JP5598880B2 - 非硬化型耐火性パテ組成物 - Google Patents

非硬化型耐火性パテ組成物 Download PDF

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Description

本発明は、主に建築物(建物や船舶等)における防火壁や床等に設けられた電線やケーブル・配管の開口部に充填するために用いられる非硬化型耐火性パテ組成物に関するものである。
建物や船舶などの建造物では、各設備・各部屋を画分する壁や床などの防火区画体に貫通孔を穿設し、その貫通孔に空調設備の配管や各種電線ケーブルなどが挿通される。しかしながら、ある空間で火災が発生するとその熱や炎で前記樹脂パイプ,空調装置の配管の発泡断熱材,電線ケーブルの被覆などが燃焼したり溶融したりして消失してしまうため、前記貫通孔が炎道になってここから隣の設備・部屋へと延焼が進んでしまう。
これらの貫通部の防火措置としては、耐火性もしくは不燃性を持つパテが使用されている。パテは開口内に充填、もしくはケイ酸カルシウム板等の不燃性のボード等と組み合わせて、その隙間を閉塞するために使用される。ここで使用されるパテには、施工後の時間経過とともに硬化する硬化型パテと、施工後も乾燥・硬化しない非硬化型のパテが挙げられる。
硬化型のパテは、施工後の貫通部を強固に保持できる利点があるが、建物のリフォームや設備の増設に伴う配線類の引き換え等には対応できない欠点があった。また、組成に水ガラスを使用したものは、耐水性に問題があり、屋外での雨風や結露に晒された場合に弱いという問題があった。
非硬化型のパテとしては、例えば、有機系バインダーに無機系フィラーを含むペースト状充填剤が挙げられる。非硬化型のパテは、施工後もパテの取出し、再施工が容易であるが、十分な耐火性を維持するために水酸化アルミニウム等の比重の高い難燃剤が使用され、パテ自体の比重が高いものが多く普及している。高層建築物等の貫通部に使用する場合、材料を高層階へ持って移動せねばならない場合があり、重いパテでは一度に持ち運べる量が少なくなり、多大な労力を必要とする。
パテ、粘土のような製品を軽量化させる技術としては各種軽量化材を使用する方法が検討され、例えば、軽量化材として中空ビーズや有機質マイクロバルーンを用いた例がある(特許文献1、2)。
特開2011−46821号公報 特開2000−212481号公報
しかしながら、特許文献1、2に記載のパテは、硬化性を有する補修パテであり、防火措置に使用できる非硬化型の耐火性を持つ組成物ではない。
比重1未満の耐火性パテを成り立たせるために、軽量化材として樹脂製マイクロバルーンのみを用いると、樹脂製マイクロバルーンがパテ全体に対する体積割合のほとんどを占めてしまうため、火災時に燃焼した際に樹脂製マイクロバルーンの部分が燃えて隙間が生じ、十分な耐火性能を有するパテを提供できない。
また、フライアッシュバルーンのような中空無機フィラーのみを軽量化材として使用した場合には、それ自体の比重が0.6〜1.0であり、耐火充填材として用いられる水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、タルクなどがいずれも比重2.5以上であるため、十分な耐火性能を有するためには、比重1.0以上のパテとなってしまい、十分な軽量化と耐火性の両立が困難である。また、中空無機フィラーは、組成製造時の混練工程においてせん断の力や圧力によって破壊されやすいため、中空無機フィラーのみを軽量化材として使用する場合には、予定されていた比重に比べて実際の製造後の比重が増大するという問題にもつながりやすい。
本発明は、前述した問題点に鑑みてなされたもので、その目的とすることは、軽量で作業性に優れ、かつ耐火性にも優れた非硬化型耐火性パテ組成物を提供することである。
本発明者らは、上記課題に鑑み鋭意検討を行った。その結果、軽量化材として、樹脂製マイクロバルーンと中空無機フィラーの二種類を使用することで比重1未満かつ耐火性能を有する非硬化型耐火性パテを提供できることを見出した。
前述した目的を達成するために、以下の発明を提供する。
(1)充填剤とバインダー樹脂と中空無機フィラーと、樹脂製マイクロバルーンとを含む非硬化型耐火性パテ組成物であって、前記充填剤が、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、タルク、フライアッシュからなる群より選ばれる1種類もしくは2種類以上を含み、前記バインダー樹脂が、ポリブテンオイル、液状ポリブタジエン、液状スチレンブタジエンゴム、液状クロロプレンゴム、液状イソプレンゴムからなる群より選ばれる1種類もしくは2種類以上を含み、前記樹脂製マイクロバルーンは、無機粉体で少なくとも表面の一部がコーティングされており、前記樹脂製マイクロバルーンの外殻を構成する樹脂が、アクリロニトリル樹脂、フェノール樹脂、塩化ビニリデンからなる群より選ばれる1種類もしくは2種類以上を含むもので、前記充填剤と前記バインダー樹脂と前記中空無機フィラーと前記無機粉体でコーティングされた樹脂製マイクロバルーンの合計重量に対してそれぞれが占める重量割合は、前記充填剤が25〜65重量%、前記バインダー樹脂が20〜40重量%、前記中空無機フィラーが5〜40重量%、前記無機粉体でコーティングされた樹脂製マイクロバルーンが1〜13重量%の範囲にあり、少なくとも前記充填剤と前記バインダー樹脂と前記中空無機フィラーと前記無機粉体でコーティングされた樹脂製マイクロバルーンの合計が100重量%になるようにこれらを含むものであることを特徴とする非硬化型耐火性パテ組成物。
(2)前記中空無機フィラーが、フライアッシュバルーンとシラスバルーンとパーライトのうちの少なくとも一種類を含むことを特徴とする(1)に記載の非硬化型耐火性パテ組成物。
(3)前記中空無機フィラーの体積Vに対する前記無機粉体でコーティングされた樹脂製マイクロバルーンの体積Vの体積比(V/V)が、0.3〜6.0倍であり、前記中空無機フィラーと前記無機粉体でコーティングされた樹脂製マイクロバルーンの合計量が、前記充填剤と前記バインダー樹脂と前記中空無機フィラーと前記無機粉体でコーティングされた樹脂製マイクロバルーンの合計体積を100体積%とすると、前記合計体積に対して、45〜72体積%含まれることを特徴とする(1)または(2)に記載の非硬化型耐火性パテ組成物。
(4)前記非硬化型耐火性パテ組成物において、前記充填剤と前記バインダー樹脂と前記中空無機フィラーと前記無機粉体でコーティングされた樹脂製マイクロバルーンの合計重量に対してそれぞれが占める重量割合は、前記充填剤が50〜65重量%、前記樹脂バインダーが20〜30重量%、前記中空無機フィラーが8〜15重量%、前記無機粉体でコーティングされた樹脂製マイクロバルーンが4〜7重量%の範囲にあり、少なくとも前記充填剤と前記バインダー樹脂と前記中空無機フィラーと前記無機粉体でコーティングされた樹脂製マイクロバルーンの合計が100重量%になるようにこれらを含むもので、さらに前記中空無機フィラーの体積Vに対する前記無機粉体でコーティングされた樹脂製マイクロバルーンの体積Vの体積比(V/V)が2.0〜5.0倍の範囲であり、前記中空無機フィラーと前記無機粉体でコーティングされた樹脂製マイクロバルーンの合計量が、前記充填剤と前記バインダー樹脂と前記中空無機フィラーと前記無機粉体でコーティングされた樹脂製マイクロバルーンの合計体積を100体積%とすると、前記合計体積に対して45〜60体積%含まれることを特徴とする(3)に記載の非硬化型耐火性パテ組成物。
(5)前記非硬化型耐火性パテ組成物には、前記無機粉体でコーティングされた樹脂製マイクロバルーンの代わりに、樹脂製マイクロバルーンの表面が無機粉体でコーティングされていない樹脂製マイクロバルーンを用い、前記無機粉体でコーティングされていない樹脂製マイクロバルーンの配合割合が0.3〜3重量%で、前記中空無機フィラーの体積Vに対する前記無機粉体でコーティングされていない樹脂製マイクロバルーンの体積Vの体積比(V/V)が2.0〜5.0倍の範囲を満足し、さらに前記中空無機フィラーと前記無機粉体でコーティングされていない樹脂製マイクロバルーンの合計量が、前記充填剤と前記バインダー樹脂と前記中空無機フィラーと前記無機粉体でコーティングされていない樹脂製マイクロバルーンの合計体積を100体積%とすると、前記合計体積に対して45〜60体積%含まれることを特徴とする(1)に記載の非硬化型耐火性パテ組成物。
(6)前記非硬化型耐火性パテ組成物の比重が1.0未満であることを特徴とする(1)〜(5)のいずれかに記載の非硬化型耐火性パテ組成物。
(7)前記非硬化型耐火性パテ組成物の100質量部に対して、赤燐、ポリリン酸アンモニウム、リン酸エステル、硼砂、ホウ酸、ポリホウ酸ナトリウム、ホスファゼン、スズ酸亜鉛からなる群より選ばれる1種類もしくは2種類以上の混合物を、難燃材として3〜10質量部添加したことを特徴とする(1)〜(6)のいずれかに記載の非硬化型耐火性パテ組成物。
(8)前記非硬化型耐火性パテ組成物の100質量部に対して、安息香酸エステル系可塑剤、エポキシ系可塑剤、リン酸エステル系可塑剤、塩素化パラフィン可塑剤、アジピン酸系可塑剤、フタル酸エステル系可塑剤からなる群より選ばれる1種類もしくは2種類以上を、可塑剤として3〜9質量部数添加したことを特徴とする(1)〜(7)のいずれかに記載の非硬化型耐火性パテ組成物。
本発明により、軽量で作業性に優れ、かつ耐火性にも優れた非硬化型耐火性パテ組成物を提供することができる。
電気炉試験前のサンプルと試験後のサンプル(比較例5と実施例9)の外観写真 非硬化型耐火性パテ組成物を、ケーブルを通した貫通孔を閉塞するために使用する場合の施工例を示す断面図。 ISO 834に準拠した標準加熱曲線
<非硬化型耐火性パテ組成物>
本発明の実施形態に係る非硬化型耐火性パテ組成物は、充填剤とバインダー樹脂と中空無機フィラーと無機粉体でコーティングされた樹脂製マイクロバルーンとを含む。中空無機フィラーと、無機粉体でコーティングされた樹脂製マイクロバルーンは、軽量化のために含む。本発明の実施形態にかかる非硬化型耐火性パテ組成物は、主に防火区画貫通部措置など火災時の耐火性能が要求される用途で使用される。なお、充填剤とバインダー樹脂と中空無機フィラーと無機粉体でコーティングされた樹脂製マイクロバルーンの合計に対する割合を、主組成物に対する割合と呼ぶこともある。
本発明の実施形態に係る非硬化型耐火性パテ組成物は、充填剤とバインダー樹脂と中空無機フィラーと、無機粉体でコーティングされた樹脂製マイクロバルーンとを含む非硬化型耐火性パテ組成物であって、充填剤とバインダー樹脂と中空無機フィラーと無機粉体でコーティングされた樹脂製マイクロバルーンの合計重量に対してそれぞれが占める重量割合は、前記充填剤を25〜65重量%、前記バインダー樹脂を20〜40重量%、前記中空無機フィラーを5〜40重量%、前記無機粉体でコーティングされた樹脂製マイクロバルーンを1〜13重量%の範囲で含有し、少なくとも前記充填剤と前記バインダー樹脂と前記中空無機フィラーと前記無機粉体でコーティングされた樹脂製マイクロバルーンの合計が100重量%となるようにこれらを含む非硬化型耐火性パテ組成物である。ここで、少なくとも前記充填剤と前記バインダー樹脂と前記中空無機フィラーと前記無機粉体でコーティングされた樹脂製マイクロバルーンの合計が100重量%となるようにこれらを含むとは、本発明の非硬化型耐火性パテ組成物は、充填剤とバインダー樹脂と中空無機フィラーと無機粉体でコーティングされた樹脂製マイクロバルーンの合計が、これらからなる主組成物の100重量%となるように含む他、本発明の効果を損なわない範囲で、本発明の非硬化型耐火性パテ組成物に、不純物や添加物などのその他の材料を含むことを許容することを意味する。
前記中空無機フィラーの体積Vの、前記無機粉体でコーティングされた樹脂製マイクロバルーンの体積Vに対する体積比(V/V)が、0.3〜6.0倍であり、前記中空無機フィラーと前記無機粉体でコーティングされた樹脂製マイクロバルーンの合計量が、非硬化型耐火性パテ組成物として体積で見るとパテ組成物中にこれら中空無機フィラーと無機粉体でコーティングされた樹脂製マイクロバルーンは合わせて主組成物中、45〜72体積%含まれる非硬化型耐火性パテ組成物である。
前記非硬化型耐火性パテ組成物は、前記充填剤を50〜65重量%、前記樹脂バインダーを20〜30重量%、前記中空無機フィラーを8〜15重量%、前記無機粉体でコーティングされた樹脂製マイクロバルーンを4〜7重量%の範囲で含有し、前記中空無機フィラーに対する前記樹脂製マイクロバルーンの体積比が2.0〜5.0倍の範囲を満足し、さらに前記中空無機フィラーと前記無機粉体でコーティングされた樹脂製マイクロバルーンの合計量が、非硬化型耐火性パテ組成物として体積で見るとパテ組成物中にこれら中空無機フィラーと無機粉体でコーティングされた樹脂製マイクロバルーンは合わせて主組成物中45〜60体積%含まれることが好ましい。前記非硬化型耐火性パテ組成物は、比重が1.0未満であることが望ましい。前記中空無機フィラーに対する前記無機粉体でコーティングされた樹脂製マイクロバルーンの体積比は、前記体積比は軽量化という意味では、比率が大きい方が望ましいが、製造時の無機粉体でコーティングされた樹脂製マイクロバルーンの飛散性や、製品の耐火性を考慮すると、体積比に上限値を設けることが望ましく、この場合、前記体積比としては、2.0〜5.0倍が好ましく、2.5〜4.5倍の範囲を満足することがさらに好ましい。軽量化の面では、樹脂製マイクロバルーンの添加量が多く、飛散性の面では、樹脂製マイクロバルーンの添加量が少ない方が良い。
前記充填剤は、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、タルク、フライアッシュからなる群より選ばれる1種類もしくは2種類以上を含むことが好ましく、前記バインダー樹脂は、ポリブテンオイル、液状ポリブタジエン、液状スチレンブタジエンゴム、液状クロロプレンゴム、液状イソプレンゴムからなる群より選ばれる1種類もしくは2種類以上を含むことが好ましい。前記中空無機フィラーが、フライアッシュバルーンとパーライトとシラスバルーンのいずれか1種類もしくは2種類以上を含み、前記樹脂製マイクロバルーンの殻を構成する樹脂が、アクリロニトリル樹脂、フェノール樹脂、塩化ビニリデンからなる群より選ばれる1種類もしくは2種類以上を含むことが好ましい。
さらに、前記非硬化型耐火性パテ組成物の100質量部に対して、赤燐、ポリリン酸アンモニウム、リン酸エステル、硼砂、ホウ酸、ポリホウ酸ナトリウム、ホスファゼン、スズ酸亜鉛からなる群より選ばれる1種類もしくは2種類以上の混合物を、難燃剤として3〜10質量部添加することもできる。このように、することにより、前記非硬化型耐火性パテ組成物の難燃性を向上させることができる。前記非硬化型耐火性パテ組成物の100質量部に対して、安息香酸エステル系可塑剤、エポキシ系可塑剤、リン酸エステル系可塑剤、塩素化パラフィン可塑剤、アジピン酸系可塑剤、フタル酸エステル系可塑剤からなる群より選ばれる1種類もしくは2種類以上を、可塑剤として3〜9質量部添加することもできる。このようにすることにより、パテの混練性、パテの施工性を向上させることができる。本発明の非硬化型耐火性パテ組成物は充填剤とバインダー樹脂と中空無機フィラーと無機粉体でコーティングされた樹脂製マイクロバルーンからなる非硬化型耐火性パテ組成物の100質量部に対して、前記非硬化型耐火性パテ組成物としての特性を害さない範囲で、難燃剤や可塑剤などの添加剤や不純物などその他の材料を合計で25質量部の範囲で含んでも良いが、20質量部の範囲で含むことが好ましい。この範囲であれば、他材料を含んでいても非硬化型耐火性パテ組成物としての特性上問題ない。
[充填剤]
本実施形態に係るパテ組成物に用いる充填剤として水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、タルク、フライアッシュのいずれかを1種類もしくは2種類以上を含む。充填剤は主組成物中25〜65重量%を占めることが好ましく、50〜65重量%を占めることがより好ましい。なお、フライアッシュとしては、比重2以上のものを用いることが好ましい。充填剤の量が多すぎると、得られたパテ組成物の比重が重すぎる。また、充填剤の量が少なすぎると、得られたパテ組成物が火災時に形状を保持することが困難である。
[樹脂バインダー]
本実施形態に係るパテ組成物に用いるバインダーとしてはポリブテンオイル、液状ポリブタジエン、液状スチレンブタジエンゴム、液状クロロプレンゴム、液状イソプレンゴムのいずれかを1種類もしくは2種類以上を含むが、最終的な組成物がパテ状にまとまれば良く、樹脂バインダーは、特にこれらに限定されない。樹脂バインダーは主組成物中20〜40重量%を占めることが好ましく、20〜30重量%を占めることがより好ましい。樹脂バインダーの量が多すぎると、得られたパテ組成物が固まらず、液状となってしまう。また、樹脂バインダーの量が少なすぎると、粉体の割合が多いためパテとしてまとまらず、パテ組成物を得ることができなくなる。
[中空無機フィラー]
本実施形態に係るパテ組成物に用いる中空無機フィラーは、無機物外殻をもち中空、軽量の製品である。このような製品としては火力発電所などから得られる石炭灰(フライアッシュ)を水に浮遊させて選別した中空石炭灰であるフライアッシュバルーンや、ガラス質の微細な火山砕屑物を発泡させたシラスバルーン、同様にガラス質である火山岩を発泡させたパーライトなどがある。これらの中空無機フィラーは、いずれも主な成分がSiOとAlであり1000℃前後の耐熱性があることから組成物が燃焼した際に残存し耐火性を高めるのに有効である。代表的な成分の割合としてはフライアッシュバルーンでSiOが60〜65%、Alが27〜33%、シラスバルーンでSiOが65〜73%、Alが12〜18%、パーライトでSiOが約73%、Alが約17%である。上記成分の割合については産地、製法などによって異なる場合がある。粒径は、例えばそれぞれフライアッシュバルーンが5〜300μm、シラスバルーンが5〜200μm、パーライトが30〜700μmなど、各製品のグレードにより異なった範囲を選択することができ、またはふるい分けによって適切な範囲を選ぶこともできる。真比重は0.6〜1.0の範囲にある。中でも、球状製品や耐圧性の高いグレードは製造時に圧力や機械的ストレスによる破壊を減らすことができ好適であるが、いずれにしてもパテ製造時の混練時に、充填剤と中空無機フィラー、中空無機フィラー同士の接触時のせん断応力などにより、その一部が破壊する。これらの中空無機フィラーは単体で用いることができるが、異なる種類の中空無機フィラーを複数混合して使用してもよい。中空無機フィラーは主組成物中5〜40重量%を占めることが好ましく、8〜15重量%を占めることがより好ましい。中空無機フィラーの量が多すぎると、得られるパテ組成物の軽量化が難しくなってしまう。また、中空無機フィラーの量が少なすぎると、パテ組成物を軽量化するには、樹脂製マイクロバルーンの量を増やさなくてはいけないため、得られたパテ組成物は、軽量化は可能であるが、逆に耐火性は劣るものとなる。なお、中空無機フィラーは、低比重中空無機フィラーや無機バルーンなどとも呼ばれる。
[樹脂製マイクロバルーン]
本実施形態に係るパテ組成物に用いる樹脂製マイクロバルーンは、球状の樹脂外殻をもつ中空、軽量の製品である。一般的に液状ガスを内包した状態で製造され、加熱処理によって製品粒径まで体積で数十倍膨張させられて中空球状粒子となる。外殻の樹脂としてはアクリロニトリル樹脂、フェノール樹脂、塩化ビニリデン及びそれらの変性樹脂などがある。粒径は10〜150μmでその真比重は0.02〜0.07程度であり、パテ組成物の軽量化に好適である。樹脂製マイクロバルーンは、低密度で柔らかいことから、取り扱いやすいように樹脂でできた外殻の外側に無機粉体をコーティングして真比重0.1〜0.3程度とした製品が一般に使用される。ここで、コーティングに使用する無機粉体は、樹脂製マイクロバルーンの表面の少なくも一部にコーティングされていれば良く、軽量性の観点からは、樹脂製マイクロバルーンの表面全体にコーティングするよりは、上記のように表面の一部にコーティングする方が望ましい。さらに樹脂製マイクロバルーンの軽量性を生かすために表面をコーティングしない樹脂製マイクロバルーンを使用すると、パテを練る工程において樹脂製マイクロバルーンの若干の飛散は伴い製造性は少し低下するものの樹脂製マイクロバルーンの表面をコーティングせずにそのままの状態で使用することもできる。
ここで使用される無機粉体としては炭酸カルシウム、タルク、水酸化アルミニウムが一般的であるが、特にこれらに限定されない。具体的な例としては真比重約0.03の前記樹脂製マイクロバルーンが真比重約2.6の炭酸カルシウムでコーティングされ、コーティングの工程において重量比で樹脂製マイクロバルーン:炭酸カルシウム=22.5:77.5で製造された場合、コーティングに使用した炭酸カルシウムの真比重が大きいことから、その結果得られる炭酸カルシウムでコーティングされた樹脂製マイクロバルーンの真比重は、約0.13、体積比では樹脂製マイクロバルーン:炭酸カルシウム=96.2:3.8となる。このように、無機粉体でコーティングされた樹脂製マイクロバルーンは無機粉体でコーティングされていない樹脂製マイクロバルーンに対して重量では数倍異なるが、体積では数%しか変わらない粉体である。
樹脂製マイクロバルーンはこの無機粉体がコーティングされた状態で主組成物中1〜13重量%を占めることが好ましく、4〜7重量%を占めることがより好ましい。前記無機粉体でコーティングされた樹脂製マイクロバルーンの量が多すぎると、得られたパテ組成物の耐火性が悪化する。また、前記無機粉体でコーティングされた樹脂製マイクロバルーンの量が少なすぎると、得られたパテ組成物の軽量化が困難である。前記無機粉体でコーティングされた樹脂製マイクロバルーンは、その外殻素材と構造により高い弾性を持ち、圧力や機械的ストレスによって破壊されることが少ないという特徴があり、本実施形態に係るパテ組成物を製造する際に好適である。前記無機粉体でコーティングされた樹脂製マイクロバルーンと中空無機フィラーを併用した場合、パテ組成物を製造する際の中空無機フィラーの破壊を減らすことができる。
[中空無機フィラーと樹脂製マイクロバルーンの配合比率]
本実施形態に係る非硬化型耐火性パテ組成物は、中空無機フィラーを主組成物中5〜40重量%含み、無機粉体がコーティングされたかどうかにかかわらず、樹脂製マイクロバルーンの体積(V)と、その中空無機フィラーの体積Vの体積比(V/V)は0.3〜6.0倍であり、好ましくは2.0〜5.0である。樹脂製マイクロバルーンの使用量としては無機粉体がコーティングされた状態で主組成物中1〜13重量%、無機粉体がコーティングされていない状態では主組成物中0.3〜3重量%である。体積で見るとパテ組成物中にこれら中空無機フィラーと樹脂製マイクロバルーンは合わせて主組成物中45〜72体積%含まれる。組成残量のうちバインダー樹脂は主組成物中20〜40重量%含まれ、充填剤が主組成物中の25〜65重量%含まれる。
[難燃剤]
パテ組成物の耐火性のみならず、パテ組成物そのものの難燃性を高めるために難燃剤を使用することができる。一般的な難燃剤として赤燐、ポリリン酸アンモニウム、リン酸エステル、硼砂、ホウ酸、ポリホウ酸ナトリウム、ホスファゼン、スズ酸亜鉛などが好適である。パテ組成物の100質量部に対して、難燃剤を3〜10質量部添加することが好ましい。
なお、ここでの難燃性とは、パテ組成物自体が燃焼しにくい特性を持つことを言い、火にさらされても着火しないか、仮にパテ組成物が着火しても、組成物に含まれる難燃剤の影響により自消する性質などをいう。一方、耐火性については、火に長時間さらされてもパテ組成物が形状を維持し、パテ組成物の反対側に火を通さない性質をいう。
[可塑剤]
組成物の柔らかさ、接着性、手触りなどを改善するために可塑剤を使用することができる。また使用した場合、パテの接触する対象が可塑剤入りのPVCシースなどの場合、相互における可塑剤の移行を防ぎ、可塑剤の移行による影響を抑えることができる。可塑剤としては安息香酸エステル系可塑剤、エポキシ系可塑剤、リン酸エステル系可塑剤、塩素化パラフィン可塑剤、アジピン酸系可塑剤、フタル酸エステル系可塑剤などが好適である。パテ組成物の100質量部に対して、可塑剤を3〜9質量部添加することが好ましい。
[繊維]
パテ組成物の型崩れ性を改善するために、パテ組成物にPETファイバー、レーヨン、セルロースなどの有機繊維を添加してもよい。
[加工補助剤]
パテ組成物の製造を容易に行うために、界面活性剤、滑材などの加工助材を添加してもよい。
[パテ組成物の製造方法]
本実施の形態に係るパテ組成物は、各原料を公知のニーダーミキサー、バンバリーミキサーなどを用いて混練することにより得られる。
[非硬化型耐火性パテの利用方法]
本実施の形態に係る非硬化型耐火性パテの施工の一例として、図2に示すように、区画Aと区画Bを隔てる壁や床などのコンクリート9の貫通孔にケーブル1や配管を通す際に、非硬化型耐火性パテ組成物7を貫通孔に充填または盛り付けを行って閉塞することで、火災時の延焼防止措置を行うことができる。区画A、Bは、例えば、建築物の1階と2階、ある部屋とその隣接する部屋などである。施工においては、開口内にパテ組成物7のみ充填、もしくは施工性を向上させるために、支持金具3とバックアップ材5を使用することができる。バックアップ材5を使用することで、パテ組成物7の受けができて施工が容易になると共に、反対側へのパテ組成物7の落下防止やパテの使用量削減を図ることができる。バックアップ材5には、ロックウール、グラスウール、アルカリアースシリケートウール等の鉱物繊維を使用することができる。また、それらを不織布で包み、ブロック状にして使用することもできる。バックアップ材5は図2のような支持金具3を用いることで開口内に保持する。
[本発明の特徴]
本実施の形態に係る非硬化型耐火性パテは、軽量化材として樹脂製マイクロバルーンと中空無機フィラーの2種類を使用することで、非硬化型で施工後の再施工性に優れながらも、比重が1未満と従来の非硬化型パテよりも軽量であることから可搬性に優れ、かつ燃焼時は硬化して耐火性にも優れる非硬化型耐火性パテである。
以下、本発明を実施例と比較例に基づきさらに詳細に説明する。ただし本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、表中では樹脂製マイクロバルーンを「樹脂バルーン」と省略表記している。
<比較例1〜2>
比較例1〜2は、バインダー樹脂に充填剤を添加せず、樹脂製マイクロバルーン、もしくは中空無機フィラーのみを添加した場合の組成である。
<比較例3〜11>
比較例3〜11は、バインダー樹脂に充填剤を添加し、さらに軽量化材として樹脂製マイクロバルーンを添加し、比重を1.0未満となるようにした組成である。
<比較例12〜15>
比較例12〜15は、バインダー樹脂に充填剤を添加し、さらに軽量化材として中空無機フィラーを添加し、比重を1.0未満となるようにした組成である。
<実施例1〜14>
実施例1〜14は、バインダー樹脂に充填剤を添加し、さらに軽量化材として樹脂製マイクロバルーン、および中空無機フィラーとしてフライアッシュバルーンを添加し、比重が1.0未満となるようにした組成である。
<実施例15〜20>
実施例15〜20は、フライアッシュバルーン以外の中空無機フィラーを使用、もしくは複数の中空無機フィラーを使用した組成である。
<実施例21>
実施例21は、中空無機フィラーとしてフライアッシュバルーンを使用し、樹脂製マイクロバルーンとしては無機粉体でコーティングされていない樹脂製マイクロバルーンを使用した組成である。
各実施例・比較例に係るパテ組成物は、表1〜8に記載の割合で原料をニーダーミキサーにて混練することにより得られる。
使用されている原料を以下に説明する。
・ポリブタジエン:液状ポリブタジエンゴム
・ポリブテンオイルA:ポリブテンオイル(数平均分子量2400、40℃での動粘度206000mm/s、100℃での動粘度4700mm/s)
・ポリブテンオイルB:ポリブテンオイル(数平均分子量2900、40℃での動粘度160000mm/s、100℃での動粘度3710mm/s)
・ポリブテンオイルC:ポリブテンオイル(数平均分子量430、40℃での動粘度110mm/s、100℃での動粘度9.5mm/s)
・可塑剤:アジピン酸系可塑剤
・樹脂バルーンA:アクリロニトリル樹脂の外殻を持ち、炭酸カルシウムの無機粉体でコーティングされている樹脂製マイクロバルーン。平均粒子径は50〜70μm、真比重は0.12±0.02(コーティング込み)
・樹脂バルーンB:アクリロニトリル樹脂の外殻を持ち、無機粉体でコーティングはされていない樹脂製マイクロバルーン。平均粒子径は40〜60μm、真比重は0.030±0.005
・タルク:タルクの粉末
・水酸化アルミニウム:平均粒径25μmの水酸化アルミニウムの粉末
・中空無機フィラーA:フライアッシュバルーン(粒子径5〜300μm、真比重:0.65〜0.85g/cm、嵩比重0.3〜0.5g/cm
・中空無機フィラーB:パーライト(粒子径30〜700μm、真比重:0.80〜1.00g/cm、嵩比重0.3〜0.4g/cm
・中空無機フィラーC:シラスバルーン(粒子径5〜200μm、真比重:0.80〜1.00g/cm、嵩比重0.12〜0.18g/cm
・有機繊維A:レーヨン繊維
・有機繊維B:PETファイバー(ポリエチレンテレフタレート樹脂製の繊維)
・難燃剤A:赤リン
・難燃剤B:ポリリン酸アンモニウム
[物性]
各実施例・比較例で得られたパテ組成物の比重を測定した。また、混合する原料組成から計算される比重と比較した。また、得られたパテ組成物の性状を観察した。
[電気炉試験による耐火性の評価]
電気炉試験により耐火性の評価を行った。評価方法は下記のとおりである。
(1)得られた組成を約3立方cmになるように計り取り、一辺約1.5cmの立方体を作成する。
(2)あらかじめ600℃に熱しておいた電気炉中に、上記立方体を不燃材料でできた板に載せて投入し、10分放置する。
(3)10分後、不燃材料でできた板ごと取り出して観察する。
評価は立方体サンプルを燃焼後に電気炉から取り出した時の灰の形状、および、触った時の灰の崩れやすさを目視で判定した。
ここで、図1の電気炉による燃焼試験後の比較例5と実施例9の材料の外観写真から分かるように、燃焼試験後の崩れの状態は容易に目視で判断できる。
この評価で、電気炉から取り出した時点で灰が崩れているサンプルや触ると簡単に崩れてしまう組成は施工状態で燃焼試験を行った場合も耐火性に乏しい。一方でこの試験で灰が崩れずに形状を保ち、収縮などが起きていない場合は施工状態の燃焼試験においても耐火性が高くなる傾向を示す。
[実施例・比較例の考察]
比較例1に示されるように、軽量化材の中空無機フィラーと樹脂バインダーのみの組成とした場合、燃焼時に中空無機フィラーは燃えずに残るが、さらさらの砂状となり崩れてしまうため、構造物として耐火性が得られず、燃焼後の形状を保持するために他の充填剤が必須である。
比較例2に示されるように、軽量化材の樹脂製マイクロバルーンと樹脂バインダーのみの組成とした場合、燃焼時には組成が75重量%以上燃え尽きてしまい、ほとんど残らないため耐火性はない。
比較例3〜11に示されるように、充填剤とバインダー樹脂に軽量化材として樹脂製マイクロバルーンのみを加えた組成とした場合は、いずれの場合も燃焼後に崩れやすく十分な耐火性が得られない。例えば、比重1を下回るような組成として樹脂バインダーを主組成物中約36.8重量%、充填剤としてタルクを主組成物中約58.3重量%、樹脂製マイクロバルーンを主組成物中約4.9重量%(体積では主組成物中約38.1体積%)からなる比較例9のような組成が考えられるが、この組成は燃焼後に崩れやすく、十分な耐火性が得られなかった。
比較例12〜15に示されるように、充填剤とバインダー樹脂に軽量化材として中空無機フィラーのみを加えた組成とした場合、十分な耐火性が得られなかった。例えば、比重1を下回るような組成として、樹脂バインダーを30重量%、充填剤としてタルクを38重量%とし、中空無機フィラーを32重量%からなる比較例12のような組成があるが、やはり十分な耐火性が得られない。また、比較例14、15にかかるパテ組成物は、パテとして使用するには、手触りや硬さが良くない上、電気炉試験後に力が加わった場合に崩れやすかった。
実施例1〜21は比重0.6から1.0の組成であり、いずれも耐火性能に優れ、施工状態での燃焼試験においても問題はみられない。しかし組成の比重が小さいものほど樹脂製マイクロバルーンの配合量が多く耐火性が下がりやすい。また、比重を維持しつつ樹脂製マイクロバルーンを減らすために、同比重に相当する樹脂製マイクロバルーンと充填剤を、中空無機フィラーに置き換えると、中空無機フィラーの配合量が多くなって製造時の中空無機フィラーの破壊が増え、安定した製造が難しくなる。
このため実施例7〜14にあるように、非硬化型耐火性パテ組成物として中空無機フィラーAを主組成物中それぞれ8.4〜12.8重量%含み、その中空無機フィラーAに対し体積比で2.0〜5.0倍の範囲を満足するように、5.0〜6.5重量%の樹脂製マイクロバルーンを含んでいる。体積で見るとパテ組成物中にこれら中空無機フィラーAと樹脂製マイクロバルーンは合わせて主組成物中50.4〜56.2体積%含まれる。組成残量のうち樹脂バインダーは主組成物中20.5〜29.7重量%含まれ、充填剤が主組成物中53.4〜63.2重量%含まれる。
実施例15〜20には、中空無機フィラーを中空無機フィラーAから中空無機フィラーB、中空無機フィラーCに変更した場合、およびこれらを複数種類使用した場合の組成を示す。実施例15〜19は実施例13に対応する組成で重量%は実施例13と等しく、体積%は各中空無機フィラーの真比重に応じて変動する。実施例20は中空無機フィラーA、B、C、三種を使用した場合の組成である。
実施例15〜16に示されるように中空無機フィラーAと中空無機フィラーBは相互に置き換えること、および混合することに問題はない。
中空無機フィラーCはその粒径の細かさの違いから中空無機フィラーAや中空無機フィラーBと比較して表面積が増加し、充填密度が高くなることからパテにしたときに多少硬くなるという特徴を有するが、中空無機フィラーとしては中空無機フィラーAや中空無機フィラーBとほぼ同列に取り扱うことが可能であり、中空無機フィラーC(シラスバルーン)を用いた実施例17〜19のように耐火性能は十分である。実施例17は実施例13に対応した組成であり、かつ中空無機フィラーAと中空無機フィラーCを重量で1:1の比率で含む組成で、総合評価としては良好(総合評価◎)である。上記の理由により、実施例18は実施例13に対応した中空無機フィラーC単体の組成であるため、パテとしては固めでつなぎが悪く、総合評価としては実施例1〜6と同等(総合評価△)である。同様に上記の理由により、実施例19は実施例13に対応した組成であり、かつ中空無機フィラーBと中空無機フィラーCを重量で1:1の比率で含む組成だが、パテとしては少し固めであり総合評価としては実施例1〜6と同等(総合評価○)である。実施例20は、中空無機フィラーA、B,Cをともに所定割合で含む組成であり、総合評価は◎で問題はなかった。
なお、中空無機フィラーCのみを中空無機フィラーとして用いる場合でも、各組成を調整することで、実施例10、11とほぼ同様の評価(総合評価◎)の組成も得られた。
実施例21は実施例13に対応した組成で、無機粉体でコーティングされた樹脂製バルーンAの樹脂製バルーン部分に対応する体積をコーティングされていない樹脂製バルーンBに置き換え、無機粉体コーティング部分に対応する体積を中空無機フィラーAに置き換えた組成である。ここで無機粉体コーティングに相当する部分を中空無機フィラーAに置き換えたのは軽量化のためである。置き換えは上記のように体積を置き換えるように重量配合しているため、実施例13における樹脂バルーンAの6.4重量%から実施例21における樹脂バルーンBでは1.4重量%となる。これによりパテ組成物の比重は実施例13に比べると軽くなるが、その物性は実施例13とほぼ変わらない。
[耐火性試験]
実際に使用される状況を想定し、厚さ75mmの軽量気泡コンクリ―トパネルに直径160mmの開口を設け、図2のように、ケーブルと配管を貫通させた試験体に耐火性パテを施工して60分の耐火試験を実施した。加熱は図3のISO834に準じた標準加熱曲線に従って行い、60分間で最大945℃まで加熱した。耐火性パテとしては、実施例7に係る非硬化型耐火性パテを用いた。
バックアップ材には板状ロックウールを開口の形状に合わせて切断したものと、生体溶解性のアルカリアースシリケートウールブランケットを不織布で包んだブロックをそれぞれ厚さ25mmで開口内に充填し、その上に本開発品を10〜35mmの厚さで充填した。
試験の結果、表9のように全ての条件で合格し、実施例7に係る非硬化型耐火性パテが十分な耐火性能を有することが確認できた。同様に、実施例1から実施例6及び実施例8〜実施例21のパテについても、同様の耐火性試験を行った結果、いずれも材料も耐火性は良好で、且つ比重が1未満となるため、耐火性と軽量性の両者に優れることが確認された。
以上、添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は係る例に限定されない。当業者であれば、本願で開示した技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到しえることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
1………ケーブル
3………支持金具
5………バックアップ材
7………非硬化型耐火性パテ組成物
9………コンクリート
11………区画A
13………区画B

Claims (8)

  1. 充填剤とバインダー樹脂と中空無機フィラーと、樹脂製マイクロバルーンとを含む非硬化型耐火性パテ組成物であって、
    前記充填剤が、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、タルク、フライアッシュからなる群より選ばれる1種類もしくは2種類以上を含み、
    前記バインダー樹脂が、ポリブテンオイル、液状ポリブタジエン、液状スチレンブタジエンゴム、液状クロロプレンゴム、液状イソプレンゴムからなる群より選ばれる1種類もしくは2種類以上を含み、
    前記樹脂製マイクロバルーンは、無機粉体で少なくとも表面の一部がコーティングされており、前記樹脂製マイクロバルーンの外殻を構成する樹脂が、アクリロニトリル樹脂、フェノール樹脂、塩化ビニリデンからなる群より選ばれる1種類もしくは2種類以上を含むもので、
    前記充填剤と前記バインダー樹脂と前記中空無機フィラーと前記無機粉体でコーティングされた樹脂製マイクロバルーンの合計重量に対してそれぞれが占める重量割合は、前記充填剤が25〜65重量%、前記バインダー樹脂が20〜40重量%、前記中空無機フィラーが5〜40重量%、前記無機粉体でコーティングされた樹脂製マイクロバルーンが1〜13重量%の範囲にあり、少なくとも前記充填剤と前記バインダー樹脂と前記中空無機フィラーと、前記無機粉体でコーティングされた樹脂製マイクロバルーンの合計が100重量%になるようにこれらを含むものであることを特徴とする非硬化型耐火性パテ組成物。
  2. 前記中空無機フィラーが、フライアッシュバルーンとシラスバルーンとパーライトのうちの少なくとも一種類を含むことを特徴とする請求項1に記載の非硬化型耐火性パテ組成物。
  3. 前記中空無機フィラーの体積Vに対する前記無機粉体でコーティングされた樹脂製マイクロバルーンの体積Vの体積比(V/V)が、0.3〜6.0倍であり、
    前記中空無機フィラーと前記無機粉体でコーティングされた樹脂製マイクロバルーンの合計量が、前記充填剤と前記バインダー樹脂と前記中空無機フィラーと前記無機粉体でコーティングされた樹脂製マイクロバルーンの合計体積を100体積%とすると、前記合計体積に対して45〜72体積%含まれることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の非硬化型耐火性パテ組成物。
  4. 前記非硬化型耐火性パテ組成物において、前記充填剤と前記バインダー樹脂と前記中空無機フィラーと前記無機粉体でコーティングされた樹脂製マイクロバルーンの合計重量に対してそれぞれが占める重量割合は、前記充填剤が50〜65重量%、前記樹脂バインダーが20〜30重量%、前記中空無機フィラーが8〜15重量%、前記無機粉体でコーティングされた樹脂製マイクロバルーンが4〜7重量%の範囲にあり、
    少なくとも前記充填剤と前記バインダー樹脂と前記中空無機フィラーと、前記無機粉体でコーティングされた樹脂製マイクロバルーンの合計が100重量%になるようにこれらを含むもので、
    さらに前記中空無機フィラーの体積Vに対する前記無機粉体でコーティングされた樹脂製マイクロバルーンの体積Vの体積比(V/V)が2.0〜5.0倍の範囲であり、
    前記中空無機フィラーと前記無機粉体でコーティングされた樹脂製マイクロバルーンの合計量が、前記充填剤と前記バインダー樹脂と前記中空無機フィラーと前記無機粉体でコーティングされた樹脂製マイクロバルーンの合計体積を100体積%とすると、前記合計体積に対して45〜60体積%含まれることを特徴とする請求項3に記載の非硬化型耐火性パテ組成物。
  5. 前記非硬化型耐火性パテ組成物には、前記無機粉体でコーティングされた樹脂製マイクロバルーンの代わりに、樹脂製マイクロバルーンの表面が無機粉体でコーティングされていない樹脂製マイクロバルーンを用い、
    前記無機粉体でコーティングされていない樹脂製マイクロバルーンの配合割合が0.3〜3重量%で、
    前記中空無機フィラーの体積Vに対する前記無機粉体でコーティングされていない樹脂製マイクロバルーンの体積Vの体積比(V/V)が2.0〜5.0倍の範囲を満足し、
    さらに前記中空無機フィラーと前記無機粉体でコーティングされていない樹脂製マイクロバルーンの合計量が、前記充填剤と前記バインダー樹脂と前記中空無機フィラーと前記無機粉体でコーティングされていない樹脂製マイクロバルーンの合計体積を100体積%とすると、前記合計体積に対して45〜60体積%含まれることを特徴とする請求項1に記載の非硬化型耐火性パテ組成物。
  6. 前記非硬化型耐火性パテ組成物の比重が1.0未満であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の非硬化型耐火性パテ組成物。
  7. 前記非硬化型耐火性パテ組成物の100質量部に対して、赤燐、ポリリン酸アンモニウム、リン酸エステル、硼砂、ホウ酸、ポリホウ酸ナトリウム、ホスファゼン、スズ酸亜鉛からなる群より選ばれる1種類もしくは2種類以上の混合物を、難燃材として3〜10質量部添加したことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の非硬化型耐火性パテ組成物。
  8. 前記非硬化型耐火性パテ組成物の100質量部に対して、安息香酸エステル系可塑剤、エポキシ系可塑剤、リン酸エステル系可塑剤、塩素化パラフィン可塑剤、アジピン酸系可塑剤、フタル酸エステル系可塑剤からなる群より選ばれる1種類もしくは2種類以上を、可塑剤として3〜9質量部数添加したことを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の非硬化型耐火性パテ組成物。
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