JP4694929B2 - 重合性組成物、位相差板、高分子膜の作製方法、液晶表示装置 - Google Patents

重合性組成物、位相差板、高分子膜の作製方法、液晶表示装置 Download PDF

Info

Publication number
JP4694929B2
JP4694929B2 JP2005273953A JP2005273953A JP4694929B2 JP 4694929 B2 JP4694929 B2 JP 4694929B2 JP 2005273953 A JP2005273953 A JP 2005273953A JP 2005273953 A JP2005273953 A JP 2005273953A JP 4694929 B2 JP4694929 B2 JP 4694929B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
group
general formula
polymer
compound
polymerizable
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2005273953A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2006309120A (ja
Inventor
将 吉川
顕夫 田村
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Fujifilm Corp
Original Assignee
Fujifilm Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Fujifilm Corp filed Critical Fujifilm Corp
Priority to JP2005273953A priority Critical patent/JP4694929B2/ja
Publication of JP2006309120A publication Critical patent/JP2006309120A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4694929B2 publication Critical patent/JP4694929B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Liquid Crystal (AREA)
  • Polarising Elements (AREA)

Description

本発明は、配向膜と光学異方性層とを有する位相差板、特に、配向膜のポリマーと光学異方性層の液晶性化合物が、配向膜と光学異方性層の界面で良好に密着している位相差板に関する。また、本発明は、かかる位相差板の作製方法及び該位相差板を有する液晶表示装置に関する。また、本発明は、高分子膜の作製に有用な重合性組成物、及び、それらを用いた高分子膜の作製方法に関する。
位相差板は画像着色解消や視野角拡大のために、様々な液晶表示装置で用いられている。従来、位相差板としては延伸複屈折フィルムが使用されていたが、近年、延伸複屈折フィルムに代えて、透明支持体上にディスコティック液晶性分子からなる光学異方性層を有する位相差板を使用することが提案されている。この光学異方性層は、通常、ディスコティック液晶分子を含む組成物を配向膜上に塗布し、配向温度よりも高い温度に加熱してディスコティック液晶性分子を配向させ、その配向状態を固定することにより形成される。
ディスコティック液晶化合物の配向方向を規定する配向膜としては、種々のものが知られており、SiO、TiO2、MgF2等の金属酸化物やフッ化物を蒸着物質とした無機斜方蒸着膜や、アゾベンゼン誘導体からなるLB膜のように光により異性化を起こし、分子が方向性を持って均一に配列する薄膜などが挙げられ、中でも、生産性の点から、表面をラビング処理したポリマー層が好ましい。この配向膜用のポリマーとして、ポリイミドがしばしば用いられている。他にも特許文献1に記載のポリアミド、特許文献2、3、4又は5等に記載のポリビニルアルコールや、ポリスチレン、ポリビニルカルバゾールなども用いられている。
中でも、特許文献3に記載の、水酸基の一部が架橋性基に置換された変性ポリビニルアルコールを配向膜として用いた位相差板は、全方向視野角が格段に拡大させるものである。この位相差板は、透明支持体、その上に設けられたラビング処理ポリビニルアルコールの配向膜、及び、配向膜上に形成された円盤状液晶性化合物の光学異方性層からなる。このシートでは、円盤状液晶性化合物を使用することにより、拡大した視野角が得られている。さらにこの配向膜には、架橋性基が導入されているため、配向膜のポリマーと光学異方性層とが、これらの層の界面を介して化学的に結合していることを特徴とするため、長期間保存したり、使用した場合にでも剥離することはない。しかしながら、上記配向膜中に含まれる架橋性基は、円盤状液晶化合物の配向を阻害するため、配向速度が遅く、配向欠陥が生じやすい。また、この配向膜は、ポリビニルアルコールに高分子反応させて架橋性基を導入するため、ポリマーの合成に手間とコストがかかるというデメリットも生じる。
更に、前記の架橋性基を有するポリマー等からなる配向膜上においても、完全に光学異方性層と配向膜層との密着性を付与するためには、高温条件下でのUV照射による硬化が必要であったが、高温条件下では液晶性化合物の揺らぎの増大によるΔnの低下が起こる。従って、所望の光学特性(Re,Rth)にみあった光学異方性層を得るためには、高温における固定化によって生じたΔnの低下を補うために膜厚を厚くする必要があり、それに伴う面状の悪化等が問題であった。この様なことから、低温条件下でも光学異方性層と配向膜層との密着性を付与できる技術が強く望まれていた。
特開平3−9326号公報 特開平3−291601号公報 特開平9−152509号公報 特開平14−268068号公報 特開平14−350859号公報
本発明は、液晶表示装置の視野角の拡大に寄与する、耐久性に優れた位相差板を提供することを課題とする。
また、本発明は、視野角が拡大された液晶表示装置を提供することを課題とする。
また、本発明は位相差板等光学部材の作製に有用な重合性組成物、及び高分子膜の製造方法を提供することを課題とする。
上記課題は以下の手段によって達成された。
[1] 透明支持体、ポリマー組成物からなる配向膜、及び、少なくとも一種の液晶性化合物を含有する光学異方性層が、この順で設けられた位相差板であって、前記配向膜及び/又は光学異方性層中に、少なくとも一種の下記一般式(A)で表される化合物及び/又は該化合物の誘導体を含有する位相差板:
一般式(A)
(Z)n−X−Q
一般式(A)中、Zは重合性基を有する置換基を表し、nは0〜4の整数を表し、nが1〜4の場合、Xはn+1価の連結基を表し、nが0の場合、Xは水素原子、又は、置換もしくは無置換の、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基又はヘテロアリール基を表し、Qは配向膜に吸着して結合が可能な基を表す。
[2] 透明支持体、ポリマー組成物からなる配向膜、及び、少なくとも一種の液晶性化合物を含有する光学異方性層が、この順で設けられた位相差板であって、前記光学異方性層中に、下記一般式(I)で表される化合物の少なくとも一種を含有する[1]に記載の位相差板:
Figure 0004694929
一般式(I)中、X1は二価の連結基、水素原子、又は、置換もしくは無置換のアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基又はヘテロアリール基を表し、Zは重合性基を有する置換基を表し、Qは配向膜に吸着して結合が可能な基を表す(但し、Zを有していなくてもよく、Zを有する場合にはX1は二価の連結基を表す)。
[3] 前記一般式(I)で表される化合物が、下記一般式(II)で表される化合物である[1]又は[2]に記載の位相差板:
Figure 0004694929
一般式(II)中、R1及びR2はそれぞれ独立に、水素原子、又は、置換もしくは無置換の脂肪族炭化水素基、アリール基又はヘテロアリール基を表し、アルキレン連結基、アリール連結基、又はこれらの組み合わせからなる連結基を介して連結してもよい。また、X1及びZは、一般式(I)中のX1及びZと同義である(但し、Zを有していなくてもよく、Zを有する場合にはX1は二価の連結基を表す)。
[4] 前記一般式(II)中、R1及びR2がそれぞれ水素原子を表し、一般式(I)又は(II)中、Zが下記一般式(III)で表される基、又はオキシラニル部分もしくはオキセタン部分を有する基である[1]、[2]もしくは[3]に記載の位相差板:
Figure 0004694929
一般式(III)中、R3は水素原子又はメチル基であり、L1は単結合又はO−、−CO−、−NH−、−CO−NH−、−COO−、−O−COO−、アルキレン基、アリーレン基、ヘテロ環基、及びそれらの組み合わせから選ばれる二価の連結基である。
[5] 前記配向膜が、下記一般式(IV)で表される少なくとも1種の構成単位を含むポリマーを含有する[1]〜[4]のいずれかの位相差板:
Figure 0004694929
一般式(IV)中、Mpはポリマーの主鎖を構成する(2+n)価の基を表し、L2は1+n価の連結基を表し、nは1又は2を表し、X2は水素結合性基を表す。
[6] 一般式(IV)で表される構成単位を含有する液晶配向膜ポリマーが、ポリビニルアルコール誘導体である[5]に記載の位相差板。
[7] 前記一般式(I)で表される化合物が、該化合物を含有しない光学異方性層と配向膜との密着性よりも、光学異方性層と配向膜との密着性をより高くする機能を有する[1]〜[6]のいずれかの位相差板。
[8] 少なくとも一種の重合性化合物、及び少なくとも一種の下記一般式(B)で表される化合物を含有する重合性組成物。
一般式(B)
(Z)n−X−QB
一般式(B)中、Zは重合性基を有する置換基を表し、nは0〜4の整数を表し、nが1〜4の場合、Xはn+1価の連結基を表し、nが0の場合、Xは水素原子、又は、置換もしくは無置換のアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基又はヘテロアリール基を表し、QBは少なくとも一つのホウ素原子を含有する置換基を表す。
[9] 前記一般式(B)中、nが1を表し、Xが二価の連結基を表す[8]に記載の重合性組成物。
[10] 前記一般式(I)中、QBで表される置換基が、下記一般式(C)で表される[8]又は[9]に記載の重合性組成物。
Figure 0004694929
一般式(C)中、R1及びR2はそれぞれ独立に、水素原子、又は、置換もしくは無置換の脂肪族炭化水素基、アリール基又はヘテロアリール基を表し、R1及びR2は、アルキレン連結基、アリール連結基、又はこれらの組み合わせからなる連結基を介して互いに連結してもよい。
[11] 前記一般式(B)中、Zで表される重合性基が下記一般式(III)で表される基、又はオキシラニル部分もしくはオキセタン部分を有する基である[8]、[9]もしくは[10]に記載の重合性組成物。
Figure 0004694929
一般式(III)中、R3は水素原子又はメチル基であり、L1は単結合又はO−、−CO−、−NH−、−CO−NH−、−COO−、−O−COO−、アルキレン基、アリーレン基、ヘテロ環基、及びそれらの組み合わせから選ばれる二価の連結基である。
[12] 前記一般式(B)中、Zで表される重合性基が前記一般式(III)で表される基を表し、nが1を表し、X1が少なくとも一つのアリール基を含む二価の連結基を表し、QBが前記一般式(C)を表し、且つ、一般式(C)中のR1及びR2が水素原子を表す事を特徴とする[8]〜[11]のいずれかに記載の重合性組成物。
[13] 前記重合性組成物中に含有される少なくとも一つの重合性化合物が、液晶性化合物であることを特徴とする、[8]〜[12]のいずれかに記載の重合性組成物。
[14] 基板上で重合性組成物を硬化させて高分子膜を作製する方法であって、前記重合性組成物が、少なくとも1種の下記一般式(D)で表される化合物を含有する高分子膜の作製方法:
一般式(D)
(Z)n−X−QD
一般式(A)中、Zは重合性基を有する置換基を表し、nは0〜4の整数を表し、nが1〜4の場合、Xはn+1価の連結基を表し、nが0の場合、Xは水素原子、又は、置換もしくは無置換のアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基又はヘテロアリール基を表し、QDは基板に吸着可能な基を表す。
[15] 前記重合性組成物が、前記[8] 〜[13]のいずれかに記載の重合性組成物であることを特徴とする[14]に記載の高分子膜の作製方法。
[16] [14]もしくは[15]に記載の基板が、少なくとも一種の透明支持体上に配向膜を有する基板であり、重合性組成物が前記[13]に記載の液晶性化合物を含有する重合性組成物である事を特徴とする高分子膜の作製方法。
[17] 前記配向膜が、下記一般式(IV)で表される少なくとも1種の構成単位を含むポリマーを含有する[16]に記載の高分子膜の作製方法。
Figure 0004694929
一般式(IV)中、Mpはポリマーの主鎖を構成する(2+n)価の基を表し、L2は1+n価の連結基を表し、nは1又は2を表し、X2は水素結合性基を表す。
[18] 一般式(IV)で表される構成単位を含有する液晶配向膜ポリマーが、ポリビニルアルコール誘導体である[17]に記載の高分子膜の作製方法。
[19] [16]、[17]、もしくは、[18]に記載の高分子膜の作製方法において、配向膜基板上に形成された高分子膜が、光学的に異方性を有することを特徴する作製方法。
[20] 前記高分子膜の作製方法において、重合性組成物を硬化させる温度が、80℃以下であることを特徴とする[14]〜[19]のいずれかに記載の高分子膜の作製方法。
[21] 前記[14]〜[20]のいずれかに記載の方法で作製された位相差板。
[22] 基板と高分子膜とが密着した[21]に記載の位相差板。
[23] 前記[1]〜[7]、[21]もしくは[22]のいずれかに記載の位相差板と、偏光膜とを有する楕円偏光板。
[24] 前記[1]〜[7]、[21]もしくは[22]のいずれかに記載の位相差板を有する液晶表示装置。
本明細書において、「偏光膜」及び「偏光板」を区別して用いるが、「偏光板」は「偏光膜」の少なくとも片面に該偏光膜を保護する透明保護膜を有する積層体のことを意味するものとする。
本発明によれば、液晶性化合物からなる光学異方性層に所定の化合物を添加することにより、透明支持体、ポリマーからなる配向膜、該光学異方性層がこの順に設けられてなる位相差板に、優れた耐久性と視野角特性の改善機能とを付与することができる。本発明によれば、耐久性を改善するために、従来配向膜中に使用されていた架橋性基が導入された特殊なポリマー等は必要ではなく、安価で合成容易なポリマーを配向膜に使用することができる。また、本発明の重合性組成物を低温条件で硬化させた場合においても、基板との密着性を付与することができ、光学異方性層の膜厚を低減できることから面状にも優れた位相差板を提供することができる。
発明の実施の形態
以下において、本願発明の内容について詳細に報告する。尚、本願明細書において「〜」とはその前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用される。
まず、本明細書における、Re(λ)、Rth(λ)、チルト角及び平均チルト角の詳細について以下に記す。
また、本明細書において、Re(λ)、Rth(λ)は各々、波長λにおける面内のリターデーション及び厚さ方向のリターデーションを表す。Re(λ)はKOBRA 21ADH(王子計測機器(株)製)において波長λnmの光をフィルム法線方向に入射させて測定される。Rth(λ)は前記Re(λ)、面内の遅相軸(KOBRA 21ADHにより判断される)を傾斜軸(回転軸)としてフィルム法線方向に対して+40°傾斜した方向から波長λnmの光を入射させて測定したレターデーション値、及び面内の遅相軸を傾斜軸(回転軸)としてフィルム法線方向に対して−40°傾斜した方向から波長λnmの光を入射させて測定したレターデーション値の計3つの方向で測定したレターデーション値と平均屈折率の仮定値及び入力された膜厚値を基にKOBRA 21ADHが算出する。ここで平均屈折率の仮定値はポリマーハンドブック(JOHN WILEY&SONS,INC)、各種光学フィルムのカタログの値を使用することができる。平均屈折率の値が既知でないものについてはアッベ屈折計で測定することができる。主な光学フィルムの平均屈折率の値を以下に例示する: セルロースアシレート(1.48)、シクロオレフィンポリマー(1.52)、ポリカーボネート(1.59)、ポリメチルメタクリレート(1.49)、ポリスチレン(1.59)である。
また、本明細書において、光学異方性層中のディスコティック化合物の分子の平均チルト角とは、光学異方性層の一方の面(本発明の位相差板においては配向膜表面)と光学異方性中のディスコティック化合物の分子の物理的な対象軸とのなす角度をチルト角θ1、及び、他方の面(本発明の位相差板においては空気界面)とのなす角度をチルト角θ2とし、その平均値((θ1+θ2)/2)として定義する。しかしながら、θ1及び他方の面のチルト角θ2を、直接的にかつ正確に測定することは困難である。そこで本明細書においては、θ1及びθ2は、以下の手法で算出する。本手法は実際の配向状態を正確に表現していないが、光学フィルムのもつ一部の光学特性の相対関係を表す手段として有効である。
本手法では算出を容易にすべく、下記の2点を仮定し、光学異方性層の2つの界面におけるチルト角とする。
1.光学異方性層は円盤状化合物や棒状化合物を含む層で構成された多層体と仮定する。さらに、それを構成する最小単位の層(円盤状化合物又は棒状化合物のチルト角は該層内において一様と仮定)は光学的に一軸と仮定する。
2.各層のチルト角は光学異方性層の厚み方向に沿って一次関数で単調に変化すると仮定する。
具体的な算出法は下記のとおりである。
(1)各層のチルト角が光学異方性層の厚み方向に沿って一次関数で単調に変化する面内で、光学異方性層への測定光の入射角を変化させ、3つ以上の測定角でレターデーション値を測定する。測定及び計算を簡便にするためには、光学異方性層に対する法線方向を0°とし、−40°、0°、+40°の3つの測定角でレターデーション値を測定することが好ましい。このような測定は、KOBRA−21ADH及びKOBRA−WR(王子計測器(株)製)、透過型のエリプソメーターAEP−100((株)島津製作所製)、M150及びM520(日本分光(株)製)、ABR10A(ユニオプト(株)製)で行うことができる。
(2)上記のモデルにおいて、各層の常光の屈折率をno、異常光の屈折率をne(neは各々すべての層において同じ値、noも同様とする)、及び多層体全体の厚みをdとする。さらに各層におけるチルト方向とその層の一軸の光軸方向とは一致するとの仮定の元に、光学異方性層のレターデーション値の角度依存性の計算が測定値に一致するように、光学異方性層の一方の面におけるチルト角θ1及び他方の面のチルト角θ2を変数としてフィッティングを行い、θ1及びθ2を算出する。
ここで、no及びneは文献値、カタログ値等の既知の値を用いることができる。値が未知の場合はアッベ屈折計を用いて測定することもできる。光学異方性層の厚みは、光学干渉膜厚計、走査型電子顕微鏡の断面写真等により測定数することができる。
本発明は、透明支持体、ポリマー組成物からなる配向膜及び液晶性化合物からなる光学異方性層がこの順で有し、前記光学異方性層が後述する一般式(I)で表される化合物の少なくとも一種を含有する位相差板に関する。本発明の位相差板の好ましい態様は下記のとおりである。
1)配向膜中に含有されるポリマーが、ポリビニルアルコールから形成されている。
2)光学異方性層が、ビニル部分、オキシラニル部分又はアジリジニル部分を有する基をもつ液晶性化合物と、一般式(I)で表される化合物(より好ましくはZを有する重合性化合物)を含有する組成物から形成されている。
3)光学異方性層の液晶性化合物が、ビニル部分、オキシラニル部分又はアジリジニル部分を有する基を持つ円盤状液晶性化合物である。
以下に、本発明の、光学異方性層、液晶配向膜、透明支持体、及び、これらを用いた位相差板、更に、液晶表示装置についての詳細を記す。
[位相差板]
本発明の位相差板は、支持体上に少なくとも1種の重合体を主成分とした配向膜と、該配向膜によって配向制御され、且つその配向状態に固定された液晶性化合物を含有する光学異方性層を有する。図1は、本発明の位相差板の一実施形態の断面模式図である。図1に示す位相差板(05)は、透明支持体(01)上に、ポリマー組成物からなる配向膜(02)及び光学異方性層(03)を有する。配向膜(02)は、プラスチックフィルム等の透明支持体(01)の表面に、塗布又は蒸着等によって形成することができる。配向膜(02)の表面をラビングした後、液晶性化合物(04)を含有する組成物(塗布液)をラビング処理面に塗布すると、液晶性化合物の分子はラビング方向によって配向制御され、所望の配向角度に配向する。その後、その配向状態に液晶性分子を固定して、光学異方性層(03)を形成し、位相差板(05)が得られる。
また、図2に示した様に、上記光学異方性層(05)の透明支持体(01)側と、もう一方の透明支持体(06)とで偏光膜(07)を挟み込んで張り合わせることによって、偏光板(08)を作製することができる。
更に、ねじれ配向したネマチック液晶からなる液晶セルの両側に上記偏光板(08)を配置することによって、本発明の液晶表示装置を作製することができる。ただし、両偏光板の偏光軸は互いに直交されるように配置されている。
(1)光学異方性層
本発明の位相差板が有する光学異方性層は、液晶性化合物、好ましくは円盤状液晶性化合物、及び、本発明の化合物さらに、所望により重合性開始剤や他の添加剤を含む組成物から形成することができる。該組成物は、例えば、塗布液として調製される。該塗布液を、例えば、支持体上に形成された配向膜の表面に塗布し、液晶性化合物を配向、固定化することで形成することができる。液晶性化合物を配向及び固定化した後は、支持体を剥離してもよい。
(1)−1 光学異方性層の形成方法
前記光学異方性層は、液晶性化合物を可溶できる溶媒に溶解して調製した塗布液を、上記の様に支持体上に形成し、且つ、配向性が付与された配向膜上に塗布することによって作製することができる。また、可能であれば蒸着により形成してもよいが、塗布により形成するのが好ましい。塗布方法としてはカーテンコーティング法、ディップコーティング法、スピンコーティング法、印刷コーティング法、スプレーコーティング法、スロットコーティング法、ロールコーティング法、スライドコーティング法、ブレードコーティング法、グラビアコーティング法、ワイヤーバー法等の公知の塗布方法が挙げられる。次いで、25℃〜130℃において用いた溶媒を乾燥すると同時に、液晶性化合物を配向させ、更に、所望により紫外線照射等によって固定化することによって、液晶性化合物による光学異方性層が形成される。重合のための光照射は、紫外線を用いることが好ましい。照射エネルギーは、20mJ/cm2〜50J/cm2であることが好ましく、100mJ/cm2〜800mJ/cm2であることがさらに好ましい。光重合反応を促進するため、加熱条件下で光照射を実施してもよい。このようにして形成された光学異方性層の厚さは、用途に応じて、例えば、最適なレターデーションの値に応じてその好ましい範囲も異なるが、一般的には、0.1〜10μmであるのが好ましく、0.5〜5μmであるのがさらに好ましい。
(1)−2 光学異方性層の形成に用いられる材料
(1)−2−1 式(A)で表される化合物
本発明では、光学異方性層の形成に用いられる組成物中に、下記一般式(A)で表される化合物の少なくとも一種を含有させるのが好ましい。該化合物は、配向膜に対して強い相互作用を持つ置換基を有し、該組成物の塗布液を塗布後に一般式(A)で表される化合物の一部又は全部が配向膜と相互作用することにより配向膜界面及び配向膜の内部に拡散して吸着される。
従って、配向膜上に光学異方性層を形成した後では、塗布液中に添加された一般式(A)で表される化合物は、光学異方性層、配向膜、及び、両者の界面に、一般式(A)そのままの化学構造体、もしくは、一般式(A)で表される化合物が配向膜や他の添加剤と反応してなる誘導体として存在した状態をとる。
この(A)で表される化合物及び該化合物の誘導体が配向膜及び/又は光学異方性層中に存在する比率によらず、該化合物もしくはその誘導体と液晶性化合物が相互作用し、配向膜層と光学異方性層の密着性を高める効果がある。ここで、配向膜及び/又は光学異方性層中における(A)で表される化合物及び該化合物の誘導体の総質量%が、0.01質量%〜40質量%であることが好ましく、0.05質量%〜20質量%であることが最も好ましい。
また、該化合物が重合性基を有する場合は、紫外線照射等によって液晶性化合物を重合させる際に、該化合物及び液晶性化合物も互いに反応して架橋し、配向膜層と光学異方性層との密着性をさらに高める効果がある。
本発明に用いられる前記化合物は、下記一般式(A)で表される。
一般式(A)
(Z)n−X−Q
一般式(A)中、Zは重合性基を有する置換基を表し、nは0〜4の整数を表し、nが1〜4の場合、Xはn+1価の連結基を表し、nが0の場合、Xは水素原子、置換又は無置換のアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロアリール基を表し、Qは配向膜に吸着して結合が可能な基を表す。
一般式(A)中、Zが表す重合性基を有する置換基は、アクリレート基、メタクリレート基、スチリル基、ビニルケトン基、ブタジエン基、ビニルエーテル基、オキシラニル基、アジリジニル基又はオキセタン基等を含む置換基が好ましく、(メタ)アクリレート基、スチリル基、オキシラニル基もしくはオキセタン基を含む置換基がより好ましく、(メタ)アクリレート基又はスチリル基を含む置換基がさらに好ましい。
中でも、Zは、下記一般式(III)で表される基又はオキシラニル部分もしくはオキセタン部分を有する置換基であるのが好ましい。
Figure 0004694929
一般式(III)中、R3は水素原子又はメチル基であり、水素原子が好ましい。L1は、単結合又はO−、−CO−、−NH−、−CO−NH−、−COO−、−O−COO−、アルキレン基、アリーレン基、ヘテロ環基、及びそれらの組み合わせから選ばれる二価の連結基であり、単結合、−CO−NH−、又は−COO−が好ましく、単結合又は−CO−NH−が最も好ましい。
一般式(A)中、Qは、配向膜に吸着して結合することができる基である。例えば、配向膜がポリビニルアルコール等のヒドロキシル基を有する場合は、配向膜のヒドロキシル基と結合できる基が好ましい。Qとして好ましくは、−SiX3(Xはハロゲン、アルコキシ基、または、アルキル基を表し、少なくとも一つはハロゲンもしくはアルコキシ基である)、アルデヒド、エステル、カルボキシル基、イソシアネート、ボロン酸、もしくはボロン酸エステルなどである。なお、「配向膜に吸着して結合することができる基」とは、配向膜を構成している材料(主にはポリマー)が有する基と相互作用して、配向膜に化学吸着可能な基を意味する。一般式(A)で表される化合物が、配向膜中に含有される場合は、配向膜に吸着可能な基であるか否かは、配向膜を構成している材料(主にはポリマー)が有する基と相互作用可能か否かによって判断される。
一般式(A)で表される化合物は、少なくとも1個のホウ素原子を含んでいるのが好ましい。
また、一般式(A)中、Xはn+1価の連結基或いは水素原子、置換又は無置換のアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロアリール基を表す。
また、nは0〜4の整数を表すが、1を表す事がより好ましい。更に、一般式(A)で表される化合物は、下記一般式(I)で表される化合物であるのがより好ましい。
Figure 0004694929
一般式(I)中のX1は二価の連結基、水素原子、又は、置換もしくは無置換のアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基又はヘテロアリール基を表し、Z、及び、Qは、一般式(A)と同義である。(但し、Zを有していなくてもよく、Zを有する場合にはX1は二価の連結基を表す)。
一般式(I)がZを有する場合は、X1は二価の連結基を表し、二価の連結基としては、単結合、又は、−O−、−CO−、−NH−、−CO−NH−、−COO−、−O−COO−、アルキレン基、アリーレン基、ヘテロアリール基及びそれらの組み合わせから選ばれる二価の連結基が好ましく、置換もしくは無置換のアリーレン基がより好ましい。また、Xが表すアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基及びヘテロアリール基については、下記一般式(II)中のR1及びR2が表すそれぞれと同義であり、好ましい範囲も同様である。またこれらの基が有する置換基の例は、下記置環基群Yから選ばれる少なくとも1種が挙げられる。
一般式(I)中、Qは、配向膜に吸着して結合可能な基であり、特に配向膜のヒドロキシル基と結合できる基が好ましい。Qとして好ましくは、−SiX3(Xはハロゲン、アルコキシ基、または、アルキル基を表し、少なくとも一つはハロゲンもしくはアルコキシ基である)、アルデヒド、エステル、カルボキシル基、イソシアネート、ボロン酸、もしくはボロン酸エステルなどである。
一般式(I)で表される化合物は、少なくとも1個のホウ素原子を含んでいるのが好ましく、下記一般式(II)で表される化合物が好ましい。
Figure 0004694929
一般式(II)中、R1及びR2はそれぞれ独立に、水素原子、或いは、置換もしくは無置換の、脂肪族炭化水素基、アリール基、又はヘテロアリール基を表す。
また、R1とR2は、アルキレン連結基、アリール連結基、又はこれらの組み合わせからなる連結基を介して連結してもよい。一般式(II)中のX1及びZは、それぞれ一般式(I)中のX1及びZと同義であり、好ましい範囲も同様である。勿論、式(II)においても、Zはあってもなくてもよい。
一般式(II)中、R1及びR2がそれぞれ表す置換もしくは無置換の、脂肪族炭化水素基には、置換もしくは無置換のアルキル基、アルケニル基及びアルキニル基が含まれる。
前記アルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、エイコシル基、イソプロピル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、1-メチルブチル基、イソヘキシル基、2-メチルヘキシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、1-アダマンチル基、2-ノルボルニル基等の直鎖状、分枝状、又は環状のアルキル基が挙げられる。前記アルケニル基の具体例としては、ビニル基、1-プロペニル基、1-ブテニル基、1-メチル-1-プロペニル基、1-シクロペンテニル基、1-シクロヘキセニル基等の直鎖状、分枝状、又は環状のアルケニル基が挙げられる。
前記アルキニル基の具体例としては、エチニル基、1-プロピニル基、1-ブチニル基、1-オクチニル基等が挙げられる。アリール基の具体例としては、1個から4個のベンゼン環が縮合環を形成したもの、ベンゼン環と不飽和五員環とが縮合環を形成したものを挙げることができ、具体例としてはフェニル基、ナフチル基、アントリル基、フェナントリル基、インデニル基、アセナブテニル基、フルオレニル基、ピレニル基等が挙げられる。
1及びR2がそれぞれ表す置換もしくは無置換のアリール基の具体例には、フェニル基及びナフチル基が含まれる。また、R1及びR2がそれぞれ表す置換もしくは無置換のヘテロアリール基の例には、窒素原子、酸素原子及び硫黄原子からなる群から選ばれるヘテロ原子を1個以上含む複素芳香環上の水素原子を1個除し、ヘテロアリール基としたものが含まれる。窒素原子、酸素原子及び硫黄原子からなる群から選ばれるヘテロ原子を1個以上含む複素芳香環の具体例としては、ピロール、フラン、チオフェン、ピラゾール、イミダゾール、トリアゾール、オキサゾール、イソオキサゾール、オキサジアゾール、チアゾール、チアジアゾール、インドール、カルバゾール、ベンゾフラン、ジベンゾフラン、チアナフテン、ジベンゾチオフェン、インダゾールベンズイミダゾール、アントラニル、ベンズイソオキサゾール、ベンズオキサゾール、ベンゾチアゾール、プリン、ピリジン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、トリアジン、キノリン、アクリジン、イソキノリン、フタラジン、キナゾリン、キノキザリン、ナフチリジン、フェナントロリン、プテリジン等が挙げられる。
1、R2及びX1は、可能な場合はさらに1個以上の置換基によって置換されていてもよい。これらの炭化水素基は任意の置換基によって1個以上置換されていてもよい。置換基としては水素を除く1価の非金属原子団を挙げることができ、例えば、以下の置換基群Yから選ばれる。
置換基群Y:
ハロゲン原子(-F、-Br、-Cl、-I)、ヒドロキシル基、アルコキシ基、アリーロキシ基、メルカプト基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルキルジチオ基、アリールジチオ基、アミノ基、N-アルキルアミノ基、N,N-ジアルキルアミノ基、N-アリールアミノ基、N,N-ジアリールアミノ基、N-アルキル-N-アリールアミノ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、N-アルキルカルバモイルオキシ基、N-アリールカルバモイルオキシ基、N,N-ジアルキルカルバモイルオキシ基、N,N-ジアリールカルバモイルオキシ基、N-アルキル-N-アリールカルバモイルオキシ基、アルキルスルホキシ基、アリールスルホキシ基、アシルチオ基、アシルアミノ基、N-アルキルアシルアミノ基、N-アリールアシルアミノ基、ウレイド基、N'-アルキルウレイド基、N',N'-ジアルキルウレイド基、N'-アリールウレイド基、N',N'-ジアリールウレイド基、N'-アルキル-N'-アリールウレイド基、N-アルキルウレイド基、N-アリールウレイド基、N'-アルキル-N-アルキルウレイド基、N'-アルキル-N-アリールウレイド基、N',N'-ジアルキル-N-アルキルウレイド基、N',N'-ジアルキル-N-アリールウレイド基、N'-アリール-N-アルキルウレイド基、N'-アリール-N-アリールウレイド基、N',N'-ジアリール-N-アルキルウレイド基、N',N'-ジアリール-N-アリールウレイド基、N'-アルキル-N'-アリール-N-アルキルウレイド基、N'-アルキル-N'-アリール-N-アリールウレイド基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリーロキシカルボニルアミノ基、N-アルキル-N-アルコキシカルボニルアミノ基、N-アルキル-N-アリーロキシカルボニルアミノ基、N-アリール-N-アルコキシカルボニルアミノ基、N-アリール-N-アリーロキシカルボニルアミノ基、ホルミル基、アシル基、カルボキシル基及びその共役塩基基、アルコキシカルボニル基、アリーロキシカルボニル基、カルバモイル基、N-アルキルカルバモイル基、N,N-ジアルキルカルバモイル基、N-アリールカルバモイル基、N,N-ジアリールカルバモイル基、N-アルキル-N-アリールカルバモイル基、アルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、スルホ基(-SO3H)及びその共役塩基基、アルコキシスルホニル基、アリーロキシスルホニル基、スルフィナモイル基、N-アルキルスルフィナモイル基、N,N-ジアルキルスルフィナモイル基、N-アリールスルフィナモイル基、N,N-ジアリールスルフィナモイル基、N-アルキル-N-アリールスルフィナモイル基、スルファモイル基、N-アルキルスルファモイル基、N,N-ジアルキルスルファモイル基、N-アリールスルファモイル基、N,N-ジアリールスルファモイル基、N-アルキル-N-アリールスルファモイル基、N-アシルスルファモイル基及びその共役塩基基、N-アルキルスルホニルスルファモイル基(-SO2NHSO2(alkyl))及びその共役塩基基、N-アリールスルホニルスルファモイル基(-SO2NHSO2(aryl))及びその共役塩基基、N-アルキルスルホニルカルバモイル基(-CONHSO2(alkyl))及びその共役塩基基、N-アリールスルホニルカルバモイル基(-CONHSO2(aryl))及びその共役塩基基、アルコキシシリル基(-Si(Oalkyl)3)、アリーロキシシリル基(-Si(Oaryl)3)、ヒドロキシシリル基(-Si(OH)3)及びその共役塩基基、ホスホノ基(-PO32)及びその共役塩基基、ジアルキルホスホノ基(-PO3(alkyl)2)、ジアリールホスホノ基(-PO3(aryl)2)、アルキルアリールホスホノ基(-PO3(alkyl)(aryl))、モノアルキルホスホノ基(-PO3H(alkyl))及びその共役塩基基、モノアリールホスホノ基(-PO3H(aryl))及びその共役塩基基、ホスホノオキシ基(-OPO32)及びその共役塩基基、ジアルキルホスホノオキシ基(-OPO3(alkyl)2)、ジアリールホスホノオキシ基(-OPO3(aryl)2)、アルキルアリールホスホノオキシ基(-OPO3(alkyl)(aryl))、モノアルキルホスホノオキシ基(-OPO3H(alkyl))及びその共役塩基基、モノアリールホスホノオキシ基(-OPO3H(aryl))及びその共役塩基基、シアノ基、ニトロ基、アリール基、アルケニル基及びアルキニル基。
また、これらの置換基は、可能であるならば置換基同士、又は置換している炭化水素基と結合して環を形成してもよい。
一般式(II)中のR1及びR2として好ましくは水素原子である。
また、本発明は、下記一般式(B)で表される化合物の少なくも一種を含有する重合性組成物に関する。
一般式(B)
(Z)n−X−QB
一般式(B)中、Zは重合性基を有する置換基を表し、nは0〜4の整数を表し、nが1〜4の場合、Xはn+1価の連結基を表し、nが0の場合、Xは水素原子、或いは、置換もしくは無置換のアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基又はヘテロアリール基を表し、QBは、少なくとも一つのホウ素原子を含有する置換基を表す。本発明の重合性組成物を、本発明の前記位相差板の光学異方性層の作製に用いる場合は、前記一般式(B)で表される化合物が、前記一般式(A)で表される化合物であってもよく、即ち、QBは配向膜に吸着して結合可能な基を表す。
一般式(B)中のZ、X、及び、nは全て一般式(A)と同義である。また、式中のQBは、少なくとも一つのホウ素原子を含有する置換基であり、好ましくは下記一般式(C)で表される基である。
Figure 0004694929
一般式(C)中、R1及びR2はそれぞれ独立に、水素原子、或いは、置換もしくは無置換の脂肪族炭化水素基、アリール基又はヘテロアリール基を表す。また、R1及びR2は、アルキレン連結基、アリール連結基、又はこれらの組み合わせからなる連結基を介して互いに連結してもよく、好ましい例は、前記一般式(II)中のR1及びR2と同義である。
以下に一般式(A)、一般式(I)、及び一般式(B)で表される好ましい化合物の具体例を示すが、本発明はこれに限定されるものではない。
Figure 0004694929
Figure 0004694929
Figure 0004694929
Figure 0004694929
Figure 0004694929
本発明に用いられる前記一般式(I)(又は一般式(A)もしくは一般式(B))で表される化合物の、含有量については特に制限はないが、液晶性化合物とともに用いる場合は、液晶性化合物に対する好ましい割合は、0.01質量%以上40質量%以下、より好ましくは0.05質量%以上30質量%以下、特に好ましくは0.05質量%以上20質量%以下である。
(1)−2−2 液晶性化合物
前記光学異方性層は、配向状態に固定された液晶性化合物を含有しているのが好ましい。該液晶性化合物が重合性基を有すると、重合反応により容易に固定化できるとともに、また配向膜に吸着した前記重合性化合物と化学的に結合して、光学異方性層と配向膜との密着性が向上するので好ましい。液晶性化合物の例には、分子の形状が円盤状であるディスコティック液晶性化合物と、分子の形状が棒状である棒状液晶性化合物が含まれる。
(1)−2−3 ディスコティック液晶性化合物
ディスコティック液晶性化合物は、様々な文献(C.Destrade et al.,Mol.Crysr.Liq.Cryst.,vol.71,page 111(1981);日本化学会編、季刊化学総説、No.22、液晶の化学、第5章、第10章第2節(1994);B.Kohne et al.,Angew.Chem.Soc.Chem.Comm.,page 1794(1985);J.Zhang et al.,J.Am.Chem.Soc.,vol.116,page 2655(1994))に記載されている。ディスコティック液晶性分子の重合は、特開平8−27284公報に記載がある。ディスコティック液晶性分子を重合により固定するためには、ディスコティック液晶性分子の円盤状コアに、置換基として重合性基を結合させる必要がある。ただし、円盤状コアに重合性基を直結させると、重合反応において配向状態を保つことが困難になる。そこで、円盤状コアと重合性基との間に、連結基を導入する。従って、重合性基を有するディスコティック液晶性分子は、下記一般式(IV)で表わされる化合物であることが好ましい。
一般式(V)
D(−M−P)n
(一般式中、Dは円盤状コアであり、Mは二価の連結基であり、Pは重合性基であり、nは4〜12の整数である。)
一般式(V)の円盤状コア(D)の例を以下に示す。以下の各例において、MP(又はPM)は、二価の連結基(M)と重合性基(P)との組み合わせを意味する。
Figure 0004694929
Figure 0004694929
Figure 0004694929
Figure 0004694929
Figure 0004694929
Figure 0004694929
Figure 0004694929
Figure 0004694929
一般式(V)において、二価の連結基(M)は、アルキレン基、アルケニレン基、アリーレン基、−CO−、−NH−、−O−、−S−及びそれらの組み合わせからなる群より選ばれる二価の連結基であることが好ましい。二価の連結基(M)は、アルキレン基、アルケニレン基、アリーレン基、−CO−、−NH−、−O−及びS−からなる群より選ばれる二価の基を少なくとも二つ組み合わせた基であることがさらに好ましい。二価の連結基(M)は、アルキレン基、アルケニレン基、アリーレン基、−CO−及びO−からなる群より選ばれる二価の基を少なくとも二つ組み合わせた基であることが最も好ましい。アルキレン基の炭素原子数は、1〜12であることが好ましい。アルケニレン基の炭素原子数は、2〜12であることが好ましい。アリーレン基の炭素原子数は、6〜10であることが好ましい。アルキレン基、アルケニレン基及びアリーレン基は、置換基(例、アルキル基、ハロゲン原子、シアノ、アルコキシ基、アシルオキシ基)を有していてもよい。
二価の連結基(M)の例を以下に示す。左側が円盤状コア(D)に結合し、右側が重合性基(P)に結合する。ALはアルキレン基又はアルケニレン基を意味し、ARはアリーレン基を意味する。
M1:−AL−CO−O−AL−
M2:−AL−CO−O−AL−O−
M3:−AL−CO−O−AL−O−AL−
M4:−AL−CO−O−AL−O−CO−
M5:−CO−AR−O−AL−
M6:−CO−AR−O−AL−O−
M7:−CO−AR−O−AL−O−CO−
M8:−CO−NH−AL−
M9:−NH−AL−O−
M10:−NH−AL−O−CO−
M11:−O−AL−
M12:−O−AL−O−
M13:−O−AL−O−CO−
M14:−O−AL−O−CO−NH−AL−
M15:−O−AL−S−AL−
M16:−O−CO−AL−AR−O−AL−O−CO−
M17:−O−CO−AR−O−AL−CO−
M18:−O−CO−AR−O−AL−O−CO−
M19:−O−CO−AR−O−AL−O−AL−O−CO−
M20:−O−CO−AR−O−AL−O−AL−O−AL−O−CO−
M21:−S−AL−
M22:−S−AL−O−
M23:−S−AL−O−CO−
M24:−S−AL−S−AL−
M25:−S−AR−AL−
一般式(V)の重合性基(P)は、重合反応の種類に応じて決定する。重合性基(P)の例を以下に示す。
Figure 0004694929
Figure 0004694929
Figure 0004694929
Figure 0004694929
Figure 0004694929
Figure 0004694929
重合性基(P)は、不飽和重合性基(P1、P2、P3、P7、P8、P15、P16、P17)又はエポキシ基(P6、P18)であることが好ましく、不飽和重合性基であることがさらに好ましく、エチレン性不飽和重合性基(P1、P7、P8、P15、P16、P17)であることが最も好ましい。一般式(V)において、nは4〜12の整数である。具体的な数字は、ディスコティックコア(D)の種類に応じて決定される。なお、複数のMとPの組み合わせは、異なっていてもよいが、同一であることが好ましい。二種類以上のディスコティック液晶性分子(例えば、二価の連結基に不斉炭素原子を有する分子と有していない分子)を併用してもよい。
(1)−2−4 棒状液晶性化合物
棒状液晶性分子としては、アゾメチン類、アゾキシ類、シアノビフェニル類、シアノフェニルエステル類、安息香酸エステル類、シクロヘキサンカルボン酸フェニルエステル類、シアノフェニルシクロヘキサン類、シアノ置換フェニルピリミジン類、アルコキシ置換フェニルピリミジン類、フェニルジオキサン類、トラン類及びアルケニルシクロヘキシルベンゾニトリル類が好ましく用いられる。以上のような低分子液晶性分子だけではなく、高分子液晶性分子も用いることができる。
棒状液晶性分子を重合によって配向を固定することがより好ましく、重合性棒状液晶性分子としては、Makromol.Chem.,190巻、2255頁(1989年)、Advanced Materials 5巻、107頁(1993年)、米国特許4683327号、同5622648号、同5770107号、WO95/22586号、同95/24455号、同97/00600号、同98/23580号、同98/52905号、特開平1−272551号、同6−16616号、同7−110469号、同11−80081号、及び特願2001−64627号などに記載の化合物を用いることができる。より好ましくは、下記一般式(VI)で表される化合物である。
一般式(VI)
1−L1−Cy1−L2−(Cy2−L3n−Cy3−L4−Q2
(一般式(VI)中、Q1及びQ2はそれぞれ独立に重合性基であり、L1及びL4はそれぞれ独立に二価の連結基であり、L2及びL3はそれぞれ独立に単結合又は二価の連結基であり、Cy1、Cy2及びCy3は二価の環状基であり、nは0、1又は2である。)
さらに、上記一般式(VI)において、重合性基の重合反応は、付加重合(開環重合を含む)又は縮合重合であることが好ましい。言い換えると、重合性基は、付加重合反応又は縮合重合反応が可能な官能基であることが好ましい。この中でも、エチレン系重合性基が好ましい。以下に重合性基の例を示す。
Figure 0004694929
1及びL4は、さらに、それぞれ独立に、−O−,−S−,−CO−,−NR22−,二価の鎖状基、二価の環状基及びそれらの組み合わせからなる群より選ばれる二価の連結基であることが好ましい。ここでR22は、炭素原子数が1〜7のアルキル基又は水素原子である。
組み合わせからなる二価の連結基の例を以下に示す。ここで、左側がQ(Q1又はQ2)に、右側がCy(Cy1又はCy3)に結合する。
L−1:−CO−O−二価の鎖状基−O−
L−2:−CO−O−二価の鎖状基−O−CO−
L−3:−CO−O−二価の鎖状基−O−CO−O−
L−4:−CO−O−二価の鎖状基−O−二価の環状基−
L−5:−CO−O−二価の鎖状基−O−二価の環状基−CO−O−
L−6:−CO−O−二価の鎖状基−O−二価の環状基−O−CO−
L−7:−CO−O−二価の鎖状基−O−二価の環状基−二価の鎖状基−
L−8:−CO−O−二価の鎖状基−O−二価の環状基−二価の鎖状基−CO−O−
L−9:−CO−O−二価の鎖状基−O−二価の環状基−二価の鎖状基−O−CO−
L−10:−CO−O−二価の鎖状基−O−CO−二価の環状基−
L−11:−CO−O−二価の鎖状基−O−CO−二価の環状基−CO−O−
L−12:−CO−O−二価の鎖状基−O−CO−二価の環状基−O−CO−
L−13:−CO−O−二価の鎖状基−O−CO−二価の環状基−二価の鎖状基−
L−14:−CO−O−二価の鎖状基−O−CO−二価の環状基−二価の鎖状基−CO−
O−
L−15:−CO−O−二価の鎖状基−O−CO−二価の環状基−二価の鎖状基−O−C
O−
L−16:−CO−O−二価の鎖状基−O−CO−O−二価の環状基−
L−17:−CO−O−二価の鎖状基−O−CO−O−二価の環状基−CO−O−
L−18:−CO−O−二価の鎖状基−O−CO−O−二価の環状基−O−CO−
L−19:−CO−O−二価の鎖状基−O−CO−O−二価の環状基−二価の鎖状基−
L−20:−CO−O−二価の鎖状基−O−CO−O−二価の環状基−二価の鎖状基−C
O−O−
L−21:−CO−O−二価の鎖状基−O−CO−O−二価の環状基−二価の鎖状基−O
−CO−
二価の鎖状基は、アルキレン基、置換アルキレン基、アルケニレン基、置換アルケニレン基、アルキニレン基、置換アルキニレン基を意味する。アルキレン基,置換アルキレン基、アルケニレン基,置換アルケニレン基が好ましく、アルキレン基及びアルケニレン基がさらに好ましい。
アルキレン基は、分岐を有していてもよい。アルキレン基の炭素数は1〜12であることが好ましく、2〜10であることがさらに好ましく、2〜8であることが最も好ましい。
置換アルキレン基のアルキレン部分は、上記アルキレン基と同様である。置換基の例としてはハロゲン原子が含まれる。
アルケニレン基は、分岐を有していてもよい。アルケニレン基の炭素数は2〜12であることが好ましく、2〜10であることがさらに好ましく、2〜8であることがもっとも好ましい。
置換アルキレン基のアルキレン部分は、上記アルキレン基と同様である。置換基の例としてはハロゲン原子が含まれる。
アルキニレン基は、分岐を有していてもよい。アルキニレン基の炭素数は2〜12であることが好ましく、2〜10であることがさらに好ましく、2〜8であることがもっとも好ましい。
置換アルキニレン基のアルキニレン部分は、上記アルキニレン基と同様である。置換基の例としてはハロゲン原子が含まれる。
二価の鎖状基の具体例としては、エチレン、トリメチレン、プロピレン、テトラメチレン、2−メチル−テトラメチレン、ペンタメチレン、ヘキサメチレン、オクタメチレン、2−ブテニレン、2−ブチニレンなどが挙げられる。
二価の環状基の定義及び例は、後述するCy1、Cy2及びCy3の定義及び例と同様である。
上記R22は、炭素原子数1〜4のアルキル基又は水素原子であることが好ましく、メチル基、エチル基又は水素原子であることがさらに好ましく、水素原子であることがもっとも好ましい。
2又はL3はそれぞれ独立に単結合又は二価の連結基である。L2及びL3はそれぞれ独立に、−O−、−S−、−CO−、−NR33−、二価の鎖状基、二価の環状基及びそれらの組み合わせからなる群より選ばれる二価の連結基又は単結合であることが好ましい。上記R33は、炭素原子数が1〜7のアルキル基又は水素原子であり、炭素原子数1〜4のアルキル基又は水素原子であることが好ましく、メチル基、エチル基又は水素原子であることがさらに好ましく、水素原子であることがもっとも好ましい。二価の鎖状基、及び二価の環状基についてはL1及びL4の定義と同義である。
一般式(VI)において、nは0、1又は2である。nが2の場合、二つのL3は同じであっても異なっていても良く、二つのCy2も同じであっても異なっていてもよい。nは1又は2であることが好ましく、1であることがさらに好ましい。
式(VI)において、Cy1、Cy2及びCy3は、それぞれ独立に、二価の環状基である。
環状基に含まれる環は、5員環、6員環、又は7員環であることが好ましく、5員環又
は6員環であることがさらに好ましく、6員環であることがもっとも好ましい。
環状基に含まれる環は、縮合環であってもよい。ただし、縮合環よりも単環であることがより好ましい。
環状基に含まれる環は、芳香族環、脂肪族環、及び複素環のいずれでもよい。芳香族環の例には、ベンゼン環及びナフタレン環が含まれる。脂肪族環の例には、シクロヘキサン環が含まれる。複素環の例には、ピリジン環及びピリミジン環が含まれる。ベンゼン環を有する環状基としては、1,4−フェニレンが好ましい。ナフタレン環を有する環状基としては、ナフタレン−1,5−ジイル及びナフタレン−2,6−ジイルが好ましい。シクロヘキサン環を有する環状基としては1,4−シクロへキシレンであることが好ましい。
ピリジン環を有する環状基としてはピリジン−2,5−ジイルが好ましい。ピリミジン環を有する環状基としては、ピリミジン−2,5−ジイルが好ましい。
環状基は、置換基を有していてもよい。置換基の例には、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、炭素原子数が1〜5のアルキル基、炭素原子数が1〜5のハロゲン置換アルキル基、炭素原子数が1〜5のアルコキシ基、炭素原子数が1〜5のアルキルチオ基、炭素原子数が2〜6のアシルオキシ基、炭素原子数が2〜6のアルコキシカルボニル基、カルバモイル基、炭素原子数が2〜6のアルキル置換カルバモイル基及び炭素原子数が2〜6のアシルアミノ基が含まれる。
以下に、一般式(VI)で表される重合性液晶化合物の例を示す。本発明はこれらに限定されるものではない。
Figure 0004694929
Figure 0004694929
Figure 0004694929
Figure 0004694929
液晶性分子は、配向状態を維持して固定することが好ましく、固定化は、液晶性分子に導入した重合性基(一般式(V)で表すところのP)の重合反応により実施することが好ましい。固定化には所望の光学異方性の発現と安定化が目的であり、その結果、液晶性が失われる事は何ら差し支えない。そのためには、前記塗布液中には、重合開始剤を含有させるのが好ましい。重合反応には、熱重合開始剤を用いる熱重合反応と光重合開始剤を用いる光重合反応、及び電子線を用いるEB硬化が含まれる。このうち、光重合反応(光硬化)及びEB硬化が好ましい。光の作用によりラジカルを発生させる重合開始剤の例としては、α−カルボニル化合物(米国特許2367661号、同2367670号の各明細書記載)、アシロインエーテル(米国特許2448828号明細書記載)、α−炭化水素置換芳香族アシロイン化合物(米国特許2722512号明細書記載)、多核キノン化合物(米国特許3046127号、同2951758号の各明細書記載)、トリアリールイミダゾールダイマーとp−アミノフェニルケトンとの組み合わせ(米国特許3549367号明細書記載)、アクリジン及びフェナジン化合物(特開昭60−105667号公報、米国特許4239850号明細書記載)及びオキサジアゾール化合物(米国特許4212970号明細書記載)、アセトフェノン系化合物、ベンゾインエーテル系化合物、ベンジル系化合物、ベンゾフェノン系化合物、チオキサントン系化合物等が好ましい。アセトフェノン系化合物としては、例えば、2,2−ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシメチル−1−フェニルプロパン−1−オン、4'−イソプロピル−2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオフェノン、p−ジメチルアミノアセトン、p−tert−ブチルジクロロアセトフェノン、p−tert−ブチルトリクロロアセトフェノン、p−アジドベンザルアセトフェノン等が挙げられる。ベンジル系化合物としては、例えば、ベンジル、ベンジルジメチルケタール、ベンジル−β−メトキシエチルアセタール、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン等が挙げられる。ベンゾインエーテル系化合物としては、例えば、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾイン−n−プロピルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾイン−n−ブチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル等が挙げられる。ベンゾフェノン系化合物としては、例えば、ベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、ミヒラーズケトン、4,4'−ビスジエチルアミノベンゾフェノン、4,4'−ジクロロベンゾフェノン等が挙げられる。チオキサントン系化合物としては、例えば、チオキサントン、2−メチルチオキサントン、2−エチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、4−イソプロピルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン等が挙げられる。このような芳香族ケトン類からなる感光性ラジカル重合開始剤の中でも、アセトフェノン系化合物及びベンジル系化合物が、硬化特性、保存安定性、臭気等の面で特に好ましい。これらの芳香族ケトン類からなる感光性ラジカル重合開始剤は、1種又は2種以上を所望の性能に応じて配合して使用することができる。また、感度を高める目的で重合開始剤に加えて、増感剤を用いてもよい。増感剤の例には、n−ブチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−ブチルホスフィン、及びチオキサントン等が含まれる。
光重合開始剤は複数種を組み合わせてもよく、使用量は、塗布液の固形分の0.01〜20質量%であることが好ましく、0.5〜5質量%であることがさらに好ましい。光重合開始剤の使用量は、塗布液の固形分の0.01〜20質量%であることが好ましく、0.05〜5質量%であることが更に好ましい。液晶性分子の重合のための光照射は紫外線を用いることが好ましい。
(1)−2−5 その他の添加剤
光学異方性層形成用塗布液中には、前記以外の添加剤も添加することができる。例えば、可塑剤、モノマー、界面活性剤、セルロースエステル、配向制御剤及びカイラル剤等が挙げられる。以下に配向制御剤について詳細に説明する。本発明における配向制御剤とは、液晶性化合物の塗布液に添加され、塗布後に液晶性化合物の層の表面、つまり、空気界面側に偏在することによって、空気界面側での液晶性化合物の配向を制御するのに寄与する化合物を意味する。この配向制御剤の構造によっては、液晶性化合物を空気界面側で略垂直に配向させたり、逆に略水平に配向させることもできるが、本発明においてディスコティック液晶性化合物を用いる場合には、空気界面側で略垂直に配向させる添加剤が好ましい。例えば、ディスコティック液晶性化合物の場合には、特開2000−344734号公報等に記載の下記一般式(VII)で表されるような化合物が挙げられる。
一般式(VII)
(Hb−)mL(−Bu)n
(一般式(V)中、Hbは、炭素原子数が1〜40のフッ素置換アルキル基、炭素原子数が6〜40のフッ素置換アリール基、炭素原子数が6〜60のアルキル基及び炭素原子数が1〜60のアルキル置換オリゴシロキサノキシ基からなる群より選ばれる疎水性基であり、Buは少なくとも二つの環状構造を含む排除体積効果を有する基であり、Lは(m+n)価の連結基であり、m及びnはそれぞれ独立に、1〜12の整数である。)
一般式(VII)で表される配向制御剤として好ましくは、トリヒドロキシベンゼン骨格及びトリアジン骨格に、フッ素アルキル基や長鎖アルキル基、アリール基が置換した低分子配向制御剤が挙げられる。空気界面側でディスコティック液晶を垂直に配向させるための配向制御剤の具体例としては、例えば、以下のD−1等が挙げられ、水平に配向させるための配向制御剤としてD−2等が挙げられる。
Figure 0004694929
また、配向制御剤としては、以下に示すような高分子化合物でもよい。添加される高分子配向制御剤は液晶層の塗布液に溶解しうるポリマーであればよい。好ましい高分子配向制御剤の一例を以下に示す。
ポリプロピレンオキシド
ポリテトラメチレンオキシド
ポリ−ε−カプロラクトン
ポリ−ε−カプロラクトン ジオール
ポリ−ε−カプロラクトン トリオール
ポリビニルアセテート
ポリメラミン
ポリ(エチレン アジペート)
ポリ(1,4−ブチレン アジペート)
ポリ(1,4−ブチレン グルタレート)
ポリ(1,2−ブチレン グリコール)
ポリ(1,4−ブチレン スクシネート)
ポリ(1,4−ブチレン テレフタレート)
ポリ(エチレンテレフタレート)
ポリ(2−メチル−1,3−プロピレンアジペート)
ポリ(2−メチル−1,3−プロピレングルタレート)
ポリ(ネオペンチルグリコールアジペート)
ポリ(ネオペンチルグリコール セバケート)
ポリ(1,3−プロピレンアジペート)
ポリ(1,3−プロピレングルタレート)
ポリビニルブチラール
ポリビニルホルマール
ポリビニルアセタール
ポリビニルプロパナール
ポリビニルヘキサナール
ポリビニルピロリドン
ポリアクリル酸エステル
ポリメタクリル酸エステル
ポリ(3−ヒドロキシブチリックアシッド)
また、少なくとも一つのフッ化アルキル基を有するモノマーからなる構成単位を含有したポリマーがより好ましく用いられ、例えば、以下に示したD−3のポリマー等が好適に用いられる。
Figure 0004694929
配向制御剤の添加量は、該制御剤の添加する液晶組成物中の液晶性化合物に対し0.05質量%〜10質量%添加することが好ましい。より好ましくは0.1質量%〜5質量%である。
光学異方性層形成用の塗布液の調製に使用する溶媒としては、有機溶媒が好ましい。有機溶媒の例には、アミド(例、N,N−ジメチルホルムアミド)、スルホキシド(例、ジメチルスルホキシド)、ヘテロ環化合物(例、ピリジン)、炭化水素(例、トルエン、ヘキサン)アルキルハライド(例、クロロホルム、ジクロロメタン)、エステル(例、酢酸メチル、酢酸ブチル)、ケトン(例、アセトン、2−ブタノン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン)、エーテル(例、テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタン)などが含まれる。この中でアルキルハライド、ケトンが好ましい。2種類以上の有機溶剤を併用してもよい。
塗布液中の液晶性化合物及びその他の添加剤の固形分濃度としては、0.1質量%〜60質量%が好ましく、0.5質量%〜50質量%がより好ましく、2質量%〜40質量%がさらに好ましい。また、塗布液の粘度は、0.01cp〜100cpが好ましく、0.1cp〜50cpがより好ましい。
(2)配向膜
本発明に用いられる配向膜は、ポリマー組成物からなる。ポリマー組成物は、ポリマーを主原料とし、その他の添加剤を含有していてもよい。前記一般式(A)、(B)及び/又は(I)で表される化合物を含有していてもよい。前記配向膜の主原料であるポリマーは、例えば、前記一般式(I)で表される化合物が有するQが吸着可能な基を有する限り、その構造について特に制限はない。Qと水素結合を形成可能な水素結合性基を有しているのが好ましい。配向膜を構成するポリマーの一例として、下記一般式(IV)で表される少なくとも一種の構成単位を有するポリマーが挙げられる。下記一般式(IV)で表される少なくとも一種の構成単位を有するポリマーは、ポリビニルアルコールの誘導体であるのが好ましい。
Figure 0004694929
一般式(IV)中、MPはポリマーの主鎖を構成する(2+n)価の基を表し、L2は1+n価の連結基を表し、nは1又は2を表し、X2は水素結合性基を表す。
以下にMP、L2、X2について詳細に説明する。
一般式(IV)中のMPは、配向膜を形成するポリマーの主鎖を構成する基であり、水素結合性基X2との連結基であるL2がn個の部位で結合した(2+n)価の基を表す。式中、Mpとしては、炭素−炭素結合のみからなる基(例えば、置換もしくは無置換のエチレン基、ブチレン基、ビニレン基、環状アルキレン基、フェニレン基等)、酸素原子を含む基(例えば、エーテル基、アセタール基、エステル基、カルボネート基等)、窒素原子を含む基(例えば、アミノ基、イミノ基、アミド基、ウレタン基、ウレイド基、イミド基、イミダゾール基、オキサゾール基、ピロール基、アニリド基、マレインイミド基等)、硫黄原子を含む基(例えば、スルフィド基、スルホン基、チオフェン基等)、リン原子を含む基(例えば、ホスフィン基、リン酸エステル基など)、珪素原子を含む基(例えば、シロキサン基等)等の基、及び、これらを二つ以上組み合わせて形成される基が挙げられる。また、式中のMPは、これら連結基に対しn個のL2が置換されるように誘導された(2+n)価の連結基を表す。
以下にMPの好ましい具体例を示すが、本発明のMPはこれに限定されるものではない。
また、MP中の*で表される部位はL2と連結する部位を表す。
Figure 0004694929
(2+n)価の基MPとして好ましくは、炭素−炭素結合のみからなる基、もしくは、窒素原子を含む連結基から誘導される基であり、より好ましくは、置換もしくは無置換のエチレン基(例えば、P−1、もしくは、P−2等)もしくは、イミド基(例えばP−13)、アミド基(例えばP−14)、マレインイミド基(例えばP−19)から誘導される基であり、最も好ましくは、置換もしくは無置換のエチレン基であるP−1及びP−2である。
一般式(IV)中のMPと、水素結合性基X2とを連結する1+n価の連結基L2としては、単結合、又は、置換もしくは無置換の炭素数1〜20のアルキレン基(例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、イソプロピレン基など)、炭素数2〜20のアルケニレン基(例えば、ビニレン基、ブテン基等)、置換もしくは無置換のアリーレン基(例えば、o−フェニレン基、m−フェニレン基、p−フェニレン基、1,4−ナフチレン基等)、−O−、−NR1−、−S−、−PR2−、−Si(R3)(R4)−、−C(=O)−、−C(=O)O−、−C(=O)NR5−、−OC(=O)O−、−OC(=O)NR6−、−NR7C(=O)NR8−、(−O)2CH−等を表す。尚、上記R1〜R8は水素原子又は置換可能な置換基を表し、より具体的には、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基(シクロアルキル基、ビシクロアルキル基を含む)、アルケニル基(シクロアルケニル基、ビシクロアルケニル基を含む)、アルキニル基、アリール基、ヘテロ環基、シアノ基、ヒドロキシル基、ニトロ基、カルボキシル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、シリルオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ、アミノ基(アニリノ基を含む)、アシルアミノ基、アミノカルボニルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルファモイルアミノ基、アルキル及びアリールスルホニルアミノ基、メルカプト基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、スルファモイル基、スルホ基、アルキル及びアリールスルフィニル基、アルキル及びアリールスルホニル基、アシル基、アリールオキシカルボニル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、アリール及びヘテロ環アゾ基、イミド基、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスフィニルオキシ基、ホスフィニルアミノ基、シリル基が例として挙げられる。
また、これらの連結基を二つ以上連結させて形成される、以下に示したような1+n価の連結基でもよい。
Figure 0004694929
一般式(IV)中のL2として好ましい連結基は、単結合、フェニレン基、L−1、及び、L−2であり、最も好ましくは単結合である。
一般式(IV)中の水素結合性基X2としては、少なくとも一つの−OH基、もしくは、−NH基を含有する基であるのが好ましく、例えば、ヒドロキシル基(−OH)、カルボキシル基(−COOH)、カルバモイル基(−CONHR)、スルファモイル基(−SONHR)、ウレイド基(−NHCONHR)、アミノ基(−NHR)、ウレタン基(−NHCOOR)、アミド基(−NHCOR)がより好ましい。ただし、Rは水素原子、ヒドロキシ基、アミノ基、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜15のアリール基、もしくは、ヘテロ環基を表すが、好ましくは、水素原子を表す。一般式(IV)中の水素結合性基X2として更に好ましくは、ヒドロキシル基、カルボキシル基であり、最も好ましくはヒドロキシル基である。
以下に、一般式(IV)で表される繰り返し単位の具体例を示すが、これによって本発明はなんら限定されるものではない。なお、この中で最も好ましいのはIV−1である。
Figure 0004694929
Figure 0004694929
本発明に用いられる配向膜ポリマーは、一般式(IV)で表される構成単位のみからなる単独重合体でもよいし、一般式(IV)で表される二種以上の構成単位からなる共重合体であってもよいし、一般式(IV)とそれ以外の一種以上の構成単位との共重合体であってもよい。一般式(IV)以外の構成単位に特に制限はないが、好ましい共重合構成単位としては、例えば、炭化水素系重合性化合物(例えば、エチレン系重合性化合物、プロピレン系重合性化合物、スチレン系重合性化合物、マレインイミド系重合性化合物、アクリル酸系重合性化合物、アクリル酸エステル系重合性化合物、アクリルアミド系重合性化合物、アクリルアニリド系重合性化合物等)、エーテル系重合性化合物、エステル系重合性化合物、カルボナート系重合性化合物、アミド系重合性化合物、アミック酸系重合性化合物、イミド系重合性化合物、ウレタン系重合性化合物、及び、ウレイド系重合性化合物であり、この中でも好ましくは、炭化水素系重合性化合物であり、さらに好ましくは、エチレン系重合性化合物である。
以下に一般式(IV)以外の構成単位の具体例を示すが、本発明は以下の具体例によってなんら制限されるものではない。
Figure 0004694929
前記配向膜用ポリマーが、一般式(IV)で表される構成単位と他の構成単位との共重合体である場合、一般式(IV)で表される構成単位の含率は10〜99.9モル%であり、20〜99モル%が好ましく、50〜99モル%が最も好ましい。
前記配向膜用ポリマーが、一般式(IV)で表される構成単位と他の構成単位との共重合体である場合、一般式(IV)で表される構成単位として好ましくはIV−1又はIV−2であり、他の構成単位として好ましくはZ−1、Z−2、Z−3又はZ−4である。中でも最も好ましい組み合わせはIV−1とZ−1である。
以下に、一般式(IV)で表される構成単位と他の構成単位との共重合体の具体例を示すが、本発明の用いられる液晶配向膜はこれに限定されるものではない。
Figure 0004694929
前記配向膜は、前記配向膜用ポリマー以外にも、適宜添加剤を含有していてもよい。各種添加剤は、塗布液の調製時に、前記配向膜用ポリマーとともに、塗布液中に添加される。例えば、前記配向膜用ポリマーが水溶性の溶媒に溶解し難い場合は、塩基性化合物(例えば、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、トリエチルアミンなど)や、酸性化合物(例えば、塩酸、酢酸、コハク酸等)を添加して溶解を促進してもよい。本発明の配向膜の塗布液に用いられる溶媒としては、例えば、水、アルコール類(例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール等)、アミド類(例えば、N,N−ジメチルホルムアミド等)、アセトニトリル、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、酢酸エチル等が挙げられるが、好ましくは、水、アルコール類、及び、これらの混合溶媒である。
本発明に用いられる配向膜ポリマーは、上記溶媒中に0.1質量%〜40質量%、好ましくは、0.5質量%〜20質量%、より好ましくは、2質量%〜10質量%含まれる。また、配向膜を溶解した塗布液の粘度は、好ましくは0.1cp〜100cp、より好ましくは、0.5cp〜50cpである。
上記方法によって形成された配向膜は、その表面がラビング処理され、液晶配向性が付与されているのが好ましい。ラビング処理は、ポリマー塗布層の表面を、紙や布で一定方向(通常は長手方向)に、数回こすることにより実施することができる。また、ラビング以外の方法としては、電場の付与、磁場の付与あるいは光照射により液晶配向性を付与することもできる。液晶配向性を付与する方法としては、ポリマーのラビング処理により形成する配向膜が特に好ましい。
(3)支持体
本発明の位相差板は支持体を有する。支持体は、作製時に用いられる支持体と必ずしも同一でなくてもよく、前記光学異方性層を作製した後、作製時に用いた仮支持体から他の支持体に転写してもよい。透明で光学異方性が小さく、波長分散が小さいポリマーフィルムを支持体として用いることが好ましい。ここで支持体が透明であるとは、光透過率が80%以上であることを意味する。波長分散が小さいとは、具体的には、Re400/Re700の比が1.2未満であることが好ましい。光学異方性が小さいとは、具体的には、面内レターデーション(Re)が20nm以下であることが好ましく、10nm以下であることがさらに好ましい。透明支持体は、ロール状又は長方形のシート状の形状を有することが好ましく、ロール状の透明支持体を用いて、光学異方性層を積層してから、必要な大きさに切断することが好ましい。ポリマーの例には、セルロースエステル、ポリカーボネート、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリアクリレート及びポリメタクリレートが含まれる。セルロースエステルが好ましく、アセチルセルロースがさらに好ましく、トリアセチルセルロースが最も好ましい。ポリマーフィルムは、ソルベントキャスト法により形成することが好ましい。透明支持体の厚さは、20〜500μmであることが好ましく、50〜200μmであることがさらに好ましい。透明支持体とその上に設けられる層(接着層、配向膜あるいは光学異方性層)との接着を改善するため、透明支持体に表面処理(例、グロー放電処理、コロナ放電処理、紫外線(UV)処理、火炎処理)を実施してもよい。透明支持体の上に、接着層(下塗り層)を設けてもよい。
(4)偏光板
本発明の位相差板に、直線偏光膜又は透明保護膜を貼り合せ、偏光板とした後に、液晶表示素子に組み込むことができる。以下に該偏光膜及び透明保護膜について説明する。
(4)−1 偏光膜
偏光膜には、ヨウ素系偏光膜、二色性染料を用いる染料系偏光膜やポリエン系偏光膜がある。ヨウ素系偏光膜及び染料系偏光膜は、一般にポリビニルアルコール系フィルムを用いて製造する。偏光膜の透過軸は、フィルムの延伸方向に垂直な方向に相当する。ディスコティック液晶性化合物を光学異方性層に用いた場合には、偏光膜の透過軸は、配向膜側のディスコティック液晶性分子の面に対し、実質的に平行になるように配置される。また、棒状液晶性化合物を用いた場合、偏光膜の透過軸は、棒状液晶性分子の長軸方向(遅相軸)と、実質的に平行になるように配置する。通常は、位相差板の支持体側に張り合わせるのが好ましいが、必要によっては、光学異方性層側と張り合わせてもよい。
(4)−2 透明保護膜
位相差板の光学異方性層側に透明保護膜として、透明なポリマーフィルムが用いられることが好ましい。保護膜が透明であるとは、光透過率が80%以上であることを意味する。透明保護膜としては、一般にセルロースエステルフィルム、好ましくはトリアセチルセルロースフィルムが用いられる。セルロースエステルフィルムは、ソルベントキャスト法により形成することが好ましい。透明保護膜の厚さは、20〜500μmであることが好ましく、50〜200μmであることがさらに好ましい。
(5)液晶表示装置
本発明の位相差板は、様々な表示モードの液晶セルを有する液晶表示装置に用いることができる。前述した様に、本発明の位相差板は、液晶セルの光学補償シートとして有用である。液晶性分子からなる光学異方性層有する光学補償シートは、透過型については、TN(Twisted Nematic)、IPS(In−Plane Switching)、FLC(Ferroelectric LiquidCrystal)、OCB(Optically Compensatory Bend)、STN(Supper TwistedNematic)、VA(Vertically Aligned)、ECB(Electrically ControlledBirefringence)、反射型については、TN、HAN(Hybrid Aligned Nematic)、GH(Guest−Host)等の液晶セルに対応するものが既に提案されている。本発明によって得られる位相差板及び偏光板は、その配向状態によって種々の液晶表示モードに適用できるが、本発明によって得られる光学異方性層及び偏光板は、TNモード液晶セルに好適に適用できる。
(6) 高分子膜の作製方法
また、本発明は、基板上で重合性組成物を硬化させて高分子膜を作製する方法であって、前記重合性組成物が、少なくとも1種の下記一般式(D)で表される化合物を含有する高分子膜の作製方法にも関する。
一般式(D)
(Z)n−X−QD
一般式(D)中、Zは重合性基を有する置換基を表し、nは0〜4の整数を表し、nが1〜4の場合、Xはn+1価の連結基を表し、nが0の場合、Xは水素原子、又は、置換もしくは無置換のアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基又はヘテロアリール基を表し、QDは基板に吸着可能な基を表す。
式(D)中、Z、X及びnについては、前記一般式(A)中のそれぞれと同義であり、好ましい範囲も同様である。QDは、基板に吸着可能な基であり、吸着の態様は、物理的吸着であっても、化学的吸着であっても、その中間的性質の吸着であってもよい。
例えば、基板表面に配向膜を有する場合は、QDは、配向膜を構成しているポリマー等が有する基との相互作用によって、化学的吸着可能な基であるのが好ましい。該配向膜が、ポリビニルアルコール系ポリマーを含む場合は、配向膜中のヒドロキシル基との相互作用によって、吸着可能な基であるのが好ましい。かかる場合の好ましい例については、前記一般式(A)中のQと同様である。また、前記配向膜は、前記一般式(IV)で表される少なくとも1種の構成単位を含むポリマーを含有していてもよく、かかる場合は、QDは、式(IV)中の水素結合性基(X2)と水素結合を形成可能な基であるのが好ましい。例えば、前記一般式(IV)で表される構成単位を含有するポリマーが、ポリビニルアルコール誘導体である場合は、かかる誘導体が有するヒドロキシル基と水素結合を形成可能な基であるのが好ましい。
前記高分子膜の作製方法において用いられる、基板上で重合させる重合性組成物として、液晶性化合物を含有する重合性組成物を用いてもよく、また、前記液晶性化合物が重合性化合物であってもよい。該組成物を基板上に塗布等により配置した後、組成物中の液晶性化合物の分子を所定の配向状態に配向させ、その配向状態を維持して重合を実施して、光学的に異方性を有する高分子膜を作製することができる。前記重合性組成物は、前記一般式(D)で表される化合物を含有しているので、比較的低温で重合を実施しても、基板(基板が表面に配向膜を有する場合は配向膜)と高分子膜とを高い密着性で密着させることができる。その結果、基板との密着性確保のために高温で重合を実施する場合に生じていたΔnの低下を生じさせない又は軽減できるので、膜厚を厚くすることなく、所望の光学特性に見合った光学異方性を有する高分子膜を作製することができる。具体的には、前記重合性組成物を硬化させる温度は、80℃以下であるのが好ましく、
〜 ℃であるのがより好ましい。
本発明の高分子膜の作製方法は、本発明の位相差板の光学異方性層の作製に利用することができる。
以下、本発明の実施例を示す。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り、適宜、変更することができる。従って、本願発明の範囲は以下に示す具体例に限定されるものではない。
[実施例1]
(例示化合物(I−101)の合成例)
3−アミノフェニルボロン酸(10g)をテトラヒドロフラン(80ml)に溶解させ、0℃にて攪拌しながらアクリル酸クロリド(6.8ml)を滴下した。添加後、0℃で1時間攪拌してから25℃に昇温して1時間攪拌した。食塩水を加え、酢酸エチルにて水層から抽出した。硫酸ナトリウムにて一晩乾燥させた後、溶媒を減圧留去して白褐色の結晶を得た。結晶を酢酸エチル400mlとヘキサン100mlの混合溶液にて洗浄し、濾過することによって白褐色の結晶I−101(12.4g、収率89%)を得た。以下に、1H−NMRの測定結果を示す。
例示化合物(I−101)の1H−NMR(DMSO−d6):δ(ppm)=5.70(d,1H)、6.25(d,1H)、6.45(dd,1H)、7.30(t,1H)、7.50(d,1H)、7.80(d,1H)、7.90(s,1H)、8.00(s,2H)、10.10(s,1H)。
[実施例2]
(重合性組成物:M−1の作製例)
M−1の化合物組成
下記の重合性円盤状液晶化合物 100質量部
本発明の化合物I−101 0.5質量部
エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリアクリレート
(V#360、大阪有機化学(株)製) 9.9質量部
光重合開始剤
(イルガキュア907、日本チバガイギー(株)製) 3.3質量部
増感剤
(カヤキュアーDETX、日本化薬(株)製) 1.1質量部
メチルエチルケトン 300質量部
Figure 0004694929
Figure 0004694929
[実施例3]位相差板の作製
1.配向膜層の形成
厚さ100μm、幅150mm、長さ200mmの光学的に等方性のトリアセチルセルロースフィルムを透明支持体として用いた。透明支持体上に、ポリビニルアルコール(PVA−203、クラレ(株)製)を、水/メタノール混合液に4質量%になるように希釈し、配向膜の塗布液を調液した。この塗布液を透明支持体の片面に連続塗布し、塗布層を100℃で2分間加熱して、乾燥し、厚さ1μmの配向膜を形成した。次いで、透明支持体の長手方向(搬送方向)に連続的にラビング処理を実施し、液晶配向膜を形成した。
配向膜塗布液組成
下記のポリビニルアルコール 1質量部
水 18質量部
メタノール 6質量部
Figure 0004694929
2.光学異方性層の形成
ラビング処理を行った配向膜上に、前記重合性組成物(M−1)を含む塗布液を塗布した後、125℃で3分間加熱し、液晶性化合物を配向膜上で配向させた。そのまま、100℃まで温度を下げた後、紫外線を照射(80mW/□、10秒、800mJ)し、液晶性化合物を硬化させて光学異方性層を形成した。
[実施例4]位相差板の評価
1.光学異方性層の配向欠陥の評価
前記実施例のように作製された光学異方性層を偏光顕微鏡下で観察し、配向欠陥の評価を行った。配向欠陥は、点欠陥の個数(1.0mm2範囲の平均値)を評価した。
2.密着性の評価
光学異方性層作製後、その表面を金具で引っ掻いてからセロファンテープを貼り付け、テープを光学異方性層と平行に剥し、密着性を評価した。評価基準は、A:全く剥がれない、B:少し剥がれる、C:剥がれやすい、の3段階とした。
3.配向速度(モノドメイン化時間)の測定
前記のように作製した光学異方性層を125℃に加熱し、偏光顕微鏡(OPTIPHOTO2、Nikon(株)製)観察下で温度を保持して配向熟成を進行させ、加熱開始から配向欠陥が消失してモノドメイン配向になるのに要した時間を測定した。
[実施例5]偏光板の作製
厚さ80μmのロール状ポリビニルアルコールフィルムをヨウ素水溶液中で連続して5倍に延伸し、乾燥して偏光膜を得た。偏光膜の一方の面に、ケン化処理したロール状セルローストリアセテートフィルム(フジタックTD80UF、富士写真フイルム(株)製)と、他方の面にケン化処理したロール状光学異方性層の透明支持体を、連続して貼り合わせ、偏光板H−1を作製した。
[実施例6]液晶表示装置の作製
上記のようにして作製された偏光板を液晶セルの両側に配置し、更に、バックライトを配置することにより、液晶表示装置を作製した。
(作製した液晶表示装置の漏れ光の測定及び色むらの評価)
上記方法により、作製した液晶表示装置の透過率の視野角依存性を測定した。抑角は正面から斜め方向へ10°毎に80°まで、方位角は水平右方向(0°)を基準として10°毎に360°まで測定した。黒表示時の輝度は正面方向から抑角が増すにつれ、漏れ光透過率も上昇し、抑角60°近傍で最大値をとることがわかった。また黒表示透過率が増すことで、白表示透過率と黒表示透過率の比であるコントラストが悪化することもわかった。そこで、正面の黒表示透過率と抑角60°の漏れ光透過率の最大値で、視野角特性を評価することにした。
本実施例での正面透過率は0.001%、抑角60°の漏れ光透過率の最大値は、方位角30°で0.005%であった。
また、液晶表示装置の色むらを目視で評価したが、むらが無く非常に良好であった。
[実施例7]
上記実施例に示した、光学異方性層の作製方法において、上記ポリビニルアルコール(PVA−203)の代わりに、以下の表1に示したポリマーを用い、かつ式(I)で表される化合物としてI−101の代わりに、以下の表1に示した例示化合物を用い、さらに比較例として、下記液晶配向膜に変更したこと以外は、全て実施例2と同様にして、本発明の位相差板を作製した。
Figure 0004694929
Figure 0004694929
[実施例8]
1.配向膜層の形成
厚さ100μm、幅150mm、長さ200mmの光学的に等方性のトリアセチルセルロースフィルムを透明支持体として用いた。透明支持体上に、ポリビニルアルコール(PVA−203、クラレ(株)製)を、水/メタノール混合液に4重量%になるように希釈し、配向膜の塗布液を調液した。この塗布液を透明支持体の片面に連続塗布し、塗布層を100℃で2分間加熱して、乾燥し、厚さ1μmの配向膜を形成した。次いで、透明支持体の長手方向(搬送方向)に連続的にラビング処理を実施し、液晶配向膜を形成した。
配向膜塗布液組成
下記のポリビニルアルコール 1質量部
水 18質量部
メタノール 6質量部
Figure 0004694929
2.液晶性化合物層の形成
ラビング処理を行った配向膜上に、下記の組成のディスコティック液晶及び密着性付与添加剤を含む塗布液を塗布した。
光学異方性層の塗布液組成
下記の円盤状液晶化合物 100質量部
下記の密着性付与添加剤(I−1) 0.5質量部
エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリアクリレート
(V#360、大阪有機化学(株)製) 9.9質量部
光重合開始剤
(イルガキュア907、日本チバガイギー(株)製) 3.3質量部
増感剤
(カヤキュアーDETX、日本化薬(株)製) 1.1質量部
メチルエチルケトン 300質量部
Figure 0004694929
Figure 0004694929
3. 評価
上記実施例と同様にして、光学異方性層の配向欠陥の評価、密着性の評価及び配向速度(モノドメイン化時間)の測定を行った。結果を表2に示す。
4.偏光板及び液晶表示装置の作製
さらに、上記実施例と同様にして、偏光板及び液晶表示装置を作製した。
[実施例9]
実施例8に示した、光学異方性層の作製方法において、上記ポリビニルアルコール(PVA−203)の代わりに、以下の表2に示したポリマーを用い、かつ一般式(I)で表される化合物としてI−1の代わりに、以下の表2に示した例示化合物を用いた以外は、全て実施例8と同様にして、光学異方性層を作製した。さらに比較例として、下記液晶配向膜(A−1)に変更したこと以外は、全て実施例8と同様にして、光学異方性層を作製した。
Figure 0004694929
Figure 0004694929
[実施例10]
1.配向膜層の形成
厚さ100μm、幅150mm、長さ200mmの光学的に等方性のトリアセチルセルロースフィルムを透明支持体として用いた。透明支持体上に、ポリビニルアルコール(PVA−203、クラレ(株)製)を、水/メタノール混合液に4質量%になるように希釈し、配向膜の塗布液を調液した。この塗布液を透明支持体の片面に連続塗布し、塗布層を100℃で2分間加熱して、乾燥し、厚さ1μmの配向膜を形成した。次いで、透明支持体の長手方向(搬送方向)に連続的にラビング処理を実施し、液晶配向膜を形成した。
配向膜塗布液組成
下記のポリビニルアルコール 1質量部
水 18質量部
メタノール 6質量部
Figure 0004694929
2.光学異方性層の形成
ラビング処理を行った配向膜上に、下記の組成のディスコティック液晶及び密着性付与添加剤を含む塗布液を塗布した後、125℃で3分間加熱し、液晶性化合物を配向膜上で配向させた。そのまま、60℃まで温度を下げた後、紫外線を照射(80mW/□、10秒、800mJ)し、液晶性化合物を硬化させて光学異方性層を形成した。
光学異方性層の塗布液組成
下記の円盤状液晶化合物 100質量部
下記の密着性付与添加剤(I−77) 0.1質量部
エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリアクリレート
(V#360、大阪有機化学(株)製) 9.9質量部
光重合開始剤
(イルガキュア907、日本チバガイギー(株)製) 3.3質量部
増感剤
(カヤキュアーDETX、日本化薬(株)製) 1.1質量部
メチルエチルケトン 300質量部
Figure 0004694929
3.評価
上記実施例と同様にして、光学異方性層の配向欠陥の評価、密着性の評価及び配向速度(モノドメイン化時間)の測定を行った。また、得られた位相差板の光学特性(Reと平均チルト角は以下の様にして測定した。
(Re、Rthの測定)
Re(589nm)、Rth(589nm)はそれぞれ、波長λにおける面内のレターデーション及び厚さ方向のレターデーションを表す。実施例3、4及び比較例2で得られた位相差板のRe(589nm)はKOBRA 21ADH(王子計測機器(株)製)において波長589nmの光をフィルム法線方向に入射させて測定した。Rth(589nm)は前記Re(589nm)、面内の遅相軸(KOBRA 21ADHにより判断される)を傾斜軸(回転軸)としてフィルム法線方向に対して+40°傾斜した方向から波長λnmの光を入射させて測定したレターデーション値、及び面内の遅相軸を傾斜軸(回転軸)としてフィルム法線方向に対して−40°傾斜した方向から波長λnmの光を入射させて測定したレターデーション値の計3つの方向で測定したレターデーション値を基にKOBRA 21ADHが算出した。
(平均チルト角の測定)
上記の光学異方性層のレターデーション値の角度依存性の計算が測定値に一致するように、光学異方性層の一方の面におけるチルト角θ1及び他方の面のチルト角θ2を変数としてフィッティングを行い、θ1及びθ2を算出した。この値の平均値((θ1+θ2)/2)から平均チルト角を求めた。
結果を表3に示す。
[実施例11]
実施例10に示した、光学異方性層の作製方法において、上記ポリビニルアルコール(PVA−203)の代わりに、以下の配向膜A−1を用い、かつ液晶性化合物の層を硬化する温度を、80℃又は100℃に変更した以外は、実施例10と同様にして、光学異方性層を作製した。さらに比較例として、本発明の例示化合物を用いなかった以外は、全て実施例10と同様にして、光学異方性層を作製した。
Figure 0004694929
Figure 0004694929
表1の結果から、本発明の実施例である位相差板を有する液晶表示装置は、視野角が改善されているとともに、色むらがない高画質な画像を表示可能なことがわかった。
また、表1及び表2の結果から、本発明の実施例である位相差板が有する光学異方性層は、重合性基を有するポリマーからなる配向膜を利用した場合よりも、配向時間が短縮されているにもかかわらず、配向欠陥が少なかった。この結果から、前記一般式(I)で表される化合物を光学異方性層中に含有させ、且つ所定のポリマーからなる配向膜を利用することにより、液晶性化合物(特に円盤状液晶性化合物)を、シュリーレン欠陥等の配向欠陥を生じさせることなく、迅速に配向させることができることがわかった。
さらに、本発明の実施例である位相差板は、配向膜と光学異方性層との間に高い密着性を示した。これは、光学異方性層中の前記一般式(I)で表される化合物が、液晶化合物と配向膜中のポリマーとを、これらの層の界面で化学的に結合した状態にする機能、又は液晶性化合物と配向膜中のポリマーの相互作用を高める機能を有するためであると考えられる。従って、本発明の位相差板は、液晶表示装置の視野角の拡大に寄与するとともに、優れた耐久性も有している。
さらに、本発明の位相差板に用いられる配向膜は、重合性基を有する必要が無いため、安価で合成容易なポリマーを配向膜として使用することができる。
また、特に表3の結果から、配向膜と光学異方性層との密着性が付与し難い低温条件下においても、本発明の添加剤を添加することで密着性が得られたことから、光学異方性に用いた液晶性化合物のΔnを大きい状態で使用することが可能となり、同じ光学特性を得るのに膜厚を低下することが可能となった。
本発明の位相差板の一実施形態の断面模式図である。 本発明の位相差板を利用した偏光板の一例の断面模式図である。
符号の説明
01 支持体
02 配向膜
03 光学異方性層
04 液晶性化合物
05 位相差板
06 透明保護膜
07 直線偏光膜
08 偏光板

Claims (21)

  1. 透明支持体、ポリマー組成物からなる配向膜、及び、少なくとも一種の液晶性化合物を含有する光学異方性層が、この順で設けられた位相差板であって、前記光学異方性層中に、記一般式()で表される化合物の少なくとも一種を含有する位相差板:
    Figure 0004694929
    一般式()中、 1 は二価の連結基、水素原子、又は、置換もしくは無置換のアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基又はヘテロアリール基を表し、Zは重合性基を有する置換基を表し、Qは、ボロン酸およびボロン酸エステルを表す(但し、Zを有していなくてもよく、Zを有する場合にはX 1 は二価の連結基を表す)
  2. 前記一般式(I)で表される化合物が、下記一般式(II)で表される化合物である請求項1に記載の位相差板:
    Figure 0004694929
    一般式(II)中、R1及びR2はそれぞれ独立に、水素原子、或いは、置換もしくは無置換の脂肪族炭化水素基、アリール基又はヘテロアリール基を表し、アルキレン連結基、アリール連結基、又はこれらの組み合わせからなる連結基を介して連結してもよく、また、X1及びZは、一般式(I)中のX1及びZと同義である(但し、Zを有していなくてもよく、Zを有する場合にはX1は二価の連結基を表す)。
  3. 前記一般式(II)中、R1及びR2がそれぞれ水素原子を表し、一般式(I)又は(II)中、Zが下記一般式(III)で表される基、又はオキシラニル部分もしくはオキセタン部分を有する基である請求項に記載の位相差板:
    Figure 0004694929
    一般式(III)中、R3は水素原子又はメチル基であり、L1は単結合又はO−、−CO−、−NH−、−CO−NH−、−COO−、−O−COO−、アルキレン基、アリーレン基、ヘテロ環基、及びそれらの組み合わせから選ばれる二価の連結基である。
  4. 前記配向膜が、下記一般式(IV)で表される少なくとも1種の構成単位を含むポリマーを含有する請求項1〜のいずれか1項に記載の位相差板:
    Figure 0004694929
    一般式(IV)中、Mpはポリマーの主鎖を構成する2+n価の基を表し、L2は1+n価の連結基を表し、nは1又は2を表し、X2は水素結合性基を表す。
  5. 一般式(IV)で表される構成単位を含有するポリマーが、ポリビニルアルコール誘導体である請求項に記載の位相差板。
  6. 前記一般式(I)で表される化合物が、該化合物を含有しない光学異方性層と配向膜との密着性よりも、光学異方性層と配向膜との密着性をより高くする機能を有する請求項1〜のいずれか1項に記載の位相差板。
  7. 少なくとも一種の重合性化合物、及び、少なくとも一種の下記一般式(B)で表される化合物を含有し、前記重合性化合物が、液晶性化合物である重合性組成物:
    一般式(B)
    (Z)n−X−QB
    一般式(B)中、Zは重合性基を有する置換基を表し、nは0〜4の整数を表し、nが1〜4の場合、Xはn+1価の連結基を表し、nが0の場合、Xは水素原子、又は、置換もしくは無置換のアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基又はヘテロアリール基を表し、QBは、少なくとも一つのホウ素原子を含有する置換基を表す。
  8. 前記一般式(B)中、nが1を表し、Xが二価の連結基を表す請求項に記載の重合性組成物。
  9. 前記一般式()中、QBで表される置換基が、下記一般式(C)で表される置換基である請求項又はに記載の重合性組成物:
    Figure 0004694929
    一般式(C)中、R1及びR2はそれぞれ独立に、水素原子、又は、置換もしくは無置換の脂肪族炭化水素基、アリール基又はヘテロアリール基を表し、R1及びR2は、アルキレン連結基、アリール連結基、又はこれらの組み合わせからなる連結基を介して互いに連結していてもよい。
  10. 前記一般式(B)中、Zで表される重合性基が下記一般式(III)で表される基、又はオキシラニル部分もしくはオキセタン部分を有する基である請求項のいずれか1項に記載の重合性組成物。
    Figure 0004694929
    一般式(III)中、R3は水素原子又はメチル基であり、L1は単結合又はO−、−CO−、−NH−、−CO−NH−、−COO−、−O−COO−、アルキレン基、アリーレン基、ヘテロ環基、及びそれらの組み合わせから選ばれる二価の連結基である。
  11. 前記一般式(B)中、Zで表される重合性基が請求項1中に記載の前記一般式(III)で表される基を表し、nが1を表し、Xが少なくとも一つのアリール基を含む二価の連結基を表し、QBが請求項中に記載の前記一般式(C)を表し、且つ、一般式(C)中のR1及びR2が水素原子を表す請求項〜1のいずれか1項に記載の重合性組成物。
  12. 基板上で重合性組成物を硬化させて高分子膜を作製する方法であって、前記重合性組成物が、請求項7〜11のいずれか1項に記載の重合性組成物である高分子膜の作製方法:
  13. 前記基板が、少なくとも一種の透明支持体上に配向膜を有する基板である請求項1に記載の高分子膜の作製方法。
  14. 前記配向膜が、下記一般式(IV)で表される少なくとも1種の構成単位を含むポリマーを含有する請求項1に記載の高分子膜の作製方法。
    Figure 0004694929
    一般式(IV)中、Mpはポリマーの主鎖を構成する(2+n)価の基を表し、L2は1+n価の連結基を表し、nは1又は2を表し、X2は水素結合性基を表す。
  15. 一般式(IV)で表される構成単位を含有するポリマーが、ポリビニルアルコール誘導体である請求項1に記載の高分子膜の作製方法。
  16. 作製された高分子膜が、光学的に異方性を有する請求項1〜1のいずれか1項に記載の高分子膜の作製方法。
  17. 前記重合性組成物を硬化させる温度が、80℃以下である請求項1〜1のいずれか1項に記載の高分子膜の作製方法。
  18. 請求項117のいずれか1項に記載の方法で作製された位相差板。
  19. 80℃以下で前記重合性組成物を硬化させ、基板と高分子膜とが密着した請求項18に記載の位相差板。
  20. 請求項18及び19のいずれか1項に記載の位相差板と、偏光膜とを有する楕円偏光板。
  21. 請求項18及び19のいずれか1項に記載の位相差板を有する液晶表示装置。
JP2005273953A 2004-09-30 2005-09-21 重合性組成物、位相差板、高分子膜の作製方法、液晶表示装置 Active JP4694929B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2005273953A JP4694929B2 (ja) 2004-09-30 2005-09-21 重合性組成物、位相差板、高分子膜の作製方法、液晶表示装置

Applications Claiming Priority (5)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004285999 2004-09-30
JP2004285999 2004-09-30
JP2005093975 2005-03-29
JP2005093975 2005-03-29
JP2005273953A JP4694929B2 (ja) 2004-09-30 2005-09-21 重合性組成物、位相差板、高分子膜の作製方法、液晶表示装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2006309120A JP2006309120A (ja) 2006-11-09
JP4694929B2 true JP4694929B2 (ja) 2011-06-08

Family

ID=37476039

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2005273953A Active JP4694929B2 (ja) 2004-09-30 2005-09-21 重合性組成物、位相差板、高分子膜の作製方法、液晶表示装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4694929B2 (ja)

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US10294372B2 (en) 2014-11-27 2019-05-21 Fujifilm Corporation Surface-modified inorganic substance, method for manufacturing surface-modified inorganic substance, method for modifying surface of inorganic substance with organic substance, heat dissipation material, thermally conductive material, and lubricant
WO2020067364A1 (ja) 2018-09-28 2020-04-02 富士フイルム株式会社 熱伝導材料形成用組成物、熱伝導材料、熱伝導シート、熱伝導層付きデバイス、膜
WO2020158259A1 (ja) 2019-02-01 2020-08-06 富士フイルム株式会社 熱伝導材料形成用組成物、熱伝導材料
US10774212B2 (en) 2016-01-26 2020-09-15 Fujifilm Corporation Thermally conductive material, resin composition, and device
WO2020195496A1 (ja) 2019-03-28 2020-10-01 富士フイルム株式会社 組成物、熱伝導材料
WO2021039732A1 (ja) 2019-08-26 2021-03-04 富士フイルム株式会社 熱伝導材料形成用組成物、熱伝導材料、熱伝導シート、熱伝導層付きデバイス

Families Citing this family (17)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP5695532B2 (ja) * 2010-12-27 2015-04-08 富士フイルム株式会社 光学フィルム、その製造方法、並びにそれを用いた偏光板、画像表示装置及び立体画像表示システム
US8546617B1 (en) 2012-03-23 2013-10-01 Empire Technology Development Llc Dioxaborinanes and uses thereof
WO2013141875A1 (en) * 2012-03-23 2013-09-26 Empire Technology Development Llc Dioxaborinanes and uses thereof
US9290598B2 (en) 2012-03-29 2016-03-22 Empire Technology Development Llc Dioxaborinane co-polymers and uses thereof
US9095141B2 (en) 2012-07-31 2015-08-04 Empire Technology Development Llc Antifouling compositions including dioxaborinanes and uses thereof
TW201520043A (zh) * 2013-10-09 2015-06-01 富士軟片股份有限公司 偏光板、影像顯示裝置
JP6191427B2 (ja) * 2013-12-05 2017-09-06 東洋インキScホールディングス株式会社 活性エネルギー線重合性樹脂組成物及び積層体
WO2016143885A1 (ja) * 2015-03-12 2016-09-15 日東電工株式会社 偏光フィルムおよびその製造方法、光学フィルムならびに画像表示装置
JP2016169297A (ja) * 2015-03-12 2016-09-23 日東電工株式会社 架橋剤および硬化性樹脂組成物、偏光フィルムおよびその製造方法、光学フィルムならびに画像表示装置
JP6689103B2 (ja) * 2015-03-12 2020-04-28 日東電工株式会社 偏光フィルムおよびその製造方法、光学フィルムならびに画像表示装置
JP6560999B2 (ja) * 2016-03-09 2019-08-14 日東電工株式会社 硬化性樹脂組成物、偏光フィルムおよびその製造方法、光学フィルムならびに画像表示装置
JP6868345B2 (ja) * 2016-04-22 2021-05-12 日東電工株式会社 硬化性樹脂組成物、偏光フィルムおよびその製造方法、光学フィルムならびに画像表示装置
WO2018003664A1 (ja) * 2016-06-27 2018-01-04 富士フイルム株式会社 機能性膜、偏光板、及び表示装置
JP6722602B2 (ja) 2016-06-27 2020-07-15 富士フイルム株式会社 機能性膜を含む積層体、偏光板、及び表示装置
JP6758393B2 (ja) * 2016-09-30 2020-09-23 富士フイルム株式会社 高分子化合物
EP3521874B1 (en) * 2016-09-30 2020-10-21 FUJIFILM Corporation Liquid crystal composition, optical film, polarizing plate, and image display device
JP7161997B2 (ja) 2017-09-07 2022-10-27 富士フイルム株式会社 投映像表示用ハーフミラーフィルム、投映像表示用の合わせガラス、および、画像表示システム

Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002328371A (ja) * 2000-04-24 2002-11-15 Nippon Kayaku Co Ltd 液晶性化合物の配向方法
JP2006124639A (ja) * 2004-09-30 2006-05-18 Fuji Photo Film Co Ltd 高分子膜、液晶配向膜、位相差板及び液晶表示装置
JP2006126757A (ja) * 2003-12-12 2006-05-18 Chisso Corp 有機ケイ素化合物含有重合性液晶組成物

Family Cites Families (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP3867400B2 (ja) * 1998-05-08 2007-01-10 日本油脂株式会社 ボロン酸基含有単量体およびその重合体

Patent Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002328371A (ja) * 2000-04-24 2002-11-15 Nippon Kayaku Co Ltd 液晶性化合物の配向方法
JP2006126757A (ja) * 2003-12-12 2006-05-18 Chisso Corp 有機ケイ素化合物含有重合性液晶組成物
JP2006124639A (ja) * 2004-09-30 2006-05-18 Fuji Photo Film Co Ltd 高分子膜、液晶配向膜、位相差板及び液晶表示装置

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US10294372B2 (en) 2014-11-27 2019-05-21 Fujifilm Corporation Surface-modified inorganic substance, method for manufacturing surface-modified inorganic substance, method for modifying surface of inorganic substance with organic substance, heat dissipation material, thermally conductive material, and lubricant
US10774212B2 (en) 2016-01-26 2020-09-15 Fujifilm Corporation Thermally conductive material, resin composition, and device
WO2020067364A1 (ja) 2018-09-28 2020-04-02 富士フイルム株式会社 熱伝導材料形成用組成物、熱伝導材料、熱伝導シート、熱伝導層付きデバイス、膜
WO2020158259A1 (ja) 2019-02-01 2020-08-06 富士フイルム株式会社 熱伝導材料形成用組成物、熱伝導材料
WO2020195496A1 (ja) 2019-03-28 2020-10-01 富士フイルム株式会社 組成物、熱伝導材料
WO2021039732A1 (ja) 2019-08-26 2021-03-04 富士フイルム株式会社 熱伝導材料形成用組成物、熱伝導材料、熱伝導シート、熱伝導層付きデバイス

Also Published As

Publication number Publication date
JP2006309120A (ja) 2006-11-09

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4694929B2 (ja) 重合性組成物、位相差板、高分子膜の作製方法、液晶表示装置
JP4721747B2 (ja) 高分子膜、液晶配向膜、位相差板及び液晶表示装置
JP4440817B2 (ja) 光学異方性膜、輝度向上フィルムおよび積層光学フィルムならびにこれらを用いた画像表示装置。
TWI461412B (zh) 光學薄膜、相位差板、橢圓偏光板、液晶顯示裝置以及化合物
JP2007272185A (ja) 組成物、位相差板、液晶表示装置、平均チルト角調整剤、平均チルト角の調整方法
JP2002006138A (ja) 光学補償シートおよびその製造方法
JP2010241919A (ja) 組成物、フィルム及びフィルムの製造方法
JP7282190B2 (ja) 光学異方性層、光学フィルム、偏光板および画像表示装置
JP2005097377A (ja) 配向膜、重合体、それを用いた位相差板およびその作製方法、ならびに液晶表示装置
JP2005301235A (ja) 位相差板および画像表示装置
JP4335620B2 (ja) 光学異方性層、位相差板、円偏光板および画像表示装置
JP5069530B2 (ja) 組成物、位相差板、液晶表示装置および、位相差板の製造方法
JP4491366B2 (ja) 位相差板
KR101166398B1 (ko) 위상차판 및 액정 표시 장치
JP4647270B2 (ja) 位相差板、その製造方法ならびにそれを用いた偏光板及び画像表示装置
JP2006259212A (ja) 位相差板、その製造方法ならびにそれを用いた偏光板及び画像表示装置
JP2007023180A (ja) 液晶組成物及び位相差板
KR20050030153A (ko) 배향막, 위상차판, 및 그의 제조 방법
JP2005227425A (ja) 位相差板、ならびにそれを用いたλ/4板及び楕円偏光板
JP2007219193A (ja) 光学補償シート、偏光板、および液晶表示装置
JP2005257711A (ja) 位相差板の製造方法、位相差板、画像表示装置
JP2006133483A (ja) 配向膜、位相差板およびその製造方法
JP2005263635A (ja) 重合性化合物、重合体、液晶配向膜、位相差板、偏光板及び液晶表示装置
JP4843189B2 (ja) 配向膜、位相差板及びその製造方法
JP2005266401A (ja) 位相差板および画像表示装置

Legal Events

Date Code Title Description
A711 Notification of change in applicant

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A712

Effective date: 20061211

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20080208

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20101116

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20110111

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20110201

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20110224

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140304

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 4694929

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250