JP5598880B2 - 非硬化型耐火性パテ組成物 - Google Patents
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(1)充填剤とバインダー樹脂と中空無機フィラーと、樹脂製マイクロバルーンとを含む非硬化型耐火性パテ組成物であって、前記充填剤が、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、タルク、フライアッシュからなる群より選ばれる1種類もしくは2種類以上を含み、前記バインダー樹脂が、ポリブテンオイル、液状ポリブタジエン、液状スチレンブタジエンゴム、液状クロロプレンゴム、液状イソプレンゴムからなる群より選ばれる1種類もしくは2種類以上を含み、前記樹脂製マイクロバルーンは、無機粉体で少なくとも表面の一部がコーティングされており、前記樹脂製マイクロバルーンの外殻を構成する樹脂が、アクリロニトリル樹脂、フェノール樹脂、塩化ビニリデンからなる群より選ばれる1種類もしくは2種類以上を含むもので、前記充填剤と前記バインダー樹脂と前記中空無機フィラーと前記無機粉体でコーティングされた樹脂製マイクロバルーンの合計重量に対してそれぞれが占める重量割合は、前記充填剤が25〜65重量%、前記バインダー樹脂が20〜40重量%、前記中空無機フィラーが5〜40重量%、前記無機粉体でコーティングされた樹脂製マイクロバルーンが1〜13重量%の範囲にあり、少なくとも前記充填剤と前記バインダー樹脂と前記中空無機フィラーと前記無機粉体でコーティングされた樹脂製マイクロバルーンの合計が100重量%になるようにこれらを含むものであることを特徴とする非硬化型耐火性パテ組成物。
(2)前記中空無機フィラーが、フライアッシュバルーンとシラスバルーンとパーライトのうちの少なくとも一種類を含むことを特徴とする(1)に記載の非硬化型耐火性パテ組成物。
(3)前記中空無機フィラーの体積VIに対する前記無機粉体でコーティングされた樹脂製マイクロバルーンの体積VCの体積比(VC/VI)が、0.3〜6.0倍であり、前記中空無機フィラーと前記無機粉体でコーティングされた樹脂製マイクロバルーンの合計量が、前記充填剤と前記バインダー樹脂と前記中空無機フィラーと前記無機粉体でコーティングされた樹脂製マイクロバルーンの合計体積を100体積%とすると、前記合計体積に対して、45〜72体積%含まれることを特徴とする(1)または(2)に記載の非硬化型耐火性パテ組成物。
(4)前記非硬化型耐火性パテ組成物において、前記充填剤と前記バインダー樹脂と前記中空無機フィラーと前記無機粉体でコーティングされた樹脂製マイクロバルーンの合計重量に対してそれぞれが占める重量割合は、前記充填剤が50〜65重量%、前記樹脂バインダーが20〜30重量%、前記中空無機フィラーが8〜15重量%、前記無機粉体でコーティングされた樹脂製マイクロバルーンが4〜7重量%の範囲にあり、少なくとも前記充填剤と前記バインダー樹脂と前記中空無機フィラーと前記無機粉体でコーティングされた樹脂製マイクロバルーンの合計が100重量%になるようにこれらを含むもので、さらに前記中空無機フィラーの体積VIに対する前記無機粉体でコーティングされた樹脂製マイクロバルーンの体積VCの体積比(VC/VI)が2.0〜5.0倍の範囲であり、前記中空無機フィラーと前記無機粉体でコーティングされた樹脂製マイクロバルーンの合計量が、前記充填剤と前記バインダー樹脂と前記中空無機フィラーと前記無機粉体でコーティングされた樹脂製マイクロバルーンの合計体積を100体積%とすると、前記合計体積に対して45〜60体積%含まれることを特徴とする(3)に記載の非硬化型耐火性パテ組成物。
(5)前記非硬化型耐火性パテ組成物には、前記無機粉体でコーティングされた樹脂製マイクロバルーンの代わりに、樹脂製マイクロバルーンの表面が無機粉体でコーティングされていない樹脂製マイクロバルーンを用い、前記無機粉体でコーティングされていない樹脂製マイクロバルーンの配合割合が0.3〜3重量%で、前記中空無機フィラーの体積VIに対する前記無機粉体でコーティングされていない樹脂製マイクロバルーンの体積VPの体積比(VP/VI)が2.0〜5.0倍の範囲を満足し、さらに前記中空無機フィラーと前記無機粉体でコーティングされていない樹脂製マイクロバルーンの合計量が、前記充填剤と前記バインダー樹脂と前記中空無機フィラーと前記無機粉体でコーティングされていない樹脂製マイクロバルーンの合計体積を100体積%とすると、前記合計体積に対して45〜60体積%含まれることを特徴とする(1)に記載の非硬化型耐火性パテ組成物。
(6)前記非硬化型耐火性パテ組成物の比重が1.0未満であることを特徴とする(1)〜(5)のいずれかに記載の非硬化型耐火性パテ組成物。
(7)前記非硬化型耐火性パテ組成物の100質量部に対して、赤燐、ポリリン酸アンモニウム、リン酸エステル、硼砂、ホウ酸、ポリホウ酸ナトリウム、ホスファゼン、スズ酸亜鉛からなる群より選ばれる1種類もしくは2種類以上の混合物を、難燃材として3〜10質量部添加したことを特徴とする(1)〜(6)のいずれかに記載の非硬化型耐火性パテ組成物。
(8)前記非硬化型耐火性パテ組成物の100質量部に対して、安息香酸エステル系可塑剤、エポキシ系可塑剤、リン酸エステル系可塑剤、塩素化パラフィン可塑剤、アジピン酸系可塑剤、フタル酸エステル系可塑剤からなる群より選ばれる1種類もしくは2種類以上を、可塑剤として3〜9質量部数添加したことを特徴とする(1)〜(7)のいずれかに記載の非硬化型耐火性パテ組成物。
本発明の実施形態に係る非硬化型耐火性パテ組成物は、充填剤とバインダー樹脂と中空無機フィラーと無機粉体でコーティングされた樹脂製マイクロバルーンとを含む。中空無機フィラーと、無機粉体でコーティングされた樹脂製マイクロバルーンは、軽量化のために含む。本発明の実施形態にかかる非硬化型耐火性パテ組成物は、主に防火区画貫通部措置など火災時の耐火性能が要求される用途で使用される。なお、充填剤とバインダー樹脂と中空無機フィラーと無機粉体でコーティングされた樹脂製マイクロバルーンの合計に対する割合を、主組成物に対する割合と呼ぶこともある。
本実施形態に係るパテ組成物に用いる充填剤として水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、タルク、フライアッシュのいずれかを1種類もしくは2種類以上を含む。充填剤は主組成物中25〜65重量%を占めることが好ましく、50〜65重量%を占めることがより好ましい。なお、フライアッシュとしては、比重2以上のものを用いることが好ましい。充填剤の量が多すぎると、得られたパテ組成物の比重が重すぎる。また、充填剤の量が少なすぎると、得られたパテ組成物が火災時に形状を保持することが困難である。
本実施形態に係るパテ組成物に用いるバインダーとしてはポリブテンオイル、液状ポリブタジエン、液状スチレンブタジエンゴム、液状クロロプレンゴム、液状イソプレンゴムのいずれかを1種類もしくは2種類以上を含むが、最終的な組成物がパテ状にまとまれば良く、樹脂バインダーは、特にこれらに限定されない。樹脂バインダーは主組成物中20〜40重量%を占めることが好ましく、20〜30重量%を占めることがより好ましい。樹脂バインダーの量が多すぎると、得られたパテ組成物が固まらず、液状となってしまう。また、樹脂バインダーの量が少なすぎると、粉体の割合が多いためパテとしてまとまらず、パテ組成物を得ることができなくなる。
本実施形態に係るパテ組成物に用いる中空無機フィラーは、無機物外殻をもち中空、軽量の製品である。このような製品としては火力発電所などから得られる石炭灰(フライアッシュ)を水に浮遊させて選別した中空石炭灰であるフライアッシュバルーンや、ガラス質の微細な火山砕屑物を発泡させたシラスバルーン、同様にガラス質である火山岩を発泡させたパーライトなどがある。これらの中空無機フィラーは、いずれも主な成分がSiO2とAl2O3であり1000℃前後の耐熱性があることから組成物が燃焼した際に残存し耐火性を高めるのに有効である。代表的な成分の割合としてはフライアッシュバルーンでSiO2が60〜65%、Al2O3が27〜33%、シラスバルーンでSiO2が65〜73%、Al2O3が12〜18%、パーライトでSiO2が約73%、Al2O3が約17%である。上記成分の割合については産地、製法などによって異なる場合がある。粒径は、例えばそれぞれフライアッシュバルーンが5〜300μm、シラスバルーンが5〜200μm、パーライトが30〜700μmなど、各製品のグレードにより異なった範囲を選択することができ、またはふるい分けによって適切な範囲を選ぶこともできる。真比重は0.6〜1.0の範囲にある。中でも、球状製品や耐圧性の高いグレードは製造時に圧力や機械的ストレスによる破壊を減らすことができ好適であるが、いずれにしてもパテ製造時の混練時に、充填剤と中空無機フィラー、中空無機フィラー同士の接触時のせん断応力などにより、その一部が破壊する。これらの中空無機フィラーは単体で用いることができるが、異なる種類の中空無機フィラーを複数混合して使用してもよい。中空無機フィラーは主組成物中5〜40重量%を占めることが好ましく、8〜15重量%を占めることがより好ましい。中空無機フィラーの量が多すぎると、得られるパテ組成物の軽量化が難しくなってしまう。また、中空無機フィラーの量が少なすぎると、パテ組成物を軽量化するには、樹脂製マイクロバルーンの量を増やさなくてはいけないため、得られたパテ組成物は、軽量化は可能であるが、逆に耐火性は劣るものとなる。なお、中空無機フィラーは、低比重中空無機フィラーや無機バルーンなどとも呼ばれる。
本実施形態に係るパテ組成物に用いる樹脂製マイクロバルーンは、球状の樹脂外殻をもつ中空、軽量の製品である。一般的に液状ガスを内包した状態で製造され、加熱処理によって製品粒径まで体積で数十倍膨張させられて中空球状粒子となる。外殻の樹脂としてはアクリロニトリル樹脂、フェノール樹脂、塩化ビニリデン及びそれらの変性樹脂などがある。粒径は10〜150μmでその真比重は0.02〜0.07程度であり、パテ組成物の軽量化に好適である。樹脂製マイクロバルーンは、低密度で柔らかいことから、取り扱いやすいように樹脂でできた外殻の外側に無機粉体をコーティングして真比重0.1〜0.3程度とした製品が一般に使用される。ここで、コーティングに使用する無機粉体は、樹脂製マイクロバルーンの表面の少なくも一部にコーティングされていれば良く、軽量性の観点からは、樹脂製マイクロバルーンの表面全体にコーティングするよりは、上記のように表面の一部にコーティングする方が望ましい。さらに樹脂製マイクロバルーンの軽量性を生かすために表面をコーティングしない樹脂製マイクロバルーンを使用すると、パテを練る工程において樹脂製マイクロバルーンの若干の飛散は伴い製造性は少し低下するものの樹脂製マイクロバルーンの表面をコーティングせずにそのままの状態で使用することもできる。
樹脂製マイクロバルーンはこの無機粉体がコーティングされた状態で主組成物中1〜13重量%を占めることが好ましく、4〜7重量%を占めることがより好ましい。前記無機粉体でコーティングされた樹脂製マイクロバルーンの量が多すぎると、得られたパテ組成物の耐火性が悪化する。また、前記無機粉体でコーティングされた樹脂製マイクロバルーンの量が少なすぎると、得られたパテ組成物の軽量化が困難である。前記無機粉体でコーティングされた樹脂製マイクロバルーンは、その外殻素材と構造により高い弾性を持ち、圧力や機械的ストレスによって破壊されることが少ないという特徴があり、本実施形態に係るパテ組成物を製造する際に好適である。前記無機粉体でコーティングされた樹脂製マイクロバルーンと中空無機フィラーを併用した場合、パテ組成物を製造する際の中空無機フィラーの破壊を減らすことができる。
本実施形態に係る非硬化型耐火性パテ組成物は、中空無機フィラーを主組成物中5〜40重量%含み、無機粉体がコーティングされたかどうかにかかわらず、樹脂製マイクロバルーンの体積(V)と、その中空無機フィラーの体積VIの体積比(V/VI)は0.3〜6.0倍であり、好ましくは2.0〜5.0である。樹脂製マイクロバルーンの使用量としては無機粉体がコーティングされた状態で主組成物中1〜13重量%、無機粉体がコーティングされていない状態では主組成物中0.3〜3重量%である。体積で見るとパテ組成物中にこれら中空無機フィラーと樹脂製マイクロバルーンは合わせて主組成物中45〜72体積%含まれる。組成残量のうちバインダー樹脂は主組成物中20〜40重量%含まれ、充填剤が主組成物中の25〜65重量%含まれる。
パテ組成物の耐火性のみならず、パテ組成物そのものの難燃性を高めるために難燃剤を使用することができる。一般的な難燃剤として赤燐、ポリリン酸アンモニウム、リン酸エステル、硼砂、ホウ酸、ポリホウ酸ナトリウム、ホスファゼン、スズ酸亜鉛などが好適である。パテ組成物の100質量部に対して、難燃剤を3〜10質量部添加することが好ましい。
なお、ここでの難燃性とは、パテ組成物自体が燃焼しにくい特性を持つことを言い、火にさらされても着火しないか、仮にパテ組成物が着火しても、組成物に含まれる難燃剤の影響により自消する性質などをいう。一方、耐火性については、火に長時間さらされてもパテ組成物が形状を維持し、パテ組成物の反対側に火を通さない性質をいう。
組成物の柔らかさ、接着性、手触りなどを改善するために可塑剤を使用することができる。また使用した場合、パテの接触する対象が可塑剤入りのPVCシースなどの場合、相互における可塑剤の移行を防ぎ、可塑剤の移行による影響を抑えることができる。可塑剤としては安息香酸エステル系可塑剤、エポキシ系可塑剤、リン酸エステル系可塑剤、塩素化パラフィン可塑剤、アジピン酸系可塑剤、フタル酸エステル系可塑剤などが好適である。パテ組成物の100質量部に対して、可塑剤を3〜9質量部添加することが好ましい。
パテ組成物の型崩れ性を改善するために、パテ組成物にPETファイバー、レーヨン、セルロースなどの有機繊維を添加してもよい。
パテ組成物の製造を容易に行うために、界面活性剤、滑材などの加工助材を添加してもよい。
本実施の形態に係るパテ組成物は、各原料を公知のニーダーミキサー、バンバリーミキサーなどを用いて混練することにより得られる。
本実施の形態に係る非硬化型耐火性パテの施工の一例として、図2に示すように、区画Aと区画Bを隔てる壁や床などのコンクリート9の貫通孔にケーブル1や配管を通す際に、非硬化型耐火性パテ組成物7を貫通孔に充填または盛り付けを行って閉塞することで、火災時の延焼防止措置を行うことができる。区画A、Bは、例えば、建築物の1階と2階、ある部屋とその隣接する部屋などである。施工においては、開口内にパテ組成物7のみ充填、もしくは施工性を向上させるために、支持金具3とバックアップ材5を使用することができる。バックアップ材5を使用することで、パテ組成物7の受けができて施工が容易になると共に、反対側へのパテ組成物7の落下防止やパテの使用量削減を図ることができる。バックアップ材5には、ロックウール、グラスウール、アルカリアースシリケートウール等の鉱物繊維を使用することができる。また、それらを不織布で包み、ブロック状にして使用することもできる。バックアップ材5は図2のような支持金具3を用いることで開口内に保持する。
本実施の形態に係る非硬化型耐火性パテは、軽量化材として樹脂製マイクロバルーンと中空無機フィラーの2種類を使用することで、非硬化型で施工後の再施工性に優れながらも、比重が1未満と従来の非硬化型パテよりも軽量であることから可搬性に優れ、かつ燃焼時は硬化して耐火性にも優れる非硬化型耐火性パテである。
比較例1〜2は、バインダー樹脂に充填剤を添加せず、樹脂製マイクロバルーン、もしくは中空無機フィラーのみを添加した場合の組成である。
<比較例3〜11>
比較例3〜11は、バインダー樹脂に充填剤を添加し、さらに軽量化材として樹脂製マイクロバルーンを添加し、比重を1.0未満となるようにした組成である。
<比較例12〜15>
比較例12〜15は、バインダー樹脂に充填剤を添加し、さらに軽量化材として中空無機フィラーを添加し、比重を1.0未満となるようにした組成である。
<実施例1〜14>
実施例1〜14は、バインダー樹脂に充填剤を添加し、さらに軽量化材として樹脂製マイクロバルーン、および中空無機フィラーとしてフライアッシュバルーンを添加し、比重が1.0未満となるようにした組成である。
<実施例15〜20>
実施例15〜20は、フライアッシュバルーン以外の中空無機フィラーを使用、もしくは複数の中空無機フィラーを使用した組成である。
<実施例21>
実施例21は、中空無機フィラーとしてフライアッシュバルーンを使用し、樹脂製マイクロバルーンとしては無機粉体でコーティングされていない樹脂製マイクロバルーンを使用した組成である。
・ポリブタジエン:液状ポリブタジエンゴム
・ポリブテンオイルA:ポリブテンオイル(数平均分子量2400、40℃での動粘度206000mm2/s、100℃での動粘度4700mm2/s)
・ポリブテンオイルB:ポリブテンオイル(数平均分子量2900、40℃での動粘度160000mm2/s、100℃での動粘度3710mm2/s)
・ポリブテンオイルC:ポリブテンオイル(数平均分子量430、40℃での動粘度110mm2/s、100℃での動粘度9.5mm2/s)
・可塑剤:アジピン酸系可塑剤
・樹脂バルーンA:アクリロニトリル樹脂の外殻を持ち、炭酸カルシウムの無機粉体でコーティングされている樹脂製マイクロバルーン。平均粒子径は50〜70μm、真比重は0.12±0.02(コーティング込み)
・樹脂バルーンB:アクリロニトリル樹脂の外殻を持ち、無機粉体でコーティングはされていない樹脂製マイクロバルーン。平均粒子径は40〜60μm、真比重は0.030±0.005
・タルク:タルクの粉末
・水酸化アルミニウム:平均粒径25μmの水酸化アルミニウムの粉末
・中空無機フィラーA:フライアッシュバルーン(粒子径5〜300μm、真比重:0.65〜0.85g/cm3、嵩比重0.3〜0.5g/cm3)
・中空無機フィラーB:パーライト(粒子径30〜700μm、真比重:0.80〜1.00g/cm3、嵩比重0.3〜0.4g/cm3)
・中空無機フィラーC:シラスバルーン(粒子径5〜200μm、真比重:0.80〜1.00g/cm3、嵩比重0.12〜0.18g/cm3)
・有機繊維A:レーヨン繊維
・有機繊維B:PETファイバー(ポリエチレンテレフタレート樹脂製の繊維)
・難燃剤A:赤リン
・難燃剤B:ポリリン酸アンモニウム
各実施例・比較例で得られたパテ組成物の比重を測定した。また、混合する原料組成から計算される比重と比較した。また、得られたパテ組成物の性状を観察した。
電気炉試験により耐火性の評価を行った。評価方法は下記のとおりである。
(1)得られた組成を約3立方cmになるように計り取り、一辺約1.5cmの立方体を作成する。
(2)あらかじめ600℃に熱しておいた電気炉中に、上記立方体を不燃材料でできた板に載せて投入し、10分放置する。
(3)10分後、不燃材料でできた板ごと取り出して観察する。
評価は立方体サンプルを燃焼後に電気炉から取り出した時の灰の形状、および、触った時の灰の崩れやすさを目視で判定した。
ここで、図1の電気炉による燃焼試験後の比較例5と実施例9の材料の外観写真から分かるように、燃焼試験後の崩れの状態は容易に目視で判断できる。
比較例1に示されるように、軽量化材の中空無機フィラーと樹脂バインダーのみの組成とした場合、燃焼時に中空無機フィラーは燃えずに残るが、さらさらの砂状となり崩れてしまうため、構造物として耐火性が得られず、燃焼後の形状を保持するために他の充填剤が必須である。
なお、中空無機フィラーCのみを中空無機フィラーとして用いる場合でも、各組成を調整することで、実施例10、11とほぼ同様の評価(総合評価◎)の組成も得られた。
実際に使用される状況を想定し、厚さ75mmの軽量気泡コンクリ―トパネルに直径160mmの開口を設け、図2のように、ケーブルと配管を貫通させた試験体に耐火性パテを施工して60分の耐火試験を実施した。加熱は図3のISO834に準じた標準加熱曲線に従って行い、60分間で最大945℃まで加熱した。耐火性パテとしては、実施例7に係る非硬化型耐火性パテを用いた。
バックアップ材には板状ロックウールを開口の形状に合わせて切断したものと、生体溶解性のアルカリアースシリケートウールブランケットを不織布で包んだブロックをそれぞれ厚さ25mmで開口内に充填し、その上に本開発品を10〜35mmの厚さで充填した。
試験の結果、表9のように全ての条件で合格し、実施例7に係る非硬化型耐火性パテが十分な耐火性能を有することが確認できた。同様に、実施例1から実施例6及び実施例8〜実施例21のパテについても、同様の耐火性試験を行った結果、いずれも材料も耐火性は良好で、且つ比重が1未満となるため、耐火性と軽量性の両者に優れることが確認された。
3………支持金具
5………バックアップ材
7………非硬化型耐火性パテ組成物
9………コンクリート
11………区画A
13………区画B
Claims (8)
- 充填剤とバインダー樹脂と中空無機フィラーと、樹脂製マイクロバルーンとを含む非硬化型耐火性パテ組成物であって、
前記充填剤が、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、タルク、フライアッシュからなる群より選ばれる1種類もしくは2種類以上を含み、
前記バインダー樹脂が、ポリブテンオイル、液状ポリブタジエン、液状スチレンブタジエンゴム、液状クロロプレンゴム、液状イソプレンゴムからなる群より選ばれる1種類もしくは2種類以上を含み、
前記樹脂製マイクロバルーンは、無機粉体で少なくとも表面の一部がコーティングされており、前記樹脂製マイクロバルーンの外殻を構成する樹脂が、アクリロニトリル樹脂、フェノール樹脂、塩化ビニリデンからなる群より選ばれる1種類もしくは2種類以上を含むもので、
前記充填剤と前記バインダー樹脂と前記中空無機フィラーと前記無機粉体でコーティングされた樹脂製マイクロバルーンの合計重量に対してそれぞれが占める重量割合は、前記充填剤が25〜65重量%、前記バインダー樹脂が20〜40重量%、前記中空無機フィラーが5〜40重量%、前記無機粉体でコーティングされた樹脂製マイクロバルーンが1〜13重量%の範囲にあり、少なくとも前記充填剤と前記バインダー樹脂と前記中空無機フィラーと、前記無機粉体でコーティングされた樹脂製マイクロバルーンの合計が100重量%になるようにこれらを含むものであることを特徴とする非硬化型耐火性パテ組成物。 - 前記中空無機フィラーが、フライアッシュバルーンとシラスバルーンとパーライトのうちの少なくとも一種類を含むことを特徴とする請求項1に記載の非硬化型耐火性パテ組成物。
- 前記中空無機フィラーの体積VIに対する前記無機粉体でコーティングされた樹脂製マイクロバルーンの体積VCの体積比(VC/VI)が、0.3〜6.0倍であり、
前記中空無機フィラーと前記無機粉体でコーティングされた樹脂製マイクロバルーンの合計量が、前記充填剤と前記バインダー樹脂と前記中空無機フィラーと前記無機粉体でコーティングされた樹脂製マイクロバルーンの合計体積を100体積%とすると、前記合計体積に対して45〜72体積%含まれることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の非硬化型耐火性パテ組成物。 - 前記非硬化型耐火性パテ組成物において、前記充填剤と前記バインダー樹脂と前記中空無機フィラーと前記無機粉体でコーティングされた樹脂製マイクロバルーンの合計重量に対してそれぞれが占める重量割合は、前記充填剤が50〜65重量%、前記樹脂バインダーが20〜30重量%、前記中空無機フィラーが8〜15重量%、前記無機粉体でコーティングされた樹脂製マイクロバルーンが4〜7重量%の範囲にあり、
少なくとも前記充填剤と前記バインダー樹脂と前記中空無機フィラーと、前記無機粉体でコーティングされた樹脂製マイクロバルーンの合計が100重量%になるようにこれらを含むもので、
さらに前記中空無機フィラーの体積VIに対する前記無機粉体でコーティングされた樹脂製マイクロバルーンの体積VCの体積比(VC/VI)が2.0〜5.0倍の範囲であり、
前記中空無機フィラーと前記無機粉体でコーティングされた樹脂製マイクロバルーンの合計量が、前記充填剤と前記バインダー樹脂と前記中空無機フィラーと前記無機粉体でコーティングされた樹脂製マイクロバルーンの合計体積を100体積%とすると、前記合計体積に対して45〜60体積%含まれることを特徴とする請求項3に記載の非硬化型耐火性パテ組成物。 - 前記非硬化型耐火性パテ組成物には、前記無機粉体でコーティングされた樹脂製マイクロバルーンの代わりに、樹脂製マイクロバルーンの表面が無機粉体でコーティングされていない樹脂製マイクロバルーンを用い、
前記無機粉体でコーティングされていない樹脂製マイクロバルーンの配合割合が0.3〜3重量%で、
前記中空無機フィラーの体積VIに対する前記無機粉体でコーティングされていない樹脂製マイクロバルーンの体積VPの体積比(VP/VI)が2.0〜5.0倍の範囲を満足し、
さらに前記中空無機フィラーと前記無機粉体でコーティングされていない樹脂製マイクロバルーンの合計量が、前記充填剤と前記バインダー樹脂と前記中空無機フィラーと前記無機粉体でコーティングされていない樹脂製マイクロバルーンの合計体積を100体積%とすると、前記合計体積に対して45〜60体積%含まれることを特徴とする請求項1に記載の非硬化型耐火性パテ組成物。 - 前記非硬化型耐火性パテ組成物の比重が1.0未満であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の非硬化型耐火性パテ組成物。
- 前記非硬化型耐火性パテ組成物の100質量部に対して、赤燐、ポリリン酸アンモニウム、リン酸エステル、硼砂、ホウ酸、ポリホウ酸ナトリウム、ホスファゼン、スズ酸亜鉛からなる群より選ばれる1種類もしくは2種類以上の混合物を、難燃材として3〜10質量部添加したことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の非硬化型耐火性パテ組成物。
- 前記非硬化型耐火性パテ組成物の100質量部に対して、安息香酸エステル系可塑剤、エポキシ系可塑剤、リン酸エステル系可塑剤、塩素化パラフィン可塑剤、アジピン酸系可塑剤、フタル酸エステル系可塑剤からなる群より選ばれる1種類もしくは2種類以上を、可塑剤として3〜9質量部数添加したことを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の非硬化型耐火性パテ組成物。
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JP2013190825A JP5598880B2 (ja) | 2012-10-12 | 2013-09-13 | 非硬化型耐火性パテ組成物 |
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