JP2007038652A - 表面処理金属材 - Google Patents

表面処理金属材 Download PDF

Info

Publication number
JP2007038652A
JP2007038652A JP2006174585A JP2006174585A JP2007038652A JP 2007038652 A JP2007038652 A JP 2007038652A JP 2006174585 A JP2006174585 A JP 2006174585A JP 2006174585 A JP2006174585 A JP 2006174585A JP 2007038652 A JP2007038652 A JP 2007038652A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
film
metal material
group
treated metal
mass
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2006174585A
Other languages
English (en)
Other versions
JP4598724B2 (ja
Inventor
Masahiro Fuda
雅裕 布田
Hiroshi Kanai
洋 金井
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Steel Corp
Original Assignee
Nippon Steel Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nippon Steel Corp filed Critical Nippon Steel Corp
Priority to JP2006174585A priority Critical patent/JP4598724B2/ja
Publication of JP2007038652A publication Critical patent/JP2007038652A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4598724B2 publication Critical patent/JP4598724B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Paints Or Removers (AREA)
  • Other Surface Treatments For Metallic Materials (AREA)
  • Application Of Or Painting With Fluid Materials (AREA)
  • Laminated Bodies (AREA)

Abstract

【課題】本発明は,環境負荷の高い6価クロムを含まず,かつ,耐溶剤性,加工性及び耐食性に優れる表面処理金属材を提供する。
【解決手段】本発明に係る表面処理金属材は,金属材表面の少なくとも一部に,シラノール基及び/又はシロキサン結合を含有するウレタン樹脂を少なくとも含有する皮膜が被覆された表面処理金属材であって,前記ウレタン樹脂皮膜は,リン酸化合物及び酸化ケイ素を含有し,前記リン酸化合物が皮膜全固形分に対しリン換算で0.1〜10質量%,前記酸化ケイ素と前記シラノール基及び/又は前記シロキサン結合との合計量が皮膜全固形分に対しケイ素換算で2.1〜30質量%含有することを特徴とする。
【選択図】なし

Description

本発明は,耐溶剤性,加工性及び耐食性に優れ,クロメート処理材に代替可能な表面処理金属板に関するものである。
家庭電化製品,自動車,建築材料等の各分野において,防錆または上層との皮膜密着性を目的として,鋼板や表面処理鋼板にクロメート処理を施すのが一般的である。しかし,通常,クロメート処理皮膜は環境負荷の高い6価のクロムを含有することから,近年,この処理皮膜の6価クロムフリー化に対する要望が高まっており,一部では既に全廃に向けて動き出している業界もある。
これらの流れに対し,クロムを含まない表面処理方法が各種提案されている。例えば,無機化合物を主体とする皮膜として,特許文献1には,正リン酸,アルミ系ゾル,金属系ヒドロゾルを含む処理液で処理する方法が,特許文献2には,水ガラスやケイ酸ソーダとピラゾールで処理する方法が,特許文献3には,シリケートコーティングを行う方法が開示されている。しかし,無機系皮膜は,加工成形時に疵が発生し易く,用途が限定されるという問題があった。また,例えば,塩化ナトリウムに対する耐食性についても,未だクロメート処理に対し十分満足する性能は得られていない。
そこで,従来の有機皮膜を主体としたクロメート皮膜に代替可能な皮膜が種々検討されている。その中でも,ウレタン樹脂皮膜をベースにした技術がいくつか開示されている。例えば,特許文献4には,加工後の皮膜密着性に優れる皮膜の例として,ウレタン樹脂及び二酸化ケイ素の複合物質又は混合物質を主成分とする皮膜層を設ける技術が開示されている。しかし,さまざまな用途へ使用が広がるにつれ,その要求特性も厳格化しつつあり,特許文献4に記載の技術の場合,ウレタン樹脂皮膜と二酸化ケイ素のみで,例えば,耐溶剤性等の厳格化した性能を確保することは困難となる懸念がある。
また,例えば,特許文献5には,電着性及び溶接性に優れた皮膜の例として,ウレタン樹脂にコロイダルシリカ又はシランカップリング剤,及び特定の金属リン酸塩を含有する樹脂皮膜を設ける技術が開示されている。この場合,皮膜の通電性を重視して金属リン酸塩を添加したため,加工性や加工後耐食性が不足することが懸念され,また,架橋性官能基を有しない一般的なウレタン樹脂を用いているため,皮膜形成能が十分に得られず,耐溶剤性が低下することが懸念される。
さらに,防錆を目的とした例として,例えば,特許文献6には,親水性成分を導入したウレタン樹脂にシランカップリング剤を添加した皮膜の技術が,特許文献7には,水性ポリウレタン樹脂と水性ポリオレフィン樹脂との混合物に,水性シリカ,シランカップリング剤,チオカルボニル基含有化合物,リン酸イオンを混合した防錆コーティング剤の技術が,特許文献8には,金属リン酸塩に水性ウレタン樹脂及びオキシカルボン酸化合物を混合した処理液の技術が開示されている。しかしながら,特許文献6および7に記載の技術では,シランカップリング剤を混合しているため,溶液の反応性が不安定で,製造条件によっては性能がばらつく懸念があった。また,特許文献8に記載の技術では,金属リン酸塩を添加しているため皮膜形成能が十分に得られず,耐溶剤性等が低下する懸念がある。また,特許文献6〜8のいずれも安定して十分な架橋反応は望めないため,汚れを溶剤で拭き取る場合に必要な耐溶剤性が劣る懸念がある,といった問題を有していた。
特公昭53−47774号公報 特公昭58−31390号公報 特開平4−29387号公報 特公平6−7950号公報 特公平6−71579号公報 特開2001−59184号公報 特開2001−164182号公報 特開2001−181855号公報
そこで,本発明は,このような問題に鑑みてなされたもので,その目的は,環境負荷の高い6価クロムを含まず,かつ,耐溶剤性,加工性及び耐食性に優れる,新規かつ改良された表面処理金属材を提供することにある。
本発明者らは,水性ポリウレタン樹脂の構成や各種添加剤が金属材の耐食性,耐溶剤性,加工性に及ぼす影響を詳細に検討した結果,シラノール基を有するウレタン樹脂を少なくとも含有する樹脂にリン酸化合物及び酸化ケイ素を混合した表面処理剤を調製し,この表面処理剤を金属材料上に塗布し焼付け乾燥することで,安定した架橋反応により強靭な皮膜を形成でき,プレス加工や耐溶剤性に優れる皮膜を形成できると共に,十分な耐食性を発揮することを見出した。
通常,水性ポリウレタン樹脂の場合,水中にエマルジョンとして分散し,塗布後の焼付け乾燥時に被塗物上に配列し融着することで皮膜を形成する熱可塑型皮膜形成が一般的である。このポリウレタン樹脂中にシラノール基を含有させることで,熱可塑による融着皮膜構造の他にシラノール同士の架橋反応により架橋構造を形成することが可能となる。この効果は,他の樹脂が混合している場合でも損なわれることは無く,その混合比率に応じて発揮される。かつ,同時にリン酸化合物及び酸化ケイ素を添加することで,未反応のシラノール基の反応を促進し,より架橋反応の効率を高めることができると考えられる。また,リン酸化合物は,下地の鉄や亜鉛めっき等の金属表面と反応して皮膜を形成し,耐食性に寄与する効果もあると考えられる。
また,さらにある特定の架橋剤を導入することで,ポリウレタン樹脂との架橋反応をより低い焼付け温度で効率よく行うことができるとともに,架橋剤自身の有する特性を皮膜に付加することができる。この架橋剤が,イソシアネート化合物,カルボジイミド基含有化合物,オキサゾリン基含有化合物又は有機チタネートのうちの少なくとも1種以上からなる架橋剤の場合に最も効果が顕著である。
ここで,「架橋剤自身の有する特性を皮膜に付加」とは,架橋剤も高分子体の場合があり,その場合,樹脂と樹脂とを架橋する作用以外にも,架橋剤高分子そのものの有する特性を付加することもできる,ということを意味している。具体的には,架橋剤骨格の高分子及び結合している有機高分子によって,皮膜密着性や耐溶剤性が向上する場合がある。
また,リン酸化合物が,所定量のアンモニア,ナトリウム,カルシウム又はマグネシウムのリン酸塩の少なくとも1種以上からなり,さらに,酸化ケイ素が所定量含有されている表面処理剤であって,該ポリウレタン樹脂を構成する高分子中に所定量のシラノール基を含有する場合に,ポリウレタン樹脂とリン酸化合物及び酸化ケイ素との皮膜形成能と性能(加工性,耐溶剤性,耐食性等)のバランスが最も良好で,各種性能で好ましい結果が得られ,かつ,表面処理剤としての安定性も良好である。
さらに,潤滑性付与剤を適宜添加することにより,良好な性能を保ちつつ,低い摩擦係数の製品が得られ,加工性に優れた表面処理金属材を得ることができる。また,潤滑性付与剤を添加した表面処理剤を金属材,鋼材,各種亜鉛(Zn)めっき鋼板に所定の膜厚で塗布することにより,それぞれ目的とする特性において最も良好な性能が得られることも見出した。具体的には,本発明者らは,表面処理金属材が使用される材料や用途に応じて,求められる潤滑性の程度が異なるため,膜厚を制御することによって潤滑性を適度に上げたり下げたりし,他性能(耐溶剤性,耐食性)とのバランスをとった最適構成にすることができることを見出した。
即ち,本発明の主旨とするところは,以下のとおりである。
(1) 金属材表面の少なくとも一部に,シラノール基及び/又はシロキサン結合を含有するウレタン樹脂を少なくとも含有する皮膜が被覆された表面処理金属材であって,前記皮膜は,リン酸化合物及び酸化ケイ素を含有し,前記リン酸化合物が皮膜全固形分に対しリン換算で0.1〜10質量%,前記酸化ケイ素と前記シラノール基及び/又は前記シロキサン結合との合計量が皮膜全固形分に対しケイ素換算で2.1〜30質量%含有することを特徴とする,表面処理金属材。
(2) 前記皮膜の樹脂成分が,シラノール基及び/又はシロキサン結合を含有するウレタン樹脂であることを特徴とする,(1)に記載の表面処理金属剤。
(3) 前記皮膜の架橋剤は,イソシアネート化合物,カルボジイミド基含有化合物,オキサゾリン基含有化合物,有機チタネートから選ばれる1種以上の化合物であることを特徴とする,(1)に記載の表面処理金属材。
(4) 前記皮膜中に,前記リン酸化合物中の成分として,ナトリウム,カルシウム及びマグネシウムからなる群から選択される1種以上の元素が含まれていることを特徴とする,(1)に記載の表面処理金属材。
(5) 前記酸化ケイ素は,コロイダルシリカであることを特徴とする,(1)に記載の表面処理金属材。
(6) 前記皮膜は,さらに潤滑性付与剤を含有し,該潤滑性付与剤の含有量が,皮膜全固形分に対し0.2〜30質量%であることを特徴とする,(1)に記載の表面処理金属材。
(7) 前記金属材は,鋼材であることを特徴とする,(1)に記載の表面処理金属材。
(8) 前記鋼材は,Znめっき鋼板又はZn合金めっき鋼板であることを特徴とする,(6)に記載の表面処理金属材。
本発明によれば,環境負荷の高い6価クロムを含まず,かつ,優れた耐溶剤性,加工性及び耐食性を有し,性能でも従来のクロメート処理を施した鋼板に代替可能な表面処理金属材を提供することができる。したがって,本発明に係る表面処理金属板は,今後の環境対応素材として非常に有望であり,各産業分野への寄与も大きい。
以下に,本発明を実施するための最良の形態について詳細に説明する。
本発明に係る表面処理金属材は,樹脂骨格にシラノール基を結合させたポリウレタン樹脂を水に分散または溶解させ,さらにリン酸化合物及び酸化ケイ素を併せて混合した表面処理剤を作製し,この表面処理剤を金属材料上に塗布した後,焼付け乾燥または自然乾燥させることにより形成することができる。もしくは,樹脂骨格にシラノール基を結合させたポリウレタン樹脂と,他の樹脂とを混合した溶液に,さらにリン酸化合物及び酸化ケイ素を併せて混合した表面処理剤を作製し,金属板上に塗布,焼付け乾燥することにより形成することができる。
樹脂の中にシラノール基を含有するウレタン樹脂は,例えば,分子内に少なくとも1個以上の活性水素基を有する加水分解性ケイ素基含有化合物とポリウレタンプレポリマーとを反応させ,その後,水に分散または溶解し,加水分解することにより形成することができる。加水分解性ケイ素基とは,水分により加水分解を受ける加水分解性基がケイ素原子に結合している基を言う。また,上記加水分解性基の具体例としては,水素原子,ハロゲン原子,アルコキシ基,アシルオキシ基,アミノ基,アミド基,アミノオキシ基,メルカプト基等が挙げられる。これらのうち,加水分解性が比較的小さく取扱いが容易であることから,アルコキシ基が好ましい。上記加水分解性基は,通常,1個のケイ素原子に1〜3個の範囲で結合しているが,塗布後の加水分解性ケイ素基の反応性,耐水性,耐溶剤性と言った点から2〜3個程度結合しているものが好ましい。
上記分子内に少なくとも1個以上の活性水素基を有する加水分解性ケイ素基含有化合物としては,例えば,γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン,γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリエトキシシラン,γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルジメトキシシラン,γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルジエトキシシラン,γ−アミノプロピルトリメトキシシラン,γ−アミノプロピルトリエトキシシラン,γ−アミノプロピルジメトキシシラン,γ−アミノプロピルジエトキシシラン,γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン,γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン,γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン,γ−メルカプトプロピルジエトキシシラン等が挙げられるが,皮膜形成により効果的に寄与するという点で,ポリウレタン樹脂を構成する分子の間にシラノール基を導入するのが望ましく,2個以上の活性水素基を有する加水分解性ケイ素基含有化合物が好ましい。
シラノール基またはシロキサン結合の含有量は,ポリウレタン樹脂に優れた架橋反応性と性能を与えるため,ポリウレタン樹脂の全固形分に対し,ケイ素量で0.1〜10質量%とする。0.1質量%未満だと適切に架橋反応に寄与しないため効果が低く,10質量%超では効果が飽和すると共に表面処理剤の安定性が低下する。好ましくは0.5〜5質量%である。
また,上記ポリウレタンプレポリマーとしては,例えば,ポリカーボネートポリオール,ポリエステルポリオール,ポリエーテルポリオール,ポリエステルアミドポリオール,アクリルポリオール,ポリウレタンポリオール,又はそれらの混合物が挙げられる。この中でも,ポリカーボネートポリオール,ポリエステルポリオール,ポリエーテルポリオールが,加工性を確保し,かつ高い弾性率を確保する上で好ましい。
ポリウレタンプレポリマーは,1分子当たり2個の活性水素基を有する化合物と,1分子当たり2個のイソシアネート基を有するポリイソシアネート化合物とを反応させ,水に溶解または分散させることによって得ることができる。
ポリウレタンプレポリマーを構成する1分子当たり少なくとも2個の活性水素基を有する化合物としては,例えば,活性水素基を有する化合物として,アミノ基,水酸基,メルカプト基を有する化合物が挙げられるが,イソシアネート基との反応性を考慮すると,水酸基を有する化合物が,反応速度が速いため好ましい。1分子当たり少なくとも2個の活性水素基を有する化合物としては,ポリカーボネートポリオール,ポリエステルポリオール,ポリエーテルポリオール,ポリエステルアミドポリオール,アクリルポリオール,ポリウレタンポリオール,又はそれらの混合物等が挙げられる。
また,1分子当たり少なくとも2個のイソシアネート基を有する化合物としては,例えば,トリメチレンジイソシアネート,テトラメチレンジイソシアネート,ヘキサメチレンジイソシアネート,ペンタメチレンジイソシアネート,1,2−プロピレンジイソシアネート,1,2−ブチレンジイソシアネート,2,3−ブチレンジイソシアネート,1,3−ブチレンジイソシアネート,2,4,4トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート,2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート,2,6−ジイソシアネートメチルカプロエート等の脂肪族イソシアネートや,例えば,1,3−シクロペンタンジイソシアネート,1,4−シクロヘキサンジイソシアネート,1,3−シクロヘキサンジイソシアネート,3−イソシアネートメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルイソシアネート,4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート),メチル−2,4−シクロヘキサンジイソシアネート,メチル−2,6−シクロヘキサンジイソシアネート,1,2−ビス(イソシアナートメチル)シクロヘキサン,1,4−ビス(イソシアナートメチル)シクロヘキサン,1,3−ビス(イソシアナートメチル)シクロヘキサン等の脂環族ジイソシアネートや,例えば,m−キシレンジイソシアネート,m−フェニレンジイソシアネート,p−フェニレンジイソシアネート,4,4’−ジフェニルジイソシアネート,1,5−ナフタレンジイソシアネート,4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート,2,4−トリレンジイソシアネート,2,6−トリレンジイソシアネート,4,4’−トルイジンジイソシアネート,ジアニシジンジイソシアネート,4,4’−ジフェニルエーテルジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネートや,例えば,ω,ω’−ジイソシアネート−1,3−ジメチルベンゼン,ω,ω’−ジイソシアネート−1,4−ジメチルベンゼン,ω,ω’−ジイソシアネート−1,4−ジエチルベンゼン等の芳香脂肪族ジイソシアネートや,例えば,トリフェニルメタン−4,4’−4’’−トリイソシアネート,1,3,5−トリイソシアネートベンゼン,2,4,6−トリイソシアネートトルエン等のトリイソシアネートや,例えば,4,4’−ジフェニルジメチルメタン−2,2’,5,5’−テトライソシアネート等のテトライソシアネートを含むポリイソシアネート単量体や,上記ポリイソシアネート単量体から誘導されたダイマー,トリマー,ビュウレット,アロファネート又はカルボジイミドと,上記ポリイソシアネート単量体とから得られるポリイソシアネート誘導体や,例えば,エチレングリコール,プロピレングリコール,ブチレングリコール等の分子量200未満の低分子量ポリオールの上記ポリイソシアネート単量体への付加体や,ポリエステルポリオール,ポリエーテルポリオール,ポリカーボネートポリオール,ポリエステルアミドポリオール,アクリルポリオール,ポリウレタンポリオール等の上記ポリイソシアネート単量体への付加体等が挙げられる。
また,ポリウレタン樹脂を水中に分散させるために,ポリウレタンプレポリマー中に親水性基を導入する。親水性基を導入するには,例えば,分子内に少なくとも1個以上の活性水素基を有し,かつ,カルボキシル基,スルホン酸基,スルホネート基,ポリオキシエチレン基等の親水性基を含有する化合物の少なくとも1種以上を,上記ポリウレタンプレポリマー製造時に共重合させればよい。上記親水性基含有化合物としては,例えば,2,2−ジメチロールプロピオン酸,2,2−ジメチロール酪酸,2,2−ジメチロール吉草酸,ジオキシマレイン酸,2,6−ジオキシ安息香酸,3,4−ジアミノ安息香酸等のカルボキシル基含有化合物もしくはこれらの誘導体,又はこれらを共重合して得られるポリエステルポリオール,無水マレイン酸,無水フタル酸,無水コハク酸,無水トリメリット酸,無水ピロメリット酸等無水基を有する化合物と活性水素基を有する化合物とを反応させてなるカルボキシル基含有化合物もしくはこれらの誘導体,例えば,2−オキシエタンスルホン酸,フェノールスルホン酸,スルホ安息香酸,スルホコハク酸,5−スルホイソフタル酸,スルファニル酸等のスルホン酸含有化合物もしくはこれらの誘導体,又はこれらを共重合して得られるポリエステルポリオール等が挙げられる。
上記ポリウレタン樹脂において,水中に良好に溶解又は分散させるために,中和剤を使用してもよい。中和において使用できる中和剤としては,例えば,アンモニア,トリエチルアミン,トリエタノールアミン,トリイソプロパノールアミン,トリメチルアミン,ジメチルエタノールアミン等の第3級アミン,水酸化ナトリウム,水酸化カリウム,水酸化カルシウム等のアルカリ金属,アルカリ土類金属の水酸化物等の塩基性物質が挙げられるが,溶接性,耐溶剤性,溶接時の臭気の点から,沸点120℃以上の第3級アミンを使用するのが好ましい。これら中和剤は,単独で,又は2種以上を混合して使用してもよい。中和剤の添加方法としては,上記ポリウレタンプレポリマーに直接添加してもよいし,水中に溶解又は分散させる時に水中に添加しても良い。中和剤の添加量は,カルボキシル基に対して0.1〜2.0当量,より好ましくは0.3〜1.3当量である。
また,上記カルボキシル基を含有するポリウレタンプレポリマーの水溶解又は分散性をさらに良くするため,界面活性剤を使用してもよい。このような界面活性剤としては,ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル,ポリオキシエチレン−オキシプロピレンブロック共重合体のようなノニオン系界面活性剤,又は,ラウリル硫酸ナトリウム,ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムのようなアニオン系界面活性剤が用いられる。ただし,耐水性,耐溶剤性等の性能から,界面活性剤を含まないソープフリー型が好ましい。
また,上記ポリウレタンプレポリマーを合成する際には,有機溶剤を使用することも可能である。有機溶剤を使用する場合,水への溶解度が比較的高いものが好ましい。このような有機溶剤の具体例としては,例えば,アセトン,エチルメチルケトン,アセトニトリル,N−メチルピロリドン等が挙げられる。
また,本発明のポリウレタン樹脂が有するシラノール基のシロキサン結合形成促進のために,硬化触媒を添加しても良い。本発明に係るポリウレタン樹脂においては,強塩基性第3級アミンが,このポリウレタン樹脂を塗膜化した際に,耐水性,耐溶剤性を悪化させることなく,特異的にシロキサン結合の形成触媒として働くことにより,効率よく架橋構造を導入することが可能となる。この強塩基性第3級アミンは,pKaが11以上であることを特徴とし,特に,1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7(DBU)又は1,6−ジアザビシクロ[3.4.0]ノネン−5が好適に用いられる。この硬化触媒である強塩基性第3級アミンは,ポリウレタンプレポリマー合成時,ポリウレタンプレポリマー合成後,あるいはポリウレタンプレポリマーを水に分散又は溶解した後に添加することができる。
シラノール基を含有するウレタン樹脂としては,タケラック(商標)WS−6021,WS−5000,WS−5100,WS−4000(いずれも三井武田ケミカル製)等が例示される。
また,本発明においては,シラノール基及び/又はシロキサン結合を含有するウレタン樹脂の他に,他の樹脂と混合することも可能である。これにより,ウレタン樹脂の特性と他の樹脂の有する特性を合わせ持つ皮膜を形成することができる。具体的には,他の樹脂の高分子構造及び結合している官能基等によって,皮膜密着性や加工性,耐溶剤性が向上する場合がある。他の樹脂としては,特に限定するものではないが,特にアクリル樹脂,エポキシ樹脂,ポリオレフィン樹脂,ポリエステル樹脂等は,皮膜密着性や加工性向上の点からウレタン樹脂と混合する樹脂として好ましい。これらは,水溶性あるいは水分散性を確保するため,例えばアミノ基等のカチオン性官能基,カルボキシル基などのアニオン性官能基,ヒドロキシル基等のノニオン性官能基を含有していることが好ましい。これらは目的とされる性能に応じて,単独もしくは複数で任意の比率で混合することが可能であるが,皮膜中の樹脂成分全量における含有率で0質量%以上50質量%以下と,ウレタン樹脂を主体とする皮膜が好ましい。
また,架橋反応をさらに低い焼付け温度で効率よく行うと共に,架橋剤自身の有する特性を皮膜に付加するための手段として,架橋剤及び添加剤を工夫する方法が挙げられる。架橋剤は水溶性あるいは水分散性であればいずれも使用可能であるが,その中でもイソシアネート化合物,カルボジイミド基含有化合物,オキサゾリン基含有化合物,有機チタネート化合物から選ばれる一種以上が用いられることが好ましい。
水溶性のイソシアネート基含有化合物としては,水分散性を付与したポリイソシアネート化合物が挙げられ,主にシラノール基の水酸基と反応して架橋構造を形成する。例えばバーノック(商標)5000(大日本インキ社製)等が例示される。
カルボジイミド基含有化合物としては,芳香族カルボジイミド化合物,脂肪族カルボジイミド化合物等が挙げられ,主にカルボキシル基,水酸基等の活性水素基と架橋構造を形成する。例えば,カルボジライト(商標)V−02,同V−02−L2,同E−01,同E−02,同E−03A,同E−04(以上,日清紡社製)が例示される。
オキサゾリン基含有化合物としては,例えばエポクロス(商標)K−2010E,同K−2020E,同K−2030E,同WS−500,同WS−700(以上,日本触媒社製)が例示される。これらは,主にカルボキシル基と反応して架橋構造を形成する。
有機チタネートとしては,例えばオルガチックス(商標)TC−300(ジヒドロキシビス(アンモニウムラクテート)チタニウム;松本製薬工業社製),TC−400(ジイソプロポキシチタンビス(トリエタノールアミネート);松本製薬工業社製)等が例示される。これらは,主にカルボキシル基,水酸基等の活性水素基と架橋構造を形成する。
これらの架橋剤の好ましい添加量は,樹脂の酸価の値にもよるが,皮膜の硬化性と伸びや硬さ等,物性上のバランスから,主樹脂に対する架橋剤全量の固形分比で5質量%以上50質量%以下が好ましい。
次に,リン酸化合物について説明する。リン酸化合物は,例えば,リン酸三アンモニウム,リン酸水素二アンモニウム,リン酸二水素アンモニウム,リン酸カリウム,リン酸二水素カリウム,リン酸三ナトリウム,リン酸水素二ナトリウム,リン酸二水素ナトリウム,リン酸二水素カルシウム,リン酸水素マグネシウム,リン酸二水素マグネシウム等が挙げられる。その中でも,リン酸三アンモニウム,リン酸水素二アンモニウム,リン酸二水素アンモニウムのリン酸アンモニウム系化合物,リン酸三ナトリウム,リン酸水素二ナトリウム,リン酸二水素ナトリウムのリン酸ナトリウム系化合物,リン酸二水素カルシウム等のリン酸カルシウム系化合物,リン酸水素マグネシウム,リン酸二水素マグネシウム等のリン酸マグネシウム系化合物のうち,少なくとも1種の化合物を使用した場合に,耐溶剤性,耐食性向上効果が顕著に現れるため好ましい。これらは,水溶性あるいは酸もしくはアルカリに可溶であれば,処理浴のpHに応じて使用することが可能であり,純粋な化合物もしくは水和物等いずれも使用可能である。
リン酸化合物の含有量は,皮膜の固形分に対し,リン量で0.1質量%以上10質量%以下とする。0.1質量%未満では効果が乏しく,10質量%超では皮膜への水和性が増大して耐食性が低下する。
次に,酸化ケイ素について説明する。酸化ケイ素は,例えば,二酸化ケイ素等が挙げられる。酸化ケイ素は水中に安定に分散し沈降が生じない化合物であれば良く,中でも,コロイダルシリカを使用した場合に,耐溶剤性,耐食性向上効果が顕著に現れるため好ましい。例えば「スノーテックス(商標)O」「スノーテックスOS」「スノーテックスOXS」「スノーテックスN」「スノーテックスNS」「スノーテックスNXS」(いずれも日産化学工業社製)等の市販のコロイダルシリカ粒子,「スノーテックスUP」「スノーテックスPS」(日産化学工業社製)のような繊維状コロイダルシリカ等を,表面処理剤のpHに応じて用いることができる。
酸化ケイ素の含有量は,皮膜の固形分に対し,ケイ素量で2質量%以上20質量%以下とする。2質量%未満では効果が乏しく,20質量%超では皮膜への水和性が増大し耐食性が低下する。好ましくは4質量%以上15質量%以下である。
表面処理皮膜に含まれるケイ素含有化合物の量としては,酸化ケイ素とポリウレタン樹脂が有するシラノール基のシロキサン結合との合計量で,皮膜の固形分に対し,ケイ素量で2.1質量%以上30質量%以下とする。2.1質量%未満では効果が乏しく,30質量%超では効果が飽和して不経済であると共に加工性,耐食性が低下する。好ましくは4.5質量%以上20質量%以下である。
さらに,潤滑性付与剤を適宜添加することにより,良好な性能を保ちつつ,低い摩擦係数の製品が得られ,加工性に優れた表面処理金属材が得られる。潤滑性付与剤は,代表的なものとしては,水分散性のポリエチレン樹脂,ポリプロピレン樹脂,四フッ化エチレン樹脂,ステアリン酸化合物,天然パラフィンワックス,シリコン樹脂等が挙げられる。中でも,ポリエチレン樹脂,四フッ化エチレン樹脂を使用した場合に,潤滑性増大効果が顕著に現れるため好ましい。
潤滑性付与剤は,表面処理皮膜の固形分換算で0.2質量%以上30質量%以下であることが好ましい。0.2質量%未満では効果が乏しく,30質量%超では摩擦係数低下効果が飽和すると共に皮膜形成能が低下し耐食性が低下する。
本発明に適用される金属材としては,例えば,Alキルド鋼板,Ti,Nb等を添加した極低炭素鋼板,及びこれらにP,Si,Mn等の強化元素を添加した高強度鋼板,Cr含有鋼等種々の金属材が適用できる。また,加温による焼付け乾燥だけではなく,自然乾燥硬化も可能であるため,管状のもの,矢板状のもの,棒線状のもの等,さまざまな形状のものに適用が可能である。その他,Al系合金材料,Ti系材料,Cu系材料には,防錆処理としての必要性はないと考えられるが,意匠性コーティング,傷つき防止,指紋付着防止等の目的で適用することは可能である。
また,本発明に係る金属板としては,めっき鋼板も使用することができ,例えば,Znめっき鋼板や,Zn−Ni,Zn−Fe,Zn−Mg,Zn−Al−Mg−Si等のZn系合金めっき鋼板や,AlまたはAlとSi,Zn,Mgの少なくとも1種とからなる合金(例えばAl−Si系合金,Al−Zn系合金,Al−Si−Mg合金等)のAl系めっき鋼板や,SnとZnの合金めっき鋼板等も使用することができる。その中でも,特に,Znめっき鋼板またはZn系合金めっき鋼板に本発明に係るウレタン樹脂を少なくとも含む皮膜を適用した場合に最も効果が顕著であり,クロメート皮膜代替が可能である。
本発明のウレタン樹脂皮膜の厚みは限定しないが,通常の用途では0.1μm以上5μm以下が好ましい。0.1μm未満では,皮膜が薄すぎて防錆性がほとんど発現せず,また,加工性向上にほとんど寄与しない。一方,5μm以上の皮膜厚みでは,プレス成形等の加工時の変色による外観低下やカス発生等,種々の問題を引き起こす場合がある。
表面処理液の塗布は,例えば,スプレー塗布,ロールコート,浸漬,静電塗布等,公知の方法で可能である。焼付け乾燥は,熱風乾燥炉,誘導加熱炉,近赤外線炉,直火炉等を用いる公知の方法,又はこれらを組み合わせた方法で行えばよい。また,使用する樹脂の種類によっては紫外線や電子線等のエネルギー線により硬化させることができる。また,加熱乾燥後の冷却は水冷,空冷等の公知の方法又はその組合せで可能である。
加熱温度としては,到達板温度で80℃〜250℃が好ましい。80℃未満,例えば常温においても乾燥は可能であるが,十分に架橋させるためには長時間の乾燥が必要となり,実用的ではない。また,250℃超では,有機樹脂の熱分解が生じ耐食性に悪影響を及ぼす。工業的には100〜200℃がより好ましい。
本発明は,1段処理によって耐溶剤性,加工性,耐食性等の性能を満足する塗装金属板を目的としたものであるが,コストを考慮しなければ,本発明の表面処理剤を塗布する前にリン酸塩処理皮膜等の化成処理皮膜を加えることにより,あるいは同様のクロメートフリー皮膜の2段処理により,必要に応じてさらに耐食性向上を図ることも可能である。また,めっき後の処理として,化成処理以前に,溶融めっき後の外観均一処理であるゼロスパングル処理,めっき層の改質処理である焼鈍処理,表面状態や材質調整のための調質圧延等があり得るが,本発明においては特にこれらの適用は限定されず,必要に応じて適用してもよい。
以上の皮膜を構成する各種成分は,質量分析,蛍光X線分析,核磁気共鳴分光分析,赤外分光分析,透過型電子顕微鏡等,既知の方法を使用し,あるいはこれらの方法を組み合わせることにより,定量分析が可能である。
以下,実施例によって,本発明をさらに詳細に説明するが,本発明が下記実施例によって限定されるものではない。
処理原板(表面処理を行う金属板)として,以下の金属材を使用した。
A:電気亜鉛めっき鋼板:板厚0.8mm,めっき付着量20g/m
B:電気亜鉛−Ni合金めっき鋼板:板厚0.8mm,めっき付着量20g/m
C:溶融亜鉛めっき鋼板:板厚0.8mm,めっき付着量50g/m
D:溶融亜鉛−鉄合金めっき鋼板:板厚0.8mm,めっき付着量45g/m
E:ステンレス鋼板:板厚0.5mm,フェライト系ステンレス鋼板(鋼成分:C;0.008質量%,Si;0.07質量%,Mn;0.15質量%,P;0.011質量%,S;0.009質量%,Al;0.067質量%,Cr;17.3質量%,Mo;1.51質量%,N;0.0051質量%,Ti;0.22質量%,残部Fe及び不可避的不純物)
処理原板は,使用直前にアルカリ脱脂を行い,水洗,乾燥した後,表1に示す表面処理剤を塗布し,熱風乾燥炉で焼付け乾燥し供試材とした。乾燥時の到達温度は到達板温度で150℃とした。供試材の詳細を表2に示す。
Figure 2007038652
上記表1の中に示した表面処理剤中のポリウレタン樹脂及びコロイダルシリカの内容は以下のとおりである。
ポリウレタン樹脂A:樹脂中ケイ素量で1.0質量%のシラノール基を含有し,カルボキシル基を分子中に持つポリウレタンエマルジョン。
ポリウレタン樹脂B:樹脂中ケイ素量で0.3質量%のシラノール基を含有し,カルボキシル基を分子中に持つポリウレタンエマルジョン。
ポリウレタン樹脂C:樹脂中ケイ素量で5.0質量%のシラノール基を含有し,カルボキシル基を分子中に持つポリウレタンエマルジョン。
ポリウレタン樹脂D:カルボキシル基を分子中に持ち,シラノール基を含まないポリウレタンエマルジョン。
アクリル樹脂:カルボキシル基を分子中に持つアクリル樹脂エマルジョン
エポキシ樹脂:フェノール基を含有する水系エポキシ樹脂エマルジョン
ポリオレフィン樹脂:カルボキシル基を分子中に持つポリオレフィン樹脂エマルジョン
ポリエステル樹脂:カルボキシル基を分子中に持つポリエステル樹脂エマルジョン
コロイダルシリカ:スノーテックスN
架橋剤A:カルボジイミド化合物;カルボジライトE−03A
架橋剤B:オキサゾリン化合物;エポクロスWS−500
架橋剤C:有機チタネート化合物;オルガチックスTC−400
Figure 2007038652
以上のようにして作製した供試材に対して,以下の評価を行った。その結果を下記表3に示す。
(1) 塗膜密着性
供試材の皮膜面に1mmの碁盤目をカッターナイフで入れ,さらに,塗膜面が凸となるようにエリクセン試験機で7mm押し出した後,テープ剥離試験を行った。碁盤目の入れ方,エリクセンの押し出し方法,テープ剥離の方法については,JIS−K5400.8.2及びJIS−K5400.8.5に記載の方法に準じて実施した。テープ剥離後の評価はJIS−K5400.8.5記載の評価の例図によって10点満点評価で行った。
(2) 耐溶剤性
供試材の皮膜面について,エチルメチルケトンによるラビング試験を実施した。15mmφのシリコンゴム製円柱先端部にガーゼを固定し,エチルメチルケトンを5mL含ませた後,荷重4.9Nの条件で10回摺動し,外観を観察した。また,その試験片をJIS−Z2371に規定されている連続塩水噴霧試験(SST)にかけ,48時間後の外観を観察した。評価基準を以下に示す。
5:白錆発生無し
4:白錆発生1%未満
3:白錆発生1%以上5%未満
2:白錆発生5%以上20%未満
1:白錆発生20%以上
(3) 耐食性
(i) 平板
端面・裏面をシールした平板試験片について,JIS−Z2371に規定されている塩水噴霧試験(SST)を実施し,120時間後の白錆の発生率で評価した。耐食性評価基準を以下に示す。
5:白錆発生無し
4:白錆発生1%未満
3:白錆発生1%以上5%未満
2:白錆発生5%以上20%未満
1:白錆発生20%以上
(ii) 加工材
端面・裏面をシールした平板試験片について,中央部に7mmエリクセン加工を施した後,JIS−Z2371に規定されている塩水噴霧試験(SST)を実施し,72時間後のエリクセン部の白錆発生率で評価した。耐食性評価基準を以下に示す。
5:白錆発生無し
4:白錆発生1%未満
3:白錆発生1%以上5%未満
2:白錆発生5%以上20%未満
1:白錆発生20%以上
(4) 加工性
鉱物油系の防錆油としてダフニーオイルコートZ3(出光興産製)を塗油後に角筒深絞り加工を実施し,試験後の外観を観察し評価した。ブランク径100mm,角筒ポンチ幅50mm,肩R5mm,しわ押さえ圧9.8kNの条件で絞り加工を行った。
5:変化無し
4:僅かに皮膜変色
3:皮膜が変色または僅かに加工傷発生
2:加工傷発生または僅かにカス発生
1:加工傷発生大または皮膜剥離大
Figure 2007038652
No.25,No.26(比較例)は,ポリウレタン樹脂にシラノール基が含まれていないため,耐溶剤性,耐食性に劣るということがわかった。また,No.28(比較例)では,樹脂皮膜がポリウレタン樹脂と酸化ケイ素とから構成されるが,リン酸化合物が含有されていないため架橋反応が十分に進行せず,耐溶剤性に劣るということがわかった。また,No.29(比較例)は,リン酸化合物が含有されているが,酸化ケイ素が含まれていないため耐食性に劣るということがわかった。また,No.27(比較例)は,リン酸化合物,酸化ケイ素のいずれも含まれていないため,耐溶剤性,耐食性に劣るということがわかった。
No.1〜24の本発明の実施例に係る皮膜構成を用いることにより,良好な皮膜密着性,耐溶剤性,耐食性,及び加工性を得ることができるということがわかった。
以上,本発明の好適な実施形態について説明したが,本発明はかかる例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば,特許請求の範囲に記載された範疇内において,各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり,それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
本発明は,耐溶剤性,加工性及び耐食性に優れ,クロメート処理材に代替可能な表面処理金属板に適用可能である。

Claims (8)

  1. 金属材表面の少なくとも一部に,シラノール基及び/又はシロキサン結合を含有するウレタン樹脂を少なくとも含有する皮膜が被覆された表面処理金属材であって:
    前記皮膜は,リン酸化合物及び酸化ケイ素を含有し,前記リン酸化合物が皮膜全固形分に対しリン換算で0.1〜10質量%,前記酸化ケイ素と前記シラノール基及び/又は前記シロキサン結合との合計量が皮膜全固形分に対しケイ素換算で2.1〜30質量%含有することを特徴とする,表面処理金属材。
  2. 前記皮膜の樹脂成分が,シラノール基及び/又はシロキサン結合を含有するウレタン樹脂であることを特徴とする,請求項1に記載の表面処理金属剤。
  3. 前記皮膜の架橋剤は,イソシアネート化合物,カルボジイミド基含有化合物,オキサゾリン基含有化合物及び有機チタネートからなる群から選ばれる1種以上の化合物であることを特徴とする,請求項1に記載の表面処理金属材。
  4. 前記皮膜は,さらにナトリウム,カルシウム及びマグネシウムからなる群から選ばれる1種以上の元素を含有することを特徴とする,請求項1に記載の表面処理金属材。
  5. 前記酸化ケイ素は,コロイダルシリカであることを特徴とする,請求項1に記載の表面処理金属材。
  6. 前記皮膜は,さらに潤滑性付与剤を含有し,該潤滑性付与剤の含有量が,皮膜全固形分に対し0.2〜30質量%であることを特徴とする,請求項1に記載の表面処理金属材。
  7. 前記金属材は,鋼材であることを特徴とする,請求項1に記載の表面処理金属材。
  8. 前記鋼材は,Znめっき鋼板又はZn合金めっき鋼板であることを特徴とする,請求項7に記載の表面処理金属材。

JP2006174585A 2005-06-30 2006-06-23 表面処理金属材 Active JP4598724B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006174585A JP4598724B2 (ja) 2005-06-30 2006-06-23 表面処理金属材

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2005192870 2005-06-30
JP2006174585A JP4598724B2 (ja) 2005-06-30 2006-06-23 表面処理金属材

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2007038652A true JP2007038652A (ja) 2007-02-15
JP4598724B2 JP4598724B2 (ja) 2010-12-15

Family

ID=37797058

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2006174585A Active JP4598724B2 (ja) 2005-06-30 2006-06-23 表面処理金属材

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4598724B2 (ja)

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010195862A (ja) * 2009-02-23 2010-09-09 Lintec Corp 粘着シート
CN102101969A (zh) * 2010-12-31 2011-06-22 华北电力大学(保定) 一种有机硅改性双组分溶剂型聚氨酯防腐涂料及制备方法
US9175403B2 (en) 2009-09-11 2015-11-03 Nihon Parkerizing Co., Ltd. Composition for adhesion layer used for multi-layered surface-treatment steel sheet
WO2020004416A1 (ja) * 2018-06-29 2020-01-02 日鉄日新製鋼株式会社 有機樹脂で被覆された金属素形材およびその製造方法
JP2020513450A (ja) * 2016-11-30 2020-05-14 モメンティブ パフォーマンス マテリアルズ インコーポレイテッドMomentive Performance Materials Inc. 無機金属酸化物を用いた耐摩耗性コーティング組成物
CN114929819A (zh) * 2019-12-05 2022-08-19 Posco公司 赋予优异的耐蚀性和表面颜色的三元系热浸镀锌合金钢板用表面处理组合物、利用其进行表面处理的三元系热浸镀锌合金钢板及制造该钢板的方法

Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2000102764A (ja) * 1998-09-28 2000-04-11 Takeda Chem Ind Ltd 連続プレス加工性、連続しごき加工性、耐食性に優れた樹脂被覆めっき鋼板
JP2001019902A (ja) * 1999-07-08 2001-01-23 Nippon Steel Corp プレス加工性および溶接性に優れた潤滑皮膜を形成可能な塗料組成物およびこの組成物を使用した潤滑表面処理鋼板
JP2001234119A (ja) * 2000-02-21 2001-08-28 Nippon Steel Corp 高面圧加工による連続成形性に優れた潤滑処理鋼板
JP2002241957A (ja) * 2001-02-14 2002-08-28 Nippon Paint Co Ltd 金属表面処理剤、金属表面処理方法および表面処理金属材料
WO2003008507A1 (fr) * 2001-07-18 2003-01-30 Dainippon Ink And Chemicals, Inc. Composition d'enduit a l'eau durcissant au rayonnement actinique, materiau metallique ainsi enduit, et procede de production
JP2005089613A (ja) * 2003-09-17 2005-04-07 Kansai Paint Co Ltd 水性塗料組成物及びそれを用いた塗装方法

Patent Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2000102764A (ja) * 1998-09-28 2000-04-11 Takeda Chem Ind Ltd 連続プレス加工性、連続しごき加工性、耐食性に優れた樹脂被覆めっき鋼板
JP2001019902A (ja) * 1999-07-08 2001-01-23 Nippon Steel Corp プレス加工性および溶接性に優れた潤滑皮膜を形成可能な塗料組成物およびこの組成物を使用した潤滑表面処理鋼板
JP2001234119A (ja) * 2000-02-21 2001-08-28 Nippon Steel Corp 高面圧加工による連続成形性に優れた潤滑処理鋼板
JP2002241957A (ja) * 2001-02-14 2002-08-28 Nippon Paint Co Ltd 金属表面処理剤、金属表面処理方法および表面処理金属材料
WO2003008507A1 (fr) * 2001-07-18 2003-01-30 Dainippon Ink And Chemicals, Inc. Composition d'enduit a l'eau durcissant au rayonnement actinique, materiau metallique ainsi enduit, et procede de production
JP2005089613A (ja) * 2003-09-17 2005-04-07 Kansai Paint Co Ltd 水性塗料組成物及びそれを用いた塗装方法

Cited By (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010195862A (ja) * 2009-02-23 2010-09-09 Lintec Corp 粘着シート
US9175403B2 (en) 2009-09-11 2015-11-03 Nihon Parkerizing Co., Ltd. Composition for adhesion layer used for multi-layered surface-treatment steel sheet
CN102101969A (zh) * 2010-12-31 2011-06-22 华北电力大学(保定) 一种有机硅改性双组分溶剂型聚氨酯防腐涂料及制备方法
CN102101969B (zh) * 2010-12-31 2013-04-10 华北电力大学(保定) 一种有机硅改性双组分溶剂型聚氨酯防腐涂料及制备方法
JP2020513450A (ja) * 2016-11-30 2020-05-14 モメンティブ パフォーマンス マテリアルズ インコーポレイテッドMomentive Performance Materials Inc. 無機金属酸化物を用いた耐摩耗性コーティング組成物
JP7321933B2 (ja) 2016-11-30 2023-08-07 モメンティブ パフォーマンス マテリアルズ インコーポレイテッド 無機金属酸化物を用いた耐摩耗性コーティング組成物
WO2020004416A1 (ja) * 2018-06-29 2020-01-02 日鉄日新製鋼株式会社 有機樹脂で被覆された金属素形材およびその製造方法
CN114929819A (zh) * 2019-12-05 2022-08-19 Posco公司 赋予优异的耐蚀性和表面颜色的三元系热浸镀锌合金钢板用表面处理组合物、利用其进行表面处理的三元系热浸镀锌合金钢板及制造该钢板的方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP4598724B2 (ja) 2010-12-15

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5546097B2 (ja) 表面処理金属材及び金属表面処理剤
JP5135669B2 (ja) 塗装金属材の製造方法
TWI445842B (zh) Surface treatment composition
JP5264363B2 (ja) 表面処理金属材及び金属表面処理剤
JP4598724B2 (ja) 表面処理金属材
JP4389066B2 (ja) 水分散型防錆塗料用組成物
JP5418479B2 (ja) 塗装亜鉛系めっき鋼板
WO2017038786A1 (ja) 燃料タンク用表面処理鋼板
JP2009287080A (ja) 高耐食性表面処理鋼板
JP2014055319A (ja) 水性金属表面処理剤
WO2002078949A1 (fr) Produit metallique enduit d'une pellicule lubrifiante alcalino-soluble se pretant particulierement au formage et au depelliculage, stable a long terme, et peu sensible a la temperature de sechage de la pellicule
JP7230356B2 (ja) 表面処理鋼板及び表面処理鋼板の製造方法
JP5130484B2 (ja) 表面処理金属板及びその製造方法
JP5659685B2 (ja) 塗装金属材
JP5418478B2 (ja) 塗装亜鉛系めっき鋼板
JP2001019902A (ja) プレス加工性および溶接性に優れた潤滑皮膜を形成可能な塗料組成物およびこの組成物を使用した潤滑表面処理鋼板
JPH09221595A (ja) 金属表面処理組成物及びこの組成物による処理被膜を形成した亜鉛系メッキ鋼板
JP3936656B2 (ja) 非クロム型処理亜鉛系めっき鋼板の製造方法
JP4125950B2 (ja) 非クロム型処理亜鉛系めっき鋼板の製造方法
JP5441110B2 (ja) 高耐食性表面処理鋼板
JP3909016B2 (ja) 非クロム型処理亜鉛系めっき鋼板の製造方法
JP2004197164A (ja) 非クロム型処理亜鉛系めっき鋼板の製造方法
JPH0254779A (ja) プレス成形性および塗装後密着性に優れた有機複合めっき鋼板の製造方法
JP2005133172A (ja) 表面処理金属板
JPS63143265A (ja) 焼付硬化性に優れた有機被覆鋼板の製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20080806

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20100622

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20100823

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20100914

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20100924

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 4598724

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20131001

Year of fee payment: 3

S533 Written request for registration of change of name

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20131001

Year of fee payment: 3

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

S533 Written request for registration of change of name

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350