JP2010241919A - 組成物、フィルム及びフィルムの製造方法 - Google Patents

組成物、フィルム及びフィルムの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】広い波長域において一様の偏光変換が可能なフィルムを与えることができる組成物を提供する。
【解決手段】式(1)で表される化合物及びカイラル剤を含む組成物。
Figure 2010241919

[式(1)中、Arは芳香族炭化水素環および芳香族複素環からなる群から選ばれる少なくとも一つの芳香環を有する2価の基を表し、Ar基中の芳香環に含まれるπ電子の数Nπは、12以上である。D及びDは、2価の有機基を表す。G及びGは、2価の脂環式炭化水素基を表す。E、E、B及びBは、2価の有機基を表す。A及びAは、2価の脂環式炭化水素基又は2価の芳香族炭化水素基を表す。k及びlは、それぞれ独立に、0〜3の整数を表す。]
【選択図】なし

Description

本発明は、組成物及び該組成物を用いたフィルム等に関する。
フラットパネル表示装置(FPD)には、偏光板、位相差板などのフィルムを用いた部材が含まれている。フィルムには、たとえば、重合性化合物を溶剤に溶かして得られる溶液を、支持基材に塗布後、重合して得られるフィルムなどが挙げられる。そして、波長λnmの光が与えるフィルムの位相差(Re(λ))は、複屈折率Δnとフィルムの厚みdとの積で決定されることが知られている(Re(λ)=Δn×d)。また波長分散特性は、通常、ある波長λにおける位相差値Re(λ)を550nmにおける位相差値Re(550)で除した値(Re(λ)/Re(550))で表され、(Re(λ)/Re(550))が1に近い波長域や、[Re(450)/Re(550)]<1かつ[Re(650)/Re(550)]>1の逆波長分散性を示す波長域では、一様の偏光変換が可能であることが知られている。
たとえば、該重合性化合物としてLC242(BASF社製)、及びカイラル剤としてLC756(BASF社製)を溶剤に溶かして得られる溶液を、基材に塗布後、重合して得られるフィルムが開示されている(特許文献1)。
Figure 2010241919
国際公開第2008/117347号
本発明の課題は、広い波長域において一様の偏光変換が可能なフィルムを与える組成物を提供することである。
本発明は、式(1)で表される化合物及びカイラル剤を含む組成物である。
Figure 2010241919
[式(1)中、Arは芳香族炭化水素環および芳香族複素環からなる群から選ばれる少なくとも一つの芳香環を有する2価の基を表し、Ar基中の芳香環に含まれるπ電子の数Nπは、12以上である。
及びDは、それぞれ独立に、*−O−CO−(*は、Arに結合する位置を表す)、−C(=S)−O−、−O−C(=S)−、−CR−、−CR−CR−、−O−CR−、−CR−O−、−CR−O−CR−、−CR−O−CO−、−O−CO−CR−、−CR−O−CO−R−、−CR−CO−O−CR−、−NR−CR−、−CR−NR−、−CO−NR−、又は−NR−CO−を表す。R、R、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、フッ素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表す。Rは、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表す。
及びGは、それぞれ独立に、2価の脂環式炭化水素基を表す。該脂環式炭化水素基に含まれる水素原子は、ハロゲン原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のフルオロアルキル基、炭素数1〜4アルコキシ基、シアノ基またはニトロ基に置換されていてもよく、該脂環式炭化水素基に含まれるメチレン基は、−O−、−S−又は−NH−に置換されていてもよい。
、E、B及びBは、それぞれ独立に、−CR−、−CH−CH−、−O−、−S−、−CO−O−、−O−CO−、−O−CO−O−、−C(=S)−O−、−O−C(=S)−、−O−C(=S)−O−、−CO−NR−、−NR−CO−、−O−CH−、−CH−O−、−S−CH−、−CH−S−又は単結合を表す。R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、フッ素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表す。Rは、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表す。
及びAは、それぞれ独立に、2価の脂環式炭化水素基又は2価の芳香族炭化水素基を表す。該2価の脂環式炭化水素基及び2価の芳香族炭化水素基に含まれる水素原子は、ハロゲン原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4アルコキシ基、シアノ基又はニトロ基に置換されていてもよい。該炭素数1〜4のアルキル基及び該炭素数1〜4アルコキシ基に含まれる水素原子は、フッ素原子に置換されていてもよい。
k及びlは、それぞれ独立に、0〜3の整数を表す。
及びFは、それぞれ独立に、炭素数1〜12のアルキレン基を表す。該アルキレン基に含まれる水素原子は、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のアルコキシ基又はハロゲン原子に置換されていてもよく、該アルキレン基に含まれるメチレン基は、−O−又は−CO−に置換されていてもよい。
及びPは、それぞれ独立に、水素原子又は重合性基を表す(ただし、P及びPのうち少なくとも1つは、重合性基を表す)。]
本発明の組成物によれば、広い波長域において一様の偏光変換が可能なフィルムを与えることができる。
本発明に係るカラーフィルタ1を示す概略図である。 本発明に係る液晶表示装置5を示す概略図である。 本発明に係る偏光板30を示す概略図である。 本発明に係る液晶表示装置の液晶パネル20と偏光板30との貼合品21を示す概略図である。
本発明の組成物は、化合物(以下「化合物(1)」という場合がある)を含む。化合物(1)は、式(1)で表される。
Figure 2010241919
[式(1)中、Arは芳香族炭化水素環および芳香族複素環からなる群から選ばれる少なくとも一つの芳香環を有する2価の基を表し、Ar基中の芳香環に含まれるπ電子の数Nπは、12以上である。
及びDは、それぞれ独立に、*−O−CO−(*は、Arに結合する位置を表す)、−C(=S)−O−、−O−C(=S)−、−CR−、−CR−CR−、−O−CR−、−CR−O−、−CR−O−CR−、−CR−O−CO−、−O−CO−CR−、−CR−O−CO−R−、−CR−CO−O−CR−、−NR−CR−、−CR−NR−、−CO−NR−、又は−NR−CO−を表す。R、R、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、フッ素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表す。Rは、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表す。
及びGは、それぞれ独立に、2価の脂環式炭化水素基を表す。該脂環式炭化水素基に含まれる水素原子は、ハロゲン原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のフルオロアルキル基、炭素数1〜4アルコキシ基、シアノ基またはニトロ基に置換されていてもよく、該脂環式炭化水素基に含まれるメチレン基は、−O−、−S−又は−NH−に置換されていてもよい。
、E、B及びBは、それぞれ独立に、−CR−、−CH−CH−、−O−、−S−、−CO−O−、−O−CO−、−O−CO−O−、−C(=S)−O−、−O−C(=S)−、−O−C(=S)−O−、−CO−NR−、−NR−CO−、−O−CH−、−CH−O−、−S−CH−、−CH−S−又は単結合を表す。R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、フッ素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表す。Rは、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表す。
及びAは、それぞれ独立に、2価の脂環式炭化水素基又は2価の芳香族炭化水素基を表す。該2価の脂環式炭化水素基及び2価の芳香族炭化水素基に含まれる水素原子は、ハロゲン原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4アルコキシ基、シアノ基又はニトロ基に置換されていてもよい。該炭素数1〜4のアルキル基及び該炭素数1〜4アルコキシ基に含まれる水素原子は、フッ素原子に置換されていてもよい。
k及びlは、それぞれ独立に、0〜3の整数を表す。
及びFは、それぞれ独立に、炭素数1〜12のアルキレン基を表す。該アルキレン基に含まれる水素原子は、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のアルコキシ基又はハロゲン原子に置換されていてもよく、該アルキレン基に含まれるメチレン基は、−O−又は−CO−に置換されていてもよい。
及びPは、それぞれ独立に、水素原子又は重合性基(ただし、P及びPのうち少なくとも1つは、重合性基を表す)を表す。]
化合物(1)は、式(2)及び式(3)で表される要件を充足することが好ましい。
(Nπ−4)/3<k+l+4 (2)
12≦Nπ≦22 (3)
[式(2)及び式(3)中、Nπ、k及びlは上記と同じ意味を表す。]
芳香族炭化水素環としては、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナンスロリン環等が挙げられ、芳香族複素環としては、フラン環、ピロール環、チオフェン環、ピリジン環、チアゾール環、ベンゾチアゾール環等が挙げられる。なかでも、ベンゼン環、チアゾール環、ベンゾチアゾール環が好ましい。
Arは、芳香族炭化水素環および芳香族複素環からなる群から選ばれる少なくとも一つの芳香環を有する2価の基であって、該2価の基中に含まれる芳香環のπ電子の合計数Nπは、12以上であり、好ましくは12以上、22以下であり、より好ましくは、13以上、22以下である。
Arとしては、式(Ar−1)〜式(Ar−13)で表される2価の基が挙げられ、式(Ar−6)で表される2価の基であることが好ましい。
Figure 2010241919
[式(Ar−1)〜式(Ar−13)中、Zは、ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルキル基、シアノ基、ニトロ基、炭素数1〜6のアルキルスルフィニル基、炭素数1〜6のアルキルスルホニル基、カルボキシル基、炭素数1〜6のフルオロアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数1〜6のアルキルチオ基、炭素数1〜6のN−アルキルアミノ基、炭素数2〜12のN,N−ジアルキルアミノ基、炭素数1〜6のN−アルキルスルファモイル基または炭素数2〜12のN,N−ジアルキルスルファモイル基を表す。
及びQは、それぞれ独立に、−CR10−、−S−、−NR−、−CO−又は−O−を表す。
及びR10は、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表す。
、Y及びYは、それぞれ独立に、置換されていてもよい芳香族炭化水素基又は芳香族複素環基を表す。
及びWは、それぞれ独立に、水素原子、シアノ基、メチル基又はハロゲン原子を表す。
mは、0〜6の整数を表す。
nは、0〜2の整数を表す。]
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、フッ素原子、塩素原子、臭素原子が好ましい。
炭素数1〜6のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等が挙げられ、炭素数1〜4のアルキル基が好ましく、炭素数1〜2のアルキル基がより好ましく、メチル基が特に好ましい。
炭素数1〜6のアルキルスルフィニル基としては、メチルスルフィニル基、エチルスルフィニル基、プロピルスルフィニル基、イソプロピルスルフィニル基、ブチルスルフィニル基、イソブチルスルフィニル基、sec−ブチルスルフィニル基、tert−ブチルスルフィニル基、ペンチルスルフィニル基、ヘキシル基スルフィニル等が挙げられ、炭素数1〜4のアルキルスルフィニル基が好ましく、炭素数1〜2のアルキルスルフィニル基がより好ましく、メチルスルフィニル基が特に好ましい。
炭素数1〜6のアルキルスルホニル基としては、メチルスルホニル基、エチルスルホニル基、プロピルスルホニル基、イソプロピルスルホニル基、ブチルスルホニル基、イソブチルスルホニル基、sec−ブチルスルホニル基、tert−ブチルスルホニル基、ペンチルスルホニル基、ヘキシルスルホニル基等が挙げられ、炭素数1〜4のアルキルスルホニル基が好ましく、炭素数1〜2のアルキルスルホニル基がより好ましく、メチルスルホニル基が特に好ましい。
炭素数1〜6のフルオロアルキル基としては、フルオロメチル基、トリフルオロメチル基、フルオロエチル基、ペンタフルオロエチル基、ヘプタフルオロプロピル基、ノナフルオロブチル基等が挙げられ、炭素数1〜4のフルオロアルキル基が好ましく、炭素数1〜2のフルオロアルキル基がより好ましく、トリフルオロメチル基が特に好ましい。
炭素数1〜6のアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基等が挙げられ、炭素数1〜4のアルコキシ基が好ましく、炭素数1〜2のアルコキシ基がより好ましく、メトキシ基が特に好ましい。
炭素数1〜6のアルキルチオ基としては、メチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基、イソプロピルチオ基、ブチルチオ基、イソブチルチオ基、sec−ブチルチオ基、tert−ブチルチオ基、ペンチルチオ基、ヘキシルチオ基等が挙げられ、炭素数1〜4のアルキルチオ基が好ましく、炭素数1〜2のアルキルチオ基がより好ましく、メチルチオ基が特に好ましい。
炭素数1〜6のN−アルキルアミノ基としては、N−メチルアミノ基、N−エチルアミノ基、N−プロピルアミノ基、N−イソプロピルアミノ基、N−ブチルアミノ基、N−イソブチルアミノ基、N−sec−ブチルアミノ基、N−tert−ブチルアミノ基、N−ペンチルアミノ基、N−ヘキシルアミノ基等が挙げられ、炭素数1〜4のN−アルキルアミノ基が好ましく、炭素数1〜2のN−アルキルアミノ基がより好ましく、N−メチルアミノ基が特に好ましい。
炭素数2〜12のN,N−ジアルキルアミノ基としては、N,N−ジメチルアミノ基、N−メチル−N−エチルアミノ基、N,N−ジエチルアミノ基、N,N−ジプロピルアミノ基、N,N−ジイソプロピルアミノ基、N,N−ジブチルアミノ基、N,N−ジイソブチルアミノ基、N,N−ジペンチルアミノ基、N,N−ジヘキシルアミノ基等が挙げられ、炭素数2〜8のN,N−ジアルキルアミノ基が好ましく、炭素数2〜4のN,N−ジアルキルアミノ基がより好ましく、N,N−ジメチルアミノ基が特に好ましい。
炭素数1〜6のN−アルキルスルファモイル基としては、N−メチルスルファモイル基、N−エチルスルファモイル基、N−プロピルスルファモイル基、N−イソプロピルスルファモイル基、N−ブチルスルファモイル基、N−イソブチルスルファモイル基、N−sec−ブチルスルファモイル基、N−tert−ブチルスルファモイル基、N−ペンチルスルファモイル基、N−ヘキシルスルファモイル基等が挙げられ、炭素数1〜4のN−アルキルスルファモイル基が好ましく、炭素数1〜2のN−アルキルスルファモイル基がより好ましく、N−メチルスルファモイル基が特に好ましい。
炭素数2〜12のN,N−ジアルキルスルファモイル基としては、N,N−ジメチルスルファモイル基、N−メチル−N−エチルスルファモイル基、N,N−ジエチルスルファモイル基、N,N−ジプロピルスルファモイル基、N,N−ジイソプロピルスルファモイル基、N,N−ジブチルスルファモイル基、N,N−ジイソブチルスルファモイル基、N,N−ジペンチルスルファモイル基、N,N−ジヘキシルスルファモイル基等が挙げられ、炭素数2〜8のN,N−ジアルキルスルファモイル基が好ましく、炭素数2〜4のN,N−ジアルキルスルファモイル基がより好ましく、N,N−ジメチルスルファモイル基が特に好ましい。
は、ハロゲン原子、メチル基、シアノ基、ニトロ基、カルボキシル基、メチルスルホニル基、トリフルオロメチル基、メトキシ基、メチルチオ基、N−メチルアミノ基、N,N−ジメチルアミノ基、N−メチルスルファモイル基またはN,N−ジメチルスルファモイル基であることが好ましい。
およびR10における炭素数1〜4のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基等が挙げられ、炭素数1〜2のアルキル基が好ましく、メチル基がより好ましい。
は、−S−、−CO−、−NH−、−N(CH)−であることが好ましく、Qは、−S−、−CO−であることが好ましい。
、Y及びYの、芳香族炭化水素基又は芳香族複素環基は、単環系芳香族炭化水素基、単環系芳香族複素環基、多環系芳香族炭化水素基又は多環系芳香族複素環基を含む。
、YおよびYにおける芳香族炭化水素基としては、フェニル基、ナフチル基、アンスリル基、フェナンスリル基、ビフェニル基等の炭素数6〜20の芳香族炭化水素基が挙げられ、フェニル基、ナフチル基が好ましく、フェニル基がより好ましい。芳香族複素環基としては、フリル基、ピロリル基、チエニル基、ピリジニル基、チアゾリル基、ベンゾチアゾリル基、ベンゾフリル基、ベンゾチエニル基等の窒素原子、酸素原子、硫黄原子等のヘテロ原子を少なくとも一つ含み、炭素数4〜20の芳香族複素環基が挙げられ、フリル基、チエニル基、チアゾリル基、ベンゾチアゾリル基、ベンゾフリル基、ベンゾチエニル基が好ましい。
かかる芳香族炭化水素基および芳香族複素環基は、少なくとも一つの置換基を有していてもよく、置換基としては、ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルキル基、シアノ基、ニトロ基、炭素数1〜6のアルキルスルフィニル基、炭素数1〜6のアルキルスルホニル基、カルボキシル基、炭素数1〜6のフルオロアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数1〜6のアルキルチオ基、炭素数1〜6のN−アルキルアミノ基、炭素数2〜12のN,N−ジアルキルアミノ基、炭素数1〜6のN−アルキルスルファモイル基、炭素数2〜12のN,N−ジアルキルスルファモイル基等が挙げられ、ハロゲン原子、炭素数1〜2のアルキル基、シアノ基、ニトロ基、炭素数1〜2のアルキルスルホニル基、炭素数1〜2のフルオロアルキル基、炭素数1〜2のアルコキシ基、炭素数1〜2のアルキルチオ基、炭素数1〜2のN−アルキルアミノ基、炭素数2〜4のN,N−ジアルキルアミノ基、炭素数1〜2のアルキルスルファモイル基が好ましい。
ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルキル基、シアノ基、ニトロ基、炭素数1〜6のアルキルスルフィニル基、炭素数1〜6のアルキルスルホニル基、カルボキシル基、炭素数1〜6のフルオロアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数1〜6のアルキルチオ基、炭素数1〜6のN−アルキルアミノ基、炭素数2〜12のN,N−ジアルキルアミノ基、炭素数1〜6のN−アルキルスルファモイル基および炭素数2〜12のN,N−ジアルキルスルファモイル基としては、前記したものと同様のものが挙げられる。
単環系芳香族炭化水素基又は単環系芳香族複素環基としては、式(Y−1)〜式(Y−6)で表される基が挙げられる。
Figure 2010241919
[式(Y−1)〜式(Y−6)中、Zは、ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルキル基、シアノ基、ニトロ基、炭素数1〜6のアルキルスルフィニル基、炭素数1〜6のアルキルスルホニル基、カルボキシル基、炭素数1〜6のフルオロアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数1〜6のチオアルキル基、炭素数1〜6のN−アルキルアミノ基、炭素数2〜12のN,N−ジアルキルアミノ基、炭素数1〜6のN−アルキルスルファモイル基または炭素数2〜12のN,N−ジアルキルスルファモイル基を表す。
は、0〜5の整数、aは、0〜4の整数、bは、0〜3の整数、bは、0〜2の整数、Rは、水素原子又はメチル基を表す。]
としては、ハロゲン原子、メチル基、シアノ基、ニトロ基、スルホン基、カルボキシル基、トリフルオロメチル基、メトキシ基、チオメチル基、N,N−ジメチルアミノ基又はN−メチルアミノ基が好ましい。
さらにY、Y及びYが、それぞれ独立に、式(Y−1)又は式(Y−3)で表される基であることが、化合物(1)の製造工程やコストの点で特に好ましい。
多環系芳香族炭化水素基又は多環系芳香族複素環基としては、式(Y−1)〜式(Y−7)で表される基が挙げられる。
Figure 2010241919
[式(Y−1)〜式(Y−7)中、*印は連結部を表し、Zは、それぞれ独立に、ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルキル基、シアノ基、ニトロ基、ニトロキシキド基、スルホン基、スルホキシド基、カルボキシル基、炭素数1〜6のフルオロアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数1〜6のチオアルキル基、炭素数2〜8のN,N−ジアルキルアミノ基又は炭素数1〜4のN−アルキルアミノ基を表す。
及びVは、それぞれ独立に、−CO−、−S−、−NR11−、−O−、−Se−又は−SO−を表す。
〜Wは、それぞれ独立に、−C=又は−N=を表す。
ただし、V、V及びW〜Wのうち少なくとも1つは、S、N、O又はSeを含む基を表す。
11は、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表す。
aは、それぞれ独立に、0〜3の整数を表す。
bは、それぞれ独立に、0〜2の整数を表す。]
Figure 2010241919
[式(Y−1)〜式(Y−6)中、Z、a、b、V、V及びWは、上記と同じ意味を表す。]
としては、ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルキル基、シアノ基、ニトロ基、炭素数1〜6のアルキルスルフィニル基、炭素数1〜6のアルキルスルホニル基、カルボキシル基、炭素数1〜6のフルオロアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数1〜6のアルキルチオ基、炭素数1〜6のN−アルキルアミノ基、炭素数2〜12のN,N−ジアルキルアミノ基、炭素数1〜6のN−アルキルスルファモイル基、炭素数2〜12のN,N−ジアルキルスルファモイル基等が挙げられ、ハロゲン原子、メチル基、エチル基、イソプロピル基、sec−ブチル基、シアノ基、ニトロ基、スルホン基、ニトロキシキド基、カルボキシル基、トリフルオロメチル基、メトキシ基、チオメチル基、N,N−ジメチルアミノ基又はN−メチルアミノ基が好ましく、ハロゲン原子、メチル基、エチル基、イソプロピル基、sec−ブチル基、シアノ基、ニトロ基、トリフルオロメチル基がより好ましく、メチル基、エチル基、イソプロピル基、sec−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基が特に好ましい。
ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルキルスルフィニル基、炭素数1〜6のアルキルスルホニル基、炭素数1〜6のフルオロアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数1〜6のアルキルチオ基、炭素数1〜6のN−アルキルアミノ基、炭素数2〜12のN,N−ジアルキルアミノ基、炭素数1〜6のN−アルキルスルファモイル基および炭素数2〜12のN,N−ジアルキルスルファモイル基としては、前記したものと同様のものが挙げられる。
及びVは、それぞれ独立に、−S−、−NR11−又は−O−であることが好ましい。
〜Wは、それぞれ独立に、−C=又は−N=であることが好ましい。
、V及びW〜Wのうち少なくとも1つは、S、N又はOを含む基を表すことが好ましい。
aは0または1であることが好ましい。bは0であることが好ましい。
及びWが、それぞれ独立に、水素原子、シアノ基又はメチル基であることが好ましく、水素原子であることが特に好ましい。
mは0または1であることが好ましい。nは0であることが好ましい。
式(Ar−1)〜式(Ar−4)で表される基の具体例として、式(ar−1)〜式(ar−29)で表される基が挙げられる。
Figure 2010241919
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式(Ar−5)で表される基の具体例として、式(ar−30)〜式(ar−39)で表される基が挙げられる。
Figure 2010241919
Figure 2010241919
式(Ar−6)又は式(Ar−7)で表される基の具体例として、式(ar−40)〜式(ar−119)で表される基が挙げられる。
Figure 2010241919
Figure 2010241919
Figure 2010241919
Figure 2010241919
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式(Ar−8)又は式(Ar−9)で表される基の具体例として、式(ar−120)〜式(ar−129)で表される基が挙げられる。
Figure 2010241919
Figure 2010241919
式(Ar−10)で表される基の具体例として、式(ar−130)〜式(ar−149)で表される基が挙げられる。
Figure 2010241919
Figure 2010241919
Figure 2010241919
Figure 2010241919
式(Ar−11)で示される基の具体例としては、式(ar−150)〜式(ar−159)で示される基が挙げられる。
Figure 2010241919
Figure 2010241919
式(Ar−12)で表される基の具体例として、式(ar−160)〜式(ar−179)で表される基が挙げられる。
Figure 2010241919
Figure 2010241919
Figure 2010241919
Figure 2010241919
式(Ar−13)で示される基の具体例としては、式(ar−180)〜式(ar−189)で示される基が挙げられる。
Figure 2010241919
Figure 2010241919
およびDが、*−O−CO−、*−O−C(=S)−、*−O−CR−、*−NR−CR−または*−NR−CO−(*はArとの結合部位を表わす。)であることが好ましい。DおよびDが、*−O−CO−、*−O−C(=S)−または*−NR−CO−(*はArとの結合部位を表す。)であることがより好ましい。R、R、RおよびRは、それぞれ独立に、水素原子または炭素数1〜4のアルキル基であることが好ましく、水素原子、メチル基またはエチル基であることがより好ましい。Rは、水素原子、メチル基またはエチル基であることが好ましい。
及びGとしては、式(g−1)〜式(g−10)で示されるヘテロ原子を含んでもよい脂環式炭化水素基が挙げられ、5員環又は6員環の脂環式炭化水素基であることが好ましい。
Figure 2010241919
上記式(g−1)〜(g−10)で示される基は、前記例示された基の水素原子の一部が、メチル基、エチル基、イソプロピル基、tert−ブチル基等の炭素数1〜4のアルキル基;メトキシ基、エトキシ基等の炭素数1〜4のアルコキシ基;トリフルオロメチル基等等の炭素数1〜4のフルオロアルキル基;トリフルオロメトキシ基等の炭素数1〜4のフルオロアルコキシ基;シアノ基;ニトロ基;フッ素原子、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子で置換されていてもよい。
及びGとしては、式(g−1)で表される6員環からなる脂環式炭化水素基であることが好ましく、1,4−シクロヘキシレン基であることがさらに好ましく、trans−1,4−シクロへキシレン基であることが特に好ましい。
及びAにおける2価の脂環式炭化水素基又は芳香族炭化水素基としては、上記式(g−1)〜式(g−10)で表される5員環又は6員環などからなる脂環式炭化水素基や、式(a−1)〜式(a−8)で表される炭素数6〜20程度の2価の芳香族炭化水素基が挙げられる。
Figure 2010241919
なお、A及びAとして、前記例示された基の水素原子の一部が、メチル基、エチル基、i−プロピル基又はt−ブチル基などの炭素数1〜4程度のアルキル基;メトキシ基又はエトキシ基などの炭素数1〜4程度のアルコキシ基;トリフルオロメチル基;トリフルオロメチルオキシ基;シアノ基;ニトロ基;フッ素原子、塩素原子又は臭素原子などのハロゲン原子に置換されていてもよい。
及びAとしては、特に、いずれも同種類の基であると、化合物(1)の製造が容易であることから好ましい。またA及びAとしては、単環の1,4−フェニレン基又は1,4−シクロヘキシレン基であると好ましく、化合物(1)の製造が容易なことから、特に1,4−フェニレン基が好ましい。
及びBは、同じ種類の2価の基であると、化合物(1)の製造が容易なことから好ましい。さらに化合物(1)の製造がより容易なことから、B及びBのうち、A及びAのみと結合しているB及びBが、それぞれ独立に、−CH−CH−、−CO−O−、−O−CO−、−CO−NH−、−NH−CO−、−O−CH−、−CH−O−又は単結合であることが好ましく、特に高い液晶性を示すことから、−CO−O−又は−O−CO−が好ましい。B及びBのうち、E又はEと結合しているB及びBが、それぞれ独立に、−O−、−CO−O−、−O−CO−、−O−CO−O−、−CO−NH−、−NH−CO−又は単結合であることがより好ましい。
k及びlは、液晶性の観点から、それぞれ独立に、0〜3の整数を表すことが好ましく、k及びlは0〜2であることがより好ましい。k及びlの合計は、5以下が好ましく、4以下がより好ましい。
及びPは、それぞれ独立に、水素原子又は重合性基(ただし、P及びPのうち少なくとも1つは、重合性基を表す)を表す。P及びPが両方とも重合性基であると、得られるフィルムの膜硬度が優れる傾向があることから好ましい。
重合性基とは、本発明の化合物(1)を重合させることのできる置換基であり、具体的には、ビニル基、p−スチルベン基、アクリロイル基、メタクロイル基、アクリロイルオキシ基、メタクロイルオキシ基、カルボキシル基、メチルカルボニル基、水酸基、アミド基、炭素数1〜4のアルキルアミノ基、アミノ基、エポキシ基、オキセタニル基、アルデヒド基、イソシアネート基又はチオイソシアネート基などが例示される。また重合性基には、上記例示の基とE及びEを結合するために、B及びBとして示される基が含まれていてもよい。たとえば光重合させるのに適した、ラジカル重合性、カチオン重合性基が好ましく、特に取り扱いが容易な上、製造も容易であることからアクリロイル基又はメタクロイル基が好ましく、アクリロイル基がより好ましい。P及びPがいずれも重合性基であると、得られるフィルムの膜硬度が優れる傾向があることからより好ましい。
−D−G−E−(A−B−F−P、−D−G−E−(A−B−F−Pの具体的例としては、式(R−1)〜式(R−134)で表される基が挙げられる。*(アスタリスク)は、Arとの結合位置を示す。また式(R−1)〜式(R−134)におけるnは2〜12の整数を表す。
Figure 2010241919
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さらに化合物(1)としては、化合物(i)〜化合物(xxxiv)が挙げられる。表中のR1は、−D−G−E−(A−B−F−Pを、R2は、−D−G−E−(A−B−F−Pを表す。
Figure 2010241919
なお、化合物(xxx)および化合物(xxxi)においては、式(1−A)で示される基および式(1−B)で示される基のうちのいずれか一方は、(R−57)〜(R−120)のいずれかである。
上記表1中、化合物(xvii)は、Arで示される基が式(ar−78)で示される基である化合物、Arで示される基が式(ar−79)で示される基である化合物またはArで示される基が式(ar−78)で示される基である化合物と式(ar−79)で示される基である化合物との混合物のいずれかであることを意味する。
上記表2中、化合物(xxx)は、Arで示される基が式(ar−120)で示される基である化合物、Arで示される基が式(ar−121)で示される基である化合物またはArで示される基が式(ar−120)で示される基である化合物と式(ar−121)で示される基である化合物との混合物のいずれかであることを意味し、化合物(xxxi)は、Arで示される基が式(ar−122)で示される基である化合物、Arで示される基が式(ar−123)で示される基である化合物またはArで示される基が式(ar−122)で示される基である化合物と式(ar−123)で示される基である化合物との混合物のいずれかであることを意味する。
さらに表1の化合物(i)、化合物(ii)、化合物(iv)、化合物(v)、化合物(vi)、化合物(ix)、化合物(x)、化合物(xi)、化合物(xvi)、化合物(xviii)、化合物(xix)、化合物(xx)、化合物(xxi)、化合物(xxiii)、化合物(xxiv)、化合物(xxv)、化合物(xxvi)、化合物(xxvii)、、化合物(xxviii)、及び、化合物(xxix)の代表的な構造式を式(ii−1)、式(iv−1)、式(v−1)、式(v−2)、式(v−3)、式(v−4)、式(v−5)、式(vi−1)、式(ix−1)、式(x−1)、式(xi−1)、式(xvi−1)、式(xix−1)、式(xx−1)、式(xxi−1)、式(xxiii−1)、式(xxiv−1)、式(xxv−1)、式(xxvi−1)、式(xxvii−1)、式(xxviii−1)、式(xxix−1)、式(xxxii−1)、及び、式(xxxiv−1)に例示する。本発明のフィルムにおいて、異なる複数の種類の化合物(1)を用いてもよい。
Figure 2010241919
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化合物(1)として、さらに、例えば以下のものが例示される。ただし、式中n1及びn2は、それぞれ独立に2〜12の整数を示す。
Figure 2010241919
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化合物(1)としては、、式(A1−1)〜式(A64−8)で表される化合物が挙げられる。*は連結部を表し、例えば式(A1−1)で表される化合物は、下記のように表される化合物である。
Figure 2010241919
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化合物(2)の製造方法について以下説明する。
化合物(1)は、Methoden der Organischen Chemie、Organic Reactions、Organic Syntheses、Comprehensive Organic Synthesis、新実験化学講座等に記載されている公知の有機合成反応(例えば、縮合反応、エステル化反応、ウイリアムソン反応、ウルマン反応、ウイッティヒ反応、シッフ塩基生成反応、ベンジル化反応、薗頭反応、鈴木−宮浦反応、根岸反応、熊田反応、檜山反応、ブッフバルト−ハートウィッグ反応、フリーデルクラフト反応、ヘック反応、アルドール反応など)を、その構造に応じて、適宜組み合わせることにより、製造することができる。
例えば、DおよびDが*−O−CO−である化合物(1)の場合には、式(1−1)
Figure 2010241919
(式中、Arは上記と同一の意味を表わす。)
で示される化合物と式(1−2)
Figure 2010241919
(式中、G、E、A、B、F、Pおよびkは上記と同一の意味を表わす。)
で示される化合物とを反応させることにより、式(1−3)
Figure 2010241919
(式中、Ar、G、E、A、B、F、Pおよびkは上記と同一の意味を表わす。)
で示される化合物を得、得られた式(1−3)で示される化合物と式(1−4)
Figure 2010241919
(式中、G、E、A、B、F、Pおよびlは上記と同一の意味を表わす。)
で示される化合物とを反応させることにより製造することができる。
式(1−1)で示される化合物と式(1−2)で示される化合物との反応および式(1−3)で示される化合物と式(1−4)で示される化合物との反応は、エステル剤の存在下に実施することが好ましい。
エステル化剤(縮合剤)としては、1−シクロヘキシル−3−(2−モルホリノエチル)カルボジイミドメト−パラ−トルエンスルホネート、ジシクロヘキシルカルボジイミド、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド 塩酸塩(一部水溶性カルボジイミド:WSCとして市販されている)、ビス(2、6−ジイソプロピルフェニル)カルボジイミド、ビス(トリメチルシリル)カルボジイミド、ビスイソプロピルカルボジイミド、などのカルボジイミド、2−メチル−6−ニトロ安息香酸無水物、2,2’−カルボニルビス−1H−イミダゾール、1,1’−オキサリルジイミダゾール、ジフェニルホスフォリルアジド、1(4−ニトロベンゼンスルフォニル)−1H−1、2、4−トリアゾール、1H−ベンゾトリアゾール−1−イルオキシトリピロリジノホスホニウムヘキサフルオロホスフェート、1H−ベンゾトリアゾール−1−イルオキシトリス(ジメチルアミノ)ホスホニウムヘキサフルオロホスフェート、N,N,N’,N’−テトラメチル−O−(N−スクシンイミジル)ウロニウムテトラフルオロボレート、N−(1,2,2,2−テトラクロロエトキシカルボニルオキシ)スクシンイミド、N−カルボベンゾキシスクシンイミド、O−(6−クロロベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムテトラフルオロボレート、O−(6−クロロベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート、2−ブロモ−1−エチルピリジニウムテトラフルオロボレート、2−クロロ−1,3−ジメチルイミダゾリニウムクロリド、2−クロロ−1,3−ジメチルイミダゾリニウムヘキサフルオロホスフェート、2−クロロ−1−メチルピリジニウムアイオダイド、2−クロロ−1−メチルピリジニウム パラートルエンスルホネート、2−フルオロ−1−メチルピリジニウム パラートルエンスルホネート、トリクロロ酢酸ペンタクロロフェニルエステル、が挙げられる。反応性、コスト、使用できる溶媒の点から、縮合剤としてはジシクロヘキシルカルボジイミド、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド 塩酸塩、ビス(2、6−ジイソプロピルフェニル)カルボジイミド、ビス(トリメチルシリル)カルボジイミド、ビスイソプロピルカルボジイミド、2,2’−カルボニルビス−1H−イミダゾールがより好ましい。
化合物(1)とカイラル剤との合計量100重量部に対する化合物(1)の含有量は、たとえば50〜99.9重量部であり、好ましくは60〜99重量部であり、より好ましくは70〜99重量部である。
本発明の組成物は、カイラル剤を含む。カイラル剤とは、組成物が液晶状態になったとき、らせんねじれを誘発するかまたはらせんねじれを増強する機能をもつ化合物である。カイラル剤としては、不斉炭素原子を含む化合物、不斉炭素原子を含まない軸性不斉化合物、又は不斉炭素原子を含まない面性不斉化合物等が挙げられ、例えば、イソソルビド骨格を有する化合物やビナフチル骨格を有する化合物が挙げられる。
カイラル剤としては、『液晶デバイスハンドブック』(第3章4−3項、TN、STN用カイラル剤、199頁、日本学術振興会第142委員会編、1989)、特開2007−269640号公報、特開2007−269639号公報、特開2007−176870号公報、特開2003−137887号公報、特表2000−515496号公報、特開2007−169178号公報、特表平9−506088号公報等に記載されている化合物が挙げられる。
カイラル剤は、式(A)で表される化合物であることが好ましい。
Figure 2010241919
[式(A)中、D及びDは、それぞれ独立に、−O−CO−、−C(=S)−O−、−O−C(=S)−、−CR1213−、−CR1213−CR1213−、−O−CR1213−、−CR1213−O−、−CR1213−O−CR1415−、−CR1213−O−CO−、−O−CO−CR1213−、−CR1213−O−CO−R1415−、−CR1213−CO−O−CR1415−、−NR12−CR1314−、−CR1213−NR14−、−CO−NR12−、又は−NR12−CO−を表す。R12、R13、R14及びR15は、それぞれ独立に、水素原子、フッ素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表す。
及びGは、それぞれ独立に、2価の脂環式炭化水素基又は2価の芳香族炭化水素基を表す。該2価の脂環式炭化水素基及び2価の芳香族炭化水素基に含まれる水素原子は、ハロゲン原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4アルコキシ基、シアノ基又はニトロ基に置換されていてもよい。該炭素数1〜4のアルキル基及び該炭素数1〜4アルコキシ基に含まれる水素原子は、フッ素原子に置換されていてもよい。
、E、B及びBは、それぞれ独立に、−CR1213−、−CH−CH−、−O−、−S−、−CO−O−、−O−CO−、−O−CO−O−、−C(=S)−O−、−O−C(=S)−、−O−C(=S)−O−、−CO−NR12−、−NR12−CO−、−O−CH−、−CH−O−、−S−CH−、−CH−S−又は単結合を表す。
及びAは、それぞれ独立に、2価の脂環式炭化水素基又は2価の芳香族炭化水素基を表す。該2価の脂環式炭化水素基及び2価の芳香族炭化水素基に含まれる水素原子は、ハロゲン原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4アルコキシ基、シアノ基又はニトロ基に置換されていてもよい。該炭素数1〜4のアルキル基及び該炭素数1〜4アルコキシ基に含まれる水素原子は、フッ素原子に置換されていてもよい。
k及びlは、それぞれ独立に、0〜3の整数を表す。
及びFは、それぞれ独立に、単結合又は炭素数1〜12のアルキレン基を表す。該アルキレン基に含まれる水素原子は、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のアルコキシ基又はハロゲン原子に置換されていてもよく、該アルキレン基に含まれるメチレン基は、−O−又は−CO−に置換されていてもよい。
及びPは、それぞれ独立に、水素原子又は重合性基を表す。]
式(A)で表される化合物のうち、下記式で表される化合物が、ビーエーエスエフ社製のpaliocolor LC756として市販されている。
Figure 2010241919
化合物(1)とカイラル剤の合計量100重量部に対するカイラル剤の含有量は、たとえば0.1〜50重量部であり、好ましくは1.0〜40重量部であり、より好ましくは1.0〜30重量部である。
本発明の組成物は、さらに液晶化合物(ただし、化合物(1)及びカイラル剤とは異なる)を含有していてもよい。
液晶化合物の具体例としては、液晶便覧(液晶便覧編集委員会編、丸善(株)平成12年10月30日発行)の3章 分子構造と液晶性の、3.2 ノンキラル棒状液晶分子、3.3 キラル棒状液晶分子に記載された化合物の中で重合性基を有する化合物が挙げられる。
液晶化合物として、異なる複数の化合物を併用してもよい。なかでも、重合性基を保有していて液晶性を示す化合物が好ましい。
液晶化合物としては、例えば、式(4)で表される基を含む化合物(以下「化合物(4)」という場合がある)等が挙げられる。
11−B11−E11−B12−A11−B13− (4)
(式(4)中、P11は、重合性基を表す。
11は、2価の脂環式炭化水素基又は2価の芳香族炭化水素基を表す。該2価の脂環式炭化水素基及び2価の芳香族炭化水素基に含まれる水素原子は、ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6アルコキシ基、シアノ基又はニトロ基で置換されていてもよい。該炭素数1〜6のアルキル基及び該炭素数1〜6アルコキシ基に含まれる水素原子は、フッ素原子で置換されていてもよい。
11は、−O−、−S−、−CO−O−、−O−CO−、−O−CO−O−、−CO−NR16−、−NR16−CO−、−CO−、−CS−又は単結合を表す。R16は、水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基を表す。
12及びB13は、それぞれ独立に、−C≡C−、−CH=CH−、−CH−CH−、−O−、−S−、−C(=O)−、−C(=O)−O−、−O−C(=O)−、−O−C(=O)−O−、−CH=N−、−N=CH−、−N=N−、−C(=O)−NR16−、−NR16−C(=O)−、−OCH−、−OCF−、−CHO−、−CFO−、−CH=CH−C(=O)−O−、−O−C(=O)−CH=CH−又は単結合を表す。
11は、炭素数1〜12のアルキレン基を表し、該アルキレン基に含まれる水素原子は、炭素数1〜5のアルキル基又は炭素数1〜5のアルコキシ基を表す。該アルキル基及びアルコキシ基に含まれる水素原子は、ハロゲン原子で置換されていてもよく、該アルキレン基に含まれるメチレン基は、−O−又は−CO−に置換されていてもよい。)
11としては、フィルムを硬化するために、たとえば光重合を利用することもあるため、光重合させるのに適した、ラジカル重合性、カチオン重合性基が好ましく、特に取り扱いが容易な上、製造も容易であることから、重合性基として、下記の式(P−1)〜(P−5)で表すことができるものが好ましい。
Figure 2010241919
[式(P−1)〜(P−5)中、R17〜R21はそれぞれ独立に、炭素数1〜6のアルキル基又は水素原子を表す。*は、B11との結合位置を表す。]
11は、(P−4)〜(P−10)の基であることが好ましく、ビニル基、p−スチルベン基、エポキシ基、オキセタニル基、イソシアネート基又はチオイソシアネート基などが挙げられる。
Figure 2010241919
特に好ましくは、P11−B11−は、アクリロイルオキシ基又はメタアクリロイルオキシ基である。
11の芳香族炭化水素基及び脂環式炭化水素基の炭素数は、例えば3〜18であり、5〜12であることが好ましく、5又は6であることが特に好ましい。A11としては、1,4−シクロヘキシレン基、1,4−フェニレン基が好ましい。
11としては、2つ以上に分岐していない炭素数1〜12のアルキルレン基が好ましい。該アルキレン基に含まれるメチレン基は、−O−に置換されていてもよい。
具体的には、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基、ヘプチレン基、オクチレン基、ノニレン基、デカレン基、ウンデカレン基、ドデシレン基、−CH−CH−O−CH−CH−、−CH−CH−O−CH−CH−O−CH−CH−および−CH−CH−O−CH−CH−O−CH−CH−O−CH−CH−などである。
化合物(4)としては、例えば、式(I)、式(II)、式(III)、式(IV)、式(V)又は式(VI)で表される化合物が挙げられる。
P11-B11-E11-B12-A11-B13-A12-B14-A13-B15-A14-B16-E12-B17-P12 (I)
P11-B11-E11-B12-A11-B13-A12-B14-A13-B15-A14-F11 (II)
P11-B11-E11-B12-A11-B13-A12-B14-A13-B15-E12-B17-P12 (III)
P11-B11-E11-B12-A11-B13-A12-B14-A13-F11 (IV)
P11-B11-E11-B12-A11-B13-A12-B14-E12-B17-P12 (V)
P11-B11-E11-B12-A11-B13-A12-F11 (VI)
(式中、A12〜A14は、A11と同義であり、B14〜B16は、B12と同義であり、B17は、B11と同義であり、E12は、E11と同義である。
式中F11は、水素原子、炭素数1〜13のアルキル基、炭素数1〜13のアルコキシ基、ニトリル基、ニトロ基、トリフルオロメチル基、ジメチルアミノ基、水酸基、メチロール基、アルデヒド基、スルホン酸基、カルボキシル基、炭素数1〜10のアルコールでエステル化されたカルボキシル基又はハロゲン原子を表す。該アルキル基およびアルコキシ基に含まれるメチレン基は、−O−に置換されていてもよい。)
液晶化合物の具体例としては、液晶便覧(液晶便覧編集委員会編、丸善(株)平成12年10月30日発行)の3章 分子構造と液晶性の、3.2 ノンキラル棒状液晶分子、3.3 キラル棒状液晶分子に記載された化合物の中で重合性基を有する化合物が挙げられる。
化合物(3)の具体例としては、たとえば以下の式(I−1)〜式(I−4)、式(II−1)〜式(II−4)、式(III−1)〜式(III−26)、式(IV−1)〜式(IV−19)、式(V−1)〜式(V−2))、式(VI−1)〜式(VI−6)で表される化合物などが挙げられる。ただし、式中k1およびk2は、2〜12の整数を表す。これらの液晶化合物であれば、合成が容易であり、市販されているなど、入手が容易であることから好ましい。
Figure 2010241919
Figure 2010241919
Figure 2010241919
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Figure 2010241919
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Figure 2010241919
Figure 2010241919
また液晶化合物の使用量は、たとえば液晶化合物と化合物(1)とカイラル剤との合計100重量部に対して、90重量部以下である。
本発明の組成物は、さらに重合開始剤を含有する組成物であることが好ましい。重合開始剤は、光重合開始剤であることが好ましい。
光重合開始剤としては、たとえばベンゾイン類、ベンゾフェノン類、ベンジルケタール類、α−ヒドロキシケトン類、α−アミノケトン類、トリアジン誘導体、ヨードニウム塩又はスルホニウム塩等が挙げられ、より具体的には、イルガキュア(Irgacure)907、イルガキュア184、イルガキュア651、イルガキュア819、イルガキュア250、イルガキュア369(以上、全てチバ・ジャパン株式会社製)、セイクオールBZ、セイクオールZ、セイクオールBEE(以上、全て精工化学株式会社製)、カヤキュアー(kayacure)BP100(日本化薬株式会社製)、カヤキュアーUVI−6992(ダウ社製)、アデカオプトマーSP−152、アデカオプトマーSP−170(以上、全て株式会社ADEKA製)、TAZ−A、TAZ−PP(以上、日本シイベルヘグナー社製)又はTAZ−104(三和ケミカル社製)などを挙げることができる。
また重合開始剤の使用量は、たとえば化合物(1)とカイラル剤との合計100重量部に対して、0.1重量部〜30重量部であり、好ましくは、0.5重量部〜10重量部である。
本発明のフィルムとは、光を透過し得るフィルムであって、光学的な機能を有するフィルムをいう。光学的な機能とは、屈折、複屈折などを意味する。以下、本発明のフィルムを光学フィルムという場合がある。光学フィルムの一種である位相差フィルムは、直線偏光を円偏光や楕円偏光に変換したり、逆に円偏光又は楕円偏光を直線偏光に変換したりするために用いられる。
本発明の光学フィルムの波長分散特性は、光学フィルムにおける化合物(1)に由来する構造単位の含有量によって、任意に決定することができる。光学フィルムにおける構造単位の中で化合物(1)に由来する構造単位の含有量を増加させると、よりフラットな波長分散特性、さらには逆波長分散特性を示す。
具体的には、化合物(1)に由来する構造単位の含有量が異なる組成物を2〜5種類程度調製し、それぞれの組成物について後述するように、同じ膜厚の光学フィルムを製造して得られる光学フィルムの位相差値を求め、その結果から、化合物(1)に由来する構造単位の含有量と光学フィルムの位相差値との相関を求め、得られた相関関係から、上記膜厚における光学フィルムに所望の位相差値を与えるために必要な化合物(1)に由来する構造単位の含有量を決定すればよい。
本発明の光学フィルムの製造方法について、以下に説明する。
まず、化合物(1)及びカイラル剤に、必要に応じて、有機溶剤、ホストとなる上述した液晶化合物、上述した重合開始剤、重合禁止剤、光増感剤又はレベリング剤などの添加剤を加えて、混合溶液を調製する。特に成膜時に成膜が容易となること有機溶剤を含むことが好ましく、得られた光学フィルムを硬化する働きをもつことから重合開始剤を含むことが好ましい。
〔重合禁止剤〕
本発明の光学フィルムを調製する際に、重合禁止剤を使用してもよい。重合禁止剤としては、たとえばハイドロキノン又はアルキルエーテル等の置換基を有するハイドロキノン類、ブチルカテコール等のアルキルエーテル等の置換基を有するカテコール類、ピロガロール類、2,2、6,6−テトラメチル−1−ピペリジニルオキシラジカル等のラジカル補足剤、チオフェノール類、β−ナフチルアミン類或いはβ−ナフトール類等を挙げることができる。
重合禁止剤を用いることにより、化合物(1)等の重合を制御することができ、得られる光学フィルムの安定性を向上させることができる。また重合禁止剤の使用量は、たとえば化合物(1)とカイラル剤との合計100重量部に対して、0.1重量部〜30重量部であり、好ましくは0.5重量部〜10重量部である。
〔光増感剤〕
また本発明の光学フィルムを調製する際に、光増感剤を使用してもよい。光増感剤としては、たとえばキサントン又はチオキサントン等のキサントン類、アントラセン又はアルキルエーテルなどの置換基を有するアントラセン類、フェノチアジン或いはルブレンを挙げることができる。
光増感剤を用いることにより、化合物(1)等の重合を高感度化することができる。また光増感剤の使用量としては、化合物(1)とカイラル剤との合計100重量部に対して、たとえば0.1重量部〜30重量部であり、好ましくは0.5重量部〜10重量部である。
〔レベリング剤〕
さらに本発明の光学フィルムを調製する際に、レベリング剤を使用してもよい。レベリング剤としては、たとえば放射線硬化塗料用添加剤(ビックケミージャパン製:BYK−352,BYK−353,BYK−361N)、塗料添加剤(東レ・ダウコーニング株式会社製:SH28PA、DC11PA、ST80PA)、塗料添加剤(信越化学工業株式会社製:KP321、KP323、X22−161A、KF6001)又はフッ素系添加剤(大日本インキ化学工業株式会社製:F−445、F−470、F−479)などを挙げることができる。
レベリング剤を用いることにより、光学フィルムを平滑化することができる。さらに光学フィルムの製造過程で、化合物(1)を含有する混合溶液の流動性を制御したり、化合物(1)等を重合して得られる光学フィルムの架橋密度を調整したりすることができる。またレベリング剤の使用量の具体的な数値は、たとえば化合物(1)とカイラル剤との合計100重量部に対して、0.1重量部〜30重量部であり、好ましくは0.5重量部〜10重量部である。
〔有機溶剤〕
化合物(1)及びカイラル剤などを含有する混合溶液の調製に用いる有機溶剤としては、化合物(1)及びカイラル剤などを溶解し得る有機溶剤であり、重合反応に不活性な溶剤であればよく、具体的には、メタノール、エタノール、エチレングリコール、イソプロピルアルコール、プロピレングリコール、メチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、プロピレングリコールモノメチルエーテル又はフェノールなどのアルコール;酢酸エチル、酢酸ブチル、エチレングリコールメチルエーテルアセテート、ガンマーブチロラクトン、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート又は乳酸エチルなどのエステル系溶剤;アセトン、メチルエチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、メチルアミルケトン又はメチルイソブチルケトンなどのケトン系溶剤;ペンタン、ヘキサン又はヘプタンなどの非塩素系脂肪族炭化水素溶剤;トルエン又はキシレンなどの非塩素系芳香族炭化水素溶剤、アセトニトリルなどのニトリル系溶剤;テトラヒドロフラン又はジメトキシエタンなどのエーテル系溶剤;クロロホルム又はクロロベンゼンなどの塩素系溶剤;などが挙げられる。これら有機溶剤は、単独で用いてもよいし、複数を組み合わせて用いてもよい。特に本発明の組成物は相溶性に優れ、アルコール、エステル系溶剤、ケトン系溶剤、非塩素系脂肪族炭化水素溶剤及び非塩素系芳香族炭化水素溶剤などにも溶解し得ることから、クロロホルムなどの塩素系溶剤を用いなくとも、溶解して塗工させることができる。
化合物(1)及びカイラル剤を含有する混合溶液の粘度は、塗布しやすいように、たとえば10Pa・s以下、好ましくは0.1〜7Pa・s程度に調整されることが好ましい。
また上記混合溶液における固形分の濃度は、たとえば5〜50重量%である。固形分の濃度が5%以上であると、光学フィルムが薄くなりすぎず、液晶パネルの光学補償に必要な複屈折率が与えられる傾向がある。また50%以下であると、混合溶液の粘度が低いことから、光学フィルムの膜厚にムラが生じにくくなる傾向があることから好ましい。固形分とは、組成物全量に対する、組成物から溶剤を除いた成分の含有量である。
続いて支持基材に、混合溶液を塗布し、乾燥、重合させて、支持基材上に目的の光学フィルムを得ることができる。
[未重合フィルム調製工程]
支持基材の上に、化合物(1)及びカイラル剤を含有する混合溶液を塗布し、乾燥すると、未重合フィルムが得られる。未重合フィルムがネマチック相などの液晶相を示す場合、得られる光学フィルムは、モノドメイン配向による複屈折性を有する。未重合フィルムは0〜250℃程度、好ましくは、10〜150℃で配向する。
なお混合溶液の塗布量や濃度を適宜調整することにより、所望の位相差を与えるように膜厚を調製することができる。化合物(1)の量が一定である混合溶液の場合、得られる光学フィルムの位相差値(リタデーション値、Re(λ))は、式(7)のように決定されることから、所望のRe(λ)を得るためには、膜厚dを調整すればよい。
Re(λ)=d×Δn(λ) (7)
(式中、Re(λ)は、波長λnmにおける位相差値を表し、dは膜厚を表し、Δn(λ)は波長λnmにおける複屈折率を表す。)
支持基材への塗布方法としては、たとえば押し出しコーティング法、ダイレクトグラビアコーティング法、リバースグラビアコーティング法、CAPコーティング法又はダイコーティング法などが挙げられる。またディップコーター、バーコーター又はスピンコーターなどのコーターを用いて塗布する方法などが挙げられる。
上記支持基材としては、たとえばガラス、プラスチックシート、プラスチックフィルム又は透光性フィルムを挙げることができる。なお上記透光性フィルムとしては、たとえばポリエチレン、ポリプロピレン、ノルボルネン系ポリマーなどのポリオレフィンフィルム、ポリビニルアルコールフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリメタクリル酸エステルフィルム、ポリアクリル酸エステルフィルム、セルロースエステルフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリスルフォンフィルム、ポリエーテルスルホンフィルム、ポリエーテルケトンフィルム、ポリフェニレンスルフィドフィルム又はポリフェニレンオキシドフィルムなどが挙げられる。
たとえば本発明の光学フィルムの貼合工程、運搬工程、保管工程など、光学フィルムの強度が必要な工程でも、支持基材を用いることにより、破れなどなく容易に取り扱うことができる。
また、支持基材上に配向膜を形成して、配向膜上に化合物(1)及びカイラル剤を含む混合溶液を塗工することが好ましい。配向膜は、化合物(1)及びカイラル剤を含有する混合溶液の塗工時に、混合液に溶解しない溶剤耐性を持つこと、溶剤の除去や液晶の配向の加熱処理時に、耐熱性をもつこと、ラビング時に、摩擦などによる剥がれなどが起きないことが好ましく、ポリマー又はポリマーを含有する組成物からなることが好ましい。
上記ポリマーとしては、たとえば分子内にアミド結合を有するポリアミドやゼラチン類、分子内にイミド結合を有するポリイミド及びその加水分解物であるポリアミック酸、ポリビニルアルコール、アルキル変性ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミド、ポリオキサゾール、ポリエチレンイミン、ポリスチレン、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸又はポリアクリル酸エステル類等のポリマーを挙げることができる。これらのポリマーは、単独で用いてもよいし、2種類以上混ぜたり、共重合体したりしてもよい。これらのポリマーは、脱水や脱アミンなどによる重縮合や、ラジカル重合、アニオン重合、カチオン重合等の連鎖重合、配位重合や開環重合等で容易に得ることができる。
またこれらのポリマーは、溶剤に溶解して、塗布することができる。溶剤は、特に制限はないが、具体的には、水、メタノール、エタノール、エチレングリコール、イソプロピルアルコール、プロピレングリコール、メチルセロソルブ、ブチルセロソルブ又はプロピレングリコールモノメチルエーテルなどのアルコール;酢酸エチル、酢酸ブチル、エチレングリコールメチルエーテルアセテート、ガンマーブチロラクトン、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート又は乳酸エチルなどのエステル系溶剤;アセトン、メチルエチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、メチルアミルケトン又はメチルイソブチルケトンなどのケトン系溶剤;ペンタン、ヘキサン又はヘプタンなどの非塩素系脂肪族炭化水素溶剤;トルエン又はキシレンなどの非塩素系芳香族炭化水素溶剤、アセトニトリルなどのニトリル系溶剤;テトラヒドロフラン又はジメトキシエタンなどのエーテル系溶剤;クロロホルム又はクロロベンゼンなどの塩素系溶剤;などが挙げられる。これら有機溶剤は、単独で用いてもよいし、複数を組み合わせて用いてもよい。
また配向膜を形成するために、市販の配向膜材料をそのまま使用してもよい。市販の配向膜材料としては、サンエバー(登録商標、日産化学工業株式会社製)又はオプトマー(登録商標、JSR株式会社製)などが挙げられる。
このような配向膜を用いれば、延伸による屈折率制御を行う必要がないため、複屈折の面内ばらつきが小さくなる。それゆえ、支持基材上にフラットパネル表示装置(FPD)の大型化にも対応可能な大きな光学フィルムを提供できるという効果を奏する。
上記支持基材上に配向膜を形成する方法としては、たとえば上記支持基材上に、市販の配向膜材料や配向膜の材料となる化合物を溶液にして塗布し、その後、アニールすることにより、上記支持基材上に配向膜を形成することができる。
このようにして得られる配向膜の厚さは、たとえば10nm〜10000nmであり、好ましくは10nm〜1000nmである。上記範囲とすれば、化合物(1)等を該配向膜上で所望の角度に配向させることができる。
またこれら配向膜は、必要に応じてラビングもしくは偏光UV照射を行うことにより化合物(1)等を所望の方向に配向させることができる。
配向膜をラビングする方法としては、たとえばラビング布が巻きつけられ、回転しているラビングロールを、ステージに載せられ、搬送されている配向膜に接触させる方法を用いることができる。
上記の通り、未重合フィルム調製工程では、任意の支持基材の上に積層した配向膜上に未重合フィルム(液晶層)を積層する。それゆえ、液晶セルを作製し、該液晶セルに化合物(1)等を注入する方法に比べて、生産コストを低減することができる。さらにロールフィルムでのフィルムの生産が可能である。
溶剤の乾燥は、重合を進行させるとともに行ってもよいが、重合前にほとんどの溶剤を乾燥させることが、成膜性の点から好ましい。
溶剤の乾燥方法としては、たとえば自然乾燥、通風乾燥、減圧乾燥などの方法が挙げられる。具体的な加熱温度としては、10〜250℃であることが好ましく、25〜200℃であることがさらに好ましい。また加熱時間としては、10秒間〜60分間であることが好ましく、30秒間〜30分間であることがより好ましい。加熱温度及び加熱時間が上記範囲内であれば、上記支持基材として、耐熱性が必ずしも十分ではない支持基材を用いることができる。
[未重合フィルム重合工程]
未重合フィルム重合工程では、上記未重合フィルム調製工程で得られた未重合フィルムを重合し、硬化させる。これにより化合物(1)等の配向性が固定化されたフィルム、すなわち重合フィルムとなる。
未重合フィルムを重合させる方法は、化合物(1)の種類に応じて、決定されるものである。化合物(1)に含まれるP及び/又はPが光重合性であれば光重合、該重合性基が熱重合性であれば熱重合により、上記未重合フィルムを重合させることができる。本発明では、特に光重合により未重合フィルムを重合させることが好ましい。光重合によれば低温で未重合フィルムを重合させることができるので、支持基材の耐熱性の選択幅が広がる。また工業的にも製造が容易となる。また成膜性の観点からも光重合が好ましい。光重合は、未重合フィルムに可視光、紫外光又はレーザー光を照射することにより行う。取り扱い性の観点から、紫外光が特に好ましい。光照射は、化合物(1)が液晶相をとる温度に加温しながら行ってもよい。この際、マスキングなどによって重合フィルムをパターニングすることもできる。
本発明の光学フィルムは、配向膜と光学フィルムとの密着性が良好であるから、光学フィルムの製造が容易である。
さらに本発明の光学フィルムは、ポリマーを延伸することによって位相差を与える延伸フィルムと比較して、薄膜である。
本発明の光学フィルムの製造方法において、上記工程に続いて、支持基材を剥離する工程を含んでいてもよい。このような構成とすることにより、得られる積層体は、配向膜と光学フィルムとからなるフィルムとなる。また上記支持基材を剥離する工程に加えて、配向膜を剥離する工程をさらに含んでいてもよい。このような構成とすることにより、光学フィルムを得ることができる。
かくして得られた光学フィルムは、透明性に優れ、様々なディスプレイ用フィルムとして使用される。形成される層の厚みは、上記のとおり、得られる光学フィルムの位相差値によって、異なるものである。本発明では、上記厚みは、0.1〜10μmであることが好ましく、光弾性を小さくする点で0.5〜5μmであることがさらに好ましい。
このような薄膜でより広い波長域において一様の偏光変換が可能なフィルムは、すべての液晶パネルや有機ELなどのFPDにおいて、光学補償フィルムとして用いることができる。
波長λ(nm)における光学フィルムの複屈折率Δn(λ)は、下記式(8)および(9)を満足することが好ましい。
0.60<Δn(450)/Δn(550)≦1.00 (8)
1.00≦Δn(650)/Δn(550)<1.35 (9)
(式(8)及び式(9)中、Δn(450)、Δn(550)、Δn(650)は450nm、550nm、650nmにおける、Δnを表す。)
本発明の光学フィルムは、カイラル剤の添加量を制御することで選択反射波長帯域を制御することが可能である。選択反射波長帯域は、赤外領域、可視領域、紫外領域のいずれでもかまわない。例えば、本発明の光学フィルムをカラーフィルターような着色を積極的に利用する用途に用いる場合には、可視領域に選択反射波長帯域があることが好ましい。また、ネガティブCプレートの光学フィルムとして用いる場合には、紫外領域に選択反射波長帯域があることが好ましい。
本発明の光学フィルムは、ネガティブCプレートとしても用いることができる。この場合には、本発明の光学フィルムは、カイラルネマチック相から形成されていることが好ましい。また、選択反射波長帯域の中心波長は、好ましくは50〜350nmであり、より好ましくは100〜300nmである。選択反射波長帯域の中心波長λ(nm)は、λ=n・Pで表すことができる。ここで、nは、組成物の平均屈折率を示し、Pはカイラルネマチック相のらせんピッチ(μm)を示す。選択反射波長帯域の中心波長λ(nm)は、カイラル剤の添加量を変えることによって制御することができる。例えば選択反射波長帯域の中心波長λ(nm)を大きくしたいときは、カイラル剤の添加量を減らせばよく、選択反射波長帯域の中心波長λ(nm)を小さくしたいときは、カイラル剤の添加量を増やせばよい。
本発明の光学フィルムは、単独もしくは他のフィルムと組み合わせて、アンチリフレクション(AR)フィルムなどの反射防止フィルム、偏光フィルム、位相差フィルム、楕円偏光フィルム、視野角拡大フィルム又は透過型液晶ディスプレイの視野角補償用光学補償フィルムなどに利用することができる。また本発明の光学フィルムは1枚でも優れた光学特性を示すが、複数枚を積層させてもよい。
また、本発明の光学フィルムは、配向膜上に塗布、紫外線照射で重合させることによって形成させることができるため、従来よりも簡便にカラーフィルタの上もしくは下に光学フィルムを形成させることもできる。
図1は、本発明に係るカラーフィルタ1を示す概略図である。
カラーフィルタ1は、支持基材A上に、配向膜3を介して、本発明の光学フィルム2が形成され、その上にカラーフィルタ層4上に形成されてなるカラーフィルタである。
上記構成のカラーフィルタ1の製造方法の一例を記載する。まず、支持基材A上に、配向膜材料を塗布し、ラビング処理を施して、配向膜3を形成する。次に得られた配向膜3上に所望の波長分散特性をもつように、化合物(1)を含む混合溶液を調製し、所望の位相差値になるよう厚みを調製しながら塗布して、光学フィルム2を形成する。次に得られた光学フィルム2上に、カラーフィルタ層4を形成する。
一方、上記カラーフィルタ1を用いれば、光学フィルム2の数を減らした薄型の液晶表示装置を製造することが可能となる。その一例として、図2に示した、一対の基板に液晶層が挟持され形成されてなる液晶表示素子において少なくとも一方の基板の液晶層側に形成された、薄型液晶表示装置が挙げられる。
図2は、本発明に係る液晶表示装置5を示す概略図である。
図2に示す液晶表示装置5では、偏光板6上に例えばガラス基板などのバックライトと対向する基板7が接着剤を介して固定されており、基板7上に作成された配向膜3’上に光学フィルム2’ を介してカラーフィルタ層4’が形成されている。さらにカラーフィルタ層4’上に対向電極8が形成され、対向電極8上に液晶相9が形成されている。バックライト側は、偏光板10にガラス基板などの基板11が接着剤を介して固定されており、さらに基板11には液晶層をアクティブ駆動させるための薄膜トランジスタ(TFT)及び絶縁層12が形成され、さらにTFT上にAg、Al又はITO(Indium Tin Oxide)による透明電極13及び/又は反射電極13’が形成されている。図2に示す液晶表示装置5の構成は、従来の液晶表示装置と比較して、光学フィルムの枚数を減らすことができ、より薄型の液晶表示装置の製造を可能とする。
本発明の光学フィルムは、透過型、半透過型、反射型液晶ディスプレイ及び有機ELディスプレイの位相差板並びに該位相差板や上記光学フィルムを備えるFPDにも利用することができる。上記FPDは、特に限定されるものではなく、たとえば液晶表示装置(LCD)や有機ELを挙げることができる。
このように本発明に係るフィルムは、広範囲な用途が考えられる。たとえばこのうち本発明に係る光学フィルム及び偏光フィルムを積層してなる偏光板並びに該偏光板を備えるFPDについて、以下説明する
本発明に係る偏光板は、偏光機能を有するフィルム、すなわち偏光フィルムの片面もしくは両面に直接、又は接着剤もしくは粘着剤を用いて前記光学フィルムを張り合わせることにより得られるものである。なお以下の図3〜図5の説明では、接着剤及び粘着剤を総称して接着剤と呼ぶ場合がある。
図3(a)〜図3(d)は、本発明に係る偏光板1を示す概略図である。
図3(a)に示す偏光板30aは、積層体14と、偏光フィルム15とが直接貼り合わされており、積層体14は、支持基材16、配向膜17及び本発明の光学フィルム18からなる。偏光板30aは、支持基材16、配向膜17、本発明の光学フィルム18、偏光フィルム15の順に積層されている。
図3(b)に示す偏光板30bは、積層体14と偏光フィルム15とが、接着剤層19を介して貼り合わされており、積層体14は、支持基材16、配向膜17及び本発明の光学フィルム18からなる。偏光板30bは、支持基材16、配向膜17、本発明の光学フィルム18、接着剤層19、偏光フィルム15の順に積層されている。
図3(c)に示す偏光板30cは、積層体14と、偏光フィルム15とが直接貼り合わされており、積層体14は、支持基材16、配向膜17及び本発明の光学フィルム18からなる。偏光板30aは、本発明の光学フィルム18、配向膜17、支持基材16、偏光フィルム15の順に積層されている。
図3(d)に示す偏光板30dは、積層体14と偏光フィルム15とが、接着剤層19を介して貼り合わされており、積層体14は、支持基材16、配向膜17及び本発明の光学フィルム18からなる。偏光板30aは、本発明の光学フィルム18、配向膜17、支持基材16、接着剤層19、偏光フィルム15の順に積層されている。
図3(a)〜図3(d)に示した支持基材は、上述したものであれば、いずれでも良いが、そのなかでもとりわけ、複屈折のまったくない支持基材であるか、延伸などにより、光学補償機能を付与した位相差板(例えば、λ/4板やλ/2板などである。)である事が好ましい。
本発明の偏光板とは、偏光フィルムと本発明の光学フィルムを含む積層体とを張り合わせたものである。積層体14及び積層体14’の代わりに、積層体14から支持基材16及び配向膜17を剥離した、光学フィルム18を用いてもよいし、積層体14から支持基材16を剥離した、配向膜17及び光学フィルム18からなるフィルムを用いてもよい。
その場合、図3(a)〜図3(d)に記載されてい図の支持基材16及び配向膜17のない状態や、支持基材16のない状態になる。
本発明の偏光板は、積層体を複数積層してもよく、その複数の積層体は、全て同一であっても、異なっていてもよい。
偏光フィルム15は、偏光機能を有するフィルムであればよく、たとえばポリビニルアルコール系フィルムにヨウ素や二色性色素を吸着させて延伸したフィルム、ポリビニルアルコール系フィルムを延伸してヨウ素や二色性色素を吸着させたフィルムなどが挙げられる。
接着剤層19及び接着剤層19’に用いられる接着剤は、透明性が高く耐熱性に優れた接着剤であることが好ましい。そのような接着剤としては、たとえばアクリル系、エポキシ系又はウレタン系接着剤などが用いられる。
本発明のフラットパネル表示装置は、本発明の光学フィルムを備えるものであり、たとえば本発明の偏光フィルムと液晶パネルとが貼り合わされた貼合品を備える液晶表示装置を挙げることができる。
本発明にかかるフラットパネル表示装置の実施形態として、液晶表示装置について、以下詳細に述べる。
〔液晶表示装置〕
図4は、本発明に係る液晶表示装置の液晶パネル20と偏光板30との貼合品21を示す概略図である。
液晶表示装置としては、たとえば図2に示すような液晶パネル20と偏光板30との貼合品21を備える液晶表示装置などが挙げられる。貼合品21は、本発明の偏光板30と液晶パネル20とが、接着層22を介して貼り合わされてなるものである。図示しない電極を用いて、液晶パネル20に電圧を印加することにより、液晶分子が駆動し、光シャッター効果を奏する。
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明する。例中の「%」及び「部」は、特記ない限り、重量%及び重量部である。
化合物を以下のスキームで合成した。原料のモノテトラヒドロピラニル保護ヒドロキノン(a)は特許文献(特開2004−262884)に記載されている方法により合成した。
(第一経路)
Figure 2010241919
(化合物(b)の合成例)
モノテトラヒドロピラニル保護ヒドロキノン(a)100.1g(515mmol)、炭酸カリウム97.1g(703mmol)、6−クロロヘキサノール64g(468mmol)を取り、ジメチルアセトアミドに溶解・分散させた。窒素雰囲気下、90℃で、その後100℃で撹拌した。その後室温まで冷却し、純水、メチルイソブチルケトンを加え、回収した有機層を水酸化ナトリウム水溶液及び純水で洗浄後に脱水し、濾過後に減圧濃縮した。残渣にメタノールを加えて、生成した沈殿を濾過後、真空乾燥させて、化合物(b)を126g(428mmol)得た。収率は6−クロロヘキサノール基準で91%であった。
(化合物(c)の合成例)
化合物(b)を126g(428mmol)、3、5−ジターシャリーブチル−4−ヒドロキシトルエン(以下BHTという)1.40g(6.42mmol)、N、N−ジメチルアニリン116.7g(963mmol)、1、3−ジメチル−2−イミダゾリジノン1.00g及びクロロホルムを混合した。窒素雰囲気、氷冷下で得られた混合液に、アクイロイルクロリド58.1g(642mmol)を滴下し、さらに純水を加えて攪拌した後、分離した有機層を回収した。有機層を塩酸水、飽和炭酸ナトリウム水溶液及び純水で洗浄した。有機層を乾燥し、濾過後、有機層にBHT1gを加えて減圧濃縮して、化合物(c)を得た。
(化合物(d)の合成例)
化合物(c)及びテトラヒドロフラン(以下THFという)200mlを混合後、得られた混合液にTHF200mlを加えた。さらに塩酸水及び濃塩酸水を加えて、窒素雰囲気、60℃の条件下で攪拌した。反応溶液に飽和食塩水500mlを加えてさらに攪拌し、分離した有機層を回収した。回収した有機層を脱水し、濾過後減圧濃縮した。さらに有機層にヘキサンを加えて氷冷下で攪拌し、析出した粉末を濾過後真空乾燥して、化合物(d)を90g(339mmol)得た。収率は化合物(c)基準で79%であった。
(化合物(e)の合成)
化合物(e)は以下に示す経路でも合成した。
Figure 2010241919
トランス1,4−シクロヘキサンジカルボン酸モノエトキシメチルエステル(式(h)で表される化合物)の製造を下記のスキームにしたがって行った。
Figure 2010241919
トランス−1、4−シクロヘキサンジカルボン酸200g(1.1616mol)及びジメチルアセトアミド1000mLを混合した。窒素雰囲気下、攪拌しながら80℃まで昇温して、得られた溶液に炭酸カリウム96.3g(0.6969mol)を加えた後、ベンジルクロリド139.7g(1.1035mol)を加え、溶液を120℃で6時間攪拌して反応させた。溶液を室温まで放冷後、氷1500gに注ぎ攪拌した。得られた結晶を濾取して、これを水/メタノール3:2(v/v)、次いで水で洗浄した。真空乾燥により溶媒を除去し、化合物(f)を含む粉末251gを得た。
前工程で得られた化合物(f)を含む粉末251gをクロロホルム600mLを混合した。得られた溶液を氷冷し、窒素雰囲気下、得られた溶液にエトキシクロロメタン93.5g(0.7600mol)及びトリエチルアミン146.8g(1.4515mol)を滴下した。反応溶液を室温、窒素雰囲気下で3時間攪拌して反応させた。反応溶液にトルエン600mLを加え、析出したトリエチルアミン塩酸塩を濾別し、濾液を回収し、水で洗浄した。有機層を回収し、無水硫酸ナトリウムで乾燥、濾過後、溶媒を除去した。得られた粗生成物を真空乾燥して、化合物(g)を含む液体242gを得た。
前工程で得られた化合物(g)を含む液体242g及びTHF250mlを混合した。窒素雰囲気下で、得られた溶液に10%パラジウム−炭素(50%含水)10.0gを加えた。減圧後、水素置換し、室温、常圧、水素雰囲気下で得られた溶液を6時間攪拌して反応させた。窒素置換後、得られた溶液を濾過し、触媒及び溶媒を除去した。残渣をクロロホルムに溶解した。得られた溶液をシリカゲル濾過した。シリカゲル上の不溶物を、シリカゲルからさらにクロロホルムにて抽出した。クロロホルム溶液を回収し、これを減圧濃縮し、これにヘプタンを加えて結晶化させた。得られた結晶を濾別、真空乾燥することにより化合物(h)106gを得た。収率は化合物トランス−1、4−シクロヘキサンジカルボン酸基準で39%であった。
化合物(d)56.8g(215mmol)、ジメチルアミノピリジン2.65g(22mmol)、トランス1,4−シクロヘキサンジカルボン酸モノエトキシメチルエステル50g(217mmol)及びクロロホルム300mLを混合した。得られた混合液を窒素雰囲気下、氷冷して攪拌し、ジシクロヘキシルカルボジイミド48.79g(237mol)及びクロロホルム50mLからなる溶液を滴下した。滴下終了後、得られた反応溶液を室温にて攪拌し、クロロホルム200mL及びヘプタン200mLを加えて沈殿を濾過した。濾液を回収して、2N−塩酸水溶液で洗浄した。分離した有機層を回収し、不溶成分を濾過により除去後、無水硫酸ナトリウムを加え、濾過後、溶媒を除去して得られた固体を、真空乾燥して、化合物(e’)100gを得た。
化合物(e’)100g、純水3.64g(202mmol)、パラトルエンスルホン酸一水和物3.84g(20.2mmol)及びTHF200mLを混合した。得られた混合液を窒素雰囲気下、50℃に加温し、攪拌した。混合液を室温まで放冷後、THFを減圧除去し、残渣にヘプタン200mLを加えた。析出した沈殿を濾取し、純水で洗浄後、真空乾燥した。得られた粉末をクロロホルムに溶解し、シリカゲルを通してから濾過した。濾液を回収しクロロホルム400mLに溶解して、得られた溶液を濃縮し、トルエンを加えた。溶液を減圧濃縮したのち、ヘプタンを加えて結晶化させ、得られた粉末を濾取、真空乾燥して、化合物(e)64.1gを得た。収率は化合物(d)基準、二工程で76%であった。
(化合物(ii−a)の製造例)
化合物(ii−a)を以下のスキームで合成した。原料である4,7−ジメトキシ−2−フェニルベンゾチアゾールは、J.Chem.Soc.,Perkin Trans.1誌、205−210頁(2000年)に記載されている方法により合成した。
Figure 2010241919
4,7−ジメトキシ−2−フェニルベンゾチアゾール10.8g(39.8mmol)と塩化ピリジニウム54.0g(5倍質量)とを混合し、得られた混合液を220℃に昇温して攪拌した。混合液を冷却後、水を加え、得られた沈殿を濾別し、水及びヘキサンで洗浄して、4,7−ジヒドロキシ−2−フェニルベンゾチアゾール(化合物(ii−a))を主成分とする固体8.7gを得た。収率は4,7−ジメトキシ−2−フェニルベンゾチアゾール基準で89%であった。
(化合物(v−a)の合成例)
化合物(ii−a)と同様の手法でベンゾチアゾールを合成後、三臭化ホウ素による脱メチル化反応によって化合物(v−a)を合成した。反応スキームを以下に示す。
Figure 2010241919
(化合物(v−b)の合成例)
化合物(ii−a)の合成例における、原料のベンゾイルクロリドを4−ニトロベンゾイルクロリドに変える以外は同様の方法にて化合物(v−b)を主成分とする固体を得た。収率は2,5−ジメトキシアニリン基準で98%であった。
(化合物(v−c)の合成例)
化合物(ii−a)の合成例における、原料の化合物を化合物(v−b)に変える以外は同様の方法にて化合物(v−c)を主成分とする固体を得た。収率は化合物(v−b)基準で89%であった。
(化合物(v−d)の合成例)
化合物(ii−a)の合成例における、原料の化合物を化合物(v−c)に変える以外は同様の方法にて化合物(v−d)を主成分とする固体を得た。収率は化合物(v−c)基準で52%であった。
(化合物(v−a)の合成例)
化合物(v−d)を21.0g(66.0mmol)及び脱水トルエン441gを混合し、攪拌した。得られた混合液を氷冷し、三臭化ホウ素100g(398mmol)を加え、70℃まで昇温し、攪拌した。室温まで冷却した後、さらに氷冷し、水を1588g加え、得られた沈殿を濾別し、水及びクロロホルムで洗浄して、化合物(v−a)を主成分とする固体16.5gを得た。収率は化合物(v−d)基準で86%であった。
<化合物(ii−1)の合成例>
化合物(ii−a)2.55g(11mmol)、化合物(e)9.67g(23mmol)、ジメチルアミノピリジン0.28g(2mmol)及びクロロホルム50mLを混合した。得られた混合液にジシクロヘキシルカルボジイミド5.31g(28mmol)のクロロホルム溶液40mLを氷冷下で滴下した。得られた反応溶液を攪拌し、濾過したのち、分離した有機層を回収した。有機層を乾燥後、減圧濃縮した。残渣に酢酸エチルを加えて溶解し、減圧濃縮後、メタノール200mLを加えて氷冷下で再沈殿させた。沈殿を濾取し、n−ヘプタンで洗浄、濾過後、得られた固体を真空乾燥して化合物(ii−1)を6.1g得た。収率は化合物(ii−a)基準で56%であった。
化合物(ii−1)のH−NMR(DMSO):δ(ppm)1.44〜1.80(m、24H)、2.38〜2.83(m、12H)、3.93〜3.97(t、4H)、4.11〜4.14(t、4H)、5.89〜5.94(dd、2H)、6.10〜6.20(m、2H)、6.29〜6.36(m、2H)、6.91〜7.03(m、8H)、7.36(s、2H)、7.60(m、3H)、8.06(m、2H)
得られた化合物(ii−1)の相転移温度を偏光顕微鏡によるテクスチャー観察によって行った。化合物(ii−1)は、昇温時において、96℃から115℃までスメクチック相を呈し、115℃から226℃までネマチック相を呈し、降温時において、226℃から50℃までネマチック相を呈した。
<化合物(v−1)の合成例>
化合物(v−a)2.88g(10mmol)、化合物(e)8.37g(20mmol)、ジメチルアミノピリジン0.24g(2mmol)及びクロロホルム75mLを混合した。得られた混合液にジシクロヘキシルカルボジイミド4.95g(24mmol)のクロロホルム溶液40mLを氷冷下で滴下した。得られた反応溶液を攪拌し、濾過したのち、分離した有機層を回収した。有機層を乾燥後、減圧濃縮した。残渣に酢酸エチルを加えて溶解し、減圧濃縮後、メタノール200mLを加えて氷冷下で再沈殿させた。沈殿を濾取し、さらにメタノールで洗浄、濾過後、得られた固体を真空乾燥して化合物(v−1)を10.3g得た。収率は化合物(v−a)基準で94%であった。
化合物(v−1)のH−NMR(CDCl):δ(ppm)1.45〜1.86(m、24H)、2.35〜2.83(m、12H)、3.93〜3.97(t、4H)、4.15〜4.20(t、4H)、5.80〜5.84(dd、2H)、6.07〜6.18(m、2H)、6.37〜6.44(m、2H)、6.87〜7.02(m、8H)、7.27(d、2H)、8.19〜8.23(d、2H)、8.34〜8.38(d、2H)
得られた化合物(v−1)の相転移温度を偏光顕微鏡によるテクスチャー観察によって行った。化合物(v−1)は、昇温時において、160℃から169℃までスメクチック相を呈し、169℃から224℃までネマチック相を呈し、降温時において、224℃から154℃までネマチック相を呈した。
(化合物(x−a)の製造例)
化合物(x−a)は以下のスキームで合成した。
Figure 2010241919

<化合物(x−1)の合成例>
化合物(ii−a)の合成例における、ベンゾイルクロリドを4−ニトロベンゾイルクロリドに変える以外は同様の方法にて、化合物(x−1)を得た。収率は化合物(x−a)基準で84%であった。さらに化合物(ii−1)と同様の方法で、化合物(x−1)を合成した。収率は化合物(x−a)基準で84%であった。
化合物(x−1)のH−NMR(CDCl):δ(ppm)1.43〜1.83(m、24H)、2.29〜2.82(m、12H)、3.92〜3.97(t、4H)、4.15〜4.20(t、4H)、5.80〜5.84(dd、2H)、6.07〜6.18(m、2H)、6.37〜6.44(m、2H)、6.86〜7.02(m、8H)、7.12(dt、1H)、7.18(s、2H)、7.51(dd、1H)、7.63(dd、1H)
得られた化合物(x−1)の相転移温度を偏光顕微鏡によるテクスチャー観察によって行った。化合物(x−1)は、昇温時において、101℃から106℃までスメクチック相を呈し、106℃から180℃以上までネマチック相を呈し、降温時において、81℃までネマチック相を呈し結晶化した。
(実施例5)
<化合物(A11−1)の合成例>
化合物(A11−1)は下記のスキームに従って合成した。

Figure 2010241919
[4,6−ジメチルベンゾフランの合成例]
3,5−ジメチルフェノール25g(205mmol)をN、N’−ジメチルアセトアミド150.0gに溶解させた。溶液を氷浴により冷却した後に、水酸化ナトリウム9.82(246mmol)を加えた。室温で1時間攪拌し、クロロアセトアルデヒドジメチルアセタール25.49g(266mmol)を滴下した。100℃で15時間攪拌し、反応液を水1000mL、メチルイソブチルケトン400mLに加えて分液した。有機層を回収し、2回500mLの1N−水酸化ナトリウム水溶液で、さらに2回800mLの純水で有機層を洗浄した。有機層を回収後、無水硫酸ナトリウムで脱水し、エバポレータにて減圧濃縮させ淡赤色粘長液体を得た。一方で、400gのトルエンと、オルトリン酸3.01gを混合し110℃に加熱した。該溶液に淡赤色粘長液体をトルエン100mLに溶解させた溶液を滴下した。3時間110℃で攪拌した後、室温まで冷却した。反応液を1N−炭酸水素ナトリウム水溶液で二回洗浄し、最後に純水500mLで洗浄した。有機層を回収し、無水硫酸ナトリウムで脱水後、エバポレータにて減圧濃縮、真空乾燥させて、4,6−ジメチルベンゾフランを16.5g淡赤色粘長液体として得た。収率は3,5−ジメチルフェノール基準で55%であった。
[2−ホルミル−4,6−ジメチルベンゾフランの合成例]
4,6−ジメチルベンゾフラン21.62g(148mmol)をN、N’−ジメチルホルムアミド28.4g(389mmol)に溶解させた。溶液を水浴により冷却した後に、オキシ塩化リン25g(163mmol)を滴下した。ピンク色溶液を室温で1時間攪拌した後、100℃で10時間攪拌した。反応液を室温まで放冷し、純水100mLを加えて一時間攪拌後、1N炭酸水素ナトリウムで中和した。pHを8に調節後、トルエンと分液した。有機層を回収し、活性炭を2.6g加えて濾過した。エバポレータにて減圧濃縮し、残渣をクロロホルムに溶解させ、ヘプタンにて結晶化させた。結晶を濾取、真空乾燥して、2−ホルミル−4,6−ジメチルベンゾフランを19.5g淡黄色粉末として得た。収率は4,6−ジメチルベンゾフラン基準で76%であった。
[4,6−ジメチルベンゾフラン−2−カルボン酸の合成例−1]
2−ホルミル−4,6−ジメチルベンゾフラン19.50g(112mmol)、アミド硫酸13.04g(134mmol)を100mLの純水と混合した。氷浴で冷却し、亜塩素酸ナトリウム12.15g(134mmol)の水100mL溶液を滴下した。水浴で36時間反応させた。反応溶液にトルエン100mL、水酸化カリウム25gを加えてpHを12に調整した。分液し、水層を回収し水層をさらに200mLのトルエンで洗浄した。水層を回収し、2N−塩酸にてpHを2にした後、トルエン400mLを加えて分液した。有機層を回収し、無水硫酸ナトリウムで脱水後、エバポレータにて減圧濃縮、真空乾燥して、4,6−ジメチルベンゾフラン−2−カルボン酸を14.27g黄色粉末として得た。収率は2−ホルミル−4,6−ジメチルベンゾフラン基準で67%であった。
4,6−ジメチルベンゾフラン−2−カルボン酸は下記のスキームによっても合成できた。
<4,6−ジメチルベンゾフラン−2−カルボン酸の合成例−2>
Figure 2010241919
[4,6−ジメチルサリチルアルデヒドの合成例]
3,5−ジメチルフェノール150g(1227mmol)、パラホルムアルデヒド230.1g(7674mmol)、無水塩化マグネシウム175。4g(1842mmol)をアセトニトリル900mLに分散させた。氷浴で30分攪拌した後、トリエチルアミン474g(4681mmol)を二時間かけて滴下した。混合液を水浴で8時間、室温で14時間反応させた。反応液に冷5N−塩酸1500mLを加えて、酸性にした後、400mLの酢酸エチルで分液し、有機層を回収した。さらに水層を400mLの酢酸エチルで分液した。有機層を回収し、先の有機層と集めて、無水硫酸ナトリウムで脱水後、エバポレータにて減圧濃縮した。残渣を400mLトルエンに溶解し、活性炭3g、シリカゲル20g加えて30分室温で攪拌し、濾過した。濾液を回収し、エバポレータにて減圧濃縮、真空乾燥させることにより、4,6−ジメチルサリチルアルデヒドを170g橙色粘長液体として得た。収率は3,5−ジメチルフェノール基準で92%であった。
[4,6−ジメチルベンゾフラン−2−カルボン酸の合成例−2]
4,6−ジメチルサリチルアルデヒド45.0g(300mmol)、炭酸カリウム101.g(300mmol)、をN、N’―ジメチルアセトアミド360mLに分散させた。80℃に加温した後、ブロモ酢酸エチル50.0g(300mmol)を1時間かけて滴下した。混合液を80℃で4時間反応させた。反応液を室温まで冷却後、メチルイソブチルケトン400mLを加えて、冷1N−塩酸1000mLで酸性にした後、分液した。有機層を3回1000mLの純水で洗浄し、有機層を回収した。無水硫酸ナトリウムで脱水後、エバポレータにて溶媒を留去した。残渣に水酸化カリウム40g、エタノール400mLを加えて、80℃で1時間攪拌した。室温まで放冷後、エバポレータにて溶媒を留去し、純水1000mLを加えた。pHが12以上であることを確認後、水層をトルエンにて二回、ヘプタンで一回洗浄した。水層を回収し、4N−硫酸にて中和、pHを3に調節した。析出した黄色沈殿を濾取し、純水で懸洗後、真空乾燥させることにより、4,6−ジメチルベンゾフラン−2−カルボン酸を48.1g黄色粉末として得た。収率は4,6−ジメチルサリチルアルデヒド基準で83%であった。
[化合物(11−a)の合成例]
2,5−ジメトキシアニリン11.49g(75.0mmol)、4,6−ジメチルベンゾフラン−2−カルボン酸14.27g(75.7mmol)、トリエチルアミン7.59g(75.0mmol)、N、N’−ジメチルアミノピリジン1.83g(15.0mmol)及び脱水N、N’−ジメチルアセトアミド100.0gを混合した。得られた溶液を氷浴にて冷却した後、BOP試薬34.85g(82.5mmol)を加えて室温で24時間反応させた。得られた混合液に水、メタノールの混合溶液(水2体積部、メタノール1体積部)を加えて晶析させた。得られた沈殿を濾取し水―メタノールの混合溶液(水3体積部、メタノール2体積部)で洗浄、真空乾燥して、淡黄色粉末として化合物(11−a)を16.2g得た。収率は2,5−ジメトキシアニリン基準で66%であった。
[化合物(11−b)の合成例]
化合物(11−a)16.0g(49mmol)、2,4−ビス(4−メトキシフェニル)−1,3−ジチア−2,4−ジホスフェタン−2,4−ジスルフィド(ローソン試薬)9.2g(30.0mmol)及びトルエン100gを混合し、得られた混合液を80℃に昇温して12時間反応させた。冷却後濃縮し、化合物(11−b)とローソン試薬の分解物とを主成分とする赤色粘長固体を得た。
[化合物(11−c)の合成例]
前項で得られた化合物(11−b)を含む混合物、水酸化ナトリウム11.8g(262mmol)及び水250gを混合し、得られた混合液を氷冷下で反応させた。続いてフェリシアン化カリウム44.17g(134mmol)を含む水溶液を、氷冷下で加え、反応させた。60℃で12時間反応させて、析出した黄色沈殿を濾取した。濾取した沈殿を水、次いでヘキサンで洗浄し、トルエンで結晶化させた。得られた黄色を真空乾燥して、化合物(11−c)を主成分とする黄土色固体4.1gを得た。収率は化合物(11−a)基準で25%であった。
[化合物(11−d)の合成例]
化合物(11−c)4.0g(12.0mmol)及び塩化ピリジニウム40.0g(10倍質量)を混合し、180℃に昇温して3時間反応させた。得られた混合液を氷に加え、得られた沈殿を濾取した。水で懸洗後、トルエンで洗浄、真空乾燥させて、化合物(11−d)を主成分とする黄土色固体3.4gを得た。収率は化合物(11−c)基準で93%であった。
[化合物(A11−1)の合成例]
化合物(11−d)3.00g(9.64mmol)、化合物(A)8.47g(20.23mmol)、ジメチルアミノピリジン0.12g(0.96mmol)及びクロロホルム40mLを混合した。得られた混合液にN、N’−ジイソプロピルカルボジイミド2.92g(23.12mmol)を氷冷下で加えた。得られた反応溶液を室温で終夜反応させ、シリカゲル濾過したのち、減圧濃縮した。残渣にメタノールを加えて結晶化させた。結晶を濾取し、クロロホルムに再溶解させ0.3gの活性炭を加えて、室温で一時間攪拌した。溶液を濾過して濾液をエバポレータにて1/3まで減圧濃縮後、攪拌しながらメタノールを加えて、生成した白色沈殿を濾取し、ヘプタンで洗浄、真空乾燥して化合物(A11−1)を白色粉末として7.60g得た。収率は化合物(11−d)基準で71%であった。
化合物(A11−1)のH−NMR(CDCl):δ(ppm)1.45〜1.85(m、24H)、2.36〜2.87(m、18H)、3.93〜3.97(t、4H)、4.15〜4.20(t、4H)、5.79〜5.84(dd、2H)、6.07〜6.17(m、2H)、6.37〜6.45(m、2H)、6.87〜7.01(m、9H)、7.20(s,1H)、7.23(s、2H)、7.53(s,1H)
得られた化合物(A11−1)の相転移温度を偏光顕微鏡によるテクスチャー観察によって確認した。化合物(A11−1)は、昇温時において、105℃から137℃まで粘性の高い中間相を示した。液晶相の判別は困難であったが、137℃以上で明確なネマチック液晶相を呈した。ネマチック液晶相は180℃以上まであり、降温時においては、61℃までネマチック相を呈し結晶化した。
<光学フィルムの製造例>
(実施例1〜4、比較例1)
ガラス基板に、ポリビニルアルコール(ポリビニルアルコール1000完全ケン化型、和光純薬工業株式会社製)の2重量%水溶液を塗布し、乾燥後、厚さ89nmの膜を形成した。続いて、得られた膜の表面にラビング処理を施し、ラビング処理を施した面に、表2の組成の組成物をスピンコート法により塗布し、加熱乾燥した。その後、紫外線を照射した。これにより、ガラス基板に、光学フィルムを作成した。
表2中、溶剤以外の表中の重量%は、組成物を100重量%とした重量%を意味する。
Figure 2010241919
表中の単位は%
LC242:BASF社より市販されている液晶化合物
カイラル剤:LC756(BASF社より市販されているカイラル剤)
光重合性開始剤:TAZ−A 日本シイベルヘグナー社より市販されているトリアジン系化合物
レベリング剤:BYK361N(ビックケミージャパン製)
溶剤:シクロペンタノン
<光学特性の測定>
位相差値(nm)の測定は、ガラス基板上に作成したフィルムを剥離することなく、測定機で計測した。基材に使用したガラス基板には、ほとんど複屈折性が無いため、剥離せずに測定しても、ガラス基板上に作製した光学フィルムの位相差値を得ることができる。また、光学フィルムに由来する部分の膜厚(μm)を、光学フィルムの一部を剥離して、レーザー顕微鏡(LEXT3000、オリンパス社製)を用いて測定した。
作製した光学フィルムのフィルム面の法線方向を0°とし、測定機(エリプソメーター、M−220、日本分光社製)を用いて、波長450nm、550nm、及び650nmの光を0°から入射して、入射光の相差値を測定した。測定した膜厚とあわせて、結果を表10に示す。全てのサンプルで、位相差値はほぼゼロとなることがわかった。
Figure 2010241919
その後、進相軸および遅相軸を中心にして、5°刻みでサンプルを傾斜させて、−60°から60°の範囲で位相差値を測定して、各波長450nm、550nm、及び650nmで得られる位相差値を求め、二次曲線でフィッティングして放物線を描いた。全ての比較例、実施例ともに、描かれた放物線は、0°を基準とする左右対称の放物線となり、進相軸を中心に傾斜させた場合、上に凸の放物線となり、遅相軸を中心に下に凸の放物線になった。これらの結果と、フィルム面の法線方向の位相差値が、ほぼゼロであることから、作成した光学フィルムは、完全2軸であることがわかり、いわゆるネガティブCプレートとなっていることがわかった。
また、遅相軸を中心にして、50°サンプルを傾斜させて、各波長450nm、550nm、及び650nmの光を入射した時の、入射光の相差値を測定機(エリプソメーター、日本分光社製)を用いて測定した。得られた位相差値から、[Re(450)/Re(550)]および[Re(650)/Re(450)]を算出した。結果を表11に示す。
Figure 2010241919
実施例1〜4により得られた光学フィルムは、[Re(450)/Re(550)]の値がより1以下であった。また、[Re(650)/Re(550)]の値が1以上であった。比較例1により得られた光学フィルムは、[Re(450)/Re(550)]の値がより1以上であった。また、[Re(650)/Re(550)]の値が1以下であった。つまり、今発明の組成物は、いわゆる逆波長分散性を示すため、液晶パネルに利用すれば、光学補償に優れた特性を有する。
本発明の組成物によれば、広い波長域において一様の偏光変換が可能な光学フィルムを与えることができる。
1,1’ カラーフィルタ
2,2’ 光学フィルム
3,3’ 配向膜
4,4’ カラーフィルタ層
5 液晶表示装置
6,10 偏光板
7,11 基板
8 対向電極
9 液晶層
12 TFT、絶縁層
13 透明電極
13’ 反射電極
30,30a,30b,30c,30d,30e 偏光板
14,14’ 積層体
15 偏光フィルム
A,16,16’ 支持基材
17,17’ 配向膜
18,18’ 光学フィルム
19,19’,22 接着剤層
20 液晶パネル
21 貼合品

Claims (17)

  1. 式(1)で表される化合物及びカイラル剤を含む組成物。
    Figure 2010241919
    [式(1)中、Arは芳香族炭化水素環および芳香族複素環からなる群から選ばれる少なくとも一つの芳香環を有する2価の基を表し、Ar基中の芳香環に含まれるπ電子の数Nπは、12以上である。
    及びDは、それぞれ独立に、*−O−CO−(*は、Arに結合する位置を表す)、−C(=S)−O−、−O−C(=S)−、−CR−、−CR−CR−、−O−CR−、−CR−O−、−CR−O−CR−、−CR−O−CO−、−O−CO−CR−、−CR−O−CO−R−、−CR−CO−O−CR−、−NR−CR−、−CR−NR−、−CO−NR−、又は−NR−CO−を表す。R、R、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、フッ素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表す。Rは、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表す。
    及びGは、それぞれ独立に、2価の脂環式炭化水素基を表す。該脂環式炭化水素基に含まれる水素原子は、ハロゲン原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のフルオロアルキル基、炭素数1〜4アルコキシ基、シアノ基またはニトロ基に置換されていてもよく、該脂環式炭化水素基に含まれるメチレン基は、−O−、−S−又は−NH−に置換されていてもよい。
    、E、B及びBは、それぞれ独立に、−CR−、−CH−CH−、−O−、−S−、−CO−O−、−O−CO−、−O−CO−O−、−C(=S)−O−、−O−C(=S)−、−O−C(=S)−O−、−CO−NR−、−NR−CO−、−O−CH−、−CH−O−、−S−CH−、−CH−S−又は単結合を表す。R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、フッ素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表す。Rは、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表す。
    及びAは、それぞれ独立に、2価の脂環式炭化水素基又は2価の芳香族炭化水素基を表す。該2価の脂環式炭化水素基及び2価の芳香族炭化水素基に含まれる水素原子は、ハロゲン原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4アルコキシ基、シアノ基又はニトロ基に置換されていてもよい。該炭素数1〜4のアルキル基及び該炭素数1〜4アルコキシ基に含まれる水素原子は、フッ素原子に置換されていてもよい。
    k及びlは、それぞれ独立に、0〜3の整数を表す。
    及びFは、それぞれ独立に、炭素数1〜12のアルキレン基を表す。該アルキレン基に含まれる水素原子は、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のアルコキシ基又はハロゲン原子に置換されていてもよく、該アルキレン基に含まれるメチレン基は、−O−又は−CO−に置換されていてもよい。
    及びPは、それぞれ独立に、水素原子又は重合性基を表す(ただし、P及びPのうち少なくとも1つは、重合性基を表す)。]
  2. 式(1)で表される化合物が、式(2)及び式(3)で表される要件を充足する化合物である請求項1記載の組成物。
    (Nπ−4)/3<k+l+4 (2)
    12≦Nπ≦22 (3)
    [式(2)及び式(3)中、Nπ、k及びlは上記と同じ意味を表す。]
  3. 式(1)中、Arが式(Ar−6)で表される2価の基である請求項1又は2記載の組成物。
    Figure 2010241919
    [式(Ar−6)中、Zは、ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルキル基、シアノ基、ニトロ基、炭素数1〜6のアルキルスルフィニル基、炭素数1〜6のアルキルスルホニル基、カルボキシル基、炭素数1〜6のフルオロアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数1〜6のアルキルチオ基、炭素数1〜6のN−アルキルアミノ基、炭素数2〜12のN,N−ジアルキルアミノ基、炭素数1〜6のN−アルキルスルファモイル基または炭素数2〜12のN,N−ジアルキルスルファモイル基を表す。
    は、−CR10−、−S−、−NR−、−CO−又は−O−を表す。
    及びR10は、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表す。
    は、置換されていてもよい芳香族炭化水素基又は芳香族複素環基を表す。
    ン原子を表す。
    nは、0〜2の整数を表す。]
  4. 及びGが、1,4−シクロヘキシレン基である請求項1〜3のいずれか記載の組成物。
  5. 及びAが、それぞれ独立に、1,4−フェニレン基又は1,4−シクロヘキシレン基である請求項1〜4のいずれか記載の組成物。
  6. 及びBのうち、A又はAのみと結合しているB及びBが、それぞれ独立に、−CH−CH−、−CO−O−、−O−CO−、−CO−NH−、−NH−CO−、−O−CH−、−CH−O−又は単結合であり、
    及びBのうち、F又はFと結合しているB及びBが、それぞれ独立に、−O−、−CO−O−、−O−CO−、−O−CO−O−、−CO−NH−、−NH−CO−又は単結合である請求項1〜5のいずれか記載の組成物。
  7. 及びPが、それぞれ独立に、水素原子、アクリロイルオキシ基又はメタクリロイルオキシ基(ただし、P及びPのうち少なくとも1つは、アクリロイルオキシ基又はメタクリロイルオキシ基を表す)である請求項1〜6のいずれか記載の組成物。
  8. さらに重合開始剤を含有する請求項1〜7のいずれか記載の組成物。
  9. 請求項1〜8のいずれか記載の組成物が重合した樹脂を含むフィルム。
  10. 選択反射波長域が紫外域にある請求項9記載のフィルム。
  11. 支持基材と、支持基材上に形成された請求項9又は10記載のフィルムとを含み、フィルムのカイラル螺旋軸が、支持基材表面に対してほぼ垂直である積層体。
  12. 請求項9〜11のいずれか記載のフィルム及び偏光フィルムを含む偏光部材。
  13. 請求項9〜11のいずれか記載のフィルム及び液晶セルを含む液晶表示装置。
  14. 請求項9〜11のいずれか記載のフィルム及び有機エレクトロルミネッセンスパネルを備える有機EL表示装置。
  15. 請求項1〜8のいずれか記載の組成物を含む溶液を支持基材に塗布し、乾燥させる未重合フィルムの製造方法。
  16. 請求項1〜8のいずれか記載の組成物を含む溶液を、支持基材上に形成された配向膜上に塗布し、乾燥させる未重合フィルムの製造方法。
  17. 請求項15又は16記載の未重合フィルムの製造方法で得られた未重合フィルムを、重合により硬化させるフィルムの製造方法。
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