5. 【請求項5】請求項2または請求項4の方法により施工
    されたポンプ圧送性に優れる軽量不燃断熱材層
  6. 【請求項6】無機軽量骨材が、シラスバルーンであるこ
    とを特徴とする請求項1から請求項5の何れかに記載の
    ポンプ圧送性に優れる軽量不燃断熱材組成物及びその施
    工方法並びに軽量不燃断熱材層
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