JP2005133172A - 表面処理金属板 - Google Patents

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Abstract

【課題】耐食性、導電性、耐導電性経時劣化性、耐疵付性および耐指紋性に優れた、クロムを含有しない複合皮膜を有する表面処理金属板を提供する。
【解決手段】金属板の少なくとも片面に、金属化合物(但し、クロムは除く。)と、樹脂の分子内にイソシアネート構造を有しかつOH基を含有するようエポキシ基が変性された自己架橋性変性エポキシ樹脂(但し、エポキシ基が不可避的に存在する場合は除く。)とを含有する第1表面処理剤により形成された第1複合皮膜を有することを特徴とする。
【選択図】 なし

Description

本発明は、表面処理金属板、より詳しくは、耐脱脂洗浄性、耐食性、導電性、耐導電性経時劣化性に優れた無機有機複合化皮膜を有する表面処理金属板、さらには、耐疵付き性および耐指紋性にも優れた無機有機複合化皮膜を有する表面処理金属板に関する。
従来より亜鉛めっき鋼板、亜鉛−アルミニウムめっき鋼板などの亜鉛系めっき鋼板は、家電、自動車、建築の分野で広く使用されている。これらの鋼板は、鋼板の耐食性向上のために、めっきの上にクロメート被覆処理を施して、もしくはクロメート被覆処理を施した上にさらに有機皮膜を施して使用されている。
クロメート皮膜は約0.01μmの非常に薄い膜厚であるが、いわゆる自己修復機能を有するために耐食性に優れ、かつ非常に薄いために優れた導電性を有し、さらに鋼板を高温多湿環境に暴露した後の導電性劣化が生じにくいという利点がある。
その反面、クロメート皮膜は、非常に薄くかつ脆い性質を有するために疵付きが発生しやすいという欠点がある。また、クロメート皮膜は6価クロムを含有するためにクロメート被覆工程での排水処理が必要となり、シュレッダーダストからの6価クロム溶出が考えられるために環境面での問題もある。
そこで、鋼板、特に亜鉛系めっき鋼板の白錆発生の抑制などの耐食性等の特性を改善するため、クロムを用いない表面処理技術の開発が広く行なわれるようになった。
例えば、特許文献1には、(a)少なくとも4個のフッ素原子と、Ti、Zrなどの少なくとも1個の元素とからなる陰イオン成分(例えばTiF 2−)、(b)Co、Mgなどの陽イオン成分、(c)pH調整のための遊離酸および(d)有機樹脂を含有するクロムフリー組成物からなる金属の表面処理方法が記載されている。
また、特許文献2には、(a)チオカルボニル基含有化合物、(b)リン酸イオンおよび(c)水分散性シリカを含有する水性防錆コーティング剤を亜鉛被覆鋼にコーティングする方法が記載されている。
しかしながら、特許文献1および2に記載された方法で製造された表面処理鋼板はいずれも、耐脱脂洗浄性が十分でないため、アルカリ脱脂時にアルカリ洗浄液のpHを大きくしなければならず、皮膜の白化または剥離が生じるという問題がある。
さらに、出願人もまた、特許文献3において、亜鉛系めっき鋼板の表面に、金属化合物、カルボキシル基含有の水溶性有機樹脂および酸を含有する水性組成物を塗布して形成された皮膜層を有しており、耐アルカリ性、耐食性、塗装後耐食性、アルカリ脱脂後耐食性、上塗り塗装密着性に特に優れている表面処理亜鉛系めっき鋼板を提案した。
しかしながら、出願人が特許文献3記載の皮膜層の特性についてさらに詳細に検討したところ、特許文献1や特許文献2の方法で得られる表面処理鋼板と同様、耐脱脂洗浄性が十分でなく、また、かかる皮膜層が脆いため、クロメート皮膜と同様に疵付きが発生しやすく、十分な耐疵付き性が得られないことが判明した。
特開平5−195244号公報 特開平11−29724号公報 特開2001−214283号公報
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたもので、特に耐脱脂洗浄性に優れ、かつ優れた耐食性、導電性を有し、さらに鋼板を高温多湿環境に暴露した後の導電性劣化もなく、さらには、耐疵付き性および耐指紋性に優れた、クロムを含有しない無機有機複合化皮膜を有する表面処理金属板、特に亜鉛系めっき鋼板を提供することを目的とするものである。
上記目的を達成するため、本発明は、金属板の少なくとも片面に、金属化合物(但し、クロムは除く。)と、樹脂の分子内にイソシアネート構造を有しかつOH基を含有するようにエポキシ基が変性された自己架橋性変性エポキシ樹脂(但し、エポキシ基が不可避的に存在する場合は除く。)とを含有する第1表面処理剤により形成された第1複合皮膜を有する表面処理金属板である。
また、前記自己架橋性変性エポキシ樹脂が、エポキシ基とアミン化合物とを反応して得られた樹脂であることが好ましい。
さらに、前記金属化合物が、Cu、Co、Fe、Mn、Sn、V、Mg、Ba、Al、Ca、Sr、Zr、Nb、Ni、W、Mo、YおよびZnからなる群より選ばれる少なくとも一種の金属化合物であることが好ましい。
さらにまた、前記第1複合皮膜が、さらにシランカップリング剤を含むことが好ましい。
加えて、前記第1複合皮膜の表面に、さらに、水性有機樹脂およびワックスを含有する第2表面処理剤により形成された第2複合皮膜を有することがより好適である。
本発明は、表面処理剤の適正化を図ることによって、クロムを含有しない無機有機複合化皮膜を有する、耐脱脂洗浄性に優れ、かつ優れた耐食性、導電性、耐導電性経時劣化性、さらには耐疵付き性および耐指紋性をも有する表面処理金属板を提供することができる。
本発明の表面処理金属板の基板となる金属板には、特に制限はなく、例えば、電気亜鉛めっき鋼板、電気亜鉛−ニッケルめっき鋼板、溶融亜鉛めっき鋼板、溶融亜鉛−アルミニウムめっき鋼板(例えばZn−5%Alめっき鋼板やZn−55%Alめっき鋼板)などの亜鉛系めっき鋼板、熱延鋼板、冷延鋼板、ステンレス鋼板、銅めっき鋼板、アルミニウム板、溶融錫−亜鉛めっき鋼板(例えばSn−10%Znめっき鋼板)、溶融アルミニウムめっき鋼板、ターンめっき鋼板(例えばPb−10%Sn)などが挙げられる。これらの金属板のうち、好ましいのは亜鉛系めっき鋼板であり、特に好ましいのは電気亜鉛めっき鋼板である。
本発明の表面処理金属板を構成する第1複合皮膜を形成するための第1表面処理剤中に金属化合物を含有させることにより、表面処理金属板の耐食性や耐疵付き性を向上する。金属化合物は、その金属イオンを、Cu、Co、Fe、Mn、Sn、V、Mg、Ba、Al、Ca、Sr、Zr、Nb、Ni、W、Mo、YおよびZnからなる群より選ばれる少なくとも1種の金属イオンとすることが好ましい。これらの金属イオンのうち、特に好ましいのはMg、MnもしくはAlの金属イオンまたはそれらの混合物であり、さらに、Mg、MnまたはAlの金属イオン以外の金属を併用してもよい。なお、より好適なのは、Mg、MnおよびAlの金属イオンとZnの金属イオンを併用する場合である。
さらに、金属化合物は、前記金属イオンを含有する、リン酸塩、硝酸塩、炭酸塩、硫酸塩などの無機酸塩、酢酸塩などの有機酸塩、水酸化物およびフッ化物から選ばれる少なくとも1種からなるのが好ましく、より好ましいのはリン酸塩、炭酸塩または水酸化物としての金属化合物である。
金属化合物を併用する場合の各化合物の組成比は、特に制限はないが、例えばMg、MnおよびAlの金属化合物を併用する場合、Mg/Mn/Al=1/1/1〜2/1/1(質量比)である。
金属化合物は、リン酸、硝酸、フッ酸、酢酸等の酸により溶解させて表面処理剤中に混入させる。皮膜中に残存した場合の耐湿性への悪影響を低減するためには、上記酸はリン酸を主体としたものとすることが好ましい。
前記第1表面処理剤中に含有させる自己架橋性変性エポキシ樹脂は、樹脂の分子内にイソシアネート構造を有しかつOH基を含有するようにエポキシ基が変性された樹脂(エポキシ基が不可避的に存在する場合は除く。)であり、例えば、エポキシ樹脂のエポキシ基とアミン化合物とを反応して得られたものであることが好ましい。
エポキシ樹脂がイソシアネート構造(NCO構造)およびOH構造を有することでNCO/OH間の反応(自己架橋反応)によりウレタン構造が生成して疎水化するので、アルカリ脱脂時の樹脂の白化や剥離が抑制される。イソシアネート構造を有さずOH構造のみを有していると、OH構造の親水性のためアルカリ脱脂時に樹脂が白化する。また、イソシアネート構造を有していないと、自己架矯性を有さないため、やはりアルカリ脱脂時の樹脂の白化を抑制できない。
自己架橋性変性エポキシ樹脂の基となるエポキシ樹脂は、通常のエポキシ樹脂でもよいが、分子量がエポキシ当量として500以上5000以下、数平均分子量として900〜6000の範囲のものを用いることが好ましい。さらに高分子のものを用いても構わない。
特に上記のOH構造を含有させるためにアミン化合物と反応させて変性した変性エポキシ樹脂とすることが好ましい。上記のOH構造を含有させるためには、エポキシ樹脂末端のエポキシ基を変性させておく必要があるが、この変性をエポキシ基をアミン化合物と反応させて行うことで、得られた変性エポキシ樹脂が高い破壊エネルギーを有するため皮膜の耐疵付き性を向上するためである。この場合の分子量も上記と同様である。
アミン化合物としては、ジブチルアミン、ジオクチルアミン等のジアルキルアミン化合物、メチルエタノールアミン、ブチルエタノールアミン、ジエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、ジメチルアミノプロピルエタノールアミン等のアルカノールアミン化合物、モルホリン、ピペリジン、4−メチルピペラジン等の複素環式アミン化合物が挙げられる。
上記アミン化合物の中で、特にジエタノールアミン等のアルカノールアミン化合物を使用することが、特性の優れた自己架橋性変性エポキシ樹脂が得られる点で好ましい。また、例えば、モノエタノールアミン、モノイソプロパノールアミンなどの活性水素基を2個以上有する化合物でエポキシ樹脂を鎖延長(高分子化)することもできる。
なお、エポキシ樹脂に対する上記アミン化合物の反応比率は、特に制限されるものではないが、エポキシ基1個に対する活性水素の数が、好ましくは0.3個以上1.1個以下、更に好ましくは0.5個以上0.8個以下になるような比率とする。
上記アミン化合物の反応比率が上記範囲を超えて用いることは、未反応のアミン化合物が残存しやすくなり、これは無駄であるばかりでなく、硬化皮膜内に未反応のアミン化合物を含むため、耐水性の低下が懸念される。また、上記アミン化合物の反応比率が上記範囲に満たない時には、樹脂の破断エネルギーが低くなるため、耐疵付き性の劣化のおそれがあるため好ましくない。
エポキシ樹脂に自己架矯性を保有させるためには、OH構造に加えてイソシアネート構造を具える必要があるが、このイソシアネート構造はブロックイソシアネート化合物を使用することが好ましい。
上記ブロックイソシアネート化合物は、ポリイソシアネートのみ、あるいはポリイソシアネー卜と多価アルコール又はポリオールを反応させて得られるポリイソシアネート化合物を、ブロック化剤を用いてブロックして得られるものである。ブロック剤の種類は、膜形成条件に応じて適宜決定できる。
上記ポリイソシアネートとしては、プロパン−1,2−ジイソシアネート、2,3−ジメチルブタン−2,3−ジイソシアネート、2−メチルペンタン−2,4−ジイソシアネート、オクタン−3,6−ジイソシアネート、3,3−ジニトロペンタン−1,5−ジイソシアネート、オクタン−1,6−ジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート(TDI)、キシリレンジイソシアネート、メタテトラメチルキシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート(3−イソシアネートメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルイソシアネート)、1,3−又は1,4−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート(MDI)、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート(水添MDI)、水添トリレンジイソシアネート等、及びこれらの混合物が挙げられる。
これらのポリイソシアネートは、ビウレット体、ヌレート体であってもよい。
ポリイソシアネート化合物を得るための多価アルコールとしては、例えばエチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ビス(ヒドロキシメチルクロルヘキサン)、ジエチレングリコール、2,2−ジメチルプロピレングリコール、1,3,6−ヘキサントリオール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、グリセリン又はこれらに類する任意の適当な多価アルコールを使用することが出来る。また、ポリオールとしては、ポリテトラメチレングリコール、ポリカプロラクトングリコール等のポリヒドロキシ化合物が使用し得る。
このとき、前述のポリジイソシアネートと、多価アルコールまたはポリヒドロキシ化合物とのモル比は、通常、ジイソシアネート/多価アルコールまたはポリヒドロキシ化合物=1.5〜3.5/1、好ましくは2.0〜3.0/1である。
ポリイソシアネートと多価アルコールまたはポリオールとの化合物を前述の変性エポキシ樹脂と反応させることで、多数のNCO構造を樹脂中に形成することができる。
また、ポリイソシアネート又はポリイソシアネート化合物中のイソシアネート構造の含有率は、通常1〜20質量%、好ましくは2〜15質量%である。
上記ブロック化剤としては、例えば、マロン酸ジエステル(マロン酸ジエチルなど)、アセチルアセトン、アセト酢酸エステル(アセト酢酸エチルなど)等の活性メチレン化合物、アセトオキシム、メチルエチルケトオキシム(MEKオキシム)、メチルイソブチルケトオキシム(MIBKオキシム)等のオキシム化合物、メチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール、ブチルアルコール、ヘプチルアルコール、ヘキシルアルコール、オクチルアルコール、2−エチルヘキシルアルコール、イソノニルアルコール、ステアリルアルコール等の一価アルコールまたはこれらの異性体、メチルグリコール、エチルグリコール、エチルジグリコール、エチルトリグリコール、ブチルグリコール、ブチルジグリコール等のグリコール誘導体、ジシクロヘキシルアミン等のアミン化合物などが挙げられる。
上記ブロックイソシアネートを得るためのブロック化反応は、公知の反応方法により行なえばよい。ブロック化剤の添加量は遊離のイソシアネート基に対し、通常1当量以上2当量以下、好ましくは1.05〜1.5当量である。
通常、前述のイソシアネート化合物のブロック化反応は、最終の反応でブロック化剤を添加する方法をとる。また、ポリウレタンをブロック化反応する場合、ブロック化剤は任意の段階で添加し反応させ、ブロックポリイソシアネートを得ることができる。
本発明の自己架橋性変性エポキシ樹脂は、さらに種々の変性をすることもできるが、例えば、ハーフブロックイソシアネート化合物によって変性することによって、自己硬化性を持たせることができ、別途ブロックイソシアネート化合物などの硬化剤を使用することなく、単独で硬化性の水性樹脂組成物を得ることもできる。
ここでハーフブロックイソシアネート化合物としては、ポリイソシアネートあるいはポリイソシアネートとポリオールとを反応して得られるポリイソシアネート化合物を、ブロック化剤を用いて部分的にブロックして得られるものである。
その構成成分および製造方法は、前述したブロックイソシアネートに準ずるものである。
ハーフブロックイソシアネート化合物は、自己架橋性変性エポキシ樹脂のOH基1モルに対して、ハーフブロックイソシアネート化合物のNCO基が0.001〜0.5モル、特に0.01〜0.2モルとなる量を付加することができる。ここで、前記NCO基を0.001モル未満の量付加した場合には、付加によって得られる自己架橋性が満足に得られず、0.5モルを超えてすることは合成上不可能である。
また、自己架橋性変性エポキシ樹脂に自己乳化作用を付与し、第1表面処理剤中に乳化剤を必ずしも別途添加する必要をなくするために、自己架橋性変性エポキシ樹脂のOH基の一部をポリエーテル基に変性させておくことが好ましい。
この変性は、例えばビスフェノール型エポキシ樹脂又は変性ビスフェノール型エポキシ樹脂中の1または2級の水酸基に対して、ポリエチレングリコールモノアルキルエーテルとポリイソシアネートをあらかじめ反応させたポリエーテル基含有ポリイソシアネートを反応させることにより行うことができる。
なお、第1複合皮膜中の金属化合物の含有量は10〜40質量%が好ましい。また、自己架橋性変性エポキシ樹脂の含有量は2〜50質量%が好ましい。より好ましくは、8〜20質量%である。
また、第1複合皮膜中には、皮膜の耐水性、耐食性および耐アルカリ性をさらに向上させる目的で、シランカップリング剤を含有させてもよい。シランカップリング剤の配合量は、従来の金属材料用の表面処理剤(組成物)、塗料等に配合されている量と同程度であれば十分である。シランカップリング剤としては、例えばγ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β−アミノエチル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β−アミノエチル−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、β−3,4−エポキシシクロヘキシルエチルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、ビニルトリアセトキシシラン、N−[2−(ビニルベンジルアミノ)エチル]−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランなどをあげることができる。
上記の金属化合物、自己架橋性変性エポキシ樹脂、シランカップリング剤以外の残部は表面処理剤中に溶解させるために用いた酸、さらには不可避的不純物である。
また、前記第1複合皮膜の表面に、さらに、水性有機樹脂およびワックスを含有する第2表面処理剤により形成された第2複合皮膜を有することがより好ましい。
この第2複合皮膜を形成させることにより、耐指紋性の向上および耐疵付き性のさらなる向上が達成できる。
水性有機樹脂としては、例えばウレタン変性アクリル樹脂を用いることが好ましい。
ウレタン変性アクリル樹脂の合成方法としては、特に限定するものではないが、下記(1)に示す方法でアクリルポリオールの合成を行い、この合成したアクリルポリオールを用いて下記(2)に示す方法でウレタン変性アクリル樹脂を合成することができる。
(1)アクリルポリオールの合成
OH基を有するアクリル単量体とOH基を有しないアクリル単量体とのアクリル共重合体であるアクリルポリオールを作製する。
OH基を有するアクリル単量体としては、例えば、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレートなどが挙げられる。
また、OH基を有しないアクリル単量体としては、アクリル酸、メタクリル酸、メチルアクリレート、エチルアクリレート、イソプロピルアクリレート、ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、tert−ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、N−ヘキシルメタクリレート、ラウリルメタクリレート、アクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、グリシジルメタクリレートなどが挙げられる。
(2)ウレタン変性アクリル樹脂の合成
ウレタン変性アクリル樹脂の合成方法としては、特に限定するものではないが、以下の方法がある。ここでウレタン変性アクリル樹脂とは、アクリルポリオールと低分子量ポリオレフィン系ポリオールとイソシアネート化合物との重合物のことを示す。
イソシアネート化合物としては、脂肪族、脂環式および芳香族ポリイソシアネートが挙げられる。具体的には、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネートエステル、水添キシレンジイソシアネート、1,4−シクロヘキシレンジイソシアネート、4,4´−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、2,4´−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、3,3´−ジメトキシ−4、4´ビフェニレンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、1,5−テトラヒドロナフタレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、4,4´−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4´−ジフェニルメタンジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、およびテトラメチルキシリレンジイソシアネート等のポリイソシアネートあるいはこれらポリイソシアネートから得られる誘導体が挙げられる。
イソシアネート基とOH基が、ほぼ全て反応していれば熱可塑性皮膜として成膜可能であるが、イソシアネート基とOH基の一部を未反応で残すと、塗装焼付け時の加熱によって熱硬化性皮膜として成膜することができる。
本樹脂に含有するイソシアネート構造は反応性に富むため、使用環境によって不活性化するためにマスクしておく必要が生じる場合がある。上記ブロック化剤としては、例えば、マロン酸ジエステル(マロン酸ジエチルなど)、アセチルアセトン、アセト酢酸エステル(アセト酢酸エチルなど)等の活性メチレン化合物、アセトオキシム、メチルエチルケトオキシム(MEKオキシム)、メチルイソブチルケトオキシム(MIBKオキシム)等のオキシム化合物、メチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール、ブチルアルコール、ヘプチルアルコール、ヘキシルアルコール、オクチルアルコール、2−エチルヘキシルアルコール、イソノニルアルコール、ステアリルアルコール等の一価アルコールまたはこれらの異性体、メチルグリコール、エチルグリコール、エチルジグリコール、エチルトリグリコール、ブチルグリコール、ブチルジグリコール等のグリコール誘導体、ジシクロヘキシルアミン等のアミン化合物などが挙げられる。
上記ブロックイソシアネートを得るためのブロック化反応は、公知の反応方法により行なわれる。ブロック化剤の添加量は、遊離のイソシアネート基に対し、通常1当量以上2当量以下、好ましくは1.05〜1.5当量である。
通常、前述のイソシアネート化合物のブロック化反応は、最終の反応でブロック化剤を添加する方法をとる。また、ポリウレタンをブロック化反応する場合、ブロック化剤は任意の段階で添加し反応させ、ブロックポリイソシアネートを得ることができる。
第2表面処理剤を構成する水性有機樹脂は、さらに種々の変性をすることもできるが、例えば、ハーフブロックイソシアネート化合物によって変性することによって、自己架橋性を持たせることができ、ブロックイソシアネート化合物などの硬化剤を使用することなく、単独で硬化性の水性有機樹脂を得ることもできる。
ウレタン変性アクリル樹脂は、水溶性もしくは水分散性であり、水性有機樹脂全固形分中のウレタン成分の固形分質量割合が10〜50質量%であることが好ましく、より好ましくは10〜30質量%である。ウレタン成分の固形分質量が10質量%未満では、ウレタン樹脂特有の優れた耐摩耗性を得ることができないからであり、また、50質量%を超える場合は、ウレタン樹脂の合成に必要不可欠であるイソシアネート化合物が高価であるため経済的ではない。
ウレタン変性アクリル樹脂は、前述したように熱可塑性皮膜として成膜させることもできるし、熱硬化性皮膜として成膜させることもできる。熱硬化性皮膜として成膜させる場合でも、自己架橋させることもできるし、硬化剤で架橋させることもできる。架橋剤で充分に架橋させるためには、必要に応じてさらに硬化剤を配合しても良い。硬化剤には、エポキシ化合物、アミン類、多価アルコール、多塩基酸、およびイソシアネート化合物等があるが、より優れた耐食性と耐溶剤性を得るために、エポキシ基、オキサゾリン基、イソシアネート基、およびアジリジニル基から選ばれる少なくとも1種の官能基を有する化合物を用いることがより好ましい。その他の硬化剤であるアミン類、多価アルコール、多塩基酸等は親水性の強い官能基(アミノ基、水酸基、カルボキシル基等)を有しているため、耐水性が劣化するので好ましくない。
硬化剤として、エポキシ樹脂を用いた場合、エポキシ樹脂自体の耐薬品性と接着性のため、得られる皮膜の耐薬品性と塗装密着性が向上する。また、オキサゾリン系、アルコキシシリル系、イソシアネート系、およびアジリジニル系の化合物の硬化剤を用いた場合も同様の効果が期待できると考えられる。
ウレタン変性アクリル樹脂と硬化剤の固形分の質量割合は、組成物中の全固形分質量に対して50〜95質量%とすることが好ましく、より好ましくは55〜75質量%である。この質量割合が50質量%未満ではバインダー効果が不十分なため、目的とする耐食性が得られない。また、95質量%を超える場合も目的とする耐食性が得られない。
硬化剤の配合量は、ウレタン変性アクリル樹脂/硬化剤の固形分質量比で4〜49であることが好ましい。この比が4未満では、本発明の樹脂の特性を十分に発揮することができず、また、ベース樹脂と未反応の硬化剤が残存して可塑剤的役割をするため、耐食性および塗装密着性が低下するおそれがある。また、前記比が49を超えると、配合効果が乏しくなる傾向がある。
また、第2表面処理剤は、潤滑成分としてワックスを含有することが耐疵付性をより一層向上させる上で好ましい。
ワックスの配合量は、全固形分質量に対する割合で2〜20質量%であることが好ましく、より好ましくは5〜15質量%である。ワックスの配合量が2質量%未満では成形加工性向上効果が小さく、20質量%を超えると、成形加工時にプレス装置やその周辺にワックスが飛散するため、作業環境上好ましくなく、耐食性も低下する。
ワックスの種類に関しては特に限定するものではないが、カルナウバワックス、ライスワックス、ラノリンワックス、モンタンワックス、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、脂肪酸エステルワックスおよび脂肪酸アミドワックスあるいはこれらの部分けん化物、ポリエチレンワックス、ポリオレフィンワックス、塩素化炭化水素、フッ素化炭化水素、エチレンアクリルコポリマーワックスなどが挙げられる。また、これらのワックスは2種類以上を併用しても構わない。
また、ワックスの平均粒径は、0.05〜3.0μmの範囲が好ましい。平均粒径が0.05μm未満の場合は、加工性が不十分であり、3.0μmを超える場合は、固体化したワックスの分布が不均一となるため好ましくない。
加えて、ワックスの融点は50〜160℃であることが好ましい。ワックスの融点が50℃未満だと夏場の作業環境ではワックス自体が溶融し、ワックス本来の潤滑性が発揮されないため、耐疵付き性が低下する傾向があり、また、160℃を超えるとワックス自体の持つ潤滑性が発揮されないため、耐疵付き性が低下するおそれがある。
ワックス粒子の形状としては、真球状のものが高度の加工性を得る上でより好ましい。
さらに、第2表面処理剤は、シリカを含有させることが耐食性を向上させる点で好ましく、シリカの配合量は、全固形分質量に対する割合で3〜40質量%であることがより好適である。シリカの配合量が3質量%未満では耐食性の向上効果が小さく、40質量%を超えると樹脂のバインダー効果が小さくなり、耐食性が低下するおそれがあるからである。なお、シリカの粒径および種類については、本発明では特に限定するものではない。
第1複合皮膜は、第1表面処理剤を金属板の表面に塗布・乾燥することによって形成することが好ましく、その塗布量は、乾燥皮膜質量にして0.2〜0.6g/mとすることがより好適である。
第2複合皮膜は、第2表面処理剤を金属板の表面に塗布・乾燥することによって形成することが好ましく、その塗布量は、乾燥皮膜質量にして0.3〜0.7g/mとすることがより好適である。
各表面処理剤の塗布方法としては、ロールコーター法、浸漬法、静電塗布法などがあるが、本発明では特に限定するものではない。
上述したところは、この発明の実施形態の一例を示したにすぎず、請求の範囲において種々の変更を加えることができる。
以下、実施例に基づいて本発明を詳しく説明する。
表1に示す金属板A〜Oの中から選択した一の金属板の表面に、表2に示す金属化合物の中から選択した一または二以上の金属化合物を、リン酸、またはリン酸と硝酸、酢酸、フッ酸のうちいずれかとの混合酸で溶解した後に、後述する方法によって作製した。樹脂(a)〜(g)と、常温で撹拌混合して得られた第1表面処理剤をロールコート塗装した後、金属板温度が15秒で120℃となるように加熱して、第1複合皮膜を形成し、試験片を作製した。また、一部の第1表面処理剤にはシランカップリング剤も添加した。金属板、金属化合物、酸および樹脂の種類、第1複合皮膜中の樹脂および金属化合物の含有量(質量%)、シランカップリング剤添加の有無ならびに第1複合皮膜の付着量(乾燥皮膜質量に換算)を表3に示す。
なお、本実施例で用いた樹脂(a)〜(g)については以下に説明する製造法により作製した。
先ず、本発明に適合例として作製した樹脂(a)は、以下に示す(1)〜(3)の方法にて製造した。
(1)反応性乳化化合物の製造
スミジュールN−3300(住友バイエルウレタン(株)製;ヘキサメチレンジイソシアネートのヌレート体)575gと、メトキシPEG−1000(東邦化学(株)製;ポリエチレングリコールモノメチルエーテル)1000gを仕込み、100℃まで昇温し、NCO含有量が4〜6質量%[実測値5.3質量%]となるまで反応した後、ベンジルアルコール108gを仕込み、100℃でNCO含有量が2〜4質量%[実測値2.5質量%]になるまで反応して親水基を持つプレポリマー:SA−1を製造した。
(2)ハーフブロックイソシアネート化合物の製造
トリレンジイソシアネート357gをプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート400gに混合した後、70℃に昇温しトリメチロールプロパン58gとネオペンチルギルコール45gとを仕込み反応させ、NCO含有量が10質量%のプレポリマーを得た。
次いで、ベンジルアミン0.5g、フェノール121.5gを仕込み2時間反応させて固形分60質量%のハーフブロックイソシアネート化合物:HB−1を得た。
(3)自己乳化型、自己架橋性変性エポキシ樹脂エマルションの製造
エポキシ当量650のビスフェノール型エポキシ樹脂650gをプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート605gに溶解させた後、モノエタノールアミン22.3gを仕込み、120℃で2時間反応させてエポキシ当量4800の樹脂を得た。さらにジエタノールアミン26.7gを仕込み、110℃でエポキシ基が消滅するまで反応させた。
さらに上記のプレポリマー:SA−1を303g仕込み、100℃で1時間反応させた後、ジブチル錫ラウレート0.01gを仕込んで、さらにIR(赤外線スペクトル法)にてNCOピークが消滅するまで反応した。次いで、メチルエチルケトン106gを仕込み、60℃まで冷却した後、上記のハーフブロックイソシアネート化合物:HB−1を76g仕込み、IRにてNCOピークが消滅するまで反応した。次いで、40℃の温水1543gを徐々に添加して、固形分濃度30質量%の自己架橋性変性エポキシ樹脂であるポリオール樹脂を得た。
また、本発明の別の適合例として、以下に示す自己架橋性変性エポキシ樹脂(b)、(c)、(d)、(e)を製造した。
樹脂(b);
上記(3)の工程でモノエタノールアミン反応後のエポキシ当量を2000としその他の製造法は、(1)〜(3)と同様としたもの。
樹脂(c);
上記(3)の工程でモノエタノールアミン反応後のエポキシ当量を7000とし、その他の製造法は、(1)〜(3)と同様としたもの。
樹脂(d);
上記(3)の工程における、プレポリマー:SA−1の仕込みを行わず、代わりに乳化剤(旭電化工業(株)製;アデカプルロニックF68)を仕込んだ強制乳化型エポキシ樹脂エマルション。
樹脂(e);
上記(3)の工程において、用いたビスフェノール型エポキシ樹脂のエポキシ当量を4800とし、さらに、モノエタノールアミンを仕込み120℃で2時間反応させる工程を省略したもの。
さらに、比較となる樹脂として、樹脂(f)(イソシアネート構造を有さない変性エポキシ樹脂)、樹脂(g)(エポキシ基がOH基に変性していないエポキシ樹脂)を以下の方法で製造した。
樹脂(f);
上記(3)の工程において、ハーフブロックイソシアネート:HB−1の仕込みを省略し、NCO構造を有さないものとした変性エポキシ樹脂。
樹脂(g);
上記(3)の工程において、ジエタノールアミン26.7gを仕込み、110℃で反応させる工程を省略し、エポキシ基を消滅させなかったもの。
Figure 2005133172
Figure 2005133172
Figure 2005133172
(特性評価)
第1複合皮膜を形成させた各金属板から試験片を採取し、下記の特性(耐脱脂洗浄性、脱脂洗浄後耐食性、平板部耐食性、導電性、耐導電性経時劣化性、後塗装密着性(一次、二次)、耐疵付き性)を下記の試験方法に従って評価した。それぞれの評価結果を表4に示す。
1.耐脱脂洗浄性
アルカリ脱脂剤CLN364S(日本パーカライジング(株)製)を20g/lの濃度で純水に溶解し60℃に加温し、この溶液に試験片を2分間浸漬後、被覆面の状態を観察し、以下の基準で耐脱脂洗浄性を評価した。
<耐脱脂洗浄性の評価基準>
◎ :外観変化なし
○ :気液界面近傍にやや外観変化有り
△ :やや白化または剥離
× :激しい白化または剥離
2.脱脂洗浄後耐食性
上記1で洗浄した試験片より、70mm×150mmの大きさに切断し、端面部をシールし、JIS Z 2371に準拠した塩水噴霧試験を行い、各試験片表面に発生した錆の面積率が5%に達するまでに要する時間を測定し、得られた測定結果から以下の基準にて脱脂洗浄後耐食性を評価した。
<脱脂洗浄後耐食性の評価基準>
◎ :120時間以上
○ :96時間以上120時間未満
△ :24時間以上96時間未満
× :24時間未満
3.平板部耐食性
第1複合皮膜を形成させた各金属板から採取した試験片を、70mm×150mmの大きさに切断し、端面部をシールし、JIS Z 2371に準拠した塩水噴霧試験を行い、各試験片表面に発生した錆の面積率が5%に達するまでに要する時間を測定し、得られた測定結果から以下の基準にて平板部耐食性を評価した。
<平板部耐食性の評価基準>
◎ :168時間以上
○ :144時間以上168時間未満
△ :72時間以上144時間未満
× :72時間未満
4.導電性および耐導電性経時劣化性
試験片平面部での表面電気抵抗を表面電気抵抗計(三菱化学(株)製、“ロレスタGP”)を用い、ESPプローブにて測定後、下記基準で導電性を評価した。また、試験片を65℃×95RH%の環境に3日間暴露して耐湿試験した後、上記基準で同様な方法で導電性を測定し、耐導電性経時劣化性を評価した。
<導電性の評価基準>
○ :1mΩ以下
△ :1mΩ超10mΩ以下
× :10mΩ超
5.後塗装密着性(一次)
第1複合皮膜を形成させた各金属板から試験片を採取し、これにJIS K 5400に準拠してメラミン−アルキッド系樹脂(日本ペイント(株)製“オルガセレクト120ホワイト”)を乾燥膜厚20μmおよび30μmになるようにバーコート塗装し、135℃で15分間焼き付けて塗装鋼板を作製した後、試験片上の有機皮膜を貫通して金属板素地に達する切り傷を1mm間隔で碁盤目状に付け、この碁盤目の上にセロハンテープを貼り、剥離した皮膜の割合を目視観察し、下記評価基準に従って評価した。
<後塗装密着性(一次)の評価基準>
◎ :皮膜残存率100%
○ :皮膜残存率70%以上100%未満
△ :皮膜残存率30%以上70%未満
× :皮膜残存率30%未満
6.後塗装密着性(二次)
後塗装密着性(一次)の場合と同様に塗装鋼板の試験片を作製し、これを40℃の温水中に120時間浸漬後、試験片上の有機皮膜を貫通して金属板素地に達する切り傷を1mm間隔で碁盤目状に付け、この碁盤目の上にセロハンテープを貼り、剥離した皮膜の割合を目視観察し、下記評価基準に従って評価した。
<後塗装密着性(二次)の評価基準>
◎ :皮膜残存率100%
○ :皮膜残存率70%以上100%未満
△ :皮膜残存率30%以上70%未満
× :皮膜残存率30%未満
7.耐疵付き性
ラビングテスター(太平理化工業(株)製)を用いて、試験片を段ボールでラビング後、試験片の表面を目視で観察し、下記の評価基準に従って評価した。試験は、400g(面圧9.8kPa)、摺動距離60mm、速度120mm/s、ラピング回数1000回で行った。
<耐疵付性の評価基準>
◎ :疵の本数が0本
○ :疵の本数が1〜2本
△ :疵の本数が3〜10本
× :疵の本数が11本以上または変色(本数測定不能)
8.耐指紋性
各試験片に白色ワセリンを塗布する前後の色調(L値、a値、b値)の変化を分光式色差計(日本電色(株)製“SQ2000”)を用いて測定し、下記式(1)で示す△Eを用いて、下記の評価基準に従って評価した。
<耐指紋性の評価基準>
◎ :△Eが1以下の場合
○ :△Eが1超え2以下の場合
△ :△Eが2超え3以下の場合
× :△Eが3超えの場合
式(1) △E=√(△L十△a十△b
Figure 2005133172
表3および表4に示す結果から、本発明例はいずれも、耐脱脂洗浄性、脱脂洗浄後耐食性、平板部耐食性、導電性、耐導電性経時劣化性、後塗装密着性(一次、二次)に優れていることがわかる。なお、No.1−19の発明例は、樹脂としてエポキシ樹脂のモノエタノールアミンと反応させる工程を省略した自己架橋性変性エポキシ樹脂(e)を用いたため、他の発明例に比較して耐疵付き性が若干劣っている。また、No.1−45の発明例は、樹脂として自己架橋性変性エポキシ樹脂を用いているものの、第1複合皮膜中の含有量が少なめであるため、他の発明例に比較して耐脱脂洗浄性が若干劣っている。
これに対し、No.1−20の比較例は、イソシアネート構造(NCO構造)を有さない樹脂(f)を用いているため、耐脱脂洗浄性、脱脂後耐食性が悪い。また、耐導電性経時劣化性、後塗装密着性(二次)も悪い。
また、No.1−21の比較例は、エポキシ基を変性してOH基を含有させる工程を行っていない樹脂(g)を用いているため、耐脱脂洗浄性、脱脂後耐食性が悪い。また、耐導電性経時劣化性、後塗装密着性(二次)も悪い。
さらに、No.1−46の比較例は、第1複合皮膜中に樹脂を含有していないため、耐脱脂洗浄性、後塗装密着性(一次、二次)に劣っている。
表1に示した金属板A〜Oの中から選択した一の金属板の表面に、表2に示した金属化合物の中から選択した一または二以上の金属化合物をリン酸または、リン酸と硝酸、酢酸、フッ酸のうちいずれかとの混合酸で溶解した後に、前述の樹脂(a)〜(g)と常温で撹拌混合して得られた第1表面処理剤をロールコート塗装した後、金属板温度が15秒で120℃となるように加熱して、第1複合皮膜を形成した。ここで、一部の第1表面処理剤中にはシランカップリング剤を添加した。次いで、前記第1複合皮膜の表面に、表5に示す水性有機樹脂i−1〜i−3、表6に示す硬化剤α〜γ、表7に示すワックスW1〜W4、および表8に示すシリカS1,S2を含有する第2の表面処理剤により形成された第2の複合皮膜を形成し、試験片を作製した。金属板、金属化合物、酸および樹脂の種類、第1複合皮膜中の樹脂および金属化合物の含有量(質量%)、シランカップリング剤添加の有無、第1複合皮膜の付着量(乾燥皮膜質量に換算)、水性有機樹脂、硬化剤、ワックスおよびシリカの種類ならびに第2複合皮膜の付着量(乾燥皮膜質量に換算)を表9および表10に示す。
Figure 2005133172
Figure 2005133172
Figure 2005133172
Figure 2005133172
Figure 2005133172
Figure 2005133172
(特性評価)
各試験片について、実施例1で説明したものと同一の手法にて、耐脱脂洗浄性、脱脂洗浄後耐食性、平板部耐食性、導電性、後塗装密着性(一次、二次)、耐疵付き性および耐指紋性の各特性評価を行った。その結果を表11に示す。
Figure 2005133172
表9、表10および表11に示す結果から、発明例はいずれも耐脱脂洗浄性、脱脂洗浄後耐食性、平板部耐食性、導電性、後塗装密着性(一次、二次)、および耐疵付き性に優れている。また、本実施例による発明例は第2複合皮膜を形成させているので耐指紋性にも優れていることがわかる。
これに対し、No.2−20の比較例は、イソシアネート構造(NCO構造)を有さない樹脂(f)を用いるため、耐脱脂洗浄性、脱脂後耐食性が悪い。また、後塗装密着性(二次)も悪い。
また、No.2−21の比較例は、エポキシ基を変性してOH基を含有させる工程を行っていない樹脂(g)を用いているため、耐脱脂洗浄性、脱脂後耐食性が悪い。また、後塗装密着性(二次)も悪い。
さらに、No.2−46の比較例は、第1複合皮膜中に樹脂を含有していないため、耐脱脂洗浄性、後塗装密着性(一次、二次)に劣っている。
本発明によれば、耐脱脂洗浄性に優れ、かつ優れた耐食性、導電性、耐導電性経時劣化性および耐疵付性、さらには耐指紋性を有する、クロムを含有しない複合皮膜を有する表面処理金属板の提供が可能になる。

Claims (5)

  1. 金属板の少なくとも片面に、金属化合物(但し、クロムは除く。)と、樹脂の分子内にイソシアネート構造を有しかつOH基を含有するようエポキシ基が変性された自己架橋性変性エポキシ樹脂(但し、エポキシ基が不可避的に存在する場合は除く。)とを含有する第1表面処理剤により形成された第1複合皮膜を有することを特徴とする表面処理金属板。
  2. 前記自己架橋性変性エポキシ樹脂が、エポキシ基とアミン化合物とを反応して得られた樹脂である請求項1に記載の表面処理金属板。
  3. 前記金属化合物が、Cu、Co、Fe、Mn、Sn、V、Mg、Ba、Al、Ca、Sr、Zr、Nb、Ni、W、Mo、YおよびZnからなる群より選ばれる少なくとも一種の金属化合物である請求項1または2に記載の表面処理金属板。
  4. 前記第1複合皮膜が、さらにシランカップリング剤を含む請求項1、2または3に記載の表面処理金属板。
  5. 前記第1複合皮膜の表面に、さらに、水性有機樹脂およびワックスを含有する第2表面処理剤により形成された第2複合皮膜を有する請求項1〜4のいずれかに記載の表面処理金属板。
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