JP2008291644A - 断熱構造 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】建築物の屋外と屋内とを隔てる部材の屋外側に塗膜層を有し、屋内側に断熱材層を有する断熱構造であって、
(1)塗膜層が、赤外線反射率20%以上の塗膜を有しており、
(2)断熱材層が、セメント100重量部、発泡有機樹脂粉粒体4重量部以上、有機バインダー(水溶性高分子を除く)1重量部以上50重量部以下を含有する断熱材組成物から形成されている
ことを特徴とする断熱構造。
【選択図】なし
Description
1.建築物の屋外と屋内とを隔てる部材の屋外側に塗膜層を有し、屋内側に断熱材層を有する断熱構造であって、
(1)塗膜層が、赤外線反射率20%以上の塗膜を有しており、
(2)断熱材層が、セメント、骨材、かさ密度が0.015g/cm3以下である発泡有機樹脂粉粒体、有機バインダー(水溶性高分子を除く)及び水を含む組成物であって、セメント100重量部に対して発泡有機樹脂粉粒体4重量部以上40重量部未満、有機バインダー1重量部以上50重量部以下、水100〜1500重量部を含有し、かつ、発泡有機樹脂粉粒体の含有量が組成物中5重量%を超える断熱材組成物から形成されている
ことを特徴とする断熱構造。
2.セメント100重量部に対して無機質軽量骨材5〜200重量部を含有する、上記項1に記載の断熱構造。
3.発泡有機樹脂粉粒体が発泡スチロール粉粒体である上記項1又は2に記載の断熱構造。
4.発泡有機樹脂粉粒体が難燃処理されたものである上記項1〜3のいずれかに記載の断熱構造。
5.建築物の屋外と屋内とを隔てる部材の熱貫流率が、7W/(m2・K)以上である上記項1〜4のいずれかに記載の断熱構造。
本発明の断熱構造は、建築物の屋外と屋内とを隔てる部材の屋外側に塗膜層を有し、屋内側に断熱材層を有する断熱構造であって、
(1)塗膜層が、赤外線反射率20%以上の塗膜を有しており、
(2)断熱材層が、セメント100重量部、発泡有機樹脂粉粒体4重量部以上、有機バインダー(水溶性高分子を除く)1重量部以上50重量部以下を含有する断熱材組成物から形成されていることを特徴とする。
建築物の屋外と屋内とを隔てる部材(以下「部材」とも言う)としては、建築物の屋外と屋内とを隔てる役割を有するものが該当する。即ち、建築物を構成する部材であって、少なくとも一部が屋外の外気に露出しているものが該当する。このような部材としては、例えば、外壁、屋根等が挙げられる。
1)式1より、部材の熱伝導率及び厚さから熱抵抗を算出する。
2)式2より、部材の熱抵抗及び空気の熱伝達抵抗から熱貫流抵抗を算出する。
3)式3より、熱貫流抵抗から熱貫流率を算出する。
*式1:熱抵抗(m2・K/W)=厚さ(m)/熱伝導率(W/(m・K))
*式2:熱貫流抵抗(m2・K/W)=屋内側空気の熱伝達抵抗(m2・K/W)+部材の熱抵抗(m2・K/W)+屋外側空気の熱伝達抵抗(m2・K/W)
*式3:熱貫流率(W/(m2・K))=1/熱貫流抵抗(m2・K/W)
(但し、屋内側空気の熱伝達抵抗を0.09(m2・K/W)とし、屋外側空気の熱伝達抵抗を0.04(m2・K/W)とする)。
塗膜層は、部材の屋外側に設けられるものであり、赤外線反射率20%以上の塗膜を有する。塗膜の赤外線反射率は40%以上が好ましく、50%以上がより好ましい。赤外線反射率20%以上の塗膜を有することにより、部材と断熱材層の界面付近における温度上昇を抑制でき、断熱材層の密着性低下、脱落等を確実に防止又は抑制できる。本明細書における赤外線反射率は、波長800〜2100nmの光の分光反射率を測定し、その平均値を算出することにより求められる値である。
断熱材層は、部材の屋内側に設けられるものであり、セメント100重量部、発泡有機樹脂粉粒体4重量部以上、有機バインダー(水溶性高分子を除く)1重量部以上50重量部以下を含有する断熱材組成物から形成されている。
セメントは特に限定されず、公知のもの又は市販品を使用できる。例えば、普通ポルトランドセメント、早強ポルトランドセメント、超早強ポルトランドセメント、中庸熱ポルトランドセメント、耐硫酸塩ポルトランドセメント、白色ポルトランドセメント等のポルトランドセメントのほか、アルミナセメント、超速硬セメント、膨張セメント、酸性リン酸塩セメント、シリカセメント、高炉セメント、フライアッシュセメント、キーンスセメント等が挙げられる。これらは1種又は2種以上を混合して使用できる。これらの中でも、ポルトランドセメントが好ましい。より具体的には、普通ポルトランドセメント、早強ポルトランドセメント、超早強ポルトランドセメント、中庸熱ポルトランドセメント、耐硫酸塩ポルトランドセメント及び白色ポルトランドセメントの少なくとも1種が好ましいものとして挙げられる。
発泡有機樹脂粉粒体としては、個々の粉粒体中に気孔を有するものであればよい。発泡有機樹脂粉粒体のかさ密度としては、通常0.08g/cm3以下であり、好ましくは0.03g/cm3以下、より好ましくは0.015g/cm3以下、最も好ましくは0.009g/cm3以下である。
有機バインダー(水溶性高分子を除く)としては、公知の樹脂類、ゴム類等を含むものを使用できる。例えば、樹脂類としては、例えば、アクリル樹脂、酢酸ビニル樹脂、プロピオン酸ビニル、ベオバ、アクリル酢酸ビニル樹脂、エチレン酢酸ビニル樹脂、塩化ビニル樹脂、エポキシ樹脂等が挙げられる。ゴム類としては、例えば、クロロプレンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、ブタジエンゴム等が挙げられる。これらは1種又は2種以上を混合して使用できる。これらの中でも、アクリル樹脂、酢酸ビニル樹脂及びアクリル酢酸ビニル樹脂の少なくとも1種が好ましい。
断熱材組成物には、上記セメント、発泡有機樹脂粉粒体及び有機バインダーに加えて、骨材を配合してもよい。
断熱材組成物には、上記成分のほか、必要に応じて、界面活性剤、難燃剤、減水剤、消泡剤、造膜助剤等の添加剤を配合できる。特に、以下に説明するような添加剤を断熱材組成物に配合できる。
断熱材組成物は、上記のセメント、発泡有機樹脂粉粒体、有機バインダー、必要に応じて骨材及び/又は他の添加剤を混合機、ニーダー等により均一に混合することにより調製できる。この場合には、必要に応じて水を配合してもよい。水の配合量は限定的ではないが、セメント100重量部に対して、通常100〜1500重量部程度とすればよい。
断熱材層は、部材の屋内側に、例えば、前記断熱材組成物を吹き付け、塗布等した後、乾燥させることにより形成できる。部材に軽量モルタル等の湿式無機質塗料を塗布した後、前記断熱材組成物を吹き付け、塗布等してもよい。その他、当該断熱材組成物の成形体を部材の屋内側に設置して形成してもよい。断熱材組成物の成形体を用いる場合には、通常、部材の屋内側に接触させて設けるが、建築物の構造等を考慮して、必要に応じて、空間を介して設けてもよい。
(断熱材層サンプルの作製)
参考例1〜4及び比較参考例1
下記表1に示す配合に従って原料を均一に混合し、4種類の断熱材組成物を調製した。表1に示す各原料(水を除く)の配合量は、固形分量を示す。
・セメント:普通ポルトランドセメント
・有機発泡樹脂粉粒体1:再生発泡スチロール破砕品(平均粒径約3mm、かさ密度0.008g/cm3)
・有機発泡樹脂粉粒体2:再生発泡スチロール破砕品(平均粒径約3mm、かさ密度0.011g/cm3)
・有機発泡樹脂粉粒体3:再生発泡スチロール破砕品(平均粒径約3mm、かさ密度0.02g/cm3)
・有機発泡樹脂粉粒体4:有機発泡樹脂粉粒体2の100重量部に対して珪酸リチウム溶液とアクリルスチレンエマルジョンとの混合物(珪酸リチウム溶液(固形分23重量%):アクリルスチレンエマルジョン(固形分50重量%)=9:1(重量比))60重量部を添加混合後、50℃で24時間かけて乾燥したもの。
・有機バインダー:酢酸ビニル・アクリル酸エステル共重合エマルジョン(固形分50重量%)
・水溶性高分子:メチルセルロース(1%水溶液粘度が15000mPa・s)
・骨材:シラスバルーン(平均粒径200μm)
・硬化促進剤:石膏
参考例1〜4における断熱材組成物を、石膏ボード(厚さ12.5mm)に吹き付け後、乾燥させて4種類の断熱材層(厚さ30mm)を作製した。各断熱材層を99mm×99mm×42.5mmの大きさに切り出して、断熱材層サンプルとした。
(1)熱伝導率
熱伝導率計(商標名「Kemthrm QTM−D3」京都電子工業製)により熱伝導率(W/(m・K))を測定した。
(2)発熱性試験
ISO5660規定のコーンカロリーメーターにより発熱性を測定した。コーンカロリーメーターとしては(商標名「CONE2A」アトラス製)を用いた。
◎:加熱時間10分での最高発熱速度が200kW/m2を超えず、総発熱量が8MJ/m2以下
○:加熱時間5分での最高発熱速度が200kW/m2を超えず、総発熱量が8MJ/m2以下
△:加熱時間5分での最高発熱速度が200kW/m2を超えず、総発熱量が8MJ/m2を超える
×:加熱時間5分での最高発熱速度が200kW/m2以上であり、総発熱量が8MJ/m2を超える
(3)溶接火玉試験
断熱材組成物を上向き(石膏ボードは下向き)にして試験体を水平に置き、試験体表面から高さ250mmの位置で、溶接機(BP交流アーク溶接機)により1分間連続して溶接を行った。溶接火玉試験の評価基準は、以下の通りである。
○:試験体が爆燃を起こさなかった
×:試験体が爆燃した
配合例1〜4で得た断熱材組成物を金属板(厚さ0.6mm、熱貫流率7.7W/(m2・K))の片面に吹き付け、乾燥することにより断熱層(厚さ30mm)を形成した。
・塗料1:非水分散形アクリルポリオール樹脂(Tg:40℃、水酸基価:50KOHmg/g、溶剤:ミネラルスピリット)とその硬化剤(ヘキサメチレンジイソシアネート、NCO含有量12重量%、溶剤:ミネラルスピリット)との合計樹脂固形分100重量部に対して、酸化チタン15重量部、黄色酸化鉄1.3重量部、弁柄2.4重量部、フタロシアニンブルー0.5重量部を含有するグレー色の塗料。赤外線反射率を分光光度計(商標名「UV−3100」島津製作所製)にて測定したところ66%であった。赤外線反射率測定に供した試験板は、アルミ板に黒色塗料(アクリル樹脂の固形分100重量部にカーボンブラックを11重量部含むもの)を乾燥膜厚が60μmとなるように塗布後、塗料1を乾燥膜厚が60μmとなるように塗付して作製したものである。
・塗料2:非水分散形アクリルポリオール樹脂(Tg:40℃、水酸基価:50KOHmg/g、溶剤:ミネラルスピリット)とその硬化剤(ヘキサメチレンジイソシアネート、NCO含有量12重量%、溶剤:ミネラルスピリット)との合計樹脂固形分100重量部に対して、酸化チタン15重量部、黄色酸化鉄0.8重量部、弁柄0.5重量部、カーボンブラック0.7重量部含有するグレー色の塗料。塗料2の赤外線反射率は7%であった。
(4)赤外線ランプ試験
試験体の塗膜層側から200mmの距離に赤外線ランプ(250W)を設置し、赤外線ランプを24時間連続照射した。照射後、断熱材層と金属板との界面の状態を確認した。赤外線ランプ試験の評価基準は、以下の通りである。
○:異常なし
△:わずかに脆化が認められる
×:明らかに脆化が認められる
Claims (5)
- 建築物の屋外と屋内とを隔てる部材の屋外側に塗膜層を有し、屋内側に断熱材層を有する断熱構造であって、
(1)塗膜層が、赤外線反射率20%以上の塗膜を有しており、
(2)断熱材層が、セメント、骨材、かさ密度が0.015g/cm3以下である発泡有機樹脂粉粒体、有機バインダー(水溶性高分子を除く)及び水を含む組成物であって、セメント100重量部に対して発泡有機樹脂粉粒体4重量部以上40重量部未満、有機バインダー1重量部以上50重量部以下、水100〜1500重量部を含有し、かつ、発泡有機樹脂粉粒体の含有量が組成物中5重量%を超える断熱材組成物から形成されている
ことを特徴とする断熱構造。 - セメント100重量部に対して無機質軽量骨材5〜200重量部を含有する、請求項1に記載の断熱構造。
- 発泡有機樹脂粉粒体が発泡スチロール粉粒体である請求項1又は2に記載の断熱構造。
- 発泡有機樹脂粉粒体が難燃処理されたものである請求項1〜3のいずれかに記載の断熱構造。
- 建築物の屋外と屋内とを隔てる部材の熱貫流率が、7W/(m2・K)以上である請求項1〜4のいずれかに記載の断熱構造。
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