JP3638072B2 - 蓄熱剤の製造方法および蓄熱材の製造方法 - Google Patents

蓄熱剤の製造方法および蓄熱材の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ビル空調などの冷暖房に好適に用いられる、相変化による潜熱を利用した蓄熱剤の製造方法およびそれを用いた蓄熱材の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、熱をエネルギーとして家庭用や産業用に用いる場合に、熱の発生源とそれを用いる場所とが異なったり、熱を発生させた時とそれを利用する時とが相違したりするときにおいて、熱を運搬、または一時的に貯蔵する媒体、いわゆる蓄熱体を用いることが提案されている。
【0003】
このような蓄熱体としては、その蓄熱体の熱容量を利用した顕熱や、蓄熱体の相変化による潜熱を利用したものが知られている。潜熱とは、固体から液体への相変化時に蓄熱し、液体から固体への相変化時に放熱する現象である。
【0004】
顕熱を利用した蓄熱体として、水、石塊、各種金属類などが知られているが、これら顕熱を利用したものは、熱容量が低く蓄熱密度が小さいため蓄熱槽を大きくする必要があるという不都合や、熱を取り出す際の熱の温度幅が大きくなるため、熱源および熱の利用先の温度に制限を生じることがあるという不都合を有している。
【0005】
一方、潜熱を利用した蓄熱体としては、無機水和塩、パラフィン等の炭化水素が提案されている。しかしながら、無機水和塩については、一般に過冷却が大きく、実用上、融点以下となっても凍結が阻害されて放熱される熱密度が著しく低下するといった重大な障害を招来することがあるという欠点が知られている。
【0006】
これに対し、パラフィン等の炭化水素は、無機水和塩より過冷却による弊害が大きくなく、また、潜熱が約40〜60cal /gと大きい上に、約2〜96℃という広い温度範囲にわたる融点を有するものがそれぞれ存在するので、用途に応じ最適な性質のものを選択し得るという利点を備えたものである。
【0007】
ところが、このようなパラフィン等の炭化水素においても、長期間、高温にさらされると、その物性に劣化が生じ、過冷却による弊害が大きくなるという問題が生じている。
【0008】
このような問題を回避するために、上記パラフィン等の炭化水素に、ゼオライト粉末のような造核剤を添加して過冷却を防止することが提案されているが、このような造核剤は、使用している間に、特に炭化水素が液状の間に、比重差で造核剤が液状の炭化水素から分離することにより、造核剤が有する充分な効果を炭化水素に付与できなくなるという問題点を有している。
【0009】
また、このようなパラフィン等の炭化水素は、それを潜熱蓄熱用の蓄熱剤として用いる場合、上記蓄熱剤が屋内で大量に用いられることから、可燃性である蓄熱剤の使用に対する消防法などの規制に適合させるため、液化時に流動することによる容器から外部への漏れを防止する対策が必要となるという問題点を有している。
【0010】
そこで、上記のような各問題点を回避するために、特開平6−58686号公報には、ゼラチンもしくはヒドロキシステアリン酸などの凝固剤をパラフィン系蓄熱剤に添加することによって、ゼリー状にゲル化させた上記パラフィン系蓄熱剤が充填されたカプセルを有している伝熱媒体を用いた潜熱蓄熱装置が開示されている。
【0011】
また、前記のような各問題点を回避するために、特開昭56−103273号公報では、N−アシルアミノ酸のアミド、エステルおよびアミン塩と12−ヒドロキシステアリン酸の中から選ばれた少なくとも1種の化合物をゲル化剤として含有する、液化時の流動性が抑制されたパラフィンからなる蓄熱材料が開示されている。
【0012】
また、特開平4−85387号公報では、蓄熱成分としてのパラフィン類と、ポリオレフィン系ポリマー類などの炭化水素系有機高分子からなるバインダ成分とが互いに機械的手段にて混合されてなる、パラフィン類における液化時の流動性が抑制された蓄熱材が開示されている。
【0013】
上記機械的手段にての混合とは、パラフィン類と炭化水素系有機高分子の双方中の少なくとも1成分の溶融物に残余の成分が少なくとも膨潤好ましくは溶解することにより、あるいは高温度により、混合対象となる何れの成分も外力にて流動変形し得る状態において、撹拌、混合、混練する操作を意味する。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上記従来の特開平6−58686号公報に記載の方法で得られるゲル化させた上記パラフィン系蓄熱剤では、熱を貯蔵・放出する際の凍結・融解を繰り返すと、ゲル化が崩壊し、含有されたパラフィン系蓄熱剤が流動化して、カプセルが破損したときに容易に上記パラフィン系蓄熱剤が流出することから、火災等の危険性が増大化するという問題を生じている。
【0015】
また、前記従来の特開昭56−103273号公報に記載の方法で得られた蓄熱材料では、熱を貯蔵する際の数回の凍結・融解でゲルが崩壊し、含有されたパラフィンが流動化して外部に漏出し、上記危険性が増大化するという問題を生じている。
【0016】
さらに、前記の特開平4−85387号公報に記載のように、機械的手段により高分子とパラフィンとを複合化する方法では、パラフィンを高含有率で用いることが困難であり、また、仮に高含有率を達成できても、熱を貯蔵する際の凍結・融解時に上記パラフィンがしみ出して漏出が多くなり、やはり上記危険性が増大化するという問題を生じている。
【0017】
また、上記従来の各公報では、蓄熱材料が予めゲル状の成形物、または、蓄熱材がバインダ成分に混合した成形物であるため、媒体との接触表面積を大きくできる複雑な形状の容器中、例えば細いチューブ状、ドーナツ状、またはコイル状の容器中に、成形体である蓄熱体を充填するのに手間取るという問題を有すると共に、上記成形物を容器内に隙間なしに充填することが困難であり、充填率の低下から熱効率の低下も招来するという問題を有している。
【0018】
その上、上記従来の特開昭56−103273号公報に記載の方法で得られた蓄熱材料では、容器中に充填する際に、上記蓄熱材料を液状とするために溶融させて高温となる状態で充填作業を行う必要があるため、ポリ塩化ビニル製等の耐熱性の低い容器に対し実質的には充填できず、高耐熱性を有するが高価な樹脂材料や、耐腐食性を有するが高価なステンレスなどからなる容器にしか用いられないという不都合も生じている。
【0019】
【課題を解決するための手段】
本発明の請求項1記載の蓄熱剤の製造方法は、以上の課題を解決するために、蓄熱性を有する油性物質中で、単量体成分を重合して、上記単量体成分を重合してなる重合体中に、相変化により液化する油性物質の流動性が低下するように上記油性物質を保持させることを特徴としている。
【0020】
上記の請求項1記載の方法によれば、単量体成分を重合してなる重合体を、油性物質中で形成することにより、上記重合体中に、相変化により液化する油性物質の流動性が低下するように上記油性物質を保持させて、油性物質をゲル状または固体状とすることができる。よって、上記方法では、熱を貯蔵・放熱する際の凍結・融解を繰り返した時の油性物質のしみ出し等の漏出が軽減された蓄熱剤を得ることができる。
【0021】
本発明の請求項2記載の蓄熱剤の製造方法は、請求項1記載の蓄熱剤の製造方法において、単量体成分を重合して得られた重合体は、架橋構造を有することを特徴としている。
【0022】
本発明の請求項3記載の蓄熱剤の製造方法は、請求項2記載の蓄熱剤の製造方法において、単量体成分は、重合性を有する不飽和基を分子中に少なくとも2個以上有する架橋性単量体を含み、上記単量体成分を共重合させることにより、上記架橋性単量体によって架橋構造を形成することを特徴としている。
【0023】
本発明の請求項4記載の蓄熱剤の製造方法は、請求項2記載の蓄熱剤の製造方法において、単量体成分は、架橋のための官能基を備えた反応性単量体を含み、上記単量体成分を油性物質中で共重合させた重合体を、上記油性物質を含有した状態で、架橋剤により官能基間を架橋させて架橋構造を形成することを特徴としている。
【0024】
上記の請求項2ないし4記載の方法によれば、重合体が架橋構造を有することから、油性物質を保持した蓄熱剤を、油性物質のしみ出し等の漏出がより軽減されたものとすることができる。
【0025】
本発明の請求項5記載の蓄熱剤の製造方法は、請求項4記載の蓄熱剤の製造方法において、上記反応性単量体が有する官能基と架橋剤が有する官能基との組み合わせが、カルボキシル基、ヒドロキシル基、メルカプト基、アミノ基およびアミド基からなる群より選ばれる群から選ばれる少なくとも1つの官能基と、イソシアナート基、エポキシ基および無水カルボン酸基からなる群より選ばれる少なくとも1つの官能基との組合せであることを特徴としている。
【0026】
上記の請求項5記載の方法によれば、反応性単量体が有する官能基と架橋剤が有する官能基との組合せが上記組合せから選ばれることで、未反応の官能基の残存量が低減された重合体を得ることができる。従って、該重合体に油性物質を保持させることにより、該油性物質の蓄熱特性を阻害しない蓄熱剤を得ることができる。
【0027】
本発明の請求項6記載の蓄熱剤の製造方法は、請求項4記載の蓄熱剤の製造方法において、上記反応性単量体がヒドロキシル基を有するとともに、架橋剤が少なくとも2個のイソシアナート基を有することを特徴としている。
【0028】
上記の請求項6の記載の方法によれば、未反応の官能基の残存量が低減された重合体を得ることができるので、油性物質の蓄熱特性を阻害しない蓄熱剤を得ることができる。さらに、上記の方法によれば、上記油性物質を低温でゲル化することが可能となる。このため、耐熱容器でなくとも油性物質をゲル状で保持することができるとともに、長期安定性に優れた蓄熱剤を得ることができる。
【0029】
本発明の請求項7記載の蓄熱剤の製造方法は、請求項1ないし6の何れか一つに記載の蓄熱剤の製造方法において、単量体成分は、溶解度パラメーターが9以下の単量体を、50重量%以上含むことを特徴としている。
【0030】
上記の請求項7記載の方法によれば、単量体成分が、溶解度パラメーター9以下の単量体を50重量%以上含むことにより、油性物質を、それが液化した状態であっても安定に保持する蓄熱剤を安定に得ることが可能となる。
【0031】
本発明の請求項8記載の蓄熱材の製造方法は、請求項1ないし7の何れか一つに記載の蓄熱剤の製造方法を用い、液体の状態で容器に充填した後、容器内で硬化させることを特徴としている。
【0032】
上記の請求項8記載の方法によれば、油性物質と、例えば単量体成分または架橋前の重合体との混合物を常温付近となる比較的低い温度で液状とすることが容易に可能なことから、上記油性物質と単量体成分または架橋前の重合体とを容器中に密に充填することが容易にできる。
【0033】
続いて、上記単量体成分または架橋前の重合体を上記容器中で常温付近となる比較的低い温度にて重合または架橋させることにより、得られた蓄熱剤を、油性物質が重合体中に保持された状態で上記容器中に密に充填できる。
【0034】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態について説明すれば、以下の通りである。
本発明の蓄熱剤の製造方法は、蓄熱性を有する油性物質中で、好ましくは油溶解性ラジカル重合開始剤の存在下、単量体成分を重合して、上記単量体成分を重合してなる重合体中に、相変化により液化する油性物質の流動性が低下するように上記油性物質を保持させる方法である。また、上記単量体成分から得られた重合体と、油性物質とが基本的に相溶する(極性的に近いもの同士)組合せを選定するのが好ましい。
【0035】
上記蓄熱剤では、単量体成分を重合させた重合体は、架橋構造を有することが、油性物質を保持する状態を、より安定に維持するために好ましい。このような架橋構造を重合体に対し付与するため、単量体成分には、重合性を有する不飽和基を分子中に少なくとも2個以上有する架橋性単量体を含むこと、あるいは、架橋のための官能基を備えた反応性単量体を含むことが好ましい。
【0036】
単量体成分が反応性単量体を含む場合、上記単量体成分を油性物質中で共重合させた重合体を、上記油性物質を含有した状態で、架橋剤により上記官能基間を架橋して架橋構造を有する重合体が得られる。
【0037】
前述の蓄熱性を有する油性物質としては、常温(25℃)付近、常圧(1気圧)において、油性の、かつ、上記単量体成分の重合や上記重合体の架橋も阻害することが回避されるもので、顕熱蓄熱、潜熱蓄熱、化学反応蓄熱などの熱エネルギーを貯蔵し、放出できるものであれば、特に限定されないが、蓄熱密度が高いこと、一定温度付近での蓄・放熱が可能なことから、相変化、または、相転移の際の潜熱を利用する潜熱蓄熱を蓄熱性として有する物質が好ましい。
【0038】
このような潜熱蓄熱が可能な油性物質としては、例えば、アルコール類、エステル類、エーテル類、パラフィンなどの炭化水素化合物を挙げることができる。これらの中で、好ましくはパラフィン、特に好ましくは、パラフィンとしてのペンタデカンである。
【0039】
これは、パラフィンが、単量体成分や重合体を容易に溶解し、また、上記単量体成分の重合や上記重合体の架橋の際の多官能化合物と反応せず上記架橋も阻害することが回避されるものであり、その上、容易に入手でき、さらに、広範囲な温度範囲に用いることができる蓄熱剤を、簡便に、かつ、安定にそれぞれ製造することができるからである。
【0040】
上記蓄熱剤を、簡便に、かつ、安定に製造することができるのは、構造が互いに異なる各パラフィンにおいて融点の温度範囲が広く分布しており種々な融点を有するパラフィンをそれぞれ選定できるからである。
【0041】
上記炭化水素化合物としては、具体的には、C14〜C16パラフィン、C15〜C16パラフィン、ペンタデカン、C14パラフィン、C16パラフィンなど常温で液体である中級パラフィン、または、常温で固体である高級パラフィン、あるいは、1−デカノールといった高級アルコールなどを挙げることができる。
【0042】
前記の油溶解性ラジカル重合開始剤としては、例えばベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイドなどの有機過酸化物;2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビスジメチルバレロニトリルなどのアゾ化合物などを挙げることができる。
【0043】
上記の油溶解性ラジカル重合開始剤は、一般に、単量体成分に対して0.1〜5重量%の範囲内で用いることができる。重合温度は、油性物質の融点や単量体成分の種類や重合開始剤の種類により、用いた油性物質が液体状を維持できる温度であり、かつ、0〜150℃の範囲内で適宜選択することができるが、より好ましくは0〜80℃である。
【0044】
前記の単量体成分としては、分子中に1個の重合性不飽和基を有する単量体(a)を主成分に、および分子中に少なくとも2個の重合性不飽和基を有する架橋性単量体(b)を含む単量体成分を挙げることができる。
【0045】
上記の単量体(a)と架橋性単量体(b)との配合割合は、それらの合計に対し、単量体(a)96〜99.999重量%、架橋性単量体(b)0.001〜4重量%(ただし単量体(a)および架橋性単量体(b)の合計は100重量%である)が好ましい。
【0046】
上記単量体(a)としては、溶解度パラメーター(SP値)が9以下の単量体が好ましい。上記溶解度パラメーター(SP値)とは、化合物の極性を表す尺度として一般に用いられており、本明細書では、Small の計算式に Hoyの凝集エネルギー定数を代入して導いた値を適用するものとし、単位が( cal/cm3 1/2 で表される。
【0047】
溶解度パラメーター(SP値)が9を越える単量体を、単量体成分における主成分として用いた場合、上記単量体成分から得られた重合体が、油性物質をゲル状または固体状にできないものであったり、著しく小量の油性物質しか含有できないものであったりして、得られた蓄熱剤に対し油性物質を保持する性質を確保できないものとなる。
【0048】
溶解度パラメーター(SP値)が9以下で、分子中に少なくとも1個の重合性不飽和基を有する前記の単量体(a)としては、不飽和カルボン酸エステル、炭化水素基を有する(メタ)アクリルアミド、α−オレフィン、脂環式ビニル化合物、脂肪族炭化水素基を有するアリルエーテル、脂肪族炭化水素基を有するビニルエステル、脂肪族炭化水素基を有するビニルエーテル、芳香族ビニル化合物などを挙げることができ、これらの単量体を1種または2種以上用いることができる。
【0049】
不飽和カルボン酸エステルとしては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、 iso−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、オクチルフェニル(メタ)アクリレート、ノニルフェニル(メタ)アクリレート、ジノニルフェニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、メンチル(メタ)アクリレート、イソボニル(メタ)アクリレート、ジブチル(メタ)アクリレート、ジブチルマレエート、ジドデシルマレエート、ドデシルクロトネート、ジドデシルイタコネート等が挙げられる。
【0050】
炭化水素基を有する(メタ)アクリルアミドとしては、(ジ)ブチル(メタ)アクリルアミド、(ジ)ドデシル(メタ)アクリルアミド、(ジ)ステアリル(メタ)アクリルアミド、(ジ)ブチルフェニル(メタ)アクリルアミド、(ジ)オクチルフェニル(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。
【0051】
α−オレフィンとしては、1−ヘキセン、1−オクテン、イソオクテン、1−ノネン、1−デセン等が挙げられる。脂環式ビニル化合物としては、ビニルシクロヘキサン等が挙げられる。脂肪族炭化水素基を有するアリルエーテルとしては、ドデシルアリルエーテル等が挙げられる。
【0052】
脂肪族炭化水素基を有するビニルエステルとしては、カプロン酸ビニル、ラウリン酸ビニル、パルミチン酸ビニル、ステアリル酸ビニル等が挙げられる。脂肪族炭化水素基を有するビニルエーテルとしては、ブチルビニルエーテル、ドデシルビニルエーテル等が挙げられる。芳香族ビニル化合物としては、スチレン、t-ブチルスチレン、オクチルスチレン等が挙げられる。
【0053】
これらの中でも、液化した油性物質の流動性を低下させて上記油性物質をゲル状または固体状にして保持する、より優れた性質を、得られた重合体に対し与える単量体としては、少なくとも1個の炭素数1〜30の脂肪族炭化水素基を有し、かつ、アルキル(メタ)アクリレート、アルキルアリール(メタ)アクリレート、アルキル(メタ)アクリルアミド、アルキルアリール(メタ)アクリルアミド、脂肪酸ビニルエステル、アルキルスチレンおよびα−オレフィンからなる群より選ばれる少なくとも一種の不飽和化合物を主成分とする単量体(a)が特に好ましい。
【0054】
前記の架橋性単量体(b)としては、分子中に少なくとも2個の重合性不飽和単量体を有する単量体であって、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、N,N’−メチレンビスアクリルアミド、N,N’−プロピレンビスアクリルアミド、グリセリントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、多価アルコール(例えばグリセリン、トリメチロールプロパンテトラメチロールメタン)のアルキレンオキシド付加物と(メタ)アクリル酸とのエステル化によって得られる多官能(メタ)アクリレートやジビニルベンゼンなどが好ましく、これらの架橋性単量体を1種または2種以上用いることができる。
【0055】
また、前述の単量体成分と異なる他の単量体成分としては、前述の単量体(a)を主成分として含み、かつ、後述する架橋剤と化学的に結合する官能基、および1個の重合性不飽和基を有する反応性単量体(c)を含むものを挙げることができる。
【0056】
上記の単量体(a)と反応性単量体(c)との配合割合は、それらの合計に対し、単量体(a)90〜99.995重量%、反応性単量体(c)0.005〜10重量%(ただし単量体(a)および反応性単量体(c)の合計は100重量%である)が好ましい。
【0057】
このような反応性単量体(c)としては、後述する架橋剤が有する縮合性官能基(Y)と縮合して化学的な結合を形成する縮合性官能基(X)を有する化合物であればよい。このような縮合性官能基(X)としては、カルボキシル基、ヒドロキシル基、メルカプト基、ニトリル基、アミノ基、アミド基、イソシアナート基、エポキシ基、酸無水物の重合性不飽和基が挙げられる。
【0058】
反応性単量体(c)としては、例えば、カルボキシル基を有するビニル系単量体、ヒドロキシル基を有するビニル系単量体、メルカプト基を有するビニル系単量体、ニトリル基を有するビニル系単量体、アミノ基を有するビニル系単量体、アミド基を有するビニル系単量体、イソシアナート基を有するビニル系単量体、エポキシ基を有するビニル系単量体、重合性不飽和基を有する酸無水物などを挙げることができ、これらの単量体を1種または2種以上用いることができる。
【0059】
カルボキシル基を有するビニル系単量体としては、(メタ)アクリル酸、フマル酸、イタコン酸などが挙げられる。ヒドロキシル基を有するビニル系単量体としては、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、グリセリン(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパン(メタ)アクリレート、ヒドロキシスチレン等が挙げられる。
【0060】
メルカプト基を有するビニル系単量体としては、ビニルメルカプタン、メルカプトエチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。ニトリル基を有するビニル系単量体としては、(メタ)アクリロニトリル等が挙げられる。アミノ基を有するビニル系単量体としては、アミノエチル(メタ)アクリレート、ビニルピリジン等が挙げられる。
【0061】
アミド基を有するビニル系単量体としては、(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。イソシアナート基を有するビニル系単量体としては、ビニルイソシアナート等が挙げられる。エポキシ基を有するビニル系単量体としては、グリシジル(メタ)アクリレート等が挙げられる。重合性不飽和基を有する酸無水物としては、無水マレイン酸などが挙げられる。
【0062】
前記の架橋剤は、分子中に少なくとも2個の縮合性官能基(Y)を有するものであり、重合体に含有された縮合性官能基(X)に応じて適宜選定される。このような架橋剤の例としては、縮合性官能基(X)が、カルボキシル基、メルカプト基、ニトリル基、エポキシ基である場合に縮合可能な、ジメチロールフェノールやポリメチロールフェノール等のフェノール樹脂が挙げられる。
【0063】
上記架橋剤の他の例としては、縮合性官能基(X)が、カルボキシル基、ヒドロキシル基である場合に縮合可能な、メラミン、ベンゾグアナミン、尿素などのアミノ化合物とホルムアルデヒドやアルコールとを付加縮合したアミノ樹脂が挙げられる。
【0064】
上記架橋剤のさらに他の例としては、縮合性官能基(X)が、カルボキシル基、イソシアナート基、エポキシ基である場合に縮合可能な、ヘキサメチレンジアミンやジエチレントリアミンやテトラエチレンペンタミンなどの多価アミノ化合物が挙げられる。
【0065】
上記架橋剤のさらに他の例としては、縮合性官能基(X)が、カルボキシル基、ヒドロキシル基、メルカプト基、イソシアナート基、アミド基、アミノ基、エポキシ基である場合に縮合可能な、ヘキサメチレンジイソシアナート、イソホロンジイソシアナート、p−フェニレンジイソシアナート、2,4−トルエンジイソシアナート、2,6−トルエンジイソシアナート、1,5−ナフタレンジイソシアナート、およびこれらのイソシアナートとメタノールやフェノール等を縮合させたブロックドイソシアナートなどのイソシアナート化合物が挙げられる。
【0066】
上記架橋剤のさらに他の例としては、縮合性官能基(X)が、イソシアナート基、エポキシ基である場合に縮合可能な、マロン酸やコハク酸やアジピン酸やフタル酸やテレフタル酸などの多価カルボン酸が挙げられる。
【0067】
上記架橋剤のさらに他の例としては、縮合性官能基(X)が、ヒドロキシル基、イソシアナート基、エポキシ基である場合に縮合可能な、無水フタル酸やピロメリット酸無水物やベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物などの酸無水物が挙げられる。
【0068】
上記架橋剤のさらに他の例としては、縮合性官能基(X)が、ヒドロキシル基、メルカプト基、アミノ基、アミド基である場合に縮合可能な、グリオキザルやテレフタルアルデヒドなどのアルデヒド化合物が挙げられる。
【0069】
上記架橋剤のさらに他の例としては、縮合性官能基(X)が、ヒドロキシル基、イソシアナート基、エポキシ基である場合に縮合可能な、エチレングリコールやジエチレングリコール、プロピレングリコールやヘキサンジオールなどの多価アルコールが挙げられる。
【0070】
上記架橋剤のさらに他の例としては、縮合性官能基(X)が、カルボキシル基、ヒドロキシル基、メルカプト基、イソシアナート基である場合に縮合可能な、トルエングリシジルエーテルやヘキサメチレングリシジルエーテルやビスフェノールAジグリシジルエーテルやポリプロピレングリコールジグリシジルエーテルなどのエポキシ化合物が挙げられる。
【0071】
このような架橋剤としての各化合物は、重合体に含有されている縮合性官能基(X)の種類によりその組合せが適宜定められ、これらの1種または2種以上用いられる。
【0072】
これらの中で特に好ましい縮合性官能基(X)と、架橋剤の縮合性官能基(Y)との組合せは、カルボキシル基、ヒドロキシル基、メルカプト基、アミノ基およびアミド基からなる群より選ばれる少なくとも1つの官能基と、イソシアナート基、エポキシ基、無水カルボン酸基からなる群より選ばれる少なくとも1つの官能基との組合せである。
【0073】
上記の組合せから縮合性官能基(X)と架橋剤の縮合性官能基(Y)とを選択することにより、未反応の官能基の残存量が低減された重合体を得ることができる。従って、該重合体に前記油性物質を保持させることにより、該油性物質の蓄熱特性を阻害しない蓄熱剤を得ることができる。そして、特に上記縮合性官能基(X)がヒドロキシル基であり、架橋剤の縮合性官能基(Y)がイソシアナート基である組合せ、つまり、上記反応性単量体がヒドロキシル基を有し、架橋剤が分子中に少なくとも2個のイソシアナート基を有するものである組合せを選択することにより、油性物質を低温でゲル化することが可能となる。このため、耐熱容器でなくとも油性物質をゲル状で保持することができるとともに、長期安定性に優れた蓄熱剤を得ることができる。
【0074】
架橋させる重合体に対し、用いられる架橋剤の比率は、重合体の構成単位である縮合性官能基(X)のモル数と、架橋剤が有する縮合性官能基(Y)のモル数の関係から決定され、縮合性官能基(X)1モルに対する縮合性官能基(Y)のモル数が0.1〜10の範囲内であることが好ましい。
【0075】
縮合性官能基(Y)のモル数が縮合性官能基(X)モル数1に対して0.1未満である場合、架橋が充分に行えず強度の低い、架橋された重合体しか得られないことがあるので好ましくない。一方、10を越えた場合、油性物質を多く保持するといった優れた性質を有する架橋された重合体が形成されなくなることがあるので好ましくない。
【0076】
このような架橋剤を用いて有効な蓄熱剤を得るには、単量体成分を重合させた架橋前の重合体と、架橋剤とを混合した後、架橋反応が進行する前に、例えば容器内に混合物を注入し、油性物質が溶融して液体状を維持でき、かつ、0〜80℃といった温度下で架橋反応させて硬化させればよい。また、必要に応じて、各種重合反応や架橋反応を促進する触媒を選択し用いることにより反応速度を速めることも可能である。
【0077】
さらに、架橋反応後に上記縮合性官能基(X)および縮合性官能基(Y)がそれぞれ未反応で残存することを抑制するために、上記架橋反応を阻害しない範囲内で、これら縮合性官能基(X)または縮合性官能基(Y)と重縮合可能な反応基を有する化合物を、予めまたは架橋反応後に添加してもよい。例えば、上記縮合性官能基(X)または縮合性官能基(Y)が多価イソシアナートである場合には、上記化合物としては、長鎖カルボン酸などを用いることができる。上記各官能基(X)および(Y)が、それぞれ未反応で残存することは、油性物質の蓄熱特性を損なうおそれがあるので好ましくない。
【0078】
本発明では、溶解度パラメーター(SP値)が9以下の単量体(a)の単量体成分中における使用量は、単量体成分の全体に対して50重量%以上、より好ましくは70重量%以上となる割合である。上記単量体(a)の使用量が50重量%未満のときは、得られた蓄熱剤における、保持できる油性物質の含有率が著しく低下することがあり、望ましくない。
【0079】
本発明では、単量体成分中に溶解度パラメーター(SP値)が9以下の単量体(a)が50重量%以上含有されている必要があるが、単量体成分中に50重量%未満の割合で溶解度パラメーター(SP値)が9を越える分子中に1個の重合性不飽和基を有する単量体で、前述の架橋性単量体(b)および反応性単量体(c)と異なる他の単量体が含有されていてもよい。
【0080】
このような単量体としては、例えばメトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0081】
本発明の蓄熱剤の製造方法において、油性物質と、単量体成分とを水系溶媒中で互いに相溶させて混合し懸濁させた状態にて、前述の油溶解性ラジカル重合開始剤の共存下において懸濁重合させる方法(水中懸濁重合)を用いることもできる。
【0082】
このように、水等の水系溶媒中において例えば懸濁重合を用いる場合、その懸濁重合は、前記単量体成分を、水などの水系媒体中に保護コロイド剤や、界面活性剤を溶解した例えば界面活性剤水溶液中に、懸濁粒子の状態にて分散させて、例えば油溶解性ラジカル重合開始剤を用いて重合させることにより行われる。なお、必要に応じて、前記単量体成分を、予め水不溶性の有機溶媒に溶解させてから、その溶液を水系溶媒中にて懸濁重合させることもできる。
【0083】
上記保護コロイド剤としては、ポリビニルアルコール、ヒドロキシエチルセルロース、ゼラチンなどを挙げることができ、また、上記界面活性剤としては、アルキルスルホン酸ナトリウム、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、脂肪酸石鹸などを挙げることができる。
【0084】
本発明の蓄熱剤の製造方法では、さらに添加剤を加えることも可能である。添加剤としては、伝熱向上のための、金属粉(鉄、銅など)、金属繊維、金属酸化物、カーボン、カーボンファイバー等が挙げられ、また、比重調整のための砂、粘土、石、金属粉(鉛、鉄など)が挙げられる。
【0085】
他の添加剤としては、難燃性付与のための水、水ゲル、金属粉、無機化合物(炭酸カルシウム等)、難燃剤(臭素系、塩素系、リン系など)が挙げられる。なお、難燃性には、燃焼性の低減、延焼防止、水蒸気による引火点の消滅、燃焼熱量低減効果などを含む。
【0086】
他の添加剤としては、過冷却防止用として、金属粉、高分子パラフィン(ワックス)等が挙げられ、凝固点調整のために、ワックス類が挙げられ、また、酸化防止や経時的な劣化防止のための、酸化防止剤(フェノール系、チオ系、リン系など)が挙げられる。また、さらに他の添加剤として、必要に応じて、着色剤、顔料、帯電防止剤、防菌剤を添加することも可能である。
【0087】
さらに他の添加剤としては、油性物質の潜熱性を調整するための包接化合物を油性物質に対し添加してもよい。上記包接化合物としては、C4 8 ・O・17H2 O、(CH3 3 N・10.25H2 O、(C4 9 4 NCHO2 ・32H2 O、(C4 9 4 NCH3 CO2 ・32H2 Oなどを挙げることができる。
【0088】
このような添加剤の添加量としては、例えば、燃焼性を低減させるために、炭酸カルシウムを添加剤として用いるとき、油性物質と重合体との合計量に対し、炭酸カルシウムを10〜40重量%添加することが好ましい。
【0089】
炭酸カルシウムの添加量が10重量%未満では、燃料熱量低減効果や延焼防止効果が充分ではない。また、炭酸カルシウムの添加量が40重量%を越えると、相対的に油性物質の含有率が低下して蓄熱量が低下するので好ましくない。
【0090】
このような各添加剤を本発明の蓄熱剤に対し添加した場合、蓄熱・放熱のために油性物質の凍結・溶解を繰り返しても、重合体中に保持させた油性物質の流動性を低下させて、油性物質をゲル状態または固体状態に、従来より安定に維持することができる。このため、例えば、金属粉のように、油性物質との間に1以上といった大きな比重差を有するものを添加剤として用いた場合でも、その添加剤を蓄熱剤内に均一な状態で保持できるから、上記添加剤の効果をより有効に発揮させることが可能となる。
【0091】
また、添加剤と油性物質との間の溶解度パラメーターの数値の差が2以上離れているというように、添加剤と油性物質との間の相溶性が劣る場合でも、本発明の蓄熱剤における重合体が有する架橋構造により、上記添加剤と油性物質とが上記架橋構造内に保持され、上記添加剤と油性物質とが互いに分離することが回避できて、上記添加剤の有する効果をより有効に発揮できるものとなる。
【0092】
本発明の蓄熱材の製造方法は、上記の蓄熱剤の製造方法を用い、単量体成分または架橋前の重合体を、液体状態で容器に充填して、容器内で硬化させる方法である。
【0093】
すなわち、上記蓄熱材の製造方法としては、▲1▼ 油性物質と、架橋性単量体を含む単量体成分とを液体状態にて容器内に投入し、油性物質中にて上記単量体成分を、油溶解性ラジカル重合開始剤の共存下において塊状架橋重合させて硬化させる方法(注型重合)、▲2▼ 反応性単量体を含む単量体成分を、油性物質中にて油溶解性ラジカル重合開始剤の共存下において重合させた架橋前の重合体と、架橋剤とを混合した混合物を、上記官能基と架橋剤とによる架橋が完了する前に、液体状態にて容器内に投入して充填し上記架橋を容器内で完了させて硬化させる法(注型重合)等が挙げられる。
【0094】
上記の▲1▼および▲2▼による方法では、油性物質と単量体成分または架橋前の重合体とを常温付近において液体状態とすることが容易に可能であることから、上記油性物質と単量体成分または架橋前の重合体とを容器中に密に充填することが容易にできる。続いて、上記単量体成分または架橋前の重合体を上記容器中で常温付近にて重合または架橋させることにより、上記単量体成分を重合させて硬化させた架橋重合体を、油性物質を保持した状態で上記容器中に密に充填できる。
【0095】
したがって、上記方法では、油性物質を保持した重合体を容器内に充填するといった手間が従来より簡便となる一方、重合体に保持された蓄熱性を有する油性物質を容器中に、より密に、かつ、より多く充填できるから、上記油性物質による熱効率が従来より改善された蓄熱材を得ることができる。
【0096】
前述の容器の形状については、特に限定されるものではないが、容器の形状として、ビル空調に用いる場合では、蓄熱槽内にて熱を伝達する媒体との接触表面積を大きくすることが好ましいことから、折れ曲がったチューブ状や、コイル状や、球状、円筒状などの中空部を有するものが好ましく、床暖房に用いる場合には板状が望ましい。
【0097】
上記の容器の材質としては、熱を伝達するための媒体や油性物質や重合体との間にて互いに腐食しないで、かつ、水系の媒体中に長年にわたり浸漬される際の長期間の耐水性といった経時的な耐久性を有するものであれば特に限定されるものではないが、安価であり、成形性に優れたポリ塩化ビニルなどが好ましい。
【0098】
【実施例】
本発明を各実施例に基づいて説明すれば、以下の通りであるが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0099】
〔実施例1〕
まず、下部にポリ塩化ビニル製の蓋を融着した直径4cm、高さ25cmのポリ塩化ビニル製透明円筒状パイプからなる容器を調製した。次に、単量体成分としてのドデシルアクリレート(SP値:7.9)39gおよびエチレングリコールジメタクリレート0.8g、重合開始剤としての2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル0.2g、並びに油性物質としてのペンタデカン160gを互いに均一となるように混合した混合溶液を調製した。
【0100】
その後、上記混合溶液を、前記容器中に充填し、上記の容器の上部に装着したガス導入管より窒素を混合溶液中に充分に導入して、上記混合溶液内の酸素を窒素に置換した。
【0101】
次いで、この容器を、その窒素雰囲気を保ちながら40℃に保温された恒温槽中に8時間静置することにより混合溶液が、重合し・架橋して、ペンタデカンをゲル状に保持した重合体が形成されたのを目視にて確認した後、ガス導入管を除くことにより、本実施例1の蓄熱剤(1)およびそれを用いた蓄熱材(1)を得た。
【0102】
〔実施例2〕
温度計、撹拌機、ガス導入管および還流冷却器を備えた1リットルのフラスコに、ゼラチン6gを水594gに溶解して仕込み、撹拌下、フラスコ内を窒素置換し、窒素気流下にて80℃に加熱した。
【0103】
その後、単量体成分としてのドデシルアクリレート39gおよびエチレングリコールジメタクリレート0.8g、重合開始剤としてのベンゾイルパーオキシド0.2g、並びに油性物質としてのペンタデカン160gを互いに均一となるように混合した混合溶液を、上記フラスコ内に一度に加え、400rpmの条件下で混合しながら、窒素気流下にて2時間、懸濁重合反応を行った。
【0104】
その後、さらに、フラスコ内を90℃に昇温し、2時間維持して重合を完了させて、ペンタデカンをゲル状に保持した重合体を形成させた。重合完了後、フラスコ内の内容物から減圧ろ過により粒状(平均粒径0.3mm)の生成物を本実施例2の蓄熱剤(2)として得た後、上記生成物を、前記実施例1に記載の容器内に充填することにより、本実施例2の蓄熱材(2)を得た。
【0105】
〔実施例3〕
温度計、撹拌機、ガス導入管、2つの滴下ロートおよび還流冷却器を備えた500ミリリットルのフラスコに、油性物質としてのペンタデカン10gを仕込み、撹拌下、フラスコ内を窒素置換し、窒素気流下にて65℃に加熱した。
【0106】
次いで、1つの滴下ロートに、単量体成分としての2−エチルヘキシルアクリレート(SP値:7.8)38gおよびヒドロキシエチルアクリレート2g、並びに油性物質としてのペンタデカン40gからなる溶液▲1▼を、さらに別の滴下ロートに、重合開始剤として2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル0.1g、並びに油性物質および希釈液としてのペンタデカン10gからなる溶液▲2▼をそれぞれ仕込んだ。
【0107】
続いて、前記フラスコ内に対し、溶液▲1▼および溶液▲2▼を同時に1時間かけて滴下し、重合反応を行い、その後、さらに、フラスコ内を80℃に昇温し、2時間維持して重合を完了させて、架橋前の重合体を得た。
【0108】
放冷後、上記フラスコ内に対し、架橋剤としてのトルエンジイソシアナート2.3g、ジブチルスズジラウレート0.1g、並びに油性物質および希釈液としてのペンタデカン100gからなる溶液▲3▼を加えて混合した後、直ちに、上記フラスコ内の内容物を前記実施例1に記載の容器に充填し、常温で、4時間静置して、架橋させることにより、ペンタデカンを含有して保持したゲル状のものからなる本実施例3の蓄熱剤(3)およびそれを用いた蓄熱材(3)を得た。
【0109】
〔実施例4〕
まず、単量体成分としてのドデシルアクリレート(SP値:7.9)39gおよびエチレングリコールジメタクリレート0.8g、重合開始剤としての2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロバレロニトリル)0.2gからなる混合溶液を、予め60℃で融解させた油性物質としての融点50℃のパラフィンワックス(日本製蝋株式会社製、製品名120)160g中に加え、互いに均一となるように混合し混合溶液を調製した。その後、上記混合溶液を前記実施例1と同様に調製したポリ塩化ビニル製透明円筒状パイプからなる容器に充填した。
【0110】
次いで、恒温槽内で該容器を60℃に保ちながら、容器上部に装着したガス導入管より、窒素を混合溶液中に十分に導入して、上記混合溶液内の酸素を窒素に置換した。さらに、この容器を、窒素雰囲気を保ちながら60℃で8時間静置することにより、混合溶液が重合し、架橋してパラフィンワックスをゲル状に保持した重合体が形成されたのを目視した後、ガス導入管を除くことにより、蓄熱剤(4)およびそれを用いた蓄熱材(4)を得た。
【0111】
次に、本発明の特徴点を示すための、各比較例について以下に説明する。
〔比較例1〕
前記実施例2に記載のフラスコに対し、ペンタデカン160gを仕込み、窒素気流下にて撹拌しながら90℃に昇温した。このフラスコ内に、ゲル化剤としての12−ヒドロキシステアリン酸40gを加え、300rpmで5分間撹拌した後、前記実施例1に記載の容器中に充填し、室温まで放冷して比較蓄熱剤(1)およびそれを用いた比較蓄熱材(1)を得た。
【0112】
〔比較例2〕
前記実施例2に記載のフラスコに対し、ペンタデカン160gを仕込み、窒素気流下にて撹拌しながら140℃に昇温した。このフラスコ内に、アミノ酸系油ゲル化剤(味の素株式会社製:商品名GP−1)40gを加え、300rpmで5分間撹拌した後、前記実施例1に記載の容器中に充填し、室温まで放冷して比較蓄熱剤(2)およびそれを用いた比較蓄熱材(2)を得た。
【0113】
〔比較例3〕
未架橋の高密度ポリエチレン(密度:0.945、MI:0.4)26部と、ペンタデカン100部とを、130℃に温度調節した2本ロールで混練混合して均一な組成物とした。
【0114】
ついで、上記組成物を平均粒径約3mmのペレットとし、このペレット126部、ビニルトリメトキシシラン2.4部、およびジクミルパーオキシド0.18部を密閉容器で予備混合し、この混合物をシリンダー温度200℃に調整した押出機で押出し、前記実施例1に記載の容器中に充填した後、70℃温水に24時間浸漬して架橋させることにより、比較蓄熱剤(3)およびそれを用いた比較蓄熱材(3)を得た。
【0115】
次に、上記の実施例1〜4および比較例1〜3の方法にて得られた蓄熱剤(1)〜(4)、蓄熱材(1)〜(4)、比較蓄熱剤(1)〜(3)および比較蓄熱材(1)〜(3)について、それぞれ経時的な物性変化について測定した。
【0116】
すなわち、蓄熱材(1)〜(3)および比較蓄熱材(1)〜(3)をそれぞれ恒温槽内に投入し、2℃×8時間と30℃×8時間を1セットとするタイムプログラムにより、油性物質としてのペンタデカンの凍結溶解を20回繰り返した後、ゲル状または固体状の各蓄熱剤から、液体状のペンタデカンの分離の有無を目視により確認した。また、蓄熱剤(4)も上記と同様に恒温槽内に投入し、40℃×8時間と60℃×8時間を1セットとするタイムプログラムにより、油性物質としてのパラフィンワックスの凍結溶解を20回繰り返した後、ゲル状または固体状の蓄熱剤(4)から、液体状のパラフィンワックスの分離の有無を目視により確認した。
【0117】
それらの結果、蓄熱材(1)〜(3)では、それらの蓄熱剤(1)〜(3)において、相変化により液化したペンタデカンの分離が観察されず、また、蓄熱材(4)でも、蓄熱剤(4)において、液化したパラフィンワックスの分離は観察されなかったが、比較蓄熱材(1)〜(3)では、それらの比較蓄熱剤(1)〜(3)における液化したペンタデカンの分離が観察されたことから、本発明に係る蓄熱剤は、比較蓄熱剤(1)〜(3)と比べて経時的な安定性に優れていることが分かった。
【0118】
また、比較蓄熱材(2)・(3)では、特に比較蓄熱材(3)において、溶融して高温となっている比較蓄熱剤(1)・(2)を容器に充填したことに起因する、上記容器の変形がそれぞれ観察され、上記容器の素材としてポリ塩化ビニル等の熱可塑性の合成樹脂を用いるのが不適であることが判った。
【0119】
よって、本発明の蓄熱剤の製造方法は、可燃性を有する油性物質が蓄熱のため、相変化によって液化した状態であっても、油性物質を、その流動性を低下させてゲル状または固体状にて安定に保持して、容器からの漏出を防止できると共に、放熱・蓄熱のために凍結・溶解を繰り返す通常の使用条件においても、容器からの油性物質の漏出を回避するといった物性の経時的な安定性に優れるから、漏出した油性物質への引火等が防止されて安全性が高く、かつ、その安全性が経時的に安定な蓄熱剤を確実に、かつ容易に製造できるものである。
【0120】
また、本発明の蓄熱材の製造方法では、蓄熱材が、常温にて液体の状態である単量体成分または架橋前の重合体を容器内にて、80℃以下である40℃や常温付近で重合または架橋させることにより、容器内において油性物質をゲル状または固体状にして得られる。
【0121】
このことから、上記方法は、蓄熱剤を上記容器内に密に充填でき、かつ、耐水性には優れているが耐熱性に劣るポリ塩化ビニル等の合成樹脂を容器の材質として用いても、上記容器内に蓄熱剤を、密に、容易に、かつ、安定に充填できて、従来のように、高耐熱性を有するが高価な樹脂材料や、耐腐食性を有するが高価なステンレス等を素材とした高価な容器しか用いられないという不都合を回避できることから、蓄熱材を安価に、かつ安定に製造することができるものとなっている。
【0122】
さらに、上記方法では、熱を伝達する媒体との接触表面積を増加させるため容器が複雑な形状、例えば細いチューブ状、ドーナツ状、またはコイル状に成型しても、比較的低温にて単量体成分または架橋前の重合体を液体の状態で容器内に充填して重合または架橋させることにより、上記容器内に蓄熱剤を密に、かつ容易に充填できて、熱の伝達効率が向上した蓄熱材を安定に、簡便に製造できるものとなっている。
【0123】
【発明の効果】
本発明の請求項1記載の蓄熱剤の製造方法は、以上のように、蓄熱性を有する油性物質中で、単量体成分を重合して、上記単量体成分を重合してなる重合体中に、相変化により液化する油性物質の流動性が低下するように上記油性物質を保持させる方法である。
【0124】
それゆえ、上記方法は、油性物質の存在下で単量体成分を重合してなる重合体中に、相変化により液化する油性物質の流動性が低下するように上記油性物質を保持させることにより、油性物質のしみ出し等の漏出を回避できるものとなっている。
【0125】
その上、上記方法では、重合体中に油性物質を保持させたことによって、熱を貯蔵・放熱する際の凍結・融解を繰り返した時に油性物質が漏出するといった経時的な劣化が抑制されることから、油性物質への引火が抑制された安全性が高い蓄熱剤を安定に得ることができるという効果を奏する。
【0126】
本発明の請求項2記載の蓄熱剤の製造方法は、以上のように、請求項1記載の蓄熱剤の製造方法において、単量体成分を重合して得られた重合体は、架橋構造を有する方法である。
【0127】
本発明の請求項3記載の蓄熱剤の製造方法は、以上のように、請求項2記載の蓄熱剤の製造方法において、単量体成分は、重合性を有する不飽和基を分子中に少なくとも2個以上有する架橋性単量体を含み、上記単量体成分を共重合させることにより、上記架橋性単量体によって架橋構造を形成する方法である。
【0128】
本発明の請求項4記載の蓄熱剤の製造方法は、請求項2記載の蓄熱剤の製造方法において、単量体成分は、架橋のための官能基を備えた反応性単量体を含み、上記単量体成分を油性物質中で共重合させた重合体を上記油性物質を含有した状態で架橋剤により官能基間を架橋させて架橋構造を形成する方法である。
【0129】
それゆえ、上記請求項2ないし4に記載の方法は、蓄熱剤が、架橋構造を有することから、油性物質を保持した上記蓄熱剤をより安定化できて、油性物質の漏出をさらに軽減することができて劣化が抑制され、さらに安全性が高い蓄熱剤を得ることができるという効果を奏する。
【0130】
本発明の請求項5記載の蓄熱剤の製造方法は、以上のように、請求項4記載の蓄熱剤の製造方法において、上記反応性単量体が有する官能基と架橋剤が有する官能基との組み合わせが、カルボキシル基、ヒドロキシル基、メルカプト基、アミノ基およびアミド基からなる群より選ばれる群から選ばれる少なくとも1つの官能基と、イソシアナート基、エポキシ基および無水カルボン酸基からなる群より選ばれる少なくとも1つの官能基との組合せである方法である。
【0131】
それゆえ、上記方法は、反応性単量体が有する官能基と架橋剤が有する官能基との組合せが上記組合せから選ばれることで、未反応の官能基の残存量が低減された重合体を得ることができる。従って、該重合体に油性物質を保持させることにより、該油性物質の蓄熱特性を阻害しない油性ゲル体を形成することができるという効果を奏する。
【0132】
本発明の請求項6記載の蓄熱剤の製造方法は、以上のように、請求項4記載の蓄熱剤の製造方法において、上記反応性単量体がヒドロキシル基を有するとともに、架橋剤が少なくとも2個のイソシアナート基を有することを特徴としている。
【0133】
それゆえ、上記方法では、未反応の官能基の残存量が低減された重合体を得ることができるので、油性物質の蓄熱特性を阻害しない蓄熱剤を得ることができる。さらに、上記の方法によれば、上記油性物質を低温でゲル化することが可能となる。このため、耐熱容器でなくとも油性物質をゲル状で保持することができるとともに、長期安定性に優れた蓄熱剤を得ることができるという効果を奏する。
【0134】
本発明の請求項7記載の蓄熱剤の製造方法は、以上のように、請求項1ないし6の何れか一つに記載の蓄熱剤の製造方法において、単量体成分が、溶解度パラメーターが9以下の単量体を、50重量%以上含むものである方法である。
【0135】
それゆえ、上記方法では、単量体成分が、溶解度パラメーター9以下の単量体を50重量%以上含むことにより、油性物質を、それが液体化した状態であっても安定に保持する蓄熱剤を安定に得ることが可能となるという効果を奏する。
【0136】
本発明の請求項8記載の蓄熱材の製造方法は、以上のように、請求項1ないし7の何れか一つに記載の蓄熱剤の製造方法を用い、液体の状態で容器に充填し、容器内で硬化させる方法である。
【0137】
それゆえ、上記方法は、液体の状態である、例えば単量体成分または架橋前の重合体を上記容器中で重合または架橋させて硬化させることにより、上記蓄熱剤を、油性物質を保持した状態で上記容器中に密に充填できる。
【0138】
このことから、上記方法では、請求項1ないし7に記載の製造方法による効果に加えて、蓄熱剤に保持された蓄熱性を有する油性物質を容器中により多く充填できるから、上記油性物質による熱効率が従来より改善された蓄熱材を安定に得ることができるという効果を奏する。
【0139】
その上、上記方法では、液体の状態である、例えば単量体成分または架橋前の重合体を例えば常温付近で重合または架橋させて容器内にて硬化させることによって、用いる容器に対して耐熱性等を考慮する必要性が軽減されるから、耐熱性等を特に考慮しない安価な素材を容器に用いることが可能となるので、蓄熱材が安価に得られるという効果も奏する。

Claims (8)

  1. 蓄熱性を有する油性物質中で、単量体成分を重合して、
    上記単量体成分を重合してなる重合体中に、相変化により液化する油性物質の流動性が低下するように上記油性物質を保持させることを特徴とする蓄熱剤の製造方法。
  2. 単量体成分を重合して得られた重合体は、架橋構造を有することを特徴とする請求項1記載の蓄熱剤の製造方法。
  3. 単量体成分は、重合性を有する不飽和基を分子中に少なくとも2個以上有する架橋性単量体を含み、
    上記単量体成分を共重合させることにより、上記架橋性単量体によって架橋構造を形成することを特徴とする請求項2記載の蓄熱剤の製造方法。
  4. 単量体成分は、架橋のための官能基を備えた反応性単量体を含み、
    上記単量体成分を油性物質中で共重合させた重合体を、上記油性物質を含有した状態で、架橋剤により官能基間を架橋させて架橋構造を形成することを特徴とする請求項2記載の蓄熱剤の製造方法。
  5. 上記反応性単量体が有する官能基と架橋剤が有する官能基の組み合わせが、カルボキシル基、ヒドロキシル基、メルカプト基、アミノ基およびアミド基からなる群より選ばれる少なくとも1つの官能基と、イソシアナート基、エポキシ基および無水カルボン酸基からなるからなる群より選ばれる少なくとも1つの官能基との組合わせであることを特徴とする請求項4記載の蓄熱剤の製造方法。
  6. 上記反応性単量体がヒドロキシル基を有するとともに、架橋剤が少なくとも2個のイソシアナート基を有することを特徴とする請求項4記載の蓄熱剤の製造方法。
  7. 単量体成分が、溶解度パラメーターが9以下の単量体を、50重量%以上含むことを特徴とする請求項1ないし6の何れか一つに記載の蓄熱剤の製造方法。
  8. 請求項1ないし7の何れか一つに記載の蓄熱剤の製造方法を用い、液体の状態で容器に充填し、容器内で硬化させることを特徴とする蓄熱材の製造方法。
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