JP4659339B2 - 蓄熱材及び蓄熱材設置方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、蓄熱材及び蓄熱材設置方法に関する。より詳しくは、蓄熱材組成物を包装材に封入してなる蓄熱材及び蓄熱材設置方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
オフィスビルや工場等の大型建造物用や家庭用等の冷暖房エネルギーの省力化や効率化、環境保護の目的のために、建物の一角に蓄熱設備を配置し、そこにビル空調用では4、5メートル四方ほどの大きさの蓄熱装置を複数設置することにより、一時的に熱を貯蔵するシステムが注目されている。このような蓄熱装置は、装置内に一辺が数cm〜十数cmの大きさの蓄熱材を多数充填し、ここに熱を媒介する循環水等の媒体を通過させ、電力等のエネルギーによって蓄熱物質を相変化させることにより、固体から液体への相変化時に放熱し、液体から固体への相変化時に吸熱するという潜熱を利用するものである。例えば、夜間電力で蓄熱材を冷却固化し、その融解時の吸熱効果を昼間の冷房に活かそうとするものである。
【0003】
蓄熱材を構成する蓄熱物質としては、クラスレート、エチレングリコールと水との混合物、炭素数10〜20程度のパラフィン混合物等であって、5〜14℃程度で冷却固化され、かつ、融解熱が大きいものが好ましいとされている。このような蓄熱材が充填された蓄熱装置においては、蓄熱装置の導水管(入口)から誘導された循環水等の媒体は、充填された蓄熱材の隙間を通過することにより熱交換されつつ移動し、蓄熱装置の送水管(出口)に至って充分に熱交換された状態で蓄熱装置を出て、パイプラインを通じてビル内等を循環することになる。
【0004】
このような蓄熱材は、相変化により蓄熱性を有する有機系物質や無機系物質等を包装材に封入して製造することが検討されている。包装材としては、(1)複層ラミネートフィルム、(2)塩ビ等の硬質プラスチック容器、(3)金属容器等が挙げられるが、(2)及び(3)を用いると、容器の生産性や充填性が充分でなく、また、高コストとなるおそれがあることから、(1)を用いることが望ましい。しかしながら、蓄熱材は、60℃以上の温水中に浸漬される場合があり、このような高温環境下ではフィルム層間が剥離してしまう等の不具合を生じることから、耐久性がより充分となるように工夫する余地があった。一方、相変化により蓄熱性を有する無機系物質を用いる場合には、有機系物質を用いる場合に比べてこれらの問題が少ないが、一般的に知られている無機水和塩では、過冷却が大きく、融点以下になっても凝固が阻害されて、放熱される熱密度が著しく低下するという実用上の問題があった。
【0005】
また、蓄熱材を蓄熱装置に充填する場合、循環水等の媒体に比べ比重が小さいことから媒体面に浮いてしまい蓄熱材の性能を生かせないばかりでなく、浮いた蓄熱材が媒体の循環を妨げるという問題点があった。
【0006】
蓄熱材を工夫した例としては、例えば、潜熱蓄熱材がフレキシブルシート材料のチューブ状容器に充填された蓄熱構造体(特許文献1参照。)、蓄熱タンク(特許文献2参照。)、潜熱蓄熱剤が内蔵された筒状容器をマルチフィルムで覆設したビニールハウス栽培法(特許文献3参照。)、熱可塑性樹脂又はシート状物の周囲を溶封重合した中空体の蓄熱剤充填用容器(特許文献4参照。)、フィルムに蓄熱材を包含した蓄熱体とその支持手段を持つ蓄熱槽(特許文献5参照。)、蓄熱材が密封されている可撓性容器(特許文献6及び7参照。)、一対のフィルムを注入口を残して接合し、注入口より潜熱蓄熱材を注入して封口した後、注入口近辺を洗浄し、封入口外側を封口する潜熱蓄熱材容器の封口方法(特許文献8参照。)、潜熱蓄熱材を柔軟性のある容器中に収容した蓄熱エレメント(特許文献9参照。)、PET/NY(ナイロン)/PPの収容袋(特許文献10参照。)、円筒状蓄熱カプセル(特許文献11参照。)、可撓性プラスチック容器と蓄熱剤とからなる蓄熱具(特許文献12参照。)が開示されている。また、熱溶着性合成樹脂からなるシーラント層を該シーラント層とは異なる合成樹脂からなる基材層に積層してなる蓄熱剤容器用シートが開示されている(特許文献13参照。)。
【0007】
しかしながら、相変化により蓄熱性を有する油性物質を必須成分とする蓄熱材組成物を用いて複層ラミネートフィルムを包装材として蓄熱材を製造する場合に、蓄熱材の性能や耐久性を向上させて安全性の優れたものとすることが望まれていたが、これらの公報等に開示された技術においては、油性物質を必須成分とする蓄熱材を形成する複層ラミネートフィルムの蓄熱物質に接するシーラント層の耐久性に関しては充分に研究されていないことから、この点において工夫の余地があった。
【0008】
更に、パラフィン、炭化水素系有機高分子バインダー及び比重調節材成分が開示されている(例えば、特許文献14参照。)。
しかしながら、蓄熱物質が直接媒体に接触するため、蓄熱物質が媒体へ漏洩するといった安全上の問題や、蓄熱体が凝集するのを防止するために攪拌をし続けなければいけないといった実用上の問題があり、蓄熱物質が媒体に漏洩せず、かつ蓄熱物質の蓄熱能力を有効に利用できる蓄熱材の設置方法に関しては充分に研究されていないことから、この点において工夫の余地があった。
【0009】
【特許文献1】
特開昭58−108391号公報
【特許文献2】
特開昭57−65584号公報
【特許文献3】
特開昭58−107123号公報
【特許文献4】
特開昭59−41792号公報
【特許文献5】
特開昭59−145489号公報
【特許文献6】
特開昭60−40046号公報
【特許文献7】
特開昭60−88550号公報
【特許文献8】
特開昭60−235994号公報
【特許文献9】
特開昭61−240095号公報
【特許文献10】
特開平3−188188号公報
【特許文献11】
特開平8−94269号公報
【特許文献12】
特許第3136330号明細書
【特許文献13】
特開2001−261074号公報
【特許文献14】
特許第2826766号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記現状に鑑みてなされたものであり、相変化により蓄熱性を有する油性物質の封止性や高温耐久性を有する安全性に優れた蓄熱材及び蓄熱材設置方法を提供することを目的とするものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、蓄熱性を有する油性物質を必須成分とする蓄熱材組成物を包装材に封入してなる蓄熱材について種々検討するうち、蓄熱装置において、基材層及びシーラント層により構成される包装材に蓄熱材組成物を充填した後にヒートシールされた蓄熱材を用いる場合に、高温環境下ではフィルム層間が剥離してしまう等の不具合が生じるのは、シーラント層が蓄熱物質になじみ易いことに起因していることに着目した。そして、シーラント層の油性物質に対する膨潤率が30%を超える包装材に蓄熱材組成物を充填した後にヒートシールされた蓄熱材を用いると、シーラント層が蓄熱物質になじみ易いことから、基材層が耐水性及び耐油性を有していても高温耐久性が充分ではなく、使用時に層間剥離を起こすことに着目し、より充分な耐久性を蓄熱材に付与するには、蓄熱材を形成する包装材において、シーラント層の油性物質に対する膨潤率を30%以下にすればよいことを見いだした。すなわち耐水性及び耐油性を有するポリエチレンテレフタレート(PET)等を用い、PET及び油性物質に対する膨潤率が30%を超えるシーラント層を外側からこの順に有する包装材に蓄熱材組成物を封入したフィルム容器では、60℃以上の温水中に浸漬される場合、フィルム層間が剥離してしまう等の不具合が生じることから、油性物質に対する膨潤率が30%以下のシーラント層を用いると、蓄熱材としての用途においてフィルム層間が剥離することが抑制されることを見いだし、上記課題をみごとに解決することができることに想到した。また、得られた蓄熱材をそのまま蓄熱装置に充填すると循環水等の媒体に比べ比重が小さいことから媒体面に浮いてしまい、蓄熱材の性能を生かせないばかりでなく浮いた蓄熱材が媒体の循環を妨げることに着目し、より充分な蓄熱性能を発現するには、何らかの手段で蓄熱材を媒体中に沈めた状態にすればよいことを見いだした。すなわち、蓄熱材及び蓄熱材を収納する容器に媒体以上の比重となるような重りを付与する方法や、蓄熱材を蓄熱装置に固定する方法を用いることで、蓄熱材を水中に沈めることも見いだし、本発明に到達したものである。
【0012】
すなわち本発明は、相変化により蓄熱性を有する油性物質を必須成分とする蓄熱材組成物を包装材に封入してなる蓄熱材であって、上記包装材は、基材層とシーラント層とを備え、上記シーラント層の油性物質に対する膨潤率が30%以下である蓄熱材である。
本発明はまた、上記蓄熱材を、蓄熱装置の媒体中に沈めた状態にする蓄熱材設置方法でもある。
【0013】
本発明の蓄熱材組成物は、使用する油性物質の種類や混合比率を変えることで、任意に相温度変化を種々に調整することができる有用なものである。しかし、使用する油性物質の多くは着色がほとんどなく、相変化温度を変えた製品群が多く存在する場合、外観から容易に製品を判断することができなかった。
そこで蓄熱材組成物に予め着色剤等を添加して着色を施したり、蓄熱材組成物を封入する包装材に着色を施したり、包装材に製品を区別できるような記載を印字したり、包装材にシールを貼付することで、蓄熱材の製品を判別することが容易となった。
以下に、本発明を詳述する。
【0014】
先ず、本発明の蓄熱材を形成する包装材について説明する。
本発明における包装材は、蓄熱材組成物が封入されて内側が蓄熱材組成物と接し、外側が蓄熱装置における循環水等の媒体に接することになるが、その層構造が最外層に基材層を、最内層に包装材をヒートシール封止するためのシーラント層を備え、上記シーラント層の油性物質に対する膨潤率が30%以下のものである。また、これらの層を必須とし、最内層であるシーラント層の油性物質に対する膨潤率が30%以下となるものである限り、他の層を有していてもよく、各層は単層であってもよく複層であってもよい。
【0015】
上記油性物質に対する膨潤率とは、以下の方法に基づいて測定されたものである。
(膨潤試験方法)
シーラント層に使用される材質のフィルムを用意する。油性物質の入った試験管に、予め質量を測定した試験片フィルム(10cm×15cm)を浸漬させる。この試験管を蓋付きのガラス瓶に入れ、60℃の恒温乾燥器中に保存し、8日間放置する。その後、油性物質に浸漬させた試験片フィルムを取出し、表面に付着した油性物質を拭取り、膨潤後の試験片フィルムの質量を測定し、膨潤率を下記式により算出する。
膨潤率(%)={(浸積後の試験片フィルム質量−浸漬前の試験片フィルム質量)/浸漬前の試験片フィルム質量}×100
【0016】
シーラント層の油性物質に対する膨潤率が30%以下である包装材を用いた蓄熱材においては、高温下においてもフィルム層間の剥離等のないものとなる。該シーラント層の油性物質に対する膨潤率は、より好ましくは、25%以下であり、更に好ましくは、20%以下であり、最も好ましくは、10%以下である。
【0017】
上記包装材は、基材層とシーラント層とを必須として構成されることとなり、例えば、基材層を形成するフィルムとシーラント層を形成するフィルムとを接着剤等で接着する方法により形成されることが好ましい。
上記基材層とは、包装材の外装として形成される層であり、水と油に対するバリア性フィルムが好ましい。このような基材層としては、例えば、低密度ポリエチレン(LDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)等のポリエチレン(PE);無延伸ポリプロピレン(CPP)、二軸延伸ポリプロピレン(OPP)等のポリプロピレン(PP);ポリ−1−ブテン、α−オレフィン重合体、α−オレフィン共重合体等のポリオレフィン;ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)等のポリエステル;ポリオキシメチレン(PO)、ポリカーボネート(PC)等のポリエーテル;ナイロン(NY)、二軸延伸ナイロン(ONY)等のポリアミド(PA);ポリスチレン(PS);ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC);ポリビニルアルコール(PVA);エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)、エチレン−アクリル酸エチル共重合体(EEA)等のエチレンとビニル系モノマーとの共重合体;ポリアクリロニトリル(PAN);アイオノマー;アルミニウム箔(Al)等の金属;直鎖状低密度ポリエチレン/ポリアミド/直鎖状低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン/ポリアミド/エチレン−ビニルアルコール共重合体/ポリアミド/直鎖状低密度ポリエチレン等の複層(共押出)フィルム等の1種又は2種以上により形成することができる。
【0018】
上記シーラント層としては、油性物質に対する膨潤率が上記のようになる限り、例えば、低密度ポリエチレン(LDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)等のポリエチレン(PE);二軸延伸ポリプロピレン(OPP)等のポリプロピレン(PP);ポリ−1−ブテン、α−オレフィン重合体、α−オレフィン共重合体等のポリオレフィン;ナイロン(NY)等のポリアミド;エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)、エチレン−アクリル酸エチル共重合体(EVA)等のエチレンとビニル系モノマーとの共重合体;ポリビニルアルコール(PVA)等のポリオール;アイオノマー等の1種又は2種以上により形成することができる。本発明においては、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)や、エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)を、フィルムの形態とすることにより、シーラント層を形成することが好適である。
【0019】
上記包装材は、着色若しくは該包装材に印字されている又はシールが貼付されていることが好ましい。
上記包装材を着色する方法としては、着色剤を基材層又はシーラント層の原料に添加してフィルムを作成する方法、基材層又はシーラント層の表層に着色剤を塗布する方法が挙げられる。着色は、包装材全体に施してもよいし、包装材の一部に施してもよい。上記着色剤としては、例えば、油性物質に溶解する油溶性染料、直接染料、酸性染料、媒染染料、建染染料、分散染料、不溶性アゾ染料、酸化染料、鉱物染料、硫化染料、反応染料、蛍光増白剤等が挙げられる。
上記印字については、予め印字された包装材を使用してもよいし、包装材に蓄熱材組成物を封入した後に印字してもよい。印字は、製品品目を判別できる内容や取り扱い注意事項を記載した内容であってもよい。上記包装材にはシールを貼付してもよい。印字部分やシール自体が温度により変色するものであれば、蓄熱材の温度を予測することができる。
【0020】
上記包装材の厚みとしては、材質等により適宜設定すればよいが、例えば、1μm〜10mmであることが好ましい。1μm未満であると、蓄熱材組成物が蓄熱装置中の循環水等の媒体中に混入するおそれがあり、10mmを超えると、伝熱性の低下、充填率の低下のおそれがある。より好ましくは、10μm〜500μmである。
【0021】
本発明の蓄熱材の設置方法としては、蓄熱装置の媒体中に沈めた状態にすることが好ましい。このような、本発明の蓄熱材を、蓄熱装置の媒体中に沈めた状態にする蓄熱材設置方法もまた、本発明の一つである。
【0022】
本発明における蓄熱装置とは、一時的に熱を貯蔵できる装置であり、一般に蓄熱槽と導水管(入口及び出口)を主部として構成されている装置である。
本発明における媒体とは、蓄熱装置の導水管(入口)から誘導され充填された蓄熱材の隙間を通過することにより熱交換されつつ移動し、導水管(出口)からパイプラインを通じて蓄熱装置とビル内等のファンコイルユニットを循環する物質であり、水、エチレングリコール等が挙げられる。これらは単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0023】
本発明における蓄熱材を媒体中に沈めた状態とは、蓄熱材が媒体中に存在する状態、言い変えれば蓄熱材が媒体液面上に実質的に存在しない状態を指し、蓄熱材を媒体中に沈める方法としては、蓄熱材及び蓄熱材を収納する容器に媒体以上の比重となるような重りを付与する方法や、蓄熱材を蓄熱装置に固定する方法等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。作業を容易に行う観点から蓄熱材を収納する容器に媒体以上の比重となるような重りを付与する方法が好ましい。
【0024】
次に、上記包装材により形成される本発明の蓄熱材について説明する。
本発明の蓄熱材は、蓄熱材組成物を包装材に封入してなるもの、すなわち蓄熱材組成物を包装材に充填(封入)し、包装材の被封止部位(被シール部位)を封止することにより蓄熱材組成物を包装材内に封じ込めたものである。
上記包装材の封止方法としては、例えば、包装材に蓄熱材組成物を充填した後、又は、充填しながら加熱した金型で圧着することによりヒートシール封止する方法等を用いることができるが、充填効率を向上し、また、包装材中に空気が混入しないようにして蓄熱性能を向上する点からは、包装材に蓄熱材組成物を充填しながらヒートシール封止する方法が好ましい。
【0025】
上記封止方法における包装形態としては、例えば、ピロー、四方、ピラミッドパウチ等の形態が挙げられる。ピロー形態とは、筒状のフィルムの下部をシーラー(熱によりフィルムを封止する装置)により封止し、充填物を充填した後に上部を同じ方向で封止してなる形態であり、四方形態とは、ラミネートしたフィルムの三方をシーラーにより封止し、充填物を充填した後に上部を封止してなる形態であり、ピラミッドパウチとは、筒状のフィルムの下部をシーラーにより封止し、充填物を充填した後に上部を90°異なる方向で封止してなる形態である。
【0026】
本発明における蓄熱材の形状としては特に限定されず、例えば、円筒型、封筒型、(スタンディング)パウチ型、テトラパック型、球型、角柱型、瓢箪型、チューブ型、ソーセージ型、コイル型、瓶型や、これらが連包状に成形された形状等が挙げられる。これらの中でも、円筒型、封筒型、(スタンディング)パウチ型、テトラパック型や、これらが連包状に成形された形状が好ましい。
【0027】
以下に、本発明における蓄熱材組成物の具体的な実施形態について説明する。
本発明における蓄熱材組成物は、相変化により蓄熱性を有する油性物質を必須成分とし、顕熱蓄熱、潜熱蓄熱、化学反応蓄熱等の熱エネルギーを貯蔵し、放出できるものである。相変化により蓄熱性を有するとは、相変化又は相転移の際の潜熱を利用する潜熱蓄熱を蓄熱性として有することを意味し、このような油性物質は、蓄熱密度が高く、一定温度付近での蓄熱や放熱が可能なものである。なお本明細書中、蓄熱材組成物とは、蓄熱材を構成する包装材に充填されることになる材料すべてを意味するものとする。
【0028】
上記相変化により蓄熱性を有する油性物質としては、例えば、アルコール類、エステル類、エーテル類、パラフィン等の炭化水素化合物が挙げられ、具体的には、C14〜C16パラフィン、C15〜C16パラフィン、ペンタデカン、C14パラフィン、C16パラフィン等の常温で液体である中級パラフィン;常温で固体である高級パラフィン;1−デカノール等の高級アルコール等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、取り扱いが便宜であることから、ビル空調用の蓄熱材の場合、常温(25℃)及び常圧(約101.3kPa)において液体状である油性物質を用いることが好ましい。また、容易に入手でき、また、広い温度範囲に用いることができる蓄熱体を簡便にかつ安定的に製造することができることから、パラフィンが好ましく、ビル空調の冷熱用途等の場合、パラフィンの中でもテトラデカン、ペンタデカン、ヘキサデカン、ヘプタデカン及びそれらの混合物が好ましい。
【0029】
本発明における蓄熱材組成物には、着色剤及び顔料の群から選ばれる、少なくとも1種の化合物が含まれていることが好ましい。
上記着色剤としては、例えば、油性物質に溶解する油溶性染料、直接染料、酸性染料、媒染染料、建染染料、分散染料、不溶性アゾ染料、酸化染料、鉱物染料、硫化染料、反応染料、蛍光増白剤等が挙げられる。なかでも、油性物質に溶解する油溶性染料が好ましい。
上記顔料としては、例えば、二酸化チタン、酸化コバルト、チタンブラック等の無機顔料、不溶性アゾ顔料、溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、イソインドリノン等の有機顔料、熱変色顔料等が挙げられる。上記顔料として相変化温度で変色するような熱変色顔料を添加すれば、蓄熱材組成物自体の温度を予想することができる。
上記着色剤及び/又は顔料の添加量は、蓄熱材組成物全体を100質量%とすると、10質量%未満が好ましく、5質量%未満がより好ましい。
【0030】
本発明における蓄熱材組成物は、更に、油性物質より熱伝導率の高い物質を必須成分とすることが好ましい。
本発明における油性物質より熱伝導率の高い物質とは、油性物質の融解時の熱伝導率に比べ熱伝導率が10W/m・K以上高い物質であり、例えばアルミニウム、鉄、銅等の金属粉;金属繊維;金属酸化物;カーボン;カーボンファイバー、砂;粘土;石;鉛、鉄等の金属粉等の1種又は2種以上を用いることができる。油性物質より熱伝導率の高い物質の使用量は、蓄熱材組成物全体を100質量%とすると、60質量%未満が好ましく、30質量%未満がより好ましい。
【0031】
本発明の蓄熱材は、相変化により蓄熱性を有する油性物質を必須成分として、上記油性物質の流動性を低下させる油増粘剤を含有する蓄熱材組成物を包装材に封入してなるものであることが好ましい。相変化により液化する油性物質としては、ビル空調用の蓄熱材の場合、具体的には、常温(25℃)付近、常圧(約101.3kPa)において液体状であるものが好ましい。
【0032】
上記蓄熱材は、蓄熱材組成物が上記油性物質の流動性を低下させる油増粘剤を含むことにより、油性物質の流動性が低下するため、蓄熱や放熱するために凍結や融解を繰返したときに油性物質のしみ出し等の漏出が抑制され、油性物質への引火が抑制されて安全性が高いものとなる。
【0033】
上記蓄熱材の製造においては、必須成分である油性物質及び油増粘剤を含む蓄熱材組成物を製造し、これを包装材に充填して封入してもよく、油性物質及び油増粘剤をそれぞれ包装材に充填した後、包装材内で蓄熱材組成物を製造し封入してもよい。
【0034】
上記蓄熱材組成物における油増粘剤としては、上記油性物質の流動性を低下させる作用を有するものであれば特に限定されず、例えば、以下の(1)〜(7)に記載する化合物や物質等を用いることができる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0035】
(1)ポリオレフィン系重合体及びポリオレフィン系重合体の一部がハロゲン化されてなるハロゲン化物:ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン等のポリオレフィン単独重合体;エチレンを主体としてエチレンと炭素数3〜12のα−オレフィンとが共重合してなるポリオレフィン共重合体;プロピレンを主体としてプロピレンと炭素数2、4〜12のα−オレフィンとが共重合してなるポリオレフィン等のポリオレフィン共重合体;酢酸ビニル、アクリル酸エチル、メタクリル酸エチル等の単量体とα−オレフィンとが共重合してなる共重合体等。
【0036】
(2)ゴムやプラスチックの分野において、室温以上でゴム弾性を備えている、いわゆる熱可塑性エラストマーとして知られている化合物:ポリスチレンとポリブタジエン、ポリイソプレン又はこれらポリオレフィンの水素付加物とのブロック共重合体等のスチレン系エラストマー;ポリオレフィン共重合体とポリオレフィン共重合体との混合物;ポリオレフィン共重合体にオレフィンがグラフト重合してなる共重合体等のオレフィン系エラストマー;ウレタン系エラストマー;エステル系エラストマー等。
【0037】
(3)炭化水素系ゴム:天然ゴム、スチレン−ブタジエン共重合体ゴム、ブチルゴム、ブタジエンゴム、イソプレンゴム、エチレン−プロピレン共重合体ゴム、エチレン−プロピレン−ジエン三元共重合体ゴム、スチレン−エチレン−ブチレン三元共重合体ゴム、エチレン−酢酸ビニル共重合体ゴム、エチレン−アクリル酸エチル共重合体ゴム等。
【0038】
(4)N−アシルアミノ酸アミド:N−ラウロイルグルタミン酸ジアミド、N−ラウロイルグルタミン酸ジブチルアミド、N−ラウロイルグルタミン酸ジステアリルアミド、N−アセチルグルタミン酸ジステアリルアミド、N−オクチルグルタミン酸ジオクチルアミド、N,N−ジカプリロイルリジンアミド、N,N−ジカプリロイルリジンラウリルアミド、N,N−ジラウロイルリジンオクチルアミド、N−ラウロイルバリンラウリルアミド、N−ラウロイルフェニルアラニンラウリルアミド等。
【0039】
(5)N−アシルアミノ酸アミン塩:N,N−ジラウロイルリジンオクチルアミン塩、N,N−ジラウロイルリジンステアリルアミン塩、N,N−ジカプリロイルリジンラウリルアミン塩、N−ステアロイルグルタミン酸ステアリルアミン塩等。
【0040】
(6)N−アシルアミノ酸誘導体:N,N−ジカプリロイルリジンラウリルエステル、N,N−ジラウロイルリジンラウリルエステル、N,N−ジラウロイルリジンステアリルエステル、N−ステアロイルグルタミン酸ステアリルエステル等のN−アシルアミノ酸エステル等。
(7)その他:ベンジリデンソルビトール、12−ヒドロキシステアリン酸等。
【0041】
上記ポリオレフィン系重合体及びそのハロゲン化物は、非結晶性、低結晶性、結晶性の何れであってもよい。但し、非結晶性や低結晶性のポリオレフィン系重合体は、その物性によって、炭化水素系ゴムに分類される場合もある。熱可塑性エラストマーとしては、室温以上において、ゴム弾性を備えている化合物が好適である。より好ましくは、室温以上において、かつ油性物質の融点(結晶転移温度)よりも20℃高い温度迄の範囲内において、ゴム弾性を備えている化合物であり、更に好ましくは、油性物質の融点よりも10℃高い温度迄の範囲内において、ゴム弾性を備えている化合物である。
【0042】
上記油増粘剤の使用量としては、例えば、油性物質100重量部に対して0.1〜100重量部とすることが好ましい。0.1重量部未満であると、油性物質の蓄熱特性を阻害することなく、油性物質の流動性を低下する効果が不充分となるおそれがあり、蓄熱材組成物から液体状の油性物質が分離して滲み出すおそれがある。100重量部を超えると、蓄熱材組成物が固体状又は高粘性を有する組成物となってしまうので、複雑な形状の包装材に隙間なく蓄熱材組成物を充填することができなくなるおそれがある。また、後述する重合体又は架橋重合体を形成する反応や、重合体に架橋構造を導入する反応が油増粘剤によって阻害されるので、保形性に優れた蓄熱材組成物を製造することができなくなるおそれがある。より好ましくは、35〜60重量部である。
【0043】
本発明の蓄熱材はまた、相変化により蓄熱性を有する油性物質中で単量体成分を重合させてなる蓄熱材組成物を包装材に封入してなるものであることが好ましい。
【0044】
上記蓄熱材は、相変化により蓄熱性を有する油性物質中で単量体成分を重合させて重合体を形成することにより、該油性物質を該重合体中に保持してなる蓄熱材組成物を有することになる。これにより、上記単量体成分を重合させてなる重合体中に、油性物質の流動性が低下するように油性物質を保持させることができるため、上述したのと同様に蓄熱や放熱するために凍結や融解を繰返したときに油性物質のしみ出し等の漏出が抑制され、油性物質への引火が抑制されて安全性が高いものとなる。
【0045】
上記単量体成分を重合させてなる重合体は、相変化により蓄熱性を有する油性物質を保持する状態をより安定的に維持する点から、架橋構造を有することが好ましい。このような架橋構造を重合体に付与する方法としては、例えば、重合性を有する不飽和基を分子中に少なくとも2個以上有する架橋性単量体を含む単量体成分を重合して重合体を形成する方法が好適である。すなわち本発明における蓄熱材組成物は、上記単量体成分として、架橋性単量体を含むことが好ましく、このような架橋性単量体を含む単量体成分を重合することにより、架橋構造を有する重合体が生成することになる。
【0046】
上記架橋構造を重合体に付与する方法としてはまた、縮合性官能基を有する反応性単量体を含む単量体成分を重合して重合体を形成する方法も適用することができる。この場合、上記単量体成分を油性物質中で重合させてなる重合体を、油性物質を含有した状態で、少なくとも2個の縮合性官能基を有する架橋剤により、重合体が有する縮合性官能基と架橋剤が有する縮合性官能基とを縮合させて架橋させることにより、架橋構造を有する重合体が得られることになる。このような方法は、上記架橋性単量体を用いる方法と併用してもよい。
これらの重合反応や架橋反応では、反応を促進する触媒を適宜選択して用いることにより反応速度を速めることもできる。
【0047】
以下に、相変化により蓄熱性を有する油性物質中で単量体成分を重合させて重合体を形成する方法について説明する。
上記単量体成分としては、分子中に1個の重合性不飽和基を有する単量体(a)を主成分として含むものであれば特に限定されるものではない。また、上述したように重合性を有する不飽和基を分子中に少なくとも2個以上有する架橋性単量体(b)や縮合性官能基を有する反応性単量体(c)を含むことが好ましい。
上記単量体(a)としては、例えば、蓄熱材組成物をゲル状又は固形状にしやすく、油性物質の保持性が向上することから、溶解度パラメーター(SP値)が18.4以下の単量体を用いることが好ましい。尚、溶解度パラメーター(SP値)とは、化合物の極性を表す尺度として一般に用いられている値であり、本明細書では、Smallの計算式にHoyの凝集エネルギー定数を代入して導いた値を適用するものとし、単位を(J/cm3)1/2 で表した値である。
【0048】
上記溶解度パラメーター(SP値)が18.4以下の単量体(a)としては、例えば、以下に記載するもの等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
(1)不飽和カルボン酸エステル:メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、iso−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、オクチルフェニル(メタ)アクリレート、ノニルフェニル(メタ)アクリレート、ジノニルフェニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、メンチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジブチル(メタ)アクリレート、ジブチルマレエート、ジドデシルマレエート、ドデシルクロトネート、ジドデシルイタコネート等。
【0049】
(2)炭化水素基を有する(メタ)アクリルアミド:(ジ)ブチル(メタ)アクリルアミド、(ジ)ドデシル(メタ)アクリルアミド、(ジ)ステアリル(メタ)アクリルアミド、(ジ)ブチルフェニル(メタ)アクリルアミド、(ジ)オクチルフェニル(メタ)アクリルアミド等。
【0050】
(3)α−オレフィン:1−ヘキセン、1−オクテン、イソオクテン、1−ノネン、1−デセン等。
(4)脂環式ビニル化合物:ビニルシクロヘキサン等。
(5)脂肪族炭化水素基を有するアリルエーテル:ドデシルアリルエーテル等。
(6)脂肪族炭化水素基を有するビニルエステル:カプロン酸ビニル、ラウリン酸ビニル、パルミチン酸ビニル、ステアリン酸ビニル等。
(7)脂肪族炭化水素基を有するビニルエーテル:ブチルビニルエーテル、ドデシルビニルエーテル等。
(8)芳香族ビニル化合物:スチレン、t−ブチルスチレン、オクチルスチレン等。
【0051】
上記単量体成分の中でも、アルキル(メタ)アクリレート、アルキルアリール(メタ)アクリレート、アルキル(メタ)アクリルアミド、アルキルアリール(メタ)アクリルアミド、脂肪酸ビニルエステル、アルキルスチレン及びα−オレフィンからなる群より選択される少なくとも一種の不飽和化合物を主成分として用いることが好ましい。このような不飽和化合物は、少なくとも1個の炭素数1〜30の脂肪族炭化水素基を有することが好ましい。
【0052】
上記単量体成分中における上記溶解度パラメーター(SP値)が18.4以下の単量体(a)の使用量としては、主成分となる限り特に限定されず、例えば、50質量%以上であることが好ましい。50質量%未満であると、重合体中に保持される油性物質の含有率が低下するおそれがある。より好ましくは、70質量%以上である。
【0053】
上記単量体成分には、溶解度パラメーター(SP値)が18.4を超える単量体(a)が含有されていてもよい。このような単量体(a)としては、例えば、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0054】
上記架橋性単量体(b)としては、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、N,N′−メチレンビスアクリルアミド、N,N′−プロピレンビスアクリルアミド、グリセリントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート;グリセリン、トリメチロールプロパン、テトラメチロールメタン等の多価アルコールのアルキレンオキシド付加物と(メタ)アクリル酸とのエステル化によって得られる多官能(メタ)アクリレートやジビニルベンゼン等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0055】
上記単量体(a)と上記架橋性単量体(b)との配合割合としては、例えば、単量体(a)と架橋性単量体(b)の合計質量を100質量%として、単量体(a)を90〜99.999質量%、架橋性単量体(b)を0.001〜10質量%とすることが好ましい。
【0056】
上記反応性単量体(c)としては、カルボキシル基、ヒドロキシル基、メルカプト基、ニトリル基、アミノ基、アミド基、イソシアナート基及びエポキシ基からなる群より選択される少なくとも一種の官能基を有するビニル系単量体や、重合性不飽和基を有する酸無水物等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらの具体例としては、例えば、以下に記載するもの等が挙げられる。
【0057】
(1)カルボキシル基を有するビニル系単量体:(メタ)アクリル酸、フマル酸、イタコン酸等。
(2)ヒドロキシル基を有するビニル系単量体:ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、グリセリン(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパン(メタ)アクリレート、ヒドロキシスチレン等。
【0058】
(3)メルカプト基を有するビニル系単量体:ビニルメルカプタン、メルカプトエチル(メタ)アクリレート等。
(4)ニトリル基を有するビニル系単量体:(メタ)アクリロニトリル等。
(5)アミノ基を有するビニル系単量体:アミノエチル(メタ)アクリレート、ビニルピリジン等。
【0059】
(6)アミド基を有するビニル系単量体:(メタ)アクリルアミド等。
(7)イソシアナート基を有するビニル系単量体:ビニルイソシアナート等。
(8)エポキシ基を有するビニル系単量体:グリシジル(メタ)アクリレート等。
(9)重合性不飽和基を有する酸無水物:無水マレイン酸等。
【0060】
上記単量体(a)と上記反応性単量体(c)との配合割合との配合割合としては、例えば、単量体(a)と反応性単量体(c)の合計質量を100質量%として、単量体(a)を90〜99.995質量%、反応性単量体(c)を0.005〜10質量%とすることが好ましい。
【0061】
上記単量体成分が反応性単量体(c)を含む場合には、2個の縮合性官能基を有する架橋剤により該縮合性官能基と該縮合性官能基とを架橋させることにより、架橋構造を形成することになる。上記架橋剤としては、例えば、反応性単量体(c)の縮合性官能基(X)により以下に記載するもの等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
(1)縮合性官能基(X)が、カルボキシル基、メルカプト基、ニトリル基、エポキシ基である場合には、ジメチロールフェノールやポリメチロールフェノール等のフェノール樹脂等が挙げられる。
(2)縮合性官能基(X)が、カルボキシル基、ヒドロキシル基である場合には、メラミン、ベンゾグアナミン、尿素等のアミノ化合物とホルムアルデヒドやアルコールとを付加縮合したアミノ樹脂等が挙げられる。
【0062】
(3)縮合性官能基(X)が、カルボキシル基、イソシアナート基、エポキシ基である場合には、ヘキサメチレンジアミン、ジエチレントリアミン、テトラエチレンペンタミン等の多価アミノ化合物が挙げられる。
(4)縮合性官能基(X)が、カルボキシル基、ヒドロキシル基、メルカプト基、イソシアナート基、アミド基、アミノ基、エポキシ基である場合には、ヘキサメチレンジイソシアナート、イソホロンジイソシアナート、p−フェニレンジイソシアナート、2,4−トルエンジイソシアナート、2,6−トルエンジイソシアナート、1,5−ナフタレンジイソシアナート;これらのイソシアナートとメタノールやフェノール等とを縮合させたブロックドイソシアナート等のイソシアナート化合物等が挙げられる。
【0063】
(5)縮合性官能基(X)が、イソシアナート基、エポキシ基である場合には、マロン酸、コハク酸、アジピン酸、フタル酸、テレフタル酸等の多価カルボン酸等が挙げられる。
(6)縮合性官能基(X)が、ヒドロキシル基、イソシアナート基、エポキシ基である場合には、無水フタル酸、ピロメリット酸無水物、ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物等の酸無水物等が挙げられる。
【0064】
(7)縮合性官能基(X)が、ヒドロキシル基、メルカプト基、アミノ基、アミド基である場合には、グリオキザル、テレフタルアルデヒド等のアルデヒド化合物等が挙げられる。
(8)縮合性官能基(X)が、ヒドロキシル基、イソシアナート基、エポキシ基である場合には、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ヘキサンジオール等の多価アルコール等が挙げられる。
【0065】
(9)縮合性官能基(X)が、カルボキシル基、ヒドロキシル基、メルカプト基、イソシアナート基である場合には、トルエングリシジルエーテル、ヘキサメチレングリシジルエーテル、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル等のエポキシ化合物等が挙げられる。
【0066】
上記反応性単量体(c)と上記架橋剤とにおいて、反応性単量体(c)の縮合性官能基(X)と、架橋剤の縮合性官能基(Y)との組合せは、いずれか一方の官能基が、カルボキシル基、ヒドロキシル基、メルカプト基、アミノ基及びアミド基からなる群より選択される少なくとも一種の官能基であり、もう一方の官能基が、イソシアナート基、エポキシ基、無水カルボン酸基からなる群より選択される少なくとも一種の官能基であることが好ましい。より好ましくは、油性物質を低温でゲル化することができることから、縮合性官能基(X)がヒドロキシル基であり、縮合性官能基(Y)がイソシアナート基であることである。
【0067】
上記反応性単量体(c)と上記架橋剤との比率としては、例えば、縮合性官能基(X)1モルに対する縮合性官能基(Y)のモル数が0.1〜10モルとなるように設定することが好ましい。0.1未満であると、蓄熱材組成物の強度が充分でなくなるおそれがあり、10を超えると、油性物質の保持性が充分でなくなるおそれがある。
【0068】
上記単量体成分が反応性単量体(c)を含む場合、油性物質とともに単量体成分を重合させてなる重合体と、架橋剤とを混合して混合物とした後、油性物質が溶融して液体状を維持できるような0〜80℃の温度下で架橋反応させてもよい。更に、架橋反応後に縮合性官能基(X)及び縮合性官能基(Y)が未反応で残存することを抑制するために、架橋反応を阻害しない範囲内で、縮合性官能基(X)及び/又は縮合性官能基(Y)と重縮合可能な反応基を有する化合物を予め又は架橋反応後に添加してもよい。例えば、縮合性官能基(X)又は縮合性官能基(Y)が多価イソシアナートである場合には、該化合物として、長鎖カルボン酸等を用いることができる。
【0069】
上記蓄熱性を有する油性物質とともに単量体成分を重合させて重合体を形成する方法としては、通常は油溶解性ラジカル重合開始剤の共存下において重合されることになるが、水等の水系媒体中に保護コロイド剤や界面活性剤を溶解した界面活性剤水溶液中に油性物質と単量体成分とを互いに相溶させて混合し懸濁させた状態にて、油溶解性ラジカル重合開始剤の共存下において懸濁重合させる方法(水中懸濁重合)を用いることもできる。またこの際、上述した油性物質の流動性を低下させる油増粘剤の存在下で重合を行ってもよい。
【0070】
上記油溶解性ラジカル重合開始剤としては、例えば、ベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド等の有機過酸化物;2,2′−アゾビスイソブチロニトリル、2,2′−アゾビスジメチルバレロニトリル等のアゾ化合物等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0071】
上記油溶解性ラジカル重合開始剤の使用量としては、例えば、単量体成分100質量%に対して、0.1〜5質量%とすることが好ましい。
上記重合において、重合温度としては、油性物質の融点や単量体成分の種類や重合開始剤の種類を考慮して、0〜150℃で油性物質が液体状を維持できる温度とすることが好ましい。より好ましくは、0〜80℃である。
【0072】
上記保護コロイド剤としては、例えば、ポリビニルアルコール、ヒドロキシエチルセルロース、ゼラチン等が挙げられ、上記界面活性剤としては、例えば、アルキルスルホン酸ナトリウム、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、脂肪酸石鹸等が挙げられる。これらはそれぞれ単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0073】
上記蓄熱材組成物には、更に、以下に記載する機能を有する添加剤を含有させることもできる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
(1)難燃性付与用:水;水ゲル;金属粉;炭酸カルシウム等の無機化合物;臭素系、塩素系、リン系等の難燃剤等。尚、難燃性には、燃焼性の低減、延焼防止、水蒸気による引火点の消滅、燃焼熱量低減効果等を含む。
(2)過冷却防止用:高分子パラフィン(ワックス)等。
(3)凝固点調整用:ワックス類等。
(4)酸化防止や経時的な劣化防止用:フェノール系、チオ系、リン系等の酸化防止剤等。
(5)その他:帯電防止剤、防菌剤等。
【0074】
上記添加剤の使用量としては、例えば、燃焼性を低減させるために、炭酸カルシウムを用いる場合には、油性物質と重合体との合計量に対して、10〜40質量%とすることが好ましい。
【0075】
上記油性物質には、潜熱性を調整するための包接化合物を添加してもよい。
上記包接化合物としては、例えば、C4H8・O・17H2O、(CH3)3N・10.25H2O、(C4H9)4NCHO2・32H2O、(C4H9)4NCH3CO2・32H2O等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0076】
上記蓄熱性を有する油性物質とともに単量体成分を重合させて重合体を形成して蓄熱材とする場合では、上記添加剤を用いたときに、例えば、金属粉のように、油性物質との間に1以上といった大きな比重差を有するものを用いたときや、添加剤と油性物質との溶解度パラメーターの数値の差が4以上離れているために、添加剤と油性物質との相溶性が劣るときでも、添加剤を蓄熱材組成物内に均一な状態で保持することができ、添加剤の効果をより有効に発揮させることが可能となる。
【0077】
上記蓄熱材の製造において、更に、上記蓄熱材組成物に、油性物質の流動性を低下させる油増粘剤及び/又は架橋剤を添加することが好ましく、油増粘剤及び架橋剤を添加することがより好ましい。この場合、蓄熱材組成物を形成する方法としては、(1)油性物質中で単量体成分を重合して重合体を形成した後、油増粘剤及び/又は架橋剤を添加して上記重合体に架橋構造を導入する方法、(2)油性物質及び油増粘剤中で単量体成分を重合して重合体を形成し、必要に応じて架橋剤を添加して上記重合体に架橋構造を導入する方法等が挙げられる。
【0078】
上記蓄熱材の製造において、包装材に充填される蓄熱材組成物の状態としては特に限定されず、例えば、液体状、ゲル状、固体状等が挙げられ、これらの混合物であってもよい。また、固体状の蓄熱材組成物を、加熱等により液化して、又は、液状の蓄熱材組成物をゲル化若しくは固体状にして用いてもよい。これらの中でも、複雑な形状の包装材に、簡単に隙間なく蓄熱材組成物を充填することができることから、液体状が好ましく、蓄熱材組成物が包装材に密に充填され、熱効率に優れた蓄熱材を製造することができる。最も好ましくは、液体状で包装材に充填し、包装材内でゲル化や硬化させて蓄熱材を形成する形態である。
【0079】
本発明の蓄熱材の製造としては、例えば、蓄熱性を有する油性物質とともに単量体成分を重合させて重合体を形成して蓄熱材組成物とする場合において、該蓄熱材組成物を包装材に封入するときには、プラスチックフィルムにより形成される上述した立体形状となる袋状物や、上述した立体形状をした包装材に、油性物質とともに単量体成分又は架橋前の重合体を液体状態で充填して、該包装材内又は該袋状物内で硬化(ゲル化)させることができる。これにより、該包装材内又は該袋状物内に該蓄熱材組成物を密に充填することが容易となり、該油性物質による蓄熱効率が向上した蓄熱材を得ることができることになる。
【0080】
上記製造の方法としては、例えば、(1)油性物質と単量体(a)及び架橋性単量体(b)を含む単量体成分とを液体状態にて該包装材内又は該袋状物内に投入して充填し、油溶解性ラジカル重合開始剤の共存下で塊状架橋重合させて硬化させる方法(注型重合方法)、(2)油性物質と単量体(a)及び反応性単量体(c)を含む単量体成分とを油溶解性ラジカル重合開始剤の共存下で重合させた架橋前の重合体と架橋剤とを混合した混合物を、架橋反応が完了する前に液体状態にて該包装材内又は該袋状物内に投入して充填し、その後に架橋反応を完了させて硬化させる方法(注型後架橋方法)、(3)油性物質と単量体(a)及び架橋性単量体(b)を含む単量体成分とを液体状態にてステンレスバットのごとき包装材に投入し、油溶解性ラジカル重合開始剤の共存下で塊状架橋重合させて硬化させた蓄熱体をミートチョッパーのごとき押出機で該プラスチック包装材に充填させる方法(蓄熱体形成後封入方法)等が挙げられる。
【0081】
上記包装材への蓄熱材組成物の封入量としては特に限定されず、例えば、包装材の全容量を100%とすると、20〜100%とすることが好ましい。20%未満であると、蓄熱効率が充分でなくなるおそれがある。より好ましくは、蓄熱材組成物の膨張・収縮を考慮すると、95%以下である。更に好ましくは、40〜90%である。
【0082】
本発明の蓄熱材は、オフィスビルや工場等の大型建造物用や家庭用等の冷暖房エネルギーの省力化や効率化、環境保護の目的のための蓄熱装置を構成する材料として優れたものであり、包装材の封止性や高温耐水性を有する安全性の高いものである。
【0083】
【実施例】
以下に実施例を揚げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
【0084】
実施例1
温度計、攪拌機、ガス導入管、2つの滴下ロート及び還流冷却器を備えた500ミリリットルのフラスコに、油性物質としてのペンタデカン(融解時の熱伝導率0.15W/m・K)10gを仕込み、攪拌下、フラスコ内を窒素置換し、窒素気流下にて65℃に加熱した。次いで、1つの滴下ロートに、単量体成分としての2−エチルヘキシルアクリレート(SP値:15.9)39.7g及びヒドロキシエチルアクリレート0.3g、並びに、油性物質としてのペンタデカン20gからなる溶液▲1▼を、更に別の滴下ロートに、重合開始剤としての2,2′−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)0.1g、並びに油性物質及び希釈液としてのペンタデカン10gからなる溶液▲2▼をそれぞれ仕込んだ。
【0085】
続いて、上記フラスコ内に対し、溶液▲1▼及び溶液▲2▼を同時に1時間かけて滴下し、重合反応を行い、その後、更に、フラスコ内を80℃に昇温し、2時間維持して重合を完了させて、架橋前の重合体を得た。
【0086】
架橋剤としてのトルエンジイソシアネート0.5g、ジブチルスズジラウレート0.1g、並びに油性物質及び希釈液としてのペンタデカン55gからなる溶液▲3▼を用意した。
【0087】
基材層がポリエチレンテレフタレートフィルム(PET、厚み12μm)、シーラント層がLLDPEフィルム(東セロ社製、商品名LL−FCS、厚み80μm)であるラミネートフィルム(縦18cm×横8cm、封止糊代1.0cm)をヒートシーラー(富士インパルス社製、T−230、目盛4)で3方をヒートシール封止した包装材を得た。この包装材の開放した封口から、上記方法で得た架橋前の重合体と溶液▲3▼を混合した混合溶液を75g充填し、開放した封口部をヒートシール封止して蓄熱材(1)を得た。該シーラント層のペンタデカンに対する膨潤率は16%であった。
【0088】
実施例2
基材層がポリエチレンテレフタレートフィルム(PET、厚み12μm)、シーラント層がLLDPEフィルム(東セロ社製、商品名LL−FCS、厚み80μm)であるラミネートフィルム(縦18cm×横8cm、封止糊代1.0cm)をヒートシーラー(富士インパルス社製、T−230、目盛4)で3方をヒートシール封止した包装材を得た。次いで、ポリノルボルネン樹脂(日本ゼオン社製、商品名ノーソレックス)22.5gを300mlビーカーに入れ、油性物質としてのペンタデカン52.5gを加えて混合し、50℃に加熱して溶融させた混合溶液を得た。該混合溶液を固化する前に上記包装材の開放した封口から充填し、開放した封口部をヒートシール封止して蓄熱材(2)を得た。該シーラント層のペンタデカンに対する膨潤率は16%であった。
【0089】
実施例3
基材層がポリエチレンテレフタレートフィルム(PET、厚み12μm)、シーラント層がEVOHフィルム(旭化成パックス社製、商品名EV−EF−HS、厚み80μm)であるラミネートフィルム(縦18cm×横8cm、封止糊代1.0cm)をヒートシーラー(富士インパルス社製、T−230、目盛4)で3方をヒートシール封止した包装材を得た。次いで、スチレン系熱可塑性エラストマー(シェルジャパン社製、商品名クレイトンG1650)22.5gを300mlビーカーに入れ、油性物質としてのペンタデカン52.5gを加えて混合し、50℃に加熱して溶融させた後、アルミニウム粉末30gを加えて混合し、混合溶液を得た。該混合溶液を固化する前に上記包装材の開放した封口から充填し、開放した封口部をヒートシール封止して蓄熱材(3)を得た。該シーラント層のペンタデカンに対する膨潤率は3%であった。
【0090】
実施例4
基材層がポリエチレンテレフタレートフィルム(PET、厚み12μm)/二軸延伸ナイロンフィルム(ONY、厚み15μm)の複層フィルム、シーラント層がLLDPEフィルム(東セロ社製、商品名LL−TCS、厚み50μm)であるラミネートフィルム(縦18cm×横8cm、封止糊代1.0cm)をヒートシーラー(富士インパルス社製、T−230、目盛4)で3方をヒートシール封止した包装材を得た。次いで、12−ヒドロキシステアリン酸(和光純薬工業社製)22.5gを300mlビーカーに入れ、油性物質としてのペンタデカン52.5gを加えて混合し、70℃に加熱して溶融させた混合溶液を得た。該混合溶液を固化する前に上記包装材の開放した封口から充填し、開放した封口部をヒートシール封止して蓄熱材(4)を得た。該シーラント層のペンタデカンに対する膨潤率は21%であった。
【0091】
比較例1
基材層がポリエチレンテレフタレートフィルム(PET、厚み12μm)、シーラント層が無延伸ポリプロピレンフィルム(旭化成パックス社製、商品名CPP−RXC3、厚み80μm)であるラミネートフィルム(縦18cm×横8cm、封止糊代1.0cm)をヒートシーラー(富士インパルス社製、T−230、目盛4)で3方をヒートシール封止した包装材を得た。次いで、実施例1で得た架橋前の重合体と溶液▲3▼を混合した混合溶液75g充填し、開放した封口部をヒートシール封止して蓄熱材(5)を得た。該シーラント層のペンタデカンに対する膨潤率は37%であった。
【0092】
比較例2
実施例3で得た蓄熱材(3)のラミネートフィルムを剥がし蓄熱材(6)を得た。
【0093】
実施例1〜4、比較例1で得られた蓄熱材(1)〜(5)を60℃恒温水槽に浸漬し、1ヶ月間静置した後、取出したところ、蓄熱材(1)から(4)は包装材のフィルム層間の剥離は見られなかったが、蓄熱材(5)は包装材のフィルム層間の剥離が見られた。
【0094】
実施例5
実施例1で得られた蓄熱材(1)6本をステンレス製のカゴ(150g)に入れ、蓄熱装置を構成する断面積400cm2、高さ40cmの蓄熱水槽に蓄熱材(1)を沈めるように設置した。蓄熱材(1)は互いに密着せず、水面下に存在することが確認できた。水温を4℃で3時間、12℃で3時間設定し、水を循環する凍結融解のサイクルを30回繰返した。30回終了時点で水面に油性物質であるペンタデカンは認められず、油性物質の漏れがないことが判る。30回終了後、引き続き水温を4℃で3時間保持し凍結した蓄熱材(1)6本を30℃の温水1300gを予め仕込んであるデュワー瓶に入れ温度の変化を観察した。水温は30分で平衡に達し、その時の温度は20℃であり、比較例に比べ蓄熱量が多く、放熱速度が早い。
【0095】
実施例6
実施例2で得られた蓄熱材(2)6本のシール部分に穴を空け、実施例5と同様の蓄熱水槽に下部に固定された針金に蓄熱材(2)を沈めるように設置した。蓄熱材(2)は互いに密着せず、水面下に存在することが確認できた。水温を4℃で3時間、12℃で3時間設定し、水を循環する凍結融解のサイクルを30回繰返した。30回終了時点で水面に油性物質であるペンタデカンは認められず、油性物質の漏れがないことが判る。30回終了後、引き続き水温を4℃で3時間保持し凍結した蓄熱材(2)6本を30℃の温水1300gを予め仕込んであるデュワー瓶に入れ温度の変化を観察した。水温は30分で平衡に達し、その時の温度は20℃であり、比較例に比べ蓄熱量が多く、放熱速度が早い。
【0096】
実施例7
実施例3で得られた蓄熱材(3)6本を、実施例5と同様の蓄熱水槽に蓄熱材(3)をそのまま入れることにより設置した。すなわち、この場合には、実施例5及び6のように沈めるような操作はしなかった。蓄熱材(3)は互いに密着せず、水面下に存在することが確認できた。水温を4℃で3時間、12℃で3時間設定し、水を循環する凍結融解のサイクルを30回繰返した。30回終了時点で水面に油性物質であるペンタデカンは認められず、油性物質の漏れがないことが判る。30回終了後、引き続き水温を4℃で3時間保持し凍結した蓄熱材(3)6本を30℃の温水1300gを予め仕込んであるデュワー瓶に入れ温度の変化を観察した。水温は20分で平衡に達し、その時の温度は19℃であり、比較例に比べ蓄熱量が多く、放熱速度が極めて早い。
【0097】
実施例8
実施例4で得られた蓄熱材(4)6本のシール部分に穴を空け、各蓄熱材(4)1本につき18gの分銅1個取付けた。実施例5と同様の蓄熱水槽に蓄熱材(4)をそのまま入れることにより設置した。すなわち、この場合には、実施例5及び6のように沈めるような操作はしなかった。蓄熱材(4)は互いに密着せず、水面下に存在することが確認できた。水温を4℃で3時間、12℃で3時間設定し、水を循環する凍結融解のサイクルを30回繰返した。30回終了時点で水面に油性物質であるペンタデカンは認められず、油性物質の漏れがないことが判る。30回終了後、引き続き水温を4℃で3時間保持し凍結した蓄熱材(4)6本を30℃の温水1300gを予め仕込んであるデュワー瓶に入れ温度の変化を観察した。水温は30分で平衡に達し、その時の温度は20℃であり、比較例に比べ蓄熱量が多く、放熱速度が早い。
【0098】
比較例3
比較例1で得られた蓄熱材(5)6本を、実施例5と同様の蓄熱水槽に蓄熱材(5)をそのまま入れることにより設置した。すなわち、この場合には、実施例5及び6のように沈めるような操作はしなかった。蓄熱材(5)は互いに密着はしなかったが、一部水面上に存在することが確認できた。水温を4℃で3時間、12℃で3時間設定し、水を循環する凍結融解のサイクルを30回繰返した。30回終了時点で水面に油性物質であるペンタデカンが油膜として認められ、油性物質の漏れがあることが判る。30回終了後、引き続き水温を4℃で3時間保持し凍結した蓄熱材(5)6本を30℃の温水1300gを予め仕込んであるデュワー瓶に入れ温度の変化を観察した。水温は30分で平衡に達し、その時の温度は24℃であり、水面上に存在した部分が凍結しなかったため、実施例に比べ蓄熱量が少ない。
【0099】
比較例4
比較例2で得られた蓄熱材(6)6本を、実施例5と同様の蓄熱水槽に蓄熱材(6)をそのまま入れることにより設置した。すなわち、この場合には、実施例5及び6のように沈めるような操作はしなかった。蓄熱材(6)は互いに密着してしまうが、水面下に存在することは確認できた。水温を4℃で3時間、12℃で3時間設定し、水を循環する凍結融解のサイクルを30回繰返した。30回終了時点で水面に油性物質であるペンタデカンが油滴として認められ、油性物質の漏れがあることが判る。30回終了後、引き続き水温を4℃で3時間保持し凍結した蓄熱材(6)6本を30℃の温水1300gを予め仕込んであるデュワー瓶に入れ温度の変化を観察した。水温は60分で平衡に達し、その時の温度は22℃であり、蓄熱材6本が凝集してしまったため、実施例に比べ蓄熱量が少なく、放熱速度も遅い。
【0100】
実施例9
温度計、攪拌機、ガス導入管、2つの滴下ロート及び還流冷却器を備えた500ミリリットルのフラスコに、油性物質としてのヘキサデカン(融解時の熱伝導率0.15W/m・K)10gを仕込み、攪拌下、フラスコ内を窒素置換し、窒素気流下にて65℃に加熱した。次いで、1つの滴下ロートに、単量体成分としての2−エチルヘキシルアクリレート(SP値:15.9)39.7g及びヒドロキシエチルアクリレート0.3g、並びに、油性物質としてのヘキサデカン20gからなる溶液▲4▼を、更に別の滴下ロートに、重合開始剤としての2,2′−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)0.1g、並びに油性物質及び希釈液としてのヘキサデカン10gからなる溶液▲5▼をそれぞれ仕込んだ。
【0101】
続いて、上記フラスコ内に対し、溶液▲4▼及び溶液▲5▼を同時に1時間かけて滴下し、重合反応を行い、その後、更に、フラスコ内を80℃に昇温し、2時間維持して重合を完了させて、架橋前の重合体を得た。
【0102】
架橋剤としてのトルエンジイソシアネート0.5g、ジブチルスズジラウレート0.1g、並びに油性物質及び希釈液としてのヘキサデカン55gからなる溶液▲6▼を用意した。
次いで実施例1で使用した同じ包装材の開放した封口から、上記方法で得た架橋前の重合体と溶液▲6▼、更に着色剤として染料(油溶性染料、和光純薬製、商品名ズダンIV)0.1mgを混合した混合溶液を75g充填し、開放した封口をヒートシール封止して蓄熱材(7)を得た。蓄熱材組成物は、染料により赤色に着色されたため、蓄熱材(1)とは容易に区別することができた。
【0103】
実施例10
基材層が青色顔料により着色したポリエチレンテレフタレートフィルム(PET、厚み12μm)、シーラント層がLLDPEフィルム(東セロ社製、商品名LL−FCS、厚み80μm)であるラミネートフィルム(縦18cm×横8cm、封止糊代1.0cm)をヒートシーラーで2方をヒートシール封止した包装材を得た。この包装材の開放した封口から、実施例1と同様にして得た架橋前の重合体と溶液▲3▼とを混合した混合液75gを充填し、開放した封口部をヒートシール封止して蓄熱材(8)を得た。蓄熱材(8)の包装材が青色に着色したので、これにより外観上、どのタイプの蓄熱材かを容易に区別することができた。
【0104】
実施例11
蓄熱材(1)の包装材に製品識別用の記号と取り扱い注意事項の表示を印字し、蓄熱材(9)を得た。これにより外観上、どのタイプの蓄熱材かを容易に区別することができた。
【0105】
実施例12
蓄熱材(1)の包装材に製品識別用のシールを貼付し、蓄熱材(10)を得た。
これにより外観上、どのタイプの蓄熱材かを容易に区別することができた。
【0106】
【発明の効果】
本発明の蓄熱材は上述のような構成からなり、オフィスビルや工場等の大型建造物用や家庭用等の冷暖房エネルギーの省力化や効率化、環境保護の目的のための蓄熱装置を構成する材料として優れたものであり、包装材の封止性や高温耐水性を有する安全性の高いものである。更に蓄熱材組成物や包装材に着色等を施すことにより、蓄熱材の製品判別が容易となるものである。
Claims (6)
- 相変化により蓄熱性を有する油性物質を必須成分とする蓄熱材組成物を包装材に封入してなる蓄熱材であって、
該蓄熱材組成物は、油性物質中でアルキル(メタ)アクリレート、アルキルアリール(メタ)アクリレート、アルキル(メタ)アクリルアミド、アルキルアリール(メタ)アクリルアミド、脂肪酸ビニルエステル、アルキルスチレン及びα−オレフィンからなる群より選択される少なくとも一種の不飽和化合物を70質量%以上含む単量体成分を重合させて得られた、油性物質を重合体中に保持してなる蓄熱材組成物であり、
該包装材は、基材層と直鎖状低密度ポリエチレン又はエチレン−ビニルアルコール共重合体により形成されるシーラント層とを備え、
下記膨潤試験方法によって求められる該シーラント層の油性物質に対する膨潤率が21%以下であり、
該蓄熱材は、60℃以上の温水中に浸漬される
ことを特徴とする蓄熱材。
(膨潤試験方法)
シーラント層に使用される材質のフィルムを蓄熱材組成物に含まれる油性物質の入った容器に浸漬させて60℃の恒温乾燥器中に保存し、8日間放置した後、フィルムをとり出し、膨潤率を下記式により算出する。
膨潤率(%)={(浸積後の試験片フィルム質量−浸漬前の試験片フィルム質量)/
浸漬前の試験片フィルム質量}×100 - 前記蓄熱材組成物には、着色剤及び顔料の群から選ばれる、少なくとも1種の化合物が含まれている
ことを特徴とする請求項1に記載の蓄熱材。 - 前記包装材が、着色若しくは該包装材に印字されている又はシールが貼付されている
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の蓄熱材。 - 更に、前記蓄熱材組成物は、油性物質より熱伝導率の高い物質を必須成分とする
ことを特徴とする請求項1、2又は3のいずれかに記載の蓄熱材。 - 前記油性物質は、パラフィンであることを特徴とする請求項1、2、3又は4のいずれかに記載の蓄熱材。
- 請求項1、2、3、4又は5のいずれかに記載の蓄熱材を、蓄熱装置の媒体中に沈めた状態にする
ことを特徴とする蓄熱材設置方法。
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