JP2005097377A - 配向膜、重合体、それを用いた位相差板およびその作製方法、ならびに液晶表示装置 - Google Patents

配向膜、重合体、それを用いた位相差板およびその作製方法、ならびに液晶表示装置 Download PDF

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Abstract

【課題】 ディスコティック液晶性分子の円盤面または棒状液晶性分子の長軸をラビング方向と略直交に配向させるのに寄与する配向膜を提供する。
【手段】 下記一般式(I)(式中、MpはLとn個の部位で結合している(2+n)価の連結基を表し、Lは(1+n)価の連結基を表し、nは1または2を表し、Aは炭素数10以上のアリール基または少なくとも一つのアリール基が連結したヘテロ環基を表す)で表される少なくとも一種の構成単位を有する重合体を含む配向膜である。
【化1】
Figure 2005097377

【選択図】 なし

Description

本発明は、配向膜、特に、ディスコティック液晶性分子を、その円盤面と配向膜平面とを略垂直に、且つその円盤面とラビング方向とを配向膜界面側もしくは空気界面側において略直交に配向させ得る;および棒状液晶性分子を、その長軸方向とラビング方向が略直交に配向させ得る配向膜に関する。更に本発明は、透明支持体上に本発明の配向膜によって配向させられた液晶性化合物による光学異方性層を有する位相差板、およびこれら位相差板を用いた画像表示装置に関する。また、本発明は配向膜の材料として有用な重合体に関する。
液晶表示装では、通常、液晶セル、偏光素子および位相差板からなる。透過型液晶表示装置では、通常、二枚の偏光素子を液晶セルの両側に配置し、一枚または二枚の位相差板を液晶セルと偏光素子との間に配置する。反射型液晶表示装置では、通常、反射板、液晶セル、一枚の位相差板、そして一枚の偏光素子の順に配置する。液晶セルは、通常、棒状液晶性分子層、それを封入するための二枚の基板、棒状液晶性分子に電圧を加えるための電極層、および棒状液晶性分子の配向を制御する配向膜層からなる。液晶セルは、棒状液晶性分子の配向状態の違いで、透過型については、TN(Twisted Nematic)、IPS(In−Plane Switching)、FLC(Ferroelectric LiquidCrystal)、OCB(Optically Compensatory Bend)、STN(Supper TwistedNematic)、VA(Vertically Aligned)、ECB(Electrically ControlledBirefringence )、反射型については、TN、HAN(Hybrid Aligned Nematic)、GH(Guest−Host)のような様々な表示モードが提案されている。
位相差板は、画像着色を解消したり、視野角を拡大するために、様々な液晶表示装置で用いられている。位相差板としては、延伸複屈折ポリマーフィルムが従来から使用されている。延伸複屈折フィルムからなる位相差板に代えて、透明支持体上に液晶性分子から形成された光学的異方性層を有する位相差板を使用することが提案されている。液晶性分子には多様な配向形態があるため、液晶性分子を用いることで、従来の延伸複屈折ポリマーフィルムでは得ることができない光学的性質を実現することが可能になった。
位相差板の光学的性質は、液晶セルの光学的性質、具体的には上記のような表示モードの違いに応じて決定する。液晶性分子を用いると、液晶セルの様々な表示モードに対応する様々な光学的性質を有する位相差板を製造することができる。液晶性分子としては、一般に、棒状液晶性分子またはディスコティック液晶性分子が用いられている。液晶性分子を用いた位相差板では、様々な表示モードに対応するものが既に提案されている。例えば、TNモードの液晶セル用位相差板は、特許文献1〜4の各明細書に記載がある。また、IPSモードまたはFLCモードの液晶セル用位相差板は、特許文献5および6に記載がある。さらに、OCBモードまたはHANモードの液晶セル用位相差板は、特許文献7および8の各明細書に記載がある。さらにまた、STNモードの液晶セル用位相差板は、特許文献9に記載がある。そして、VAモードの液晶セル用位相差板は、特許文献10に記載がある。
これら多種多様の表示モードに対応するためには、ディスコティック液晶性化合物および棒状液晶性化合物のそれぞれの分子を、所望の配向角度に制御する配向膜が必須であるが、その角度によっては従来の技術では十分に配向することができないものもあった。例えば、特許文献5および6に記載のIPSモード等にはディスコッティック液晶性化合物の分子を、その円盤面を配向膜平面に対して略垂直に配向させた位相差板が好適に使用できることが記載されている。ディスコティック液晶性化合物をかかる配向状態に配向させ得る配向膜としては、例えば、特許文献11中には疎水的な置換基を導入した配向膜等が提案されている。しかしながら、これらの配向膜を用いると、実際には、図1(a)の様に、ディスコッティック液晶性化合物の分子01を、その円盤面とラビング方向04とを平行にして、且つ配向膜平面02に対して垂直に配向させることはできるが、図1(b)の様に、ディスコッティック液晶性化合物の分子01を、その円盤面とラビング方向04とを直交させて、且つ配向膜平面02に対して垂直にムラなく配向させることは困難であった。
また、棒状液晶性化合物の場合には、VAモード等への適用が可能な位相差板の一例として、図2に示した様な、ラビング方向04と、棒状液晶性化合物の長軸が略直交して配向させた位相差板が好適に挙げられる。このように棒状液晶性化合物をラビング方向と直交させて配向させる方法としては、例えば、特許文献12、13および14に記載の様に、カルバゾール環等をポリマー主鎖に置換させた配向膜を用いる方法、またはポリスチレン等を用いる方法が知られているが、これらの配向膜を用いた場合にも、液晶性分子の一部が、その長軸方向をラビン方向と平行にして配向してしまい、均一にムラなく直交に配向させる配向膜が望まれていた。
特開平6−214116号公報 米国特許5583679号 米国特許5646703号 ドイツ特許公報3911620A1号 特開平9−292522号公報 特開平10−54982号公報 米国特許5805253号 国際特許出願WO96/37804号 特開平9−26572号公報 特許番号第2866372号公報 特開2000−282041公報 特開2002−268068号公報 特開2002−90545号公報 特開2002−98836号公報
本発明が解決しようとする課題は、ディスコティック液晶性分子を配向膜平面に対して略垂直に、且つディスコティック液晶性分子の円盤面とラビング方向とを略直交にムラなく配向させ得る;または棒状液晶性分子を、その長軸方向とラビング方向とを略直交にムラなく配向させ得る配向膜、および該配向膜の材料として有用な重合体を提供することである。更に、本発明は、上記配向状態に固定された液晶性化合物を含有する光学異方性層を有する位相差板を提供し、画像表示装置の表示特性の向上に寄与することを課題とする。
上記課題を解決するための手段は以下の通りである。
[1] 下記一般式(I)で表される少なくとも一種の構成単位を有する重合体を含む配向膜。
Figure 2005097377
(式中、MpはLとn個の部位で結合している(2+n)価の連結基を表し、Lは(1+n)価の連結基を表し、nは1または2を表し、Aは炭素数10以上のアリール基または少なくとも一つのアリール基が連結したヘテロ環を表す。)
[2] 上記一般式(I)中、Mpが、置換もしくは無置換のエチレン基またはその二種以上の組み合わせからなる基から誘導される(2+n)価の連結基である[1]に記載の配向膜。
[3] 上記一般式(I)中、Aが炭素数16以上のアリール基または少なくとも一つのアリール基が連結した窒素原子を2もしくは3個含有するヘテロ環基を表す[1]または[2]の配向膜。
[4] 上記一般式(I)中、Aが置換もしくは無置換のトリフェニレン環基または少なくとも一つのアリール基が連結したトリアジン環基を表す[1]〜[3]のいずれかの配向膜。
[5] 上記一般式(I)中、Aが少なくとも二つのアリール基が連結したトリアジン環を表す[1]〜[4]のいずれかの配向膜。
[6] 上記一般式(I)中のAと水素結合する少なくとも一種の化合物を含む[1]〜[5]のいずれかの配向膜。
[7] 透明支持体上に、[1]〜[6]のいずれかの配向膜と、更にその上に、該配向膜によって配向制御され、且つその配向状態に固定された液晶組成物からなる光学異方性層を有する位相差板。
[8] 前記液晶組成物に含まれる液晶化合物が、ディスコティック液晶性化合物であり、前記ディスコティック液晶性化合物の分子が、配向膜界面側において分子の円盤面とラビング方向とのなす角を略直交にして、且つ前記配向膜平面とのなす角を略垂直にして配向している[7]の位相差板。
[9] 前記液晶組成物に含まれる液晶化合物が、ディスコティック液晶性化合物であり、前記ディスコティック液晶性化合物の分子が、空気界面側において分子の円盤面とラビング方向とのなす角を略直交にして、且つ前記配向膜平面とのなす角を略垂直にして配向している[7]の位相差板。
[10] 前記液晶性組成物に含まれる液晶性化合物が棒状液晶性化合物であり、前記棒状液晶性化合物の分子が、配向膜界面側において分子の長軸方向とラビング方向とのなす角を略直交にして、且つ前記配向膜平面とのなす角を略平行にして配向している[7]の位相差板。
[11] 表面にラビング処理を施された[1]〜[6]のいずれかの配向膜のラビング処理面に、ディスコティック液晶性化合物を含有する液晶性組成物を適用して、少なくとも配向膜界面または空気界面において前記ディスコティック液晶性化合物の分子を、その円盤面とラビング方向とのなす角を略直交に、且つ前記配向膜平面とのなす角を略垂直に配向させる工程を含む位相差板の作製方法。
[12] 表面にラビング処理を施された[1]〜[6]のいずれかの配向膜のラビング処理面に、棒状液晶性化合物を含有する液晶性組成物を適用して、少なくとも配向膜界面において前記棒状液晶性化合物の分子を、その長軸方向とラビング方向とのなす角を略直交にして、且つ前記配向膜平面とのなす角を略平行にして配向させる工程を含む位相差板の作製方法。
[13] [7]〜[10]のいずれかに記載の位相差板を液晶セルの光学補償シートとして用いた画像表示装置。
[14] 前記液晶セルがIPS(In−Plane Switching)モードまたはVA(Vertically Aligned)モードである[13]に記載の画像表示装置。
[15] 下記一般式(Ia)で表される少なくとも一種の構成単位を有する重合体。
Figure 2005097377
(式中、MpはLとn個の部位で結合している(2+n)価の連結基を表し、Lは(1+n)価の連結基を表し、nは1または2を表し、L1は単結合または2価の連結基を表し、Arはアリール基を表し、n1は1または2を表す。n1が1の場合、トリアジン環上の置換可能な部位は置換基によっても置換されていてもよい。)
本発明によれば、特定の配向膜を用いることによって、従来は困難であったディスコティック液晶性分子を配向膜平面に対して略垂直に、且つディスコティック液晶性分子の円盤面とラビング方向とを略直交にムラなく配向させる、または棒状液晶性分子を、その長軸方向とラビング方向とを略直交にムラなく配向させることができる。また、上記配向状態に固定された液晶性化合物を含有する光学異方性層を有する位相差板は、画像表示装置の表示特性の向上に寄与する。
発明の実施の形態
以下、本発明の配向膜および本発明の位相差板について順次説明する。
1.配向膜
本発明の配向膜は下記一般式(I)で表される少なくとも一種の構成単位を有する重合体(以下、「配向膜用ポリマー」という場合がある)を含有する。
Figure 2005097377
式中、Mpはn個の部位でLと結合する(2+n)価の連結基を表し、Lは(1+n)価の連結基を表し、nは1または2を表し、Aは炭素数10以上のアリール基または少なくとも一つのアリール基が連結したヘテロ環を表す。
一般式(I)中のMpは、配向膜用ポリマーの主鎖を構成する2価の連結基であり、置換基Aとの連結基であるLとn個の部位で結合した(2+n)価の連結基である。Mpは、炭素−炭素結合のみからなる連結基(例えば、置換もしくは無置換のエチレン連結基、ブチレン連結基、ビニレン連結基、環状アルキレン連結基、フェニレン連結基等)、酸素原子を含む連結基(例えば、エーテル連結基、アセタール連結基、エステル連結基、カルボネート連結基等)、窒素原子を含む連結基(例えば、アミノ連結基、イミノ連結基、アミド連結基、ウレタン連結基、ウレイド連結基、イミド連結基、イミダゾール連結基、オキサゾール連結基、ピロール連結基、アニリド連結基等)、硫黄原子を含む連結基(例えば、スルフィド連結基、スルホン連結基、チオフェン連結基等)、リン原子を含む連結基(例えば、ホスフィン連結基、リン酸エステル連結基など)、珪素原子を含む連結基(例えば、シロキサン連結基等)等の2価の連結基、およびこれらを二つ以上連結して形成される2価の連結基が挙げられる。なお、式中のMpは、n個の部位でLと結合可能な様に、これらの2価の連結基から誘導された(2+n)価の連結基である。
以下にMpの好ましい具体例を示すが、本発明は以下の具体例によってなんら限定されるものではない。また、Mp中の*で表される部位はLと連結する部位を表す。
Figure 2005097377
連結基Mpとして好ましくは、炭素−炭素結合のみからなる連結基、または窒素原子を含む連結基であり、より好ましくは、置換もしくは無置換のエチレン基またはその2種以上の組み合わせの基から誘導される連結基(例えば、P−1、P−2およびP−3等)、イミド基を含む基から誘導される連結基(例えばP−13)、またはアミド基を含む基から誘導される連結基(例えばP−14)であり、最も好ましくは、置換もしくは無置換のエチレン基またはその2種類以上の組み合わせの基から誘導される連結基であるP−1、P−2またはP−3である。
一般式(I)中のMpと、側鎖置換基Aとを連結する(1+n)価の連結基Lとしては、置換もしくは無置換の炭素数1〜20のアルキレン基(例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、イソプロピレン基など)、炭素数2〜20のアルケニレン基(例えば、ビニレン基、ブテン基等)、置換もしくは無置換のアリーレン基(例えば、o−フェニレン基、m−フェニレン基、p−フェニレン基、1,4−ナフチレン基等)、−O−、−NR1−、−S−、−PR2−、−Si(R3)(R4)−、−C(=O)−、−C(=O)O−、−C(=O)NR5−、−OC(=O)O−、−OC(=O)NR6−、−NR7C(=O)NR8−、(−O)2CH−等を表す。尚、上記R1〜R8は置換可能な置換基を表し、例えば、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基(シクロアルキル基、ビシクロアルキル基等の環状アルキル基を含む)、アルケニル基(シクロアルケニル基、ビシクロアルケニル基等の環状アルケニル基を含む)、アルキニル基、アリール基、ヘテロ環基、シアノ基、ヒドロキシル基、ニトロ基、カルボキシル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、シリルオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ、アミノ基(アニリノ基を含む)、アシルアミノ基、アミノカルボニルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルファモイルアミノ基、アルキルおよびアリールスルホニルアミノ基、メルカプト基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、スルファモイル基、スルホ基、アルキルおよびアリールスルフィニル基、アルキルおよびアリールスルホニル基、アシル基、アリールオキシカルボニル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、アリールおよびヘテロ環アゾ基、イミド基、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスフィニルオキシ基、ホスフィニルアミノ基、シリル基が例として挙げられる。また、これらの連結基を二つ以上連結させて形成される、以下に示す連結基群Iから選ばれる(1+n)価の連結基でもよい。
Figure 2005097377
前記一般式(I)中のLとして好ましい連結基は、炭素数1〜3のアルキレン基、フェニレン基、−O−、−C(=O)−、−C(=O)O−、−C(=O)NH−、(−O)2CH−、−OC(=O)NH−、並びに連結基群IのL−1およびL−2等が挙げられ、より好ましくは、−O−、−C(=O)O−、−C(=O)NH−、(−O)2CH−、L−1およびL−2である。
また、前記一般式(I)中のMpと、前記一般式(I)中のLの好ましい組合せとしては、MpがP−1またはP−2を表す場合には、Lはフェニレン基、−O−、−C(=O)O−、−C(=O)NH−、L−1またはL−2が好ましく;MpがP−3を表す場合には、Lは(−O)2CH−が好ましく;MpがP−13またはP−14を表す場合には、Lは−C(=O)O−または−C(=O)NH−;が好ましい。
配向膜用ポリマーの側鎖置換基である一般式(I)中のAは、炭素数10以上のアリール基または少なくとも一つのアリール基が連結したヘテロ環を表すが、好ましくは少なくとも一つのアリール基が連結したヘテロ環を表す。炭素数10以上のアリール基としては、例えば、置換もしくは無置換のナフチル基、置換もしくは無置換のアントラセン基、置換もしくは無置換トリフェニレン基等が挙げられ、好ましくは、置換もしくは無置換トリフェニレン基である。少なくとも一つのアリール基が連結したヘテロ環を表す場合、アリール基としては、例えば、炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアリール基(例えばフェニル、p−トリル、ナフチル、p−カルボキシフェニル、m−トリフルオロメチルフェニル、m−エトキシカルボニルフェニル等)が挙げられ、ヘテロ環としては、少なくとも一つの窒素原子を含む5員もしくは6員のヘテロ環(例えば、ピリジン環、ピリミジン環、イミダゾール環、トリアジン環等)、少なくとも一つの酸素原子を含む5員もしくは6員のヘテロ環(例えばフラン環等)、少なくとも一つの硫黄原子を含む5員もしくは6員のヘテロ環(例えばチオフェン環等)が挙げられ、好ましくは、少なくとも二つの窒素原子を含む5員もしくは6員のヘテロ環(例えば、ピリミジン環、トリアジン環等)が挙げられ、最も好ましくは、トリアジン環である。また、アリール基は直接へテロ環に結合して連結しても、二価の連結基(例えば、炭素数1〜10のアルキレン基、フェニレン基、−O−、−NH−、−S−、−C(=O)−、−C(=O)O−、−C(=O)NH−またはこれらを二種以上連結して形成される連結基等)を介して連結してもよい。
前記一般式(I)で表される構成単位の一態様は、下記一般式(Ia)で表される構成単位である。
Figure 2005097377
式(Ia)中、MpおよびLについては、前記一般式(I)中のそれぞれと同義であり、好ましい範囲も同様である。L1は単結合または2価の連結基を表し、Arはアリール基を表し、n1は1または2を表す。L1が表す2価の連結基としては、炭素数1〜10のアルキレン基、フェニレン基、−O−、−NH−、−S−、−C(=O)−、−C(=O)O−、−C(=O)NH−またはこれらを二種以上連結して形成される連結基が挙げられる。中でも−NH−が好ましい。Arが表すアリール基としては、炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアリール基が好ましくは、具体的には、フェニル、p−トリル、ナフチル、p−カルボキシフェニル、m−トリフルオロメチルフェニル、m−エトキシカルボニルフェニル等が好ましい。なお、n1が1の場合、トリアジン環上の置換可能な部位は置換基によっても置換されていてもよい。その場合の置換基としては、上記R1〜R8の具体例として挙げられた置換基が挙げられる。n1は2であるのが好ましい。
以下に本発明の配向膜に含まれる構成要素である、一般式(I)の具体例を示すが、本発明の配向膜はこれに限定されない。
Figure 2005097377
Figure 2005097377
Figure 2005097377
Figure 2005097377
本発明の配向膜は、前記一般式(I)で表される構成単位の一種のみなる単独重合体でもよいし、前記一般式(I)で表される構成単位の二種以上の、または前記一般式(I)で表される構成単位の一種以上とそれ以外の構成単位の一種以上との共重合体でもよい。一般式(I)で表される構成単位以外の構成単位としては、特に制限はないが、好ましい共重合構成単位としては、例えば、ビニル系モノマー(例えば、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸エステル類、メタクリル酸エステル類、アクリル酸アミド類、メタクリル酸アミド類、ビニルアルコール、アシルオキシビニル類、スチレン類、マレイン酸、マレイン酸エステル類、マレインアミド類、アクリロニトリル、および、ビニルアルキルケトン類等)を逐次重合して得られる構成単位、および下記一般式(II)で表される構成単位が挙げられる。
Figure 2005097377
前記一般式(II)中、Mpは、前記一般式(I)中のMpと同義であり、その好ましい範囲も同様である。また、前記一般式(II)中のL’は、水素原子、ハロゲン原子(例えば、クロロ原子等)、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基など)、アリール基(例えば、フェニル基、ナフチル基等)、−OR1’、−NR2’R3’、−SR4’、−PR5’R6’、−SiR7’R8’R9’、−C(=O)R10’、−C(=O)OR11’、−C(=O)NR12’R13’、−OC(=O)OR14’、−OC(=O)NR15’R16’、−NR17’C(=O)NR18’R19’−、(−O)2CHR20’、−N+21’R22’R23’等を表す。尚、上記R1’〜R23 ’は、前記一般式(I)中のLに含まれるR1〜R8で表される置換基と同義である。
前記一般式(I)で表される構成単位と共重合される構成単位としては、水溶性基(例えば、ヒドロキシル基、カルボキシル基、スルホ基、四級アンモニウム基、アミノ基、ホスホ基等)が置換したものが好ましく、特に、ヒドロキシル基またはカルボキシル基が置換したものが好ましい。
以下に前記一般式(II)の具体例を示すが、本発明は以下の具体例によってなんら制限されるものではない。
Figure 2005097377
前記配向膜用ポリマーが、前記一般式(I)で表される構成単位と他の構成単位との共重合体である場合、前記一般式(I)で表される構成単位の含率は、1質量%以上100質量%未満が好ましく、より好ましくは、10質量%〜90質量%であり、更に好ましく20質量%〜80質量%である。
前記配向膜用ポリマーには、更に架橋性基を有した構成単位が含まれることが好ましい。架橋性基を含ませることにより、本発明の配向膜と液晶性化合物が架橋され、配向膜層と光学異方性層との密着性が高められる場合が多く好ましい。前記配向膜用ポリマー中に含まれる架橋性基は、付加、縮合、置換反応性基など特に制限なく用いることができる。一方で、液晶性化合物としては、アクリロイル基、メタクリロイル基などエチレン性不飽和基を有する材料を用いて、光ラジカル重合開始剤の存在下で紫外線照射により固定するのが好ましく、従って、前記配向膜用ポリマーも紫外線照射により、架橋反応し得る架橋性基を有することが好ましい。紫外線照射により架橋しうる反応の好ましい例として、紫外線照射によりカチオンを発生する化合物を併用したエポキシ環、オキセタン環などのヘテロ環状化合物の開環重合反応と紫外線照射によりラジカルを発生する化合物を併用したエチレン性不飽和基を有する化合物のラジカル重合反応が挙げられる。これらのうちポリマー中に含まれる最も好ましい架橋性基はエチレン性不飽和基(例えば、アクリロイル基、メタクリロイル基、スチリル基等)である。また、前記配向膜用ポリマー中への架橋性基導入方法としては特に制限はない。
以下に架橋性基を含む構成単位の好ましい具体例を示すが、本発明は以下の具体例によってなんら限定されるものではない。
Figure 2005097377
Figure 2005097377
Figure 2005097377
Figure 2005097377
Figure 2005097377
本発明に用いられる配向膜用ポリマーは、付加、縮合、置換反応など種々の方法により製造することができる。前記一般式(I)で表される構成単位となるエチレン性不飽和化合物のラジカル重合反応により製造するのが最も簡便で好ましい。一方、前記配向膜用ポリマーが、架橋性基を有する構成単位を含む場合、該ポリマーは、(a)対応するモノマー(即ち、架橋性基となる置換基を有するモノマー)を重合して、直接エチレン性不飽和基を導入する手法;または(b)任意の官能基を有するモノマーを重合して得られたポリマーに、高分子反応によりエチレン性不飽和基を導入する手法;により合成することができる。(b)の方法が好ましい。前記高分子反応は、I)例えば2−クロロエチル基から塩酸を脱離させるようなエチレン性不飽和基をプレカーサー化した官能基を含むポリマーを生成させた後に、官能基変換(脱離反応、酸化反応、還元反応、脱保護反応など)によりエチレン性不飽和基に誘導する方法;およびII)任意の官能基を含むポリマーを生成させた後に、該ポリマー中の官能基と結合生成反応が進行し、共有結合を生成し得る官能基とエチレン性不飽和基の両方を有する化合物(以降、「反応性モノマー」と称する。)を反応させる方法が挙げられる。また前記I)およびII)の方法を組み合わせて、前記ポリマーを合成してもよい。ここで言う結合形成反応とは、一般に有機合成分野で用いられる結合生成反応のなかで共有結合を形成する反応であれば特に制限なく使用できる。一方で、ポリマーに含まれるエチレン性不飽和基が反応中に熱重合し、ゲル化してしまう場合があるので、できるだけ低温(好ましくは60℃以下、特に好ましくは室温以下)で反応が進行するものが好ましい。また反応の進行を促進させる目的で触媒を用いてもよく、ゲル化を抑制する目的で重合禁止剤を用いてもよい。
前記配向膜用ポリマーが、架橋性基を有する構成単位を含む場合、その構成単位の割合は0.1質量%〜60質量%が好ましく、0.3質量%〜50質量%がより好ましく、0.5質量%〜40質量%がさらに好ましい。
前記配向膜用ポリマーの好ましい分子量範囲は、重量平均分子量で1000以上100万以下、さらに好ましくは2000以上20万以下である。最も好ましくは3000以上10万以下である。
以下に本発明に用いられる配向膜用ポリマーの好ましい例を表1に示すが、本発明は以下の具体例によってなんら限定されるものではない。なお、前記一般式(I)で表される構成単位、および架橋性置換基を含む構成単位については、前述の具体例の番号により示し、共重合組成比は質量%で付記した。
Figure 2005097377
本発明に用いられる配向膜用ポリマーの合成は、既知の方法を適用して容易に作製することができる。
本発明の配向膜は、前記配向膜用ポリマーを溶媒に溶解して調製した塗布液を、支持体表面に塗布し、25℃〜13℃で塗布液中に含まれる溶媒を乾燥除去することで作製することができる。また、可能であれば蒸着によって形成することもできるが、塗布による形成がより好ましい。このようにして形成された配向膜の厚さは、0.01〜5μmであることが好ましく、0.05〜2μmであることがさらに好ましい。
前記配向膜形成用塗布液の調製に用いられる溶媒としては、例えば、水、アルコール類(例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール等)、アミド類(例えば、N,N−ジメチルホルムアミド等)、アセトニトリル、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、酢酸エチル等が挙げられるが、好ましくは、水、アルコール類およびこれらの混合溶媒である。前記塗布液中の配向膜用ポリマーの濃度は、0.1質量%〜40質量%であるのが好ましく、0.5質量%〜20質量%であるのがより好ましく、2質量%〜10質量%であるのがさらに好ましい。前記塗布液の粘度は、0.1cp〜100cpであるのが好ましく、0.5cp〜50cpであるのがより好ましい。
前記塗布液中には、前記配向膜用ポリマー以外にも、適宜添加剤を添加してもよい。例えば、前記配向膜用ポリマーが水溶性の溶媒に溶解し難い場合は、塩基性化合物(例えば、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、トリエチルアミンなど)や、酸性化合物(例えば、塩酸、酢酸、コハク酸等)を添加して溶解を促進してもよい。
また、前記塗布液中には、配向膜用ポリマーの構成単位である前記一般式(I)中のAで表される置換基と水素結合可能な化合物を含有しているのが好ましい。水素結合可能な化合物は、式中のAの構造によって異なるが、例えば、Aとして好ましい含窒素へテロ環(例えば、トリアジン環等)のような場合には、−C(=O)NH−結合を有する化合物(例えば、バルビツール酸類、尿素類、ウレタン類、ウラシル類等)を添加することが好ましく、より好ましくは、バルビツール酸類もしくは尿素類である。これらの添加量も種類によって異なるが、例えば、前記配向膜用ポリマーに対し、1モル%〜200モル%であるのが好ましく、5モル%〜100モル%であるのがより好ましい。
上記方法によって形成された配向膜は、その表面がラビング処理され、液晶配向性が付与されているのが好ましい。ラビング処理としてはポリマー塗布層の表面を、紙や布で一定方向(通常は長手方向)に、数回こすることにより実施することができる。また、ラビング以外の方法としては、電場の付与、磁場の付与あるいは光照射により液晶配向性を付与することもできる。液晶配向性を付与する方法としては、ポリマーのラビング処理により形成する配向膜が特に好ましい。
本発明の配向膜は、液晶性化合物、特にディスコティック液晶性化合物および棒状液晶性化合物を配向させるのに適している。本発明の配向膜を利用することによって、液晶性化合物からなる光学異方性層およびそれを有する位相差板を安定的に作製することができる。以下、本発明の位相差板について詳細に説明する。
2.位相差板
本発明の位相差板は、支持体上に本発明の配向膜と、該配向膜によって配向制御され、且つその配向状態に固定された液晶性化合物を含有する光学異方性層を有することを特徴とする。図3は、本発明の位相差板の一実施形態の断面模式図である。図3に示す位相差板14は、透明支持体11上に、本発明の配向膜12および光学異方性層13を有する。配向膜12は、プラスチックフィルム等の透明支持体11の表面に、塗布または蒸着等によって形成することができる。配向膜12の表面をラビングした後、液晶性化合物を含有する組成物(塗布液)をラビング処理面に塗布すると、液晶性化合物の分子はラビング方向によって配向制御され、所望の配向角度に配向する。その後、その配向状態に液晶性分子を固定して、光学異方性層13を形成し、位相差板14が得られる。
(1)光学異方性層
前記光学異方性層は、液晶性化合物、好ましくはディスコティック液晶性化合物または棒状液晶性化合物、および所望により重合性開始剤や他の添加剤を含む塗布液を、例えば支持体上に形成された本発明の配向膜の表面に塗布し、液晶性化合物を配向、固定化することで形成することができる。液晶性化合物を配向および固定化した後は、支持体を剥離してもよい。
(1)−1 形成方法
前記光学異方性層は、ディスコティック液晶性化合物もしくは棒状液晶性化合物を可溶できる溶媒に溶解して調製した塗布液を、上記の様に支持体上に形成され、且つ、配向性が付与された本発明の配向膜上に塗布することによって作製することができる。また、可能であれば蒸着による形成でもよいが、塗布による形成が好適に用いられる。塗布方法としてはカーテンコーティング、ディップコーティング、スピンコーティング、印刷コーティング、スプレーコーティング、スロットコーティング、ロールコーティング、スライドコーテティング、ブレードコーティング、グラビアコーティング、ワイヤーバー法等の公知の塗布方法が挙げられる。次いで、25℃〜130℃において用いた溶媒を乾燥すると同時に、液晶性化合物を配向させ、更に、所望により紫外線照射等によって固定化することによって、液晶性化合物による光学異方性層が形成される。重合のための光照射は、紫外線を用いることが好ましい。照射エネルギーは、20mJ/cm2〜50J/cm2であることが好ましく、100〜800mJ/cm2であることがさらに好ましい。光重合反応を促進するため、加熱条件下で光照射を実施してもよい。このようにして形成された光学異方性層の厚さは、光学補償等の用途によって、最適なレターデーションの値によって異なるが、0.1〜10μmであることが好ましく、0.5〜5μmであることがさらに好ましい。
(1)−2 光学異方性層の形成に用いられる材料
ディスコティック液晶性化合物は、様々な文献(C.Destrade et al.,Mol. Crysr.Liq.Cryst.,vol.71,page 111(1981);日本化学会編、季刊化学総説、No.22、液晶の化学、第5章、第10章第2節(1994);B.Kohne et al.,Angew.Chem.Soc.Chem.Comm.,page 1794(1985);J.Zhang et al.,J.Am.Chem.Soc.,vol.116,page 2655(1994))に記載されている。ディスコティック液晶性分子の重合については、特開平8−27284公報に記載がある。ディスコティック液晶性分子を重合により固定するためには、ディスコティック液晶性分子の円盤状コアに、置換基として重合性基を結合させる必要がある。ただし、円盤状コアに重合性基を直結させると、重合反応において配向状態を保つことが困難になる。そこで、円盤状コアと重合性基との間に、連結基を導入する。従って、重合性基を有するディスコティック液晶性分子は、下記式(III)で表わされる化合物であることが好ましい。
(III) D(−M−P)n
式中、Dは円盤状コアであり;Mは二価の連結基であり;Pは重合性基であり;そして、nは4〜12の整数である。式(III)の円盤状コア(D)の例を以下に示す。以下の各例において、MP(またはPM)は、二価の連結基(M)と重合性基(P)との組み合わせを意味する。
Figure 2005097377
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式(III)において、二価の連結基(M)は、アルキレン基、アルケニレン基、アリーレン基、−CO−、−NH−、−O−、−S−およびそれらの組み合わせからなる群より選ばれる二価の連結基であることが好ましい。二価の連結基(M)は、アルキレン基、アルケニレン基、アリーレン基、−CO−、−NH−、−O−および−S−からなる群より選ばれる二価の基を少なくとも二つ組み合わせた基であることがさらに好ましい。二価の連結基(M)は、アルキレン基、アルケニレン基、アリーレン基、−CO−および−O−からなる群より選ばれる二価の基を少なくとも二つ組み合わせた基であることが最も好ましい。アルキレン基の炭素原子数は、1〜12であることが好ましい。アルケニレン基の炭素原子数は、2〜12であることが好ましい。アリーレン基の炭素原子数は、6〜10であることが好ましい。アルキレン基、アルケニレン基およびアリーレン基は、置換基(例、アルキル基、ハロゲン原子、シアノ、アルコキシ基、アシルオキシ基)を有していてもよい。
二価の連結基(M)の例を以下に示す。左側が円盤状コア(D)に結合し、右側が重合性基(P)に結合する。ALはアルキレン基またはアルケニレン基を意味し、ARはアリーレン基を意味する。
M1:−AL−CO−O−AL−
M2:−AL−CO−O−AL−O−
M3:−AL−CO−O−AL−O−AL−
M4:−AL−CO−O−AL−O−CO−
M5:−CO−AR−O−AL−
M6:−CO−AR−O−AL−O−
M7:−CO−AR−O−AL−O−CO−
M8:−CO−NH−AL−
M9:−NH−AL−O−
M10:−NH−AL−O−CO−
M11:−O−AL−
M12:−O−AL−O−
M13:−O−AL−O−CO−
M14:−O−AL−O−CO−NH−AL−
M15:−O−AL−S−AL−
M16:−O−CO−AL−AR−O−AL−O−CO−
M17:−O−CO−AR−O−AL−CO−
M18:−O−CO−AR−O−AL−O−CO−
M19:−O−CO−AR−O−AL−O−AL−O−CO−
M20:−O−CO−AR−O−AL−O−AL−O−AL−O−CO−
M21:−S−AL−
M22:−S−AL−O−
M23:−S−AL−O−CO−
M24:−S−AL−S−AL−
M25:−S−AR−AL−
式(III)の重合性基(P)は、重合反応の種類に応じて決定する。重合性基(P)の例を以下に示す。
Figure 2005097377
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Figure 2005097377
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重合性基(P)は、不飽和重合性基(P1、P2、P3、P7、P8、P15、P16、P17)またはエポキシ基(P6、P18)であることが好ましく、不飽和重合性基であることがさらに好ましく、エチレン性不飽和重合性基(P1、P7、P8、P15、P16、P17)であることが最も好ましい。式(II)において、nは4〜12の整数である。具体的な数字は、ディスコティックコア(D)の種類に応じて決定される。なお、複数のMとPの組み合わせは、異なっていてもよいが、同一であることが好ましい。二種類以上のディスコティック液晶性分子(例えば、二価の連結基に不斉炭素原子を有する分子と有していない分子)を併用してもよい。ディスコティック液晶性化合物の具体例としては、WO01/88574A1号公報の58頁6行〜65頁8行に記載されている。
棒状液晶性化合物としては、アゾメチン類、アゾキシ類、シアノビフェニル類、シアノフェニルエステル類、安息香酸エステル類、シクロヘキサンカルボン酸フェニルエステル類、シアノフェニルシクロヘキサン類、シアノ置換フェニルピリミジン類、アルコキシ置換フェニルピリミジン類、フェニルジオキサン類、トラン類およびアルケニルシクロヘキシルベンゾニトリル類が好ましく用いられる。以上のような低分子液晶だけではなく、高分子液晶も用いることができる。
棒状液晶性分子を重合によって配向を固定することがより好ましく、重合性棒状液晶性分子としては、Makromol.Chem.,190巻、2255頁(1989年)、Advanced Materials 5巻、107頁(1993年)、米国特許4683327号、同5622648号、同5770107号、WO95/22586号、同95/24455号、同97/00600号、同98/23580号、同98/52905号、特開平1−272551号、同6−16616号、同7−110469号、同11−80081号、および特願2001−64627号などに記載の化合物を用いることができる。より好ましくは、下記一般式(IV)にて表される化合物である。
(IV) Q1−L1−Cy1−L2−(Cy2−L3n−Cy3−L4−Q2
式中、Q1およびQ2はそれぞれ独立に重合性基であり、L1およびL4はそれぞれ独立に二価の連結基であり、L2およびL3はそれぞれ独立に単結合または二価の連結基であり、Cy1、Cy2およびCy3は二価の環状基であり、nは0、1または2である。
以下にさらに重合性棒状液晶化合物について説明する。
(IV) Q1−L1−Cy1−L2−(Cy2−L3n−Cy3−L4−Q2
式中、Q1およびQ2はそれぞれ独立に重合性基である。重合性基の重合反応は、付加重合(開環重合を含む)または縮合重合であることが好ましい。言い換えると、重合性基は、付加重合反応または縮合重合反応が可能な官能基であることが好ましい。以下に重合性基の例を示す。
Figure 2005097377
1およびL4はそれぞれ独立に二価の連結基である。L1およびL4はそれぞれ独立に、−O−、−S−、−CO−、−NR2−、二価の鎖状基、二価の環状基およびそれらの組み合わせからなる群より選ばれる二価の連結基であることが好ましい。上記R2は炭素原子数が1〜7のアルキル基または水素原子である。R2は、炭素原子数1から4のアルキル基または水素原子であることが好ましく、メチル基、エチル基または水素原子であることがさらに好ましく、水素原子であることがもっとも好ましい。組み合わせからなる二価の連結基の例を以下に示す。ここで、左側がQ(Q1またはQ2)に、右側がCy(Cy1またはCy3)に結合する。
L−1:−CO−O−二価の鎖状基―O−
L−2:−CO−O−二価の鎖状基―O−CO−
L−3:−CO−O−二価の鎖状基―O−CO−O−
L−4:−CO−O−二価の鎖状基―O−二価の環状基−
L−5:−CO−O−二価の鎖状基―O−二価の環状基−CO−O−
L−6:−CO−O−二価の鎖状基―O−二価の環状基−O−CO−
L−7:−CO−O−二価の鎖状基―O−二価の環状基−二価の鎖状基―
L−8:−CO−O−二価の鎖状基―O−二価の環状基−二価の鎖状基―CO−O−
L−9:−CO−O−二価の鎖状基―O−二価の環状基−二価の鎖状基―O−CO−
L−10:−CO−O−二価の鎖状基―O−CO−二価の環状基−
L−11:−CO−O−二価の鎖状基―O−CO−二価の環状基−CO−O−
L−12:−CO−O−二価の鎖状基―O−CO−二価の環状基−O−CO−
L−13:−CO−O−二価の鎖状基―O−CO−二価の環状基−二価の鎖状基―
L−14:−CO−O−二価の鎖状基―O−CO−二価の環状基−二価の鎖状基―CO−O−
L−15:−CO−O−二価の鎖状基―O−CO−二価の環状基−二価の鎖状基―O−CO−
L−16:−CO−O−二価の鎖状基―O−CO−O−二価の環状基−
L−17:−CO−O−二価の鎖状基―O−CO−O−二価の環状基−CO−O−
L−18:−CO−O−二価の鎖状基―O−CO−O−二価の環状基−O−CO−
L−19:−CO−O−二価の鎖状基―O−CO−O−二価の環状基−二価の鎖状基―
L−20:−CO−O−二価の鎖状基―O−CO−O−二価の環状基−二価の鎖状基―CO−O−
L−21:−CO−O−二価の鎖状基―O−CO−O−二価の環状基−二価の鎖状基―O−CO−
二価の鎖状基は、アルキレン基、置換アルキレン基、アルケニレン基、置換アルケニレン基、アルキニレン基,置換アルキニレン基を意味する。アルキレン基,置換アルキレン基,アルケニレン基,置換アルケニレン基が好ましく、アルキレン基およびアルケニレン基がさらに好ましい。
アルキレン基は、分岐を有していてもよい。アルキレン基の炭素数は1〜12であることが好ましく、2〜10であることがさらに好ましく、2〜8であることがもっとも好ましい。
置換アルキレン基のアルキレン部分は、上記アルキレン基と同様である。置換基の例としてはハロゲン原子が含まれる。
アルケニレン基は、分岐を有していてもよい。アルケニレン基の炭素数は2〜12であることが好ましく、2〜10であることがさらに好ましく、2〜8であることがもっとも好ましい。
置換アルケニレン基のアルケニレン部分は、上記アルケニレン基と同様である。置換基の例としてはハロゲン原子が含まれる。
アルキニレン基は、分岐を有していてもよい。アルキニレン基の炭素数は2〜12であることが好ましく、2〜10であることがさらに好ましく、2〜8であることがもっとも好ましい。
置換アルキニレン基のアルキニレン部分は、上記アルキニレン基と同様である。置換基の例としてはハロゲン原子が含まれる。
二価の鎖状基の具体例としては、エチレン、プロピレン、テトラメチレン、2−メチル−1,4−ブチレン、ペンタメチレン、ヘキサメチレン、オクタメチレン、2−ブテニレン、2−ブチニレンなどが上げられる。
二価の環状基の定義および例は、後述するCy1、Cy2およびCy3の定義および例と同様である。
2またはL3はそれぞれ独立に単結合または二価の連結基である。L2およびL3はそれぞれ独立に、−O−、−S−、−CO−、−NR2−、二価の鎖状基、二価の環状基およびそれらの組み合わせからなる群より選ばれる二価の連結基または単結合であることが好ましい。上記R2は、炭素原子数が1〜7のアルキル基または水素原子であり、炭素原子数1〜4のアルキル基または水素原子であることが好ましく、メチル基、エチル基または水素原子であることがさらに好ましく、水素原子であることが最も好ましい。二価の鎖状基、および二価の環状基についてはL1およびL4の定義と同義である。
式(IV)において、nは0、1または2である。nが2の場合、二つのL3は同じであっても異なっていてもよく、二つのCy2も同じであっても異なっていてもよい。nは1または2であることが好ましく、1であることがさらに好ましい。
式(IV)において、Cy1、Cy2およびCy3はそれぞれ独立に、二価の環状基である。環状基に含まれる環は、5員環、6員環、または7員環であることが好ましく、5員環または6員環であることがさらに好ましく、6員環であることがもっとも好ましい。環状基に含まれる環は、縮合環であってもよい。ただし、縮合環よりも単環であることがより好ましい。環状基に含まれる環は、芳香族環、脂肪族環、および複素環のいずれでもよい。芳香族環の例には、ベンゼン環およびナフタレン環が含まれる。脂肪族環の例には、シクロヘキサン環が含まれる。複素環の例には、ピリジン環およびピリミジン環が含まれる。
ベンゼン環を有する環状基としては、1,4−フェニレンが好ましい。ナフタレン環を有する環状基としては、ナフタレン−1,5−ジイルおよびナフタレン−2,6−ジイルが好ましい。シクロヘキサン環を有する環状基としては1,4−シクロへキシレンであることが好ましい。ピリジン環を有する環状基としてはピリジン−2,5−ジイルが好ましい。ピリミジン環を有する環状基としては、ピリミジン−2,5−ジイルが好ましい。
前記環状基は、置換基を有していてもよい。置換基の例には、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、炭素原子数が1〜5のアルキル基、炭素原子数が1〜5のハロゲン置換アルキル基、炭素原子数が1〜5のアルコキシ基、炭素原子数が1〜5のアルキルチオ基、炭素原子数が2〜6のアシルオキシ基、炭素原子数が2〜6のアルコキシカルボニル基、カルバモイル基、炭素原子数が2〜6のアルキル置換カルバモイル基および炭素原子数が2〜6のアシルアミノ基が含まれる。
以下に、式(IV)で表される重合性液晶化合物の例を示す。本発明はこれらに限定されるものではない。
Figure 2005097377
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Figure 2005097377
液晶性分子は、配向状態を維持して固定することが好ましく、固定化は、液晶性分子に導入した重合性基(一般式(III)で表すところのP、一般式(IV)で表すところのQ1およびQ2)の重合反応により実施することが好ましい。そのためには、前記塗布液中には、重合開始剤を含有させるのが好ましい。重合反応には、熱重合開始剤を用いる熱重合反応と光重合開始剤を用いる光重合反応、および電子線を用いるEB硬化が含まれる。このうち、光重合反応(光硬化)およびEB硬化が好ましい。光の作用によりラジカルを発生させる重合開始剤の例としては、α−カルボニル化合物(米国特許2367661号、同2367670号の各明細書記載)、アシロインエーテル(米国特許2448828号明細書記載)、α−炭化水素置換芳香族アシロイン化合物(米国特許2722512号明細書記載)、多核キノン化合物(米国特許3046127号、同2951758号の各明細書記載)、トリアリールイミダゾールダイマーとp−アミノフェニルケトンとの組み合わせ(米国特許3549367号明細書記載)、アクリジンおよびフェナジン化合物(特開昭60−105667号公報、米国特許4239850号明細書記載)およびオキサジアゾール化合物(米国特許4212970号明細書記載)、アセトフェノン系化合物、ベンゾインエーテル系化合物、ベンジル系化合物、ベンゾフェノン系化合物、チオキサントン系化合物等が好ましい。アセトフェノン系化合物としては、例えば、2,2−ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシメチル−1−フェニルプロパン−1−オン、4’−イソプロピル−2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオフェノン、p−ジメチルアミノアセトン、p−tert−ブチルジクロロアセトフェノン、p−tert−ブチルトリクロロアセトフェノン、p−アジドベンザルアセトフェノン等が挙げられる。ベンジル系化合物としては、例えば、ベンジル、ベンジルジメチルケタール、ベンジル−β−メトキシエチルアセタール、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン等が挙げられる。ベンゾインエーテル系化合物としては、例えば、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾイン−n−プロピルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾイン−n−ブチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル等が挙げられる。ベンゾフェノン系化合物としては、例えば、ベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、ミヒラーズケトン、4,4’−ビスジエチルアミノベンゾフェノン、4,4’−ジクロロベンゾフェノン等が挙げられる。チオキサントン系化合物としては、例えば、チオキサントン、2−メチルチオキサントン、2−エチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、4−イソプロピルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン等が挙げられる。このような芳香族ケトン類からなる感光性ラジカル重合開始剤の中でも、アセトフェノン系化合物およびベンジル系化合物が、硬化特性、保存安定性、臭気等の面で特に好ましい。これらの芳香族ケトン類からなる感光性ラジカル重合開始剤は、1種あるいは2種以上のものを所望の性能に応じて配合して使用することができる。また、感度を高める目的で重合開始剤に加えて、増感剤を用いてもよい。増感剤の例には、n−ブチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−ブチルホスフィン、およびチオキサントン等が含まれる。
光重合開始剤は複数種を組み合わせてもよく、使用量は、塗布液の固形分の0.01〜20質量%であることが好ましく、0.5〜5質量%であることがさらに好ましい。光重合開始剤の使用量は、塗布液の固形分の0.01〜20質量%であることが好ましく、0.05〜5質量%であることが更に好ましい。液晶性分子の重合のための光照射は紫外線を用いることが好ましい。
前記光学異方性層形成用塗布液中には、上記光重合開始剤以外にも適宜添加剤を添加してもよい。例えば、可塑剤、モノマー、界面活性剤、セルロースエステル、配向制御剤およびカイラル剤等が挙げられる。以下に配向制御剤について詳細に説明する。本発明における配向制御剤とは、液晶性化合物の塗布液に添加され、塗布後に液晶性化合物の層の表面、つまり、空気界面側に偏在することによって、空気界面側での液晶性化合物の配向を制御することができる化合物を表す。この配向制御剤の構造によっては、液晶性化合物を空気界面側で略垂直に配向させたり、逆に略水平に配向させることもできる。例えば、ディスコティック液晶性化合物の場合には、特開2000−344734号公報等に記載の下記一般式(V)で表されるような化合物が挙げられる。
一般式(V)
(Hb−)mL(−Bu)n
式中、Hbは、炭素原子数が1〜40のフッ素置換アルキル基、炭素原子数が6〜40のフッ素置換アリール基、炭素原子数が6〜60のアルキル基および炭素原子数が1〜60のアルキル置換オリゴシロキサノキシ基からなる群より選ばれる疎水性基であり、Buは少なくとも二つの環状構造を含む排除体積効果を有する基であり、Lは(m+n)価の連結基であり、mおよびnはそれぞれ独立に、1〜12の整数である。
一般式(V)で表される配向制御剤として好ましくは、トリヒドロキシベンゼン骨格およびトリアジン骨格に、フッ素アルキル基や長鎖アルキル基、アリール基が置換した低分子配向制御剤が挙げられる。空気界面側でディスコティック液晶を垂直に配向させるための配向制御剤の具体例としては、例えば、以下のD−1等が挙げられ、水平に配向させるための配向制御剤としてD−2等が挙げられる。
Figure 2005097377
また、配向制御剤としては、以下に示すような高分子化合物でもよい。添加される高分子配向制御剤は液晶層の塗布液に溶解しうるポリマーであればよい。好ましい高分子配向制御剤の一例を以下に示す。
ポリプロピレンオキシド
ポリテトラメチレンオキシド
ポリ−ε−カプロラクトン
ポリ−ε−カプロラクトン ジオール
ポリ−ε−カプロラクトン トリオール
ポリビニルアセテート
ポリメラミン
ポリ(エチレン アジペート)
ポリ(1,4−ブチレン アジペート)
ポリ(1,4−ブチレン グルタレート)
ポリ(1,2−ブチレン グリコール)
ポリ(1,4−ブチレン スクシネート)
ポリ(1,4−ブチレン テレフタレート)
ポリ(エチレンテレフタレート)
ポリ(2−メチル−1,3−プロピレンアジペート)
ポリ(2−メチル−1,3−プロピレン グルタレート)
ポリ(ネオペンチルグリコールアジペート)
ポリ(ネオペンチルグリコール セバケート)
ポリ(1,3−プロピレン アジペート)
ポリ(1,3−プロピレン グルタレート)
ポリビニルブチラール
ポリビニルホルマール
ポリビニルアセタール
ポリビニルプロパナール
ポリビニルヘキサナール
ポリビニルピロリドン
ポリアクリル酸エステル
ポリメタクリル酸エステル
ポリ(3−ヒドロキシブチリックアシッド)
配向制御剤の添加量は、該制御剤の添加する液晶組成物中の液晶性化合物に対し0.05質量%〜10質量%添加することが好ましい。より好ましくは0.1質量%〜5質量%である。
光学異方性層形成用の塗布液の調製に使用する溶媒としては、有機溶媒が好ましい。有機溶媒の例には、アミド(例、N,N−ジメチルホルムアミド)、スルホキシド(例、ジメチルスルホキシド)、ヘテロ環化合物(例、ピリジン)、炭化水素(例、トルエン、ヘキサン)アルキルハライド(例、クロロホルム、ジクロロメタン)、エステル(例:酢酸メチル、酢酸ブチル)、ケトン(例:アセトン、2−ブタノン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン)、エーテル(例、テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタン)などが含まれる。この中でアルキルハライド、ケトンが好ましい。2種類以上の有機溶剤を併用してもよい。
塗布液中の液晶性化合物およびその他の添加剤の固形分濃度としては、0.1質量%〜60質量%が好ましく、0.5質量%〜50質量%がより好ましく、2質量%〜40質量%がさらに好ましい。また、塗布液の粘度は、0.01cp〜100cpが好ましく、0.1cp〜50cpがより好ましい。
(2)支持体
本発明の位相差板は支持体を有する。支持体は、作製時に用いられる支持体と必ずしも同一でなくてもよく、前記光学異方性層を作製した後、作製時に用いた仮支持体から他の支持体に転写してもよい。透明で光学異方性が小さく、波長分散が小さいポリマーフィルムを支持体として用いることが好ましい。ここで支持体が透明であるとは、光透過率が80%以上であることを意味する。波長分散が小さいとは、具体的には、Re400/Re700の比が1.2未満であることが好ましい。光学異方性が小さいとは、具体的には、面内レターデーション(Re)が20nm以下であることが好ましく、10nm以下であることがさらに好ましい。透明支持体は、ロール状または長方形のシート状の形状を有することが好ましく、ロール状の透明支持体を用いて、光学異方性層を積層してから、必要な大きさに切断することが好ましい。ポリマーの例には、セルロースアシレート、ポリカーボネート、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリアクリレートおよびポリメタクリレートが含まれる。セルロースアシレートが好ましく、セルロースアセテートがさらに好ましく、トリアセチルセルロースが最も好ましい。ポリマーフィルムは、ソルベントキャスト法により形成することが好ましい。透明支持体の厚さは、20〜500μmであることが好ましく、50〜200μmであることがさらに好ましい。透明支持体とその上に設けられる層(接着層、配向膜あるいは光学異方性層)との接着を改善するため、透明支持体に表面処理(例、グロー放電処理、コロナ放電処理、紫外線(UV)処理、火炎処理)を実施してもよい。透明支持体の上に、接着層(下塗り層)を設けてもよい。セルロースアシレートフィルムを非塩素系溶媒を用いて製造することについて、発明協会公開技報2001−1745号に詳しく記載されており、そこに記載されたセルロースアシレートフィルムも本発明に好ましく用いることができる。
(3)位相差板の具体例
本発明の配向膜上に、液晶性化合物を含有する塗布液を適用すると、液晶性化合物の分子は、配向膜の表面に施されたラビング処理のラビング方向および組成物中の他の添加剤の作用等により、その配向が制御され、特定の配向状態となる。図4の様に、長尺状に作製された本発明の位相差板の種々の態様の、(a)側面模式図(図4中、a方向から観察した図)、および(b)正面模式図(図4中、b方向から観察した図)または(c)上面模式図(図4中、c方向から観察した図)を、図5〜図7に示した。図5に示す位相差板24は、長尺状のポリマーフィルムからなる支持体21上に形成された配向膜22に、支持体21の長手方向に平行な方向(図4中、ラビング方向04)にラビング処理を実施し、そのラビング処理面に、ディスコティック液晶性化合物と垂直配向制御剤(例えば、上記D−1等)を含有する組成物を適用して、光学異方性層23を形成した例である。(a)が側面模式図、(b)が正面模式図である。光学異方性層23中において、ディスコティック液晶性分子01は、その円盤面をラビング方向に略直交にして、且つ配向膜平面に対して略垂直にして配向している。図6に示す位相差板24’は、上記と同様に配向膜22にラビング処理を実施し、そのラビング処理面に、ディスコティック液晶性化合物と水平配向制御剤(例えば、上記D−2等)を含有する組成物を適用して、光学異方性層23’を形成した例である。(a)が側面模式図、(b)が正面模式図である。光学異方性層23’中において、ディスコティック液晶性分子01は、その円盤面をラビング方向に略直交にして、配向膜界面23’aにおいて配向膜平面に対して略垂直にして、且つ空気界面23’bに近づくに従って、分子の円盤面の傾斜角が次第に小さくなり、空気界面23b’側では円盤面を略水平にして配向している。即ちハイブリッド配向している。図7に示す位相差板24”は、上記と同様に配向膜22にラビング処理を実施し、そのラビング処理面に、棒状液晶性化合物を含有する組成物を適用して、光学異方性層23”を形成した例である。(a)が側面模式図、(c)が上面模式図である。光学異方性層23”中において、棒状液晶性分子03は、その長軸をラビング方向04に略直交にして、且つ配向膜平面に対して略平行にして配向している。
図5および図6に示した様に、本発明の配向膜を利用することによって、ディスコティック液晶性分子を、その円盤面をラビング方向に対して略直交にして、安定的に配向させることができる。配向制御剤と組み合わせることによって、円盤面の配向膜平面に対する傾斜角を調整することもできるので、所望の光学特性を有する位相差板を容易に作製することができる。また、図7に示した様に、本発明の配向膜を利用することによって、配向制御剤を用いなくても、棒状液晶性分子を、その長軸をラビング方向に略直交にして安定的に配向させることができる。また、図4に示した様に、長尺状の支持体上に、連続的に光学異方性層を形成する場合も、本発明の配向膜を利用して、さらに所望により配向制御剤を用いることにより、液晶性分子を均一にムラなく前述の種々の配向状態に配向させることができ、生産安定性の向上にも寄与する。
本発明の位相差板は、種々の用途に利用される。液晶表示装置の光学補償シートや、直線偏光膜や透明保護膜と積層して偏光板として利用され得る。
4.偏光板
本発明の位相差板に、直線偏光膜または透明保護膜を貼り合せ、偏光板とした後に、実際の液晶表示素子に用いる際に好ましい。以下に該偏光膜および透明保護膜について説明する。
(1)偏光膜
偏光膜には、ヨウ素系偏光膜、二色性染料を用いる染料系偏光膜やポリエン系偏光膜がある。ヨウ素系偏光膜および染料系偏光膜は、一般にポリビニルアルコール系フィルムを用いて製造する。偏光膜の透過軸は、フィルムの延伸方向に垂直な方向に相当する。ディスコティック液晶性化合物を光学異方性層に用いた場合には、偏光膜の透過軸は、配向膜側のディスコティック液晶性分子の面に対し、実質的に平行になるように配置される。また、棒状液晶性化合物を用いた場合、偏光膜の透過軸は、棒状液晶性分子の長軸方向(遅相軸)と、実質的に平行になるように配置する。通常は、位相差板の支持体側に張り合わせるのが好ましいが、必要によっては、光学異方性層側と張り合わせてもよい。
(2)透明保護膜
位相差板の光学異方性層側に透明保護膜として、透明なポリマーフィルムが用いられることが好ましい。保護膜が透明であるとは、光透過率が80%以上であることを意味する。透明保護膜としては、一般にセルロースエステルフィルム、好ましくはトリアセチルセルロースフィルムが用いられる。セルロースエステルフィルムは、ソルベントキャスト法により形成することが好ましい。透明保護膜の厚さは、20〜500μmであることが好ましく、50〜200μmであることがさらに好ましい。
5.液晶表示装置
本発明の位相差板は、様々な表示モードの液晶セルを有する液晶表示装置に用いることができる。前述した様に、本発明の位相差板は、液晶セルの光学補償シートして有用である。液晶性分子からなる光学異方性層有する光学補償シートは、透過型については、TN(Twisted Nematic)、IPS(In−Plane Switching)、FLC(Ferroelectric LiquidCrystal)、OCB(Optically Compensatory Bend)、STN(Supper TwistedNematic)、VA(Vertically Aligned)、ECB(Electrically ControlledBirefringence)、反射型については、TN、HAN(Hybrid Aligned Nematic)、GH(Guest−Host)等の液晶セルに対応するものが既に提案されている。本発明によって得られる位相差板および偏光板は、その配向状態によって種々の液晶表示モードに適用できる。例えば、図5に示した、ディスコティック液晶を配向膜側から空気界面側まで垂直に配向させた光学異方性層を有する位相差板は、透過型のIPSモードに;図6に示した、ディスコティック液晶を配向膜側では垂直に空気界面側では水平にハイブリッド配向させた光学異方性層を有する位相差板は、反射型のTNモードに;及び図7に示した、棒状液晶を直交させて位相差板の遅相軸と偏光膜の透過軸とを実質的に平行になるようにした光学異方性層を有する位相差板は、例えば、透過型のTNモードやVAモードの液晶表示装置、特にVAモードの液晶表示装置に好適に;用いることができる。VAモードの液晶セルには、(1)棒状液晶性分子を電圧無印加時に実質的に垂直に配向させ、電圧印加時に実質的に水平に配向させる狭義のVAモードの液晶セル(特開平2−176625号公報記載)に加えて、(2)視野角拡大のため、VAモードをマルチドメイン化した(MVAモードの)液晶セル(SID97、Digest of tech.Papers(予稿集)28(1997)845記載)、(3)棒状液晶性分子を電圧無印加時に実質的に垂直配向させ、電圧印加時にねじれマルチドメイン配向させるモード(n?ASMモード)の液晶セル(日本液晶討論会の予稿集58〜59(1998)記載)および(4)SURVAIVALモードの液晶セル(LCDインターナショナル98で発表)が含まれる。
以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、試薬、割合、操作などは本発明の精神から逸脱しない限り適宜変更することができる。従って、本発明の範囲は以下に示す具体例に制限されるものではない。
[AL−1の合成例]
Figure 2005097377
1000mLの三口フラスコにアセトン(100ml)を添加し、塩化シアヌル(18.4g、0.1mol)を溶解し、0℃に冷却したところへ、メタトルイジン(21.4g、0.2mol)のアセトン溶液(100ml)をゆっくりと添加した。反応液を40℃まで加温し、更に2時間過熱攪拌後、4−アミノフェネチルアルコール(20.6g、0.15mol)のトルエン溶液(300ml)を添加し、加熱還流を4時間行った。反応液を冷却後アセトンを減圧除去し、飽和重曹水、飽和食塩水、水で順次洗浄したトルエン溶液を濃縮したのち、再結晶を施して、ビスメタトリルアミノ−ヒドロキシエチルアミノトリアジン(中間体A)を定量的に得た。この中間体Aをジメチルアセトアミドに溶解後5℃に冷却し、当量のアクリル酸クロライドを添加し、更に、そのまま4時間攪拌した。反応液を酢酸エチル/水で分液操作後、有機層を濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーによって、モノマーである、ビスメタトリルアミノ−ヒドロキシエチルアミノトリアジンのアクリルエステル体(中間体B)36g(収率75%)を得た。
Figure 2005097377
1000mLの三口フラスコに2−ブタノン(250ml)を入れ、窒素を35ml/分の流量で流しながら60℃に加熱したところへ、開始剤(AIBN:2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、0.35g)の2−ブタノン(10ml)溶液を添加した。その後直ぐに、中間体B(30g:0.0625mol)とアクリル酸(10g:0.204mol)の2−ブタノン(50ml)溶液を2時間掛けて滴下した。滴下終了後、再度開始剤(AIBN:2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、0.45g)の2−ブタノン(10ml)溶液を添加し、そのままの温度で4時間反応させた。その後、反応系を室温に戻した後、攪拌されたヘキサン/酢酸エチル(1/1:3L)中にゆっくりと注加し、析出したポリマーを吸引ろ過によって取り出し、更に乾燥した。得られたポリマーの残渣は36gであった。このポリマーを乾燥することによって、本発明に用いられる配向膜(AL−1)を28g得た。得られたポリマーの1H−NMRより、ポリマー(AL−1)は繰り返し単位(I−1)と(II−1)がモル比で23/77、質量比で75/25の組成で構成されていることが確認された。
[実施例1]
1.位相差板の作製
(1)配向膜の形成
厚さ100μm、幅150mm、長さ200mの光学的に等方性のトリアセチルセルロースフィルムを透明支持体として用いた。本発明の配向膜(AL−1)を水/メタノール混合液に4質量%になるように希釈し、中和剤としてトリエチルアミンを添加し、配向膜の塗布液を調液した。この塗布液を透明支持体の片面に連続塗布し、塗布層を120℃で2分間加熱して、乾燥し、厚さ1μmの配向膜を形成した。次いで、透明支持体の長手方向(搬送方向)に連続的にラビング処理を実施し、本発明の配向膜E−101を形成した。
(2)光学異方性層の形成
ラビング処理を行った配向膜の上に、下記の組成の塗布液をバーコーターを用いて連続的に塗布した。塗布層を100℃で1分間加熱して、ディスコティック液晶性分子を配向させた。その温度で4秒間、600mj/cm2の紫外線を照射してディスコティック液晶性分子を重合させ、配向状態を固定した。このようにして光学的異方性層を形成し、本発明の位相差板RL−101を作製した。波長550nmにおける面内レターデーション(Re)および厚み方向のレターデーション(Rth)をエリプソメーター(M−150、日本分光(株)製)を用いて測定したところ、Reは30nm、Rthは115nmであった。
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光学的異方性層(A)塗布液組成
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下記のディスコティック液晶性化合物 III−1 14.5質量%
下記の増感剤 0.15質量%
下記の光重合開始剤 0.45質量%
下記の配向制御剤 D−1 0.20質量%
メチルエチルケトン 84.7質量%
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Figure 2005097377
(3)位相差板の配向状態と配向欠陥の評価
円偏光板とする前の積層位相差板を偏光顕微鏡下で観察し、配向状態および配向欠陥の評価を行った。作製した円偏光板は、図4に示す様に、長尺状の支持体21上に配向膜22および光学異方性層23を形成した長尺状の円偏光板であった。配向状態を光学顕微鏡を用いて目視評価した結果、ディスコティック液晶性分子は、図5に示す配向状態に固定されていることを確認した。即ち、作製した光学異方性層23中において、ディスコティック液晶性分子01が、分子の円盤面とラビング方向(位相差板の長手方向)とのなす角を直交にして、且つ配向膜平面に対して垂直にして、配向している垂直直交型の配向状態に固定されていることを確認した。さらに、光学異方性層23中に生じた配向欠陥の数を光学顕微鏡で観察して調べた結果、点欠陥の個数(1.0mm2範囲の平均値)は1.0mm2範囲で10個以下であった。
(4)密着性の評価
位相差板作製後、その表面を金具で引っ掻き、配向膜から光学異方性層の剥がれやすさを評価した。評価基準としては、A:全く剥がれない、B:少し剥がれる、C:剥がれやすい、の3段階で評価した結果、R−101はBのレベルであった。
2.偏光板の作製
厚さ80μmのロール状ポリビニルアルコールフィルムをヨウ素水溶液中で連続して5倍に延伸し、乾燥して偏光膜を得た。偏光膜の一方の面に、ケン化処理したロール状セルローストリアセテートフィルム(フジタックTD80UF、富士写真フイルム(株)製)を、他方の面にケン化処理したロール状位相差板(RL−101)の透明支持体を、連続して貼り合わせ、偏光板HL−101を作製した。作製した偏向板を透過型IPS用液晶セルに貼り付け、人物画像を表示した状態を目視で観察した結果、ムラの無い画像が得られた。
[実施例2]
実施例1に示した、位相差板の作製方法において、本発明の配向膜AL−1の代わりに、以下の表2に示した、本発明の配向膜用ポリマー、AL−3、AL−4、AL−9、AL−11、AL−12およびAL−14、更に比較例として、下記配向膜AM−1に変更したこと以外は、全て実施例1と同様にして、本発明の位相差板RL−102〜107、および比較用位相差板RM−101をそれぞれ作製した。また、配向膜にAL−4を用い、更に配向膜の形成時に用いる塗布液中に添加剤として、配向膜の側鎖置換基と水素結合可能なバルビツール酸を添加(2.0質量%)したこと以外は、全て実施例1と同様にして位相差板RL−108を作製した。
作製した位相差板について、上記と同様に光学異方性層中のディスコティック液晶性分子の配向状態を観察したところ、本発明の配向膜用ポリマーを用いた位相差板RL−102〜108のディスコティック液晶性分子の配向は、RL−101と同様、図5に示した垂直直交型であった。一方、比較用配向膜22’を用いた位相差板RM−101の光学異方性層25を同様に観察すると、図8(a)に側面模式図および図8(b)正面模式図に示した様に、ディスコティック液晶性分子01が、分子の円盤面をラビング方向(位相差板の長手方向)と平行にして、且つ配向膜平面と垂直にして配向した垂直平行型の配向が多く観測された。作製したこれら位相差板について上記と同様にして求めた配向欠陥の数、および密着性の評価結果を以下の表2に示した。
更に、実施例1において用いた位相差板RL−101を、位相差板RL−102〜108および比較用位相差板RM−101にそれぞれ代えた以外は、実施例1と同様にして、偏光板HL−102〜108およびHM−101をそれぞれ作製した。作製したこれらの偏光板について、上記と同様に透過型IPS用液晶セルに貼り付けて画像表示性能を評価した。結果を表2に示す。
Figure 2005097377
Figure 2005097377
[実施例3]
実施例1に示した、位相差板の作製方法において、光学異方性層の形成時に用いる塗布液中の配向制御剤を以下のD−2に変更した以外は、全て実施例1と同様にして、位相差板RL−201を作製した。作製した円偏光板は、図4に示す様に、長尺状の支持体21上に配向膜22および光学異方性層23’を有する長尺状の円偏光板であった。配向状態を、光学顕微鏡を用いて目視評価した結果、ディスコティック液晶性分子は、図6に示す配向状態に固定されていることを確認した。即ち、光学異方性層23’中において、ディスコティック液晶性分子01が、分子の円盤面とラビング方向(位相差板の長手方向)とのなす角を直交にして、且つ配向膜界面23’a側では配向膜平面とのなす角を垂直にして配向しているが、厚み方向に空気界面23’bに近づくに従って徐々に円盤面と配向膜平面とのなす角が減少し、空気界面23’b側では略水平に配向した垂直ハイブリッド型の配向状態に固定されていることを確認した。さらに、光学異方性層23’中に生じた配向欠陥の数、および密着性を上記と同様にして求めた。結果を以下の表3に示した。
Figure 2005097377
[実施例4]
実施例3に示した、位相差板の作製方法において、本発明の配向膜AL−1の代わりに、以下の表3に示した、本発明の配向膜用ポリマー、AL−3、AL−4、AL−9、AL−11、AL−12およびAL−14、更に比較例として、上記配向膜AM−1に変更したこと以外は、全て実施例3と同様にして、本発明の位相差板RL−202〜207、および、比較用位相差板RM−201をそれぞれ作製した。また、配向膜用ポリマーにAL−4を用い、更に配向膜の形成時に用いる塗布液中に添加剤として、配向膜の側鎖置換基と水素結合可能なバルビツール酸を添加(2.0質量%)したこと以外は、全て実施例3と同様にして位相差板RL−208を作製した。
作製した位相差板について、上記と同様に光学異方性層中のディスコティック液晶性分子の配向状態を観察したところ、本発明の配向膜用ポリマーを用いた位相差板RL−202〜208のディスコティック液晶性分子の配向は、RL−201と同様、図6に示した垂直直交型であった。一方、比較用の配向膜22’を用いた位相差板RM−201の光学異方性層25’を同様に観察すると、図9(a)に側面模式図および図9(b)正面模式図に示した様に、ディスコティック液晶性分子01が、空気界面25’b側でランダムに平行に並んでしまい、結果として海島模様が観測された。作製したこれら位相差板について上記と同様にして求めた配向欠陥の数、および密着性の評価結果を以下の表3に示した。また、これらの位相差板RL−201〜208およびRM−201をそれぞれ用いて、実施例1と同様にして偏光板HL−201〜208およびHM−201をそれぞれ作製し、上記と同様にして画像表示性能を評価した。これらを反射型TNモードの液晶セルに貼り付け、人物画像を表示した状態を目視で観察した結果、ムラの無い画像が得られた。評価結果を下記表3に示す。
Figure 2005097377
[実施例5]
実施例1に示した、位相差板の作製方法において、光学異方性層の形成時に用いる塗布液中のディスコティック液晶性化合物を以下の棒状液晶性化合物IV―1に変更したこと以外は、全て実施例1と同様にして、位相差板RL−301を作製した。作製した円偏光板は、図4に示す様に、長尺状の支持体21上に配向膜22および光学異方性層23”を形成した長尺状の円偏光板であった。配向状態を光学顕微鏡を用いて目視評価した結果、棒状液晶性分子は、図7に示す配向状態に固定されていることを確認した。即ち、作製した光学異方性層23”中において、棒状液晶性分子03が、配向膜側から空気界面側に至るまで、分子の長軸方向とラビング方向(位相差板の長手方向)とのなす角を直交にして配向した状態で固定されていた。更に、位相差板RL−301の配向欠陥、および密着性を上記と同様に求めた。また、位相差板RL−301を用いて、実施例1と同様に偏光板HL−301を作製し、この偏光板HL−301をVA用液晶セルに貼り付け、人物画像を表示した状態の目視観察結果を以下の表4に示した。
Figure 2005097377
[実施例6]
実施例5で用いた配向膜用ポリマーAL−1に代えて、以下の表4に示した、本発明の配向膜用ポリマー、AL−3、AL−4、AL−9、AL−11、AL−12、およびAL−14、更に比較例として、上記配向膜AM−2を用いた以外は、全て実施例6と同様にして、本発明の位相差板RL−302〜307、および、比較用位相差板RM−301をそれぞれ作製した。また、配向膜用ポリマーにAL−4を用い、更に配向膜の形成時に用いる塗布液中に添加剤として、配向膜の側鎖置換基と水素結合可能なバルビツール酸を添加(2.0質量%)したこと以外は、全て実施例5と同様にして位相差板RL−308を作製した。さらに、これらの位相差板RL−301〜308およびRM−301をそれぞれ用いて、実施例1と同様にして偏光板HL−301〜308およびHM−301をそれぞれ作製した。
作製した位相差板について、上記と同様に光学異方性層中の棒状液晶性分子の配向状態を観察したところ、本発明の配向膜用ポリマーを用いた位相差板RL−302〜308において、およびRM−301においても、棒状液晶性分子の配向は、RL−301と同様(図7)、分子の長軸をラビング方向に直交して配向した状態に固定されていた。しかしながら、比較用の配向膜AM−2を用いた位相差板RM−301では、液晶性分子の一部については、その長軸をラビング方向と水平方向にして配向したものも観察された。その結果、画像表示性能としてはムラが生じた。以下に、上記と同様にして求めたこれら位相差板の配向欠陥および密着性の評価結果、更に画像表示性能について、表4に示した。
Figure 2005097377
Figure 2005097377
以上結果から、本発明の配向膜を用いることによって、従来の配向膜では困難であったディスコティック液晶性分子を略垂直に、且つ、ディスコティック液晶性分子の面とラビング方向が略直交に、および、棒状液晶性分子の長軸方向とラビング方向をムラなく略直交に配向させる位相差板が得られることがわかる。また、結果として良好な画像表示性能を与える偏光板を得ることができた。
ディスコティック液晶性分子のラビング方向に対する配向状態を模式的に示した図である。 棒状液晶性分子のラビング方向に対する配向状態を模式的に示した図である。 本発明の位相差板の一実施形態の断面模式図である。 本発明の位相差板の一実施形態の斜視図である。 本発明の位相差板の一実施形態の(a)側面模式図および(b)正面模式図である。 本発明の位相差板の一実施形態の(a)側面模式図および(b)正面模式図である。 本発明の位相差板の一実施形態の(a)側面模式図および(c)上面模式図である。 比較例の位相差板の(a)側面模式図および(b)正面模式図である。 他の比較例の位相差板の(a)側面模式図および(b)正面模式図である。
符号の説明
01 ディスコティック液晶性分子
02 配向膜表面
03 棒状液晶性分子
04 ラビング方向
11、21 透明支持体
12、22 配向膜
13、23、23’、23” 光学異方性層
14、24、24’、24” 位相差板

Claims (15)

  1. 下記一般式(I)で表される少なくとも一種の構成単位を有する重合体を含む配向膜。
    Figure 2005097377
    一般式(I)
    (式中、MpはLとn個の部位で結合している(2+n)価の連結基を表し、Lは(1+n)価の連結基を表し、nは1または2を表し、Aは炭素数10以上のアリール基または少なくとも一つのアリール基が連結したヘテロ環基を表す。)
  2. 上記一般式(I)中、Mpが、置換もしくは無置換のエチレン基またはその二種以上の組み合わせからなる基から誘導される(2+n)価の連結基である請求項1に記載の配向膜。
  3. 上記一般式(I)中、Aが炭素数16以上のアリール基または少なくとも一つのアリール基が連結した窒素原子を2もしくは3個含有するヘテロ環を表す請求項1または2に記載の配向膜。
  4. 上記一般式(I)中、Aが置換もしくは無置換のトリフェニレン環または少なくとも一つのアリール基が連結したトリアジン環を表す請求項1〜3のいずれか1項に記載の配向膜。
  5. 上記一般式(I)中、Aが少なくとも二つのアリール基が連結したトリアジン環を表す請求項1〜4のいずれか1項に記載の配向膜。
  6. 上記一般式(I)中のAと水素結合する少なくとも一種の化合物を含む請求項1〜5のいずれか1項に記載の配向膜。
  7. 透明支持体上に、請求項1〜6のいずれか1項に記載の配向膜と、更にその上に、該配向膜によって配向制御され、且つその配向状態に固定された液晶組成物からなる光学異方性層を有する位相差板。
  8. 前記液晶組成物に含まれる液晶化合物が、ディスコティック液晶性化合物であり、前記ディスコティック液晶性化合物の分子が、配向膜界面側において分子の円盤面とラビング方向とのなす角を略直交にして、且つ前記配向膜平面とのなす角を略垂直にして配向している請求項7に記載の位相差板。
  9. 前記液晶組成物に含まれる液晶化合物が、ディスコティック液晶性化合物であり、前記ディスコティック液晶性化合物の分子が、空気界面側において分子の円盤面とラビング方向とのなす角を略直交にして、且つ前記配向膜平面とのなす角を略垂直にして配向している請求項7に記載の位相差板。
  10. 前記液晶性組成物に含まれる液晶性化合物が、棒状液晶性化合物であり、前記棒状液晶性化合物の分子が、配向膜界面側において分子の長軸方向とラビング方向とのなす角を略直交にして、且つ前記配向膜平面とのなす角を略平行にして配向している請求項7に記載の位相差板。
  11. 表面にラビング処理を施された請求項1〜6のいずれか1項に記載の配向膜のラビング処理面に、ディスコティック液晶性化合物を含有する液晶性組成物を適用して、少なくとも配向膜界面または空気界面において前記ディスコティック液晶性化合物の分子を、その円盤面とラビング方向とのなす角を略直交にして、且つ前記配向膜平面とのなす角を略垂直にして配向させる工程を含む位相差板の作製方法。
  12. 表面にラビング処理を施された請求項1〜6のいずれか1項に記載の配向膜のラビング処理面に、棒状液晶性化合物を含有する液晶性組成物を適用して、少なくとも配向膜界面において前記棒状液晶性化合物の分子を、その長軸方向とラビング方向とのなす角を略直交にして、且つ前記配向膜平面とのなす角を略平行にして配向させる工程を含む位相差板の作製方法。
  13. 請求項7〜10のいずれか1項に記載の位相差板を液晶セルの光学補償シートとして用いた画像表示装置。
  14. 前記液晶セルがIPS(In−Plane Switching)モードまたはVA(Vertically Aligned)モードである請求項13に記載の画像表示装置。
  15. 下記一般式(Ia)で表される少なくとも一種の構成単位を有する重合体。
    Figure 2005097377
    (式中、MpはLとn個の部位で結合している(2+n)価の連結基を表し、Lは(1+n)価の連結基を表し、nは1または2を表し、L1は単結合または2価の連結基を表し、Arはアリール基を表し、n1は1または2を表す。n1が1の場合、トリアジン環上の置換可能な部位は置換基によっても置換されていてもよい。)
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