JPH11152465A - 蓄熱装置およびその製造方法 - Google Patents

蓄熱装置およびその製造方法

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JPH11152465A
JPH11152465A JP10256312A JP25631298A JPH11152465A JP H11152465 A JPH11152465 A JP H11152465A JP 10256312 A JP10256312 A JP 10256312A JP 25631298 A JP25631298 A JP 25631298A JP H11152465 A JPH11152465 A JP H11152465A
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JP
Japan
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heat storage
heat
agent
storage material
organic latent
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Application number
JP10256312A
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English (en)
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Yoshio Irie
好夫 入江
Hiroshi Nagamura
洋 長村
Tomonori Gomi
知紀 五味
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Nippon Shokubai Co Ltd
Original Assignee
Nippon Shokubai Co Ltd
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    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
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    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02PCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES IN THE PRODUCTION OR PROCESSING OF GOODS
    • Y02P20/00Technologies relating to chemical industry
    • Y02P20/10Process efficiency

Abstract

(57)【要約】 【課題】 温度などの適用範囲の広く、蓄熱効率が高い
蓄熱装置およびその簡便な製造方法を提供する。 【解決手段】 流動性熱媒体が通る通路を形成した容器
内に、相変化により蓄熱性を有する有機系潜熱蓄熱剤
と、上記有機系潜熱蓄熱剤を保形可能に保持した高分子
化合物とを備えた蓄熱材を、上記通路に面して、ほぼ間
断なく、密着して充填した蓄熱装置。容器内に、上記構
成を有する蓄熱材が設けられ、容器内における蓄熱材の
IPFが60%以上、かつ、容器内に対し入出自在にあ
る熱交換のための流動性熱媒体と蓄熱材との間での伝熱
表面積(S)と、蓄熱材容積(V)との間での商である
S/Vが、40m2 /m3 以上となっている蓄熱装置、
および、上記高分子化合物を重合および/または架橋に
より容器内にて形成する蓄熱装置の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、水熱蓄熱などに用
いられる蓄熱装置およびその製造方法に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】相変化熱エネルギー貯蔵システムは、パ
ラフィンや高級アルコール等の有機系潜熱蓄熱剤を相変
化物質として用い、上記有機系潜熱蓄熱剤における液相
と固相との間の相変化により、30 cal/gを越える比
較的高い融解潜熱を利用できるという利点を備え、ま
た、各有機系潜熱蓄熱剤からの選択、あるいは、上記各
有機系潜熱蓄熱剤の混合によって、その融点が、−20
℃の低温から100℃を越える高温域まで自由に設定で
きるという利点も備えている。
【0003】従来より、このような相変化熱エネルギー
貯蔵システムは、上記の比較的高い融解潜熱を利用し
て、夜間の安価な電力を利用して蓄熱または蓄冷し、昼
間にその熱エネルギーを取り出して利用することによっ
て、エネルギーコストを抑制できることから、種々の利
用法が提案されている。
【0004】例えば、 特開平4−85387号公報
では、蓄熱成分としてのパラフィン類と、ポリオレフィ
ン系ポリマー類などの炭化水素系有機高分子からなるバ
インダ成分とが互いに機械的手段にて混合されてなる、
パラフィン類における液化時の流動性が抑制された蓄熱
材が開示されている。
【0005】上記機械的手段にての混合とは、パラフィ
ン類と炭化水素系有機高分子の双方中の少なくとも1成
分の溶融物に残余の成分が少なくとも膨潤好ましくは溶
解することにより、あるいは高温度により、混合対象と
なる何れの成分も外力にて流動変形し得る状態におい
て、撹拌、混合、混練する操作を意味する。
【0006】 特開平8−143860号公報には、
固相−液相間を可逆的に相転移する有機系蓄熱材と粘度
の異なる複数のポリオレフィンを混合混練する蓄熱体の
製造方法が開示されている。
【0007】 特開平5−223292号公報には、
流動性冷媒の冷却手段を備えた冷媒循環系内に蓄熱槽を
有してなり、その蓄熱槽内に流動性冷媒が管路を伴うこ
となく貯留されていると共に、その流動性冷媒に接触す
る状態で蓄熱材が配置されており、その蓄熱材が凝固性
蓄熱成分を保持体を介して流出不能に内蔵する保形物か
らなる蓄熱装置が開示されている。
【0008】 特開平9−14877号公報には、結
晶化度40%未満の低結晶性ポリオレフィンからなる基
質と、この基質に担持された、固相−液相間を可逆的に
相転移する有機系蓄熱材を構成材料とする蓄熱体
(1)、及び、この蓄熱体(1)に直接接触する熱媒の
流路(2)を備える熱交換素子であって、上記蓄熱体
(1)が互いに一部を固着した粒子(1a)の集合体で
あり、これら粒子(1a)間の空隙を流路(2)とする
熱交換素子が開示されている。
【0009】 特開平4−278186号公報には、
パラフィン類を、自己膨潤型の高吸油性樹脂のうちの粒
子タイプのものの固体粒子に吸収せしめて、その高吸油
性樹脂の粒子を、蓄熱槽内に、その蓄熱槽を流過する熱
媒体との熱交換を可能に所望量、すなわち蓄熱槽内にギ
ッシリと、または、蓄熱槽内の熱媒体中に分散して流動
するように装填した蓄熱装置が開示されている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記
〜の各公報に記載の蓄熱材や蓄熱体では、ポリオレフ
ィンを用いているため、ポリオレフィン/パラフィン類
等の蓄熱成分の混合物を100℃以上の高温で溶融させ
て、蓄熱装置の容器内に充填する必要がある。
【0011】よって、上記蓄熱材や蓄熱体では、高温に
より火災の危険性が生じると共に、冷却時の蓄熱材や蓄
熱体の収縮剥離、溶融させても高い溶融粘度による容器
への充填時に、充填不能、あるいは気泡発生による充填
不良等により、高い充填率(以下、IPF〔Ice Packin
g Factor〕という)による蓄熱性に優れた蓄熱装置が達
成できないという問題を生じている。
【0012】また、前記〜の各公報に記載の蓄熱装
置や熱交換素子では、冷媒や熱媒体が通る流路が、粒子
状の各蓄熱材や蓄熱体の間にそれぞれ形成される各空隙
となっているので、各空隙の疎密などによって熱媒体な
どの流通が不安定化し、よって、熱媒体などがほとんど
通過しない部分(デッドスペース)が生じて蓄熱効率が
劣化することがあるという問題を備えている。
【0013】さらに、前記の公報に記載の蓄熱装置に
おいて、高吸油性樹脂の粒子を、水または熱伝導性向上
のための粉体と共に充填した蓄熱槽内に、熱媒体と熱交
換するためのパイプを通した蓄熱装置が開示されている
が、上記高吸油性樹脂の粒子がパイプに密着せず、水や
粉体を介して熱を伝達するため、伝熱効率が低いという
問題を有している。
【0014】一方、上記粒子を、蓄熱槽内の熱媒体中に
分散して流動するように装填した場合、前記〜と同
様に、熱媒体の流通が不安定化し、よって、熱媒体がほ
とんど通過しない部分(デッドスペース)が生じて蓄熱
効率が劣化することがあるという問題を備えている。
【0015】
【課題を解決するための手段】本願発明者等は、上記目
的を達成すべく鋭意検討した結果、蓄熱性を有する有機
系潜熱蓄熱剤を保形可能に保持した高分子化合物からな
る蓄熱材が、IPFが高く、かつ、伝熱比面積の大きな
高精細な構造を有する蓄熱装置に対して、比較的に簡便
に、かつ安定に適用できることを見い出して本発明を完
成させるに至った。
【0016】すなわち、請求項1記載の発明の蓄熱装置
は、上記の課題を解決するために、熱交換のための流動
性熱媒体が、通路を介して容器内に対して入出自在であ
り、上記流動性熱媒体が通る通路を形成した容器内に、
相変化により蓄熱性を有する有機系潜熱蓄熱剤と、上記
有機系潜熱蓄熱剤を保形可能に保持した高分子化合物と
を備えた蓄熱材が、上記通路に面して、ほぼ間断なく密
着して充填されていることを特徴としている。
【0017】また、請求項2記載の発明の蓄熱装置は、
上記の課題を解決するために、熱交換のための流動性熱
媒体が、容器内に対し入出自在であり、容器内に、相変
化により蓄熱性を有する有機系潜熱蓄熱剤と、上記有機
系潜熱蓄熱剤を保形可能に保持した高分子化合物とを備
えた蓄熱材が設けられ、蓄熱材は、容器内における蓄熱
材のIPFが60%以上、かつ、流動性熱媒体と蓄熱材
との間での伝熱表面積(S)と蓄熱材容積(V)との間
での商であるS/Vが、40m2 /m3 以上となってい
ることを特徴としている。
【0018】上記請求項1または2記載の発明の蓄熱装
置は、有機系潜熱蓄熱剤が蓄熱性を有することから、熱
媒体との温度の相違に応じて、例えば、凝固している有
機系潜熱蓄熱剤の相変化温度より熱媒体の温度が高くな
ると、蓄熱性により有機系潜熱蓄熱剤が融解によって熱
媒体から吸熱し,融解している有機系潜熱蓄熱剤の相変
化温度より熱媒体の温度が低くなると蓄熱性により有機
系潜熱蓄熱剤が凝固によって熱媒体に対し放熱する。こ
のことから、上記構成では、容器に対して入出自在な熱
媒体を介して、容器の外部との間にて熱交換することが
可能となる。
【0019】また、上記請求項1または2記載の発明の
蓄熱装置は、高分子化合物によって、有機系潜熱蓄熱剤
の滲みだしや、漏洩が抑制されるので、製造時、輸送
時、使用時に安全であり、かつ、蓄熱装置外への汚染が
回避できる。また、有機系潜熱蓄熱剤が危険物であって
も、漏洩を防止できるので非危険物とすることが可能と
なる。
【0020】さらに、上記請求項1記載の発明の蓄熱装
置は、上記の容器が、流動性熱媒体を通す通路を備えて
おり、蓄熱材が、上記通路に面して、ほぼ間断なく密着
して充填されているため、上記請求項1記載の発明によ
れば、蓄熱材は、伝熱面に対してほぼ間断なく密着して
充填されていることになる。従って、従来よりも伝熱効
率の改善された、蓄熱効率の向上した蓄熱装置を提供す
ることが可能となる。
【0021】また、上記請求項2記載の発明の蓄熱装置
では、容器内における蓄熱材のIPFが60%以上とな
っていることから、小さな容器においても大きな蓄熱性
を実現でき、かつ、流動性熱媒体と蓄熱材との間での伝
熱表面積(S)と蓄熱材容積(V)との間での商である
S/Vが、40m2 /m3 以上となっているので、優れ
た伝熱効率が可能となる。
【0022】請求項3記載の発明の蓄熱装置の製造方法
は、流動性熱媒体が通る通路を形成した容器内にて、相
変化により蓄熱性を有する有機系潜熱蓄熱剤中で、単量
体成分を重合して、上記単量体成分を重合してなる重合
体中に、相変化により液化する有機系潜熱蓄熱剤の流動
性を低下するように上記有機系潜熱蓄熱剤を保持させた
ことを特徴としている。
【0023】上記方法によれば、液体状の単量体成分と
有機系潜熱蓄熱剤との混合物を、低粘度の液体とするこ
とができることから、容器内に対し、有機系潜熱蓄熱剤
を保持した重合体を充填するとき、上記容器内が、高い
伝熱比面積や蓄熱材の高いIPFを実現するための通路
によって、複雑な、または高精細な構造を有していて
も、低粘度な液体である上記混合物を上記容器内に、気
泡の発生を回避しながら投入することが容易にできる。
【0024】したがって、上記方法では、このような投
入された混合物の単量体成分を、通路に熱媒体を通して
加熱し、重合を促進しながら重合することによって、有
機系潜熱蓄熱剤の存在下にて重合された重合体を簡便に
得ることができ、上記有機系潜熱蓄熱剤を保持できる重
合体とすることが可能となる。
【0025】これにより、上記方法では、単量体成分を
容器内に充填してから重合できるので、重合体を、伝熱
面とした通路に面して連続的に、つまり、ほぼ間断なく
密着して形成したものとして得ることが可能となること
から、従来より伝熱効率の改善された、蓄熱効率の向上
した蓄熱装置を製造することが確実化できる。
【0026】その上、上記方法では、単量体成分の重合
においては、単量体成分の間に有機系潜熱蓄熱剤が介在
した状態となっており、そのように有機系潜熱蓄熱剤が
介在した状態にて単量体成分を重合させると、より多く
の有機系潜熱蓄熱剤を含有し得る、すなわち単量体成分
から得られた重合体の内部において、有機系潜熱蓄熱剤
を、より多く保持して保形し得る空間を確保できる。
【0027】よって、上記方法では、有機系潜熱蓄熱剤
をより多く保持して保形できる重合体を得ることが可能
となるから、有機系潜熱蓄熱剤の含有率を向上できて、
より多くの上記有機系潜熱蓄熱剤によって、蓄熱装置に
おける蓄熱効率を改善することが可能となる。
【0028】請求項4記載の発明の蓄熱装置の製造方法
は、さらに、重合体は、架橋構造を有することを特徴と
している。上記方法によれば、重合体が、架橋構造を有
することによって、三次元網目構造を備えることが可能
となるので、三次元網目構造を有する高分子化合物を備
えた蓄熱材において、有機系潜熱蓄熱剤を高分子化合物
の三次元網目構造によって立体的に保持でき、よって、
有機系潜熱蓄熱剤の保持・保形を確実化、安定化するこ
とが可能となる。
【0029】その上、上記方法では、高分子化合物の三
次元網目構造によって、より多くの有機系潜熱蓄熱剤を
蓄熱材によって保持でき、蓄熱材における有機系潜熱蓄
熱剤の割合を増加させることが可能となる。したがっ
て、上記方法では、有機系潜熱蓄熱剤の保持割合を増加
させることによって、さらに蓄熱効率を改善できる。
【0030】また、上記蓄熱材は、三次元網目構造によ
り有機系潜熱蓄熱剤を保持することから、上記有機系潜
熱蓄熱剤を立体的に、つまり上下左右から保持できるの
で、より高温(60〜90℃)となっても上記有機系潜
熱蓄熱剤を、その滲みだしを防止しながら保持・保形す
ることが可能となる。よって、上記方法では、蓄熱材の
適用範囲を拡大できる蓄熱装置を得ることが可能とな
る。
【0031】請求項5記載の発明の蓄熱装置の製造方法
は、架橋のための官能基を備えた反応性単量体を含む単
量体成分を重合して得られる架橋前重合体を、流動性熱
媒体が通る通路を形成した容器内にて、相変化により蓄
熱性を有する有機系潜熱蓄熱剤の存在下で、架橋剤によ
り官能基間を架橋させて、架橋前重合体に対し架橋構造
を形成することを特徴としている。
【0032】上記方法によれば、予め重合して得られた
架橋前重合体を、相変化により蓄熱性を有する有機系潜
熱蓄熱剤とともに容器内に充填した後、上記容器内にて
架橋して架橋構造を有する重合体を形成できるので、容
器内に、有機系潜熱蓄熱剤を保持した重合体を充填する
ために要する時間を短縮化することが可能となる。
【0033】
【発明の実施の形態】以下に本発明の一実施の形態につ
いて詳しく説明する。本発明にかかる蓄熱装置は、熱交
換のための流動性熱媒体が、通路を介して容器内に対し
入出自在であり、上記流動性熱媒体が通る通路を形成し
た容器内に、相変化により蓄熱性を有する有機系潜熱蓄
熱剤と、上記有機系潜熱蓄熱剤を保形可能に保持した高
分子化合物とを備えた蓄熱材が、上記通路に面して、ほ
ぼ間断なく密着して充填されていることで、上記蓄熱材
が、伝熱面に対して、ほぼ間断なく密着して充填されて
いるものである。ここで、伝熱面とは、一方の面が熱交
換のための流動性熱媒体に接触し、他方の面が蓄熱材に
接触する面、即ち、通路における上記蓄熱材との接触面
を示し、該通路が蓄熱材によって形成される空隙である
場合は、流動性熱媒体と蓄熱材との接触面を伝熱面と言
う。そして、蓄熱材が上記伝熱面に対して、ほぼ間断な
く密着して充填されているとは、蓄熱材が伝熱面の伝熱
表面積の好ましくは95%以上、最も好ましくは間断な
く(100%)密着して充填されていることを示す。
【0034】また、本発明にかかる蓄熱装置は、容器内
における蓄熱材のIPFが60%以上、かつ、流動性熱
媒体と蓄熱材との間での伝熱表面積(S)と蓄熱材容積
(V)との間での商であるS/Vが、40m2 /m3
上となっている。上記のIPFとは、蓄熱装置内の、容
器の総容積における蓄熱材の容積の割合を%で示したも
のである。
【0035】さらに、蓄熱材は、流動性熱媒体が通る通
路以外の容器内の部位に有するように設けられているこ
とが好ましい。このような構成では、蓄熱材は、流動性
熱媒体が通る以外の容器内の部位において、連続的に充
填され、このような容器はいわゆる内融式熱交換器とな
ることから、高いIPFを達成できる。また、上記構成
では、流動性熱媒体が通る通路を多くしたり、通路の径
を小さくできるので、S/Vを大きくすることができ
る。よって、蓄熱材と流動性熱媒体との間での伝熱効率
が向上し、したがって蓄熱効率も改善される。
【0036】その上、蓄熱材は、流動性熱媒体が、該蓄
熱材と直接、接触して通る通路(空隙)を容器内に有す
るように設けられていることが望ましい。このような構
成では、蓄熱材は、流動性熱媒体と直接接触することか
ら、蓄熱材を伝熱面に対して間断なく密着させることが
できる。この結果、蓄熱材と流動性熱媒体との間での伝
熱効率を向上でき、よって蓄熱効率も改善される。ま
た、上記構成では、通路を蓄熱材によって形成すること
により、上記通路のための他の部材を省くことができる
ので、製造コストを抑制できる。
【0037】その上、高分子化合物は、有機系潜熱蓄熱
剤をゲル化によって保形して保持するための三次元網目
構造を備えたものが望ましい。高分子化合物は、高分子
化合物の固体状態を維持して有機系潜熱蓄熱剤を保形可
能にゲル化により保持できるものが望ましい。
【0038】このように蓄熱材の高分子化合物が、その
固体状態を維持して有機系潜熱蓄熱剤を保形可能に保持
するものである場合、従来のポリオレフィンのように、
樹脂を溶解させてパラフィン等を含有させる必要がな
い。よって、溶融による高温に起因する火災の危険性を
抑制できると共に、冷却時の蓄熱材や蓄熱体の収縮剥
離、溶融させても高い溶融粘度による容器への充填時
に、充填不能、あるいは気泡発生による充填不良等を回
避できる。これにより、上記構成では、IPFを向上で
きて高いIPFを達成できるから、蓄熱性を向上でき
る。
【0039】流動性熱媒体としては、顕熱によって熱を
移送できるものであればよく、例えば水、ブライン、有
機溶媒、潤滑油、ポリエチレングリコール、空気、およ
びそれらの混合物などを挙げることができる。
【0040】通路の形状としては、円管状(パイプ
状)、ジムロート状、コイル状、板状(層状)、円筒
状、渦巻状(ロール状)、チューブ状などが挙げられ
る。このような通路を有することにより、流動性熱媒体
が蓄熱材に対し流通しないデッドスペースの形成が回避
できるので、流動性熱媒体の流通を安定化できる。そし
て、これら種々の形状を有する通路を適宜選択し、ある
いは組み合わせて設けることにより、最適な熱交換器が
得られる。
【0041】蓄熱性を有する有機系潜熱蓄熱剤として
は、常温(25℃)付近、常圧(1気圧)において、後
述の単量体成分の重合や後述の架橋前重合体の架橋も阻
害することが回避されるもので、潜熱蓄熱により熱エネ
ルギーを貯蔵し、放出できるものであればよい。
【0042】このような潜熱蓄熱が可能な有機系潜熱蓄
熱剤としては、例えばアルコール類、エーテル類、脂肪
酸類、脂肪酸エステル類、ポリエチレングリコール類、
パラフィン類などの炭化水素化合物を挙げることができ
る。これらの中で、好ましくは、アルコール類、パラフ
ィン類、特に好ましくは、パラフィン類である。
【0043】これは、パラフィンが、高い融解潜熱が明
確な凝固点と共に得られること、凝固点が自由に選べる
こと等の利点を有し、さらに、後述する単量体成分や架
橋前重合体を容易に溶解し、また、単量体成分の重合
や、架橋前重合体の架橋の際の多官能化合物と反応せず
上記架橋を阻害することが回避されるものであり、その
上、容易に入手でき、さらに、広範囲な温度範囲に適用
できる蓄熱材を安定に得ることができるからである。
【0044】このような蓄熱材を、簡便に、かつ、安定
に製造することができるのは、構造が互いに異なる各パ
ラフィンにおいて融点の温度範囲が広く分布しており種
々な融点を有するパラフィンをそれぞれ選定できるから
である。
【0045】このような炭化水素化合物としては、具体
的には、C14〜C16パラフィン、C15〜C16パラフィ
ン、ペンタデカン、C14パラフィン、C16パラフィンな
ど常温で液体である中級パラフィン、または、常温で固
体である高級パラフィンなどを挙げることができる。
【0046】また、他の有機系潜熱蓄熱剤としては、ポ
リエチレングリコール、ポリプロピレングリコールなど
のグリコール類、あるいは1-デカノールといった高級ア
ルコールなどを挙げることができる。これら有機系潜熱
蓄熱剤は、一種類のみを用いてもよいし、適宜、二種類
以上を混合して用いてもよい。
【0047】高分子化合物としては、高分子化合物1g
当たり0.5g以上、好ましくは3g以上、より好まし
くは8g以上の有機系潜熱蓄熱剤の保持が可能な高分子
化合物が好ましく、そのなかでも、パラフィン、特に、
ペンタデカンに対する25℃における平衡保持倍率が3
g/g以上を有する高分子化合物、或いは、用いる有機
系潜熱蓄熱剤の融点よりも10℃高い温度における、有
機系潜熱蓄熱剤に対する平衡保持倍率が3g/g以上を
有する高分子化合物が特に好ましい。
【0048】上記の高分子化合物は、蓄熱材においてパ
ラフィン等の油性の有機系潜熱蓄熱剤を用いる場合、上
記有機系潜熱蓄熱剤に対し親和性を有する親油性基(親
和性基)を有する、例えば溶解度パラメーター(SP
値)が9以下で、かつ、分子中に1個の重合性基を有す
る単量体(A)を含む単量体成分を重合することによっ
て得られたものが好ましい。
【0049】また、上記高分子化合物は、蓄熱材におい
てポリエチレングリコール等の側鎖にエチレンオキシド
あるいはプロピレンオキシドを有する水性の有機系潜熱
蓄熱剤を用いる場合、上記有機系潜熱蓄熱剤に対し親和
性を有する親水性基を有する、例えば、単量体成分の単
量体として、側鎖にエチレングリコールあるいはプロピ
レングリコール構造(親和性基)を有する(メタ)アク
リレート等を用いることが望ましい。上記高分子化合物
は、有機系潜熱蓄熱剤の存在下にて、上記単量体成分を
重合してなるものが望ましい。
【0050】上記溶解度パラメーターとは、化合物の極
性を表す尺度として一般的に用いられているパラメータ
ーであり、本発明では、Small の計算式にHoy の凝集エ
ネルギー定数を代入して導いた値(単位(cal/cm3)
1/2 )を適用している。このような親和性基を有するこ
とにより、高分子化合物は、その固体状態を維持して、
有機系潜熱蓄熱剤を保形して、つまりゲル化して保持す
ることができるさらに、高分子化合物は、それに三次元
網目構造を形成するために、単量体成分が、後述する架
橋性単量体を含んで上記単量体成分を重合したもの、ま
たは、単量体成分が、反応性単量体を含み、上記単量体
成分を重合させた後、後述する架橋性縮合剤により架橋
させたものが望ましい。
【0051】このような高分子化合物の製造方法として
は、蓄熱性を有する有機系潜熱蓄熱剤の存在下で、好ま
しくはさらに油溶解性ラジカル重合開始剤の存在下、単
量体成分を重合して、上記単量体成分を重合してなる重
合体中に、相変化により液化する有機系潜熱蓄熱剤の流
動性が低下するように上記有機系潜熱蓄熱剤を保持させ
る方法が挙げられる。また、上記単量体成分から得られ
た重合体と、有機系潜熱蓄熱剤とが基本的に相溶する
(極性的に近いもの同士の)組合せを選定するのが好ま
しい。
【0052】前記単量体(A)が有する重合性基として
は、例えば、ラジカル重合、放射線重合、付加重合、重
縮合等の重合方法により高分子化合物を得ることができ
る重合性基であれば、特に限定されるものではない。上
記単量体(A)のなかでも、ラジカル重合により簡便に
高分子化合物を製造できる重合性不飽和基を有する単量
体(以下、単量体(a)と称する)を用いることが好ま
しい。
【0053】上記単量体(a)としては、具体的には、
例えば、プロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メ
タ)アクリレート、iso-ブチル(メタ)アクリレート、
t-ブチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メ
タ)アクリレート、n-オクチル(メタ)アクリレート、
ドデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)ア
クリレート、フェニル(メタ)アクリレート、オクチル
フェニル(メタ)アクリレート、ノニルフェニル(メ
タ)アクリレート、ジノニルフェニル(メタ)アクリレ
ート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、メンチル
(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレ
ート、ジブチルマレエート、ジドデシルマレエート、ド
デシルクロトネート、ジドデシルイタコネート等の不飽
和カルボン酸エステル;(ジ)ブチル(メタ)アクリル
アミド、(ジ)ドデシル(メタ)アクリルアミド、
(ジ)ステアリル(メタ)アクリルアミド、(ジ)ブチ
ルフェニル(メタ)アクリルアミド、(ジ)オクチルフ
ェニル(メタ)アクリルアミド等の、炭化水素基を有す
る(メタ)アクリルアミド;ビニルシクロヘキサン等の
脂環式ビニル化合物;ドデシルアリルエーテル等の炭化
水素基を有するアリルエーテル;カプロン酸ビニル、ラ
ウリン酸ビニル、パルミチン酸ビニル、ステアリン酸ビ
ニル等の、炭化水素基を有するビニルエステル;ブチル
ビニルエーテル、ドデシルビニルエーテル等の、炭化水
素基を有するビニルエーテル;スチレン、t−ブチルス
チレン、オクチルスチレン等の芳香族ビニル化合物等が
挙げられるが、特に限定されるものではない。
【0054】さらに、前記単量体(A)としては、上記
単量体(a)以外にも、例えばノルボルネン系単量体等
を用いることができる。上記単量体(A)として例えば
ノルボルネン系単量体を用いる場合には、開環重合もし
くはラジカル重合等の重合方法を採用することにより、
容易に所望する高分子化合物を得ることができる。これ
ら単量体(A)は、一種類のみを用いてもよいし、適
宜、二種類以上を混合して用いてもよい。
【0055】また、上記単量体成分中に必要に応じて含
まれるその他の単量体、即ち、単量体(A)以外のその
他の単量体としては、該単量体(A)と共重合可能な単
量体であれば、特に限定されるものではない。上記その
他の単量体としては、例えば、溶解度パラメーターが9
を超え、かつ、分子中に1個の重合性不飽和基を有する
単量体が挙げられる。
【0056】上記溶解度パラメーターが9を超え、か
つ、分子中に1個の重合性不飽和基を有する単量体とし
ては、具体的には、例えば、(メタ)アクリル酸、アク
リロニトリル、無水マレイン酸、フマル酸、ヒドロキシ
エチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール
(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコー
ル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0057】前述の架橋性単量体としては、具体的に
は、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレー
ト、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポ
リエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエ
チレングリコール−ポリプロピレングリコールジ(メ
タ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)ア
クリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アク
リレート、1,3−ブチレングリコールジ(メタ)アク
リレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレ
ート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、
N,N'−メチレンビスアクリルアミド、N,N'−プロピレン
ビスアクリルアミド、グリセリントリ(メタ)アクリレ
ート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレー
ト、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレー
ト、多価アルコール(例えば、グリセリン、トリメチロ
ールプロパンあるいはテトラメチロールメタン等)のア
ルキレンオキシド付加物と(メタ)アクリル酸とのエス
テル化によって得られる多官能(メタ)アクリレートや
ジビニルベンゼン等が挙げられる。これらその他の単量
体は、一種類のみを用いてもよいし、必要に応じて、二
種類以上を混合して用いてもよい。
【0058】上記各単量体の使用量、即ち、単量体成分
中における上記単量体(A)の含有量は、50重量%以
上が好ましく、70重量%以上がさらに好ましい。上記
単量体(A)の含有量が50重量%未満であれば、優れ
た有機系潜熱蓄熱剤の保持性能を有する高分子化合物を
得ることができなくなる可能性があるので好ましくな
い。
【0059】また、単量体成分における上記その他の単
量体は、50重量%以下の範囲内において、得られる高
分子化合物における有機系潜熱蓄熱剤の保持・保形性な
どの物性を損なわない範囲で用いればよい。
【0060】単量体成分が、前述した、分子中に少なく
とも2個の重合性不飽和基を有する架橋性単量体を含む
場合、単量体成分中における架橋性単量体の含有量は
0.001重量%〜4重量%となるように配合すること
が、得られた高分子化合物において、有機系潜熱蓄熱剤
をゲル化によって保形・保持するための三次元網目構造
を形成するために好ましい。
【0061】つまり、該単量体成分が、架橋性単量体を
含む場合における各単量体の配合割合は、単量体(A)
を含む、架橋性単量体以外の単量体の合計量96重量%
〜99.999重量%に対して、架橋性単量体0.00
1重量%〜4重量%(但し、各単量体の合計量、即ち、
単量体成分の総量は100重量%であり、単量体成分中
の単量体(A)の割合は、50重量%以上である)が好
ましい。
【0062】単量体成分中における架橋性単量体の割合
が4重量%を越えると、得られる高分子化合物の架橋密
度が高くなりすぎて多量の有機系潜熱蓄熱剤を保持する
ことができなくなるため好ましくない。また、架橋性単
量体の割合が0.001重量%未満では、架橋性単量体
を添加したことによる顕著な効果が得られない。
【0063】また、単量体成分が、前述した、高分子化
合物において三次元網目構造を形成するための、架橋の
ための官能基としての反応性置換基を有する反応性単量
体を含む場合、単量体成分に対し、それらの合計に対
し、反応性単量体0.005〜10重量%を含むことが
望ましい。
【0064】このような反応性単量体としては、後述す
る架橋剤が有する縮合性官能基(Y)と縮合して化学的
な結合(共有結合やイオン結合)を形成する縮合性官能
基(X)を有し、かつ重合性の不飽和結合を有する化合
物であればよい。このような縮合性官能基(X)として
は、カルボキシル基、ヒドロキシル基、メルカプト基、
ニトリル基、アミノ基、アミド基、イソシアナート基、
エポキシ基、酸無水物の重合性不飽和基が挙げられる。
【0065】反応性単量体としては、例えば、カルボキ
シル基を有するビニル系単量体、ヒドロキシル基を有す
るビニル系単量体、メルカプト基を有するビニル系単量
体、ニトリル基を有するビニル系単量体、アミノ基を有
するビニル系単量体、アミド基を有するビニル系単量
体、イソシアナート基を有するビニル系単量体、エポキ
シ基を有するビニル系単量体、重合性不飽和基を有する
酸無水物などを挙げることができ、これらの単量体を1
種または2種以上用いることができる。
【0066】カルボキシル基を有するビニル系単量体と
しては、(メタ)アクリル酸、フマル酸、イタコン酸な
どが挙げられる。ヒドロキシル基を有するビニル系単量
体としては、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、
ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、プ
ロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプ
ロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、グリセ
リン(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパン
(メタ)アクリレート、ヒドロキシスチレン等が挙げら
れる。
【0067】メルカプト基を有するビニル系単量体とし
ては、ビニルメルカプタン、メルカプトエチル(メタ)
アクリレート等が挙げられる。ニトリル基を有するビニ
ル系単量体としては、(メタ)アクリロニトリル等が挙
げられる。アミノ基を有するビニル系単量体としては、
アミノエチル(メタ)アクリレート、ビニルピリジン等
が挙げられる。
【0068】アミド基を有するビニル系単量体として
は、(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。イソシア
ナート基を有するビニル系単量体としては、ビニルイソ
シアナート等が挙げられる。エポキシ基を有するビニル
系単量体としては、グリシジル(メタ)アクリレート等
が挙げられる。重合性不飽和基を有する酸無水物として
は、無水マレイン酸などが挙げられる。
【0069】前記の架橋剤は、分子中に少なくとも2個
の縮合性官能基(Y)を有するものであり、上記反応性
単量体を含む単量体成分を重合してなる架橋前重合体に
含有された縮合性官能基(X)に応じて適宜選定され
る。このような架橋剤の例としては、縮合性官能基
(X)が、カルボキシル基、メルカプト基、ニトリル
基、エポキシ基である場合に縮合可能な、ジメチロール
フェノールやポリメチロールフェノール等のフェノール
樹脂が挙げられる。
【0070】上記架橋剤の他の例としては、縮合性官能
基(X)が、カルボキシル基、ヒドロキシル基である場
合に縮合可能な、メラミン、ベンゾグアナミン、尿素な
どのアミノ化合物とホルムアルデヒドやアルコールとを
付加縮合したアミノ樹脂が挙げられる。
【0071】上記架橋剤のさらに他の例としては、縮合
性官能基(X)が、カルボキシル基、イソシアナート
基、エポキシ基である場合に縮合可能な、ヘキサメチレ
ンジアミンやジエチレントリアミンやテトラエチレンペ
ンタミンなどの多価アミノ化合物が挙げられる。
【0072】上記架橋剤のさらに他の例としては、縮合
性官能基(X)が、カルボキシル基、ヒドロキシル基、
メルカプト基、イソシアナート基、アミド基、アミノ
基、エポキシ基である場合に縮合可能な、ヘキサメチレ
ンジイソシアナート、イソホロンジイソシアナート、p-
フェニレンジイソシアナート、2,4-トルエンジイソシア
ナート、2,6-トルエンジイソシアナート、1,5-ナフタレ
ンジイソシアナート、およびこれらのイソシアナートと
メタノールやフェノール等を縮合させたブロックドイソ
シアナートなどのイソシアナート化合物が挙げられる。
【0073】上記架橋剤のさらに他の例としては、縮合
性官能基(X)が、イソシアナート基、エポキシ基であ
る場合に縮合可能な、マロン酸やコハク酸やアジピン酸
やフタル酸やテレフタル酸などの多価カルボン酸が挙げ
られる。
【0074】上記架橋剤のさらに他の例としては、縮合
性官能基(X)が、ヒドロキシル基、イソシアナート
基、エポキシ基である場合に縮合可能な、無水フタル酸
やピロメリット酸無水物やベンゾフェノンテトラカルボ
ン酸無水物などの酸無水物が挙げられる。
【0075】上記架橋剤のさらに他の例としては、縮合
性官能基(X)が、ヒドロキシル基、メルカプト基、ア
ミノ基、アミド基である場合に縮合可能な、グリオキザ
ルやテレフタルアルデヒドなどのアルデヒド化合物が挙
げられる。
【0076】上記架橋剤のさらに他の例としては、縮合
性官能基(X)が、ヒドロキシル基、イソシアナート
基、エポキシ基である場合に縮合可能な、エチレングリ
コールやジエチレングリコール、プロピレングリコール
やヘキサンジオールなどの多価アルコールが挙げられ
る。
【0077】上記架橋剤のさらに他の例としては、縮合
性官能基(X)が、カルボキシル基、ヒドロキシル基、
メルカプト基、イソシアナート基である場合に縮合可能
な、トルエングリシジルエーテルやヘキサメチレングリ
シジルエーテルやビスフェノールAジグリシジルエーテ
ルやポリプロピレングリコールジグリシジルエーテルな
どのエポキシ化合物が挙げられる。
【0078】このような架橋剤としての各化合物は、架
橋前重合体に含有されている縮合性官能基(X)の種類
によりその組合せが適宜定められ、これらの1種または
2種以上用いられる。
【0079】これらの中で特に好ましい縮合性官能基
(X)と、架橋剤の縮合性官能基(Y)との組合せは、
カルボキシル基、ヒドロキシル基、メルカプト基、アミ
ノ基およびアミド基からなる群より選ばれる少なくとも
1つの官能基と、イソシアナート基、エポキシ基、無水
カルボン酸基からなる群より選ばれる少なくとも1つの
官能基との組合せである。
【0080】上記の組合せから縮合性官能基(X)と架
橋剤の縮合性官能基(Y)とを選択することにより、未
反応の官能基の残存量が低減された、架橋構造を有する
重合体を得ることができる。従って、該重合体に前記有
機系潜熱蓄熱剤を保持させることにより、該有機系潜熱
蓄熱剤の蓄熱特性を阻害しない蓄熱材を得ることができ
る。
【0081】そして、特に上記縮合性官能基(X)がヒ
ドロキシル基であり、架橋剤の縮合性官能基(Y)がイ
ソシアナート基である組合せ、つまり、上記反応性単量
体がヒドロキシル基を有し、架橋剤が分子中に少なくと
も2個のイソシアナート基を有するものである組合せを
選択することにより、有機系潜熱蓄熱剤を低温で、流動
性を低下させて保形できる、つまりゲル化することが可
能となる。このため、耐熱容器でなくとも有機系潜熱蓄
熱剤をゲル状で保持することができると共に、長期安定
性に優れた蓄熱材を得ることができる。
【0082】架橋させる架橋前重合体に対し、用いられ
る架橋剤の比率は、架橋前重合体の構成単位である縮合
性官能基(X)のモル数と、架橋剤が有する縮合性官能
基(Y)のモル数の関係から決定され、縮合性官能基
(X)1モルに対する縮合性官能基(Y)のモル数が
0.1〜10の範囲内であることが好ましい。
【0083】縮合性官能基(Y)のモル数が縮合性官能
基(X)モル数1に対して0.1未満である場合、架橋
が充分に行えず強度の低い、架橋された重合体しか得ら
れないことがあるので好ましくない。一方、10を越え
た場合、有機系潜熱蓄熱剤を多く保持するといった優れ
た性質を有する架橋された重合体である高分子化合物が
形成されなくなることがあるので好ましくない。
【0084】このような架橋剤を用いて有効な蓄熱材を
得るには、有機系潜熱蓄熱剤と、単量体成分を重合させ
た架橋前重合体と、架橋剤とを混合して混合物を得た
後、その混合物を、架橋反応が進行する前の、有機系潜
熱蓄熱剤が溶融して液体状を維持した状態で、例えば容
器内に注入し、0〜80℃といった温度下で架橋反応さ
せて上記容器内にて硬化させればよい。また、必要に応
じて、各種重合反応や架橋反応を促進する触媒を選択し
用いることにより反応速度を速めることも可能である。
【0085】さらに、架橋反応後に上記縮合性官能基
(X)および縮合性官能基(Y)がそれぞれ未反応で残
存することを抑制するために、上記架橋反応を阻害しな
い範囲内で、これら縮合性官能基(X)または縮合性官
能基(Y)と重縮合可能な反応基を有する化合物を、予
めまたは架橋反応後に添加してもよい。例えば、上記縮
合性官能基(X)または縮合性官能基(Y)が多価イソ
シアナートである場合には、上記化合物としては、長鎖
カルボン酸などを用いることができる。上記各官能基
(X)および(Y)が、それぞれ未反応で残存すること
は、有機系潜熱蓄熱剤の蓄熱特性を損なうおそれがある
ので好ましくない。
【0086】このように、単量体成分が架橋性単量体ま
たは反応性単量体を含むことは、得られる高分子化合物
に対し、三次元網目構造となる架橋構造を導入すること
により、有機系潜熱蓄熱剤に対する高分子化合物の可溶
性を架橋構造によって抑制する上で効果的である。
【0087】高分子化合物が、三次元網目構造となる架
橋構造を有することで、有機系潜熱蓄熱剤の保持倍率の
コントロールが容易になり、その上、有機系潜熱蓄熱剤
の流動化や滲みだしを、より確実に防止することができ
る。この結果、保持後の蓄熱材の保形性を確保すること
が可能となる。
【0088】また、このような高分子化合物を備えた蓄
熱材では、蓄熱材からの有機系潜熱蓄熱剤の漏出分が低
減されることから、漏出した有機系潜熱蓄熱剤に他の成
分、例えば水や粉状の建築・土木材料が混入することに
よる、上記有機系潜熱蓄熱剤の凝固点降下、つまり有機
系潜熱蓄熱剤の相変化温度の低下を抑制できる。したが
って、有機系潜熱蓄熱剤の全体としての状態が、蓄熱材
によって、より安定化するので、凝固点降下を防止し
て、有機系潜熱蓄熱剤の相変化温度が明確とすることが
できる。
【0089】これら高分子化合物のなかでも、ポリオレ
フィンや、自らが高い結晶性を有する重合体以外の高分
子化合物、特に、油性の有機系潜熱蓄熱剤を用いる場
合、上記有機系潜熱蓄熱剤に対する親油性部として炭素
数3〜30の脂肪族炭化水素基を少なくとも1個有し、
かつ、アルキル(メタ)アクリレート、アルキルアリー
ル(メタ)アクリレート、アルキル(メタ)アルキルア
ミド、アルキルアリール(メタ)アクリルアミド、脂肪
酸ビニルエステル、アルキルビニルエステルおよびアル
キルスチレンからなる群より選ばれる少なくとも1種の
単量体(不飽和化合物、以下、説明の便宜上、単量体
(a')と称する)を、50重量%以上含む単量体成分を
重合してなる高分子化合物が、パラフィン等の油性の有
機系潜熱蓄熱剤との相溶性や親和性がよく、上記有機系
潜熱蓄熱剤の滲みだしが少ない蓄熱材を得ることができ
るので好ましい。
【0090】さらに、上記高分子化合物として、特に、
親油性部として炭素数4〜24の単量体(a')を50重
量%以上含む単量体成分を重合してなる高分子化合物を
用いれば、高分子化合物と、油性の有機系潜熱蓄熱剤と
の相溶性や親和性がさらに向上し、上記有機系潜熱蓄熱
剤の滲みだしの無い蓄熱材を得ることができる。
【0091】さらに、上記高分子化合物として、特に、
親油性部として炭素数8〜18の単量体(a')を50重
量%以上含む単量体成分を重合してなる高分子化合物を
用いれば、適度な柔軟性を有する蓄熱材を得ることがで
きる。
【0092】よって、上記蓄熱材を用いた場合、前記の
効果に加えて、柔軟性に優れていることから、得られる
蓄熱材の、容器内での密着性が良好となり、伝熱性が向
上すると共に、温度変化により容器の膨張・収縮に対し
ても容易に対応して、得られた蓄熱装置の安定性を向上
させることができる。
【0093】上記高分子化合物を用いれば、比較的低い
温度で有機系潜熱蓄熱剤を保形するゲル化により保持す
ることができることから、比較的低い温度で前記蓄熱
材、つまり、本発明にかかる蓄熱装置を簡便に製造する
ことができると共に、蓄熱材からの有機系潜熱蓄熱剤の
分離がゲル化による保形によって防止され、従来よりも
有機系潜熱蓄熱剤の滲みだしが少なく、引火性や火災時
の延焼性が著しく低減された安全性の高い蓄熱装置を得
ることができる。
【0094】上記蓄熱装置の製造方法としては、流動性
熱媒体が通る通路を形成した容器内における、上記通路
と異なる空隙にて、相変化により蓄熱性を有する有機系
潜熱蓄熱剤中で、有機系潜熱蓄熱剤に対して親和性を有
する親和性基を備えた単量体(A)を含む液体状の単量
体成分を重合して、上記単量体成分を重合してなる重合
体中に、上記有機系潜熱蓄熱剤の流動性を低下するよう
に上記有機系潜熱蓄熱剤を保持させて、上記空隙に対
し、有機系潜熱蓄熱剤を保持した重合体を充填する方法
が挙げられる。
【0095】上記重合体は、架橋構造を有することが望
ましい。このような架橋構造は、前述のように、単量体
成分において、架橋性単量体または反応性単量体を用い
て形成することが好ましい。上記方法における重合・架
橋は、通路に熱媒を通して加熱することにより促進でき
るので、高分子化合物である重合体の形成を簡素化でき
る。
【0096】このように形成される蓄熱材を用いること
により、容器内において、蓄熱材は、流動性熱媒体が、
該蓄熱材に直接、接触して通る通路を有することができ
る。このような蓄熱材を形成する方法として、容器内で
の通路として、水溶性物質で成形したチューブをそれぞ
れ容器内に配置し、容器内における各チューブの間であ
る空隙に、パラフィン含有の蓄熱材を、上記各チューブ
内での油性の熱媒(シリコーンオイル等)の通液による
加熱により、後架橋あるいは容器内での重合にて形成し
た後、上記各チューブに水を通液して各チューブを溶か
して除去する方法が挙げられる。
【0097】このような蓄熱装置では、図1および図2
に示すように、各チューブの除去によって、容器1内に
おいて、蓄熱材2と流動性熱媒体との間に仕切りや配管
が無くとも流動性熱媒体に対するパイプ状の通路3を確
保できるので、蓄熱材2と流動性熱媒体との間の伝熱効
率が向上し、蓄熱効率を改善できる。
【0098】また、流動性熱媒体が、直接、接触して通
る通路を有する蓄熱材を形成する他の方法としては、容
器内に通路を形成するための各仕切り板を互いに平行
に、かつ、引き抜き自在に設け、各仕切り板間の一つお
きに上述した蓄熱材を形成し、形成後に各仕切り板を除
去して、図3および図4に示すように、容器1内に、板
状の各蓄熱材2が互いに平行な層状に保持され、隣り合
う各蓄熱材2の間に通路3が確保された蓄熱装置を製造
する方法が挙げられる。
【0099】上記蓄熱装置においては、通路となる各仕
切り板や金属配管はあってもよいが、上記のように除去
して形成することもできる。このように除去した場合
に、蓄熱材の自重により通路が塞がれてしまうとき、伝
熱向上をかねて、仕切り板等を一部、例えば通液方向に
沿って互いに平行なスダレ状、あるいは網目状に残して
もよい。
【0100】このような上記各方法では、蓄熱装置の施
工場所にて蓄熱材を容器内に充填できるので、工程を簡
便化できる。また、上記各方法では、液体状の単量体成
分または液体状の架橋前重合体を充填して、重合・架橋
するので、従来のEB照射等の表面硬化方法と比べて、
複雑な内部構造を有する容器内に対応した、複雑な形状
の蓄熱材を簡便に得られる。
【0101】その上、上記方法では、蓄熱材が、伝熱面
に対して連続的に密着するように設けられていることに
より、容器内での流動性熱媒体の流通を安定化できて、
流動性熱媒体の流通のデッドスペースの形成を抑制で
き、かつ、伝熱面を連続した均一化なものにできるの
で、流動性熱媒体と蓄熱材との熱交換を確実にでき、熱
効率の低下を軽減することが可能となる。
【0102】ところで、従来の未架橋ポリエチレン/パ
ラフィン混合物や、熱可塑性エラストマー/パラフィン
混合物では、高温(100℃程度)となると、パラフィ
ンが流動化してしみだし易いものであったが、上記蓄熱
材は、本願の高分子化合物を用いたことによって、従来
のような高温においても有機系潜熱蓄熱剤が流動せず、
形状が安定であるので、温度の適用範囲を従来より広く
できる。
【0103】また、上記蓄熱装置の他の製造方法として
は、流動性熱媒体が通る管路(通路)を形成した容器内
における、上記管路と異なる空隙に対し、相変化により
蓄熱性を有する有機系潜熱蓄熱剤を保形して保持する粒
状の高分子化合物を投入した後、上記空隙に有機系潜熱
蓄熱剤を投入して、上記高分子化合物を上記有機系潜熱
蓄熱剤により空隙にて保持させ、上記空隙に対し有機系
潜熱蓄熱剤を保持した高分子化合物を管路に面した伝熱
面に対し連続的に密着した状態で形成して充填する方法
が挙げられる。
【0104】上記の高分子化合物の製造方法は、特に限
定されるものではなく、上記した種々の方法、例えば、
ラジカル重合、放射線重合、付加重合、重縮合等、従来
公知の種々の重合方法を採用することができる。高分子
化合物は、例えば、単量体成分を、保護コロイド剤や界
面活性剤の存在下で水性媒体に分散させた後、油溶性ラ
ジカル重合開始剤等の重合開始剤により懸濁重合するこ
とにより容易に製造することができる。また、必要によ
り、単量体成分を水不溶性の有機溶剤に溶解させてから
懸濁重合することもできる。
【0105】保護コロイド剤や界面活性剤としては、特
に限定されるものではなく、また、その使用量も特に限
定されるものではない。保護コロイド剤としては、具体
的には、例えば、ポリビニルアルコール、ヒドロキシエ
チルセルロース、ゼラチン等が挙げられる。また、界面
活性剤としては、具体的には、例えば、アルキルスルホ
ン酸ナトリウム、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウ
ム、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、脂肪酸石鹸
等が挙げられる。これら保護コロイド剤や界面活性剤
は、一種類のみを用いてもよいし、適宜、二種類以上を
混合して用いてもよい。
【0106】また、重合開始剤としては、特に限定され
るものではないが、具体的には、例えばベンゾイルパー
オキシド、ラウロイルパーオキシド、クメンハイドロパ
ーオキシド等の有機過酸化物;2,2'−アゾビスイソブチ
ロニトリル、2,2'−アゾビスジメチルバレロニトリル等
のアゾ化合物等が挙げられる。これら重合開始剤は、一
種類のみを用いてもよいし、必要に応じて、二種類以上
を混合して用いてもよい。これら重合開始剤の使用量
は、単量体成分の種類や使用量等にもよるが、上記単量
体成分に対して、0.1重量%〜5重量%の範囲内で用
いることが好ましい。
【0107】また、上記重合反応を行う際の重合温度
は、特に限定されるものではないが、好ましくは0℃〜
150℃の範囲内において、単量体成分や重合開始剤等
の種類等に応じて適宜設定すればよい。さらに、上記重
合反応を行う際の重合時間も、特に限定されるものでは
なく、上記単量体成分や重合開始剤等の種類やその使用
量、反応温度等に応じて、上記反応が終了するように、
適宜設定すればよい。
【0108】これらの方法のうち、懸濁重合または懸濁
重縮合が、重合後、粒状の高分子化合物、特に、球状の
高分子化合物を直接得ることができることから好まし
い。上記高分子化合物が粒状であれば、高分子化合物の
表面積が大きくなり、有機系潜熱蓄熱剤のゲル化速度を
向上させることができる。
【0109】つまり、蓄熱材は、高分子化合物中に、液
相状態の有機系潜熱蓄熱剤を、有機系潜熱蓄熱剤の凝固
点を超える温度条件下で保形させることにより、容易に
得ることができる。高分子化合物中に液相状態の有機系
潜熱蓄熱剤を保持させる際には、高分子化合物が有機系
潜熱蓄熱剤を保持するための時間を短縮する目的で加熱
してもよい。
【0110】高分子化合物と有機系潜熱蓄熱剤との使用
割合、つまり、蓄熱材中の高分子化合物および有機系潜
熱蓄熱剤の含有量は、特に限定されるものではないが、
高分子化合物4重量%〜30重量%の範囲内、および、
有機系潜熱蓄熱剤96重量%〜70重量%の範囲内とす
ることが好ましい。高分子化合物の割合が4重量%未満
であれば、有機系潜熱蓄熱剤を完全に、保持しきれず、
有機系潜熱蓄熱剤が液相状態になった場合の滲みだしや
流動化を生じる虞れがある。一方、高分子化合物の割合
が30重量%を越えると、有機系潜熱蓄熱剤の含有量が
少ないため、得られる蓄熱装置の相変化潜熱が小さくな
り、蓄熱効率が低下する虞れがある。
【0111】さらに、上記高分子化合物の他の製造方法
としては、塊状重合法を採用することもできる。高分子
化合物を塊状重合法により得る場合には、例えば、単量
体成分を、重合開始剤の存在下で型に流し込み、好まし
くは50℃〜150℃に加熱することによって、容易に
高分子化合物を得ることができる。重合開始剤として
は、前記例示の重合開始剤と同様の重合開始剤を用いる
ことができる。塊状重合を採用する場合には、塊状物と
して高分子化合物を得てもよいし、さらに、必要に応じ
て、得られた塊状物に粉砕等の操作を加えて粒度調整を
行なうことによって、粒状物として高分子化合物を得て
もよい。
【0112】また、高分子化合物の有機系潜熱蓄熱剤の
保持性能を低下させない範囲内で、高分子化合物におけ
る有機系潜熱蓄熱剤の保持速度すなわちゲル化速度を向
上させる目的で、水不溶性化合物と混合することによっ
て、粒状の高分子化合物としてもよい。水不溶性化合物
としては、20℃の水100gに対する溶解度が1g以
下の水不溶性または水難溶性を示す化合物であれば特に
限定されるものではない。
【0113】水不溶性化合物としては、具体的には、例
えば、シリカやタルクや珪藻土等の鉱物類;鉄やアルミ
ナ等の金属類;炭酸カルシウム等の無機塩類;金属石鹸
等の有機酸塩類;ポリスチレン、ポリエチレン、ポリ酢
酸ビニル等の樹脂類;ワックス等の有機化合物類;綿、
パルプ等の繊維類等が挙げられる。これら水不溶性化合
物は、一種類のみを用いてもよく、必要に応じて、二種
類以上を混合して用いてもよい。
【0114】これら水不溶性化合物のなかでも、僅かな
使用量で高分子化合物の継粉化を有効に防止できる粉体
形状の化合物が好ましく、20℃の水100gに対する
溶解度が1g以下の有機酸金属塩や、メタノール値が2
5重量%以下の疎水性無機化合物の粉体が特に好まし
い。上記メタノール値とは、水不溶性化合物の疎水化度
を表す尺度であり、水不溶性化合物が湿潤可能となるメ
タノール水溶液中のメタノールの容量%で表される。こ
のような添加物を添加する際、上記蓄熱材を用いたこと
により、その分散性を有機系潜熱蓄熱剤のゲル化によっ
て改善できる。
【0115】また、本発明にかかる蓄熱装置において、
上記蓄熱材の単位容積は、0.01cm3 以上であるこ
とが好ましく、10cm3 以上であることがより好まし
く、100cm3 以上であることが特に好ましい。
【0116】蓄熱材の単位容積が0.01cm3 未満で
あれば、有機系潜熱蓄熱剤が過冷却状態となり、目的の
温度や、所定の時間内で凍結しないといった不具合が生
じるので好ましくない。つまり、蓄熱材の単位容積が
0.01cm3 未満であれば、有機系潜熱蓄熱剤が過冷
却状態となり、液相と固相との相変化が起こり難くな
る。このため、蓄熱材全体が凍結せず、加熱あるいは冷
却により蓄積した熱量を充分に取り出すことができな
い。しかも、このような蓄熱材は、凍結融解を繰り返す
うちに、有機系潜熱蓄熱剤が分離する。
【0117】これに対し、有機系潜熱蓄熱剤の単位容積
が0.01cm3 以上であることで、有機系潜熱蓄熱剤
の過冷却が防止され、液相から固相への相変化が短時間
に行われるため、短い時間で高い相変化率を有し、従来
と比較して極めて高い蓄熱効率を有する蓄熱装置を得る
ことができる。
【0118】さらに、有機系潜熱蓄熱剤の単位容積が
0.01cm3 以上であることで、蓄熱材は、有機系潜
熱蓄熱剤の過冷却を回避できるだけでなく、有機系潜熱
蓄熱剤の分離が全く起こらないか、分離が起こっても、
ごく僅かである。しかも、蓄熱材は、有機系潜熱蓄熱剤
が液状化した場合、あるいは、蓄熱材から有機系潜熱蓄
熱剤が分離した場合における有機系潜熱蓄熱剤のしみ出
しや流動化が無く、引火性や火災時の延焼性が著しく低
減されている。
【0119】蓄熱材の単位容積とは、蓄熱材が塊あるい
は接触により連続体をなす蓄熱材の容積を示すものであ
る。つまり、蓄熱材の単位容積が0.01cm3 以上で
ある状態とは、蓄熱材が、0.01cm3 以上の例えば
シート状、直方体、球状、円筒状等の塊状物を形成して
いる状態や、0.01cm3 未満の粒状物や微細構造物
からなる複数の蓄熱材が互いに接触しあって結果的に
0.01cm3 以上の連続体を形成している状態を示
す。
【0120】また、蓄熱材が0.01cm3 以上の連続
体を形成しない状態とは、0.01cm3 未満の粒状物
や微細構造物からなる複数の蓄熱材が、蓄熱材の構成物
以外によって分裂されている状態を示し、例えば、0.
01cm3 未満の蓄熱材が、連続体を形成する大量の水
中や金属粉体中に微細な容積単位で分散した状態を示
す。
【0121】また、蓄熱装置は、0.01cm3 以上の
単位容積を保持できる範囲で、蓄熱材の構成物以外の物
質を含んでいてもよい。特に、本発明にかかる蓄熱装置
がさらに不燃性物質を含むことで、蓄熱装置の安全性を
さらに向上させることができる。上記不燃性物質として
は、蓄熱装置の燃焼熱量及び延焼性を低減できるもので
あれば特に限定されるものではないが、無機粉体が好ま
しい。
【0122】本発明の蓄熱装置が不燃性物質を含む場
合、蓄熱材と不燃性物質との配合割合は、蓄熱装置が所
望する蓄熱量を得ることができる蓄熱材量を有してさえ
いれば、蓄熱材が0を越えて80重量%以下の範囲内お
よび不燃性物質が20重量%以上、100重量%未満の
割合で用いることが好ましい。
【0123】ただし、得られる蓄熱装置の単位あたりの
蓄熱量の点から、蓄熱装置中における蓄熱材の含有量
は、40重量%以上であることがさらに好ましい。尚、
上記不燃性物質の割合が20重量%未満では、不燃性物
質を添加したことによる顕著な効果が得られない虞れが
ある。つまり、蓄熱装置の燃焼熱量を低減させる効果が
小さくなる虞れがある。
【0124】このように蓄熱装置が蓄熱材の構成物以外
の物質を含む場合には、例えば、粒状の蓄熱材、あるい
は、塊状の蓄熱材を裁断するか解砕して得られた蓄熱材
を、不燃性物質中に投入し、必要に応じて撹拌すること
によって蓄熱装置を得てもよいし、塊状や粒状の蓄熱材
に上記不燃性物質や水性ゲル体等を添加し、必要に応じ
て解砕したり、撹拌、混合することによって蓄熱装置を
得てもよい。何れの場合においても、その分散状態ある
いは混合状態等は特に限定されるものではなく、蓄熱材
が0.01cm3 以上の単位容積を保持してさえいれば
よい。また、蓄熱材と蓄熱材の構成物以外の物質とを撹
拌、混合する方法等も特に限定されるものではない。
【0125】上記蓄熱装置の製造方法では、容器内の空
隙に、予め上記重合方法等で得られた粒状の高分子化合
物を投入した後、有機系潜熱蓄熱剤を投入するため、粒
状の高分子化合物が膨潤して、互いに変形しながら空隙
がほぼ完全に塞がれる。よって、従来のように、粒状高
分子化合物に有機系潜熱蓄熱剤を吸収、膨潤させたもの
を容器の空隙に充填するよりも、粒状高分子化合物間の
隙間が少なく、IPFが高くなるばかりか、蓄熱材を伝
熱面に対して連続的に密着した状態で充填でき、熱効率
が向上する効果がある。
【0126】
【実施例】以下、実施例および比較例により、本発明を
さらに詳細に説明するが、本発明はこれらにより何ら限
定されるものではない。また、以下において、部および
%の表記は、それぞれ重量部、重量%を示すものとす
る。 〔実施例1〕内径1000mm、厚み2mm、長さ2000
mmの円筒形の金属製容器内に、流動性熱媒体が通る、内
径50mm、厚み0.6mm、長さ2000mmの銅管(通
路)157本を、互いに、平衡に、ほぼ等間隔となるよ
うに、上記金属製容器の軸方向に沿って配置し、各銅管
の一端開口部から他端開口部まで流動性熱媒体を各銅管
内に通すことができ、かつ、各銅管以外の部分が密閉で
きるようにした熱交換器(容器)(1)を作製した。
【0127】一方、温度計、撹拌機、ガス導入管および
還流冷却器を備えた500mlのフラスコに対し、保護コ
ロイド剤としてゼラチン3部を水300部に溶解して仕
込んだ。次に、このフラスコ内を窒素置換し、このフラ
スコ内の水溶液を窒素気流下にて40℃に昇温した。
【0128】一方、単量体(A)としてドデシルアクリ
レート(SP値;7.9)99.823部、架橋性単量
体としてのエチレングリコールジアクリレート0.17
7部、および重合開始剤としてのベンゾイルパーオキシ
ド0.5部を混合することにより混合溶液を調製した。
【0129】その後、フラスコ内に混合溶液を一度に加
え、400 rpmで撹拌することにより均一溶液とした。
次いで、フラスコ内を80℃に昇温し、その温度で2時
間撹拌し、その後、さらに90℃に昇温して2時間撹拌
することにより懸濁重合反応を行った。
【0130】続いて、反応終了後、得られた略球状の反
応生成物をろ別し、水で洗浄した後、60℃で乾燥させ
ることにより、粒径100〜1000μmの高分子化合
物(1)を得た。
【0131】次に、前述の熱交換器(1)の各銅管の間
に、上記のようにして得られた高分子化合物(1)8
9.3kgを均一に充填した後、さらに、有機系潜熱蓄熱
剤としてのペンタデカン(相変化温度:10℃、融解熱
35cal/g )625.2kgを注入して常温で2時間浸漬
させることにより、高分子化合物(1)に対し、ペンタ
デカンをゲル化により保形させた蓄熱材が充填された蓄
熱装置(1)を得た。この蓄熱装置(1)のIPFは6
0%、S/Vは54m2 /m3 であった。また、この蓄
熱装置(1)では、蓄熱材が接する通路の伝熱表面積
(即ち、伝熱面の伝熱表面積)の98%に蓄熱材が密着
していた。蓄熱材の伝熱面への密着の度合いは、銅管の
1本をガラス管に置換した蓄熱装置において、ガラス管
表面への蓄熱材の接触部分の面積を測定して求めた。
【0132】このような蓄熱装置(1)の蓄熱性を測定
した。すなわち、7℃の恒温水槽から冷水を流速700
L/分で蓄熱装置(1)の各銅管に通液し、蓄熱装置
(1)内部の蓄熱材が完全に7℃になるまで、つまり、
各銅管の出口温度が7℃となるまで通液を続けた。次い
で、恒温水槽を12℃とし、12℃の水を流速700L
/分で蓄熱装置(1)の各銅管に通液し、各銅管の出口
温度が7℃から9℃となるまでの時間を、蓄熱性の評価
として測定した。その結果を表1に示した。
【0133】
【表1】
【0134】上記融解熱は、DSC(Differential Sca
nning Calorimetry )測定により算出した。すなわち、
DSC測定では、パラフィン等の有機系潜熱蓄熱剤の試
料を、まず、−20℃に冷却し、2℃/分で、70℃ま
で昇温したときの試料の融解潜熱を測定した。また、蓄
熱量は、用いた有機系潜熱蓄熱剤の融解熱と、熱交換器
に充填できた蓄熱剤量から算出した。以下の各実施例お
よび各比較例においても、同様に、各融解熱および蓄熱
量を算出した。
【0135】〔実施例2〕実施例1において作製した熱
交換器(1)の各銅管の間に、平均粒径約500μmの
ポリノルボルネン系の粒状の高分子化合物(2)(フラ
ンスCdF Chemie社製、商品名:ノーソレックス)89.
3kgを均一に充填した後、さらに、ペンタデカン62
5.2kgを注入して常温で2時間浸漬させることによ
り、高分子化合物(2)に対し、ペンタデカンをゲル化
により保形させた蓄熱材が充填された蓄熱装置(2)を
得た。この蓄熱装置(2)におけるIPFは60%、S
/Vは54m2 /m3 であった。また、この蓄熱装置
(2)では、伝熱面の伝熱表面積の97%に蓄熱材が密
着していた。このような蓄熱装置(2)の蓄熱性を、実
施例1の記載と同様に測定した。その結果を表1に示し
た。上記ポリノルボルネン系の粒状の高分子化合物
(2)は、エチレン/シクロペンタジエンの開環重合体
であり、SP値9以下のポリマーである。
【0136】〔実施例3〕実施例1において作製した熱
交換器(1)の各銅管の間に、高分子化合物(1)8
9.3kgを均一に充填した後、さらに、ペンタデカンに
代えて、有機系潜熱蓄熱剤としてのパラフィンワックス
(日本精蝋株式会社製、商品名:パラフィンワックス1
30、凝固点:55℃、融解熱32cal/g )625.2
kgを注入して、60℃に加温して2時間浸漬させること
により、高分子化合物(1)に対し、パラフィンワック
スをゲル化により保形させた蓄熱材が充填された蓄熱装
置(3)を得た。この蓄熱装置(3)におけるIPFは
60%、S/Vは54m2 /m3 であった。また、この
蓄熱装置(3)では、伝熱面の伝熱表面積の98%に蓄
熱材が密着していた。
【0137】このような蓄熱装置(3)の蓄熱性を測定
した。すなわち、60℃の恒温水槽から冷水を流速70
0L/分で蓄熱装置(3)の各銅管に通液し、蓄熱装置
(3)内部の蓄熱材が完全に60℃になるまで、つま
り、各銅管の出口温度が60℃となるまで通液を続け
た。次いで、恒温水槽を45℃とし、45℃の水を流速
700L/分で蓄熱装置(3)の各銅管に通液し、各銅
管の出口温度が60℃から55℃となるまでの時間を蓄
熱性の評価として測定した。その結果を表1に示した。
【0138】〔実施例4〕内径1000mm、厚み2mm、
長さ2000mmの円筒形の金属製容器内に、流動性熱媒
体が通る、内径20mm、厚み0.6mm、長さ2000mm
の銅管(通路)488本を、互いに、平衡に、ほぼ等間
隔となるように、上記金属製容器の軸方向に沿って配置
し、各銅管の一端開口部から他端開口部まで流動性熱媒
体を各銅管内に通すことができ、かつ、各銅管以外の部
分が密閉できるようにした熱交換器(容器)(2)を作
製した。
【0139】一方、ドデシルアクリレート(SP値;
7.9)184.9kg、エチレングリコールジアクリレ
ート3.79kg、2,2'−アゾビス(4-メトキシ−2,4-ジ
メチルバレロニトリル)0.95kg、およびペンタデカ
ン758.3kgを互いに均一となるように混合した混合
溶液を調製した。
【0140】その後、上記混合溶液を、前述の熱交換器
(2)の各銅管の間に充填し、この熱交換器(2)の軸
方向の一方の開口部を仕切り板で密閉した。この仕切り
板に、数カ所設置したガス導入管より窒素を混合溶液中
に十分に導入して、上記混合溶液内の酸素を窒素に置換
した。
【0141】次いで、この熱交換器(2)を、窒素雰囲
気を保ちながら40℃温水を銅管に通液し、その通液を
8時間保持することにより、混合溶液が重合し、架橋し
て、ペンタデカンをゲル状に保持した重合体が形成され
たのを目視にて確認した後、ガス導入管を除くことによ
り、蓄熱装置(4)を得た。この蓄熱装置(4)のIP
Fは78%、S/Vは53m2 /m3 であった。また、
この蓄熱装置(4)では、伝熱面の伝熱表面積の98%
に蓄熱材が密着していた。このような蓄熱装置(4)の
蓄熱性を、実施例1の記載と同様に測定した。その結果
を表1に示した。
【0142】〔実施例5〕実施例4に記載のペンタデカ
ンに代えて、実施例3に記載のパラフィンワックスを用
いた以外は実施例4に記載と同様にして蓄熱装置(5)
を得た。この蓄熱装置(5)のIPFは78%、S/V
は53m2 /m3 であった。また、この蓄熱装置(5)
では、伝熱面の伝熱表面積の98%に蓄熱材が密着して
いた。このような蓄熱装置(5)の蓄熱性を、実施例3
に記載の測定方法と同様に測定した。その結果を表1に
示した。
【0143】〔実施例6〕内寸が縦1410mm、幅19
74mm、奥行き2022mmの直方体形状の金属製容器に
厚さ0.6mmの仕切り板108枚を、水路(通路)とな
る幅10mm、蓄熱材充填層となる幅25mmとが交互にな
るように上記金属製容器の奥行き方向にそってそれぞれ
設置して熱交換器(3)を作製した。この熱交換器
(3)では、各蓄熱材充填層をそれぞれ密閉できる構造
とした。
【0144】一方、ドデシルアクリレート(SP値;
7.9)580.2kg、エチレングリコールジアクリレ
ート11.9kg、2,2'−アゾビス(4-メトキシ−2,4-ジ
メチルバレロニトリル)2.98kg、およびペンタデカ
ン2380kgを互いに均一となるように混合した混合溶
液を調製した。
【0145】その後、上記混合溶液を、前述の熱交換器
(3)の蓄熱材充填層となる幅25mm各仕切り板の間に
それぞれ充填し、この熱交換器(3)の上部に装着した
ガス導入管より窒素を混合溶液中に十分に導入して、上
記混合溶液内の酸素を窒素に置換した。
【0146】次いで、この熱交換器(3)内の各混合溶
液を、窒素雰囲気を保ちながら40℃の温水を水路(通
路)となる幅10mmの各仕切り板間に通液し、その通液
を8時間保持することにより、混合溶液が重合し、架橋
して、ペンタデカンをゲル状に保持した重合体が形成さ
れたのを目視にて確認した後、ガス導入管を除くことに
より、蓄熱装置(6)を得た。この蓄熱装置(6)のI
PFは68%、S/Vは80m2 /m3 であった。ま
た、この蓄熱装置(6)では、伝熱面の伝熱表面積の9
9%に蓄熱材が密着していた。このような蓄熱装置
(6)の蓄熱性を測定した。すなわち、7℃の恒温水槽
から冷水を流速90m3 /hで蓄熱装置(6)の各水路
(通路)に通液し、蓄熱装置(6)内部の蓄熱材が完全
に7℃になるまで、つまり、各水路の出口温度が7℃と
なるまで通液を続けた。次いで、恒温水槽を12℃と
し、12℃の水を流速90m3 /hで蓄熱装置(6)の
各水路(通路)に通液し、各水路の出口温度が7℃から
9℃となるまでの時間を、蓄熱性の評価として測定し
た。その結果を表1に示した。
【0147】〔実施例7〕温度計、撹拌機、ガス導入
管、2つの滴下ロートおよび還流冷却器を備えた500
mlのフラスコに、ペンタデカン10gを仕込み、撹拌
下、フラスコ内を窒素置換し、窒素気流下にて65℃に
加熱した。次いで、1つの滴下ロートに、単量体成分と
しての2-エチルヘキシルアクリレート(SP値:7.
8)38g、ヒドロキシエチルアクリレート2g、およ
びペンタデカン40gからなる溶液を、さらに別の滴
下ロートに、重合開始剤として2,2'−アゾビス(4-メト
キシ−2,4-ジメチルバレロニトリル)0.1gをペンタ
デカン10gにて希釈した溶液をそれぞれ仕込んだ。
【0148】続いて、前記フラスコ内に対し、溶液お
よび溶液を同時に1時間かけて滴下し、重合反応を行
い、その後、さらに、フラスコ内を80℃に昇温し、2
時間維持して重合を完了させて、架橋前の架橋前重合体
とペンタデカンとを含む重合体混合溶液を得た。
【0149】このようにして得られた重合体混合溶液1
471kgに対し、架橋剤としてのトリレンジイソシアナ
ート33.8kg、ジブチルスズジラウレート1.47k
g、並びに希釈液としてのペンタデカン1469kgから
なる溶液を加えて混合した後、直ちに、全量を、実施
例6に記載の熱交換器(3)の蓄熱材充填層となる幅2
5mm各仕切り板の間にそれぞれ充填し、常温で4時間静
置して、架橋前重合体を架橋させることにより、ペンタ
デカンを含有して保持したゲル状蓄熱材を有する蓄熱装
置(7)を得た。この蓄熱装置(7)のIPFは68
%、S/Vは80m2 /m3 であった。また、この蓄熱
装置(7)では、伝熱面の伝熱表面積の99%に蓄熱材
が密着していた。このような蓄熱装置(7)の蓄熱性
を、実施例6の記載と同様に測定した。その結果を表1
に示した。
【0150】〔実施例8〕単量体成分としてメトキシポ
リエチレングリコール(平均エチレンオキサイド付加モ
ル数:9)アクリレート(SP値;9.4)739.5
kg、架橋性単量体としてエチレングリコールジアクリレ
ート74kg、重合開始剤としてt-ブチルペルオキシド
(2-エチルヘキサノエート)0.78kg、および有機系
潜熱蓄熱剤としてポリエチレングリコール(平均エチレ
ンオキサイド付加モル数:9、相変化温度:9℃、融解
熱19cal/g)3114kgを互いに均一となるよう
に常温で混合した混合溶液を調製した。
【0151】その後、上記混合溶液を、前述の熱交換器
(3)の蓄熱材充填層となる幅25mm各仕切り板の間に
それぞれ充填し、この熱交換器(3)の上部に装着した
ガス導入管より窒素を混合溶液中に十分に導入して、上
記混合溶液内の酸素を窒素に置換した。
【0152】次いで、この熱交換器(3)内の各混合溶
液を、窒素雰囲気を保ちながら70℃の温水を水路(通
路)となる幅10mmの各仕切り板間に通液し、その通液
を8時間保持することにより、混合溶液が重合し、架橋
して、ポリエチレングリコールをゲル状に保持した重合
体が形成されたのを目視にて確認した後、ガス導入管を
除くことにより、蓄熱装置(8)を得た。この蓄熱装置
(8)のIPFは68%、S/Vは80m2 /m3 であ
った。また、この蓄熱装置(8)では、伝熱面の伝熱表
面積の98%に蓄熱材が密着していた。このような蓄熱
装置(8)の蓄熱性を、実施例1の記載と同様に測定し
た。その結果を表1に示した。
【0153】〔実施例9〕内径1000mm、厚み2mm、
長さ2000mmの円筒形の金属製容器内に、水溶性フイ
ルム(チッソ製、NOVON R0390)をヒートシ
ールして作製した、内径20mm、厚み0.6mm、長さ2
000mmの水溶性チューブ488本を、互いに、平衡
に、ほぼ等間隔となるように、上記金属製容器の軸方向
に沿って配置し、各水溶性チューブの一端開口部から他
端開口部まで油性の流動性熱媒体を各水溶性チューブ内
に通すことができ、かつ、各水溶性チューブ以外の部分
が密閉できるようにした熱交換器(4)を作製した。
【0154】一方、ドデシルアクリレート(SP値;
7.9)184.9kg、エチレングリコールジアクリレ
ート3.79kg、2,2'−アゾビス(4-メトキシ−2,4-ジ
メチルバレロニトリル)0.95kg、およびペンタデカ
ン758.3kgを互いに均一となるように混合した混合
溶液を調製した。
【0155】その後、上記混合溶液を、前述の熱交換器
(4)の各水溶性チューブの間に充填し、この熱交換器
(4)の軸方向の一方の開口部を仕切り板で密閉した。
この仕切り板に、数カ所設置したガス導入管より窒素を
混合溶液中に十分に導入して、上記混合溶液内の酸素を
窒素に置換した。
【0156】次いで、この熱交換器(4)内の混合溶液
を、窒素雰囲気を保ちながら、40℃のシリコーンオイ
ルを各水溶性チューブにそれぞれ通液し、その通液を8
時間保持することにより、混合溶液が重合し、架橋し
て、ペンタデカンをゲル状に保持した重合体を形成し
た。このような重合体の形成は、目視にて確認した。そ
の後、ガス導入管を除いた。
【0157】次いで、この熱交換器(4)の各水溶液チ
ューブに25℃の水を2時間、通液することにより、水
溶性チューブを完全に溶解し除去したところ、図1およ
び図2に示すように、熱交換器(4)の容器1におい
て、円筒状の蓄熱材2中に、その蓄熱材の軸方向に沿っ
て、互いに平行に、かつ等間隔な直径20mmの管状水路
(通路)3を488本有する蓄熱装置(9)を得た。こ
の蓄熱装置(9)のIPFは78%、S/Vは53m2
/m3 であった。また、この蓄熱装置(9)では、流動
性熱媒体と蓄熱材とを隔てる水溶液チューブが除去され
たため、蓄熱材は、この水溶液チューブを除去してなる
管状水路(通路)3に、100%接している。即ち、こ
の蓄熱装置(9)では、伝熱面の伝熱表面積の100%
に蓄熱材が密着している。このような蓄熱装置(9)の
蓄熱性を、実施例1の記載と同様に測定した。その結果
を表1に示した。
【0158】〔実施例10〕内径1000mm、厚み2m
m、長さ2000mmの円筒形の金属製容器内に、外径2
0mm、長さ2000mmの銅棒488本を、それらに予
め、フッ素系離型剤を表面に塗布し、互いに、平衡に、
ほぼ等間隔となるように、上記金属製容器の軸方向に沿
って配置した熱交換器(5)を作製した。
【0159】一方、実施例7に記載の架橋前重合体を含
む重合体混合溶液474.5kgに対し、架橋剤としての
トリレンジイソシアナート10.9kg、ジブチルスズジ
ラウレート0.47kg、並びに希釈液としてのペンタデ
カン473.9kgからなる溶液を加えて混合した後、
直ちに、全量を、熱交換器(5)の各銅棒間にそれぞれ
充填し、常温で4時間静置して、架橋前重合体をペンタ
デカンの存在下で架橋させることにより、ペンタデカン
を含有して保持したゲル状蓄熱材を熱交換器(5)内に
形成した。次いで、各銅棒を熱交換器(5)の軸方向に
沿って、それぞれゆっくりと引き抜くことによって、図
1および図2に示す蓄熱装置と同様な、直径20mmの管
状水路(通路)488本を上記ゲル状蓄熱材内に有する
蓄熱装置(10)を得た。この蓄熱装置(10)のIP
Fは78%、S/Vは53m2 /m3 であった。また、
この蓄熱装置(10)では、銅棒が除去されたため、蓄
熱材は、この銅棒を除去してなる管状水路(通路)に1
00%接している。即ち、この蓄熱装置(10)では、
伝熱面の伝熱表面積の100%に蓄熱材が密着してい
る。このような蓄熱装置(10)の蓄熱性を、実施例1
の記載と同様に測定した。その結果を表1に示した。
【0160】〔比較例1〕実施例1に記載の熱交換器
(1)の各銅管の間に対し、エチレン−プロピレン共重
合体(三井石油化学工業製、商品名:タフマーP068
0)89.3kgと、ペンタデカン625.2kgの混合物
を120℃に加熱して得られた溶融物を、充填して比較
蓄熱装置(1)を得た。この比較蓄熱装置(1)では、
溶融物を充填しようとしたとき、溶融物において気泡を
噛み込み、溶融物の一部が充填できず、また、各銅管と
溶融物との間に、一部、空隙が形成されていた。この比
較蓄熱装置(1)のIPFは50%、S/Vは54m2
/m3 であった。また、この比較蓄熱装置(1)では、
伝熱面の伝熱表面積の76%しか蓄熱材が密着していな
かった。このような比較蓄熱装置(1)の蓄熱性を、実
施例1の記載と同様に測定した。その結果を表1に示し
た。
【0161】〔比較例2〕実施例4に記載の熱交換器
(2)の各銅管の間に対し、スチレン系熱可塑性エラス
トマー(シェルジャパン製、Kraton G170
1)189.6kgと、実施例3記載のパラフィンワック
ス758.3kgの混合物を100℃に加熱して得られた
溶融物を、充填して比較蓄熱装置(2)を得た。上記ス
チレン系熱可塑性エラストマーは、ポリスチレン40重
量%、ポリエチレン/ポリプロピレン60重量%の組成
のブロックコポリマーである。
【0162】この比較蓄熱装置(2)では、溶融物を充
填しようとしたとき、溶融物において気泡を噛み込み、
溶融物の一部が充填できず、また、各銅管と溶融物との
間に、一部、空隙が形成されていた。この比較蓄熱装置
(2)のIPFは55%、S/Vは53m2 /m3 であ
った。また、この比較蓄熱装置(2)では、伝熱面の伝
熱表面積の70%しか蓄熱材が密着していなかった。こ
のような比較蓄熱装置(2)の蓄熱性について、実施例
3に記載の測定方法と同様にして測定した。その結果を
表1に示した。
【0163】〔比較例3〕実施例6に記載の熱交換器
(3)の蓄熱材充填層となる幅25mm各仕切り板の間
に、比較2に記載の熱可塑性エラストマー595.1kg
と、実施例1記載のペンタデカン2380kgの混合物を
100℃に加熱して得られた溶融物を、充填して比較蓄
熱装置(3)を得た。この比較蓄熱装置(3)では、溶
融物を充填しようとしたとき、溶融物において気泡を噛
み込み、溶融物の一部が充填できず、また、各仕切り板
と溶融物との間に、一部、空隙が形成されていた。この
比較蓄熱装置(3)のIPFは45%、S/Vは80m
2 /m3 であった。また、この比較蓄熱装置(3)で
は、伝熱面の伝熱表面積の75%しか蓄熱材が密着して
いなかった。このような比較蓄熱装置(3)の蓄熱性
を、実施例6に記載の測定方法と同様にして測定した。
その結果を表1に示した。
【0164】それらの結果、蓄熱装置(4)〜(5)で
は、それぞれのIPFが78%であり、本願の高分子化
合物を用いたことによって、比較蓄熱装置(1)〜
(2)のIPF50%、55%と比べて、IPF(充填
率)がよく、よって、蓄熱性もよいことが判る。
【0165】また、蓄熱装置(1)〜(3)では、軽量
で、固体であることから取り扱いが容易な粒状の高分子
化合物(1)〜(2)を用いても、熱交換器(1)内に
て、油性の有機系潜熱蓄熱剤を保持して、各高分子化合
物(1)〜(2)が互いに密着した連続体が、各銅管の
外壁に対して密着して、容易に形成されるので、60%
という優れたIPFおよび54m2 /m3 という優れた
S/Vを容易に実現できる。
【0166】一方、比較蓄熱装置(1)〜(2)では、
従来のポリオレフィンや熱可塑性エラストマーを用いた
ので、熱交換器(1)への充填性が、すなわちIPF
(充填率)が50%、55%と悪く、よって蓄熱性も劣
ることが判る。
【0167】一方、蓄熱装置(6)〜(7)では、本願
の高分子化合物を用いたことによって、比較蓄熱装置
(3)のIPFが45%と比べて、IPF(充填率)が
よく、よって、蓄熱性もよいことが判る。
【0168】このように本発明の蓄熱装置およびその製
造方法では、IPFが60%以上、かつ、S/Vが40
2 /m3 以上といった、IPFが高く、高精細な構造
を有する蓄熱材を有する蓄熱装置を、容易に、簡便に、
安価に、かつ確実に得ることができる。
【0169】本発明の蓄熱装置は、蓄熱性に優れ、か
つ、製造コストを低減できることから、ビルの空調用、
給湯設備、食品工場や化学工場の保温や保冷システム、
保温や保冷の輸送システム等、幅広い分野に適用するこ
とができる。
【0170】
【発明の効果】本発明の蓄熱装置は、以上のように、熱
交換のための流動性熱媒体が、通路を介して容器内に対
し入出自在であり、上記流動性熱媒体が通る通路を形成
した容器内に、相変化により蓄熱性を有する有機系潜熱
蓄熱剤と、上記有機系潜熱蓄熱剤を保形可能に保持した
高分子化合物とを備えた蓄熱材が、上記通路に面して、
ほぼ間断なく密着して充填されている構成である。
【0171】上記構成によれば、高分子化合物によっ
て、有機系潜熱蓄熱剤の滲みだしや、漏洩が抑制される
ので、製造時、輸送時、使用時に安全であり、かつ、蓄
熱装置外への汚染が回避できる。また、有機系潜熱蓄熱
剤が危険物であっても、漏洩を防止できるので非危険物
とすることが可能となる。
【0172】さらに、上記構成では容器が流動性熱媒体
を通す通路を備えており、蓄熱材が、上記通路に面し
て、ほぼ間断なく密着して充填されているため、従来よ
りも伝熱効率の改善された、蓄熱効率の向上した蓄熱装
置を提供することが可能となるという効果を奏する。
【0173】本発明の蓄熱装置は、以上のように、熱交
換のための流動性熱媒体が、容器内に対し入出自在であ
り、容器内に、相変化により蓄熱性を有する有機系潜熱
蓄熱剤と、上記有機系潜熱蓄熱剤を保形可能に保持した
高分子化合物とを備えた蓄熱材が設けられ、蓄熱材は、
容器内における蓄熱材のIPFが60%以上、かつ、流
動性熱媒体と蓄熱材との間での伝熱表面積(S)と蓄熱
材容積(V)との間での商であるS/Vが、40m2
3 以上となっている構成である。
【0174】上記構成によれば、高分子化合物によっ
て、有機系潜熱蓄熱剤の滲みだしや、漏洩が抑制される
ので、製造時、輸送時、使用時に安全であり、かつ、蓄
熱装置外への汚染が回避できる。また、有機系潜熱蓄熱
剤が危険物であっても、漏洩を防止できるので非危険物
とすることが可能となる。
【0175】さらに、上記構成では、蓄熱材は、容器内
における蓄熱材のIPFが60%以上となっていること
から、小さな容器においても大きな蓄熱性を実現でき、
かつ、流動性熱媒体と蓄熱材との間での伝熱表面積
(S)と蓄熱材容積(V)との間での商であるS/V
が、40m2 /m3 以上となっているので、優れた伝熱
効率が可能となるという効果を奏する。
【0176】本発明の蓄熱装置の製造方法は、以上のよ
うに、流動性熱媒体が通る通路を形成した容器内にて、
相変化により蓄熱性を有する有機系潜熱蓄熱剤中で、単
量体成分を重合して、上記単量体成分を重合してなる重
合体中に、相変化により液化する有機系潜熱蓄熱剤の流
動性を低下するように上記有機系潜熱蓄熱剤を保持させ
た方法である。
【0177】上記方法によれば、単量体成分を容器内に
て重合できるので、蓄熱性を有する重合体を伝熱面に連
続的に密着させることが可能となることから、従来より
熱効率の改善された蓄熱装置を製造することができると
いう効果を奏する。
【0178】本発明の他の蓄熱装置の製造方法は、さら
に、上記重合体が、架橋構造を有する方法である。上記
方法によれば、重合体が、架橋構造を有することによっ
て、有機系潜熱蓄熱剤の保持・保形を確実化、安定化す
ることが可能となり、かつ、有機系潜熱蓄熱剤の保持割
合を増加させることができて、さらに蓄熱効率を改善で
き、その上、蓄熱材の適用範囲を拡大できる蓄熱装置を
得ることが可能となるという効果を奏する。
【0179】本発明の他の蓄熱装置の製造方法は、架橋
のための官能基を備えた反応性単量体を含む単量体成分
を重合して得られる架橋前重合体を、流動性熱媒体が通
る通路を形成した容器内にて、相変化により蓄熱性を有
する有機系潜熱蓄熱剤の存在下で、架橋剤により官能基
間を架橋させて、架橋前重合体に対し架橋構造を形成す
る方法である。
【0180】上記方法によれば、予め重合して得られた
架橋前重合体を、相変化により蓄熱性を有する有機系潜
熱蓄熱剤とともに容器内に充填した後、上記容器内にて
架橋して、架橋構造を有する重合体を形成するので、容
器内に、有機系潜熱蓄熱剤を保持した重合体を充填する
ために要する時間を短縮化することが可能となり、よっ
て、蓄熱装置の製造を簡素化できるという効果を奏す
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の蓄熱装置の模式斜視図である。
【図2】上記蓄熱装置の断面図である。
【図3】本発明の他の蓄熱装置の模式斜視図である。
【図4】上記蓄熱装置の断面図である。
【符号の説明】
1 容器 2 蓄熱材 3 通路

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】熱交換のための流動性熱媒体が、通路を介
    して容器内に対し入出自在であり、 上記流動性熱媒体が通る通路を形成した容器内に、相変
    化により蓄熱性を有する有機系潜熱蓄熱剤と、上記有機
    系潜熱蓄熱剤を保形可能に保持した高分子化合物とを備
    えた蓄熱材が、上記通路に面して、ほぼ間断なく密着し
    て充填されていることを特徴とする蓄熱装置。
  2. 【請求項2】熱交換のための流動性熱媒体が、容器内に
    対して入出自在であり、 容器内に、相変化により蓄熱性を有する有機系潜熱蓄熱
    剤と、上記有機系潜熱蓄熱剤を保形可能に保持した高分
    子化合物とを備えた蓄熱材が設けられ、 蓄熱材は、容器内における蓄熱材の充填率が60%以
    上、かつ、流動性熱媒体と蓄熱材との間での伝熱表面積
    (S)と蓄熱材容積(V)との間での商であるS/V
    が、40m2 /m3 以上となっていることを特徴とする
    蓄熱装置。
  3. 【請求項3】流動性熱媒体が通る通路を形成した容器内
    にて、 相変化により蓄熱性を有する有機系潜熱蓄熱剤中で、単
    量体成分を重合して、上記単量体成分を重合してなる重
    合体中に、相変化により液化する有機系潜熱蓄熱剤の流
    動性を低下するように上記有機系潜熱蓄熱剤を保持させ
    たことを特徴とする蓄熱装置の製造方法。
  4. 【請求項4】重合体は、架橋構造を有することを特徴と
    する請求項3記載の蓄熱装置の製造方法。
  5. 【請求項5】架橋のための官能基を備えた反応性単量体
    を含む単量体成分を重合して得られる架橋前重合体を、
    流動性熱媒体が通る通路を形成した容器内にて、相変化
    により蓄熱性を有する有機系潜熱蓄熱剤の存在下で、架
    橋剤により官能基間を架橋させて、架橋前重合体に対し
    架橋構造を形成することを特徴とする蓄熱装置の製造方
    法。
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