JP2005042040A - エマルション型蓄熱材の製造方法 - Google Patents

エマルション型蓄熱材の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 熱効率に優れたエマルション型蓄熱材において、冷暖の繰り返しに際してエマルション粒子の安定性を向上し、エマルションの粘度を低減する。
【解決手段】 相変化物質と重合性モノマーと反応性乳化剤を相互に関連した特定比率で含有させることを条件として、反応性乳化剤を用いて相変化物質と重合性モノマーを水中に乳化分散させる乳化工程と、エマルション粒子内の重合性モノマーと反応性乳化剤を重合させる重合工程とからなるエマルション型蓄熱材の製造方法である。相変化物質の粒子内に存在する重合性モノマーと反応性乳化剤の間に共有結合が形成されるため、冷暖の繰り返しで粒子自体の容積が変化しても、この共有結合を介して界面に存在する乳化剤は相変化物質にいわば繋ぎ止められ、エマルション粒子が安定化し、粘度も低減する。
【選択図】 なし

Description

本発明はエマルション型蓄熱材の製造方法に関して、潜熱量を大きく確保しつつ、冷暖の繰り返しによってもエマルション粒子を長期に安定化するとともに、粘度を低減できるものを提供する。
物質の相変化に伴って生じる潜熱を利用した蓄熱材としては、氷、脂肪族炭化水素類に代表される有機化合物、無機塩などが知られている。
例えば、特許文献1には、水溶液と氷を収容する蓄熱槽から、冷凍装置の蒸発器に至る水溶液の配管中に超音波振動子を内装した加振部を設けることにより、過冷却安定性を改善した氷蓄熱装置が開示されているが、このような氷を蓄熱材に使用するシステムは、氷(水)の取扱い易さや価格の点から、現在最も普及している。
しかし、その反面、氷を蓄熱材に使用する場合は、系を0℃以下に冷却する必要があるため、多くのエネルギーを要するうえ、通常の氷蓄熱槽では、蓄えた熱量を短時間で放出することが難しく、ピーク負荷への対応能力が低いという問題点がある。
そこで、氷(水)に替えて脂肪族炭化水素類を利用した蓄熱材が開発又は検討されている。
この方式には、蓄熱材を樹脂の皮膜で囲繞して微細なカプセルにするマイクロカプセル型、乳化剤を用いて蓄熱材を水などの媒体中に微細分散させるエマルション型、或は、固定型などがあるが、熱効率の良さや制御の容易性などを考慮すると、流動性のあるマイクロカプセル型、エマルション型が実用的である。
上記マイクロカプセル型としては、特許文献2に、カプセルの膜材として、界面重合法やインサイチュー法等の手法で得られる、ポリスチレン、ポリアクリロニトリル、ポリアミド、ポリアクリルアミド、エチルセルロース、ポリウレタン、メラミン−ホルムアルデヒド樹脂などや、ゼラチンとカルボキシメチルセルロースなどとのコアセルベーション法を利用した樹脂などを使用し、特定範囲の平均分子量を有する乳化剤、好ましくは、ゼラチン、カゼイン、ポリアクリル酸、ポリビニルアルコールなどのポリマー乳化剤を用いて、マイクロカプセルの機械的安定性を改善したマイクロカプセル型蓄熱材が開示されている。
特許文献3には、不活性単量体中に分散させた蓄熱材を水溶性界面活性剤水溶液中に滴下した後、蓄熱材を覆っている単量体を重合させることにより蓄熱材封入マイクロカプセルを形成する方法が開示されている。
同じく、特許文献4には、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、アルキル(メタ)アクリレート、スチレンなどのラジカル重合性モノマーと相変化物質との混合物に、ジ又はトリ(メタ)アクリレート、ジ又はトリアリル化合物、ジビニルベンゼンなどの多官能性モノマーと反応性界面活性剤とを特定比率で水中に添加し、懸濁重合してなる蓄熱用マイクロカプセルの製造方法が開示されている。
一方、エマルション型蓄熱材としては、特許文献5に、パラフィン、水、乳化剤(好ましくは、非イオン性乳化剤(請求項2参照))よりなるエマルションを用いた蓄熱材料が開示されている。
また、特許文献6には、n−パラフィン(分散質)を水(分散媒)の中に、非イオン系とアニオン系の乳化剤を用いてエマルション化した潜熱型蓄熱材料が開示されている。
特開平5−164366号公報 特開平7−204491号公報 特開昭62−225241号公報 特開2002−69438号公報 特開昭57−40582号公報 特開平7−126614号公報
一般に、蓄熱材に要求される条件としては、第一に熱量が大きく熱効率が良いこと、第二に粘度が低く搬送効率が良いこと、次いで冷暖の繰り返しによっても蓄熱材粒子が安定していることが挙げられる。
上記マイクロカプセル型蓄熱材は調製に手間とコストがかかるうえ、分散液中の固形分濃度に上限があるため、単位容積当たりの蓄熱材の量を稼げず、熱量が小さい問題があるが、フリーの乳化剤による影響があるものの粘度が比較的低く、蓄熱材粒子の安定性が良いという利点がある。
一方、エマルション型は、マイクロカプセル型に比べて調製が容易でコスト的に有利であり、単位容積当たりの蓄熱材の量が多くて熱量を稼げ、大量供給という点に鑑みても今後の主流になるものと思われる。
しかしながら、その反面、冷暖の繰り返しにより、エマルション粒子内部が固体から液体、或はその逆に液体から固体へと相変化するたびに、粒子自体の体積が大きく変わり、界面に位置する乳化剤が離脱し易くなるため、エマルション粒子の安定性もマイクロカプセル型より劣るという問題がある。また、離脱したフリーの乳化剤が抵抗になって粘度が増し、高性能のポンプが必要になるため、搬送コスト並びに初期の設備投資コストが増大する。
このように、マイクロカプセル型とエマルション型には、いずれも蓄熱材として一長一短があるが、本発明では、熱効率に優れたエマルション型蓄熱材を基本として、冷暖の繰り返しに際してエマルション粒子の安定性を向上するとともに、エマルションの粘度を低減し、もって、蓄熱システムや熱搬送システムに利用した場合に、長期の信頼性を担保可能にすることを技術的課題とする。
本発明者らは、公知のエマルション型蓄熱材においては、エマルションを構成する蓄熱材粒子と乳化剤との間に分子間力による緩い力しか作用しないため、冷暖の繰り返しでエマルション粒子の安定性が損なわれ易いことに鑑み、この結合力の弱さを克服することを鋭意研究した結果、相変化物質中に添加した物質と界面に位置する乳化剤との間に何らかの化学反応を起こさせることで、相互の結合力を強化することを着想し、本発明を完成した。
即ち、本発明1は、相変化物質を乳化剤を用いて水中に分散させるエマルション型蓄熱材の製造方法において、
分子内に二重結合を有する反応性乳化剤を用いて相変化物質と重合性モノマーを水中に乳化分散させる乳化工程と、
上記乳化系内でエマルション粒子内の重合性モノマーと反応性乳化剤を重合させる重合工程とからなり、
水を含む乳化系全体に対する相変化物質の添加率が25〜65重量%であり、相変化物質100重量部に対する重合性モノマーの添加量が0.5〜10重量部であり、重合性モノマー100重量部に対する反応性乳化剤の含有量が10〜200重量部であることを特徴とするエマルション型蓄熱材の製造方法である。
本発明2は、上記本発明1において、相変化物質が、C8〜C40のノルマルパラフィン、イソパラフィン、シクロパラフィンよりなる群から選ばれた脂肪族炭化水素類の少なくとも一種であることを特徴とする請求項1に記載のエマルション型蓄熱材の製造方法である。
本発明3は、上記本発明1又は2において、重合性モノマーが、(メタ)アクリル酸エステル、スチレン類などの疎水性モノマー、不飽和カルボン酸類、分子内に親水性官能基を有するモノマーなどの親水性モノマーであることを特徴とするエマルション型蓄熱材の製造方法である。
本発明4は、上記本発明1〜3のいずれかにおいて、反応性乳化剤が、親水基と疎水基に加えて、アリル系、アクリル系、アクリルアミド系、ブタジエン系などの付加重合型の重合官能基を有する乳化剤であることを特徴とするエマルション型蓄熱材の製造方法である。
本発明5は、上記本発明1〜4のいずれかにおいて、反応性乳化剤が、反応性アニオン系乳化剤と反応性ノニオン系乳化剤の混合物であることを特徴とするエマルション型蓄熱材の製造方法である。
本発明6は、上記本発明1〜5のいずれかにおいて、乳化工程において、さらに過冷却防止剤を添加することを特徴とするエマルション型蓄熱材の製造方法である。
本発明7は、上記本発明6において、過冷却防止剤が、相変化物質よりも融点が高く、相変化物質との相溶性が良い脂肪族炭化水素類であることを特徴とするエマルション型蓄熱材の製造方法である。
本発明8は、上記本発明7において、過冷却防止剤がパラフィンワックスであることを特徴とするエマルション型蓄熱材の製造方法である。
従来のエマルション型蓄熱材では、相変化物質の粒子と乳化剤が分子間力による緩い力で相互に引き合うだけなので、冷暖の繰り返しにより粒子の安定性が損なわれ易い。
これに対して、本発明では、相変化物質の粒子内に存在する重合性モノマーと反応性乳化剤の間に共有結合が形成されるため、冷暖の繰り返しで粒子自体の容積が変化しても、界面に存在する乳化剤は重合性モノマーとの共有結合を介して相変化物質にいわば強く繋ぎ止められる。このため、エマルション粒子が安定化し、もって、蓄熱システムや熱搬送システムに利用しても、安定した信頼性を長期に亘り担保できる。
また、界面に存在する乳化剤は相変化物質の粒子に強く結合して離脱しないため、従来のエマルション型のように離脱したフリーの乳化剤が抵抗になることもなく、エマルションの粘度を低減させて、高性能ポンプを不要にし、もって、エマルションの搬送負荷を抑制して、搬送コスト並びに初期の設備投資コストを引き下げられる。
このため、本発明のエマルション型蓄熱材は、熱効率に優れるという従来のエマルション型の利点を具備しながら、粘度が低く、冷暖を繰り返しても相変化物質の粒子の安定性に優れるというマイクロカプセル型の利点をも兼備することができる。
一方、相変化物質と共に重合性モノマーや反応性乳化剤を使用することは冒述の特許文献4にも記載されているが、例えば、相変化物質100重量部に対する重合性モノマーの添加量は、同文献4の請求項4では、(10/90)×100〜(70/30)×100=11〜233重量部であり、2種の反応性乳化剤を併用した実施例7では、(50/61)×100=120重量部である。
従って、上記特許文献4の添加量は、本発明の相当範囲である0.5〜10重量部より多く、特に、実施例7では大幅に多い量であるため、重合性モノマーを10重量部以下の低いレベルに抑える本発明では、相変化物質の添加量を相対的に増して、蓄熱材として重要な熱量を増大することができるが、上記特許文献4では、この熱量の増大は期待できない。
本発明は、相変化物質と重合性モノマーと反応性乳化剤を相互に関連した特定比率で含有させることを条件として、反応性乳化剤を用いて相変化物質と重合性モノマーを水中に乳化分散させる乳化工程と、エマルション粒子内の重合性モノマーと反応性乳化剤を重合させる重合工程とからなるエマルション型蓄熱材の製造方法である。
本発明で使用する相変化物質は、脂肪族炭化水素類、塩化カルシウムや硫酸ナトリウムの水和物などの無機系水和物、ラウリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸などの脂肪酸類、そのエステル化物、高級アルコール類、或はその他、固相と液相などの相変化を伴う物質であれば特に制限なく使用できる。
相変化物質としては、本発明2に示すように、C8〜C40の脂肪族炭化水素類が好ましく、具体的には、ドデカン、テトラデカン、ペンタデカン、ヘキサデカン、オクタデカン、ノナデカン、エイコサン、ヘネイコサン、ドコサン、テトラコサン、ヘキサコサン、ヘプタコサン、オクタコサン、トリアコンタンなどのノルマルパラフィン、その各種イソ体であるイソパラフィン、分子内の一部に環構造を含む各種のシクロパラフィンである。より好ましくはC10〜C30の飽和脂肪族炭化水素類であり、特に、n−テトラデカン、n−ペンタデカン、n−ヘキサデカン、n−オクタデカン、或はこれらの混合物が挙げられる。
上記相変化物質は、取り出したい温度及び熱量と、相変化物質の融点とを考慮して、単用又は併用できることはいうまでもない。
相変化物質と共に使用する重合性モノマーは、重合可能な二重結合を有する公知の疎水性モノマー、親水性モノマーを任意で使用できる。疎水性モノマーと親水性モノマーは夫々を単用又は併用でき、疎水性モノマーと親水性モノマーを組み合わせて複用しても良い。また、他の重合性モノマーとして、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル、或はアクリロニトリル、メタクリロニトリル等の不飽和ニトリルなどを使用することができる。
上記疎水性モノマーは、スチレン類、(メタ)アクリル酸系エステル類などである。
スチレン類としては、スチレンを初め、α−メチルスチレンなどのビニル基に置換基を有するスチレン誘導体、或は、ビニルトルエン、p−クロルスチレンなどのベンゼン環に置換基を有するスチレン誘導体などが挙げられる。
上記(メタ)アクリル酸エステル類としては、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸−2−エチルヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸ベンジルなどのメタクリル酸エステル類、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸ベンジルなどのアクリル酸エステル類などが挙げられる。またその他として、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステルやアクリロニトリル、メタクリロニトリル等の不飽和ニトリルなどが挙げられる。
前記親水性モノマーは、重合性不飽和カルボン酸類、分子内に親水性官能基を有するモノマーなどである。
上記不飽和カルボン酸類は、分子内にカルボキシル基を少なくとも1個有する不飽和単量体であり、具体的には、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、(無水)マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、(無水)シトラコン酸、或はこれらの塩などが挙げられる。
上記親水性官能基を有するモノマーとしては、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸4−ヒドロキシブチル、アクリル酸ヒドロキシエチル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチルなどの水溶性モノマーを初め、アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸2−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸ポリエチレングリコール、メタクリル酸ポリプロピレングリコール等の水酸基含有(メタ)アクリル酸系エステル、或はアクリロイルモルホリンなどが挙げられる。
また、重合性モノマーには、アクリル酸エチレングリコール二エステル、ジビニルベンゼンなどの多官能性モノマーを使用することもできる。
本発明でエマルション化する際に使用する乳化剤は、分子内に二重結合を有する反応性乳化剤をいい、当該重合可能な二重結合を有していれば、使用する種類については制限されず、これらを単用又は併用できる。
この反応性乳化剤は、具体的には、本発明4に示すように、親水基と疎水基に加えて、アリル系、アクリル系、アクリルアミド系、ブタジエン系などの付加重合型の重合官能基を有する乳化剤であり、アニオン性、ノニオン性などの様々な種類のものが知られている。
上記重合性官能基としては、CH2=CHCH2−、−CH=CH−CH=CH−、CH2=CR−COO−、−OOC−CH=CH−COO−、CH2=CR−CONH−、CH2=C(COO−)CH2COO−、R−CHCH−Ar−(Rは水素かメチル基;Arはベンゼン環)などが挙げられ、特に、アリル基、プロペニル基、メタクリル基などが好ましい。
反応性乳化剤の具体例としては、前記官能基を分子中に少なくとも1つ以上有するポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテルの硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルのスルホコハク酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルの硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルのスルホコハク酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルのリン酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルのリン酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルの脂肪族、或は芳香族カルボン酸塩、さらにこれらの構造を基本骨格とした各種誘導体などが挙げられる。
この反応性乳化剤に該当する市販品としては、ラテムルS−180及びS−180A(花王(株)製)、アデカリアソープSEシリーズ、NEシリーズ、ERシリーズ、SRシリーズ(以上、旭電化工業(株)製)、アクアロンRNシリーズ、HSシリーズ、KHシリーズ(以上、第一工業製薬(株)製)、エレミノールJS−2(三洋化成工業(株)製)などがある。
アニオン系の反応性乳化剤は乳化力とエマルションの安定性が不充分な面もあり、また、ノニオン系の反応性乳化剤は適用温度範囲があまり広くないことから、本発明5に示すように、アニオン系とノニオン系の反応性乳化剤を併用すると、互いの弱点を克服でき、低温に(例えば、3℃程度まで)冷却した場合のエマルション安定性に寄与する。
さらには、環境保全の観点から、分子内に芳香環を有しない反応性乳化剤が好ましい。
本発明では、相変化物質と重合性モノマーと反応性乳化剤との間に比率の相互関連性があり、乳化系全体に対する相変化物質の添加率と、相変化物質に対する重合性モノマーの添加率と、重合性モノマーに対する反応性乳化剤の含有率とが適正範囲にあることが必要である。
乳化系全体に対する相変化物質の添加率は、蓄熱材の熱量を左右する重要な数値であり、この添加率に比例して熱量も大きくなることから25〜65重量%であり、好ましくは27〜60重量%である。
系全体に対する相変化物質の添加率が25重量%未満では、蓄熱材として要求される潜熱量が不充分であり、65重量%を超えると、系内の水の割合が低くなることによってエマルションが不安定になるとともに、蓄熱材としての粘度が上昇して流動性が悪化するという問題が生じる。
また、相変化物質に対する重合性モノマーの添加率は、当該モノマーを重合反応させる場合に、マイクロカプセル型蓄熱材のような膜形成を必要としないために、相変化物質100重量部に対する重合性モノマーの添加量は0.5〜10重量部の(マイクロカプセル型に比べて)低いレベルで充分であり、好ましくは2〜8重量部である。
重合性モノマーの添加量が0.5重量部未満では、反応性乳化剤を充分に繋ぎ止めておくことができず、長期安定性を備えたエマルションは得られない。
逆に、重合性モノマーの添加量が10重量部を超えると、蓄熱材中の潜熱量に寄与しない物質の増加によって熱量が低下し、蓄熱材の単位熱量当たりで比較したときにコストアップとなる。
次いで、重合性モノマーに対する反応性乳化剤の含有率は、反応性乳化剤を相変化物質の粒子に結合するための重合性モノマーの適正量を確保するために重要であり、重合性モノマー100重量部に対して反応性乳化剤の含有量は10〜200重量部、好ましくは50〜200重量部である。
反応性乳化剤の含有量が10重量部未満では、系内に存在する乳化剤量が不足し、安定なエマルションが得られない。
逆に、反応性乳化剤の含有量が200重量部を超えると、製造時のコストアップとなるとともに、熱量に寄与しない物質の増加により熱量が低下する。
本発明6に示すように、エマルション型蓄熱材の製造に際しては、熱効率低減の原因になる過冷却現象を防止する見地から、過冷却防止剤を添加することが有効である。
過冷却防止剤には、公知のアミン類、アルコール類、カルボン酸類、及び飽和炭化水素類などが使用できるが、相変化物質よりも融点が高く、相変化物質との相溶性も良い飽和脂肪族炭化水素類が好ましい(本発明7参照)。
本発明8に示すように、飽和脂肪族炭化水素類の中では、複数種の飽和脂肪族炭化水素の混合物であるパラフィンワックスがより好ましい。
パラフィンワックスは融点の違いにより各種の製品が市販されているが、使用する相変化物質の融点と相溶性を考慮した上で、特殊精製品を含む各種のパラフィンワックスを単用又は併用できる。代表的な商品としては、日本精蝋、エクソンモービル化学、エッソ石油等が市販している精製パラフィンワックス、高純度精製パラフィンワックス、イソパラフィンが主成分の特殊精製パラフィンワックスなどが挙げられる。
尚、上記パラフィンワックスは、公知のアミン類、アルコール類、カルボン酸類などとは異なり、それ自体が蓄熱材適性を有し、相変化物質と相俟って熱量の増大に寄与するという利点がある。
本発明のエマルション型蓄熱材は、次の2段階の工程を経て製造される。
(1)乳化工程
反応性乳化剤を用いて相変化物質と重合性モノマーを、さらには、必要であれば過冷却防止剤を水中に乳化分散させる。
(2)重合工程
得られたエマルションについて、粒子内に存在する重合性モノマーと反応性乳化剤分子を重合させる。
上記乳化工程(1)では、重合性モノマーは水中に分散したn−パラフィンなどの相変化物質の内部、或は表面付近に臨み、続く重合工程では、この重合性モノマーが親油性の相変化物質と水相の界面で反応性乳化剤と重合反応を起こして、反応性乳化剤を共有結合により相変化物質にいわば繋ぎ止めることが推定される。
上記製造工程(1)〜(2)においては、前述のように、相変化物質と重合性モノマーと反応性乳化剤を相互に関連した特定比率の条件で含有させることはいうまでもない。
上記工程(1)の乳化分散方法は、高圧乳化法、転相乳化法などの公知の方法を選択できる。
上記高圧乳化法は、先ず、上記相変化物質、重合性モノマー、或は、さらに過冷却防止剤などの混合物に対して、反応性乳化剤を水に溶解させた乳化水を加え、予備混合して粗い粒子を形成した後、各種ミキサー、高圧乳化機、高圧吐出型乳化機、高剪断型乳化分散機などを用いて微細乳化する方法である。
上記転相乳化法は、上記相変化物質、重合性モノマー、或は、さらに過冷却防止剤などの混合物に対し、使用する反応性乳化剤を充分混練した後、攪拌しながら徐々に水を加えて、油中水型エマルションを水中油型エマルションに相反転させる方法である。
上記工程(2)の重合方法では、上記工程(1)で得られた乳化分散物に対し、ラジカル重合開始剤、及び必要であれば還元剤などを添加し、粒子内の重合性モノマーと反応性乳化剤をラジカル重合させるのである。
ラジカル重合反応は、公知の方法を任意に選択することができる。
上記重合開始剤としては、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウムなどの過硫酸塩、クメンヒドロペルオキシド、アゾビスイソブチルアミジン塩酸塩などの水溶性開始剤、過硫酸ベンゾイル、アゾビスイソブチロニトリルなどの油溶性開始剤が挙げられる。
上記還元剤としては、亜硫酸水素ナトリウムなどが挙げられる。
本発明のエマルション型蓄熱材には、必要に応じて、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、各種無機塩類などの凍結防止剤、防腐剤、分散剤、消泡剤などの各種添加剤を添加することができる。
本発明のエマルション型蓄熱材は、ビル、家屋などの冷暖房用、食品の冷凍、冷蔵用などの蓄熱、熱搬送システムに好適である。
以下、エマルション型蓄熱材の実施例、得られた蓄熱材の熱量、初期粘度、冷暖サイクルによるエマルション安定性の各種評価試験例を順次説明する。実施例、試験例中の「部」、「%」は特に指定しない限り、重量基準である。
尚、本発明は下記の実施例、試験例に拘束されるものではなく、本発明の技術的思想の範囲内で任意の変形をなし得ることは勿論である。
下記の実施例1〜4のうち、実施例1はエマルション型蓄熱材において、重合性モノマーとして疎水性モノマーと親水性モノマーを併用した例、実施例2は同じく親水性モノマーを単用した例、実施例3は疎水性モノマーを単用した例、実施例4は疎水性モノマーと親水性モノマーを併用しながら、乳化系内の相変化物質の添加率を30重量%に低く抑えた例である。
また、下記の比較例1〜5のうち、比較例1は反応性乳化剤を使用しながら、重合性モノマーを欠く例である。比較例2は乳化系内の相変化物質の添加率を本発明の特定範囲の下限より少なくした例である。比較例3は重合性モノマーを使用せず、反応性乳化剤を通常の乳化剤で代替した、いわば公知のエマルション型蓄熱材の相当例である。比較例4は実施例3を基本として、反応性乳化剤を使用せず、重合性モノマーのみを重合させた例である。比較例5は実施例と同様の成分を含み、そのなかの重合性モノマーの添加量を増大させて(即ち、相変化物質に対する重合性モノマーの添加量を本発明の特定範囲の上限をはるかに越える100重量%として)、重合性モノマーを重合させてマイクロカプセル型の蓄熱材を形成した、いわば冒述の特許文献4の実施例7(表1、段落28参照)に準拠した例である。
《実施例1》
n-ペンタデカン28.5部、n-ヘキサデカン28.5部に融点46℃のパラフィンワックス2.5部と、メタクリル酸メチル0.8部、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル0.8部を均一に混合、溶解した。一方、ノニオン系反応性乳化剤(ポリオキシエチレンアリルグリシジルアルキルエーテル(EO10モル))1.7部と、アニオン系反応性乳化剤(ポリオキシエチレン−1−(アリルオキシメチル)アルキルエーテル硫酸アンモニウム(EO10モル))1.3部とをイオン交換水35.9部に溶解させて、乳化剤水溶液を調製した。そして、上記相変化物質と重合性モノマーと過冷却防止剤の混合溶液に、この乳化剤水溶液を加え、攪拌混合して予備乳化を行った。
得られた予備乳化物をマントンガウリン社製の高圧乳化機により300kg/cm2の圧力で高圧乳化して乳化物を得た。
次に、この乳化物100部に対し、過硫酸アンモニウム0.1部と亜硫酸水素ナトリウム0.1部を添加して攪拌しながら70℃で反応することにより、粒子内の重合性モノマーと反応性乳化剤との重合を行った。そして、アンモニア水によりpH7に調整してエマルション型蓄熱材を得た。
ちなみに、本実施例では、乳化系全体に対する相変化物質の添加率は、(28.5+28.5)/(28.5+28.5+2.5+0.8+0.8+1.7+1.3+35.9)=57.0%である。
相変化物質100重量部に対する重合性モノマーの添加量は、〔(0.8+0.8)/(28.5+28.5)〕×100=2.8重量部である。
また、重合性モノマー100重量部に対する反応性乳化剤の添加量は、〔(1.7+1.3)/(0.8+0.8)〕×100=187.5重量部である。
これらの比率は図1の中央欄に示した(以下の実施例2〜4及び比較例1〜5も同様)。
《実施例2〜4》
上記実施例1を基本としながら、図1に示した原料と比率に基づいて相変化物質、重合性モノマー、反応性乳化剤、過冷却防止剤、イオン交換水などを添加し、実施例1と同様の操作を行って、各エマルション型蓄熱材を得た。
《比較例1》
図1に示す通り、原料に重合性モノマーを使用しない以外は、原料と比率は実施例2を基本としながら、高圧乳化操作までを実施例1と同様の操作で行うことにより、エマルション型蓄熱材を得た。
《比較例2》
実施例1を基本としながら、図1に示す原料と比率に変更し、実施例1と同様の操作を行ってエマルション型蓄熱材を得た。
《比較例3》
図1に示した原料と比率に基づき、原料に重合性モノマーを使用せず、また、反応性乳化剤に替えて通常の乳化剤を使用して、比較例1と同様の操作を行ってエマルション型蓄熱材を得た。
上記通常の乳化剤には、ノニオン系乳化剤(ポリオキシエチレンラウリルエーテル(EO5モル))と、アニオン系乳化剤(ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム(EO5モル))の混合物を使用した。
《比較例4》
図1に示した原料と比率に基づき、比較例3と同じ通常の乳化剤を使用して、実施例1と同様の操作を行うことにより、粒子内の重合性モノマー(メタクリル酸メチル)のみを重合させてエマルション型蓄熱材を得た。
《比較例5》
図1に示した原料と比率に基づいて、n−ペンタデカン、n−ヘキサデカン、融点46℃のパラフィンワックス、メタクリル酸メチル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、及び重合開始剤として2,2′−アゾビスイソブチロニトリルを混合、攪拌して相変化物質と重合性モノマーの混合液を調製した。
また、図1に示した量の60%分のイオン交換水に所定量の反応性乳化剤を溶解して、乳化剤水溶液を調製した。
次に、相変化物質と重合性モノマーの混合液に対して、先に調製した乳化剤水溶液を添加し、攪拌して乳化液を調製した。さらに、残りのイオン交換水(図1で示した量の40%分)をフラスコに入れ、上記乳化液を一括添加した。そして、フラスコ内を窒素置換した後に、80℃まで昇温して重合を開始した。30分で重合を終了し、その後1時間の熟成期間を経た後、室温まで冷却してマイクロカプセル型蓄熱材を得た。
尚、加熱試験を行ったところ、実施例1〜4のエマルション型蓄熱材では相変化物質であるn−ペンタデカンとn−ヘキサデカンは蒸発してしまったが、比較例5では蒸発しなかったことから、比較例5の重合性モノマーはカプセル膜を形成し、実施例1〜4ではその形成はない(即ち、エマルション型である)ことが裏付けられた。
《エマルション型蓄熱材の各種評価試験例》
そこで、上記実施例1〜4及び比較例1〜4で得られた各エマルション型蓄熱材、或は比較例5で得られたマイクロカプセル型蓄熱材について、以下の方法で各種評価試験を行った。
(1)エマルション型蓄熱材の潜熱量試験
各エマルション型蓄熱材(或は、マイクロカプセル型蓄熱材)について、示差走査熱量計(DSC)を使用して潜熱量を測定した。昇温速度は5℃/分であり、−15℃から40℃へ温度を上昇させて測定した。
(2)5℃における初期粘度試験
各エマルション型蓄熱材(或は、マイクロカプセル型蓄熱材)を5℃まで冷却し、充分に温度が安定したことを確認してから、粘度を測定した。
測定にはB8L型粘度計を使用し、ロータNo.2を用いて60rpmの条件で行った。
(3)5℃及び15℃への冷暖の繰り返しによる安定性試験
各エマルション型蓄熱材(或は、マイクロカプセル型蓄熱材)について、温度を5℃と15℃に変化させる冷暖の繰り返しによって、蓄熱材が状態変化する度合を確認した。
即ち、先ず、上記(2)に示したように5℃での初期粘度を測定した後、測定サンプルの温度を15℃にして安定化させ、粘度を測定した。粘度測定後、状態に変化がないか否かを目視確認し、再び測定サンプルの温度を5℃に安定化させた。5℃での粘度を測定し、状態の変化を観察した後、再度測定サンプルの温度を15℃に安定化させた。
これを繰り返して、各温度で3回ずつ粘度測定と外観の変化を観察した。この場合、5℃での1回目の測定及び状態の確認は、上記(2)の初期粘度測定のときに行った。
上記安定性は粘度測定と外観確認の結果を総合して評価し、その基準は次の通りである。
○:5℃と15℃の各温度で粘度が一定であり、エマルションの状態変化も認められなかった。
×:5℃と15℃の各温度で粘度がバラつき、凝集物が発生した。
図1の下寄り欄は上記(1)〜(3)の評価試験結果を示す。
公知のエマルション型蓄熱材に相当する比較例3(通常の乳化剤を使用し、重合性モノマーを使用しない例)では、熱量は高水準であったが、初期粘度(5℃)は大きく、エマルションの安定性も悪かった。
また、冒述の特許文献4のマイクロカプセル型蓄熱材に準拠した比較例5では、マイクロカプセル分散液は安定であり、初期粘度も低いが、系全体に対する相変化物質の添加率が低く(22%)、蓄熱材として重要な熱量が不足していた。尚、マイクロカプセル分散液では、分散性を確保する見地から相変化物質と重合性モノマーなどを併せた固形分濃度に上限がある反面、カプセル膜の形成に伴って重合性モノマーの添加量は多くする必要があるため、相対的に相変化物質の含有量は少なくなってしまう。
これに対して、実施例1〜4のエマルション型蓄熱材では、比較例5とは異なって熱量が大きいうえ、比較例3に比べて初期粘度が顕著に低く、エマルションの安定性にも優れていた。
即ち、実施例1〜4のエマルション型蓄熱材では、粘度の低減による搬送コスト並びに初期設備投資コストの削減と、エマルションの安定化による長期使用を担保できると同時に、熱量を顕著に増大でき、いわば、通常のエマルション型とマイクロカプセル型の蓄熱材の夫々の弊害を円滑に解消できることが明白になった。
実施例1〜4においては、重合性モノマーとして疎水性モノマーと親水性モノマーのいずれか一方を単用しても、両モノマーを併用しても、エマルションが安定であることから、反応性乳化剤を重合性モノマーを介して相変化物質のエマルション粒子に有効に繋ぎ止めできることが判明した。
この繋ぎ止め効果は、相変化物質に対する重合性モノマーの添加率を10%以下の低レベルに抑えても充分に働くため、重合性モノマーを減量できる分だけ乳化系全体に対して相変化物質を増量でき、その結果、比較例5のマイクロカプセル型とは異なり、実施例1〜4のように熱量を増大できる(特に、実施例1では顕著に増大できる)。
反応性乳化剤を使用しながら、重合性モノマーを欠く比較例1では、反応性乳化剤を相変化物質粒子に繋ぎ止めることができず、上記比較例3(通常のエマルション型蓄熱材)と同様に、初期粘度が大きく、エマルションの安定性も悪かった。
相変化物質の使用量を低減して、乳化系に対する相変化物質の添加率を本発明の特定範囲の下限より少なく設定した比較例2では、初期粘度は小さく、エマルションも安定であるという実施例1〜4の優れた特性を備えていたが、当然ながら蓄熱材として重要な熱量が不充分であった。
また、実施例3を基本として、反応性乳化剤を通常の乳化剤で代替した(従って、重合性モノマーに対する反応性乳化剤の含有量が本発明の特定範囲から外れて0%である)比較例4では、重合性モノマーと乳化剤との間に共有結合作用がないため、初期粘度は大きく、エマルション安定性も悪かった。従って、エマルションの安定と粘度の低減には、反応性乳化剤を使用することの重要性が確認できた。ちなみに、この初期粘度の増大とエマルション安定性の低下は、添加量が本発明の特定範囲内にある比較例4の重合性モノマーを反応させても、比較例5のようなカプセル膜は形成しないことを裏付けるものといえる。
実施例1〜4及び比較例1〜5の各エマルション型(又はマイクロカプセル型)蓄熱材における相変化物質、重合性モノマー、反応性乳化剤などの添加組成、並びに熱量、初期粘度、エマルション安定性の各種評価試験の結果を示す図表である。

Claims (8)

  1. 相変化物質を乳化剤を用いて水中に分散させるエマルション型蓄熱材の製造方法において、
    分子内に二重結合を有する反応性乳化剤を用いて相変化物質と重合性モノマーを水中に乳化分散させる乳化工程と、
    上記乳化系内でエマルション粒子内の重合性モノマーと反応性乳化剤を重合させる重合工程とからなり、
    水を含む乳化系全体に対する相変化物質の添加率が25〜65重量%であり、相変化物質100重量部に対する重合性モノマーの添加量が0.5〜10重量部であり、重合性モノマー100重量部に対する反応性乳化剤の含有量が10〜200重量部であることを特徴とするエマルション型蓄熱材の製造方法。
  2. 相変化物質が、C8〜C40のノルマルパラフィン、イソパラフィン、シクロパラフィンよりなる群から選ばれた脂肪族炭化水素類の少なくとも一種であることを特徴とする請求項1に記載のエマルション型蓄熱材の製造方法。
  3. 重合性モノマーが、(メタ)アクリル酸エステル、スチレン類などの疎水性モノマー、不飽和カルボン酸類、分子内に親水性官能基を有するモノマーなどの親水性モノマーであることを特徴とする請求項1又は2に記載のエマルション型蓄熱材の製造方法。
  4. 反応性乳化剤が、親水基と疎水基に加えて、アリル系、アクリル系、アクリルアミド系、ブタジエン系などの付加重合型の重合官能基を有する乳化剤であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のエマルション型蓄熱材の製造方法。
  5. 反応性乳化剤が、反応性アニオン系乳化剤と反応性ノニオン系乳化剤の混合物であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のエマルション型蓄熱材の製造方法。
  6. 乳化工程において、さらに過冷却防止剤を添加することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のエマルション型蓄熱材の製造方法。
  7. 過冷却防止剤が、相変化物質よりも融点が高く、相変化物質との相溶性が良い脂肪族炭化水素類であることを特徴とする請求項6に記載のエマルション型蓄熱材の製造方法。
  8. 過冷却防止剤がパラフィンワックスであることを特徴とする請求項7に記載のエマルション型蓄熱材の製造方法。
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