JP2005089613A - 水性塗料組成物及びそれを用いた塗装方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 水酸基を有する水性ポリウレタン樹脂(A)及び炭素数が4以上の炭化水素基を含有する重合性不飽和モノマー、水酸基含有重合性不飽和モノマー、酸基含有重合性不飽和モノマー及びその他の重合性不飽和モノマーを共重合することにより得られるアクリル共重合体を中和剤にて中和することにより得られる水溶性アクリル樹脂(B)を含有し、該樹脂(A)及び樹脂(B)の配合量が、樹脂(A)及び樹脂(B)の合計固形分に対して樹脂(A)が30〜99重量%、樹脂(B)が1〜70重量%であることを特徴とする水性塗料組成物及び該組成物を用いた塗装方法。
【選択図】なし。
Description
しかしながら、この方法では、膜厚が大きい場合(例えば15μm以上)では、耐水付着性、耐候性等の性能が従来の溶剤型ベースコート用塗料より劣るという問題点があった。
しかしながら該組成物に包含される成分の殆どが架橋構造を有しており、塗料として適用したときに顔料の種類によっては、仕上がり性が不十分な場合があった。
即ち本発明は、
1.水酸基を有する水性ポリウレタン樹脂(A)及び炭素数が4以上の炭化水素基を含有する重合性不飽和モノマー、水酸基含有重合性不飽和モノマー、酸基含有重合性不飽和モノマー及びその他の重合性不飽和モノマーを共重合することにより得られるアクリル共重合体を中和剤にて中和することにより得られる水溶性アクリル樹脂(B)を含有し、該樹脂(A)及び樹脂(B)の配合量が、樹脂(A)及び樹脂(B)の合計固形分に対して樹脂(A)が30〜99重量%、樹脂(B)が1〜70重量%であることを特徴とする水性塗料組成物。
4.水酸基を有する水性ポリウレタン樹脂(A)が、ポリカーボネート鎖を分子中に含有するものである1項ないし3項のいずれか1項に記載の水性塗料組成物。
6.水酸基を有する水性ポリウレタン樹脂(A)の最低造膜温度が55℃以下であって、形成塗膜の破断伸び率が、350〜600%の範囲内である1項ないし5項のいずれか1項に記載の水性塗料組成物。
8.アクリル樹脂エマルション(C)をさらに含有し、水酸基を有する水性ポリウレタン樹脂(A)、水溶性アクリル樹脂(B)及びアクリル樹脂エマルション(C)の配合量が、塗料中の全樹脂固形分に対して(A)が35〜90重量%、(B)が5〜40重量%、(C)が5〜45重量%である1項ないし7項のいずれか1項に記載の水性塗料組成物。
10.被塗面に1項ないし9項のいずれか1項に記載の水性塗料組成物を塗装して、ベース塗膜を形成する塗装方法。
11.被塗面にアンダーコート塗料を塗装した後、該塗面上に1項ないし9項のいずれか1項に記載の水性塗料組成物を塗装してベース塗膜を形成する塗装方法。
13.10項ないし12項のいずれか1項に記載の方法で塗装された塗装物品。
に関する。
本発明において、水性ポリウレタン樹脂とは「水を主たる溶媒もしくは分散媒とするポリウレタン樹脂」を意味し、水中における粒子の形態としては、水溶性タイプ、コロイダルディスパーションタイプ、エマルションタイプ及びスラリータイプのいずれであってもよいが、コロイダルディスパーションタイプもしくはエマルションタイプであることが望ましい。水溶性タイプとは一般に、水中における樹脂粒子の平均粒子径が0.01μm未
満であり、コロイダルディスパーションタイプとは、一般に水中における樹脂粒子の平均粒子径が0.01μm〜0.1μmの範囲内であり、エマルションタイプとは、一般に水中における樹脂粒子の平均粒子径が、0.1〜1μmの範囲内であり、スラリータイプとしては、一般に水中における樹脂粒子の平均粒子径が1μm以上の粒子を表す。本発明において、平均粒子径とは、「SALD−3100」(商品名、島津製作所社製、レーザー回折式粒度分布測定装置)にて、試料を脱イオン水にて測定に適した濃度で希釈して、常温(20℃程度)にして測定したピークトップの値とする。
を有する低分子量アルコール(b)、少なくとも1個の1級又は2級アミノ基を有する化合物(c)、少なくとも2個のイソシアネート基を有するポリイソシアネート化合物(d)、樹脂固形分中に10mgKOH/g以上の酸価を与えるのに十分な量の少なくとも1個のカルボキシル基と1個以上の活性水素を分子内に有する化合物(e)を用いて、公知の方法にてポリウレタンを合成する。そして得られたポリウレタンを化合物(e)のカルボキシル基の40〜120%を中和するのに十分な中和剤(f)で中和後、水中へ乳化分散することにより水性ポリウレタンを得ることができる。
000、酸価は10〜30mgKOH/g、であることが望ましい。分子量が、10,0
00以下の場合、形成塗膜が柔らかすぎて好ましくない。また、耐溶剤性もよくない。また、10,000,000を超えると後述の水溶性アクリル樹脂(B)及び/又はアクリル樹脂エマルション(C)との混和性が著しく低下する。また、酸価において10mgKOH/g以下の場合、得られる水性ポリウレタン樹脂(A)の平均粒子径が1μmより大きくなり、粗粒子化する。このような水性ポリウレタン樹脂を用いた塗料組成物の塗膜外観
は良好でない。一方、30mgKOH/gを超えると塗料組成物の耐水性、耐水付着性が低下するため好ましくない。
(2)水酸基を持つアミノ化合物を用いて鎖伸長を行うと同時に水酸基を分子中に導入する方法がある。前記(イ)及び(ロ)の2種類の構造は、求むべき塗料組成物としての性能、ポリウレタン樹脂の物性等の観点から適切な構造が決定される。
本発明に使用する水性ポリウレタン樹脂(A)の更なる特徴は分岐の個数にある。ここで分岐の個数とは下記の数式により算出される値であり、樹脂1000原子量中の分岐の数を示す。
水酸基を有する水性ポリウレタン樹脂(A)の製造において、使用できる原料の一例としては下記の通りである。
ポリオール、等が挙げられる。
ジオール、エチレングリコール、ネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン、グリセリン、シクロヘキサンジメタノールなどである。
同じく鎖伸長剤もしくは分子量調整剤として用いられる少なくとも1個以上の1級または2級アミノ基を有する化合物(c)の例としてはエチレンジアミン、プロピレンジアミン、キシリレンジアミンなどのジアミン類、トリエチルアミン、ジエチレントリアミン、ジプロピレントリアミン、トリエチレンテトラミンなどのポリアミン類、モノエタノールアミン、ヒドロキシエチルアミノプロピルアミン、ジエタノールアミン、N-メチルエタ
ノールアミンなどのアルカノールアミン等が使用できる。
上記化合物(e)の中和剤としては、通常の塩基性物質が使用でき、例えばトリメチルアミン、トリエチルアミン、ジメチルエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアミン化合物、水酸化ナトリウムなどが使用できる。
本発明においては、本発明の水性塗料組成物から形成される塗膜の耐水付着性の点から水性ウレタン樹脂(A)が、ポリカーボネート鎖を分子中に含有することが望ましい。
水溶性アクリル樹脂(B)
本発明において、水溶性アクリル樹脂(B)は、炭素数が4以上の炭化水素基を含有する重合性不飽和モノマー、水酸基含有重合性不飽和モノマー、酸基含有重合性不飽和モノマー及びその他の重合性不飽和モノマーを共重合することにより得られるアクリル共重合体を中和剤にて中和することにより得られる樹脂である。
重量平均分子量が5000未満では、本発明の水性塗料組成物から最終的に得られる塗膜の耐水性や耐水付着性が低下することがあり、一方100000を超えると塗膜外観が低下する傾向があるので好ましくない。
重合性不飽和モノマーが、1〜20重量%、好ましくは3〜15重量%、その他の重合性不飽和モノマーが、5〜87重量%、好ましくは30〜75重量%であることが望ましい。炭素数が4以上の重合性不飽和モノマーが10未満では耐水性が劣ることがあり、一方60重量%を超えると、塗膜外観が低下するためであるから好ましくない。
この場合、各モノマーの配合割合は、全モノマーを基準として、環状の炭化水素基を有する重合性不飽和モノマーが、10〜60重量%、好ましくは20〜50重量%、酸基含有重合性不飽和モノマーが、1〜20重量%、好ましくは2〜5重量%、水酸基含有重合性不飽和モノマーが1〜20重量%、好ましくは3〜15重量%、ポリオキシアルキレン鎖含有重合性不飽和モノマー1〜40重量%、好ましくは3〜20重量%、その他の重合性不飽和モノマーが1〜87重量%であることが望ましい。
本発明におけるアクリル樹脂エマルション(C)は、アクリル樹脂粒子が水性媒体中に均一に分散してなるものであり、例えば重合性不飽和モノマ−を界面活性剤のような分散安定剤の存在下で、1段又は多段で乳化重合せしめることによって得られる平均粒子径0.1〜1.0μmの平均粒子径を有するアクリル樹脂エマルションが挙げられる。乳化重
合せしめる重合性不飽和モノマ−は前記水溶性アクリル樹脂(B)で例示したモノマ−類から適宜選ばれたものが好ましい。
本発明の水性塗料組成物がアクリル樹脂エマルション(C)を含有する場合は、これら該水性塗料組成物中に含まれる樹脂合計固形分に対して(A)が35〜90重量%、(B)が5〜40重量%、好ましくは5〜30重量%(C)が5〜45重量%、好ましくは10〜45重量%であることが望ましい。
顔料は、最終的に形成される塗膜の重量を基準に0.1〜200重量%、好ましくは1〜150重量%の範囲内とするのが適当である。
本発明の水性塗料組成物には、さらに必要に応じて、紫外線吸収剤、光安定剤、表面調整剤、ポリマー微粒子、分散助剤、塩基性中和剤、防腐剤、シランカップリング剤、増粘剤、消泡剤、硬化触媒、水、有機溶剤などの水性塗料調整の際に通常用いられる他の成分を配合してもよい。
上記イソシアネート架橋剤(D)としては、例えば、ノニオン性の親水基を導入した水分散性ポリイソシアネートが挙げられ、例えば、上記のごとき1分子中にイソシアネート
基を少なくとも2個以上有するポリイソシアネート化合物にポリオキシアルキレン単位を含むノニオン性界面活性剤を反応させてなるものが挙げられる。
本発明においては、上記イソシアネート架橋剤(D)以外の架橋剤、例えばオキサゾリン系架橋剤、ポリカルボジイミド系架橋剤、ブロックイソシアネート架橋剤、メラミン架橋剤等の架橋剤も使用することができる。また、一液型塗料、二液型塗料等多液型塗料など塗料形態も適宜選択できる。
被塗面としては、鉄、アルミニウム、真鍮、銅板、ステンレス鋼板、ブリキ板、亜鉛メッキ鋼板、合金化亜鉛(Zn−Al、Zn−Ni、Zn−Feなど)メッキ鋼板などの金属;これらの金属表面にりん酸亜鉛処理、クロメート処理などの化成処理を施した表面処理金属;プラスチック、木材、コンクリート、モルタル等の被塗物素材面、又はこれら被塗物素材面にプライマー等の下塗り及び/又は中塗り及び/又は上塗り塗料を塗装した塗膜面などが挙げられる。
塗膜の乾燥方法としては、常温乾燥(40℃未満)、強制乾燥(40℃以上、好ましくは40〜80℃)の条件下に使用でき、さらに高温(80℃以上)での焼付けにも適用可能である。
ら距離が最も離れた周辺箇所であって、乾燥膜厚で0.1〜5μm、好ましくは0.1〜1.2μm範囲内となるようにすることが望ましい。未補修部位上に形成されるベース塗膜の最小膜厚が5μmを超えると、ベース塗膜と未補修部位との仕上がり性差が目立つことがある。未補修部位上に形成されるベース塗膜において、上記補修部位から最小膜厚部に達するまでの距離としては、補修部位と未補修部位との境界部から最小膜厚部に達するまでの距離で、10〜100cm、好ましくは20〜80cmが好適である。補修部位と未補修部位との境界部から最小膜厚部に達するまでの距離が10cm未満では、ベース塗膜と未補修部位との仕上がり性差が目立つことがある。
このアンダーコート塗料を設ける塗装方法において、本発明の水性塗料組成物によりベース塗膜を形成する塗装方法として、上記ぼかし塗装を施すと、例えばベースコート塗膜がメタリック塗色である場合などに補修部位と未補修部位上に形成されたベースコート塗膜の仕上がり性差が目立たず、特に有効である。
本発明は、上記の通り得られる本発明の水性塗料組成物を上記塗装方法で塗装した後、該ベース塗膜上にトップクリヤーを塗装してなる塗装方法を提供する。
塗装後の塗膜の硬化、乾燥は、常温乾燥、強制乾燥のいずれによるものであってもよい。
本発明方法に用いられるトップクリヤ−塗料としては、従来公知のものが特に制限なく使用でき、主として有機溶剤型塗料(非水分散型を含む)や粉体塗料が挙げられ、例えば水酸基などの架橋性官能基を有するアクリル樹脂やフッ素樹脂を主剤とし、ブロックポリイソシアネ−ト、ポリイソシアネートやメラミン樹脂などを架橋剤とする硬化型塗料、あるいはセルロ−スアセテ−トブチレ−ト変性のアクリル樹脂を主成分とするラッカ−塗料などが好適に使用できる。このうち水酸基含有樹脂及びポリイソシアネート架橋剤を含有する塗料を用いた場合、トップクリヤ−塗膜からベ−スコ−ト塗膜中にイソシアネ−ト成分が一部しみ込んでくるので、ベ−スコ−ト塗料中に含まれる水酸基と反応するので、ベ−スコ−ト塗料中に架橋剤成分を用いない或いは減量できる上、ベース塗膜とトップクリヤー塗膜間の付着性が向上するので好適である。
該トップクリヤ−塗料による塗膜は、乾燥膜厚で20〜100μmの範囲が適当である。
ポリウレタン樹脂エマルションの製造
製造例1
メチルエチルケトンを反応溶媒としてブチレンアジペート(1,4−ブタンジオールと
アジピン酸との反応物、数平均分子量1000)62.6部、トリメチロールプロパン
1.4部、ジメチロールプロピオン酸4.1部、イソホロンジイソシアネート31.7部をジブチルチンジラウレートを触媒として反応させ、ウレタンプレポリマーを合成した。そのウレタンプレポリマーの遊離イソシアネート基は2.7%であった。次にトリエチルアミン3.1部を加えることにより中和を行った後、ホモミキサーを用いて高速攪拌しながら蒸留水250部を添加して乳化を行った。次に、エチレンジアミン1.0部を蒸留水10部に溶解したエチレンジアミン水溶液を添加して反応させた。次にエバポレーターを用いて反応溶媒であるメチルエチルケトンを減圧回収することにより水性ポリウレタン樹脂エマルション(A1)を得た。得られた水性ポリウレタン樹脂エマルション(A1)の水酸基価は0mgKOH/gであり、分岐数は0.104であった。かかる樹脂エマルション(A1)の形成塗膜の最低造膜温度は、5℃以下、伸び率は550%であった。
メチルエチルケトンを反応溶媒として、1,6ヘキサンジオールカーボネート(数平均分子量1000)62.6部、トリメチロールプロパン1.4部、ジメチロールプロピオン
酸4.1部、イソホロンジイソシアネート31.7部をジブチルチンジラウレートを触媒として反応させ、ウレタンプレポリマーを合成した。そのウレタンプレポリマーの遊離イソシアネート基は2.6%であった。次にトリエチルアミン3.1部を加えることにより中和を行った後、ホモミキサーを用いて高速攪拌しながら蒸留水250部を添加して乳化を行った。次にエチレンジアミン1.0部を蒸留水10部に溶解したエチレンジアミン水溶液を添加して反応させた。次にエバポレーターを用いて反応溶媒であるメチルエチルケトンを減圧回収することによりポリウレタン樹脂エマルション(A2)を得た。得られたポリウレタン樹脂エマルション(A2)の水酸基価は0mgKOH/gであり、分岐数は0.104であった。かかる樹脂エマルション(A2)の最低造膜温度は40℃、伸び率は330%であった。
製造例1のウレタンプレポリマーにヒドロキシエチルアミノプロピルアミンを1.9部添加して鎖伸長を行った。次にトリエチルアミン3.1部を加えることにより中和を行った後、ホモミキサーを用いて高速攪拌しながら蒸留水250部を添加して乳化を行った。乳化後攪拌を続けることにより、遊離イソシネート基と水とを反応させた。遊離イソシアネート基が完全に消失したことを確認の後、エバポレーターを用いて反応溶媒であるメチルエチルケトンを減圧回収することによりポリウレタン樹脂エマルション(A3)を得た。得られたポリウレタン樹脂エマルション(A3)の水酸基価は7mgKOH/gであり、分岐数は0.104であった。かかる樹脂エマルション(A3)の形成塗膜の最低造膜温度は、5℃以下、伸び率は550%であった。
メチルエチルケトンを反応溶媒として、3−メチル−1,5−ペンタンジオールカーボ
ネート(数平均分子量1000)61.5部、トリメチロールプロパン3.8部、ジメチロ
ールプロピオン酸4.1部、ヘキサメチレンジイソシアネート30部をジブチルチンジラウレートを触媒として反応させた。次に、メチルエタノールアミン1.3部添加して反応を行い、ウレタンプレポリマーを合成した。このウレタンプレポリマーの遊離イソシアネート基は3.1%であった。次に、トリエチルアミン3.1部を加えることにより中和を行った後、ホモミキサーを用いて高速攪拌しながら蒸留水250部を添加して乳化を行った。次に、ジエチレントリアミン2.0部を蒸留水20部に溶解したジエチレントリアミン水溶液を添加して反応させた。次にエバポレーターを用いて反応溶媒であるメチルエチルケトンを減圧回収することによりポリウレタン樹脂エマルション(A4)を得た。得られたポリウレタン樹脂エマルション(A4)の水酸基価は9mgKOH/gであり、分岐数は0.298であった。かかる樹脂エマルション(A4)の形成塗膜の最低造膜温度は、5℃以下、伸び率は550%であった。
メチルエチルケトンを反応溶媒として1,6ヘキサンジオールカーボネート(数平均分子量1000)52.0部、トリメチロールプロパン2.5部、1,4−ブタンジオール1.0部、ジメチロールプロピオン酸4.1部、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート39.4部をジブチルチンジラウレートを触媒として反応させ、次にジエタノールアミン0.8部添加して反応させてウレタンプレポリマーを合成した。そのウレタンプレポリマーの遊離イソシアネート基は2.1%であった。次にトリエチルアミン3.1部を加えることにより中和を行った後、ホモミキサーを用いて高速攪拌しながら蒸留水250部を添加して乳化を行った。次にキシリレンジアミン1.7部を蒸留水20部に溶解したキシリレンジアミン水溶液を添加して反応させた。次にエバポレーターを用いて反応溶媒であるメチルエチルケトンを減圧回収することによりポリウレタン樹脂エマルション(A5)を得た。得られたポリウレタン樹脂エマルション(A5)の水酸基価は10mgKOH/gであり、分岐数は0.110であった。かかる樹脂エマルション(A5)の形成塗膜の最低造膜温度は45℃、伸び率は370%であった。
製造例6
反応容器にエチレングリコールモノブチルエーテル750部を加え、窒素気流中で115℃に昇温した。115℃に達した後、メチルメタクリレート200部、n−ブチルアクリレート200部、イソボルニルアクリレート300部、スチレン110部、ヒドロキシエチルアクリレート50部、アクリル酸40部、「NFバイソマーS20W」(注1)100部およびアゾビスイソブチロニトリル10部の混合物を3時間かけて加え、2時間熟成を行った。反応終了後、ジメチルエタノールアミンで当量中和し、さらにブチルセロソルブを250部を加えて、酸価31mgKOH/g、水酸基価40mgKOH/g、固形
分50%の水溶性アクリル共重合体溶液(B1)を得た。かかる樹脂の重量平均分子量は、45000であった。
(注1)「NFバイソマーS20W」:商品名、第一工業製薬社製、メトキシポリエチレングリコールメタクリレート(分子内にオキシエチレン基の45量体を含有する末端がメトキシ基のメタクリレート)
製造例7
反応容器に脱イオン水100部、「Newcol707SF」(日本乳化剤社製、界面活性剤、固形分30%)2.5部およびモノマー混合物(スチレン32部、n−ブチルアクリレート41部、2−エチルヘキシルメタクリレート16部、ヒドロキシエチルアクリレート10部、メタクリル酸1部)のうちの1部を加え、窒素気流で攪拌混合し、60℃で3%過硫酸アンモニウム3部を加えた。次いで、80℃に昇温して前記モノマー混合物の残りの99部、「Newcol707SF」2.5部、3%過硫酸アンモニウム4部および脱イオン水100部からなるプレエマルションを4時間かけて定量ポンプを用いて反
応容器に加え、添加終了後1時間熟成を行った。その後、脱イオン水33部を加え、ジメチルエタノールアミンでpH7.5に調整し、平均粒子径0.1μm、固形分30%のアクリル樹脂エマルション(C1)を得た。
製造例8
攪拌混合容器にアルミニウム顔料ペースト「MG−51」(旭化成社製、金属含有量66%)45.5部、エチレングリコールモノブチルエーテル35部、リン酸基含有樹脂溶液(注2)3部を添加し、攪拌混合してアルミニウム顔料ペースト濃厚液(D1)を得た。
(注2)リン酸基含有樹脂溶液:攪拌器、温度調節器および冷熱器を備えた反応容器にメトキシプロパノール27.5部、イソブタノール27.5部の混合溶剤を入れ、110℃に加熱し、スチレン25部、n−ブチルメタクリレート27.5部、「イソステアリルアクリレート」(大阪有機化学社製イソステアリルアクリレート)20部、ヒドロキシブチルアクリレート7.5部、リン酸基含有重合性モノマー(注3)15部、2−メタクリロイルオキシエチルアシッドホスフェート12.5部、イソブタノール10部、t−ブチルパーオキシオクタノエート4部からなる混合物121.5部を4時間で上記の混合溶剤に加え、さらにt−ブチルパーオキシオクタノエート0.5部とイソプロパノール20部からなる混合物を1時間で滴下した。その後、1時間攪拌熟成して固形分50%のリン酸基含有樹脂溶液を得た。本樹脂のリン酸基による酸価は83mgKOH/g、ヒドロキシブチルアクリレートに由来する水酸基価は29mgKOH/g、重量平均分子量は10000であった。
(注3)リン酸基含有重合性モノマー:攪拌器、温度調節器および冷熱器を備えた反応容器にモノブチルリン酸57.5部、イソブタノール41.1部を入れ、空気通気下でグリシジルメタクリレート42.5部を2時間で滴下した後、さらに1時間攪拌熟成した。その後、イソプロパノ−ル5.9部を加えて、固形分50%のリン酸基含有重合性モノマー溶液を得た。リン酸基による酸価は285mgKOH/gであった。
実施例1
上記で得たアルミニウム顔料ペースト濃厚液(D1)83.5部と製造例6で得た水溶性アクリル樹脂溶液(B1)40部を攪拌混合容器中に加え、1時間攪拌した後、ポリウレタン樹脂エマルション(A3)266.7部、「プライマルASE−60」(ロームアンドハース社製、増粘剤)16.7部を添加し、さらに1時間攪拌を続けた。得られた混合物をジメチルエタノールアミンでpH8.0に調整した後、脱イオン水を添加し、固形分20%のメタリック色の水性ベースコート塗料(BC−1)を得た。
実施例1において、配合組成を表1に示す通りとする以外は実施例1と同様にして各水性ベースコート塗料(BC−2)〜(BC−4)及び(BC−6)〜(BC−9)を得た。尚、表1は固形分表示である。
実施例2で得られたベースコート塗料100g(主剤)に対して「バイヒジュールVPLS2319」(商品名、住友バイエルウレタン社製、イソシアネート含有量18.3%の水分散型ポリイソシアネート)3.7gを混合し、均一になるまで攪拌し、ニ液型水性ベースコート塗料(BC−5)を作成した。なお、主剤中の水酸基と、架橋剤のイソシアネート基の当量比(NCO/OH)は1.5であった。
(*1)スプレー塗装容易性評価
上記実施例1〜5及び比較例1〜4で調製した各水性ベースコート塗料(BC−1)〜
(BC−9)を用いてスプレー塗装容易性を評価した。具体的には、自動車車体用クリヤー塗料を塗装した工程版を、#800耐水ペーパーで研磨、脱脂し、被塗板とし、これに上記各水性ベースコート塗料を塗装する際の塗料の微粒化を以下の基準で評価した。表1に評価結果を併記した。実施例5の二液型ベースコート塗料(BC−5)のスプレー塗装容易性の評価は○であった。
○:良好、△:やや劣る。×:かなり劣る。
実施例6〜10及び比較例5〜8
自動車車体用クリヤー塗料を塗装した工程版を、#800耐水ペーパーで研磨、脱脂し、被塗板とした。該被塗面に上記で作成した各水性ベースコート塗料(BC−1)〜(BC−9)を脱イオン水で25秒(イワタカップ/25℃)に粘度調整し、20℃、60%RH雰囲気下でエアスプレー塗装し、60℃強制乾燥した後、乾燥膜厚が15μmの塗膜を得た。各ベースコート塗膜上に「レタンPGマルチクリヤーHX(Q)」(商品名、関西ペイント社製、水酸基含有アクリル樹脂及びポリイソシアネート硬化剤を含有する塗料)を乾燥膜厚40μmとなるようにエアスプレー塗装し、60℃で20分間強制乾燥し、各試験塗板を得た。
自動車車体用クリヤー塗料を塗装した工程板を、#800耐水ペーパーで研磨、脱脂し、その後、アンダーコート用の水性クリヤー塗料(注4)を脱イオン水で25秒(イワタカップ/25℃)に粘度調整し、20℃、60%RH雰囲気下でエアスプレー塗装し、被塗面とした。該被塗面に実施例2で作成した水性ベースコート塗料(BC−2)を脱イオン水で25秒(イワタカップ/25℃)に粘度調整し、20℃、60%RH雰囲気下でエアスプレー塗装し、60℃強制乾燥した後、乾燥膜厚が15μmの塗膜を得た。「レタンPGマルチクリヤーHX(Q)」(商品名、関西ペイント社製、ウレタン硬化系クリヤー塗料)を乾燥膜厚40μmとなるようにエアスプレー塗装し、60℃で20分間強制乾燥し、試験塗板を得た。
(注4)製造例6で得た水溶性アクリル樹脂溶液(B1)40部、脱イオン水200部、エチレングリコールモノブチルエーテル35部を攪拌混合容器中に加え、1時間攪拌した後、製造例4で得たポリウレタン樹脂エマルション(A4)266.7部、「プライマルASE−60」(ロームアンドハース社製、増粘剤)16.7部を添加し、さらに1時間攪拌を続けた。得られた混合物をジメチルエタノールアミンでpH8.0に調整した後、脱イオン水を添加し、固形分15%のアンダーコート用の水性クリヤー塗料を得た。
上記実施例6〜11及び比較例5〜8で得られた各試験塗板に関し、以下の各項目について評価試験を行った。結果を表2に示した。
(*2)初期付着性:各試験板上の複層塗膜に素地に達するようにカッターで切り込みを入れ、大きさ1mm×1mmのゴバン目を100個作り、その表面に粘着テープを貼着し、20℃においてそのテープを急激に剥離した跡のゴバン目塗膜の残存数を調べた。○は100個残存、△は99〜81個残存、□は80〜41個残存、×は40個以下残存していたことを示す。
(*3)耐水性:各試験塗板を40℃の温水に10日間浸漬し、引き上げてから各塗膜表面を観察した。◎:異常なし、○:わずかに白化が見られる、△:白化がみられる、×:フクレ、白化などの異常が見られる。
(*4)耐水付着性:試験塗板を40℃の温水に10日間浸漬し、引き上げ、室温で12時間乾燥してから、上記初期付着性試験と同様にしてゴバン目試験を行った。評価基準も初期付着性試験と同じである。
(*5)促進耐候性:各試験塗板を、Qパネル(株)製促進耐候性試験機(QUV)を用いた促進耐候性試験に供した。試験条件は、(紫外線照射:70℃で8時間〜湿潤:4時間)の繰り返しを100時間行った後、試験後の塗板を40℃の温水に2日間浸漬するのを1サイクルとした。この1サイクル後と2サイクル後の塗板を夫々、上記初期付着性試験と同様にしてゴバン目試験に供した。評価基準も初期付着性試験と同じである。
(*6)塗膜外観 :上記実施例6〜11及び比較例5〜8で得られた試験塗板の塗膜面
を目視で評価した。○はメタリック顔料が塗面に対して平行かつ均一に配向し、メタリックムラの発生が全く認められない、△はメタリックムラの発生が少し認められた、×はメタリックムラの発生が多く認められたことを示す。
自動車車体用中塗り塗膜上へ、脱イオン水で25秒(イワタカップ/25℃)に粘度調整した上記各水性ベースコート塗料(BC−1)〜(BC−9)を20℃、60%RH雰囲気下でエアスプレー塗装し、60℃強制乾燥した後、乾燥膜厚が15μmの塗膜を得た。その後、自動車車体用クリヤー塗料を塗装、強制乾燥し工程板を得た。工程板を、#800耐水ペーパーで研磨、脱脂し、被塗板とした。その後、上記水性ベースコート塗料(BC−1)〜(BC−9)を脱イオン水で25秒(イワタカップ/25℃)に粘度調整し、20℃、60%RH雰囲気下で最大膜厚が15μm、最低膜厚が1μmで、最大膜厚から最小膜厚までの距離が40cmで、膜厚が傾斜になるようにエアスプレーで塗装をおこない、60℃強制乾燥した。その後、「レタンPGマルチクリヤーHX(Q)」(商品名、関西ペイント社製、ウレタン硬化系クリヤー塗料)を乾燥膜厚40μmとなるように全面にエアスプレー塗装し、60℃で20分間強制乾燥し、塗装工程板を得た。
実施例17
上記実施例7において、ベースコート塗料を塗装する前にあらかじめアンダーコート用の水性クリヤー塗料(注4)による塗膜を設ける以外は実施例7と同様にして塗装工程板
を得た。
(*7)旧塗膜識別性の評価
上記実施例12〜17及び比較例9〜12で得られた塗装工程板を用いて傾斜になるように塗装を行った水性ベースコート塗装部分と旧塗膜の水性ベースコート部分との識別の可否を評価した。結果を表3に示す。
◎:識別不可 ○:わずかに識別可能 △:可能 ×:著しく目立つ
Claims (13)
- 水酸基を有する水性ポリウレタン樹脂(A)及び炭素数が4以上の炭化水素基を含有する重合性不飽和モノマー、水酸基含有重合性不飽和モノマー、酸基含有重合性不飽和モノマー及びその他の重合性不飽和モノマーを共重合することにより得られるアクリル共重合体を中和剤にて中和することにより得られる水溶性アクリル樹脂(B)を含有し、該樹脂(A)及び樹脂(B)の配合量が、樹脂(A)及び樹脂(B)の合計固形分に対して樹脂(A)が30〜99重量%、樹脂(B)が1〜70重量%であることを特徴とする水性塗料組成物。
- 水酸基を有する水性ポリウレタン樹脂(A)が、数平均分子量500〜5000の少なくとも2個の水酸基を有するポリオール(a)、少なくとも2個の水酸基を有する低分子量アルコール(b)、少なくとも1個の1級又は2級アミノ基を有する化合物(c)、少なくとも2個のイソシアネート基を有するポリイソシアネート化合物(d)、樹脂固形分中に10mgKOH/g以上の酸価を与えるのに十分な量の少なくとも1個のカルボキシル基と1個以上の活性水素を分子内に有する化合物(e)、および前記化合物(e)のカルボキシル基の40〜120%を中和するのに十分な中和剤(f)、からなる水酸基を有するポリウレタンであることを特徴とする請求項1に記載の水性塗料組成物。
- 前記水酸基を有する水性ポリウレタン樹脂(A)において、樹脂1000原子量あたりの分岐の数が0.1個以上であることを特徴とする請求項1または2に記載の水性塗料組成物。
- 水酸基を有する水性ポリウレタン樹脂(A)が、ポリカーボネート鎖を分子中に含有するものである請求項1ないし3のいずれか1項に記載の水性塗料組成物。
- 水酸基を有する水性ポリウレタン樹脂(A)の水酸基価が1〜30mgKOH/gである請求項1ないし4のいずれか1項に記載の水性塗料組成物。
- 水酸基を有する水性ポリウレタン樹脂(A)の最低造膜温度が55℃以下であって、形成塗膜の破断伸び率が、350〜600%の範囲内である請求項1ないし5のいずれか1項に記載の水性塗料組成物。
- 水溶性アクリル樹脂(B)が、環状の炭化水素基を有する重合性不飽和モノマー及びポリオキシアルキレン鎖を含有する重合性不飽和モノマーを共重合成分とする請求項1ないし6のいずれか1項に記載の水性塗料組成物。
- アクリル樹脂エマルション(C)をさらに含有し、水酸基を有する水性ポリウレタン樹脂(A)、水溶性アクリル樹脂(B)及びアクリル樹脂エマルション(C)の配合量が、塗料中の全樹脂固形分に対して(A)が35〜90重量%、(B)が5〜40重量%、(C)が5〜45重量%である請求項1ないし7のいずれか1項に記載の水性塗料組成物。
- イソシアネート架橋剤(D)をさらに含む請求項1ないし8のいずれか1項に記載の水性塗料組成物。
- 被塗面に請求項1ないし9のいずれか1項に記載の水性塗料組成物を塗装して、ベース塗膜を形成する塗装方法。
- 被塗面にアンダーコート塗料を塗装した後、該塗面上に請求項1ないし9のいずれか1項に記載の水性塗料組成物を塗装してベース塗膜を形成する塗装方法。
- 請求項10または11に記載の塗装方法により形成されたベース塗膜上にさらにトップクリヤー塗料を塗装してなる塗装方法。
- 請求項10ないし12のいずれか1項に記載の方法で塗装された塗装物品。
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