JP2006276643A - 位相差膜、液晶表示装置および化合物 - Google Patents

位相差膜、液晶表示装置および化合物 Download PDF

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Abstract

【課題】 光学異方性層に用いられる重合性液晶性化合物を欠陥無く均一に垂直方向に配向固定化させた位相差膜等を提供する。
【解決手段】少なくとも一種の重合性基を有する液晶性化合物と、空気界面に少なくとも一種の重合開始能を有する添加剤を所定量以上含有する液晶組成物からなる光学異方性層を有する位相差膜。
【選択図】 なし

Description

本発明は、位相差膜および液晶表示装置に関し、特に水平方向に配向した液晶性化合物に横方向の電界を印加することにより表示を行う、インプレーンスイッチング(IPS)モードの液晶表示装置に好適に用いることのできる位相差膜およびこれを用いた液晶表示装置に関する。
液晶表示装置としては、二枚の直交した偏光板の間に、ネマチック液晶をツイスト配列させた液晶層を挟み、電界を基板に対して垂直な方向にかける方式、いわゆるTNモードが広く用いられている。この方式では、黒表示時に液晶性化合物が基板に対して立ち上がる(液晶性化合物が基板に対して垂直に配向される)ために、斜めから見ると液晶性化合物による複屈折が発生し、光漏れが起こる。この問題に対して液晶性分子がハイブリッド配向したフィルムを用いることで、液晶セルを光学的に補償し、この光漏れを防止する方式が実用化されている。しかし、液晶性分子を用いても液晶セルを問題なく完全に光学的に補償することは非常に難しく、画面下方向での諧調反転が抑えきれないという問題を生じていた。
かかる問題を解決するため、横電界を液晶に対して印加する、IPSモードによる液晶表示装置や、誘電率異方性が負の液晶を垂直配向し、パネル内に形成した突起やスリット電極によって配向分割した垂直配向(VA)モードが提案され、実用化されている。近年、これらのパネルはモニター用途に留まらず、テレビ用途として開発が進められており、それに伴って画面の輝度が大きく向上してきている。このため、これらの動作モードで従来問題とされていなかった、黒表示時の対角位斜め入射方向での僅かな光漏れが表示品質の低下の原因として顕在化してきた。
この色調や黒表示の視野角を改善する手段の一つとして、液晶層と偏光板との間に複屈折特性を有する光学補償材料を配置することがIPSモードにおいて検討されている。
例えば、傾斜時の液晶層のレターデーションの増減を補償する作用を有する光軸を互いに直交した複屈折媒体を基板と偏光板との間に配置することで、白表示または中間調表示を斜め方向から直視した場合の色付きが改善できることが開示されている(例えば、特許文献1参照)。また、負の固有複屈折を有するスチレン系ポリマーやディスコティック液晶性化合物からなる光学補償フィルムを使用した方法(例えば、特許文献2〜4参照)や、光学補償フィルムとして複屈折が正で光学軸がフィルムの面内にある膜と複屈折が正で光学軸がフィルムの法線方向にある膜とを組み合わせる方法(例えば、特許文献5参照)、レターデーションが二分の一波長の二軸性の光学補償シートを使用する方法(例えば、特許文献6参照)、偏光板の保護膜として負のレターデーションを有する膜を使い、この表面に正のレターデーションを有する光学補償層を設ける方式(例えば、特許文献7参照)が提案されている。
一方、正の複屈折性を有し光軸が法線方向にある位相差膜を組み合わせることでIPSモードの光学補償を達成する方法が検討されており、かかる位相差膜を実現するには液晶材料を垂直に配向させ、その配向状態を固定化する方法が知られている(例えば、特許文献8〜10参照)。
しかしながら、垂直に配向した液晶性化合物を配向固定化する際には、体積収縮等の要因により配向が乱れたり、膜にクラックが生じることが問題となることがあり、特に棒状液晶性化合物を光秩序度のスメクチックA相の状態で配向固定化する際には、前記のような問題が顕著に現れることが問題であった。
このような背景から、近年表示特性に対する要求が厳しくなってきている液晶表示装置においては、従来知られている垂直配向方式で固定化した異方性材料ではミクロな均一性が十分ではなく、その改善が求められていた。
特開平9−80424号公報 特開平10−54982号公報 特開平11−202323号公報 特開平9−292522号公報 特開平11−133408号公報 特開平11−305217号公報 特開平10−307291号公報 特表2000−514202号公報 特開平10−319408号公報 特開平6−331826号公報
本発明は、光学異方性層に用いられる重合性基が置換した液晶性化合物(以下、「重合性液晶性化合物」と称す)を欠陥無く均一に垂直方向に配向固定化させた位相差膜を提供することを第1の目的とし、更に、簡易な構成で、表示品位のみならず、視野角が著しく改善された液晶表示装置(特にIPS型液晶表示装置)を提供することを第2の目的とする。
上記課題は以下の手段によって達成された。
(1)少なくとも一種の重合性基を有する液晶性化合物と、空気界面に少なくとも一種の重合開始能を有する添加剤を所定量以上含有する液晶組成物からなる光学異方性層を有する位相差膜。
(2)前記重合開始能を有する添加剤が光重合開始剤である、(1)に記載の位相差膜。
(3)前記重合開始能を有する添加剤が、下記一般式(1)で表される、(1)または(2)に記載の位相差膜。
一般式(1)
Figure 2006276643
(一般式(1)中、X1は水酸基、アミノ基、アリール基、ヘテロ環基、アルコキシ基、ハロゲン原子、または、アルキル基を表し、R1およびR2は、それぞれ、アルキル基、アラルキル基、アルコキシ基、アリール基、または、ヘテロ環基を表し、R1とR2は互いに結合していてもよく、Rfは少なくとも一つのフッ素原子が置換した置換基を表し、n1は1〜5の整数を表す。)
(4)前記液晶性化合物が、位相差膜の膜面に対して略垂直に配向していることを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載の位相差膜。
(5)前記液晶組成物中に、少なくとも一つのオニウム塩が含まれている、(1)〜(4)のいずれかに記載の位相差膜。
(6)前記液晶性化合物が、棒状液晶性化合物である、(1)〜(5)のいずれかに記載の位相差膜。
(7)前記液晶性化合物が、スメクチックA液晶性を有する棒状液晶性化合物である、(1)〜(6)のいずれかに記載の位相差膜。
(8)前記位相差膜は配向膜を有し、該配向膜がポリビニルアルコール誘導体からなる、(1)〜(7)のいずれかに記載の位相差膜。
(9)(1)〜(8)のいずれかに記載の位相差膜を有する液晶表示装置。
(10)第1偏光膜と、第1位相差膜と、第2位相差膜と、液晶性化合物を含む液晶層を一対の基板で挟んだ液晶セルとを含み、黒表示時に前記液晶性化合物が前記一対の基板の表面に対して実質的に平行に配向する液晶表示装置であって、前記第1位相差膜の面内のレターデーション(Re)が20nm〜150nmであってNzが1.5〜7であり、前記第2位相差膜の面内の屈折率が実質的に等しく、厚み方向のレターデーション(Rth)が−80nm〜−400nmであり、第2位相差膜が(1)〜(8)のいずれかに記載の位相差膜から形成され、さらに、第1偏光膜の透過軸が黒表示時の液晶性化合物の遅相軸方向に平行である液晶表示装置。
(11)下記一般式(2)で表される化合物。
一般式(2)
Figure 2006276643
(一般式(2)中、X1は水酸基、アミノ基、アリール基、ヘテロ環基、アルコキシ基またはハロゲン原子を表し、R1およびR2は、それぞれ、アルキル基、アラルキル基、アルコキシ基、アリール基、または、ヘテロ環基を表し、R1とR2は互いに結合していてもよく、Rfは少なくとも一つのフッ素原子が置換した置換基を表し、n1は1〜5の整数を表す。)
(12)下記一般式(1)で表される重合開始能を有する添加剤。
一般式(1)
Figure 2006276643
(一般式(1)中、X1は水酸基、アミノ基、アリール基、ヘテロ環基、アルコキシ基、ハロゲン原子、または、アルキル基を表し、R1およびR2は、それぞれ、アルキル基、アラルキル基、アルコキシ基、アリール基、または、ヘテロ環基を表し、R1とR2は互いに結合していてもよく、Rfは少なくとも一つのフッ素原子が置換した置換基を表し、n1は1〜5の整数を表す。)
本発明によれば、光学異方性層に用いられる液晶性化合物を欠陥無く均一に垂直配向させた位相差膜を提供することができる。特に棒状スメクチックA液晶性化合物を欠陥無く(例えば、1.0mm2範囲で15個以下、さらには、5個以下の)垂直方向に配向固定化させた位相差膜を提供することができる。さらに、本発明によれば、簡易な構成で、表示品位のみならず、視野角が著しく改善された液晶表示装置を提供することができる。
本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
本明細書において、空気界面に少なくとも一種の重合開始能を有する添加剤を所定量以上含有する液晶組成物からなる光学異方性層とは、配向固定化後の光学異方性層中において、その空気界面側から膜厚の1/2以内の領域中に、20%よりも大きな量の重合開始能を有する添加剤由来の残渣を有する光学異方性層を意味する。
本発明の位相差膜は、少なくとも一種の重合性液晶性化合物と少なくとも一種の空気界面に少なくとも一種の重合開始能を有する添加剤を含有する液晶組成物からなる光学異方性層を有する。このように、重合性液晶性化合物の分子を配向固定化した位相差膜によれば、該重合性液晶性化合物の分子を欠陥無く均一に垂直配向固定化させることができる。本発明の位相差膜は、さらに好ましくは、配向膜上に該光学異方性層が設けられたものである。
また、本発明の液晶表示装置としては、例えば、少なくとも、第1偏光膜と、第1位相差膜と、第2位相差膜と、液晶性化合物を含む液晶層を一対の基板で挟んだ液晶セルとを含み、黒表示時に前記液晶性化合物が前記一対の基板の表面に対して実質的に平行に配向する液晶表示装置であって、前記第1位相差膜の面内のレターデーション(Re)が20nm〜150nm、且つ、Nz値が1.5〜7であり、前記第2位相差膜の面内の屈折率が実質的に等しく、厚み方向のレターデーション(Rth)が−80nm〜−400nmであり、且つ、第1偏光膜の透過軸が黒表示時の液晶性化合物の遅相軸方向に平行であるものが挙げられる。
本発明の液晶表示装置は、正面方向の特性を何ら変更させることなく、斜めの方位角方向から見た場合に2枚の偏光板の吸収軸が90°からずれることから生ずるコントラストの低下、特に45°の斜め方向からのコントラストの低下を改善することができる。さらに、偏光膜における保護膜のRthを40nm以下とすることによって更なるコントラスト向上を実現することができる。また、本発明の位相差膜を第2位相差膜として用いることにより、特殊な垂直配向膜を用いずに簡便に第2位相差膜を作製することができる。
本明細書において、面内方向のレターデーション値(Re;以下、単に「Re」と称することがある。)と膜厚方向のレターデーション値(Rth;以下、単に「Rth」と称することがある。)とは、以下に基づき算出するものとする。
Re(λ)、Rth(λ)は、各々、波長λにおける面内方向のレターデーションおよび厚さ方向のレターデーションを表す。
上記Re(λ)は「KOBRA 21ADH」(王子計測機器(株)製)において波長λnmの光をフィルムの法線方向に入射することで測定される。また、Rth(λ)は、上記Re(λ)と、遅相軸(KOBRA 21ADHにより判断される)を傾斜軸(回転軸)としてフィルム法線方向に対して+40°傾斜した方向から波長λnmの光を入射して測定したレターデーション値と、および面内の遅相軸を傾斜軸としてフィルム法線方向に対して−40°傾斜した方向から波長λnmの光を入射して測定したレターデーション値との計3つの方向で測定したレターデーション値を基に上記「KOBRA 21ADH」で算出することができる。この時、平均屈折率の仮定値および膜厚を入力することが必要である。「KOBRA 21ADH」はRth(λ)に加えてnx、ny、nzも算出することができる。ここで、nxはフィルム面内の遅相軸(x)方向の屈折率であり、nyはフィルム面内の進相軸(y)方向の屈折率であり、nzはフィルムの膜厚方向(フィルム面と直交する方向)の屈折率を意味する。
上記「平均屈折率」は、セルロースアセテートでは1.48を使用するが、セルロースアセテート以外の代表的な光学用途のポリマーフィルムの値としては、シクロオレフィンポリマー(1.52)、ポリカーボネート(1.59)、ポリメチルメタクリレート(1.49)、ポリスチレン(1.59)、等の値を用いることができる。その他の既存のポリマー材料の平均屈折率値はポリマーハンドブック(JOHN WILEY&SONS,INC)やポリマーフィルムのカタログ値を使用することができる。また、平均屈折率が不明な材料の場合は、アッベ屈折計を用いて測定することができる。さらに、この算出されたnx、ny、nzよりNz=(nx−nz)/(nx−ny)が更に算出される。
更に、本明細書において、「平行」、「直交」とは、厳密な角度±10゜未満の範囲内であることを意味する。この範囲は厳密な角度との誤差は、±5゜未満であることが好ましく、±2゜未満であることがより好ましい。また、「実質的に垂直」とは、厳密な垂直の角度よりも±20゜未満の範囲内であることを意味する。この範囲は厳密な角度との誤差は、±15゜未満であることが好ましく、±10゜未満であることがより好ましい。「遅相軸方向」は、屈折率が最大となる方向を意味する。さらに屈折率の測定波長は特別な記述がない限り、可視光域のλ=550nmでの値である。
本明細書において「偏光板」とは、特に断らない限り、長尺の偏光板および液晶装置に組み込まれる大きさに裁断された(本明細書において、「裁断」には「打ち抜き」および「切り出し」等も含むものとする)偏光板の両者を含む意味で用いられる。また、本明細書では、「偏光膜」および「偏光板」を区別して用いるが、「偏光板」は「偏光膜」の少なくとも片面に該偏光膜を保護する保護膜を有する積層体を意味するものとする。
以下、図面を用いて本発明の実施の形態を詳細に説明する。図1は、本発明の液晶表示装置の画素領域例を示す模式図である。図2および図3は、本発明の液晶表示装置の一実施形態の模式図である。本発明の液晶表示装置の範囲はこれらの図面により制限されるものではない。
《液晶表示装置》
[液晶表示装置の構成]
図2に示す液晶表示装置は、偏光膜8および20と、第1位相差膜10と、第2位相差膜12と、セル基板13・17と、該基板に挟持される液晶層15とを有する。偏光膜8・20は、それぞれ保護膜7a・7bおよび19a・19bによって挟持されている。
図2の液晶表示装置では、液晶セルは、セル基板13・17と、これらに挟持される液晶層15とからなる。液晶層の厚さd(μm)と屈折率異方性Δnとの積Δn・dは透過モードにおいて、ねじれ構造を持たないIPS型では0.2〜0.4μmの範囲が最適値となる。この範囲では白表示輝度が高く、黒表示輝度が小さいことから、明るくコントラストの高い表示装置が得られる。基板13および17の液晶層15に接触する表面には、配向膜(図2中不図示)が形成されていて、液晶性化合物を基板の表面に対して略平行に配向させるとともに配向膜上に施されたラビング処理方向(矢印14および18)等により、電圧無印加状態もしくは低印加状態における液晶性化合物配向方向が制御されている。また、基板13もしくは17の内面には、液晶性化合物に電圧印加可能な電極(図2中不図示)が形成されている。
図1に、液晶層14の1画素領域(液晶素子画素領域1)中の液晶性化合物の配向を模式的に示す。図1においては、液晶層15の1画素に相当する程度の極めて小さい面積の領域中の液晶性化合物の配向が、配向膜のラビング方向4、液晶性化合物に電圧印加可能な画素電極2および表示電極3とともに示される。また、電界効果型液晶として正の誘電異方性を有するネマチック液晶を用いてアクティブ駆動を行った場合の、電圧無印加状態または低印加状態での液晶性化合物配向方向は、液晶性化合物のダイレクター5a・5bが示すように実質的に基板に対する平行方向であり、この時に黒表示が得られる。画素電極2と表示電極3の間に電圧が印加されると、電圧に応じて液晶性化合物は、液晶性化合物のダイレクター6a・6bのような方向に配向され、このときに白表示が得られる。通常、この状態で明表示を行なう。
再び図2において、偏光膜の偏光透過軸9・21は直交して配置されている。第1位相差膜の遅相軸11は、偏光膜の偏光透過軸9および黒表示時の液晶層の遅相軸方向16に平行である。
図2に示す液晶表示装置では、偏光膜8が二枚の保護膜7a・7bに挟持された構成を示しているが、保護膜7bは任意な構成であり設けなくてもよい。また、偏光膜20も二枚の保護膜19a・19bに挟持されているが、液晶層15に近い側の保護膜19aは設けなくてもよい。なお、図2の態様では、第1位相差膜および第2位相差膜は、液晶セルの位置を基準にして、液晶セルと視認側の偏光膜との間に配置されていてもよいし、液晶セルと背面側の偏光膜との間に配置されていてもよい。本実施形態では、いずれの構成においても、第2位相差膜が液晶セルにより近くなる構成となっている。尚、図2中、14および18は、それぞれ、セル基板のラビング方向を示している。
本発明の他の実施形態を図3に示す。図3の液晶表示装置は、第2位相差膜12が偏光膜8および第1位相差膜10の間に配置されている。図3の液晶表示装置においても、保護膜7bおよび保護膜19aは任意の構成であり設けなくてもよい。図3に示す態様では、第1位相差膜10は、第1位相差膜の遅相軸11が、偏光膜の透過軸9と黒表示時の液晶層の遅相軸方向16に直交になるように配置される。なお、図3の態様では、第1位相差膜および第2位相差膜は、液晶セルの位置を基準にして、液晶セルと視認側の偏光膜との間に配置されていてもよいし、液晶セルと背面側の偏光膜との間に配置されていてもよい。本実施形態では、いずれの構成においても、第1位相差膜が液晶セルにより近くなる構成となっている。尚、図3の符号は、図2と共通である。
なお、図3には、上側偏光板(膜)および下側偏光板(膜)を備えた透過モードの表示装置の態様を示したが、本発明は一つの偏光板のみを備える反射モードの態様であってもよい。かかる場合には、液晶セル内の光路が2倍になることから、最適Δn・dの値は上記の1/2程度の値になる。また、本発明に用いられる液晶セルはIPSモードに限定されることなく、黒表示時に液晶性化合物が上記一対の基板の表面に対して実質的に平行に配向する液晶表示装置であれば、いずれも好適に用いることができる。このような液晶表示装置の例としては強誘電性液晶表示装置、反強誘電性液晶表示装置、ECB型液晶表示装置がある。
また、本発明の液晶表示装置は、図1〜図3に示す構成に限定されず、他の部材を含んでいてもよい。例えば、フルカラー型液晶表示装置を構成する場合には、液晶層と偏光膜との間にカラーフィルターを配置してもよい。また、偏光膜における保護膜の表面に反射防止処理やハードコートを施してもよい。また、構成部材に導電性を付与したものを使用してもよい。更に、透過型として使用する場合は、冷陰極もしくは熱陰極蛍光管、あるいは、発光ダイオード、フィールドエミッション素子またはエレクトロルミネッセント素子を光源とするバックライトを背面側に配置することができる。この場合、バックライトの配置は図2および図3の上側であっても下側であってもよい。
また、液晶層とバックライトとの間に、反射型偏光板や拡散板、プリズムシートや導光板を配置することもできる。更に、上述のように、本発明の液晶表示装置は、反射型であってもよく、かかる場合は、偏光板は観察側に1枚配置したのみでよく、液晶セル背面あるいは液晶セルの下側基板の内面に反射膜が配置される。もちろん上記光源を用いたフロントライトを液晶セル観察側に設けることも可能である。
本発明の液晶表示装置には、画像直視型、画像投影型や光変調型が含まれる。本発明は、TFTやMIMのような3端子または2端子半導体素子を用いたアクティブマトリックス液晶表示装置に適用した態様が特に有効である。むろん、時分割駆動と呼ばれるパッシブマトリックス液晶表示装置に適用した態様も有効である。
[液晶セル]
本発明の位相差膜は、様々な表示モードの液晶セルを有する液晶表示装置に用いることができる。前述した様に、本発明の位相差膜は、液晶セルの光学補償シートとして有用である。液晶性化合物からなる光学異方性層を有する光学補償シートは、透過型については、TN(Twisted Nematic)、IPS(In−Plane Switching)、FLC(Ferroelectric LiquidCrystal)、OCB(Optically Compensatory Bend)、STN(Supper TwistedNematic)、VA(Vertically Aligned)、ECB(Electrically ControlledBirefringence)、反射型については、TN、HAN(Hybrid Aligned Nematic)、GH(Guest−Host)等の液晶セルに対応するものが既に提案されている。本発明の位相差膜は、その配向状態によって種々の液晶表示モードに適用できるが、透過型のIPSモードに好適に使用できる。
以下、本発明の液晶表示装置の位相差膜の好ましい光学特性、材料、製造方法等について、詳細に説明する。
[第1位相差膜]
本発明の液晶表示装置に用いられる第1位相差膜は、面内のレターデーション(Re)が20nm〜150nmであって、斜め方向の光漏れをより効果的に低減する観点から、40nm〜115nmであるのがより好ましく、60nm〜95nmであるのがさらに好ましい。また、第1位相差膜のNzは、1.5〜7であって、斜め方向の光漏れをより効果的に低減する観点から、2.0〜5.5であるのがより好ましく、2.5〜4.5であるのがさらに好ましい。
基本的に上記第1位相差膜は、上述の光学特性を有する限り、その材料および形態については特に制限されない。上記第1位相差膜としては、例えば、複屈折ポリマーフィルムからなる位相差膜、支持体上に高分子化合物を塗布後に加熱した膜、および支持体上に低分子もしくは高分子液晶性化合物を塗布または転写することによって形成された位相差層を有する位相差膜など、いずれも使用することができる。また、それぞれを積層して使用することもできる。第1位相差膜がポリマーフィルムからなる場合は、後述する第2位相差膜が有する光学異方性層の支持体として機能させることもできる。
上記複屈折ポリマーフィルムとしては、複屈折特性の制御性、透明性および耐熱性に優れるものが好ましい。この場合、複屈折ポリマーフィルムに用いられる高分子材料としては均一な二軸配向が達成できる高分子であれば特に制限はないが、従来公知のもので溶液流延法や押出し成形方式で製膜できるもの好ましく、例えば、ノルボルネン系高分子、ポリカーボネート系高分子、ポリアリレート系高分子、ポリエステル系高分子、ポリサルフォン等の芳香族系高分子、セルロースアシレート、または、これらポリマーの2種または3種以上を混合したポリマーなどが挙げられる。
フィルムの二軸配向は、押出し成形方式や流延製膜方式等の適宜な方式で製造したフィルムを、例えば、ロールによる縦延伸方式、テンターによる横延伸方式や二軸延伸方式などにより、延伸処理することにより達成することができる。上述のロールによる縦延伸方式では加熱ロールを用いる方法や雰囲気を加熱する方法、それらを併用する方法等の適宜な加熱方法を採ることができる。またテンターによる二軸延伸方式では全テンター方式による同時二軸延伸方法や、ロール・テンター法による逐次二軸延伸方法などの適宜な方法を採ることができる。また、上記複屈折ポリマーフィルムとしては、配向ムラや位相差ムラの少ないものが好ましい。その厚さは、位相差等により適宜に決定しうるが、一般には薄型化の点より1〜300μmであることが好ましく、10〜200μmであることが更に好ましく、20〜150μmであることが特に好ましい。
上記ノルボルネン系高分子は、ノルボルネンおよびその誘導体、テトラシクロドデセンおよびその誘導体、ジシクロペンタジエンおよびその誘導体、メタノテトラヒドロフルオレンおよびその誘導体などのノルボルネン系モノマーの主成分とするモノマーの重合体が好ましく、ノルボルネン系モノマーの開環重合体、ノルボルネン系モノマーとこれと開環共重合可能なその他のモノマーとの開環共重合体、ノルボルネン系モノマーの付加重合体、ノルボルネン系モノマーとこれと共重合可能なその他のモノマーとの付加共重合体、およびその水素添加物などがより好ましい。これらの中でも、耐熱性、機械的強度等の観点から、ノルボルネン系モノマーの開環重合体水素化物がさらに好ましい。ノルボルネン系重合体の分子量は、使用目的に応じて適宜選択されるが、シクロヘキサン溶液(重合体樹脂が溶解しない場合はトルエン溶液)のゲル・パーミエーション・クロマトグラフィーで測定したポリイソプレンまたはポリスチレン換算の重量平均分子量で、5,000〜500,000が好ましく、8,000〜200,000がより好ましく、10,000〜100,000がさらに好ましい。上述範囲であるときに、第1位相差膜の機械的強度、および成形加工性がより高度にバランスされて好適である。
上記セルロースアシレートのアシル基としては、脂肪族基でもアリル基でもよく特に限定されない。上記セルロースアシレートとしては、例えば、セルロースのアルキルカルボニルエステル、アルケニルカルボニルエステル、芳香族カルボニルエステル、芳香族アルキルカルボニルエステルなどが挙げられ、それぞれさらに置換基を有していてもよい。上記置換基としては、総炭素数が22以下のエステル基が好ましい。好ましいセルロースアシレートとしては、例えば、エステル部の総炭素数が22以下のアシル基(例えば、アセチル基、プロピオニル基、ブチロイル基、バレル基、ヘプタノイル基、オクタノイル基、デカノイル基、ドデカノイル基、トリデカノイル基、ヘキサデカノイル基、オクタデカノイル基など)、アリールカルボニル基(アクリル基、メタクリル基など)、アリルカルボニルキ基(ベンゾイル基、ナフタロイル基など)、シンナモイル基を挙げることができる。これらの中でも、セルロースアセテート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートステアレート、セルロースアセテートベンゾエートなどが好ましく、混合エステルの場合はその比率は特に限定されないが、アセテートが総エステルの30モル%以上であることが好ましい。
これらの中でも、上記複屈折ポリマーフィルムに用いられる高分子材料としてはセルロースアシレートが好ましく、特に写真用グレードのセルロースアシレートが好ましい。上記市販の写真用グレードのセルロースアシレートは粘度平均重合度や置換度等の品質が良好である。
上記写真用グレードのセルローストリアセテートとしては、ダイセル化学工業(株)製(例えばLT−20,30,40,50,70,35,55,105など)、イーストマンコダック社製(例えば、CAB−551−0.01、CAB−551−0.02、CAB−500−5、CAB−381−0.5、CAB−381−02、CAB−381−20、CAB−321−0.2、CAP−504−0.2、CAP−482−20、CA−398−3など)、コートルズ社製、ヘキスト社製等のものが好ましく、何れも写真用グレードのセルロースアシレートを使用できる。また、フィルムの機械的特性や光学的な特性を制御する目的で、特開2002−277632号公報、特開2002−182215号公報等に記載されているように、可塑剤、界面活性剤、レターデーション調節剤、UV吸収剤などを混合することができる
透明樹脂を、シート状またはフィルム状に成形する方法は、例えば、加熱溶融成形法、溶液流延法のいずれも用いることができる。加熱溶融成形法は、さらに詳細に、押出成形法、プレス成形法、インフレーション成形法、射出成形法、ブロー成形法、延伸成形法などに分類できるが、これらの方法の中でも、機械的強度、表面精度等に優れたフィルムを得るためには、押出成形法、インフレーション成形法、およびプレス成形法が好ましく、押出成形法がより好ましい。成形条件は、使用目的や成形方法により適宜選択されるが、加熱溶融成形法による場合は、シリンダー温度が、好ましくは100〜200℃、より好ましくは150〜350℃の範囲で適宜設定される。上記シートまたはフィルムの厚みは、好ましくは1〜300μm、好ましくは10〜200μm、より好ましくは20〜150μmである。
上記シートまたはフィルムの延伸は、該透明樹脂のガラス転移温度をTgとするとき、好ましくはTg−30℃からTg+60℃の温度範囲、より好ましくはTg−10℃からTg+50℃の温度範囲にて、少なくとも一方向に好ましくは1.01〜2倍の延伸倍率で行う。延伸方向は少なくとも一方向であればよい。光学特性の制御はこの延伸倍率と加熱温度を制御することによって行うことができる。
[第2位相差膜(本発明の位相差膜)]
本発明の液晶表示装置における第2位相差膜は、重合性基液晶性化合物からなる光学異方性層を有する。第2位相差膜は、好ましくは、ポリマーからなる配向膜と、少なくとも一種の重合性液晶性化合物を含有する液晶組成物からなる光学異方性層とがこの順で設けられてなる。尚、本発明の第2位相差膜は、光学異方性層を形成後、ポリマーを剥がしたもの等も含む趣旨である。特に、本発明で好適に用いられる位相差膜は、重合性の棒状液晶性化合物を用い、かつ、本発明の重合開始能を有する添加剤、さらにオニウム塩を含有させることによって、重合性棒状液晶性化合物の分子を膜面に対して垂直に配向させた位相差膜である。
第2位相差膜の面内屈折率が実質的に等しく、厚み方向のレターデーション(Rth)は、−80nm〜−400nmであることが好ましい。「面内屈折率が実質的に等しい」とは、面内のレターデーションが実質的に0近傍の値になることを意味し、その範囲は具体的には0〜20nmである。第2位相差膜のRthのより好ましい範囲は、他の光学部材の光学特性に応じて変動し、特に、より近くに位置する偏光膜の保護膜(例えば、トリアセチルセルロースフィルム)のRthに応じて、大きく変動する。斜め方向の光漏れを効果的に低減するためには、第2位相差膜のRthは、−100nm〜−340nmであるのがより好ましく、−120nm〜−270nmであるのがさらに好ましい。一方、第2位相差膜のReは実質的に0近傍の値になる。具体的にReは0〜20nmであるのが好ましい。
上記第2位相差膜は、屈折率異方性が正の棒状液晶性化合物や組成物を基板に実質的に垂直配向させたのち固定化して形成した光学異方性層を少なくとも1層有する膜であることが好ましい。さらに、第2の位相差膜は、一層のみならず複数層を積層して、上記光学特性を示す第2位相差膜を構成することもできる。また、支持体と光学異方性層との積層体全体で上記光学特性を満たすようにして、第2位相差膜を構成してもよい。第2位相差膜は、少なくとも、後述する本発明の位相差膜を含む。
上記「実質的に垂直」とは、位相差膜面と棒状液晶性化合物のダイレクターとのなす角度が70°〜90°の範囲内であることを意味する。これらの液晶性化合物は斜め配向させてもよいし、傾斜角が徐々に変化するように配向(ハイブリッド配向)させてもよい。平均傾斜角は70°〜90°であることが好ましく、80°〜90°がより好ましく、85°〜90°がさらに好ましい。
[光学異方性層]
まず、光学異方性層について説明する。本発明の位相差膜が有する光学異方性層は、少なくとも一種の重合性液晶性化合物および、少なくとも一種の重合開始能を有する添加剤を含有する液晶組成物からなる。好ましくは、オニウム塩を含有する液晶組成物からなるものである。
以下に、重合性液晶性化合物、重合開始能を有する添加剤、オニウム塩の詳細を示す。
(重合性液晶性化合物)
本発明の位相差膜に用いられる、重合性液晶性化合物としては、棒状液晶性化合物、ディスコティック液晶性化合物のどちらも用いることができるが、棒状液晶性化合物が好ましい。また、棒状液晶性化合物においては、ネマチック相のみ示す棒状ネマチック液晶性化合物、スメクチックA相も示す棒状スメクチック液晶性化合物、さらには棒状コレステリック液晶性化合物など、どのような棒状液晶性化合物にも適用できるが、棒状ネマチック液晶性化合物、および、棒状スメクチックA液晶性化合物がより好ましく、棒状スメクチックA液晶性化合物がさらに好ましい。
以下に重合性液晶性化合物の詳細を記す。
(棒状液晶性化合物)
棒状液晶性化合物は低分子化合物であってもよく、高分子化合物であってもよいが、迅速に所望の配向状態を形成するためには低分子化合物であることが好ましい。また、棒状液晶性化合物の分子は、光学異方性層中において、実質的に均一に配向していることが好ましく、実質的に均一に配向している状態で固定されていることがさらに好ましく、重合反応により液晶性分子が固定されていることが最も好ましい。重合性を有する棒状液晶性化合物は一種で用いてもよいし、重合性または非重合性棒状液晶性化合物のいくつかを混合して使用してもよい。単独または併用で用いる個々の液晶性化合物は、ネマチック液晶相、スメクチック液晶相、またはコレステリック液晶相を形成してもよい。また、後述するように棒状液晶性化合物を塗布する場合には溶媒や重合開始剤等の添加剤を入れた液晶組成物を塗布するが、加熱乾燥の過程で溶媒が揮散した状態の液晶組成物として、配向固定させる温度範囲でスメクチック液晶相をとるものが好適に用いられる。
棒状液晶性化合物としては、アゾメチン類、アゾキシ類、シアノビフェニル類、シアノフェニルエステル類、安息香酸エステル類、シクロヘキサンカルボン酸フェニルエステル類、シアノフェニルシクロヘキサン類、シアノ置換フェニルピリミジン類、アルコキシ置換フェニルピリミジン類、フェニルジオキサン類、トラン類及びアルケニルシクロヘキシルベンゾニトリル類が好ましく用いられる。
棒状液晶性化合物を重合によって配向を固定することがより好ましく、重合性棒状液晶性化合物としては、Makromol.Chem.,190巻、2255頁(1989年)、Advanced Materials 5巻、107頁(1993年)、米国特許第4683327号、同5622648号、同5770107号、国際公開WO95/22586号、同95/24455号、同97/00600号、同98/23580号、同98/52905号の各パンフレット、特開平1−272551号、同6−16616号、同7−110469号、同11−80081号各公報、及び特願2001−64627号明細書などに記載の化合物を用いることができる。より好ましくは、下記一般式(V)にて表される化合物である。
一般式(V)
1−L1−Cy1−L2−(Cy2−L3n−Cy3−L4−Q2
(一般式(V)中、Q1及びQ2はそれぞれ重合性基であり、L1及びL4はそれぞれ二価の連結基であり、L2及びL3はそれぞれ単結合又は二価の連結基であり、Cy1、Cy2及びCy3はそれぞれ二価の環状基であり、nは0、1又は2である。)
一般式(V)中、Q1及びQ2である重合性基の重合反応は、付加重合(開環重合を含む)又は縮合重合であることが好ましい。言い換えると、Q1及びQ2である重合性基は、付加重合反応又は縮合重合反応が可能な官能基であることが好ましい。以下にQ1及びQ2である重合性基の例を示す。
Figure 2006276643
1及びL4はそれぞれ、−O−、−S−、−CO−、−NR2−、二価の鎖状基、二価の環状基及びそれらの組み合わせからなる群より選ばれる二価の連結基であることが好ましい。上記R2は炭素原子数が1〜7のアルキル基又は水素原子である。R2は、炭素原子数1〜4のアルキル基又は水素原子であることが好ましく、メチル基、エチル基又は水素原子であることがさらに好ましく、水素原子であることが最も好ましい。
1及びL4である二価の連結基の例を以下に示す。ここで、左側がQ1又はQ2に、右側がCy1又はCy3に結合する。
L−1:−CO−O−二価の鎖状基−O−
L−2:−CO−O−二価の鎖状基−O−CO−
L−3:−CO−O−二価の鎖状基−O−CO−O−
L−4:−CO−O−二価の鎖状基−O−二価の環状基−
L−5:−CO−O−二価の鎖状基−O−二価の環状基−CO−O−
L−6:−CO−O−二価の鎖状基−O−二価の環状基−O−CO−
L−7:−CO−O−二価の鎖状基−O−二価の環状基−二価の鎖状基−
L−8:−CO−O−二価の鎖状基−O−二価の環状基−二価の鎖状基−CO−O−
L−9:−CO−O−二価の鎖状基−O−二価の環状基−二価の鎖状基−O−CO−
L−10:−CO−O−二価の鎖状基−O−CO−二価の環状基−
L−11:−CO−O−二価の鎖状基−O−CO−二価の環状基−CO−O−
L−12:−CO−O−二価の鎖状基−O−CO−二価の環状基−O−CO−
L−13:−CO−O−二価の鎖状基−O−CO−二価の環状基−二価の鎖状基−
L−14:−CO−O−二価の鎖状基−O−CO−二価の環状基−二価の鎖状基−CO−O−
L−15:−CO−O−二価の鎖状基−O−CO−二価の環状基−二価の鎖状基−O−CO−
L−16:−CO−O−二価の鎖状基−O−CO−O−二価の環状基−
L−17:−CO−O−二価の鎖状基−O−CO−O−二価の環状基−CO−O−
L−18:−CO−O−二価の鎖状基−O−CO−O−二価の環状基−O−CO−
L−19:−CO−O−二価の鎖状基−O−CO−O−二価の環状基−二価の鎖状基−
L−20:−CO−O−二価の鎖状基−O−CO−O−二価の環状基−二価の鎖状基−CO−O−
L−21:−CO−O−二価の鎖状基−O−CO−O−二価の環状基−二価の鎖状基−O−CO−
二価の鎖状基は、アルキレン基、置換アルキレン基、アルケニレン基、置換アルケニレン基、アルキニレン基、置換アルキニレン基が好ましく、アルキレン基、置換アルキレン基、アルケニレン基、置換アルケニレン基がより好ましく、アルキレン基及びアルケニレン基がさらに好ましい。
アルキレン基は、分岐鎖を有していてもよい。アルキレン基の炭素数は1〜12であることが好ましく、2〜10であることがより好ましく、2〜8であることがさらに好ましい。置換アルキレン基のアルキレン部分は、上記アルキレン基と同様である。置換基としてはハロゲン原子が好ましい。
アルケニレン基は、分岐を有していてもよい。アルケニレン基の炭素数は2〜12であることが好ましく、2〜10であることがより好ましく、2〜8であることがさらに好ましい。置換アルケニレン基のアルケニレン部分は、上記アルケニレン基と同様である。アルケニレン基の置換基としてはハロゲン原子が好ましい。
アルキニレン基は、分岐鎖を有していてもよい。アルキニレン基の炭素数は2〜12であることが好ましく、2〜10であることがより好ましく、2〜8であることがさらに好ましい。置換アルキニレン基のアルキニレン部分は、上記アルキニレン基と同様である。アルケニレン基の置換基としては、ハロゲン原子が好ましい。
二価の鎖状基の具体例としては、エチレン基、トリメチレン基、プロピレン基、テトラメチレン基、2−メチル−テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、オクタメチレン基、2−ブテニレン基、2−ブチニレン基などが挙げられる。
二価の環状基の定義及び例は、後述するCy1、Cy2及びCy3の定義及び例と同様である。
2及びL3はそれぞれ独立に、単結合又は二価の連結基である。L2及びL3はそれぞれ独立に、−O−、−S−、−CO−、−NR2−、二価の鎖状基、二価の環状基及びそれらの組み合わせからなる群より選ばれる二価の連結基又は単結合であることが好ましい。
上記R2は炭素原子数が1から7のアルキル基又は水素原子であり、炭素原子数1〜4のアルキル基又は水素原子であることが好ましく、メチル基、エチル基又は水素原子であることがより好ましく、水素原子であることがさらに好ましい。二価の鎖状基、及び二価の環状基についてはL1及びL4の定義と同義であり、好ましい範囲も同義である。
一般式(V)において、nは0、1又は2である。nが2の場合、2つのL3は同じであっても異なっていてもよく、2つのCy2も同じであっても異なっていてもよい。nは1又は2であることが好ましく、1であることがさらに好ましい。
一般式(V)において、Cy1、Cy2及びCy3はそれぞれ独立に、二価の環状基である。二価の環状基に含まれる環は、5員環、6員環又は7員環であることが好ましく、5員環又は6員環であることがより好ましく、6員環であることがさらに好ましい。環状基に含まれる環は、縮合環であってもよい。但し、縮合環よりも単環であることがより好ましい。環状基に含まれる環は、芳香族環、脂肪族環、及び複素環のいずれでもよい。芳香族環の例には、ベンゼン環及びナフタレン環が含まれる。脂肪族環の例には、シクロヘキサン環が含まれる。複素環の例には、ピリジン環及びピリミジン環が含まれる。ベンゼン環を有する環状基としては、1,4−フェニレン基が好ましい。ナフタレン環を有する環状基としては、ナフタレン−1,5−ジイル基及びナフタレン−2,6−ジイル基が好ましい。シクロヘキサン環を有する環状基としては1,4−シクロへキシレン基であることが好ましい。ピリジン環を有する環状基としてはピリジン−2,5−ジイル基が好ましい。ピリミジン環を有する環状基としては、ピリミジン−2,5−ジイル基が好ましい。環状基は、置換基を有していてもよい。置換基の例には、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、炭素原子数1〜5のアルキル基、炭素原子数1〜5のハロゲン置換アルキル基、炭素原子数1〜5のアルコキシ基、炭素原子数1〜5のアルキルチオ基、炭素原子数2〜6のアシルオキシ基、炭素原子数2〜6のアルコキシカルボニル基、カルバモイル基、炭素原子数2〜6のアルキル置換カルバモイル基及び炭素原子数2〜6のアシルアミノ基が含まれる。
以下に、一般式(V)で表される重合性液晶性化合物の例を示す。本発明はこれらに限定されるものではない。尚、V−1〜24はネマチック液晶性化合物であり、V−25〜34はスメクチックA液晶性化合物の具体例である。
Figure 2006276643
Figure 2006276643
Figure 2006276643
Figure 2006276643
Figure 2006276643
(ディスコティック液晶性化合物)
ディスコティック液晶性化合物(円盤状液晶性化合物)は、様々な文献(C.Destrade et al.,Mol.Crysr.Liq.Cryst.,vol.71,page 111(1981);日本化学会編、季刊化学総説、No.22、液晶の化学、第5章、第10章第2節(1994);B.Kohne et al.,Angew.Chem.Soc.Chem.Comm.,page 1794(1985);J.Zhang et al.,J.Am.Chem.Soc.,vol.116,page 2655(1994))に記載されている。ディスコティック液晶性化合物の重合については、特開平8−27284号公報に記載がある。ディスコティック液晶性化合物を重合により固定するためには、ディスコティック液晶性化合物の円盤状コアに、置換基として重合性基を結合させる必要がある。ただし、円盤状コアに重合性基を直結させると、重合反応において配向状態を保つことが困難になる。そこで、円盤状コアと重合性基との間に、連結基を導入することが好ましい。従って、重合性基を有するディスコティック液晶性化合物は、下記一般式(VI)で表わされる化合物であることが好ましい。
一般式(VI) D6(−M−P)n6
式中、D6は円盤状コアであり、Mは二価の連結基であり、Pは重合性基であり、n6は4〜12の整数である。一般式(VI)の円盤状コア(D6)の例を以下に示す。以下の各例において、MP(またはPM)は、二価の連結基(M)と重合性基(P)との組み合わせを意味する。
Figure 2006276643
Figure 2006276643
Figure 2006276643
Figure 2006276643
Figure 2006276643
Figure 2006276643
Figure 2006276643
Figure 2006276643
一般式(VI)において、二価の連結基(M)は、アルキレン基、アルケニレン基、アリーレン基、−CO−、−NH−、−O−、−S−およびそれらの組み合わせからなる群より選ばれる二価の連結基であることが好ましい。二価の連結基(M)は、アルキレン基、アルケニレン基、アリーレン基、−CO−、−NH−、−O−および−S−からなる群より選ばれる二価の基を少なくとも二つ組み合わせた基であることがさらに好ましい。二価の連結基(M)は、アルキレン基、アルケニレン基、アリーレン基、−CO−および−O−からなる群より選ばれる二価の基を少なくとも二つ組み合わせた基であることが特に好ましい。アルキレン基の炭素原子数は、1〜12であることが好ましい。アルケニレン基の炭素原子数は、2〜12であることが好ましい。アリーレン基の炭素原子数は、6〜10であることが好ましい。アルキレン基、アルケニレン基およびアリーレン基は、置換基(例えば、アルキル基、ハロゲン原子、シアノ、アルコキシ基、アシルオキシ基)を有していてもよい。
二価の連結基(M)の例を以下に示す。左側が円盤状コア(D)に結合し、右側が重合性基(P)に結合する。ALはアルキレン基またはアルケニレン基を意味し、ARはアリーレン基を意味する。
M1:−AL−CO−O−AL−
M2:−AL−CO−O−AL−O−
M3:−AL−CO−O−AL−O−AL−
M4:−AL−CO−O−AL−O−CO−
M5:−CO−AR−O−AL−
M6:−CO−AR−O−AL−O−
M7:−CO−AR−O−AL−O−CO−
M8:−CO−NH−AL−
M9:−NH−AL−O−
M10:−NH−AL−O−CO−
M11:−O−AL−
M12:−O−AL−O−
M13:−O−AL−O−CO−
M14:−O−AL−O−CO−NH−AL−
M15:−O−AL−S−AL−
M16:−O−CO−AL−AR−O−AL−O−CO−
M17:−O−CO−AR−O−AL−CO−
M18:−O−CO−AR−O−AL−O−CO−
M19:−O−CO−AR−O−AL−O−AL−O−CO−
M20:−O−CO−AR−O−AL−O−AL−O−AL−O−CO−
M21:−S−AL−
M22:−S−AL−O−
M23:−S−AL−O−CO−
M24:−S−AL−S−AL−
M25:−S−AR−AL−
一般式(VI)の重合性基(P)は、重合反応の種類に応じて決定する。重合性基(P)の例を以下に示す。
Figure 2006276643
Figure 2006276643
Figure 2006276643
Figure 2006276643
Figure 2006276643
Figure 2006276643
重合性基(P)は、不飽和重合性基(P1、P2、P3、P7、P8、P15、P16、P17)またはエポキシ基(P6、P18)であることが好ましく、不飽和重合性基であることがより好ましく、エチレン性不飽和重合性基(P1、P7、P8、P15、P16、P17)であることがさらに好ましい。一般式(VI)において、n6は4〜12の整数である。具体的な数字は、ディスコティックコア(D)の種類に応じて決定される。なお、複数のMとPの組み合わせは、異なっていてもよいが、同一であることが好ましい。二種類以上のディスコティック液晶性化合物(例えば、二価の連結基に不斉炭素原子を有する分子と有していない分子)を併用してもよい。
(重合開始能を有する添加剤)
本発明で用いる液晶組成物は、重合開始能を有する添加剤を含有する。重合開始能を有する添加剤とは、重合性液晶性化合物の空気界面での垂直配向を促進し、且つ、配向後の状態を固定化するための重合開始剤をいう。本発明で用いる重合開始能を有する添加剤は、配向固定化後の光学異方性層中において、その空気界面側から膜厚の1/2にあたる領域中に、存在する重合開始能を有する添加剤由来の残渣が、光学異方性層全体の好ましくは30%以上、より好ましくは60%以上、さらに好ましくは80%以上存在することを特徴とする。重合開始剤由来の残渣の定量は、作製された光学異方性層を薄く切り出し、その切片の実質的な表面解析に基づいて行われ、表面分析法としては、X線光電子分光分析装置(XPS,ESCA)や、飛行時間型二次イオン質量分析装置(TOF−SIMS)等が用いられる。また、実際に光学異方性膜を上下1/2厚に切り、空気界面側、および、配向膜側から、それぞれ重合開始剤由来の残渣を抽出して定量比較する事も可能である。
液晶性化合物は、空気界面側では傾斜して配向する性質を有する傾向にあるので、均一に垂直配向した状態を得るために、空気界面側において液晶性化合物を垂直に配向制御することが必要である。この目的のために、空気界面側に偏在して、その排除体積効果や静電気的な効果によって液晶性化合物を垂直に配向させる作用を及ぼす化合物を組成物に含有させて、光学異方性層を形成するのが好ましい。
また、本発明で用いる重合開始能を有する添加剤は、前記のような空気界面での配向制御能を有すると同時に、重合性液晶性化合物の配向固定化するための重合開始剤としての機能を兼ね備えている。さらに、本発明で用いる重合開始能を有する添加剤は、好ましくは従来の重合開始剤よりも疎水的であり、さらに好ましくは、同時に用いる重合性液晶性化合物よりも疎水的な化合物であり、具体的には、新疎水性のパラメーターであるSP値が、重合性液晶性化合物よりも小さい重合開始剤が好ましい。このような重合開始剤を採用することにより、光学異方性層中の配向膜側での存在量を少なくすることができ、酸素の多い空気界面側での重合がより充分なものとすることができる。
本発明に用いられる重合開始能を有する添加剤としては熱重合開始剤及び光重合開始剤のいずれを用いてもよいが、光重合開始剤が好ましい。好ましい空気界面光重合開始剤の骨格としては、例えば、α−カルボニル化合物(米国特許第2367661号、同2367670号の各明細書記載)、アシロインエーテル(米国特許第2448828号明細書記載)、α−炭化水素置換芳香族アシロイン化合物(米国特許第2722512号明細書記載)、多核キノン化合物(米国特許第3046127号、同2951758号の各明細書記載)、トリアリールイミダゾールダイマーとp−アミノフェニルケトンとの組み合わせ(米国特許第3549367号明細書記載)、アクリジン及びフェナジン化合物(特開昭60−105667号公報、米国特許第4239850号明細書記載)及びオキサジアゾール化合物(米国特許第4212970号明細書記載)が含まれる。特に好ましい骨格としては、α−カルボニル化合物である。
また、空気界面側の偏在性を高めるために、これらの骨格に対し少なくとも一つのフッ素原子が置換している事が好ましい。
本発明の重合開始能を有する添加剤として好ましくは、下記一般式(1)で表される化合物である。
一般式(1)
Figure 2006276643
以下に一般式(1)について詳細を示す。
一般式(1)中、X1は、水酸基、アミノ基、アリール基、ヘテロ環基、アルコキシ基、ハロゲン原子、または、アルキル基であり、好ましくは、水酸基、アミノ基、アリール基、ヘテロ環基、アルコキシ基またはハロゲン原子であり、より好ましくは、水酸基、アミノ基、または、ヘテロ環基であり、さらに好ましくは、水酸基、または、ヘテロ環基である。
アミノ基は、置換基を有していてもよく、置換基としては、置換基群Dとして例示した置換基のいずれかを好ましく適用でき、アルキル基がより好ましい。具体的には、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジヒドロキシエチル基等が挙げられる。
アリール基としては、炭素原子数6〜20のものが好ましく、置換基を有していてもよく、置換基としては、置換基群Dとして例示した置換基のいずれかを好ましく適用でき、水酸基、アルキル基、ハロゲン原子、シアノ基等がより好ましい。アリール基としては、具体的には、フェニル基、ナフチル基等が挙げられる。
ヘテロ環基としては、5員環または6員環(縮環したものを含む)が好ましく、置換基を有していてもよく、置換基としては上記アリール基と同義であり、好ましい範囲も同一である。ヘテロ原子としては、窒素原子が好ましい。具体的には、モルフォリノ基、ピペリジノ基等が挙げられる。
アルコキシ基としては、炭素数2〜10のものが好ましく、置換基を有していてもよく、置換基としては上記アミノ基と同義であり、好ましい範囲も同一である。アルコキシ基としては、具体的には、メトキシ基、エトキシ基、tert−ブトキシ基等が挙げられる。
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子が好ましく、臭素原子がより好ましい。
アルキル基は、直鎖、分岐、環状のいずれのアルキル基であってもよい。また、置換基を有していてもよく、置換基としては上記アミノ基と同義であり、好ましい範囲も同義である。アルキル基の炭素数は、1〜20が好ましい。アルキル基としては、具体的には、メチル基、エチル基、イソプロピル基が好ましい。
また、一般式(1)中、R1およびR2は、それぞれ、アルキル基、アラルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリール基、または、ヘテロ環基を表し、R1とR2は互いに結合していてもよい。
アルキル基は、直鎖、分岐、環状のいずれのアルキル基であってもよく、環状アルキル基が好ましい。また、置換基を有していてもよく、置換基としては、置換基群Dとして例示した置換基のいずれかを好ましく適用でき、水酸基、アルキル基、ハロゲン原子、 シアノ基等がより好ましい。アルキル基の炭素数は、1〜20が好ましい。アルキル基としては、メチル基、エチル基、シクロヘキシル基、tert−ブチル基が好ましい。
アラルキル基としては、炭素原子数7〜20のものが好ましく、置換基を有していてもよく、置換基としては、水酸基、アルキル基、ハロゲン原子、アルコキシ基等が挙げられる。アラルキル基としては、具体的には、ベンジル基、フェネチル基、メトキシベンジル基が好ましい。
アルコキシ基としては、炭素数2〜20のものが好ましく、置換基を有していてもよく、置換基としては上記アルキル基と同義であり、好ましい範囲も同義である。アルコキシ基としては、具体的には、メトキシ基、エトキシ基、tert−ブトキシ基等が挙げられる。
アリール基としては、炭素原子数6〜20のものが好ましく、置換基を有していてもよく、置換基としては、水酸基、アルキル基、ハロゲン原子、アルコキシ基等が挙げられる。アリール基としては、具体的には、フェニル基、トリル基が挙げられる。
ヘテロ環基としては、5員環または6員環(縮環したものを含む)が好ましく、置換基を有していてもよく、置換基としては上記アリール基と同義である。ヘテロ原子としては、窒素原子が好ましい。ヘテロ環基としては、具体的には、ピリジル基、イミダゾリル基が挙げられる。
さらに、R1とR2は互いに結合していてもよく、この場合、R1とR2が連結して形成したシクロヘキシル基、シクロペンチル基、シクロプロピル基等が好ましい。
また、一般式(1)中、Rfで表される少なくとも一つのフッ素原子を含有した置換基としては、末端に、Rfは、その末端にCF3基またはCF2H基を有する置換基であることが好ましい。
より好ましくは、Rfは、下記一般式(1−1)で表される基である。
一般式(1−1)
F−B−A−
(一般式(1−1)中、Fは一部または全部がフッ素原子で置換されたアルキル基(但し、末端は、CF3基またはCF2H基である)であり、Bは単結合または2価の基であり、Aは単結合、−O−、−S−、−NR11−(R11は水素原子またはアルキル基を表す)である。)
上記Fは、直鎖状であっても分岐鎖状であってもよく、好ましくは炭素数1〜20であり、より好ましくは4〜16であり、さらに好ましくは6〜16である。置換基としては後述の置換基群Dとして例示した置換基のいずれかを好ましく適用できる。
より具体的には、末端にCF3基を有するアルキル基は、炭素数1〜20であることが好ましく、4〜16であることがより好ましく、4〜8であることがさらに好ましい。前記末端にCF3基を有するアルキル基は、該アルキル基中の水素原子の50%以上がフッ素原子で置換されているのが好ましく、60%以上が置換されているのがより好ましく、70%以上が置換されているのがさらに好ましい。残りの水素原子は、さらに後述の置換基群Dとして例示された置換基によって置換されていてもよい。
末端にCF2H基を有するアルキル基は、炭素数1〜20であることが好ましく、4〜16であることがより好ましく、4〜8であることがさらに好ましい。前記末端にCF2H基を有するアルキル基は、該アルキル基に含まれる水素原子の一部又は全部がフッ素原子で置換されたアルキル基である。アルキル基若しくはアルコキシ基中の水素原子の50%以上がフッ素原子で置換されているのが好ましく、60%以上が置換されているのがより好ましく、70%以上が置換されているのがさらに好ましい。残りの水素原子は、さらに後述の置換基群Dとして例示された置換基によって置換されていてもよい。
Bは、単結合または2価の基であり、2価の基としては、フェニレン基、アルケニル基、−NH−、−S−、−SO2−、およびこれらの組み合わせからなる基が好ましい。Bは好ましくは単結合である。
Aは、好ましくは−O−、−S−、−NR11−(R11は好ましくは水素原子を表す)である。
以下に、Rfの例示を示す。
R1:n−C817
R2:n−C613
R3:n−C49
R4:n−C817−(CH22
R5:n−C613−(CH22
R6:n−C49−(CH22
R7:H−(CF28
R8:H−(CF26
R9:H−(CF24
R10:H−(CF28−(CH2)−
R11:H−(CF26−(CH2)−
R12:H−(CF24−(CH2)−
R13:n−C49−(CH22−O−(CH23−O−
R14:n−C613−(CH22−O−
R15:n−C49−(CH22−O−
R16:n−C49−(CH22−O−(CH22−O−
R17:H−(CF26−(CH22−O−
R18:n−C49−(CH22−S−
R19:n−C817−(CH22−O−(CH22−S−
本明細書において、置換基群Dには、アルキル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜12、特に好ましくは炭素数1〜8のアルキル基であり、例えば、メチル基、エチル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、n−オクチル基、n−デシル基、n−ヘキサデシル基、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基などが挙げられる)、アルケニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜12、特に好ましくは炭素数2〜8のアルケニル基であり、例えば、ビニル基、アリル基、2−ブテニル基、3−ペンテニル基などが挙げられる)、アルキニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜12、特に好ましくは炭素数2〜8のアルキニル基であり、例えば、プロパルギル基、3−ペンチニル基などが挙げられる)、アリール基(好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは炭素数6〜20、特に好ましくは炭素数6〜12のアリール基であり、例えば、フェニル基、p−メチルフェニル基、ナフチル基などが挙げられる)、置換もしくは無置換のアミノ基(好ましくは炭素数0〜20、より好ましくは炭素数0〜10、特に好ましくは炭素数0〜6のアミノ基であり、例えば、無置換アミノ基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジベンジルアミノ基などが挙げられる)、
アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜12、特に好ましくは炭素数1〜8のアルコキシ基であり、例えば、メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基などが挙げられる)、アリールオキシ基(好ましくは炭素数6〜20、より好ましくは炭素数6〜16、特に好ましくは炭素数6〜12のアリールオキシ基であり、例えば、フェニルオキシ基、2−ナフチルオキシ基などが挙げられる)、アシル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12アシル基であり、例えば、アセチル基、ベンゾイル基、ホルミル基、ピバロイル基などが挙げられる)、アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは炭素数2〜12のアルコキシカルボニル基であり、例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基などが挙げられる)、アリールオキシカルボニル基(好ましくは炭素数7〜20、より好ましくは炭素数7〜16、特に好ましくは炭素数7〜10のアリールオキシカルボニル基であり、例えば、フェニルオキシカルボニル基などが挙げられる)、アシルオキシ基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは炭素数2〜10のアシルオキシ基であり、例えば、アセトキシ基、ベンゾイルオキシ基などが挙げられる)、
アシルアミノ基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは炭素数2〜10のアシルアミノ基であり、例えばアセチルアミノ基、ベンゾイルアミノ基などが挙げられる)、アルコキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは炭素数2〜12のアルコキシカルボニルアミノ基であり、例えば、メトキシカルボニルアミノ基などが挙げられる)、アリールオキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数7〜20、より好ましくは炭素数7〜16、特に好ましくは炭素数7〜12のアリールオキシカルボニルアミノ基であり、例えば、フェニルオキシカルボニルアミノ基などが挙げられる)、スルホニルアミノ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12のスルホニルアミノ基であり、例えば、メタンスルホニルアミノ基、ベンゼンスルホニルアミノ基などが挙げられる)、スルファモイル基(好ましくは炭素数0〜20、より好ましくは炭素数0〜16、特に好ましくは炭素数0〜12のスルファモイル基であり、例えば、スルファモイル基、メチルスルファモイル基、ジメチルスルファモイル基、フェニルスルファモイル基などが挙げられる)、カルバモイル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12のカルバモイル基であり、例えば、無置換のカルバモイル基、メチルカルバモイル基、ジエチルカルバモイル基、フェニルカルバモイル基などが挙げられる)、
アルキルチオ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12のアルキルチオ基であり、例えば、メチルチオ基、エチルチオ基などが挙げられる)、アリールチオ基(好ましくは炭素数6〜20、より好ましくは炭素数6〜16、特に好ましくは炭素数6〜12のアリールチオ基であり、例えば、フェニルチオ基などが挙げられる)、スルホニル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12のスルホニル基であり、例えば、メシル基、トシル基などが挙げられる)、スルフィニル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12のスルフィニル基であり、例えば、メタンスルフィニル基、ベンゼンスルフィニル基などが挙げられる)、ウレイド基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12のウレイド基であり、例えば、無置換のウレイド基、メチルウレイド基、フェニルウレイド基などが挙げられる)、リン酸アミド基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12のリン酸アミド基であり、例えば、ジエチルリン酸アミド基、フェニルリン酸アミド基などが挙げられる)、ヒドロキシ基、メルカプト基、ハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、シアノ基、スルホ基、カルボキシル基、ニトロ基、ヒドロキサム酸基、スルフィノ基、ヒドラジノ基、イミノ基、ヘテロ環基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは1〜12のヘテロ環基であり、例えば、窒素原子、酸素原子、硫黄原子等のヘテロ原子を有するヘテロ環基であり、例えば、イミダゾリル基、ピリジル基、キノリル基、フリル基、ピペリジル基、モルホリノ基、ベンゾオキサゾリル基、ベンズイミダゾリル基、ベンズチアゾリル基などが挙げられる)、シリル基(好ましくは、炭素数3〜40、より好ましくは炭素数3〜30、特に好ましくは、炭素数3〜24のシリル基であり、例えば、トリメチルシリル基、トリフェニルシリル基などが挙げられる)が含まれる。これらの置換基はさらにこれらの置換基によって置換されていてもよい。また、置換基が二つ以上有する場合は、同じでも異なってもよい。また、可能な場合には互いに結合して環を形成していてもよい。
nは、1〜5の整数を表し、1〜3の整数が好ましく、1または2がより好ましい。
以下に、一般式(1)で表される重合開始能を有する添加剤の具体例を示すが、本発明はこれに限定されるものではない。
Figure 2006276643
また、本明細書中、一般式(2)中の、X1、R1、R2、Rf、n1は、それぞれ、一般式(1)中のX1(アルキル基を除く)、R1、R2、Rf、n1と同義であり、好ましい範囲も同義である。
上記重合開始能を有する添加剤の使用量は、塗布液の固形分の0.01〜20質量%であることが好ましく、0.3〜5質量%であることがさらに好ましい。また、上記棒状液晶性化合物の重合のための光照射は、紫外線を用いることが好ましい。照射エネルギーは、20mJ/cm2〜50J/cm2であることが好ましく、100mJ/cm2〜800mJ/cm2であることがさらに好ましい。更に、光重合反応を促進するため、加熱条件下で光照射を実施してもよい。
また、本発明の重合開始能を有する添加剤と共に、従来既知の空気界面垂直配向剤、更には、重合開始剤を併用してもよい。
同時に添加してもよい空気界面垂直配向剤としては、特開2002−20363号公報、特開2002−129162号公報に記載されている化合物を用いることができる。また、特開2004−53981号公報の段落番号[0072]〜[0075]、特開2004−4688号公報の段落番号[0071]〜[0078]、特開2004−139015号公報の段落番号[0052]〜[0054]、[0065]〜[0066]、[0092]〜[0094]、に記載される事項も本発明に適宜適用することができる。
また、同時に添加してもよい空気界面垂直配向剤として好ましくは、フルオロ脂肪族基及び親水性基をそれぞれ少なくとも一種有するポリマー(以下、「フッ素系ポリマー」という場合がある)である。 前記フッ素系ポリマー中、フルオロ脂肪族基含有モノマーの量は、該ポリマーの構成モノマー総量の5質量%以上であるのが好ましく、10質量%以上であるのがより好ましく、30質量%以上であるのがさらに好ましい。
(配向膜側配向制御剤)
本発明の位相差膜においては配向膜側配向制御剤として、配向膜側での重合性液晶性化合物を該位相差膜面に対して垂直に配向させる垂直配向剤(配向膜垂直配向剤)の添加が好ましい。配向膜側垂直配向剤として好ましくは、オニウム塩が用いられる。以下、オニウム塩について詳細を記す。
本発明において好適に用いられるオニウム塩は配向膜界面側において重合性液晶性化合物(特に、棒状液晶性化合物)の分子を垂直配向させるのに寄与する。前記オニウム塩の例には、アンモニウム塩、スルホニウム塩、ホスホニウム塩等のオニウム塩が含まれる。好ましくは、4級オニウム塩であり、さらに好ましくは第4級アンモニウム塩である。
第4級アンモニウム塩は、一般に第3級アミン(例えば、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、トリエタノールアミン、N−メチルピロリジン、N−メチルピペリジン、N,N−ジメチルピペラジン、トリエチレンジアミン、N,N,N',N'−テトラメチルエチレンジアミンなど)または含窒素複素環(ピリジン環、ピコリン環、2,2'−ビピリジル環、4,4'−ビピリジル環、1,10−フェナントロリン環、キノリン環、オキサゾール環、チアゾール環、N−メチルイミダゾール環、ピラジン環、テトラゾール環など)をアルキル化(メンシュトキン反応)、アルケニル化、アルキニル化あるいはアリール化して得られる。
第4級アンモニウム塩としては、含窒素複素環からなる第4級アンモニウム塩が好ましく、さらに好ましくは第4級ピリジニウム塩である。
より具体的には、前記第4級アンモニウム塩は、下記一般式(3a)又は後述する一般式(3b)で表される第4級ピリジニウム塩から選ばれるのが好ましい。
Figure 2006276643
(一般式(3a)中、R8は置換もしくは無置換の、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アラルキル基、アリール基又は複素環基を表し、Dは水素結合性基を表し、mは1〜3の整数を表し、X-はアニオンを表す。)
上記R8で表されるアルキル基は、炭素数1〜18の置換もしくは無置換のアルキル基が好ましく、より好ましくは炭素数1〜8の置換もしくは無置換のアルキル基である。これらは、直鎖状、分岐鎖状、あるいは環状であってもよい。これらの例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基、ネオペンチル基、シクロヘキシル基、アダマンチル基及びシクロプロピル基等が挙げられる。
アルキル基の置換基の例としては、以下のものを挙げることができる。炭素数2〜18(好ましくは炭素数2〜8)の置換もしくは無置換のアルケニル基(例えば、ビニル基);炭素数2〜18(好ましくは炭素数2〜8)の置換もしくは無置換のアルキニル基(例えば、エチニル基);炭素数6〜10の置換もしくは無置換のアリール基(例えば、フェニル基、ナフチル基);ハロゲン原子(例えば、F、Cl、Br等);炭素数1〜18(好ましくは炭素数1〜8)の置換もしくは無置換のアルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基);炭素数6〜10の置換もしくは無置換のアリールオキシ基(例えば、フェノキシ基、ビフェニルオキシ基、p−メトキシフェノキシ基);炭素数1〜18(好ましくは炭素数1〜8)の置換もしくは無置換のアルキルチオ基(例えば、メチルチオ基、エチルチオ基);炭素数6〜10の置換もしくは無置換のアリールチオ基(例えば、フェニルチオ基);炭素数2〜18(好ましくは炭素数2〜8)の置換もしくは無置換のアシル基(例えば、アセチル基、プロピオニル基);
炭素数1〜18(好ましくは炭素数1〜8)の置換もしくは無置換のアルキルスルホニル基又はアリールスルホニル基(例えば、メタンスルホニル基、p−トルエンスルホニル基);炭素数2〜18(好ましくは炭素数2〜8)の置換もしくは無置換のアシルオキシ基(例えば、アセトキシ基、プロピオニルオキシ基);炭素数2〜18(好ましくは炭素数2〜8)の置換もしくは無置換のアルコキシカルボニル基(例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基);炭素数7〜11の置換もしくは無置換のアリールオキシカルボニル基(例えば、ナフトキシカルボニル);無置換のアミノ基、もしくは炭素数1〜18(好ましくは炭素数1〜8)の置換アミノ基(例えば、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、アニリノ基、メトキシフェニルアミノ基、クロロフェニルアミノ基、ピリジルアミノ基、メトキシカルボニルアミノ基、n−ブトキシカルボニルアミノ基、フェノキシカルボニルアミノ基、メチルカルバモイルアミノ基、エチルチオカルバモイルアミノ基、フェニルカルバモイルアミノ基、アセチルアミノ基、エチルカルボニルアミノ基、エチルチオカルバモイルアミノ基、シクロヘキシルカルボニルアミノ基、ベンゾイルアミノ基、クロロアセチルアミノ基、メチルスルホニルアミノ基);
炭素数1〜18(好ましくは炭素数1〜8)の置換もしくは無置換のカルバモイル基(例えば、無置換のカルバモイル基、メチルカルバモイル基、エチルカルバモイル基、n−ブチルカルバモイル基、t−ブチルカルバモイル基、ジメチルカルバモイル基、モルホリノカルバモイル基、ピロリジノカルバモイル基);無置換のスルファモイル基、もしくは炭素数1〜18(好ましくは炭素数1〜8)の置換スルファモイル基(例えば、メチルスルファモイル基、フェニルスルファモイル基);シアノ基;ニトロ基;カルボキシ基;水酸基;ヘテロ環基(例えば、オキサゾール環、ベンゾオキサゾール環、チアゾール環、ベンゾチアゾール環、イミダゾール環、ベンゾイミダゾール環、インドレニン環、ピリジン環、ピペリジン環、ピロリジン環、モルホリン環、スルホラン環、フラン環、チオフェン環、ピラゾール環、ピロール環、クロマン環、クマリン環)。アルキル基の置換基としては、特に好ましくは、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールスルホニル基、アリールオキシカルボニル基である。
上記R8で表されるアルケニル基は、炭素数2〜18の置換もしくは無置換のアルケニル基が好ましく、より好ましくは炭素数2〜8の置換もしくは無置換のアルケニル基であり、例えば、ビニル基、アリル基、1−プロペニル基、1,3−ブタジエニル基等が挙げられる。
アルケニル基の置換基としては、前記アルキル基の置換基として挙げたものが好ましい。
上記R8で表されるアルキニル基は、炭素数2〜18の置換もしくは無置換のアルキニル基が好ましく、より好ましくは炭素数2〜8の置換もしくは無置換のアルキニル基であり、例えば、エチニル基、2−プロピニル基等が挙げられる。アルキニル基の置換基は、前記アルキル基の置換基として挙げたものが好ましい。
上記R8で表されるアラルキル基は、炭素数7〜18の置換もしくは無置換のアラルキル基が好ましく、例えば、ベンジル基、メチルベンジル基、ビフェニルメチル基、ナフチルメチル基等が好ましい。アラルキル基の置換基は前記アルキル基の置換基として挙げたものが挙げられる。
上記R8で表されるアリール基は、炭素数6〜18の置換もしくは無置換のアリール基が好ましく、例えば、フェニル基、ナフチル基、フルオレニル基等が挙げられる。アリール基の置換基は前記アルキル基の置換基として挙げたものが好ましい。またこれらの他に、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基等)、アルキニル基、ベンゾイル基も好ましい。
上記R8で表される複素環基は、炭素原子、窒素原子、酸素原子又は硫黄原子から構成される5〜6員環の飽和又は不飽和の複素環であり、これらの例としては、オキサゾール環、ベンゾオキサゾール環、チアゾール環、ベンゾチアゾール環、イミダゾール環、ベンゾイミダゾール環、インドレニン環、ピリジン環、ピペリジン環、ピロリジン環、モルホリン環、スルホラン環、フラン環、チオフェン環、ピラゾール環、ピロール環、クロマン環、及びクマリン環が挙げられる。複素環基は置換されていてもよく、その場合の置換基としては、前記アルキル基の置換基として挙げたものが好ましい。R8で表される複素環基としては、ベンゾオキサゾール環、ベンゾチアゾール環が特に好ましい。
上記R8は好ましくは、置換もしくは無置換の、アルキル基、アラルキル基、アリール基又は複素環基である。
Dは水素結合性基を表す。水素結合は、電気的に陰性な原子(例えば、O、N、F、Cl)と、同じように電気的に陰性な原子に共有結合した水素原子間に存在する。水素結合の理論的な解釈としては、例えば、H. Uneyama and K.Morokuma、Jounal of American Chemical Society、第99巻、第1316〜1332頁、1977年に報告がある。具体的な水素結合の様式としては、例えば、J.N.イスラエスアチヴィリ著、近藤保、大島広行訳、分子間力と表面力、マグロウヒル社、1991年の第98頁、図17に記載の様式が挙げられる。具体的な水素結合の例としては、例えば、G.R.Desiraju、Angewante Chemistry International Edition English、第34巻、第2311頁、1995年に記載のものが挙げられる。
好ましい水素結合性基としては、メルカプト基、ヒドロキシ基、アミノ基、カルボンアミド基、スルホンアミド基、酸アミド基、ウレイド基、カルバモイル基、カルボキシル基、スルホ基、含窒素複素環基(例えば、イミダゾリル基、ベンズイミダゾリル基、ピラゾリル基、ピリジル基、1,3,5−トリアジル基、ピリミジル基、ピリダジル基、キノリル基、ベンズイミダゾリル基、ベンズチアゾリル基、コハクイミド基、フタルイミド基、マレイミド基、ウラシル基、チオウラシル基、バルビツール酸基、ヒダントイン基、マレイン酸ヒドラジド基、イサチン基、ウラミル基などが挙げられる)を挙げることができる。さらに好ましい水素結合性基としては、アミノ基、カルボンアミド基、スルホンアミド基、ウレイド基、カルバモイル基、カルボキシル基、スルホ基、ピリジル基を挙げることができ、特に好ましくは、アミノ基、カルバモイル基、ピリジル基を挙げることができる。
-で表されるアニオンは無機陰イオンあるいは有機陰イオンのいずれであってもよく、ハロゲン陰イオン(例えば、フッ素イオン、塩素イオン、臭素イオン、ヨウ素イオンなど)、スルホネートイオン(例えば、メタンスルホン酸イオン、トリフルオロメタンスルホン酸イオン、メチル硫酸イオン、p−トルエンスルホン酸イオン、p−クロロベンゼンスルホン酸イオン、1,3−ベンゼンジスルホン酸イオン、1,5−ナフタレンジスルホン酸イオン、2,6−ナフタレンジスルホン酸イオンなど)、硫酸イオン、チオシアン酸イオン、過塩素酸イオン、テトラフルオロほう酸イオン、ピクリン酸イオン、酢酸イオン、リン酸イオン(例えば、ヘキサフルオロリン酸イオン)、水酸イオンなどが挙げられる。
-は、好ましくは、ハロゲン陰イオン、スルホネートイオン、水酸イオンである。なおX-は1価のアニオンである必要はなく、2価以上のアニオンであってもよく、かかる場合は、前記化合物中のカチオンとアニオンとの比率も1:1である必要はなく、適宜決定される。
前記一般式(3a)中、mは好ましくは1である。
また、前記一般式(3a)としてより好ましい4級アンモニウム塩としては、下記一般式(4)で表される。
一般式(4)
Figure 2006276643
(一般式(4)中、L41およびL42は、それぞれ、ニ価の連結基または単結合を表す。Yは置換基を表す。R11およびR12は、水素原子、アルキル基、アリール基、アシル基、
カルバモイル基、水酸基、または、アミノ基を表し、R11とR12は互いに結合して環を形成していてもよい。Zは水素原子、置換もしくは無置換の脂肪族炭化水素基、置換もしくは無置換のアリール基を表し、n41およびpはそれぞれ1〜10の整数を表し、qは0〜4の整数を表す。ただし、pが2以上の場合、それぞれの繰り返し単位に含まれるL42およびYは、同じであっても異なっていてもよい。)
41およびL42のニ価の連結基としては、炭素数1〜10の置換もしくは無置換のアルキレン基(例えば、メチレン基、エチレン基、1,4−ブチレン基等)、−O−、−C(=O)−、−C(=O)O−、−OC(=O)O−、−S−、―NR'−、−C(=O)NR''−、−S(=O)2−、ならびに、これらを2つ以上連結したニ価の連結基を表し、R'およびR''は水素原子もしくは置換もしくは無置換のアルキル基を表す。尚、これら2価の連結基が左右非対称の場合(例えば−C(=O)O−等)は、どちらの向きで連結していてもよい。L41で表される2価の連結基としては、−O−または単結合が好ましく、L42で表される2価の連結基としては、−O−、−C(=O)O−、−OC(=O)O−、または、単結合が好ましい。
また、Yの置換基としては、フェニル基に置換可能な置換基であれば特に定めるものではないが、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子)、アルキル基(シクロアルキル基、ビシクロアルキル基等の多環系シクロアルキル基を含む)、アルケニル基(シクロアルケニル基、ビシクロアルケニル基を含む)、アルキニル基、アリール基、ヘテロ環基、シアノ基、ヒドロキシル基、ニトロ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、アミノ基(アニリノ基を含む)、アシルアミノ基、スルファモイルアミノ基、メルカプト基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アシル基、アリールオキシカルボニル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基が好ましい例として挙げられる。
Yとしては、アルキル基または、シアノ基がより好ましい。Yがアルキル基である場合、直鎖、分岐、環状の置換もしくは無置換のいずれのアルキル基であってもよく、炭素数1〜30のアルキル基(例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、t−ブチル基、n−オクチル基、2−クロロエチル基、2−シアノエチル基、2―エチルヘキシル基)が好ましい。 R11およびR12は、それぞれ、水素原子、アルキル基、アリール基、アシル基、カルバモイル基、水酸基、またはアミノ基を表す。R11およびR12はアルキル基であることが好ましく、置換もしくは無置換の炭素数1〜20のアルキル基(例えば、n−ブチル基、n―オクチル基、4−アクリロイルオキシブチル基など)がより好ましく、炭素数4〜16のアルキル基がさらに好ましい。
Zは水素原子、置換もしくは無置換の脂肪族炭化水素基(例えば、炭素数1〜30のアルキル基、炭素数2〜30のアルケニル基等)、置換もしくは無置換のアリール基(例えば、炭素数6〜30のフェニル基等)を表す。これらが有していてもよい置換基は、上述の置換基群Dが挙げられる。
nおよびpは、それぞれ、1〜10の整数を表し、nは、1〜5が好ましく、pは、1〜4が好ましく、1または2がより好ましい。
qは、0〜4の整数を表し、0または1が好ましい。pが2以上の場合、それぞれの繰り返し単位に含まれるL2、Yは、同じであっても異なっていてもよい。
次に、前記一般式(3b)について説明する。
Figure 2006276643
(一般式(3b)中、R9及びR10はそれぞれ置換もしくは無置換の、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アラルキル基、アリール基又は複素環基を表し、X-はアニオンを表す。)
9及びR10でそれぞれ表される置換もしくは無置換の、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アラルキル基、アリール基又は複素環基は、前記一般式(3a)中、R8で表される基と同義であり、その好ましい範囲も同一である。X-で表されるアニオンは、前記一般式(3a)中、X-で表されるアニオンと同義であり、その好ましい範囲も同一である。前記した様に、X-は1価のアニオンである必要はなく、2価以上のアニオンであってもよく、かかる場合は、前記化合物中のカチオンとアニオンとの比率も1:2である必要はなく、適宜決定される。
本発明に使用可能なオニウム塩の具体例を以下に示すが、本発明に用いられるオニウム塩はこれらに限定されるものではない。下記の具体例中、No.II−1〜12は一般式(3b)、No.II−13〜32、および、(1)〜(60)で表されるオニウムは一般式(3a)で表される化合物の例であり、その中でも、一般式(4)で表される化合物例は、II―21、22、27、28および(1)〜(60)で表されるオニウム塩である。
Figure 2006276643
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上記のオニウム塩は、例えば、ピリジン環をアルキル化(メンシュトキン反応)して得られる。
本発明の液晶組成物中のオニウム塩の含有量は、その種類によって好ましい含有量が変動するが、併用される棒状液晶性化合物の含有量に対して、0.01〜10質量%であるのが好ましく、0.05〜7質量%であるのがより好ましく、0.05〜5質量%であるのがさらに好ましい。オニウム塩は2種類以上用いてもよいが、かかる場合は、使用する全種類のオニウム塩の含有量の合計が前記範囲であるのが好ましい。
《組成物中の他の材料》
本発明で用いる液晶組成物は、重合性液晶性化合物、重合開始能を有する添加剤とともに、配向制御剤、可塑剤、界面活性剤、重合性モノマー等を含有していてもよい。これらの材料は、種々の目的、例えば、配向の固定化、塗工膜の均一性、膜の強度、液晶性化合物の配向性の向上等を目的として添加される。これらの材料は、併用する液晶性化合物と相溶性を有し、配向を阻害しないことが好ましい。
重合性モノマーとしては、ラジカル重合性またはカチオン重合性の化合物が挙げられる。好ましくは、多官能性ラジカル重合性モノマーであり、上記の重合性基含有の液晶性化合物と共重合性のものが好ましい。例えば、特開2002−296423号公報の段落番号[0018]〜[0020]に記載のものが挙げられる。上記化合物の添加量は、液晶性化合物に対して、好ましくは1〜50質量%であり、より好ましくは5〜30質量%である。
界面活性剤としては、従来公知の化合物が挙げられるが、特にフッ素系化合物が好ましい。具体的には、例えば特開2001−330725号公報の段落番号[0028]〜[0056]に記載の化合物が挙げられる。また、本発明に利用可能な界面活性剤の例には、下記化合物P−1〜P−71が含まれる。
Figure 2006276643
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重合性液晶性化合物とともに使用するポリマーは、塗布液を増粘できることが好ましい。ポリマーの例としては、セルロースエステルを挙げることができる。セルロースエステルの好ましい例としては、特開2000−155216号公報の段落番号[0178]に記載のものが挙げられる。液晶性化合物の配向を阻害しないように、上記ポリマーの添加量は、液晶性化合物に対して0.1〜10質量%の範囲にあることが好ましく、0.1〜8質量%の範囲にあることがより好ましい。
本発明の位相差膜を仮支持体上に形成した場合は、位相差膜を支持体上に転写することで作製することもできる。さらに、1層の本発明の位相差膜のみならず複数の位相差膜を積層して、上述の光学特性を示す第2位相差膜を構成することもできる。また、支持体と本発明の位相差膜との積層体全体で上述の光学特性を満たすようにして、第2位相差膜を構成してもよい。
上記光学異方性層を含む本発明の位相差膜の厚さは、0.1〜10μmであることが好ましく、0.5〜5μmであることがさらに好ましく、1〜5μmであることが最も好ましい。
[配向膜]
本発明の位相差膜は、少なくとも一種のポリマーからなる配向膜を有していてもよい。配向膜は液晶組成物の配向の均一性を向上させたり、支持体と光学異方性層との間の密着性を向上させることができる。また、棒状液晶性化合物を配向後にその配向状態を固定してしまえば、配向膜はその役割を果たしているために、除去することも可能である。即ち、配向状態が固定された配向膜上の光学異方性層のみを偏光子上に転写して光学異方性層を有する偏光板を作製することも可能である。
配向膜は、有機化合物(好ましくはポリマー)のラビング処理、無機化合物の斜方蒸着、マイクログルーブを有する層の形成、あるいはラングミュア・ブロジェット法(LB膜)による有機化合物(例えば、ω−トリコサン酸、ジオクタデシルメチルアンモニウムクロライド、ステアリル酸メチル)の累積のような手段で設けることができる。さらに、電場の付与、磁場の付与あるいは光照射により、配向機能が生じる配向膜も知られている。
配向膜は、必要であればラビング処理することができる。配向膜に使用するポリマー(以下、「配向膜ポリマー」と称する場合がある。)は、液晶性化合物を配向させる機能のある分子構造を有することが好ましい。本発明では、配向膜を構成するポリマーは、液晶性化合物を配向させる機能に加えて、架橋性官能基(例えば、二重結合)を有する側鎖を主鎖に結合させるか、または、液晶性化合物を配向させる機能を有する架橋性官能基を側鎖に導入することが好ましい。
配向膜に使用されるポリマーは、それ自体架橋可能なポリマーまたは架橋剤により架橋されるポリマーのいずれも使用することができし、これらの組み合わせを複数使用することができる。
上記配向膜に使用されるポリマーの例には、例えば、特開平8−338913号公報の段落番号[0022]記載のメタクリレート系重合体、スチレン系重合体、ポリオレフィン、ポリビニルアルコールおよび変性ポリビニルアルコール、ポリ(N−メチロールアクリルアミド)、ポリエステル、ポリイミド、酢酸ビニル重合体、カルボキシメチルセルロース、ゼラチン、ポリカーボネート等が含まれる。また、シランカップリング剤をポリマーとして用いることができる。
上記ポリビニルアルコールの鹸化度は、70〜100%が好ましく、80〜100%がさらに好ましい。また、上記ポリビニルアルコールの平均重合度は、100〜5000であることが好ましい。
上述の液晶性化合物を配向させる機能を有する側鎖は、一般に疎水性基を官能基として有する。具体的な官能基の種類は、液晶性化合物の種類および必要とする配向状態に応じて決定することができる。
例えば、変性ポリビニルアルコールの変性基としては、共重合変性、連鎖移動変性またはブロック重合変性により導入できる。変性基の例には、親水性基(カルボン酸基、スルホン酸基、ホスホン酸基、アミノ基、アンモニウム基、アミド基、チオール基等)、炭素数10〜100個の炭化水素基、フッ素原子置換の炭化水素基、チオエーテル基、重合性基(不飽和重合性基、エポキシ基、アジリニジル基等)、アルコキシシリル基(トリアルコキシ基、ジアルコキシ基、モノアルコキシ基)等が挙げられる。これらの変性ポリビニルアルコール化合物の具体例として、例えば、特開2000−155216号公報の段落番号[0022]〜[0145]、同2002−62426号公報の段落番号[0018]〜[0022]に記載のもの等が挙げられる。
架橋性官能基を有する側鎖を配向膜に用いられるポリマーの主鎖に結合させるか、または、液晶性化合物を配向させる機能を有する側鎖に架橋性官能基を導入すると、配向膜に用いられるポリマーと多官能モノマーとを共重合させることができる。その結果、多官能モノマーと多官能モノマーとの間だけではなく、配向膜に用いられるポリマーと配向膜に用いられるポリマーとの間、そして多官能モノマーと配向膜に用いられるポリマーとの間も共有結合で強固に結合される。従って、架橋性官能基を配向膜に用いられるポリマーに導入することで、光学補償シートの強度を著しく改善することができる。
配向膜ポリマーの架橋性官能基は、多官能モノマーと同様に、重合性基を含むことが好ましい。具体的には、例えば特開2000−155216号公報の段落番号[0080]〜[0100]に記載のもの等が挙げられる。
上記配向膜中には、配向膜に用いられるポリマーの他に、他の添加剤(架橋剤など)を含有してもよい。上記配向膜に用いられるポリマーの架橋剤としては、アルデヒド、N−メチロール化合物、ジオキサン誘導体、カルボキシル基を活性化することにより作用する化合物、活性ビニル化合物、活性ハロゲン化合物、イソオキサゾールおよびジアルデヒド澱粉が含まれる。2種類以上の架橋剤を併用してもよい。具体的には、例えば特開2002−62426号公報の段落番号[0023]〜[0024]記載の化合物等が挙げられる。反応活性の高いアルデヒド、特にグルタルアルデヒドが好ましい。
上記架橋剤の添加量は、配向膜に用いられるポリマーに対して0.1〜20質量%が好ましく、0.5〜15質量%がさらに好ましい。配向膜に残存する未反応の架橋剤の量は、1.0質量%以下であることが好ましく、0.5質量%以下であることがさらに好ましい。このように調節することで、配向膜を液晶表示装置に長期使用、または、高温高湿の雰囲気下に長期間放置しても、レチキュレーション発生のない充分な耐久性が得られる。
上記配向膜は、基本的に、配向膜形成材料である上記ポリマー、架橋剤を含む透明支持体上に塗布した後、加熱乾燥(架橋させ)し、必要であればラビング処理することにより形成することができる。架橋反応は、上述のように、支持体上に塗布した後、任意の時期に行うことができる。ポリビニルアルコールのような水溶性ポリマーを配向膜形成材料として用いる場合には、塗布液は消泡作用のある有機溶媒(例えば、メタノール)と水の混合溶媒とすることが好ましい。その比率は質量比で、水:メタノールが0より大きく99以下:100未満1以上が好ましく、0より大きく91以下:100未満9以上であることがさらに好ましい。これにより、泡の発生が抑えられ、配向膜、さらには光学異方層の層表面の欠陥が著しく減少する。
配向膜の塗布方法は、スピンコーティング法、ディップコーティング法、カーテンコーティング法、エクストルージョンコーティング法、ロッドコーティング法またはロールコーティング法が好ましい。また、配向膜の乾燥後の膜厚は0.1〜10μmが好ましい。加熱乾燥は、20℃〜110℃で行なうことができる。充分な架橋を形成するためには60℃〜100℃が好ましく、さらに80℃〜100℃が好ましい。乾燥時間は1分〜36時間で行なうことができるが、好ましくは1分〜30分である。pHも、使用する架橋剤に最適な値に設定することが好ましく、グルタルアルデヒドを使用した場合は、pH4.5〜5.5で、特に5が好ましい。
上記配向膜は、支持体上または上記下塗層上に設けられる。配向膜は、上記のようにポリマー層を架橋したのち、必要であれば表面をラビング処理することにより得ることができる。
上記ラビング処理は、LCDの液晶配向処理工程として広く採用されている処理方法を適用することができる。即ち、配向膜の表面を、紙やガーゼ、フェルト、ゴムあるいはナイロン、ポリエステル繊維などを用いて一定方向に擦ることにより、配向を得る方法を用いることができる。一般的には、長さおよび太さが均一な繊維を平均的に植毛した布などを用いて数回程度ラビング処理を行うことにより実施される。
次に、配向膜を機能させて、配向膜の上に設けられる光学異方性層を形成する液晶性化合物を配向させる。その後、必要に応じて、配向膜に用いられるポリマーと光学異方性層に含まれる多官能モノマーとを反応させるか、または、架橋剤を用いて配向膜に用いられるポリマーを架橋させる。
[位相差膜の調製]
本発明の位相差膜は、例えば塗布液を塗布して乾燥することにより調製することができる。
(溶媒)
上記液晶組成物等の塗布液の調製に使用する溶媒としては、有機溶媒が好ましく用いられる。上記有機溶媒の例には、アミド(例えば、N,N−ジメチルホルムアミド)、スルホキシド(例えば、ジメチルスルホキシド)、ヘテロ環化合物(例えば、ピリジン)、炭化水素(例えば、ベンゼン、ヘキサン)、アルキルハライド(例えば、クロロホルム、ジクロロメタン)、エステル(例えば、酢酸メチル、酢酸ブチル)、ケトン(例えば、アセトン、メチルエチルケトン)、エーテル(例えば、テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタン)が含まれる。アルキルハライドおよびケトンが好ましい。二種類以上の有機溶媒を併用してもよい。塗布液の塗布は、公知の方法(例えば、押し出しコーティング法、ダイレクトグラビアコーティング法、リバースグラビアコーティング法、ダイコーティング法)により実施できる。
[支持体]
本発明では、位相差膜を、支持体上に形成してもよい。支持体は透明であるのが好ましく、具体的には、光透過率が80%以上の透明支持体であることが好ましい。
支持体は、波長分散が小さいものが好ましく、具体的には、Re(400)/Re(700)の比が1.2未満であることが好ましい。中でも、上記透明支持体としては、ポリマーフィルムが好ましい。上記透明支持体は、上述の第1位相差膜、第2位相差膜または偏光板保護膜を兼ねる構成とすることもできる。また、透明支持体と位相差膜との全体で、第1位相差膜または第2位相差膜を構成していてもよい。支持体の光学異方性は小さいものが好ましく、面内レターデーション(Re)が20nm以下であることが好ましく、10nm以下であることがさらに好ましく、5nm以下であることが最も好ましい。また、上記透明支持体が第1位相差膜を兼ねる場合は、レターデーション(Re)が20nm〜150nmであることが好ましく、40nm〜115nmであることがより好ましく、60nm〜95nmであることがさらに好ましい。同様に、Nzは1.5〜7であることが好ましく、2.0〜5.5であることがより好ましく、2.5〜4.5であることがさらに好ましい。
支持体となるポリマーフィルムの例には、セルロースエステル、ポリカーボネート、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリアクリレートおよびポリメタクリレートのフィルムが含まれる。これらの中でもセルロースエステルフィルムが好ましく、アセチルセルロースフィルムがさらに好ましく、トリアセチルセルロースフィルムが最も好ましい。上記ポリマーフィルムは、ソルベントキャスト法により形成することが好ましい。
支持体の厚さは、20〜500μmであることが好ましく、40〜200μmであることがさらに好ましい。また、支持体とその上に設けられる層(接着層、垂直配向膜あるいは位相差層)との接着を改善するため、支持体に表面処理(例えば、グロー放電処理、コロナ放電処理、紫外線(UV)処理、火炎処理)を実施してもよい。さらに透明支持体の上には、接着層(下塗り層)を設けてもよい。また、支持体や長尺の透明支持体には、搬送工程でのすべり性を付与したり、巻き取った後の裏面と表面との貼り付きを防止するために、平均粒径が10〜100nm程度の無機粒子を固形分質量比で5%〜40%混合したポリマー層を支持体の片側に塗布や支持体との共流延によって形成したものを用いることが好ましい。
[偏光膜と偏光膜用保護膜]
本発明の位相差膜は、直線偏光膜又は偏光膜用保護膜を貼り合せてから、実際の液晶表示素子の製造に使用することが好ましい。以下に該偏光膜及び偏光膜用保護膜について説明する。
偏光膜としては、ヨウ素系偏光膜、二色性染料を用いる染料系偏光膜やポリエン系偏光膜が例示される。ヨウ素系偏光膜及び染料系偏光膜は、一般にポリビニルアルコール系フィルムを用いて製造する。偏光膜の透過軸は、フィルムの延伸方向に垂直な方向に相当する。ディスコティック液晶性化合物を光学異方性層に用いた場合には、偏光膜の透過軸は、配向膜側のディスコティック液晶性化合物の面に対し、実質的に平行になるように配置される。また、棒状液晶性化合物を用いた場合、偏光膜の透過軸は、棒状液晶性化合物の長軸方向(遅相軸)と、実質的に平行になるように配置する。通常は、位相差膜を形成した支持体側に張り合わせるのが好ましいが、必要によっては、光学異方性層側と張り合わせてもよい。
位相差膜の光学異方性層側に保護膜として、透明なポリマーフィルムが用いることが好ましい。保護膜が透明であるとは、光透過率が80%以上であることを意味する。透明な保護膜としては、好ましくはセルロースエステルフィルムであり、より好ましくはトリアセチルセルロースフィルムが用いられる。セルロースエステルフィルムは、ソルベントキャスト法により形成することが好ましい。保護膜の厚さは、20〜500μmであることが好ましく、50〜200μmであることがさらに好ましい。また、保護膜は複屈折性に基づくレターデーションが小さいものが好ましい。具体的には、面内のレターデーション(Re)は、0〜30nmが好ましく、0〜15nmがより好ましく、0〜5nmがさらに好ましい。さらに、厚み方向のレターデーション(Rth)は0〜40nmであることが好ましく、0〜20nmがより好ましく、0〜10nmであることがさらに好ましい。この特性を有するフィルムであれば透明な保護膜として好適に用いることができるが、偏光膜の耐久性をより向上させるにはセルロースアシレートやノルボルネン系のフィルムがより好ましい。セルロースアシレートフィルムのRthを小さくする方法としては、特開平11−246704号公報、特開2001−247717号公報、特開2003−379975号公報に記載の方法などが挙げられる。また、セルロースアシレートフィルムの厚みを小さくすることによっても、Rthを小さくすることができる。
以下に実施例と比較例を挙げて本発明の特徴をさらに具体的に説明する。また、以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきものではない。
[実施例1]
<IPSモード液晶セル1の作製>
一枚のガラス基板上に、図1に示す構成で、隣接する電極間の距離が20μmとなるように電極(図1中の2および3)を配設し、その上にポリイミド膜を配向膜として設け、ラビング処理を行なった。図1中に示す方向4に、ラビング処理を行なった。別に用意した一枚のガラス基板の一方の表面にポリイミド膜を設け、ラビング処理を行なって配向膜とした。二枚のガラス基板を、配向膜同士を対向させて、基板の間隔(ギャップ;d)を3.9μmとし、二枚のガラス基板のラビング方向が平行となるようにして重ねて貼り合わせ、次いで屈折率異方性(Δn)が0.0769および誘電率異方性(Δε)が正の4.5であるネマチック液晶組成物を封入した。液晶層のd・Δnの値は300nmであった。
<第1位相差膜1の作製>
下記の組成のセルロースアセテート溶液をミキシングタンクに投入し、加熱しながら攪拌して、各成分を溶解し、セルロースアセテート溶液を調製した。該溶液を保留粒子径4μm、濾水時間35秒の濾紙(No.63、アドバンテック製)を用いて5kg/cm2以下でろ過した。
〔セルロースアセテート溶液組成〕
・酢化度60.9%のセルロースアセテート 100質量部
(重合度300、Mn/Mw=1.5)
・トリフェニルホスフェート(可塑剤) 7.8質量部
・ビフェニルジフェニルホスフェート(可塑剤) 3.9質量部
・メチレンクロライド(第1溶媒) 300質量部
・メタノール(第2溶媒) 54質量部
・1−ブタノール(第3溶媒) 11質量部
別のミキシングタンクに、下記レターデーション上昇剤A 8質量部、下記レターデーション上昇剤B 10質量部、二酸化珪素微粒子(平均粒径:0.1μm) 0.28質量部、メチレンクロライド 80質量部およびメタノール 20質量部を投入し、加熱しながら攪拌して、レターデーション上昇剤溶液(微粒子分散液を兼ねる)を調製した。上記セルロースアセテート溶液474質量部に上記レターデーション上昇剤溶液40質量部を混合し、充分に攪拌してドープを調製した。
Figure 2006276643
Figure 2006276643
得られたドープを、バンド流延機を用いて流延した。残留溶剤量が15質量%のフィルムを、130℃の条件で、テンターを用いて20%の延伸倍率で横延伸し、延伸後の幅のまま50℃で30秒間保持した後クリップを外してセルロースアセテートフィルムを作製した。延伸終了時の残留溶媒量は5質量%であり、さらに乾燥して残留溶媒量を0.1質量%未満としてフィルムを作製した。
このようにして得られたフィルム(第1位相差膜1)の厚さは80μmであった。作製した第1位相差膜1について、自動複屈折率計(KOBRA−21ADH、王子計測機器(株)社製)を用いて、Reの光入射角度依存性を測定することによって、Reが70nm、Rthが175nmであり、これからNzが3.0であることが分かった。
<第2位相差膜1の作製>
製作した第1位相差膜1の表面のケン化処理を行い、このフィルム上に下記の組成の配向膜塗布液をワイヤーバーコーターで20ml/m2となるように塗布した。60℃の温風で60秒、さらに100℃の温風で120秒乾燥し、膜を形成した。次に、この形成した膜にフィルムの遅相軸方向と平行の方向にラビング処理を施して、配向膜を得た。
〔配向膜塗布液の組成〕
・下記変性ポリビニルアルコール(AL−1) 10質量部
・水 371質量部
・メタノール 119質量部
・グルタルアルデヒド 0.5質量部
Figure 2006276643
次に、下記棒状液晶性化合物A3.8g、本発明の重合開始能を有する添加剤(I−2)0.06g、増感剤(カヤキュアーDETX、日本化薬(株)製)0.02g、下記配向膜側垂直配向剤(41)0.04gを、メチルエチルケトン9.2gに溶解した溶液を調製した。この溶液を、上記配向膜を形成したフィルムの配向膜側に、#4.5のワイヤーバーで塗布した。これを金属の枠に貼り付けて、100℃の恒温槽中で2分間加熱し、棒状液晶性化合物を配向させた。次に、80℃で120W/cm高圧水銀灯により、20秒間UV照射し棒状液晶性化合物を架橋して、その後、室温まで放冷して光学異方性層を形成し、第1位相差膜上に第2位相差膜が形成された位相差フィルム1を得た。
棒状液晶性化合物A
Figure 2006276643
Figure 2006276643
Figure 2006276643
Figure 2006276643
自動複屈折率計(KOBRA−21ADH、王子計測機器(株)社製)を用いて、製作したフィルムのReの光入射角度依存性を測定し、予め測定した支持体の寄与分を差し引くことによって、第2位相差膜のみの光学特性を算出したところ、第2位相差膜1はReが0nm、Rthが−229nmであって、棒状液晶性化合物が略垂直に配向していることを確認した。光学異方性層の膜の厚みは、2.2μmであった。
また、得られた位相差フイルム1を、膜の平面方向に対して2°の角度で薄く切削し、本発明の重合開始能を有する添加剤(I-2)に由来する化合物の存在量を、飛行時間型二次イオン質量分析装置(TOF−SIMS)で測定した結果、空気界面側から1μmの厚さの領域に、添加量の90%が存在している事を確認した。
さらに、こうして作製された第2位相差膜1を偏光顕微鏡下で観察し、配向状態および配向欠陥の評価を行い、光学異方性層中に生じた配向欠陥の数を光学顕微鏡で観察して調べた結果、点欠陥の個数(1.0mm2範囲の平均値)は1.0mm2範囲で3個であった。
<偏光板保護膜1の作製>
下記のセルロースアセテート溶液Aの組成をミキシングタンクに投入し、加熱しながら攪拌して、各成分を溶解し、セルロースアセテート溶液Aを調製した。
〔セルロースアセテート溶液Aの組成〕
・置換度2.86のセルロースアセテート 100質量部
・トリフェニルホスフェート(可塑剤) 7.8質量部
・ビフェニルジフェニルホスフェート(可塑剤) 3.9質量部
・メチレンクロライド(第1溶媒) 300質量部
・メタノール(第2溶媒) 54質量部
・1−ブタノール 11質量部
別のミキシングタンクに、下記の組成を投入し、加熱しながら攪拌して、各成分を溶解し、添加剤溶液B−1を調製した。
〔添加剤溶液B−1の組成〕
・メチレンクロライド 80質量部
・メタノール 20質量部
・下記光学的異方性低下剤 40質量部
Figure 2006276643
セルロースアセテート溶液A477質量部に、添加剤溶液B−1を40質量部添加し、充分に攪拌して、ドープを調製した。ドープを流延口から0℃に冷却したドラム上に流延した。溶媒含有率70質量%の状態で剥ぎ取り、フィルムの巾方向の両端をピンテンター(特開平4−1009号公報の図3に記載のピンテンター)で固定し、溶媒含有率が3〜5質量%の状態で、横方向(機械方向に垂直な方向)の延伸率が3%となる間隔を保ちつつ乾燥した。その後、熱処理装置のロール間を搬送することにより、さらに乾燥し、厚み80μmの偏光板保護膜1を作製した。
自動複屈折率計(KOBRA−21ADH、王子計測機器(株)社製)を用いて、Reの光入射角度依存性を測定し、光学特性を算出したところ、Reが1nm、Rthが6nmであることが確認できた(測定波長λ:589nm)。
<偏光板Aの作製>
次に延伸したポリビニルアルコールフィルムにヨウ素を吸着させて偏光膜を製作し、市販のセルロースアセテートフィルム(フジタックTD80UF、富士写真フイルム(株)製、Re=3nm、Rth=45nm)にケン化処理を行い、ポリビニルアルコール系接着剤を用いて、偏光膜の片面に貼り付け偏光板Aを形成した。
<偏光板Bの作製>
同様にして偏光膜を製作し、市販のセルロースアセテートフィルム(フジタックTD80UF、富士写真フイルム(株)製)にケン化処理を行い、ポリビニルアルコール系接着剤を用いて、偏光膜の片面に貼り付けた。さらに同様にして上記製作の偏光板保護膜1を偏光膜のもう片面に貼り付け偏光板Bを形成した。
<液晶表示装置の作製>
偏光板Aにポリビニルアルコール系接着剤を用いて、作製した第1位相差膜1を、第1位相差膜1側が偏光膜側となるように、且つ偏光膜の透過軸と第1位相差膜1の遅相軸が平行になるように偏光膜のセルロースアセテートフィルムを貼合していない側に貼り付け偏光板1を形成した。
これを、上記で作製したIPSモード液晶セル1の一方に、第1位相差膜1の遅相軸が液晶セルのラビング方向と平行になるように(即ち、第1位相差膜1の遅相軸が、黒表示時の液晶セルの液晶性化合物の遅相軸と平行になるように)、かつ第2位相差膜1面側が液晶セル側になるように偏光板1を貼り付けた。
続いて、このIPSモード液晶セル1のもう一方の側に偏光板Bを偏光板保護膜1側が液晶セル側になるように、かつ偏光板1とはクロスニコルの配置になるように貼り付け、液晶表示装置を作製した。このようにして作製した液晶表示装置の漏れ光を測定した。左斜め方向60°から観察した際の漏れ光は0.08%であった。なお、本明細書における漏れ光は、以下のようにして測定したものである。
まず、暗室内に設置されたシャーカステン上に、偏光板を貼りあわせない状態で液晶セル1を置き、液晶セルのラビング方向を基準として左方向に45度の方位で、且つ液晶セル法線方向から方向60°の方向に1m離れたところに設置された輝度計で輝度1を測定した。次いで、上記と同じシャーカステン上に実施例1の液晶表示パネルを同様に配置して、暗表示の状態で同様に輝度2を測定し、これを輝度1に対する100分率で表したものを漏れ光とした。
[比較例1]
上記第2位相差膜1の作製において、液晶組成物中の重合開始能を有する添加剤除き、以下の光重合開始剤(イルガキュアー907、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製)0.06g、および、以下の空気界面垂直配向剤A(0.005g)を添加したこと以外は同様の方法で、第2位相差膜2を作製した。この様にして作製された比較用位相差膜を自動複屈折率計(KOBRA−21ADH、王子計測機器(株)社製)を用いて、製作したフィルムのReの光入射角度依存性を測定し、予め測定した支持体の寄与分を差し引くことによって、第2位相差膜のみの光学特性を算出したところ、第2位相差膜1はReが0nm、Rthが−218nmであって、棒状液晶性化合物が略垂直に配向していることを確認した。光学異方性層の膜の厚みは、2.3μmであった。また、実施例1と同様に、以下の光重合開始剤に由来する化合物の存在量を、飛行時間型二次イオン質量分析装置(TOF−SIMS)で測定した結果、空気界面側から1μmの厚さの領域に、添加量の20%が存在している事を確認した。
光学異方性層中に生じた配向欠陥の数を光学顕微鏡で観察して調べた結果、点欠陥の個数(1.0mm2範囲の平均値)は1.0mm2範囲で18個であった。
Figure 2006276643
Figure 2006276643
また、この比較用位相差膜を用いて、実施例1と同様に液晶表示装置を作製し、左斜め方向60°から観察した漏れ光を測定した結果、漏れ光は、0.13%であった。
以上の結果から、本発明の重合開始能を有する添加剤を用いることで、従来の空気界面配向制御剤と重合開始剤を組み合わせた場合よりも、配向固定化後の欠陥も少なく、斜め方向からの光漏れの少ない液晶表示装置を作製することができた。
本発明の液晶表示装置の画素領域例を示す概略図である。 本発明の液晶表示装置の一例を示す概略図である。 本発明の液晶表示装置の他の例を示す概略図である。
符号の説明
1 液晶素子画素領域
2 画素電極
3 表示電極
4 ラビング方向
5a、5b 黒表示時の液晶性化合物のダイレクター
6a、6b 白表示時の液晶性化合物のダイレクター
7a,7b、19a,19b 保護膜
8、20 偏光膜
9、21 偏光膜の偏光透過軸
10 第1位相差膜
11 第1位相差膜の遅相軸
12 第2位相差膜
13、17 セル基板
14、18 セル基板のラビング方向
15 液晶層
16 液晶層の遅相軸方向

Claims (11)

  1. 少なくとも一種の重合性基を有する液晶性化合物と、空気界面に少なくとも一種の重合開始能を有する添加剤を所定量以上含有する液晶組成物からなる光学異方性層を有する位相差膜。
  2. 前記重合開始能を有する添加剤が光重合開始剤である、請求項1に記載の位相差膜。
  3. 前記重合開始能を有する添加剤が、下記一般式(1)で表される、請求項1または2に記載の位相差膜。
    一般式(1)
    Figure 2006276643
    (一般式(1)中、X1は水酸基、アミノ基、アリール基、ヘテロ環基、アルコキシ基、ハロゲン原子、または、アルキル基を表し、R1およびR2は、それぞれ、アルキル基、アラルキル基、アルコキシ基、アリール基、または、ヘテロ環基を表し、R1とR2は互いに結合していてもよく、Rfは少なくとも一つのフッ素原子が置換した置換基を表し、n1は1〜5の整数を表す。)
  4. 前記液晶性化合物が、位相差膜の膜面に対して略垂直に配向していることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の位相差膜。
  5. 前記液晶組成物中に、少なくとも一つのオニウム塩が含まれている、請求項1〜4のいずれか1項に記載の位相差膜。
  6. 前記液晶性化合物が、棒状液晶性化合物である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の位相差膜。
  7. 前記液晶性化合物が、スメクチックA液晶性を有する棒状液晶性化合物である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の位相差膜。
  8. 前記位相差膜は配向膜を有し、該配向膜がポリビニルアルコール誘導体からなる、請求項1〜7のいずれか1項に記載の位相差膜。
  9. 請求項1〜8のいずれか1項に記載の位相差膜を有する液晶表示装置。
  10. 第1偏光膜と、第1位相差膜と、第2位相差膜と、液晶性化合物を含む液晶層を一対の基板で挟んだ液晶セルとを含み、黒表示時に前記液晶性化合物が前記一対の基板の表面に対して実質的に平行に配向する液晶表示装置であって、前記第1位相差膜の面内のレターデーション(Re)が20nm〜150nmであってNzが1.5〜7であり、前記第2位相差膜の面内の屈折率が実質的に等しく、厚み方向のレターデーション(Rth)が−80nm〜−400nmであり、第2位相差膜が請求項1〜8のいずれか1項に記載の位相差膜から形成され、さらに、第1偏光膜の透過軸が黒表示時の液晶性化合物の遅相軸方向に平行である液晶表示装置。
  11. 下記一般式(2)で表される化合物。
    一般式(2)
    Figure 2006276643
    (一般式(2)中、X1は水酸基、アミノ基、アリール基、ヘテロ環基、アルコキシ基またはハロゲン原子を表し、R1およびR2は、それぞれ、アルキル基、アラルキル基、アルコキシ基、アリール基、または、ヘテロ環基を表し、R1とR2は互いに結合していてもよく、Rfは少なくとも一つのフッ素原子が置換した置換基を表し、n1は1〜5の整数を表す。)
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