JP4551751B2 - 光学補償シート、それを用いた偏光板及び液晶表示装置 - Google Patents
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Description
しかし、液晶を塗布することによって位相差板を製造する場合は、液晶を配向させるためにその直下に配向層を必要とするが、通常用いられるポリビニルアルコールやポリイミドのような配向層、あるいは側鎖に反応性基を有するような配向層でも、液晶層との密着が十分に得られず、偏光板への貼り合わせ等の製造適性や経時安定性等の観点から少なからず課題を有していた。
(2) 前記液晶性化合物の少なくとも一種が、少なくとも一つの重合性基を有する棒状液晶性化合物であって、前記光学異方性層が該重合性基を重合反応させて形成された層である(1)の光学補償シート。
(3) 前記液晶性化合物の少なくとも一種が、少なくとも一つの重合性基を有するディスコティック液晶性化合物であって、前記光学異方性層が該重合性基を重合反応させて形成された層である(1)の光学補償シート。
(4) 前記液晶性化合物の少なくとも一種が、少なくとも一つの重合性基を有する棒状液晶性化合物であり、前記組成物がさらにカイラル剤を含み、且つ前記光学異方性層が該重合性基を重合反応させて形成した層である(1)の光学補償シート。
(5) 前記少なくとも一つの重合性基を有する両親媒性化合物が、下記の一般式(I)で表される化合物である(1)〜(4)のいずれかの光学補償シート。
(9) 前記配向層が、側鎖に重合性基を有するポリビニルアルコール誘導体、ポリ(メタ)アクリレート誘導体及び多糖類から選択される高分子からなる(1)〜(8)のいずれかの光学補償シート。
(10) 透明支持体上に水が20%以上の溶媒組成からなる溶液を塗布及び乾燥して配向層を形成する工程と、該配向層の表面に、少なくとも一つの重合性基を有する棒状液晶性化合物の少なくとも一種、カイラル剤及び少なくとも一つの重合性基を有する両親媒性化合物の少なくとも一種を含む液晶組成物を塗布して、前記棒状液晶性化合物の分子を5゜未満の平均傾斜角でコレステリック配向させる工程と、偏光を照射して、前記棒状液晶化合物の分子を重合させて光学異方性層を形成する工程とをこの順序で実施する(1)の光学補償シートの製造方法。
(11) 透明支持体上に水が20%以上の溶媒組成からなる溶液を塗布及び乾燥して配向層を形成する工程と、該配向層の表面に、少なくとも一つの重合性基を有するディスコティック液晶性化合物の少なくとも一種、カイラル剤及び少なくとも一つの重合性基を有する両親媒性化合物の少なくとも一種を含む液晶組成物を塗布して、前記ディスコティック液晶性化合物の分子を5゜未満の平均傾斜角で配向させる工程と、偏光を照射して、前記ディスコティック液晶化合物の分子を重合させて光学異方性層を形成する工程とをこの順序で実施する(1)の光学補償シートの製造方法。
(12) (1)〜(9)のいずれかの光学補償シートの少なくとも一枚と、偏光子とを有する偏光板。
(13) (1)〜(9)のいずれかの光学補償シート、又は(12)の偏光板を有する液晶表示装置。
(14) VAモードである(13)の液晶表示装置。
なお、本明細書において「〜」とはその前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用される。
図1は本発明の光学補償シートの一例の概略断面図である。本発明の光学補償シートは、透明支持体11上に光学異方性層12を有する。透明支持体11と光学異方性層12との間には、光学異方性層12中の液晶性分子の配向を制御するための配向層13が配置されている。配向層13は、水が20%以上の溶媒組成からなる溶液を塗布及び乾燥して形成した層である。光学異方性層12は、重合性基を有する液晶性化合物及び重合性基を有する両親媒性化合物を含有する組成物から形成されているので、配向層13と光学異方性層12とは密着性が高く、水洗などの洗浄処理や、けん化処理等の化学処理時にも剥離等が生じ難く、取り扱い性が良好である。さらに、光学異方性層12の光学特性は、正面レターデーション(Re)が0でなく、面内の遅相軸を傾斜軸(回転軸)として光学補償シートの法線方向に対して+40°傾斜した方向から波長λnmの光を入射させて測定したレターデーション値、および面内の遅相軸を傾斜軸(回転軸)として光学補償シートの法線方向に対して−40°傾斜した方向から波長λnmの光を入射させて測定したレターデーション値が実質的に等しく調整されているので、液晶セル、特にVAモードの液晶セルを正確に補償し得る。なお、Reが0でないとは、Reが5nm未満でないことを意味する。
図2(a)〜(d)は本発明の光学補償シートを有する偏光板の概略断面図である。偏光板は、一般的には、ポリビニルアルコールフィルムからなる偏光膜をヨウ素にて染色し、延伸を行うことによって偏光膜21を得、その両面に保護フィルム22および23を積層して作製することができる。本発明の光学補償シートは、光学異方性層を支持するポリマーフィルム等からなる支持体を有するので、この支持体を保護フィルム22および23の少なくとも一方にそのまま用いることができる。この際、光学異方性層12は偏光層21側に(即ち、光学異方性層12が支持体11より偏光層21により近くに)配置されていても、偏光層21と反対側に(即ち、光学異方性層12が支持体11より偏光層21により遠くに)配置されていてもよいが、図2(a)に示した様に、光学異方性層12は、偏光層21と反対側にあることが好ましい。また、図2(b)のように偏光層21の一方の保護フィルム22の外側に粘着剤等を介して貼合することも可能である。
図3は、本発明の液晶表示装置の一例である。液晶表示装置は、上下の電極基板間にネマチック液晶を挟持してなる液晶セル35、および液晶セルの両側に配置された一対の偏光板36および37を有しており、偏光板の少なくとも一方には図2に示した本発明の偏光板を用いている。本発明の偏光板を用いる際には、光学異方性層が偏光層と液晶セルの電極基板の間になるように配置する。ネマチック液晶分子は、電極基板上に施された配向層およびその表面のラビング処理あるいはリブ等の構造物を設けることによって、所定の配向状態になるように制御されている。
本発明の光学補償シートは、透明支持体、前記配向層及び前記光学異方性層を有し、前記光学異方性層が、液晶表示装置のコントラスト視野角の拡大し、液晶表示装置の画像着色を解消するのに寄与する。本発明の光学補償シートは、前記光学異方性層の支持体が偏光板の保護フィルムを兼ねることによって、または前記光学異方性層が偏光板の保護フィルムを兼ねることによって、液晶表示装置の構成部材を減少させることができる。すなわち、かかる態様にすることにより液晶表示装置の薄型化にも寄与する。
本発明の光学補償シートは、少なくとも一つの重合性基を有する液晶性化合物の少なくとも一種、及び少なくとも一つの重合性基を有する両親媒性化合物の少なくとも一種を含有する組成物から形成された光学異方性層を有する。前記光学異方性層は、液晶セルを光学補償するのに寄与する。光学異方性層単独で充分な光学補償能を有する態様はもちろん、他の層(例えば支持体)との組み合わせで光学補償に必要とされる光学特性を満足する態様であってもよい。液晶性化合物にはその分子の形状から、棒状タイプと円盤状タイプに分類できる。さらにそれぞれ低分子と高分子タイプがある。さらにそれぞれ低分子と高分子タイプがある。高分子とは一般に重合度が100以上のものを指す(高分子物理・相転移ダイナミクス,土井 正男 著,2頁,岩波書店,1992)。本発明では、いずれの液晶化合物を用いることもできるが、棒状液晶化合物またはディスコティック液晶化合物を用いるのが好ましい。2種以上の棒状液晶化合物、2種以上のディスコティック液晶化合物、又は棒状液晶化合物とディスコティック液晶化合物との混合物を用いてもよい。本発明では、いずれの液晶化合物を用いることもできるが、棒状液晶化合物またはディスコティック液晶化合物を用いるのが好ましい。混合物を用いる場合、少なくとも一種が重合性基を有していればよい。光学異方性層の厚さは、0.1〜20μmであることが好ましく、0.5〜10μmであることがさらに好ましい。
式中、Q1およびQ2はそれぞれ独立に、重合性基であり、L1、L2、L3およびL4はそれぞれ独立に、単結合または二価の連結基を表すが、L3およびL4の少なくとも一方は、−O−CO−O−であることが好ましい。A1およびA2はそれぞれ独立に、炭素原子数2〜20のスペーサー基を表す。Mはメソゲン基を表す。
一般式(V):−(−W1−L5)n−W2−
式中、W1およびW2は各々独立して、二価の環状脂肪族基、二価の芳香族基または二価のヘテロ環基を表し、L5は単結合または連結基を表し、連結基の具体例としては、前記式(IV)中、L1〜L4で表される基の具体例、−CH2−O−、および−O−CH2−が挙げられる。nは1、2または3を表す。
一般式(VI): D(−L−P)n
式中、Dは円盤状コアであり、Lは二価の連結基であり、Pは重合性基であり、nは4〜12の整数である。
前記光学異方性層を形成するために用いられる組成物は、少なくとも一つの重合性基を有する両親媒性化合物を少なくとも一種含有する。該両親媒性化合物は、例えば、前記光学異方性層形成用の塗布液を調製する際に、液晶性化合物とともに溶媒中に溶解され、配向層表面に塗布される。該両親媒性化合物が有する置換基が、配向層が有する官能基(例えば、配向層がポリビニルアルコール又はその誘導体を主成分とする場合は水酸基)と相互作用して、配向層界面に吸着される、または配向層に浸透すると、その後、例えば、紫外線等の照射によって、重合性基を有する両親媒性化合物と重合性基を有する液晶性化合物とを重合させて光学異方性層を形成する際に、配向層と光学異方性層との密着性をより高めることができる。従って、前記両親媒性化合物は、配向層を構成しているポリマーが有する官能基に対して親和性の置換基を有しているのが好ましい。
ヘテロアリール基は、窒素原子、酸素原子および硫黄原子からなる群から選ばれるヘテロ原子を1個以上含むヘテロアリール基であり、窒素原子、酸素原子および硫黄原子からなる群から選ばれるヘテロ原子を1個以上含む複素芳香環上の水素原子を1個除し、ヘテロアリール基としたものを挙げることができる。窒素原子、酸素原子および硫黄原子からなる群から選ばれるヘテロ原子を1個以上含む複素芳香環の具体例としては、ピロール、フラン、チオフェン、ピラゾール、イミダゾール、トリアゾール、オキサゾール、イソオキサゾール、オキサジアゾール、チアゾール、チアジアゾール、インドール、カルバゾール、ベンゾフラン、ジベンゾフラン、チアナフテン、ジベンゾチオフェン、インダゾールベンズイミダゾール、アントラニル、ベンズイソオキサゾール、ベンズオキサゾール、ベンゾチアゾール、プリン、ピリジン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、トリアジン、キノリン、アクリジン、イソキノリン、フタラジン、キナゾリン、キノキザリン、ナフチリジン、フェナントロリン、プテリジン等が挙げられる。
配向させた液晶性化合物の分子を、配向状態を維持して固定することが好ましい。固定化は、液晶性化合物に導入した重合性基の重合反応により実施することが好ましい。重合反応には、熱重合開始剤を用いる熱重合反応と光重合開始剤を用いる光重合反応とが含まれるが、光重合反応がより好ましい。光重合開始剤の例には、α−カルボニル化合物(米国特許第2367661号、同2367670号の各明細書記載)、アシロインエーテル(米国特許第2448828号明細書記載)、α−炭化水素置換芳香族アシロイン化合物(米国特許第2722512号明細書記載)、多核キノン化合物(米国特許第3046127号、同2951758号の各明細書記載)、トリアリールイミダゾールダイマーとp−アミノフェニルケトンとの組み合わせ(米国特許第3549367号明細書記載)、アクリジンおよびフェナジン化合物(特開昭60−105667号公報、米国特許第4239850号明細書記載)およびオキサジアゾール化合物(米国特許第4212970号明細書記載)が含まれる。
本発明の光学異方性層は、偏光照射により面内のレターデーションを発生させることができる。この偏光照射は、上記配向固定化における光重合プロセスと同時に行ってもよいし、先に偏光照射を行ってから非偏光照射でさらに固定化を行っても良いし、非偏光照射で先に固定化してから偏光照射を行っても良い。大きなレターデーションを得るためには偏光照射のみ、もしくは先に偏光照射することが好ましい。偏光照射は、酸素濃度3%以下、より好ましくは0.5%以下、の不活性ガス雰囲気下で行うのが好ましい。偏光照射には紫外線偏光照射が好ましく、特に365±10nmにピークを持つ偏光照射が好ましく、365±5nmにピークを持つ偏光照射がさらに好ましい。照射エネルギーは、20mJ/cm2〜10J/cm2であることが好ましく、100〜800mJ/cm2であることがさらに好ましい。照度は20〜1000mW/cm2であることが好ましく、50〜500mW/cm2であることがより好ましく、100〜350mW/cm2であることがさらに好ましい。偏光照射によって硬化する液晶性化合物の種類については特に制限はないが、重合性基としてエチレン不飽和基を有する液晶性化合物が好ましい。
なお、偏光照射による光配向によって発生した面内のレターデーションを示す光学異方性層は、特に、VAモードの液晶表示装置を光学補償するのに優れている。
前記光学異方性層を形成する液晶性化合物は、下記一般式(VII)〜(IX)で表される化合物の少なくとも一種を併用することで、実質的に水平配向させることができる。尚、本発明で「水平配向」とは、棒状液晶の場合、分子長軸と透明支持体の水平面が平行であることをいい、円盤状液晶の場合、円盤状液晶性化合物のコアの円盤面と透明支持体の水平面が平行であることをいうが、厳密に平行であることを要求するものではなく、本明細書では、水平面とのなす傾斜角が10度未満の配向を意味するものとする。傾斜角は0〜5度が好ましく、0〜3度がより好ましく、0〜2度がさらに好ましく、0〜1度が最も好ましい。
本発明において、前記配向層は、水が20%以上の溶媒組成からなる溶液を塗布乾燥して形成する。配向層は一般に、有機化合物(好ましくはポリマー)のラビング処理のような手段で設けることができる。ラビング処理はポリマー層の表面を紙や布で一定方向に数回こすることにより実施する。本発明の配向層上には液晶組成化合物からなる溶液を塗布乾燥し、光学異方層を付与するが、その溶媒によってラビングした配向層表面が溶解されることのない。
配向層は、透明支持体上に設けられ、その上に塗布等で設けられる液晶性化合物の配向方向を規定する機能を有し、そしてその配向は、光学補償シートから傾いた光軸を与える。本発明において、配向層は、ラビング処理等の配向処理が施されたポリマー層であり、そのポリマーはビニル、オキシラン、アジリジニルまたはアリールを有する基を持っている。ポリマーはポリビニルアルコール又は変性ポリビニルアルコールが好ましい。ポリビニルアルコールにおいて、少なくともその一個のヒドロキシル基が、ビニル部分、オキシラン部分またはアジリジニル部分を有する基で置換されている。上記部分は、一般に、ポリビニルアルコールのポリマー鎖(炭素原子)と、エーテル結合(−O−)、ウレタン結合(−OCONH−)、アセタール結合((−O−)2CH−)またはエステル結合(−OCO−)を介して結合している。ウレタン結合、アセタール結合またはエステル結合が好ましい。ビニル、オキシラン、アジリジニルまたはアリールは、上記結合を介して間接的にポリビニルアルコールに結合していることが好ましく、即ち、上記部分を有する基が、結合基と共にポリビニルアルコールに結合していることが好ましい。
光学異方性層の透明支持体としては、光透過率が80%以上であるポリマーフィルムを用いることが好ましい。透明支持体の厚みは10〜500μmが好ましく、20〜200μmがより好ましく、35〜110μmが最も好ましい。
本発明の液晶表示装置に用いる偏光板は、偏光膜と該偏光膜を挟持する一対の保護フィルムとからなる。偏光膜には、ヨウ素系偏光膜、二色性染料を用いる染料系偏光膜やポリエン系偏光膜が挙げられる。ヨウ素系偏光膜および染料系偏光膜は、一般にポリビニルアルコール系フィルムを用いて製造する。保護フィルムの種類は特に限定されず、セルロースアセテート、セルロースアセテートブチレート、セルロースプロピオネート等のセルロースエステル類、ポリカーボネート、ポリオレフィン、ポリスチレン、ポリエステル等を用いることができる。透明保護フィルムは、通常、ロール形態で供給され、長尺の偏光膜に対して、長手方向が一致するようにして連続して貼り合わされることが好ましい。ここで、保護フィルムの配向軸(遅相軸)はいずれの方向であってもよい。また、保護フィルムの遅相軸(配向軸)と偏光膜の吸収軸(延伸軸)の角度も特に限定はなく、偏光板の目的に応じて適宜設定できる。
本発明において、液晶セルはVertically Alignedモード(VAモード)であるのが好ましい。VAモードの液晶セルは、対向面がラビング処理された上下基板の間に誘電異方性が負の液晶性分子を封入してなる。例えば、Δn=0.0813、およびΔε=−4.6程度の液晶分子を用い、液晶分子の配向方向を示すダイレクタ、いわゆるチルト角が約89°の液晶セルを作製することができる。この時、液晶層の厚さdは3.5μm程度にすることができる。液晶層の厚さd(nm)と、屈折率異方性Δnとの積Δn・dの大きさにより白表示時の明るさが変化する。最大の明るさを得るためには、液晶層の厚さdは2〜5μm(2000〜5000nm)の範囲であるのが好ましく、Δnは、0.060〜0.085の範囲である。
市販のセルロースアセテートフィルムであるフジタックTD80UF(富士写真フイルム(株)製、Re=3nm、Rth=50nm)を透明支持体S−1として用いた。
下記の組成物をミキシングタンクに投入し、加熱しながら攪拌して、各成分を溶解し、セルロースアセテート溶液を調製した。
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セルロースアセテート溶液組成(%) 内層 外層
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酢化度60.9%のセルロースアセテート 20.89 19.78
トリフェニルホスフェート(可塑剤) 1.63 1.54
ビフェニルジフェニルホスフェート(可塑剤) 0.815 0.770
メチレンクロライド(第1溶媒) 61.22 62.12
メタノール(第2溶媒) 14.83 15.03
1−ブタノール(第3溶媒) 0.313 0.320
シリカ(粒径20nm) 0.00 0.160
レターデーション上昇剤S−2−1 0.302 0.280
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下記の組成物をミキシングタンクに投入し、加熱しながら攪拌して、各成分を溶解し、セルロースアシレート溶液を調製した。
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セルロースアシレート溶液組成(%)
──────────────────────────────────――
セルロースアシレート(アセテート基1.2、ブチリル基1.3の置換度)
24.0
混合溶媒(下表 75.0
レターデーション上昇剤S−3−1 0.70
2,4−ビス−(n−オクチルチオ)−6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ブチルアニリノ)−1,3,5−トリアジン(UV剤a) 0.12
2(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−ブチルフェニル)−5−クロルベンゾトリアゾール(UV剤b) 0.05
2(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−アミルフェニル)−5−クロルベンゾトリアゾール(UV剤c) 0.02
シリカ(972、日本アエロジル(株)製) 0.06
クエン酸エチルエステル(モノエステルとジエステルが1:1混合) 0.05
──────────────────────────────────――
混合溶媒組成(%)
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酢酸メチル 80.0
アセトン 5.0
メタノール 7.0
エタノール 5.0
ブタノール 3.0
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下記の組成物を調製し、孔径30μmのポリプロピレン製フィルタでろ過して、配向層用塗布液AL−1として用いた。
──────────────────────────────────――
配向層用塗布液組成(%)
──────────────────────────────────――
変性ポリビニルアルコールAL−1−1 4.01
水 72.89
メタノール 22.83
グルタルアルデヒド(架橋剤) 0.20
クエン酸 0.008
クエン酸モノエチルエステル 0.029
クエン酸ジエチルエステル 0.027
クエン酸トリエチルエステル 0.006
──────────────────────────────────――
下記の組成物を調製後、孔径0.2μmのポリプロピレン製フィルタでろ過して、光学異方層用塗布液LC−1として用いた。
──────────────────────────────────――
光学異方層用塗布液組成(%)
──────────────────────────────────――
棒状液晶(LC−1−1) 6.67
棒状液晶(LC−1−2) 2.60
カイラル剤(LC−1−3) 21.07
カイラル剤(LC−1−4) 1.67
連鎖移動剤(LC−1−5) 0.67
光重合開始剤(LC−1−6) 0.67
メチルエチルケトン 66.65
──────────────────────────────────――
Angew. Makromol.Chem.誌、第183巻、45頁(1990年)に記載の方法に準じて合成した。
LC−1−2:
EP1174411B1号に記載の方法により合成した4−(6−アクリロイルオキシヘキシルオキシ)安息香酸と、4−プロピルシクロヘキシルフェノール(関東化学製)を縮合して合成した。
LC−1−3:
EP1174411B1号に記載の方法により合成した4−(6−アクリロイルオキシヘキシルオキシ)安息香酸と、WO/2001040154A1号に記載の方法により合成した4−ヒドロキシ−4‘−(2−メチルブチル)ビフェニルを縮合して合成した。
LC−1−4:
EP1389199A1に記載の方法により合成した。
LC−1−5:
ヒドロキシプロピルアクリレート(アルドリッチ社製)をメシル化した後、4−プロピルシクロヘキシルフェノール(関東化学製)と反応させ、次に硫化水素を付加して合成した。
LC−1−6:
4−プロピルシクロヘキシルフェノール(関東化学製)をトリフレート化した後、フェニルボロン酸による鈴木カップリング反応でビフェニル体とした。更に、イソ酪酸クロライドと塩化アルミでビフェニルの4’位をアシル化した後、カルボニルのα位の炭素を臭素によってブロム化、次いでアルカリにより水酸基とすることで合成した。
下記の組成物を調製後、孔径0.2μmのポリプロピレン製フィルタでろ過して、光学異方層用塗布液LC−2として用いた。
──────────────────────────────────――
光学異方層用塗布液組成(%)
──────────────────────────────────――
ディスコティック液晶(LC−2−1) 19.2
添加剤(LC−2−2) 0.2
光重合開始剤(LC−2−3) 0.6
メチルエチルケトン 80.0
──────────────────────────────────――
セルロースエステルフィルムを温度60℃の誘電式加熱ロールを通過させ、フィルム表面温度を40℃に昇温した後に、下記に示す組成のアルカリ溶液を、バーコーターを用いて14ml/m2で塗布した。そして、110℃に加熱したスチーム式遠赤外線ヒーター((株)ノリタケカンパニー製)の下に10秒滞留させた後に、同じバーコーターを用いて純水を3ml/m2塗布した。この時のフィルム温度は40℃であった。次いで、ファウンテンコーターによる水洗とエアナイフによる水切りを3回繰り返した後、70℃の乾燥ゾーンに2秒滞留させて乾燥した。
アルカリ溶液組成(%)
──────────────────────────────────――
水酸化カリウム 4.7
水 14.7
イソプロパノール 64.8
プロピレングリコール 14.8
界面活性剤(SF−1) 1.0
──────────────────────────────────――
透明支持体S−1の片面を前述の片面ケン化処理法を使ってケン化処理した後、その上に配向層用塗布液AL−1を#14のワイヤーバーコーターで塗布し、60℃の温風で60秒、さらに90℃の温風で150秒乾燥して厚さ1.0μmの配向層を形成した。続いて、形成した配向層を透明支持体の遅相軸方向に対して連続的にラビング処理した後、両親媒性化合物(I−1)0.3%を光学異方層用塗布液LC−1に添加して調製した混合液晶組成物を、ラビング処理面に#3のワイヤーバーコーターで塗布し、60℃1分間加熱乾燥熟成して均一な液晶相を有する光学異方層を形成した。さらに熟成後直ちに光学異方層に対して、酸素濃度0.3%以下の窒素雰囲気下において、POLUV−1を用いて偏光板の透過軸が透明支持体の進相軸方向となるようにして偏光UVを照射(照度200mW/cm2、照射量200mJ/cm2)し、実施例1の光学補償シートを作製した。光学異方層は固定化後、昇温しても液晶相を示さなかった。光学異方性層の厚みは1.3μmであった。得られた光学補償シートに対し、下記の評価を行った。
クロスカット法により、剥がれの有無を目視で観察し、下記の3段階評価を行った。
〇:剥がれが殆ど認められなかったもの
△:10%以上剥がれが認められたもの
×:50%剥がれが認められたもの
KOBRA 21ADH(王子計測機器(株)製)により、589nmにおける正面レターデーションReおよび遅相軸を回転軸として±40度サンプルを傾斜させたときのレターデーションRe(40)、Re(−40)を測定した。
両親媒性化合物(I−1)を両親媒性化合物(I−6)に代えた以外は、実施例1と同様にして光学補償シートを作製した。
[実施例3]
透明支持体S−1の片面を前述の片面ケン化処理法を使ってケン化処理した後、その上に配向層用塗布液AL−1を#14のワイヤーバーコーターで塗布し、60℃の温風で60秒、さらに90℃の温風で150秒乾燥して厚さ1.0μmの配向層を形成した。続いて、形成した配向層を透明支持体の遅相軸方向に対して連続的にラビング処理した後、両親媒性化合物(I−1)0.3%を光学異方層用塗布液LC−2に添加して調製した混合液晶組成物を、ラビング処理面に#3のワイヤーバーコーターで塗布し、125℃1分間加熱乾燥熟成して均一な液晶相を有する光学異方層を形成した。さらに熟成後直ちに光学異方層に対して、酸素濃度0.3%以下の窒素雰囲気下において、POLUV−1を用いて偏光板の透過軸が透明支持体の進相軸方向となるようにして偏光UVを照射(照度200mW/cm2、照射量200mJ/cm2)し、実施例1の光学補償シートを作製した。光学異方層は固定化後、昇温しても液晶相を示さなかった。光学異方性層の厚みは1.3μmであった。得られた光学補償シートに対し、下記の評価を行った。
[実施例4]
支持体S−1を支持体S−2に代えた以外は、実施例1と同様にして光学補償シートを作製した。
透明支持体S−1の片面を前述の片面ケン化処理法を使ってケン化処理した後、その上に配向層用塗布液AL−1を#14のワイヤーバーコーターで塗布し、60℃の温風で60秒、さらに90℃の温風で150秒乾燥して厚さ1.0μmの配向層を形成した。続いて、形成した配向層を透明支持体の遅相軸方向に対して連続的にラビング処理した後、その上に光学異方層塗布液LC−1を#3のワイヤーバーコーターで塗布し、60℃1分間加熱乾燥熟成して均一な液晶相を有する光学異方層を形成した。さらに熟成後、直ちに光学異方層に対して、酸素濃度0.3%以下の窒素雰囲気下において、POLUV−1を用いて偏光板の透過軸が透明支持体の進相軸方向となるようにして偏光UVを照射(照度200mW/cm2、照射量200mJ/cm2)し、実施例1の光学補償シートを作製した。光学異方層は固定化後、昇温しても液晶相を示さなかった。光学異方性層の厚みは1.3μmであった。得られた光学補償シートに対し、実施例1と同様に評価を行った。
[比較例2]
光学異方層用塗布液LC−1を光学異方層用塗布液LC−2に代えた以外は比較例1と同様にして光学補償シートを作製した。
本発明の実施例1〜3、および比較例1の光学補償シートと、市販のフジタックTD80UF(富士写真フイルム(株)製、Re=3nm、Rth=50nm)を、1.5mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液に、55℃で2分間浸漬した。続いて室温の水洗浴槽中で洗浄し、30℃で0.05mol/Lの硫酸を用いて中和した。これを再度、室温の水洗浴槽中で洗浄し、さらに100℃の温風で乾燥した。この後、水洗、中和処理を行い、この二枚のケン化済フィルムを、偏光板の保護膜として偏光膜の両面にポリビニルアルコール系接着剤を用いてロール・トゥ・ロールで貼り付け、一体型偏光板を作製した。本発明の実施例はいずれも生産性に優れ、光学異方層は良好な面状を示していた。比較例のものは密着性が不十分であるだけでなく、配向層塗布前の片面ケン化処理による生産性低下を引き起こすと共に、偏光板加工時のケン化浴を汚染するなどの問題を引き起こした。
(VA−LCD液晶表示装置の作製)
市販のVA−LCD(SyncMaster 173P、サムスン電子社製)の上下側偏光板を剥がし、上側には通常の偏光板を、下側には実施例1で作製した本発明の光学補償シート付偏光板を、光学異方性層が液晶セル基板ガラス面になるように粘着剤で貼合して本発明の液晶表示装置を作製した。作製した液晶表示装置の断面概略図を、各層の光学的軸の角度関係とともに図4に示す。図4中、41は偏光層、42は透明支持体、43は配向層、44は光学異方層(41〜44で本発明の光学補償シートが構成される)、45は偏光板保護フィルム、46は液晶セル用ガラス基板、47は液晶セル及び48は粘着剤層である。また、偏光層41中の矢印は吸収軸の向きを、光学異方性層44やその支持体44及び保護フィルム45中の矢印は遅相軸の向きを示し、丸印は矢印が紙面に対する法線方向であることを示す。
作製した液晶表示装置の視野角特性を視野角測定装置(EZ Contrast 160D、ELDIM社製)で測定した。さらに特に斜め45度方向について目視でも評価した。実施例6のEZ Contrastによるコントラスト特性を図5に、目視評価結果を表3に示す。
12 液晶性化合物からなる光学異方性層
13 配向層
21 偏光層
22、23 保護フィルム
24 λ/4板、反射防止膜等の機能性層
31 冷陰極管
32 反射シート
33 導光板
34 輝度向上フィルム、拡散フィルム等の調光フィルム
35 液晶セル
36 下側偏光板
37 上側偏光板
41 偏光層
42 透明支持体
43 配向層
44 光学異方層
45 偏光板保護フィルム
46 液晶セル用ガラス基板
47 液晶セル
48 粘着剤
51 一軸延伸光学補償シート
Claims (14)
- 透明支持体と、該透明支持体上に、水が20%以上の溶媒組成からなる溶液を塗布乾燥して形成したポリビニルアルコール又はその誘導体を主成分とする配向層と、該配向層の表面上に、少なくとも一つの重合性基を有する液晶性化合物及び少なくとも一つの重合性基を有する両親媒性化合物をそれぞれ少なくとも一種含有する組成物から形成された光学異方性層を有する光学補償シートであって、光学異方性層の正面レターデーション(Re)が0でなく、面内の遅相軸を傾斜軸(回転軸)として光学補償シートの法線方向に対して+40°傾斜した方向から波長λnmの光を入射させて測定したレターデーション値、および面内の遅相軸を傾斜軸(回転軸)として光学補償シートの法線方向に対して−40°傾斜した方向から波長λnmの光を入射させて測定したレターデーション値が実質的に等しく、
前記少なくとも一つの重合性基を有する両親媒性化合物が、下記の一般式(I)で表される化合物である光学補償シート。
- 前記一般式(I)中のQが、−SiX(Xはハロゲンまたはアルコキシ)、アルデヒド、エステル、カルボキシル、イソシアネート、エポキシ、オキセタン、ボロン酸又はボロン酸エステルである請求項1に記載の光学補償シート。
- 前記液晶性化合物の少なくとも一種が、少なくとも一つの重合性基を有する棒状液晶性化合物であって、前記光学異方性層が該重合性基を重合反応させて形成された層である請求項1又は2に記載の光学補償シート。
- 前記液晶性化合物の少なくとも一種が、少なくとも一つの重合性基を有するディスコティック液晶性化合物であって、前記光学異方性層が該重合性基を重合反応させて形成された層である請求項1又は2に記載の光学補償シート。
- 前記液晶性化合物の少なくとも一種が、少なくとも一つの重合性基を有する棒状液晶性化合物であり、前記組成物がさらにカイラル剤を含み、且つ前記光学異方性層が該重合性基を重合反応させて形成した層である請求項1又は2に記載の光学補償シート。
- X1がアリーレンである請求項1〜7のいずれか1項に記載の光学補償シート。
- 前記配向層が、側鎖に重合性基を有するポリビニルアルコール誘導体、ポリ(メタ)アクリレート誘導体及び多糖類から選択される高分子からなる請求項1〜8のいずれか1項に記載の光学補償シート。
- 透明支持体上に水が20%以上の溶媒組成からなる溶液を塗布及び乾燥してポリビニルアルコール又はその誘導体を主成分とする配向層を形成する工程と、該配向層の表面に、少なくとも一つの重合性基を有する棒状液晶性化合物、カイラル剤及び請求項1中の式(I)で表される少なくとも一つの重合性基を有する両親媒性化合物をそれぞれ少なくとも一種含有する液晶組成物を塗布して、前記棒状液晶性化合物の分子を5゜未満の平均傾斜角でコレステリック配向させる工程と、偏光を照射して、前記棒状液晶化合物の分子を重合させて光学異方性層を形成する工程とをこの順序で実施する請求項1に記載の光学補償シートの製造方法。
- 透明支持体上に水が20%以上の溶媒組成からなる溶液を塗布及び乾燥してポリビニルアルコール又はその誘導体を主成分とする配向層を形成する工程と、該配向層の表面に、少なくとも一つの重合性基を有するディスコティック液晶性化合物、カイラル剤及び請求項1中の式(I)で表される少なくとも一つの重合性基を有する両親媒性化合物をそれぞれ少なくとも一種含有する液晶組成物を塗布して、前記ディスコティック液晶性化合物の分子を5゜未満の平均傾斜角で配向させる工程と、偏光を照射して、前記ディスコティック液晶化合物の分子を重合させて光学異方性層を形成する工程とをこの順序で実施する請求項1に記載の光学補償シートの製造方法。
- 請求項1〜9のいずれか1項に記載の光学補償シートの少なくとも一枚と、偏光子とを有する偏光板。
- 請求項1〜9のいずれか1項に記載の光学補償シート、又は請求項12に記載の偏光板を有する液晶表示装置。
- VAモードである請求項13に記載の液晶表示装置。
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