JP4241130B2 - 光学補償シート、その製造方法、偏光板、及び液晶表示装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、光学補償シート、その製造方法、偏光板および液晶表示装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
光学補償シートにより液晶表示装置の視野角拡大、画像着色の解消を行うことは広く知られた技術である。光学補償シートとしては、ポリカーボネート、ポリエステル等の延伸ポリマー、液晶性ポリマーを支持体上の配向膜表面に塗布したもの、ディスコティック液晶性分子を塗布したもの等が知られている。このうち、ディスコティック液晶性分子を塗布したものは広い範囲の光学的性質を付与することが可能であり、様々な表示モードに対応できるというメリットを有している。
一方、近年液晶表示装置の用途が拡大するにつれて、テレビ、ディスプレー用途を中心に大サイズ化への要求が高まっている。前記のディスコティック液晶性分子を用いた光学補償シートの製造は、ディスコティック液晶性分子をある種の有機溶剤に溶かして塗布液とし、それを塗布して行われることが一般的である。しかし、この方法では塗布から乾燥までの工程に起因するムラの発生頻度が高いため、大サイズにわたって均一な光学的性質を有するシート確保することが難しく、歩留まりが著しく低下するという問題を有していた。
【0003】
上記のムラの発生は、不均一な乾燥の結果生じる塗布層の層厚変動が原因であり、これに対してディスコティック液晶性分子の塗布液中にある種の界面活性剤を添加して塗布液の塗れ性を向上させ、乾燥時の層厚変動を抑制する方法が開示されている(例えば、特許文献1(特開平9−230143号公報)及び特許文献2(特開2001−330725号公報))。しかし、これらの方法では気液界面への界面活性剤の配向が遅いため、塗布液の塗れ性が向上する前に乾燥が進んでしまい、十分な改良効果が得られていなかった。
【0004】
【特許文献1】
特開平9−230143号公報
【特許文献2】
特開2001−330725号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、支持体上に液晶性化合物を含有する層を有し、ムラがなく、シート面内での光学的な均一性に優れた光学補償シート及びその製造方法を提供することにある。
本発明の他の目的は、優れた特性を有する上記光学補償シートを用いた偏光板及び液晶表示装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは鋭意検討の結果、光学補償シートの製造の際に、液晶性化合物含有層の塗布液とは別の塗布液に界面活性剤を添加し、該界面活性剤の気液界面への配向を速やかに行うことにより、ムラがなく、フィルム面内での光学的な均一性に優れたシートが得られることを見出した。
すなわち、本発明によれば、下記構成の光学補償シート、その製造方法、偏光板、及び液晶表示装置が提供され、本発明の上記目的が達成される。
1.透明支持体上に少なくとも二つの塗布液を同時に塗布する工程を含む光学補償シートの製造方法において、
該工程で同時塗布する少なくとも一つの塗布液に液晶性分子を含有させ、かつ別の塗布液に界面活性剤を含有させることを特徴とする光学補償シートの製造方法。
2.界面活性剤が、フッ素系界面活性剤であることを特徴とする上記1に記載の製造方法。
3.界面活性剤が、フッ素含有共重合体であることを特徴とする上記2に記載の製造方法。
4.界面活性剤を液晶性分子を含有する層より上の層に添加することを特徴とする上記1乃至3のいずれかに記載の製造方法。
5.上記1乃至4のいずれかの方法により製造されたことを特徴とする光学補償シート。
6.偏光膜の両側に保護フィルムが貼り合わされており、かつ一方の保護フィルムが液晶性分子からなる光学的異方性層を有する光学補償シートである偏光板において、
該光学補償シートが上記5に記載の光学補償シートであることを特徴とする偏光板。
7.液晶セルおよびその両側に配置された二枚の偏光板からなり、少なくとも1枚の偏光板が上記6に記載の偏光板であることを特徴とする液晶表示装置。
8.液晶セルが、TNモード、ベンド配向モードまたは垂直配向モードの液晶セルであることを特徴とする上記7に記載の液晶表示装置。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明の光学補償シートの製造方法は、透明支持体上に少なくとも二つの塗布液を同時に塗布する工程を含み、この工程で用いられる少なくとも一つの塗布液に液晶性分子を含有させ、かつ別の塗布液に界面活性剤を含有させることを特徴とする。
【0008】
[光学異方性層]
本発明の光学異方性層は、液晶性化合物として、ディスコティック液晶性化合物(円盤状液晶性化合物)または棒状液晶性化合物を用いることが好ましく、重合性基を有しているディスコティック液晶性化合をまたは重合性基を有している棒状液晶化合物用いることがより好ましい。液晶性化合物は、重合反応により液晶性分子が配向している状態で固定されていることが好ましい。
本発明の光学補償シートにおいては、ディスコティック液晶性分子は、円盤面と透明支持体面とのなす角が、光学異方性層の深さ方向において変化している(ハイブリッド配向している)ことが好ましい。光学異方性層は、上記の配向膜によって液晶性分子を配向させ、その配向状態のディスコティック液晶性分子を固定することによって形成することが好ましい。
【0009】
ディスコティック液晶性分子は、様々な文献(例えば、C. Destrade et al., Mol. Crysr. Liq. Cryst., vol. 71, page 111 (1981) ;日本化学会編、季刊化学総説、No.22、液晶の化学、第5章、第10章第2節(1994);B. Kohne et al., Angew. Chem. Soc. Chem. Comm., page 1794 (1985);J. Zhang et al., J. Am. Chem. Soc., vol. 116, page 2655 (1994))に記載されている。ディスコティック液晶性分子の重合については、特開平8−27284号公報に記載がある。
ディスコティック液晶性化合物としては、例えば、特開2001−330725号公報、段落番号0013〜0028に記載されている式D1〜D15で表されるものを用いることが好ましい。
【0010】
棒状液晶性化合物としては、アゾメチン類、アゾキシ類、シアノビフェニル類、シアノフェニルエステル類、安息香酸エステル類、シクロヘキサンカルボン酸フェニルエステル類、シアノフェニルシクロヘキサン類、シアノ置換フェニルピリミジン類、アルコキシ置換フェニルピリミジン類、フェニルジオキサン類、トラン類およびアルケニルシクロヘキシルベンゾニトリル類が好ましく用いられる。以上のような低分子液晶性分子だけではなく、高分子液晶性分子も用いることができる。特に好ましく用いられる、低分子の重合性基を有する棒状液晶性化合物としては、下記式(I)の棒状液晶性化合物である。
【0011】
(I)Q1−L1−Cy1−L2−(Cy2−L3)n−Cy3−L4−Q2
式中、Q1およびQ2は、それぞれ独立に、重合性基であり、L1,およびL4は、それぞれ独立に、二価の連結基であり、L2およびL3は、それぞれ独立に、単結合または二価の連結基であり、Cy1,Cy2およびCy3は二価の環状基であり、nは0、1または2である。
以下にさらに重合性棒状液晶化合物について説明する。
一般式(I)中、Q1およびQ2が表す重合性基の重合反応は、付加重合(開環重合を含む)または縮合重合であることが好ましい。言い換えると、重合性基は、付加重合反応または縮合重合反応が可能な官能基であることが好ましい。以下に重合性基の例を示す。
【0012】
【化1】
【0013】
L1およびL4は、それぞれ独立に二価の連結基であり、好ましくはそれぞれ独立に、−O−,−S−,−CO−,−NR2−,二価の鎖状基、二価の環状基およびそれらの組み合わせからなる群より選ばれる二価の連結基である。上記R2は炭素原子数が1から7のアルキル基または水素原子である。
組み合わせからなる二価の連結基の例を以下に示す。ここで、左側がQ(Q1またはQ2)に、右側がCy(Cy1またはCy3)に結合する。
【0014】
L−1:−CO−O−二価の鎖状基―O−
L−2:−CO−O−二価の鎖状基―O−CO−
L−3:−CO−O−二価の鎖状基―O−CO−O−
L−4:−CO−O−二価の鎖状基―O−二価の環状基−
L−5:−CO−O−二価の鎖状基―O−二価の環状基−CO−O−
L−6:−CO−O−二価の鎖状基―O−二価の環状基−O−CO−
L−7:−CO−O−二価の鎖状基―O−二価の環状基−二価の鎖状基―
L−8:−CO−O−二価の鎖状基―O−二価の環状基−二価の鎖状基―CO−O−
L−9:−CO−O−二価の鎖状基―O−二価の環状基−二価の鎖状基―O−CO−
L−10:−CO−O−二価の鎖状基―O−CO−二価の環状基−
L−11:−CO−O−二価の鎖状基―O−CO−二価の環状基−CO−O−
L−12:−CO−O−二価の鎖状基―O−CO−二価の環状基−O−CO−
L−13:−CO−O−二価の鎖状基―O−CO−二価の環状基−二価の鎖状基―
L−14:−CO−O−二価の鎖状基―O−CO−二価の環状基−二価の鎖状基―CO−O−
L−15:−CO−O−二価の鎖状基―O−CO−二価の環状基−二価の鎖状基―O−CO−
L−16:−CO−O−二価の鎖状基―O−CO−O−二価の環状基−
L−17:−CO−O−二価の鎖状基―O−CO−O−二価の環状基−CO−O−
L−18:−CO−O−二価の鎖状基―O−CO−O−二価の環状基−O−CO−
L−19:−CO−O−二価の鎖状基―O−CO−O−二価の環状基−二価の鎖状基―
L−20:−CO−O−二価の鎖状基―O−CO−O−二価の環状基−二価の鎖状基―CO−O−
L−21:−CO−O−二価の鎖状基―O−CO−O−二価の環状基−二価の鎖状基―O−CO−
【0015】
二価の鎖状基は、アルキレン基、置換アルキレン基、アルケニレン基、置換アルケニレン基、アルキニレン基,置換アルキニレン基を意味する。アルキレン基、置換アルキレン基,アルケニレン基,置換アルケニレン基が好ましく、アルキレン基およびアルケニレン基がさらに好ましい。
アルキレン基は,分岐を有していてもよい。アルキレン基の炭素数は1乃至12であることが好ましく、2乃至10であることがさらに好ましく、2乃至8であることがもっとも好ましい。
置換アルキレン基のアルキレン部分は、上記アルキレン基と同様である。置換基の例としてはハロゲン原子が含まれる。
アルケニレン基は、分岐を有していてもよい。アルケニレン基の炭素数は2乃至12であることが好ましく、2乃至10であることがさらに好ましく、2乃至8であることがもっとも好ましい。
置換アルキニレン基のアルキニレン部分は、上記アルキニレン基と同様である。置換基の例としてはハロゲン原子が含まれる。
二価の鎖状基の具体例としては、エチレン、トリメチレン、プロピレン、ブタメチレン、1−メチル−ブタメチレン、ペンタメチレン、ヘキサメチレン、オクタメチレン、2−ブテニレン、2−ブチニレンなどが上げられる。
【0016】
二価の環状基の定義および例は、後述するCy1,Cy2およびCy3の定義および例と同様である。
R2は、炭素原子数1から4のアルキル基または水素原子であることが好ましく、メチル基、エチル基または水素原子であることがさらに好ましく、水素原子であることがもっとも好ましい。
【0017】
L2またはL3は、それぞれ独立に、単結合または二価の連結基であり、好ましくは−O−,−S−,−CO−,−NR2−,二価の鎖状基、二価の環状基およびそれらの組み合わせからなる群より選ばれる二価の連結基または単結合である。上記R2は炭素原子数が1から7のアルキル基または水素原子であり、炭素原子数1から4のアルキル基または水素原子であることが好ましく、メチル基、エチル基または水素原子であることがさらに好ましく、水素原子であることがもっとも好ましい。二価の鎖状基、および二価の環状基についてはL1およびL4の定義と同義である。
【0018】
式(I)において、nは0または1または2である。nが2の場合、二つのL3は同じであっても異なっていても良く、二つのCy2も同じであっても異なっていてもよい。nは1または2であることが好ましく、1であることがさらに好ましい。
【0019】
式(I)において、Cy1、Cy2およびCy3は、それぞれ独立に、二価の環状基である。
環状基に含まれる環は、5員環、6員環、または7員環であることが好ましく、5員環または6員環であることがさらに好ましく、6員環であることがもっとも好ましい。
環状基に含まれる環は、縮合環であっても良い。ただし、縮合環よりも単環であることがより好ましい。
環状基に含まれる環は、芳香族環、脂肪族環、および複素環のいずれでもよい。芳香族環の例には、ベンゼン環およびナフタレン環が含まれる。脂肪族環の例には、シクロヘキサン環が含まれる。複素環の例には、ピリジン環およびピリミジン環が含まれる。
ベンゼン環を有する環状基としては、1,4−フェニレンが好ましい。ナフタレン環を有する環状基としては、ナフタレン−1,5−ジイルおよびナフタレン−2,6−ジイルが好ましい。シクロヘキサン環を有する環状基としては1,4−シクロへキシレンであることが好ましい。ピリジン環を有する環状基としてはピリジンー2,5−ジイルが好ましい。ピリミジン環を有する環状基としては、ピリミジンー2,5−ジイルが好ましい。
【0020】
環状基は、置換基を有していてもよい。置換基の例には、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、炭素原子数が1乃至5のアルキル基、炭素原子数が1乃至5のハロゲン置換アルキル基、炭素原子数が1乃至5のアルコキシ基、炭素原子数が1乃至5のアルキルチオ基、炭素原子数が2乃至6のアシルオキシ基、炭素原子数が2乃至6のアルコキシカルボニル基、カルバモイル基、炭素原子数が2乃至6のアルキル置換カルバモイル基、および炭素原子数が2乃至6のアシルアミノ基が含まれる。
【0021】
以下に、式(I)で表される重合性液晶化合物の例を示す。本発明はこれらに限定されるものではない。
【0022】
【化2】
【0023】
【化3】
【0024】
【化4】
【0025】
【化5】
【0026】
<光学異方性層の添加剤>
光学異方性層には、前記の液晶性化合物の他に、任意の添加剤を併用することができる。添加剤の例としては、ハジキ防止剤、配向膜のプレチルト角を制御するための添加剤、重合開始剤、配向温度を低下させる添加剤(可塑剤)、重合性モノマー等である。
【0027】
(ハジキ防止剤)
ディスコティック液晶性化合物とともに使用して、塗布時のハジキを防止するための材料としては、一般に高分子化合物を好適に用いることができる。
使用するポリマーとしては、液晶性化合物と相溶性を有し、液晶性化合物の傾斜角変化や配向を著しく阻害しない限り、特に制限はない。
ポリマーの例としては、特開平8−95030号公報に記載があり、特に好ましい具体的ポリマー例としてはセルロースエステル類を挙げることができる。セルロースエステルの例としては、セルロースアセテート、セルロースアセテートプロピオネート、ヒドロキシプロピルセルロースおよびセルロースアセテートブチレートを挙げることができる。液晶性化合物の配向を阻害しないように、ハジキ防止目的で使用されるポリマーの添加量は、液晶性化合物に対して一般に0.1〜10質量%の範囲にあり、0.1〜8質量%の範囲にあることがより好ましく、0.1〜5質量%の範囲にあることがさらに好ましい。
【0028】
(重合性モノマー)
液晶性化合物とともに使用する重合性モノマーとしては、液晶性化合物と相溶性を有し、液晶性化合物の傾斜角変化や配向阻害を著しく引き起こさない限り、特に限定はない。これらの中では重合活性なエチレン性不飽和基、例えばビニル基、ビニルオキシ基、アクリロイル基およびメタクリロイル基などを有する化合物が好ましく用いられる。上記重合性モノマーの添加量は、液晶性化合物に対して一般に1〜50質量%の範囲にあり、5〜30質量%の範囲にあることが好ましい。また反応性官能基数が2以上のモノマーを用いると、配向膜と光学異方性層間の密着性を高める効果が期待できるため、特に好ましい。
なお、重合に用いられる重合開始剤については、後述する。
【0029】
<光学異方性層の形成>
光学異方性層は、液晶性化合物および下記の重合開始剤や他の添加剤を含む塗布液を、配向膜上に塗布することが好ましい。塗布液の調製に使用する溶媒としては、有機溶媒が好ましく用いられる。有機溶媒の例には、アミド(例、N,N−ジメチルホルムアミド)、スルホキシド(例、ジメチルスルホキシド)、ヘテロ環化合物(例、ピリジン)、炭化水素(例、ベンゼン、ヘキサン)、アルキルハライド(例、クロロホルム、ジクロロメタン)、エステル(例、酢酸メチル、酢酸ブチル)、ケトン(例、アセトン、メチルエチルケトン)、エーテル(例、テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタン)が含まれる。アルキルハライドおよびケトンが好ましい。二種類以上の有機溶媒を併用してもよい。
光学異方性層の厚さは、0.5乃至100μmであることが好ましく、0.5乃至30μmであることがさらに好ましい。
【0030】
配向させた液晶性分子を、配向状態を維持して固定する。固定化は、重合反応により実施することが好ましい。重合反応には、熱重合開始剤を用いる熱重合反応と光重合開始剤を用いる光重合反応とが含まれる。光重合反応が好ましい。
光重合開始剤の例には、α−カルボニル化合物(米国特許2367661号、同2367670号の各公報記載)、アシロインエーテル(米国特許2448828号公報記載)、α−炭化水素置換芳香族アシロイン化合物(米国特許2722512号公報記載)、多核キノン化合物(米国特許3046127号、同2951758号の各公報記載)、トリアリールイミダゾールダイマーとp−アミノフェニルケトンとの組み合わせ(米国特許3549367号公報記載)、アクリジンおよびフェナジン化合物(特開昭60−105667号公報、米国特許4239850号公報記載)およびオキサジアゾール化合物(米国特許4212970号公報記載)が含まれる。
【0031】
光重合開始剤の使用量は、塗布液の固形分の0.01乃至20質量%であることが好ましく、0.5乃至5質量%であることがさらに好ましい。
液晶性分子の重合のための光照射は、紫外線を用いることが好ましい。
照射エネルギーは、20乃至5000mJ/cm2 であることが好ましく、100乃至800mJ/cm2 であることがさらに好ましい。また、光重合反応を促進するため、加熱条件下で光照射を実施してもよい。
保護層を、光学異方性層の上に設けてもよい。
【0032】
[界面活性剤]
本発明の光学補償シートの製造方法において、同時塗布する塗布液の少なくとも一つは界面活性剤を含有する。本発明では、界面活性剤を含む塗布液と光学異方性層を形成するための液晶性分子を含む塗布液を同時塗布することが好ましい。
本発明で用いる界面活性剤としては様々なものが使用できるが、フッ素系界面活性剤が好ましい。
フッ素系界面活性剤の例としては特開2001-330725号公報、段落番号0027〜0028に開示されているF−1〜F−10、特開2002-229169号公報、段落番号0120〜0123に開示されているFS−1〜FS−23およびFS−25などが挙げられる。
【0033】
フッ素系界面活性剤は、高分子であっても良い。高分子フッ素系界面活性剤については、特開2002−311577号公報、段落番号0017〜0054に詳細に説明されており、フッ素系ポリマーの具体的な構造の例としては、該公報、段落番号0055〜0065に記載のP−1〜P−68、および下記P−69(式中の数字は、各モノマー成分のモル比率を示す。Mwは重量平均分子量を表す)などが挙げられる。
【0034】
【化6】
【0035】
次に本発明において、光学異方性層や配向膜を形成するための塗布液物性について説明する。
本発明の光学異方性層は液晶性分子を含む塗布液と界面活性剤を含む塗布液は界面活性剤を含む塗布液が上層となるように、同時塗布されることが好ましい。この場合、液晶性分子を含む塗布液と界面活性剤を含む塗布液は以下の液物性を有することが好ましい。
配向膜等を形成するための界面活性剤を含む塗布液の粘度は、0.1〜40cpが好ましく、1〜15cpがさらに好ましい。表面張力は50dyne/cm以下が好ましく40dyne/cm以下がさらに好ましい。塗布液の塗布量は1〜80cc/m2が好ましく、2〜50cc/m2がさらに好ましい。
光学異方性層を形成するための液晶性分子を含む塗布液の粘度は0.5cp以上200cp以下が好ましく、2cp以上100cp以下がさらに好ましい。塗布液の塗布量は2cc/m2以上が好ましく、52cc/m2がさらに好ましい。液晶性分子を含む塗布液は、フッ素系界面活性剤を含む塗布液に対して高粘度であることが好ましい。両者の粘度差は1cp以上200cp以下が好ましく、2cp以上100cp以下がさらに好ましい。塗布液の塗布量は液晶性分子を含む塗布液がフッ素系界面活性剤を含む塗布液よりも多いことが好ましい。両者の塗布量の差は1cc/m2以上200cc/m2以下が好ましく、2cc/m2以上100cc/m2以下がさらに好ましい。表面張力はフッ素系界面活性剤を含む塗布液よりも0.5dyne/cm以上高いことが好ましく、1.0dyne/cm以上高いことがさらに好ましい。
本発明の界面活性剤の好ましい添加量は一般に0.001〜100mg/m2の範囲であり、0.01〜〜50mg/m2の範囲がさらに好ましい。
本発明では、例えば配向膜等を形成するためのフッ素系界面活性剤を含む塗布液と光学異方性層を形成するための液晶性分子を含む塗布液を同時塗布する。同時塗布はエクストルージョン型ホッパーあるいはスライド型ホッパーによって行うことができる。
【0036】
[透明支持体]
光学補償シートの透明支持体として、通常、光学的等方性のポリマーフイルムが用いられる。支持体が透明であるとは、光透過率が80%以上であることを意味する。光学的等方性とは、具体的には、面内レターデーション(Re)が10nm以下であることが好ましく、5nm以下であることがさらに好ましい。また、厚み方向のレターデーション(Rth)は、40nm以下であることが好ましく、20nm以下であることがさらに好ましい。透明支持体の面内レターデーション(Re)と厚み方向のレターデーション(Rth)は、それぞれ下記式で定義される。
Re=(nx−ny)×d
Rth=[{(nx+ny)/2}−nz]×d
式中、nxおよびnyは、透明支持体の面内屈折率であり、nzは透明支持体の厚み方向の屈折率であり、そしてdは透明支持体の厚さである。
【0037】
液晶表示モードの種類によっては、透明支持体として光学的異方性のポリマーフイルムが用いられる場合もある。すなわち、光学異方性層の光学的異方性に透明支持体の光学的異方性も加えて、液晶セルの光学的異方性に対応する(光学的に補償する)場合もある。そのような目的で光学的異方性透明支持体を使用する場合、透明支持体の面内レターデーション(Re)は、20nm以上であることが好ましく、30nm以上であることがさらに好ましい。また、厚み方向のレターデーション(Rth)は、80nm以上であることが好ましく、120nm以上であることがさらに好ましい。
【0038】
透明支持体を形成する材料は、光学的等方性支持体とするか、光学的異方性支持体とするかに応じて決定する。光学的等方性支持体の場合は、一般にガラスまたはセルロースエステルが用いられる。光学的異方性支持体の場合は、一般に合成ポリマー(例、ポリカーボネート、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ノルボルネン樹脂)が用いられる。合成ポリマーフイルムを延伸することによって、光学的異方性を得る。ただし、欧州特許0911656A2号公報に記載されている(1)レターデーション上昇剤の使用、(2)セルロースアセテートの酢化度の低下、あるいは(3)冷却溶解法によるフイルムの製造により、レターデーションが高い(光学的異方性の)セルロースエステルフイルムを製造することもできる。セルロースエステルまたは合成ポリマーのフイルムは、ソルベントキャスト法により形成することが好ましい。透明支持体の厚さは、20乃至500μmであることが好ましく、50乃至200μmであることがさらに好ましい。透明支持体とその上に設けられる層(接着層、配向膜あるいは光学異方性層)との接着を改善するため、透明支持体に表面処理(例、グロー放電処理、コロナ放電処理、紫外線(UV)処理、火炎処理)を実施してもよい。透明支持体の上に、接着層(下塗り層)を設けてもよい。
【0039】
[配向膜]
配向膜は、光学異方性層の液晶性分子の配向方向を規定する機能を有する。
配向膜は、有機化合物(好ましくはポリマー)のラビング処理、無機化合物の斜方蒸着、マイクログルーブを有する層の形成、あるいはラングミュア・ブロジエット法(LB膜)による有機化合物(例、ω−トリコサン酸、ジオクタデシルメチルアンモニウムクロライド、ステアリル酸メチル)の累積のような手段で、設けることができる。さらに、電場の付与、磁場の付与あるいは光照射により、配向機能が生じる配向膜も知られている。
配向膜は、ポリマーのラビング処理により形成することが好ましい。ポリビニルアルコールが、好ましいポリマーである。疎水性基が結合している変性ポリビニルアルコールが特に好ましい。疎水性基は光学異方性層の液晶性分子と親和性があるため、疎水性基をポリビニルアルコールに導入することで、液晶性分子を均一に配向させることができる。疎水性基は、ポリビニルアルコールの主鎖末端または側鎖に結合させる。
疎水性基は、炭素原子数が6以上の脂肪族基(好ましくはアルキル基またはアルケニル基)または芳香族基が好ましい。
ポリビニルアルコールの主鎖末端に疎水性基を結合させる場合は、疎水性基と主鎖末端との間に連結基を導入することが好ましい。連結基の例には、−S−、−C(CN)R1 −、−NR2 −、−CS−およびそれらの組み合わせが含まれる。上記R1 およびR2 は、それぞれ、水素原子または炭素原子数が1乃至6のアルキル基(好ましくは、炭素原子数が1乃至6のアルキル基)である。
【0040】
ポリビニルアルコールの側鎖に疎水性基を導入する場合は、ポリビニルアルコールの酢酸ビニル単位のアセチル基(−CO−CH3)の一部を、炭素原子数が7以上のアシル基(−CO−R3)に置き換えればよい。R3は、炭素原子数が6以上の脂肪族基または芳香族基である。
市販の変性ポリビニルアルコール(例、MP103、MP203、R1130、クラレ(株)製)を用いてもよい。
配向膜に用いる(変性)ポリビニルアルコールのケン化度は、80%以上であることが好ましい。(変性)ポリビニルアルコールの重合度は、200以上であることが好ましい。
ラビング処理は、配向膜の表面を、紙や布で一定方向に、数回こすることにより実施する。長さおよび太さが均一な繊維を均一に植毛した布を用いることが好ましい。
なお、光学異方性層のディスコティック液晶性分子を配向膜を用いて配向後、配向膜を除去しても、ディスコティック液晶性分子の配向状態を保つことができる。すなわち、配向膜は、ディスコティック液晶性分子を配向するため楕円偏光板の製造において必須であるが、製造された光学補償シートにおいては必須ではない。
配向膜を透明支持体と光学異方性層との間に設ける場合は、さらに下塗り層(接着層)を透明支持体と配向膜との間に設けてもよい。
【0041】
[光学補償シート]
本発明の光学補償シートは、偏光膜と組合わせて楕円偏光板の用途に供することができる。さらに、透過型液晶表示装置に、偏光膜と組合わせて適用することにより、視野角の拡大に寄与する。
以下に、本発明の光学補償シートを利用した楕円偏光板および液晶表示装置について説明する。
【0042】
[楕円偏光板]
本発明の光学補償シートと偏光膜を積層することによって楕円偏光板を作製することができる。本発明の光学補償シートを利用することにより、液晶表示装置の視野角を拡大しうる楕円偏光板を提供することができる。即ち、偏光板は偏光膜の両側に保護フィルムが貼り合わされているが、本発明では、一方の保護フィルムとして、本発明の光学補償シートを用いる。
上記偏光膜には、ヨウ素系偏光膜、二色性染料を用いる染料系偏光膜やポリエン系偏光膜がある。ヨウ素系偏光膜および染料系偏光膜は、一般にポリビニルアルコール系フィルムを用いて製造する。偏光膜の偏光軸は、フィルムの延伸方向に垂直な方向に相当する。
【0043】
偏光膜は前記光学補償シートの光学異方性層側に積層する。偏光膜の光学補償シートを積層した側と反対側の面に透明保護膜を形成することが好ましい。透明保護膜は、光透過率が80%以上であるのが好ましい。透明保護膜としては、一般にセルロースエステルフィルム、好ましくはトリアセチルセルロースフィルムが用いられる。セルロースエステルフィルムは、ソルベントキャスト法により形成することが好ましい。透明保護膜の厚さは、20〜500μmであることが好ましく、50〜200μmであることがさらに好ましい。
【0044】
このような本発明の偏光板は、液晶表示装置において液晶セルの両側に配置される偏光板の少なくともいずれかに用いることができる。
【0045】
[液晶表示装置]
本発明の光学補償シートを利用することにより、視野角が拡大された液晶表示装置を提供することができる。TNモードの液晶セル用光学補償シートは、特開平6−214116号公報、米国特許5583679号、同5646703号、ドイツ特許公報3911620A1号の各明細書に記載がある。また、IPSモードまたはFLCモードの液晶セル用光学補償シートは、特開平10−54982号公報に記載がある。さらに、OCBモード(ベント配向モード)またはHANモードの液晶セル用光学補償シートは、米国特許5805253号明細書および国際公開WO96/37804号公報に記載がある。さらにまた、STNモードの液晶セル用光学補償シートは、特開平9−26572号公報に記載がある。そして、VAモード(垂直配向モード)の液晶セル用光学補償シートは、特許番号第2866372号公報に記載がある。
【0046】
本発明において、前記記載の公報を参考にして各種のモードの液晶セル用光学補償シートを作製することができる。本発明の光学補償シートは、TN(Twisted Nematic)、IPS(In-Plane Switching)、FLC(Ferroelectric Liquid Crystal)、OCB(Optically Compensatory Bend)、STN(Super Twisted Nematic)、VA(Vertically Aligned)およびHAN(Hybrid Aligned Nematic)モードなど、種々のモードで駆動される液晶セルと組合わせて液晶表示装置に適用できる。本発明の光学補償シートは、TN(Twisted Nematic)モードの液晶表示装置において特に効果がある。
【0047】
光学補償シートの光学的性質は、液晶セルの光学的性質、具体的には上記のような表示モードの違いに応じて決定する。ディスコティック液晶性分子などの液晶分子は多様な配向形態を有するので、これを用いると液晶セルの様々な表示モードに対応する様々な光学的性質を有する光学補償シートを製造することができる。ディスコティック液晶性分子を用いた光学補償シートでは、様々な表示モードに対応するものが既に提案されている。
【0048】
【実施例】
本発明を具体的に説明するために、以下に実施例を挙げて説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
[実施例1]
(セルロースアセテート溶液の調製)
下記の組成物をミキシングタンクに投入し、攪拌して各成分を溶解し、セルロースアセテート溶液Aを調製した。
【0049】
<セルロースアセテート溶液A組成>
酢化度60.9%のセルロースアセテート 100.0質量部
トリフエニルホスフエート(可塑剤) 7.0質量部
ビフエニルジフエニルホスフエート(可塑剤) 4.0質量部
メチレンクロライド(第1溶媒) 402.0質量部
メタノール(第2溶媒) 60.0質量部
【0050】
(マット剤溶液の調製)
下記の組成物を分散機に投入し、攪拌して各成分を溶解し、マット剤溶液を調製した。
【0051】
<マット剤溶液組成>
平均粒径16nmのシリカ粒子 2.0質量部
(AEROSIL R972、日本アエロジル(株)製
メチレンクロライド(第1溶媒) 76.3質量部
メタノール(第2溶媒) 11.4質量部
セルロースアセテート溶液A 10.3質量部
【0052】
(レターデーション上昇剤溶液の調製)
下記の組成物をミキシングタンクに投入し、加熱しながら攪拌して、各成分を溶解し、セルロースアセテート溶液を調製した。
【0053】
<レターデーション上昇剤溶液組成>
レターデーション上昇剤I 19.8質量部
UV吸収剤(A) 0.07質量部
UV吸収剤(B) 0.13質量部
メチレンクロライド(第1溶媒) 58.4質量部
メタノール(第2溶媒) 8.7質量部
セルロースアセテート溶液A 12.8質量部
【0054】
レターデーション上昇剤I
【0055】
【化7】
【0056】
UV吸収剤
【0057】
【化8】
【0058】
(セルロースアセテートフイルムの作製)
上記セルロースアセテート溶液Aを94.6質量部、マット剤溶液を1.3質量部、レターデーション上昇剤溶液4.1質量部それぞれを濾過後に混合し、バンド流延機を用いて流延した。レターデーション上昇剤のセルロースアセテートに対する質量比は4.6%であった。残留溶剤量30質量%でフイルムをバンドから剥離し、130℃の条件で、残留溶剤量が13質量%のフイルムをテンターを用いて28%の延伸倍率で横延伸し、延伸後の幅のまま140℃で30秒間保持した。その後、クリップを外して140℃で40分間乾燥させセルロースアセテートフイルムを製造した。出来あがったセルロースアセテートフィルムの残留溶剤量は0.2%であり、膜厚は92μmであった。
【0059】
(光学特性の測定)
作製したセルロースアセテートフイルムについて、下記方法によりレターデーション値を測定したところ、Reが38nm、Rthが173nmだった。
・Rthレターデーション値の測定法
エリプソメーター(M−150、日本分光(株)製)を用い、面内レターデーションRe(0)を測定した。また面内の遅相軸をあおり軸として40°および−40°あおってレターデーションRe(40)およびRe(−40)を測った。膜厚および遅相軸方向の屈折率nxをパラメータとし、これらの測定値Re(0)、Re(40)、Re(‐40)にフィッティングするように進相軸方向の屈折率nyおよび厚み方向の屈折率nzを計算で求め、Rthレターデーション値を決定した。測定波長は632.8nmとした。
【0060】
(鹸化処理)
実施例1で作製したセルロースアセテートフイルム上に下記組成の液を5.2ml/m2塗布し、60℃で10秒間乾燥させた。フイルムの表面を流水で10秒洗浄し、25℃の空気を吹き付けることでフイルム表面を乾燥させた。
<鹸化液組成>
イソプロピルアルコール 818質量部
水 167質量部
プロピレングリコール 187質量部
水酸化カリウム 777質量部
【0061】
(配向膜の形成)
ケン化処理したセルロースアセテートフイルム(透明支持体)の一方の面に、下記の組成の塗布液を#14のワイヤーバーコーターで24ml/m2 塗布した。60℃の温風で60秒、さらに90℃の温風で150秒乾燥した。
次に、セルロースアセテートフイルム(透明支持体)の延伸方向(遅相軸とほぼ一致)と45゜の方向に、形成した膜にラビング処理を実施した。
<配向膜塗布液組成>
下記変性ポリビニルアルコール 20質量部
水 360質量部
メタノール 120質量部
グルタルアルデヒド(架橋剤) 1.0質量部
変性ポリビニルアルコール
【0062】
【化9】
【0063】
(光学異方性層の形成)
配向膜上に、下記ディスコティック液晶性分子91質量部、エチレンオキサイド変成トリメチロールプロパントリアクリレート(V#360、大阪有機化学(株)製)9質量部、セルロースアセテートブチレート(CAB531−1、イーストマンケミカル社製)1.5質量部、光重合開始剤(イルガキュアー907、チバガイギー社製)3質量部、増感剤(カヤキュアーDETX、日本化薬(株)製)1質量部を、214.2質量部のメチルエチルケトンに溶解した塗布液を、#3のワイヤーバーコーターで5.2ml/m2塗布した。これを金属の枠に貼り付けて、130℃の恒温槽中で2分間加熱し、ディスコティック液晶性分子を配向させた。次に、90℃で120W/cm高圧水銀灯を用いて、1分間UV照射しディスコティック液晶性分子を重合させた。その後、室温まで放冷した。このようにして、光学補償シート1を作成した。
ディスコティック液晶性分子
【0064】
【化10】
【0065】
光学補償シート2〜7の作成
光学補償シート1において光学異方性層の塗布液中に下記表の界面活性剤を下記添加量を添加した以外は同様にして光学補償シート2〜7を作成した
【0066】
光学補償シート8〜13の作成
光学補償シート1と同じ塗布液と下記界面活性剤塗布液を界面活性剤層が上層になるように同時に塗布し、光学補償シート8〜13を作製した。
<界面活性剤塗布液組成>
界面活性剤 0.15質量部
メチルエチルケトン 1000質量部
【0067】
【表1】
【0068】
界面活性剤種の構造は以下の通り。なお、FS−21は前述の特開2002−229169号公報に記載されており、P−1、P−24、P−32、P−64は前述の特開2002−311577号公報に記載されている。
FS−21:C8F17CH2CH2SO2N(C3H7)CH2CH2O(CH2CH2O)nH
【0069】
【化11】
【0070】
以上のようにして作製した光学補償シートについて塗布方向5点×幅方向5点、合計25点のReを測定し、最大値と最小値の差、及び標準偏差により、フィルム面内の光学特性の均一性を評価した。結果を表2に示す。
【0071】
【表2】
【0072】
(楕円偏光板の作製)
延伸したポリビニルアルコールフイルムにヨウ素を吸着させて偏光膜を作製した。
次に、作製した光学補償シートの透明支持体側を、ポリビニルアルコール系接着剤を用いて偏光膜の片側に貼り付けた。透明支持体の遅相軸および偏光膜の透過軸が平行になるように配置した。
市販のセルローストリアセテートフイルム(フジタックTD80UF、富士写真フイルム(株)製)を前記と同様にケン化処理し、ポリビニルアルコール系接着剤を用いて、偏光膜の反対側(光学補償シートを貼り付けなかった側)に貼り付けた。
このようにして、楕円偏光板を作製した。
【0073】
(ベンド配向液晶セルの作製)
ITO電極付きのガラス基板に、ポリイミド膜を配向膜として設け、配向膜にラビング処理を行った。得られた二枚のガラス基板をラビング方向が平行となる配置で向かい合わせ、セルギャップを5.7μmに設定した。セルギャップにΔnが0.1396の液晶性化合物(ZLI1132、メルク社製)を注入し、ベンド配向液晶セルを作製した。
【0074】
(液晶表示装置の作製)
作製したベンド配向セルを挟むように、作製した楕円偏光板を二枚貼り付けた。楕円偏光板の光学異方性層がセル基板に対面し、液晶セルのラビング方向とそれに対面する光学異方性層のラビング方向とが反平行となるように配置した。
作製した液晶表示装置をバックライト上に配置し、液晶セルに白表示電圧2V、黒表示電圧6.0Vを印加し、測定機(EZ-Contrast 160D、ELDIM社製)を用いて、コントラスト視野角(コントラスト比が10以上となる角度範囲)を測定した。また中間調電圧3Vを印加し色味視野角(ΔCuvが0.02以下となる角度範囲)を測定した。
本発明の光学補償シートを使用した液晶表示装置は表示ムラが少なく、良好な画像が得られることがわかった。
【0075】
[実施例2]
下記の組成物をミキシングタンクに投入し、加熱しながら攪拌して、各成分を溶解し、セルロースアセテート溶液Bを調製した。
【0076】
<セルロースアセテート溶液B組成>
酢化度60.9%のセルロースアセテート 100.0質量部
トリフエニルホスフエート(可塑剤) 7.0質量部
ビフエニルジフエニルホスフエート(可塑剤) 4.0質量部
メチレンクロライド(第1溶媒) 402.0質量部
メタノール(第2溶媒) 60.0質量部
【0077】
別のミキシングタンクに、前記レターデーション上昇剤I 16質量部、メチレンクロライド80質量部およびメタノール20質量部を投入し、加熱しながら攪拌して、レターデーション上昇剤溶液Dを調製した。
セルロースアセテート溶液Bを474質量部にレターデーション上昇剤溶液Dを11質量部を混合し、充分に攪拌してドープを調製した。レターデーション上昇剤の添加量は、セルロースアセテート100質量部に対して、1.6質量部であった。
得られたドープを、流延速度45m/minでバンド流延機を用いて流延し、残留溶剤量30質量%になるまで乾燥した後バンドからフイルムを剥ぎ取った。次いでフイルムを140℃の乾燥風で10分乾燥し、残留溶剤量が0.3質量%で厚み60μmのセルロースアセテートフイルム201を作製した。
【0078】
(光学特性の測定)
実施例1と同様にしてセルロースアセテートフイルム201の光学特性を測定したところ、Rthが80.3、Rthが9.7だった。
【0079】
(鹸化処理)
上記で作製したセルロースアセテートフイルム201を実施例1と同様にして鹸化処理した。
【0080】
(配向膜の形成)
鹸化処理したセルロースアセテートフイルム上に、下記の組成の塗布液を#16のワイヤーバーコーターで28ml/m2塗布した。60℃の温風で60秒、さらに90℃の温風で150秒乾燥した。
次に、セルロースアセテートフイルムの長手方向と平行な方向に、形成した膜にラビング処理を実施した。
【0081】
<配向膜塗布液組成>
前記変性ポリビニルアルコール 10質量部
水 371質量部
メタノール 119質量部
グルタルアルデヒド(架橋剤) 0.5質量部
【0082】
(光学異方性層の形成)
実施例1の光学補償シート13と同様にして、配向膜上に光学異方性層塗布液及び界面活性剤層塗布液を界面活性剤層が上層になるように同時に塗布し、光学補償シート(D−1)を作製した。
<光学異方性層組成>
前記のディスコティック液晶性化合物 1.57g/m2
エチレンオキサイド変成トリメチロールプロパントリアクリレート
(V#360、大阪有機化学(株)製) 0.156g/m2
セルロースアセテートブチレート(CAB551-0.2、イーストマンケミカル社製) 0.0346g/m2
セルロースアセテートブチレート(CAB531-1、イーストマンケミカル社製) 0.0088g/m2
光重合開始剤(イルガキュアー907、チバガイギー社製)0.0518g/m2
増感剤(カヤキュアーDETX、日本化薬(株)製)0.0173g/m2
<界面活性剤層組成>
前記の界面活性剤P−69 0.006g/m2
【0083】
波長546nmで測定した光学異方性層のReレターデーション値は43nmであった。また、円盤面と第1透明支持体面との間の角度(傾斜角)は平均で42゜であった。
【0084】
延伸したポリビニルアルコールフイルムにヨウ素を吸着させて偏光子を作製し、ポリビニルアルコール系接着剤を用いて、上記光学補償シート(D−1)をセルロースアセテートフィルムが偏光子側となるように偏光子の片側に貼り付けた。偏光子の透過軸と光学異方性層の遅相軸とは平行になるように配置した。
さらに市販のセルローストリアセテートフイルム(フジタックTD80UF、富士写真フイルム(株)製)を前記と同様にケン化処理し、ポリビニルアルコール系接着剤を用いて、偏光子の反対側に貼り付け、偏光板を作製した。
【0085】
(液晶表示装置の作製)
TN型液晶セルを使用した20インチの液晶表示装置(LC-20V1、シャープ(株)製)に設けられている一対の偏光板を剥がし、代わりに上記で作製した偏光板を、光学補償シートが液晶セル側となるように粘着剤を介して、観察者側およびバックライト側に一枚ずつ貼り付けた。観察者側の偏光板の透過軸とバックライト側の偏光板の透過軸が直交するように配置した。
本発明の光学補償シートを用いた液晶表示装置は表示ムラが少なく良好な画像が得られることがわかった。
【0086】
【発明の効果】
本発明の方法により製造された光学補償シートは、ムラがなく、シート面内での光学的な均一性に優れ、これを用いた液晶表示装置は表示ムラが少なく良好な画像が得られる。
Claims (3)
- 透明支持体上に少なくとも二つの塗布液を同時に塗布する工程を含む光学補償シートの製造方法において、
該工程で同時塗布する少なくとも一つの塗布液に液晶性分子を含有させ、かつ別の塗布液に界面活性剤を含有させ、
該液晶性分子を含有する塗布液が光学異方性層を形成し、該界面活性剤を含有する塗布液が界面活性剤含有層を形成し、かつ該界面活性剤含有層が該光学異方性層よりも上層となるように塗布されることを特徴とする光学補償シートの製造方法。 - 界面活性剤が、フッ素系界面活性剤であることを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
- 界面活性剤が、フッ素含有共重合体であることを特徴とする請求項2に記載の製造方法。
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